06/07/28 第27回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録  第27回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 1 日時 平成18年7月28日(金)10:00〜12:00 2 場所 厚生労働省13階職業安定局第1会議室 3 出席者    委員  公益代表  :大沢委員、諏訪委員、中窪委員        雇用主代表 :中島委員、原川委員、輪島委員        労働者代表 :長谷川委員、古川委員、三木委員    事務局 高橋職業安定局次長、生田総務課長、宮川雇用保険課長、田中雇用保険 課課長補佐、金田雇用保険課課長補佐、戸ヶ崎雇用保険課課長補佐、長 良雇用保険課長補佐 4 議題  雇用保険制度の見直しについて 5 議事 ○諏訪部会長 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、第27回雇用保険部 会を開会させていただきます。議事に移ります前に、本日の出欠状況です。中馬委員、 林委員、相川委員、塩野委員、栗田委員、豊島委員がご欠席です。中島委員は追ってい らっしゃると思いますので、議事に移らせていただきます。本日の議題は、雇用保険制 度の見直しについてです。先月の29日に開催された第26回雇用保険部会において、適 用関係、給付関係、財政運営関係についての主な議論などを一旦整理させていただきま した。本日は、まず雇用保険三事業についてご議論をしていただきました後、これまで の議論をまとめたものを「雇用保険制度の見直しについて(中間報告)(案)」として 事務局と相談して整理したものが用意されていますので、その内容について事務局から ご説明をいただこうと思います。それでは、雇用保険三事業について、まず事務局から 資料の説明をお願いします。 ○田中雇用保険課課長補佐 それでは、配付資料に基づいてご説明申し上げます。今回 の資料は3点あります。資料1は、雇用保険三事業見直し検討会の報告です。資料2は 「雇用保険制度の見直しについて(中間報告)(案)」です。3つ目として、雇用政策 研究会の報告の概要をお配りしています。同時に、白表紙の冊子もお配りしています。  それでは、雇用保険三事業について、資料1に基づいてご説明します。雇用保険三事 業については、当部会において3月3日に制度全体をご議論いただいたときに、若干ご 議論いただきました。その際に提出した資料にも掲載されていましたように、雇用保険 三事業は、各方面から厳しいご意見をいただいている状況にあります。雇用保険三事業 財政制度等審議会からも、制度の根本に立ち返った見直しを行うべきである、というよ うな趣旨のご提言をいただいていますし、行革の重要方針を政府で閣議決定しましたが、 閣議決定の中でも、廃止も含め徹底的な見直しを行うものとする、というような方針が 定まっています。  この方針に基づきまして、雇用保険三事業は非常にいろいろな事業から構成されてい ますので、それぞれの事業に応じて精査をする必要があるであろうということで、個別 の事業について一つひとつ検証する作業が必要ではないかと当方としては考えまして、 費用負担者である事業主の団体の皆様方の参画によりまして、雇用保険三事業見直し検 討会を2月22日に立ち上げました。資料1のいちばん後ろに、雇用保険三事業見直し検 討会の参集者を掲げています。3団体からご参集いただいているということです。  1枚戻ったところに、これまでの検討経緯を掲載しています。2月22日に立ち上げま して、そのあと事務レベルでワーキングチームをつくりまして、計5回検討をしていま す。そして一昨日、雇用保険三事業見直し検討会を開きまして、雇用保険三事業見直案 の取りまとめを行ったところです。今回は、この雇用保険三事業の見直し案についてご 報告申し上げます。  資料1の1頁をご覧ください。見直しの背景には、いまご説明したようなことが書か れています。続いて2頁をご覧ください。見直しを行うに当たり三事業についてどのよ うな分類をするかということですが、平成16年度から、目標管理の徹底を図るというこ とで、いわゆる事業目標を定め、それを評価し、見直しにつなげるというPDCAサイ クルを回している状況です。したがって、今回も、17年度にすでに目標設定をして、あ る程度目標の達成の度合い等々を評価できるような事業と、それ以外のものに分けて精 査をすべきではないかと考えまして、まず17年度に目標設定した事業と、それ以外の事 業ということで分類を行いました。  2の(1)に、17年度に目標設定した事業の事業数と、18年度の予算額があります。 17年度に目標設定して、実は17年度でなくなってしまったものもありますので、若干 少なくなっていますが、142事業あります。予算額は合計で3,640億円ということです が、三事業の18年度予算額は、予備費を入れて4,167億円です。予備費を抜くと4,087 億円ということですので、この目標設定している事業が予算額の9割を占めているとい うことで、今回の見直しのメインターゲットとしてここに的を絞ったということです。  どのように見直していくかという方針ですが、2頁の下に「事業見直し方針」があり ます。まず目標設定している事業、比較的大規模な事業で諸事情で目標を設定していな かった事業について、以下のような3つの方針で見直していきました。1つ目が、(1) のアです。雇用保険三事業については、いわゆる失業等給付の附帯事業であると考えて います。附帯事業としての合目的性があるかどうかを第1番目のチェックポイントとし て精査しました。合目的性は2つに分類されるわけですが、まず定性的に説明ができる かということです。失業の予防または早期解消、労働市場の環境整備等、雇用の安定に 資するか、雇用の増につながるかなど、定性的に雇用保険の失業等給付の事業に資する と説明ができるか、というチェックポイントです。全部の事業について調べましたが、 定性的に全く説明ができないという事業は基本的にはなかったと考えています。ところ が、その定性的な目標をさらに厳しく担保するために、いわゆるアウトカム指標が定量 的に設定できるか、つまり、役に立つといっても本当にそれが証明できるか、合目的性 を担保できるか、というシビアなチェックポイントを設けました。これは、アの(イ) です。  2点目は、手法の適切性です。合目的性があっても手法が効果的でなけければ意味が ないということです。17年度は暫定的な評価ですが、暫定的な評価も活用しながら判断 をしたということです。最後に、積極的な事業の必要性があるかどうかということも、 それぞれの事業について見ました。これは、現時点で積極的に行う必要があるかという ことです。たとえ合目的性や手法の適切性があるといっても、必要性がないというもの であれば見直しや廃止をするべきではないか、という観点から精査をしたということで す。  以上のような3つの点で精査をして、それぞれの事業についてどのような結果になっ たかということですが、別紙1から別紙5のような形になりました。それらをまとめて 精査の結果どうなったかということを、4頁に掲げています。4頁に「事業精査の結果」 がありますが、結果として(1)から(6)まで掲げています。  (1)は雇用保険三事業は雇用安定事業、能力開発事業、雇用福祉事業の3つの事業で構 成されています。この中の雇用福祉事業について、今回の精査の結果、いわゆる失業の 予防や早期解消等、失業等給付の事業に資するかどうか、という先ほどの合目的性の観 点からチェックをしたところ、必ずしもそのような目的を有していない、特に定性的に は説明はできるけれども、定量的なアウトカム指標はつくれない、というものが相当程 度あったということです。ここには書いていませんが、安定事業や能力開発事業におい てはそういうものがほとんど散見されなかったということです。したがって、雇用福祉 事業はどうも合目的性を有していないのではないか。それが見られた原因としては、や はり雇用福祉事業に内在する構造的な原因があるのではないか。このように判断して、 事業類型としては雇用福祉事業を廃止するという精査結果を出しています。