06/08/24 第40回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第40回 労働政策審議会 職業安定分科会 1 日 時 平成18年8月24日(木)15:00〜17:00 2 場 所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委 員(公益代表) 諏訪分科会長、大橋委員、椎谷委員、清家委員、宮本委員 (労働者代表) 池田委員、市川委員、成瀬委員、長谷川委員、堀委員 (使用者代表) 石井委員、石原委員、紀陸委員、成宮委員、山極委員 尾崎委員代理(吉免氏)       事務局 高橋職業安定局次長、大槻審議官、生田総務課長、 勝田雇用政策課長、宮川雇用保険課長、内田雇用開発課長 4 議 題 (1)職業能力開発促進法及び中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の 創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行に 伴う省令及び告示の改正等について(諮問) (2)雇用保険制度の見直しについて(報告) (3)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問) (4)人口減少下における雇用対策の検討について(検討依頼) 5 議事内容 ○諏訪分科会長 皆様、こんにちは。大変お暑い日が続いていますが、お忙しい中ご参 集いただきまして大変ありがとうございます。ただいまから開会いたします。 (出欠状況報告)  職業安定分科会に所属する委員の交代及び当分科会の下に置かれている部会に所属す る臨時委員の交代がありましたので、その報告をさせていただきます。交代後の名簿は お手元に配付してあります。新たに当分科会の委員になられた方の紹介をさせていただ きます。職業安定分科会の公益代表委員です。小幡委員に替わって、放送大学教養学部 教授の宮本委員がご就任されました、どうぞよろしくお願いいたします。 ○宮本委員 宮本でございます。 ○諏訪分科会長 また、分科会におかれる部会に属する臨時委員などについては、労働 政策審議会で、第7条第2項の規定によって、分科会長である私が指名することとなっ ています。雇用対策基本問題部会の公益代表委員です。それについても小幡委員に替わ って宮本委員にお願いしています。  議事に入ります。最初の議題は、「職業能力開発促進法及び中小企業における労働力 の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部 を改正する法律の施行に伴う省令及び告示の改正等について」ということです。事務局 からご説明をお願いします。 ○雇用開発課長 雇用開発課です。中小労確法の改正が能開法の改正とセットで、先の 国会で成立しまして、10月1日が施行日となっています。この施行に向けて、労確法の 関係の省令と告示について、所要の整備をするものです。  資料No.1です。資料No.1−1で、中小労確法の体系について簡単に説明します。目的 にあるように、中小企業における労働力の確保と良好な雇用の機会の創出のための雇用 管理の改善という目的の下に、所管大臣によって基本指針を策定します。この基本指針 の部分についてが大臣の告示事項になります。さらに、事業協同組合とか、個別の中小 企業者が、大臣指針に沿って雇用管理改善の措置に関する取組を行おうとする場合につ いて、改善計画を策定します。それで都道府県の知事の認定を受けた場合について、下 の「認定の効果」にありますが、雇用保険法に基づく雇用管理改善等の取組に対する助 成及び援助。それから、これは経産省側の措置になりますが、中小企業信用保険法の特 例、あるいは中小企業投資育成株式会社法の特例、また、当省所管の施策としての委託 募集の特例措置、こうしたものが受けられるようになるという枠組です。  資料No.1−2です。今般の中小労確法の改正内容です。法律の改正内容は2つで、1 点目が第4条関連です。改善計画について、記載にあるような現行の3つの類型に加え て、2007年問題を踏まえて、実践的な職業能力の開発、向上の必要な若者に対して、例 えば雇入れ、適切な訓練機会の提供、あるいは定着への取組といったような、良好な雇 用機会となるような取組を行った場合についての計画というものを追加して、事業協同 組合とか、個別の中小企業者が行うこれらの取組について支援をしていく枠組をつくっ たところです。  2つ目が、第13条関連として、委託募集の特例です。現行において、体制等が十分で ない中小企業の募集活動の円滑化という観点から、事業協同組合等が改善計画の認定を 受けている場合に、個別の中小企業者がそれぞれに許可を取らなくても、その事業協同 組合等が大臣に届け出ることで委託募集が行える、これが現行の特例であるわけですが、 これに加えて、個々の中小企業者が改善計画の認定を受けている場合では、その上部団 体の事業協同組合等が改善計画の認定を受けていなくても、当該団体が承認を受けた形 になれば、届出によって委託募集を行うことができるという、委託募集の特例措置の追 加です。この2つが改正事項です。  これによって、改善計画の認定を受けた場合について、人材確保が積極的に行われる という形になりますが、こうした委託募集の特例の追加に伴って、申請手続きについて 省令上の整備を行う必要があります。これが省令事項になります。併せて、これに関連 して委託募集を行える事業協同組合等に対する大臣の承認の基準について、告示で定め る必要があります。  次の頁は、法改正に伴って適用となる助成措置についてで、大きく2つです。1つが、 Aにあるように、技能継承の受け手となる若者について試行雇用を行う場合に、「試行 雇用奨励金」を支給するという内容です。今回新たに法律で追加された、「青少年雇用 創出計画」の認定を受けた事業協同組合等の構成中小企業者又は個別の中小企業者であ って、ハローワーク等に求職申込を行っている35歳未満の若者に対して、技能継承の受 け手となる人材としてトライアル雇用を実施するという場合について、現行の試行雇用 奨励金と同様の枠組によって、所要の助成を行うというものです。  この支援によって、求人、求職の両者がお互いを知ってもらう機会をつくります。こ れによって円滑な人材確保を進めることを図っていきたいと考えています。  2つ目の助成措置は能力開発関係の助成金です。若者に実践的な職業能力、熟練技能 を習得させるための職業訓練を行う場合の助成です。具体的には、「中小企業雇用創出 等能力開発助成金」の一部を拡充して、以下にあるような取組経費を支援するものです。 具体的には内容のところにあるように、いままではOFF−JTの支援でしたが、一部 OJTについて、OB等を講師にしたOJTに係る講師謝金を支援の対象にしていきま す。併せてOFF−JTについて、ここに記載されているような経費について支援して いくものです。この2つの助成、援助措置の規定について整備することが、今回の省令 事項になります。以上が主な整備の内容です。  資料No.1−4です。以下が諮問ということになります。まず、省令上の整備の1点目 は、中小企業労確法に基づく委託募集に関する省令の一部改正です。先ほどご説明した ように、委託募集の特例の新たな類型ができました。大臣の承認を受けようとする事業 協同組合等の申請手続きについて定めたものです。具体的には、こうした申請を行おう とする事業協同組合等は承認を受けたいという旨を、それから同項の基準に係る事項を 記載した申請書を主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長を経て、厚生労働 大臣に提出するという所要の手続きを定めるものです。施行期日については平成18年 10月1日からということで予定しています。  資料No.1−5で、省令事項の2つ目です。助成措置に関する雇用保険法施行規則の一 部改正です。2つありまして、1つ目は「試行雇用奨励金制度の改正」です。現行の試 行雇用奨励金制度の枠組を使って、その対象者を追加するという規定の整備になります。 具体的には試行雇用奨励金の支給を受けることができる事業主として、新たに次に該当 する事業主を加えることとすると。簡単に申しますと、35歳未満の者を安定所の紹介に より、または学校とか専修学校等の新規学卒者を、これらの学校長等の紹介によって、 改善計画の認定を受けた中小企業事業主等が期間を定めて雇い入れた場合に、これを対 象にしていくというものです。  次の頁です。2つ目は「キャリア形成促進助成金制度の改正」です。中小企業の雇用 創出等能力開発助成金については、省令上キャリア形成促進助成金の一部と位置づけら れていますので、表題はこのような形になります。(1)は先ほど説明したOJTに係 る講師謝金についての支援を省令上位置づけるものです。改善計画の認定を受けた中小 企業者が、この計画に基づいて、熟練技能等を習得させるための職業訓練を行う場合に、 OJTに係る経費の一部を支援することを(1)で規定しています。  (2)は、今回新たに計画の類型として設けられた青少年雇用創出に基づき、熟練技 能等を習得させるための職業訓練などを行う中小企業事業主を、(1)で書いてあるO JT支援その他を内容とした、中小企業雇用創出等能力開発助成金を新たに適用してい くことを規定した部分です。これについても、施行期日は今年の10月1日を予定してい ます。以上が省令事項です。  続いて資料No.1−6で、大臣告示事項です。2つありまして、1つ目が委託募集の特 例措置に関して、大臣が事業協同組合等に対して承認を行う場合に、その承認基準を定 めるものです。今回定めようとする基準ですが、同様の委託募集の特例に係る規定を有 する法令があり、そうしたものに準ずる形で必要な事項を定めるものです。具体的には、 傘下の中小企業への情報提供や相談などの援助に取り組んで、言わば傘下の企業のため に一肌脱いでくれるような団体を承認していこうというものです。  具体的には、1のイ、ロとあって、イは、認定を受けた改善計画に基づいて、労働者 を確保したり、代替要員を確保することを容易にするための取組を行う。ロについては、 確保した労働者の雇用管理の改善のための講習会等の取組を行う。こうした事業を行う 場合について、承認をしていくものです。  