06/07/05 第34回労働政策審議会職業能力開発分科会 議事録について 第34回労働政策審議会職業能力開発分科会 日時 平成18年7月5日(水)10:00〜 場所 厚生労働省17階専用21会議室 ○今野分科会長 ただいまより第34回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本 日の出欠状況ですが、黒澤委員、玄田委員、中馬委員、井上委員、大江委員、中村正武委員が欠席 です。また6月29日付で使用者代表の委員交代がありました。株式会社東芝執行役常務の谷川委員 から、株式会社日立製作所執行役常務の河西委員に交代されました。河西委員から一言ご挨拶をお 願いします。 ○河西委員 初めて参加します、河西です。どうぞよろしくお願いします。 ○今野分科会長 それでは、議題に移ります。本日の議題は、大きく2つあります。1つは、職業 能力開発基本計画(案)の諮問についてです。もう1つは、職業能力開発促進法及び中小企業にお ける労働力の確保及び良好な雇用機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を 改正する法律案の国会における審議状況についての報告です。まず、議題1、職業能力開発基本計 画(案)の諮問について、資料2−1をご覧ください。本日付で、厚生労働大臣より労働政策審議 会会長あてに諮問がなされ、それを受けて本分科会において審議を行うものです。内容について、 事務局から説明をお願いします。 ○杉浦総務課長 ただいま議題になりました職業能力開発基本計画(案)についてご説明致します。 昨年の夏以来今年の3月末にかけて大変熱心に議論いただき、内容的にはほとんど合意いただいて いることですが、後ほど申します職業能力開発促進法の改正案が国会で成立したこと等を踏まえて、 若干文言等を修正していますので、その点を中心に説明したいと思います。  資料は、2−1から2−3まであります。資料2−1は職業能力開発基本計画(案)の本体、資 料2−2はその概用版として2枚にまとめたもの、資料2−3は前回からの主な修正点です。内容 的には、資料2−1と同じですが、変更箇所に下線を付けていますので、資料2−3で説明をした いと思います。  まず、1頁の第1部ですが、中程の所、右に縦線が引いてありますが、先ほど申し上げましたと おり、職業能力開発促進法等の改正案が成立しましたので、正確な表現に書き換えています。  3頁の第2部「職業能力開発をめぐる経済社会の変化」、1(1)人口減少社会の到来等労働力 供給面の変化の部分ですが、これも報道でご案内のとおり、合計特殊出生率が新しく1.25に置き 換わっていますので、その修正です。4頁は、同じく完全失業率等の動向について、2行目「平成 17年度においてはおおむね4%台前半で推移するなど」というような形で若干更新しています。  10頁は、前の9頁からの続きで、(2)労働市場を有効に機能させる基盤整備の推進の部分です が、先ほどの、職業能力開発促進法の改正により、実習併用職業訓練が法律に位置づけられたこと を踏まえて、「様々な教育訓練を組み合わせることにより、多様な教育訓練ニーズに対応すること が必要である」と若干書き加えています。12頁は、前の頁の続きで、4(2)地域社会等における 人材を涵養する力の再構築の部分ですが、地域貢献分野という言葉が若干わかりにくいということ で、例示を追加したらどうかという話もありましたので、「教育・文化・環境などの多様な地域貢 献分野」ということで、文言を追加しています。  15頁は、先ほども出てきましたが、「様々な教育訓練を組み合わせることにより多様な教育訓練 ニーズに対応する」という、同じ文言を追加しています。  31頁(3)国と地方公共団体との役割分担及び連携について。ここは、、都道府県から意見を求 めたところ、国と地方との役割分担について、より明確な形で書いてもらいたいという要望があっ たこと等を踏まえて、「国は、雇用対策の観点からセーフティネットとしての離職者の再就職を」 というような形で、セーフティネットという言葉を追加しました。また、地方公共団体の役割の中 においても、「関係機関との連携を図りつつ」ということを追加したところです。  修正点は以上です。内容的には、先ほど申し上げたとおり十分御議論いただいているかと思いま すので、説明は重複しますので省略させていただきます。以上です。 ○今野分科会長 ただいまの説明について、質問、意見はありますか。  よろしいですか。  それでは、当分科会としては、この職業能力開発基本計画(案)については妥当と認める旨の報 告を、私から労働政策審議会会長宛に行うことにしたいと考えています。よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○今野分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。事務局が報 告文案を用意していますので、配布をお願いします。                 (報告文案配布) ○今野分科会長 読み上げてください。 ○杉浦総務課長 平成18年7月5日、労働政策審議会会長菅野和夫殿。職業能力開発分科会分科 会長、今野浩一郎。「職業能力基本計画(案)」について 平成18年7月5日付け厚生労働省発能 第0705001号をもって、労働政策審議会に諮問のあった標記について、本分科会は下記のとおり報 告する。標記については、妥当と認める。以上です。 ○今野分科会長 ということで、このような文案にしたいと思っていますので、よろしいでしょう か。                  (異議なし) ○今野分科会長 それでは、そのようにさせていただきます。ここで、職業能力開発局長よりご挨 拶があります。 ○上村職業能力開発局長 本日、厚生労働大臣より諮問いたしました「職業能力開発基本計画(案) 」について、妥当と認める旨の御報告をいただき、ありがとうございます。この計画策定に至る過 程を振り返りますと、法律改正の議論も含めて、昨年の7月20日から本分科会の議論をスタートし、 計16回にわたり精力的な御議論をいただきました。法律については、このあとで説明させていただ きますが、皆様方の御議論を形にしたもので、お蔭様で衆・参ともに全会一致での成立を見たとこ ろです。今後その施行に向けて、中身のあるものとしてうまく進めて参りたいと思っています。 その過程で、また色々と御支援御協力、あるいは御意見等を賜りたいと思いますので、引き続きよ ろしくお願い申しあげます。本日はどうもありがとうございました。 ○今野分科会長 それでは次の議題に入りたいと思います。「職業能力開発促進法及び中小企業に おける労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一 部を改正する法律」の国会における審議状況について、報告をお願いします。 ○杉浦総務課長 資料は、3−1から3−4までです。資料3−1は、法律関係資料の冊子です。 資料3−2は、改正法の簡単な概要説明です。これについては、これまで何度も議論いただきまし たことですので、内容の説明は省略します。資料3−3は、国会の審議状況です。これについて経 緯を説明します。先程局長の話にもありましたように、この法案にかかる審議会については、昨年 の夏以来、当分科会において議論をいただきました。基本的な方針について昨年の12月21日に建 議をいただき、法律案の概要、要綱については、2月9日に答申をいただいたところです。その後、 3月7日に閣議決定し、国会に提出しました。国会における審議ですが、参議院から先に審議がな されて、5月11日に厚生労働委員会で質疑・採決が行われ、全会一致で可決されました。その翌日 12日に本会議で同じく全会一致で可決されたところです。衆議院に回りまして、6月9日に厚生労 働委員会で質疑・採決がなされ、同じく全会一致で可決、13日に本会議で全会一致で可決、成立し、 6月21日に、法律第81号として官報に掲載されたところです。以上がこれまでの経緯です。  その審議の中で附帯決議が付けられていまして、それが資料3−4です。衆議院、参議院それぞ れ附帯決議が付いていまして、1、2頁が参議院にかかる部分です。これまでこの分科会の中でも 十分議論いただいたことが、かなり網羅されているのではなかろうかと思います。若者の人材育成 についての総合的な対策や実習併用職業訓練について関係者への周知、あるいは事業主への積極的 支援といったような事柄、実習併用職業訓練における訓練生が労働者であることについての周知徹 底、自発的な職業能力開発を促進するための環境整備、非正規労働者に対する能力開発の実態につ いて調査し検討を行うといったこと、2007年問題への対策、2007年ユニバーサル技能五輪国際大会 への支援、能力開発事業を含めた雇用保険三事業についての見直し、といったようなことが参議院 での附帯決議です。  