06/08/25 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成18年8月25日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年8月25日(金)  14:00〜 厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(12名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 神 谷   齊、     後 藤   元、 土 屋 文 人、 早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、     三 瀬 勝 利、 山 口 一 成、 溝 口 昌 子、 吉 田 茂 昭、  (注)◎部会長 ○部会長代理      欠席委員(4名)   岡   慎 一、 折 笠 秀 樹、 守 殿 貞 夫、  川 嵜 敏 祐 3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川 原   章(審査管理課長)、   山 田 雅 信(安全対策課安全使用推進室長)   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 別 所 弘 始(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長) 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 ただ今から、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたし ます。本日は、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。本部会委 員数16名のうち12名の御出席をいただく予定ですので、定足数に達しておりますこと を御報告いたします。吉田委員は、15分ほど遅れるという連絡が入っております。以後 の進行は池田部会長にお願いいたします。 ○池田部会長 事務局から、配付資料の確認と、資料作成に関与した委員の報告をお願 いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日は議事次第、座席表、当部会の委員 名簿。当日の配付資料として、資料No.3-2「ベルケイドの適正使用ガイド」。資料5’「生 物学的製剤基準の一部改正資料」、こちらは表紙の諮問書をお送りし忘れてしまいまし たので、表紙だけ加えております。残りの分は前回お送りしたものと同じです。資料No. 11「優先審査品目指定の審査結果について」、資料No.12「優先対面助言品目の指定につ いて」、資料No.13「審議品目の薬事分科会における取扱い等の(案)」、資料No.14「専門 委員リスト」です。いちばん最後は資料ナンバーが振ってないのですが、前回御審議い ただきました「ニューモバックスNP」の添付文書、市販後調査計画等の資料を配付し ております。  関与委員の関係ですが、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づきます、資料 作成に関係された委員の確認です。本日の審議事項について関与委員はいらっしゃいま せん。 ○池田部会長 お手元のアジェンダにありますように、審議事項が5題、報告事項が7 題です。議題1「イトリゾール注」について、機構から審査の概要をお願いいたします。 ○機構 議題1は、医薬品イトリゾール注1%の生物由来製品、又は特定生物由来製品 指定の要否、輸入承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及び劇薬の指定の要否につ いて、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  なお、本日の報告事項の議題1、資料No.6にある医薬品「イトリゾールカプセル50」 については、ただ今より御審議賜りますイトリゾール注1%からの、切替え時の用法・ 用量の追加申請ですので併せて御報告申し上げます。  イトラコナゾールは、1980年にベルギーのヤンセン社で合成されたトリアゾール系抗 真菌薬であり、本邦においては経口製剤「イトリゾールカプセル50」が、1993年7月に カンジダ属、アスペルギルス属、クリプトコックス属による真菌症等の効能・効果で承 認されております。  また、内用液については先月の当部会にて御審議を賜り、7月26日付けにて食道カン ジタ症、口腔咽頭カンジダ症の適応症にて承認されるに至っております。  今般、新規剤形としてイトラコナゾール注射剤が、またそれに伴う用法・用量の追加 として「イトリゾールカプセル50」の一部承認事項変更申請がなされました。注射剤に ついては、2006年5月現在米国、英国を含め、世界24カ国で承認されております。本 剤の専門委員としては、資料No.14にあるとおり、後藤委員ほか6名を指名し、御意見を 賜りました。  今回の申請に際しては、国内第I相試験2試験、国内第III相試験1試験の合計3試験 に加え、参考資料としてイトリゾールカプセル400mg/日の国内臨床試験2試験、及び海 外第I相試験8試験、海外第III相試験3試験の合計13本の試験成績が提出されました。  機構はこれらの資料に基づき審査を行いました結果、国内臨床試験成績は、非盲検非 対照試験のみであるものの、当該試験成績並びに海外試験成績、国内外のガイドライン より、申請された適応症に対する本剤の有効性は認められるものと判断いたしました。  安全性については、海外においては大きな問題は認められていないものの、日本人に 対する投与経験が少ないこと、イトリゾール内用液同様、溶解補助剤としてヒドロキシ プロピル-β-シクロデキストリンが添加されており、これによる腎障害等が懸念される ことから、製造販売後速やかに情報収集・評価し、医療現場に情報提供していく必要が あると考えております。この製造販売後調査の実施についてはこちらより指示をいたし まして、申請者の合意を得ている状況にあります。  以上の審査の結果、本剤を申請された効能・効果、用法・用量にて承認して差し支え ないと機構は判断しております。なお、注射剤については、再審査期間は6年とするこ とが妥当であると判断しております。また、注射剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は 特定生物由来製品には該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定して おります。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 ○池田部会長 委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。 ○後藤委員 本薬に関しては専門協議に出席しましたので、その内容をいくつか報告い たします。いくつかの問題がありますが、基本的にはイトラコナゾールという薬剤は優 れた抗真菌活性を持っている薬剤です。これまであったカプセル剤に関しては吸収が不 安定であり、現実的にはかなり使いにくい面もあったわけです。それに対してシクロデ キストリンを使うことによって可溶化して救済になったということです。  一つ目の問題は、アメリカとイギリスの添付文書で、この薬剤はファーストチョイス というよりセカンドチョイスという位置づけにされているということです。我が国にお いては、治験の成績で、最初に使った症例について十分な有効性が挙げられている症例 があるということで、必ずしもセカンドチョイスにしなければいけない理由はないであ ろうというのが一つ目の判断です。  二つ目は、真菌性の髄膜炎に関して治験症例が非常に少ないわけです。この薬剤が非 常に有効である可能性があるということを踏まえて、今後実際に市販された後に症例を 積み重ねることによって認めてもいいのではないかということが2点目です。  三つ目は食道カンジダ症に関しての議論がありました。食道カンジダ症に関しては、 基本的に静注製剤が必要かどうかということがありますので、本薬に関しては経口接種 が不可能な症例といった限定を付けることによって認めるということでした。  