2としては、こうした事業を行うのに適当と認められる事務処理等の体制が整備され ていること。3として、委託募集を行うに当たって、その募集に係る労働条件、その他 の募集の内容が適切なもので、かつ、労働者の利益に反しないことが見込まれる。こう したものを承認基準にすることで考えています。  続いて資料No.1−7で、告示事項の2つ目です。労確法第3条に規定する基本指針の 改定で、現行指針は前回の平成10年の法改正に伴って定められていますが、この指針を 今回の改正に合わせて改定しようというものです。後ろに資料No.1−8として、新旧対 照表を付けていますので、これを参考として必要に応じてご覧いただければと思います。  基本指針は、大きく前文と、第1、中小企業における経営と雇用の動向、いわゆる現 状分析部分です。第2として、中小企業が行う雇用管理改善に係る措置の内容、これは 中小企業が取り組むことが望ましい事項を挙げている部分です。第3として、第2に記 載した事項の他に中小企業が配慮すべきことを挙げています。このような構成で書かれ ています。こうしたものについて所要の改定をしたものです。  まず1点目が、第1として現状分析に係る内容の更新です。これは指針の前文と、第 1の中小企業の経営と雇用の動向の部分に関する改定になります。最近における社会・ 経済情勢の変化や経営及び雇用に関する中小企業の現状を踏まえ、内容を更新すること を予定しています。  具体的には、現在雇用情勢が改善局面にあるという中で、人口減少社会の到来が現実 化した。そうした中で技能継承の問題が懸念されてきて、そうした懸念を踏まえた中小 企業の人材確保の推進が課題である。そうした旨のことを記載しています。  第2の部分が、中小企業が行う雇用管理改善に係る具体的な措置の内容の部分です。 ここには、具体的に、職場環境の改善、両立支援、その他措置ごとに取り組む内容を記 述しています。このうち、教育訓練の充実に係る措置について、主に内容を追加してい く予定です。  第1として基本的方向です。今般の青少年雇用創出計画の創設を踏まえて、中小企業 者が、青少年の育成に資する実践的な能力開発並びに労働者がその習得に相当の期間を 要する熟練した技能及びこれに関する知識の効果的かつ効率的な習得に資する能力開発 を行う、ということを追加することです。  第2が中小企業者が講ずることが望ましい措置です。以下の措置を追加することとし ています。1点目が、イとして、熟練技能の習得のために熟練技能等を有する労働者が 担当する職業訓練の実施、熟練技能等に関する情報を体系的に管理し、労働者に提供す ること等労働者が熟練技能等を効果的かつ効率的に習得ができるようにするための援助 の実施。ロとして、青少年の実践的な能力開発に資する措置として、実習併用職業訓練 の実施等、ここに書いてある措置の実施をすること。  (3)として、事業協同組合等が講ずることが望ましい措置として、個別の中小企業 者が実習併用職業訓練を実施する場合のカリキュラムの策定、その他所要の援助を実施 すること。  ニとして、その他の雇用管理の改善に関する措置の内容の追加です。ここに円滑な技 能継承の促進の観点から、所要の取組について追加する形にしたいと思っています。具 体的には、基本的方向としては、中小企業者が、円滑な技能継承に伴い必要となる雇用 管理の改善を進めること及び青少年の職場定着を図る、こうしたことを基本的方向とし て追加しています。  以下、そうした基本的方向に沿って、個別の中小企業者が講ずる措置について記述し ています。(2)が、受け手となる若年労働者が将来にわたって生きがいを持って働け るようにするための雇用管理制度の構築。(3)として、職業生活の将来設計モデルの 明確化及び職場の活性化を図るためのキャリア・コンサルティングの実施。(4)とし て、高齢者やパートタイム労働者の活用や能力発揮を促進するため、中小企業者が講ず ることが望ましい措置として、高年齢者雇用確保措置に加えて、可能な限り早い時期に 65歳までの安定した雇用を図るための措置の追加です。(5)として、採用した青少年 の職場の定着ということで、イの募集・採用段階における情報の提供と、入社前後のギ ャップの縮小のための措置、メンタルヘルスに配慮した相談体制、キャリアパスの明示 等の取組、こうしたものを行うことが望ましいという記述を追加していきたいと思って います。これについても、平成18年10月1日から適用ということで考えています。以 上です。 ○諏訪分科会長 本件についてご質問、ご意見がありましたら、ご自由にお出しくださ い。 ○石井委員 最後の資料No.1−7を含めて、全体の感じなのですが、「中小企業者」と いう言葉がかなり出てくるわけですが、中小企業者という対象は、どのような中小企業 者を意味しているのか。ここに非常に理想的な、このようにしたら雇用管理が改善され るということが書かれていますが、実際、零細企業になると、絵に描いた餅というか、 ここに書いてあるようなことをやっていくだけの人事とか、労務とか、担当する人を確 保すること自体が難しくて、中小企業というのは人材がいませんから、その中でこうい うことに取り組んでいこうということは頭の中にはあるのですが、かなり理想的な話に なるのではないかと思います。実質的に労働力の確保とか、良好な雇用の機会を創出す るために、どの程度役に立つのか、実際に経営する側の立場から見ると、いかがなもの かという感じがします。  我々、事業を経営しているものにとっては、何とかそういうものの努力はしています ので、このように義務づけて、そういう体制を整えていかなくてはいけないとか、ここ に書いてあるようなことを義務化することに対して、甚だ疑問に感じるのですが、いか がでしょうか。 ○雇用開発課長 まず、どういった中小企業者を対象にしているかですが、これは中小 企業基本法とも関係している法律で、中小企業基本法で定義されている中小企業になり ます。したがって、業種によって差があって、300人未満であったり、50人未満であっ たり、あるいは資本金も3億円未満であったり、1億円未満であったりといった形で、 業種によって差がありますが、いずれにしても大きなところは300人程度のところまで を想定した対策になります。  それから、この対策ですが、あくまでもこの中小労確法というのは、望ましい理想的 な、委員のおっしゃるような取組を示して、そうした取組を促進していくという観点で、 義務づけということにはなっていません。我々としては、こうした必要な雇用管理の改 善、望ましい雇用管理の改善をお示しして、そうしたものに取り組んでいただく場合に ついて、積極的に支援をしていくということですので、必ずしも義務というものではな いということです。お願いして、一生懸命取り組んでいただく場合について、私どもと してもご支援させていただくというものです。こういう位置づけであることはご理解い ただきたいと思います。  こうした支援策というのは、中小企業、特に小さなところでは利用できないではない かというご指摘もいただいております。確かに、規模が小さくなるほど人材確保は難し いという状況があって、零細企業ほど、こうした制度をうまく活用できるようにしたい という思いは、私どもも一緒です。なるべく使っていただけるようにするという観点か らですと、制度の説明もきめ細かく行うようにしていきたいと思っています。改善計画 などは都道府県知事の認定なので、事務として煩雑だというご指摘もいただいています が、直接助成措置を実施する雇用能力開発機構のほうで、取次を行う等の事務の簡素化 というものも図っていきますし、その周知等もきちんとやっていきたいと思っています。 そうしたことで、私どもがお示した取組について、義務ではありません。取り組んでい ただけるよう、私どもも支援をしていきたいと思っています。 ○石井委員 事業組合に対して、ある程度奨励金を出すということですが、こういうこ との実効性といううか、利用という観点から見ますと、私たちの実感からいうと、こう いう補助金ということに関して大変疑問に思うのですが、それはいかがでしょうか。 ○雇用開発課長 事業協同組合の取組というのは、かなりいろいろとやっていただいて いまして、私どもがつかんでいる例で言いますと、集団説明会、合同会社説明会、学校 訪問の共同実施、職場体験学習、進路指導担当者との懇談会、広報紙等もそうした事業 協同組合で、業界としてまとめてかなり取り組んでいただいている事例はあると思って います。  こうしたものに対して、積極的に支援することで、個別の中小企業では簡単には取り 組めないものについて業界として取り組んでいただいていると思っていまして、必ずし もバラ撒きにはなっていないと思っています。ご批判のようなバラ撒きにならないよう な形にするというのは重要で、そうした配慮をしながら、こうしたものもきちんと運営 していきたいと思っています。 ○石井委員 経済産業省で、中小企業政策審議会に出ている商工会議所のメンバーから 聞いたのですが、労働力確保及び良好な雇用の機会の創出ということに関して、経済産 業省でパブリックコメントを出していると。これが31日付でパブリックコメントを締め 切るのだそうです。経済産業省の政策審議会では、パブリックコメントを締め切った後、 国民からのいろいろな意見を咀嚼して、審議会でいろいろと意見をするという話になっ ているのですが、我々の分科会ではパブリックコメントの前に審議をするということに なると、国民世論の意見等を聞きながら議論をするのと、少しニュアンスが違ってくる ような気がするのですが、その辺はいかがですか。 ○雇用開発課長 パブリックコメントについては、経済産業省と共同で出していまして、 締切は8月末ということで、これは同様です。事務的な話になってしまうのですが、私 どももパブリックコメント締切の後に審議会を開いて、ご議論をいただくのが最も望ま しいと思っていましたが、当審議会が8月24日に開かなければ日程がうまくいかないこ ともありまして、こうした手続きになってしまったということです。パブリックコメン トの内容については、後ほどきちんとご報告させていただきます。 ○諏訪分科会長 他にご質問、ご意見はございませんでしょうか。