06/07/25 第3回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議の議事録について         第3回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議 日時 7月25日(火)15:00〜17:00 専用22会議室(中央合同庁舎5号館18階) ○山崎総務課長 定刻となりましたので、第3回の「介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関 する有識者会議」を開催させていただきます。 本日の委員の出欠ございますが、大森委員と矢田委員から御欠席の連絡を受けてございます。 それでは、座長、よろしくお願いいたします。 ○京極座長 それでは、本日の議題に入ります。 まず、事務局から本日の資料の確認及び説明をお願いいたします。 ○巽補佐 それでは、本日の議題に入ります。資料につきまして、確認と説明をさせていただき ます。座って説明させていただきます。 まず、資料1「有識者会議におけるこれまでの議論等の整理(案)」です。 資料2「諸外国における介護と障害者施策について(未定稿)」。 資料3「年齢や障害種別にかかわらないサービス提供の取組みについて」。 資料4「有識者調査の実施について」。 以上が資料でございます。 参考資料として3つございます。 まず、参考資料1「高齢者・障害者のデイサービスの相互利用に関する調査の概要」でござい ます。 参考資料2としまして、高浜市と東松山市の総合相談体制の事例を付けております。 参考資料3といたしまして、「地域包括支援センター及び障害者相談支援事業の状況」でござ います。 まず先に、資料1、2、3につきまして説明いたしまして、後ほど資料4につきまして説明い たします。 まず、お手元の資料1でございます。これは、あくまでもこれまでの議論をまとめた案でござ いまして、今後当然加筆修正していきたいと思っております。 まず、論点としまして、基本的な視点と主な論点という形で分けさせていただきます。 「I 基本的な視点」につきましては、まず介護保険制度の視点、これは普遍化についての意見でご ざいます。 次の2ページ目の「2 障害者施策の視点」。 3つ目は「サービス利用の視点」ということで、本日、話を進めます共生型サービスや地域包 括ケアを含むというものでございます。 まず、1ページ目に戻りまして「I 基本的な視点」の「1 介護保険制度の視点」というこ とで、普遍化についての議論でございますけれども、1つ目の○ですが、「介護を必要とする事 態は誰にでも起こり得るものであり、必ずしも年齢に関係のない」という意見。 4つ目の○になりますけれども、「負担と給付が一致するという社会保障制度の優位性を考え れば、今の介護保険制度というのは真の意味での社会保険制度にはまだ到達していない」という 話です。 5つ目の○で、「欧米諸国でも、社会保険方式か税かという違いはあるものの、年齢や原因な どにより介護制度を分断する仕組みとはなっていない」という意見。 「社会保険方式は、税方式よりは普遍的であり、権利性もあり、制度の支え手の拡大により財 政の安定にも寄与する」という意見でございます。 2ページ目は、これに対して、普遍化に関しまして慎重の意見でございます。 「被保険者、受給者の範囲拡大は極めて慎重であるべきであり、現行の基準を維持すべき。被 保険者の範囲を拡大するかどうかについては、国民に対して公平性、納得性が十分にあるかどう かを見極めなければならない」。 2つ目の○は、「0歳から介護ニーズはあり得ると思うが、負担する方からすれば、それでよ いか問題がある。障害者施策はこれまで基本的に税で行っているが、本当に保険制度になじむの か」という意見です。 次は、社会保障制度の全般的な見直しの中で、年金保険料の毎年の引き上げ等が増える中で、 現役世代の負担の余力が本当にあるのかという意見でございました。 次に「2 障害者施策の視点」でございますけれども、「障害者福祉は、今回の改革により、 実施主体、サービス体系、支給決定プロセス、ケアマネジメント、利用者負担、計画という側面 から、制度的には介護保険との共通性が高まっている」という意見です。 「障害者自立支援法では、精神障害も含めて3障害の福祉サービスについて制度面の共通化を 図り、あわせてサービス体系を介護給付と訓練等給付との2つの給付に再編成している」という 意見です。 3つ目が「サービス利用の視点」ということでございます。 「市町村で障害者と高齢者とで別々にホームヘルプサービスなど実施するよりも、一体的に実 施した方が、立ち後れている障害者に対するサービスの基盤強化が図られるのではないか」とい う意見です。 「障害がある人たちに対する支援と、高齢者の生活を支援する介護とは幾分ノウハウは違うか もしれないが、ホームヘルパーに対するきちんとした訓練があれば十分可能である」という意見。 それに対しまして、「高齢者と障害者、特に障害者は障害の内容によってサービスが違うため、 障害者自立支援法が現場に定着していない限り、一緒になるかどうかはわからない」という意見。 最後でございますけれども、「64歳以下の者の中には、介護保険や障害者福祉の対象となら ない、いわゆる『制度の谷間』のケースがあり、制度を普遍化することにより、これらの者のサ ービス利用が可能となる」という意見がございました。 次に、主な論点でございますけれども、大きく分けまして「対象年齢」あるいは「障害児」「世 代間扶養・世代内扶養」「保険料」「行政の運営上の問題」「就労支援等」という形で分類させ ていただきました。 まず「対象年齢」につきましては、保険料負担は、20歳からとすべきという意見。 あるいは20歳はまだ学生もおり、社会人になっていると思われる25歳以上の人が保険料負担 をしていただくべきである。それにつきましても一挙にやるのではなくて、2段階程度で行うこ とが望ましく、それらを実現するためには、十分な環境整備が必要であるという意見。 「障害児」につきましては、「若い人を被保険者にして、その被扶養者に、家族給付として障 害児に対する介護サービスを行うことも考え得る」のではないかという意見。 「世代間・世代内扶養」につきましては、世代間の扶養だけではなく、もう少し世代内の扶養 を強化すべきではないか。若い人の保険料を半額くらいにしたら、同世代の障害者を支援すると いう形になる」ということで、世代内の支援をするという要素が強まり、理解も得られやすいの ではないかという意見でございます。 「保険料」につきましては、65歳以上は既に障害者が介護保険の優先適用になっており、そ の年齢を引き下げることについては技術的に困難ではないという意見。 それと、仮に障害者について適用するとした場合には、介護保険料が発生しますが、若年者に ついて負担能力に応じた負担を考慮する必要があるという意見、あるいは保険料の減免制度をし っかりすべきであるという意見。 フリーター、NEETの方々も含めて負担してもらうような仕組みづくりが必要であるという 意見でございます。 次に、「行政の運営上の問題」につきましては、「介護保険と障害者施策が一緒になることに より、行政システムが変わるのではないか」という意見でございました。 「就労支援等」につきましては、障害者福祉にとっては、就労の促進が重要であるという意見、 あるいは現在ハローワークが中心になって雇用マッチングを行っておりますけれども、障害者の さまざまな働き方の創出をしていくことが官民挙げての重要な課題であるという意見でござい ました。 次に、資料2でございます。 これは、諸外国における介護と障害者施策についての整理をしたものでございます。未定稿と なっておりますのは、一番最後に出典を書いておりますけれども、その出典の文献によってわか る範囲内でまとめたものでございまして、詳細につきましては、秋に現地調査を行う予定でござ います。 そういった意味で、今日の議論も踏まえまして、現地調査に反映させたいということを考えて いるところでございます。 諸外国につきましては、ドイツ、オランダ、イギリス、スウェーデンの4つをまとめておりま す。 まず、「基礎指標」としましては、基本的に日本は高齢化率20%を超えておりますので、そ ういった意味では、日本は一番の高齢社会になっているわけですけれども、ドイツ、オランダ、 イギリス、スウェーデンにつきましても、それぞれ高齢化が進んでいるという状況でございます。 「全体の概要」でございます。 これは、介護保障制度と障害者施策の関係につきまして、できるだけわかりやすくするために 強調して書いたものでございます。 具体的に、(1)の部分につきましては、介護保障、介護サービス制度の部分でございます。 (2)の部分につきましては、障害者施策につきまして上乗せサービスをやっている部分でござい ます。 (3)につきましては、サービスの横出しをやっているものを示しているものでございます。 それと、細かい網かけになっているものにつきましては、保険財源でやっていることを表わし ているものでございます。粗い網かけの部分につきましては、税、公費を財源にしているもので ございます。 まず、全体の概要につきまして、ドイツについて説明しますと、(1)の部分につきまして、介護 保険制度からの給付が優先されております。それと介護保険の支給額を超える部分、(2)の部分に つきましては、統合扶助という社会扶助、これは日本では生活保護に当たりますけれども、統合 扶助等による障害者施策より給付がなされております。 (3)の横出しサービスの部分につきましては、介護保険にはない、社会参加給付等の給付につい て、同じく統合扶助等によりまして給付がなされているところでございます。 次のオランダで ございますけれども、オランダは介護保険制度に当たります「特別医療費保障法」、AWBZと いう保険制度がございます。 それと、「障害者サービス法」、これは税を財源にしておりますけれども、WVG法による障 害者のサービスがなされているところでございます。 まず、(1)につきまして、先ほど言いましたように、介護保険部分につきましては、AWBZか ら給付がなされております。 上乗せの部分につきましては、これは現在調査中でございますけれども、ミーンズテストを経 て、所得とか家族構成とか、そういったものを踏まえて利用者負担を決定しているということが わかっております。 (2)の横出し部分でございますけれども、これにつきましては、AWBZ、介護保険制度にない 住宅改修や移送サービスの給付につきまして障害者サービス法によって横出しサービスがなさ れているという状況でございます。 次のイギリスでございますけれども、イギリスはコミュニティケア法によって給付がなされて いるところでございます。 (2)の上乗せ部分につきましても、特に障害者には利用者負担を一般の人よりも軽減していると いうことで、上乗せサービスがなされているところでございます。 (3)の横出しサービスにつきましては、コミュニティケア法あるいは障害者法等に基づきまして、 医療サービス教育訓練支援等の給付が横出しサービスとしてなされているところでございます。 次のスウェーデンでございますけれども、スウェーデンは、イギリスと同じく介護保障部分に つきまして税で賄われているわけですが、社会サービス法という一般法と「特定の機能障害者に 対する援助及びサービスに関する法律」というLSS法がございまして、これが特別法的な位置 づけになっております。 社会サービス法から介護サービスがなされているわけですが、LSS法による10サービス、 これは後で出てまいりますけれども、そのサービスにつきまして、基本的にサービス、例えば利 用料が無料になっているとか、そういったことがございまして、基本的に有利になっていること から、LSS法が優先的に提供されているところでございます。 横出しサービスにつきましては、LSS法、保険医療法等に基づきまして、リハビリとか、手 話通訳等のサービスがなされているというところでございます。 次に、今、全体の概要をしたわけですが、個別の介護保障制度の概要について説明したいと思 います。 ドイツにつきましては、先ほどいいましたように、介護保険制度がございます。保険者は介護 金庫ということで、医療保険者である疾病金庫が兼ねるが法人としては独立しているところでご ざいます。 オランダにつきましては、これも同じく先ほどのAWBZによりまして、介護保険の仕組みが ございます。保険者は国となっております。 イギリスでございますけれども、イギリスの介護サービスは地方自治体による社会サービスの 枠組みの中で提供しているところでございます。 スウェーデンにつきましては、社会サービス法による介護サービスが基礎的自治体であるコミ ューン、これは日本の市町村に相当するものですけれども、それが提供しているところでござい ます。 それぞれの国につきましての介護保障制度の受給者は、年齢や障害の種別にかかわらず、介護 サービスが受けられるということになっております。 次に利用者手続ケアマネジメントの給付でございますけれども、ドイツにつきましては、介護 の要介護認定は3段階の区分がございます。それに応じたケアプランが作成されるということで、 その要介護度に応じまして上限が設定されているところでございます。 オランダにつきましては、これは受給の審査につきまして、中央審査機関が一元的に行いまし て、個別のニーズに応じた柔軟な審査がなされまして、段階別の要介護認定の仕組みはございま せんが、審査によって受給が認められた範囲内でサービスを受けるということになっております。 そういった意味で、利用者負担につきましては、さまざまでございます。 イギリスにつきましても同様でございまして、コミュニティケア法等によりまして、地方自治 体が、個別の利用者のニーズを総合的に判断しまして、アセスメントを行ってケアマネジメント を行っております。これにつきましても、支給限度額はございません。 スウェーデンにつきましても、介護サービスは、本人あるいは家族の申請に基づきまして、先 ほどの基礎的自治体でありますコミューンの介護ニーズ判定員が要介護度の判定、あるいはサー ビス量の内容のアセスメントを経て提供される。判定基準につきましては、コミューンによって 異なっております。 サービスにつきましては、それぞれ在宅・施設サービスがございます。 次のページでございますけれども、利用者負担のものでございます。 ドイツにつきましては、先ほど段階別に給付限度額があるといいましたが、その限度額を超え る部分につきましては、利用者負担がございます。低所得者につきましては、州の社会扶助が支 給されておりまして、保険料負担が免除されるという仕組みになっております。 オランダにつきましては、利用者負担の水準、これも在宅・施設介護の別、所得水準、あるい は家族構成、年齢等によって異なっております。 施設入所者につきましては、最低所得の保障制度がございます。 イギリスにつきましては、利用者負担の個人の所得あるいはサービス料とか、あるいは資産を 含めた所得等に応じまして、決定されているところでございます。 スウェーデンにつきましては、利用者負担がコミューンによって異なるんですが、国の制度と しまして、利用者負担に条件がある、あるいは利用者の最低所得保障額が設定されているところ でございます。 財源につきましては、ドイツ、オランダが保険料財源、イギリス、スウェーデンにつきまして は、税財源ということになっております。オランダつきましては、保険料財源の中に一部公費が 注入されているというところでございます。 次に、障害者施策の概要でございます。 これは、先ほどの横出しの部分に当たりますけれども、障害者に対するサービスがドイツの場 合は、介護保険によるサービス以外に社会扶助等の個別給付法に基づきまして、障害者の社会へ の統合を目的とした統合扶助等によるサービスが行われているというところでございます。 この統合扶助等によるサービスにつきましては、地方自治体により、医学的リハビリテーショ ンのための給付、あるいは労働生活への参加のための給付、あるいは(1)及び(2)の給付期間中の生 活保障のための給付、あるいは家族、近隣などの共同体での生活への参加のための給付が行われ ているところでございます。 次にオランダでございますけれども、オランダにつきましても、先ほどの介護保険(AWBZ) によるサービスのほかに、障害者サービス法(WVG)等によりましてサービスが行われており ます。 このWVGのサービスにつきましては、住宅改修、移送サービス、車椅子の貸与等があります が、その実施主体は市町村でございまして、その内容につきましては、市町村が条例で定めると いうことになっております。 WVGによるサービスの利用者負担につきましては、個人の所得に応じて決定されるというこ とでございます。 イギリスでございますけれども、先ほどの介護保障サービスと同じでございまして、主にコミ ュニティケア法に基づいて自治体が障害者の総合的アセスメントを行いまして、介護サービスの ほかに、在宅・施設サービスあるいは現金給付など、多様なサービスが提供されているというこ とでございます。 障害者に対する独自サービスとしましては、相談支援あるいはエンパワーメントといった自立 支援、移動サービス、住宅改造、手話通訳等あるいは現金給付等がございます。 独自サービスにつきまして、利用者限度額はございませんが、地方自治体におきまして、自主 的に総量管理をしているという報告がございます。 利用者負担につきましては、個人の所得、先ほどの資産等も含めまして決定されるということ でございます。 次のスウェーデンの障害者施策でございますけれども、スウェーデンは、先ほどの特別法のL SS法に基づきまして、重度障害者に対するサービスとして、社会サービス法による介護サービ スのほかに、サービスがございます。 LSS法のサービスにつきましては、相談その他の個別援助、これは専門的な個別援助をやっ ているということでございます。 パーソナルアシスタント、これは専属の介護者が付くというものでございます。あるいはガイ ドヘルパー、12歳以上の障害者に対する学童保育、あるいはケア付き住宅等の10サービスの給 付がこのLSS法に基づいてなされております。 LSS法の責任主体につきましては、主にコミューン、医療の責任主体につきましては、これ は県に当たりますけれども、ランスティングが責任主体となっておりまして、医療の一部につき まして、ランスティングからコミューンに移されている状況がございます。 それと、LSS法によるサービスの利用者負担は、先ほど言いましたように原則として無料と いうことでございます。 障害者施策の財源につきましては、それぞれ税財源を基本にしております。一部オランダにつ きましては、先ほどの介護保険の仕組みでありますAWBZからの拠出金が出ているということ でございます。 いずれにしましても、文献等を踏まえた資料でございまして、本日の審議を踏まえまして、ま た詳細については調べたいと思っております。 次は資料3でございます。 これは、「年齢や障害種別にかかわらないサービス提供の取組み」ということでございます。 1つは、高齢者や障害者が、年齢や障害の種別にかかわらず、1つの事業所で相互にサービス が利用できる共生型サービスがございます。 これにつきましては、特区事業ななどの普及によりまして、利用者やその家族、あるいは事業 者などから一定の評価がなされているところでございます。 具体的には、参考資料1を付けておりまして、これはデイサービスの相互利用に関する調査の 概要ということで、自治体におきまして特区事業を認定されました地域におきまして、調査をや ったものでございます。 これにつきましては、自治体あるいは利用者、利用者の家族、あるいは利用者のケア担当者、 事業所から調査をしております。また見ていただければいいんですけれども、おおむね一定の評 価を得ているところでございます。 もう一つは、総合的ケアマネジメントについてでございます。つまり、一部の市町村で先ほど の年齢や障害の種別に関わらず、すべての人に対応できる総合相談体制を整備しており、そのこ とによりまして、福祉のワンストップサービスあるいは障害、高齢者を合わせた地域ケア体制を 推進しているところでございます。 まず、1つ目の「共生型サービス」でございますけれども、(1)はデイサービスでございま して、介護保険のデイサービスを身体障害者が利用しているというものです。 これにつきましては、介護保険制度創設以前から65歳未満の身体障害者が高齢者のデイサー ビス事務所を利用することが認められておりまして、全国で可能でございます。 次に、同じく介護保険のデイサービスを障害児とか知的障害者が利用する場合でございます。 