3頁は、衆議院における附帯決議で、内容としてはほとんど重複しております。具体的には、実 習併用職業訓練生についての労働関係法令の適用の周知、徹底、非正規労働者に対する能力開発の 検討について、実習併用職業訓練の周知、普及促進、2007年問題への対処、2007年ユニバーサル技 能五輪国際大会への取組といったようなことが附帯決議でなされたわけです。  以上が、法律の審議ですが、この法律が施行されますのが本年10月1日です。この法律に基づく 省令あるいは指針といったような事柄を、施行までに整備する必要があるわけです。例えば、実習 併用職業訓練について、事業主が講ずべき措置に関する指針を定める、あるいは労働者の熟練技能 の習得を促進するために事業主が講ずる措置に関する指針を定めるほか、省令で細則を定めていく 必要があります。これについては、新しい制度であるため、関係者の方々に、より多くの意見を聞 きながら中身を詰めていく必要があろうかと思っています。労使団体、学校関係者をはじめ、専門 家、特に実務に精通した方々を中心にお集まりいただいて、7、8月ぐらいの間で検討会を設けた いと考えています。そこで、指針や省令に盛り込むべき事項について一定のまとまったものをいた だいて、それをもとに省令案、指針案を作成し、9月にこの分科会を開催して要綱を審議いただき、 諮問・答申をいただくというような手続きで今後進めたいと思っています。そのような基本的な流 れについて了解をいただければ、私どもとしては向こう3カ月ぐらいの間、そういった方向で進め たいと考えていますので、是非よろしくお願いします。説明は以上です。  引き続きで恐縮ですが、先ほどの附帯決議の中に盛り込まれていました2007年ユニバーサル技能 五輪国際大会について、担当課長から説明をいたします。 ○小林能力評価課長 資料4をご覧ください。ここには、2007年ユニバーサル技能五輪国際大会の 関係の1枚紙とパンフレットを付けています。先ほど附帯決議の中に出てまいりましたこの名称は、 ここにあります第39回の技能五輪国際大会と第7回国際アビリンピックの総称で、来年の11月に静 岡県で開催を予定しています。技能五輪国際大会は若者、具体的には22歳以下の若い世代の技能者 が職業技能を競う国際大会で、2年に1度ずつ国をかえて開催されています。日本の場合は、ほと んどすべての方が企業の中で選抜されてきた方々です。国際アビリンピックは、4年に1度開催さ れている障害者の職業技能の競技大会です。これらの大会は、これまで国、あるいは時期を異なっ て開催されてきました。今回、両者が同時に開催されるというのは初めてのことです。そのような こともありまして、我が国としましても、ものづくり立国とユニバーサル社会の実現という2つの 目標を掲げて、この国際大会に臨んでいきたいと思っています。  我が国での開催は、技能五輪のほうは昭和60年の大阪大会以来3回目。国際アビリンピックの方 は、昭和56年に東京で開催されて以来2回目です。来年の国際大会の出場選手ですが、本年10月に 香川県で国内の大会がありまして、基本的にはそこで優勝した方に日本代表として参加いただくこ とになっています。このために現在、財団法人日本組織委員会が設立されていまして、ここを中心 に経済界等に協力、支援をお願いしているところです。また、政府としましても、先ほどのような 国会附帯決議も踏まえて、本大会に必要な支援を行っていくとともに、この大会を契機として、も のづくり等の一層の振興につなげていきたいと考えています。以上です。 ○今野分科会長 ご意見、ご質問はありますか。 ○中村(紀)委員 今後、この法律の改正に伴って、更に事業主向けの指針を定めていったり、も しくは省令で細則を定めていくという話でしたが、7、8月で労使関係、学識経験者、その他の実 務レベルの方々とそのような話し合いをされるということでした。1つお願いがありますのは、是 非そういった細則や指針を作るときに、ものづくり中心の企業だけの話ということよりも、やはり 今後日本はサービス産業も育成していかなければいけないので、そのような観点から意見が出せる ような方々に少し中に入ってご意見もいただきながら、細則なり指針なりを決めていただけるとあ りがたいなと思っています。以上です。 ○杉浦総務課長 これから、検討委員のメンバーについては人選その他お願いをしようと思ってい ます。