特にないようでした ら、当分科会としては、「中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出 のための雇用管理の改善の促進に関する法律に基づく委託募集に関する省令の一部を改 正する省令案要綱」「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」「中小企業に おける労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関す る法律第13条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準案、告示案」及び「中小 企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善に係る 措置に関する基本的な指針の一部を改正する告示案要綱」について、これらを妥当と認 め、その旨を私から労働政策審議会会長にご報告申し上げたいと思いますが、そのよう な措置でよろしゅうございますか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。事務局から報告文(案)をお配りします。 (報告文(案)配付) ○諏訪分科会長 ただいま配付していただいたお手元の案のとおりですが、このような ことでよろしゅうございますか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございました。それではそのように報告させていただきま す。  次の議題に移ります。「雇用保険制度の見直しについて」です。本件に関しては、8 月8日に開催された雇用保険部会において、部会としての中間報告がとりまとめられま した。本来、その報告はまずは部会長から行うことになるのですが、私が部会長を兼ね ているところもありますので、代わって事務局からご報告をお願いしたいと思います。 ○雇用保険課長 部会長に代わって、事務局の立場で中間報告の概略をご説明します。 資料No.2です。2頁をご覧ください。1頁にありますように、平成18年3月3日以降、 6回にわたって雇用保険制度の見直しについて議論を重ねてきたところの中間的な結果 を、中間報告としてまとめたものです。ボイントをご説明します。  第1の雇用保険制度の現状です。(1)の最初の○にあるように、雇用失業情勢の改 善が進んでいる中で、需給者実人員が減少してきています。3つ目の○にあるように、 失業と給付に係る財政状況を見ると、収支は平成15年度からプラスに転じて、平成16 年は7,962億円となりまして、平成17年度も引き続きプラスが見込まれます。これによ って積立金残高も増加し、平成18年度末予算ベースでは、約2兆5,000億円となってい ます。このように、積立金が枯渇しかねなかった状況から、急速に改善しています。  (2)は雇用保険三事業の状況です。三事業については、特に平成16年度を初年度と して、PDCAサイクルによる目標管理を徹底し、支出は減少傾向にあります。予算ベ ースで見ると、支出額は平成13年度以降6年連続でマイナスで、平成18年度は4,167 億円で、この7年間で約6割の水準にまで減少しているところです。このため、三事業 に係る財政状況についても、失業等給付に係る財政状況と同様に改善傾向にあるところ です。  2番目に、雇用保険制度をめぐる最近の動きです。財政状況は全体として改善傾向に ありますが、一方で我が国財政は主要先進国中で最悪の状況にありまして、財政構造改 革を進めることは喫緊の課題となっています。3頁です。特別会計については、抜本的 な見直しが不可欠とされる中で、労働保険特別会計で実施する雇用保険事業に対しても、 財政制度審議会報告あるいは閣議決定が行われたわけですが、2つ目の○の平成17年 12月の行政改革の重要方針ですが、労働保険特別会計については、原則として純粋な保 険給付事業に限り、本特別会計にて経理するものとし、労働福祉事業及び雇用保険三事 業については、廃止も含め徹底的な見直しを行うものとする。また、失業給付事業にお ける国庫負担の在り方については、廃止を含め検討するものとするとされたところです。  この閣議決定を受けて、先の通常国会に行政改革推進法を提出し、可決、成立したと ころですが、第23条に以上のような内容の規定が設けられているところです。  (3)にあるように、本年7月に基本方針2006において、雇用保険制度についても、 失業等給付の国庫負担の在り方については廃止を含めて検討するという、行政改革推進 法の趣旨を踏まえ、かつ昨今の雇用保険財政の状況に鑑み、2007年度において廃止を含 む見直しを行うとされているところです。  第2の雇用保険制度見直しに当たっての視点です。第1に掲げた雇用保険制度の現状、 あるいは平成14年12月の雇用保険部会報告における「今後の課題」、昨年7月の雇用 政策研究会報告においてとりまとめられた、今後10年間の雇用政策全体の方向性、改正 高年齢者雇用安定法の施行など、平成15年改正以降の雇用対策の動向等を踏まえ、雇用 保険制度全体の在り方について、雇用保険部会において議論を進めてきたところ、これ までの議論等を現時点でまとめると、以下のとおりになるということで、1の適用以下、 各項目について論点がまとめられたところです。今後、これらの論点については、さら に具体的な検討を深めていくという旨が記載されています。以下、個別の論点について 簡単にご説明させていただきます。  1番の適用です。ここの論点としては、1つは短時間労働被保険者の被保険者資格区 分をなくすこととしてはどうかという点です。(2)にあるようなマルチジョブホルダー等 就業形態の多様化の問題、(3)にある65歳以降の対処についての検討という論点が掲げら れています。  2番の(1)の(1)基本手当についてですが、これは平成12年及び平成15年の雇用保 険法改正によって、大幅な見直しを行ったと。これらについては現段階では変更する必 要はないのではないかという論点です。(2)にあるような賃金日額の算定の在り方、その 他のさまざまな在り方について検討する必要はないかという論点が掲げられています。  (2)の特例一時金です。循環的給付である特例一時金については、引き続き検討が 必要であるが、一般被保険者とのバランス等を考慮した見直しを行うべきではないか、 あるいは、積雪寒冷地等の地域雇用対策を見直すべきではないかという論点が掲げられ ています。  (3)の教育訓練給付については、それがさらに効果的なものになるよう、在り方に ついて検討すべきという論点が掲げられています。  (4)の高年齢雇用継続給付については、改正高齢法を踏まえ今後の方向性の検討の 必要性、その中で少なくとも平成25年度以降は原則廃止することを前提に検討する必要 はないか、あるいは激変を避ける観点からの検討をする必要はないかという論点が挙が っています。  (5)の育児休業給付ですが、これについては支給要件等、あるいは取得を促進する 方策について検討する必要がないかという論点が掲げられています。  3番の雇用保険三事業です。雇用保険三事業の見直し整理案は、これは平成18年7月 に雇用保険三事業見直し検討会という形で、事業主団体の皆様方に入っていただいた検 討会の結果を、この資料の29頁以降に参考資料として付けていますが、本日は説明は省 略させていただきます。この見直し検討会の見直し整理案を踏まえ、雇用福祉事業の廃 止など、雇用保険三事業の在り方を検討すべきではないかという論点が挙がっています。 それから、三事業の保険料率について、負担軽減をより機動的に図るという観点から、 保険料率を下げる仕組みである弾力条項の発動基準等の在り方について検討すべきでは ないかという論点が挙がっています。  4番目は財政運営です。(1)の総論です。これについては、制度の健全な運営を確 保することが何よりも重要ではないかという論点が掲げられています。(2)の国庫負 担ですが、3点にまとめられています。1つは国の雇用対策に係る責任と国庫負担の関 係について、どう考えるか。2番目としては、行政改革推進法の趣旨を踏まえつつ、当 部会でのこれまでの議論等、6頁の上のほうに主な議論がaからgまで掲げられていま すが、それを念頭に失業等給付に係る国の責任について検討すべきではないか、あるい は暫定措置の対応についてどう考えるかという論点が掲げられています。  (3)は保険料率です。(1)の失業等給付の保険料率については、制度の健全な運営を 確保しつつ、負担軽減を図る等の観点から、弾力条項の発動基準等の在り方について検 討すべきではないか。(2)の三事業の保険料率については再掲させていただいています。 このような内容の中間報告がとりまとめられたところで、先ほどもあったように、雇用 保険部会では、これらの論点についてさらに具体的な検討を深めていく必要があるとさ れているところです。中間報告の説明としては以上です。 ○諏訪分科会長 以上の報告について、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。 ○成瀬委員 部会のほうで議論されているのかわかりませんが、この資料の5頁の(5) に育児休業給付があるのですが、育児休業給付については、育介法の育児休業の適用対 象者の範囲と、育児休業給付の支給を受けられる対象者の範囲にずれがあることについ ては、私どもとしてはここは非常に課題があると認識をしています。その点についても 是非ご検討いただきたいというのが1点です。  もっと言うと、育児休業給付と制度は違うのですが、健康保険における出産手当金な り、出産一時金なり、出産と育児にかかわる部分について、給付をどうすればいいのか については、一体的な制度とすることも含めて、本来は統合的に考えるべきではないか という問題意識も持っているところです。今回は雇用保険制度の見直しという中でのご 検討なので、そういう総合的な検討は難しいのかもしれませんが、是非そういう視点で の検討も然るべき場でお願いしたいと思います。  合わせて、ここには記述はないのですが、介護休業給付についても、育児休業給付と 同じように、休業の対象と給付の対象がずれていますので、そこについてもご検討をお 願いしたいと思っています。 ○雇用保険課長 ただいまの検討内容については、育児休業給付の支給要件等について 検討する必要はないかという論点の中で、分科会でもこういう議論があったということ をご紹介しながら、ご議論をさせていただきたいと思います。