06/08/04 第5回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録                    第5回              厚生科学審議会生活環境水道部会                    議事録                厚生労働省健康局水道課           第5回厚生科学審議会生活環境水道部会議事次第 日時 平成18年8月4日(金) 14:00 〜 16:20 場所 合同庁舎5号館共用第6会議室 出席委員(敬称略) 相澤好治、赤川正和、阿部嘉弘、新井一、安藤正典、池田耕一、大垣眞一郎 岡部信彦、沖幸子、亀井美登里、岸玲子、国包章一、瀬川昌輝、永井惠 眞柄泰基、矢口雅彦 1.開会 2.議事   (1)厚生科学審議会生活環境水道部会について   (2)水道行政の最近の動向について   (3)クリプトスポリジウム等対策について   (4)水質基準の見直し等について   (5)その他 3.閉会 ○山村課長  それでは定刻となりましたので、只今から生活環境水道部会を開催させて頂きます。 委員の皆様には御多忙にも関わらずお集まり頂きまして、誠にありがとうございます。 まず議事に先立ちまして、中島健康局長より御挨拶を申し上げます。 ○中島健康局長  健康局長の中島でございます。委員の先生方におかれましては、大変お暑い中御出席 を頂きまして、誠にありがとうございます。  御承知のように生活環境水道部会という部会につきましては、我々健康局が所管をし ております行政の中で、水道行政、生活衛生行政といった分野を受け持って頂いており ます。なお、健康局といたしましては、水道に関しまして、水の安全性ということだけ でなく、健康のために水を飲むという観点からも取り組んでいるところでございます。  この部会におきましては平成15年に水質基準の見直しについて御審議頂きまして、そ の結果を答申として取りまとめて頂いたところでございます。その後、答申を受けまし て、対応策について私どもの方で検討を進めて、今回2つの事項について案を取りまと めましたので、本日はこれらについて御意見をお伺いしたいと考えております。  一つはクリプトスポリジウム等の耐塩素性病原生物対策ということです。塩素消毒が 有効ではないクリプトスポリジウム等の対策については、これらを除去できるろ過装置 を整備することとしておりますけれども、小規模な水道を中心に、いまだに必要な施設 が整備されていない水道が多数存在するわけでございます。このため対策の一層の強化 が必要という答申を頂きました。  これを受けて新たに紫外線処理を位置づけることや、クリプトスポリジウム等による 汚染のおそれを分類することなどを含みます対策の見直し案を取りまとめましたので、 御意見を頂きたいということでございます。  それからもう一つは、WHOでは飲料水水質ガイドラインを逐次改正していくことを うたっておりますことから、前回の答申で水質基準を最新の知見に基づき、逐次改正し ていくことが明示されました。これを受けて厚生労働省では水道水質の確認と基準の見 直しの必要性の検討を継続的に進めておりますけれども、今回水質基準の項目への塩素 酸の追加、あるいは水質管理目標項目の見直し、これらが必要と考えておりますので、 これについても御意見をお伺いしたいということでございます。  水道の水がより安全でよりおいしい水であることを望みます国民の期待は、近年極め て高くなってきております。こうした期待に確実に応えていくということが、その対策 でございますので、よろしく御検討をお願い申し上げます。  また厚生労働省といたしましては、我が国の水道が運営基盤の強化、安心・快適な給 水の確保、災害対策の充実など、様々な取り組みを進めるための具体的な施策等を取り まとめました「水道ビジョン」を平成16年に策定いたしまして、その実現に向けた取り 組みを進めているところです。そのための施策につきましても、御審議をお願いしたい と考えておりますので、今後とも御指導、御支援を頂きますよう、よろしくお願い申し 上げまして、私の御挨拶とさせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○山村課長  ありがとうございました。それではお手元の資料の確認をさせて頂きたいと存じます。 お手元の議事次第の裏に配布資料のリストが載せてございます。クリップ留めをしてお りますけれども、資料といたしましては、1番から6番までございます。そのうち資料 の4は、枝番になってございまして、4−1から4−3という形になってございます。 それから参考資料がございます。参考資料は1から8までございます。もし不足等がご ざいましたら事務局までお申し付け下さい。  本日の部会は、久しぶりの開催ということになりまして、新しく参加頂きました委員 も多数いらっしゃいますので、まず委員の御紹介をさせて頂きたいと思います。遅れて 御到着の委員の方もいらっしゃいますけれども、いらっしゃっている方から名簿の順に 御紹介をさせて頂きます。  赤川委員でいらっしゃいます。   ○赤川委員  よろしくお願いいたします。 ○山村課長   阿部委員でいらっしゃいます。 ○阿部委員   よろしくお願いいたします。   ○山村課長   新井委員でいらっしゃいます。   ○新井委員  よろしくお願いします。 ○山村課長  安藤委員でいらっしゃいます。 ○安藤委員  よろしくお願いします。 ○山村課長  大垣委員でいらっしゃいます。   ○大垣委員  よろしくお願いします。   ○山村課長  名簿の順ではありませんが、眞柄委員であります。   ○眞柄委員  よろしくお願いします。   ○山村課長  岡部委員であります。   ○岡部委員  よろしくお願いします。 ○山村課長  沖委員であります。 ○沖委員  よろしくお願いいたします。   ○山村課長  岸委員でいらっしゃいます。  ○岸委員  よろしくお願いします。   ○山村課長  国包委員です。   ○国包委員  よろしくお願いします。   ○山村課長  瀬川委員です。   ○瀬川委員  よろしくお願いします。   ○山村課長  永井委員です。   ○永井委員  よろしくお願いいたします。   ○山村課長  矢口委員です。   ○矢口委員  矢口です。よろしくお願いします。 ○山村課長  相澤委員と池田委員、それから亀井委員が遅れて御到着ということを伺っております。  現在13名の委員が御着席でございます。本日欠席の委員が4名いらっしゃいますが、 総数で20名ということでございますので、厚生科学審議会運営規定第7条の規定により、 定足数、これは過半数でございますけれども、これを満たしておりますので、本部会開 催は成立しておりますことを御報告申し上げます。  引き続き事務局を紹介させて頂き頂きます。先ほど御挨拶をいたしました中島健康局 長でございます。  私は水道課の課長をしております山村と申します。よろしくお願いいたします。  水道課の水道水質管理官をしております立川でございます。   ○立川管理官  立川と申します。よろしくお願いいたします。   ○山村課長  その隣が水道課の新田課長補佐でございます。   ○新田課長補佐  よろしくお願いします。   ○山村課長  その他後ろの方にも、課員が控えてございます。  なお、本日テーブルにペットボトルを配らせて頂きました。東京水と書いてございま す。これは東京都の水道局の朝霞浄水場というのがございまして、場所は埼玉県の朝霞 市です。そちらの方で高度浄水という浄水方法を導入しております。その朝霞浄水場で できた水を、こういう形で東京都水道局の方でつくっておられますので、御紹介方々机 の上にお配りさせていただいた次第でございます。  次に委員の任期が、平成17年1月に一旦終了いたしまして、本日の部会は再任後初め ての開催となります。このため、改めて部会長を選任する必要がございます。厚生科学 審議会令第6条の規定により、部会長は委員の互選により選任することとなっておりま す。ここで委員というのは、資料1の名簿の中で、委員と記載されている方々が厚生科 学審議会、本体の委員の方でございます。臨時委員の方におかれましては、今しばらく 本件につきましては、お待ち頂くということになりますので御了承下さい。  では、委員の方にお諮りしたいと思いますが、部会長への御推薦があれば、お願いし たいと思います。如何でしょうか。 ○岡部委員  この方面に造詣が深くていらして、前も部会長をやられていた、私の隣においでにな る眞柄教授に、また部会長をお引き受けいただければと思います。御推薦申し上げます。 ○山村課長  ありがとうございます。眞柄先生を御推薦ということでございますが、如何でござい ましょうか。よろしゅうございますか。それでは眞柄先生、よろしくお願いいたします。 これ以降の進行につきましては、眞柄先生にお願いをしたいと思います。   ○眞柄部会長  引き続き部会長ということで、大変責任を感じておりますが、委員、臨時委員の先生 方の御協力を頂きまして、先ほど中島健康局長から御紹介がありましたような事柄につ いて、この部会で審議をして頂きまして、今後とも国民が安心して飲んで頂ける水道水 の供給のための、色々な事柄を御相談したいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。  なお、部会長代理を決めることになっております。お手元の資料にございますように、 何人かの方々、皆さん専門的な方もいらっしゃいますが。前回の折には部会長代理に、 今日御欠席ですが、明治大学の坂上先生になって頂きましたので、今回も坂上先生にお 願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは早速議事に入りたいと思います。最初に厚生科学審議会生活環境水道部会に ついてであります。事務局より御説明を下さい。お願いします。   ○山村課長  本部会について御説明いたします。参考資料1をご覧頂きたいと思います。厚生科学 審議会の構成についてという資料でございます。このように厚生科学審議会というのが ございまして、その下には多くの部会が設置されてございます。当生活環境水道部会に つきましては、「建築物衛生その他生活衛生に係る生活環境に関する重要事項及び水道 に関する重要事項を調査審議すること」というふうにされているわけでございます。  これまでに本部会は4回開催されております。お手元の資料の2を併せてご覧頂けれ ばと存じます。これらは平成14年7月24日、厚生労働大臣から、厚生科学審議会に対す る水質基準の見直し等に係る諮問を受けての審議が行われたものでございます。第1回 平成14年8月1日、同じ年の12月、そして翌年の3月、4月と、4回にわたって開催さ れております。そして最終的に平成15年4月28日に水道水質の見直し等についてという 御答申を頂いたわけでございます。  答申を頂きました後、厚生労働省におきましては水質基準を改正いたしまして、平成 16年4月から適用されました新しい水質基準による水質の検査の結果を、本年3月に取 りまとめまして、その内容について検討を行っております。  また、答申におきまして、耐塩素性病原生物対策の推進という指摘を頂きましたこと から、新たな対策の検討を進めてまいりました。こうした検討結果につきまして、御審 議頂くために、本日部会を開催させて頂くことになったものでございます。   ○眞柄部会長  ありがとうございました。部会のこれまでやってきたことと、今回の部会で検討する 事項について説明がございました。