これにつきましては、特区で可能になっておりまして、宮城県ほか18県で実施されているとこ ろでございます。 これらにつきましては、それぞれ費用につきましては介護保険法あるいは障害者自立支援法か らそれぞれ給付がなされているところでございます。 2ページ目の事例1を見ていただきたいんですけれども、これは、まず高齢者のデイサービス の中で身体障害者あるいは知的障害児のデイサービス、これは特区でなされているものです。富 山市の「このゆびとーまれ」というところでございます。だれもが住み慣れた町で安心して暮ら せるまちづくりをしたいということで、赤ちゃんからお年寄りまで障害があっても一つ屋根の下 でみんなで一緒に過ごすということを理念にやられているものであります。 介護保険では、通所介護、デイサービスがなされておりまして、自立支援法関係では身体障害 者のデイサービス、それと特区によりまして、知的障害者・障害児のデイサービスがなされてお ります。 それと、市単独事業によりまして、これは高齢者、どちらかといえば元気な高齢者ですけれど も「生きがい対応デイ」、あるいは県単独事業で「在宅の障害者(児)デイケア」をやっており ます。 あるいは自主事業といたしまして、学童保育あるいは乳幼児の一次預かりという形で、赤ちゃ んからお年寄りまでの共生型サービスをなされているところでございます。 次の事例2は、千葉県の東金市の「オアシスデイサービスセンター」でございます。これにつ きましても、だれもが人間らしく生きられるようにという基本の下「あなたもわたしも世界にひ とり」ということを合言葉に活動をされているところでございます。 これも同じく介護保険法では通所介護、それと訪問介護がなされております。自立支援法では 身体障害者のデイサービス。あるいは特区によりまして、知的・障害児のデイサービスがなされ ているところでございます。 それと、交流スペースという形で、これは自主事業でございますけれども「サロンオアシス」 というような活動をされているものでございます。 次の事例3につきましても同じ形態でございます。通所介護の中に自立支援法が、障害・年齢 にとらわれず、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるような地域のさまざまな福 祉ニーズに応えるために「通う」「泊まる」「暮らす」という利用者に優しいサービス移行の実 現を図るというものでございます。 これらにつきましても同じなわけですけれども、その他のところで短期入所がございます。こ れにつきましては、自主事業によって高齢者を対象にしたショートステイをやっているというと ころでございます。 それと「『暮らす』サービス」というものがございまして、これは通所介護利用者の宿泊サー ビスとして自主事業として行われているものでございます。 また1ページ目に戻っていただきたいんですけれども、次はグループホームの共生型サービス でございます。介護保険の認知症高齢者グループホームを障害者が利用している例でございます。 宮城県の自治体独自のモデル事業として実施されているところでございまして、5ページ目の事 例4で「共生型グループホーム ながさか」というグループホームがございます。 これにつきましても、年齢や障害の程度にとらわれず、住み慣れた地域で自分らしい生活を送 ることができるように、認知症高齢者あるいは障害者が相互関係の中で獲得することが期待でき る役割に着目して、地域生活の支援システムを構築しているというところでございます。介護保 険では、認知症のグループホーム、それと自立支援法の共同生活援助、それと在宅の知的障害者 を対象としました生活訓練を目的とするショートステイという体験ステイを県単独事業でやら れているということでございます。 共生型サービスは終わりまして、次の「2.高齢者、障害者の総合的ケアマネジメントの推進」 でございます。 これは、高齢者と3障害の障害者すべての人に対応できる総合相談体制を整備するということ で、愛知県の高浜市と埼玉県の東松山市で、自治体独自のモデル事業として実施されているもの でございます。 具体的には6ページの高浜市でございます。 高浜市の三河高浜駅の前に「高浜市いきいき広場」というのを設置しております。 次の7ページ目のところを見ていただきたいんですけれども、下の図の「いきいき広場(高浜 市)」のフロアの図がございます。 見ていただければ、わかりますように、行政組織の地域福祉グループ、介護保険グループ、保 健福祉グループ、地域包括支援センター、それと障害者の相談支援担当職員をそこに配置してい る。それと社協も一緒に同一のフロアに入っているということでございます。 主な特徴としま しては、福祉のワンストップサービスを目指す。先ほど言いましたように、それぞれの福祉部局 が同一フロアに開設されているということ。それと土日祝祭日も対応しているということでござ います。 7ページ目の上の図を見ていただければいいんですけれども、そういったことから、まず福祉 のワンストップサービスを実現して、それといろいろ相談があったものにつきまして、介護保険 による支援プロセスあるいは自立支援法によります支援プロセスにつなげるための地域ケア会 議というのを、本来ならば高齢者、障害者独自にそれぞれ地域ケアをやっているわけですが、こ こでは一元的に地域ケア会議を展開して、地域のニーズに対応できる総合的なマネジメント、地 域ケアをやっているということでございます。 次の東松山市でございますけれども、ここも先ほどの高浜市とはよく似ているんですが、若干 それぞれ違いがございます。これにつきましても、年齢や障害種別にかかわらず、高齢者向けの もの、障害者向けのものといった区分を取り払いまして、人材や施設、これまで培ったノウハウ などを共有して、効率的にサービスを進めていくということで、総合福祉エリア、総合相談セン ターというものを設置しているところでございます。 ここにつきましては、9ページのところを見ていただきたいんですけれども、この主な特徴と しましては、障害年齢を問わない総合相談センターを開設しております。それと、24時間365 日の相談支援体制を構築しているということ。 ここの総合相談受付ですけれども、先ほどの高浜市の場合は、それぞれ障害者あるいは高齢者 の対応者が違ったわけですが、ここでは相談員がオールマイティーで障害者、高齢者施策につい て精通していて、それぞれの支援サービスにつなげるような相談員が配置されているということ でございます。 必要に応じまして、先ほど言いましたような障害者、高齢者に関係のない地域ケア会議を行い まして、それぞれのプロセスにつなげていくというような仕組みになっております。 以上でご ざいます。 ○京極座長 どうもありがとうございました。それでは、時間も十分ありますので、御質問等積 極的にお願いいたします。 有識者調査については、後ほどということで、どうぞ、どなたからでも結構でございます。 もしなければ、私の方から1つ。国際比較で私どもの研究所の資料が載っていますけれども、 これは雑誌の特集号でありまして、独自に調査したものではありませんので、日社大の調査を少 し借りてやったんですけれども、なかなか障害者のことについては、国際的に見ましても高齢者 以上につかみにくい、それぞれ非常に細かく分かれていますので、なかなか限界がございます。 これから、現地に行って調査する場合に、精神障害の問題もきちんと分けて、本当に同じかど うか、そこはちょっとポイントなんではないかと思っていまして、おおむね障害、障害と言って いたのは知的障害と身体障害のことだけが大体話題になっていますので、その辺りはきめ細かく 調査をしたいと思います。今回も本当に同じかどうか、わからないので、ここはちょっとキーポ イントだと思っています。 どうぞ、堀委員。 ○堀委員 国際比較の調査ですけれども、この4か国に限られるんでしょうか。というのは、た しかオーストリアでは、現金給付という感じでやっているということを聞いておりますので、そ ういった国も調査された方がいいのではないかと思います。 介護保険ができる前の日本と同じように、医療保険と福祉サービスとしての介護サービスをや っている国もあるので、そういうところもちょっと見ていきたいと思っています。 ○京極座長 よろしいですか。 ○山崎総務課長 現地調査の方は、費用もございまして、あちこちというわけにはいきませんで、 一応、この4か国を考えてございます。その他の国につきましては、また文献等で調査させてい ただきたいと思います。 ○京極座長 今の国際比較の関係では、御質問ある方はいらっしゃいますか。 小方委員どうぞ。 ○小方委員 先ほど御説明いただいて給付の内容はよくわかったんですが、これからこの検討会 でもポイントになると思うんですけれども、せっかく行かれるのであれば、保険料の負担は、ど ういう方々がどんな割合で負担されているのか御調査をいただいてお教えをいただければと思 います。要望でございます。 ○京極座長 どうぞ。 ○竹中委員 今のことにも関連するんですけれども、例えばスウェーデンの場合は、所得税が約 六割、消費税が25%超えていると思うんですけれども、そういう所得税あるいは消費税等につ いても、今の保険料などと同じように調べていただければありがたいと思います。 ○京極座長 ほかにどうでしょうか。 貝塚先生どうぞ。 ○貝塚委員 要するに、日本の場合も保険料負担か租税負担かというので違うわけですね。した がって、負担という場合は、結局日本との比較というのは、日本も少し混合ですけれども、純粋 に保険料だけでやっているケースと、そうではないケースと、公費負担だけでやっているケース。 サービスだけというのは、恐らく全部公費負担です。公費負担ということは、要するに租税負担 です。その辺の負担の関係を入れると、多少類型化して調査して、サービス内容自身は多分それ 自身だと思います。 ○山崎総務課長 本日の資料は、本当に文献だけの資料でございまして、今、委員の先生方もお っしゃいましたが、まさに負担の部分がこの議論の核心ですから、その負担の水準もしくは税で やるか保険料でやるか、更には全体はどうなっているかということもちゃんと調査をしてまいり たいと思います。 ○京極座長 花井委員どうぞ。 ○花井委員 スウェーデンとオランダのところに、最低所得の保障というのがございますが、ス ウェーデンの場合は、最低所得保障額の在り方が特徴だと聞いているんですが、障害者と高齢者 の所得保障というか、生活保障の在り方が税でどんなふうになっているのかということ。 