大きな意味での育児休業 の在り方についても、分科会でこういうご意見があったことも踏まえて、部会としてご 議論していただきたい旨お願いしたいと考えています。 ○諏訪分科会長 他にご質問、ご意見はございますか。よろしゅうございますか。それ では、当分科会としましては、報告のあった内容及び本日の議論を踏まえて、雇用保険 部会において、さらに具体的な検討を深めていただき、適宜検討状況についてご報告い ただくとともに、然るべき時期に改めて当分科会に最終的な報告をお願いするというこ とにしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。  次の議題に移ります。「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」 です。先の通常国会に提出された国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を 改正する法律、改正官民人事交流法が、去る6月14日に成立して、21日に公布されま した。この法律の施行に伴って、厚生労働大臣から、雇用保険法施行規則の一部を改正 する省令案要綱について諮問を受けています。本件については、関係者等への周知期間 を考慮し、できるだけ早い時期に検討結果を省令等に反映する必要がございます。この ため、去る8月4日午前10時から開催された雇用保険部会において、あらかじめご検討 いただいておりまして、同部会におきましては、厚生労働省作成の省令案要綱について 部会としての承認が得られています。そこで、それについて事務局から、今回の諮問案 件のご説明をお願いしたいと思います。 ○雇用保険課長 資料No.3です。3頁をご覧ください。「官民人事交流法の改正に伴う 雇用保険法施行規則の改正について」です。官民人事交流法というのは、国家公務員に 民間の方に入っていただく際のルールを決める法律です。従来、交流元企業との雇用関 係を切った形での交流作業しか認められなかったものを、官民人事交流法の改正によっ て、交流元企業との雇用関係が継続している者の、交流採用が可能となって、これらの 者については雇用保険の被保険者資格者が理念的には継続されることになるわけです。  しかし、雇用保険の基本手当は、原則として離職の日以前1年間に、被保険者期間が 6箇月以上である場合に支給されるものですが、交流採用後6箇月以上経過すると、交 流期間中に交流元企業からの賃金の支払いがないために、受給要件を満たさなくなる期 間が生じます。具体的には4頁です。受給資格要件の計算例ということで、1つ目の○ をご覧ください。民間企業で1年間勤務して、2年間国で勤務し、民間企業に戻って1 箇月後に離職したケースを想定しました。左から右に年月日の流れです。右側に離職が あって、被保険者のための算定対象期間は離職の日以前1年間遡るわけですが、この間 に民間企業で賃金をもらった期間は1箇月しかありません。したがって原則どおり計算 すると、被保険者期間が6箇月に満たなくなり、受給要件を満たさなくなります。その ためには算定対象期間を延長し、被保険者期間が6箇月以上となるような、そして基本 手当の受給が可能となるような対応が必要と考えられます。  参考のところにあるように、このような受給要件の緩和、何らかの理由で算定対象期 間を伸ばすものについては、法律上、(1)の疾病、負傷がすでに定められています。その 他、(2)事業所の休業、(3)出産、(4)外国勤務、(5)その他ということが省令で定められてい ます。これに今回の官民人事交流法に基づく交流採用を付け加えようというものが、今 回の改正内容です。したがって、2頁にある省令案要綱ですが、雇用保険法第13条第1 項第2号の厚生労働省令で定める理由ということで、そこに官民人事交流法に定める交 流採用を加えるという内容です。以上でございます。 ○諏訪分科会長 ただいまの点について、ご意見、ご質問はございませんでしょうか。 それでは当分科会として雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱については、 厚生労働省案は妥当と認めるということにしまして、その旨の報告を私から労働政策審 議会長宛て、行うこととしたいと思いますが、よろしゅうございますか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それでは事務局に報告文(案)を用意してい ただいていますので、配付をお願いします。 (報告文(案)配付) ○諏訪分科会長 報告文(案)につきましてはお手元に配付された案のとおりにしたい と思いますが、よろしゅうございますか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。  次の議題は「人口減少下における雇用対策の検討について」です。事務局からご説明 をお願いします。 ○総務課長 資料No.4に基づいて説明させていただきます。冒頭の1枚が検討依頼の紙 です。2頁以下の関係資料について簡潔に説明をさせていただいて、その後に1頁目に 戻りたいと思います。  2頁です。2〜4頁までは、昨年7月に職業安定局長の私的研究会の雇用政策研究会 でとりまとめられたもののポイントを示した資料です。今後10年程度の雇用政策の方向 性を示したものです。この2頁の真ん中辺りですが、「今後四半世紀の展望」とありま す。いちばん左端に「2007年には人口減少社会が到来」と書いてありますが、結果的に は2005年、出生が106万7,000人、死亡が107万7,000人ということで、1万人の減少 を初めて経験しまして、去年から人口減少が始まっている状態です。  そういう中で、(このまま続けば・・・)と書いていますが、経済社会を支える者の 減少、産業を支える人材の質の低下、格差が拡大し、将来に希望が持てないことによる 社会の不安定化の加速といったようなことがありまして、こういった事態を避けるため には、右端に書いてある(適切な措置を講ずれば・・・)すべての人が意欲と能力を発 揮できる就業機会をもつ、能力を高める機会をもつ、安心・公正に働ける、労働以外の 生活も充実できるといったようなことが実現できるということです。  そのようにするためにどうするかということです。3頁をご覧ください。これは労働 力人口の見通しで、適切な措置を講ずれば労働力人口はこうなるというものです。まず、 2004年のところですが、6,642万人の労働力人口が、特段の対策をとらないことになる と、2015年の段階で6,237万人になります。それについて、例えば高齢者への就業の支 援、仕事と家庭の両立支援、若者への就業支援等をとれば、6,535万人にまで増えて、 労働力人口の減少は112万人減にまで抑えられるということがあります。  同じように2030年の段階でも、各種対策をとれば、労働力人口は510万人増えて、2030 年の段階で労働力人口の減少は530万人減にまで抑えられることになります。その上に 「これに加え労働生産性の向上を図れば、現在以上の経済成長率を維持することは可能」 と書いていますが、これで想定している労働生産性は、現在は1.7%というのが過去の 水準なのですが、2.2%程度までの労働生産性の向上を図れば、まず2015年までの段階 での経済成長率については、いままでは1.3%のところが1.8%になるという見通しで す。2030年の段階では1.6%の経済成長が年率平均で見込まれるということです。  こういった高齢者、両立支援、若者といったような対策を中心に、労働力人口に影響 を与えるような対策を考えていかないといけないということだと考えます。  4頁に具体的なメニューを雇用政策研究会で示していただいていています。10の柱が 示されています。1つは若者に対する支援策、2つ目が女性への就業支援、3つ目が高 齢者への就労支援、4つ目が福祉から就労への支援策、障害者の方、生活保護を受けて おられる方で、働く希望を持たれている方に少しでも働いていただけるような対策、5 番目が、雇用情勢は全体的にはよくなっていますが、地域によっては改善が進んでいな いところがありますので、そういったことろに重点的に対策を講じることを中心とした ような対応、6番目に能力開発対策、7番目に外国人労働者についてはめり張りを利か せた対策が必要だと考えています。8番目に安心・公正な労働を確保できるような対策、 9番目が仕事と生活とのバランス、10番目が労働力需給調整を的確に行う、といったこ とについて今後力を入れていく必要があるのではないかというご提言をいただいていま す。今後、こういったことを頭に置きながら、政策の検討をしていかなければならない と考えています。  5頁です。5、6頁は現下の雇用失業情勢についての資料です。5頁の右端が、直近 の有効求人倍率、完全失業率の数字で、いちばん上に有効求人倍率1.08%と書いていま す。失業率も4.2%、完全失業者数277万人と書いています。  例えば有効求人倍率については、いちばん低かったのが平成11年5、6月当時の0.46 %ですが、それに比べると相当上がっています。完全失業率についても、過去最高が平 成14年6、8月、平成15年1月、7月の5.5%ですが、それからは相当下がってきて います。  ただ、全体的には進んでいるという中にも、問題点があるのではないかということで、 それが6頁です。完全失業率という中で、若者についていちばん上に書いています。15 〜24歳あるいは25〜34歳の辺りの完全失業率については、それぞれ0.5Pあるいは0.6 P平成10年当時と比べて上がってきている状況です。フリーターの数についても、50 万人増える。フリーター率についても0.4P上がる、ニートについても18万人上がると いうことで、若者については、特に注意して必要な対応をとらなければならない状況に なっているのではないかと考えています。  (2)に地域を書いています。ここには全国と、いわゆる7道県と言いまして、私どもが 現在対策を重点的にとっている地域との関係について整理しています。全国との有効求 人倍律のギャップについて、平成18年4月から6月のケースと、平成10年4月から6 月のケースについて書いていますが、いずれの県についても全国とのギャップが以前に 比べて相当上がっていることがありまして、地域間の格差の広がりが見られますので、 こういった地域について必要な対応をとる必要があるのではないかと考えています。  