四つ目は、発熱性の好中球減少症に対するエンピリックセラピーとしての適応ですけ れども、これに関しては既に海外でイトラコナゾールのIVからオーラルソリューショ ンに切り替えることにより有効性のデータがありますので、一応我が国においても、こ のオーラルソリューションのデータを今後追加する、ということを前提として認めても いいのではないかということです。  その次は、我が国では非常に少ない疾患ですけれども、ヒストプラズマとかブラスト ミセスというものに関してはなかなか症例を集積することは難しいわけですが、今後は 海外からの輸入症例なども増える可能性がありますので、その中で有効な薬剤を本邦に おいても用意しておくことは必要であろうということで、これを適応に追加することは 妥当であろうということになっております。  ただ、安全性に関しては症例が少ないということと、今申し上げましたように、可溶 化する場合の添加剤の安全性の問題もありますので、今後市販後には十分な症例を蓄積 して、安全性に関しての検討も加えていったら、という条件でよろしいのではないかと いうことでした。以上が、専門協議での報告の内容です。 ○池田部会長 後藤委員から、専門協議で議論された内容について詳しく御説明をいた だきましたが、今の内容についてでも、あるいはその他のことについてでも御意見はご ざいますか。 ○堀内委員 臨床薬理学の観点から言いますと、これは、CYP3A4の極めて強力な 抑制剤ということで有名です。したがって、これが臨床の場で使われる場合に、一応添 付文書等にも併用禁忌、あるいは併用注意が記載されております。薬物によっては、併 用薬の血中動態がかなり変わることが予想されますので、その辺は注意深く使うような 手立てを是非考えていただきたいと思います。 ○池田部会長 それについて、機構の方からコメントがありますか。 ○機構 今、堀内委員に御指摘いただいた点は大変重要な点だと思いますので、添付文 書のみならず、これから情報提供していく中で、そういう点について適切に情報提供す るよう指導したいと存じます。 ○池田部会長 先ほどの専門協議の報告の中でも、発熱性好中球減少症でもエビデンス はあるということで、今回適応症になったということですが、その辺について御意見は ございますか。あとは、新たに適応菌種としてヒストプラズマ、ブラストミセスと、非 常に稀な菌種も適応菌種として加えたということです。 ○土屋委員 確認ですが、切替えをもし行うときには、今回は6のほうの話もあってカ プセルに限定ですけれども、その理由の一つが、片方が適応外になるからという書き方 がしてありますが、これは内用液が倍量で違うのですよね。今後とも、向こうがそうい うことを拡大してくるということはないと考えていていいのでしょうか、それとも向こ うが適応拡大してくることがあり、それまでは絶対にカプセルにしなければ駄目だとい う解釈なのでしょうか。 ○機構 その点につきましては、私どももその内用液のほうが吸収がいいとか、個体に よるバラつきが少ないとかメリットがあると思いましたので、切替えに是非使いたいと 思いました。  ただ、現段階においては、内用液に切り替えたときのデータが全くありませんでした ので、可及的速やかにその部分に関しては臨床試験を行い、データを取り次第申請をす るように指導しております。この件については、申請者の方も合意しております。 ○堀内委員 可溶化するためにヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを入れてい るのですが、これは新規の添加物と考えてよろしいのですか。 ○機構 はい、前回の内用液のときに新規の添加物という形でした。 ○堀内委員 新規という考え方でなくてもよろしいのですね。 ○審査管理課長 イトラコナゾールの内用液のときに、これを可溶化剤にしたことがあ ります。 ○堀内委員 そちらで議論したということですね。 ○審査管理課長 投与許容量はもちろん違います。 ○堀内委員 ここに加えてある程度の量であれば、それほど副作用といいますか、有害 作用は出てこないと考えてよろしいのですね。 ○審査管理課長 前回のときに、その辺の毒性の部分は評価したはずですが、一応確認 してもらえますか。 ○審査第一部長 もともとのβ-シクロデキストリンの方だと、かなり毒性があることは よく知られていることですが、誘導体にして毒性の軽減を図っております。一応それで 内服の液剤のときにも毒性評価を行っています。ただ、今回投与ルートが変わっていま すので、より体内へストレートに入ります。したがって、その点は十分に懸念をして毒 性学的な評価は行っています。蓄積という問題も慎重に考えていますが、投与期間はそ んなに長く使いませんので、そういう意味で十分認容可能であると考えています。  腎機能の悪い方の場合には、溜まるのではなくて逆に下がってしまうとか、少しトリ ッキーな薬物動態を示すようなところがあったりします。その点は、今後の製販後の調 査をやっていく中で、そういうPKのデータすなわち、イトラコナゾールのPK+シク ロデキストリン誘導体の蓄積の状況などについてもフォローしてもらおうと考えており ます。 ○神谷委員 専用のフィルターセットを使えということになっていますが、このフィル ターはどのぐらいのものを、どういうふうにフィルトレーションするというか、もしこ れを使わなくて投与したらどういう問題があるかという点はどうなっているでしょう か。 ○機構 そちらに添付されておりますフィルターについては、審査報告書の6ページぐ らいからいろいろ書いてあります。径が0.22というフィルターですので、医療現場に流 通していなくはないのですが、比較的マイナーな径のものですので、フィルターの径を 指定するよりはあらかじめ添付して、かつ、あまりコネクトしますとそれがライン感染 の原因になったりすることもありますので、セットで提供する形を考えております。 ○池田部会長 非常に有用な薬であるけれども、安全性という問題があり、気をつけて 使わなければいけない薬であることも確かなわけです。その辺を専門協議でも議論され たと聞いております。もし追加で御質問がないようでしたら、イトリゾールに関して承 認「可」として薬事分科会の報告にさせていただきたいのですがよろしいでしょうか。 ○池田部会長 ありがとうございました。イトリゾールに関しては御議論いただいたと いうことで次に進ませていただきます。議題2アドベイト注射用の輸入承認の可否につ いてです。機構から説明をお願いいたします。 ○機構 議題2、資料No.2、アドベイト注射用250、同500、同1000の輸入承認の可否 等について医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本剤は、申請者バクスター 株式会社が既に輸入承認を取得しております、遺伝子組換え型の血液凝固第VIII因子製剤 リコネイトを、ヒト及び動物由来原料、原材料を含まない製法に変更した製剤です。本 品の専門協議に御参加いただきました専門委員の先生方は、お手元の資料No.14にある11 名の先生方です。  審査の概略について御説明申し上げます。現行製剤及び本剤とも主成分の一般名はル リオクトコグアルファ遺伝子組換えとなっており、申請製剤はリコネイトのワーキング ・セル・バンクをウシ由来タンパク質を含まない培地に馴化し、新たに種細胞株、マス ター・セル・バンク、ワーキング・セル・バンクを樹立して製造したものです。  生産培養においてウシ由来タンパク質の使用を取りやめたほか、精製工程に用いるモ ノクローナル抗体カラムの抗体の製造においてもヒト・ウシ由来タンパク質の使用を取 りやめております。さらに、リコネイトで安定化剤として添加されておりましたヒト血 清アルブミンも含まない製剤となっております。  安定性に関しては、リコネイトの有効期間は1〜30℃で3年間ということでしたが、 本剤では、リコネイトの安定化剤として用いられておりましたヒト血清アルブミンを除 いていることもあり、有効期間は2〜8℃で2年間となっております。ただ、これにつ いては他の第VIII因子製剤と同等ということになっております。なお、保存温度等がリコ ネイトと異なっていることから、販売名も変更してアドベイトとなっております。  薬理・動態・毒性については特段の問題は認められておりませんでした。有効性に関 しては、国内試験においてリコネイトとAUCを指標とした生物学的同等性が確認され ており、また止血効果については13例、170件の出血エピソードにおいて有効率は97.1 %、165件で無効例はありませんでした。これは既承認のリコネイトと同程度というこ とでした。  