06/07/13 第15回独立行政法人評価委員会国立病院部会議事録 独立行政法人評価委員会 国立病院部会(第15回) 日時:平成18年7月13日(木)17:00〜20:00 場所:厚生労働省 9階 省議室 出席者: 井伊委員、大道委員、開原委員、黒川委員、住田委員、辻本委員、夏目委員、      山田委員、(敬称略、五十音順) ○黒川部会長  おくれまして申しわけございませんでした。おわび申し上げます。  15回の独法評価委員会の国立病院部会ということことで、お忙しいところをありがと うございます。今度、医療法もそうですが、医療については非常に大きな流れが出てお りますが、いろいろな御意見をいただいて、前から言っているように、この委員会は何 をしているのかなというと、国立病院の独立行政法人がどういうふうにしていくかとい う話も入れた上で評価していただきたいということでしたので、きょうもよろしくお願 いします。  きょうは、矢崎理事長、副理事長も来ておられますので、よろしくお願いします。  ということで、きょうは残念ながら渡辺委員が欠席ということで、あとでまたいろい ろなコメントをくださるということですので、それはまた御報告させていただきますが、 では事務局からお手元の資料その他について説明ということでよろしくお願いします。 ○政策評価官  政策評価官でございます。クールビズで失礼をしております。  本日、議事を御説明いたします前に、まずは5月の末及び6月であったかと存じます が、委員の方々の御希望を伺いながら、お忙しい中、東西それぞれ病院現場の御視察を いただきました。まことにありがとうございました。個々御報告はいたしまけんせれど も、今後ともいろいろな意味で御要望とあれば承りたいと思っております。本当にお忙 しい中をありがとうございました。  本日は、お手元の資料の山の中に議事次第という1枚紙がございます。議事としまし ては17年度業務の実績評価ということでその1回目でございますが、それに先立ちまし て二つ、資料1.「国立病院機構の個別評価項目の見直しについての(案)」を御説明、 御議論いただきますのが1点と、17年度の実績評価に先立ちまして参考資料として整理 をしてございます1から4について御説明をいたしまして、いよいよそれぞれの資料に 基づいての実績評価をお願いしようと思っております。よろしくお願いします。 ○黒川部会長  そういうことで資料はあると思いますが、なければまた補足いたします。  それでは、個別評価の項目の見直しということがありまして、これについて事務局か ら御説明申し上げますので、よろしくお願いします。 ○政策評価官  資料1でございますが、本日から実績評価をしていただくに当たりまして、改めて昨 年の実績評価のこの部会での御議論、あるいは評価をいただいたシート、実績などを拝 見いたしまして、少し提案をさせていただこうということでございます。  具体的には、資料1をめくっていただきますと2枚紙に個別評価事項としてナンバー 1から14、プラス欄外に三つの項目になっておりまして、昨年いただきましたシートの 構成は2枚目の点線を入れたところでございます。その点線で書いてございます下の三 つ、具体的には「医療機器・施設設備に関する計画」あるいは「再編成業務の実施」あ るいは「機構が承継する債務の償還」という項目については、単独で評価の枠という形 で昨年は御議論いただいたところでございますが、それぞれ実際にいろいろと拝見した り御意見を承りますと、単独項目としてではなくもう少し大くくりで評価をいただくこ とがあるのではないかということで、それぞれ医療機器・設備については「医療資源の 有効活用」という形で、あるいは再編成については「業務運営の効率化」という形で、 承継債務の関係については「固定負債割合の改善」という形で大くくりにして、その枠 で御評価をいただいたらいかがかということでございます。  あらかじめそれぞれ委員の先生方には御説明はさせていただいておりますが、また御 議論をいただいた上でその枠に沿って今後の評価をしていただく。冒頭、きょうは事務 的にはある程度これに沿った形でシートが用意されていることはお断りをした上で御議 論いただければと思います。 ○黒川部会長  ということでいかがでしょうかということであります。これは前回の分厚いいろいろ な評価票がありましたが、そういうコメントもあったし、事務の方で見てみると、こう いうふうに大くくりにした方が評価の方も報告書がつくりやすいのではないかというこ とでございました。これについていろいろいただければと思いますが、いかがでしょう か。そのほかの項目も、資料1の2枚目を見てみるといろいろなことがありますので、 それはそれであると思うのですが、そのほかにも大きな評価点ですので、御意見があり ましたらぜひいただきたいと思います。一般的なことでもかまいませんが。 ○開原副部会長  私は大変もっともなことだと思いますので、特に全く異論はありません。まとめてい ただいた方が、多分議事が効率よくいくのではないかと思いますので賛成であります。 ○夏目委員  全く異論がないので今の御意見と一緒なのですが、ただ、評価項目が17項目から14 項目に少なくなるわけですね。そこは何か障害は全くない。評価項目はあくまでも評価 委員会で決めればいいということで、特別に何らかの制約があるわけではないわけです ね。 ○政策評価官  結論から言うと、今、委員が御指摘のようにこの委員会で評価をする単位としてお決 めいただければ結構ということで、余分なことを申し上げれば、個別ほかの部会でほか の法人を御評価いただいておりますが、それぞれ法人の中期目標、中期計画の立て方に よって評価のコマ数と言いましょうか、多少ばらついているというのが実態でございま す。 ○井伊委員  評価項目の枠組みのこととはちょっと違うのですが、先日、久里浜のアルコール症セ ンターの見学、大変参考になりました。ありがとうございました。そのときに、旧療養 所系と旧国立病院系というのは分けて評価をするべきではないかなと非常に強く感じま した。と申しますのが、何を評価するのかというときに、先日、御説明いただいたとき にも、国立病院機構として黒字か赤字かという財務のお話が中心でしたが、アルコール 症センターを見てみますと、それだけで評価をするのは非常に難しいとても大切な任務 を担っているところであると思いましたし、せめて旧国立病院系と療養所系と分けて評 価をするというのは突飛な意見でしょうか。 ○黒川部会長  これは全体としては大臣から言われている中期目標があるわけなので、その目標につ いての中期計画というのをそちらの執行部としてはやっているわけですよね。そうなる と、これは1回目のときから議論が出ているのだけど、私たちは一体何を評価するのか ということから言うと、パブリックの側からいって、国立病院という巨大な戦艦ができ ているわけなのだけど、それは確かに今おっしゃったような難病のものから急性期の病 院をやっていて、地域によって役割が違って、それを全体でまとめているから、さて、 それぞれ評価をするというのがどんなものかなというのは最初から問題があるわけです ね。それは、大学の評価の場合は、大学は一つ一つが別々の法人になってしまったので、 同じ評価としても似ているようだけどサイズが違うというだけのもあるのだけど、その 辺を、今は中期目標ができているのでそれに対して計画を評価しているという話なので、 恐らく先生の言うことはもっともで、前からここで出ている例えば労災病院などでもど うして一緒に評価しないのかという話がありますよね。  ところが、御存じのようにこの間の法案が通って、次の医療計画の18年度から例えば 都道府県で医療計画を書きなさいなどというふうになってきましたね。そうなると当然、 公的な医療のサービスを提供するところも、国立病院があるし、労災病院もあるし、厚 生年金もあるし、国立大学附属病院もあるし、県立中央病院もあるし、市立病院もある しなどというところが全体に似たようなことをやっていてもしょうがない。それは国の 政策で初めて出てきたことなので、それをどういうふうに国立病院として役割を果たす かという話は確かにあると思うのだけど、現在のところは一つの法人になってしまうと、 法人としては全体の公立、それから財務状況という話をどうしてもやらなければ理事長 としては立場がないわけなので、それはだから中期目標をどういうふうに変えていくか という話になってくるのではないかなと。  あとから出てきた政府の、都道府県で医療計画をつくってきなさいよというような話 になってくると、ガラッと医療政策は今ものすごく変わってくるので、それにどう対応 するかというのは、むしろ厚労省の中期計画を変えるのか、あるいは地域の医療計画を どうやっていくかという都道府県の長、知事さんの権限になってくると思うので、その 辺がこれから大きな課題になってきて、その中でこういう国立病院のような全国の大き なネットワークはそれぞれ何をするかという話が出てくるのではないかと思うので、先 生のおっしゃることはパブリックの側から見れば当然の話だと思いますけどね。 ○井伊委員  確かに社会保障審議会の医療部会など、医療提供体制を議論しているところがありま す。ここでの役割は国立病院機構の評価をすることだと思いますが、ここの部会は専門 の委員も多いことですし、ここで議論されたことを議事録としてまとめて医療部会に提 供するなどして、せっかくの議論ですので参考にしていただければと思います。よろし くお願いいたします。 ○黒川部会長  厚労省として、大臣としてはどうしたいかという話が次には出てくるのかな。矢崎理 事長としては、そんなことを言われても私はやる仕事をやっているだけなんだけどね、 という立場かもしれないけれど、十分わかっておられるけれども中期目標にある程度縛 られているところがあるものね。そういう意味ではこの評価票は今のところはこれでい って、またその次の問題としてこちらが投げ返しておくというプロセスはすごく大事だ と思いますけど、理事長、何かありますか。もしあれば。 ○国立病院機構理事長  おっしゃるとおりで、あとで最初に申し上げたいと思いますのでよろしくお願いいた します。 ○黒川部会長  というわけで、きょうはこれから評価についてのいろいろなプレゼンテーションをや っていただくので、それは総論として確かに大事だと思います。だけど、総論の枠組み はもっと大きな枠組みで日本の政府としての政策の執行というところになると、それを 受けて中期計画、あるいはそれに沿ったこちらの評価というのはだんだん出てくるので、 井伊先生のおっしゃることはまことにもっとも至極だと思っています。ぜひそれを取り 入れて、それは吉田さんの方、どこか中でちゃんと挙げておいてください。  そのほかに……。よろしいでしょうか。もしよろしければ、今度変えますが、それに よって個別評価項目に沿って評価を行うことにするということで、これは今終わってい る評価、きょうの評価にはこういうふうになったところで出てくるわけですか、これか らは。 ○政策評価官  冒頭申しましたように、きょうはこれを前提にした枠組みでやらせていただいており ますので、ここの形で今改めてお許しいただければ、これを今年度の評価に当たっては 枠組みとして固めさせていただく。また、御議論があれば、去年もそうでありましたよ うに、議論をしながらということはあるかと思いますけれども、17年度の実績評価はこ の枠組みでお願いできればと事務局としては思います。 ○黒川部会長  よろしいでしょうか。そうすると、これにしても去年の評価を聞いた皆さんのリスポ ンスとかいろいろなことを入れながらこちらも進化しているプロセスなのかなというこ とですが、中期目標が変わらないと全体の枠組みはなかなか変えにくいだろうというこ とは確かなので、厚労大臣としては今度の医療政策とか都道府県の医療計画に対応して 国立病院をどうするのだという中期計画が、今度はいつ出てくるの。今は何年目だっけ。 ○政策評価官  2年目です。実績として3年目に入ります。 ○黒川部会長  そうですよね。わかりました。そこでまた中期目標をどういうふうに来年はセットし ていくかという話とかかわってくるかなと思います。よろしいでしょうか。 ○政策評価官  ありがとうございました。 ○黒川部会長  それでは、17年度業績にかかわる個別の項目についての評価ということで、実績の評 価に移りたいと思います。最初に事務局から参考資料についての説明をいただき、それ から説明というかプレゼンテーションをお願いしたいということです。よろしくお願い します。 ○政策評価官  参考資料1、2、3でまず状況を御報告したい。4で、少しきょうの進め方について お諮りをしたいと思っております。  参考資料1は、ことしの春といいましょうか昨年度末に、中期目標、中期計画でCI O及びCIO補佐官という業務・システムの最適化について御議論をいただきました。 その際に、17年度中にそれぞれの独立行政法人はCIO及びCIO補佐官を置くという ことが求められましたので、当部会で御審議をいただきます国立病院機構を初め、全体 について参考資料として用意させていただきました。  これに基づき、例えば国立病院機構は大きなシステムをもっておりますので、今後、 18年度、この業務・システムの最適化に向けて取り組みが始まります。その始まった取 り組みについては、来年の今ごろに18年度の実績としてまた御評価をいただくことを予 定しております。  二つ目が参考資料2でございます。独立行政法人に係る随意契約の適正化ということ でございまして、随意契約につきましては、当部会においても国立病院機構の関係につ いてこれまでも取り上げていただいているところでございますが、政府全体として独立 行政法人についての一つの方向が定まりましたので、それについて御報告をいたします。  参考資料2にございますように、独立行政法人についても国が契約当事者となります 随意契約の見直しに伴いまして、ここにございます(1)、(2)、一般競争入札が原則であっ て、随意契約は真にやむを得ないものに限るとか、あるいは法人出身者が再就職してい る法人との随意契約については、厳正かつ積極的に見直すという方針のもとでその見直 しに取り組んでいただくことを、政府全体、全法人に対して求めているところでござい ます。  参考にございますように、厚生労働省においては、ことしの6月に省としての見直し 計画を策定したところでございますが、これに基づきまして各法人にも要請をしておる。 それが下でございまして、四つほど矢印がございますが、大きくいえば一つ目、二つ目、 したがって随意契約に関する基準をまず明確にして、ホームページで公表するというこ と。二つ目に、明確にした基準のもとでやむを得ないとして随意契約にした場合には、 随意契約内容をホームページで公表するということ。  二つ目の公表に当たりまして、特に小額の随意契約をどこまで認めるかという基準と か発表する際の範囲などにつきましては、国なり厚生労働省の基準なりを斟酌していた だきながらそれぞれの法人で今後お決めいただく予定にしております。  参考資料の2ページ以降は、法人の契約事務に関して、この間、各般からいただきま した指摘について、その事実関係をまとめております。  国立病院機構については、先日来、御審議いただいておりますように、今、随意契約 をめぐるいろいろな取り扱いについて実績あるいは今後の方向を見直している作業中と いうことで前回も御報告があったところでございますので、それがまとまり次第、機会 を得てこの部会においてもその状況について法人から御報告をお願いしたいと思ってお ります。  参考資料の3は、これは昨年の評価のときにも参考という形で御報告したかと思いま すが、部会で御評価いただきます国立病院機構の役職員の報酬及び給与についての水準 の事実関係でございます。特に話題になりますのは資料の10ページでございますが、法 人の職員の給与水準を国家公務員と比較した要するにラスパイレスの指数ということで ございます。そこに、事務・技術職員あるいは研究職員、病院医師あるいは病院看護師 という形で、いわゆる国家公務員と他の法人との比較の指標がございます。御参考まで にということで用意をいたしました。  以上3点が報告でございます。  あと二つございます。参考資料4でございますが、本日からの実績評価、個別項目の 評価の進め方についての御確認でございます。基本的には同じでございますけれども、 この後、理事長及び副理事長から重点事項の御報告をいただき、全体14項目ございます が、これを分けて法人からのプレゼンをお聞き届けいただいて質疑をしていただいたあ と、評価シートへの記入をお願いする。全体14項目、資料をごらんいただきますと非常 に大部でございますので、本日は8時までお時間をいただいておりますが多分最後まで いかないということで、予定では参考資料4の2ページの項目グループで申しますと、 6の「災害当における活動」、どちらかというと医療関係というサブスタンスのところ の固まりを本日、御議論をいただければと事務局としては考えておりますが、これは進 行の中で今回、前回に分けてプレゼンを聞いていただき、評価をいただければと思って おります。  最後に、机上配付資料として、厚生労働省の独立行政法人の評価委員会、昨年の各個 別評価がどんな感じであったか。これは総会でも御議論いただいておりますが、それぞ れの部会がそれぞれ御担当の法人を評価いただいていますが、お互いに情報を共有し合 いながらいくのも一つ大事ではないかという御指摘もございましたので、昨年も配付い たしましたが、こんな感じであると。