06/08/04 第28回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録  第28回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 1 日時 平成18年8月4日(金)10:00〜11:00 2 場所 厚生労働省13階職業安定局第1会議室 3 出席者    委員  公益代表  :大沢委員、諏訪委員、中窪委員、林委員        雇用主代表 :中島委員、輪島委員        労働者代表 :栗田委員、長谷川委員、古川委員、三木委員    事務局 高橋職業安定局次長、生田総務課長、宮川雇用保険課長、田中雇用保険 課課長補佐、金田雇用保険課課長補佐、戸ヶ崎雇用保険課課長補佐、長 良雇用保険課長補佐 4 議題  雇用保険制度の見直しについて 5 議事 ○諏訪部会長 定刻となりましたので、ただいまから第28回雇用保険部会を開会いたし ます。議事に移る前に、本日の出欠ですが、中馬委員、相川委員、塩野委員、原川委員、 豊島委員がご欠席です。議事に移ります。本日の議題は「雇用保険制度の見直しについ て」および「雇用保険法施行規則の一部改正について」です。先月28日に開催された第 27回雇用保険部会において「雇用保険制度の見直しについて(中間報告)(案)」をご 議論いただきました。本日は、事務局で前回のご議論を踏まえ、中間報告について再整 理をしていただいております。そこで再度、当部会としての中間報告案についてご議論 をいただき、もし可能ならば本日取りまとめに至ることができればと考えております。  また、先の通常国会に提出された「国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一 部を改正する法律(「改正官民人事交流法」)が去る6月14日に成立し、21日に公布 されました。これを受けて、本日はこの法律の施行に伴う雇用保険法施行規則の改正に ついてもご議論いただきたいと存じます。改正官民人事交流法の施行に伴う雇用保険法 施行規則の改正については、関係者等への周知期間を考慮しますと、できるだけ早い時 期に検討結果を省令等へ反映させる必要があります。したがって、当部会で予め検討を 行い、職業安定分科会に検討結果を報告し、速やかに審議会としての結論を得ることが できるようにしたいと考えております。それではまず「雇用保険制度の見直しについて (中間報告)(案)」について事務局から資料のご説明をお願いします。 ○田中雇用保険課課長補佐 配付資料は、資料1として、「雇用保険制度の見直しにつ いて(中間報告)(案)」です。資料2は、「改正官民人事交流法の施行に伴う雇用保 険法施行規則の改正について」です。以上2点です。  まず資料1の「雇用保険制度の見直しについて(中間報告)(案)」についてご説明 します。前回、雇用保険三事業についてご議論いただき、続いて中間報告(案)のご議 論をいただきました。前回の資料の中には、雇用保険三事業の部分については、Pとい うことで内容を記しておりませんでしたが、今回の中間報告(案)の中には、雇用保険 三事業についての記述を盛り込ませていただいています。ご議論を踏まえ、若干の修正 等も入っておりますので、追加修正した点をご説明したいと思います。  資料1の4頁、3に「雇用保険三事業」という項目を設けています。この点について 2点盛り込ませていただいています。(1)として、前回ご説明した雇用保険三事業の見直 し整理案です。雇用保険三事業見直し検討会での整理案で、この整理案を踏まえ、雇用 福祉事業の廃止等雇用保険三事業の在り方を検討すべきではないかというものを盛り込 んでいます。  (2)として、雇用保険三事業の保険料率です。保険料負担者の負担軽減をより機動的に 図る等の観点から、弾力条項の発動基準等の在り方について検討すべきではないか。こ れも保険料に係る見直しということで盛り込んでいます。同様の記述について、次の5 頁の(3)の(2)です。保険料率に係る論点として、前回は(1)の失業等給付の保険料率に ついてのみ記載しましたが、(2)として雇用保険三事業の保険料率についても、先ほどと 同様の記述ですが、再掲しております。  修正点としては、5頁の上に「国庫負担に係る主な議論等」が※になっております。 前回の資料では(3)の後に載っておりましたが、位置を移動させました。修正点につ いては以上です。よろしくお願いいたします。 ○諏訪部会長 ありがとうございました。以上の点について、ご質問、ご意見等ござい ますでしょうか。 ○輪島委員 中間的取りまとめですので、これまでの審議状況を取りまとめていただい たという点で、事務局にも感謝したいと思っています。確認ということで、三事業の件 が今日から加わっておりますが、保険料率との記述の観点からいくと、三事業の見直し 検討会の報告書の6頁です。