本剤の用法・用量は国内試験においてリコネイトと生物学的同等性が確認されている ことや、止血効果が同程度であることなどから、リコネイト及び他の製剤と同様に、通 常1回体重1kg当たり10〜30単位を投与するが、症状に応じて適宜増減するとされて おります。  安全性については、国内試験を含めた全臨床試験205例に16例33件の副作用が認め られ、1%以上の症例に発現した副作用は頭痛、浮動性めまい及びほてりがありました が、いずれも非重篤とされております。また、海外主要試験において、一過性の第VIII因 子インヒビターの発現が107例中1例に認められました。  製造販売後調査について、安全性に重要と考えられる第VIII因子インヒビターの発現率 を検討するため、必要な症例数及び実現可能性を踏まえて300例の使用成績調査が実施 されることとなりました。  また、過去に治療歴のない患者への投与経験がないことから、このような患者全例を 対象とした特定使用成績調査を実施するとともに、国内における小児への投与経験もな いことから、使用成績調査において、一定以上の症例数の小児が含まれるような計画と することといたしております。  このように機構の審査の結果、本剤はリコネイトと同程度の有効性が期待できると考 えられ、安全性については重篤な副作用が認められていないことから、承認して差し支 えないと判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品としての申請であることか ら、再審査期間を6年間とし、リコネイトで使用されておりましたヒト・動物由来成分 を使用していないものの、CHO細胞を用いて製造していることから、生物由来製品に 該当すると判断いたしました。また、毒薬、劇薬の指定については、リコネイトと同様 いずれにも該当しないと判断いたしました。御審議のほどよろしくお願いたします。 ○池田部会長 このアドベイトは、これまでに承認されていたリコネイトの製造工程か ら、ヒト・動物由来成分を除いて新たに作られたものであるということで、止血能に関 してはほぼリコネイトと同等な有効性を示すというような報告をいただいたわけです が、御議論をいただきたいと思います。 ○山口委員 毒性や効果についてはリコネイトと変わりはないということですけれど も、ヒトのアルブミンを添加剤として安定化剤として入れた前のものに比べて、今回の データを拝見すると不安定な感じがあるのですが、それはほとんど問題にならない程度 であるという判断でよろしいのでしょうか。 ○機構 確かに3年間室温という今までのリコネイトに比べると、低温で2年間という ことで短くなっています。国内において流通しているクロスエイトMやコージネイトと いったものも2年、それから他の生物学的製剤基準に載っております第VIII因子濃縮製剤 についても、低温で2年間ということになっておりますので、これまでよりということ はありますけれども、現在流通しているものの中で特に悪いということにはなっていな いと判断しております。 ○山口委員 今後、ヒトアルブミンのような極めて良い安定化剤に代わるものを、あえ て入れる必要はないという見解でよろしいのでしょうか。 ○機構 その点については、本剤の開発の意図というのが、ヒトや動物由来の原料を除 いて、感染性のリスクに関して理論的なものを排除するということから開発が行われて いるということになっておりますので、そこについてはアルブミンを加えることよりも、 安全性をより取ったという形になると考えております。 ○神谷委員 血友病A、というのは子どもでも多い病気でみないわけではないけれども、 この治験の中で子どもの症例は10歳以下が一つも入らなかった理由は、たまたま症例が なかったということだけでしょうか、何か問題があってこれを入れなかったということ があるのでしょうか。  それから、今後拡大をして調べていくということで、機構の説明を読みますと全例報 告のような形で集めるというように取れますけれども、そういうことでよろしいのでし ょうか。 ○機構 国内の試験において、エントリー基準として10歳以上という組入れ基準を設け ておりましたので、10歳未満の方は入らなかったということです。また、試験そのもの の目的がリコネイトとの生物学的同等性をメインにみるということになっておりました ので、そのようなエントリー基準となっております。  全例調査に関しては、既治療歴のない患者、PUPと略しておりますが、プレビアス リー・アントリーテッド・ペイシェント(PREVIOUSLY UNTREATED PATIENT)の方たちを対 象としては全例調査を行うということです。ただ、そのような方々は小児の方が非常に 多いということもあり、PUP全例を集めた場合にはかなりの症例数に小児の方が含ま れてくると考えております。 ○神谷委員 25例が基準としてあるようですけれども、それには何か理由があるのです か。 ○機構 それについては、300例の調査の中で25例程度というのは、リコネイトの120 例程度の使用成績調査の中から割り出した数値でして、実際には理論値ですので、そこ については少なくともPUPの全例調査と同程度になるようにということで申請者には 指導しています。 ○池田部会長 今、神谷委員がおっしゃられたように、小児領域はこれが承認された後 に、PUPの症例をフォローアップする。それでインヒビターの出現等を見ますので、 そこで小児例がかなり入ってくるのではないかと思います。 ○早川委員 これは、今の申請区分上は新有効成分含有医薬品という中で処理せざるを 得ないのだろうと思うのですが、実際の中身的には、先ほどのような安全性上の問題を 考慮し、既存のものの動物由来の部分を除いていったということで、そういう意味では 製法変更のものだと思うのです。今、国際的には製法変更したものは、前のものとの同 等性が評価されればそれでよろしいということでありますが、我が国では、これが新有 効成分という扱いでありますので、同等性の評価を超えて非臨床も臨床もかなりやられ ています。あるいは同等性評価のところでも相当新有効成分的な問い合わせも含めて審 査されているのですが、そのこと自体は悪くはないけれども、たくさんやりすぎかもし れません。  本来これは製法変更の中で扱えるようにする、という方がいいと思います。ただ、今 はそういう区分がありませんので、バイオテクノロジーの医薬品の後続品、いわゆるこ ういうものに関して必要なデータのみに絞り、合理的に審査するような区分を作ってい ただければいいのではないかと思います。 ○池田部会長 貴重な意見だと思いますが、課長の方から何かありますか。 ○審査管理課長 確かに、エリスロポエチンなどを別の会社が製造すると、エポエチン のαとかβというふうに一応別成分だという理解です。早川委員からお話がありました ように、同じ会社が培養方法だけ変えてきたということで、こういうものでかなり大き なタンパク質に、なおかつ糖鎖まで付いていることになると、物としての同一性の見方 というのはなかなか難しいかと思うのです。先生方にもいろいろ教えていただきたいと 思います。  仮に必要以上に重複するようなデータを取っているとすればちょっと過剰かもしれま せんし、その辺はもう少しスリムにできるのであればやっていきたいと思います。そう かといって、実際にある程度毒性試験などをやってみないと、本当に同等かどうかまで は分からないとか、特にこの場合には添加剤を変えたという事由もあったようですので、 そこは今後いろいろ教えていただきながら改善していきたいと思います。どうもありが とうございました。 ○池田部会長 製造変更の結果、製品にどのぐらいの変化が出たかという考え方で見て いかなければいけない面もありますよね。 ○早川委員 このケースを拝見する限り、品質の特性レベルで同等だと評価されると思 います。他のケースで、少し懸念がある部分については、より慎重にやる部分はあるの かもしれません。一般論として、こういうものはある限定されたデータのレベルで評価 できるということだと思います。 ○堀内委員 これはアルブミン等を除くことによって、感染の可能性をできるだけ低く しようという製剤だと思います。今後の方向としてはタンパク製剤、特に培養細胞等で 作らせるような遺伝子組換え医薬品は、できるだけ血清を除いた方向に持っていったほ うがいいというような考え方なのでしょうか。  この製剤は保存温度が2〜8℃でということになっておりますし、有効期限が2年と 低下しているデメリットは、医薬品を管理している立場からいうとあるわけです。逆に、 アルブミン等の安全性はかなり高まっていると考えているわけです。それを前提にして アルブミン等が実際に臨床の場で使われていると思うのです。