ただし、全 部が全部駄目ということではありません。見直しをすればきちんとした事業になるもの もありますので、失業等給付の事業に資するものであり、かつ効果的な事業であるとい うことであれば、安定事業や能力開発事業として実施することが適当である。このよう な精査結果が(1)です。  (2)は、安定事業や能力開発事業はどうかということです。これも各事業を見たところ、 やはりすべてがいいというわけではありません。適切性を欠いていたり、あるいは必要 性を欠いているものもありますので、事業の廃止や見直しを必要とするもの、それから 過剰予算となっているものが多数ありました。これらのものについて徹底した整理、合 理化が必要である、という結論に至っています。  (3)として、(1)(2)のような見直しの結果により、既存の事業については、現在の経済情 勢、雇用・失業情勢を前提として、現在の状況が変わらないと仮定して、これは前提が 変わると財政発動をしなければいけないということも出てきます。急にやめても経過措 置等が必要になりますので、平年で、平年度というのは、それらが終わったあとという ことですが、少なくとも平年度で750億〜800億円という額について削減が可能と考え られると。これは保険料率でいくと0.5/1,000に相当します。現在三事業にかかる保険 料率が3.5/1,000ですが、このうちの0.5/1,000に相当する額について削減は可能と 考えられる。このような精査結果が(3)です。  今後の話として、雇用安定等事業はどこに重点を置くべきかということですが、やは り中長期的な雇用対策、雇用のミスマッチの縮小等のための対策など喫緊の課題にも対 応すべきであろうと考えています。中長期的な課題と、それから短期的な課題に対応す べきだ、あくまでも雇用対策に重点を置くべきだ、という精査結果が(4)です。  (5)として、これで見直しは終わりということではなくて、継続的な見直し体制を確立 する必要がある、ということも精査結果として出ています。PDCAサイクルの目標管 理の徹底を図るということとともに、やはり新規事業の創設に当たってはしっかりチェ ックをすべきだ、という提言をまとめています。予算案段階での十分なチェック等、透 明性を高めるとともに、既存事業の廃止、縮減、いわゆるスクラップ・アンド・ビルド の手法の活用を図る必要がある、というのが(5)です。それから、これらの精査結果につ いて19年度予算案にも可能な限り反映させるよう努めるべきだ、というのが(6)です。以 上6点について結論を得たということです。  それぞれの事業の精査結果ですが、別紙1が、基本となる精査類型ごとの事業数、そ れぞれの予算額の合計です。いちばん上の×と書いてあるものが、雇用安定等事業とし ては廃止することが適当であるという事業です。31事業あって、合計すると予算額は149 億8,600万円、約150億円ということです。以下、事業の廃止や見直しが必要であると か、事業の廃止も含め抜本的見直しが必要であるという類型が並んでいます。これらは、 暫定的な評価等々に問題があったものです。  黄色の4番は、施策としては特に問題はなかったものの、予算額は適正化されていな かった、過剰な予算であったというものの分類です。5番目の白いところが、施策とし ては原則継続で、必要に応じて手法の改善を行う、福祉事業でやっていたものについて は、位置づけを変える、必要に応じて手法の改善を行うというものです。よかった事業 というのが、この白いところです。それから、まだ17年度の結果が出ていなかったもの がありましたので、集計中のものがあるということです。新規事業等については、やは り18年度の施策状況を見て判断しなければならないので、そのような精査結果になって いるということです。  別紙2が、雇用安定事業についての精査結果です。各事業について、事業名、予算額、 事業概要、精査類型を書かせていただいています。白いところが、先ほど申し上げまし たように5番目の精査類型ですので、比較的よかったという事業ですが、色が付いてい るところは、何らかの見直しが必要、あるいは廃止になってしまうというものです。別 紙3については、能力開発事業を同じようにまとめています。別紙4、16頁以降は、雇 用福祉事業の各事業について掲載しています。  別紙5、22頁は、事業の中でも1つの事業としてカウントはしていましたが、各独立 行政法人の交付金に対する精査の結果です。運営費交付金と呼ばれているものですが、 別紙5に書かれているように、制度上、独立行政法人の運営費交付金については、使途 の内訳を特定しない「渡しきりの交付金」という俗な言い方がなされています。使途の 内訳を特定しないということで、透明化を図ることが非常に重要だというものですが、 これにつきまして、交付金の財源が三事業から出ているということを踏まえて、今回の 精査結果を重く受け止め、適性、的確かつ効率的に使用されることが強く望まれる、と いうことを盛り込んでいます。さらに、継続的監視を行うこと、各独立行政法人に対し てこの対応状況について公表等を行ってもらいたい、ということを書いています。  以下、三事業で交付金を出している独立行政法人が3つありますが、それぞれについ てかなり厳しく精査結果を書かせていただいています。特に、独立行政法人雇用・能力 開発機構に対する交付金については、交付額も非常に多いということもありますし、課 題も多い団体ですので、かなり厳しめに精査結果を書かせていただいています。さらに、 独立行政法人雇用・能力開発機構については、中期目標、中期計画は19年度末までの計 画ということでしたが、前倒しで目標計画を見直すべきである、削減努力も前倒しで行 うべきである、という厳しい結論になっています。以下、参考資料として三事業の収支 状況を付けさせていただきました。 ○諏訪部会長 どうもご苦労さまでした。ただいまの雇用保険三事業についての説明お よび資料について、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。 ○古川委員 この三事業の中身を見直したり廃止したりするということとなれば、法律 改正ということになるのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 この雇用保険三事業見直し検討会の結論の中にも「平成19年度予 算案にも可能な限り反映させるよう努めるべきである」と(6)に書いてありますように、 予算でできるところと法律改正でできるところ、どちらもあります。法律改正しなけれ ばできないところというのは、ここに書いてある事業類型としての雇用福祉事業の廃止 ということについては法律事項と認識していますが、例えば現在、予算措置で行ってい る雇用福祉事業の事業内容を見直して雇用安定事業や能力開発事業にするということは、 法律を改正せずにできる内容だと考えています。 ○古川委員 9頁の57、58の継続雇用定着促進助成金ですが、これは今年の4月から内 容ががらりと変わって、要件がかなり厳しくなりました。これも法律改正をしないで内 容を変更したということですか。 ○宮川雇用保険課長 これは、本年度行っているものは、昨年の第1回目のPDCAサ イクルに基づいて、16年度の評価に基づいて直したものということで、その意味でも法 律改正なしにできる範囲のものですが、今回は、現在のものを前提にさらに検討した結 果、この精査類型ですと1番ですから、廃止または見直しという精査類型になったと。 これを踏まえて、またさらに予算的に必要なものを検討していくということになります。 ○古川委員 私どもの組織は中小が多くて、今回の高年齢雇用安定法に関して、労使に 集まってもらって、こういう協定をしてください、という説明会などをやっています。 そのときに、事業主側の方に対して、こういう給付金もありますよ、という資料を今年 の3月まで出していたのですが、いきなりかなり要件が厳しくなって、今年の4月から は、どうしようかとためらってしまうこともあるのです。65歳までの雇用継続と関係し て、これも、いきなり要件が厳しくなったり、廃止というのもどうかな、と私は思うの ですが。 ○宮川雇用保険課長 今回の廃止または見直しということを踏まえまして、現在、来年 度予算をどうするかということで検討しているところです。ただ、この制度は、現在の 高年齢雇用安定法が改正される以前からの基本的なスタンスの中で、高齢法が継続雇用 制度の導入を義務づけたということを前提とするとすれば、時期的にはそろそろ、そう いう意味での廃止または見直しという評価はしかるべき評価ではなかろうかと思ってい るところです。いずれにしても現在、内容については廃止または見直しという方針に基 づいて検討しているところです。 ○長谷川委員 資料の5頁の(4)の(1)は「人口減少下において、若者、高齢者等すべ ての人の就業参加の実現を目的とした雇用対策の推進」となっています。アからカまで 見ればいろいろ入っているのですが、若年者がいて、高齢者がいて、あと、普通は女性 労働者が出てきたり、障害者などが出てくるのですが、「等」で一括りして、若年と高 齢者のところが強調されたのかなと思いつつも、この三事業を使った雇用対策は、すべ ての人の就業参加ということは、この三事業の場合は使用者だけの負担になっているわ けですが、雇用保険に加入していようが加入していまいが、とにかくすべての人という ことなのですか。この「すべての人」というのはどういうことで書いたのか教えてくだ さい。 ○宮川雇用保険課長 事務局としての立場から説明させていただきます。現在私どもが 行っている雇用保険の三事業については、被保険者または被保険者であった者に関する 事業であるという性格づけです。雇用保険という制度ですので、被保険者または被保険 者であった方というような類の一定の縛りというものは、理念的に基本的にはかかるの ではないかと思っています。ただ、関するという意味からすれば、例えば若年者の問題 1つを取り上げてみても、こういう方々がきちんとした能力開発を受けることによって 立派な雇用者、すなわち被保険者になるということも十分考えられる。すべての人の就 業参加というのは、そういう雇用保険の被保険者ということを念頭に置いた概念とご理 解いただきたいと思います。被保険者になることが全然予定されていないとか、全く考 えられていないという方は、少なくともこの文脈の雇用保険三事業の中ではなかなか読 みづらいのではないかと思います。就業参加という中では、雇用保険のターゲットであ る被保険者になろうとする人、あるいはそうであった方の雇用対策という意味で理解し ています。 ○長谷川委員 例えば最近、人口減少下で労働人口が非常に少なくなっていくというこ とで、もっと働くことに参加してもらおうというのは、おそらく民間ベースでも最近進 んでいて、例えば家庭で子育てをしている人たちについても、労働時間を短くして働い てもらおうという試みが、むしろ派遣業界で積極的に行われていると思います。そうい うときに女性労働者に対してどういう雇用対策を行っていくのか。人口減少といえば、 若者と女性と高齢者に一生懸命働いてもらおうというのが3本柱だと思うのですが、な ぜ女性が抜けたのかということをお聞きしたいと思います。  もう1つ、雇用保険三事業については、保険料を払っているのが使用者のみというこ とで研究者と使用者で検討会が行われたのですが、やはり労働者の参加も必要だったと 思うのです。検討会が終わって、こうなりました、という報告を今日受けるわけですが、 これに対して利用する側の労働者が言ったこと、例えばいま古川委員が言ったことが反 映されるのかどうか、お聞きしたいと思います。 ○宮川雇用保険課長 今回、参考資料としてお配りしている「人口減少下における雇用 労働政策の課題」、その元である雇用政策研究会の報告そのもの、その概要版の参考資 料の2頁、3頁に「今後重点的に展開していくべき政策−10の政策対象・分野に向けた 提言」がありました。若者や高齢者は「すべての人の就業参加」のまさに例示でして、 3番目には、育児休業期間中の雇用継続、能力開発、再就職の促進等の両立支援対策の 推進ということで、まさにその意味での両立支援対策というものについて重点的に考え るべきではないかという位置づけがなされていると理解しています。(2)のミスマッ チ対策等の中にも当然、女性を活用するという視点は入ってしかるべきだと考えていま す。  それから、この内容的な検討ですが、雇用保険三事業は事業主団体の費用で行われて いるという性格も踏まえまして、まずは事業主団体の参画を得た上で、この事業の全体 についての個別の事業の見直しということでやらせていただき、私どもとしては、この 精査結果をできるだけ予算要求に反映させるべく、検討する素材とさせていただきたい と思っているところです。そうは申しましても、利用者であるという意味での労働者の 方々のご意見、ご要望を無視するとか軽視するという考えは毛頭ありません。これから この内容、雇用保険三事業のあり方について、当部会においてご議論いただくという形 の中で、ご意見、ご要望等を承れればと考えています。 ○長谷川委員 次に、内容です。いま古川委員が言ったように、4月からの高齢者の継 続雇用の中で、この助成金を使って中小は結構頑張っていました。春には、高齢者雇用 安定法をどのように使うのか、中小企業における60歳以上の人たちの雇用をどう確保す るのかということで、結構勉強会も行われていました。当時、厚生労働省は、90%のと ころで導入と言っていましたが、大手ではそうでしたが、地方に行ったら、例えば100 人ぐらいで労働講座をやっていて、「もう4月からの労使交渉をやりましたか」と聞く と、手を挙げる人は3分の1ぐらいしかいなくて、3分の2ぐらいは「これからだ」と 言っていた。春の時期でもそういう状況だったのです。中小の状況から見れば、なるべ く多くの人を継続雇用しようと思ったときに、助成金を使いながら、いろいろなことを 逆計算していたというのは私も承知しています。  高齢者雇用安定法を作るときに、むしろ企業主のほうは、これが自分たちに負担にな らないようにしてほしいということは再三再四言っていました。私たちも、いや、そん なことを言っても、60歳から保険開始年齢までは、霞を食って生きるわけではないわけ だから、何らかの雇用が必要だということで、そういう制度をつくって、助成金制度を 活用しながらスタートしたのだと思うのです。そういう意味では、もう少し現場でどう いうふうにしてこういうものが使われているのかということについて聞いてほしい。東 京の屋根の下だけではなくて、地方の中小の人たちの労使双方の意見を聞いてほしいと 私は思っています。  積雪寒冷地における奨励金の話ですが、29番はこのまま制度としては維持して、97、 98というのは、この色だとおそらく×になるのだと思います。北海道のこの問題という のは何回も意見交換が行われてきた課題です。私は、政府が政策を行うときに、合理的 な政策なのかどうかという精査はしなければいけないし、きちんとすべきだと思うので すが、日本の制度というのは真ん中がないと思うのです。どちらかなのです。例えば失 業すると、ある一定期間は雇用保険が出る。しかし、そこからパタッと終わって何にも なくなって、次は生活保護しかなくなる。真ん中がない。労働者がどういう生活をする かということに対して、この真ん中のところに対する政策が抜けているのだと思います。  北海道の季節労働者もそうなのですが、冬の間はほとんどの人が建設業に携わってい るのだと思うのです。事実として、冬の間は何も仕事がなくなるわけです。仕事が少し でもあれば収入が入ってくるわけですが、仕事がないからパタッとその期間はなくなっ てしまう。それでは彼らはどうやって生活すればいいのか、ということからいままで制 度があったのだと思うのです。この制度で誰かが不当に利益を得ているなどということ があれば問題なのかもしれませんが、現実に地域における非常に特徴的なことがあって、 それに対していままでこういう制度を使って運用していたそれが一気になくなるという ことは、私は信じられないのです。それでは彼らの生活をどうやって確保していくのか。 それなら生活保護になるか。貯金ゼロでなければ生活保護にはならないわけで、真ん中 の制度というのは日本はないわけです。