3番目の正規・非正規です。正規・非正規については、非正規すべてが悪いわけでは ないと思っています。パートタイム労働者の中にはそういうニーズがあって、そういう 働き方をされている方もいらっしゃいます。ただ、正規労働者として働きたいという方 がたくさんいる中で、働けない方もいらっしゃるということで、そういった方について は必要な対応をとる必要があると考えています。  正規雇用者数については、平成10年から現在に至るまで、454万人の減ですが、一方 非正規については490万人の増です。非正規雇用者比率については、9.6P上がっていま すし、有効求人の中のパート比率についても5.1P上がっているということです。  その下に、派遣労働者、パートタイム労働者が現在の就労形態に就いた理由のうち、 「正社員として働ける会社がなかったから」とする者の割合は上昇と書いていますが、 客観的にこういう数字が上がってきていますので、正社員として働きたいという希望を 持っている方の希望にかなうような対応が求められているのではないかと考えていま す。  7〜9頁ですが、若者についての資料です。7頁はフリーター、ニートの数の推移で す。フリーターの数については、いちばん多かったのは2003年の217万人です。それに 比べて現在は201万人に減ってきています。ただ、25〜34歳、いわゆる年長フリーター と言われる方については、2003年が98万人に対して、2005年は97万人ということで、 1万人の減しかなくて、若い層は減っていますが、年長フリーターについては減少幅が 少ないということがあります。  この年代層については、まさに就職氷河期にフリーターとして就職して、その後フリ ーターとして定着されていることがありまして、この年代層には正社員で働きたいとい う方も非常に多くいらっしゃいますので、こういった方については今後我が国の労働市 場のことを想像しても、何らかの手を打たないといけないと考えています。  ニートの数については、横ばいで変化していないという状況で、こういった方につい ても労働市場に出られる可能性のある方については出ていただくのがいいのではないか と考えています。  8頁ですが、フリーター25万人常用雇用化プランの推進というものを今年やっており ます。去年は20万人常用雇用化プランを計画し、22.5万人という数字を達成しており ます。今年はこういう内訳で、25万人の常用化を図ろうと取組をしているところです。  9頁ですが、ニートなどの若者の意欲や能力を高めるための対策ということで、ニー トを中心とした対策についてそこに整理しております。こういったことについて、本年 度取り組んでいるということです。  10頁ですが、いわゆる「骨太2006」の中に掲げられているものについて抜き書きをし たものです。上のほうは地域雇用再生プログラムについて書いておりまして、これは後 ほど11頁以下の地域対策のところで説明します。その下に、若者についての記述があり ます。新卒者以外に広く門戸を広げる複線型採用の導入や、採用年齢の引上げについて の法的整備等の取組。30〜40歳程度のフリーター。これは国家公務員についての記述で すが、省略します。こういった前の2行に書いてあるような取組を進めるということが 指摘されており、このような政策対応が必要になってきていると考えております。  11〜14頁が地域についての資料です。これについては、7月4日に当分科会でご報告 した資料と基本的に同じで、11頁には、各県あるいは全国の直近の有効求人倍率が数値 として入っていて、それが違うだけで、特徴に大きな差はありません。全国平均の有効 求人倍率、あるいは良い県は相当有効求人倍率が上がってきておりますが、7道県は低 迷を続けている状態です。  12頁は、この7道県について地域雇用戦略会議を設け、そこでその県独自にどんな雇 用創出等の対策が取れるのかを議論していただいているところです。その枠組について 整理したものです。  13頁は、7道県について厚生労働省として重点化している現在の対応を整理したもの です。地域雇用創造バックアップ事業、地域提案型雇用創造促進事業、地域創業助成金、 それぞれ7道県に対して手厚い措置を講じているところです。2の「地域雇用開発活性 化事業」というのは、平成18年度からの新規施策ですが、こういったものの配分比率に ついて目配りをしております。  14頁は、平成18年度にそれぞれ目配りをするということで、枠組を作ったものの実 績を整理しています。それぞれ目標として掲げた数字を達成しているのが、いまの状況 です。  15頁は、正規雇用者、非正規雇用者が平成3年以降どのように推移したかの数です。 非正規雇用者は、平成3年以降ずっと増え続けている状況です。正規雇用者は平成17 年まで減り続けておりましたが、平成18年からは増えて反転しております。これから正 規雇用者が増えることを私どもとしては期待し、そのための施策を取っていく必要があ ると考えております。正規雇用者は、ピークが平成9年、3,812万人で、それからずっ と減っているということです。  16頁ですが、これは女性についてのデータです。いわゆるM字型カーブが、1993年か ら2005年にかけてどう変わったかです。出産から育児の年齢層について、労働力率が上 がっている状態です。ただ、子育て中でも働きたい女性の願いに応える対策は、さらに 力を入れていかなければならないと考えていますし、一旦職場を離れる方も多いのです が、辞めずに済ませるようにするにはどうするかについても、意を用いていかなければ ならないと考えております。  17〜20頁は、外国人労働者についての資料です。17頁は、平成16年段階で我が国で 就労している外国人の数を整理したものです。上の4つが適法就労に相当するもので、 合計59万人いらっしゃいます。不法残留については、在留期間を超えると明確にデータ として把握できるので、それが19万人、プラス資格外活動の方がいると言われており、 俗に3万人などと言われておりますが、正確な数字はわかりません。  こういった外国人労働者の方が現在就労しているわけですが、このような方について 「規制改革・民間開放推進会議3か年計画」が今年3月に閣議決定されており、18頁で それを紹介しております。線を引いている所に書いてあるように、「職業関係法令を改 正し、外国人を雇用する全ての事業主に対して報告を義務づけるとともに、本人氏名・ 在留資格等、現在は収集していない情報も新たに求めることについて検討し、結論を得 る。事業主の報告先は従来どおり公共職業安定所を想定するが、労働行政と入国管理行 政の連携へとつなげ、事業主に報告義務を重複して課さないことが重要である点に留意 する」といった指摘がされています。その指摘以外にも、最近になってさまざまなご指 摘が、自民党あるいは政府内でなされています。外国人労働者についてどんな対応をし ていくかは、今後必要ではないかと考えております。  19〜20頁は、いま引用されていた外国人雇用状況報告の現状について書いておりま す。これは2番目の○にもありますように、50人以上規模の事業所について基本的に報 告をいただいているもので、外国人労働者をすべて把握しているものではありません。 把握している対象労働者数は、19頁の1の(2)にありますように、19万8,380人が直 近の数字です。ですから、先ほどの17頁の適法就労約60万人のうちの20万人程度は、 現在でも数としては把握されているのが現状です。  1頁に戻ります。以上のような関係資料の説明からもわかるように、さまざまな課題 を今後検討していただく必要があるのではないかと考えております。基本的な視点、人 口減少化においてより多くの者が社会を支えるという観点から、若者、女性、高齢者、 障害者などすべての人の就業参加を実現し、その意欲と能力が最大限発揮できるように することが必要ではないかと考えております。  2番目の○ですが、特に若者については、将来の我が国の社会経済活動を担う者であ ることから、ニート・フリーター等若者の雇用問題の解決が喫緊の課題です。若者を中 心に増えている非正規雇用についても、労働者の意欲と能力が最大限発揮されるように する観点からの対応が必要ではないかと考えています。  3番目の○ですが、全国的には雇用情勢が改善する中で、改善の動きが進んでいない 地域が存在し、地域格差が生じています。地域の人材の意欲・能力が有効に発揮される よう地域経済の活性化、雇用機会の創出・拡大を図ることが必要ではないかと考えてお ります。  さらに外国人労働者については、単純労働者については今後も受入れを認めないとい う基本方針は堅持しつつも、高度な人材、技能実習生、あるいは日系人等国内労働市場 において影響が無視できない存在となりつつあることから、その適正な雇用管理を推進 することが必要ではないかと考えております。  以上の視点を前提として、以下の点について今後雇用対策基本問題部会でご議論いた だければと考えています。下記の事項について必要な法的整備、対象となる法律として は雇用対策法、地域雇用開発促進法を想定しておりますが、そういった法律の改正も含 めてご議論いただければと考えております。  (1)若者の応募機会の拡大に向けた取組の推進等、(2)地域の雇用創造の促進及 び国と地方公共団体の連携強化、(3)外国人労働者の適正な雇用管理の推進、(4) その他、女性の再就職促進、非正規労働者の正社員化等。特に例外は設けず、いろいろ なテーマについてご議論いただければと考えております。 ○諏訪分科会長 ありがとうございました。それでは、以上の点についてご質問、ご意 見等ありますか。 ○市川委員 聞き落としていたかもしれませんが、この基本問題部会で、まとめを大体 いつごろまでにというお考えなのか、答えを聞いてから質問したいと思います。 ○総務課長 これにつきましては、先ほど雇用対策法あるいは地域雇用開発促進法の改 正も視野に入れていると申し上げましたが、これに間に合わせることを想定しますと、 12月末には一定の取りまとめを基本問題部会でお願いできればと考えております。 ○市川委員 何カ月もないわけですね。昨年出された研究会報告があるのですが、いま になって議論が始まる。