それから、障害者に対する就労支援の在り方が、これではちょっとわからないものですから、 できれば、そんなことも調べていただけたらと思います。 それから、それぞれの税財源がありますが、例えばスウェーデンなどは、地方税の方がずっと 高いというのは聞いているんですけれども、収入における利用料の占める割合というんですか、 税収に対してどのぐらいの支出があるのかというのがそれぞれの国でわかれば教えていただき たいと思います。 それから、高齢化率が出ているんですが、実際にこれらのサービスを使っている数が人口全体 の中でどの程度占めているのかも、もしわかれば調べていただければと思います。○京極座長 大変だと思いますが、どうぞ。 ○松下委員 先ほど座長も御指摘なさったんですが、年齢や障害の種別にかかわらず、障害の中 に精神が入っているかどうか、少し確認をしていただいて是非調べていただきたいと思います。 先ほど堀委員もおっしゃいましたけれども、精神に関して言うと、オーストラリアとニュージ ーランドというのは、いろんなことを試みていると思うので、実施調査はしなくても構わないけ れども、きちんと文献的に調べていただいて、是非そのデータを見せていただきたいと思います。 ○京極座長 紀陸委員、その次に喜多委員お願いします。 ○紀陸委員 資料の2の下の方の受給者の欄ですが、ここに「年齢や障害の種別にかかわらず、 介護サービスが受けられる」というのが、すべて4か国共通に書かれているんですけれども、障 害者の施策については、日本でもユニバーサルで税で行っているわけです。それを海外において、 わざわざ保険制度にするというのはなぜか、そういう問題意識を持って調査をしてほしいとお願 いしたいと思います。 それから、この点に関連してなんですけれども、利用者の年齢の実態です。調査をやられる際 にお調べをいただきたいと思います。 ついでに幾つかお願いしたいと思うんですが、ドイツ、オランダ、左の2つでございますけれ ども、介護保険は保険方式で行っているわけですが、障害者の施策についても保険料を納付する のが一般的なのか、あるいは免除の割合みたいなものはどうなっているのか、その辺も併せてお 調べいただけたらと思います。 それから、先ほど4か国だけという話でしたけれども、アメリカがどういうふうになっている のか関心がございますので、お願いしたいと思います。 イギリスでございますが、地方自治体の総量管理ということが2ページ目の下の方に言葉とし て出ているんですが、総量管理の中身自体のはっきりしたイメージをつかんでいるわけではあり ませんが、他国ではどういうふうになっているのか、同様の仕組みがあれば、その実態も御確認 をいただければ幸いかと存じます。 総体的にヨーロッパでは、財政健全化、介護・障害者施設にかかる費用を合理化するというの が非常に大きな課題になっていると思いますので、そのためにどのような対策、システムをとっ ているのか、併せてお調べいただければ幸いかと存じます。幾つか申し上げましたけれども、せ っかくの機会でございますので、きちんとした調査ができればありがたいと思います。 ○京極座長 ありがとうございました。 それでは、喜多委員お願いします。 ○喜多委員 3つの資料の説明がありましたので、それぞれについてちょっと意見を申し上げて おきたいと思います。 まず、資料1ですけれども、今までの議論の論点整理ということで、いろいろ羅列をしており ますけれども、この中には、事務方が説明されたことが理論として入っているものが幾つかある と思うんです。金曜日にもらって、大急ぎでいろいろ調べてみたので調査漏れかもしれませんが、 それが気になるわけであります。 事務方の説明されたことが、そのままここの論点として載せられるということになれば、初め から我々の議論というのは誘導されているのと同じで、余りそれは公平ではないのではなかろう かと思います。 例えば、1ページ目の下から2つ目の○で「欧米諸国でも、社会保険方式か税かという違いは あるものの」云々とありますが、これは事務局の説明ではないかと思います。 それから、2ページ目の「2 障害者施策の視点」のところで2点書いてありますが、これも 事務局の説明ではないかと思います。 それから、3ページ目の「II 主な論点について」の上の一番最後の○のところに「64歳以 下の」云々とありますが、これも事務方の説明ではないかと思います。 これがそのまま論点だと言われるんであれば、説明をされたときに、その都度それを反論して おかないと、それが正当な議論になってしまうんではないかという心配をいたしております。 資料2についてでありますが、今の時点で、なぜこの4つ分だけお出しになったのか、どうも 理解に苦しむわけであります。 これを見ていたら、今日の会議なんかは別に開かなくても、事務方で、この4つの事例で行か れたらいい。現行法でも日本の形と余り変わらないんではないか。上乗せ、横出しとおっしゃっ ていましたが、障害者自立支援法ができて、それはそれなりに市町村は頑張っておりますし、介 護保険は介護保険でやっておりますから、その間に何か問題があるかと言えば、特に今は問題な いわけでありますから、なぜ、今、それを問題にするのかというのが、この資料を見る限りどう もよくわからないというのが私の疑問でもあります。 それよりも、今、問題にすべきは何かと言えば、保険料の在り方について、税法の関係をその まま比準にしているわけですから、私はかねがねそれはまずいですよと申し上げておったんです が、今年の税金の変わり方によって、国民健康保険もそれから介護保険料もものすごく上がった という意識を皆さんお持ちであります。 上がったのは、どんな部分の人かと言えば、下の方の今まで非課税世帯であったところの人が 保険料が新たに取られるということになって、上がったという認識があるわけですが、保険料の 1年間の総量は変わっていないわけです。取り方が税法を基準にしてやっているものですから、 控除額が変わることによって、非課税世帯が課税世帯になって、えらい上がったという認識をさ れています。こんなところから直すのが、今、介護保険では一番問題ではないのか。私は改めて このように思っておるわけであります。 それから、3番目の資料でありますが、各地でそれぞれおやりになっているのは結構でござい ますけれども、果たしてうまくいっていることばかりなのかということを私は申し上げたいわけ であります。 大急ぎで私のところも調べてきたわけでありますが、かねがね担当者もいろんなことを聞いて おりますが、私の市内で2か所ところで、やはり障害者と一緒におやりになっているところがあ るわけでありますけれども、1つのデイサービスセンターでは、身体障害者及び身体と重複、こ れは知的者を対象としておるわけでありますが、重複者の対応については、非常に苦慮している というのが現状であります。 なぜかというと、多動的な状況がございまして、例えば奇声を発したり、いろんなことがあっ て、高齢者の利用者から苦情が非常に多くて、事業者側も対外的にそのような状況が広まること を非常に懸念している。 もう一つ同じような事務所があるんですが、これはそのような事情から、障害者(児)のデイ サービスをやめてしまったという事例もあるわけであります。 したがって、なかなか口で言うほど簡単ではないと思うんです。余りいいことばかりを出して いただいたらそうかなという認識になりますけれども、悪い事例も挙げてもらわないといけない し、何が障害かということもきっちりとしていただく必要があるのではなかろうかと思います。 市長会所属の高浜市の例が挙がっておりますが、面積は私のところと同じぐらいです。高浜市 は大体13平方キロ、私のところは12.7平方キロですから、大体一緒です。人口から行きますと、 私のところは約十五万、高浜市さんは約五万、3分の1であるわけです。当然障害者の数は8分 の1ぐらいです。うちは高浜市の8倍ぐらいです。それから、高齢者も約四倍いるという状態で す。 したがって、地域のセンターで事務をやるにしても、自立支援法の関係は、高浜市さんでは1 か所直営で一緒におやりになっているとなっていますけれども、私のところでは3か所、直営1 か所と委託2か所置かなければならない。それはまた包括支援センターとは全く別物にしないと、 混乱してどうにもならないという問題があるわけです。 つまり、非常に過密化されているところと、そうではない、人口が中で余り移動しないところ と同じようにものを考えられれば、これは全くそのとおりだということを言えないと思います。 やはり都会型と、それから人口が安定している中立型、それから山村型、こういういろいろな事 例を、いいものと悪いものを挙げて資料としてお出しいただかないと混乱が生ずるんではないか と思います。 以上です。 ○京極座長 どうぞ。 ○山崎総務課長 御指摘いただいた点で、資料1でございますが、最初の説明を丁寧にすればよ かったんですが、ここの表題に、これまでの議論等の整理と書いていますのは、言わば議事録を そのまま書くというよりも、むしろ今後の議論を進めていく上での論点といいましょうか、こう いう考え方、こういう御意見があるということを少し網羅的に書き、委員の皆様方に参考に供し たいという面で整理してございます。 したがいまして、確かに事務局の方から説明しましたものにつきましても、事実において間違 いない限りおいては、こういう格好で出させていただいております。勿論、全体において、最終 的にどういう格好で論点を絞っていくか、もしくは方向性をどうするかについては勿論この会議 において御議論いただくわけでございますが、それまでの間は議事録のみというわけにもまいり ませんので、こういう形で議論の整理としての参考資料を用意させていただいたということです。 当然これに関しまして、修正、追加はこれからの御意見をお伺いしながら、毎回そういう形で 説明させていただきたいと考えている次第でございます。 ○京極座長 喜多委員どうぞ。 ○喜多委員 私が言っているのは、事務方が説明されるのはいいんです。要するに事務方が説明 されたことが全部ここに論点に挙がってくるということになれば、これからどんな小さいことで も反対せざる得ないことはいちいち言っておかないとまずいわけでしょう。これは委員の論点整 理なのか、それとも事務局も含めて、説明された資料の論点も含めて整理をされているのかどう か、その辺を整理しないと、うまくいかないのではないかと申し上げているわけです。 