そういうものをある意味では雇用政策の中で補 ってきたのだと思うのです。私は、97番と98番に関しては、もう少し検討の余地が必 要なのではないかと思います。  私は、使用者の皆さんを批判する気などありません。お金を出すほうから見れば、無 駄な金は一銭でも使ってほしくないと思うのは本当だと思うのです。無駄なことに使っ てきたことも事実ですから、そこはきちんと精査しようと思うと思うのです。私は、1 月、2月の北海道を是非調査していただきたいと思います。そういう人たちがどういう 暮らし方をしているのか、何で生活しているのかということについては、もう少し現地 の意見を聞いてほしい。東京で行う政策については、そういうものを受けている人たち がどう思っているのかについて精査しながら検討していただきたいと思います。 ○宮川雇用保険課長 まず高齢者のほうから答えさせていただきます。高齢者雇用につ いては、改正高齢者雇用安定法が着々と施行されている中で、助成金をどう考えていく のかということですが、助成金そのものについては、一旦廃止したら何もなくなるのか というと、6頁の(5)にありましたように、新規事業の創設に当たってはスクラップ・ア ンド・ビルドの手法の活用を図るという観点から、必要な施策、重点を置いていく施策 について考えていくこともあり得べしということですので、そういう中で必要な施策を、 地方あるいは中小企業のご意見などもよく承りながらやっていくべきであろうと考えて いるところです。 ○生田総務課長 積雪寒冷地の関係の97、98の助成金については、3年前に暫定措置と いうことでできまして、3年間ということでいま制度が存続しているものです。この制 度については、暫定措置として導入するときに通年雇用化にどの程度役に立つのかとい うことがベースになって、暫定制度として残っているのですが、結果として、この制度 の利用者の方が通年雇用化されているという実態については、非常に疑問があるという ことがありまして、もともと暫定制度としてスタートしたものですから、廃止はすると いうことでこういう考え方になっています。しかし、我々としては、北海道なり積雪寒 冷地の方々の通年雇用をより進める観点からの制度というのは非常に大事だと思ってい まして、これは廃止するということで整理されていますが、通年雇用化を進めるための さらなる工夫として何ができるのかということで、いま検討していまして、それに基づ いて予算要求させていただくという考え方です。何もしないというわけではなくて、通 年雇用を進めるという観点からの工夫をより進めるということで対応したいと考えてい ます。 ○三木委員 確かに雇用保険三事業について、経営者の皆さんからの負担ということに なっているから先に、という意味もわかるのですが、問題は、それが本当に現場の実態 に当っているのかどうかだと思うのです。これは、労使双方の検証を含めていかないと、 一方的な話だけでは検証ができない気がするのです。その視点からいうと、今回見直し が検討会で行われて、それでやるということではなくて、実際にスクラップ・アンド・ ビルドをするのなら、どの部分をスクラップにして、どう新しくそれに代わるものをつ くるのか、それが現実的であるのかどうかということは、この審議会の中でも十分議論 してもらう必要があるのではないかと思っています。  いま雇用安定事業の継続雇用の問題がありましたが、私どもは圧倒的に中小なもので すから、その中でいろいろ出てきた問題として、中小の場合5年間の猶予措置があるの です。その間は逆選択ができるということで、厚労省が最初に示したパンフレットの中 のモデルを使いながら、入れたところでも逆選択をしてくると。希望者全員という状況 にはなかなか至らない状況も現実には出てくるわけです。例えば全く関係のないような 資格が必要だということで、そういう条件を出してきたり、評価さえ行われていないの にA、B、Cランクの評価があって、それぞれ合致しないものについては外すというこ とがあって、現実的に合っていないようなところまで、逆に狭めるような状況が出てき ていることもあります。そういう意味で、57、58については、本当にそこが適切に運用 されているのかどうか、点検を含めてやっていく必要があるのではないか。いきなり廃 止ということではなくて、それでは新たなものをつくるというのは一体どういう中身な のか、その点も検討は十分する必要があるのではないか。いますぐ廃止ということにつ いては、私は反対する立場にあります。  季節の関係ですが、長谷川委員も言いましたが、私自身も、いま地方に行けば行くほ ど非常に経済格差が広がっていますし、特に北海道は大変な状況の中で、職さえも見付 からないという状況が出ているわけです。継続につながらなかったからというだけでは なくて、継続的につながるための施策をどう進めていくのか。そのためにも、この雇用 安定給付金を廃止、見直しするということではなくて、現実的にマッチしたほうに進め る必要があるのではないかという気がしますので、私もこの点については、やはり慎重 に対応すべきだという思いがあります。  107の介護労働者雇用管理モデル検討運営費についても、介護福祉労働者についても 非常に問題が多いということで雇用管理モデル検討会がつくられたわけです。その効果 は一体どうだったのか。いきなり廃止というのは一体どうなのか。この介護労働者の問 題については、これからの高齢化社会を支える上で必要なものという観点で、雇用改善 を図っていこうということで出たものだと思うのです。そこの部分が依然として厳しい 状況にあって、早期退職につながっているという状況を踏まえると、介護労働者の問題 についてきちんと進めていく必要があるのではないかという気がしますが、その点はど うなのですか。 ○宮川雇用保険課長 まず介護労働者の関係ですが、このモデル検討会の事業自身は、 ある程度の期間で終えるということをもともと前提としているものですし、一旦介護労 働者の雇用管理に関連する事業をやめるからといって、新規事業を一切認めないという わけでもありません。一定の時期に必要な事業を行い、時期が来たらそれを見直し、ほ かの事業に変えるなり、新しい事業を考えるなり、その事業をやめるなり、さまざまな 判断が必要だということです。三事業としてこれを行わないということが、雇用政策と して介護労働者の雇用管理を軽視しているとか、無視しているという意味ではないとい うことは、是非ご理解いただきたいと思います。  継続雇用措置は、ご指摘のように5年間の猶予措置がありまして、労使協定で本来や るべきところを、中小企業の場合には労使協定がなかなかまとまらないということを前 提に、就業規則でも結構です、という形で基準を作るということが認められているとこ ろですが、このような形での継続雇用措置というものはすでに義務化されていることを 前提にしつつ、希望者全員といいますか、定年延長等の問題も含めまして、どのような ものを今後進めていくことが必要かということは、十分考えるべきではないかと思って います。継続雇用措置の助成金のあり方についても、そういう意味での廃止または見直 しというご提言を踏まえて、来年度要求していくことになろうと思っています。  季節労働者については、先ほど総務課長からお答えさせていただいたとおりです。 ○大沢委員 今日は三事業の見直しについての議論だとは思うのですが、廃止事業その 他を見ると、高齢者の継続雇用とか、年齢にかかわりなく働ける雇用環境を整備すると いう事業が継続されて、それ以外の両立支援などは、見直しの方向で考えようとか、廃 止しようという方向性がここで出されてきたように思うのです。ここで定量分析をされ た結果、どういった雇用保険の見直しのあり方が見えてきたのか。雇用保険というのは 全体的にセーフティネットという役割を持ってつくられたもので、三事業はその中の一 部と考えられるわけです。こういったことを検討するに当たっても、全体的に労働市場 の構造が変わってきた中で、三事業をどのように位置づけて見直すのかという議論も、 研究会の中ではされたのではないかと思います。そこについて教えていただきたいと思 います。  