06/08/25 第88回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録   第88回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成18年8月25日(金)10:00〜 2 場所  職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表 : 清家委員、鎌田委員、北村委員        労働者代表: 池田委員、長谷川委員        使用者代表: 成宮委員、輪島委員   事務局  高橋職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、        篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、        佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について(フォローアップ)      (2)その他  ○清家部会長   ただいまから「第88回労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、山崎委員 と川畑委員がご欠席です。本日は最初に公開で、「労働力需給制度についてのフォローア ップ」についてご審議いただきます。その後、「一般労働者派遣事業の許可の諮問」「有 料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問」に係る審議を行いますが、許可の 審査については資産の状況等、個別の事業主に関する事項を取り扱うことから、これに ついては公開することにより、特定の者に不当な利益を与え、又は不利益を及ぼすおそ れがある場合に該当するため、非公開とさせていただきますので、傍聴されている方々 には始まる前にご退席いただくことを予めご了承ください。それでは議事に入ります。 最初の議題は、「労働力需給制度についてのフォローアップ」です。前回の部会での議論、 整理を踏まえて、労働者派遣事業関係について、さらに議論を深めていきたいと思いま す。まず、「派遣労働という働き方について」の議論を行います。事務局から資料のご説 明をお願いします。 ○篠崎補佐   それでは資料の説明をいたします。本日の配付資料は3点です。資料1は「派遣労働 という働き方について」ということで、本日はこれを中心に説明いたします。資料2は 「これまでのフォローアップ状況と今後の議論にあたっての留意事項等」、資料3は「職 業紹介事業・労働者派遣事業関係資料」です。これは前回お出しした資料です。資料2 については、前回の部会で委員からもご議論があり、必要な修正をしていますので、主 な修正点についてご説明します。  資料2の2枚目、(1)派遣対象業務について、前回の部会も踏まえて、「今後の議論にあ たっての留意すべき事項、必要な視点」に2つ書き加えています。1点目は、「派遣対象 業務の制限についてどう考えるか」、2点目は「偽装請負の指導監督の強化についてどう 考えるか」です。  (2)派遣期間について、2つ目の○を追加しています。「期間制限についてどう考えるか」 です。  (3)派遣労働者への雇入申込義務について、「一定期間を超えれば、派遣先での期間の定 めのない雇用とみなすことについてどう考えるか」を1つ追加しています。  (6)派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置に、「派遣労働者の均衡処遇についてどう考え るか」を記載しています。  (9)その他の「これまでのフォローアップ状況について」は、いくつか技術的な修正を すべきという意見がありましたので、それは反映しております。  それでは資料1の「派遣労働という働き方について」をご説明します。  派遣労働の現状(1)−派遣元事業所から見た特徴−ということでまとめております。総 括ですが、労働者派遣事業は年々拡大している。具体的に見ると、平成17年度の派遣 元事業所数は、約3万9,000事業所です。これは一般で1万7,000事業所、特定で2万 2,000事業所で、対前年度比は全体で約29%増です。派遣労働者数は約227万人です。 これは年間で就業経験がある派遣労働者数で、これを常用換算しますと約89万人、対 前年度比は約4%減、常用換算では前年度より約20%増となっています。派遣先の件数 は約50万件で、対前年度比は約17%増です。年間の売上高は、総額約2兆9,000億円、 対前年度比は約21%増です。平均派遣契約期間については、一般で約8ヶ月、特定で約 12ヶ月です。平均派遣料金等ということで、平成16年度の平均派遣料金は、一般で約 1万6,000円、特定で約2万7,000円です。平均の賃金で見ますと、一般で約1万1,000 円、特定で約1万6,000円です。以上が、派遣元事業所から見た特徴です。  派遣労働の現状については、この頁に常用型派遣労働者の属性、次の頁に登録型派遣 労働者の属性と分けて記載しています。  まず派遣労働(2)−常用型派遣労働者の属性−から説明いたします。総括的に若年・男 性が多い。1日約8時間で、週約5日労働、月給が多い。年齢・性別については、20代 が25%、30代が37%、40代が21%、50代が9%、平均年齢は約38歳です。全体を 見ますと若年が多く、20代、30代、40代で大多数を占めています。性別で見ますと男 性が6割、女性が4割で、若干男性が多くなっています。  