それぞれ法人の使命なり立て方が違いますので、 それぞれに一つ一つのこととは思いますけれどまとめた一覧性のある資料として用意い たしましたので、御参照いただければと思います。  私どもとしては、まず個別の評価に入っていただく前に御報告したいことは以上でご ざいます。 ○黒川部会長  ありがとうございました。参考資料の1、2、3は報告ということで、一つはCIO の設置状況、2番目は随契についての見直し、これは全省庁のところですがやっている。 もう一つは報酬・給与改定が公務員にならって10ページにあるようなレートにしたいと いうことで、これは報告ですね。ということで、何かコメントがありましたら言ってい ただければと思います。  あとでまた何かありましたら、お手紙なりメモなりをいただければと思いますので、 早速、長丁場でございますが、個別評価の項目の評価の進め方ということでよろしいで すかね。去年を思い出すと、長丁場でくたびれてしまうなという感じがしますよね。  また評価書で、去年と同じですが起草委員で評価をまとめて一緒に事務局方とつくっ ていただく方ですが、また、開原先生、お願いしてよろしいですか。あと、井伊先生と 夏目委員によろしくお願いしたいと思いますし、財務諸表については住田委員ですので、 よろしくお願いしたいと思います。よろしいですか。本当にお忙しいところを御苦労さ まですが、よろしくお願いします。  それでは、17年度の事業の重点事項ということで30分ほど話を伺いたいと思います が、それについて矢崎理事長と河村副理事長からいいですか。事業のうちの重点事項と いうことで御説明いただければと思います。よろしくお願いします。 ○国立病院機構理事長  どうもありがとうございます。暑い中、お忙しい中、また、ことしも暑い夏をすごさ ねばならない評価委員の先生方には大変申し訳なく存じております。17年度の事業概要 を御説明する前に、冒頭、今、井伊委員と黒川部会長との間で御議論いただいたものを ちょっと整理する意味で1枚紙を用意しましたので、よろしくお願いします。  すなわちどういうことかというと、井伊委員が御指摘の我々が担っている医療をどう 評価して、それをどう推進して活性化するかというのが一つありますね。もう一つは、 黒川部会長が言われた、もう既に中期目標というのが定まっている。その大きな基本は、 5年間で収支相償化しろというのが大前提なのですね。それが二律背反というか相矛盾 する使命を当初から我々は担わされて、そこをどういうふうにするかというのが機構本 部の一番大きな仕事ではないかということであります。  繰り返しになりますが、先ほど井伊先生の御指摘のように、国立病院機構の146の病 院の3分の2近くは旧療養所で特殊疾患対応の病床の病院であります。その中に一部、 一般病床を持っておりますが、一般病床もたいがいはそれに関連した難病の方を収容し ている。55の病院は急性期対応の病院でありますが、その中におのおの少数ながら特殊 疾患対応の病床を持っている、こういう特色があるかと思います。  すなわち特殊疾患対応の病床というのは、民間はもちろんのこと、公的病院でもアプ ローチ困難な、言ってみれば採算がどうしても取れないような、しかし国民にとって大 変重要な医療、いわゆる政策医療の感染症とか重心、筋ジス、精神、神経難病などの患 者さんのケアをどう進めるか、これを91病院が担っているわけであります。  そういう構造の上に、それらに加えて我々には下に書いてあるような使命を担ってい るわけです。  一つは、地域における医療のセーフティネットの中核を担いなさい。  2番目は、地域における医師、看護師の育成、よき医療人の育成をしなさい。  3番目は、医療の改善を目指した臨床研究の推進ということでありますが、その内容 としては、146の病院のネットワークを生かした大規模な臨床研究によって医療の基準 となるスタンダードを明らかにしなさい。  もう一つは、六つのナショナルセンターがカバーできない腎臓とかあるいは免疫、ア レルギー、運動器といった領域で、前は準ナショセンという位置づけで病院が受け持っ ておりましたが、そういうものに取り組みなさいというのが一つあります。  それから、我が国における医療政策への貢献と災害時の医療支援でございますが、国 が医療政策を展開するためのモデルと、受け皿であるいわゆるプラットフォームを我々 機構が提供するという使命になっているわけです。例えば医療観察法病棟の開設ですね。 これは自治体病院その他が開設することになっていましたが、結局は住民の反対、いろ いろな状況で国立病院機構しかこの病棟を開設できなかった。それから、新興感染症に 対する対応など、国の医療のセーフティネットを担う極めて公益性の高い医療を我々は 行っているわけであります。  それにもかかわらず、先ほど申し上げましたように中期目標では国からの補助金をも らわずに自己完結型の運営を行いなさい、と。これは全く矛盾した二律背反の使命を我 々に課しているわけですね。それを私は文句を言いたい。だけどもこういうことですの で、機構本部としては大変な苦労をして今日まできたわけであります。  国立病院の運営がどう変わったかということでありますが、これは去年申し上げまし たように自分の財布を持つということになったので、病院それぞれが自己完結型の運営 をしなければならないということで自主自立性の確立を目指しているわけですから、私 は最初に、迅速主義、現場主義、業績主義の三つのキーワードで行動を起こしなさい、 と申し上げました。それは、現場、すなわち病院あるいは地域のニーズをしっかりくみ 上げて適切な方向性、意思決定を行って、それを迅速に実現する。こういうことをやっ て、そして努力した人が報われるいわゆる業績主義を導入して、病院長以下、重い自己 責任を感じて意識改革をしてくださいということできたわけです。  そういうことで、大変な苦労をしながら今日まできた2年目の17年度の事業概要の説 明を申し上げたいと思います。1枚おめくりいただいて、左側は大体今御説明申し上げ ましたが、我々の担っている医療の質の向上のための診療事業と臨床研究事業と教育研 修事業の3本柱で医療の事業を支えているわけです。それから、その下に、安定的な経 営基盤を確立するためのいろいろ経理、財務の工夫をして、5年間で中期目標のいわれ る経常収支、累計で100%以上、国から補助金をもらわないという目標を課せられてい るわけです。  したがいまして、左の5番目の財務に書いてありますように、一つの丸印のように各 病院が自己完結型の運営、経営をしなさいということになるわけですが、しかし先ほど 申し上げましたようなとても採算の合わない政策医療を担っているような病院では、と ても赤字から脱却することは不可能なわけです。そうすると、これは法人全体で自己完 結をするような仕組みを考えないといけない。それが我々の工夫したノウハウでありま す。  その結果、下の白丸にありますように、経常収益7600億のうちに国からもらっている 運営費交付金の占める割合は509億ですから6.6%にすぎません。その中で国自体の債 務の426億円を除くと83億になって1.1%ですね。さらにその中で、先ほどから御指摘 のありましたとても採算の合わない政策医療に対する支援金は40億。146の病院でたっ た40億なのですね。それは全体の0.6%にすぎない。しかもそれは政策医療全般に使わ れるのではなくて、結核の空床手当とか救急に対するものであって、いわゆる政策医療 を含めたものに対する補助金では全くないわけです。ですから、そういう収益が得られ ない領域に対しても我々は一銭も交付金をもらっていないということを声を大にして言 いたいのですね。  いつも独法、独法と言われて一緒くたに語られていますが、我々はそういう意味では 本当に貴重な政策医療をやっていながら、いわゆる補助金というのはもらっていない。 それを声高に申し上げたい。それには大変な工夫で、それはあとで企画経営部長などが 苦心惨憺している内容をお話ししてもらうわけですが、17年度の取り組み状況というこ とで、これはぜひ詳細は医療に関しては医療部長からあとで述べていただきますが、評 価は中期目標に対する絶対評価でありまして、各年度の相対評価ではないということを ぜひよろしく御認識いただきたいと思います。  診療業務というのは、そこに三つありますが、「患者の目線に立った医療の提供」。 これは患者さんの満足度調査などによってフィードバックして患者サービスの向上に努 めていますし、セカンドオピニオンの窓口をつくったり、あるいは地域によっては土日 あるいは大型連休のときに医療機関がみんな休んでしまう、診療所も休んでしまう、ぜ ひ国立病院機構の病院はあけてほしいという要望がありましたので、救急外来は年中無 休ですが、休日のそういう検査とかそういうものをやるように指導いたしまして、皆さ ん、協力していただきました。  「患者が安心できる医療の提供」では、医療安全に対しては万全の準備をしています し、地域のニーズに応じた救急医療に対しても我々は頑張って、ほぼ中期目標に達する 活動を行っています。  「質の高い医療の提供」としては、入院治療のときの過程を入院前に経過をしっかり 患者さんに示す、そういう医療を75.5%、ほとんどは今はクリティカルパスでチーム医 療を中心としたことをやっております。それから、長期にわたる療養の患者さんのQO Lを向上させるための、去年申し上げましたように療養介助職がいよいよ採用開始にな りまして、これは今後も多くの病院が採用することで、好評を得ているところでありま す。  それから医療安全を推進するための臨床研究を進めている一方、例えば医薬品に関し ても多くの医薬品がございますが、それを整理整頓してヒューマンエラーが起こらない ような、あるいは薬剤管理を効率化するために絞り込みも行いました。  それから、去年、新たに我が国で結核の退院基準をつくったというお話を申し上げま したが、それを導入しまして実際に在院日数が短縮して患者さんの満足度が向上すると ともに、その基準が我が国の現状に合っているかどうかをフォローアップするための研 究も続けて行っております。  それから、地域との連携を促進するための紹介率の上昇とか、先ほど述べました触法 の患者さんの病棟の開設などがあります。  次のページは臨床研究業務。これは詳しくはあとで医療部長からお話しいただきます が、先ほどから述べている大規模臨床研究とか治験の推進、あるいは臨床研究の一部と して我々が担っている医療のうちの高度先進医療の導入などを行っております。  教育に関しましては研修に力を込めて、卒後の臨床研修だけではなくていわゆる後期 臨床研修に関しては我々の機構の医療の内容をよく理解した医師を、さらに専門性を高 めるための専修医制度をつくって、ことしからいよいよ募集が始まったところでありま す。  その他の業務としては、業務の適正かつ効率的な実績を図るための内部監査を実施し たり、一般管理費の削減を行ったり、病院の再編・統合、これは順調に進めることがで きたということであります。  では、財務状況について河村さんから説明をいただきます。 ○国立病院機構副理事長  副理事長の河村でございます。財務状況について御説明いたしますので4ページをご らんいただきたいと思います。左側に損益計算書、右側に貸借対照表が載っております。  国立病院機構の事業規模は7500億内外ですが、この1年間で200億円ほど収益がふえ ております。費用もそれに見合って170億円ほどふえておりますが、御注目いただきた いのは下から4段目の経常利益と一番下の当期純利益でございます。  経常利益につきましては、16年度、やっとやっと何とか2億というかわいい黒字が出 たわけですが、17年度においては36億円と大幅に改善をいたしました。  それから総収支ベースの一番下でありますが、16年度はマイナス16億円だったもの が17年度はいよいよ2年目にして純利益3億円の黒字経営を実現したところでござい ます。  右側にまいりまして、ポイントは真ん中の※でありますが、16年度は財投の借入金残 高7400億円であったわけですが、それを200億円ほど減らして7193億円になっている。 財投期間債を30億円ほど発行いたしております。こうすることによって、トータル176 億円ほど長期債務残高を減らしたということでございまして、16年度でみますと長期債 務が7400億円あったわけです。経常収益、左の欄を見ていただきますと、ほぼ見合いの 経常収益。経常収益と長期債務残高がほぼイコールであったということでありますが、 17年度をごらんいただきますと7665億の経常収益に対して7200億円程度の長期債務 と、94%程度にまで減らすことができたということでございます。  一方、ここには書いてございませんが、投資実績は支払ベースで見まして16年度は 368億円だったものが17年度は422億円と、投資実績も着実にふえておるというのは、 これもまた後ほど詳しく御説明できると思います。  次のページですが、それではどうやって経常利益が2億円から36億円になったのかと いう要因分解をいたしました。  一つは上位基準の取得。在院日数の短縮等によって上位の基準を取る。右側の欄に上 記基準の取得は47件と書いてございますが、これのほか、こういう入院基本料に加えて の加算があるわけですが、加算でもやはり75件ほど新たな取得ができております。その ために50億円ほどのプラス。  それから、給与制度の見直しというのは引き続きやっていまして、だんだん毎年効果 があらわれてくるものでありますが、22億円ほどの効果があらわれて、しかも年齢層全 体としては若返り効果が起きているということでございます。  それから、医療機器の更新。設備投資も積極的に進めた結果、減価償却費は見合いで ふえておるわけでございます。  それから会計方針の見直しと書いておりますが、この6月のボーナスに係る前年度分 の給与本体を計上しておったのですが、その給与本体に見合う事業主負担部分というの はこれまで計上していなかった。それは、ルール上、認められないというわけではない のですが、一般民間企業を見てみますと事業主負担分まですべて引当金として計上する というのが本来の姿であるということで、この際、直したいということで、22億円ほど 利益は減りますがやはり本来の姿に戻したいということでございます。  そういったものをすべて積み重ねますと、診療業務としてはプラス5億円。そのほか、 教育研修なり臨床研究業務収益等をあげまして、トータル、17年度経常利益は36億円 だったわけでありますが、あと、臨時収入及び臨時損失、これらを相殺いたしますと、 総収支ベースでは当期利益3億円の黒字と相なったわけでございます。  6ページをごらんいただきたいと思いますが、それでは今年度、何をするかというこ とでございます。  一つは心神喪失者医療観察法でありますけれども、17年度は4施設を整備いたしまし たが、現在動いておりますのは7施設になっております。今年度末には10施設になる予 定です。来年度に若干持ち越しますが、最終的には13の施設が動き出すことになろうか と思っております。  それから障害者自立支援法の施行ということでございますが、私どもの入院しておら れる方で重心の方は8000人、筋ジスの方が2000人ということで、こういう方々が自立 支援法の対象になるわけでありますが、個別の支援計画を作成して処遇を充実させる。 それと同時に、受入れ体制として療養介助職、17年度は143人ふやしたわけですが、さ らにふやしていきたいと思っています。  3番目が大規模治験であります。これは、受託枠ベースで着実に、しかもかなりのス ピードでふえております。15年度で29億円の受託額であったものが16年度は36億円、 17年度は44億円と、かなりのスピードで拡大しているのが現状でございます。  後期臨床については、後ほど詳しい説明があると思いますので省略します。  それから給与構造改革。国家公務員にならっておるわけですが、国家公務員以外の独 自性としては、管理職については既に業績評価というのを17年度は実施をいたしており ます。18年度はぜひ一般職員も含めて業績評価を行いたい。この辺がいわゆる国家公務 員と少し違う。私どもの方が少し先行しておる部分だと思います。  それから、債務を減らしながら、なおかつ事業量を確保する。そして必要な整備を行 いたいということで、一つは建築単価の見直しを進めていることと、それから典型例と しては黒字病院の黒字でありますが、余裕資金を預託金として内部運用することで自己 資金を効率的に運用したいということでございます。そういったことで計画的な投資を 推進したい。  最後になりますが、契約の透明性の推進であります。これは随契の見直しあるいは競 争契約の徹底ということで現在、作業中でありまして、次回、あるいは次々回に御説明 をし、御報告申し上げたいと思っておるところでございます。  以上でございます。 ○黒川部会長  どうもありがとうございました。全般的なところで説明いただいたわけですが、これ について最初から矢崎理事長がおっしゃるように、55の病院と91のいろいろな政策医 療的なものの受け皿もやっているというような話もあり、確かに井伊委員がおっしゃっ たような両方を満足させるのはなかなか難しいわけですが、こういうことで何かコメン トそのほかございますでしょうか。 ○住田委員  最初から財務的なことをお話しになりましたのでちょっと確認したいのですが、理事 長が個別の病院というよりも全体としてのことをおっしゃいましたよね。