06/07/20 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成18年7月20日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年7月20日(木) 14:00〜   はあといん乃木坂「フルール」 2.出席委員(12名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 岩 崎   学、 川 西   徹、 堺   英 人、   ○首 藤 紘 一、 土 屋 文 人、 谷川原 祐 介、◎永 井 良 三、    長谷川 紘 司、 村 勢 敏 郎 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)    井 上 和 秀、 澤 田 純 一、 早 川   浩、 樋 口 輝 彦、 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)   川 原   章(審査管理課長)、 中 垣 俊 郎(安全対策課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会を開催 させていただきます。本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございま す。当部会委員数14名のうち、飯沼先生は30分ほど遅れて来られる予定でございます が、10名の委員の御出席を頂く予定となっておりますので、定足数に達しておりますこ とを報告いたします。  初めに、当部会委員の異動につきまして御報告をいたします。前回の部会まで部会長 代理をお願いしておりました長尾先生が、7月1日付けで内閣府の食品安全委員会の委 員に就任をされまして、薬事・食品衛生審議会の委員を退任されました。長尾先生に替 わりまして、国立医薬品食品衛生研究所・機能生化学部長の澤田純一先生に委員に御就 任を頂きましたので御紹介を申し上げたいと思いますが、あいにく澤田先生は本日は御 都合が悪くて御欠席でございます。  それでは、永井先生、以後の進行をよろしくお願いいたしますが、最初に、部会長代 理の御指名をお願いしたいと思います。 ○永井部会長 それでは、私から部会長代理を首藤紘一先生にお願いしたいと存じます が、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。首藤先生、よろしくお願い いたします。  では、事務局から配布資料の確認、資料作成に関与された委員の報告をお願いいたし ます。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。机の上に、議事次第、座席表、それから 新たな委員名簿を配らせていただいております。議事次第にございます資料1〜6まで はあらかじめお送りさせていただいた資料でございます。本日、資料2-2「アルチバ注 射用」の追加の資料、資料7「優先審査品目指定の審査結果について」、資料8「優先 対面助言品目の指定について」、資料9「審議品目の薬事分科会における取扱い等の (案)」、資料10「専門委員リスト」をお配りさせていただいておりますので、御確認を お願いいたします。  関与委員の御報告でございます。平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づきま す、資料作成に関係された委員の確認でございますが、本日の審議品目につきましては、 関与された先生はいらっしゃいません。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。では、議題1につきまして、機構から審査概 要の御説明をお願いいたします。 ○機構 議題1、資料1、塩酸ロピニロール、レキップ錠0.25mg、同1mg、同2mgにつ きまして、医薬品医療機器総合機構から説明させていただきます。  塩酸ロピニロールは、ドパミン受容体サブタイプのD2受容体系に選択性を示す、非 麦角系のドパミン受容体作動薬であり、本剤はパーキンソン病の適応で、英国、米国を 含む68の国及び地域で承認されております。  本邦では、現在のグラクソ・スミスクライン株式会社より、海外とは異なる1日2回 投与で、最高用量は1日10mgとする用法・用量で承認申請が出されましたが、平成11 年6月に旧中央薬事審議会新医薬品第二調査会より「本薬の有効性及び臨床上の有用性 を証明するためには、適切な計画による臨床試験を再度実施する必要があると」の見解 が示されたことを受け、臨床試験が2試験追加実施されました。その結果に基づきまし て申請用法は海外と同様の1日3回投与とされ、最高用量は1日15mgに変更されまし た。これに伴い、平成16年6月に2mg製錠が追加申請されております。  本品目の審査に関しまして、専門委員として資料10に記載されております委員が指名 されております。  本品目の審査の概略につきまして説明させていただきます。申請時資料中、用法・用 量を1日2回投与、最高用量1日10mgと設定して実施した国内第III相試験では、有効性 の主要評価項目とした全般改善度について、L-dopa製剤非併用患者では、対照薬のメシ ル酸ブロモクリプチンに対する本薬の非劣性が示されましたが、L-dopa製剤併用患者で は示されませんでした。  用法・用量を1日3回投与、最高用量1日15mgとして、L-dopa製剤併用患者を対象 に追加実施したプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験では、有効性の主要評価項目と したUPDRS partIIIの合計点減少度について、本薬による有意な減少が認められました。 