まず(6)で、特にこの取りまとめ以降、平成19年度の概算要 求を作る作業に入ってくると思うので、その点三事業の(1)〜(5)の見直しの基本的な考え 方を平成19年度予算案にもしっかり反映させると書いてありますが、今月の作業だと思 うので、その点しっかり踏まえて、作業をしていただきたいと思っております。  同じく(3)ですが、一応平年度ベースで、750〜800億円(概ね保険料率0.5/1,000に 相当)ということが明記されていますので、その点、本文の所では今後の見直し作業で、 これから決めていくものだと思っていますが、使用者側としてはここの範囲ということ は、しっかり忘れていないということだけ確認をさせていただければと思っています。  その点で言うと、(4)の今後の雇用対策は、基本的に若年者、高齢者等ということです が、これからの喫緊の課題となると、やはり若年者の雇用対策は非常に重要だろうと思 っています。特に現在、非常に経済状況がよく、雇用失業情勢は改善していますので、 そういう観点からいっても若年者の雇用対策は、喫緊の課題なのだろうと思います。こ こでやはりなにがしかの効果ある対策を見つけておくことが必要だと思います。以上で す。 ○宮川雇用保険課長 それでは概算要求との関係もあるので、事務局から厚生労働省と してのコメントをさせていただきます。まず、第1点目の平成19年度の概算要求です。 先ほど輪島委員からご指摘もありましたように、見直し検討会の報告書の中にも平成19 年度予算案にも可能なかぎり反映させるよう努めるべきであるという趣旨を踏まえ、概 算要求段階で反映できるものは可能なかぎり反映させていく形で、現在作業を進めてお ります。  また、料率の在り方については、今後の論点の中にあるように、雇用保険部会での議 論を踏まえ、概算要求段階ではまだ何も結論は出ておりませんので、従来ベースで形式 としては要求させていただく形になりますが、それらを十分踏まえ、予算編成段階の中 で、適切な対応をしていく必要がある場合には、適切な対応をしていくことを考えてお ります。  また若年者の雇用対策を含め、今回ご指摘いただいた重点的な雇用対策については、 三事業としてもやはりその辺メリハリをつけた形での概算要求に結びつけたいと思うべ く、現在努力しております。今後、若年者雇用対策について、雇用保険三事業の在り方 の中で、制度的なものも含めてさまざまなご議論をいただければと思っております。以 上でございます。 ○長谷川委員 5頁の(3)の保険料率について、ここで記載されていますが「弾力条 項の発動基準等の在り方について検討すべきではないか」ということで、ここで弾力条 項の発動基準等の在り方となっていますが、平成19年度の予算は、いま事務局から輪島 委員に対する回答があったように、これまでどおりで予算編成をするということですが、 9月になると決算が出るので、もし雇用保険法を改正するのなら、12月辺りに報告書が 出て、1月以降は通常国会は予算から始まっていくわけです。そうすると9月の決算で、 保険料率に何らかの変化があったときには、その扱い方はどうなのでしょうか。例えば ある意味では、かつて保険料率が上がることに協力して、今日的な財政状況は、9月の 結果は予想できますが、そのときにやはり上げて健全になったのだから、次は下げろと いうのは、負担する者から言えば必ず出てくる話です。その辺の見通しなどについてお 伺いします。 ○宮川雇用保険課長 決算の数値については、決算が完全に確定する内閣の閣議決定を 経て、会計検査院に提出した時点をもちまして、この数字が完全に確定されたという意 味で、この数字をオープンにしていき、この雇用保険部会に提出させていただきたいと 思いますので、その時点でまたご説明申し上げます。いずれにしてもその際、いわゆる 弾力条項が発動されうるかどうかが1つのポイントになろうかと思います。結果として 弾力条項の発動要件を満たすといった場合には、予算編成過程の中で、先ほど申したよ うに歳出面のみならず、歳入面での手当も必要があればやっていく形になろうかと考え ております。いずれにしても、現在の弾力条項の下で要件を満たすかどうかという点の みならず、弾力条項の在り方そのものについてもご議論いただければと考えております。 以上です。 ○大沢委員 少し一般的なことですが、三事業の見直しということは必要だったと思い ますし、とてもご苦労なさったと思います。その関連で三事業などによって、日本のい ままでの経済発展は、能力開発が重視されて経済発展を遂げてきたわけです。そういっ た能力開発が少しずつ減ってきているという結果などがあり、もし企業内訓練でやらな い場合には、どこで能力開発をしていくのか。若年者の雇用対策の中で今後は能力開発 が非常に重要になってくるのではないかということが1点です。  