雇用保険そのものは正社員が中心となって負担していたものですが、今後の雇用対策 にとっての重点度としては、フリーター対策、若年対策、非正規労働者の安定した雇用 の促進と述べられています。そういった面では、三事業は縮小するけれども、ほかの形 でこういった対策をむしろ強化していくと今後の労働政策についてはお考えなのかどう か、教えていただければと思います。 ○宮川雇用保険課長 まず高齢者関係の施策について、何か政策的な判断の下にこうい う位置づけをというものなのかどうかということですが、これは、あくまでもそれぞれ の個別の事業について、先ほど事業の見直し方針の中でご説明したような合目的性、手 法の適切性、積極的な事業の必要性を見たものです。特に手法の適切性のところでは、 いわゆるPDCAサイクルに基づく暫定評価、後には評価になりましたが、評価を活用 して行ったという中で、今回の結論がおおむねその中で中心的な精査類型に至ったとい うところです。さらに、現時点での必要性も加味していますので、そういう意味では、 政策的なものもある程度加味しつつも、事業としての達成というのはやはり中心的なと ころに来るのではなかろうかと思っています。そういう意味で、高齢者関係の施策があ る意味で転換点に来ているということがこの結果をもたらしたこともあり得る、と私自 身思っています。すなわち、65歳の継続雇用措置については、現在まさに法律が着々と 62、63、64と延びている中で、いままでどおりの政策ではない時期に、ちょうど たまたま来ていたのではないかと判断できるところです。  セーフティネットとしての雇用保険の三事業という位置づけについては、「雇用保険 三事業の見直しの背景」にもありますように、今回の見直しの観点は、失業等給付の事 業という本来の雇用保険の事業に役立つかどうかという観点を強調したというのが中心 です。その面から見れば、先ほど雇用保険課課長補佐から説明しましたように、その目 的に全然関係ないという事業はほとんどなかったと考えています。ただ、その中には濃 淡がありまして、失業等給付の事業に非常に資する濃いものと、それがやや薄いのでは ないかというものがある。その辺の判断が必要性や目的性の判断に影響したのだと思い ます。今回のセーフティネットとしての三事業のあり方としては、あくまでも雇用保険 事業の附帯事業としての性格づけを明確にして精査したということです。  今後の雇用対策ということですが、ここでご議論いただいているのはあくまでも三事 業の重点です。三事業以外のツールを使ってさまざまな雇用対策をするのはある意味当 然ですので、ここで(4)の雇用対策と言っているのは三事業に基づく雇用対策だとご理解 いただいたほうがよろしいのではないかと思います。ただし、それは一般的な意味での 雇用対策とほとんどの部分でオーバーラップしているという説明も可能かと思います。 ○長谷川委員 私は個別のものからいったものですから、全体的な評価をしなかったの で申し訳ないと思っています。全体的には、三事業というのは問題があると指摘されて いたわけです。何に使っているかわからない、目的に沿っていないではないかと。そう いう意味では、今回こういう形で整理したことは、私は全体として評価したいと思って います。その上で、いままでは個別の課題で言っていますので、検討会に参加なさった 方々には「ご苦労さまですね」とは申し述べておきます。ただ、私どもも1人ぐらいは 入れてほしかったのに、入れてもらえなかったので、そこは残念だということは一言言 いたいと思います。 ○輪島委員 いま長谷川委員におまとめいただいたので、使用者側としてもコメントを 言っておきたいと思います。今回の見直しの関係でいうと、年末に閣議決定されて、特 別会計全体の見直しをどのようにするのかという大きな命題があって、国庫負担の話と 三事業の話ということで、まず三事業については使用者側で話をさせていただくという ことで、先ほどの資料の後ろのほうにもありましたが、検討会では2月から検討してき たわけです。実は、検討会での資料というのは電話帳のような資料で、一つひとつ精査 させていただいて、一つひとつの合目的性というキーワードを見付けて、それに沿って 必要なのかどうかというのを検討しました。その結果が今日は非常にコンパクトにまと められていますが、その点について言うと、使用者側としては基本的にかなりの精力を 傾けて、十分ではないかもしれませんが、使用者側としてはある一定の評価をし、重く 受け止めて、今日雇用保険部会にご報告させていただいているという点を、まずご理解 いただきたいと思っています。  さらに、ここにも書いてありますように、今回の件についてこのようなある一定の考 え方を取りまとめましたが、これですべてだとも思っていませんし、引き続き検討する ことも当然あります。かつ、それぞれに全く問題がないかというと、そういうことでは ありませんので、今日雇用保険部会にご報告をし、なお、これから労側の委員のご意見 をいただいた上で、これからまだまだ検討していくものだろうと思っています。その点 はご理解をいただきたいと思っています。  個別のものについては、私どもとしては、精査をさせていただいた結果、一つひとつ が通年雇用につながったのか、つながらなかったのかという結果を見た上で、介護労働 者等、高齢者等ということも踏まえて、この助成金としてのやり方は1回閉じて、必要 があればまたつくりましょうという、まさにスクラップ・アンド・ビルドのための考え 方を示したのではないかと思っています。その点もご理解いただければと思っています。 ○長谷川委員 10頁の82と83ですが、キャリア交流事業、若年者キャリア交流プラザ 事業というのは民間に出された事業のはずです。なぜこれが三事業の中に出てくるので すか。 ○宮川雇用保険課長 もともとキャリア交流事業という形で三事業で行わせていただい ていました。内容的には、求職者に対して集中的に求職活動にかかるセミナー、グルー プワーク等を実施して就職の促進を図るという意味で、本来的には現在、雇用安定事業 と位置づけられています。そのような形でやっていたわけですが、キャリア交流事業の 一部、若年者キャリア交流プラザ事業については、いま長谷川委員からお話がありまし たように、いわゆる市場化テストのモデル事業になりました。それについては、市場化 テストをやっているもので、集計の仕方がほかのものと時期的にずれているのです。そ れで、評価のための集計が間に合わないという形になってしまったので、行っています。 もともとこれは三事業で、一部を市場化テストをしたということです。 ○輪島委員 この精査の結果、雇用福祉事業は廃止ということで、形としては二事業に なりました。資料の4頁の書出しには「三事業における各事業(雇用安定等事業)」と ありますし、先ほどの説明の中では「二事業」とか「雇用安定等事業」と仮に呼ばれて いましたが、今度事業の精査をして、イメージとかネーミングというのは大事だと思う のです。三事業から変わったのだという事業の呼び方が重要なのではないかと思ってい ますので、それを「二事業」とするのかどうかよくわからないのですが、ずっと私ども も考えていますが、言葉というのは大事だと思うので、その点も含めてご検討いただき たいと思います。 ○宮川雇用保険課長 もともと法律的に使っている用語は、それぞれの事業である雇用 安定事業、能力開発事業、雇用福祉事業という言葉と、それをまとめた言葉としての雇 用安定等事業というものです。三事業と呼んでいるのは、実は通称です。今後どういう 呼び方をするかということは、二事業にするかどうかも含めて、今後ご議論いただく際 にいろいろ考えをお出しいただき、我々も考えてみたいと思っています。今回、仮に雇 用福祉事業をやめるということになった場合には、従来の2つの事業は従来どおりとい うことであれば、この名前は残るのかなとは考えていますが、それがいいのかどうかも 含めて、また今後ご議論いただき、我々も考えていきたいと思います。 ○原川委員 2つのことを申し上げたいと思います。いまの中小企業の実態を、長谷川 委員、古川委員がおっしゃいました。