06/08/30 保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会 第1回議事録 第1回  保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会 議事録        日 時:平成18年8月30日(水) 15:00〜        場 所:霞が関東京會舘ゴールドスタールーム        照会先:保険局総務課医療費適正化対策推進室(内線3181) ○ 出席委員(敬称略・五十音順)  赤星慶一郎、内田健夫、漆ア育子(草間朋子代理)、押野榮司、小島茂、久代登志男(田 村政紀代理)、小池啓三郎、河内山哲朗、櫻井正人、白川修二、武田俊彦、田中一哉、辻 一郎、津下一代、対馬忠明、中村嘉昭、奈良昌治、水口忠夫、諸江正義(峯村栄司代理)  ○厚生労働省出席者  水田保険局長、宮島大臣官房審議官、榮畑保険局総務課長、唐澤保険局国民健康保険 課長、中島保険局総務課医療費適正化対策推進室長、濱谷保険局総務課老人医療企画室 長、大島保険局総務課医療費適正化対策推進室企画官、梶尾保険局総務課医療費適正化 対策推進室企画官、矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、野村健康局総務課保健指導 室長 ○次第 1.開会 2.保険局長挨拶 3.委員紹介・座長選出 4.本検討会の設置について 5.議題  (1)特定健診・特定保健指導の趣旨・概要について  (2)「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」について  (3)特定健診・特定保健指導に関する保険者における平成20年度に向けた主な作業  (4)保険者への情報提供  (5)本検討会の今後の進め方   (1)検討スケジュール   (2)ワーキンググループの設置 6.閉会                    ○梶尾企画官 ただいまより、「第1回保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に 関する検討会」を開会します。開会にあたりまして水田保険局長よりご挨拶を申し上げ ます。 ○水田保険局長 おはようございます。よろしくお願いします。本日は、この「保険者 による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会」の開催でございます。委員の 皆様方におかれましては、ご多忙の中を、御参集いただきまして誠にありがとうござい ます。  ご存じのとおり、先の通常国会におきまして一連の医療改革関連法が成立をしたわけ でございます。この医療制度改革の大きな眼目は医療費の適正化でございます。すなわ ち医療の質を落さずに医療費の伸びを適正化していくこと、抑制していくこと、これが 大きな眼目であったわけでございます。  その方法といたしまして提示をさせていただいたのが、生活習慣病対策と平均在院日 数の縮減の2つでございます。すなわち患者の発生をできるだけ少なくする。さらに発 生した患者につきましては、できるだけ早く在宅ないし在宅に近い環境にお戻しをする。 そういう、まさに医療そのものの効率化を通じて、その結果として、医療費の適正化を 図ろうといった意図のもとに仕組んだものでございます。  そのうち生活習慣病対策につきましては、糖尿病等の生活習慣病対策に絞りまして、 患者と有病者を25%減少させるということを目標といたします。さらにそのやり方と方 法論といたしましては、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)という新しい概 念を機軸といたしまして、健診・保健指導を行っていこうと、それを通じて先ほどの目 標を達成していこうというものでございます。  法律的に申し上げますと、これも新しく改正法として成立いたしました「高齢者の医 療の確保に関する法律」、平成20年4月の施行でございますけれども、そこで、これら につきましては「特定健康診査・特定保健指導」という形で位置づけられておりまして、 医療保険者の方々のうち40歳〜74歳までの加入者につきまして、この特定健診、特定 保健指導というものの実施を義務づけさせていただいたわけでございます。  この実施にあたりましては、これまで部分的にはやっていただいたこともあったと思 いますけれども、被扶養者を含めまして受診者を確実に把握することであるとか、従来、 健診・保健指導と言いましても健診に重点があったかと思いますけれども、むしろ大切 なのは保健指導だと思っておりまして、その保健指導をどうやって徹底していくかとい うこと。それから医療費の適正化にまで視野を広げて、データの蓄積であるとか効果の 評価を行うということ。それぞれ、これまでの取組みを、いろいろな意味で強化してい かなければいけないという側面があろうかと思っています。特に先ほどの健診・保健指 導の提供方法であるとか、効果の評価方法といったことにつきましては、さらなる検討 が必要であると考えてございます。  私ども厚生労働省といたしましては、この検討会におきまして、まず第1には医療保 険者の方々の事業につきまして企画・立案から実施に至る体制につきまして、その成り 立たせ方の議論についての議論、もう1つは健診等に関する決済であるとかデータの送 受信、こういった仕組みに関する議論を深めていただきたいと思っております。ただ、 それに止まらず、さらにそこで得られました成果、あるいは共通認識というものを傘下 の保険者の方々に伝達をしていただいて、ここでの作業と並行して全国規模で、この医 療費適正化計画の実施に向けての準備作業が進行する、そういったことを私どもとして は期待をしているわけでございます。  繰り返しになりますけれども、この検討会での検討を通じまして、忌憚のない意見交 換をお願いいたしまして、実りのある議論、そして更にはその伝達ということをお願い 申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○梶尾企画官 続きまして、本日の検討会の委員の皆様ですけれども、お手元の資料の 議事次第、座席表の次に名簿を付けさせていただいています。時間節約のために本日、 委員の皆様のご紹介は名簿の確認ということにさせていただきたいと思っています。な お出欠の確認ですけれども、本日は、名簿の上から5番目の草間委員、中ほどから下の 田村委員、いちばん下の2人で峯村委員、山本委員からはご欠席の連絡をいただいてい ます。なお草間委員の代理として、日本看護協会の漆ア様、田村委員の代理として日本 総合健診学会の久代様、峯村委員の代理として共済組合連盟の諸江様にご出席をいただ いているところです。  本検討会の座長の選出を行いたいと存じます。事務局からの提案でございますが、本 検討会の座長には、公衆衛生学をご専門とされていて、予防医学や医療費分析にご造詣 の深い辻委員にお願いしたいと考えておりますけれども、ご賛同いただけますか。                   (了解) ○梶尾企画官 ありがとうございます。委員の皆様方のご賛同をいただきましたので、 辻委員に本検討会の座長をお願いしたいと存じます。辻委員には座長席のほうにご移動 いただきまして、以降の議事運営をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○辻座長 よろしくお願いします。この検討会におきまして、まず最初に座長の代理を していただく方を決めなければいけないということです。私のほうからのご提案ですが、 「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会」の委員を務めておられました、津 下先生に座長代理をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。                   (了解) ○辻座長 では津下先生、よろしくお願いします。事務局から資料の確認をお願いしま す。 ○梶尾企画官 配布資料一覧という1枚紙がありますが、資料1〜7までございます。 不足あるいは乱丁・落丁がありましたら事務局のほうにご指示いただければと思います。 ○辻座長 よろしいですか。不足のある方は事務局までお伝えいただければと思います。                   (了解) ○辻座長 議題に入ります前に、この検討会の設置につきまして事務局から説明をお願 いします。 ○梶尾企画官 資料1として、この検討会の検討会開催要綱というのがあります。この 検討会開催の目的については、先ほど局長からのご挨拶の中で申し上げましたように、 平成20年4月から施行される「高齢者の医療の確保に関する法律」において、医療保険 者が特定健康診査及び特定保健指導を、計画を定めて実施するということで、それを具 体的に進めていくために関係者の連携を一層促進していこうということから、具体的な 内容について検討していこうというものです。  2の検討事項にありますように、医療保険者における企画立案・実施体制について、 また被扶養者に対する健診・保健指導に係る決済あるいはデータ移動の仕組み、また特 定健診・特定保健指導の取組の評価方法等について、検討いただきたいということです。 本日の後半のほうでスケジュール等をご相談させていただきたいと思っています。  3の構成について、(1)は委員ですが、(2)でワーキンググループを設けるとか、 必要があれば関係委員以外の方の出席を求めることができる、という運営にしてはどう かということです。  4の検討会の運営についてですが、本日も既に多くの傍聴の方が入っておられますけ れども、基本的に公開ということでさせていただければと思っています。また、その上 で(3)にありますように何か必要な事項がありましたら、この検討会で定めるという ことの要綱とさせていただいています。 ○辻座長 いかがでしょうか。ただいまご説明いただきましたように、この要綱に沿っ て運営していきたいと思いますが、特にご異議はございませんか。よろしいですか。で はそのような形でよろしくお願いしたいと思います。5の議題に入りたいと思いますが、 進め方として、議題の(1)(2)(3)の3つについて一括してご説明いただき、その 後で一括して質疑をいただきたいと思います。議題の(1)の「特定健診・保健指導の 趣旨・概要について」、事務局から説明をお願いします。 ○大島企画官 資料2と資料4をご用意ください。資料2は特定健診・特定保健指導の 趣旨・概要についてですが、1ページをおめくり下さい。このたびの特定健診・特定保 健指導は、医療構造改革の中での大きな眼目として位置づけがあります。背景として、 近年、肥満者の増加傾向が原因となり、糖尿病、高血圧症、高脂血症等の危険因子を複 数併せ持っている方が増え、その結果、生活習慣病が増えています。さらに重症化する と心疾患、脳血管疾患が発生することになり、こういったことが医療費の増加要因にな っています。  