また、こういった雇用保険で対応している場合に、継続して雇用されている場合には 保険が払われ、その間のセーフティーネットというものもある程度機能しているわけで すが、一旦やめてしまって1年以上経過した場合には、私の理解では雇用保険から外れ てしまって、いままで折角積み立ててきたにもかかわらず、何年かキャリアが中断して しまった後には、そういった保険に加入していたにもかかわらず、恩恵が受けられない。 これからの21世紀少子高齢化社会を考えると、中断してまた労働市場に戻るという新し い形態の人が増えてきます。そこの能力活用が非常に重要になってくるときに、現在の ままの雇用保険体制のみで考えてしまうと、折角雇用保険を払っていたにもかかわらず、 その恩恵を受けられない人が増えていき、結果として日本の経済発展にとってマイナス になると思います。この点について見直しの次には、是非、経営者側も含めて、日本全 体の能力開発を考え、保険の対象拡大というのでしょうか、例えば中断して何年か経っ た人たちの能力開発、再就職の在り方を見直していくことが必要になってくるのではな いかと思います。 ○宮川雇用保険課長 2点ございましたので、私からコメントさせていただきます。1 つは能力開発の関係です。特に企業内での能力開発に関する投資、人材の投資が減って いるやにさまざまな数値で表わされていると聞いております。その意味で、雇用保険三 事業が真の意味で失業等給付の事業に資するという観点、効率的に行われている観点の 中で、今回示されたような重点的な雇用対策として、ミスマッチ解消のための雇用対策、 あるいは中小企業に必要な能力開発という形でのものに重点化していくことは、大変重 要なポイントではなかろうかと思っております。  2点目の雇用の継続が中断された場合の扱いです。現在の扱いをご説明すると、基本 手当の受給要件は、離職日前1年間に被保険者期間が6箇月以上あることが必要です。 ただその過去1年間に例えば疾病・負傷、あるいは事業所の休業、出産、外国勤務、そ の他やむ得ないと認められるような事由がある場合には、3年を限度として、この期間 を延長する形で、一定程度のキャリア中断、やむを得ない形での継続の中断を雇用保険 の世界では作っているというのが、現在の仕組みです。今回、論点としていま申し上げ た1年以内に6箇月以上という在り方を、1適用の(1)の所で、一本化する過程の中で、 どうするかという議論もありますが、その中でさらに継続の扱いなどについては、また 今後ご議論いただければと思っております。以上でございます。 ○輪島委員 企業内教育訓練の点についてご発言がありましたので、私どもの基本的な 考え方を申し上げます。1つはパソコンなどの普及で、昔ながらの、熟練やある程度の スキルが必要だった仕事が、パソコンを使えばインターネット等を通じて、情報を入手 すること、それを加工していろいろな資料を作ることも含めて、いまはそれほど必要で なくなっているのが現実です。その点において、相対的に企業の中の教育訓練投資が、 額としてのボリュームが減っているということは調査としても出ているのかもしれませ ん。しかし、企業全体の中からして、基幹的業務、またはそうでない所の仕事について も、教育訓練を怠っている所は、やはり競争力を失うわけです。その点でどんどんこれ からの傾向として、企業内研修、企業内の教育訓練投資がトレンドとして落ちていくと いうようなことではなくて、やはり濃淡をつけていっているのが、これからの企業内の 教育訓練の在り方なのではないかと基本的には思っています。  2点目は、保険という考え方をどのようにするのかです。確かに書店に行くと、「雇 用保険のもらい方」、「150%職業安定所を活用する方法」、そういう本はいっぱいある のですが、基本的な保険という考え方はみんなで支えるということで、積立金ではない ので、その点についての基本的な考え方の整理は私どもとしてはしておきたいと思って います。 ○古川委員 4頁の高年齢雇用継続給付と、65歳以降の対処に関してです。高年齢雇用 継続給付が平成25年以降は、原則廃止となっております。経過措置を設けることも書い てありますが、やはり高齢者の雇用を促進するという観点から、ここは慎重にやってい ただきたいです。65歳以降の対処について、検討する必要はないかと3頁に書いてあり ますが、これについても早急に何とか対応を図っていただきたいと思います。 ○長谷川委員 今回の中間報告で、これ以降、秋以降12月にかけて議論していくという ことでよろしいですね。適用の(1)の所で、「循環的な給付を防ぐ観点から、特定受給資 格者は6月、それ以外の者は12月とすることにどう考えるか」というのは、これ以降の 議論を詰めていく話だと思います。循環的な給付を防ぐというのは必要だと思います。 そのようになっていくということについては、問題があるというのは前回も三事業の所 で、使用者側委員から提起されています。