06/06/30 厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会 第28回議事録 厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会 第28回議事録 平成18年6月30日(金) 経済産業省別館1111会議室 ○矢野補佐 それでは定刻になりましたので、ただいまより第28回厚生科学審議会疾病 対策部会造血幹細胞移植委員会を開催いたします。  初めに委員の交代をお知らせいたします。日本医師会役員改正に伴いまして、日本医 師会木下常任理事に委員をお願いすることになりました。木下委員に一言ごあいさつを お願いいたします。 ○木下委員 初めまして、日本医師会から参りました木下と申します。どうぞよろしく お願いいたします。 ○矢野補佐 ありがとうございました。また、本日は議事に即しまして、先端医療セン ター研究所の伊藤仁也グループリーダー、東海大学の加藤俊一教授、東京大学医科学研 究所の高橋恒夫客員教授、日本さい帯血バンクネットワークの野村正満事業運営委員長 に参考人として御出席いただいております。よろしくお願いいたします。  それでは資料の確認をさせていただきます。  資料1 さい帯血の品質等に関する基準等の諸外国の動向について  資料2 Ex vivo増幅さい帯血移植臨床研究の進捗  資料3 複数さい帯血移植  資料4 さい帯血の採取方法に関する研究  資料5 さい帯血の保存目標について  参考資料1 非血縁者間骨髄移植における骨髄採取の実施について  参考資料2 造血幹細胞移植委員会における議論の整理  以上でございます。途中不備等ございましたら、事務局までお申しつけください。そ れでは議事の進行を齋藤委員長にお願いしたいと思います。 ○齋藤委員長 おはようございます。本日の議事は、さい帯血関係で5つぐらいありま すので、今から12時まで2時間有効に時間を使って御審議いただきたいと思います。さ い帯血移植の品質等に関する基準などの諸外国の動向について、最初に高橋参考人から お話をいただき、品質管理について御議論いただきたいと思います。次に、細胞数の少 ないさい帯血を利用していく研究として今後期待されております体外増幅に関する研究 と、複数さい帯血の同時移植に関する研究について、それぞれ伊藤参考人と加藤参考人 に御発表いただきます。その後、さい帯血の採取方法に関する研究結果を中林委員にお 話しいただきます。そして最後に、今後の方向性といたしまして、さい帯血の保存目標 について御審議いただきたいと思います。  最初は高橋参考人ですが、昨年度の厚生労働科学研究の中で、品質等に関する基準等 の諸外国の動向について、イギリス、ドイツ及びアメリカに現地調査に行っていただき ました。その御報告をお願いいたします。 ○高橋参考人 おはようございます。それでは御報告させていただきます。資料は1で あります。見にくい方はどうぞ。  今齋藤先生からお話がございましたように、このたび厚生科学研究中畑班、さい帯血 医薬品化に関する調査研究という班による海外調査を行いました。実際の調査は野村総 研さんに委託をしておりまして、私と野村総研の3名の方がそれぞれの国を担当して、 私は3カ国を回りました。英国は血液サービスNBS、それからMHRAという英国医 薬・保健監督機関、ドイツはハイネ大学のデュッセルドルフさい帯血バンク、それから ポール・アイリッヒ・インスティチュート、ドイツの厚生省でございますがPEI、そ れから米国は、世界で一番大きなさい帯血バンクでありますニューヨークのさい帯血バ ンク、それからFDAのCBERに行ってまいりました。調査はことしの1月12日から 20日の間でございます。次、お願いいたします。  最初に英国でございますが、英国を選んだ理由は、さい帯血の移植の数はまだ40ぐら いと少ないのですが、英国の政府が積極的にさい帯血に取り組んできていることと、移 植がここ1〜2年の間に急速に伸びつつあり、ヨーロッパの中で中心的な存在になりつ つあるということです。  実際に訪問しましたのは、英国血液サービスの中に属する北ロンドンのさい帯血バン ク。それから、その監督機関でありますMHRAを訪問いたしました。次、お願いいた します。  さい帯血の品質につきましては、英国におきましては、2004年にA Code of Practice for Tissue Banks providing tissues of human origin for therapeutic purposesと いうことで、この中にさまざまな組織、細胞が入っておりますけれども、さい帯血もそ の中に骨髄と同じように含まれております。