これを踏まえ、1ページの一番下ですが、こうした糖尿病等の有病者予備群を減らす ことを政策目標に据え、その結果として国民の健康増進、生活の質の向上を図る。併せ て中長期的な医療費の適正化を図ろうということが大きな骨格です。  それに向けた具体的な取組として、保健指導を徹底していくとともに、効率的・効果 的な健診の実施により該当者・予備群の確実な抽出を行う。そういう前提のもとに保健 指導のプログラムの標準化を図り、一定の水準で全国に展開できるようにしていくとい うことです。これについては既に「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会」 が開催されていて、暫定的なプログラムが作られているところです。  それを実際にどのように提供し、健診・保健指導を受けていただくかが、1ページの 右隣にあるように医療保険者の役割になります。医療保険者には、例えば健診の未受診 者の確実な把握、保健指導、健診の提供、データ管理といったことをやっていただくと いうことで、法律上、平成20年から糖尿病等の予防に着目した健診・保健指導の実施が 義務づけられたところです。  資料4の1枚目に、なぜ医療保険者に今回、健診・保健指導が義務づけられたかを書 いています。1つには将来の医療費の削減効果が期待されること。2つ目には医療費の データと健診・保健指導のデータを突合できる立場にあるということ。3つ目は未受診 者を含め対象者の把握や状況の把握が行いやすいということから、保険者をこのたび実 施主体として、糖尿病等の予防についての取組を行っていただくこととなったものです。  資料2の5頁をお開きください。高齢者の医療の確保に関する法律というのが右上に 書いてあります。これに基づいて医療保険者に健診・保健指導をやっていただきます。 「国」とありますが実際は厚生労働省になります。特定健康診査等基本指針を作ること になっていて、この基本指針に何を書くかというのを資料4の2頁のいちばん上に書い ています。3つあります。1つ目は特定健診等の実施方法、2つ目がその目標に関する 事項、3つ目に実施計画の作成に関する事項です。この3つの内容が基本指針に盛り込 まれることになります。  1つ目の実施方法に関する基本的な事項として、具体的な健診項目、健診結果を踏ま えた保健指導を必要とする方の分類、特定健診の実施体制の基準といったことを定める 予定にしています。これらは先ほどの「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討 会」で、今、検討がかなり進んできています。  基本指針の2つ目の項目の目標に関する基本的な事項ですが、特定健診・特定保健指 導の目標としては、健診の受診率、保健指導の実施率、メタボリックシンドローム(内 臓脂肪症候群)の該当者・予備群の減少率などを基本にして、具体的なカウントの仕方 も含めて目標値を設定したいと思っています。  3つ目の実施計画の策定に関する事項が、まさに医療保険者にお願いする部分の指針 となる部分です。資料2の5頁をご覧いただくと「特定健康診査等基本指針(第18条)」 と書いていますが、これに即して都道府県のところを飛ばしていただき、オレンジ色の 医療保険者(国保・被用者保険)とある、この箱の中に「特定健康診査等実施計画(第 19条)」とあります。この国の基本指針に基づいて実施計画を、それぞれの医療保険者 に作っていただく仕組みになっています。  この実施計画に何を書くのかというのは、資料4の2頁の真ん中で(2)になります。 保険者は、特定健診等基本指針に即して、5年を一期とする計画を定めるということで、 5年ごとにこの計画を作っていただき、その内容としては、(1)として健診・保健指導の 具体的な実施方法、(2)としてその成果に関する目標、(3)としてその他必要な事項となっ ていますが、具体的にどんな形で健診や保健指導を被保険者に提供していくのか、目標 値をどう設定するのかを、それぞれの実施計画に落していただくことになっています。 その計画に基づいて、実際に実施していただくことになります。  実施をする部分については少し細かくなりますが、2頁の(3)のところです。医療 保険者は、実施計画に基づいて、40歳から74歳の加入者に対して健診等とありますが、 この「等」は保健指導です。健診と保健指導を実施する。(3)の2つ目の○ですが、労 働安全衛生法に基づき、事業主が健診を行うという規定があります。この事業主健診が 行われた分については事業主から健診データの提供を受けることをもって、実施に代え ることができるという規定があります。事業主が行う事業主健診を保険者に委託する場 合がありますが、その場合には、委託に要する費用を事業主から保険者に支払わなけれ ばならないとなっています。  3頁で、今度は医療保険者が被扶養者等について、法律上の規定は加入者になってい ますが、被扶養者をはじめとする加入者の健診・保健指導について、他の保険者に実施 を委託することができ、その場合には実施に要した費用を委託先に支払うことが必要と いうことで、保険者間で健診・保健指導を委託し合えるような規定が入っています。3 頁の上から2つ目の○ですが、加入者から健診・保健指導に要する費用の一部を徴収す ることができることになっています。  (4)ですが、健診の結果、保健指導の結果の通知や保存に関する規定が法律に決ま っています。医療保険者は、健診の結果を定められた様式により加入者に対して提供す るということで、共通の様式で健診の結果が必ず受けた方に渡るようにする予定にして います。(4)の2つ目の○ですが、特定健診の記録については当該医療保険者が保存し なければならないということで、健診記録の保存義務が課せられています。保険者の役 職員又はこれらの職にあった者が、正当な理由無く、特定健診等の実施に際して知り得 た個人の秘密を漏らした場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられ るという規定を、それぞれの国保法なり健保法に盛り込んでいます。これは保険者は個 人のプライバシーに関わる健診・保健指導に携わることになりますので、法律上の守秘 義務を課したということです。外注した場合の規定が(4)の4つ目の○です。外部委 託も可能ですが、委託を受けた者についても保険者の役職員等と同様の守秘義務が法律 上課されるということになっています。  記録の保存についてですが、保存形式については省令で定めます。健診結果を保存し ていただき、後で出てきますけれども、それが後期高齢者医療支援金の加算・減算の算 出根拠に使われることになっていますから、原則として電子的な方法で保存を行ってい ただいて、電子的な方法でそういった結果の提出をお願いすることを省令で定める予定 です。(4)の6つ目の○ですが、保険者間で異動があって新しい保険者から求めがあっ た場合に、前の保険者は新しい保険者に対して特定健診等の記録を提供しなければなら ないということで、記録が新しい保険者に渡っていく。その根拠規定が入っています。 したがって、お金のやり取りやデータのやり取りが、保険者間あるいは事業主と保険者 間、あるいはデータの結果については被保険者、被扶養者の方に対してという、いろい ろなデータとお金の流れが出てきますので、これらを具体的に現場の中でどういうふう に円滑に実施できるようにするかが、まだ残された1つの課題だと考えています。  (5)の特定健診等の結果の報告ですが、いま申し上げたような健診結果、保健指導 の結果を電子的な形で保存していただいて、それを社会保険診療報酬支払基金に対して 年に1回報告をするという法律上の位置づけになっています。これに基づいて先ほどの 後期高齢者医療支援金の加算・減算の計算が行われることになってきます。  資料4の4頁でいちばん上の○ですが、そのデータを受け取った支払基金は、そのデ ータを確認して後期高齢者医療支援金の加算・減算の額を出していくことになります。 ただし、これは平成25年度からという法律上の規定になっていて、逆に申し上げると平 成20年から24年度までの5年間は、こういった健診結果を基にした加算・減算の措置 がありませんので、いわば準備期間と言いますか、試行錯誤を行う期間として位置づけ ています。5年間かけて徐々に健診なり保健指導の水準を高めていく。そういう期間と して考えたいと思っています。なお、この加算・減算の具体的な方法については、この 検討会でもご議論をお願いしたいと思います。5年後のことではありますけれども、現 時点では3つの指標として健診の受診率、保健指導の実施率、内臓脂肪症候群の該当者・ 予備群の減少率を用いて、実際の加算・減算の幅は法律で±10%以内となっていますが、 政令の中でさらにその範囲を決めることになっています。  (6)の特定健診等の評価・分析ですが、国及び都道府県はそれぞれに事業の実施状 況を評価することになっています。具体的には医療費適正化計画の中で進捗状況の評価 あるいは実績の評価が中間年と最終年の翌年に位置づけられています。総体としての保 険者による取組状況を評価して公表することになります。それぞれの保険者においては、 健診・保健指導のデータ、医療費データとの突合分析を行い、特定健診等の保健事業の 改善への活用を図ることになります。なお、こうした分析は都道府県ごとの保険者協議 会の場を活用して、共同して行うということも可能となっています。  (7)ですが、特定健診についての国や県の補助というのがあります。この部分とは 直接関係ありませんが、被用者保険の被保険者本人の部分については、労働安全衛生法 に基づく事業主健診が優先し、事業主が負担することになります。事業主健診に該当し ない部分については保険者が負担することになります。健保組合、政管健保の被扶養者 の健診については、事業主の負担は関係ありませんので、保険料と利用者本人の負担に よって賄われるのが原則ですが、一部、国による補助を行う予定にしています。市町村 国保については、法律の中で保険料と本人の負担のほか、国と都道府県が3分の1ずつ 負担する規定が入っています。保険料だけではなく、こういう国や都道府県の公費によ って推進支援をしていく枠組みになっています。  資料2の7頁をご覧ください。いま申し上げた全体の流れを図にしたものです。最初 に計画の作成というところがあります。ここは先ほどの国の指針に基づいて各保険者で 実施計画を作っていただくというところです。その中で目標値を決めていただいたり、 どこで健診を提供するのか、保健指導を提供するのか、こういったことの位置づけをし ていただきます。その上で平成20年から健診が始まります。健診の内容は40歳から74 歳までの被保険者に対し、内臓脂肪の蓄積に起因する糖尿病等の生活習慣についての状 況を把握するものです。それを踏まえて判定を行い、保健指導が必要な方を選定します。 判定する際には健診結果、質問票の結果をベースにします。その結果として健診を受け た方全員に、生活習慣病の特性や改善についての情報提供をします。  