勤務日数、勤務時間等については、平均で約231日、週当たり勤務日数は平均で約5 日です。現在の派遣先で同一の業務に従事して派遣で働いている期間は、平均で約27 ヶ月です。1日の平均勤務時間は約8時間、1週間の所定労働時間は30時間以上40時 間未満が約57%、40時間以上が約32%です。1日当たりの平均残業時間は約2時間で す。  次に賃金形態、教育訓練、労働・労働社会保険等についてです。賃金形態は月給制が 約54%と多くなっています。その他、時給制は約28%、賃金額は1ヶ月平均で約23万 円です。教育訓練については、受けていないが約39%。教育訓練を受けている者のうち 新規採用・登録時の教育訓練の平均期間は約22日です。雇用保険に加入しているが約 92%、社会保険に加入しているが88%、厚生年金に加入しているが86%です。現在行 っている仕事で見ますと、ソフトウェア開発が約21%、事務用機器操作が約13%、一 般事務が約13%です。  派遣労働の現状(3)−登録型派遣労働者の属性−についてまとめています。若年・女性 が多い。1日約7時間で、週約5日労働、時間給が多い。年齢・性別で見ますと、20代 が29%、30代が45%、40代が16%、50代が5%です。平均年齢は約35歳です。性 別では男性が2割、女性が8割です。  勤務日数、勤務時間については、年間勤務日数は平均で約208日、週当たりの勤務日 数は平均で約5日、現在の派遣先で同一の業務に継続して派遣で働いている期間は平均 で約18ヶ月です。1日の平均勤務時間は約7時間、1週間の所定労働時間は30時間以 上40時間未満が約64%、40時間以上が約19%です。1日当たりの平均残業時間は約 1時間です。  賃金形態、教育訓練、労働・社会保険等の状況については、賃金形態は時間給が約84%、 賃金額は1ヶ月平均で約18万円です。教育訓練については、受けていないが約55%、 教育訓練を受けている者のうち新規採用・登録時の教育訓練平均期間は約3日です。雇 用保険に加入しているが約85%、健康保険に加入しているが81%、厚生年金に加入し ているが78%です。  現在行っている仕事は、一般事務が31%、事務用機器操作が約22%です。  常用型と登録型を比較しますと、常用型は若干男性が多いのに対して、登録型は女性 が約8割と大多数を占めています。ただ、どちらも若年が多いのは共通しています。勤 務時間については、常用型はほぼ約1日8時間、週5日でフルタイムであるのに対して、 登録型も1日約7時間でかなり多いですが、若干短い。賃金の支払い形態は、常用型の 月給に対して、登録型は時給制であるという特徴が見てとれます。  5頁、派遣労働という働き方についての考え方(1)です。派遣労働者の受入れ理由とし ては、「欠員補充を迅速に確保できるため」が最も多い。派遣という働き方の選択理由、 今後の希望する働き方について見ますと、派遣労働という働き方を積極的に選んでいる 人と、そうでない人が同程度であるのが見てとれます。具体的に見ますと、派遣先に聞 いた常用労働者ではなく、派遣労働者の受入れ理由です。いちばん多いのが、「欠員補充 等必要な人員を迅速に確保できるため」で約50%、「コストが割安なため」が約32%、 「一時的・季節的な業務量の増大に対処するため」が約28%です。  アルバイト・臨時等ではなく派遣労働者の受入れ理由としては、いちばん多いものが 「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」で約47%、「特別な知識・技能を必 要とするため」が約35%、「雇用管理の負担が軽減されるため」が約29%、「教育訓練 の必要がないため」が約22%です。  右側は派遣労働者のアンケートから見たものです。1つ目は、派遣という働き方の選 択理由です。これは常用型には聞いておりませんので、登録型の派遣労働者のみの回答 です。いちばん多いものは、「働きたい仕事内容を選べるから」で約40%、「正社員とし て働きたいが、就職先が見つからなかったため」が約33%です。そういう意味で、積極 的に評価する答えが40%、少し積極的でない、やむを得ずという方が約33%というこ とで、それぞれ同程度です。その他、「仕事がすぐに見つかるから」が約28%、「働きた い曜日や時間を選べるから」が約27%、「仕事の範囲や責任が明確だから」が約22% と、積極的に選んでいる項目があります。  今後希望する働き方については、登録型、常用型、すべての派遣労働者の方に聞いて おります。「できるだけ早い時期に正社員として働きたい」が約27%、「今後も派遣労働 者として働き続けたい」が約27%で、こちらもほぼ積極的と、そうでない答えが同程度 という状況です。  6頁、派遣労働という働き方についての考え方(2)、これはメリットとデメリットを、 派遣労働者全体に聞いたものを記載しています。派遣労働としてのメリットは、「仕事の 範囲や責任が明確だから」が最も多い。派遣労働のデメリットとして挙げられたものは、 「将来の見通しが立たない」が最も多い。具体的に見ますと、メリットについては、「仕 事の範囲や責任が明確だから」が約33%、「専門的な技術や資格を生かせる」が約29%、 「自分の能力を生かせる」が約28%、「働きたい仕事内容を選べる」が約28%、「働き たい曜日や時間を選べる」が約17%、「働く企業や職場を選べる」が約16%等です。  デメリットについては、「将来の見通しが立たない」が約40%、「雇用が不安定である」 が約38%、「技能が向上しても評価が上がらない」が約31%、「収入が不安定である」 が約29%、「賃金水準が低い」が約29%、「福利厚生が不十分」が約18%、仕「事の範 囲や責任が不明確」で、過度の責任を負わされやすいが約17%等です。  