ただいまの御意見も十分に参考にしながら行っていきたいと思います。 ○今野分科会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、この議題は終わりにします。 本日は、もう1つ議題があります。平成17年度能力開発基本調査とものづくり白書が出ていますの で、その紹介をしていただこうと思っています。よろしくお願いします。 ○亀島基盤整備室長 能力開発基本調査の結果とものづくり白書は、いずれも6月9日に公表した ものです。資料は5と6です。まず資料5「能力開発基本調査」ですが、概要をまとめております ので、その概要やグラフを見ながら、御説明したいと思います。  能力開発基本調査は企業における能力開発の状況を取りまとめたものですが、4頁には、まず 2007年問題ということで、前年に引き続きまして、2007年問題に対する危機意識を企業に問うてお ります。その結果を見ていただきますと、「危機意識を強く持っている」というものが5.0%、それ に「ある程度持っている」というものを加えますと、約33.7%の企業が危機意識を持っているとな っており、前回調査に比べまして、危機意識が高まっているという状況です。特に建設業、製造業と いったところが大変高い率になっておりまして、規模別に見ますと、やはり300人以上規模、大きな 企業ほど危機意識が高くなっているという結果です。  それから、その下の2007年問題に対しての取組状況ですが、「特段何の取組も行っていない」と いう企業は21.9%でして、多くは何らかの取組を行っております。しかし、その取組内容を見ます と、「希望者全員を雇用延長、嘱託として再雇用予定」が27.3%、「中途採用を増やす」が28.0% ということで、これは前年度より増加しておりますが、ノウハウ等の伝承や、あるいは退職予定者 の伝承すべき技能・ノウハウ等の文書化といった具体的な技能の継承につながる取組については、 低調といった結果が出ておりまして、雇用の延長等による先送りにならないかといった懸念が出て きております。  次に6頁、3(○の中に3)正社員・非正社員別のOFF-JT及びOJTの実施状況です。これは今回の 能力開発基本調査で初めて取り上げたところです。従来非正社員の部分についての能力開発の状況 を取り上げておりませんでしたが、今回初めて取り上げた内容です。それを見ていただきますと、 正社員に比べまして、非正社員に対するOFF-JT、あるいは計画的なOJT、ともに大きく実施状況が下 回っております。  7頁、(4)(1)自己啓発に対する支援方法ということでまとめております。自己啓発に対する支 援そのものは、かなりの企業、80.5%の企業で何らかの自己啓発に対する支援を行っているという 状況です。その中で最も多いのは、「受講料などの金銭的な援助」が62.0%となっております。  8頁、職業能力評価のところです。平成16年度において、職業能力評価を「実施している」企業 は、65.0%でした。業種別に見ると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が大変高い86.4%という率 になっている一方で、「医療、福祉」「運輸」は約半数程度という割合になっております。  13頁、自己啓発の実施状況について、それぞれ正社員・非正社員ということでの状況を取りまと めております。それを見ますと、正社員・非正社員とも「現在の仕事に必要な知識・能力を身につ けるため」に自己啓発を行っているという方々が、ほぼ7割、8割ということで、高い率になって います。しかし、その一方で「将来の仕事やキャリアアップに備えて」という部分におきましては、 正社員・非正社員で少し差が出ているという状況です。  最後14頁、自己啓発の問題ということで取りまとめております。自己啓発は何がネックになっ ているかという部分です。いちばん多いのは、「忙しくて自己啓発の余裕がない」という結果でし て、正社員・非正社員とも、47.6%と46.4%と、約半数の方がなかなか忙しいということを理由に されているという状況が出てきております。  次にものづくり白書について概略説明をいたします。ものづくり白書は、ものづくり基盤技術振 興基本法に基づく年次報告です。閣議決定を経て、国会に報告するもので、経済産業省、厚生労働 省、文部科学省の3省が連携して作成いたしております。また、今回の白書で、第6回ということ になります。  