ただ、循環的な給付を防ぐために、何か見直 しをした結果、いままでその給付を受けて暮らしていた人たちが、どうなるのかを同時 にやらないと、雇用保険では循環的給付を防ぐということで、このように整理しました と。しかし生身の労働者なわけですから、それを断ち切られたり、それが見直されたと きに、その結果何が起こるのか。それに対する対応が、何らかの雇用、何かそのような ものが用意されていればいいですが、用意されていなかったときは、実際に生活してい るわけですから直ちにそこに支障をきたすわけです。ここについては、行政の議論の仕 方は、雇用保険は雇用保険でこうやります、これはこちらですとして、こことここの連 続性が見えないことがよくあります。ここの循環的な給付を防ぐ観点からの適用者の問 題については、非常に慎重に扱っていただきたいと思います。雇用保険だけは見直しま したという報告ができて、結果的にいままでこのような給付を受けていた人たちについ て、何らかの生活の中で支障が起こるということがないような、新たな対応が同時並行 的に行われるべきではないかと思います。  (2)のマルチジョブホルダーはここでも何回か議論になりましたが、いずれにしてもや はり雇用就労形態の多様化という中で、2カ所で働いている、3カ所で働いているとい う労働者が現実にいるわけですから、その人たちに対する対策をきちっと取ることは必 要だと思うので、この適用の仕方について、是非、研究をする、検討に着手するという 方向に向かって、何らかの施策を提起すべきではないかと考えます。是非、そういう準 備をしてほしいと思います。  財政運営では、また金の話になりますが、私は何回も言っていますが、4分の1は堅 持すべきだと思っています。政府は雇用に対する施策を打つとしたら、これしかないわ けです。だから4分の1をきっちりと出すことにより、我が国の政府が、雇用政策をや っているということを示すわけなので、きちっと4分の1は出すべきだと思います。本 当は3分の1を出してほしいと思います。本当は公労使で3分の1ずつが原則だと思っ ているわけで、いまの4分の1に対しては、私は不満です。この間の国会の中で、見直 しというのは要するに引き下げるような観点での見直しですが、この審議会では労側委 員は全員4分の1を堅持すべきだとしています。そして前回上げた保険料率を是非、下 げていただきたいと思います。 ○宮川雇用保険課長 コメントさせていただきます。まず、1点目の適用の所で、循環 的な給付を防ぐ観点からということで、記載した事務局として、どのような意図で書い たかをご説明します。ここに書いてあるように、受給資格要件は現在、通常の労働者と 短時間労働被保険者とは異なっているわけですが、実はすでにいわゆる育児休業給付、 介護休業給付については、受給資格要件は一本化しており、短時間労働者と同様に、過 去2年間に12箇月以上、月の数え方としては11日以上の働き方という形での一本化が なされているわけです。単純にそのように一本化してしまうと、これにより循環的な給 付を防ぐという観点は満たされるわけですが、逆にいままで6箇月以上勤められ、途中 で解雇なり、倒産なりがあったという状況の方に、給付が出なくなってしまう恐れがあ るのではないかという観点で、ここで循環的な給付を防ぐ観点から、12箇月とするけれ ども、一定の配慮をするとすれば、特定受給資格者は6箇月とするべきではないかとい う趣旨のことを短く書いてしまったので、読みづらいかと思います。しかしそういう趣 旨であるということをご説明しました。いずれにしても9月以降ご議論する際に、この 辺りの一本化のやり方、それに伴うどのような影響が出てくるかをご議論いただければ と思っております。  マルチジョブホルダーについては、現在、現実に2カ所、3カ所で働いている方もい らっしゃる中で、雇用保険としてどこまでカバーすべきなのか、そうすると逆に言えば カバーする以上、保険料としていただくことになるわけですが、いただいた結果として 失業状態をどのように考えていくのかなど、さまざまな論点があろうかと思います。こ れもまた9月以降、いろいろご議論いただければと考えております。  財政運営の点については、ここにいくつかの論点がありますが、いずれにしても行政 改革推進法の中で、廃止を含めて検討することが具体的に定められていることを踏まえ、 かつ当部会でのこれまでの議論などを念頭に、9月以降ご議論いただければと考えてお ります。以上でございます。 ○輪島委員 財政運営については、私ども使用者側も4分の1は堅持するべきだという 立場は同じです。決算を見ないとわかりませんが、基本的に前回の法改正を踏まえ、ま たいまの雇用失業状勢の結果として、財政が好転しているということを踏まえれば、そ の点から言えば、保険料率の引き下げも併せてするべきだという立場は、労働側委員と 同じだと思っています。 ○三木委員 先ほど長谷川委員からマルチジョブの話が出ましたが、いま働き方が非常 に長時間労働と短時間労働とに二極化されているという状況が、データでも出ておりま す。ただ短時間の働き方が、どういう働き方もそうで、どういう労働時間になっている のか、複数就労の関係もあるのかどうか、そういうものも絡んでくるのではないかと思 っております。ここでは適用の問題の所で、議論はされませんでしたが、20時間未満の 働き方、適用の問題についても、関連して検討していただかなければならないのではな いかという気もいたします。是非、その点についても含めて、確認していただければと いう思いがあります。  高年齢の問題については、先ほど古川委員からもお話がありましたが、確かにある意 味では猶予の問題もあるわけです。それがかつて労働時間の問題で猶予措置がどんどん 伸びていったという経過もあり、そういう意味では本当に高年齢雇用継続がどういう役 割を果たしたのか。その辺の進捗状況を含めて、やはりそこはきちんと点検しながら、 この在り方について検討していただきたいです。そのことを前提にした上で、原則は廃 止という部分を含めて、進捗状況も含めながら課題については整理していきたいという ことを改めて言いたいと思います。 ○宮川雇用保険課長 2点ありましたので、私からコメントいたします。まず短時間労 働者は現在20時間で区切っておりますが、これもマルチジョブホルダー等の「等」の中 に含まれるという趣旨で、就業形態の多様化に対応した雇用保険の適用範囲ということ で、ご議論いただければと思っております。  高齢者の問題については、今回、改正高齢法というのはひとつの大きな柱、まさに大 きな変化ではなかろうかと思っております。少なくとも平成25年度以降には原則廃止す るという意味は、改正高齢法が完全に施行される平成24年度末をもって、このような制 度はある程度区切りをつけるということが、思想として必要なのではなかろうかという 趣旨で、ここで論点として挙げましたが、それも含めて9月以降ご議論いただければと 考えております。 ○中窪委員 先ほどの適用の(1)ですが、短時間と普通労働を一本化するまでは議論した 記憶はありましたが、その際に循環的な給付を防ぐ観点からこうすることについてはど うかと、これは少なくとも6月29日の段階では、いままでの議論整理の所では、一本化 だけで終わっていましたので、これを一本化するとすれば、こういうものが1つあるだ ろうということで、事務局がお考えになったということなのでしょうか。それとも我々 の中でこういうことが出たということなのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 すみません。ここの所は、事務局で一本化する際の1つのアイデ ィアとして提出している論点ですので、こういう方向性が決まったなどという、そうい うことではございません。 ○栗田委員 先ほど長谷川委員も言われましたが、特定一時金の部分で、循環的な受給 ということですが、循環的な給付というものは予め失業がわかっているということ、そ れから特定な地域で限定的にそのことが発生しているということなのだろうと思ってお ります。そのことは、特に就労したくてもできないのだという地域がやはりあるのだと 思っております。特にこの部分を例えば、中間まとめの中で検討する必要はないか、い ろいろな言い回しがありますが、特に特定地域については、見直すべきではないかなど、 そういう予め見直すことを前提とした中間まとめがされていることなのです。先ほど長 谷川委員が言われたように、これを例えば見直すとすれば、それも代替処置ではないで すが、それに代わる方策が必要ではないかと私も思っております。特に積雪の寒冷地等 の地域雇用対策を見直すべきとなってしまうと、非常に被害、影響を受ける人たちが多 分にいるのだろうなと思っております。これは慎重にやっていただきたいと申しておき ます。 ○宮川雇用保険課長 これが失業がもともと予定されたものに対する循環的な給付であ るということについては、雇用保険部会の過去の2回、平成11年、平成14年のそれぞ れの部会報告書でも明記されております。循環的な給付であることが、現状としてある ことを考えた上で、この在り方については当時から今後その在り方について検討してい く必要はあるという趣旨で、平成12年改正、平成15年改正の際の部会報告書をまとめ ていただいた経緯がございます。今回引き続き検討が必要である、あるいは考慮した見 直しを行うべきではないかという趣旨も、その趣旨を踏まえたものと理解しております。 以上でございます。 ○諏訪部会長 ほかによろしいですか。それではこれまでのご議論をお伺いしていると、 現段階における議論は、一応一定の段階に達しているのかと存じます。