8頁、派遣労働という働き方についての考え方(3)です。メリットについては派遣労働 者全体でしたが、これは登録型の派遣労働者と常用型の派遣労働者で比較したものです。 登録型の派遣労働としてのメリットは、「働きたい仕事内容、曜日、時間を選べる」が多 い。常用型の派遣労働としてのメリットは、「専門的な技術や資格、自分の能力を生かせ る」が最も多い。これを具体的に見ますと、登録型派遣労働者、派遣労働としての働き 方のメリットの上位3つは、1つ目は「働きたい仕事内容を選べる」が約42%、2つ目 は「仕事の範囲や責任が明確」が約35%、「働きたい曜日や時間を選べる」が約31%で す。  常用型派遣労働者について、派遣労働としての働き方のメリットの上位3つは、「専門 的な技術や資格を生かせる」が約34%、「仕事の範囲や責任が明確」が32%、「自分の 能力を生かせる」が約31%です。  メリットについて登録型と常用型で違いが見られたもの、回答について約10%以上の 差があったものを取り上げています。登録型が常用型より多かったものは、例えば賃金 水準が高い、仕事がすぐに見つかる、働きたい仕事内容を選べる、働きたい曜日や時間 を選べる等々となっています。常用型が登録型より多いものは、専門的な技術や資格を 生かせるというものです。  次は、登録型と常用型でデメリットを比較したものです。登録型の派遣労働としての デメリットは、「雇用や収入が不安定」が多い。常用型の派遣労働としてのデメリットは、 「技能が向上しても評価が上がらない」「賃金が低い」が多い。具体的に見ますと、登録 型派遣労働者、派遣労働としての働き方のデメリットの上位3つは、「雇用が不安定であ る」が約50%、「将来の見通しが立たない」が約49%、「収入が不安定である」が約44% です。  常用型派遣労働者に聞いた派遣労働としての働き方のデメリットの上位3つは、「将来 の見通しが立たない」が約34%、「技能が向上しても評価が上がらない」が約32%、「賃 金水準が低い」が約30%です。  デメリットについて登録型と常用型で違いが大きく見られたものの、登録型が常用型 より多かったものとしては、「収入が不安定である」「雇用が不安定である」「将来の見通 しが立たない」となっています。以上です。 ○清家部会長   それでは議論に移ります。ただいまの説明や、本日配付された資料等を参考にして、 ご議論をいただきたいと思います。本日は、「派遣労働という働き方」という大きなテー マですので、まず各委員のご認識を確認しつつ、議論をなるべく整理していったほうが いいと思います。折角事務局から説明していただきましたので、この資料に沿っていき ます。最初に、ますます広がりを見せている労働者派遣事業についてという部分と、も う1つは登録型派遣と、常用型派遣の特徴、それらの違い等について、それから派遣労 働のメリット、デメリットと派遣労働者の意識についての順に議論をしていただいて、 最後に全体として派遣労働という働き方についての議論を行いたいと思います。 ○輪島委員   まずその前に資料の確認ですが、2頁目の派遣労働の現状(1)、いちばん下の平均派遣 料金等の単位は、時給、日給、月給ですか。単位だけ教えてください。派遣労働の現状 (2)の所定労働時間ですが、40時間以上が32%で、次の頁も19%です。所定労働時間が 40時間以上というのは、どのように解釈するのですか。現状の(3)、登録型の現在行って いる仕事が一般事務等と書いてありますが、これはいわゆる26業務と思っていいわけ ですか。常用型もソフトウエア開発、事務用機器操作と、同じく26業務ですか。とい うことは、自由化業務がどういうふうに見えるのか、見えないのかということが、他の 資料でわかるかどうか。  よくここまで今回もフォローアップをして整理ができて、事務局の努力に敬意を表し ます。そうは言いつつ、常用型と登録型がどういうものなのか、資料でわかってきまし たが、基本的に一般の労働者と比べるとどうなのかというのがここにはないので、そこ はあとで補っていただきたいと思います。 ○清家部会長   資料についてのご質問について、事務局からお答えください。 ○篠崎補佐   まず、2頁目の平均派遣料金については、日給換算したものです。所定労働時間が40 時間以上をどう捉えるかというのは、まさにアンケートでそういう区分をしています。 本来、所定労働時間が50時間というのは、たぶんおかしいのではないかという趣旨だ と思いますが、40時間ピッタリのものが中心にあるのではないかと思います。3頁の一 般事務等々の記載ですが、事務用機器操作というのが、いわゆる26業務の5号業務な ので、一般事務はそれ以外のもので、26業務ではないわけです。 ○坂口課長   一般の労働者との違いについては、また別途精査して整理したいと思います。 ○輪島委員   40時間以上というのは、40時間が多いだろうと好意的に解釈すればいいわけですね。 ○清家部会長   質問項目が40時間以上になっていますね。よろしいですか。それでは最初の「派遣 労働の現状」から議論をしていきます。量的に拡大しているというところです。ここは 事実の確認ですが、何かご感想的なことでもありましたらお願いします。 ○池田委員   3頁の賃金の形態についてです。月給が54%、時間給が28%、その平均賃金が23万 円となっていますが、これは収入ですか、それとも所得ですか。常用型ですから、源泉 徴収をやられているはずですが、その辺はどのように見ているのか。それが1つ目です。 