非常に幅広い、雇用対策だけに留まらず、社会全般のいろいろ な問題の深掘りが必要な議題に対して、数カ月の議論で取りまとめて法改正というのは、 時間が足りないのではないかという感じがするのです。もっとじっくりと検討すること が必要ではないかと、そのくらい大きな問題ではないかと思いますし、なぜ次の国会で 法改正をしなければいけないのか、昨年報告が出されているのに、なぜいまから始める のか、その辺りをお聞きしたい。  雇用対策の検討と言いつつ、地域の問題については、やはり産業の問題や経済の問題 に関わらないと、そう簡単に対策が出てこない話ですし、女性のワークライフバランス、 育児支援といったことについても、その当の問題だけで語れない。特に気になったのが、 M字型の底が上がってきているというご指摘があったのですが、内閣府は、これは単に 晩婚化、晩産化が進んだから20代後半などの底が上がっただけであって、必ずしも仕事 と育児の両立策が有効に機能したから底が上がったのではないと分析しているようです し、これも雇用対策だけの問題ではない。ということで、私はもっと幅広く、もう少し 時間を持ってきちんとした議論をしていく、あるいはいろいろなパブリックコメントや、 いろいろな場で集会等を開いて幅広く意見を聞くとか、若者を集めた集会をするとか、 そんなにあせらなくてもいい気がします。 ○総務課長 雇用対策法、地域雇用開発促進法を想定していると申し上げましたが、雇 用対策についてはいまの委員のご指摘のように本当に幅広い問題で、労働政策審議会の 中でも均等分科会や労働基準分科会など、当然いろいろな所と関わりが出てきます。で すから、私どもの職業安定分科会で議論できる範囲の中でどこまで議論ができるかは、 いまの段階で決め打ちで申し上げることはできませんが、その範囲の中でどこまででき るのかという観点からご議論いただければありがたいというのが1つあります。  職業安定局の関係法令もいろいろな法律がありまして、例えば高齢者は高齢者のため の法律があり、障害者は障害者のための法律があり、それぞれの法律できめ細かにいろ いろなことが決まっております。ここで雇用対策法と書いてあるのは、それぞれの法律 には細かいことを全部書くのですが、基本的な政策方向を明確にしていきたいというの が、いまの段階ではないかと考えております。そういったことを議論の中心にしていた だければということです。  先ほど、雇用政策研究会の報告が出てから特に議論はされていないのではないかとい うご指摘で、それはたしかに耳の痛いところです。私どもはこれから政策をとる際に、 例えば地域雇用対策については、地域雇用開発促進法を変えて一定の手当をしないと、 今後まともな対策がとれないので、これは三関連法案で出したいと思っておりまして、 急ぐ課題ではないかと考えております。雇用対策法についても、今後施策全体の方向性 を明らかにする意味では急がない面もありますが、若者対策について先ほど「骨太2006」 の議論を引用しましたが、複線型雇用などを実現していくことについては待ったなしの 課題だと思っております。それを少しでも進めるのに資するようなものを、雇用対策の 中で実現できないかということについては、早くやったほうがいいのではないかと考え ています。12月までで全部と考える必要はないのかもしれませんが、12月までの段階で できる限りのことは対応したいと思っています。時間がないのは本当に申し訳なく、開 催頻度も高くなると思いますが、何とぞご協力いただければと思っております。 ○長谷川委員 これは基本問題部会で議論するということですか。 ○総務課長 はい。 ○長谷川委員 外国人労働者の適正な雇用管理の推進の中に、現在非常に問題になって いる技能研修制度や実習制度の問題も含まれると認識してよろしいでしょうか。 ○総務課長 検討していただくのは基本問題部会で、外国人の雇用状況報告ですので、 雇用という形を取られているものについてどのように状況を把握するかという意味があ りますので、技能実習制度についても雇用の部分の状況をどう把握していくかは議論の 対象になると考えています。 ○長谷川委員 法務省の9月8日の入管懇談会の議題が技能研修・実習制度の在り方な のです。法務省は、技能研修・実習制度の在り方の議論を行っているわけで、そもそも この技能研修・実習制度は能開局で扱っていたわけです。(3)の外国人労働者の適正 な雇用管理の推進の中で、技能研修・実習制度の在り方についても、外国人労働者の雇 用管理の適正化と併せて議論することが必要なのではないかと考えます。  もう1つ、ここのところ約1カ月ほど、偽装と違法派遣のことが新聞に載らない日が なく、我が局の電話も鳴りっ放しで、その対策に大変追われているわけです。請負労働 者の適正な雇用管理について、何らかの法律が必要なのではないかという議論を、いま 私どもの組織で行っております。その意味では、今回の雇用対策の検討の中で、研究会 報告で今後の雇用対策の提言で10項目ぐらいに分けているのですが、多様な雇用就業形 態が出てくるのです。それを考えるときに、直雇用であればパートタイマーや契約社員 などがあるだろうし、派遣や請負があるわけです。派遣労働者の場合は、派遣法の中で 議論ができるわけですが、請負労働者の問題はなかなか議論する場がないわけで、でき たら今回の雇用政策を考えるに当たって、請負労働者の適正な雇用管理の在り方につい て、併せて検討すべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。 ○総務課長 技能実習の検討については、先ほど申しましたように、雇用に着目すれば 外すことにはなりませんので、実習中の外国人労働者の雇用管理の改善、適正な雇用管 理については議論する必要があると思っております。  請負労働者の問題ですが、いま委員からのご指摘にもありましたが、労働者派遣との 関わりがどうしても出てきます。偽装派遣や偽装請負の議論のときに、結局派遣の形態 で行われているということだと思います。安定局の担当部局では、請負と派遣との関係 についていろいろ議論をし、どういう対策がとれるかを考えているところです。議論す る受皿として、基本問題については基本問題部会でご議論いただきますが、一方で需給 調整関係で部会がありますので、そういった所で議論することもあると思っております。 いまの段階ではっきりと決めるのは難しいと思いますが、何某かの形で、請負労働者に ついてどう対応するのかを議論できるようにしていきたいと思っておりますので、これ から考えたいと思います。 ○山極委員 質問なのですが、先ほどおっしゃっていた労働生産性の算出方法を教えて いただきたいのと、いま現在、社内外の調査でもワークライフバランスをとりたいのだ けれどとれない所が多いのです。いまのままいくと、従業員も満足していない、それで いながら人件費が高くて、企業のほうでも経営上はマイナスになってくる。両方よくす るためには、ワークライフバランスをとることがいちばんいいのではないかという仮説 を持っているのですが、企業にどんな方法で出しているのか、生産性の算出方法を共通 化しておきたいと思うのです。 ○雇用政策課長 生産性については、先ほど実績が1.7%、今後の目標として2.2%と総 務課長から申し上げましたが、この実績1.7%というのは1999〜2004年の実績で、なお かつこの伸び率については通常のパーキャピタベースではなく、マンアワーベースです。 それで、たぶんお聞きになっている数字と少し違う印象を持たれたのではないかと思い ますが、そこを使って計算しています。2.2%のほうも同じ形で出していまして、実は 2.2%のマンアワーベース当たりの労働生産性というのは、過去からするとそんなに高い ものではないのです。バブル期は4%以上の伸びを示しておりましたので、2.2%という のは固めに見積もっていると思っています。いま以上の経済成長と言ったのは、1%代 後半はできるという話をこの報告のときはしておりますが、もう少し生産性を高めにす れば、もっといくと思ったのですが、少し控えめにしているのです。 ○山極委員 それは、世界の中で大体何位ぐらいですか。 ○雇用政策課長 そこは、また調べて後ほどご報告します。 ○山極委員 お願いします。 ○石井委員 若者の労働者の非正規が非常に増えていること、ニート・フリーターが増 大していることは、確かにおっしゃるとおり社会問題であるとは認識しております。た だ、現場サイドから考えますと、いい人材を採ろうということが企業経営をする上では 基本ですから、無理してニートやフリーターを採用しようとか、失業している若者を採 用しろという努力義務を中小企業に要請されると、かなり問題ではないかという感じが しております。企業の発展のためには、優秀な人材をいかに確保し、育成していくかは 企業の死活問題ですから、そういう意味で、無理して人材を採らなければならないこと に関しては問題です。特に日本の場合は、採用と解雇の問題があります。日本では、一 旦採用すると、その人に期待していた能力がないにもかかわらず、雇用せざるを得ない、 解雇できないという厳しい状態ですから、必然的にそういうニーズが根底にあることを ご理解いただきたいと思います。  外国人労働者の雇用について、すべての事業主に対して報告を義務づけるという話で すが、採用する場合、中小企業はあまり戸籍謄本を取っていないのです。そうすると、 その人がどういう人であるか、国籍がどうであるか、そこまで義務づけて報告しなけれ ばいけないとなると、採用のときに相当神経を遣うことになりますので、義務的にやる よりも、外国人の雇用管理にどういうものが必要なのか、実効性を上げるためにはどう するべきなのかをもう少し検討した上で、報告を義務づけることを配慮していただきた いと思います。 ○総務課長 2点ご指摘がありまして、1つはニート・フリーター問題の対応です。私 どもも、ニート・フリーターを努力義務を設けて雇ってほしいと思っているわけではあ りません。私どもがいま考えているのは、例えば新卒しか採らない企業があるとしたら、 複線型採用を導入していただいたり、あるいは採用年齢の引上げをしていただいて、能 力のある、その企業に合った方がいれば採用していただくようにしていただければいい ということです。ですから、企業の採用方針として新卒しか採らないというような硬直 的な態度はやめて、もう少し弾力的になっていただけないかとお願いしていこうという ことです。