また、同様の用法・用量を用い、L-dopa製剤非併用患者を対象とした非盲検非対照試験 でもUPDRS partIIIの合計点の減少が認められております。  専門協議では、患者ごとに有効性及び安全性に基づき適切な用量調節が行われるべき である等の議論がなされ、維持量に関して、臨床試験の成績も踏まえて、下限を1日3 mgとする等の用法・用量の整備を行っております。  本薬の安全性に関しては、国内臨床試験において認められた副作用の種類及びその発 現率は類薬や海外における本薬の臨床試験成績とほぼ同様であり、類薬の添付文書等も 参考に、添付文書中の傾眠及び突発性睡眠、悪心、起立性低血圧、精神神経系の有害事 症に関する注意喚起について記載整備を行っております。  国内における本剤1日3回投与の長期試験成績はなく、1日用量10mgを超える使用経 験も少ないことから、市販後早期に適切な調査及び臨床試験により、1日3回の長期投 与及び1日10mgを超える高用量投与時の情報を収集する必要があると考えますが、用法 ・用量は異なるものの、既に海外では広く使用されている実態もあり、本剤はパーキン ソン病治療薬の選択肢の一つになり得ると判断いたしております。  なお、申請者は、主に他のドパミンアゴニスト製剤による治療の効果不十分な患者を 対象に、最大15mg/日まで増量する、本薬の長期投与時の有効性及び安全性を検討する 市販後の臨床試験計画と、本薬の長期使用実態下における安全性及び有効性に関する適 正使用状況を評価する、1年間投与例数300例の市販後の調査計画の骨子を提出してお ります。  本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適当 であると判断しております。また、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来及び特定生 物由来医薬品には該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しており ます。よろしく御審議をお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。では、委員の先生方から御意見、御質問をお 願いいたします。堺委員、どうぞ。 ○堺委員 薬剤の内容そのものに関してではないのですが、この薬剤のように、長期投 与が行われて、その間に様々な精神症状が出現する可能性がある場合に、従来、医療機 関あるいは薬局から患者さんあるいは御家族向けの文書が出ているわけでございます。  申請者から、医療機関向けの添付文書と同じように患者さんあるいは御家族向けの添 付文書が出されますと、統一された注意書きが出て、御家庭でそういう症状が出たとき に見つけやすくなるのではないかと思われます。全般的なことですので直ちにお答えい ただかなくても結構ですが、今後、御検討いただければと存じます。以上です。 ○審査管理課長 患者向けの添付文書ということで、安全対策課で少し取組みがござい ますので、担当から答えさせていただきたいと思います。 ○安全対策課 「患者向医薬品ガイド」という患者向けの説明文書を、患者に説明する ということが警告などに書かれている医薬品につきましては、製薬企業に順次作成して いただきまして、医薬品機構のホームページで公開している状況でございます。  今回申請のあった塩酸ロピニロールの添付文書(案)を見ますと、患者に説明するよう な内容が記載されておりますので、「患者向医薬品ガイド」の作成対象になると思われ ます。「患者向医薬品ガイド」を作成して、ホームページに公開して、広く一般に提供 できるような形で今後取り組んでいきたいと思っております。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。谷川原先生。 ○谷川原委員 細かいところなのですが、審査報告書の26ページに、本薬の血中濃度推 移が多峰性のピークを示しているとか、Tmaxが1〜7時間でばらついているという 議論があるのです。概要を見てもこのデータは見付からなかったのですが、どこに載っ ていますでしょうか。 ○機構 申し訳ありません。この件につきましては概要の記載以外に、申請者との照会 等のやり取りの部分も若干含まれておりますので、詳しいデータにつきましては後ほど 御説明させていただきます。 ○谷川原委員 概要は平均を取ってしまっているので、SDの非常に大きなだらだらと した図になっているのですが、恐らく、それを個別に見ればこういうばらつきのある図 がほかにきっとあるのです。そのぐらいばらつきが大きくても、安定した治療効果が得 られるのですか。 ○機構 本薬につきましては、代謝系も絡みまして、いろいろな血中濃度の患者さんが いらっしゃると思われますが、基本的に、漸増していきまして、有効性、安全性を見な がら維持量を決めた上で長期に投与するという投与の仕方でございますので、アウトプ ットから、安定した薬効を得ていけるような投与法になっておりますとしか、今は回答 できません。 ○谷川原委員 もう1件、別のことでよろしいですか。本薬は非麦角系の薬剤というこ とで、類薬のプラミペキソールがしばらく前に承認されましたが、それとほぼ同じポジ ショニングと考えてよろしいですか。両剤の使い分けなどがもし専門協議などで議論さ れたのであったら、教えていただけますか。 ○機構 臨床的な位置付けにつきましては、審査報告書の34ページに記載しております が、非麦角系の両剤につきまして特別な相違があるということはございません。 ○谷川原委員 分かりました。ありがとうございます。 ○永井部会長 そのほかにいかがでしょうか。代謝もCYP1A2でかなり個人差があると書 いてありますが、それを踏まえて低用量から始めるという、かなり気をつけて使うよう にという添付文書になっているということですね。これは、普通のほかの薬剤よりはか なり丁寧に書いてあるということでよろしいでしょうか。 ○機構 増量の仕方につきましては、経過観察し、注意しながら期間を掛けて増量して いくこととしております。増量につきましては、有効性のみならず、安全性もしっかり 見ながらということで、両方のバランスの取れたところを見付けていこうという投与方 法になっております。 ○永井部会長 そのほかにいかがでしょうか。よろしければ、承認「可」ということで、 薬事分科会報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。  続きまして、議題2について、御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは、議題2、資料2、医薬品アルチバ静注用2mgほかの輸入承認の可否 等について、医薬品医療機器総合機構より御説明させていただきます。  本剤の有効成分は、レミフェンタニル塩酸塩で英国のGlaxo社でもともと開発された 選択的μ-オピオイド受容体アゴニストです。今般の申請は、「全身麻酔の導入及び維持 における鎮痛」ということで、既に米国、英国等69か国で承認されている内容でござい ます。  販売名につきましては、医療過誤防止の観点から審査の過程でアルチバに変更されて おります。  本申請の専門委員としては、資料10に記載されております11名の委員を指名させて いただきました。  申請内容でございますが、品質、毒性、薬理、薬物動態について、特に大きな問題は ないと判断しておりますので、臨床成績について簡単に御説明させていただきます。臨 床成績についてでございますが、国内でプロポフォールあるいはセボフルラン併用下で の試験が実施され、気管挿管後5分以内の気管挿管の刺激による反応率あるいは麻酔維 持期における皮膚切開後5分以内の反応率等を指標にして本剤の有効性が確認されてお ります。  安全性についてでございますが、主な有害事象は血圧低下、徐脈、嘔気、嘔吐等でご ざいます。審査の過程では、対象としました手術患者の一般化可能性、用法・用量の妥 当性について検討しており、必ずしも十分に検討されているとまでは言えないものの、 本剤は消失が早く用量調節性に優れているということ、全身麻酔下で専門医が患者の病 態を常に監視しながら適宜投与量を調節して使用する薬剤ということ、本剤投与時のリ スクについては十分に管理可能な状況にあるということで、本剤のベネフィットはリス クを上回るものと我々は判断しております。なお、製造販売後につきましては引き続き 3,000例の使用成績調査を実施していただく予定となっております。  最初に御説明がありましたが、本日、資料2-2ということでお配りしております資料 がございます。これは、ロ項、ハ項、規格安定性の項で、我々の審査の過程でやり取り している事項が十分に反映されていない箇所等がございましたので、その追記等を行う よう指示している部分でございますが、内容自体に大きな問題はないと考えております。  以上の審査を踏まえまして、本剤の製造を承認して差し支えないとの結論に達し、本 第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。  本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は6年、原体は毒薬、製剤は 劇薬に該当し、特定生物由来製品及び生物由来製品のいずれにも該当しないと判断して おります。なお、薬事分科会に報告を予定しております。よろしく御審議をお願いいた します。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いいたしま す。谷川原先生。 ○谷川原委員 この効能に関しまして、フェンタネストと同じように使える薬剤なので すか。それとも、何か違いはあるのでしょうか。 ○機構 一番の特徴は消失半減期が非常に早いことです。この薬は2〜5分程度で消失 半減期でございますが、フェンタニルは3時間程度です。特に長期の手術になった場合 の用量調節性あるいはASAIIIの重症な患者での用量調節性という点に関してはこちら の薬剤の方が優れているということで、血圧低下などが認められた場合に速やかに減量 ができることが一番の特徴であると思われます。  したがって、今の麻酔科領域で一般的になっているバランス麻酔という考え方から行 くと、この薬剤の方が世界的な主流になっているということで、そのような使い方が国 内でもされるのではないかと予想しております。 ○永井部会長 外国では鎮痛剤としても使われているということですか。 ○機構 この薬自体に鎮静作用はほとんどございませんので、鎮静剤として用いられる ことはないと思います。実際、添付文書でも、プロポフォールやセボフルランなどのほ かの麻酔剤と必ず一緒に使ってくださいということを申し上げています。  外国と日本との違いは、海外では術後鎮痛に使われているということがございます。 