私も、確かに 経営というのはそういうものではないかと思うのです。それから井伊先生がおっしゃっ た、私も久里浜へ行きましたが、ああいうような評価の視点というのが黒字になったか らいいというのではないというのはわかるのですが損益の構造的なことを、私はこれは 聞いた方がいいと思ってあらかじめ聞いたのですが、確認をしたいのですが、一つずつ の診療所を合計すると、僕は自分で電卓を入れたのですが90億ぐらいの赤字になってい るのですね。だけどその原因が、全体的なことを一つとしてまとめて効果をあげるとい うことで、3%の営業収益を本部に振り替えているのですね。そうすると200億ぐらい の振り替えというか、本部への結果的には収益みたいになるわけですね。それを、理事 長は今、40億とおっしゃったけど、私はもうちょっと経営が悪いところに還元されて、 そして全体としての一つの組織体としての収益向上に貢献されていると思うのですが、 そこのところは、私は確認した方がいいと思って聞いたのですが、これは大事なことで すからもう一回確認をしたいのですが。構造的なことですね。 ○国立病院機構理事長  おっしゃるとおりに、40億というのは運営交付金のお話を申し上げました。旧療養所 を含めた赤字はトータルは恐らく200億ぐらいですよね。 ○国立病院機構副理事長  364億円。 ○国立病院機構理事長  2年間ですね。 ○国立病院機構副理事長  ええ。 ○国立病院機構理事長  2年間で膨大な数字なのです。ですから、本部でいろいろ、先ほどの3%の拠出金と かそういう工夫をしない限り、三百六十何億円というものを国からもらわないとやって いけないわけですね。今の時代はそういうことはできないので、40億という国からもら っているのは政策医療、三百九十何億円のではなくて、空床手当とかそういう結核のも のであって、政策医療に対しての補助金は我々はもらっていない。運営交付金の40億と いうのはそういう意味でございます。 ○住田委員  僕は、けちをつけようとかそんなことは毛頭ないのです。損益の36億という経常利益 はどういうふうに積み立てて出たかということの確認をしたかったのです。それは、私 のみならず委員の先生も御存じの方がいいと思って質問をしたのです。国立病院機構の 一つの組織としての成果ですから、75の赤字の病院があるはずなのです。ですから、そ この赤字のところをいいところが埋めていくというのは経営の常道ですから、それにつ いてとやく言っているわけではなくて、36億円だとみんな病院が少しずつ黒字になって 積み上がったような印象を与えてはいけませんので、3%の病院収益を本部に吸い上げ て、それを悪いところに還元していって、全体としての収益というか全体の組織体とし ての成果をあげようということですね、という確認をしているので、何もけちをつける とか悪いとかそういうことを言っているのではないのです。 ○国立病院機構理事長  全くそのとおりです。 ○住田委員  ですから、その辺は委員の先生も知っていた方がいいと思うのですよ。36億が施設の 方から少しずつ少しずつ出てきたのではなくて、この厚いのを私は自分で入れてみたの ですが、一つずつの合計をすると91億ぐらい赤字になっているはずなのです。ですけど、 それは経営体、組織体は一つですから、悪いところをいいところでカバーしてやろう、 そういう損益の構造になっているんですね、ということを確認したかったわけです。 ○国立病院機構理事長  全くそのとおりです。財務諸表だけ見るとそういうところがあらわれてきませんので、 あとで企画経営部から詳しいお話があると思います。ただ、今おっしゃられたような黒 字の病院から黒字を取り上げて赤字に補填するとモラルハザードが起こって、黒字の病 院が、じゃあおれたちは何なんだという疑問が出てきますので、我々としてはそういう 単純な方式は取るのをやめようということで、ともかく赤字病院はやはりむだなところ もあるのですね。政策医療ということでまだ親方日の丸みたいなところがあるので、で きるだけ運営の効率化、人件費削減によって赤字幅をどんどん少なくしましょう、と。 ただ、赤字を黒字にするということはとても望めないところが多いわけですから、それ をどういうふうに、要するに改善する努力を評価しながら、そういう病院にも評価して あげて投資をしてあげることが本部の役割ではないかと思います。おっしゃるとおりに どんどんもうけて36億もうけたという話では決してございませんので、御指摘ありがと うございます。 ○住田委員  くれぐれも言っておきますが、それは当たり前のことなので、僕はけちをつけようと かそういうことではないので、そこのところはよろしくお願いします。 ○開原副部会長  一つ確認で医療観察法病棟の話なのですが、医療観察法病棟を国立病院機構がお引き 受けになっていることは本当にすばらしいことだと思っておりまして、本当に国立でな ければできないことだと感心をしているのですが、ただ、財政的に言うとこの話は、そ れは国立病院の予算とは別なところから出ているのではないかという感じがするので、 財政的にみると、必ずしもそれを引き受けたからマイナスになるということではないの ではないかと思うのですが、そこのところはちょっと確認なのですが。 ○国立病院機構副理事長  財政的には、おっしゃるように、これを引き受けたから赤字がさらに拡大するという 性格のものではなくて、採算ベースに合う程度の診療報酬というかそういったものはい ただけることになるということでございます。 ○開原副部会長  診療報酬としてやはり出てくるということ……。 ○国立病院機構副理事長  いわゆる保険収入ではないのですが、全額、税財源で補填される広い意味での診療報 酬ですが、いわゆる社会保険診療報酬ではないということであります。むしろお金の問 題よりも、能力とか積極的に引き受けられるだけの態勢があるかどうかとか、そういう 性格のものだと思いますが。 ○開原副部会長  本当におっしゃるとおりで、大体周辺の人が反対してみんなが引き受けないわけです から、それをお引き受けになったことは本当にすばらしいことだと思います。 ○夏目委員  18年度最後のところの取り組みで、今、給与構造改革に伴う措置のお話がされまして、 管理職についてはもう17年度から業績評価を始めたというお話が出ました。評価主義、 業績評価による成果主義というのか、そういう手法が非常にある部分すばらしいという ことで、民間会社は相当進めたのですが、若干行き過ぎがあって、その見直しの議論も 一部の民間会社では出ておるという状況のようです。公務員制度にどっぷりとつかった 横並びの悪平等から脱するために私は業績評価というのは必要だと思うのですが、管理 職に実施してみて、まあ1年の実施では利害得失というかハレーションというかその辺 がはっきりしないのかもしれませんが、どんな状況なのか。やはり相当効果があって相 当社員のやる気、モラルの向上の方につながっていっているのか、その辺はいかがなも のでしょうか。 ○国立病院機構副理事長  まだ始めてそれほど時間がたっているわけではないのですが、ただ、公務員特有の悪 平等というか、全然働かなくても何年も勤めれば自動的に給料が上がっていくというの から私どもはどうしても脱皮したいということで始めております。特に医長以上のドク ターについてはかなり綿密な業績評価をしてやっていますが、そこには一定の財源を用 意して、本当にすぐれた人には多くの給与がわたるようにしましたので、それについて は各病院長さんにも非常に好評です。それから病院長さんとしては、リーダーシップが 発揮しやすくなったということも一つあるようです。  悪弊があるとは聞いておりませんが、もっと詳しく分析していろいろな声を聞いた上 で、もし、直すべき点があれば直していきたいと思います。 ○国立病院機構理事長  私は医師を中心にこれをやっていきたいということで取り入れたのですが、今までは 国立病院は、働く医師もそうでない医師もみんな給料は同じなのですね。ですから、あ るいは患者さんに非常に親切で人気の高いドクターと、全然そうではなくてひまになっ てしまったドクターと給料が同じというのはおかしいのではないかということで、やは りこれは随分医師の、お金をもらえるからどうのということではなくて、一生懸命医療 に専念すれば収入は上がるというシステムは重要だと思います。ただ、おっしゃるよう に、今後、すべてに業績評価を取り入れたときの問題点は検討していかないといけない 課題だと思います。十分用心しながらやっていきたいと思います。 ○夏目委員  済みませんもうちょっと、しつこいようですが、やはり業績評価の場合は、目標とか そういうものを本人に提示させ、そしてその目標に対する到達度を評価する。そしてそ の結果を本人にも開示するという手続が必要だと思うのですが、そこはそういう手続を 踏んで。 ○国立病院機構理事長  病院長に全職員の面接をしていただいて各自に到達目標を出していただいて、そして 業績評価の時点にはそれに照らして評価するということで、それを基本原則でしっかり やっているつもりです。 ○夏目委員  管理部門の、例えば本省から出向されているような方にもそういう業績評価をされて いるのですか。 ○国立病院機構副理事長  本部ブロックの管理職員については、ボーナスの際にやはり同じように業績評価をし ています。 ○黒川部会長  病院の今の支払はDPCになっているわけですか。そうではない。 ○国立病院機構理事長  DPCはごくわずかです。 ○黒川部会長  そうですか。そこはやはりよそより収入がよくなるわけ。 ○国立病院機構理事長  必ずしもそうでもないですね。 ○黒川部会長  そうですか。そのほかに。 ○山田委員  2年目にしてこれだけの黒字化したというのは大変すばらしい成績だと私は評価させ ていただきたいと思うのですが、ただ気になりますのは、旧療養所系の91病院というの がかなり重荷になっているだろうということがあると思うのです。この財務書類をよく 見れば当然わかるのだろうと思うのですが、91病院ではどれぐらいの赤字になってい て、急性期55病院の方ではどれくらい黒字が出ているか、その辺の数字を教えていただ けますでしょうか。 ○国立病院機構副理事長  お答えしますが、17年度の総収支ベースで申し上げますと、いわゆる旧療養所でも黒 字の病院というのは現実にはかなりある。もちろん赤字の病院の方が多いのですが、93 病院のうち赤字の病院が53病院、黒字の病院が40病院。トータルした純利益なり純損 失、療養所系だけ取りますと、もし違っていれば企画経営部で訂正してもらいたいので すが、トータルで82億円ほどの赤字になっている。具体的に申しますと、黒字の療養所 が60億円の黒字、赤字の療養所の赤字が142億円と。先ほど三百何十億円と言ったのは、 2年通期の。 ○山田委員  なるほど。療養所経営は大変な苦労をされているだろうと思いますし、私としては特 に特殊疾患に対応している病院は非常に大事な病院であると思います。赤字だからとい って絶対にこれを切り捨てていただきたくないわけですので、そういう意味では、先ほ どからの話にありますように補填を十分にしていただけるような対策をお願いしたいと 思っております。 ○国立病院機構理事長  ぜひ応援していただきたいのです(笑い)。大変な思いをしてサポートしていますの で。 ○黒川部会長  そのほかによろしいでしょうか。次のヒアリングをして、また考えることがあったら いただくことにして、次に診療事業というところに入りたいと思いますがよろしいでし ょうか。個別の項目だと、参考資料4、2ページの別紙の1、2、3、診療事業という ことについてお願いしようということですがよろしいでしょうか。 ○国立病院機構医療部長  医療部長の牛尾でございます。これから、平成17年度の事業について御報告いたしま す。  かなり大部でございますし、昨年の反省を込めまして、事業そのものは16年度から継 続しているものでございますが、特に平成17年度に新しく取り組んだところを重点的に 御説明させていただきたいと思っております。それから、評価シートに関して説明資料 という非常に分厚いものも用意いたしましたが、これを一つ一つめくっていただきます とまた時間がかかりますので、できるだけ評価シートに沿った説明をさせていただきた いと思っております。  では1ページでございます。まず診療事業(1)「患者の目線に立った医療の提供」。 ここは、中期目標では説明・相談体制を充実する。そして患者満足度を測定する、それ からセカンドオピニオン制度を導入する等々が書いてございます。  まず(1)の「わかりやすい説明と相談しやすい環境づくり」でございますが、平成15 年、16年、17年とこの患者満足度調査を行っております。特に平成17年度ではリハビ リテーション分野についての調査項目を追加したのが一つのポイントでございまして、 もう一つは、他の設置主体の病院も132病院から194病院と、ほかの設置主体の参加も ふえているということででございます。そして、満足度調査の平成17年度の結果でござ いますが、総合評価を初め中期計画に掲げられております「わかりやすい説明と相談し やすい環境づくり」に対して、平成16年度よりも高い得点を得たところでございます。  2番として、「わかりやすい説明に取り組みの例」としては、クリティカルパスの積 極的な活動、わかりやすい様式にする、パンフレット・ビデオ等の活用、患者勉強会等 々、病院においてさまざまな努力をしているところでございます。クリティカルパスの 実施件数も17万件にのぼっているところでございます。  2ページ、(2)として「相談しやすい環境づくりに係る取り組みの例」として、相談 しやすい環境というよりは、まず最初にこれは職員が良好なコミュニケーションを取れ ることが必要でございますので、それの研修を行う。あるいは、皆さんが何でも言いや すいように投書箱を設置する、あるいは相談窓口への看護師長の配置等々、これもさま ざまな工夫を行っているわけでございます。  3番目でございますが、これが特に平成17年度で開始したことでございますが、国立 病院機構全病院統一の研修ガイドラインを作成したわけでございます。採用からおおむ ね5年までの看護師を対象に、どのように自分の経歴といいますか技術、知識を深めて いくかという研修ガイドラインを平成17年度に作成したところでございます。その研修 ガイドラインの中の一つの大きな項目が、わかりやすい説明をいかに行うかということ でございます。  次に(2)「セカンドオピニオン制度の実施」でございます。これは中期目標においては 制度を導入するということでございましたが、そういった段階にとどまらず、平成17 年度においては89病院にふえておるわけでございます。それぞれの病院でセカンドオピ ニオンに対応可能な診療科の情報について本部で情報を一元化して、ホームページで情 報提供などをしております。なお、窓口の利用者は1636名でございました。また、この セカンドオピニオンに関する研修会も開催したところでございます。  3ページ、(3)「患者の価値観の尊重」という項目でございます。これも患者満足度調 査のところに入っている項目でございますが、平成16年度よりもいい点数をいただいた ところでございます。  これに関する取り組みでございますが、多様な診療時間の設定に関して、午後外来、 あるいは土日の外来を開催するなどの取り組みを行っているわけでございます。特に、 既に理事長からも話がございましたが、大型連休期間中においても利便性の高い患者サ ービスを提供していく観点から、44病院においてさまざまな対策をとっていただきまし た。例えば、連休期間中に入院して手術をするとか、あるいは再来の患者に来ていただ くということを行ったわけでございます。また土日外来でございますが、平成17年度は 16病院になりました。10病院から16病院ですから劇的な増加ではございませんが、こ れは基本的には予約制を取りまして、特に土曜日の事例が多いわけでございますが、糖 尿病であるとかさまざまな時間のかかる患者さん、あるいは一定の患者さんといいます か、普段なかなかお越しいただけない患者さん等を、そういった土日外来等を設けるこ とによって対応しているわけでございます。  (2)が待ち時間対策に関するものでございます。患者さんに取りましてこの待ち時間 というのが常になかなか点数が上がらないものでございます。実際にお待ちいただいた 時間よりは、待ったという意識の方が問題であろうということでございますので、長く 待ったという感じがされないように、声かけ、状況説明、あるいは閲覧コースの設置、 アナウンス等々の工夫を行っているわけでございます。  4ページがこの項に関する評価でございます。リハビリテーション分野を追加して、 全体として患者満足度調査は上がっている。それから、大型連休期間中の患者利便性の 向上、あるいは土日外来の実施、それから研修ガイドラインの作成、セカンドオピニオ ンの窓口が大幅に増加した等々の観点から、自己評定としてはAをお願いしているとこ ろでございます。  続きまして5ページでございます。(2)として「患者が安心できる医療の提供」でご ざいます。  その一つの項目が「医療倫理の確立」というところで、まずプライバシーの配慮に関 する各病院の取り組みでございます。これは、相談窓口の個室化を強力に進めておりま して、個室化が成功しましたのは平成17年度末で122病院に至っておりますが、そのほ かにもちろん職員の研修を初め、病棟のネームプレートを非表示とする、あるいはドア の遮音性を高める等々を行っているところでございます。  