資料6−1を見ていただきますと、第1章で製造業全体の状況をまとめております。表題としま して、「第1章 製造業のイノベーション創出拠点としての我が国の課題と展望」ということで、 まず我が国の製造業の概況です。鉱工業の生産指数の推移がその横に載っておりますが、全体的に 回復基調でして、また企業収益についても、2002年下期から、増益を継続しております。いずれも、 過去最高を更新しております。  ただし、中小製造業の状況については大企業に比べて、改善はしているけれども、回復は遅れて いるという状況です。  その下は、「国際機能分業と製造業のイノベーション創出拠点としての我が国の役割」というこ とで、第1章の中核部分です。ここでの中核的な部分は、グローバル化が進展する中で、アジアを 中心に、国際的に機能分業が進んでいるといった分析です。どういうことかと言いますと、国内投 資も大幅に伸びております。企業立地も進んでおります。その一方で、海外投資も順調であるとい うことで、世界的に機能の分業化が進んでいるということです。どのように進んでいるかというこ とですが、上のグラフの図表1−2「製造業のアジア・北米への展開」で、組立量産の部分につい ては、日本からアジアを中心にしまして、北米にも大変展開が進んでいます。そのほかのものにつ いては、まだ日本を中心とした形で展開をしています。そういった中で、組立試作の部分について は、青のところが中国なのですが、21.2%と、この辺りについても、中国のほうで力を注ぎだして いるという状況です。  我が国の国際分業間における強味は、家電製品を例に取った図表1−3に「川上・川中・川下」 という形で図になっております。川下は最終製品で、最終製品のテレビなどのシェアは約4分の1 ということです。しかし川中、製造装置ですとか、部品といったところではシェアが大きく広がり ます。川上、素材や部材、そういったものになると6割以上、日本がシェアを持っているというこ とです。つまり、我が国の部品・材料産業、サポーティングインダストリーと言われる分野が国際 的に高い技術競争力を有しております。そういった部分を背景としまして、我が国全体の国際競争 力を支えているという図式です。  国内量産拠点をこういう競争下において、どう維持しているかまとめたのが図表1−4です。「開 発と生産の一体化で、技術開発が加速できる」、「国内の部材産業の集積や熟練工を活用したほうが 効率的である」はどちらも約6割ということです。  我が国の製造業の今後の課題としまして、2つ挙げております。その1つは図表1−5ですが、 科学的な知見の必要性が益々高まってきているといったところで、産学官が連携した幅広い科学的 知見がより一層必要になってきているということです。  もう1つは、21世紀型ものづくりに向かう課題ということで書かれている部分です。特に最後の ところで地震などの災害に対する工場自身の耐震性ですとか、免震といった取組が進んできている ということなのですが、一方で、そのほかの供給源からの部材等が届かなくなったときの対策につ いては、まだまだという状況でして、これに対する対応策に早急に取り組んでいかなければいけな いということをまとめています。  次頁は人材の部分です。そこについては、若干詳しいグラフをお付けしておりますので、それら を交じえながらご説明いたします。まず全体の状況ですが、先ほど言いましたように製造業全体が よくなってきていることで、雇用も増加に転じております。加えまして、新規入職者についても、 そこにグラフを載せております。いままでかなり低迷してきておったのですが、2004年に新規の入 職率がやっと、数ともに反転をいたした状況です。しかし、グラフでおわかりのように依然として 低い状況です。  団塊の世代の退職に伴う継承問題ですが、これについては、先ほど能力開発基本調査のところで ご説明させていただきました。ここで危機感の高まりが製造業に見られるということですが、先ほ ど申し上げましたように雇用援助を図られつつあって2007年問題という一過性の捉え方ではなくて、 もう少し長いスパンでこの問題を捉え直すということで、白書は問題を再提起させていただいてお ります。その上で、単なる先延ばしを図るのではなくて、いずれ辞めていくと言われる方ですから、 その方々の技能継承を、ということで課題として出しております。  それから、人口減少社会の中での若年労働者の確保・育成、生産性の向上の重要性が増してきて いるということ。