本当にメリットがあるの かあえて質問させていただきます。 ○審査管理課長 私の理解ですが、アルブミンについては貴重な血液から得られるもの だということです。もちろん血液製剤としてアルブミンは存在しているわけです。ほか の薬剤の安定化剤とか添加剤といったものに用いるものは、切り替えられるのであれば できるだけ切り替えていったほうがいいのではないか、ということです。もちろん感染 リスクもゼロではない、という部分もあるのだと思います。そういう二つの要素で、添 加剤とか安定化剤で使われているアルブミンについても、という話です。  一方、アルブミンについても、遺伝子組換えで作らせるという話があります。そうな ってまいりますと、今度はヒトの血液由来ではないというアルブミンが出て、先ほど私 がコメントした部分の話の両方がなくなってまいりますので、それは製剤の安定化剤で 使ってもいいのではないか、という理屈も出てくると思います。そういう意味では、技 術の進歩によってまた様子も変わってくるかと思います。  もう一つ御指摘があったのかどうか分かりませんけれども、細胞培養に用いるウシの 胎児血清といったものについては、特に牛肉の関係などでかなり社会的関心を集めまし た。欧米でのBSEの発生などもあり、BSE発生のウシを産生している国のウシ胎児 血清等を実際にリスク評価すれば、それほどの問題はないという評価はできております けれども、予防的な措置として、できるだけ切り替えられるものであれば切り替えてほ しいということです。そういう指導の一環の中で、この製剤についても、実際に従来は 米国産のウシの胎児血清などを使っていたと承知しておりますけれども、そういうもの を切り替えてきたと認識しております。 ○飯沼委員 大体分かりましたけれども、細胞を培養するときに使うフィタルカーフな どは徹底的に除くべきなのです。そうでないと、それをヒトに使えば、注射剤などだと 絶対にウシに対する抗体ができますから、除き得ることは徹底的に除くという方針がベ ストではないですか。 ○審査管理課長 御指摘のとおりです。途中で精製とかこういうものもかなりきちんと やっているはずです。ただ、理論上はなかなかゼロになりにくいということで、早川委 員に助け船を出していただければと思います。 ○池田部会長 これは、前回のところでもありましたね。 ○早川委員 これはケース・バイ・ケースで、第1の方向は、除けるものは極力除くと いうことだと思うのです。ただ、それを除くことによって、細胞によっては従来のもの と同じものを生産できなくなるケースもあり、その製品が医療上非常に重要なものであ る場合に、どちらをとるかというバランスの問題があるかと思うのです。ですから、極 力除くけれども、ケース・バイ・ケースでそれはやむなし、という場合もあると思いま す。  それから、ウシ血清由来のものについては、最終製品の規格等である程度押さえる、 そういう精製を行うということで、途中で取り除くというアプローチもあると思います。 方向はそういう方向ですが、すべてがそういう方向にはなれないかもしれません。血清 アルブミンについても同じことで、もしそれを除いたことによって安定性が失われて製 品の特質が保てない、安定性が保てない、ということになれば、何をやっているか分か らないということになるので、できる範囲でできるような形でやる。  ただ、そういう方向を目指してやったときに、それでも同じように新有効成分です、 ということで同じデータを要求されるということであれば、これまた別の意味で不合理 さが発生してくるので、その辺はバランスの問題だと思います。 ○機構 ちょっと議論の整理をさせていただきたいのですが、現行のリコネイトという 製剤では、その段階でウシのアルブミンを除いては製造できるノウハウがありませんで したので、ウシのアルブミンが入ったところで培養しておりました。ただし、その製剤 であっても、精製工程を経ておりまして、実際には1,000単位当たりの含量が0.8μg 以下ということで、精製工程で非常にきれいな形で除くようにしております。  抗BSA(ウシ血清アルブミン)抗体もわずかには認められておりますけれども、問 題になるほどの数値が認められているわけではありません。しかしながら、現段階では BSA等を除いたり、ヒト由来のアルブミンも除いた製剤ができるのが可能であれば、 そちらの方にスイッチしていくということで、そのときのパッケージについて早川委員 からコメントをいただいたと理解しております。 ○池田部会長 前回エリスロポエチン、あるいはGCSFのときにも少し議論させてい ただいたと思いますが、あれはアメリカ産のウシ血清が入っていたということで問題に なったわけです。これ以上御意見がなければ、アドベイトについても承認「可」として、 薬事分科会への報告とさせていただきたいと思います。 ○池田部会長 次は議題3のベルケード注射用の製造販売承認の可否について、機構か ら説明をお願いいたします。 ○機構 議題3、資料No.3、ベルケード注射用3mgの製造販売承認の可否等について、 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるボルテゾミブは、新規の作用機序を有し、プロテアソームを阻 害することにより、活性型NFκBの産生を抑制し、腫瘍の増殖を抑制し、薬効を示す と考えられている抗悪性腫瘍薬です。  多発性骨髄腫は、完治が期待できない血液悪性腫瘍で、我が国では推定で年間約3,000 人が罹患しております。初発時の治療は、抗癌剤の併用療法、又は自家造血幹細胞移植 を伴う大量化学療法が施行されますが、治療が奏効した場合でも、ほぼすべての患者が 再発します。再発後は、救援治療として抗癌剤やデキサメタゾンの投与、同種造血幹細 胞移植、また本邦未承認のサリドマイド等が用いられておりますが、いずれも臨床的に 満足できる治療とは言えません。  本剤は、これら再発又は難治性の多発性骨髄腫に対して効果を示す薬剤として申請さ れました。なお、本剤は稀少疾病用医薬品として審査が行われ、加えて日本骨髄腫患者 の会より、早期承認要望が出されており、また厚生労働省の「未承認薬使用問題検討会」 においても検討が行われ、早期承認申請が望まれるとの検討結果が出されております。 本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料にありますとおり12名の委 員です。  品質、毒性、薬理、ADMEについて大きな問題は認めませんでした。臨床試験成績 としては、国内1試験及び海外5試験の成績が提出されました。海外で実施された比較 臨床試験においては、本剤投与群はデキサメタゾン群と比較して、病勢進行に至るまで の期間、即ちTTPが有意に延長し、また国内臨床試験においては33例中10例、30.3 %の奏効率が示されたことから、機構は本剤の有効性は認められると判断しました。  安全性に関する最も重要な問題点は、国内では海外よりも高い頻度で、本剤投与によ る重篤な肺障害が発現する可能性があることです。国内で実施された臨床試験において、 34例中1例に、本剤との因果関係の否定できない間質性肺炎が発症しています。また、 血液内科専門医が、個人輸入で本剤を使用した患者において、肺障害が認められたこと を契機として、日本臨床血液学会及び日本血液学会が合同で、独自に調査を実施した結 果、本剤を使用した日本人46例中7例において、急性呼吸窮迫症候群等の重篤な肺障害 が発現したとの情報が報告されています。  現時点において、肺障害発症の危険因子や予防方法等は明らかではありませんが、本 剤は救援治療としての有効性が示されており、仮に安全性上の問題を理由にさらなる臨 床試験成績の提出を要求し、承認を遅らせた場合には、本剤を個人輸入で使用している 医師間・患者間で安全性の情報が共有されないままに本剤が使用され、重篤な副作用が さらに拡大する事態を招きかねないと機構は考えました。よって本剤を十分な管理がで きる施設や、医師の下で使用することで副作用のリスクを最小限度とし、なおかつ万一 重篤な副作用発現の場合も万全の対応がとられるようにすることを条件に承認するべき と判断いたしました。  機構は、本剤の承認に際して、十分な製造販売後の対応を行うことが必要であると考 え、治療開始初期に、患者を入院環境下に置き、慎重な観察を行うことや、全例調査に よる薬剤の使用のコントロール、並びに肺障害等の重篤な有害事象の収集及び迅速な情 報提供が必要と判断し、申請者に指示を行っております。