特に御質問がなければ、早速具体的な事柄に入って まいりたいと思います。  それでは、水道行政の最近の動向について、御説明を下さい。お願いします。   ○山村課長  お手元の資料3というのがございます。パワーポイントのスライドを印刷しておりま すけれども、そちらのスクリーンの方に同じものを映させて頂きますので、適宜両方を 御参照頂ければと思います。  水道行政の最近の動向についてということでございますが、内容といたしましては、 平成15年5月に公布されました水質基準に関する省令の公布後の状況、それから平成16 年6月に作成されました水道ビジョン、さらに地域水道ビジョンについてのこと、それ から震災関係のことで、新潟県中越地震の被害状況、こういったことについて御紹介を させて頂きたいと思います。  まず今日の水道の課題ということでございます。水道の普及率は御案内のとおり全国 で97%という高い数字に達しております。全国どこでも、不自由なく、水道水が使える 状態というのが、できているわけでございます。そういう状況の中でございますので、 日頃世の中で水道で困ったという話はなかなか、むしろ限られているわけでございます。  そうなりますと水道というのは完成してしまって、新しい課題はないのではないかと いうふうにも見られがちでございますので、いや、そうではないんだということを、私 どもはいろんな機会に説明させて頂いております。そういう機会にこのスライドを使っ ているわけです。  下の方に小さな4つの箱があります。このあたりが課題をまとめたものということで ございます。  まず安全で安心できる水道水質の確保、一番左のグラフをご覧頂きますと、これは東 京都の方でアンケート調査を住民の方にしたものです。水道水に対して、安心感を持っ ているか、そうではないかということを伺ったわけです。その結果、半数を超える方は 安心している。緑のところです。これに対しまして、黄色がやや不安、赤が不安という ことです。不安とやや不安を合わせますと40%をやや超えるぐらいの比率になっていま す。こういったように、水道水に対する不安というのが、ある意味高い数字になってい るということが課題ではないかというふうに考えます。  それから上にちょっと書いてございますけれども、塩素が効かない病原生物の問題、 本日の課題でもございますけれども、そういったようなさまざまな水質問題がございま す。そういう中で安全で安心できる水道用水を確保していくということは、水道にとっ て引き続き重要な課題だということでございます。  それから真ん中のところでございますけれども、このあたりのところは、全国の水道 事業にはさまざまな形態、規模のものがございまして、運営基盤が脆弱なものが多いと いうことが現状である。こういうことを述べております。  グラフは、規模別の事業の数でございます。右の方に行くにしたがって、規模が大き いわけでございます。一番右が給水人口100万人を超える水道事業でございますが、全国 で14ございます。一番左の方は給水事業が5,000人以下、すなわち水道法でいう簡易水道 でございますけれども、その数が8,500にものぼっております。  このように大きな水道としては東京都水道局を筆頭にしまして、立派な水道事業体が 多数あるわけでございますけれども、その一方で非常に脆弱な規模の水道が、数として は非常に多いという問題でございます。  その結果、簡易水道につきましては、料金収入だけでは運営が困難ということで、様々 な支援措置を必要としているということです。それから上水道につきましても、今後、 こういった小さな規模でやっていくのではなく、もう少し広域化を推進していくべきと いうことが引き続き課題となってございます。  それから一番右でございますけれども、地震などの発生時での水道施設の問題でござ います。阪神・淡路大震災でございますとか、新潟県中越地震、こういったときには数 カ月にわたって断水が発生した状況がございます。その一方で、高度成長期に普及が進 みました水道施設については、老朽化が進んでいるという問題がございます。こういっ た中で水道施設あるいは管路の更新でありますとか、耐震化でありますとか、こういう ものが課題になっているということです。  全体としてまとめますとこういうような課題がございますというところで、お話をし ているところでございます。  水道水質基準でございますけれども、左のピラミッドに出ておりますように水質基準、 これは水道法第4条に基づくものでございます。それとともに局長通知で、水質管理目 標設定項目というのを定めております。それから審議会答申に基づきまして、要検討項 目というのを定めております。これらを総称しまして、水道水質基準等ということでご ざいます。  こういった水質基準項目の中で、大多数は基準を非常に低く下回っておりまして、安 全でありますけれども、中に基準超過が報告されるような項目がございます。その代表 的なものがここに書かれておりますけれども、鉛、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素、臭素 酸、塩素酸、こういったところが基準値、あるいは目標値を時々超過する。こういうこ とが、報じられているものでございます。本日の御審議事項につきましても、この関係 のことが後ほど出てまいります。  それから水道と一口にいいましても、水道局の配水管、給水管から直接通ってくる水 を利用している場合と、それからビルなどにおきましては、貯水槽を経由して水を利用 している場合があります。貯水槽につきましては全国で、110万ほどの施設がございます。 そのうちで水槽の規模の大きなものにつきましては、水道法に基づく管理の検査の義務 づけがなされております。これが20万ほどございます。  法律で管理の検査を義務づけておりますのは、受水槽の容量が10トンを超える貯水槽 でございます。その検査受検率というのが81%という状況でございます。そのうちの36% で、何らかの指摘がなされているということでございます。特にその中で衛生上の問題 があったというケースも、年間1,000件ほどございました。  水道のほかに飲用井戸というものでございます。これは都道府県の条例、要綱等で規 制対象になっているものがございます。そういった中に水質基準を超過するといったよ うなことが報告されることがございます。内容といたしましては、一般細菌、大腸菌、 硝酸態窒素、そういったものが多いわけでございます。  次に水道ビジョンということについてでございます。平成16年の6月に水道関係者の 共通の目標を定めようということで、水道ビジョンというのがまとめられました。日本 の水道は世界の中でも、蛇口から水が飲めるという信頼性、それから安定性、安全性、 いずれの面でも非常に高い水準にあると思います。しかし、さらに世界のトップランナ ーを目指してチャレンジを続けよう、こういうような目標を掲げてございます。  そしてそのキーワードといたしまして、安心、安定、持続、環境、国際。こういうキ ーワードを盛り込んで水道ビジョンを策定しております。  今の5つのキーワードは、長期的な政策目標ということにもなっているわけでござい ます。安心と安定、これは水道にとって不可欠な要素でございます。そういった信頼さ れる水道を持続させていくということが、次のカテゴリーでございます。それにこれか らの事業につきましては、必ず環境を考えていかないといけない。それから日本のこと だけでなく、国際的な視野を持って取り組んでいくべきだということが、言われている わけでございます。  こういった長期的な政策目標のもとに、5つの課題を設定いたしまして、その中に施 策を盛り込んでいるということになります。5つの課題としましては、水道の運営基盤 の強化、安心・快適な給水の確保、災害対策の充実等でございます。  地域水道ビジョンということを昨年の秋から進めております。先ほどの水道ビジョン の方は全国版の共通目標でございましたけれども、それを達成していくためには、地域 毎の取り組みが必要だということで、各水道事業体毎に水道ビジョンを参考にしながら、 独自の現状分析、目標設定、将来像を考えて実現方策を決める。こういうものをお作り 頂きたいということ、これは通知によりまして進めております。  その地域水道ビジョンでございますけれども、水道事業体の創意工夫、あるいは諸条 件に応じた柔軟性ということを尊重したいと考えておりまして、全体の大枠は決めてご ざいますけれども、内容につきましては、非常に自由度の高いものとなっています。ま た、昨年10月の地域水道ビジョンを進める以前に、類似のものが策定された場合にも、 この地域水道ビジョンとして取り扱おうということにいたしております。  見ていただいているこの絵は、地域水道ビジョンを持っている水道事業体の給水人口、 あるいは用水供給事業でございますと給水量、これが全体のどれぐらいになっているか というものでございます。  左側は、上水道事業の給水人口でございまして、地域水道ビジョンを持っている水道 事業体の給水人口の合計というものが38%ぐらいです。用水供給事業につきましては、 給水量ベースで50%ぐらいにいっているところでございます。残りの白い部分は、今後 の課題ということになっているわけです。  今コップの絵で御紹介しましたのは、この事業体の数で申し上げますと、冒頭申し上 げましたように、非常に小規模のものが多いわけです。そうすると赤いところ、これは できているものの数でございますけれども、非常に限られたものに見えてしまう。ちょ っとこれでは全体像をあらわさないということもございますので、先ほどのように実質 的に給水人口なり給水量で整理したものを御紹介させていただいたわけです。  次が新潟県中越地震の被害状況のスライドを、幾つか御紹介したいと思います。ごら んいただいておりますのは、山古志地域におきまして、斜面の崩壊によって、滑落した 中継ポンプ場、点線で囲ってございますけれども、こういう状況でございました。建設 されてまだ非常に新しい施設だったんですけれども、これだけの斜面崩壊が発生しまし て、このような格好に被災しております。  これは同じく山古志地域でございますけれども、斜面崩壊により接手部で抜け出しが 生じまして、失われた、消失した配水管というものの写真でございます。  このように中越地震の被害をご覧頂いたわけでございますけれども、その復旧につき ましては、事業の規模によって復旧の速度にかなり違いが見られたということが、一つ の経験でございます。赤い線は長岡市、真ん中の青い線が小千谷市、それから緑の線が 川口町ということでございます。点の高さが普及率を示しておりまして、横は地震発生 後の経過時間ということでございます。長岡市の復旧が非常に早く進んだのに比べまし て、小千谷市あるいはさらに川口町の方では、さらに復旧に時間がかかったということ です。こういった点からも、規模の大きな水道事業体とそうでないところの体制の違い という問題が見られるわけでございます。  そのときの教訓でございますけれども、やはり震災後、ふろと洗濯ができないという ことで非常に市民が困ったということが、報告されております。  そういったことをまとめまして、震災対策上の教訓でございます。施設の耐震化対策 を進める上で、次のようなことを考えておかなければいけないということを報告書がま とめています。まず地盤等の崩壊の危険性が高い地域を把握すること。それから主要施 設の被害想定・耐震化を進めること。それから応急復旧方法や他の水源・応急送配水ル ートの確保などを検討すること。経年管の更新。耐震管への計画的な布設替えを進める こと。