私どもも中小企業ですが、この三事業の高齢者の いろいろな助成金については、全くこういう助成が必要ないということではなくて、今 ある助成金について、合目的性、失業等給付の改善に役立つもの、使い勝手が悪いもの、 使われていないものというところを精査して、これは改善したほうがいい、ということ でこういった結果になったと私は思っています。決して、すべてこういうものが必要な いという判断に立ってこうした結果が出たものではないと思います。そこは誤解のない ようにお願いしたいと思います。  このように精査をして、無駄を省き、助成金としてより効果のあるものを再度見直し て、新しいものに生まれ変われるものは生まれ変わらせるということで、先ほど言った スクラップ・アンド・ビルドということでいくべきだと思うのですが、もう1つ、こう いう事業の見直しと関連して、活用する際の利便性ということも考えていただきたいと 思います。中小企業のことを言えば、日々仕事に追われて、なかなか助成金の活用とい うことを考える余裕もないというところも多いですし、助成金を使いたくてもどうした らいいかわからない、書類が煩雑である、ということもよく聞きます。したがって、な るべく普及しやすく、不正受給は防がないといけないわけですが、一方でこういうもの を作った以上は活用されなければ、政策としての意味がないわけですから、申請の際の 事務負担、あるいは窓口の一本化、情報提供の強化などを引き続き行っていただきたい と思います。 ○宮川雇用保険課長 私のほうから、厚生労働省としてお答えします。1つは、原川委 員がおっしゃったように、今回廃止や廃止見直しになったのは、事業が無駄だったとか 必要がなかったという意味でそういう評価をしたのではなく、あくまでも先ほど申しま したように合目的性、適切性、現時点での必要性、優先順位ということです。例えば、 どちらも必要性があるとしても、これだけの巨額のお金を使う必要性がいまの時点であ るのかどうか、ほかとのバランスから考えた場合、見直すべきではないかという意味で の必要性もあるのではないかと思います。そういう意味で、決してこれが無駄だった、 あるいは雇用保険三事業として支出すべきお金ではなかったという意味での判断ではな いことは、重ねてご理解いただきたいと思います。  2番目の点ですが、大変重要な点だと思います。活用すること、いわゆるPDCAサ イクルの中でも、目標達成だけではなく、この予算がきちんと使われているかどうかと いうのも1つの評価で、その際にそういうものがきちんと使われていくようにするため には、お話があった窓口の一本化、パンフレットの工夫、さまざまな情報提供等のあり 方は不断に考えていく必要があるのではないかと考えています。 ○長谷川委員 しつこいのですが、5頁の(4)(1)人工減少下において、若者・高齢者 とありますが、これは「若者、女性・高齢者」と入らないのですか。 ○宮川雇用保険課長 一応、三事業見直し検討会としては26日付けでこうなっておりま すし、これはこういうことです。女性を排除しているわけではないというのは、たまた ま並べたのが上から若年者対策、高齢者対策、両立支援、非正規として、見出しをつけ るときに上の2つを使っただけで、決して下を差別しているわけではありません。今後、 これからご議論いただく雇用保険部会としての議論の中での表現については、またご相 談したいと思います。 ○長谷川委員 いちばん最初に出てくる文字というのはとても重要で、どこに力点があ るかがよくわかるのです。最後は「等」で読めるようにするのですが、やはりこれから の人口減少化における労働力をどう確保するかといえば、若年と女性と高齢者だから、 それはいつも三点セットだと思うのです。なぜそうなるかというと、今日のいちばん最 後の資料の雇用保険三事業見直し検討会参集者名簿に、女性が1人も入っていないので す。 ○宮川雇用保険課長 大変恐縮ですが、女性を入れるという視点ではなく、そういう意 味での事務検討的なものも含めて、実はワーキンググループのほうでは女性が実際入っ ておりましたので、その点だけ付け加えさせていただきます。 ○輪島委員 私どもの認識が足りないということで、私どもが気づいて女性を入れるべ きだったのですが、それが入っていないことと、検討会参集者も、私どもも人手不足で すので、女性の人材がショートしていることもご理解いただきたいと思います。 ○中窪委員 先ほどの雇用福祉事業がなくなるというのは、非常に大きな変更になると 思うのです。自分で調べればいいのですが、雇用保険法ができたときの事業はどういう ものがあって、どういう形できたかを教えていただければと思います。たしか、一昔前 は四事業と言っていた気がするのですが、雇用改善事業をなくしたときは、その事業は いまの3つの中に移す形になったのか、それともなくなってしまったのか、そういうと ころも含めて。 ○宮川雇用保険課長 雇用保険三事業が雇用保険法の制定に伴って、従来の保険施設的 なものから附帯事業としての事業を明確にしたときには三事業でしたが、そのときには 雇用安定事業という考え方はなく、雇用改善事業、能力開発事業、雇用福祉事業でした。 一方、昭和52年に雇用調整給付金などを発展させる形で、雇用安定事業を付け加えて四 事業になり、雇用安定資金制度もその際に導入されたわけです。それが雇用安定事業と 雇用改善事業を合体させる意味で、新雇用安定事業になって、そこでまた三事業になっ たわけです。そういう意味で言えば、いままでは削ることはなかったわけです。 ○大沢委員 労働力人口に占める雇用保険でカバーされる労働者の割合はどれぐらいな のでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 いま手元に正確な数字はありませんので、またあとでご報告しま す。 ○諏訪部会長 それでは、いろいろ問題のご指摘を受けましたが、雇用保険三事業につ いては報告を受け、ここで議論をしましたので、次に「雇用保険制度の見直しについて (中間報告)(案)」を検討していただこうと思います。事務局からご説明をお願いし ます。 ○宮川雇用保険課長 その前に、数字がありましたのでご報告します。 ○田中雇用保険課課長補佐 先ほどの質問なのですが、いま雇用保険者数が約3,500万 人おります。労働力人口が平成18年6月現在で約6,700万人ですので、これを割ると約 52%です。労働力人口全体で見ますと、雇用保険被保険者は52%ということです。ただ し、雇用者数などいろいろ条件をかけると、だんだん割合が高くなります。 ○大沢委員 傾向としては変わらないということでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 あまり大きな変化はなかったと思いますが、それは次回にでもご 報告します。 ○諏訪部会長 それでは、田中雇用保険課課長補佐、お願いします。 ○田中雇用保険課課長補佐 配付資料2です。これは、本日ご議論いただいた雇用保険 三事業の部分を除いた部分で構成されております。前回お示ししたこれまでの主な議論 を基に、さらに議論されたことを加味して構成したものです。  1頁ですが、中間報告の形を取るということで、先に現状や雇用保険制度を巡る最近 の動きを入れております。要素としては、これまでも参考資料等でお示ししたものです。 雇用保険制度の現状として、失業等給付と雇用保険三事業について現状を述べておりま す。具体的な数字は省略しますが、いずれにしても、雇用保険制度の財政状況全体とし て改善傾向にあるということをお示ししています。  最近の動きですが、雇用保険制度の財政状況全体として改善傾向にありますが、一方 で我が国の財政は主要先進国中で最悪の状況で、非常に逼迫しており、財政構造改革を 進めることが喫緊の課題になっております。  2頁ですが、その中でも特別会計についてはさまざまな問題が指摘されており、雇用 保険制度は労働保険特別会計の中の一制度ということです。雇用保険事業に対しても、 かなり厳しいご指摘がなされています。以下、財政制度等特別審議会の報告や閣議決定、 その閣議決定を基にした行革推進法、先ほど閣議決定されたいわゆる骨太の方針、最近 は基本方針と呼んでおりますが、「基本方針2006」の内容について掲載しております。  このような現状がありますが、それを踏まえて雇用保険制度の見直しに当たっての視 点ということで、4点ほど挙げております。