この基準のもとにさい帯血が進められてき たわけですが、2004年3月31日EU加盟国の中でEU指令というものが出まして、and の「d」が抜けておりますので訂正いただきたいと思いますが、この指令のもとにEU の各国が細胞治療に関してすべて従うようにということが合意されました。次、お願い いたします。  その中身でございますけれども、欧州議会・閣僚理事会指令2004ということで、ヒト 組織及びヒト細胞の提供、調達、試験、加工、保存、貯蔵及び配布に関する品質・安全 性基準設定ということでございます。この中身は、非常に総括的な安全性のためのガイ ドラインでございまして、ことしの4月からEU各国で施行されて、それぞれこれをも とに各国の規則として導入するということで今進められていると伺っております。その 中にさい帯血が入っている。  これは大まかなガイドラインでございますので、さらにもっと細かいところを取り決 めたのが、EUディレクティブのテクニカルなパートのIとIIというものでございまし て、Iというのがこの2月に出ておりまして、この中身もそれほど詳細なものではない のですが、このガイドラインよりはより踏み込んだものになっております。次、お願い いたします。  次にドイツでございますが、ドイツを選んだ理由といいますのは、世界各国のバンク の中で、さい帯血を医薬品として扱っているのは唯一ドイツだからでございます。その ドイツのいろいろなガイドラインの中で一番中心となりますのは、この「幹細胞移植と さい帯血移植のためのガイドライン」でございまして、ここにかなりの詳細な規制とい うものが書かれてございます。次、お願いいたします。  ドイツのおきましては、ポール・アイリッヒ・インスティチュートと各州によって年 に2度査察が行われています。PEIでは、主にさい帯血に絞り込んだ査察が行われて、 州よりももうちょっと小さなローカルエージェンシーということでございますが、こち らの方はGMPについて調査し、SOP等を全部チェックすることになっております。 当然のことながら医薬品製造レベルということですので、GMPファシリティが要求さ れております。  国としてはさい帯血バンクへの補助がないのですが、さい帯血は医薬品として規制を 受けることから、それぞれの運営母体が自分たちの経費でそれを賄っているということ であります。医薬品と違いまして、さい帯血はロットという概念が当てはまりませんの で、入り口と出口、つまりドナーの安全性、それから出て行くさい帯血一本一本に検査 が義務づけられているということで、そういう意味ではお薬よりは厳しい規制と受け取 ることもできます。次、お願いいたします。  さらに米国ですが、米国は世界最大のユーザーでもありまして、また最も活動が盛ん な国であります。さい帯血は米国におきましてもtissueとして位置づけられていて、 tissueとしての規制、監督をされております。FDAの生物製品評価研究センター、C BERが所管しておりまして、その中の部署が2つございまして、こちらのOffice of Cellular, Tissue and Gene Therapiesの中で、Division of Cellular and Gene Therapies がパブリックバンクの方を監督し、Division of Human Tissueがプライベートバンクを 監督するということになっております。次、お願いいたします。  米国の基準の大もとになっておりますのがFDAの21CFR Parts 1271のHuman Cells. Tissue, and Cellular and Tissue Based Productsでございまして、これがさ い帯血に適用されている。今までのところ、Registration、それからDonor Eligibility、 CGTP、これが発効されているということで、これに基づいてすべて監督されるとい うことでございます。  昨年国としてさい帯血レジストリーを設立しようということが決まりまして、この5 年間に15万検体を集めることが決まりました。それに基づきまして、FDAからはライ センスをさい帯血バンクに与える。それによって、HRSAが――こちらは予算を分配 するところでございますが、そちらが、監督を受けてパスしたものについて予算を分配 していくということでございます。  今までは、この3つのCFRというのはプライベートバンクに適用されて、プライベ ートバンクがそれを申請してその審査を受けておりまして、パブリックの方はまだ公に は行われていないわけですけれども、CBERがさい帯血の品質規制について細かい内 容をもう決めておられまして、FDAの上部機関に今見ていただいているということで、 それが通りましたときには、パブリックなオピニオンを聞くために公開される予定にな っております。これは年内に行われるということでございます。