こういったことが、新潟県の中越地震の調査に行って頂きました専門家の報告書 のまとめでございます。  以上雑駁でございますけれども、最近の水道行政の動向ということで、御報告をさせ て頂きました。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。それでは只今の説明に関して、御質問や御意見がございま したら、どうぞお出しください。  よろしいでしょうか。普及率が上がって水質基準から見ると、基準を満たしている水 道が圧倒的に多い。一方で、基準を達成できない水道や水道以外の飲用井戸がある。ま た、施設が古くなって、地震が来れば、水道サービスを供給できないところがかなり残 っているし、復旧する能力も規模に応じて、早かったり遅かったり、ある意味では水道 界でも格差社会が顕在化しているというような御説明があったというふうに思います。  それでは特にございませんようですので、続いてクリプトスポリジウムなどの対策に ついて、御審議を頂きたいと思います。これは平成15年の水質基準の見直しに関する答 申で、クリプトスポリジウム対策を一層推進していく必要があるということを答申で申 し上げたわけでございます。これを受けて厚生労働省で、新たな対策案を立てられたと いうことでございますので、これについて事務局から御説明下さい。お願いします。   ○山村課長  お手元の資料の中で資料4−1から4−3まででございます。これについて御説明を させて頂きたいと思います。水道水に起因するクリプトスポリジウムによる感染症が発 生したことを受けまして、厚生労働省では平成8年に暫定対策指針を策定いたしました。 この暫定対策指針の方は参考資料の6に付けてございます。  それから続きまして平成12年に、水道施設の技術的基準を定める省令の中で、汚染の おそれがある場合のろ過施設の整備を義務づけました。この省令につきましては、参考 資料の5の方で出ております。関係法令条文ということで水道法、それから裏の方に水 道法の施行規則が載せてございます。  しかしながら平成17年3月の時点でまとめますと、汚染のおそれがある施設として、 5,480施設あるわけでございますけれども、そのうち参考資料7をご覧頂きますと、この 1枚めくって頂きました表の1というものがございますけれども、ここに暫定対策指針 に基づく実施状況というものがまとめてございます。  そして、今申し上げました対策の必要な浄水施設というのが、合計欄で5,480施設でご ざいます。その中で対応済みの浄水施設3,076というのがございますけれども、それを差 し引きますと2,404施設、これらが、まだ、ろ過施設設置を検討中ということになってお ります。  その多くは、小規模な水道の施設でございますけれども、この対策を急がなければな らない。類似の状況は平成15年段階でもあったわけでございます。その答申の中で先ほ どの参考資料4でございますけれども、その中で対策の一層の推進ということが求めら れたわけでございます。  こういったことから厚生労働省では新たな対策の検討調査を実施してまいりました。 参考資料の8に、耐塩素性病原微生物対策検討委員会名簿というものが出ておりますけ れども、本日の部会長でもあります眞柄先生に委員長を務めて頂きまして、財団法人の 水道技術研究センターに、この検討会を設置いたしまして、御専門の先生方に御検討を 頂いたわけでございます。  その報告をおまとめ頂きましたので、それに基づきまして今後の対策を進めていこう というものでございます。資料の4−2というものがそのまとめて頂いたものでござい ます。水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針案というものでございますが、こ れに基づいて、これからの対策を進めてまいりたいということでございます。したがい まして、従来の暫定対策指針というものを廃止して、対策指針ということでやっていき たいということでございます。  特にこの中で12ページでございますけれども、汚染のおそれの判定の流れという図が ございます。従来の暫定対策指針におきましては、原水が深井戸以外で水源域に排出源 がある場合、または原水に大腸菌群が検出された場合には、原水の指標菌の検査を実施 するということ。それから2番目として原水に指標菌が検出された場合には、汚染のお それがあるとして、ろ過施設を整備すること。こういうふうに扱っていたわけでござい ますけれども、これを見直しまして水道原水にかかるクリプトスポリジウム等による汚 染のおそれの程度を分類いたしまして、それぞれに応じた対策措置を講ずることといた したいということでございます。  主な内容といたしましては、原水から指標菌が検出されたことのある施設におきまし ては、クリプトスポリジウム等による汚染のおそれがあるとして、適切な頻度で原水の 検査を行うとともに、地表水を原水としている場合には、ろ過設備を整備すること。地 表水以外を原水としている場合は、ろ過設備または紫外線処理設備を整備すること。そ のようにいたします。  それから2番目といたしまして、原水から指標菌が検出されたことのない施設につき ましては、まず地表水等が混入していない被圧地下水以外の水を原水としている場合に は、原水の指標菌を定期的に検査すること。次に地表水等が混入していない被圧地下水 のみを原水としている場合には、原水に被圧地下水以外の水が混入していないことを定 期的に確認すること。このような対応にいたしたいというものでございます。  先ほどの図をごらんご覧頂きますと、まず原水での指標菌の検出というところを着目 します。そして検出されたことがある場合には、右の方に進んでいきまして、原水が地 表水かどうかというところで判定をいたします。地表水の場合には、レベル4というこ とで、適切なろ過の実施。これが必要となります。原水が地表水でない場合、これは伏 流水とか地下水、湧水でございますけれども、この場合には、適切なろ過の実施又は紫 外線処理を導入するということでございます。  指標菌の検出のところに戻りまして、検出されたことがないものにつきましては、下 の方にまいります。そして原水が地表からの隔絶が確認できるような深井戸からの取水 であるかどうかというところを着目いたします。隔絶が確認できない場合というのが、 いいえでございまして、その場合には、原水の指標菌検査による監視の徹底にまいりま す。隔絶が確認できる深井戸の場合、これは隔絶性を確認したということで、レベル1 という取り扱いをする。このような取り扱いに改めたいということでございます。  次に紫外線処理でございます。平成15年の部会の答申におきましても、今後の検討課 題といたしまして、この紫外線処理についての検討ということが求められたわけでござ います。その後先ほどの検討会におきまして、十分な検討をして頂きました結果、紫外 線がクリプトスポリジウム及びジアルジアの不活化に有効であるとの知見が確認された ということを踏まえまして、今般この対策として紫外線処理施設を据えることにいたし たいということでございます。  この紫外線処理につきましては、ろ過と比べまして簡便な手法で導入できるというこ とでございますので、これによって対策の推進が図られるということが期待されるわけ でございます。しかしながら紫外線処理に当たりましては、処理対象水の濁度等の適用 条件でございますとか、適切な照射のための運転管理方法が重要でございますので、こ ういった事項を取りまとめまして、水道事業者に周知することにいたしたいと考えてお ります。  お手元の資料4−3が紫外線処理についての検討結果でございます。この中で4−1 の方にまとめを書いてございますけれども、4−1の2ページでございます。(1)から(3) でございます。紫外線の照射量が常に処理水量の95%以上、10mJ/cm2以上であること、 (2)といたしまして処理対象水の濁度が2度以下であること、(3)といたしまして紫外線強 度計及び原水の濁度を常時測定する濁度計を備えること、こういったことを適用条件と してまいりたいと考えております。  こういった事項を周知いたしまして、適切な形で水道事業者が紫外線処理を導入でき るように取り扱ってまいりたいと考えております。  次に平成15年答申の対応でございますが、4−1の2ページ目に、4.というところ がございます。それについて御説明したいと思います。平成15年の答申におきましては、 クリプトスポリジウム等の対策といたしまして、汚染のおそれの把握と適切な浄水操作 が必要であるという中で対策の遅れということにも着目されて、それを考えた上で対策 の一層の強化を目指して水道法第22条に基づく措置として、消毒に加え塩素耐性微生物 に係る措置を加えることが必要であると考える。このような取りまとめをいただいてい たわけでございます。  これを踏まえまして、私ども厚生労働省において、今後の耐塩素性病原生物対策のあ り方の検討を進めてまいったわけですけれども、結論といたしまして、この水道法第22 条に基づく措置として進めていくことに困難があるということになりました。まず1番 として法律第22条に基づく衛生上必要な措置としては、法の施行規則第17条において給 水栓における水の残留塩素が一定基準以上を保持することを規定しておりますけれども、 水道水中に含まれるべきでない各種物質についての操作などを規定したものではないと いうことがございます。  水道水中から除去すべき物質につきましては、水道水が備えなければならない要件で ございます水質基準、それから水道施設が備えなければならない要件であります施設基 準、これを定めることによって、安全な給水を確保しているところでございます。  そういった中で耐塩素性病原生物対策としてのろ過操作のみを、法の第22条に基づく 衛生上必要な措置として規定することになりますと、他の規定とのバランスを欠くとい うことになってしまうということが、その理由の一つでございます。  それから2番といたしまして、対策が不十分な施設というのは、とりもなおさずろ過 施設を備えていないなど、水道法の施設基準を遵守していない状態の施設でございます。 従いまして、対策を強化する場合には、やはり施設基準の強化、明確化を図りながら、 施設基準への適用違反として、改善命令等の措置を法第36条に基づき、期間を定めて施 設の改善を指示する。こういったプロセスによって対応していくことが適当である。こ ういうような結果になりましたので、今後の対応といたしましては、水道法第22条に基 づく衛生上必要な措置ということでなく、水道法第5条に基づく施設基準の運用の明確 化によりまして、対策の強化徹底を図ってまいりたい。このような結論に至ったわけで ございますので、どうか御了承を賜りますようにお願い申し上げます。  このようなことでクリプトスポリジウム対策につきまして、検討会の結果を踏まえて、 新たな方針を策定いたしましたので、今後この方針に基づきまして取り組みを推進して まいりたいと考えております。本部会におきましては、これらの対策の見直し案につき まして、御意見を伺いたいというふうに存じます。よろしくお願いいたします。   ○眞柄部会長  ありがとうございました。色々と御説明がありましたが、資料の4−1にありますよ うに、平成15年の答申で、従来の暫定対策指針ではクリプトスポリジウム等に対する対 策が必ずしも十分でなかったということで、その対策を推進するために一層の工夫を考 えてほしいという答申をいたしました。その際には対策を促進する上からも法第22条に 基づく衛生上必要な措置として、クリプトスポリジウム対策を考えてほしいという考え を答申したわけでございます。  