また、本日机上に配付させて いただきました、資料No.3-2の作成を申請者に指示し、医療機関に対して、肺障害につ いての詳細な情報提供を行うよう指示しております。  以上の審査の結果、機構は本剤を承認することは可能と判断しております。本剤は新 有効成分含有医薬品かつ希少疾病用医薬品であることから、再審査期間を10年とするこ とが適当であり、原体及び製剤は毒薬に該当すると判断しました。また、生物由来製品 及び特定生物由来製品には該当しないと判断いたしました。御審議のほどよろしくお願 い申し上げます。 ○池田部会長 新規のプロテアソーム阻害作用を有する抗悪性腫瘍薬、特に再発又は難 治性多発性骨髄腫を対象にした薬ということです。ただ今の紹介にありましたように、 有効性はある程度証明されているけれども、それと同時に我が国では肺障害の頻度が高 いようだという報告が出ていることも含めて御議論いただきたいと思います。 ○山口委員 副作用の頻度が日本で高かった、ということの理由の一つとして、前治療 として移植をやっている例が8例中6例ということで、これは外国と明確に違うところ なのでしょうか。 ○機構 いいえ、肺障害の発生するリスク因子については、可能な限り申請者の持って いるデータベースも含めて解析をしたのですが、はっきりとした危険因子とはなってお りません。移植の施行に関しても国内外で実施する頻度や治療体系に大きな差異はない と理解しております。  移植の施行歴とか、もう一つはデキサメタゾンを使用していると肺障害が起きにくい のではないかということが、申請者のデータベース、それから先生方に行っていただい た学会の調査から、もしかしたらそこがそうかもしれないという程度の危険因子ではあ りますけれども、明確にそれが肺障害の危険因子であるとは分かっていません。  説明を補足しますと、海外では肺障害はあまり起きていませんので、国内の症例から 類推していき、海外のデータも加えると、そういうものが危険因子として推測は可能だ けれども、日本ほど肺障害は外では出ていないので、確定的なことは申し上げられない というのが正直な結論です。 ○池田部会長 今まで、海外ではトータルとして何例ぐらい使っていますか。 ○機構 今の安全性データベースを解析したときには約33,000例でしたが、現時点では また増えていると思います。 ○池田部会長 その中で、肺障害ということで少し気になる報告は大体何例ぐらいあり ましたか。 ○機構 それについては、審査報告書の58ページ以降に記載しております。海外につい ては、59ページの真ん中の段落ぐらいに、申請者及びJohnson & Johnson社が行った検 討では、33,000例分のデータを分析し、本薬による肺障害の可能性が高い症例として17 症例という頻度になっています。この17例のうち7例が日本からの報告です。 ○山口委員 日本での8例中6例が移植ということになれば、これは極めて高いので、 移植をした患者についての投与は慎重にすべきだという結論ではないでしょうか。 ○機構 再発又は難治例の場合ですと、初発のときの年齢にもよるのですけれども、自 家の造血幹細胞移植が施行されている例は、海外でも同様に多いと考えます。再発して しまうとちょっと手立てがないというのもあって、同種移植も、国内及び海外のいずれ もある程度行われていて、そこに国内外の差異はないと思います。移植を行った人に限 って、肺障害が非常に多く出ているという結果である、と現時点では言えないと理解し ております。そこまで断定できる情報は現時点ではないという状況です。 ○堀内委員 今の話ですけれども、日本人においては幹細胞移植を行った患者には多い のではないですか。外国例で差がないと言っても、日本人においてはそういうデータが 出ているのですから、それについては注意を喚起すべきではないですか。 ○機構 それはそうなのです。断定はできないけれども、今ある情報は可能な限り提供 する必要があると考えました。ただ、学会の先生方に行っていただいた調査のほうも、 現時点は個人輸入の症例ということで、今まで通常ないような形で申請者にも協力して もらい、先生方にも協力してもらって情報を集め、なるべく危険因子を抽出しようとし ておりますが、やはり個人輸入の症例ですと、なかなか断定的なことも言えない状況で す。  ですから、添付文書上には、肺障害の推測されている危険因子を記載することは難し かったのですが、本日黄色の「適正使用ガイド」というもので配付しておりますとおり、 これはまだ確定したものではないのですが、現時点で分かっている肺障害の危険因子の 可能性があるものや、一連の肺障害の患者の詳細な経過を情報提供し、専門医の先生方 の使用に限定しておりますけれども、先生方にそこはよく判断していただくと考えてお ります。  また、逆に造血幹細胞移植を施行していない患者なら絶対安全かという点や、デキサ メタゾンを併用していると肺障害は起こりにくかったというデータが示唆されています が、デキサメタゾンを使ったら安全かというと、そういう断定も現時点ではできない状 況ですので、現時点で得られているデータをそのまま、ありのまま「適正使用ガイド」 に記載させていただき、先生方にそれを基に判断していただくという方法を現在はとっ ております。 ○神谷委員 今後の参考のためにお聞きしたいのです。この薬が大事だということはよ く分かりますし、肺障害の理由がはっきりしないということもあって、なぜ起こるかも 分からない点がある。しかし、実際これは患者の側から考えてみれば、こういう薬がど うしても要るということはよく理解できます。  ここの総合評価のところに書いてある、「これを総合的に判断した場合には、本薬を 不承認とするリスクは保健衛生上の見地から本薬を承認するリスクを上回る」と書いて あります。「保健衛生上の見地」という言葉の使い方ですが、これはすべての薬に関し てこういう考え方を機構にしていただけるということでいいのでしょうか。 ○審査第一部長 抗癌剤の領域において現下の情勢を見ますと、個人輸入によるアクセ スが非常にたくさんある現状です。こうしたところで、そもそも日本での開発をもっと 早くからやって、海外に遅れることなく現場に持ち込むことがいちばん望ましいという ことであって、それが遅れたために逆転現象が起きていて、正規の使用よりも、コント ロールできない使い方のほうが広がってしまった。こういう情勢の中で考えるとすれば、 このような考え方をとらざるを得ない。これに関しては、今後も同じようなケースでは、 こういう考え方をとらざるを得ないだろうと考えます。  かつても個人輸入が先行した製品について、やはり早く承認をして、コントロールの 届く範囲に置こうと考えてやってきたケースもありますので、この点については一貫し た方針でやってきていると思いますし、今後もそのようにしていきたいと考えておりま す。 ○吉田委員 今の説明は私も同感ですので強く支持したいです。それとは関係ないので すけれども、市販後調査で、一定症例数とはどのぐらいのイメージなのでしょうか。 ○機構 1年間で500症例を現時点で考えております。その段階で終了というよりは、 長く患者を登録した後で解析だと手遅れになる可能性があるので、1年で見込める500 例を収集し、その段階で必要な対策をさらにとるという方向で指示しております。 ○吉田委員 要するに、前向きに集積していこうという姿勢でよろしいのですね。 ○機構 はい、そうです。 ○吉田委員 薬によっていろいろ使われる現場は変わってくると思うのですけれども、 本剤では血液内科でメインで使われるので、広く一般の臨床で勝手に使われるという危 険性はそれほど高くないです。胃癌や大腸癌だと外科の先生が使ったりしますけれども、 そういう意味では情報も得やすいと思うので、いい前例にしていただければと思います。 ○池田部会長 非常に貴重な御意見をいただいたと思います。特に、1から4まで問題 にしなければいけない指示事項が審査報告の3ページにきちんと記載されています。企 業が、確実に迅速に実施していただくことが大事かと個人的には思っておりますし、お そらくここの委員の皆さんも同じお考えではないかと思います。今、吉田委員が言われ たように、その調査を前向きに、学会等が協力しながらやる、という形で一つのいい例 を作っていけるということで、行政の方もそういう指導をしていただけたらと思います。 ○堀内委員 私も、これは大変重要なことだと思います。全症例の市販後調査だけでは なくて、臨床試験も組むということを意味すると考えてよろしいのですね。 ○審査第一部長 そのとおりです。 ○池田部会長 これは、抗腫瘍剤一般に言えることだと思うのですけれども、ほかに手 立てがない患者に、有効性のある薬を使っていただく。