それを待って正式なル ールとなる。それに基づいて公的バンクは動くということになると伺っております。次、 お願いいたします。  もう一つWHO、世界保健機構の方でございますが、これは厚労省の白倉班でも検討 されているわけですが、昨年はオタワ、ことしは6月にジュネーブでこの会議が行われ ておりまして、ここでも移植のための臓器、組織、細胞の安全性、倫理性に関する国際 会議が持たれておりまして、FDAから専門家を呼んでヒアリングをしたり、そういっ たガイドラインの策定を今計画していると伺っております。臓器の方はかなり決まって きているのですが、造血幹細胞、さい帯血に限ったものは現在まだ出されていないが将 来計画の中には含まれていると考えられます。次、お願いします。  最後まとめですが、イギリスにはパブリックバンクが3つ、プライベートバンクが8 つ、ドイツはパブリック3、プライベートが3から4、アメリカの場合にはパブリック が22、プライベートが101、両方を兼ねて運営しているバンクが33ございます。それぞ れ、イギリスでは組織扱い、アメリカでもそうでございますが、ドイツは繰り返しにな りますが医薬品扱い。ということで、それに従う規制、査察を行っているところ。それ から、国際的な協力関係ということでは、イギリスはネットコード、ドイツもネットコ ード、USAはネットコードですが、そのほかにAABB、MNDPその他と一緒にや っているところもございます。  細かいところをピックアップしますと、例えばクリーンルームの要求度ですが、イギ リスやドイツは必須でございますけれども、アメリカの場合には必ずしもクリーンルー ムは必要ないということでございます。分離までの時間、分離法、これは我が国でもH ES法というのがほとんど主流でございますけれども、海外では脱HES法ということ で、新しいミニアフレスのような感じのSepaxとか、クリーンルームが要求されるかわ りにクローズド・システムが要求されるということで、新しいAXP法などが今検討さ れて、脱HES法が進んでいるということでございます。  凍結保存に関しましては、このようなBio Archiveとかいろいろなものが使われてい ますが、最小容量は、どの国も成人のためのさい帯血を広げるという意味でボリューム を上げてきております。各種検査についてはそれぞれの国で厳しく定められている。そ れから保存期間に関しましては、それぞれの国で何年というような期間は未定の状況で ございます。次、お願いします。  最後のスライドでございますが、今回の調査で感じましたことは、さい帯血移植は確 実に各国で増加している。さい帯血の品質管理は厳しく管理される方向に向かっている。 施設の要求レベルについては、EUと米国においては大きく異なっているようである。 さい帯血の品質にかかわる分離・保存技術、検査項目等、全体において調査してみまし たところ、日本さい帯血バンクネットワークの現状と大差がない。全体的に感じますの は、より直接的に国がさい帯血の安全性に関して踏み込んだ扱いをされている感じを受 けたことと、国際的なさい帯血の交換ということで、インターナショナルなネットワー クづくりというものに参画しながら、さい帯血を患者さんに送るシステムを今考えつつ あるということ。そういったところを感じました。以上でございます。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問、御意 見をお願いします。 ○中林委員 日本の現状と大分違うところが1つ、米国の5年間に15万検体という目標 はなぜかということ。多分HLAのタイピングの違いだろうと、対応性の違いだろうと 思います。それから、先生が書かれたパブリックとプライベートという意味は、いわゆ る個人のために取るものがプライベートで、公的バンクがパブリックということなので しょうか。それとも設立母体が国なのか私的なのか。これはどういう意味でしょうか。 その2つをお願いします。 ○高橋参考人 アメリカの15万検体というのは、今までのアメリカの移植の実績と移植 成績を見て、2抗原3抗原ミスマッチよりは1抗原ミスマッチの方がいい、あるいはフ ルマッチの方がいいということで計算されたと聞いております。同じ計算でいうと日本 では6万という、そういう計算は研究者の中では進められておりますが、日本人のHL Aのホモジニティとかでもっと違うと思いますが、より多くのさい帯血が必要じゃない かというところで15万検体というのが出てきている。  それから、先ほど申しましたパブリックとプライベートというのは、パブリックとい うのは御自分以外の方に差し出すという従来の意味での公的バンク。プライベートとい うのは、家族のため、本人のためのということでございます。 ○齋藤委員長 今のものにちょっと関連して、規制監督される部門がパブリックバンク とプライベートバンクと分かれていますよね。どういう理由なのでしょうか。 ○高橋参考人 理由はよくわかりませんけれども、アメリカのプライベートバンクは非 常に長い歴史があって非常に数がふえているということ。それからtissue扱いであると いうことから、FDAの中のtissueを管轄する部門が、プライベートバンクをやりたい というときに申請を受けて、それを監督する、報告を受けるということだと思います。 パブリックにつきましては、これから国としてのレギュレーションを図っていくという ことです。 ○麦島委員 今の齋藤委員長の御質問に関係しているのですけれども、米国の場合には CBERがパブリックで、プライベートバンクに関して、いわゆる品質の規制というこ とに関して力を入れてやられていたと。これがパブリックになったということは、パブ リックにも適用する、これから行っていくということは、単なる歴史的なこと、今まで の経緯からということで、プライベートが先に走っていたからということなのでしょう か。 ○高橋参考人 詳しい事情はわかりませんけれども、パブリックの中で大きなバンクと いうのは、御自分たちでINADをCBERの方に出されていて、それで自主的にずっ とやれてきたところが多い。プライベートの場合には、より安全性を高めるために自由 でございますので、それをCBERの方でかけてきたというぐあいに理解しております が、詳しい歴史的なところまでは申しわけございませんが。 ○齋藤委員長 ほかの委員の方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい、どう ぞ。 ○青木委員 どうもありがとうございます。この3つの国とも分離開始までの時間が36 時間ということで、日本は24時間ということですが、このイギリス、ドイツ、アメリカ が全く問題なければ、日本の分離までの時間は変更することを検討していいと思うので すが、どうお考えでしょうか。 ○高橋参考人 そう思います。 ○齋藤委員長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは次に、 本日御出席いただいております加藤先生が主任研究者の厚生労働科学研究の研究班にお いて、品質管理の基準のあり方について調査研究していただいております。それで、ま ず伊藤参考人より、体外増幅に関する研究の進捗について説明をお願いいたします。 ○伊藤参考人 よろしくお願いします。次お願いします。  私の方からは、Ex vivo増幅のさい帯血移植の厚生科学研究、ヒトゲノム再生医療研 究等で今現在プロジェクトを進行させておりますが、その進捗についてお話しさせもら いたいと思います。  まず、我が国におけるさい帯血移植の現状ですけれども、昨年のさい帯血移植バンク ネットワークの全国大会の資料から取ってきましたが、Event free survivalは22%程 度にとどまるのに対し、移植関連死亡TRMが約半数あるということが非常に問題であ ります。そのTRMのほとんどが感染症、あるいは生着不全といったさい帯血の数の少 ないことによる問題点が指摘されております。次、お願いします。  海外のさい帯血移植成績についてもやはり日本と大体同じぐらいの成績でありますが、 予後因子、リスクファクターを見ますと、総細胞数より、移植のCD34の陽性細胞数が 多いほど有意に生存率を改善するという結果が出ております。このようなさい帯血移植 の成績を向上させるためには、加藤先生の班もさまざまなストラテジーで考えておりま すけれども、私たちの班研究では、さい帯血のCD34の細胞をEx vivo増幅してなるべ く多い数を入れてあげて、それでこういった合併症を改善させようというストラテジー でこの研究を開始しております。次、お願いします。  実際に、既に海外ではEx vivo増幅のさい帯血移植というのが実施されておりまして、 有名なところではマックニースのグループ、クルツベルグのグループが先行してやって おります。彼らのエクスパンドの特徴としては、CD34、いわゆる未熟な分画をふやす というのではなくて、やや分化した前駆細胞を多くふやすことによって好中球の生着を 早めてあげようというようなストラテジーで行われましたが、実際はCD34自体はマッ クニースで1倍、クルツベルグでは0.2倍と減ってしまうような感じになりまして、結 果的には生着には寄与できなかったというのが現状であります。  最近、シャポールらの方法によりますと、そういった幼弱な細胞までエクスパンドで きる方法を行っておりまして、それによっては生着を若干早めるような成績が出ており ますので、我々の方法を指示するような結果であります。次、お願いします。  