もう1つ今回の白書で初めて取り上げました問題ですが、製造業ではパート、契 約社員といった非正規社員、それから正社員以外に派遣労働者・請負労働者という外部労働者の 方々が多く従事されておられます。こういった方々について、能力開発の機会に格差があるのでは ないかということを今回の白書の中で、指摘をさせていただいております。具体的には、図表2− 4を見ていただきますと、まず非正規社員のOJT、OFF-JT実施率、これは能開基本調査で全体の状 況をご説明しましたが、製造業についてもこの辺りには同様の状況があるということです。  それから、図表の2−5を見ていただきますと、請負労働者とか、派遣労働者等の外部労働者が どういう仕事に就いているかということで、これは東大での調査を使わせていただいておりますが、 単純な繰り返し作業という認識の下作業をされている方が7割、8割という状況になっております。 この問題をさらに見ていくときに、状況がよくわかるのが、資料6−2の6頁です。  図表2−16、非正社員・外部人材の活用状況をまとめております。従来、製造業は非正社員が少 ないといわれていました。つまり全産業では3割ぐらい非正社員という状況に対しまして、製造業 では2割程度という状況でした。今回、派遣・請負などの外部労働者を加えて、追究してみますと、 正社員とそれ以外がおおむね7対3ということで、全産業とそれほどの違いはないという状況が出 てきております。  その下の図を見ていただきますと、非正社員は嘱託の方もいらっしゃるので、高齢者のほうが多 いという形になっているのですが、外部労働者のほうを見ますと、これは20代、30代の方のほう が7割、8割ということで、なかなか若い方が来ないと言われているものづくりなのですが、こう いうところに若い方がいるという状況が出てきております。  そういった中で、特に外部労働者の方々に、若い方が多いのですが、単純な繰り返し作業を行っ て、キャリア形成の機会が限られている方が多いという状況が見えてきております。   これらの課題に対する方向性ということですが、まず団塊の世代の引退が進んでいる中で、技能 を継承しやすい環境をいかに整備していくか、これは先ほどありました国会附帯決議等にもありま したし、国として支援策を強化していくということです。  それから、現場の戦力となる人材の確保・育成のために高校と企業の相互理解、あるいは魅力あ る職場づくりということや、実戦型人材養成システムも含めまして、企業と教育機関が連携して、 新しい仕組づくりを行うということ。それから従来の中核的な施策であります若者の自立・挑戦の ためのアクションプラン、こういったものをもっと活用していくということを言っております。  その中で、資料6−2の4頁をご覧いただきますと、あまり一般的には知られていなかったとこ ろを少し取り上げております。先ほど、高校と企業の相互理解がまだまだ必要ということで申し上 げたのですが、4頁の上の図表2−11をご覧ください。新規高卒者の就職者数と充足率の推移とい うものを出しております。黒い棒の部分が製造業の求人です。いかに高校生に対する求人が落ちて きたかおわかりいただけます。最盛期の10分の1に落ちてきております。それに対しまして、充 足率のほうはといいますと、大変高い率になっておりまして、近年でいいますと、求人を出せば7 割から8割が、充足をしているという状況です。  概要には載せていないところを補足しますと、従来製造業は普通科の生徒を大変たくさん採って いたわけですが、最近では工業科が中心になっています。その辺りの見直しということで、来ない 来ないという若者を、まだまだ確保できる可能性があることも示唆しております。  それから、労働者の多様な広がりの中で、今後どのようにキャリア形成を進めていくかというこ とです。特に先ほど言いました非正社員・外部労働者の方々についての対応ですが、今回の白書に おきましては、資料6−2の11頁では、非正社員を雇っていただいている企業、それから派遣を されている企業、あるいは請負事業者、それらを活用されている事業主について、それぞれ課題提 起をさせていただいております。その上で、私どもとしましては、本分科会でもご意見がありまし たように、さらに詳細に非正社員・外部労働者の実態の把握に努めた上で、これらの方々を含めた 労働者の能力開発の実施が行われるよう社会基盤の整備を進めていくという方向性を出している ところでございます。