しかし、その使用時にリスクを どう考えていくか。リスクをミニマイズするための情報をきちんと前向きにスタディし て捉えていく。そして、その情報を素早く公開するという考え方が非常に重要ではない かと思います。これは、今の時点では施設認定みたいなことは考えていないのですね。 この疾患そのものは吉田委員が言われるように、あまり一般の施設どこででも診るとい うようなことはないと思いますが、その辺はいかがでしょうか。 ○審査第一部長 製造販売後調査を行っていくに当たって、どの施設ならば対応できる のかということをまず、調べてもらってあります。ですから、実際に納入される施設、 使われる施設、登録をしてもらう施設は一応全部把握してあります。実際に十分態勢が 整ってくればもちろん使っていただいて構わない。ただ、患者を入院監視下において、 非常に緊密に手間をかけて診ていただけるだけの御用意のある所でお使いいただくべき お薬ということなので、施設側の準備、あるいは、これはチーム医療ですから、チーム としての対応がとれる所ということで、それは具体的に企業のほうからも施設に御相談 をして、それが確認できた所でないと納品しないというやり方をすることになっていま す。 ○池田部会長 ある意味では施設が限定されると。どういう資格を持った施設だから使 うということではないけれども、こういう調査をきちんとやってくれる施設にしかこの 薬剤は納入されないという考えでよろしいわけですね。  そういうことですが、よろしいでしょうか。あと、データの処理を確実にしていくと いうことと、その患者の転帰、あるいは経過をどれだけきちんと把握するかということ は、その医療機関との協力関係がどれだけ企業が保てるか、あるいは、それだけをやれ るパワーがあるかどうかということですので、それも含めて是非御指導いただきたいと 思いますが。よろしいでしょうか。何かございますか。頻度からいうと、かなり肺障害 が出ることも十分に予想されるわけですので。よろしいでしょうか。 ○上原委員 この死亡例の3例についてはサイクルが2サイクル目に肺障害が発現した というような例があります。そうすると、どのぐらいの期間経過を診なければいけない のかということについて、どのような判断をされているのでしょうか。 ○機構 議論の途中で出てきておりましたのは、委員がおっしゃいますとおり1クール 目以外の方にも第2サイクルで出てきている方もいる。ただ遅くとも第2サイクルぐら いなので、第2サイクルというと6週間になるのですが、おそらく現時点のデータだと、 目安としては6週間ぐらいは入院してほしいというのがデータを見た率直な感想です。 ただ、添付文書上に、例えば6週間とか2コースと限定できるかというと、ちょっと難 しいことがあります。記載に関しては現時点の添付文書の警告のような、まず治療に当 たっては必ず入院していただいて、あとは専門医の先生方の判断で、大丈夫そうであれ ば退院していただく、そういった形での記載になっております。  ただ、いずれも現時点で得られているデータでは、発現してくる日にちが割と早い、 というのが特徴かもしれない、というように見ています。2サイクルも早いという意味 です。 ○審議官 審議官の黒川です。いま御指摘いただいております呼吸器、特に肺関係の副 作用ですが、この薬に限らず、どうも日本人の臨床では間質性肺炎や繊維症が多いので はないかというような薬がいくつかあるわけです。背景としては、そもそも諸外国と日 本で肺疾患の診断クライテリアが違うのではないかとか、そういったレベルからいろい ろ御議論があります。短期的には、もちろん各々の医薬品できちんと安全対策をやって いくということになるわけですが、医薬品共通の問題として、少しN数を増やすような 意味からも将来開発として、なぜ日本人で薬剤性の肺障害が多いのか、ということを体 系的に調べていくような工夫も、私ども検討していくべきかなと。 ○池田部会長 場合によっては我が国にとって非常に重要な情報をもたらすものかもし れないということで、よろしくお願いしたいと思います。そのほか何かありますでしょ うか。  もしなければ、新規の薬剤ですけれども、先生方に御議論をいただいた結果、承認「可」 とさせていただきたいと思います。 ○池田部会長 これまでに機構からも御説明がありましたように、この薬剤は新有効成 分であるということで既存の医薬品とは薬事理用が異なる、というものですので、薬事 分科会には上程し審議するということでお願いしたいと思いますが、よろしいでしょう か。どうもありがとうございました。  それでは、次の議題4に入りたいと思います。議題4について、機構から審査の概要 をお願いします。 ○機構 議題4、資料番号4、ブスルフェクス点滴静注用60mgの製造販売承認事項一部 変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。本 剤の有効成分であるブスルファンは、アルキル化剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。本 申請は本剤の承認容量の追加を目的として行われたものです。すでに本剤の同種造血幹 細胞移植の前治療の効能・効果は、平成18年4月21日開催の本医薬品第二部会におい て審議され、平成18年7月に承認されております。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料にございますとおり5名 の委員です。評価資料は小児を対象として実施された臨床試験1試験が新たに提出され ました。有効性については、機構は同種造血幹細胞移植での骨髄抑制及び正着に関する 臨床成績から、本剤の承認に対する用法・用量について有効性が示されていると判断し ました。  また、自家造血幹細胞移植の前治療については、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍及び 神経芽細胞腫の前治療として本剤の有効性が示されていると判断しました。安全性につ いては、成人に対して本剤を用いた場合や経口ブスルファン製剤で認められる既知の有 害事象の範囲と同様であると判断しました。しかし、国内での小児の検討例数は3例の みであり、機構は製造販売後に小児患者を対象として目標AUCの達成割合の検討を行 う臨床・薬物動体試験を実施し、また、小児患者における全例調査においては、特に肝 中心静脈閉塞症、肝機能障害、けいれんの発現の副作用についての情報収集を行う必要 があると判断しております。  以上、機構での審査の結果、機構は本剤の承認を了承にすることは可能であると判断 いたしました。また、本申請の再審査期間は、残余期間であります平成28年7月25日 までとすることが適当であると判断しました。御審議のほどよろしくお願い申し上げま す。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいまの機構からの説明について、何か、 委員の先生から御質問、御意見ございますか。 ○神谷委員 私は今、癌の治療をあまりやっておりませんのでよく分かりませんが、大 事な薬だということは前々から分かっているつもりです。要するに、こういう薬は小児 癌の化学療法に十分な知識と経験を持つ医師に限定するということがいつも書かれるわ けですが、先ほどの薬も同じことですが、施設をどう決めるかというので、例えば専門 医の資格を持っていなければ使っては駄目だとか、そういうようなことをもう少しはっ きりしないと。例は少ないけれども「そんなことしたの」というのがあるので、そうい うところを、このような薬の使用のときにはただ書くだけではなくて、何かもう少しい い決め方があるといいのではないかと思っております。 ○審査管理課長 十分理解いたしました。薬の添付文書の方にはそういうようなことで、 一応、こういう先生方に使っていただきたいということは書いておりますが、実行上そ こまで規制をかけるといいますか、制限をかけるということになりますと、薬事法とい う、企業の、いわゆる医薬品の製品についての規制をかけている法律で、そこまでやる のは、という感じのところがありますので、全体の仕組みの中でいろいろ議論していた だいて、枠組みを検討していくということではないかと思います。 ○池田部会長 ほかにはいかがでしょうか。薬剤によっては、個人の医師の資格で使え るか使えないかというのを決めた薬剤も最近ございますよね、t−PAみたいなもの。 あれは講義を受けた人でないと使えないのではなかったでしょうか。 ○審査第一部長 ございます。