おそらく、多くの中小企業は満たしているのではないかと思うぐらいですが、 そういう方針でいきたいというのが1つです。  2つ目は外国人の問題ですが、これは委員がご指摘のように、実際に実務上事業主の 方が報告するときに、外国人の方にどのように当たればいいかは確かに難しい問題だと 思っています。実務的にも、あまり煩瑣なものになってはいけないと思いますので、で きるだけ簡単にできる方法も考えたいと思いますし、実務的にどこまで把握できるのか も頭に置いて議論していただくことは避けられないと思っていますので、そういったこ とは十分念頭に置いて対応したいと思います。 ○石井委員 わかりました。 ○成宮委員 いまの石井委員のご意見に関連するのですが、冒頭に基本的な視点があっ て、それを受けて検討課題となっていますし、4頁の10項目にわたる提言の辺りからも 来ているのだろうと思いますが、最後の検討課題の所が、1つ目の若者の問題では、「等」 と書いてはいますが、応募機会の拡大だけをあえて取り上げた検討になっています。外 国人労働者の所も、雇用管理の問題だけをあえて取り上げた提示の仕方になっているの が、かなり気になるのです。 ○総務課長 検討課題で書いたのは、あくまで例ですので、これ以外の議論を排除する 趣旨でないことはご理解いただきたいと思います。その上で、(1)で「応募機会の拡 大に向けた」と書いているのは、先ほど「骨太2006」でご指摘があって、こういった点 については議論が避けられないという意味で書いていまして、それ以外の点についても ご議論いただいて、一定の対応をしていくことは当然あり得るべきだと思っております。  外国人の適正な雇用管理の推進ですが、規制改革会議の閣議決定があって、雇用状況 報告について何某かの形で拡充することになっています。何のために雇用状況報告を取 るかというと、外国人労働者の方について適正な雇用管理をしていただいて、仮に委嘱 されるときは即座に把握し、不法就労にならないようにするといった角度から考えてい くのがいいのではないかと、1つの切り口として適正な雇用管理ということで書いてお ります。ここでも、それ以外の議論を排除するつもりではありませんので、いろいろな 各方面からの指摘を受けて、こういった点については是非議論をしていただきたいとい うことを、代表例として書いたということでご理解いただきたいと思います。 ○成宮委員 4頁の所では、例えば外国人労働者の問題については、世界で通用する専 門的な知識や技術を有する外国人の積極的な受入れの促進や、留学生の就職支援の問題、 日系人労働者の定住化に伴う問題と、かなり幅広く書いてあるにもかかわらず、ここで 雇用管理の問題だけ特記されていることについてご質問したまでです。 ○池田委員 雇用対策の検討についての前段、視点と検討課題がありますが、その(3)で 雇用情勢の改善の中で地域格差が生じているということで、11頁にワースト7が出てい るわけです。検討課題の2に「地域雇用創造の促進及び国と地方公共団体の連携強化」 とありますが、この課題1つ取っても、私は大変かつ重大な問題だと思っています。私 は沖縄に随分行っておりますが、沖縄の産業、歴史、沖縄の置かれた地位、昔と、いろ いろな中から沖縄の問題を1つ取っても、大変な課題があるわけです。特に調査が必要 なのではないかと思いますので、もう8月も下旬です。生田課長にお聞きしますが、本 当にこの課題は1つ取っても大変な課題ですから、12月までにまとめるということにな れば、おざなりになるというか、肝心な的に入らないで終わってしまう気がしてなりま せん。これだけではありません。1の若者の問題も外国人労働者問題も大変です。その 他の女性の再就職問題もあります。これを12月までにまとめることになるならば、私は 大変難しい問題だと思っています。したがって、もう少し時間を取ってきちんとするか、 あるいは欲張らないで、もっと重要なものを縮めて、検討課題を1つにするかしたほう がよろしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○総務課長 いま池田委員がおっしゃったことはごもっともで、幅広く全部きめ細かに やったら、何年あっても終わらないと思っています。これは、この記述だけでは雇用対 策全体についての議論に見えます。先ほど若干申し上げましたが、地域雇用開発促進法 については、地域雇用開発に対する厚労省としての取組の枠組が決まっていますので、 それをどう変えていくかという議論で、割と焦点は絞られてくると思うのです。ですか ら、非常にイメージがしやすいと思いますが、雇用対策法は雇用対策の基本方向を示す 法律ですので、個々の施策についての詳細を議論していただくのではなく、雇用対策全 体のおおまかな方向性についてご議論いただいて法律に変えていくということだと思っ ておりますので、確かにポイントを絞った形になるとは思っています。ですから、幅広 に順番にやっていく感じにはならず、全体的な方向性として、こういう方向で対策をと っていくということについてご議論いただく形になると思いますので、何とかおまとめ いただけるのではないかと考えています。 ○池田委員 頭が悪いのかわかりませんが、どうしてもイメージが湧かないのです。大 雑把に、楽でいいと言っておりますが、基本部会の中でそういう方向性だけをやるので は、大変難しい気がしてならないのです。課長に、もう一度私にわかるようにご説明を 願いたいと思います。 ○総務課長 雇用対策法はどんな法律かというと、雇用政策の目的について書いていま す。その上で施策の体系が書いてあって、どういう分野の対策をとっていくかという項 目が載っている法律だと考えていただければいいと思います。それをどう整理するかに ついてご議論いただきたいと思っておりまして、例えば、いま雇用対策法には若者につ いては何も載っていないのです。ですから、「若者」を雇用対策法の中に位置づけるこ と自体に意味があるのですが、そういったことや、女性の問題についても書いていない ので、それをどうするかなど、基本的な所を押さえていただくことにものすごく意味が あるわけです。それが出来上がれば、それに沿っていろいろな分野での議論がさらに深 まってくると思っておりますので、基本的な方向を雇用対策法の中で位置づけたい。  いま雇用対策法の中に各論で出てきているのは、高齢者対策だけなのです。障害者の ことも、若者のことも、女性のことも書いていないのです。ですから、そういったこと をきちんと盛り込んでいくことが非常に大事ではないかと思っております。議論が散漫 にならないように運びたいと思っておりますので、何とぞご協力いただければと思いま す。 ○宮本委員 いまのご説明で、ある程度はイメージが湧くのですが、そうするといまま で入っていない重要な項目を入れるということで、それが仮に今年度終わったとすると、 来年度には具体的にどのような影響が現れるのでしょうか。つまり、この法律の場合に はかなり基本的枠組だけですね。 ○総務課長 先ほどからご説明しておりますように、今後10年間どのように雇用対策を とっていくかはこれからスタートするわけで、その基本的な枠組をまずセットすること によって、今後さまざまな分野での各論の議論が進むと思っております。ですから、速 効性があるかと言われると、ある部分とない部分があると思います。これは基本問題部 会できめ細かな議論をいただければいいと思います。例えば外国人について、外国人の 雇用状況報告を取ることが仮に雇対法に盛り込まれたとすると、それは即座に効果が出 ることになるとは思いますが、そうではなく、政策の柱として女性の対策を位置づける ことができた場合に、各論として何をやるかはその段階では決まらず、これからさらに 議論を深めていくことになると思います。それも職安分科会だけではなく、均等分科会 などでも議論していただくことになると思います。ですから、速効性のあるものもある でしょうし、そうでないものもあると、はっきりしない答えで恐縮です。議論もまだ終 わっていないものですから、基本問題部会でご議論いただいた結果として、そういう仕 分けができてくると考えておりまして、これからご議論いただいて決めていただければ と思います。 ○大橋委員 支援対策法の見直しなのですが、大体どれぐらいのスパンで考えているの かお聞きしたいのです。というのは、いま少し景気がよくなってきて、今日資料で出し ていただいている「地域間の求人倍率」ですが、これは景気のいいときに地域間の格差 が拡大するのです。例えば、バブルのときには現状と同じほど拡大していると思うので す。バブル崩壊後しばらく不況で、格差は縮少していたのです。  そうすると、景気がよくなって格差が拡大してきましたから、こういうデータを見な がら考えると、どうしてもそのときの状況に依存しながら物事を考えることになります ので、この見直しを大体どれぐらいのスパンで考えるかが非常に大事になってくると思 うのです。その点についてはいかがでしょうか。 ○総務課長 2つの法律を同時に載せたせいで、議論を混乱させて本当に申し訳ありま せん。雇用対策法と地域雇用開発促進法という法律がありまして、地域雇用開発促進法 は、地域の雇用情勢の変化に伴う格差などに対応することを中心とした法律です。この 法律は、何年かに1回改正があってもおかしくない法律ですので、5年や3年というこ とを視野に置いて中身を決めていくということで、全然おかしくないと思います。  雇対法は、ある程度長期の基本的な方針を示すということですので、その性格に合っ た内容を盛り込んでいただくことを想定しております。先ほど今後10年のと申し上げま したが、10年ぐらいはこういう方向でいくということが読めるものにしたいと思ってお ります。 ○成瀬委員 いままでの議論と重複してしまうかもしれないのですが、事前にお聞きし ていた段階ではあまり不安に思っていなかったのですが、私自身基本問題部会の委員で すので、非常に気になるのは先ほどから出ているスケジュールの問題です。最初の市川 委員の質問に対する答弁の中で、一定の取りまとめを年内にとおっしゃったと思うので すが、そのあとの質問の答弁で、検討課題については必ずしもこの観点以外の課題を排 除するものではないというお話もあり、実際基本問題部会で議論を開始してみないと、 検討課題がどこまで膨らむのか膨らまないのか、あるいはどこまで議論の深掘りをして いくことになるのかわからない部分もかなりあると思うのです。