プライバシーの配慮とは一見対極にありますのが情報公開ですが、適切なカルテの開 示については600件の請求がございましたので、一部開示を含めて100%の開示を行っ ております。  3番目の項目が「臨床研究、治験に係る倫理の遵守」でございます。  まず一つに、臨床研究に係る倫理審査委員会でございますが、これは中期計画のとこ ろを見ていただきたいのですが、その中ごろに「なお、小規模病院についてはその負担 の軽減のため、合同開催等により倫理審査委員会を行うこととする」としておりました が、今日、倫理性が高く求められていることもありまして、例えば院内で行います対外 的なアンケートについてもそのチェックが求められることから、すべての施設が倫理審 査委員会が設置できるようにそのひな型を示したところでございます。それに伴いまし て、132病院が倫理審査委員会を設置したところでございます。  また、個別の病院だけではなくて中央倫理審査委員会も開催したところでございます。 それから、治験においてももちろん審査を行っているところでございます。  6ページの(2)は「医療安全対策の充実」でございます。今日的には、この医療安全対 策が非常に求められていると思っております。まず、医療事故というものを適切にとら え、報告し、分析して、それを今後の対策に生かせることが重要なポイントであると思 っております。  まず1番の「医療事故収集事業等への協力」でございます。医療事故情報収集等事業、 医薬品・医療器具等安全性情報報告制度、医療安全対策ネットワーク整備事業、これら に対して適切な報告をするように繰り返し繰り返し病院に対して指示しているところで ございます。  ここで特に強調したいのは2番の「医療安全対策に係る研修体制等の充実」というこ とで、先ほど申し上げました全病院統一の研修ガイドラインを作成したわけでございま すが、その中においても勤務し始めの看護師さんが医療事故に対しての不安があるわけ でございますから、医療安全対策にかかわる基本的な知識・技術を身につけることをこ の研修ガイドラインの中で示しているところでございます。  3番目は「医療事故等の分析とその結果のフィードバック」でございます。すべての 病院で医療安全管理室、医療安全委員会の活動を行っているのは当然でございますが、 平成17年度における新たな取り組みとしては(2)で、院外の第三者が参加する拡大医 療安全委員会の開催でございます。各病院で分析を行うだけではなくて、その中でも警 鐘的意義があると思われる事例については、国立病院機構のネットワークを活用して病 院以外の医師、看護師及び弁護士等が参加する拡大医療安全委員会を開催しているとこ ろでございます。また、事故事例の研究班による分析も平成17年度は行ったところでご ざいます。  7ページは、「院内感染防止対策の強化」でございます。これはすべての病院におい て院内感染防止対策委員会を開催いたしました。その結果、院内感染の発生率も平成17 年度は4704件と、平成16年度と比較すると減少しております。  新たな取り組みとしては5番の「新型インフルエンザ対策の実施」でございました。 いつ新型インフルエンザが世界的に流行するかわからないというのが昨年の夏ごろから 世界的な注目を浴びたところでございます。幸い、現在まではまだパンデミックには至 っておりませんが、できることをできるだけ事前に行っていこうということで、普及啓 発あるいは必要な機材の確保、それから今後、ワクチン治験への協力を機構としても行 っていく予定にしております。  6番として、これは継続でございますが「人工呼吸器の安全性に配慮した統一的仕様 の検討」ということで、医療事故の一つの要因になり得ます人工呼吸器をできるだけ統 一したものにしていこうということで報告書が出されたわけでございます。これを受け て、日本医療機器工業会人工呼吸器委員会に対してその改良等についてお願いしたわけ ですが、なかなかこの進捗状況がよくございませんでした。今後はそれを、仕様の統一 ということでぜひ作業を進めていきたいと思っております。  8ページは、「救急医療・小児医療等の充実」でございます。  まず救急患者の受入れについては、平成15年度に引き続きまして12%増と中期計画 の数値目標を達成いたしました。  それから地域のニーズに応じた救急医療体制の強化ということでは、救命救急センタ ーを新たに平成17年度には2カ所、また平成18年度の話ですがもう1カ所ふえたとこ ろでございます。  24時間の小児救急体制は16病院、小児の輪番制に協力している病院が40病院、その ほか地域の救急医療体制への協力等も行っているところでございます。  8ページの下に評定がございます。すべての病院施設が倫理指針を遵守して臨床研究 を進めるようにしたこと、それから新人看護師が医療安全対策にかかわる基本的能力を 得るようにガイドラインを策定したこと。特にその中でも拡大医療安全委員会を開催し ていること。最後に救急患者については、中期目標に掲げる目標を既に達成したという 観点から、自己評定ではSとしているところでございます。  9ページは、(3)「質の高い医療の提供」でございます。9ページの左側に、中期目 標としてさまざまなことが書かれてございます。クリティカルパスの活用や情報の共有 化、長期療養所のQOLの向上、あわせて在宅支援、病診・病病連携の推進、政策医療 の適切な実施等々でございます。数値目標としては、クリティカルパスの実施件数につ いては50%、高額医療機器の共同利用については40%の増加を図るというのが数値目標 として記載しているところでございます。  まず1番の「クリティカルパスの活用」は、全病院においてクリティカルパス委員会 を設置しておりまして、院内の医療従事者を対象とした研修会も開催しているところで ございます。その結果、平成15年度には75.5%、クリティカルパスの実施件数が増加 しておりまして、中期計画の数値目標を大幅に上回っている状況にございます。  2番が「研修会の実施」でございます。  3番が新たな取り組みでございますが、「地域連携クリティカルパスへの取り組み」 でございます。従来、クリティカルパスはある一つの病院における入院から退院までの 経過をわかりやすく説明したものでございましたが、この地域連携クリティカルパスと いうのは施設間を超えた一貫した診療計画でございまして、別の意味からしますと病診 連携の推進にも役立つものでございます。ただ、これは始まったばかりでございますの で、まだ12病院でございまして、診療報酬で認められることもありまして、主として大 腿骨頸部骨折を中心とした地域連携クリティカルパスを実施しているところでございま す。  2番が「EBMの推進」でございます。まず、臨床評価指標の測定ということで、こ れも国立病院機構のネットワークを活用したさまざまな臨床評価指標を収集していると ころでございます。また、EBM普及のための研修会の開催。  ここで特に強調したいのは、3番目の標準的医薬品の検討でございます。医薬品使用 の標準化、医薬品管理の軽減、それがひいては医療安全に資するという観点から、約1 万401品目について検討を行いましてそれを7582品目にまで絞り込んだところでござい ます。これは今後もやっていきたいと思っております。また、これを医薬品の共同購入 にも活用したところでございます。  4番は、これは力点にしたいところでございますが、結核退院基準の適用でございま す。以前に結核退院基準を策定したわけでございますが、それを実際に機構の結核病床 を有するところで適用いたしました。その結果、平均在院日数が8.1日減少いたしまし た。それだけではなくて、患者さんの満足度を調査しましたところ、70%以上が適切な 入院期間と判断していただいたわけでございます。そういう意味では、今後も引き続き 退院基準の妥当性についての検証を行っていきたいと思っております。  10ページは、5として「EBM推進のための多施設共同研究事業」でございます。こ れはシートの14ページで詳しく出てきますので、そのときにも御報告したいと思います が、平成16年度に採択した五つの研究課題についての患者登録を平成17年度に開始し たところでございます。  続きまして(3)「長期療養者のQOLの向上」でございます。  最初に面談室の設置及びボランティアの受入れ状況でございますが、全146病院にお いて面談室を設置いたしました。したがいまして、中期計画で既にその目標を達成した ところでございます。ボランティアの受入れについては133病院。  2の患者・家族の宿泊施設の設置でございますが、68病院となりまして、平成15年 度に比して26%増となりました。  3番目が重症身体障害者の在宅療養支援でございますが、通園事業の推進ということ でございます。これはB型、A型というのがございまして、B型は利用人数が5人ぐら い、23カ所で行っております。A型の通園事業は利用人数が15名ぐらいで、リフトを 有するバスを整備しなければなりませんが、これは2病院で行っております。  在宅支援の取り組み、これは実施主体が都道府県でございまして、事業の名称として は、重症・難病患者入院施設確保事業というのを都道府県が行っておりますが、機構の 中の16病院が拠点病院、46病院が協力病院となっております。  4番、これは特に強調したいところでございます。身体介助に関して専門的技術を有 する療養介助職の配置を平成17年度に行ったわけでございます。ヘルパー2級、介護福 祉士の資格を有する人を143人配置したところでございます。その効果でございますが、 まず直接的効果としては日常生活ケアの充実が図られたこと、間接的効果としては看護 職員が本来の看護の業務に先年できるようになった、ということが言えるかと思います。  11ページ、「長期療養者のQOLの向上のための具体的な取り組み」、これはさまざ まな工夫を行ったところで資料の136ページから137ページにさまざまな事例が書いて ありますので、ここでは簡単にそれで省略させていただきます。  6番「栄養管理部門におけるフードサービスに関する検討」でございますが、これは 平成17年度に実施したものでございます。入院時の食事は基本的には治療の一環でござ いますが、長期療養者にとりましては食事は楽しみの一つであることは間違いないわけ でございます。そういう観点からフードサービスの質的向上を図ることを目的として、 各病院がどのように工夫していけばいいか、そういった点についての報告を取りまとめ たところでございます。  12ページの(4)「病診連携の推進」でございます。  まず高額医療機器の共同利用でございますが、64%増で中期計画の数値目標を大幅に 上回りました。  紹介率と逆紹介率でございますが、紹介率は42.7%、逆紹介率は33.2%と、それぞれ 中期計画の数値目標を達成いたしました。  地域連携推進室もすべての病院において設置いたしました。  それから、地域医療支援病院ということで、平成17年度には新たに3病院がなりまし て、合計9病院となったところでございます。  (5)「政策医療の適切な実施」。ここの項目が非常に重要であろうと思っております。  まず結核患者の退院基準の実施については、先ほど既に触れましたので簡単にします が、医療の質の向上に資するだけではなくて、入院期間が短縮し患者の満足度も高くな ったということで、非常にいい効果を生んだと思っております。  2番が、既にいろいろ質疑が出てきた心神喪失者等医療観察法施行に係る主導的な取 り組みでございます。実はこの法律は正しく申し上げますと長ったらしい名前で「心神 喪失等の状態で重大な加害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」ということ で、平成15年の7月に成立しました。それが2年後の平成17年7月に施行されること になったわけでございます。国全体としては約700床ぐらいの整備を見込んでおります が、先ほど既に理事長、副理事長から話がございましたようになかなか都道府県でこの 整備が行えない状況でございますから、国から、機構としてぜひこの整備を進めてほし いという要請があったわけでございます。  具体的には、平成17年度中に4病院を整備しまして、18年からはさらに2病院、先 生方にも久里浜アルコール支援センターを見ていただいたわけでございますが、そのほ か、さいがた病院にも開棟しているところでございます。そういう意味で、実質的には 国立病院機構の病院が医療観察法に係る入院病棟の整備に主導的な役割を果たしつつあ り、また、果たすことになるのだろうと思っているところでございます。  13ページ、これも既に話が出ましたが「障害者自立支援法施行に係る積極的な取り組 み」でございます。自立支援法というものが施行されるわけでございますが、その対象 となられる重心、筋ジスの患者さんがたくさん機構の中ではいらっしゃるわけでござい ます。障害程度の判定区分の施行調査や個別支援モデル計画の策定等を行いました。本 格的には本年の18年10月から動き始めるわけでございますので、それに対する遺漏な き体制に取り組んでいるところでございます。  4番が「免疫異常政策医療ネットワークの活動」として、政策医療ネットワークの活 動の一つを取り上げました。相模原病院を中心とした活動でございますが、リウマチ性 疾患のデータベースの構築、あるいは気管支喘息治療の管理といったところを相模原病 院、それから最近では花粉症に関しても相模原病院がよく取り組んでいるところでござ います。  5番の「へき地医療の取組み」として、沼田病院が巡回診療車を使っての活動が評価 され、第18回人事院総裁賞を授賞したことを御報告を申し上げたいと思います。  以上のことから13ページの自己評定でございますが、まずクリティカルパスの普及・ 改善、その実施率をみたところ非常に前進している。それから、全病院において臨床評 価指標の測定を行っている。それから、医薬品の基準化の検討を行った。結核単位基準 適用による適切な結核医療、EBM推進のための多施設共同研究。療養介助職を143名 配置した。それから、心神喪失者等、医療観察法に基づく施設入院機能について機構が 主導的な働きをしてきている。障害者自立支援法の施行に際して、その遺漏なき体制を 取っている。これらのことから、自己評定としてはSをお願いしているところでござい ます。  以上、これまでが一くくりでございます。 ○黒川部会長  いろいろな活動があって、診療活動ということだとかなり身近に感じられるわけです が、これについて何か、どこでもよろしいですからコメントをお願いいたします。 ○開原副部会長  全般的に言えば、本当に努力の跡が見えてすばらしいと思います。率直に、医療とい うのは努力をしたり、また、何かこうしたいというイニシアティブを持ってやっていく と本当によくなるものだと思うので、そういう意味ではこういう形でいろいろな目標を 立ててそのことを達成されていることは、本当に私としては高く評価をしたいと思いま す。  ちょっと変なことを一つ伺いたいのですが、これは余り大した問題ではないのですが、 こういうすばらしいことをやっていることに対して、最近の世の中ではお金が出る場合 があるのだと思うのです。実は先ほど医療観察法病棟の話を伺ったのも、ああいうのを せっかくやるならば、大いに国からそれに対してお金をもらってそれでもうけるといっ たら変な話なのですが、そちらで経済的にもプラスになればいいのではないかなと思っ たことが一つです。  同じような意味で、最近、救急医療とか、特に小児救急などをやると地方自治体が随 分補助金を出している例があるのですね。昔、国立病院の時代は、県からお金をもらう というのはお金が逆流するということで絶対にできなかったのですが、これは独法にな ったら県の補助金みたいなものは最近はもらえるのか、またはもらった事例があるのか。 そして、もらえるのだったら大いにいいことをやって、そういうお金ももらって経営に プラスにしたらいいのではないかなと思っているのですが、その辺は最近の独法になっ たらどういうことになっているのでしょうか、という質問なのです。 ○国立病院機構企画経営部長  先に後段の県からの補助金ですが、我々の組織は国から出資された法人ですので、国 の場合と同じ扱いになっておりまして、補助金はいただけないという形になっておりま す。 ○開原副部会長  もらえないのですか。 ○国立病院機構企画経営部長  はい。ですから、例えば救急医療の補助金とかいうのは普通の場合は県を経由してい ただくのですが、我々の場合は交付金の中に入れ込んで補助金と同等のものをいただい ている。 ○開原副部会長  運営交付金。 ○国立病院機構企画経営部長  はい、そうです。 ○開原副部会長  見かけ上は運営交付金がふえてしまうわけ。 ○国立病院機構企画経営部長  そうではなくて、40億円ぐらいと先ほど理事長から申し上げた中に入っているという ことです。医療観察法病棟は別でして、医療観察法病棟はまさに国の事業として我々が 引き受けてやっておりますので、診療報酬のような形でいただくようなお金、これは実 際に運営して患者さんが入ってくると、その人について幾らという形でいただくことに なります。その前の準備段階の経費、研修を行わないと職員は初めてですから、という 経費だとか、看護師をたくさん雇わなければならないというのが先ほどのシートにもあ りましたが、そのたくさんの看護師を年の途中、例えば5月や6月や7月、8月ごろに 開棟するとなったときには、そのときに40何人という看護師を集められませんので、4 月の頭の段階で集めます。