海外では既に術後鎮痛に対する効能効果も取得している状況でございますが、日本では オピオイドを術後鎮痛に使うことについて、硬膜外投与が比較的多くなされている現状 がございまして、こういう製剤での術後鎮痛は余り一般的ではない状況にあるのではな いかと思います。  審査の過程でも術後鎮痛に使われる可能性等をやり取りしておりますが、オピオイド ですので、安易に使われると当然呼吸抑制というような問題になりますから、きちんと した管理の中で使われるべきと考えております。  術後鎮痛については、この薬は消失半減期が短いということで、投与が終われば術後 鎮痛が早く起こってくる、逆に痛みが早く出てくるということで、手術終了前からきち んとした術後鎮痛のケアも考えて投与していく必要があるのではないかということで、 その点も添付文書に注意喚起をさせていただいているところでございます。 ○永井部会長 岩崎先生。 ○岩崎委員 「3,000例を対象とした使用成績調査」とあるのですが、理由があって3,000 例なのでしょうか。 ○機構 理由があってというか、通常、3,000例の調査で1%程度のものを拾えるとい うところから設定をしております。もちろん、その中で大きなことや違った傾向が出て くればそのときに改めて特定使用成績調査であるとか、必要に応じて計画変更はなされ ると考えております。 ○永井部会長 そのほかにいかがでしょうか。よろしければ、承認「可」ということで、 報告させていただきます。どうもありがとうございました。  では、議題3にまいります。機構より御説明をお願いいたします。 ○機構 議題3、資料3、ソナゾイド注射用の輸入承認について、医薬品医療機器総合 機構より御説明いたします。  本剤の申請時の販売名は、「ソナゾイド注」でしたが、ソナゾイド注射用に変更する 予定です。  本剤は、化学的に安定なガスであるペルフルブタン(PFB)を内包させた微小気泡(マ イクロバブル)を含有する凍結乾燥製剤です。注射用水を加えて再懸濁し、静脈内に投与 することにより、肝臓内に移行したマイクロバブルが照射超音波を反射散乱し、腫瘤性 病変の血管を造影でき、また、肝臓の細網内皮系に存在するクッパー細胞(貪食細胞)に PFBマイクロバブルが取り込まれるため、正常な肝実質を造影することが可能で、悪 性腫瘍などクッパー細胞の存在しない病変は染影欠損となって検出できます。したがっ て、本剤は、1回の投与で肝血管造影と肝実質造影による肝腫瘤性病変の診断が可能な 超音波検査用の薬剤であります。  本申請の専門委員としては、資料10にありますとおり奥田委員、ほか7名、計8名が 指名されております。  本剤の臨床成績について御説明いたします。有効性につきまして、第II相臨床試験の 結果から至適用量とされた本剤0.015mL/kg(マイクロバブルとして0.12μL/kg)を用い て、未治療の肝腫瘤性病変を有する患者を対象として実施された第III相試験において、 主要評価項目とした血管造影での最終診断名との一致率(正診率)は、本剤を用いた造影 超音波検査では88.9%、本剤を用いない単純超音波検査では68.4%であり、正診率の差 は20.5%で有意差が認められております。また、肝実質造影につきましても病変検出能 の向上が認められております。本剤による血管イメージング及びクッパーイメージング 情報を基に治療方針の変更を受けるに至った症例も6.8%認められており、本剤の肝腫 瘤性病変の診断に関する有効性は認められると判断いたしました。  安全性につきまして、第III相臨床試験における有害事象の発現頻度は49.2%(95例239 件)で、主な有害事象は発熱8.3%(16例)、嘔気6.7%(13例)、下痢6.2%(12例)、倦怠 感5.7%(11例)、腰痛5.2%(10例)であり、重篤又は高度の有害事象は認められており ません。  本剤の安全性に関し、粒子径10μmを超えるセカンダリーマイクロバブルが製剤中に 存在するという問題がございますが、添付文書上、重篤な心疾患及び肺疾患のある患者 に関する注意喚起が行われております。また、臨床試験において、下痢等の副作用は認 められておりますが、特に重篤なものは認められておりません。  なお、本剤により投与されるガスの量について、確認したところ、海外で発売されて いるものを含め、本剤の投与バブル体積は類薬よりも小さく、投与ガス重量についても 類薬よりも少ないか同程度という回答があり、また、セカンダリーマイクロバブルは再 懸濁後経時的に減少することから、添付文書中の記載について、再懸濁直後に投与する ことを推奨するように受け取られないよう修正がなされております。  製造販売後に、塞栓に関連した有害事象及び消化器系の有害事象の発現状況に関する 情報収集、血小板機能・血液凝固能への影響、複数回投与症例及び遅発性の有害事象の 発現状況等についての調査は必要ですが、承認の可否に影響するような重大な懸念は認 められないと判断しております。  造影超音波検査はCT検査とは異なりX線による被曝もなく、提出された臨床試験成 績等から肝腫瘤性病変の診断に関して本剤の有用性は認められると判断いたしました。  以上のような検討を行った結果、本申請を承認して差し支えないと判断し、医薬品第 一部会で審議されることが妥当と判断いたしました。  本剤は新有効成分含有医薬品であることから、最審査期間は6年とすることが適当と 判断しております。なお、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品には該当せず、原 体、製剤ともに毒薬、劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会で は報告を予定しております。