以上です。 ○山崎総務課長 議事録そのものは、別途用意してございますので、むしろこの資料は、事務局 もずっといろんな資料を説明させていただいておりますので、言わばこれまで議論があった、も しくは説明のあったポイントを絞った形で整理させていただいてございます。 したがいまして、次回以降でございますが、事前にどうも整理がおかしいという点は、その時 点において御指摘いただければ、修正等は当然考えてまいりたいと思います。           ○京極座長 これは、今までの議論等の整理なので、当然事務局から出た報告の内容も入っ ていると、ここでの委員の議論だけではないということで、論点にそういうのが入ってくるのは やむを得ないんではないかと思います。ただ、それに対して反論すれば、反対の論点もここに付 け加わるということで御理解いただいたらどうかと思います。 ○紀陸委員 資料1が、これからの論議の論点整理にもなるということであれば、私ども介護と 障害者の施策にそれぞれ付け加えておいていただいた方がいい点というのがあるんです。 今の御質問のように、この論点整理がどういう性格のものなのか、それによっても話が違って くるんだと思います。前々から私どもが申し上げている点ですけれども、介護保険というのは、 高齢化に伴う介護ニーズ、これをきちんと措置するために、これをみんなで保険を出し合ってや りましょうという趣旨ですね。それが要するに基本的な自立・自助にも合っていって、それが広 く国民の納得を得られているがために、今日まで来ている。 1ページ目の一番下の方から2ページ目にかけて、いろいろ保険料の理屈が書いてあるので、 今言ったような趣旨をきちんと入れておいていただけませんかね。それが基本的な論点になって くるんだと思います。 もう一点は、障害者の施策のところですけれども、ユニバーサルな仕組みということであれば、 税方式で運用するのが基本的にかなっていると思いますし、特に財政改革をこれからきちんとや らなければいけないという環境の中に置かれているわけでございまして、これを一般財源の中に 入れて、それをどうやってきちんと管理していくのか。これは避けられない視点だと思うんです。 そういう点もこの論点の中に入れていただいて、特に運用の効率化をどうやって進めるか、そ ういう視点からこの問題は論じる必要があるかと思いますので、そういう視点も入れておいてい ただけませんでしょうか。 ○山崎総務課長 御指摘の点は踏まえまして、またこれについては追加させていただきたいと思 います。 ○京極座長 ちょっとお時間の関係もございますので、資料1、資料2については大分議論をい ただきましたが、資料3について何か補足があれば伺って、資料4の方に入っていきたいと思い ます。 ○堀委員 資料1ですけれども、4点コメント、感想あるいは意見を述べたいと思います。 1つは、1ページのところの普遍化ということなんですが、これは端的に言えば、国民皆介護保 険ということではないかと思います。これは国民皆年金保険、国民皆医療保険という形で達成す るものだと理解できるんではないかと思います。 2点目ですけれども、2ページの「2 障害者施策の視点」のところで、2点挙がっているん ですが、障害者施策について、社会保険方式でやるということによって、財源の確保、障害者福 祉サービスに関する財源確保ができるのではないか。 また、従来議論があったように、社会保険方式というのは、国民の合意を得て負担を求めてい くことがしやすい仕組みである。 もう一つの面から見ると、国債残高が540 兆円もある。そういう中で、障害者福祉サービス を公費で行うというのは無理があるという論点が必要ではないかと思います。 3点目ですけれども、3ページの「対象年齢」のところですが、20歳あるいは25歳かどうか というのが問題になっているんですが、次の「障害児」の問題と併せて、仮に25歳以上とする ということになれば、被扶養者給付としての障害児に対するサービスはできなくなる。20歳か ら24歳で障害児を持った子は対象にならないということで、すべての若い世代を対象にしなけ れば、障害児に対する介護保険下のサービスができない。そういうことを指摘したいと思います。 4点目ですけれども、同じ3ページの一番下のところで、保険料について半額にするというよ うな意見が出ているんですが、半額にするという資料も出たんですが、それをどうやって説明す るか、なぜ半額なのかということが必要ではないかと思います。ここでは同世代を支援する。確 かに半額にすれば、若い世代の障害者を賄える財源が取れるという話だったんですけれども、た だ、保険というのは、同一世代だけではなくて、世代間の扶養という形も必ず含んでいますし、 これはリスクに応じた保険料という考えに立つと思うんですが、若い世代はリスクが低い、だか ら低い保険料だということになると思うんです。それは、社会保険の中ではなかなか取りにくい んではないかと思います。 例えば医療保険について、医療のニードが高まる高齢者は高い保険料、ニードが低い若い人は 低い保険料ということになりますので、理論的には半額にするということになります。ただ、政 治的にこれから減額するということはあり得ても、理論的には全額負担というのが原則ではない かと思います。 ○京極座長 いろいろ意見いただきましてありがとうございます。 それでは、最後ということでお願いします。 ○関委員 堀委員の御意見と重なる部分があると思うんですけれども、資料1についてなんです が「I 基本的な視点」のところで、普遍化するのであれば、その理念についての説明をこれか ら検討していかなければならないのかなと思っています。 国民皆介護保険として特に障害者については税から保険に変えるんだとしましたら、なぜ変え るかという点を特に理念的に説明して、どの世代のだれが何を保障するのかといったことについ ての視点をもう少しわかりやすく書いていく必要があるのかなと思いました。 それとも関係す るんですが、これは喜多委員の御指摘にもありましたが、資料全体として、やはり障害者自立支 援法と高齢者の介護保険制度の共通性が高まっているという資料が多いんですけれども、例えば 今回出していただいた資料3とかもそうなんですが、どういう点で違うのかとか、メリット、デ メリットを総合的に検討した上で、普遍化はどのようなメリット、デメリットがあるのかという ことを考えていったらいいのではないかと思いました。 そういうことで、繰り返しになりますが、高齢者と障害者でどこまでが共通していて、どこが 異なるのかという点を少し考えていくべきだと思いました。 ○京極座長 それでは、どうもありがとうございました。 大島委員どうぞ。 ○大島委員 私も今の関委員のお話に関連するような話になりますけれども、非常に各論の話が いろいろと出てくるので、各論が出てくるということは、総論は大体了解なのかなと思っている と、何だか総論が全然一致していないような感じがするんです。総論が一致していなければ、幾 ら各論をやっても話があっちいったりこっちいったりして迷走するだけの話になりますので、少 なくともどんな制度設計にするのかという、今、関委員が言った理念の部分で、完璧にとはいか なくても、この部分とこの部分については了解していますという確認だけはとって話を前に進め た方がいいんではないかという感じがします。 ○京極座長 これは、最終的にはそうなるんですけれども、それまでいろいろ議論を積み重ねて いって、報告書などをまとめるときには、一回一回の会議で確認をとっていますと、実際に意見 が違いますから、なかなかその時点で確認しましたと言えるかどうかといこともありますし、最 終的にはそういう形をとらざるを得ないと思うんですけれども、毎回の議論においては少し自由 に議論をしたらどうかという感じがいたしております。 ○貝塚委員 作文のスタイルですが、要するに全部すべきと、かなりはっきりした意見が出まし て、当然反対論はあり得るし、ですからニュアンスの相違は当然あるわけで、すべきかどうかと 書けば異論があるということでもあるし、ですからその辺の書き分けをすれば、おおよそどの程 度問題があるかということも反映されたようなスタイルにした方が、これだと全部すべきと書い てあるので、その辺を考慮して、先ほど来の御議論で少し文章上の表現を考えていただいた方が いいのではないかという気がします。 ○京極座長 山崎課長どうぞ。 ○山崎総務課長 これは、あくまでも議論の整理になりますので、何か決まったような言い方は 勿論避けるような形で整理したいと思います。議事録等も踏まえて、こういう表現にしましたけ れども、例えば行くべきかどうかとか、そういう御指摘があったという形の書き方とか、その辺 十分配慮したいと思います。 ○京極座長 それでは、切りがなくなりますので、時間の関係で次に進めてもよろしいでしょう か。 有識者の調査について御説明いただきたいと思います。 ○山崎総務課長 お手元の資料4という1枚紙でございます。これは今後のことでございますが、 今から有識者会議の方で更に議論をいただくことになっておりますけれども、そのときに、当然 いろんな御議論がございますが、その議論の参考資料として、こういう形で調査を行ったらどう かということの提案でございます。 「1.調査の目的」で申し上げますと、介護保険制度の被保険者及び受給者の範囲の在り方に 関して、各界の意見等を調査し、有識者会議の議論を深めるための素材とするというものでござ います。 いろんな世論調査もございますが、一方で、この内容というのは、かなり専門的なものでござ いますので、論点も含め、専門家、有識者の方々からの御意見を幅広く聴取できないかというこ とで、こういう形を考えてみたものでございます。 「2.調査対象」でございますが、約二千名ぐらいの方、学識者でありますとか、当然市町村 等の介護保険者、報道関係の方、企業、労働界、障害者、医療、行政機関、大変多岐にわたるわ けでございますが、そういう方々を対象にしたらいかがかというものでございます。 「3.調査方法・調査項目」でございますが、調査方法としては郵送を考えてございます。 