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ただいま説明していただきましたことにつきまして、 ご質問、あるいはご意見がございましたらどうぞ。 ○長谷川委員 本日の資料の6−1と6−2は最近のすごいヒットではないかと思うぐらい、とて も感心いたしました。事務局のご努力に感謝申し上げたいと思います。今週、労働政策審議会が開 催されまして、格差について意見交換が行われておりますが、おそらく次も引き続きそのような議 論をしようということでありますので、できたら、これらの資料を是非労働政策審議会にも参考資 料として出していただければと思います。能力開発の話が非正規と正規の間で問題ではないかとい う指摘もありますので、是非そうしていただきたいと思います。  もう1点は、資料6−2と、先ほど技能五輪の話が出ていたのですが、やはりものづくり立国と いうか、国民的気運の醸成というのが非常に必要だったと思うのです。ある時期から、何かそうい うものづくりの職場で働くことが、胸を張って言えないというのがあったのだと思いますね。何か 六本木ヒルズのような所に就職をすることが立派なことであって、ものづくりの現場で汗にまみれ て働くことが何か貴ばれなくなったという社会的な雰囲気がありました。私は今日のこの資料6− 2の12頁のことはとても大切なことで、政府を挙げて、こういうものをいろいろなマスコミなどを 通しながら、是非押し出していただきたいと思います。  ついでに言うと、技能五輪ですが、企業だけではなくもう少し高校や大学などに参加を呼びかけ て、生徒や学生が見て、やはりものをつくることはすばらしいことなのだと思えるような取組をし ていただきたい。サッカーのワールドカップだけが世界の大会ではないわけですから、そういうよ うな取組を是非厚生労働省の音頭でやっていただきたいと思います。 ○今野分科会長 頑張れという応援でした。何かご意見はございますか。 ○小林能力評価課長 応援ありがとうございました。実際に参加する選手自体は、もう学生ではと うてい太刀打ちできない、企業の中で、本当にこのために鍛えられてきた方々ですが、それをいろ いろな学生さんに実際に見ていただくと、写真で見るのとは全く違いますので、この機会にできる だけ多くの学生さんに、日本の現場を見てもらうように我々も取り組んでまいりますし、関係省庁 とも協力してやってまいりたいと思っております。 ○江上委員 私も岩手県と山口県で開催されたとき、今野分科会長と一諸に視察に行かせていただ いたのですが、山口県の場合には自治体が呼びかけて、地元の高校生がたくさん見学に来ておりま した。やはり自治体が積極的になるかどうかが大きな決め手だと思いますので、よろしくお願いい たします。 ○今野分科会長 その前に分科会の委員も行きましょう。ほかにございますか。この資料6−3の 厚い資料は何ですか。 ○亀島基盤整備室長 これが白書本体です。通称ものづくり白書です。 ○江上委員 先程の資料6−2の図表2−16ですが、製造業も一般産業と同じく、正社員と非正社 員プラス外部労働力が7対3の割合だったというお話があったのですが、これは企業規模別のデー タはございますか。それで見ると、企業規模別にはどんな傾向が出ているか教えていただけたらと 思います。 ○亀島基盤整備室長 白書本文ではその辺りも分析しておりまして、率を申し上げるにはちょっと 時間がかかりますので、概要だけご説明いたします。規模が大きくなるほど、外部労働者の比率が 高くなり、非正社員の比率は低くなります。逆に企業規模の小さい所は、非正社員の率が高くて、 外部労働者の比率が低いという傾向が分かっております。 ○江上委員 たぶんものづくり産業においては、企業規模の格差で、非常に構造の違いというのが 明確になってきていると思います。ですから、また折にふれて、それがどういうことを意味してい るのかを御報告いただければありがたいと思います。 ○今野分科会長 よろしいですか。本日の議事はこれで終了いたします。なお議事録については、 労働政策審議会運営規程の第6条により、会長の私と、私の指名する委員の方2名に署名をしてい ただくことになっております。本日は労働者側西原委員、使用者側中村紀子委員にお願いいたしま す。これで、今日の分科会は終わります。ありがとうございました。 【照会先】厚生労働省職業能力開発局 総務課 企画係 (内5313)