2つ目は、4頁の登録型派遣労働者の属性の中に、賃金が1ヶ月平均18万円、年間に 直すと216万円ぐらいで、常用型は279万円となっていますが、これも収入ですか。社 会保険とか、そういうものは引いていませんよね。 ○篠崎補佐  これは調査票の設計で、そこまで詳しくは記載していないのですが、通常であれば、 税引前の収入を書くという趣旨で、一応作っています。ただ、実際書く方が間違いでと いうか、引いたものを書くケースも稀にあるかもしれませんが、事務局としては税引前 の収入と考えています。 ○池田委員   収入ですね。わかりました。 ○清家部会長   これも数値の確認です。派遣労働者数と常用換算と両方出ていますが、もう1つは、 時々使われるのは労働力調査の詳細結果等で120万とか、そういう数字が出ますが、こ の違いはいわゆるアクチュアルベースとユージュアルベースというか、労調の場合は、 アクチュアルベースですからその時点でスパッと切ったわけで、こちらの227万人とい うのは、過去1年間に1回でも、といった形の調査になっているということで、その違 いということで理解してよろしいですか。 ○篠崎補佐   はい、それで結構です。 ○清家部会長   通常はどうなのですか。もちろんそれは分析の目的によって違うということなのでし ょうけれども、派遣労働者が何人という場合には、こちらの数字を使ったほうがいいの ですか。 ○坂口課長   いまのアクチュアルベースの労働力調査の数字が、経年的な比較という意味では以前 の数字がなかなか取れていないという部分もあって、こちらの年間就業経験があるとい う意味での労働者数が、過去との比較で、制度改正以前とか、そういった形でユージュ アルベースで比較ができ得るので、もっぱらこういう形で使っている派遣労働に限って 状況をご報告するときには、この数字を使っているケースが私どもとしては多いのです。 部会長がご指摘のように、全体の雇用者との比率であったり、非正規の他のパートの人 数との比較という意味でいくと、現在どういう状況かということになると、労調のほう が他との比較がしやすいわけです。 ○清家部会長   それではあとで話が戻るかもしれませんが、ここは基本的には調査結果の属性がどう だったかという整理ですので、次に派遣労働という問題について、派遣労働者がメリッ ト、デメリットをどう考えているのか。また、それが登録型派遣と常用型派遣でどう違 うのか、といったことも含めて議論していただきたいと思います。 ○輪島委員   5頁の派遣労働者の派遣スタッフの考え方で、先ほどのご説明では「働きたい仕事を 選べる」「正社員として働きたいが、就職先が見つからなかった」ということで、ポジテ ィブな理由とネガティブな理由を2つ並べています。3つ目以下の点から言うと、「仕事 がすぐに見つかるから」「働きたい曜日や時間が選べるから」「仕事の範囲や責任が明確 だから」「働く企業や職場を選べるから」「自分の能力が生かせるから」という意味合い で、全体的に派遣スタッフとして派遣という働き方を選んでいる理由は、2つ目の「正 社員として働きたいが、就職先が見つからなかった」という以外は、かなりポジティブ なのではないかと思います。その点で、派遣という働き方の評価は、私どもとしてはそ ういう理解であるというのが第1点です。  むしろ私どもが考えなければいけないのは左側の派遣先の理由です。「コストが割安な ため」というのが32%あったり、「教育訓練の必要がないため」「雇用調整が容易なため」 というところを注意して見なければならないところだと思います。全体的に前の段階で、 常用雇用労働者や登録型の派遣スタッフとしてのモデルという意味合いでは大まかには 掴めると思いますが、このように大まかに掴んで、評価する部分と評価できない部分と 個別にいろいろ問題が出てくるのはここには載ってこない部分なので、それを今後どの ように議論するのかということが重要だと思います。 ○長谷川委員   3頁の常用派遣労働者の属性は、若年男性が多いのが特徴であるとお互いに確認でき ると思います。8時間労働、週休5日、月給ということで、若年の男性は常用型派遣労 働のところにいる。4頁の若年女性は登録型派遣が多く、労働時間も7時間、時間給が 多いということで、やはりここに男女の差別があり、これは女性の差別だと思いますの で、これをどのように見るかだと思います。おそらく均等分科会で議論すれば、女性は こういう形でいまだに働かされているという指摘がされてくるのではないか。派遣の中 でも常用型派遣と登録型派遣があり、男女の働き方、働かされ方の違いが出ているので はないかと思います。平均賃金で言えば、常用型が23万円、登録型が18万円というと ころにも表れています。雇用保険に関しても常用型は92%ですが、登録型は85%とい うことで割合が低い。健康保険もそうですし、年金もそういう状況であることははっき りしていますので、ここは認識しておくことが必要だと思います。  教育訓練では、「受けていない」が常用型は39%ですが、登録型は55%である。採用 時の教育訓練も、常用型は22日ですが、登録型は3日ということで、登録型の割合が 低いことは非常に歴然としています。  5頁については、輪島委員がお話されたことはそうだなと認識しつつも、「働きたい仕 事が選べる」が40%というのは、私もそうだなと思います。派遣で働く人というのは、 どこかの会社に雇われて、自分の苦手な所に配置されて、仕事ができなくて鬱々してい るよりは、むしろ登録型派遣で、自分の仕事内容を選んだほうが自分らしく生きられる というのはよく理解できます。