判定の結果、個人ごとに個別の保健指導を行うべきだという判断がされた方について は、より個別の対応として支援を行うことになります。ここもさらに動機づけ支援と積 極的支援の2つに分かれていて、生活習慣病のリスクが出始めたばかりのような段階の 方には、動機づけ支援を行い、原則1回面接をして保健上の指導をすることになります。 リスクが重なって出始めた段階の方は、積極的支援の形で保健指導を提供します。3カ 月から6カ月程度の期間を取り、複数回の介入をやって、継続的に生活習慣に対する自 らの行動変容を促すアプローチを取るということです。その結果、対象者ごとにどうで あったという評価をして、それから事業全体としてどうであったか、アウトカムの評価 をする。それを踏まえてもう一度事業計画の見直しに戻っていく。こういう大きなプロ セスの中で5年ごとに事業の見直しをしていく。こういう仕組みになっています。以上 です。 ○辻座長 続きまして議題の(2)、「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」に ついて、事務局から説明をお願いします。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 資料3に基づいて説明させていただきます。「標準的 な健診・保健指導プログラム(暫定版)−概要−」です。先ほどから説明していますが、 標準的な健診・保健指導プログラムに関する検討会で、いま暫定版ができています。そ れの全体の流れが目次のところにあります。第1編が健診・保健指導の理念の転換、第 2編が健診、第3編が保健指導、第4編が体制・基盤整備、総合評価という形でまとめ ています。暫定版のポイントは、下の頁に概要をまとめていますので、これは後ほどお 目通しいただければと思います。  具体的な中身についてご説明します。第1編のところですが、2頁のところに今回の 健診・保健指導の考え方について、今までの健診・保健指導とこれからの健診・保健指 導が、どのように変わるのかという観点でまとめたものです。従来の健診・保健指導は、 どちらかというと評価のところですけれども、アウトプット評価という形で、実施回数 や参加人数というものが評価のポイントだったと認識しています。今回は糖尿病等の生 活習慣病有病者・予備群を25%減少させることが目標になっていますので、そういうこ とが実現できる仕組みを今回、作ることがポイントになっています。  そのために、まず基本的な考え方として健診と保健指導の関係ですが、従来の保健指 導というものは、どちらかというと健診結果の説明、事後指導というところに重きが置 かれていたかと思いますが、今回は糖尿病等の生活習慣病、特にメタボリックシンドロ ームの対象者を健診で的確に抽出することが大切になります。保健指導して有病者・予 備群を減らすための保健指導をする対象者を、的確に健診で見つけることがポイントに なりますので、そういう観点で健診項目や判定を考えていく必要があることになります。  従来の健診は早期発見、早期治療ということで、これはそれなりにすごく重要なこと ですし、今もこれは変わらないわけですが、今回は特に予備群の方々に着目するわけで すから、そういう意味で治療が必要になるもう一歩手前の予備群の段階で、早期に介入 し行動変容を促す必要がある、保健指導の対象者のところに的確に介入できる仕組みが、 健診・保健指導の仕組みとして重要になると考えています。  従来の保健指導では、ややもすると画一的な保健指導になった点があります。例えば 健診結果から脂っこいものはやめたほうがいい、運動しなければいけない、あなたの体 重は標準体重からこれぐらい離れているので、標準体重を目指してこういう体重にしな さいみたいな、理想的な生活習慣に係る一般的な情報提供を行っていました。今回はあ くまでもメタボリックシンドロームの有病者・予備群を減らすために、どのような方法 が必要かということで、本人の自己選択に基づき、自らの生活習慣の中で改善をしてい ただく、行動変容していただく手法ができる仕組み、そういうものをこのプログラムの 中に上げさせていただきました。  そのほか保健指導についても、従来のやり方を変えて、3種類の仕方で階層化された 形で保健指導させていただく。メタボリックシンドロームのリスクに基づいて優先順位 を付けるという考え方で、積極的支援、動機づけ支援、情報提供という形で、優先順位 を付けて保健指導していただく形にしています。健診結果については、経年的変化や将 来の予測も踏まえた保健指導ができるようにということで、データ分析ができるような 仕組みをこの中に入れています。3頁については、先ほど大島企画官のほうから説明さ せていただいたものと同じですので省略させていただきます。  4頁のところですが、今回の制度改革では保健指導というものが特に重要になります。 そのときに保健指導実施者が有すべき資質ということで、健診・保健指導事業の企画・ 立案・評価能力と、行動変容につながる保健指導能力の2つの点で、その有すべき資質 というものをまとめました。特に医療保険者の方々には、国が策定する特定健康診査等 の基本指針に即し、特定健康診査等の実施計画を策定していただくわけですが、その際 には保健師、管理栄養士等がその企画・立案に積極的に参加できるように、是非お願い をしたいと思っています。  医療保険者自ら、またはアウトソーシング先において実際の保健指導に携わる保健師、 管理栄養士等は、対象者に健診結果と生活習慣の関連をわかりやすく説明し、確実に行 動変容につながる保健指導を行っていただくような資質が求められていると考えていま す。  次は健診です。先ほどご説明させていただいた観点で、健診については、保健指導を 必要とする者を的確に抽出するための役割が求められています。そういう観点でメタボ リックシンドロームに該当する有病者・予備群を減少させるために、どのような健診項 目が必要かという観点で、ここにあるような形で基本的な健診項目、詳細な健診の項目 というものを、検討会で暫定版ですけれども、このような形で決めさせていただきまし た。  具体的な健診項目の中には腹囲というものが新しく入っています。血液検査について も、ここにあるような形でLDLコレステロールが新たに入っていますし、ヘモグロビ ンA1cについても必須の項目として入れています。  7頁のところは、新健診と従来の老人保健事業、労働安全衛生法との関係の健診項目 の比較を示しています。標準的な質問項目というものをここに載せています。  8頁、9頁ですが、的確に保健指導対象者を選定するための階層化の考え方です。判 定基準というものもここで標準的なものを示しています。メタボリックシンドロームに 着目するわけですので、内臓脂肪の蓄積の有無を最初に判定させていただくという形で、 腹囲についてMは男性で85cm以上、Fは女性で90cm以上の方々を第1のグループとし ます。腹囲が男性で85cmに満たない、女性で90cmには満たないが、従来の肥満の基準 であるBMIが25を超えていた方々を第2のグループとします。1でも2でもない方を 第3のグループといように、まずグループ分けをさせていただき、それらすべての方々 について(1)血糖、(2)脂質、(3)血圧について検査を行います。ここにある判定基準を満た し、リスクとしてカウントするという場合には、さらに(4)、(5)、(6)の検査項目を判定に 加え、リスクの数として数えるということです。リスクの数に応じて保健指導として積 極的支援を行うか、動機づけ支援を行うか、情報提供とするかという形で、リスクの数 に応じて保健指導のレベルを決めていく。こういう階層化の基準を示しています。  第4のステップとして、健診結果の保健指導レベルについては、生活習慣改善の必要 性を判断するため、さらに質問項目をここにあるような形で追加させていただき、追加 的に保健指導のレベルを、このような形でさらに追加的に判定させていただき、それぞ れのレベルに応じて積極的支援、動機づけ支援、情報提供についての補正を行うことを 考えています。なお、ここにある受診勧奨のレベルについて、医療が必要だと判定され る場合については、受診の勧奨を行う。医療機関受診を検討するというものをここに示 しています。  10頁ですが、健診結果についても精度管理が大変重要になります。そのために今回、 特に血液検査については日本臨床検査標準協議会(JCCLS)、独立行政法人産業技術 総合研究所が開発した標準物質を使用して、内部精度管理を定期的にやっていただくこ とが大事だと考えています。ここについては、平成20年4月までに産業技術総合研究所 の協力を得て標準物質の開発を行うということで、現在、準備を進めているところです。  11頁で健診データ提出の電子的標準様式ですが、健診機関から医療保健者。医療保険 者から医療保険者にデータを出していただく場合には、データが電子化されていること が重要だと我々は考えていますので、そのための基本的なフォーマット、標準様式とい うものをこの中で定めています。  12頁をご覧ください。どのような形で健診のデータが流れていくかをまとめたもので す。健診機関から医療保険者に健診のデータが行くというのが1番です。これは今回の 高齢者の医療の確保に関する法律のところに定められている流れです。(1)の法の第22 条、25条、28条によってここのところが定められているわけですが、直接被扶養者がか かる場合と、例えば被保険者が健康保険組合や共済組合に入っている場合で、家族が、 地域における国民健康保険で受診した場合に、そのデータを被保険者が入っている健康 保険組合や共済組合に渡す場合には、(2)の場合の健診データのファイルという形が必要 になります。これも(1)と同じような形で、健診機関から医療保険者に渡すデータと同じ ようなフォーマットを考えることにより、このようなものは可能だと考えています。  例えば退職して医療保険者が変わったりすることも考えられます。転職でも医療保険 者が変わったりする場合があります。具体的に健康保険組合等に在籍していた者が、退 職等により地域の国民健康保険等に入った場合、地域の国民健康保険から前に入ってい た健康保険組合のほうにデータの提出をお願いする場合には、(3)のような形のデータの 流れが必要と考えます。労働安全衛生法に基づく健診のデータを医療保険者に渡す場合 においても、このような共通のフォーマットが必要になります。(1)、(2)、(3)、(4)につい ての基本的な考え方というのは、同じようなやり方で可能かと思っています。それにつ いての基本的なフォーマットというものを、今回、このプログラムの中で示しています。  医療保険者から、国・都道府県等への実施状況報告をする場合のフォーマットという ものも必要になってきますが、支払基金を通じて国に実施状況報告をしていただく場合 にも、どのようなフォーマットでやるのがいいかというのを、この中にイメージとして 示しています。  