水道課の中で、水道法の枠組みをいろいろと検討された結果、水質基準を定める水道 法第4条とその水質基準と同等と言えるような水道施設が備えなければならない要件と しての施設基準の中に、クリプトスポリジウム対策を明記するということであります。  それによってでも十分クリプトスポリジウムなどに対する対策ができるということで あって、具体的には対策を講じるレベルを1から4にし、レベル3、つまり地表水以外 でクリプトスポリジウム等の汚染のある場合には、紫外線処理も有効なものであるとい うふうにしたいということであったかと思います。これにつきまして、御質問や御意見 があったらお出しください。   ○新井委員  紫外線処理ということで新たな技術を導入しようというお考えのようなのですが、ま だ水道の方では、あまり紫外線処理を導入する事例が少ないと思います。これは新たな 技術を導入するということになると、技術的にかなり確立された技術なのか。あるいは 小規模な水道事業体で導入した場合に、誤操作あるいは照射を、ある下限値があります けれども、これを超えて大きく照射したときに、水質の変化が起こるのではないかとい う気もするんですが、その辺の技術的な点においては、安全性はどうなのでしょうか。   ○眞柄部会長  それについては事務局の方から。   ○新田課長補佐  只今の御質問、紫外線照射でございますけれども、確かに日本の水道での導入例は数 えるほどで実験レベルでしかございませんが、海外の水道、欧米などでは、消毒のため に紫外線を使っている事例がございます。  国内でも水道以外の分野、食品ですとか、あるいは電子工業などできれいな水をつく る際などに紫外線消毒を使っている事例がございます。水に対する紫外線の消毒という のは、技術的には確立というか、使用できるものというふうに思います。  また小さな水道における対応ということでございますけれども、照射量につきまして、 資料4−3の中にありますように、下限とかを定めておりますので、それを常時担保で きますように紫外線の強度計もあわせて設置して、照射がもし足らないときには、警報 を鳴らしたり、水を止めたりというふうなシステムもつくるようなことを、この資料の 中で提示しております。そういった施設をきちんと整備することによりまして、必要な 照射というのができるのではないかというふうに考えております。以上です。   ○眞柄部会長  新井委員、よろしゅうございますか。   ○新井委員  確立された技術だという点は、ある程度実証されているかと思います。私が心配して いるのは、小規模な水道というのは、非常に流量が日量で時間差で変化します。ですか ら照射量を与えていても、例えば夜間等非常に水量が減ったような場合、過剰な照射が 起きるのではないかというような心配があるわけです。  そういうもの、要するに変動に対応できる技術、これは非常に技術的な細かい話なの で、ここは特に議論をするところではないと思いますけれども、その辺も含めてOKと いうことであれば、確立された技術だということで了解したいと思います。   ○新田課長補佐  照射量が大きくなり過ぎたときということでございますけれども、こちらでは基準と して10mJ/cm2以上照射しなさいということで、それ以上であれば消毒ができるというふう にしておりますので、照射量が大きくなった場合には、クリプトスポリジウム対策とい うのがとれるということになろうかと思います。  また、紫外線照射によって生じる副生成物についても、今回検討の中で入れておりま す。紫外線照射における危ない副生成が起こるということは問題がないというふうなこ とで、取りまとめているところでございます。   ○眞柄部会長  それではほかに何か。では、瀬川委員。   ○瀬川委員  非常につまらない質問なんですけれども、資料4−1の2ページ目の、耐塩素性病原 微生物対策という言葉と、塩素耐性微生物という言葉と、耐塩素性病原生物と3つある のですが。これはそれぞれに使い方が違うのか、それとも同じものなのでしょうか。   ○新田課長補佐  同じものです。その時々の書きぶりで違うのですけれども、一応法律といいますか、 水道施設の技術的基準を定める省令という中では、耐塩素性病原生物というふうな言い 方をしておりますので、法律などではこれを使っていくことになると思います。   ○眞柄部会長  いずれ統一されるということですね。他にございますか。   ○阿部委員  先ほど照射量の関係とかをおっしゃっていましたけれども、私も考え方によっては下 水道なんかに入っていることを考えると、確かそこの考えでは、副生成物が余り発生し ないことが、メリットの1つに挙げられて導入されてきた経過があったのではないかと いうふうに、認識しています。  その意味において、あと小規模な事業体に光を当てていこうという、クリプトスポリ ジウム対策の観点に立てば、これは少し技術的な見地で変わってくるかもしれませんか ら、この場がよいのかどうかわかりませんけれども、例えば膜処理に比べて、導入費の コストであったり、ランニングコストであったり、そうしたことに対するメリットの効 果というのが、事業体の方に出てくるかどうかというのが、もし分かれば教えて頂けれ ばというふうに思います。   ○新田課長補佐  導入のコストにつきまして、それぞれの水道によって実際の数字は変わってくるとい うふうに思いますけれども、例えば、膜ろ過と紫外線処理設備と比べた場合には、施設 の導入費などが1桁ぐらい安い、10分の1ぐらいになるというふうな試算もございます。 かなりろ過施設に比べて安価に導入することが可能ではないかというふうに思っており ます。   ○眞柄部会長  10分の1ぐらいということですが、ただ地表水についてはろ過設備を設けるというの は、従来のとは変わりないということです。他にございますか。  それでは特にないようでございましたら、これについては部会として基本的な方針は 理解した、了解をしたということにさせて頂きたいと思います。先ほどクリプトのおそ れがあって、対策をとらなければならないところがまだ2,000カ所もあるという話を伺い ました。現実に水道原水から、クリプトスポリジウムやジアルジアが検出されているこ とは、よくあるというふうにも聞いております。  そういう意味で、3ページの最後のところに書いてありますように、施設の改善を指 示するということは、これまでこのクリプト対策について行われてこなかったと思いま す。1〜2カ所はあったかもしれませんが。そういう意味では、せっかく決まった基準 になるわけですから、基準の施行については、ぜひ前向きに対応して頂きたいというふ うに私からもお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、続いて議題4の水質基準の見直しについてであります。水質基準の見直し につきましては、15年の答申のときに新しい知見が生じてきたり、あるいは日本国内の 水道水の水質をめぐる環境条件が変わったときなどには随時改定をするというように、 答申をしておりました。そのような事柄を受けて、議題4として水質基準の見直しにつ いてということで、案が準備されておりますので、これに基づいて御説明を下さい。お 願いします。   ○立川管理官  水道水質管理官の立川と申します。よろしくお願いいたします。お手元に右上に資料 5と書いたものがあろうかと思います。水質基準の見直し等について(案)という資料 でございます。この資料に基づきまして、御説明申し上げたいと思います。  まず、1番1ページでございますが、主旨です。今眞柄部会長の方から御紹介頂きま したとおり、平成15年、前回答申を頂きまして、水道法に基づく水道水質基準、仕組み、 それからその中身を改正させて頂きました。その前回の改正からは言い訳めいたことを 言えば、まだ3年余りしか経過しておりませんけれども、清浄な水を供給するという観 点から最新の科学的知見に従って、常に見直しを行う必要があるという考えのもと、今 般、御報告、御提案をさせていただくものです。  同じページのボックスの中に逐次改正方式といったものが、どういったものかという ことを書いてございます。従来はどちらかというと、いろんな物質について多くの項目 について、大改正をするということでやってまいりました。理念上そういったことにな っていたわけでございますけれども、今後は必要な情報が入ってきたら、随時水質基準 を変えていく。そういった仕組みでございます。  大変恐縮なんですが、次に資料5の2ページ目の説明をさせて頂きたいと思います。 ちょっといろんな資料を使って大変申しわけないのですが。最初の方で説明いたしまし た資料3、パワーポイントがいっぱい集合になった資料3をご覧頂けますでしょうか。  3ページ目に水質基準等についてということで、ピラミッドの絵が出てまいります。 今平成15年答申で頂きました水道水質の基準というものを、このピラミッドで簡単に説 明させて頂きたいと思います。  このピラミッドの一番上、赤いところが、水道法第4条に基づく水質基準でございま す。具体的基準は省令で規定しております。どういった特徴になるかというと、右上の ピンクのボックスですけれども、一番下にありますように、水道事業者、典型的に言え ば、今日お配りしています東京水の東京都水道局さんが、水道事業者ということになり ます。こうした水道事業者の方々、それから専用水道であれば、専用水道の所有者、こ ういった方々に検査の義務を水道法第20条に基づいて課しております。  具体的には健康関連の30項目、生活上の支障関連項目として20項目、合計50項目につ いて水質基準を設定しています。  健康関連といいますといわゆる大腸菌、カドミウム、そういったものが健康関連。生 活上支障関連ということでは、全有機物とか味とかにおい、そういったものが該当いた します。これらが野球で言えば1軍になるわけですが、この物質については、どういっ たものを対象にしているかと申し上げますと、評価値の10分の1を超えて検出されるも のであれば、この水質基準にしようということであります。評価値の10分の1というの はどういうことかといいますと、いわゆる目標値に相当するものが例えば100ppmと決め た場合には、10ppmを超えて検出される地点がある。そういったものはこの水道法の水質 基準にいたしまして、この水道事業者の方々にしっかり検査をしていただいて管理をす る。そういった仕組みになってございます。  2つ目のボックス、黄色いところが水質管理目標設定項目でございます。これは水質 基準ほど検出レベルが高くない。もしくは評価値が暫定であったりするけれども、水道 水質管理上、注意を喚起すべき項目であります。健康関連として15項目、それから生活 上支障関連として、12項目と、合計27項目から構成されております。そのうち健康関連 の1項目は、農薬類ということです。農薬類101物質で一つの項目という形になっており ます。こちらの方は黄色いボックスの一番下に書いてありますように、水質基準に係る 検査等に準じた検査を課長名の通知で、要請しております。これが野球で言えば2軍に なるわけです。  さらに、要検討項目というものも設けさせていただいております。毒性評価が定まら ない、または、浄水中の存在量が不明。こういった全部で40項目については、情報知見 を収集する。そういった仕組みで水道水質基準の運用をしております。  本来の資料5に戻らせて頂きます。今般、この審議会において、御意見をお伺いした いと思っていることでございますけれども、一つは、水質基準の見直しでございます。 