3頁です。(1)現状、(2)これまでの部会で今 後の課題とされている諸課題、(3)雇用政策研究会の報告において取りまとめられており ますが、今日お配りした参考資料の中にも入っております、今後10年の雇用政策全体の 方向性。人口減少下において経済社会の停滞を回避して、働く意欲と能力あるすべての 人が可能な限り働ける社会の構築を目指す。(4)平成15年改正以降の雇用対策の動向。こ のような観点から議論を進めてきたということですが、これまでの議論を現時点でまと めると、以下のとおりという書き方をしております。今後、これらの論点について、さ らに具体的な検討を進め、深めていく必要があるとともに、新たな論点について議論を することを妨げるものではないということを付け加えております。中間報告のときには、 このような書き方をすることは通例ですので入れています。  具体的な論点ですが、適用、失業等給付、財政運営と流れております。前回にお示し たこれまでの主な議論等をベースにして、若干修正等をしています。  適用については、(1)〜(3)まで掲げています。(1)被保険者資格の一本化です。ここにつ いては、一本化する1つの例として、一本化する際に受給資格要件については循環的な 給付を防ぐ観点から、特定受給資格者は6月、それ以外の方は1年とすることについて どう考えるかという論点を付け加えております。  (2)として、マルチジョブホルダー等就業形態の多様化に対応した雇用保険の適用範囲 について、さらに議論すべきではないかという論点です。(3)として、労働政策の対象年 齢等の関連も念頭に置きつつ、65歳以降の対処について検討する必要はないかという論 点を掲げております。  失業等給付として、各給付についても論点を掲げています。(1)基本手当ですが、 これは前回の資料とほぼ同様の論点です。  (2)特例一時金についてです。これについては2点掲げております。(1)として、特 例一時金については引き続き検討が必要であるが、少なくとも、一般被保険者の受給資 格要件、給付内容とのバランスを考慮した見直しを行うべきではないか。(2)として、積 雪寒冷地等の地域において制度を見直すべきではないかということで、セットで論点を 掲げております。  (3)教育訓練給付については、前回議論がありましたので少し変えておりますが、 教育訓練がさらに効果的なものとなるよう、給付の在り方について検討すべきではない かという論点です。  (4)高年齢雇用継続給付についても前回ご議論がありましたが、2点掲げておりま す。(1)として、改正高齢法を踏まえて今後の方向性を検討する必要はないか。(2)として、 少なくとも平成25年度以降は原則廃止することを前提に、これに向けた方策を検討する 必要がないか。その際、激変を避ける観点からも検討する必要はないかという点を掲げ ております。  (5)育児休業給付です。これも、若干短かくしておりますが、前回のものとほぼ同 様の内容だと思います。(1)として、支給要件等について検討する必要はないか。(2)育児 休業の取得を促進する方策について検討する必要はないかということです。雇用保険三 事業については今日議論しましたので、また次回ということです。  4番、財政運営ということで総論として、これも前回お示ししましたが、平成15年度 改正の経緯を振り返ると、制度の健全な運営を確保することが何よりも重要ではないか ということを掲げております。  前回も非常にご議論のあった国庫負担のところですが、3点にまとめております。(1) 国の雇用対策に係る責任と国庫負担との関係をどう考えるか。(2)行革推進法の趣旨を踏 まえつつ、これまでのさまざまな議論を念頭に置きながら、失業等給付に係る国の責任 について検討すべきではないか。これまでの議論は※で「国庫負担に係る主な議論等」 として(1)〜(7)まで掲げています。※の所は、前回お示しした議論とほぼ同じものです。 (3)暫定措置としての対応についてどう考えるか。これまで暫定措置として国庫負担を下 げたことがありますが、その対応についてどう考えるかということです。  最後に、保険料率です。失業等給付の保険料率についてもさまざまなご議論がありま したが、このようなまとめ方をしております。制度の健全な運営を確保しつつ、保険料 負担者の負担軽減を図る等の観点から、弾力条項の発動基準等の在り方について検討す べきではないか。  参考資料がたくさんついておりますが、これまでお出ししている資料をまとめて載せ ているということです。 ○諏訪部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの件についてご質問、ご 意見をお願いします。 ○輪島委員 少し教えていただきたいのは、まず、今日の4頁目で三事業はペンディン グという形になっていますが、先ほど議論した資料1のどこの部分がここに入ってくる のか教えていただきたい。  2番目は財政運営の国庫負担の所で、これまで雇用保険部会で労使強く国庫負担のあ り方について、割と同じような方向性で議論をしてきたと思っていますが、それが(2) 国庫負担の(2)で、*で5頁目に整理されている。整理としてはきれいなのですが、心情 として非常に強く思っているところなので、(2)から少し離れているのは寂しい気が するのです。その辺りの取扱いがどうなのか。  4頁目の(2)特例一時金の所ですが、前回は「廃止を含め」というニュアンスが文 字としてもあったように思うのです。そこがこれで読めているのかどうか。  (3)の所で、教育訓練給付の在り方、特にこの間申し上げた併給調整などで、財政 的に雇用保険財政にとってニュートラルな形になるべきなのではないかと申しましたが、 その点もここに含まれているのかどうかを教えていただきたい。 ○宮川雇用保険課長 4点ありましたので、順次ご説明します。雇用保険三事業につい て、今回Pとしたのは、今回の資料が初めて出たものですので、現時点で出すのはいか がかと思いましたが、事務局としていまの時点で考えている内容は、雇用保険三事業見 直し検討会の結果を踏まえ、例示としては雇用福祉事業の廃止等雇用保険三事業の在り 方について検討していくべきではないか、という趣旨の文言になるかと思っております。  雇用保険三事業については、三事業の保険料の話もありますので、現在4頁の(3) にあります、これは失業等給付の関係だけですが、三事業についても同様な記載が必要 なのかなと、現時点では考えております。  2番目の財政のところですが、別に意図して離したわけではありません。決して意図 はありませんので、工夫はしたいと思っております。  特例一時金ですが、前回の主な議論等では、「廃止等の今後の在り方を検討すべきで はないか」という形で議論を出しておりました。論点としては、当然のことながら引き 続き検討ですから、まさに引き続き廃止等の今後の在り方についての検討であるという 趣旨で、この文言を書いています。  教育訓練給付については、前回ご議論がいろいろありましたが、前回は講座だけの話 しか主な議論としては書けなかったので、したがって論点としては「給付の在り方につ いて検討する」と直したところです。 ○諏訪部会長 それでは、この中間報告(案)についてお気づきの点、ご質問、ご意見 をお願いします。 ○中窪委員 いまのことに関連して、2点目で5頁に国庫負担に係る議論等ということ で(1)〜(7)までまとめているのですが、(1)(2)というのを使うと、左側までずっと使ってき た(1)(2)とランクが同じように見えるものですから、イロハでもいいので、変えたほうが いいかなと思うのです。 ○宮川雇用保険課長 その辺りもでは。 ○大沢委員 育児休業給付金について、(5)の(1)で「支給要件等について検討する必 要はないか」ということですが、これは具体的にどういうことを意味しているのか教え ていただけますか。 ○宮川雇用保険課長 論点として抽象的にこう書いておりますが、前回の主な議論等の 中では、このような表現をしておりました。