13頁ですが、例えば健診項目についてはこのような形でコード化し、それぞれの判定 基準の示し方、検査方法等について、このような形で標準化させていただきます。特に 血液検査については、日本臨床検査医学会が策定したJLAC10(ジェイラックテン) を標準的な形でコード化するということで、お示しています。  14頁ですが、健診機関・保健指導機関についてもコードを設定することが必要となり ますので、1つの考え方としてこのような考え方でコードを設定することが考えられま す。医療保険者においては、生涯を通じた健診情報のデータ管理をしていただくことが 必要となります。そういう生涯を通じた健診情報のデータを管理する場合において、ど のような点に留意していただくことが必要かの観点から、健診データ登録番号というも のの設定をする場合の考え方をこの中に示しました。健診結果の保存年限についても、 蓄積されたデータを分析することが必要となりますから、生涯を通じた健康管理を行う 観点から、どの程度保存することが必要かという観点でこの中に示しています。  15頁で健診のアウトソーシングですが、実際にすべての医療保険者の方々が自ら健診 を実施することは困難です。現在もいろいろな意味でアウトソーシングをしていますが、 その場合の実施機関の質を確保するための基準というものを、この中に示しています。 ここのところはお読みいただければと思いますが、1点、私ども健康局のほうからは、 健診を実施する機関は予防的な視点が必要だということで、健診が実施される施設の敷 地内においては、全面禁煙をすることが1つの重要な視点ではないかと思っています。 健診機関は結果を電子的標準様式により提出するということ。内部精度管理についても、 標準物質によって定期的に内部精度管理が行われていることが大事なポイントと考えて います。  第3編の保健指導ですが、基本的に今回は保健指導がすごく重要なポイントになると 思います。そういう意味で基本的な考え方が17頁にあります。保健指導の目的、保健指 導の特徴、技術の問題、ポピュレーションアプローチの活用について、ここにまとめて います。具体的な保健事業計画作成の進め方について、18頁にまとめたものを示してい ます。保健指導に活用する標準的な質問票についても、このような形のものを示してい ます。  20頁ですが、特に今回は保健指導の階層化ということで、情報提供、動機づけ支援、 積極的支援というものが重要になります。具体的には、積極的支援は3ヶ月〜6ヶ月程 度積極的に介入していくために、どのようなやり方をするかということをこの中に示し ています。動機づけ支援ですか、これは原則1回という形でリスクの少ない方に対して、 特にメタボリックシンドロームのリスクが出始めた段階については、きっかけを作るこ とが大事だという観点で、原則1回の保健指導をすることによって、その問題意識を持 っていただく、動機づけをしていただくという観点で考えています。そういう意味で原 則1回という保健指導です。情報提供のレベルについては、まだリスクというものがそ んなに出ていないけれども、いろいろな問題がある。例えばタバコを吸っていたり、メ タボリックシンドロームの概念でいくと腹囲が増え始めている。ただ、血液検査等の結 果からすると、まだリスクとはなっていない段階ですが、放っておくと将来、どういう ふうな問題があるのかについての情報提供をさせていただくものです。  保健指導の評価ということで、具体的にどのような観点で評価していくかを21頁にま とめています。22頁の保健指導の実施に関するアウトソーシングですが、これについて も健診と同様です。企画・立案・評価について医療保険者自ら行うことが大事ではない かと思います。健診・保健指導の事業の企画及び評価については医療保険者自ら行うこ とが大事だと思っています。医療保険者自らが実施する場合も、本基準と同じ基準を満 たす必要があるかについては、例えば看護師の位置づけがいろいろ議論に出てきました。 これまでの医療保険者により行われてきた保健事業の実施体制等の現状を踏まえ、今後、 検討が必要だと考えています。その間については基本的に健診のところと同じような考 え方でのアウトソーシングの基準を、これは基本的に暫定版ですけれども、ここに示し ています。  第4編の体制・基盤整備、総合評価ですが、人材の確保ということが大きく問題にな っています。実際に保健指導を行う保健師、管理栄養士等の人材を確保することができ るのだろうかという指摘もあります。そういう意味で、国、都道府県、市町村、医療保 険者、医療関係団体それぞれに役割をお願いして研修を実施し、質の高い人材を確保で きる仕組みを、いま同時並行的に進めています。  保健師、管理栄養士等の人材育成のための研修体系というものを、25頁に示していま す。現在、国においてもこのような研修を実施していますし、都道府県レベルでもこの ような研修の実施をお願いしているところです。関係団体にもお願いして、具体的な研 修のカリキュラムも含めて研修体制を検討いただいているところです。  26頁ですが、ここにあるような形で健診・保健指導のデータを蓄積し、科学的な根拠 に基づく評価が将来的に必要かと思います。実際に行っている健診・保健指導の結果を 蓄積したものを評価し、また、さらなるいろいろな健診・保健指導の仕組みの中に活用 していくことが必要だと考えています。実際に保健指導を効果的に行っていくための学 習教材の開発も必要だと思っています。国においても健診・保健指導のデータの評価を 踏まえ、学習教材の作成を行うことにしています。これは保健医療科学院で保健師、管 理栄養士等に関する研修、人材育成等をやっていますし、今回、医療保険者等からいた だいたデータを国立保健医療科学院において評価させていただき、科学的根拠を継続的 に収集し、次の健診・保健指導の見直しに、役立てていくことをやらせていただければ と考えています。  27頁ですが、健診・保健指導実施の評価ということで、保険者機能の発揮ができるよ うに国・都道府県における活用ということから、糖尿病等の生活習慣病・予備群を25% 減少させるためには、ここにあるような形でのデータ分析がすごく重要です。レセプト のデータを活用した分析をしながら、実際に40歳から74歳の被保険者・被扶養者に対 し、具体的にどのようにこのデータを活用するかという観点で、レセプトを分析するこ とが必要だと考えています。  28頁ですが、具体的に糖尿病等の生活習慣病有病者・予備群を25%減少させる場合に、 一体、どこがその指標になるのかということでまとめたものです。不健康な生活習慣か ら予備群になり、生活習慣病になるわけで、その時に重症化して合併症が出てきて虚血 性心疾患、脳卒中、糖尿病性腎不全になるわけです。この重症化した段階までくると不 可逆的な状態になりますので、表の黄色と赤色の部分を減らしていくことが重要なポイ ントになります。年度毎に新たに、重症化・合併症し、新たに要介護状態になる新規悪 化を少なくすることが大事ですし、予備群のところについても、普通の状態に改善して いくところの観点も重要だと思っています。このようなところがひとつの評価の指標に なると思っていますし、客観的評価としては、ここにあるような形で健診のデータを有 効に活用することが必要だと思っています。  医療保険者においても、健診・保健指導の成果を結果的にレセプトとの関係で評価し ていただくことが必要だと思っています。29頁にありますが、健診時レセプトデータを 分析することにより、集団としての高額なレセプトになるものはどういう疾患が原因に なっているか。具体的には例えば生活習慣病のどういうものが原因となっているか。長 期に入院する方はどういう原因でなっているか。それは予防できる生活習慣病なのかど うかの観点で分析できればと思っています。具体的には30頁、31頁にひとつの考え方 を示しています。  32頁、33頁は先ほどの医療保険者から都道府県・国へのデータの流れです。ここにあ るような形で医療保険者から支払基金を通じて、国に来たデータについてこのような形 で分析を行い、さらにその結果を都道府県に還元することにより、都道府県はこのデー タを使って医療費適正化計画、医療計画、介護保険事業支援計画、健康増進計画等に活 用していただくことができると考えています。  34頁ですが、健診・保健指導の研修ガイドラインというものを、ここに別添資料とし て付けています。34頁、35頁は具体的なガイドラインです。36頁以降は具体的に保健 指導する場合の学習教材の例示として、どのような形で保健指導するのかイメージをつ かんでいただくためのものを42頁まで載せています。  43頁ですが、具体的スケジュールとして標準的な健診・保健指導プログラムは、現在、 いくつかの都道府県で暫定版の準備事業をさせていただき、具体的な中身の評価をして いただいていますので、それを踏まえて今年度中にプログラムを確定し、平成19年度は できればすべての保険者において準備事業をしていただければと考えています。それを 踏まえて平成20年4月から、新たな健診・保健指導を実施していただければと考えてい ます。44頁、45頁は、参考として都道府県健康増進計画に位置づける目標項目を載せて います。以上です。 ○辻座長 引き続き議題の(3)、「特定健診・特定保健指導に関する保険者における平 成20年度に向けた主な作業」について、事務局から説明をお願いします。 ○大島企画官 資料4の4頁をご覧ください。新しい仕組みに対応するための主な作業 工程ということで、平成20年度に向けて、保険者が何を準備しなければならないかとい う視点で骨格を書いています。  5頁の(1)ですが、平成18年度中にやっていただくこととして現状把握ということ があります。被扶養者の分も含めた現状把握です。具体的には40歳以上の加入者の方の 年齢構成ですが、市町村国保においては後期高齢者の保健事業もありますので、75歳以 上も含めて何人いらっしゃるかという年齢構成です。加入者の居住地は市町村国保は必 要ありませんが、健保組合あるいは政管健保ですといろいろな所に居住地がありますの で、加入者の方の居住地の把握です。できれば被扶養者も分かればベターですが、現実 にはなかなか難しいという声も聞いています。第1期のこの段階では不明でも致し方な いかなと考えています。健診の過去の受診状況は、これまでの受診者数、受診場所、受 診機関といったことです。それと今後の受診場所の希望です。これらを基礎的な情報と して押さえておいていただきたいと思っています。  ※のところは、それに対する付加的な部分で、以上の項目に加えて、市町村国保にお いてはそれぞれの市町村の老人保健事業担当部署等と協力して、それぞれ市町村の住民、 いわば被保険者集団としての住民の方々の疾患の特徴や健康状況の把握まで、お願いで きればと思っています。具体的には、標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)の 様式3及び6の項目です。