実際にビトロのデータ、詳しくは説明しませんが、先行した2つのグループに比べて、 我々の方法では、CD34陽性細胞、あるいはコロニー形成細胞という未熟分画を有意に ふやすことができて、SCIDマウスの移植実験でも、ほぼ我々の方だけがマウスにく っついてくるという結果が得られまして、この結果をもとに臨床研究に入ろうというこ とでスタートしております。お願いします。  我々の研究の進捗ですけれども、平成14年から基礎研究成果の臨床応用推進研究事業 というので、まずこういった基礎研究を臨床応用にするために、GMPに準拠した培養 法の確立、品質管理基準、あるいは安全性試験を行う。あと、セル・プロセッシング・ センターを初めとした環境整備を行う。そのような研究を3年間行いまして、ようやく 昨年からヒトゲノム再生医療研究事業の方でプロトコルを作成し、ことし4月に臨床研 究を開始した次第です。次、お願いします。  細胞の確立としましては、要点はさい帯血バンクからの細胞を利用するということで、 さい帯血バンクの細胞を最終的には、培養して、加工して、出荷するという方法で、心 がけたのは無血清培養を行って、問題になっている牛の血清等を使わないこと。あるい は、チューブ・ツー・バック・システムにおいて閉鎖系培養を行って、細菌とかのコン タミをなるべく防ぐようなこと。あと、文書化の方とバリデーションをしっかりとりま して、毎回同じ製品ができるということを要点として確立しました。次、お願いします。  臨床研究に先立ちましては、この加工した細胞の安全性を十分示していかなければい けないわけですけれども、我々はヒト細胞あるいは動物由来成分を原料とした医薬品等 の安全性のガイドライン、あるいは省令医薬1314号とか906号を参考に、さまざまな試 験を行いました。  要点は、そういったつくった細胞のサイトカインがどんなものを出してくるかどうか。 あと、染色体異常、白血病のキメラなどが出てこないかどうか。さい帯血の場合はウイ ルスの混入は、常在ウイルスは非常に少ないわけですけれども、我々はこのエクスパン ドという操作によってもしもウイルスがふえてしまってはいけないということで、あえ てさい帯血にウイルスを感染させて、エクスパンドしてウイルスがどうふえてくるか、 どういう細胞に影響を受けるかというチャレンジ試験等を行いました。  あとは、マウスへの移植によってマウスへのがん化、炎症の有無。あと、マウスでの 臨床効果の検証というのを行ってきました。次、お願いします。  実際は、今現在完成した培養法と品質管理のシステムですけれども、受け入れ試験、 中間体の評価、あるいは出荷試験で無菌試験、ウイルス否定試験、マイコプラズマ否定 試験等を行いまして、現在出荷基準というのを決めております。次、お願いします。  そういった形で現在このように確立した方法で、兵庫さい帯血バンクと東海臍帯血バ ンクの協力を得まして、実際に保存されている、追跡調査不能等などの利用による凍結 されたさい帯血をこのような方法でエクスパンドした実製造試験というのを行いまして、 その結果を示します。  この結果で示すと、大体CD34として30倍程度を目標にしていたのですが、今現在 26.4倍ぐらいの平均値が得られまして、十分安定した方法になってきました。コロニー 形成細胞、幼弱な細胞に関しても、Day12をピークにふえてくることがわかりまして、 以上より我々は12日間の培養ということで最も効率よく造血幹細胞あるいは前駆細胞 をふやせるのではないかという結論に至りました。次、お願いします。  それで臨床研究というものを開始いたしましたが、目標症例数は10例に設定しました。 対象疾患は急性白血病、これは急性骨髄性白血病、リンパ性白血病を対象としまして、 試験期間を1年間として、フォローアップを1年見ようということで、主要評価は、ま ずはこの加工した細胞の安全性をしっかりと見ていこうと。もう一つは、生着促進効果 がないか見ていこうというものに設定しました。次、お願いします。  概要ですけれども、どうしても今現在さい帯血バンクに保存されているさい帯血はツ ー・バック・システムになっておらず、1つのさい帯血を解凍して通常に移植をした後、 残り2×10?/kg分、通常さい帯血移植で認められているドーズを入れた後12日間培養 して、残ったものを培養して12日後に入れてあげようという、通常さい帯血移植プラス エクスパンドの移植というストラテジーで移植を行います。生着の定義を42日間と決め まして、42日までに生着するかどうかということで評価をしたいと考えています。次、 お願いします。  エンドポイントは先ほど言いましたように、移植後100日までの有害事象発現及び頻 度をもって安全性を評価する。もう一つは、好中球の生着日数と細胞数で相関があるか どうかということで生着に対するEx vivoの増幅されたさい帯血の寄与を見るというこ とです。