「雇用保険制度の枠内で行う観点からは、 社会保険料が免除されていることも考慮すると、育児休業給付の給付水準については雇 用保険制度では現状が限界ではないか」というご意見があったかに記憶しておりますが、 一方外部と申しますか、世の中では育事休業給付も含め、経済的支援のあり方について さまざまな議論がなされておりますので、経済的支援の1つである育児休業給付のあり 方そのものについても、今後さらに議論を深めていただければということでこれを出し ているところで、方向性がこうだとか、こうしないとかするとか、そういうことを前提 とした論点ではありません。 ○大沢委員 これに関連していると思うのですが、1993年に育児休業法が施行されて、 育児休業取得者は増えていますが、全体的に雇用継続をする女性の数は増えておりませ ん。もし、育児休業給付によって雇用継続をする女性が増えるなら、私はそれは非常に 重要なことだと思うわけですが、効果がなかったという点の検証も、もう1つここで必 要だと思います。つまり、取得促進することを、どうして女性の継続雇用が進まなかっ たのかという点で考えても、特に30〜34歳の女性の労働力率が低いのが日本の特徴です し、その理由が最近分析されてきていて、両立しにくい働き方なども含めた見直しの検 討ということもありますので、育児休業給付のみを見直すのではなく、拡大をさらに進 めるための両立支援策も含めて検討する必要があるのではないかと思います。 ○宮川雇用保険課長 ただいまのご指摘は、少子化対策に関わる政府としての取組みの 中で、私どもが雇用保険としてどこまでできるのか、やるべきなのかどうか、やる方法 としてどのようなものが適切なのかどうかという観点で、(2)の育児休業の取得促進方策 も含めて、「育児休業給付の支給要件等」と抽象的に書いてありますが、支給要件に限 らず、支給の内容や、先ほど教育訓練給付で輪島委員から言及がありましたような併給 調整の問題などさまざまな点についての検討を全体の視野に入れつつ、ただ雇用保険部 会の性格上、両立支援策そのものをご議論いただくことは難しいにしても、ある程度の 両立支援策を念頭に置きながら、その中で雇用保険が果たす役割についてご議論いただ ければと考えております。 ○長谷川委員 この項目、この内容について検討していくというのはそれでいいと思う のですが、輪島委員が先ほどおっしゃった廃止も含めて検討という特例一時金の話で、 今回この雇用保険、特に季節労働者などを見たとき何が問題なのか、今回の議論でやる のかどうかまだ私の中でも整理されていないのですが、日本社会は雇用社会なわけです。 賃金を得て生活しているわけです。失業すると、雇用保険に入っていれば雇用保険から 3カ月とか出てくる。90日であったり、勤続年数でもう少し多いにしても給付が出てく る。これが切れてしまうと、一切の収入が途絶えてしまうわけです。共働きだったら、 一方の収入があるからなんとか生活ができるのでしょうが、片方しか働いていない場合 は、一気に生計が成り立たなくなってくる。  生活保護という最低のセーフティーネットがありますが、それは貯金があったら一切 駄目です。何もないところではじめて生活保護を受けられるそうすると、失業保険が終 わってからそこにいく間のものがないと、バタッと切れてしまうのです。今回の特例一 時金を見ながら、この人たちは春から秋は働いているのでしょうが、冬がきて働きたく ても働けないということは、地域によってあるわけです。産業構造の転換のときにも起 きてきたこともあると思いますが、ゼロか1かしかないという我が国の制度は、本当に いいのかと思うのです。雇用制策の形で考えた場合に、ゼロか1でなく、そこをつなぐ 何らかのものがないと、本当に安心できるものがなくなっていくのではないかと、私は 今回初めて雇用保険を担当して、労働者の生活がどのようになっているのかと思って、 ずっと見ていったときにそう感じたわけです。  昔の田舎だったら、農業をしながら建設労働をする労働者も結構多かったのですが、 いまは農業をしながら建設労働する労働者はいないです。大体、農地はみんな資材置場 になっていて、農業をやりながらというのはなくなってきているわけです。そうすると、 本当に賃金しかないのです。それがなくなったとき、次は生活保護まで何もないという ことに対して、雇用政策の中で何らかの手当をすることは必要なのではないかと思って います。特例一時金についてはいろいろな議論があると思うのですが、しかし、ここの ところはしっかり知恵を出しながら、ゼロか1ではないものはある程度考えなければい けないし、認識を持つことが必要なのではないかと思います。  今回は積雪寒冷地の問題が話題になっていますが、必ずしもそれだけではないでしょ うから、特例一時金もさまざまな使われ方がされてきたわけですから、そこはきちんと 見ていくことが必要なのではないかと思います。  ただ、こういう制度はいろいろ問題があるということも、私たちは知らないと言って いるわけではないし、どういうモラルハザードが起きるかなどについても、それは十分 認識しつつも、こういう制度の見直しを行うときは慎重に行うべきだと思います。私は 本当に失業保険が切れて、一切の収入がなくなった家族をいくつも見ていますが、彼ら にも少しの間食いつなぐある一定の蓄えはあるわけです。しかし、貯金を持っているか ぎり生活保護には絶対なりません。この検討をするときには、是非そういうことを考慮 していただきたいと思います。あとは、全体的には議論の余地があることですから、い ろいろな所で議論をしていきたいと思っています。  育児休業について言えば、全体的に女性労働者の就労支援をどのようにやるかについ て、雇用保険部会ですから、ここでは育児休業給付のことが話になるわけですが、育児 休業期間中の経済的支援をどういう形でやるのかは、もう少し省全体での議論が必要な のではないかと、私は前から思っております。 ○中島委員 長谷川委員のおっしゃることも、心情的にわからないでもないのですが、 結局これは保険だということを、いつも念頭に置いていただかなければいけないと思う のです。みんなで保険料を出し合って、国もしかるべき負担をして、仲間で助け合おう という制度なわけです。だから平均して3カ月で再就職が決まる人が大半だというとき に、10カ月も長く決まらない人は、それはかわいそうですが、何かそれなりの理由があ るので、そこまで保険でするのはどうかと、お金には限度があるわけですから、そうい う観点で慎重に考えなければいけないと思います。  季節労働者は、毎年そういう時期になれば仕事ができないのはわかっているわけです から、もちろん国の政策としても働ける職場を探したりしなければいけませんが、ご本 人にとっても去年もそうだった、今年もそうだったということでは、それなりの努力を ちゃんとしていく。もちろん手助けをする必要はありますが、保険という観点が是非必 要だと思います。 ○諏訪部会長 ほかにご意見はありますか。特にないようでしたら、これから秋に入っ て中間報告について皆様と検討していくことになりますので、今日はその基本項目を確 認していただき、三事業に関するご報告を受け、これについての議論をしていただきま した。まだ今日で終わりではありません。秋に皆様と細かく議論をしていくことになり ますので、今日のところは以上をもちまして「第27回雇用保険部会」を終了いたします。  次回ですが、事務局のほうで本日の議論を踏まえ、中間報告についてもう一度見直し をし、ペンディングとなっている部分を補充していただいて、当部会としての中間報告 案についてご議論をしたいと思います。これは、できれば次回で取りまとめができれば と思っております。  次回の日程ですが、8月4日(金)午前10時〜12時、場所は本日と同じく職業安定 局第1会議室で開催します。  本日の署名委員は、雇用主代表として輪島委員、労働者代表として長谷川委員にそれ ぞれお願いします。それでは、委員の皆様には、本日はお忙しい中大変ありがとうござ いました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。 照会先   厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係   TEL 03(5253)1111(内線5763)