したがいまして、まだお金が入ってくる前、つまり生業のお 金が入ってくる前に看護師を確保しなければならないということで、その部分の人件費 見合いの分はいただいております。  したがって医療観察法病棟について言うと、建物の整備費も補助金をいただいていま すので、経費的には先ほど副理事長が申し上げましたようにペイしている関係にはなっ ております。 ○国立病院機構医療部長  医療観察法について若干つけ加えさせていただきますと、この患者さんは、従来、精 神障害があって犯罪を犯した場合には、無罪あるいは不起訴となって精神保健福祉法の 対象になったのですが、そうではなくて、これは検察官の申し立てで地方裁判所におい て入院させるかあるいは通院させるかという判断を行った方が入ってきますので、いわ ば医療機関がその患者さんを自由に獲得できるような制度ではないのです。ですから、 今の時点でまだまだ病棟整備が進行中でございますから、また国の方もその整備に関す る設備費あるいは整備費というもの、あるいは医療費というものをみてくれていますが、 将来的にこれが経営的にうまくいくかというのは、遠い将来においては若干リスクがあ るということも我々としては承知していなければいけないなと思っております。つまり、 患者さんを我々の努力で獲得できないものですから、その限界はあるなと思っておりま す。 ○夏目委員  最初に聞いておいた方がいいと思うので、質問というのかあれなのですが、中期目標、 中期計画に数値目標、数値計画があるのが結構あります。例えば救急医療とか小児救急 については10%以上という中期計画、中期目標がある。そして、もう昨年度、16年度に 達成しているものについてまた17年度も達成している。そうすると、2年目の評価だか ら問題なのかもしれませんが、今回の実績はすべて15年度に対して結果がどうだったか という、確かに中期計画に対してどうかということだから、これでいいのだろうとは思 うのですが、昨年度に対してはどうなのか、16年度よりもさらに進んだのか、それとも もう15年度のレベルを達成しているのだからほとんど横ばいなのか、あるいは少しは悪 くなっているのか、その辺はどう考えたらいいのか。もう中期計画、中期目標に達成し ていれば、あとは横ばいでも若干下がっていても、評価としてはきちんと評価すべきな のか、いや、計画や目標を達成していてもさらにもっと上を目指すべきだ、もっと上の ランクを目指して16年度よりも17年度はさらに上回るべきなのか、この辺はどう考え たらいいのか。だからといって、では右肩上がりでどんどん数値が上がっていくという ほどのものもないのだろうと思うので、ある一定のレベルというのはあるのだろうとは 思うのですが、2年目の評価をするに当たって中期計画の数字だけと比較していいのか、 前年度の数値とはどうなのかというところを全然見ないでいいのかどうか、この辺はど う考えたらいいのかなと今、考えているのです。すべて15年度の実績に対する結果にな っているのですが、16年度と比べてさらに頑張って上がったのかそうでないのか、そこ ら辺はどう考えたらいいのでしょうか。 ○黒川部会長  それは、去年、ちょっと議論したのですよね。財務状況などは1年ぐらいバーッとよ くなったからといった場合、精神的なものという話があるという話があって、それはど うするのかね、中期目標。 ○政策評価官  これは私から、まずどういう仕組みかというお話をさせていただこうかと思います。 大変恐縮ですがお手元の常備いたしております青ファイルで申しますと付箋の(5)をごら んいただきますと、そもそもこの評価を立ち上げるときに独立行政法人評価委員会の先 生方としての評価の基準ということで、当国立病院機構部会を初め省全体としてお決め いただいたルールが一つございます。  (5)という付箋のところをあけていただきますと「評価の基準」となっておりまして、 その1ページの2・「事業年度における業務の実績に関する評価」としてございまして、 総合的な評価、あるいはその後にも出てまいりますが、基本的には中期目標の達成度に ついて評価をする、というのがこの基本的な仕組みでございます。また2ページに個別 的な評価ということがございますが、これは中期計画の個別事項ごとに進捗状況によっ て測定するということでございますから、理事長からも冒頭にありましたように、この 独立行政法人の評価をするときの一つのベンチマークは、中期目標、中期計画に比べて 毎年度、年度がどのように進捗しているか、その達成度がどうかということが基本でご ざいます。  その上で中期目標、中期計画にも実はいろいろと表現が違っておりまして、15年度か ら、今後毎年どれだけずつ上げましょうという形で中期目標、中期計画が立てられてい るものもあれば、毎年こんな感じで一定の業績を上げましょうというものもあれば、15 年度という出発時期に比べて中期目標期間終了期までにこういうふうに上げましょう と、それぞれの目標、計画の書き方が、これも御審議いただいたものではございますが、 工夫がされているということです。ベンチマークは基本的に中期目標、中期計画への達 成度、中期目標、中期計画の立て方がそれぞれどうなっているかというのは御確認をい ただいた上で評価をする。  あえて余分なことを申し上げれば、今、部会長からお話がありましたように昨年も御 議論がありまして、一たん突っ切ってしまったらいいのかという話でございますけれど も、正直、医療の場合に、やったかやらないか、何とか委員会を立てたか立てないかみ たいな形の目標だとすると、つくってしまえば終わりで、普通は下がらないものだと思 いますが、医療事業の場合には、多少あるときはよくても、諸般の状況が変わることに よってその目標が一遍達成されたものが達成されなくなるということもあり得ましょう し、状況の変化の中で、今おっしゃった「昨年並み」という言い方がいいのかどうか、 それを維持するだけに一定の努力もあるということも加味して最終的な御評価をいただ くということかと思います。 ○国立病院機構理事長  私が最初に申し上げたのは、そういう逃げの手を打ったというわけではなくて、やは り毎年毎年これはゼロから積み立てていくわけですね。ですから、今までの業績が少し 努力したら上にいくということではなくて、出発点に戻って積み上げていかないといけ ないデータで、しかし、書いてあると思うのですが、私が見た限りでは平成16年度より 17年度はみんな上回っているのですね。だから、決してプラトーに達しているというこ とではなくて、まだまだ努力すれば上がる部分が結構あるのではないか。  ただ、今お話しいただきましたように、医療というのはある程度の限界、スペースと 人的なものがありますので、あるいは医療観察法病棟のもののように、医療というのは 患者さんをかねや太鼓で集めて診療するというシステムではなくて、患者さんが選ばれ て我々のところに来る方ですので、営業努力とかそういうわけにはいかないので、そう いう点、今の御指摘、真摯に受けとめて、これからも一つ一つの項目で中期目標を超え たから安心ということではなくて、地道に一つ一つ積み上げていく努力は今後もやって いきたいと思います。少なくとも17年度は、私が全部見た限りではみな上昇しています ので、それはお認めいただければ大変ありがたいと思います。 ○住田委員  今お話しになりましたが、診療事業の去年のを見せてもらいますと自己採点は全部S なのですね。ところが今回、一番肝心だと思われるところがAになっているのですが、 その辺のSとAとの関係は、僕はドクターではないからわからないのですが、一番肝心 ではないかと思うのですね、質の高い医療かとか。前年はSがずっと続いているのです ね。自己採点ですよ。だけど今回は自己採点で1番のところがAになっているのは、今 のお話の流れからみるとちょっと矛盾というか、素人目にはおかしいなという気がする のですが、それはどういうことですか。 ○国立病院機構理事長  私としては、すべてSをつけたかったのですが、去年、すべてSはおかしいのではな いかという御指摘がありまして、そして去年のいただいた採点に見合って泣く泣くAを つけたということで、やはり自己評価というのは難しい。我々は必死にやったのでSを つけたいという気持ちは山々ですけれど、去年は相当厳しい御意見をいただいたので、 ことしは相対的に考えてということでございますので、自己評価でAでも評価委員の先 生にはSをつけていただけたらありがたいと思っていますが。 ○黒川部会長  お互いに価値観の共有がだんだんできていく形成過程かもしれないし、自信があるの だけど少し謙虚になるということもあるのかもしれないし、こちらも最終的にはどうい う評価をするのか、結構難しいですよね。形成できていくことはすごく大事だと思うの だけど。 ○大道委員  簡略で結構なのですが、「医療安全対策の充実」、6ページ以降について若干確認を させていただきます。  ここの中期計画並びに17年度計画の中で、今のようなSかAかみたいなところとの関 係でも少し、さてどうしようかというところがあるのですが、必ずしも計画ないしは目 標が何々に協力するとか数値目標的でないところですね、これは絶対評価とも言いづら いし、目標に対してどのぐらいの達成度といったときの目標が必ずしもカチッと決まっ ていないようなところの評価は大変つらいのですが、そういった中で医療安全というの は、もう今、我が国の医療における課題の中で深刻化しているものの一つです。特に経 営環境も含めて厳しさが強くなる中で、医師、看護師等、現場にとっては極めて深刻化 をしている問題なのですが、そのような中で医療事故情報収集等事業への協力並びに医 薬品医療用具等安全情報報告制度等への協力などがうたわれているのですが、ここらあ たりの機構としての受けとめ方ないしは、そこを含めてSだとはいいながら、改めて個 別的に確認をさせていただきます。  あわせてですが、現実には機構の病院群の中で結果的に患者さん、家族と紛争化をし て訴訟等に至っている事例が多いと思いますが、紛争化したときの解決に個々の病院で 対応するのか、あるいは機構の本部といいますか機構本体がかかわるのかというあたり の状況を、改めて知りたいなと思いました。とりわけ前段の医療事故等収集事業への協 力の中で、実際には重大な医療事故についての御報告があるはずですし、また医薬品医 療用具等についての安全情報の報告もしておられるのですが、本部はそれらの情報を把 握して適切な対応を取り得るような体制になっているのかどうなのか、このあたりの確 認をお願いいたします。 ○国立病院機構医療部長  まず前段の医療事故等情報収集等事業に関しての現状というのかそれを申し上げます と、146病院の中でこの報告病院が直接的に各病院から医療評価機構に報告されるもの ですから、どの病院がというのは我々としては知り得ない状況になっていたわけでござ います。しかしそれは、146の病院を有する本部としてもいかがなものかという声もあ りましたので、今回、それについて各病院からどこがどういう報告をしたのかという収 集を行っていたわけでございます。  結論から申し上げますと、146の中で平成17年度を見ますと81病院が報告をしてい るわけでございます。逆に言いますと、それ以外の病院は事故報告がなかったというこ とになります。では、本当にその病院でなかったのかというのは、我々としては疑いは 持ちたくないのですが、念のため、その病院に対して本当に事故がなかったのかという ことを聞いたわけなのですが、各病院における医療安全委員会で報告すべき事案ではな かったという判断のもとに報告しなかった、という回答であるわけでございます。  しかし、それを報告すべき事案としてとらえるのかどうかということについて、もし 病院間でのギャップがあるならば、それは我々としてはより周知といいますか、徹底を させていかなければならないという趣旨から、先ほど申し上げましたように、特に医療 事故収集等事業というのは医療法に定められた報告でございますので、さらにそれを徹 底していかなければならないと思っているところでございます。 ○黒川部会長  ほかに何か。 ○国立病院機構企画経営部長  個別に紛争が起きたケースですが、この場合は各病院で対応します。弁護士の方をお 願いするケースも中にはございますが、例えばブロックなりで紹介をして担当の弁護士 さんを決めて、そして交渉するなり訴訟になるなりの対応なりを行っていくことにして います。 ○大道委員  和解金とか賠償のためのさまざまな財政的な多少とも影響のある流れになるわけです が、そこはこれまでは本部は介入しない。ここは成り行き、解決、示談だからそういう ことだ、そういうふうに理解していいのですか。 ○国立病院機構企画経営部長  要するに裁判になる、あるいは和解をする、示談金を払うというケースがございます。 その場合、我々は内部での保険制度を取っておりまして、お金をある程度施設から集め てファンドをつくって、施設はそこからお金を保険として患者さんに和解金として払う というような事業を行っていまして、その際には争われている内容、それからどのよう な和解金にするかというのは本部でもチェックをした上でお金の支払等を行っておりま す。 ○大道委員  民間の損害保険などとのかかわりなく、内部でその種のプールがあるわけですか。 ○国立病院機構企画経営部長  民間の損害保険にはまだ入っておりません。だから、内部でお金をプールして使って いるということです。 ○大道委員  ということは、ある意味で直接的な本部関与マターになるということですかね。 ○国立病院機構企画経営部長  支払の決定なり、僕らから言うと保険の支払ということになりますが、そういったも のは本部での関与をしております。 ○国立病院機構理事長  医療裁判の場合には専門家の意見書が非常に大きな影響があるのですが、その意見書 が非常にピントを外れた意見書とか往々にしてあるわけです。それを本部でチェックす るとかそういうシステムはできていないのですが、ほとほと病院長さんは困ると、たい がい僕のところにパーソナルに相談がきまして、私が意見書を読んで、これは余りにも ひどい。それでしかるべき権威あるドクターに意見書を書いてもらうというのが幾つか ございます。だから、病院長さんが全責任を持って自分の病院で対応していただく。だ けど、余りにもひどいケースはやはり相談していただきたいということではないかと思 います。 ○黒川部会長  今、医療事故については結構社会的には大きな問題になって、ヒヤリハットからいろ いろな事例とかという話の報告をあげるというのはあれではないですか、どのくらいあ ってどのくらい対処をするか、こういうのは国立病院機構みたいなのはすごくいいデー タを共有する場所になり得るかなと思っているし、それをどういうふうにインプリメン トしたらどうなったかというのを示すのには、クリティカルパスもそうだしいろいろな 研修とかEBMとかガイドラインと同じように、もうちょっと共通性のあるところに共 有していったらどうかなと思うのだけど、どうでしょうかね。 ○国立病院機構理事長  大道先生、また黒川先生に御指摘いただいて、これはやはり146の病院のネットワー クがありますので、大型の大規模な臨床治験を進めると同時に、先ほど申し上げました ような結核とかあるいは人工呼吸器というのは我々は3000台以上も患者さんに装着し ていますので、そういうものを規格統一するとか、日本の医療のベースになるものを我 々はつくっていかないといけない。医療事故に対しても厚労省がいろいろ示しています が、我々機構としてそういうのをきっちり取り上げて、次年度にはそういう成果がお示 しできるように頑張っていきたいと思っています。 ○黒川部会長  そのほかに。 ○山田委員  診療録の開示請求のところで約600件の開示請求があったというのですが、これが多 いのか少ないのかよくわからないのですが、この中には法的な開示請求というのも含ま れているのでしょうか。それとも、これはただ単に患者さん個人から開示請求があった という数なのでしょうか。 ○国立病院機構医療部長  開示請求者は基本的に患者本人あるいはその法定代理人になりますから、これらはす べて原則として患者または法定代理人から請求があったものと理解しています。 ○辻本委員  今年度の報告書をじっくり読ませていただいて、先ほどの話にもありますが、本気に なるとすごいなと、そんな印象を持たせていただきました。ただ、こうしました、ああ しました、こういうものができましたという、いってみれば形として整理しました、つ くりましたということの御報告をここからは読み取れるのですが、それが果たして146 病院全部なのかしらとか、あるいはたまたま私が伺ったり、仕事でお招きいただいて伺 ったりする病院でお聞きするその中身は、まだ形ができただけというような、そういう 中からの声を聞かせていただくことが多いのですね。例えば、今までMSWが国立病院 にはいなかった。それが今年度で何人ぐらい配置されたかの数値を後からもお聞きした いところなのですが、ただ1人、MSWが配置されたところで、その人がもう既にバー ンアウトしそうなぐらい、「とても大変です」というようなお声をお聞きしております。  せっかくここまで形として整ってきたならばということで、今後の中身がさらに問わ れていくと思うのですが、先ほど私が、果たして全病院ですか、と尋ねしたかったのは、 特にこの待ち時間対策、あるいは地域連携ということのケースワーカーの配置等々、そ のあたりをもう少し詳しい情報がもしいただけるならば、御説明を願いたいと思います。 ○国立病院機構医療部長  まず、MSWの配置状況については、今、手元にございません。資料を調べておりま すが、ケースとしてさまざまいろいろな取り組みを行っていることについて、病院とし ての濃淡はあるだろうと私どもも思います。やはり146ありましたら、非常に先進的な ことを行っているところもあれば、そこまでに至る条件にない病院のあるのも確かでご ざいます。ここでは、例えば委員から御指摘がございましたように待ち時間対策、特に 待ち時間対策として効果がみられたいわば優秀事例だけを挙げていると理解いただけれ ばいいのであろうと思いますし、残念ながら、ではそういった待ち時間対策のさまざま な工夫をどの病院が何病院まで行っているというところまでは把握はできておりませ ん。申しわけございません。 ○辻本委員  そうすると、自分たちが自信を持ってこういうことをやっているんです、その結果こ ういうふうになりました、と一部突出報告された部分だけを見て私たちが評価していい のかどうか、そのあたりが非常に迷いが出てしまうところなのですが、どういうふうに 考えたらよろしいのでしょうか。 ○国立病院機構理事長  先ほど、セカンドオピニオンのところも窓口設置で89病院。だけれども、ではそこで どのぐらいのセカンドオピニオンを取り扱ったかというと、トータルでは1600余なので すが、セカンドオピニオンが必要な病院はそんなに多くないのですね。療養所的なとこ ろはやはりモノトーナスな患者さんなので、そこにも一応セカンドオピニオンの窓口を つけているのですが、1年に数件しかない。だけど我々は、数件しかないところでもち ゃんとそういうものを置きましょうということをやっています。単に数値だけで、たく さんあるからこの病院はセカンドオピニオンを熱心にやっているというわけでもないの で、だからこの医療評価というのはものすごく難しくて、単に数値だけでも難しいです し、個々の状況を判断しないといけない。ただ、今までそういう芽が国立病院ではなか った。そういう意味で意識改革を進めていく。  それから、我々としてはコメディカルのMSWの方とかそういうのをそろえたいので すが、一つは経営上の問題と、それから総定員法の枠はないのですが我々としては公務 員の削減の仲間うちに入っているので、特に医療職といいますか、医師、看護師は比較 的増員できるのですが、そういう職種というのが我々は一番大変なのですよね。ですか ら、ぜひ中期目標の議論のときに、医療がどんどん進歩するので医療サービスの向上に はこういうコメディカルな人たちが必要だということを、我々が言ってもなかなか了承 していただけないので、そういう患者さん、そういう立場から、医療の本質でこういう ことが大事だということをぜひ声高におっしゃっていただくと大変ありがたいので、ぜ ひよろしくお願いしたいと思います。 ○国立病院機構医療部長  先ほどございましたMSWでございますが、今の時点では把握ができませんので、宿 題にさせていただきたいと思います。  それから具体的な問題として待ち時間対策のことを取り上げられたわけでございます が、委員には参考資料と申しますかこの分厚い方もお読みいただいたのだろうと思いま す。我々としましては、これ以外の病院が何もやっていないかというと、それはそうで はないだろうと理解しておりまして、各病院ができる範囲でさまざまな工夫はやってお って、その中でも特に特筆すべきものをここの参考資料に載せたものと御理解いただけ ればありがたいと思っております。 ○辻本委員  この報告書が、逆に言えば146病院共通の情報ということで配付されているわけです か。つまり、何から取り組んでいいのかわからないとか、知恵や工夫が余り進んでいな いようなところが、これを見て、ああそうか、そういうことだったらできるんだ、そう いった活用ということも考えていいのですか。 ○国立病院機構医療部長  御指摘のとおりでございます。こういった方によって、ほかの病院がどのようにやっ ているのかという情報交換することよって、各病院ができることは徐々に積み上げてい くことができると思っております。 ○国立病院機構理事長  臨床評価指標その他は、我々が個別に病院評価もしますが、それは個々の名前をオー プンにするのではなくて、自分の病院はオープンになりますが、ほかのところは匿名に して出しますと、自分のところがどの部分にあるか、あるいは自分の病院がどこがウィ ークポイントかということをわかってもらうようなシステムをつくって、お互いに切磋 琢磨していくようにやっています。まだ2年なのですが、私は意外と各病院長さんの意 識が進んできたかなと。ただ、ある部分は旧態依然の国立病院時代の院長さんの感覚を 脱しきれないところがあって、そういう意味でなかなか苦労が多いところなので、よろ しくお願いいたします。 ○夏目委員  今、民間ではサービス産業のみならず製造業等においても顧客満足という、CSとい うことなのですが、これの向上ということにみんな四苦八苦しているわけです。そうし ないと生きていけない時代になってきているという意味で、顧客満足をどう上げるかと いうことに非常に苦労しているわけです。そういう意味で最初のあたりにある患者満足 度調査を非常に充実させておる、一生懸命取り組んでおられるということは、特に病院 というところだけに非常にすばらしいと思うのですが、ここで質問したいのは、他の設 置主体病院も194病院にふえている。5割ぐらいふえているのですが、私は病院業界全 体が患者満足度調査ということに関心をもってもらえれば、もっと我々が行く病院もよ くなるのではないかと思っているのです。これは、国立病院機構の方で中心的役割と書 いてあるのですが、何か一緒にやろうよという声かけをしてやっているのか、それとも、 すすんでこういういい調査があるのなら我々にも使わせてくれといって自主的にほかの 病院が参加を申し出ているのか、この中心的役割というところをもう少し詳しくお話し いただければと思うのですが。 ○国立病院機構医療部長  国立病院機構として特段これについての参加呼びかけというような広報活動は行って おりません。むしろ患者満足度調査の技術的な指導をいただいておりますのが国立保健 医療科学院というところでございますので、むしろ国立保健医療科学院は機構の病院だ けではなくてほかの設置主体の状況も知りたいという観点がございますので、そこがほ かの設置主体に対しても呼びかけをしていると理解しております。そういう形で徐々に 広がれば、病院間での比較もさらに行われるのではないかと思っています。 ○山田委員  今のに追加いたしますが、国立保健医療科学院のハセガワ先生が中心になってやって いる調査でありまして、これは赤十字の方にもぜひ入らないかという呼びかけがありま して、全部の病院ではありませんがかなりの部分が入って今、調査をしていただいてい ます。その分析結果が他の国立病院機構なりあるいは済生会なりといったところとこの 辺のサービス度がどう違うかという分析結果を出していただいておりますので、大変参 考になる調査で、これからもどんどん伸ばしていけたらいいのではないかと思っており ます。 ○夏目委員  では、「主導的役割」とはあえて書けないわけですな。(笑い) ○山田委員  まあ一番多いのが確かに国立病院機構ですね。 ○国立病院機構医療部長  主導的というのは、まず最初に機構病院がこういった取り組みをしたというのが主導 的の意味の一つでございます。それから今の現状では、これからどんどん広がっていく のだろうと思いますが、総数として機構の病院が多いということ。  もう一つつけ加えますならば、こういった患者満足度調査の結果を用いて各病院がさ まざまなサービスの向上に改善する指標として使っている。この評価シートもそうでご ざいますが、そういった意味での使い方という意味でも先導的といいますか主導的な役 割を果たしていると自負しているところでございます。 ○大道委員  簡略に申し上げます。患者満足度の重要性というのは既に確立した考え方、価値観で して、今、患者さんを扱う病院で患者満足度という考え方を脇に置くということは普通 はあり得ません。これは評価委員としてどういう申し上げ方をしたらいいか難しいけど、 国立病院の流れをくむ国立病院機構の病院群が患者満足度調査に主導的役割を発揮した とは、通常、医療人は思っていません。むしろ先駆的に走っている病院が一生懸命やっ てきたところを、さあどうするか。  今、ハセガワ先生のお話が出たけれど、その手法とか方法論の議論は確かにあるので すね。より日本の制度とか風土に合った方法論はどうしたらいいか、それをより効果的 に使うのはどうしたらいいかということは、これは確かに検討の余地がありますが、患 者の満足を第一に置くということでさまざまな調査をしているのは、これはあって当た り前ということが既に定着していると言っていいというふうに、あえて発言をさせてい ただきます。 ○黒川部会長  何か郵政の改革みたいですね。民が頑張っているところへ突然巨大戦艦がきて、おれ がやっているぞ、などと言われて迷惑しているというところが多いのかもしれませんね。 ○国立病院機構理事長  そういう意味ではなくて、満足度調査というのは個々の病院では、例えば国立国際医 療センターは私は前にいましたが、ちゃんと投書箱を置いてやっていましたけど、それ はやはり各病院がやっているので、私の趣旨は146の病院で満足度をお互いに比較しな いと意味ないわけですね。自分のところのデータだけで、ああ満足だとかそういうわけ にいかない。ですから標準化しないといけない。そういう意味でハセガワ先生のところ で、標準化できるような満足度調査。そして前回、随分批判を受けましたが、なんで今、 IT時代にいちいち封書にして本部にきてあける。それも、標準化する満足度調査とい うのは手が込むけれどもそういうのが必要だということで。  そういう意味で主導的という言葉がすぎたかもしれませんが、私どもとしてはいろい ろな病院が集まっている中で、だからこれは赤十字病院も加わっていただければ、お互 いの比較もできる。そういう意味で、単に顧客満足度というよりは、病院全体がそれを 理解して自分たちの至らない点がどこにあるかということを知る、そういう意味で使っ ているということで御理解いただければありがたいのですが。 ○黒川部会長  少し民の意識が入ってきたということでいいのではないですか。 ○大道委員  よくわかりました。決してやっていることが大したことないと申し上げているわけで はないのです。 ○黒川部会長  やるのが大事だなことだというところにようやくきたかなということもあるのです ね。 ○開原副部会長  今の主導的な役割という話になると、私はむしろ一番興味を持っているのは、EBM の推進のところに書いてあるクリニカルインディケーターなのです。これだけ大規模に クリニカルインディケーターを集めてそれを何らかの意味で使っていこうというところ は、まだ日本では余りないところだと思うのです。私はそういう意味ではこれは大いに 主張されていいのではないかと思うし、また、これは手法的に必ずしも確立されたもの ではないので、ここで2年、3年とやっていくうちに本当の意味でのクリニカルインデ ィケーターが何なのだということがわかってくればすばらしいことだと思うので、私は むしろこちらの方を主導であるとおっしゃってもいいのではないかという気がします。 ○黒川部会長  おっしゃるとおりだと思うのです。民で頑張っているところをマスでやれるというと ころのアドバンテージは何かというと、ちょっと違った面かもしれないなと。そういう フィードバックをされると全体として牽引車になるというわけではないけど、例えば役 所のホームページを見てごらんなさいよ、全然何が言いたいのかわからないね。やはり カスタマーの方を余り向いていないのですよ。民間の企業のホームページを見ると、次 から次へといきたくなるのだけど。何か言われると、これはウェブサイトに出ています と言うけど、これを探すのだって大変ですよ。そういう意味では、どちらを向いている かというのがようやくこちらを向き始めているのだけれど、出していますというけれど 実際はなかなか違うなというのはかなりまだありますよね。そういうふうにだんだんな ってくるのではないかという気がします。似たような発想の違いはどうやってすり合わ せていくかという、両方に前進すればいいのではないかなと。  今、開原先生がおっしゃったように、ここがやってくれると標準化のプロシージアな どについては非常にいいことは幾らでもあるなというのは確かですよね。だけど、そう いうことでいいのではないかな。 ○辻本委員  標準化ということで言えばセカンドオピニオンなのですけれど、ことしの4月から紹 介する側にはインセンティブがつきました。しかし受ける側にインセンティブがないこ とと、料金設定を見ても非常に多岐にわたっているということもあります。その辺も、 次のセカンドオピニオンの制度、仕組みをつくっていくにもぜひ機構がリーダーシップ を取っていただきたいと思うのですが、その中で、いってみればセカンドオピニオンを 求められるお医者さんは今まで以上にプラスアルファのお仕事になるわけですね。同様 に、土日外来とか午後外来ということも、働く側にしてみたら今までより働かなければ いけないという状況があって、始めたはいいわ、でもそれこそ疲れてしまって、もうい やです、というようなことになっていくのではないかという一抹の不安を抱くのですが、 そこは、そうならないためにどういう仕組みをつくっていらっしゃるのでしょうか。 ○国立病院機構医療部長  例えば土日の外来とか休日、あるいは連休期間中でございますが、従来、国立病院時 代においてはその辺が非常にリジッドといいますか、かた苦しい制度に縛られていまし たからできないわけなのですが、今は一定の週40時間、それから休日というものをクリ アすれば、その中での調整が可能になった。それが国立病院機構になった一つの大きな ポイントではないかと思います。ですから、委員の御指摘のようにオーバーワークにな ってきますと長くそういったことはできませんから、そういったことについては我々と しても注意しなければいけないと思っております。 ○黒川部会長  いろいろあると思いますが、その次にいかせていただいてよろしいですかね。こうい う話は、また気がついたときにどんどん事務局に言っていただければと思います。よろ しいでしょうか。  ちょっと時間がおくれてしまって、プッシュしているつもりはさらさらないのですが、 次は「臨床研究事業」についてよろしくお願いします。 ○国立病院機構医療部長  続きまして御説明いたします。14ページになります。2番「臨床研究事業」でござい ます。  まず最初に、「ネットワークを利用したEBMのためのエビデンスづくりの推進と、 それに基づいた診療ガイドラインの作成」ということで、(1)「一般臨床に役立つ独自 の臨床研究の推進」でございます。これは、14ページの左の目標を見ていただきますと、 まずデータを集積してエビデンスの形成に務める。それから、高度先端医療技術の開発 や臨床導入を推進する。数値目標としては、治験について数値目標が記載してありまし て、20%以上の増加を図るというのが目標として掲げられているところでございます。  まず、「一般臨床に役立つ独自の臨床研究の推進」というところでございますが、こ れは理事長の話にございましたが、機構の病院としてどのような医療を提供するのか。 一つの役割としては、標準的な医療を提供するということだろうと思います。その基本 になりますのがEBMであろうと理解しておるわけでございます。そのために「EBM 推進のための大規模臨床研究事業」というのを始めておるわけでございますが、1の(1) に記載しましたような平成16年度は5課題を選択しまして、平成17年度はその5課題 に対しての症例数を登録を始めている、というのが平成17年度の事業でございます。  これは、(2)にございますように平成17年度、さらに今後の課題として4課題の採 択を行いまして、さらに同じように症例を積み重ねていく作業を行うことになります。  2番「国立病院機構治験推進研究事業」として、初めての試みでございますが二次解 析用のデータの作成を行いました。これは、各施設から集計されたデータを本部が集約 しまして二次解析が可能になるように、完全匿名化のデータベースに加工したものでご ざいます。  3番として「実施主体の異なる臨床研究への参画」ということで、REACH Registryと 呼んでおりますが、アテローム血栓性イベントリスクを持つ患者を対象とする国際共同 前向き研究ということで、世界の30カ国以上が参加している研究でございますが、機構 としてもこれに対して積極的な参加をしているところでございます。  15ページ、「国立病院総合医学会の開催」ということで、昨年10月、呉医療センタ ーが中心となり開催したところでございます。  15ページの(2)は「政策医療ネットワークを活用した臨床研究の推進」でございます。 臨床研究センターを中心とした臨床研究の進捗ということでございますが、そこに記載 してございます腎、感覚器、骨運動器等、政策医療8分野におけるさまざまな研究を臨 床研究センターを中心として共同研究を行ったところでございます。課題数は16年度、 17年度を比較していただきますと、大体伸びていると言えるかと思います。  政策医療ネットワークにおけるその他の11分野がございますが、それに関しての共同 研究も行っておりますし、また、そういった政策医療ネットワークの協議会の開催も行 っているところでございます。  16ページでございます。