次、お願いします。  そのほかにこのセカンダリー・エンドポイントといたしましては、実際の生存率に及 ぼす影響。あと、移植関連合併症死というものが減ってくるかどうか。培養した細胞で、 新たな生着に関するいいマーカーが見つかってこないかというようなことを中心に調べ ていきます。あと、問題としましては、CD34にポジティブセレクションをしたものを 入れますので、免疫に関してはどうかということも少し評価の方に入れております。次、 お願いします。  研究は生着ということを十分見ておりますので、今現在20%程度我が国で生着不全を 及ぼしていますけれども、10例中3例出たらこの臨床研究は早期中止するということで 決めております。次、お願いします。  臨床研究の倫理的な審査、準備状況ですけれども、昨年の8月に当先端医療センター の再生医療審査会、今回の試験は単施設で行うということで決めておりますけれども、 そこで承認。10月に臨床研究情報センター、これはデータ管理等に関する倫理的な審査 ですけれども、その承認。そして昨年の11月30日に、さい帯血バンクネットワークの 倫理委員会の方で承認をいただきました。  今現在、研究協力施設は65診療科に紹介病院という形で、研究協力病院という形で送 っていただいて、実際の臨床研究はこの先端医療センターで行うというような状況であ ります。現在の患者の登録状況ですけれども、4月からオープンいたしまして、問い合 わせは4人ぐらいあったのですけれども、結局適格性、主に細胞数が3×10?/kg以上の さい帯血が見つかった患者に行うという適格基準を決めておきましたので、それに引っ かかることが多くて、今現在はまだ移植を行っておりません。次、お願いします。  健康被害報告・有害事象報告は、まだ臨床研究を行っておりませんので、臨床的な有 害事象報告はありませんけれども、少し気になった特記すべき報告事項として、一応F DAでさまざまなプロジェクトで認可されている輸入培地を使っているわけですけれど も、それに品質保証書をつけてもらった培地を送ってもらって、原材料を医薬品グレー ドのものを使うということでやっておりましたが、これはCD34の増幅を示しますが、 このように培地によってふえるもの、あるいは問題なのは全くふえないものがあるとい うことがわかってきました。  これによって少し臨床研究の開始をおくらせて原因追求をしたわけですけれども、結 果的には、保存あるいは製造過程において少し細胞毒性のある物質が生じてしまうよう なことがあるのではないかということで、どうしても原材料は全数検査が必要だという ことで、現在対策としては、培地すべてを開封いたしまして、実際にDaudi細胞という ようなセルラインを使ってそのATPの酸性をもって評価するという方法で、合格ロッ トを絞って行うということで何とか臨床研究を続けようという判断を私たちはいたしま した。以上になります。 ○齋藤委員長 どうもありがとうございました。臨床研究に向けて順調に進んでいるよ うですが、何か御質問、御意見ありましたらどうぞ。 ○麦島委員 安全性の問題ということでちょっとお伺いしたいのですけれども、確かに 先生は、さい帯血の場合に骨髄と比べてウイルスの混入が少ないということ、こういう 加工をすることによってウイルスの再活性化がないかどうかチャレンジテストをおやり になっているのですけれども、この結果はどういうふうな状況だったかということと、 実際にこれができた場合には、それぞれ細胞自体をターゲットに必ず行うというふうに 考えられているのかどうか、ちょっと不勉強なので教えていただきたいのですけれども。 ○伊藤参考人 実際には、チャレンジテストはさまざまなヘルペスウイルス等のいわゆ る常在ウイルスに関して全部行おうといろいろなウイルスを感染させたわけですけれど も、系がきっちりできたのが、サイトメガロウイルス、パルボウイルス、EBウイルス のみで、ヘルペス・シンプレックスのタイプ1もできましたけれども、結局チャレンジ テストまで行えたのはその系のみです。結果的には、このエクスパンド法においては、 それぞれのウイルスは増幅してこないという結果でした。  ただ、パルボウイルスに関しましては非常に細胞毒性が強くて、エクスパンドの培養 をかけますと赤芽球系を中心にどんどんアポトーシスを起こしてくるという結果でした。 現在それらの結果等を踏まえまして、我々はウイルス受け入れテストの一環として、さ い帯血バンクで調べているウイルスに追加してそういう常在ウイルスのヘルペスウイル ス、あと特に移植で問題になるHHV6とか7、プラス、サイトメガロウイルス等の11 項目にかんしてPCRによる迅速ウイルス否定試験というのを行っております。