よろしく御審議をお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。では、御質問、御意見をお願いいたします。 いかがでしょうか。セカンダリーバブルができると書いてありますが、どういうメカニ ズムなのでしょうか。 ○機構 審査報告書の6ページにセカンダリーマイクロバブルについて書いておりま す。申請者からの回答によりますと、「セカンダリーマイクロバブルは、再懸濁時に□ □□□□□□□□□□□□□□PFBから発生する」と考えられております。製剤学的 検討等はできなかったのかという照会をしたところ、いろいろ検討はしてみたようなの ですが、実際に製品化するには今の形態以外は難しく、なくすことはできなかったとい う回答になっております。 ○永井部会長 臨床的に問題になるような現象は特になかったということですか。 ○機構 先ほど御報告しましたように、臨床試験では有害事象が幾つか見られておりま すので、市販後、注意する必要はあると思われますが、重篤な副作用は認められており ません。明確にセカンダリーマイクロバブルで起きたと思われるものも、臨床試験にお いては見られておりません。 ○永井部会長 委員の先生方、いかがでしょうか。特に御質問、御意見がなければ、承 認「可」ということで、分科会報告とさせていただきます。ありがとうございました。  続きまして、議題4と議題5は希少疾病用医薬品の指定でございますので、併せて御 説明をお願いします。 ○事務局 それでは、希少疾病用医薬品に関する議題4、議題5をまとめて御説明いた します。まず、議題4でございます。資料4に基づき御説明させていただきます。  AMG531について、慢性型特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)に伴う血小板減少の 改善が予定される効能・効果といたしまして、希少疾病用医薬品として指定することの 申請がなされております。申請者はアムジェン株式会社でございます。  本申請に関し、医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめております。資料4 の「事前評価報告書(審査報告書)」とある部分を御覧いただければと存じます。希少疾 病用医薬品の指定要件である対象者数、医療上の必要性及び開発の可能性の三点に関し、 本評価報告書を基に御説明させていただきます。  まず、対象者数についてでございますが、本件の対象疾患である成人のITP患者数 につきましては、平成12〜16年度の医療受給者証の交付件数及び医療受給者の病型調査 の結果等を基に、約10,000〜12,800人と推定されており、希少疾病用医薬品の指定要件 である国内対象患者数5万人以下を満たすものと判断いたします。  次に、医療上の必要性についてでございますが、対象疾患である成人のITPは、自 己免疫性の機序により、主に脾臓における血小板の破壊が亢進することで血小板減少を 来たし、種々の出血性の臨床症状を呈する疾病であります。現在使用可能な治療法では 完全な治癒が期待し難いことから、生命に重大な影響がある疾患と判断されます。  また、現在、本邦で使用可能な治療法としては、摘脾及び副腎皮質ステロイド等を用 いた薬物療法、こちらは免疫系を介して効果を発揮するとされておりますが、特に慢性 型では副作用等の問題から治療が困難な例が多い状態にあります。  一方、本剤は、血小板造血に関与する受容体に結合し、血小板産生を増加させるとい う新しい作用機序を有していると考えられております。海外における臨床試験において、 血小板数の増加作用が実際に確認されております。以上より、対象疾患の重篤性が高い こと及び既存の治療法と比較して有用性が期待されることから、医療上の必要性がある ものと判断いたします。  最後に、開発の可能性についてでございますが、以上のとおり、本剤は、血小板産生 の増加作用を有することから、成人のITPに対して有効であることが期待されます。 また、海外臨床試験で有用性が示されており、本邦でも第I相試験で忍容性が確認され、 現在、第II相試験を実施中です。以上より、本剤は、対象疾患に対して使用する理論的 根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められることから、開発の 可能性はあると判断いたします。  以上申し述べましたとおり、対象患者数の観点、医療上の必要性の観点、さらに今後 の開発の可能性の観点から考えまして、希少疾病用医薬品としての要件を満たすという ことで判断しております。  引き続き、議題5、トルバプタン関連につきまして、資料5に基づき御説明させてい ただきます。  トルバプタンにつきまして、多発性嚢胞腎の進行抑制を予定される効能・効果といた しまして、希少疾病用医薬品として指定することの申請がなされております。申請者は 大塚製薬株式会社でございます。  こちらに関しましても、医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめております。 資料5の「事前評価報告書」に基づき御説明させていただきます。  希少疾病用医薬品の指定要件である3要件に関して、まず、対象者数についてでござ いますが、対象疾患である多発性嚢胞腎については、常染色体優性のADPKDと常染色体 劣性のARPKDがございます。合算した患者数は、厚生省特定疾患難病の疫学調査研究班 と厚生省特定進行性腎障害調査研究班の共同調査、及び日本透析医学会による調査を基 に、多くとも約35,000人と推定されており、希少疾病用医薬品の指定要件である国内対 象患者数5万人以下を満たすものと判断いたします。  