通常の労働者ですと、4年に一遍とか、必ずローテーシ ョン人事が行われますから、自分の苦手な仕事に当たれば6ヶ月ぐらいで逃げ出したい と思う人もいますので、そういう意味でここもはっきり出ていると思います。  「正社員として働きたいが、就職先が見つからなかった」が33%ということで、それ を受けて次の仕事がすぐ見つかりますから、登録型派遣は、ハローワークよりもずっと 早いです。ネットでパッと見て、3社ぐらいにやっておけばどこかに引っかかる。登録 型も40歳を過ぎますとなかなか見つかりませんが、20代、30代は見つかると思います。 家庭があって、お子さんがいる人たちに登録型派遣が多いのは、曜日や時間が選べるか らなのではないかと思います。  しかし、「正社員で働きたいが見つからない」が33%というのも一方であって、そう いう人たちが早く見つけられるので流れてきているのと、家族的責任を負っている人た ちが派遣を選んでいるのは、こういう理由だと思います。一方で経営者は欠員補充に必 要な人員を確保できるというのは、順当な理由だと思います。しかし、「コストが割安な ため」が32%あるのはどうなのか。そもそも派遣労働というのは、専門的な技能を持つ 人に対してというのがもともとの趣旨ですので、そういう意味では特別な知識・技能を 必要とするためというのは本来多いはずですが、これが25%しかないのは、1985年に 派遣法が想定したものと、現在違う形になっているのではないか。1985年の法律、1999 年の改正、2003年の改正と派遣法が変遷していくわけですが、その中で派遣法でいう派 遣労働者の活用に関しては、当初と違う方向にきていることは、これらのアンケートの 中でも見ることができるのではないかと感じました。 ○北村委員   長谷川委員のおっしゃったことに関連してですが、「仕事がすぐに見つかるから」とい うのを挙げているのは、かなりハードルを下げていると思います。ですから、これはダ ブルミーニングと言いますか、すぐに見つかるから派遣がいいという考え方と、本来だ ったら正社員になりたいが、正社員のチャンスを待つことはできないというプラス・マ イナス両方の立場が、実情を見ているとあると思います。  私が非常に知りたいと思うのは、ちょっと遡るのですが、3頁、4頁の年齢・性別の ところです。特に登録型派遣の場合、最初のポリシーというのは、ある程度トレーニン グを積んでベテランになった人がその特技を生かしてということでスタートしたと思い ますが、これで見る限り、非常に若年者が多いのです。  ということは、例えば大学生の就職問題を見ていても明らかなのですが、はなから派 遣に出るという方が非常に多くなっているわけです。そうすると、派遣法が施行されて ちょうど20年になるわけですが、この間、年齢的に見てどこに塊があるかがもし分か ると、はなから派遣なのか、当初言われていたポリシーのとおりにトレーニングを積ん でベテランになって、その特技を生かしてというパターンが継続しているのかというこ とは、きちんと把握できると思うのです。実情を見ていると、もうはなから1つの選択 肢として機能してきていると。  さらに、その20年というのは、20年の実積があると同時に、20年しかないので、そ ういう職業生活のスタートをした人が中高年に差し掛かった時に、どういう変化をして いくかはまだ見られないところがあると思います。私は、どちらかと言うと、登録型の 世界しかよく知らないのですが、いま、非常に40歳代ぐらいのそういう働き方をして きた女の人たちが抱えている不安は大きくて、実際チャンスが少なくなっていることを 考えると、はなから派遣で働いた人たちの今後は、かなり真剣に考えられなくてはいけ ないし、そのために、付加価値を付けていく作業がとても必要になるのではないかと感 じています。 ○輪島委員   いまの長谷川委員と北村委員のご発言を踏まえてです。「仕事がすぐ見つかるから」と いうところで、おっしゃるようにダブルミーニングがあるのかもしれませんが、そもそ もこの部会も需給制度部会ですし、そもそも派遣という仕組みは労働力の需給調整をす るためにこの制度があるわけで、そういう意味で、仕事がすぐ見つかるという機能を果 たしていることについて、これだけ評価があるということは重要なポイントなのだろう と思っています。  「採用コストが割安なため」というのも、もう少しブレークダウンしなければいけな いのだろうなと思いながら先ほど申しましたが、基本的に大学新卒等の採用を見ている と、企業の採用コストはすごくかかっているわけです。そういう意味でのコストも含ま れて、コストが割安なためということもあるのではないかと思っていて、派遣スタッフ の派遣制度を利用することによって、コストが安いということだけではないだろうと思 っています。  そもそも20年を振り返ってどう評価するのかということになるのかもしれませんが、 しかし、その99年改正と2004年改正を見てみれば、99年改正は、基本的にはILO 96号条約を破棄して、181号条約を批准するための改正法であったということで、そう いう意味からすれば、181号条約がILOで採択されたのは、やはり世界的な流れで、 基本的には、日本国内で言うネガティブリスト方式に変わっていくということですから、 そこのところで世界の流れに乗って改正していることは重い意味があるのだろうなと思 います。  