調査項目でございますが、これは学識経験者の委員の先生方の御意見をお伺いしながら詰めて いこうと思っていますが、なるべくニュートラルな形で情報提供をしながら、こういう形で介護 保険制度の普遍化についてとか、今ありました障害者の介護リスクをどう考えるかということ、 更にはサービスの面ではどうかといったようなものについての御意見をお伺いするとともに、主 な論点といいましょうか、対象年齢等についてどう考えるかといったような論点に関する御意見 をお伺いしたらどうかというものでございます。 今のスケジュールから申し上げますと、少し調査設計に時間がかかりますので、夏に作業しま して、本年の秋ごろに実施しまして、有識者会議の方には、大体年明けをめどにこの結果の方を 御報告する。それも一つの参考資料としていただきながら、年明け以降でございますけれども、 先ほどの面で行きますと、論点もかなり煮詰まってまいるころでございますので、そういった面 の議論の中の一つの参考資料として活用していただければと考えている次第でございます。 ○京極座長 まだ資料1、2、3について質問が残っていましたら、ついでに有識者調査のコメ ントで付け加えていただけたらと思います。 松下委員どうぞ。 ○松下委員 資料4でなくてもいいですか。 ○京極座長 はい。 ○松下委員 先ほどの議論は、資料1の論点のことが割と中心なので、確かに大事な話なんです が、資料3の話に移らせていただきますけれども、これは年齢や障害種別に関わらないサービス 提供と共生型サービスとは全く次元の違う話ですね。関わらないサービス提供であっても個別に サービスを提供することはあるわけだから、イコール共生型ではないですね。 ただ、こういうふうにモデルとして出されると、何となく一緒になってやることがいかにもサ ービス提供のように誤解を与えるので、失敗例も含めてで結構ですが、さまざまなタイプのサー ビスがあるんだということを幾つかモデルを出された方が議論の糧にはなるんではないかと思 って、その辺が気になりました。 ○山崎総務課長 確かに、ここは舌足らずでございました。端的に申し上げますと、共生型サー ビスというのはそのサービスの現場において実際に高齢者と障害者の方が一緒にサービスを受 けているという形態にすぎません。 それに対して、そもそも年齢、障害種別にかかわらず、サービスをどう提供していくかという のは、別に制度論としてあるわけでございまして、先ほど喜多委員の御指摘にもございましたが、 当然その場合において、どういう問題点があるかも含めて議論すべき課題だと思っています。あ くまでも、これは実態の中で一部分を御紹介したということでとらえていただければと思います。 ○京極座長 その点、有識者の調査については、さっき喜多委員がおっしゃったように、やり方 は各自治体の主体性があるのでさまざまだけれども、制度そのものの連携をどうしたらいいかと いうことを分けて、具体的な姿と制度を連携したものがいいかどうか、その辺は注意して有識者 の方々から御意見を伺うことが大事ではないかと思います。 有識者調査は結構重要な調査で、アンケートの数字は、何が母集団で何名ぐらいでやったら一 番正確になるのかとか、よくわからないところが多々あります。しかし、こういう調査をやると いうのは初めてのことなので、是非この場でこういうふうにしろという御意見がございましたら いただきたいと思います。 どうぞ、喜多委員。 ○喜多委員 調査をやることについて別に文句を言おうとは思いません。しかし、ここに主な調 査項目が3つ挙がっておりますけれども、この3つすら、設問の仕方によって答えが全然変わっ てくると思うんです。今の状態では、みんなが納得できる質問書ができるかどうかという状態で はないと思います。 その中で、たった2,000 人、しかもそれは学識者や介護保険者が入っていますから、市町村 の長は入っているんでしょうけれども、逆に被保険者の方々は有識者とは違うから、庶民の意見 は聞かないということなんですかね。まず、これを1点質問したいと思います。 したがって、 客体として2,000 人は非常に少ないのではないかと思います。要するに非常に外国制度とかい ろんなことをよく勉強されている人が、この制度だけを考えればいいのであって、それ以外の人 は考える必要がないと思っておられるんだったら、これでいいと思います。 しかし、先ほど私は少し保険料のことも申し上げましたけれども、介護保険というのは、そも そも高齢者のためにするんだといって国民にPRをしてやったはずなんです。いつの間にかそれ が一昨年ぐらいから障害者を中に入れろという格好になってきて、今、議論を伺って、若年障害 者の介護リスクを社会保険で支えることについては、もう意見がまとまったのか、まとまってい ないですね。みんな考え方が違うわけです。こんな状態で、今、はい、そうですかということに はいかないと思います。 以上です。 ○京極座長 前半と後半と喜多委員の意見がございましたけれども、前半の問題は、障害者団体 だけ入っているので高齢者団体も入れた方がいいような気がします。 ○山崎総務課長 それは、勿論そういたします。一般世論については、まさに世論調査の世界に なりますので、これとは別のものではないかと思います。介護保険の場合においてもさまざまな 世論調査がございましたし、新聞社が行った世論調査もございました。今回の調査というのは、 そういうものというよりは、むしろ制度を紹介した上で絞った面の調査と加えていただければと 思います。勿論、これだけでなく、世論調査等さまざまなものも当然情報提供させていただきた いと思っております。 加えて、論点についての書き方でございますが、私どもとしては、勿論 一定方向ということでなくて、あくまでも論点として示したいと思います。 書き方としては、前回の介護保険部会等において、いろんな意見があり、そういう両論がある という点をちゃんと御紹介した上で、つまり裸のまま設問するというよりは、どういう議論があ ったとか、もしくは明らかになっているかということを情報としてちゃんと示した上での調査と いう形のものを考えていきたいと思います。 ○京極座長 どうもありがとうございました。ほかにどうでしょうか。 紀陸委員どうぞ。 ○紀陸委員 調査の内容というのは、事前にお示しいただいて、意見を言わせていただく場とい うのはあるんですか。 ○山崎総務課長 調査自体の位置づけになるんですが、一応、この会議の調査というよりは、む しろ私どもの行政の調査という形で行うことを考えさせていただいております。 ただ、内容については、私どもなりに少し御意見をお伺いしながら詰めていきたいと思ってい ます。 特に調査関係でそういったことを御経験なさっています学識者の委員の方もいらっしゃいま すし、かついろんな御意見があると思いますので、そこはできる限り御相談しながら内容を詰め ていきたいと思っている次第でございます。 その調査を行って、調査の方法が間違っているというとおかしいですけれども、問題があると いうことで、結局それが使われませんと困りますので、その点はいろいろ御相談しながら進めて いきたいと思います。 ○紀陸委員 対象のところですけれども、結局税とか財政とかという問題にも関わってくると思 いますので、介護とか、障害者という専門の方だけではなくて、今申し上げたように、もう少し 幅広の専門家の方々に対象を広げていただきたいという点が1つ。 それから、調査項目なんですけれども、さっき御意見が出ましたように、負担者の側です。や はり企業とか個人の負担が増えるかどうかという問題が絡まってきますので、社会保障全体の公 的負担がどうなるかという視点も必要だと思いますので、そういう点も調査項目の論点の中に入 れていただきたいと思います。 ○京極座長 有識者調査は、この会議のボランチではなく行政調査ですので、ただせっかくの調 査ですので、会議に集まっていただいた方々の御意見も参考にしながらやっていくということで、 今、紀陸委員からも貴重な御意見をいただきましたけれども、そういう形でやりたいと思います。 ただ、ワーディングのところまで細かくなってしまうと、調査ができなくなってしまうので、 柱立てぐらいは事前にわかったらお教えいただければ結構かと思います。 ほかにどうでしょうか。 特に主な論点のところが皆さんの関心があるので、この論点は、さっき資料1で御議論いただ いたように、議事録の論点が自動的に調査項目であるというのは必ずしもいいかどうかというこ とがありますので、もう少し増やしてやった方がいいかもしれません。 それから、イエス、ノーの数字だけではなくて、やはり記述式ではないけれども、せっかく有 識者なので、ある程度コメントをいただくことも大変参考になるのではないかと思います。 山本委員、何かありましたらどうぞ。 ○山本委員 座って黙っていると、何しに来たかわからなくなりますから、私にとってみると、 さっき喜多さんが言ったように、もう3年ぐらいになりますかね、今までの話は前に大議論をし たんです。資料1というのは、議論をしてぎゃあぎゃあ言った挙げ句の果てに、ああいうのがず っと並んでいるわけです。ですから、私に言わせるならば、あれだけ議論をしたんですから、資 料1のところはもう少し整理をして出せばよかったんですね。裸のまま出しているものですから、 受け取る方が、何だこんなことはということになると思います。そこら辺りは整理の仕方の問題 です。 大体厚労省というのは、言ったことを全部書くような癖がありますね。だから書くのはいいの かもしれませんけれども、そこら辺りはもう少し取捨選択をして出された方がいいのではないか と思います。 それから、この調査なんですけれども、恐らく調査をするのには目的があると思います。です から、このことも議論しました。反対もおりましたし、賛成もおりました。中立の人もおりまし た。ですから、全然前へ進まないものですから、現在のような状況下になりましたから、皆さん の意見を聞いた上で、皆さんがどういう考えを持っているか、どういう意見を持っているかとい うことについて、お聞きした上で、改めてどうでしょうと提案されるのではないかと私は思うん です。 ですから、調査をやるんですから、これで右だ左だということにはならないわけですから、私 は調査をやってもいいと思います。ただ、調査をやってすぐこの会議にかけて、皆さんに議論を していただくということにしないと、さっき言ったように、かなり年数が経って出しますと、あ あでもないこうでもない議論が沸騰するんです。だから、新しいときに議論をしていくというや り方の方がいいような気がいたします。 同時に、さっき喜多さんは、あのようにおっしゃいましたけれども、障害者の人をどうするん だという議論が随分ありました。