連絡先
厚生労働省大臣官房厚生科学課
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平成18年9月19日
厚生科学審議会科学技術部会
第16回がん遺伝子治療臨床研究作業委員会
議事概要
1. | 日時 | 平成18年9月13日(水) 13:00〜15:00 | |
場所 | 厚生労働省専用第17会議室(中央合同庁舎第5号館 16階) | ||
2. | 出席委員 | 笹月委員長 浅野委員 小澤委員 垣添委員 金子委員 金田委員 北川委員 島田委員 吉倉委員 (事務局) 厚生労働省 林研究企画官 永田主任研究官 他 |
3. | 議事概要 概要は以下のとおり。 北里大学病院より申請のあった遺伝子治療臨床研究実施計画(対象疾患:前立腺がん)について、本作業委員会からの照会事項に対し、同病院から回答書が提出されたことを受けて、再度審議が行われた。 まず、回答書について総括責任者らより説明を受けた後、委員間で実施計画の妥当性等について審議が行われた。 (遺伝子治療臨床研究実施計画の内容は別紙1参照。) 引き続き、平成18年7月18日付けで岡山大学医学部・歯学部附属病院より申請のあった遺伝子治療臨床研究実施計画(対象疾患:前立腺がん)について、審議が行われた。 まず、実施計画について総括責任者らより説明を受けた後、委員間で実施計画の妥当性等について審議が行われた。 (遺伝子治療臨床研究実施計画の内容は別紙2参照。) いずれの計画に対しても、遺伝子治療によって誘導される腫瘍免疫効果の解析の充実、被験者に対する同意説明文書に記載される情報の客観性の確保等に関する各委員の意見を事務局で整理した上で、申請者に検討を依頼することとされ、その結果をもとに再度審議することとされた。 |
(別紙1) | 遺伝子治療臨床研究実施計画の内容 平成18年9月13日審議分 |
研究課題名 | 前立腺癌に対するHerpes Simplex Virus-thymidine kinase遺伝子発現アデノウイルスベクター及びガンシクロビルを用いた遺伝子治療臨床研究 | ||||
申請年月日 | 平成18年1月19日 | ||||
作業委員会での審議経過 |
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実施施設及び 総括責任者 |
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対象疾患 | 局存性進行前立腺がん | ||||
導入遺伝子 | 単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子 | ||||
ベクター | 非増殖性のヒトアデノウイルス5型(Ad-5)ベクター | ||||
実施期間及び 対象症例数 |
厚生労働大臣より了承された日から2年間 25例 |
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治療研究の概要 | 本研究は、根治的前立腺摘除術単独では術後に再発する可能性が高い限局性前立腺がんに対して、非増殖性のHSV-tk遺伝子発現Ad-5ベクターを前立腺内に注入し、抗ウイルス剤であるガンシクロビルを全身投与した後、根治的前立腺摘除術を施行した場合の安全性を検討することを主要な目的とする。また、免疫学的反応の解析及び病理学的評価を副次的に行う。 | ||||
その他(外国での状況等) | 前立腺がんに対する非増殖性HSV-tk遺伝子発現Ad-5ベクターを用いた遺伝子治療臨床研究は、国内では内分泌療法抵抗性再燃前立腺がんを対象として、岡山大学医学部・歯学部附属病院で8名及び神戸大学医学部附属病院で6名に実施されている。根治的前立腺摘除術施行前にHSV-tk遺伝子発現Ad-5ベクターを投与するとの実施計画は、国内では本臨床研究が初めてであるが、米国においてはベイラー医科大学及びマウントシナイ医療センターで、また、オランダにおいてはエラスムス医療センターで既に実施されている。上記の遺伝子治療臨床研究はすべて安全性の評価を主要な目的としており、重篤な副作用はこれまで報告されていない。なお、本臨床研究で使用予定のHSV-tk遺伝子発現Ad5ベクターは、岡山大学医学部・歯学部附属病院及びベイラー医科大学で用いられたものと同一である。本臨床研究の実施計画はベイラー医科大学での遺伝子治療臨床研究と類似しているが、ベイラー医科大学では1〜4×1010感染単位のベクターが単回投与された一方、本臨床研究では1×1010感染単位の2回反復投与とされている。 |
(別紙2) | 遺伝子治療臨床研究実施計画の内容 平成18年9月13日審議分 |
研究課題名 | 前立腺癌に対するInterleukin-12遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療臨床研究 | ||||
申請年月日 | 平成18年7月18日 | ||||
作業委員会での審議経過 |
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実施施設及び 総括責任者 |
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対象疾患 | 内分泌療法抵抗性再燃前立腺がん | ||||
導入遺伝子 | ヒトインターロイキン12(IL-12)遺伝子 | ||||
ベクター | 非増殖性のヒトアデノウイルス5型(Ad-5)ベクター | ||||
実施期間及び 対象症例数 |
厚生労働大臣より了承された日から3年間 21例(各用量群3〜6例) |
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治療研究の概要 | 本研究は、内分泌療法抵抗性再燃前立腺がんに対して、非増殖性のIL-12遺伝子発現Ad-5ベクターを前立腺局所又は遠隔転移巣の病変部内に注入した場合の安全性を検討することを主要な目的とする。また、免疫学的反応の解析及び治療効果の観察を副次的に行う。 | ||||
その他(外国での状況等) | 前立腺がんに対する遺伝子治療は、国内では内分泌療法抵抗性再燃前立腺がんを対象として非増殖性HSV-tk遺伝子発現Ad-5ベクターを用いて岡山大学医学部・歯学部附属病院で8名及び神戸大学医学部附属病院で6名に実施されている。非増殖性のIL-12遺伝子発現Ad-5ベクターを用いた遺伝子治療は国内では本臨床研究が初めてであるが、本臨床研究と同一のベクターを用いて、放射線療法・内分泌療法・凍結療法に抵抗性を示す前立腺がんを対象に米国ベイラー医科大学で安全性の評価を主要な目的とした遺伝子治療臨床研究が2004年から3例(2006年6月現在)に実施されており、これまで重篤な副作用は報告されていない。本臨床研究の実施計画はベイラー医科大学での遺伝子治療臨床研究と類似しているが、ベイラー医科大学では根治的前立腺摘除術後の再発症例が含まれず、また、遠隔転移巣病変部へのベクターの投与が行われない。さらに、1回あたりのベクター投与量(1×1010〜5×1012ウイルス粒子)は両者共通であるが、ベイラー医科大学では単回投与、本臨床計画では3回以上の反復投与とされている。 |