ただ、資格というよりは、その薬や手技にかかわる特別 なトレーニングを実際にやった方に、という書き方になっています。資格という場合は、 どこがどういうふうな学校で与えた資格かとか、その資格にふさわしい実力が伴うかと か、そういった種々のことではない。現実問題、議論しますと非常に複雑です。また地 方の病院の場合は、必ずしも資格を持っている方ばかりではないのも現実です。  したがいまして、特にこのような薬剤のときに、地方の大学病院あるいは県立病院で 診療なさっている医師が、専門医としての資格まで取っておられるという保障はないも のですから、その点で専門医資格ということだけでやると、また不自由が出てくるとい う議論をいたしました。  そうしたことから、企業が実際その施設に納品をしていく際に、そこの施設で実際に 何例ぐらいおやりになっているかというようなことを具体的に把握をして、そして調査 に協力していただける、これは全例登録調査ですので、そうしたことが必要だというこ とを御理解いただいて、薬剤を納めていくという形を取る必要があると考えています。 現実的には、とりあえず薬、物側のアプローチですので、医療そのものに対して製薬会 社ができることの限度というものがありますので、その点で今できるだけ工夫はさせて いただいているということです。 ○池田部会長 企業はそういう認識で、納入するときに、そこの医療施設とそういう約 束がきちんとできる。それでそれを守れるという方向は非常に重要なことではないかと は思います。薬によっては、ある一定の資格というか、トレーニングをしてから使って くださいと。そのトレーニングはこういうトレーニングですよというようなことを、医 師の側から自主規制するのも一つの考え方だと思います。行政や企業が決めたりするの ではなくて、この薬を使うのならば、こういうトレーニングをやる方、そういう人が扱 うのがより安全、より効果があるのではないかということ。学会等でリコメンデーショ ンを出すということはあり得ると思うのです。そのほかいかがでしょうか。よろしいで しょうか。それではブスルフェクスの件に関しての承認を「可」として、薬事分科会の 報告とさせていただきたいと思います。 ○池田部会長 続きまして議題5、生物学的製剤基準の一部改正についてです。これに ついてお願いいたします。 ○事務局 議題5は生物学的製剤基準の一部改正が2題あります。1題目は、資料5-1 で「人全血液」です。薬事・食品衛生審議会、血液事業部会での議論を受けて、日本赤 十字社では保存前に白血球の低減化を行った全血採血由来の輸血用血液製剤導入の準備 が進められております。具体的には、人全血液、人赤血球濃厚液、解凍人赤血球濃厚液 など11製剤について、保存前に白血球の低減化を行った製剤を、現在審査中です。10 月の部会でこれらの製剤の承認について御報告させていただく予定にしております。  この11製剤のうち、人全血液につきまして生物学的製剤基準「人全血液」の1ですが、 「本質及び性状」に白血球についての記述がありますことから、当該部分について読ま せていただきます。  「本剤はヒト血液に血液保存剤を混合し、場合によっては白血球の大部分を除去した 濃赤色の液剤である。静置するとき赤血球の沈層と黄色の液層とに分かれ、白血球を除 去しない場合には、主として白血球から成る灰色の層が沈層の表面にみられることがあ る」、と下線部の改正を加えさせていただくものです。なお、白血球の低減化を行った 製剤にすべて切り替わった後に、人全血液の基準改正について改めて御審議いただきた いと思っております。これがまず一つ目でございます。  次は資料No.2です。2題目は資料No.5-2で、生物学的製剤基準「新鮮凍結人血漿」の 「3.1、外観試験」を適切に改めるものです。こちらのほうは人全血液のように今回の白 血球除去を目的としたものとは関係ありません。人全血液を改正するに当たり、これに 伴っての改正とお考えください。  現行の「新鮮凍結人血漿3.1、外観試験」は、「製剤の試験」の項目として記載され ておりますことから、凍結した製剤を観察すると解されますけれども、凍結した状態で は血漿本来の色調や混濁等の性状を確認することがほとんど不可能です。そのため「外 観試験」の対象を凍結したものではなく、凍結前もしくは融解後であることを明確にす るために、「凍結前又は融解後の本剤を外部から肉眼的に観察するとき、溶血による著 しい着色その他の異常を認めてはならない」と下線部を追加させていただくものでござ います。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。生物学的製剤基準の一部改正ということで、 人全血液と新鮮凍結人血漿について、それぞれ先生方のお手元に改正前と改正後の文書 が付いていると思いますが、このような形で改正をしたいということですが、何か、御 意見いただけますでしょうか。  実際には外観というか、見た目がそれに合ったような形で文書を直すということです。 特に人全血液については白血球をなるべく少なくした全血を提供すると。白血球の大部 分を除去したという文書を入れて、実際に即して記載をするということ。白血球を除去 しないときには、もちろん外観が少し違いますので、それを記載したということです。 特に御意見ございますでしょうか、よろしいですか。  それでは、これについては基準の一部改正を「可」として、薬事分科会に報告とさせ ていただきたいと思います。 ○池田部会長 以上、5品目について審議をいただきました。これからは報告事項に移 りたいと思います。それぞれの報告事項を順次、機構の方から説明をお願いしたいと思 います。 ○機構 議題1、医薬品イトリゾールカプセル50の輸入承認事項一部変更承認について は、先ほど報告いたしましたとおりです。  続きまして議題2、医薬品バルトレックス錠500の輸入承認事項一部変更承認及び同 顆粒50%の製造承認事項一部変更承認について報告いたします。本剤はアシクロビルの プロドラッグである塩酸バラシクロビルを有効成分とする抗ウイルス薬であり、現在、 単純疱疹、帯状疱疹の効能・効果で承認されております。今般、グラクソ・スミスクラ イン株式会社より、性器ヘルペスの再発抑制に対する有効性及び安全性について、平成 11年2月1日付け研究開発振興課長・審査管理課長の2課長通知、「適応外使用に係る 医療用医薬品の取扱いについて」に基づき、医学薬学上公知として、効能追加の一部変 更承認申請がなされたものです。  なお、本申請に関して、社団法人日本化学療法学会、日本性感染症学会から要望書が 提出されております。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判 断いたしました。  続きまして議題3『医薬品カレトラ錠の製造販売承認』について報告いたします。資 料No.8です。本剤は、プロテアーゼ阻害薬であるロピナビル及びリトナビルを含有する 錠剤であり、現在、同じ有効成分を含有するカプセル製剤及びリキッド製剤がHIV感 染症の効能・効果で承認されております。  今般、アボットジャパン株式会社から、1日の服用個数を減少させ、常温保存を可能 とするとともに、食事の有無に関わらず投与できる錠剤が新剤型医薬品として申請され たものです。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたし ました。  続きまして議題4、医薬品インビラーゼカプセル200mgの製造販売承認事項一部変更 承認及び同錠500mgの製造販売承認について報告いたします。資料No.9です。インビラ ーゼカプセル200mgは、HIVプロテアーゼ阻害薬であるメシル酸サキナビルを有効成 分とするカプセル剤であり、現在、後天性免疫不全症候群等におけるヌクレオシド系H IV逆転写酵素阻害剤との併用療法の効能・効果で承認されております。今般、中外製 薬株式会社からリトナビルとの併用療法の切り替えに関する用法・用量の変更、及び効 能・効果の記載整備についての一部変更申請、並びに新剤型医薬品である錠剤の製造販 売承認申請がなされたものです。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支 えないと判断いたしました。  続きまして議題5、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。  資料No.10-1及び10-2の医薬品再審査確認等結果通知書『ミリモスチム』及び『塩酸 イダルビシン』をご覧ください。