2ページの第1パラグラフに書いてありますように、塩素酸という物質があるわけでご ざいますが、塩素酸というのは、これまで水道水に関して人への暴露が想定されるのは、 基本的に二酸化塩素という消毒剤を水道水の浄水処理に使用した場合ということで想定 されていたわけですが、結構塩素酸というものが違う理由で出てくるということでござ います。  具体的な御説明をさせて頂きたいと思いますので、同じ資料5ですが、ページをめく って頂きますと、5ページの次に別紙1と書いてございます。別紙1塩素酸について、 物質特定情報、物理化学的性状等々書いてございますが、3番目に主たる用途というこ とで書いてございます。塩素酸自身はこうした化学薬品ということでも存在いたします ので、これから説明いたしますこと以外にも、地域によっては排水にも注意を要するわ けでございますが、主として消毒副生成物といった形で、発生することが分かっており ます。なお、4番に現行規制等と書いてございますが、この塩素酸につきましては、2 つ目のボックスにありましたように、水質管理目標設定項目、すなわち2軍に相当する ものでありまして、その目標値は0.6mg/L以下ということになっております。  それからさらにボックス下の方に書いてございますが、食品衛生法の規格基準(清涼 飲料水)と書いてございます。これは典型的に言えば、こういったボトルウォーターで ありますけれども、平成15年7月1日付の厚生労働省の方から、私どもの食品安全部で ありますけれども、似たような名前でありますが、内閣府の食品安全委員会に、この食 品衛生法に基づく規格基準の設定について諮問をしております。現在その食品安全委員 会で検討中であります。  ページをめくって頂きますと、別紙1−2と書いてございますが、この塩素酸に関す る水道水での検出状況を別紙1−2で示しております。グラフが2つ書いてございます が、上のグラフは水道統計と申しまして、いわゆる上水道、それから用水供給事業、用 水供給事業というのは商売で言えば卸売りをしているもの、上水道は卸売りもやってい るときもあるのですが、小売りといったものであります。そうした大きな水道事業体に よる調査結果を集計したものです。  グラフが、手前側と奥側でありますが、水道の副生成物ということもありまして、手 前側浄水で10%以下といっているものが、かえって少ない。10%値を超えているような 検出というのが結構いろんなところで見られるというのが、別紙1−2の上側のグラフ でございます。  それから下側、別紙1−2でございますが、これは水質管理目標設定項目等基準化検 討調査と申しまして、都道府県が水道水質管理計画に基づき、集計したものでございま す。こちらの方は上のグラフの上水道、用水供給事業、このほかに簡易水道といいまし て、給水人口5,000人以下の水道が含まれております。ただ、専用水道といって特定の施 設に供給する水道は含まれておりません。こちらの少し小規模な施設が入ってきた基準 の適合状況の調査によれば、一番手前の一番右側ですが、100%超過というのが浄水で6 地点ございます。これはいずれも簡易水道なのですが、ここのグラフにございますよう に6地点で目標値を超過している事案があるということでございます。  その原因でございますが右上に書いてございますが、基本的に塩素の注入の問題であ りますけれども、どういった対応をしようとしているか。6地点でありますが、円グラ フ。6地点しかないのに円グラフというのは、ちょっと大げさな気もしないではないの ですが、左側の青いところが一時的だけれども、複数回塩素酸の濃度が超過したという ところであります。基本的に使用薬品の変更、それから塩素補充量の削減といったこと で対応したいということでおっしゃっています。  それから、右側の赤紫のところが、一度だけの超過だということでございます。次亜 塩素酸ナトリウムの注入量の削減、それから使用薬品の変更といったこと、それから今 年度超過原因を調査するといったようなことをおっしゃっています。  毒性といたしましては、同じく別紙1−3の7.に毒性評価というところが書いてご ざいます。これは水質基準の見直しにおける検討概要ということで、平成15年4月に答 申をいただいた際の資料を抜粋したものでございますが、基本的には第1パラグラフに ありますように、主要懸念は赤血球細胞への酸化ダメージというふうに言われています。  それから同じく別紙1−3の生成抑制方法でありますけれども、文章が書いてござい ますが、次亜塩素酸塩これを長期間保存すると、その酸化によって塩素酸濃度の上昇が 起こることがあり、特に高温下での貯蔵は、その上昇が顕著であるため、温度管理下で の貯蔵を行うなど、貯蔵温度には十分配慮する必要があるということです。  それから、次亜塩素酸塩の1回当たりの購入量を少量とし、購入頻度を増やすなど、 高温下での貯蔵期間が、長期間となることがないよう配慮する必要がある。そういった ことを申し上げております。   こうしたことにつきましては、今年の3月30日に水道事業者、それから都道府県等に 対して事務連絡をしたところでございます。次亜塩素酸塩の購入頻度が小さい傾向があ る小規模な水道事業体、それから専用水道等において適切な対応、特段の配慮が必要と いうふうに考えてございます。  別紙1−4にグラフが書いてございますが、これは次亜塩素酸ナトリウムの注入量、 これは状況によっていろいろ違うわけでありますけれども、仮に50mg/Lであったとき、 塩素酸に係る水道水中の目標値0.6mg/L以下を確保するためには、次亜塩素酸ナトリウ ム中の塩素酸濃度が12,000mg/L以下でならないといけないのですが、このグラフは赤い 三角のプロットは、30℃のところで保管をした場合、それから緑の◇は25℃のところで 保管をした場合、青い○は20℃で保管をした場合ということになりますが、1週間とか 2週間であれば30℃であっても、なかなか12,000mg/Lまで到達しないのでありますけれ ども、例えば30℃で保管いたしますと、もちろん塩素酸の初期濃度によるのですが、大 体2週間それから場合によっては4週間、それぐらいのところで、あっという間に12,000 mg/Lまで達しまう。すなわち高温の中で酸化が進んでしまいまして、その結果水道浄水 の中の塩素酸が0.6mg/Lを超えてしまうということでございます。  別紙同じく1−4の下の方ですが、10番の目標値です。基本的にこれも平成15年4月 におまとめ頂いたものですけれども、TDI、耐用摂取量が30mg/kg/dayということであ りまして、これをベースにして別紙1−5ですが、評価値は0.6mg/Lということで算定頂 いております。  別紙1−5の10番の最後の行ですけれども、平成18年5月17日に内閣府の食品安全委 員会の汚染物質化学物質専門調査会合同ワーキンググループが開催されまして、ここで いわゆるミネラルウォーターの観点で、塩素酸について議論頂いておりますけれども、 事務局から同じ考えのTDIが提案され、原案どおりとすることが合意されております。 塩素酸というのはこういったものであります。  大変恐縮ですが本文の2ページに戻っていただけたらと思います。第1パラグラフ、 それから第2パラグラフのところを少し申し上げましたが、このような状況にありまし て、平成15年のときのピラミッドのような形で、メルクマールを整理頂いた考え方に基 づきますと、第2パラグラフの最後にありますように、水道法第4条第2項の規定に基 づく水質基準として塩素酸を追加するということについて、食品安全委員会の意見を求 めたい。そういうふうに考えてございます。  それから3ページ目で、3ページ目は第2軍といいますか、2軍に相当する水質管理 目標設定項目の見直しです。1つ目は、(1)従属栄養細菌です。この従属栄養細菌につい ては同じく3ページの下側のボックスにありますが、これが平成15年4月の答申の際の アブストラクトであります。  IIのところをごらんいただけたらと思います。今日の水道にあっては細菌の現存量の 把握は、一般細菌、一般細菌というのは37℃で24時間で調べている、いわゆる言葉を選 ばなければ、雑菌のようなものです。こういう一般細菌ではなく、従属栄養細菌を用い ることが適当と考えられる。その理由はということでずっと書いてありますけれども、 端的に言って、この一般細菌の方が捕まえられる細菌の種類が少ないということを御指 摘頂いております。  ただ、なかなかデータがないということもございまして、最後のパラグラフですが、 一般細菌に代えて従属栄養細菌を水質基準項目とすることが望ましいが、十分な基礎資 料の蓄積がないこと等々によって、当面は一般細菌を水道水質基準にしようということ で、整理を頂いております。  今般この従属栄養細菌につきまして、ボックスの外の上側の本文でありますが、水道 施設の健全性を判断する、それから我が国における従属栄養細菌の存在量と必要な情報、 知見の収集を図るといった観点から、2軍に相当します水質管理目標設定項目として追 加したいというものでございます。  この従属栄養細菌につきましては、本来的には配水区域ごとに定期的に測定し、異常 な増加が生じないということを確認するという、使用方法が適切と考えておりますが、 目標値がないと利用しにくいという御意見もあり、当面は目標値を1mL当たり集落数と して2,000以下。暫定でございますし、また20℃7日間という培養条件ということで、提 案させていただいておりますが、こういった目標値を提示した上で、水質管理目標設定 項目としたいというのが、今般の提案でございます。  ただ、また少し後で触れたいと思いますが、まだ知見、情報は十分とは言い難い状況 でございますので、改めて再検討したいというふうにしております。  従属栄養細菌については、さらにまたページをめくって頂きますと、別紙2というも のが出てまいります。別紙2−1に平成15年のときの答申が書いてございます。先ほど 申し上げましたが、1つ目の・の第2パラグラフに一般細菌について言及されておりま す。一般細菌は水中の最近の一部しか検出できないという短所がある。一方従属栄養細 菌は、生育に有機物を必要とする、より多様な細菌を検出できる。そういったものでご ざいます。  それで別紙2−2に諸外国の基準的なものが書いてございます。ただそういった一見 よさそうなものであるのですけれども、必ずしも培養条件とかいわゆる値において諸外 国において、余り整合のとれた対応になっておりません。諸外国では、どちらかという と48時間がポピュラーかなと思いますが、1mL当たり100コロニー以下といった基準がポ ピュラーかなと思います。  ただ、この48時間というのは、実は従属栄養細菌の増殖のカーブの途中であります。 まだまだ増えていく途中なものですから、今般提案といたしましては、7日間という長 い期間で提案させて頂いております。  別紙2−3に目標値と書いてありますが、培養時間を48時間とした場合、検出菌数が 大きく増加している過程で測定するということで、安定的に測定結果を得ることが困難 となるおそれがある。一方、諸外国においては培養時間を48時間としているケースが多 く、この培養時間の100cfu/mLという数値は、培養時間を7日間とした場合おおむね 2,000cfu/mLに相当すると考えられる。ただ、十分な知見が集積されていないため、暫定 的な目標値として取り扱い、今後集積された情報、知見を踏まえて再検討することが必 要である。 いずれにしても単に目標値と比較した多寡を論ずるだけでなく、継続的な測定により、 異常な増加が生じないことを確認するといった使用方法が重要である。