非常に コストがかかるのでなるべくさい帯血バンクでの検査を重視して、なるべくコストを抑 えてやりたいと考えているのですが、最初の試験なので安全性重視ということでやって おります。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。1つだけ教えてください。CD34陽性細胞が、 これはヒトですよね、真の造血幹細胞という想定でもちろんやられているのですけれど も、その点は本当に決着がついているのですか。CD34陰性が造血幹細胞というのは、 あれはマウスの話ですか。西川先生、その辺は。 ○西川委員 僕は、小川真紀雄先生のお仕事、ヒトとマウス両方知っていますけれども、 ちょっとややこしい話ですが、細胞周期との関係が物すごく明確にあって、ですから細 胞周期がインアクティブな場合には、CD34は出てこない。しかしその中にはやはり重 要なものがある。ですから、マウスの場合は明らかに34陰性でないといかんという話が あったのですが、それはそうではないだろうという話を小川真紀雄先生はされています。 ただ、ヒトの場合はほかにマーカーが全くないのと、マウスのように長期にわたって確 かめるすべがないんです。ですから、今のところは多分CD34しかないだろうと思う。  齋藤先生がおっしゃるポイントで一番重要なところは、とは言いつつ一方で、血管の 方とか、そういう方がやはりCD34をマーカーにやっておられるわけですね。ですから、 本当にこれが何を意味するのかというのは、まだ僕は決着がついていない。ですから、 例えばEx vivoでエクスパンジョンした臨床治験の結果が初めていろんな情報をもたら してくれるのだろうとは思っています。 ○中林委員 基本的なことで恐縮ですけれども、これは、いわゆる細胞数が多くなれば 当然成績がよくなるという基本的なお話かと思うのですけれども、それでは、小児等で 細胞数が随分多い移植も最近ではふえてきたのですけれども、そういった多いものと少 ないものとで臨床的にかなり差があるのでしょうか。 ○伊藤参考人 大体今、日本では、小児では1.5×10?/kg以上のCD34で、上下で生着 には差がある。生存率に関しては、差の方は出てこないのですけれども、成人では0.8 ×10?/kgぐらいで出てくるのですが、少なくとも多変量解析をした結果、CD34が今 のところ細胞数のドーズの多さで、少し生着等に差が出てきているのではないか。そう いったことに基づいています。  あと、逆に物すごく多くなってくるとどうなるかとなりますと、イングラフトメント 症候群とかそういったサイトカイン・ストームのような結果が出て、非常に危険になる 可能性もありますので、我々は十分注意をしながらその辺の観察項目をもって見ていき たいと考えています。 ○中林委員 移植に適した適正な数があるのかなというインプレッションがあるもので すから、余りふえ過ぎるのもどうかと。少ないのはいけないでしょうけれども、ある一 定の数を超えるとそれほど成績は変わらないのかもしれないと思ってお聞きいたしまし た。 ○西川委員 本当に、それをそのままヒトに適用していいのかどうかわからないですけ れども、やはり日本が生んだ立派なお仕事で、1個の造血幹細胞をマウスに注射して完 全に長期の骨髄の移植が可能であるというお仕事を、中内先生たちがされているわけで す。その方法は、少し分化した細胞と、本当に最後まで残る1個の細胞をまぜて注射さ れています。ですから、あの結果がもしヒトに適用されるとすれば、場所があいて一定 の増殖があれば、量はともかくも、余り細胞数には影響はないだろう。ただやはりヒト の場合は、ボーンマル・アブレーションとかの程度がマウスと全然違う可能性がありま すから、これをそのまま外延して何か申し上げるのは難しいという感じがします。 ○小澤委員 今回の臨床研究は、対象患者さんがいた場合には、先端医療センターの方 に患者さんが出向いていって治療を受けるということですけれども、従来余り日本では なかったやり方だと思いますが、ある段階からは増幅したさい帯血の幹細胞を実施設に 輸送するとか、そういう計画もあるのでしょうか。 ○伊藤参考人 厚生科学研究の計画書には挙げてはいるのですが、何はともあれともか く安全性を示さなければいけないということで、今回は安全性の試験を十分やった上で、 次のフェーズとしてはできれば医師主導治験という形で、皆さん御存じのように、この ような加工した細胞を多施設共同研究にする場合には薬事法が適用されるという問題も ありますので、その場合にはしっかりと確認施設等を挙げて安全性を示した上でやると いうことで、次のフェーズでそれを考えています。効果が証明されてくれば、現在さい 帯血の利用率が1割台ということで非常に利用されていない少ない分画をふやして入れ るという方にまで突き進んだ次のフェーズの臨床研究は、今計画中でございます。