私はむしろ被保険者の年齢は20歳までという厚労省側の意見 を25歳にしろと言いました。なぜ、25歳と言ったかといいますと、24歳は大学を卒業していな い者もいる、社会人になっていない人たちがいるから、25歳ならみんななるだろうから、25歳 以上にしたらどうだということです。 同時に保険料も40歳以下、25歳までの人だと、40歳以上の人の保険料は段階を付けた方がい いと思います。 また、同時に給付を受ける給付対象者は、私は言うならば、おぎゃあと生まれた赤ん坊から皆 さんを対象にしてやるべきである。その場合、医療と混同しないように処理をすることが一番大 事であるということを申し上げました。 ですから、そういう意見に対して賛成の人もおりました。あるいは真っ向から反対をしている 人もおりました。いろいろ議論が沸騰しましたけれども、結局は被保険者の年齢切り下げについ ては考えるべきであるということが大勢だったと思います。 また同時に、その場合障害者をどうするのかということでございましたが、そのときは障害者 の人たちを介護で救済していこうじゃないかと。たまたまあの当時、一体障害者をどうしたらい いのかというのが大議論でした。厚労省としては大きな課題であったと思いますが、それを解決 するために介護の方に出てきたわけです。それで障害者の給付をどういうふうにやっていけばい いかという議論したことは確かにございますが、それは、さっき言ったように賛否両論でそのま ま行ってしまったというのが当時の状況です。 ですから、障害者のことも含めて、新たな介護保険制度は、今の現状のままでいいのかどうか ということを考えた上で、こういう方向で行きたいというのが恐らく厚労省側の考えだろうと思 われます。だから、こういう調査や何かをやると言ったんではないかと思いますけれども、もし、 そういう時期が来たとするならば、率直に出して皆さんに議論をしていただく方がいいと思いま す。 だから、ちびちび出すからいけないんです。後でまた何か出るんではないかと思いますので、 一遍にちゃんと出した方がいいと思いますよ。さっきのあの方の御意見のように、総論の議論も しないで何で各論の議論をするんですかというのは、いい意見だと思います。 ですから、こう するんだから、こういう議論をしてほしいというふうにしていった方が、かえって効率的である と思いますし、また有効な会議になっていくだろうと思いますので、その辺りが私どもと考えが 違うんでしょうかね、そういうふうに思いますので、まず、調査をやるというならば、いろんな ことを申し上げましたけれども、調査はやるべきだと思います。何の障害にもなりませんからや っていいと思います。ただ、範囲がこれでいいかどうかということについては、意見もあると思 いますので、皆さんの意見を十分聞いた上で調査を行うというやり方をし、かつ小出しをしない。 一遍に出せということです。ちびちび出さないで一遍に出して皆さんで議論をしていただくよう にしていただければ、大変有効ではないかと思いますので、私の意見として申し上げておきます。 ○京極座長 どうもありがとうございます。今出た意見も論点に追加していただきます。 調査 の目的で、今、御意見がありましたけれども、被保険者と受給者の範囲というのは行政的な言い 方なので、やはり介護保険の目的とか理念とか、そしてそれに対して具体的な各論としての被保 険者・受給者の範囲の在り方というふうに聞いた方がいいんではないでしょうか。有識者の方々 にも理念とか目的についてどうなのかという辺りをまず確認して中身に入っていく方が調整設 計上いいような感じもいたしますので、工夫していただければと思っています。 特に、学識経験者の方には、せっかくこの会議に参加されているので、事務方からも是非御指 導を受けることもいいと思いますので、よろしくお願いします。 ほかにどうでしょうか。 今日は、両局長が参加されていますので、もし何かありましたら、中村局長、磯部局長の方か らお願いします。特にないですか。 珍しいことなんですけれども、ちょっと進行を急ぎ過ぎた嫌いがありまして予定した時間より も早く終わりそうです。何しろ暑いものですから、ちょっとクーラーが効いているのか、効いて いないのかわからない部屋ですね。 あとは、せっかくの時間ですから、ざっくばらんに自由懇談でお願いします。 では、どうぞ。 ○大島委員 私が委員に指名されて出席させていただいたときに、自分で考えたことは、これは 大変な問題だと思いました。これは、今、国でものすごく大変な問題で、えらいことを決めなけ ればいけない委員会に指名されたなという認識を自分で持ったんです。 先ほど総論、コンセプトというような話をしたんですが、ここにも書いてありますけれども、 少なくとも年齢だとか障害の種別にかかわらず、必要で適切な介護サービスを受けることができ るという制度をきちんと持続的にできるような形のものをつくろうという認識というのか、理解 というのは、多分出席されている方は当然その前提に立ってきているだろうと、私は思うんです。 いろんな御議論を聞いていると、それぞれのお立場がありますので、利害が錯綜するというの はしようがないと思うんです。しようがない中で、どう調整していくのかというのは非常に大き な問題だと思うんですが、少なくとも年齢、障害の種別にかかわらず、とにかく必要で適切な介 護サービスを受けることができる制度を確立しようという点では一致ができる。それも一致がで きないというのであれば、この委員会そのものが成り立つのかどうか私にはよくわからないです。 それは、とにかく国民全体で支えようと、これも多分一致できるんではないかという感じがす るんです。それも一致できないというんだったら、この委員会そのものが意味があるのかどうか、 私にはよくわからないです。 それで、制度はできるだけシンプルで効率的なものにしていこうと、この辺になるといろんな 議論が出てくると思います。 それから、最終的に個別の利害というのは、我慢できるところは我慢しようと、自分たちがぶ っ倒れるかどうかという話になれば、これは話は別ですけれども、自分たちが倒れない限りのと ころにおいては、我慢するところはお互いに我慢して、よりよい制度設計をしようということで 一致しなければいけないんじゃないかと私は思って出たんですが、なかなかそういう形の方に議 論が行かないので、若干心配しているというか、私の認識というか、理解というのは出席された 委員の方全体の共通理解としていいのかどうか。これは全然違うということであれば、御意見を 伺いたいと思います。 ○京極座長 どうでしょうか、もし御意見がございましたらどうぞ。 ○貝塚委員 専門家的な意見ですけれども、要するに日本の社会保障制度の成り立ちから、元来 社会保険の制度が中心でやっている医療、年金、それから雇用保険もありますけれども、その全 体があって、そこに今度は介護保険が入ってきて、保険制度に税金の負担もある程度入ってきて しまったというのが、純粋に言えば、不透明な部分なんです。元来、保険というのは、基本的に は保険料で全部賄うわけで、国庫負担というのはないというのが普通の典型的なケースです。 でも日本は国庫負担を入れてきてしまって、しかも基礎年金に関して言えば、半分を国庫負担 にするという話になってきてしまったもので、日本の社会保障制度の成り立ちから今までプレー スしてきて、さて、これからどうするかという話のときに、新しい障害者とか、身体障害者、場 合によっては精神障害者も含めてどうするか、そこのところの基本的なスタンスをはっきりさせ ておきたいと思います。 ですから、今までのように税金でほとんどやるんですかということです。税金であるというこ とは、まさにサービスを税負担でやるということで、それと保険というものは、元来は違ったも のです。その辺りの仕分けをそれなりにきっちりして、それでこれからはこうしますという話が、 これもやや学者的な意見ですけれども、今までのやり方の中で、社会保険制度をどこまで活用す るか、活用しないというのは税金でやるということなんですけれども、そこのところをある程度 はっきりさせるというか、そこについてどう考えるかということをきっちりさせておいて、それ で意見が分かれれば、まさに今おっしゃったように、基本的な意見の相違があるんですが、最初 はそういう形で全体の今までの流れの中で、これはどういうことなのかということをはっきりさ せて、さてどうするかというのは、また議論がいろいろあり得るんですけれども、何かそういう 感じを持っていまして、その辺のところを整理して議論した方がいいと思います。 これは別に報告書に書く必要はありませんが、最小限、序論ぐらいのところでそういう話をあ る程度しておいた方がいいんではないかと、これは学者的な意見ですけれども、そういうふうに 考えております。 ○京極座長 ありがとうございます。 堀委員どうぞ。 ○堀委員 先ほど、大島委員から理念についておっしゃられたんですが、私はそのとおりだと思 うんです。受給者の範囲とか、被保険者の範囲を考える場合には、今、言ったことはまさにその とおりなんですが、貝塚委員がおっしゃったように、財源という問題ももう一つあると思うんで す。社会保険方式、それから今までの社会保障方式、これは税方式ですが、そういうことが論点 になっているので、これは社会保険と社会保障方式、税方式との違いということも問題になるの で、そういった場合には、私は皆社会保険方式論者で、基礎年金の税方式という問題もありまし て、それについていろいろ意見を述べたことがあるんですが、やはり社会保険の理念というのは、 リスクに備えて事前に保険料を納めるという自助と、それからそういう要介護状態になったとい う人に対して、要介護にならなかった人が助けようという自助と連帯の理念がある。 それに対して社会保障方式というのは、基本的には国が困った人に対して支給するという理念 を持っている。これも私の考えであり、ほかの社会保険学者の考えでもあるんですが、そういう ことが1つ言える。 社会保険、税方式についてもいろんな論点があるんですが、先ほど言いましたように、税だと 何に使われるかわからない。社会保険であると、例えば年金に使う、医療に使う、介護に使うと いうことで、無駄に使われるおそれはない。それから、事前に保険料を納めた対価、見返りであ るから、権利として受けられるとか、そういった論点があるんではないかと私は考えております。 ○京極座長 ありがとうございました。 さっき大島委員がおっしゃったことは、私は座長をやっておりますので、委員のメンバーは基 本的には共通点があると思います。ただ、堀委員が指摘したように、それを税方式でやるのが望 ましいのか、社会保険方式でやるのが望ましいのか、それらを組み合わせるのがいいのか、そこ で若干の意見があると思うんです。また、組み合わせ方もどういう組み合わせがいいのかという のがあると思います。 実際に、高齢者だって、医療保険と介護保険を組み合わせているわけですから、介護保険だけ で何でもかんでも解決しているわけではなくて、あるいは自分が預貯金その他、私的な保険に入 ったりしているわけなので、介護保険がすべて賄うわけではないわけなので、その辺りのところ は、これから詰めていかなければいけないし、今日、財政難ということを深刻に考えなければい けない時期なので、貝塚委員が御指摘のように、ドイツなどは、ほとんど公費が入っておりませ ん。労使折半です。しかも所得比例割合なので、日本の皆保険方式とは大分違いますね。1.7 % 所得から取っていますから、年間100 万円の所得の人も1.7 %だし、1,000 万の人も1.7 %だ し、1億円の人も1.7 %です。 日本のように3,000 円定額、今回は若干上がりましたけれども、仮に4,000 円としても、そ れから上下50%ずつ若干の差を付けている、基本的には定額のスタイルですから随分違いがあ る。特に低所得の方なんかは、それをやられると非常に困るので、喜多委員なんかは、行政運営 されていて、お困りの点が多々あって、低い方から文句が出てくるということもあるわけですか ら、その辺の制度設計についてはいろいろあります。今度は、仮に意見が一致したとしても、相 当細かな議論をしなければいけないということがあると思います。 だから、今回は、細かなところに行く、ちょうど入口ぐらいのところまで有識者の方の御意見 を伺うということなんですかね。余り細かくなってしまっても、税制の問題とか財政の問題にな ると、専門家の意見をたくさん聞かなければいけなくなります。 どうぞ。 ○関委員 そこで、何を確認する必要があるかという点で、私が一番気になっておりますのは、 今までの医療保険制度にしろ、年金保険制度にしろ、介護保険を介護にしたときの違いは、障害 者であるとか障害児については、多くの方は自分が障害者になるとか、自分の子どもが障害児に なるというリスクについて思うのが、多分年金や医療に比べて少ないのではないかと思っていて、 そういった自身としてリスクが少ないと考えることについては、これまでそういったものは税金 でやっていった方がいいのではないかといった感覚を持っている方もいると思われます。 その点、やはり保険として、そういった障害者ですとか、障害児を支えていくことについて合 意ができるのかどうかというところを確認する必要があるかなと思っております。 加えて、今回の案でも保険でやる部分と、プラス違う部分については横出しとか、上乗せで税 金でやることにはなっているわけなので、そういう面で、保険としてはこういった点は障害者や 障害児についても一緒にやった方がメリットがある。でも、高齢者と障害者では異なる点がある、 それは税金でやった方がいいという点はこういう点があって、それは上乗せ、横出しで考えてい るといったところをもう少し明確にした形で論点として提起すると、それについて合意ができる ところがわかりやすいのかなと思いました。 ○京極座長 まさに、有識者会議の議論の一番の焦点は、税か社会保険かという部分でございま すので、実は一番最初のころの資料で少し整理させていただいていますけれども、もう一度皆さ んの御意見も踏まえた上で、その論点に絞った資料を、次回にもう一度、これまでの議論とは別 に、一つの経緯とか、いろんな考え方については少し整理させていただいて出させていただきた いと考えております。 ほかにございますか。 花井委員どうぞ。 ○花井委員 私は、先ほど大島委員がおっしゃったことが目指す道だろうとずっと考えておりま す。この有識者会議の表題というのは、介護保険制度におけるものだったと思うんですが、被保 険者のとなっているかと思うんですが、それで見ると、あくまでも介護保険制度の在り方として どうなのかということが、まず問われなければならないんだろうと思っております。 そこの観点からいいますと、40歳以上から保険料を払っていて、なぜ給付が16年しか限られ ないのか、そのほかの理由で受けられないとか、それが本当に社会保険制度なのかということを 私は一番問いたいと思います。 今の介護保険制度は、本当に社会保険制度の在り方としてそうなのか。それから、やはり給付 と負担というのは一致していなければいけないというのが社会保険制度であるとすれば、まず、 そこを目指すべきだろうと考えております。 それから、65歳で区切る合理的な理由というのは全く理解できない。ただ、当時急がなけれ ばいけないということで、選択した状況としては理解できますが、それが未来永劫あるものでは ない。64歳と何が違うのかといつも思いますが、それは何歳で区切っても出てくる問題だろう と考えております。 ですから、年齢ですとか、障害者の種別でサービスの在り方を変えていくということについて は、やはり普遍化を目指して書いていくべきことだろうということで、この有識者会議が開かれ ているんだと考えております。 ですから、あくまでも介護保険が社会保険制度としてどうあるべきかということが、まず柱で、 ただ、当然片方に若年障害者の就労支援をどうするかという大きな問題がありますので、財源の 話として出てくるのは当然のことですが、まず、介護保険制度としてどうなのかということを第 一義の課題としていただきたいと、私自身はそういうふうに考えているということです。 それから、これとは関係ないんですが、先ほど出していただきました資料で、やはり高浜とか、 ワンストップサービスの在り方というのは、利用する立場からすると、ものすごくありがたいこ とで、行政の窓口に行ったときに、全部の階を回らなければいけないということを考えれば、非 常にすばらしい取組みだと思いますので、このようないい例は是非ともさまざまな形でこういう 場に出していただけたらということをお願いしておきたいと思います。 以上です。 ○京極座長 ほかにどうでしょうか。 喜多委員どうぞ。 ○喜多委員 先ほど大島委員がおっしゃったんですが、総論的なところでみんなが一致できる方 向で一つひとつ階段を上っていかなければ改革はできないと思います。その中で一番欠かすこと ができないのは、堀委員がおっしゃった財政問題だと思います。 いつも議論のときに私は思うんですが、なぜお金が足りないか、それはどうなってきて足りな くなったのか、それをどうしたいかというのは、事務局からはその話が出てこない。恐らく、そ れは財務省が国家予算を付けるんだから、厚労省の中ではそんなことを議論しても始まらないと 思っておられると思うんですが、やはり制度としてやる限りは、それを支える財源の基はどうす るんだという議論も一緒に討論の中で方向づけをしない限り、みんなが考える方向には進まない と思います。 先ほど花井委員がおっしゃった、40歳、いわゆる2号保険者に16の項目しかしていないのは おかしいじゃないかと、私もそう思います。私は介護保険制度創立のときから1枚の保険証で全 部やれるようにしたらいいじゃないですかと、つまり普遍化を最初から言っておったわけです。 しかし、それは膨大なお金がかかるということから、今の現状に落ち着いたものと思います。走 りながら考えることはいいと思います。40歳の16項目をそれぞれ増やしていって、より普遍化 をするのはいいと思いますが、なぜ障害者という言葉が出てくるのか、私はそれを疑問に思うわ けです。その中で介護を要するものは介護をすればいいわけです。65歳以上の人を要介護者の 中で障害者というのを別に分けているわけではありません。みんな同じ項目でやっているわけで す。 その辺の凹凸のあるところを全部ならさずに行ってしまうところに、私は無理があるんではな いかと思います。だから、その辺のことをよくよく考えて、これから出していただく資料にして も、やはり公平性が保てる、そして本当に追及していく社会福祉とは何かという論点に立った考 え方なり、資料をお出ししていただいて、そして議論を進めていきたいと思っています。 ○京極座長 ありがとうございました。障害者イコール要介護者ではないので、要介護者ではな い障害者はたくさんいらっしゃいますし、働いている方もいらっしゃいますし、そこは障害者で 介護サービスを必要とする者というのと、必要ではない介護障害者もいらっしゃるので、障害者 だから自動的に何でも介護サービスで保険を使ってしまうということは乱脈といいますか、よく ないことなので、介護保険の理念にも反すると思いますので、そこは貴重な御指摘だと思います。 ○堀委員 補足しておきたいんですが、私、研究者としては、社会保険方式として社会保障で分 けています。これは保障方式も問題であって、必ずしも財源の問題ではないと理解しています。 基本的には、社会保険は保険料が中心で、社会保障方式は税が中心ということなんですが、社会 保険に対しても税が財源となるようにということですね。 社会保険方式のメリットと、税、保険料のメリットと分けて考える必要があると思うんですが、 私は社会保険方式という方式にいろんなメリットがあると考えております。済みません、蛇足で す。 ○京極座長 それでは、早いというのは珍しいんですけれども、いつもは時間が足りなくなるん ですが、夏でもありますので、今日は15分早目に終わりますが、よろしゅうございますか。 それでは、あと事務局からお願いします。 ○山崎総務課長 次回でございますが、先ほど御指摘のあった資料も少し添えさせていただきま すとともに、次回以降、最初の予定で申し上げましたが、関係者からのヒアリングを行っていこ うということもございました。 したがいまして、どういう方からのヒアリングができるか、またこれは座長とも御相談しなが ら詰めてまいりたいと思います。 次回の日程につきましては、また追って御連絡させていただきたいと思います。 ○ 京極座長 それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうござ いました。 照会先 老健局総務課 上村 連絡先:03−5253−1111(内線3918) 1