2004年改正も抜本的な改正であったわけですが、99年改正と2004年改正で考える べきは、長谷川委員がおっしゃった、そもそも派遣という働き方が専門的、技術的な業 務で、13業務から始まって、現状26業務になっていることと、99年改正に伴って、自 由化業務をくっ付けて、今の派遣法がいわゆる二階建て方式になっていて、26業務の中 を見ると、いろいろな問題があるし、自由化業務の中を見れば、いろいろな問題がある というところの整理をしていないのが課題で、そのための整理が、ある意味では今回の フォローアップなのだろうなと、私どもとしては思っています。  ですから、いろいろな課題があって、それを今度整理したうえで、まさに、こういう ような20年を振り返る議論は審議会でしてきてはいないと思うので、それを踏まえた 抜本的な方向性、何がどうあるべきなのかを、やはり議論していくことが重要なのだろ うなと思っています。 ○北村委員   20年ということで、もう一言付け加えたいのです。ちょっとこの派遣法そのものの論 議から外れるかもしれませんが、いま少子化ということが非常に言われていて、団塊ジ ュニアと言われる人たちは、人口としてはかなり膨らんだところですが、その人たちが 産むか産まないかというのが今後の流れを決めるだろうということで、彼らに対する期 待は非常に大きいわけです。ちょうど彼らが学校を卒業するころに、高校とか大学とか、 バブルがはじけて、就職の機会に恵まれなかったという事情があります。そのかなりの 部分が、いまここで30歳代の派遣の形に流れています。  そうすると、法の精神としての是否とは別に、一方で、現実にその人たちが就業の機 会、安定賃金に恵まれずに、家庭を持てないとか、子供を持ちにくいという状況がある わけです。そういう非常に現在の社会の流れみたいなものも、方法としては、何か勘案 していく必要があるのではないかと私は感じます。 ○池田委員   先ほど常用型と登録型で、月収が18万円と23万円と言われました。アンケート調査 の6頁を見ますと、派遣労働という働き方についての考え方の(2)にメリット、デメリッ トがあります。デメリットの中で見ますと、「賃金水準が低い」が約29%です。これは おかしいなと私はちょっと思っているわけで、先ほどから言っているのは、収入が年間 279万円、280万円、あるいは月収18万円だと、年収は200万円ちょっとですね。は っきり申し上げて、いまいちばん大切なのは税金の問題があります。定率減税もなくな ってきますし、社会保険の保険料も上がってくるわけです。そういうものを引いて、所 得税だけでも、大変な額になるわけです。そのほかに住民税と県民税、東京都でしたら 都民税を払うと、去年の2.6倍ぐらい住民税が上がっているわけです。ですから、実際 に手取りで使える賃金は、私もいま計算ができませんけれども、相当低くなると思いま す。その中で、なぜ29%ぐらいなのか。私は、40%を超えるのではないかと思っていた わけですが、それがないのです。  あまり言いたくもありませんが、小泉内閣の5年間のいちばんの問題は格差です。あ まりにも貧者と福者が離れて、そのいちばん典型的なものが派遣だと位置づけなければ ならないと思っているわけです。そして、これから拡大、拡大ということになれば、先 ほど言ったいろいろな問題、少子化、子供を産んだり、安心・安全などあらゆる問題が この賃金から発生すると思っています。そうして、こういう働き方が本当にいいのかな ということを、やはりもう一度考えていかないと、277万円、これから300万円、400 万円となっていけば、少しおかしな、いびつな社会ができてくるのではないかと、大変 私は心配しております。以上です。 ○成宮委員   いまの議論ともちょっと関連するのですが、改めて働き手側の価値観と言いますか、 物の考え方の幅の広さを、こういう数字を見ていると感じます。  例えば、いま池田委員がおっしゃった賃金水準の問題が出ていますけれども、例えば 8頁で登録型、常用型を分けてあるとか、派遣労働のデメリットの3つ目のところで、 常用型の賃金水準が低いというのが出ている一方、登録型では具体的にその項目は入っ ていない。前の7頁で見ると、メリットについて、登録型のほうが常用型よりも10ポ イント以上多かったのは「賃金水準が高い」ということです。ところが、賃金水準その ものは、先ほどの23万円、18万円で、登録型のほうが低いわけです。ただ、それは賃 金水準に置いている価値観がだいぶ違うということです。  ですから、働き手のほうにも、いろいろな価値観の多様化がますます広がっていて、 そういったものをどう受け止めた制度にしていくのか。一方で、先ほど来北村委員がお っしゃっているような日本の労働力、生産性の問題という観点から、果たして社会全体 としてそれをそのまま受け入れていくのが本当にいい道なのかどうかというのは、また ちょっと別の観点で考えなければいけないところがあるということで、なかなか難しい 問題だと改めて痛感しました。 ○鎌田委員   成立してから20年経って、その大きな改正もいくつかあったわけです。感想ですが、 やはり派遣の問題を考える場合に、その成立前のこともちょっと考えなければいけない と思っています。それは、派遣というのは禁止されていたということです。戦後、ご存 じかと思いますが、職安法44条の労働者供給事業は禁止されておりました。いわゆる 第三者に派遣する、供給するのは禁止されておりました。ところが、実際には産業界の 中で、当時は業務処理請負業という言葉で言われていたのですが、多彩な多様なそうい った人材サービスというのが、実は水面下で広く行われていました。この派遣をめぐる さまざまな動きは、実業界、産業界の中の人材サービスのいろいろな活躍、活動の意義 を認めながら、なお法の制度からいうと禁止という非常に大きな強い網がかかっていま した。それをどう受け入れていくかという歴史だったと思います。  