今後、データが電子化されてくれば、ほとんど自動的にこう いった状況がわかるようになりますが、現時点では手作業で行う部分もあろうかと思い ます。これにより生活習慣病の状況や疾患の特色、集団としてどういう傾向にあるのか、 などの把握をお願いできればと思います。それを都道府県が、例えば保険者協議会の場 に応じてこういったデータを集約し、県民の方々の健康状態について、現状や課題の認 識についての共有化を図っていただければと思っています。  (2)は平成18年、平成19年、更にはそれ以降も続くかと思いますが、医療保険者 事務局の職員や保健師・管理栄養士さんが説明会や研修を受講していただくということ です。  1つ目の※で、保険者事務局の特にこれは事務の職員の方を念頭においていますが、 今後、保険者協議会等の場を活用して行う予定の国や都道府県による保険者業務の説明 会に是非参加をお願いしたいと思います。  その下の※ですが、さらに、保険者事務局の保健師や管理栄養士については、今後保 険者団体等によって提供される保健指導プログラムに関する研修にも参加をお願いした いと思います。なお、これについては平成19年度以降、各都道府県の保険者協議会でも 保健指導プログラムの実践研修が実施されるようになる予定ですので、その活用もお図 りいただければと思います。  参考資料として、保険者団体以外の、例えば資格者団体でも保健指導プログラムの研 修を行われると聞いておりまして、そのためのアンケート調査に関する資料を添付して います。取りまとまり次第、ご報告をしたいと思っております。  (3)ですが、平成19年度に入ってからは、20年度の事業実施の具体的な方法の検 討をしていただくことになります。まずは加入者に案内を出すわけですが、案内を出す 方法、被扶養者を被保険者本人経由とするかどうか、その際に利用券を付けるかどうか といったことを検討していただくことになります。  次頁に移ります。健診・保健指導をどうやって提供するのか、具体的には自ら提供す るのか、外部機関に委託して提供するのか、もう1つの選択肢としては、他の保険者に 委託をして実施するのか、大きく3つのパターンがありますが、それらについて検討を していただくことになります。これについては、費用のやり取りとかデータのやり取り とか、そういう部分が絡みますので、この検討会でご議論・ご検討いただいた成果物を 待ってそれを踏まえて来年度、各保険者がどういうやり方でやるのか検討をする、そう いう流れで考えております。  被用者保険について、事業主健診との関係がありますので事業主と協議をし、事業主 健診に委ねてデータのみを受け取るのか、あるいは逆に、事業主から健診の委託を受け て、事業主健診部分に相当する費用を事業主に請求するのかといったことを検討いただ くことになります。それから、健診を受けない方や保健指導を受けない方に対する勧奨 の方法をどうするのか。特に40代50代という若手の方について重点を置くべきだと思 いますが、そういう方に対する勧奨の優先付けをするかどうかということも含めて検討 をしていただくことになります。  他の保険者に委託するのでなく、自ら外部の健診機関あるいは保健指導機関に委託を する場合には、アウトソーシング先についての情報を収集することになります。特に保 健指導に関しては、アウトソーシングできる機関がどういう所なのか、まだよく分から ない状況になっております。これについては、資料2に付いている関係団体や都道府県 等々にお願いをして、いくつかのルートで保健指導を提供できる機関の数や状況を把握 したいと思います。これは今回だけではなくて、もうしばらく時間を置いて再び行う必 要があるかと思いますし、将来的には、各保険者協議会でアウトソーシング先の状況を 把握していただくようなことも期待しております。  次に、事務のフローチャートや年間のスケジュール案、こういったものを作っていた だくというのが来年度の前半ぐらいの話です。  それに加えまして、個人情報の保護について、プライバシー性の高い情報を保険者が 扱うことになりますので再確認していただく必要があるかと思っております。法律上の 規定がどうなっているのか、それから、個人情報保護法においてもガイドライン適用が ありますので、そういったガイドラインに基づいて、それぞれの保険者が作っているセ キュリティーポリシー、個人情報の取扱い規程、これらについて再周知を図っていただ きたいと思います。事業主健診との関係では、事業主への健診データの流出について配 慮が必要であります。具体的には、特定健診のデータを企業の人事担当者が見ることが できないようにするような取扱いが必要になりますので、そのための取り決めを定めて いただくことが必要になってまいります。  そういった準備をした上で(5)の(1)の実施計画案づくりが始まります。厚生労働省 におきまして、平成19年3月を目処に、標準となる目標の基準値や基本指針の案を示し たいと思っております。まず目標値につきましては、国が示す標準値を参考にして、5 年後の平成24年度における健診の受診率等の目標値を決めていただきたいと思います。 5年間に至る各年の目標値をどうするかについては、いまのところ、国のほうからは特 段の標準値は示さない予定にしておりまして、各保険者のほうで5年後の目標値に向け て、テールアップ方式でいくのか、毎年同じような水準で積み上げていくのか決めてい ただきたいと思います。  5年後の目標値につきましては、都道府県の医料費適正化計画や健康増進計画にも関 連しますので、然るべき時期に都道府県に報告をしていただく。これは県のほうから求 めがまいりますので都道府県に報告をしていただいて、適宜必要があれば、都道府県と の間で調整をしていただくことになります。  (4)ではいよいよ実施に向けて、他の保険者に健診・保健指導を委託するのであれば、 委託をすることについての申込み、自らどこかの外部機関に委託するのであれば委託先 の選定、こういったことが19年の後半に出てまいります。また、健康診査等につきまし ては、利用者本人の自己負担を取ることができるということになっておりますが、自己 負担を取るのか取らないのか、取るとすれば何割取るのか、あるいは健診の費用につい て、上限を設定することも可能でありますので、それを設けるのであれば、そのことに ついての案を決めていただくことになります。  こういった数字が大体出たところで、(6)の原案を作っていただくことになります。そ こには、先ほど来申し上げているように、どこで健診・保健指導を提供するのか、目標 水準を5年後にどこに置くのか、こういったことが入ります。  (7)ですが、保健指導を自ら提供しようとする医療保険者においては、保健指導体制の 整備を必要としますので、常勤・非常勤を含めた保健師、管理栄養士の採用の準備や事 務ステーションづくりが必要となってまいります。  (8)はお金の関係ですが、健診については公費による助成が一部ございます。それから、 各健診機関の健診単価あるいは保健指導の単価がこの時期になると分かってまいります ので、そういった数字を踏まえて、それぞれの医療保険者で年間にどれぐらいの健診な り保健指導の費用が必要になるのか、その内訳として、保険料や自己負担あるいは国の 補助金や負担金があるのか、そういうことについての数字を出していただきます。それ により、保険料率への影響が出てきますので、こういう作業を平成20年の1月から2月 ぐらいに行うことを想定しております。これが決まりますと、実施計画の案がほぼ決定 するという形になります。あとは理事会や運営協議会あるいは市町村議会等の手続きを とっていただいた上で最終的に決定をし、公表をしていただくということになります。  次頁に移ります。平成20年4月になりますと実施に移りますので、実際に外部の機関 と契約を結んでいただくことになります。健診結果等のデータ管理も始めていただくこ とになってまいります。以上です。 ○辻座長 ありがとうございました。ただいま議題の(1)〜(3)まで一括して説明 していただきましたが、これにつきまして委員の皆様方からご意見・ご質問をいただき たいと思います。挙手でお願いいたします。 ○河内山委員 確認なのですが、今度後期高齢者の医療について、支払基金で支援金の 出入りが全部集約されるわけですね。そのときに、非常にしっかりやっている所とそう でない所を加算減算するという非常にわかりやすい制度なのです。そこでやや具体的な 話なのですが、国の参酌標準というものが示されて、保険者がそれぞれ目標値を設定し ますが、その設定をするときに、ずるい考え方をしますと、全国的に参酌標準は高く出 ているけれども、高い目標というのはなかなか自分の所、例えば山口県なら山口県の中 で、健保組合も国保のほうも、あまり高いところに最初から目標値を設定すると、自分 のところだけ割を食うから、お互い談合して、ある程度できるところをやりましょうと いうようなことも、やらないとは思いますが、やる所もあるかもしれない。そうなると、 参酌標準の意味合いというものがどのように位置づけられるのかというのは非常に大事 だと思うのです。自主的に目標値をというような話なのでしょうが、それであれば今の ような話もある。しかしながら、一方で無理難題のようなことを最初からやるというの もおかしい。性善説に立ってやらないといけないと思いますが、その辺についてどのよ うにお考えなのか、考え方だけお話いただければと思います。 ○中島医療費適正化対策推進室長 参酌標準を定めるに当たってどのようにしていくの かということは、今後この検討会でのご意見も踏まえて考えていきたいと思いますが、 基本的には、国会の審議等で、アウトカム指標として25%減らしていただきたいという ことですので、そこを標準的なものとして考えていただきながら、一方でそれぞれの保 険者の実情も踏まえて設定していただくのかなと思います。いま河内山委員がおっしゃ ったような、性悪説に立って談合するという可能性は無きにしも非ずかなとも思います が、少なくとも私どもの耳に入ってきておりますのは、ある健保組合では25%では甘い のではないか、30%ということで健保組合をあげてやりたいというような意見が出て、 そういう方向で検討を開始しているということです。大変ありがたい取組みだと思って おりますので、我々としては、それぞれの保険者が、一方では現実も踏まえつつ、そう いう方向で設定をしていただけるような形で進めばと思っております。 ○対馬委員 健保組合としても、今回の医療制度改革の中の最大の関心事の1つがこの 健診・保健指導なわけですから、今回こういった検討の場を設けていただき、また、そ の成果物を踏まえてというのは大変ありがたいと思います。  いろいろな問題点はあるのですが、ここでは2つだけ意見を言わせていただきたいの です。1つは保険者協議会との関係なのです。各都道府県には設定されているのですが、 全国的な中央連絡組織、これがこれからなわけです。これについて、今回の議論との関 わりも相当出てくると思いますので、できれば、厚労省の保険局が主導という形でやっ ていただければ大変ありがたいのです。