そこで当部会に おける中間的な議論の結果をここにあるような案で、職業安定分科会に報告したいと考 えますが、それでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○諏訪部会長 ありがとうございます。それではそのように取り計らわせていただきま す。当分科会としては、この中間報告を踏まえ、引き続き制度改正の議論を深めてまい りたいと存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。  次に「雇用保険法施行規則の一部改正について」事務局からご説明をお願いします。 ○田中雇用保険課課長補佐 「改正官民人事交流法の施行に伴う雇用保険法施行規則の 改正」について、資料2でご説明いたします。1頁、官民人事交流法は平成11年に成立 して、平成12年度から本格的に施行されている法律です。国家公務員と民間企業との間 の人事交流を促進するための法律ということで成立しております。これまで官民人事交 流法に基づく人事交流の在り方は、まず、民間企業から国家公務員、国に来ていただく 方については、民間企業を一旦お辞めいただいて、国の機関に来ていただく。つまり移 籍出向型の交流を行っていたということです。これが大きな要因であろうと思われます が、なかなか官民人事交流が進まないという現状がございました。このため移籍出向型 だけではなく、在籍出向型の人事交流を認めようではないかということになり、今年の 6月に官民人事交流法の一部を改正する法律案が出て、可決成立したという状況です。 このため交流元の企業との雇用関係が継続している方が、政府の機関にいらっしゃると いうことになったわけです。これらの方々については、国にいる間も雇用保険の被保険 者資格は継続されるということになっております。  2番目の箱で、基本手当を考えると、原則として離職の日以前1年間に、被保険者期 間が6箇月以上である場合に支給されるとなっております。この被保険者期間というの は、資格が続いているという期間ではなくて、賃金支払日が14日以上ある期間というこ とで、それが6箇月以上である場合に支給されるということになります。ところがこの 人事交流をする場合には、交流元企業からの賃金の支払いは行わないということを取り 決めることになっております。官民人事交流法上そのようになっているということで、 交流採用後6箇月以上経過すると、交流期間中に交流元企業から賃金の支払いがないた めに、受給要件を満たさなくなるという期間がどうしても生じてしまうということにな っております。  具体例を申しますと2頁です。例えばという1例ですが、民間企業で1年間勤務した 労働者の方が、官民人事交流法に基づき、国の機関に2年間勤務する場合を想定してい ます。こういう方が、民間企業に戻られた1箇月後に、何らかの理由で離職をしたとい たします。これは倒産、解雇という場合もあるでしょうし、自分でお辞めになるという こともあるかと思いますが、この場合もし原則どおり計算すると、算定対象期間1年間 の間に、被保険者期間、つまり14日以上賃金支払日がある期間ですが、これが6箇月に 満たないということになり、この方は受給要件を満たさないということになってしまい ます。さすがにこれは折角官民人事交流法で在籍出向型を認めた趣旨にそぐわないので はないかと考えており、これを救う手立てとしては、いままでも例がありますが、算定 対象期間を延長するという措置が適当ではないかと考えております。具体的には1年間 に国に出向していた期間、この方の例であれば2年間ですが、この2年間を足して3年 間の間に6箇月以上被保険者期間があるかどうかを見ることにしたいと考えております。 この方の場合は、その措置を講じると救われるということになるわけです。因みにこの ように算定対象期間を延長する例としては、2頁の(参考)に掲げております。疾病、 負傷である場合、事業所が休業した場合、あるいは出産した場合、事業主の命によって 外国で勤務をした場合、その他管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認めるものと いうことで、いままでも例があるものですが、これに追加をするということで、省令改 正をさせていただければと思っております。  省令案の要綱については、縦書きになっているものです。「基本手当の受給資格に係 る算定対象期間の改正」ということで、省令の対象期間を延長する事項として、国と民 間企業との間の人事交流に関する法律、官民人事交流法ですが、第2条第4項第2号に 概当する交流採用、つまりこれは在籍出向型の交流採用ということです。これを加える ことにしたいと考えております。施行期日については改正官民人事交流法の施行日が9 月20日と聞いておりますので、9月20日を施行日としたいと考えております。