少しイタチごっこと言いますか、最初に、1985年に作った時には、専門職派遣で、あ る意味では、ちょっと理念の中で認めていこうということが強かったと思います。その 禁止はすごく大きなプレッシャーと言いますか、前提条件ですから、当時は、派遣法が できても、その派遣を禁止するという意見は非常に強かったと思います。それが徐々に、 この需給制度として認められ、それから働き方としても受け入れられてきました。いろ いろな問題があるということは否定できないと思いますが、受け入れられてきました。 そして増えてきました。99年改正は、先ほど輪島委員が二階建てという言い方をされま したが、当初案は、禁止という中から取り出して、これだけは意味があるから認めまし ょうと、いわゆる自由化業務、まさに派遣という働き方、あるいはその活動を正面から 認めるということで、この時初めて派遣が、いわば例外、継子扱いから正面から認めら れたと私は考えています。おそらくこの99年改正が通ったというのは、派遣は逆戻り しないと。派遣は全面禁止をしようという意見は、いまでもあるとは思いますが、おそ らく社会の中ではかなり小さな部分になっていて、やはり派遣のこういう働き方は、い ろいろな問題を抱えながらも、正面から位置づけて考えていこうと、そして、それは1 つの選択肢として認めようということを、社会としても認めたと私は思います。  それで、もう禁止という後戻りはないと。それでもまだ私の感じでは、ある大きな部 分については、派遣の適用範囲は狭められた。それは製造業だったのです。諸外国の例 を見ますと、事務系の派遣は、圧倒的に女性なのです。ところが、製造業は男性なので す。ですから、派遣は、日本では女性の職場というイメージが強いのですが、製造業を 開きますと、男性の派遣労働者は増えていくというのが諸外国の例です。  そこで抱える問題も、事務系とかなり違った、例えば労災とか安全衛生は、もう本当 に大変な問題になってきますから、抱える問題も非常に大きな問題になってくるという ことで、今度の2004年の改正で、まさに本当に派遣の働き方が、日本の社会の中で定 着しました。  定着したという意味では、私はポジティブに考えていますし、そういう時代の流れと 言いますか、世界の趨勢からいっても納得できることですが、改めて振り返ってみると、 この派遣は本当にいろいろな問題を抱えているなという感じはします。  ただ、その時に注意しなければいけないのは、派遣固有の問題もありますが、例えば 雇用の不安定には契約社員とか有期の問題も絡んでいますし、非正規の問題も絡んでい ますし、いわゆる偽装請負と言いますか、請負業者の元で働く人たちの問題との共通性 も持っています。  これをなぜ強調したいかと言いますと、派遣だけガチガチに規制したり何かしていく と、その横にはみ出てくるというのは必ず出てくるのです。この典型が製造業だと思い ますが、製造業はしばらく派遣を禁止していました。そうすると、禁止して効果がある といいのですが、禁止した分それが闇の世界へ流れていくことがあるのです。  それは徹底的に叩けばいいという議論もあるのです。もちろんそういう側面もあると 思います。しかし、アウトソーシングが広く活用されている経済のグローバル化の中で、 企業がいろいろ苦労をされている中で、そういうものを活用している中で、そういった 視点もやはり失ってはいけないとすると、良いアウトソーシング、請負と、そうでない のと、本当にまさに労働者にとって不利益なものは、やはり切り分けていくというよう に考えるしかないと思います。  ですから、派遣の問題だけに焦点を絞って、派遣だけを何か厳しくしていけばしてい くほど、緩やかで規制のないところにはみ出ていくイタチごっこが今度は始まってくる という問題だと思います。そういうところを注意しながら、この派遣労働に対する評価 と派遣の法的規制を今後総合的に考えていかなければいけないかな、というのが私の感 想です。 ○長谷川委員   いまの鎌田委員の意見は、私どもも派遣についてそのように思っています。例えば 1985年に派遣法が成立して、99年、2004年改正があったわけですが、それを全部引っ 繰り返して、派遣をやめてもらえばいいなどという大それた議論は非常に難しいと思っ ています。  ただ、非正規の問題、要するに格差の問題がいま非常に議論されていて、雇用では正 規と非正規の格差が起きています。それは処遇、年金というところにも、結果として起 きてきます。非正規と言われるのには、基本的には期間の定めのある雇用だと思います。 期間の定めのある雇用とパートタイマーであり、派遣であり、請負であり、契約労働者 が、ある意味では、非正規の特徴的な働き方だろうと思います。  そういう中で、派遣をもう少し見た場合に、トータルな議論をやらなければいけない と思いますので、それは労働条件分科会で、いま労働契約法の議論もされておりますの で、そういう所で契約のあり方の議論の中で、有期契約の問題などは議論したほうがい いのかなとは考えています。  今日のこのアンケートで見ると、5頁で、今後希望する働き方として、登録も常用も 入っているのですが、正規社員として働きたいが27%で、派遣労働者を続けたいが27% と、同じ数字が出ています。ということは、先ほど見たように、派遣で働きたいという 人も事実いるのです。変な所に配置転換されたり、変な所に出向させられるぐらいだっ たら、やはり派遣で自分で選びたいとか、時間を選びたいというのがあります。  そうすると、ずっと派遣で働いてきた人が、正規で働きたいという人に対して、派遣 法の中で、どういう手立てができるのかということと、今後も派遣労働者を続けたいと いうことは、先ほど北村委員がおっしゃったように、もしかしたら60歳まで派遣で働 くと思うのです。