保険者だけでというのは、実際問題としてはな かなか難しいのです。  もう1点は労働安全衛生法との絡みです。費用負担については先ほど来説明があった とおりなのですが、問題は、健診範囲が微妙に違っているのです。今日の資料を見ます と、労安法でやってないのは腹囲等4つぐらいなのです。ですから、そこを合わせてい ただけますと二度手間にならないのです。たかだか4項目のために労安法で事業主がや って、再度健保組合が4項目のためにやる、というのはいかにも二度手間ではないかと 思いますので、是非この辺りを検討していただきたいと思います。  さらに、これは難しいのかどうかよく分かりませんが、これだけ保健指導が重要だと いうことであるならば、労安法上の事業主との関係はどう考えるのだろうか。国をあげ てやるということであるならば、保険者だけに義務化ということではなくて、労安法で も考えるべきではないのかなと思います。特に最後のところは、いまの段階で何かこう いうふうな考え方なのだということがあれば伺いたいと思います。 ○中島医療費適正化対策推進室長 1つ目の保険者協議会の全国版については当然、課 題としてありますし、発足をさせなければいけないだろうと思っております。保険者協 議会を47都道府県に無事設置していただいたわけですが、一方で私どもの健康局のほう で地域・職域連携推進協議会を各都道府県に置いてくださいということで、我々として は、それぞれの協議会の機能については役割分担をしていただくということで進めてお りますが、現場に行くと、必ずしも、どちらが何をするのだということにもなっている わけです。都道府県の保険者協議会が何に優先的に取り組まなければいけないのかが決 まれば、自ずと保険者協議会として、まずこれだけはしっかりやるというところが出る と思います。  この検討会でご議論いただきたいのは、実はそういうところでもあります。保険者協 議会として、まずは保険者による健診・保健指導、それぞれの保険者が自分たちで頑張 れること、連携協力しなければならないこと、特に被扶養者についての健診・保健指導 の受診体制の問題、さらにはデータの分析・評価、アウトソーシング先の把握・評価、 そういう問題がおそらく出てくると思います。この検討会でそういうことをご議論いた だき、ある程度の方向性を固めていただければ、それを基に中央レベル、さらには都道 府県レベルの保険者協議会で何をより具体的に詰めていかなければならないのかという ことが出てくると思っております。中央レベルの保険者協議会の組織といったものも、 この検討を踏まえながら設置に向け努めていきたいというのが1点です。  2つ目の労働安全衛生との関係ですが、健診項目のあり方、それから産業保健におけ る健診項目のあり方というものがあるわけです。これはまさに厚生労働省という1つの 役所になったわけですので、当然、これまでも労働基準局安全衛生部と詰めているとこ ろです。基本的な視点として、二度手間になるということは、事業主にとっても、保険 者にとっても困る。そして何より健診・保健指導を受けていただく方の利便性が第一だ と私は思っておりますので、今日いただいたご指摘も踏まえて引き続き、利便性に配慮 した形での健診・保健指導が受けやすい体制整備について、より詳細に詰めていきたい と思っております。 ○小島委員 私は被保険者、加入者の立場で参加させていただいています。そういう立 場から、今回の特定健診・保健指導については積極的に協力していきたいと思います。  今回の特定健診なり保健指導についての義務づけは、法律上、医療保険者に対する義 務づけになっていますが、被保険者あるいは加入者については法律上どのような位置付 けだと理解したらいいのか。加入者あるいは被保険者の協力は、当然ですが、法律上そ れをどのように理解すべきかというのが基本的な質問です。何といっても、加入者の協 力がないと、目標を達成することにもならないと思いますし、どう協力をしていただけ るかということは重要なポイントになると思います。  もう1つは健診データの保存の関係です。先ほどご説明にもありましたが、保険者が データを保存するということで、74歳のところまでのデータは最終の保険者が保存する ことになります。そうしますと、おおかたは地域の市町村国保になるかと思いますが、 その先、75歳以上の後期高齢者対象になった場合に、それまでのデータをどう扱うのか。 前期高齢者として74歳まで入っていた所にずっと残っているのかどうか。これも検討す ることになるかと思いますが、その辺はどのように考えるか、2つ伺います。 ○中島医療費適正化対策推進室長 1点目は私からお答えいたします。今回の法律上の 整理では、医療保険者に義務づけをしております。そこで実際に被保険者、被扶養者の 方はどうなのかというところがあります。法律上は、健康増進法において、国民には自 らの健康増進に努めるという努力義務が課せられているわけですが、具体的に、では一 人ひとりが健診・保健指導を受けるという義務をどのように考えるかは、個人の自由な のではないか。そう考えると、法的に一律に何らかの義務づけるのはどうなのかは大い に議論のあるところだろうと思います。健診・保健指導を受けないとディスインセンテ ィブがある仕組みを本当に組み入れるのかどうかは慎重に議論しなければいけないと私 は思います。ただ、健康な生活を送ることがその方にとっても幸せだろうと思うわけな ので、そこは保険者自治で、自分の所の被保険者、被扶養者が健診を受けやすく、また 受けたいというところのインセンティブを中心に、まずは保険者の中で大いにご議論を いただいて、自主的な取組みをしていただくということが第一歩なのだろうと思ってお ります。いまの段階で一律に、個人に対するインセンティブ、ディスインセンティブと いった仕組みとするという法律構成にはなっていないということをご理解いただければ と思います。 ○大島企画官 2点目について私から説明いたします。75歳以上の方につきましては、 平成20年からは後期高齢者医療制度、広域連合で保健事業も担うことになりますが、そ こでの健診・保健指導のあり方につきましては、データの取扱いを含め、ここでご検討 いただければと思います。 ○田中委員 小島委員の質問に関連して伺います。これからは医療保険者も保健事業を 義務として対応していかなければならない時代に突入していくわけですが、基本的なと ころを1つ確認しておきたいのです。要するに、一般衛生と医療保険者の保健事業の役 割というものをどう整理してあるのかです。それがいろいろなところに関連してくるも のですから。私の理解ですと、少なくとも昭和53年の第一次国民健康づくり施策まで、 伝染病予防対策や結核予防対策を中心に一般公衆衛生をおやりになっていた、そして地 方自治体の行政責任も、住民の健康づくりまでは及ばない、そういう感じだったのでは ないかと思います。そういう中で医療保険者、特に国民健康保険は、リスク対策として かなりの手を打ってきました。  その実態を示す数値として、当時市町村には保健師が7,000人おりましたが、そのう ち一般衛生は1,000人、国民健康保険は6,000人だったわけです。要するに、地方にお いてはリスク対策としての国民健康保険が、保健師の責任というのか職種の責任という のか、それも一手に担っていたのです。それが昭和52年に、いわゆる第一次国民健康づ くりということで、リスク対策を含めて国民の健康づくりに一般衛生が責任を負う、と いう施策・方針のもとに国民健康保険の保健師6,000人が一般衛生に移管された、とい う歴史的な経過があり、それが今日まで続いているわけです。「健康日本21」もそうい う施策背景の中でなされていると思います。  しかし今日、40〜74歳までの特定的な疾病についてではありますが、医療保険者に保 険者義務としてこういった義務が課された中で、一般衛生は何をやるのかです。リスク 対策として医療保険者に頼む、やれということであればいい。昭和52年当時6,000対 1,000という保健師のマンパワーの配分があったわけですが、今回の医療費適正化施策 の中で、マンパワー対策が全く見えないわけです。かつて1対6という状態であれば、 いま市町村に2万2,000人の保健師がいるわけですから、国保だけに限ってですが、そ の6倍の人がいてもおかしくない、単純に言えばそう思うわけです。マンパワーの話は 別としましても、一般衛生と医療保険者の保健事業の役割分担というものがどう整理さ れ提案されているのか、私はそのことをお聞きしたいのです。 ○中島医療費適正化対策推進室長 まず役割分担ですが、資料2の6頁に、トータルと しての生活習慣病対策の推進体制について書かれています。基本的には、この度医療保 険者には糖尿病等を重点としたハイリスクの部分をお願いする。しかし、健診・保健指 導を受けようという健康意識の高まりは、ポピュレーションアプローチがしっかりあっ てのハイリスクアプローチですから、そのポピュレーションアプローチの部分について は市町村にしっかりやっていただきたい。それとともに、がん検診は引き続き市町村に 担っていただくものですから、ここに書いてあるような形で、市町村と医療保険者との 間の役割分担、つまりポピュレーションアプローチとがん検診は市町村、糖尿病等のハ イリスクアプローチは医療保険者という形で考えております。  マンパワーの部分につきましては、現在の市町村保健師なり行政栄養士といったもの については、都道府県等への説明会において、今後は衛生部局にだけ保健師、管理栄養 士を配置するというのではなく、一元的な人事管理のもとに、国保部局にも専任を置く ことが望ましい。もし、どうしても無理なら、この健診・保健指導の計画をしっかり立 て、実施に移せるだけの保健師を、併任をかけるなどして、しっかり保健師、管理栄養 士の配置を見直していただきたいということは何度も申し上げておりますので、そうい う形で対応していただければありがたいと思います。  ただ、現実に市町村国保だけをとっても、いまおっしゃられたような、2万数千人で すべての健診・保健指導をカバーできるのかというところは大いに疑問だという声もあ りますので、そこの部分については、今後どの程度アウトソーシング先が登場するかは 期待しつつ見守らなければいけませんが、そうしたところを積極的に活用していただい て、トータルとして保健指導がまんべんなく行き亘るようにできればと思っております。  現実に、管理栄養士は毎年4,000名程度の方、保健師につきましても7,000人を超え る方が新たに免許を取っておられます。しかし、保健師は看護師として就職しているパ ターンも多いわけです。その意味では今度のこの健診・保健指導、とりわけ矢島室長が 強調して説明したように、保健指導が健康づくりの1つの大きな柱になるということで すので、保健師、管理栄養士にとっては新たな就職先が開けていくというところもござ います。地方行革の中で、市町村への就職というのが難しければ、民間事業者等に就職 し、大いに競い合っていただいて、そういうところで力を発揮していただければありが たいと思っております。 ○田中委員 もう1問だけ質問いたします。具体的な対応策の中で、医療保険者の中で 完結するような話が多いのです。その話は別にしまして、被用者保険から国保へ移動し たり、被用者保険の被扶用者対策として国保で対応するということも考えられるわけで すが、結局、被用者保険からの移動情報、国保保険者間の移動情報も当然あるわけです が、そこの徹底というので現実的になかなか難しい問題があるわけです。これは何かお 互いに知恵を出さなければいけませんが、そこら辺りについてはどのようにお考えにな っていますか。 ○大島企画官 被保険者が変わったときや被扶養者が変わったときに住所情報をどう把 握するか、漏れや二重の適用になっているものがあるのではないかということは以前か ら問題になっております。それをいかに減らしていくのかというのは、地道に連絡をと り合って1件1件チェックしていくということで今のところやっており、人手もかかっ ているかと思います。  これを100%潰そうと思えば、統一的な番号を付したり、情報のやり取りを集中的に やり取りできるようにする必要があるということで、システムの構築や個人の情報管理 等にも影響します。政府全体の個人番号に対する取扱いの検討過程の議論の中で、こう した話が始まっておりますので、そちらのほうに委ねた形にいたします。保険者間の連 絡をいかにスムーズにするかというのは、今回できる範囲で考えなければならないと思 いますが、すべて解決に至るというのは、難しいのかなと思います。 ○水口委員 質問です。資料4の4頁の(7)の公的助成なり負担の問題で質問いたし ます。3つ目の○で、健保組合と政管健保の被扶養者の健診については一部国庫による 補助を行う予定である、国保については一部を国と県と市町村で3分の1ずつというこ とだと思うのですが、共済組合の被扶養者はどうなるのだろうかということをお伺いし たいのです。  もう1点は資料3の12頁で説明があったことについてです。被扶養者が他の保険者の 所で健診を受けるということもあり得るというお話だったと思うのですが、その場合の 公的助成はどうなるのだろうか。例えば健保組合の被扶養者が国保の所で受けた場合に、 その助成というのは国保のほうでみるのか、被用者の属する健保のほうでみるのか、そ の辺の考えを聞かせていただければと思います。 ○大島企画官 健保組合、政管健保につきましては健康保険法に健診について補助する ことができるという「できる」規定が入っています。また共済につきましても同じよう に、それぞれの根拠法の中に、補助できるという「できる」規定が入っております。実 際に補助を行うかどうかは、平成20年度からになりますので、平成19年の概算要求の 段階から実際の動きが始まりますが、厚生労働省としては、20年度予算に向けて、19 年の段階で、健康保険法の適用になっている、厚生労働省が所管している健康組合、政 管健保につきましてはそういう補助金を要求したいと思っておりまして、それで「予定」 と書いております。共済の関係につきましては、それぞれの所管省庁が、法律上「でき る」という根拠規定がありますので、平成20年に向けて補助要求されるかどうかによっ て取り扱いが変わってくるかと思います。  2点目の、他の保険者に委託を受けて健診等を行う場合、これは元のところでみます。 健保組合が国保に委託したとしても、それが被扶養者で条件に合っていれば補助の対象 になる。自ら提供しなくても、よその保険者あるいは外注の機関を使って委託をした場 合でも、補助の対象としては同じような扱いではないかと考えております。 ○辻座長 まだご意見やご質問はあろうかと思いますが、議題(5)が残っております。 そこで、まず議題(5)、本検討会の今後の進め方について説明していただいた上で、残 り時間で全体的なご議論をいただきたいと思います。事務局のほうから説明をお願いし ます。 ○大島企画官 資料5「保険者への情報提供」をお手元にご用意願います。平成20年か ら多くの保険者のそれぞれに特定健診・特定保健指導の導入に向けた準備をお願いしな ければならないということで、まずは行政体である国と都道府県から、十分な情報提供 と意見交換が重要ではないかと思います。各都道府県に保険者協議会等の場が出来まし たので、そういった場で積極的に説明会や意見交換会を行いたいと考えております。  当面、お話をすべきあるいは議論すべきテーマとしましては、健診・保健指導のそも そもの趣旨や仕組み、あるいは暫定版として決まったプログラムの内容、それから、資 料4にある平成20年度に向けた主な作業内容。こういったことをテーマにし、第2回目 以降この検討会でいろいろな内容が出てくれば、そういった内容を加えていくという形 にしてはどうかと思っておりまして、国レベル、例えばブロック単位とか全国単位での 説明会の窓口は保険局総務課の医療費適正化推進室で行いたいと思います。それから、 都道府県レベルでの説明会につきまして各県にお願いする場合の窓口はいま各県に照会 をかけておりますので、それが取りまとまり次第、関係の皆様方に各県の連絡窓口を提 供したいと思いますので、ご活用願えればと考えております。 ○梶尾企画官 続いて資料6と資料7を一括して今後のスケジュールを説明いたします。 資料6は検討スケジュール(案)と書いてあります。第1回は本日で、先ほど1時間半 ほどございました保険者における平成20年度に向けた主な作業と、ただいま説明しまし た保険者への情報提供、あとはこの後お諮りするワーキンググループの設置です。  今後10月、12月、1月と3回ほど、このようなイメージでと書いてあります。次回 は10月ごろを目途に、1つには、各保険者における準備状況はどうなっているのかとい う状況も把握し、また報告もしていただくような形もとりつつ、いま田中委員からもお 話がありましたが、市町村で衛生部門と保険者との間でどういった連携方策になってい るのか、といったことも含めて準備状況等を把握していくことになります。そのテーマ については12月にもその後の状況を見るということで(2)という形で書いてございま す。  ただ、加入者の中でも被扶養者に対する健診・保健指導をどのような形で行うのかに ついて、具体的にどういう進め方をしていくのかは非常に大きな問題点で、そこをどう 考えていくのか。また、事務処理の委託というようなことを考えた場合等における決済 やデータの送り方、あるいは社会保険診療報酬支払基金への報告データの使用、こうい ったものにつきましては具体的な実務をどうするかという話もございます。  資料7にワーキンググループの設置と書いてありますが、こういった部分については、 この検討会での議論で叩き台となる原案を作成するためのワーキンググループを設け、 保険者間の決済、データ移動の方法、あるいは支払基金への報告データの使用等につい て検討していただき、それをまたこの場で検討していただくということにしてはどうか と思っております。こちらにつきましても、具体的な人選は別途進めますが、ここに記 載のような団体から実務者を出していただき、その上でその結果をこの検討会にお諮り する。また、そこには適宜更なる専門家に入っていただくということでやらせていただ ければと思います。  資料6に戻ります。第1回と第2回の間に、9月から12月にこのワーキンググループ を適宜開催と括弧書きしてあり、その状況を10月の会あるいは12月の会にも報告する ことを考えたいと思います。  12月のところの3つ目の・に、保健指導員の教育の見通しとあります。研修をどうす るかとか、アウトソーシングをどうするかとかについて調査も行っているという話を先 ほどもお聞きしましたが、そういった状況等も報告する。また、個人情報保護の話等の 取組み状況や課題の検討をする。さらに1月には、第2回、第3回の引き続きのような 議論もまだ残っているかもしれませんが、それに加えて、では目標をそれぞれどういっ た形で考えるのか、また加算減算について、この時点でどこまでできるかということは ありますが、どういった考え方でその評価をしていくのかといった辺りを検討いただく、 このように準備が進んでいければと考えております。さらに第5回以降につきましても、 検討状況に応じてお願いをしていくということではいかがかと思っているところです。 ○辻座長 ただいま議題4と議題5について事務局からご提案がありましたが、これに つきまして何かご意見、ご質問はありますか。 ○田中委員 1点お願いしたいと思います。資料5の保険者への情報提供の所の最初の 書き込みで、国及び都道府県においては云々、保険者協議会等の場をということです。 都道府県においては保険者協議会がすでに設置されているので何をか言わんやなのです が、中央においての保険者協議会など関係団体の集まりの場がないことは、全国的にい ろいろなことを指示したりするときに不都合であります。これについては対馬委員から も発言がありましたが、是非私からも、早期の設置をお願いしたいと思います。 ○櫻井委員 これは河内山委員の質問につながる話なのですが、検討スケジュールの最 後のほうに加算減算の話が出てきます。先ほどの中島室長の答弁の中で、保険者によっ ては30%というような高い目標を掲げている所もあるというお話がありました。それは それで結構なのですが、素人ながら、若い人の場合に、例えばコレステロール値が高い というようなことで、いろいろ努力すれば劇的に効果が出るというようなことが考えら れるわけです。しかし、非常に年齢の高い人が集まった保険者の場合、長年積もり積も った予備群あるいは有病者・予備群を含めた改善ということになりますと、同じ努力を してもなかなか効果が出ないということも考えられますので、その点は、単純な改善率 ということではなく、もう少しソフィスティケートしたような仕組みを考えないと難し いのではないかと思いますので、もし、今お考えがあれば伺いたいのです。  あと1点、非常に基礎的な数字をいただきたいのですが、40〜74歳までの特定健康診 査の対象となる人口とその中での被扶養者の数、それがありましたら教えていただきた いのです。 ○中島医療費適正化対策推進室長 1点目ですが、基本的に後期高齢者医療支援金の加 算減算措置については今後検討するということで、いまの段階で具体的なものは出てい ません。トータルとしてどのように考えていくのかということとともに、それぞれの保 険者集団の特色がありますから、どういう人に保健指導をすることが最も効果的なのか、 優先順位をどのようにつけていくのか等、それぞれの医療保険者のほうで判断していた だく要素もあるのだろうと思います。それぞれの保険者の優先順位づけといったものも 尊重できるような形も盛り込みながら、いずれにせよ、加算減算措置の詳細については、 今後じっくり検討させていただきたいと思います。 ○津下委員 ただいまの件について、これは標準的な健診・保健指導プログラムの作成 のときに検討したことでもありますが、評価の段階で性、年齢の階級別に対象者がどう なったかという分析をきちっと行うということで、どの年代が効果的かということもわ かります。