次に、医療上の必要性についてでございますが、対象疾患である多発性嚢胞腎は、腎 臓に嚢胞が多発することにより、腎機能が低下し、腎不全や透析導入に至る遺伝性の疾 患であり、生命に重大な影響がある疾患と判断されます。  また、現在、有効性が確立された根治療法はない一方、本剤は、アルギニンバソプレ ッシンV2-受容体拮抗作用を介して嚢胞の増大を抑制することで、当該疾患に有用性を 示す可能性があると考えられます。以上より、対象疾患の重篤性が高いこと及び既存の 治療法が存在しないことから、医療上の必要性があるものと判断いたします。  最後に、開発の可能性についてでございますが、非臨床試験において、モデル疾患動 物ラットに対し、本剤の類薬であるアルギニンバソプレッシンV2-受容体拮抗薬が腎嚢 胞の進展を抑制したという報告がございます。また、米国ではADPKD患者を対象に臨床 試験を実施中であり、本邦でも、現在、臨床試験を実施中です。なお、第III相試験につ きましては、日本を含む国際共同試験として実施される予定と伺っております。ARPKD 患者を対象にした臨床試験については、現在、計画中とのことです。以上より、本剤は、 対象疾病に対して使用する理論的根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であ ると認められることから、開発の可能性はあると判断いたします。  以上、対象患者数の観点、医療上の必要性の観点、さらに今後の開発の可能性の観点 から考えまして、希少疾病用医薬品としての要件を満たすということで判断いたしまし た。  以上2品目について、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、最初のトロンボポイエチン受容体 アゴニストについて、御意見、御質問をお願いいたします。谷川原先生。 ○谷川原委員 開発の可能性で、米国で行われた第I、第II相試験はITPの患者さん が対象なのですか。 ○事務局 ITP患者を対象として行った試験でございます。 ○谷川原委員 ありがとうございました。 ○永井部会長 これはヒト型のトロンボポイエチンと同じものなのですか。リコンビナ ントということですか。それとも、別の構造を持っているのでしょうか。 ○事務局 ヒト型とは違う構造を持っております。 ○川西委員 最近、幾つかの例が出ているようなFcフラグメント、それから、この場 合はトロンボポイエチン受容体ですか、いずれにしても、人工的につくったプロテイン ということになります。ですから、もちろん組換えということです。 ○永井部会長 抗原性は余り心配ないのでしょうか。 ○川西委員 この資料で何も書いていないので私の覚え違いかもしれないのですが、3 年ぐらい前に、国際学会でこういうたぐいのものでの抗原性が問題になったと聞いたこ とがあります。海外での臨床試験ではそういうことがほとんど触れられておりませんの で、恐らくこれとは違うのではないかなと、そうであればいいなと思ったのです。それ は心配な点の一つですが、超えなくてはならない部分ですから、慎重にやることになろ うかと思います。 ○永井部会長 ITPは血小板の破壊が主体ですから、むしろ骨髄では産生が高まって いるわけですね。そういう状況で骨髄を更に刺激して、果たして更に産生が高まるのか、 また、産生後すぐに壊れてしまう可能性もあると思うのです。そして、抗原性でも出て きたときには効果が落ちてしまうかもしれませんし、背景をよくお聞きになられた方が よろしいかと思うのです。  特に、病態との関係で、血小板が少なくてもトロンボポイエチン濃度が低い場合があ ると、幾つか病態が亜系に分類されるのかもしれないのですが、どういう場合にこうい うアゴニストを使うのがよいのかよく理解できないところもあるように思うのです。産 生が落ちているのなら分かるのですが、かなり過形成になっているはずですね。そこは よくお調べいただきたいと思います。 ○審査管理課長 これから国内での治験が本格化していくと思われますので、その段階 で治験相談等で適切に対処していくことになるかと思います。ありがとうございました。 ○機構 追加ですが、血小板だけが減っていても実際の生活上は問題のない患者さんが 多いものですから、常にこの薬を使うわけではなく、例えば出血を伴う手術などを行う 前にある程度の期間を限って使うなど、そういう使い方もあると考えております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは、もう一つのトルバプタンについて、い かがでしょうか。これは、昔、心不全の治療薬を目指して開発されていたものであると 思うのです。確かに、多発性嚢胞腎については根本的なお薬が余りありませんのでこう いう薬剤も必要かと思いますが、いかがでしょうか。御意見がございませんでしたら、 指定「可」ということで、薬事分科会報告とさせていただきます。ありがとうございま す。  続きまして、議題6について、御説明をお願いいたします。 ○事務局 議題6、医薬品マイスリー錠5mg及び同10mgの再審査期間延長の可否につ いて、資料6に基づき御説明させていただきます。  お手元の資料の1枚目に諮問書が付いているかと存じますが、ここに「薬事法第14 条の4第2項の規定に基づき」とございます。この薬事法第14条の4第2項には「厚生 労働大臣は新医薬品の再審査を適正に行うため特に必要があると認めるときは、薬事・ 食品衛生審議会の意見を聴いて、調査期間をその製造承認のあった日後10年を超えない 範囲内において延長することができる」という規定がございます。  