でも、いまの派遣の現状から見たら、おそらく40歳を過ぎたら、派 遣の話はすごく少なくなってしまいます。いまは20歳代、30歳代で、40歳になったら ガクっと少なくなります。そうして、ずっと派遣で働きたいというこの27%の人たちに、 どういう手立てができるのかが重要なのではないかと思います。  8頁で、登録派遣と常用派遣でデメリットの出方がやはり違っていて、それはその特 徴がよく現れているのだと思います。登録のところが雇用が不安定、将来の見通し、収 入ですが、これに対して、どういうフォローアップが必要なのか。常用派遣に対しては、 将来の見通し、技能が向上しても評価が上がらない、賃金水準が低いということに対し て、どういう形でフォローアップできるのかということも、ある意味では、これ以降の 議論の中で必要なのかなと思います。  パートの均衡処遇は比較的分かりやすいわけです。労働時間が短いわけですから、時 間当たり換算すればいいのですが、この評価の問題、賃金の問題は、派遣労働者の場合 は、どうフォローしていったらいいのかが大きな課題なのではないかなと思います。  今回のこのアンケート結果をきちっと分析しながら、フォローアップできるものに対 してはフォローアップして、今回のゾーンでできない部分については、やはり早急に検 討していくことをしないと。今回の2頁で、派遣事業はすごく拡大していて、もうかな り広がっていて、派遣で働く労働者も非常に増えているわけです。多様な雇用・就労形 態が非常に続いていて、いろいろな労働者がいるわけですから、その中の1つの派遣に 対しては、やはり今回出されたアンケートに対して、審議会としては、できる限りフォ ローアップすることが重要なのではないかと思います。 ○輪島委員   私も大体、方向性としてはそういうことかなと思っていますが、最後のほうに均衡の お話が出たので、そこのところだけコメントを付けようかなと思います。どことどこを 比べるのかは難しい話で、先ほどのように、派遣のメリットで、働きたい仕事の内容が 選べる、働きたい時間や曜日を選べるというポジティブな働き方ですが、そこと派遣先 の労働者と比べた時に、仕事の内容が同じだから処遇も同じなのかとなると、そこはや はり難しい話なのだろうなと思います。パート・アルバイトの均衡処遇も、私どもとし てはかなり難しいと思っていますが、派遣は、さらに比べるものの中身が難しいのでは ないかとは思っています。ただ、教育訓練とか、これまでやってきた福利厚生施設とか いうものの手当てを中心に拡大を図っていくということは大変重要なのだろうなとは思 っています。以上です。 ○清家部会長   ほかにいかがでしょうか。それでは、今日いろいろご意見が出まして、特に派遣労働 の働き方についてはさまざまな見方があることは、今日の議論でも分かったと思います ので、本日の議論も参照にしつつ次回以降、またいろいろ議論していきたいと思います。  今日、皆様方のお話を伺っておりましても、基本的には、先ほど鎌田委員が整理され たように、この派遣のような働き方が、さまざまな理由で存在し、増えてきていること は事実なわけです。それを、元に戻すということはなかなか難しいかもしれません。鎌 田委員も言われたように、良い派遣と悪い派遣と言いましょうか、派遣という働き方が あるとすれば、できるだけそこの働く環境を、公正でより良いものにしていく視点が重 要なのかなと思いました。  コストについては、確かに採用コスト、訓練コストが、派遣を雇うことで軽減できる のは当然だと思いますが、一方で、何か、例えば派遣という形で雇うと、さまざまな形 でコストが安くなってしまうようなことがあったりすると、それは、またちょっとおか しなことですから、その辺は、例えば社会保険とかいった政策的な部分も含めて議論す る必要があるのかなと思っております。  あまり議論を拡散したくないわけですが、おそらくこの派遣という働き方を考えると、 必ず雇い主側、労働側双方からだと思いますが、正社員という働き方と言いますか、あ るいは正社員という雇用形態のいまのあり方も、当然レファレンスとしては出てくるか と思います。  今日、かなり本質的な議論を活発にしていただきまして感謝しております。今後の各 論についての議論と関連してくると思いますので、事務局におかれても、今日の議論を 少し踏まえて、次回以降の各論の議論の整理も行っていただきたいと思っております。 そういうことでよろしいですか。 (了承) ○清家部会長   次に、一般労働者派遣事業の許可の諮問に移ります。冒頭申し上げましたように、傍 聴されている方については、ここでご退席いただきたいと思います。また、高橋職業安 定局次長も所用により退席されます。 (傍聴者・職業安定局次長退席) ○篠崎補佐    次回の部会ですが、9月15日(金)午前10時から12時、場所はこの安定局第1会 議室を予定しております。よろしくお願いいたします。 ○清家部会長   以上で、第88回労働力需給制度部会を終了いたします。なお、本日の署名委員は、 雇用主代表輪島委員、労働者代表池田委員にお願いいたします。皆様どうもありがとう ございました。        照会先  厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係  〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL03(5253)1111(内線5747) FAX03(3502)0516