保険者間の評価も、年代を揃えて評価をする必要性があると思いますので、 データを集計する段階では年代ごとに出すという形で上がっております。  もう1点は、先ほど田中委員から出された衛生部門と保険者部門の仕事の仕方です。 1つは、積極的支援と言ってもずっと支援し続ける形ではなくて、3カ月か6カ月で卒 業していただかないと非常にボリュームが多くなってしまいます。3〜6カ月集中的に 保健指導を行うことによって生活習慣を変えていただくのですが、その後継続ができる かどうかというのは、まさにポピュレーションアプローチといいますか、生活環境や意 識に関わってくるので切り離すことは難しい部分があるのですが、両者が非常に密な連 継をとりながらポピュレーションアプローチに反映させていく、そういう形を今後検討 していただければと思います。 ○榮畑保険局総務課長 先ほど中島室長から、加算減算についての櫻井委員からのお尋 ねに対する答えをいたしましたが、私からもう少し補足いたします。加算減算をするこ と自体は、法律上はっきり決まっています。したがって、平成25年度から後期高齢者の 加算減算を10%の範囲内で行うことになっておりますが、それをどういう基準のときに 発動するのか。発動するときの基準自体は、基本的には資料2の8頁に書かれておりま すが、これをさらに個々の事情を勘案してどのような要件基準としていくかは、まさに これからの検討課題であろうと思います。したがって、ここでの議論その他さまざまな 状況や要因も十分考えながら、要件や基準を政令化していく中で考えたいと思っており ます。 ○大島企画官 数字ですが、40〜74歳までの対象者は約5,600万人、そのうち被扶養者 は、細かい数字がないのですが、1,000万人弱ではないかと思います。 ○白川委員 健康保険組合も、この件は積極的にやろうという意気込みになっているの ですが、実務あるいは事業計画を考える上で、医療機関等と契約をすると書いてありま した。しかし全国に展開している健康保険組合ですと、全国の医療機関と契約をしなけ ればいけないということになりまして、現実的に大変な作業になります。以前統一価格、 つまり支払いも診療報酬と同様にレセプトで決済できないかと申し上げたことがあるの ですが、実際に受診をする方の身になってみても、契約した医療機関しか駄目だと言う よりは、身近な医療機関に行って気楽に受けられると言ったほうが健診の促進にもなる と思います。是非、事務的なことで手間をとらせないような仕組みを考えていただきた い。下手をすると価格協定とか、公正取引法違反とかいうことも我々としては懸念する ものですから、その辺がうまくいくように、事務が軽減できるような工夫をお願いした いと要望いたします。  もう1点ですが、専門家ということで医師と保健師、管理栄養士と挙がっております が、事業主が雇用しているのは看護師のほうがむしろ多いものですから、ある一定の教 育を受けた看護師も専門家として保健指導に携わることができるようなことも検討して いただきたいと要望いたします。 ○中島医療費適正化対策推進室長 1点目については、資料7で梶尾企画官から説明し ましたが、ワーキンググループを設けますので、そこで、ご指摘の観点も踏まえて検討 していきたいと思います。  2点目ですが、ここは健康局に置いております「標準的な健診・保健指導の在り方に 関する検討会」でも議論になったところです。矢島室長から説明した資料3の22頁で、 まさに保健指導のアウトソーシングをする際に、質を担保するために一定の基準が要る のではないかということで、2つ目の○で、保健指導のアウトソーシングを受ける機関 の管理者が医師、保健師、管理栄養士であるとし、さらには一定の研修修了者であるこ とがいいのではないか。それから、保健指導のポイントは、初回の面接でしっかりした 動機付けをして、その人の自己選択に基づく計画を作ることなので、その初回時面接に ついては医師、保健師、管理栄養士でなければならないのではないか。そして、それは 一定の研修修了者であることが望ましいということになっています。  ただここの部分については、健康局のほうの検討会でも、健保組合では看護師をたく さん雇っているという指摘も寄せられたところです。一方で看護協会のほうからは、保 健師は保健指導を生業とする職種であるのでということで、基本的にはペンディングに なっております。  私どもの考えとしては、保健師は保健指導をするプロである、看護師は診療の補助と 療養上の世話をするということですので、法律の考え方を素直にとると、保健師と管理 栄養士がそのための国家資格なのではないかということですが、一方で医療保険者がす でに雇っている看護師は、大変高い質を持っている方もおられるという話も出されてお ります。今後保健師、管理栄養士がどの程度充足していくのかといったことを見極めて いく必要もあるということですので、引き続き健康局のほうの検討会で、ここの部分に 看護師を入れるかどうかについては議論を深めていきたいという状況です。 ○対馬委員 いまのお話に関連するのですが、今回健診・保健指導の義務化を新しく行 うわけですから、健保組合もどう対応するかで大変頭を悩ませているわけです。保健師 的な方でいいますと、全体で1,500数十組合あるのですが、常勤、非常勤、それから共 同設置なども入れて大体1,000名ぐらいなのです。ですから、全健保組合が少なくとも 1名は雇用せよということにした場合を考えますと、実際のリソースは一体どういった 状況にあって、我々が腹を括って申し上げたようなことをやれば本当に集まるのかどう か、その辺りの全体観がよく見えないので非常に苦慮しているのです。そういったとこ ろが見えるような資料があればいただきたいと思います。また、そういったことを検討 している場がどこかにあれば、それはそれで結構なのですが、もし、そういったことを 検討する場がないのであれば、ここでやるのかどうかということはありますが、議論す る必要があるのではないかと思うのです。 ○中島医療費適正化対策推進室長 まず一義的には、健康局で置いております標準的な 健診・保健指導プログラムの検討会で、これも今後の検討事項という形になっています ので、まずそこでご検討いただきます。ただ、この場においてもいろいろ意見を寄せて いただいて、適宜そちらの検討会に報告することになります。実は多くの場合、健康局 の検討会と保険局の検討会は、保険者団体、医療関係者団体でメンバーが重なっている ものですから、いまのような看護師の扱いについてはそれらの検討会の共通課題として 残っているということで、事務局としては認識しております。 ○漆ア委員(草間委員代理) 先ほど中島室長が言われたように、確かに8,000人ぐら いの免許取得者が毎年出ております。今まで保健師は市町村、都道府県にメインに就職 していましたが、昨年は794名しか就職しておりません。ほとんどは病院等に就職して おります。つまり、ここ何年かは病院に保健師の免許を持った看護師がいるということ です。それから、団塊世代の力を持った保健師がここでかなり定年退職しておりますの で、そういう定年退職の人たちの供給もこれから増えてくるだろうと思います。ですか ら、その辺で少し考えていただければ、是非各保険者で1人以上雇っていただきたいと 思っております。  もう1つは、日本看護協会、それから47都道府県の看護協会の中にナースバンクとい う無料職業紹介所を、厚生労働省の認可を受けて実施しておりますので、そこの機能を 使って、いま言ったような形で少し協力してまいりたいと思っておりますので、どうぞ、 よろしくお願いいたします。 ○辻座長 だいぶ時間も迫ってまいりましたので、そろそろ終わりにしたいと思うので すが。マンパワーの問題について非常に議論も出ましたが、本当に重要なことでありま して、一定の数を本当に確保できるのだろうか、また、一定の質が確保できるのだろう か、2つの問題は非常に大きなところだと思います。特に今回アウトソーシングという ことがかなり重視されているわけです。ただその一方で、今日議論がなかったので少し 1つだけ補足したいのですが、人材そのものは地域的に偏在していますので、田舎のほ うになると、かなり厳しくなってくるのです。例えば東北地方の郡部などを歩いており ますと、アウトソーシングという言葉が夢のようにしか聞こえないという地域もたくさ んあるわけです。ですからその辺を含めて、国全体としてどのようにやっていけるのか というところを、これからこの場でも議論しなければいけないと思います。  1つだけ私の意見を言わせていただきますと、医療保険者と市町村との関係、先ほど 来出ておりましたが、そこも本当に重要な話です。市町村の話をあちらこちらで聞いて おりますと、今回の医療制度改革(案)を見て少し自信をなくしている部分があるとい います。自分たちがやることはかなり減っていくのではないかというような感じを持っ ている市町村の職員や保健師もたくさんいるわけで、本当にポピュレーション戦略だけ でいいのかというところは、きっちり考えなければいけないと思うのです。先ほど委員 から出ましたように、ハイリスクと一部重なりながらやっていかなければいけないだろ うと思います。また、健診自体で考えても、特定健診は医療保険者で、がん健診は市町 村でと完全に分けるというのは、制度として効率的なのだろうか、あるいは一体性があ るのだろうかという議論もあろうかと思います。今後、特に市町村の位置づけをどのよ うにしていくかについてご議論いただければと思います。  本日は議題に沿って進めてまいりましたが、特に本検討会の今後の進め方、検討スケ ジュール、特にワーキンググループの設置について、委員の方々はご異論がないという ことでよろしいでしょうか。                 (賛同) ○辻座長 また、議題3の特定健診・特定保健指導に関する保険者における平成20年度 に向けた主な作業ということでスケジュールがロードマップとして示されているわけで すが、これにつきましても、特に保険者の方々、大筋でご理解いただいたと考えてよろ しいでしょうか。                 (賛同) ○辻座長 では今後のスケジュールについて事務局から説明をお願いいたします。 ○梶尾企画官 今後のスケジュールですが、保険者間における決済及びデータ移動の方 法等についてはワーキンググループにおいて叩き台を作成した上で本検討会で検討した いと思います。ワーキンググループの人選、ワーキンググループ及び次回この検討会の 日程については、至急調整したいと思います。なお、各委員のお手元にある『人間ドッ クの由来』という資料は本日奈良委員が、話の展開の中でこういうものがあったら、と いうことでお持ちになられた資料ですのでお持ち帰りいただければと思います。 ○辻座長 以上で第1回の検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。                       (了) 1