そうした場合に、年内 で一定の取りまとめをしたいというのは、どの程度固定的に考えればいいのか、ある程 度柔軟に考えればいいのか、それとも、少なくとも検討課題の(1)〜(3)について だけは年内にして、それ以外の部分は来年1月以降も継続して検討することが許される のか、その辺りはどう考えればいいのでしょうか。 ○総務課長 先ほどから何回かお答えしていることと重複して恐縮ですが、例えば骨太 で書かれていることや規制改革会議で閣議決定がされていることについては、年内にそ れなりの対応を決めていただいて、法律に盛り込んでいく必要があると思っております。 それ以外の課題については、法律改正はそんなにしょっちゅうできないので、同時にで きるもの、例えば雇用対策法なら、政策の方向性を書くのが雇用対策法ですので、その 中で書ける限度があります。その中で盛り込まれる範囲でご議論いただいてまとめると いうことですので、最終的にまとまらない部分は盛り込まないことになるのだと思いま すが、まとまった部分を盛り込んで法案を出したいと考えております。 ○成瀬委員 一定の取りまとめを年内に行うというのも、事務局としてはかなり固い考 えということですか。 ○総務課長 そうです。要するに、やらなければいけないことがあるものですから、そ れに合わせてできることをやるということです。なかなか苦しいところなのですが、何 とぞご協力をお願いしたいと思っております。 ○諏訪分科会長 やらなくてはいけない宿題と、できたらやったほうがいい課題とがあ って、そこの仕切りや議論は、成瀬委員がおっしゃったとおり少し部会の中で揉んでみ ないと、このように高い高度から地上の写真を撮っているだけでは、どうもよく分から なくなるということです。 ○清家委員 2点あるのですが、どちらも基本的には同じことで、基本問題部会は基本 的にこれからの雇用政策の在り方の大枠を考えるということですね。1つは、先ほどの 雇用形態が多様化している中で、いろいろな働き方のルールをどうしていくかという長 谷川委員のご指摘は、とても大切だと思うのです。具体的なルールのところは、それぞ れの部会などで議論する必要はあると思いますが、雇用形態が多様化している中での雇 用ルールの基本的な在り方は、やはり基本問題部会のような所で議論していただいたほ うがいいのではないかと思います。先ほどの長谷川委員のご意見と同じかどうかはわか りませんが、そう思います。  もう1つは、大橋委員が言われたことはとても大切だと思うのです。つまり、循環的 な問題と構造的な問題を分けて、基本問題部会ではどちらかというと構造的な問題を議 論する。先ほどのご説明の中にもあったと思いますが、有効求人倍率が1だった1992 年には失業率が2%ぐらいで、今回有効求人倍率がまた1に戻って、失業率が4.2%で す。これは釈迦に説法ですが、いわゆるUV分析というものが労働経済白書等でも行わ れているわけですが、仮にUV分析的な考え方でいくとすれば、構造失業率が1992年の 需給均衡時と比べると2倍ぐらいに上がっているとも取れるわけです。そういう構造失 業率、摩擦的失業率が2倍に上がったという前提で雇用政策を考えるとすると、それは 相当違ったものになってくると思うのですが、そのような立場に立っておられるのか、 それともそうではないのか。  労働経済白書などでも、いままで失業率が高かったときも、UV分析をして大体4% ぐらいが摩擦的失業と推計されていて、今回たまたま当たってよかったと思いますが、 有効求人倍率が1になったときに、失業率が4%ぐらいになっています。その4%ぐら いというのを、摩擦的あるいは構造的失業率と考えて、これからの雇用政策をお考えに なるのか、それはまた別の話なのかは、これから長期の雇用政策を考える際に重要なの ではないかと思います。その辺りはどのようにお考えなのでしょうか。 ○総務課長 まず1点目ですが、多様な働き方が生まれてきていることに対応して、雇 用政策上どういう対応をとっていくのかといった基本的な議論については、確かに基本 問題部会の議論に合っているのではないかと私も考えます。ですから、そういった一般 的な議論は、基本問題部会での議論に適しているのではないかと思っております。ただ、 請負労働者の問題については派遣との関わりが相当あり、特別ないろいろな対策をして おりますし、特別な議論が必要だと思いますので、そういった点についてどういう受皿 で議論をいただくかは、別に考える必要があるのではないかということです。ですから、 まだはっきりこうすると決めてはおりませんが、別のことを申し上げております。  もう1つ、失業率をどのような状態をベースに考えていくのかですが、いま委員がお っしゃったようにUV分析で考えますと、いまの失業率は4%からそんなに下がらない のではないかと想像されるわけで、それをベースに議論していくのが普通のやり方では ないかと思っています。ですから、さらで議論をするのではなく、いまの有効求人倍率 と完全失業率の組合せを前提に、今後どのような対応をしていくのかを考えていく必要 があるのではないかと思っております。 ○雇用政策課長 若干補足をいたします。1つは清家委員がおっしゃったとおり、摩擦 的構造的失業率は大体3%台後半程度というのが、UV分析に基づくものだと思ってお ります。いまの約4%前半の失業率と平成10年ごろの4%の失業率が、同じ4%という 数字の中で同じかどうか、6頁の資料でわざわざ同じころという前提で作ったのはその 意味で、4%を4%という数字だけで見ていいかどうかが、6頁の資料の趣旨です。そ の点で、同じ4%でも、中身やいろいろなことが違っているのではないか。それに対し てどう考えるかが、ご議論いただく1つの課題ではないかと思います。  構造的な問題といわゆるミスマッチと言われている問題、摩擦なのか構造なのか、い ろいろな問題があると思いますが、これは長期的にも必要だということで、JILTPを含 めて基本的な研究を進めております。途中で大橋委員に1度ホックを入れていただいて いるのですが、その成果も出せれば、ご提供した上でご議論いただければと思っており ます。 ○清家委員 おっしゃるとおりだと思います。つまり、需要不足失業については、基本 的にマクロ経済の問題だから、雇用政策としてできることは限られています。むしろ、 摩擦的構造的失業率についてこそ、雇用政策等が関与できる余地が大きいのではないか と思うのです。ですから、そういう視点を是非入れていただいたらいいのではないかと 思います。 ○大橋委員 話がどんどん深みにはまってしまっているようなのですが、最初の市川委 員と長谷川委員のご質問で、私もこの基本問題部会のテーマを聞いたときにはゾッとし たのです。外国人労働者から高齢者、若者までの問題を一つひとつ議論していくのは、 とてもではないですが、一体何回委員会を開くのだろうかと、私も基本問題部会の委員 ですので大変ゾッとしたのですが、私の理解は、すでに雇用政策研究会や、いま清家委 員がおっしゃった議論等々がかなり存在していると思うのです。そういった議論を踏ま えながら、雇用対策法が適切かどうかを検討するという立場でないと、一つひとつにつ いて突っ込んだ議論は、私はとても自信がないので、できれば基本問題部会で、これま での議論できちんとしたものにはどういうものがあるかを紹介していただいて、それを 踏まえながら検討していくのがいいのではないかと思います。私にはそれぐらいしかで きないと思うのです。 ○長谷川委員 私はかねてから思っていたのですが、例えば雇用対策法やこういう議論 は、基本問題部会でやるよりは、雇用安定分科会のほうが相応しいと思っていました。 基本問題部会は人数も少ないので、できたらこういう話は雇用安定分科会でやっていた だければいいと思っています。是非、一度部会でやる議論と分科会でやる議論を、事務 局でも少し検討していただければと思います。  例えば能力開発は、第8次能開促進法を作るときに1年ぐらいかかって、公労使で大 議論をやってきたわけです。雇用対策は非常に重要な課題で、労使で均衡処遇などの話 になれば、かなり際どい話になってくるわけで、非正規から正規というのも結構難しい 話だと思うのです。だから、できたらそういうものは、部会よりも分科会でやっていた だければいいと思っています。今回は間に合わないでしょうけれど、これ以降事務局で 検討してほしいと思います。基本問題部会でこの検討課題について議論するにあたって は、大橋委員がおっしゃったような視点でやるしかないのかなと、私も受け止めており ます。 ○総務課長 大橋委員からご指摘いただいたことは、ごもっともなご意見だと思います。 これまでいろいろな研究成果もありますので、そういったものについてはきちんと整理 して、基本問題部会の場で提供できるようにしていきたいと思います。そもそもいま雇 対法がどうなっているのかという辺りについても説明が足りませんでしたので、そうい うことも含めて、いまの雇用対策法のどこが問題なのかといった切り口からご議論いた だくことを頭に置いて、今後進めていきたいと思います。  基本問題部会と分科会との仕切りの問題なのですが、いままで法改正等については、 部会でご議論いただいたものを分科会に上げるやり方を基本にしておりまして、今回も それに習っているのですが、長谷川委員からのご指摘もありますので、基本的に部会で ご議論いただきますが、是非分科会のほうにご報告して、その場でもいろいろなご意見 をいただいて、またフィードバックする工夫をしていきたいと思っております。 ○諏訪分科会長 だんだん時間が押してまいりましたが、ほかにご質問、ご意見はあり ますか。  それでは、まだいろいろとあろうかと思いますが、ただいまの課長からのご説明もあ りましたので、本件については当分科会の雇用対策基本問題部会でとりあえず検討をし ていただき、必要に応じて当分科会にもご報告いただく工夫をしたいと思います。その ようなことで、分科会としては当面この問題を雇用対策基本問題部会に委ねることにし たいと思いますが、よろしいですか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございました。以上をもちまして本日の分科会を終了いた します。 (署名委員指名) (照会窓口) 厚生労働省職業安定局総務課総務係 TEL:03-5253-1111(内線 5711)