資料説 明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○諏訪部会長 それではただいまの説明についてご意見、ご質問等がありましたらお願 いいたします。 ○古川委員 特例ということで、最長4年間になると思いますが、官民人事交流の期間 は大体どのくらいなのでしょうか。併せて4年以内で納まるのでしょうか。超えてしま った人は駄目になるわけですね。 ○田中雇用保険課課長補佐 原則4年以内ということなのですが、官民人事交流法は原 則3年以内になっています。現実的にいま多いのは、1年ないし2年と聞いております。 ○輪島委員 従来から移籍型はなかなかやりにくいことが多く、民間企業からいくこと が難しかったわけですが、今度は在籍型ができて、そういう意味で多少やりやすくなる のかなとは思っています。その点は評価をしておりますが、1点お伺いしたいのは、資 料の1頁の先ほどご説明の2つ目の箱で、「交流採用後6箇月以上経過すると、交流期 間中に交流元企業からの賃金の支払いがない」ということになりますが、一般的に言う と、交流元の企業の賃金と役所での賃金に差額が出ると思いますが、差額が例えば民間 企業のほうが高かった場合に、それはどのようになっているのでしょうか。それを在籍 型で補填しているときには、例えば差額が5万円、10万円あったときに、毎月10万円 民間企業が払っていた。それは賃金と見るのか、見ないのか。そうなったときの取扱い がどのようになるのかがよくわかりません。 ○宮川雇用保険課長 私どもが人事院関係省庁から聞いている話では、今回の在籍出向 型の官民人事交流法に基づく人事交流については、賃金の支払いは交流元企業からは受 けないという整理をする。あくまでもすると聞いております。そういう意味からすれば、 いわゆる賃金、即ち就労に対する対価という意味でのお金のやり取りはないという世界 を雇用保険の世界から評価をすれば、それは労働保険の保険料としての算定対象にもな らない。算定対象にもならない以上、賃金の支払い期間ではない。賃金の支払い期間で ないから、ここにあるような問題が生じるので、今回の手当をお願いしますという論理 構成です。したがいましてどのような形で、官民人事交流法の運用が行われるかどうか については、今後おそらく施行までの間、あるいは施行以後も含めて、人事院ないし総 務省でさまざまな問題は詰めていくと思いますが、私どもが聞いている範囲では、いわ ゆる就労の対価としての賃金は受け取らないということです。そうするとこの問題は生 じる。我々のほうでは賃金支払日がない形に全部整理されてしまいますので、そうする とこの期間は全く算定ができないという、そういう意味で今回の整理をしております。 そちらの取扱いについては、官民人事交流法の運用の話とご理解いただければと思いま す。 ○諏訪部会長 ほかにいかがでしょうか。それではこれはこういうことで、ほかにとや かく言う筋合いはないという関連の改正だろうと思いますから、こうした措置でよろし いということで、省令案要綱については厚生労働省案は概ね妥当と、当部会は判断した ということで、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○諏訪部会長 ありがとうございます。それでは本日の議論の結果については、私から 職業安定分科会に報告をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○諏訪部会長 ありがとうございます。それでは以上をもちまして、本日予定されてい る議題はすべて終了ですが、何かこの際、夏休み向け宿題、サマーブック、ホームワー クなど何かございますでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 今後の段取りですが、先ほど申したように9月以降、ご審議をか なり集中的にお願いすることになろうかと思います。ある程度早めに日程を取らせてい ただきたいと思いますので、事務局から日程調整のお伺いを近々出させていただき、調 整を前広に、早めにやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○諏訪部会長 ということでございますので、しばらく皆さまお休みをした後、秋には かなり忙しくなるかもしれないということですので、日程調整についてはどうぞご協力 をお願いいたします。今日は予定した時間よりかなり早いですが、以上をもちまして第 28回雇用保険部会を終了といたします。なお本日の署名委員は雇用主代表が中島委員、 労働者代表が三木委員ということでお願いをしたいと思います。委員の皆さまにはお忙 しい中、どうもありがとうございました。 照会先   厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係   TEL 03(5253)1111(内線5763)