これらの品目について、市販後の使用成績調査の成績 等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項各号に掲げられて いる承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等 の承認事項については、変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。 ○事務局 続いて資料No.11、優先審査品目の指定についての御報告です。優先審査の指 定の取扱いについては資料No.11の2ページ目にその概要を示しておりますが説明は省 略させていただきます。  本日御報告するのは資料1ページに戻りまして、医薬品名がネクサバール錠200mg、 成分の一般名がソラフェニブトシル酸塩です。「進行性腎細胞癌」を効能・効果として 承認申請がなされたものです。本剤は、細胞増殖に関与する酵素であるキナーゼ、及び 血管新生に関与する増殖因子のキナーゼの阻害作用を有する経口投与の抗悪性腫瘍薬と いうことです。腎細胞癌は罹患数が癌全体の2%程度と、比較的稀な疾患であり、局所 進行性の腎細胞癌、ステージIIIですが、腎の摘除術を行っても30〜50%の患者が再発す る。また、さらに進んでIV期の患者の予後は極めて不良という報告がありまして、生命 に重大な影響がある重篤な疾病であると判断をしております。  本剤は、転移性の腎細胞癌患者を対象とした海外での第III相試験において、中間解析 ですが、無増悪生存期間、Progression Free Survivalをプラセボ群に比べて有意に、 中央値で約2倍延長したという成績が得られていることなどから、既存の治療法に比べ て医療上の有用性が高い医薬品であると判断をし、今般、優先審査の品目に指定するこ とにいたしました。 ○機構 続いて医薬品優先対面助言品目の指定の結果について、本日配付しました資料 No.12-1及び12-2で報告いたします。  優先対面助言品目指定制度は、薬事法で規定する「医療上特に必要性が高いと認めら れるもの」となることが期待される開発中の薬剤について、他の品目に優先して医薬品 総合機構が対面助言、治験相談を行うものです。優先対面助言品目は国内外の試験成績 に基づき「適応疾患の重篤性」と「医療上の有用性」を総合的に評価することにより選 定しております。  資料No.12-1は医師指導治験に係るものです。国立がんセンター中央病院脳神経外科の 渋井壮一郎先生から申請されましたメシル酸イマチニブとヒドロキシカルバミドの併用 療法です。優先対面助言品目の対象効能は「膠芽腫」で、この疾患は生命に重大な影響 がある疾患であると判断いたしました。医療上の有用性については、標準的な化学療法 を施行後に再発した患者を対象に実施された海外での臨床研究において、無増悪生存割 合等について一定の有効性が示唆されております。また、膠芽腫に対する既存の治療法 では十分な有効性が認められない現状を考慮いたしますと、イマチニブとヒドロキシカ ルバミドの併用療法の有用性は期待できると判断し、本品目を優先対面助言品目として 指定したものです。  続きまして資料No.12-2です。これは三共株式会社のCS-8958で成分名は未定のもの です。ザナミビル水和物をリード化合物とし、肺での貯留性をさらに高めることを目的 としてデザインされた新規のノイラミニダーゼ阻害剤です。優先対面助言の対象効能は 「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症」です。当該疾患の重篤性に関しては、 全般的には重篤な疾患とまでは言えませんが、乳幼児、高齢者、基礎疾患を有する症例、 さらにH5N1型インフルエンザウイルスに感染した症例等においては、生命に重大な 影響を及ぼす疾患であり、また感染拡大による社会的な影響の大きさを考慮すると、早 急な対処を要する重大な疾患に該当すると判断いたしました。医療上の有用性に関して は、非臨床試験では単回投与による治療効果及び予防効果を示すこと。さらにオセルタ ミビル耐性のH5N1型インフルエンザウイルスに対しても強い活性を有することが示 されております。  一方、現時点では、患者を対象とした臨床試験は実施されておらず、原則として後期 第II相試験までの成績を必要とする優先対面助言品目の選定基準を満たしていません が、本剤では単回投与により持続的な治療効果を示す可能性があり、ウイルス消失前の 服薬中止に起因する薬剤耐性ウイルスの出現や、二次感染の拡大防止への寄与が期待で きること、また、世界的にH5N1型インフルエンザウイルスのパンデミック対策が急 務とされている現状において、非臨床レベルではあるものの、有用性を示唆する成績が 得られていることを勘案すると、本剤について迅速かつ適切な臨床開発が実施されるよ う、治験相談を優先的に行う意義は大きいと考え、優先対面助言に指定したものです。 以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま報告事項をいただきましたが、先生 方から何か御意見ございませんでしょうか。報告事項、再審査結果、そして、優先対面 助言品目の指定等ですが、よろしいですか。特にないようでしたら、この報告事項はご 確認いただいたということにさせていただきます。  それでは、もう一枚だけ資料がお手元にあると思います。これは前回7月の部会で審 議をしましたニューモバックスNPについてです。前回、部会でも先生方にいただいた 議論を踏まえて、修正した添付文書、市販後調査計画の概要等の資料が先生方のお手元 にあると思いますので、これについて簡単に御報告いただけますか。 ○事務局 本日配付いたしましたニューモバックスNPという添付文書の資料に基づき 報告をいたします。この資料の上4枚が添付文書で、前回の部会の修正版になっており ます。こちらのほうは前回、当部会でいただいた御意見を踏まえて、臨床試験成績等に ついて客観的な情報を記述するという内容です。あと、製造工程で用いられております ウシの由来成分を具体的に明記するという整備を行っております。この内容にて申請者 とも調整が済んだ内容となっておりますので、御報告を申し上げます。  この資料の後ろ2枚が市販後調査計画の概要です。前回の部会で尿中抗原検査の有用 性などのご指摘を踏まえて、日本呼吸器学会のガイドラインに可能な限り準じた形で、 調査においては可能な限り尿中抗原の検査も行うということを盛り込んだ修正になって おります。  前回GMPの調査についての御議論がありました。実は、ちょうど今週、総合機構の 担当者がアメリカのペンシルベニアのメルクの工場に本剤のGMP調査を行ったところ で、その調査結果の報告は本日まだできないのですが、最終的に本剤を承認する際には、 今回の査察調査を踏まえ、GMP基準の適合性を確認した上で承認をさせていただくと いうことで、本日御報告を申し上げる次第です。 ○池田部会長 ありがとうございました。ニューモバックスについて何か、先生方から 御意見ございますか。7月のときに御議論いただいた内容を思い出していただいたらよ ろしいかと思うのですが。特にございませんでしたら、この報告事項についても先生方 に御確認いただいたということにさせていただきたいと思います。  これをもちまして本日予定した議題は終了ですが、事務局から何か報告ございますか。 ○事務局 2点御報告申し上げます。1点は、当部会で過去に御審議いただいた品目の 承認の報告です。去る6月26日の薬事分科会を経まして、7月26日に今から申し上げ ます新薬を承認しました。 一つは、ブスルフェックス点滴静注用、これは本日小児の審議をいただいた件ですが、 ブスルファンについて承認をいたしました。二つ目はテモダールカプセル。テモゾロミ ドという成分の悪性神経膠腫の薬です。三つ目は、今日話題に出ましたイトリゾールの 内用液、イトラコナゾールの内用液です。四つ目は、ベガモックス点眼液、塩酸モキシ フロキサシンの目薬です。以上、四つの薬について7月26日承認をいたしました。  2点目は、次回の部会の御案内です。9月は分科会の開催月ですのでお休みです。次 回の第二部会は10月19日(木)午前10時から開催しますので、よろしくお願いいたしま す。以上です。 ○池田部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうも御協力ありが とうございました。 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 山本(内線2734)