国立病院機構は、8の臨床研究センター、49の臨床研究部と いうのがございます。これに与えられた課題は、左の方を見ていただきたいのですが、 こういった研究センターまたは研究部がどのような活動を行っているのかという評価基 準を作成するというのが計画として定められておりまして、それに基づいた評価を実施 するということでございます。  そういった観点から、(3)の「臨床研究センター及び臨床研究部の評価制度」として、 まず臨床研究センター及び研究部における臨床研究活動性評価の確立を行ったところで ございます。では、これをどのように使うのかということでございますが、実績に基づ いた各施設への研究費の配分ということをこれに用いたいと思っております。  2番ですが、これは1番と違う意味としては、臨床研究センターというのは個々のセ ンターだけの活動ではなくて、その配下にある病院のネットワークとしての機能も有す るわけなので、この評価基準は上の評価基準とは少し違うものでございます。いずれに しましても、この評価基準によって研究センターとしての研究費配分を平成18年度から 反映させたいと思っております。  16ページ、「治験の推進」でございます。これは、機構としては特に強調したいとこ ろでございます。先ほど申し上げましたように数値目標としては20%以上の増加を目指 すところでございますが、まず機構本部における本部体制として治験推進室というもの を設置いたしました。そして治験専門職を設置しまして、もう一つ、病院においてもC RCを54名から128名と増員したところでございます。  本部に設置しました治験推進室をもとに本部が治験管理責任者・治験管理実務責任者 会議を開催する、あるいは治験専門職を病院に派遣して、病院における治験を推進する、 等の活動を行ったわけでございます。  そのほか、治験を推進するために、2の(3)にございますように、いろいろな研究費 目が細分化されておりますのを撤廃しまして、治験期間に応じた費用の支出をするとい うふうに使いやすい、支払いをしやすい形にしたわけでございます。  それから、研修会を行いました。  4番として、企業に対するこれは営業活動的なものでございますが、依頼者に対する 一括説明会、あるいはホームページ、あるいはパンフレットを作成するなどの広報活動 も行っているところでございます。  その結果として、17ページ、治験実績でございますが、治験実績総症例数は4173件 となりまして中期目標の数値目標を大幅に上回りました。また、受託金額でみましても、 平成15年度が29億余、平成16年度が35億余でありましたが、受託金額総額としては 44億円を超えるに至ったわけでございます。  6番として、各病院だけではなくて本部が取りまとめた受託研究もございました。そ れが依頼者より本部に依頼があったもの35プロトコール、それから本部によって一括契 約して各病院において実施したものが7プロトコールでございました。同時に、CRC の質の向上にも努めなければなりませんので、CRCの業務マニュアルも作成して、一 定の質を保つ対策を行ったところでございます。  次に、「高度先端医療技術の開発や臨床導入の推進」でございます。これは、機構は 大学病院とは異なりますので、基礎的な研究を行うわけではなくて、国内の医療を大き く担っている神経難病、結核等の医療分野における医療の質の向上に資する研究、ある いは高度先端医療技術を臨床導入しようということでございます。例えば静岡てんかん、 あるいは近畿中央胸部疾患センターの事例についてここに記載しております。  次に、職務発明の権利化の推進をしておりまして、平成17年度は14件の発明がござ いまして、それらのうち9件の特許等の出願を行ったところでございます。  次のページが評価シートになりますが、本部が主導で行うEBM推進のための大規模 臨床研究においては着実に進行しているということ、それから臨床研究センター、臨床 研究部の活動性を評価するための評価制度を新たに確立したこと、それから、リーチレ ジストリーのような国際的な研究活動にも積極的に参加している。治験については、本 部の体制を強化するとともに病院における治験コーディネーターを54名から128名と倍 増することによりまして体制を強化し、その結果、治験実施症例数は4173件と中期目標 の数値を大幅に上回った。研究受託金額も44億余円になったことをみまして、ここはS 評価をお願いしたいと思っているところでございます。  以上でございます。 ○黒川部会長  いかがでしょうか。 ○開原副部会長  14ページなのですが、ここの臨床研究事業の(1)で「ネットワークを活用したEB Mのためのエビデンスづくりの推進とそれに基づいた診療ガイドラインの作成」という のがあるのですね。この診療ガイドラインの作成というのはどういうふうに評価してい いのか、私などは迷ってしまうのですが、現実問題としてはまだ診療ガイドラインとい うのは、後の方ではちっとも出てこないので、ここにだけ診療ガイドラインの作成とい うのが出てくるのですが、今、一方で医療機能評価機構もガイドラインをつくっておら れるわけですが、これは国立病院としては国立病院独自のガイドラインをつくっていこ うという何か方針があるのか、これはただ筆が滑って書いてしまったのか、どこまで考 えてこれが書かれたのかよくわからないのですが、その辺はどういうことなのでしょう か。 ○国立病院機構医療部長  診療ガイドラインを作成するというのは、機構の独自のガイドラインを作成しても余 り意味がないと私は思っておりまして、唯我独尊の診療ガイドラインをつくることはむ しろ弊害があるかと思っています。では、機構として何ができるのかということなので すが、1番に書いたようなEBMの大規模臨床研究によって得られた具体的な事例につ いてのガイドラインが将来的に形成できないかという意味でのガイドラインと私は理解 しているところでございます。いずれにしましても、診療ガイドラインを作成すること になりますと、まださまざまなエビデンスを集積しなければならないと思っているとこ ろでございます。 ○開原副部会長  結核の退院基準みたいなのをお作りになりましたよね。私はあんなのはまさに非常に いいガイドラインではないかなと思うので、あれがその前のEBMのところに書いてあ るのだけれど、むしろこちらに書かれた方がわかりやすいかもしれないなと、そんなふ うにもちょっと思ったのですが、いずれにしてもこれは別に独自につくっていこうとい う話ではない、そういう理解でいいわけですね。 ○黒川部会長  共通の財産としてある意味でのデータベースをどうやって共有していくかという、一 つのデータとして示すというのは悪くはないかもしれませんね。その成果が、例えばピ アレビューされたジャーナルに出てくるとか、ガイドラインはガイドラインだけれども そういう努力はそれぞれやっていないと、大学とか学会レベルだと必ずしもうまくいか ないですよね。数が限られたりいろいろするので。そういうのを参考としてどうでしょ うか、と。それをオーソライズするのは国立病院機構ではなくてむしろ学会の委員会と 両方して何かオーソライズした格好として出していくという方が、恐らく利用の現場と してはやりやすいのではないかという気もしますので、その辺はまた考えていただけれ ばと思います。 ○国立病院機構理事長  中期計画、中期目標に、これは私がつくったわけではなくて、こういうふうに書いて あるので、だからこれをどう対応していくかというのは今後の課題だと思いますが、今、 医療部長が述べたように、我々としては今、黒川先生が言われたような対応でこれをや っていこうかと思っています。 ○黒川部会長  確かに日本の治験もうまくいっていないところがあって、2〜3日前だっけ、今は日 本だけアイソレートされて、韓国が新しいシステムを入れてグーッと伸びて国際的な治 験に参加するのだね。それからシンガポールはグーッと伸びて、日本はどんどん下がっ ているという。日本はいよいよ鎖国になるのかなという話もいろいろみられているみた いだけどね。 ○井伊委員  治験による収入は、治験を実施した各病院がかなり自由に裁量を持って使用すること ができるのでしょうか。 ○国立病院機構医療部長  治験には、本部が紹介する治験と各病院が直接依頼者から依頼されるものがあります が、契約は各病院と依頼者で行っており、出来高払い制度にしております。つまり、治 験を行ったらその分だけお金をいただきましょうとうふうに。それによりまして、依頼 者の方も信頼いただけるという制度にしているわけです。  その使い方でございますが、一部は事務費として本部にいただきますが、あとの費用 は基本的には、物品費とか管理費とかそれはできるだけ病院で使いやすくするような方 法で病院で使っていただくという方法を取っております。 ○井伊委員  病院にとっては自由に使える収入をふやす手段として、かなり治験を受け入れるイン センティブがあるということですか。 ○国立病院機構医療部長  はい、御指摘のとおりでございます。 ○国立病院機構理事長  全くそのとおりで、我々は治験の130分の5を本部の事務費として取って130分の100 は恐らく病院で治験をやるための費用として使う。130分の25は、それは治験をやった 人にフィードバックしてもいいし、そこで診療器具の内視鏡カメラを買ってもいいし、 自由に使っていいということでありますので、マージンは130分の5で、これは非常に 赤字なのですが、各病院が十分治験をやった収益がそのまま病院に返るような仕組みを 考えてやっています。 ○黒川部会長  ある程度頑張れるところは頑張れるし、競合するところはどうあるかとかいろいろな 条件があると思うのだけど、そこでCRCなどをやってふやしているわけですよね。  次にいかせていただいてもよろしいですか。先生方、これをやっているときにも評価 を書いておられるのではないかと思いますが、一応時間は8時までですので、もう1件 進ませていただいてもよろしいでしょうか。もう1件か、できたら参考資料の4の5、 6、教育研修と災害時における活動、そこまでいければいいかなという気もしますが、 両方ひとまとめでいいのかな。教育研修だけ別にやろうか、そちらとしてはどちらがい い。 ○国立病院機構医療部長  まとめてお願いできましたら。 ○黒川部会長  ではお願いします。 ○国立病院機構医療部長  それでは、19ページ、3「教育研修事業」でございます。冒頭、理事長から説明がご ざいましたように、質の高い医療従事者の養成をするというのが機構の与えられた一つ のテーマでございます。  この中でまず一つは質の高い臨床研修医やレジデントの養成という医師の養成でござ いますが、臨床研修については49病院が管理型あるいは単独型の臨床研修病院、それか ら94病院が協力型となっておりまして、臨床研修医の受け入れ数は534名でございまし た。すなわち、中期計画の目標が20%でございましたので、それを大幅に上回った数で ございます。臨床研修を行うためには指導体制が強化されなければなりません。そうい う観点から指導研修会を計6回開催しまして177名が参加いたしました。  19ページの下の欄でございますが、今申し上げましたのは臨床研修という2年間の必 修化されたところでございますが、今特に話題になっておりますのは後期臨床研修でご ざいます。臨床研修終了後の専門領域の研修システムで、いわゆる後期臨床研修といっ ておりますが、これに我が国で一番早く着手したのが機構ではないかと思っております。  そういう観点で、平成16年度で検討会を設置し、17年度には後期臨床研修を機構に おいては国立病院機構専修医制度と位置づけまして、これを全病院の周知を行ったとこ ろでございます。そして、92病院が726コースを作成したわけでございますが、機構の 一つの特色としては、複数病院における幅広い専門分野の研修、それから国立病院機構 以外の大学病院や市中病院やがんセンターや成育医療センターといったところへの研 修、専門分野における海外への医療現場への派遣、そういったものを盛り込んだものと しているわけでございます。  なお、平成18年度は試行として7名の医師をベテランのホスピタルに派遣していると ころでございます。  今後は、3年から5年が専修医制度の期間でございますが、終了した人に対しては終 了認定を行いまして、国立病院機構における医師のキャリアパス制度の構築の一歩とし たいと思います。  なお直近の数字をここには記載しておりませんが、申し上げますと平成18年6月1日 現在で機構全体として176名の専修医を採用したところでございます。176名の内訳を 申し上げますと、意外でございましたが、機構の中の研修を終えた方が75名でございま したが、101名の機構の外での研修を行われた方が機構の専修医として参加されたわけ でございます。なお、専修医のほかに従来型のレジデントとしても198名を採用してい るところでございます。  20ページは看護師でございます。「看護師のキャリアパス制度の構築」ということで、 平成17年度に国立病院機構における看護師確保に関する検討委員会を設置しまして、そ の中でさまざまに実行できるものは平成17年度から行ってきたわけでございます。その 一つが教員養成事業の創設であったり、実習指導者養成講習会の機構における開催であ ったり、研修、求職の活用でございます。  2番として、各病院の研修体制の充実を図るため、これは既に繰り返し出てまいりま したが、新人看護師を対象とした全病院統一の研修ガイドラインを策定したところでご ざいます。また、副看護師長の大幅なポスト増を行いましたし、教育担当看護師長を各 病院に配置できるようにしたところでございます。  2番、キャリアパスに基づく研修の実施としてはこういうものを行いましたというこ とでお目通しをいただければと思います。その中では、3番にございますが、専門看護 師あるいは認定看護師が持つ高い専門性の評価ということで、専門看護手当等を新設し たところでございます。  次に21ページでございます。質の高い看護師の養成としては、まず附属看護学校カリ キュラム改訂に向けた検討を行いました。従来のカリキュラムは指定規則に沿った内容 でございましたが、それを機構の役割なり機構の特色を入れたカリキュラムに加筆した わけでございます。これは実行されるのは今後でございますが、その検討を開始したの が平成17年度でございました。  それから、ブロック事務所における実習指導者講習会の開催ということで、従来は厚 生局あるいは県が実施していたものでございますが、それをブロック事務所で開催しよ うということでございます。  3番目が、新たな目玉と申しますか事業で奨学資金制度の創設でございます。民間で はこれまでもう既に行っていたことかもしれませんが、看護師確保の一環として奨学資 金制度を創設することとしたわけでございます。  そのほか、第三者によるカリキュラムの評価の実施、公開講座の実施、教育環境の充 実等に努めているところでございます。  22ページ、EBMの普及のための研修人材養成というのを行っております。EBM普 及のための研修会としまして、研修会の参加者は2327名でございました。平成15年度 と比べると52.6%、数値目標は左に書いてございますように25%でございますので、大 幅に上回ったところでございます。  質の高い治験・臨床研修を推進するための研究としては、合計863名を対象に延べ20 回、27日間行いました。また、データマネジメント研修会というのも行ったところでご ざいます。そのほか、臨床研修センターを中心とした研修やブロック単位での研修も行 ったところでございます。  2番、学会の開催につきましては、既に触れましたので省略いたします。  (2)「地域医療に貢献する研修事業の実施」ということで、平成17年度は10万2124 名の参加を得まして、地域医療従事者に向けた医療情報発信に尽力したところでござい ます。  23ページがそれを踏まえた評価シートでございますが、まず臨床研修医については中 期計画の目標を大幅に上回ったこと。後期臨床研修についてはいち早く着手したという ところ、特に92病院で726コースを設けたこと。看護師については、養成事業、機構に おける実習指導者養成講習会の開催、研究・求職制度の活用、教育看護師長の配置など、 それから繰り返し出てまいりましたが研修ガイドラインの策定。看護師については奨学 資金制度の創設、第三者によるカリキュラムの実施、それからEBMの推進については、 平成15年度に比べて52.6%増加して中期目標の数値目標を大幅に上回った点をとらえ まして、ここではA評価をお願いしたいと思っております。  続きまして、きょうの最後になるかもしまれせんが24ページでございます。4.「災 害等における活動」ということで、目標としては「迅速かつ適切な対応を行うこと」と 記載されております。平成16年度は、新潟中越地震あるいはインドネシア・スマトラ大 地震等がありまして、機構としてもさまざまな支援事業を行ったわけでございます。平 成17年度にはそういった大規模な災害はございませんでしたが、JR福知山線脱線事故 あるいはパキスタンの地震、鹿児島県における高速船接触事故への対応等、規模の大小 はありますが災害あるいは事故に対しての適切な対応は行ったところでございます。  また、災害医療従事者の研修会というのを行っております。それは国立病院機構主催 の研修もありますし、それから厚生労働省主催の研修会にも参加しているところでござ います。  