こういった整理 を頂いております。  こういった観点から測定手法も、同じページの上側でございますが、同一プレートで 48時間後、72時間後、可能ならば14日間後の菌数を算出することが望ましいということ で、こうした測定を通じて諸外国との値との比較をやっていきたいというふうに考えて ございます。  恐縮ですが、本文の4ページに戻って頂きたいと思います。本文の4ページは、農薬 類であります。農薬類につきましては、この4ページの下のボックスのとおりで整理を して頂いております。すなわちIII番ですが、水質基準への分類要件、いわゆる浄水から、 目標値の10%値を超えて検出されるのがそれなりにあるということであれば、水道水質 基準にするといったものでありますけれども、その水質基準への分類要件に適合する農 薬については、個別に水質基準を設定する。そうでないものは、下記の式で与えられる 検出指標値が1を超えないこととする、総農薬方式により、水質管理目標設定項目に位 置づけるといった整理になっております。ここで101物質、農薬として総農薬方式で今評 価をしているという形になってございます。  この総農薬方式によって管理している農薬でありますが、下の第1候補群と書いてあ るところに、その入れる要件のものを入れております。測定方法があり、かつ国内推定 出荷量が年間50トン以上あるもの、それから50トン未満であっても現に検出されている もの、こういったものを農薬類として入れているわけでございます。   それで、今般はこのボッククスの外ですが、1つ目の・にありますように国内推定出 荷量が年間50トンを上回るフィプロニルという殺虫剤を追加したいということです。フ ィプロニルに関連した情報は、同じ資料の最後の方に、別紙3ということでまとめてお ります。別紙3−1に物質特定情報、物理化学的情報、性状それから用途、使用実績と 書いてございますが、用途使用実績と書いてありますとおり、殺虫剤でございますけれ ども、ゴキブリ駆除剤としても使用されております。使用実績欄にありますように年間 で80〜100トンぐらい、最近では生産輸入されている薬剤です。ただ80〜100トンという 中には、ゴキブリ駆除剤としての生産量、これは農薬としての登録にはなりませんので、 ゴキブリ駆除剤としての生産量は含まれておりません。  今のところこのフィプロニルについてはごくわずかな測定しかしておりませんで、水 道水から、または原水からは検出されておりませんけれども、非常に生産輸入量が多い ということで、今度農薬類として入れたらどうかというのが私どもの考えでございます。  それから同じく本文の4ページでございますが、2つ目の・にありますように、農薬 取締法に基づく登録が失効したテルブカルブとジメピペレート、いずれも除草剤であり ますが、これについては最近の調査でも検出されていないことから、削除したい。その ように考えてございます。  それから、その他ということで、今後の宿題になりますけれども、水道原水で目標値 の2〜3%の検出事例がありますけれども、農薬取締法に基づく登録が失効した、言い おくれましたが、登録が失効するということは販売できないということでございますが、 そうしたメチルダイムロン、こういったもの、それから農薬取締法によって、販売また は使用が禁止されているんだけれども水道原水または周辺地下水からの検出事案がある 物質、それから第2群の農薬類というのは、下側のボックスの中にありますが、測定方 法がまだ確定していないもの、それから生産・輸入量が多い農薬、こういったものにつ いても引き続き検討してまいりたいというふうに考えてございます。  ただ、今般はフィプロニルを追加し、テルブカルブとジメピペレートを削除するとい ったことで報告をまとめさせて頂いております。  さらに5ページですが、今後の課題ということで3点書かせていただいております。 1つ目は清涼飲料水の食品衛生法に基づく規格基準ということでございます。先ほど塩 素酸のところで申し上げましたが、平成15年7月に私どもの食品安全部から内閣府の食 品安全委員会に対して、清涼飲料水、ボトルウォーターの食品衛生法に基づく基準を改 正することについて諮問をしております。この諮問に対する答申がなされた場合には、 水道水質基準の方が緩いというものも出てくるかもしれませんので、そうした場合には 水道水質基準の妥当性を確認したいというふうに考えております。  どういった物質について、諮問がなされているのか。それから周辺する毒性情報がど うなっているかということは、細かな説明は省略させて頂きますが、参考資料3という ところでかなり多くの物質について、15年の答申がどういうふうになっていて、それか ら有害性の情報がどうなっているか、それから浄水での検出状況がどうなっているかと いうことを整理してございます。  今の段階では、仮にミネラルウォーターの基準が強化されても、水道水質基準の方が 緩いという事態になっても、超過しているような事案はないだろうと思われることから、 少し食品衛生法の方の動向を見守りたいということでございます。  それから2つ目でありますが、全有機炭素、TOCでございます。TOCにつきまし ては、5ページのボックスに書いてあるような考え方で、当時は過マンガン酸カリウム 消費量といったものから有機物の評価値を定めていたところでありますけれども、15年 の答申を頂いて、こういった全有機炭素、TOCといった形で基準を制定しております。  今般、色々な知見を整理させて頂きましたが、非常に今のTOCの基準が緩いといっ た御意見をいただいているわけでございますが、水道水として備えるべき要件、味とか そういったものになろうかと思いますが、そうしたものに係る知見を整理した上で、基 準値の引き下げについて検討してまいりたいというふうに考えております。  それから3点目でありますが、こうした水道水の基準でありますが、基本的には、安 全性の観点から決めた許容量、これを水道水はどれくらいの寄与があるだろうというこ とで割戻しをして、水道水の基準を決めるといった形で設定して頂いているわけですが、 WHOにおいて、その寄与率、水道水飲料水の寄与率をもっと上げよう、標準値として は現状10%なんですが、20%に上げようといった議論がございます。  仮にそうすると、各種基準が2倍に高くなるといったことが想定されるわけです。そ うした議論もありまして、暴露量調査を積極的に行ってまいりたいということで示して おります。  3つめの項目につきましては私ども水道課だけでは、なかなか作業が進みませんので、 色々なところと連携して、少し長期的視野に立ってしっかりやりたいということでござ います。  以上が水質基準の見直し等についてでございます。どうかよろしくお願いいたします。   ○眞柄部会長  ありがとうございました。大きく言うと、塩素酸について水質基準を設定するとして、 食品安全委員会の意見を求めること。  それから水質管理目標設定項目について、従属栄養細菌と農薬類について見直しをす るということ。それから今後の課題ということでございます。  まず最初の水質基準の見直しとして、塩素酸を追加するということに関して御意見や 御質問がございましたら、お出しください。お願いいたします。    ○亀井委員  塩素酸についてでございますけれども、御説明で、水道事業体による塩素酸の検査を されたということでございますけれども、これは必ずしも全事業体を対象としたもので はございませんね。 ○立川管理官  はい。おっしゃるとおりです。   ○亀井委員  今後こうしたことを実施される上で、周知啓発が大変重要だと思います。そこで、今 回は対象となる施設を持っている水道事業体等のみを対象とした調査だったと伺ってい ますが、全事業体を対象として予備的な調査等をやっていただけると、例えば都道府県 とか、担当市町村等も含めまして、周知啓発にもつながると思います。今後は、そのあ たりにつきましても、ぜひともお考え頂きたいと思います。   ○立川管理官  従来は塩素酸につきましては、消毒剤として二酸化塩素を使用しているところは測ら なければいけないということになっています。次亜塩素酸ナトリウム、これは日本の水 道では90%を超えるところが、この消毒剤を使用しています。そこでは必ずしも測定の 義務は水道水質基準になっていなかったこともあり、課しておりませんでした。  ただ水道水質管理目標設定項目ということで、できれば測ってくださいということで していただいたところのデータを、今般御紹介させて頂きました。  そういった意味でいうとすべてのところが現状で測っているというわけではないとい うことは、亀井委員の御指摘のとおりです。  今後、測定方法についても検討していかなければならないわけでありまして、そうし た過程におきまして、水道事業体の方々、それから検査機関の方々の御協力を頂きなが ら、より正確でかつなるべく測りやすい方法といったものを検討していきたい。そうい うふうに考えております。   ○眞柄部会長  ほかにございませんか。   ○国包委員  この件に関しまして私は以前にも、別の席で議論させて頂いております。非常に結構 だと思います。ぜひ基準に入れる方向で、動いて頂ければと思います。  それといいますのも今も話題になりましたが、日本国中を見渡しますと、ほとんどの ところ、特に小さいところはすべてといってもいいと思いますが、この次亜塩素酸ナト リウムを使っているわけです。小さいところの方が管理がよくないという実態が、まず 間違いなくあるということも確かです。  そういった意味からは、日本全国基準化されて調査をするようになれば、もしかした らもっと状況としては大変な状況になっているかもしれない。これはやってみなければ わからないことでありますが。  特に専用水道ですとかあるいは簡易水道も含めて、さらには小規模の未規制のところ とかでも、次亜塩素酸ナトリウムが使われています。そういったところの水質管理の改 善を図る必要があるわけです。そういった意味からも、ぜひこれを前向きにやっていた だければありがたいと思います。   ○眞柄部会長  私から言うのもおかしいのですが、日本の水道がそんなにたくさん次亜塩素酸ソーダ を消毒剤として使っているのであれば、次亜塩素酸ソーダを販売するところが、我が社 の次亜塩素酸ソーダは、30℃で保管をしたら何日間もちますというくらいのラベリング をしてくれたらいいじゃないですか。そういうことをしてくれれば小規模のところは、 そのラベリングに沿って使えば、高いお金を出して検査することはないんです。  それはもうもちろん水質基準に入れることは、僕はまさに入れてしかるべきだと思い ますが、水道事業者、あるいは都道府県の水道行政をやっているところだけがかぶるの ではなく、そんなに沢山売れているのだったら、それぐらいのこと。だってこのペット ボトルの水だって、賞味期限が何月何日までと書いてあるわけでしょう。それぐらいの ことは、是非どこの業界がよくは知りませんが、そういう団体に申し入れて我々と協力 して、国民が安心して飲める水道水を供給するという体制も、ぜひ厚生労働省で御検討 下さい。   ○立川管理官  今国包委員と眞柄部会長から御意見を頂きました。先に眞柄部会長の御意見の部分を 申し上げたいと思います。今般、ここで水道水質基準、水道法第4条に基づく水道水質 基準に入れるということで、御審議頂いておりますけれども、この塩素酸というものを 水道水質基準にする際には、また少しタイムラグが出てくるかもしれませんが、水道法 の第5条に基づく薬品基準というものもしっかり検討しなければいけないと思っており ます。  