この薬事法の規定を受けまして、平成12年12月27日に医薬安全局長名で「医薬品の 市販後調査の基準に関する省令の一部を改正する省令の施行及び医薬品の再審査に係る 市販後調査の見直しについて」という通知を出しております。その通知の中で、「小児 の用量設定等のための臨床試験を計画する場合にあっては、再審査期間を10年を超えな い範囲で一定期間延長する」ということが書かれておりまして、今回の再審査期間の延 長の可否と申しますのは、その通知を受けて出されたものであります。  直近では、昨年8月の第一部会におきまして、インスリン非依存型糖尿病に用いるア マリールについて、再審査期間の延長をお認めいただいたところでございます。  資料に「品目の概要」がございますが、こちらに沿いまして簡単に御説明をさせてい ただきます。まず、申請者名でございますが、アステラス製薬株式会社でございます。 対象となる品目はマイスリー錠5mg及び同10mg。有効成分は酒石酸ゾルピデムでござい ます。効能・効果は不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症を除く)でございます。 現在の用法・用量は「通常、成人には酒石酸ゾルピデムとして1回5〜10mgを就寝直前 に経口投与する。なお、高齢者には1回5mgから投与を開始する。年齢、症状、疾患に より適宜増減するが、1日10mgを超えないこととする」という書き方になっております。  初回承認日、再審査期間はこちらに記載があるとおりでございまして、その下の再審 査延長案の根拠を御覧いただければと存じますが、この品目につきまして、「小児の用 法・用量設定及び小児集団における有効性・安全性を把握する目的で、製造販売後臨床 試験(プラセボ対照二重盲検群間比較試験)を現在計画している」ということでございま す。目標症例数は□例、うち有効性解析対象例としまして、小児不眠症患者(□□□歳) 各群□例、合計□例の試験でございます。  この試験の所要期間等を勘案いたしますと、再審査期間を当初より4年間延長するこ とが適当ではないかと考えておりまして、そのことについて、今般、諮問させていただ くものでございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いいたしま す。 ○谷川原委員 設定根拠で、製造販売後臨床試験の小児での用量は成人と同一と考えて いると書かれているのですが、普通、小児の用量は成人より少なく設定するのではない のでしょうか。成人と同じ用量でよろしいのですか。 ○機構 機構から補足させていただきます。谷川原先生がおっしゃるように、小児の用 量はどちらがいいのかまだ分からないところがあります。通常は小児の方が低いという ことがございますが、今の医療現場では成人と同じような用量で小児に使っているとい う実態がございます。  我々としてはそれが適切なのかどうかを調べていただくことを考えておりまして、プ ラセボ対照試験の中に□用量、全部で□群の比較試験を組んでいただくと。その中で安 全性も含めて検討していただくことで、小児は成人と同じでいいと言えるかどうかがこ の試験結果で分かってくると。  ただ、小児で厳密な用量設定をするのは難しい状況がございます。今の使用実態で現 場としては問題がないという認識ですので、とりあえずはこの用量を使ってやってみる 計画になっているということでございます。 ○谷川原委員 この試験の結果が出ますと、恐らく適用は□歳以上になるのでしょうね。 ○機構 今の計画が□歳以上ですので、年齢制限は付けることになろうかと思いますが、 実際の成績を見ながら考えさせていただきたいと思います。 ○永井部会長 患者さんはどのくらいいるのでしょうか。子供の不眠症というのは違和 感がありますが。 ○事務局 小児の患者さんにつきましは、企業によりますと、インターネットを使用し たアンケート調査で、過去1年間に診察された15歳以下で睡眠障害を有する患者さんは 1,191人、そのうち睡眠薬を処方されている患者さんは602人という回答を得ておりま す。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。よろしければ、延長「可」ということで、分科会 報告とさせていただきます。ありがとうございました。 ○谷川原委員 議題2に戻らせていただいてよろしいですか。製剤見本を拝見しますと、 アルチバ静注用、投与禁止、硬膜外及びくも膜下(グリシン含有)と書いてあるのです。 先ほどの御説明では術後の鎮痛には適切ではないということでしたので、硬膜外投与は 想定されていないということなのですが、「(グリシン含有)」というのはどういう意味 ですか。 ○機構 グリシンが含まれているので、硬膜外及びくも膜下に直接投与するのは好まし くないということを警告で書かせていただいておりますが、その記載を反映して、硬膜 外に投与すること自体がこの製剤については適切ではないということです。 ○谷川原委員 製剤自体が適応として適切ではないということではなくて、添加剤があ るから適切ではないと。 ○機構 もともと認めていないのに、なぜそのようなことを書かなければいけないのか ということでございますか。 ○谷川原委員 それもあるのですが、グリシンを含有しているから硬膜外では適切では ないという意味で書かれていますよね。先ほどは、適応自体が、術後鎮痛などには使え ないので、全麻のときは静脈内投与という御説明であったので、それを質問させていた だいたのです。 ○機構 海外では静脈内投与をして術後鎮痛に用いられている実態がございます。 ○谷川原委員 硬膜外ではなくてですか。 ○機構 はい。 ○谷川原委員 あと、「グリシン含有」ということは添付文書に書かれていますか。 ○機構 「組成・性状」のところにも書かれておりますし、「警告」に「添加物として グリシンを含むため、硬膜外及びくも膜下への投与は行わないこと」と書かせていただ いております。 ○谷川原委員 分かりました。ありがとうございます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは、報告事項をお願いいたします。 ○事務局 資料7から御説明をさせていただきます。  優先審査品目の指定についての御報告でございます。優先審査の取扱いにつきまして は、資料の2ページに、その概要を示しております。指定に当たりましては、(1)適応 疾病の重篤性、(2)医療上の有用性を総合的に評価をして判断することにしております。  資料の1ページにお戻りください。今回、指定の報告をいたします品目の一つ目でご ざいますが、クレキサン皮下注キット、成分の一般名はエノキサパリンナトリウムでご ざいます。「術後の静脈血栓塞栓症の予防」を申請効能として承認申請がなされたもの でございます。本剤は、ブタ由来のヘパリンのベンジルエステルを解重合することで得 られます低分子量のヘパリンでございます。低分子量化によりまして、活性化第II因子 に比べて活性化第X因子に対する阻害の選択性を高めた薬剤でございます。  静脈血栓塞栓症は、外科手術後などに多く発症することが知られておりまして、肺血 栓塞栓症を発症した場合の死亡率が高いなど、生命に重大な影響がある重篤な疾病であ ると判断をいたしております。それから、本剤は、膝関節全置換術及び股関節全置換術 施行患者を対象とした国内での二つのプラセボ対照比較試験におきまして、静脈血栓塞 栓症の発現リスクを有意に低下させる試験成績が得られておりますことなどから、本剤 の医療上の有用性を総合的に評価いたしまして、優先審査品目に指定することにいたし ました。  二つ目でございますが、アクテムラ点滴静注用(トシリズマブ)でございます。申請効 能は「全身型若年性突発性関節炎」でございます。本剤は、ヒト化抗ヒトインターロイ キン-6 レセプターモノクローナル抗体製剤でございまして、2005年4月に「キャッス ルマン病に伴う諸症状・検査所見の改善」という効能・効果で承認された製剤でござい ます。  今回、申請のございました「全身型若年性特発性関節炎」は、16歳未満の小児に発症 いたします関節炎症状を伴う原因不明の疾患の総称でございまして、関節症状のほか、 肝脾腫、心膜炎等を合併いたしまして、進行が不可逆的で日常生活に著しい影響を及ぼ す重篤な疾患でございます。本疾患に対する効能・効果を有する既存薬は今のところな いということ、臨床試験におきましてステロイドで効果不十分又は副作用で継続不可能 な患者さんに対しまして本剤を投与して臨床症状の改善効果が示されていることなどか ら、医療上の有用性を総合的に判断いたしまして、優先審査品目に指定することにいた しました。 ○機構 続きまして、医薬品優先対面助言品目指定の結果につきまして、本日配布いた しました資料8で報告いたします。  優先対面助言品目指定制度は、薬事法で規定する「医療上特に必要性が高いと認めら れるもの」となることが期待される開発中の薬剤について、他の品目に優先して医薬品 総合機構が対面助言、すなわち治験相談を行うものでございます。優先対面助言品目は、 優先審査品目の選定の考え方に準じ、指定の時点までの国内外の試験結果を見て、「適 応疾患の重篤性」、「医療上の有用性」を総合的に評価することにより選定しておりま す。  今般の指定品目は、ルンドベック・ジャパン株式会社のデスモテプラーゼでございま す。優先対面助言の対象効能は「虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善」でご ざいます。この疾患は生命に重大な影響がある疾患であると判断いたしました。  医療上の有用性に関しましては、現在、発症後3時間以上を経過した虚血性脳血管障 害に対して適応を有する血栓溶解剤は存在しない中で、本剤については、海外臨床試験 成績より虚血性脳血管障害発症3〜9時間後の投与においても、機能障害を改善し、出 血等の副作用も臨床的に忍容される範囲である可能性が示唆されております。  したがいまして、当該疾患の治療において本剤の有用性が期待できると判断し、優先 対面助言品目に指定したものです。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。何か御質問はございますでしょうか。よろし ければ、これらの件につきましては御確認を頂いたものといたします。  少し早く終わりましたが、本日の議題は以上でございます。事務局から御連絡等はご ざいますでしょうか。 ○事務局 どうもありがとうございました。次回の会議日程の御案内を申し上げます。 次回の医薬品第一部会は、既に御案内を差し上げておりますが、8月24日(木)の午後2 時から開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それでは、本日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうご ざいました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 山本(内線2746)