それから、これは災害といえるかどうかはわかりませんが、ある意味では自然災害と いえるかもしれませんが、新型インフルエンザが発生した場合の病床確保を国からも依 頼されたところでございます。感染症病床あるいは今は使われていない結核病床を使わ せてほしいという要請があったところでございます。  最後に6番として、国民保護法施行における対応でございます。これは、指定公共機 関として被災者に対して迅速活動適切な医療を提供することが国立病院機構に求められ ているところから、その業務計画を策定し、公表したところでございます。  以上を踏まえまして、25ページでございますが、昨年度のような目覚ましいと申しま すか、さまざまな災害に対する事案と比べますとそう大きなものはなかったとはいえま すが、それぞれ適切に対応したこと、研修においても着実に進捗していること、新型イ ンフルエンザへの対応、国民保護法への対応などを考えまして、計画より進捗している ことからA評価をお願いしたいと思っております。  以上でございます。 ○黒川部会長  どうもありがとうございました。いかがでしょうか。研修医師と看護師、それから緊 急医療チームの災害等における対応ということで。 ○大道委員  では、19ページの医師のキャリアパス制度、とりわけ後期臨床研修医制度、実際は国 立病院機構は専修医制度ということになっておるようですが、この運用開始、立ち上げ は極めて高く評価されるというか、大変驚異に感じるぐらい枠組みがしっかりできたこ とについては、これは御質問というか、どういうふうに本部は受けとめておられるのか。 特に176名の専修医を採用されたということですが、これは選考過程があって極端な方 ははじかれるのかもしれませんが、基本的には来るものは拒まずというスタンスでいら っしゃるのですか、ということが一つ。  それから、内容を見ると、内部からは75名にとどまり、外部から101ということです が、改めて確認しますが、内部で2カ年間の初期研修を行った方は、逆にどのくらい外 にお出になったのか、そしてなぜお出になったのかあたりは、感触としてどんな印象を お持ちでいらっしゃいますか。いずれにしても、後期研修医制度ないしは専修医制度は、 今後恐らく国立病院機構の病院群の中核的な医師になっていくのでしょうね。それと、 身分、給与等は恐らくは一般の医師の給与水準にもういっているのだと思うのですが、 そこらあたりも追加で御説明いただけるとありがたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○国立病院機構医療部長  まず採用でございますが、今、非常に医師確保が困難な状況であることは委員の先生 もよく御案内のとおりでございますので、とりわけ今後、機構病院を支える若い医師の 確保という観点から、専修医に対して応募があったところは原則としてそのままぜひ病 院で採用してください、ということをお願いしたわけでございます。もちろん一定の枠 ということで各病院が応募数は示しておりますが、それ以上でも病院でぜひ受けていた だきたいということをお願いしたわけでございます。  そして、176のうち機構の中から75、機構の外から101名という状況に対してどうい う思いかということなのですが、実は意外でございました。もっと機構の中で研修をさ れた方がそのまま機構の専修医となられるのかなと思っておったのですが、案外機構の 外からの方のほうが多かったということは、いい評価をしていただいたのか、つまり専 門的な研修として機構の専修医制度が高く評価されたものと、私としては前向きに受け とめているところでございます。  採用に関しましては、非常勤という位置づけにしております。  大体それくらいでしたか。 ○大道委員  初期研修で何人ぐらい外へお出になったのですか。5人より多いのですか、少ないの ですか。 ○国立病院機構医療部長  そこまでは把握は……。 ○大道委員  では、いずれまたお知らせいただければそれでいいのですが。でも、全体で何人ぐら いやっておられて、外へお出になった方は何人ぐらい。要するに2カ年間初期研修をお やりになって、いや、これは国立病院にいないで別のところへ行きましょうという方と、 外から来られる方との意識がどうなっているか。済みません、私は今、大学でえらい苦 労しているものですからついついこういうお話になりますが。 ○国立病院機構理事長  国立病院機構の病院には大学の締めつけが極めて強くて、2年終わったら、要するに 国立病院機構の病院の部長さんクラスは今まで大学から派遣された人が多いので、母教 室から戻さないと、あと、医師は派遣しませんよと。それは地方の大学に多いのです。 それで大学に戻ってしまったという人が大部分だと思います。そして、初期研修は1学 年何人いましたか。 ○国立病院機構医療部長  1学年で約300人です。 ○国立病院機構理事長  ですから、多くの者が大学に戻ったというのが多いですね。何も締めつけだけではな くて、専門研修は大学で受けた……、例えば脳神経外科とか胸部外科とか、あるいは整 形外科とかあるいは眼科、耳鼻科というのは、やはり大学病院に流れてしまうところが 多いですね。逆に内科で消化器とか循環器とかそういうのは中に残っている人が多いで す。 ○大道委員  ありがとうございました。 ○山田委員  今のことに関連して、どうしても18年度のことになってしまって申しわけないのです が、やはり後期研修のことに興味があるのですが、この176名が就職したといいますか 残った病院というのは、大都市の病院あるいは大病院がほとんどなのでしょうか。 ○国立病院機構理事長  初期の臨床研修はプライマリーケアということで、小規模でたくさん患者さんを診ら れるところということで、後期は専門性を高めるということで、どうしても初期と後期 は偏りがありますね。初期は地方の中小の病院にも行くのですが、後期はどうしても指 導陣が整ったところですね。ですから我々として、先生のところもそうかもしれません が、5年の間にいろいろな病院に回そうと思うとかえって抵抗が強くて、設備の整った ところでとりあえずは力をつけて、それから機構の内部の病院をいろいろ見ていただこ うと、私どもはそういう考えでやっています。 ○夏目委員  医療の関係者が質が高いということは極めて大事だと思うのです。そういう意味で、 まず出発点で優秀な人材が応募してくるかどうかという入り口が大事だろうと思うので すが、お医者さんの方は全く入り口の方の問題はないのだろうと思うのです。ただ、看 護師の方は、非常に仕事がきつい、夜間の勤務があるとか、看護師の応募がそれほど多 くないのではないかなと。さらに少子化が進んでいるとか、あるいは病院機構、昨年度、 入学金はどうか、授業料を上げたりされていますよね。そういうことをするとなかなか 応募が多くならないのではないかと。入り口の看護学校への応募者の確保が大変ではな いかと思うのですが、その辺はどんな状況でしょうか。負担をふやしたことは悪影響と して出ていないのかどうか、その辺。 ○国立病院機構医療部長  授業料の問題は後ほど出てくるかもしれませんが、一応民間等の養成所と比較して段 階的に上げていくという方針が立てられているわけでございますが、新たに看護学校に 入られる方の競争率を見ますと若干下がっていることは確かでございます。その要因と して考えられるのは、一つとしては18歳人口自体が減少していることもあるでしょう し、あるいは、これはどの程度効いているのかわかりませんが、いわゆる大学志向とい うものもあるのかなと思います。  しかし、機構の看護師確保としましては、今度は入った方からなのですが、競争率は 若干低下しておりますが、看護学校の確保はある程度はできている。むしろ卒業したあ との看護師確保に苦労している病院があるのが現状でございます。 ○夏目委員  看護学校卒業者は全員国立病院機構の病院に入りますか。 ○国立病院機構医療部長  いや、それが実は問題でございまして、機構が有している看護学校の卒業生をできる だけ機構としては採用しなければならないという目標を立てておりまして、最終的には その目標を70%に置いているわけなのですが、現状はまだそれは50%ぐらいにとどまっ ております。そういう観点から、先ほど申し上げましたようにカリキュラムの改訂によ りまして、少なくとも機構の持っている看護学校の生徒さんは機構に魅力を感じていた だく、あるいは帰属意識を持っていただくということもしなければならないということ でやっているところでございます。 ○開原副部会長  私はこの看護師さんのところで、20ページの一番下に書いてある専門看護師と認定看 護師を優遇するという制度をつくられたことは非常に画期的なことではないかと思って おりまして、これはいずれにしてもすばらしいことだと思っています。ほかではまだそ れを制度的に、もちろん個人的に給料を上げている民間病院は結構あると思うのですが、 制度的にこれをきちんと位置づけることをやっているところは余りないのではないかと 思うので、そういう意味では非常にすばらしいことだと思っていますが、質問としては、 それによってかなり優秀な看護師を確保することにこの制度が貢献したと思われるかど うか、その辺はいかがでしょうか。 ○国立病院機構医療部長  もちろん貢献していると信じてはおります。(笑い) ○黒川部会長  こういうのを終わった人は、よそへも行けるわけですよね。だけど、全体としての人 材のクオリティを上げていくというのは大事だからね。 ○山田委員  これは、医師にも専門医獲得というところのあれはあるのでしょうか。 ○国立病院機構理事長  我々の専修医制度には学会認定の専門医が取得できるようなプログラムを中に組んで おりますので、その中にいることによって学会の専門医の資格も取れるし機構の資格も 取れる。 ○山田委員  将来、認定医を取ったときに例えば給与が上がるとか、何か特別なプラスをされると かそういうことを。 ○国立病院機構理事長  はい。初任給を医学博士を取得したのと同等の、あれは何号級ですかね。 ○国立病院機構副理事長  まず1号俸上げる。学会認定の専門医資格を取っていれば、今、給与が上がっている かどうかというお尋ねだと理解しますが、理事長がおっしゃったのは、まさに後期臨床 研修をそういう形でやるという話でございます。今、既にその制度はあります。ただし 上限がありまして学会の認定は二つまでということなのですが、それまでは手当はある ということです。 ○辻本委員  看護学校のカリキュラムのことなのですが、大学との差別化はどういうところにポイ ントを置いていらっしゃるのかという点と、それから、先ほど国立病院機構へ魅力を感 じ、帰属意識を高める努力をしました、というお話だったのですが、何か一つ二つ、こ ういうことです、と具体的に特に胸を張って御紹介いただけるポイントがあれば教えて いただきたいと思います。 ○国立病院機構医療部長  21ページで余り詳しくは御説明しなかったのですが、国立病院機構の提供する医療の 一つの特徴は、急性期医療だけではなくて筋ジスとか重心とか、あるいはもう一つの特 徴的な災害医療、そういったものを担っているということだろうと思います。これは看 護師だけではございませんで医師もそうなのですが、どうしても急性期の医療に目がい きがちですが、医療というのはそういう分野だけではなくて長く療養されている方もい らっしゃるわけで、そういった重心、筋ジスといったものにも目を向ける、あるいはそ ういった技術、知識も入れるというのが附属看護カリキュラムの改訂に向けた一番大き な取り組みだろうと思っております。 ○山田委員  もう1点、合格通知を出した方々のかなりの上位の部分は抜けるのではないかと思う のですが、学年定員は満たされているのでしょう。 ○国立病院機構医療部長  ほぼ100%。若干校では再募集しているところもございますが、ほぼ100%。 ○黒川部会長  いろいろあるかもしれませんが、私は言うのを忘れてしまったのですが夜食が出たの ですが、時間がなくなってしまいましたね。お持ち帰りいただいてもいいのだけど、置 いていっていただいても、だれかもっと仕事をする人がいるかもしれません。  そのほかに何かありましたら、初期、後期の研修は、国立大学病院だと政策医療的な のと普通の急性期病院と両方あるので、ある程度の、例えば1年目が終わったら2年目、 1カ月、2カ月どこかローテーションするとか、そういうプログラムにしてくるのです かね。 ○国立病院機構理事長  我々は大学と違って、タワーマンション型の、要するに狭くて高いレベルよりもすそ 野の広いですね、例えば循環器のコースでも糖尿病とか腎臓科を回るとかそういうこと で、まだわからないのですが、黒川先生のおっしゃるように、将来、いろいろな医療の 現場を見るというものも中に組み込んでいければと思っていますが、まだ具体的には検 討中であります。とりあえずは専門医が取れる資格が取れて、しかも国立病院機構の医 療の内容がわかるような人を、しかも専門性の高い人を育成しようというプログラムを 整理していますので。 ○黒川部会長  特に前期も後期もそうだけど、筋ジスとかいろいろな政策医療ですごく難しいところ は、やはり実体験するというのはすごいメリットなのではないかなと。2週間とか1カ 月でもいいのだけど、そういう経験は大学だとまずしないものね。そういう理解を広げ ていくのは、そういうのをエレクティブで1カ月だけとか半年やってもいいよという話 になれば、すごくいいのではないかと。ほかのところでは経験できないものね。ぜひそ ういうことをやっていただいて、若い将来のお医者さんにそういう現場を見てもらうと いうのは、政策を動かしていく意味でも大事かなと思いました。ぜひお願いしたいと思 います。そのほかに、よろしいでしょうか。  それでは、きょうは7までいきましたが、時間となりましたので、ちょっと時間がな いのだけれども、評価票のできましたら25ページのところまで書いていただいて評価を いただくということであります。  その次について、そのほかの事業評価というのは、先ほどの参考資料の4の2ページ にまだ残りがありますが、残りについては次回にやらせていただくということで、この あと評価シートをしばらくここに滞在してやっていただいてもよろしいのですが、その ほかに何か気がついたことがあったら言っていただいて、そのほかに評価官から何か足 すことはありますか。 ○政策評価官  長時間ありがとうございました。遅い時間まで恐縮でございます。次回は、既に御案 内しておりますように7月の25日、またこの時間、17時から20時ということでこの部 屋を予定しております。二度にわたって時間外で恐縮でございますが、本日に引き続い て後半部分の御審議をお願いしたい。  今、部会長からもございましたように、シート、これまでの審議の時間の中でお書き とめいただけた方はそれで結構でございますし、もうちょっとというところは残ってお 書きいただければと思います。また、全体を通じて、これは部会長と進行の相談をさせ ていただかなければいけませんが、次回、後半をご議論いただいて、場合によっては全 体を通じてという御議論もあろうかと思いますので、シートそのものは2回くぐって固 めていただくという形で考えておりますので、きょうこのあと、記憶のあるうちにとい うことであれば記入いただければと思います。  次回は7月25日でございますが、よろしくお願い申し上げます。 ○黒川部会長  そのほかに、一般的な議論だけれど、これは評価しているのだけれど、その都度その 都度こういうところで思いついたときに、先ほどいった労災病院とかいろいろな話の評 価とか、今度、医療法がなって地方自治体で医療計画を書くという話をどのように入れ ていくかという話も行政に反映する意味では大事なので、むしろここの直接の評価、中 期目標に従ってやっているわけなのだけど、そういう話をもうちょっと大きなくくりで 議論する場にしたいと思います。そういう時間をぜひつくりたいと思っていますので、 御意見をいただければと思っております。 ○開原副部会長  この評価シートは、きょうは持って帰っていいわけですね。 ○政策評価官  いえ、恐縮ですがきょうのところで置いて帰っていただいて、お名前を書いてありま すので、次回、そのまま机の上に置かせていただきます。 ○夏目委員  お願いなのですが、これは家でじっくりもう一回熟読玩味しながら評価したいと思っ ているのですが、持って帰ってはだめですか。ここの暑いところでやると、いらいらし て評価が下がるのではないかと(笑い)。冷静になった方が正しい評価ができるのでは ないかという気がするのですが。 ○黒川部会長  それはそうですね。 ○夏目委員  次回、確実に持ってきますから。 ○政策評価官  これはいわば試験の採点委員の先生方のルールでございますので、私どもとしてはと 思いますが、今お書きいただくもの以外にコピーの余部はございますので、これはこれ として置いていただいて、次回のときにまた持ってきていただいて記入するというのは ありだと思いますから、1部ずつ別のものを用意させていただいて、それをそれぞれ涼 しい環境のいいところで玩味いただければと。済みませんが、事務局としてはそのよう な形でお願いできればと思います。 ○黒川部会長  では、そういうことでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。                                     (終了) 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電 話: 03−5253−1111(内線7784)