それが、今、眞柄部会長がおっしゃった、この次亜塩素酸ナトリウムについてどうい った品質を確保していくかということだと思うのですが。そうした点につきましても、 今後しっかり、我々といたしましても、色々な水道事業体の方々の御協力を頂きながら 検討してまいりたいというふうに思います。  それからもう1点、国包委員から御指摘を頂きました、小さなところでの管理がよく ないという部分につきまして、今の薬品基準の設定をしても、それでもまだしっかりし た徹底をしていかないと、ラベリングの中では恐らく何℃以下で何日以内に使うという ことが出てくるかもしれませんけれども、それでもそういったことの徹底ということが 重要になります。  また、そういった水道水の安全性が確保されているかということが重要になってくる かと思います。上水道にしても簡易水道についても、この塩素酸を測定して発表すると いうこと、公表するということが、水道法に基づいて必要になっております。率直に言 って上水道と簡易水道については、そういった担保措置がありますので、こうしたとこ ろの結果も我々がしっかり見てチェックをしてまいりたいと思います。  一方、専用水道については測定の義務はありますけれども、そこまでのことは課して いないわけですけれども、我々としてもそうした専用水道も含めて、こうした塩素酸だ けではないですけれども、しっかりした水道水の安全性が確保されているかということ を確認してまいりたいと思います。  ちょっと余談になりますけれども、冒頭私どもの局長が、水道水については、健康の 観点からも飲むことがいいんだということで、御紹介を頂きましたが、あそこに「しっ かり水分、元気な夏」というポスターを貼らせていただいておりますが、あのポスター がああいった形で、当然水道水の安全性とおいしさが確保されていることが前提であり ますけれども、ああいったキャンペーンができるくらいに、胸を張ってやれるように、 我々としてもしっかり対応していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたし ます。   ○眞柄部会長  塩素酸を水質基準に追加することについて、食品安全委員会の意見を求めるというこ とで、よろしゅうございますか。その上で具体的な水質基準値を決定することになると 思います。ではということで部会として御了解をいただいたということにしたいと思い ます。  念のために、次の機会で結構ですが、次亜塩素酸ソーダは一般家庭で随分使われてい ます。そういう意味で、一般家庭で使っている次亜塩素酸ソーダの溶液の中の塩素酸が、 どれぐらいあって、それが環境に、排水としてどれぐらい排出されているかというよう なことも、できればどこかで調べていただいて、無理なら結構なのですが。それは多分 厚生労働省の問題ではないのかもしれませんし。あるいは場合によれば食品衛生の担当 の局で御存じかもしれないので、その辺のところの情報も、水道でそういうものを決め たというのは結構ですが、そういうものがいろんなところで使われているので、ある意 味では国民が関心のあることかもしれない。念のために次回までで結構ですので、調べ ておいて下さい。分かる範囲で結構です。   ○立川管理官  今、眞柄部会長から御指摘を頂いた点、水道水の寄与率をどれぐらいに割り振るかと いう観点からも重要な御指摘だと思います。私どもいろんなスキームがありますので、 そういった点についてお答えできるように準備してまいりたいと思います。 ○眞柄部会長  それでは、その次の水質管理目標設定項目の見直しで、従属栄養細菌とそれから推 定出荷量が多いフィプロニルを追加し、なおかつ農取法で失効したテルブカルブとジメ ピペレートを削除する。その他のことについては、引き続き検討するという、この2点 でございますが、これについて、御質問や御意見がありましたら、どうぞお出しくださ い。  よろしいですか。それではこの件は御了解いただいたということで、進めて頂きたい と思います。  今後の課題のところで、今清涼飲料水の食品衛生法に基づく規格基準が検討されてお りますが、それの答申を見て、水質基準の妥当性を確認するということ、それからTO Cの基準値を引き上げるということ、暴露量調査について、今後の課題として提起され たわけです。これについて、できれば安藤先生に、TOCについて、事務局の説明に加 えて何か補足的にありましたら、お出しください。   ○安藤委員  TOCにつきましては事務局が話したとおりだと思います。現在のTOCについては、 15年以前は、過マンガン酸カリウム消費量というそういう形でやってまいりました。こ れは100年前の試験方法だったんです。それを新しい形に合うようにしたというのが現状 です。そのときにTOCというのはあくまで何だかわからない有機物であって、健康影 響上に直接関係ないということから、甘目に設定したというのが実情でございます。  つまり、現状に合わないという点がございます。つまり、もっと厳しくした方がいい のではないか。今の水道水離れということも含めて、非常に消費者の方に喜ばれるよう な水ということを考えた場合は、少しでも清浄でいい水ということからいたしますと、 その基本的なものとして、TOCというものがございますので、もう少し厳しく、安全 というかきれいな方向にしてもいいのではないかというふうに思っております。  それで、全国の調査を、今まで眞柄先生を中心とした研究会の中で、6年やってまい りました。それで分かってきたことは、我が国の水道水のTOCというのは、大体0.5 mg/Lを中心としたものだということ。それから最大がせいぜい2からあるいはいっても 最大で3mg/Lというそういう状況です。これはめったにありません。大体の目安はつい てまいりましたということが、御報告できることだろうというふうに思います。  先ほど事務局の方からお話がありました、味だとかそういうこととの関連性、この情 報をどうとるかというのは、ちょっと大変な作業だなというふうには思っております。 なるべくそういう作業にしてまいりたいというふうに考えております。以上です。   ○眞柄部会長  ありがとうございました。3番目の暴露量調査について、国包先生から少しWHOの ガイドラインの改定の方向性というか、流れについて補足的に説明をして頂けると、他 の委員が御理解しやすいかと思いますので、お願い致します。   ○国包委員  それでは、余り詳しくはありませんが、私の知る範囲で簡単に御紹介いたします。  日本の水道水質基準を決める場合に、これまでもWHOの飲料水水質ガイドライン、 これが大いに参考にされてきています。現在も引き続き参考にさせてもらっているわけ です。そういった状況の中で、WHOのガイドライン、これも逐次改定が順次行われて いるのですが、その中でごく最近の動きとしまして、暴露量評価はもちろん色々なデー タを集めてきてやったりもしているわけですが、特に水の寄与率に関して、これまでは 標準が10%、つまり大半は食品から、同じ有害物質を摂取している。そういう考え方で 割り振って水の基準値を決めるというのが一般的でございました。ものによっては20%、 あるいはそれ以上とかそういったケースもございますが、基本的にはそういう考え方で した。  しかし、ここから先はむしろ部会長に、詳しく御説明をいただいた方がいいぐらいな のですが、10%ではなくむしろ20%をこれからは標準に、確かそういうことでしたね。 これは、一般的な考え方ということですが、つまりベースが10%ではなく20%というよ うな話も出てきております。ただ、無条件に一律20%ということでは決してございませ ん。ものによって適切であればということです。  この曝露量評価、あるいは調査との関連のことになるわけですが、そうはいえやはり 実態として、水からの摂取量がどうであるかということを見極めないことには、きちん とした基準の設定なりができないということになります。もちろんその場合には、水だ けではなく、食品からの摂取量がどうかということも、同時に考慮に入れる必要があり ます。  そのためには、やはり個々の汚染物質について、水からの摂取量がどうなっているか、 あるいは食品からの摂取量はどうか。そういった調査を詳しくする必要があります。  こういったことで、日本で何年か前に割合本格的にまとまった形で、調査が行われま したのは、ホウ素の例です。この場合には食品、それから水、いずれも同じぐらいの摂 取量のケースがある。ケースによっては特に海水の淡水化をして、その水を飲料水に使 っている場合には、ホウ素の摂取量が非常に多いケースがあるということで、水からの 摂取量も40%に設定して、ホウ素の評価値を決めたケースもございます。  そういったことを、今後はやはり広くいろんな食品なりも含めながら、いろんな汚染 物質について、データをきちんと採っていって、それを根拠に基準を見直すなりという ことが必要だということであろうかと思います。  もちろん、片一方では、WHOの色々な動きも参考にしながらということになると思 います。概略ではございますが、そういったところかと思います。   ○眞柄部会長  ということで特にないようでございますので、本日の段階では、今後食品安全委員会 の清涼飲料水に対する答申、それからTOCの引き上げ、それから暴露量調査を積極的 に行うべきであるという、この3つを今後の課題として、鋭意調査並びに検討をして頂 きたいということかと思います。それでよろしゅうございますか。  それではきょう残っております議題は、その他ということでございます。特に今後の 予定ということと関連するかと思いますので。事務局から御説明を下さい。お願いしま す。   ○山村課長  お手元の資料6につきまして御説明をさせて頂きたいと思います。今後の予定でござ います。次回の部会でございますが、今年度内にもう1回部会を開催させて頂きたいと 思います。次回の会合におきましては、水道管路の耐震化の推進方策、冒頭の行政の現 状の中でも若干御紹介をいたしましたけれども、水道の耐震化対策というのが課題にな っています。その推進方策のあり方につきまして、御検討をお願いしたいというふうに 考えております。  それから今回の検討の結果が、さらに次回の部会の検討の結果も含めました対応でご ざいます。まず、クリプトスポリジウム等の対策及び水道管路の耐震化、併せまして、 2回の部会での検討結果を踏まえまして、水道施設の技術的基準を定める省令を今年度 中に改正するという方針で進めたいというふうに考えております。  それから、水質基準の見直し等でございますけれども、本日の検討結果を踏まえまし て、塩素酸に関しまして食品安全委員会に意見を求めるということにさせて頂きたいと 思います。  それから今後の部会の開催の基本的な考え方でございますけれども、前回から今回の 開催までに3年3カ月が空いてしまいました。水道行政、国民の健康に直接関わる分野 でもございますので、その状況について年に一度は部会を開催させて頂いて、行政の状 況報告等をお聞き取り頂き、御意見を賜るようにしたいと、このように考えております ので、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。   ○眞柄部会長  ありがとうございます。ところでいわゆるパブコメというのは、どの段階でお考えに なっていらっしゃいますか。   ○立川管理官  水道施設の技術的基準を定める省令。それから塩素酸については、これは水質基準に 関する省令でありますけれども、いずれも省令を定める前にやるということで、必要と いうことになっております。   ○眞柄部会長  ということは、塩素酸に関しては、食品安全委員会からの答申が出てきて、その段階 で水質基準の案を作って、それに対してパブコメをもらうという理解でいいですね。   ○立川管理官  はい。基本的にはそういった形になりますが。その際に分析法の試験方法の告示の案 も併せてパブコメにかける必要があります。また、今般御審議いただいた内容について も、併せてパブコメにかけたいというふうに思っております。   ○眞柄部会長  それからクリプト対策については、これも施設基準の改正案が、今日のは改正案なの ですか。それとも、どの段階でクリプト対策について、いわゆるパブコメを出して、そ の結果を踏まえて省令改正になるのか。   ○山村課長  省令の改正案につきましては、これから成文化いたしまして、それができた段階で、 パブコメの方に進んでいきたいと思います。   ○眞柄部会長  ということはまだしばらく先だということですね。   ○山村課長  はい。このクリプト対策と耐震化の問題と併せまして、1回の省令改正ということで 進めたいと思っておりますので、若干その辺は、もう少し時間がかかるということにな ろうかと思います。   ○眞柄部会長  くどいようですが、今日のこの部会で審議された内容は、ホームページにいつ頃載る 予定ですか。逆に言えばそれがホームページに載るまで、今日の議論した内容は、非公 開の扱いになるのかどうなのか。結構微妙な問題もあるように思うので、その辺のとこ ろのスケジュール的なことも含めて、事務方から御説明を下さい。   ○立川管理官  どの段階で公開かということに関しては、もうこの部会自身公開でやらせていただい ておりますので、今お手元にお配りさせていただいている資料は全て公開の資料という 取り扱いになります。  それから、ホームページに載せるという部分については、私どもとしても役所言葉で 言えば、可及的速やかに載るように関係するところと調整してまいりたい、かように思 います。   ○新田補佐  補足します。本日の資料につきましては、ホームページに1週間以内に掲載する予定 にしております。議事録につきましても、速記して頂いておりますので、これができて、 委員の皆様の御了解を得てから、なるべく早く載せたいと思っておりますので御協力を お願いいたします。   ○眞柄部会長  ということだそうでございますので、だれから何を聞かれても、この資料の範囲で回 答していただいて結構だということでございます。言うなれば、御安心をいただければ ということかと思います。他に何か委員の方々で、御意見や御質問がございましたら、 お出しください。   ○瀬川委員  この部会で審議する内容かどうか、ちょっと分からないので、先ほど黙っていたので すが、このパワーポイントの3ページ目の貯水槽水道の設置と管理の状況ということな のですが、私はビルヂング協会から来ておりますので、この辺が一番引っかかっている のでございます。  単純に計算しますと、111万から20万を引くと約90万の貯水槽が全く野放しになってい ますが、その辺について、厚労省としてのお考えをお聞かせ願えればということであり ます。   ○立川管理官  今瀬川委員から資料3番の3ページ目の下の、貯水槽水道の設置と管理のパワーポイ ントに関連いたしまして、御質問を頂きました。貯水槽水道というのはこの絵にありま すように、貯水槽というもの、受水槽とか高置水槽とかこういったものを経由して、飲 料水等々に使っているパターンであります。そのうちのここに書いてありますように、 容量として10トン超のものを、法律上簡易専用水道という位置づけをしまして、水道法 に基づく管理の検査というのを、年に1回受けて頂いております。  それよりも小さい施設についてはどうなっているかということを申し上げますと、水 道法上はいわゆる簡易専用水道に該当しない貯水槽水道という位置づけになります。一 つは水道事業体から供給規定、供給規定というのはお客様に水を売るということになり ますが、その際にしっかりした管理がなされるようにということで、確認をとっていく というスキームになってございます。  もう一つは地方公共団体毎に、いわゆる水道法の規模よりも小さいところについては、 条例で、この貯水槽水道の管理を法律と同様に規定しているというような仕組みになっ てございます。この小規模な貯水槽につきまして、今は水道法では10トン超ということ になっておりますけれども、地域によっていろいろでありますけれども、全施設を対象 としている自治体もありますし、5トン以上を対象としている自治体もあります。50人 以上を対象とした自治体もございます。いわゆる自治体の体力に応じて、そうした管理 をしているということであります。  今、瀬川委員から法律の外の部分、法律の外といいますか、簡易専用水道よりも規模 が小さいものについて、御懸念、御心配を頂きましたが、その法律の枠内でいう、簡易 専用水道もそうでないものもそうなのですが、しっかりした管理とそれから検査が必要 だということは変わらない部分でございます。そこの部分については、我々も色々な機 会を通じて、そうした管理検査が必要であるということをしっかり訴えていきたいと思 います。  また、そういったところで管理者が自ら動けるようにということで、昨年以来、厚生 科学研究の中で一定の研究をしていますので、そういったことの普及にも努めてまいり たいというふうに考えております。   ○眞柄部会長  永遠の難題で、短期間のうちに解決できる問題ではないことは確かです。国民の関心 事でもありますので、行政の枠組みを十分活用して安心安全な水道水の供給が出来るよ う努力して頂きたいと思います。  他にございますか。   ○亀井委員  これは、こちらの所管かどうか、自信がないままに伺います。今ちょうど夏場で、多 くの子供さん方がプールで遊ばれております。実は一昨年、プールの水でクリプトスポ リジウムに感染したという事例を経験しました。そもそもは水泳合宿中に感染したのが 原因で、それが別の県で二次感染をしたというような事例でございました。この事例を 通してわかったことは、都道府県の立場として、プールの水のクリプトスポリジウム感 染対策は、どこがどのように管理すべきか明確でなく、その対応に戸惑うということで ございます。突然の話で恐縮なのですが、クリプトスポリジウムが話題でもありますの で、何か御示唆を頂きたいと思います。よろしくお願いします。   ○眞柄部会長  企画課の方が来ているかな。担当じゃないから分からないか。   ○永森技官  今御指摘頂きました点ですが、まず、プールの事故については、平成13年に遊泳用プ ールの衛生基準について、という局長通知が出ております。その中で、水質基準として、 一般細菌であったり、大腸菌、残留塩素濃度であったり、そういった基準とともに施設 基準ということで、排水口の構造についても記載しております。  クリプトスポリジウムに関する衛生面の基準の通知につきましては、その中に現時点 では、盛り込まれていない段階です。   ○眞柄部会長  岡部先生、何か。13年の通知の段階では、クリプトスポリジウムのことに関して、十 分意識をしていなかったというふうに、私は認識をしています。現に今、亀井委員がお っしゃったように、長野から千葉でという、クリプトの感染症のかなりの数の患者さん の発生があったことは確かです。それに対して担当する部局で十分な対応策がとられて いないようにも、私も思います。現に現場は困っておられるだろう。  ただ、先ほど担当の方が話しましたように、13年の通知のときに水質だけではなく、 施設の基準をつくり、それから文科省と一緒にいわゆる遊泳前の体の洗浄を清浄なよう にするという、そういう指導の部分も入っていましたので、そういうことで対応せざる を得ないだろうというふうに認識をしております。  さりとて、プールの中の水のクリプトを測るというのも、これもまた非現実的ですの で、やはり遊泳者がプールに入る前に、きちんとシャワーを浴びて入るというような指 導がやはり現実的なところかなというような気がいたしています。  もし、どこかの町で越生のように、クリプトスポリジウム症の患者さんが大量に発生 したとすれば、その町の地域の遊泳プールについては、やはり格段の注意喚起を図る必 要は当然あるだろうというふうに、私も認識しております。  他に。国包委員。 ○国包委員  今、御指摘がありました2年前の件ですが、私はたまたま本省の水道課の方と現場に も行きました。それと千葉県の事例も、個人的なことになりますが、恐らく私が以前に 通っていたプールを舞台にしてのことだったと思いまして、ちょっと黙っておられなく て発言をさせて頂きます。  水道とはちょっと切り離して考える必要があると思うんですけれども、恐らくプール の水を水質面でコントロールするというのは、特にクリプトに関しては非常に難しいと 思います。唯一手立てとしてあるのは、砂ろ過をする。あと、場合によってはオゾンを 使うという手もあるかもしれませんけれども、ただそうであっても、それはやはり間接 的な手段でしかあり得ないと思います。  もっと端的に申し上げますと、下痢をしている人は泳がせないとか、そういった違っ た面での指導がどうしても必要となると思います。そうでない限りは、どうしてもある 程度は防げないのではないかというように思います。   ○岡部委員  水道と余り話が関係なくなってしまうのですけれども、例えばことしはプール熱が多 いというようなことで、非常に私どものところにも問い合わせが来ています。今、委員 がおっしゃったように、完全にゼロを求めてプ−ルを全く綺麗にするということは無理 です。また、そのために子供たちにプールを禁止するということも、現実的ではないと いうところから、私たちはやはり、今までも発言があったように、むしろ入る側の注意 と、それから日常のこれは管理者側のきちんとしたもの。  それからクリプトの場合は、ちゃんとしたというか大きいプールですけれども、簡便 なプールが一番危ないといったようなことでの注意を促しています。徹底的にやるとい うのはむしろ使う側の認識と注意も必要だろうというふうに思っています。   ○眞柄部会長  ありがとうございました。他にございますか。では課長。   ○山村課長  最後になりましたけれども、冒頭の委員紹介の直後に御到着頂きました3名の委員の 先生方をここで御紹介させて頂きたいと思います。  相澤委員でございます。   ○相澤委員  相澤でございます。   ○山村課長  池田委員でいらっしゃいます。   ○池田委員  池田でございます。   ○山村課長  それから亀井委員でいらっしゃいます。   ○亀井委員  亀井でございます。よろしくお願いします。   ○山村課長  そういうことで本日は20名の委員の中で16名の委員の皆様に御出席を頂きました。お 忙しいところを御協力頂きまして、本当にありがとうございました。  それから、先ほど次回の予定について、年度内にもう1回ということをお話し申し上 げましたけれども、時期につきましては大分先になるようでございますので、改めて日 程調整については、御連絡をとらせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。   ○眞柄部会長  ありがとうございました。それでは特にないようでございますので、本日の生活環境 水道部会はこれで閉会とさせて頂きます。どうもありがとうございました。                    ―了― 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4028)