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。もしないようでしたら、次に加藤参考人から、 複数さい帯血の同時移植に関する研究の状況を説明お願いいたします。 ○加藤参考人 それでは、複数さい帯血移植というのがもう一つのオプションとして検 討されているわけですが、それについて御説明申し上げます。  もともとこの複数さい帯血移植は、中国で最初に行われました。1990年代前半に、5 つないし10個のさい帯血を一緒にまぜて移植をしているという噂が、我々の耳にも届い ておりました。その噂の真偽というのはなかなかわからなかったわけですが、当時ミネ ソタ大学のワーグナー教授が、その真偽を確かめに中国に調査に行かれました。その調 査の結果としては、なかなかサイエンティフィックに評価しにくいということで帰られ たわけですが、みずからサイエンティフィックにそれを証明しよう、あるいは検証しよ うということで、ミネソタ大学で2つのさい帯血を同時に移植するというプロジェクト が始まりました。  多くの方々も既に御存じのとおりですが、昨年の「Blood」に、その初期的な結果が発 表されました。その後も症例数がふえておりますが、内容としては余り変わっておりま せんので、この論文をもとに御紹介いたします。  23人のハイリスクの白血病の患者さんたち。年齢は13歳から53歳まで。主に成人の 患者さんたちです。2つのさい帯血を同時に移植し、評価できる患者さんたちが23人の うち21人。2人は早期死亡されたわけでありますが、この21人で全例生着が得られた。 通常、国外でも国内でも、さい帯血移植の最も弱点は、生着不全が10%から20%の幅で あるということであります。全例生着したということは注目されますが、この数だけで それが克服されたとはまだ言えません。この研究で非常に特色ある結果は、キメリズム、 つまり2つのさい帯血がどのように同じ患者さんの中でふえていくのかということをつ ぶさに見たことにあります。  最初の時点、白血球が増え始めるところでは、2つが同時にふえ始めていく。しかし、 100日目になりますと、いずれか一方だけが生着し、もう一方はそこで消えていくとい うことを観察したわけです。どちらがウィナーになってどちらがルーザーになるかとい うことについて、後ほど別のスライドでお見せしますが、今のところ明確な答えは出て おりません。この段階では、安全性を見るのが第一の目的でありましたので、安全性に は問題がないという結論を出しておられます。  お手元のハンドアウトは見にくいと思いますが、こちらのスクリーンの方でごらんい ただければと思いますが、好中球の生着スピード、それから血小板の生着のスピード、 いずれにおきましても、従来のさい帯血移植よりやや早い。そして、全例が生着してお りますので、生着率が高いということになります。  右側の方にCD3、つまりTリンパ球の数が書いてございますが、X軸には生着しな かった方のさい帯血、Y軸に生着した方のさい帯血、それぞれのCD3陽性細胞が書い てあります。ごらんのように、CD3の数が、生着した方が多い。つまり、CD3の多 い方が生着をしたということがここで示されているわけです。しかし逆に、少ない方で も何例か生着しておりますので、これがすべてであるかはわかりませんが、有意であっ たということを観察しておられます。次のスライドをお願いします。  実際の生存率、23人ですので、それほど統計学的に確定的にものを言えるわけではあ りませんが、寛解期に行われた方については70%、再発で行われた方については半年の 時点で50%、1年の時点で20%というふうに、数が少ないのでこのような結果になって います。  これは従来のさい帯血移植よりもややよいのではないかというふうに言っておられま す。とりわけ、再発が少ないということをこのグループは最近おっしゃっておられまし て、2つのものが競合する過程においてあるいは白血病の再発を防ぐ何らかのメカニズ ムが働いている可能性があるのではないかということを、最近は言っておられます。  私たち日本におきまして、兵庫医大の甲斐先生、原先生を中心といたしまして、4つ の施設でパイロット・スタディーを行って、11人の患者さんにおいて複数さい帯血移植 が行われました。これは2004年の段階の成績ですが、ごらんのように生存率で82%、 無病生存率が68%ということで、成人のさい帯血移植としては極めてすぐれた成績が報 告されています。これを受けまして、私たちの研究班として、第2相の研究を計画し、 現在全国の多施設において研究が開始されました。倫理委員会での審査が大体承認がお りましたので、4月から実際の移植が行われ始めまして、既に4例行われております。  最初の1例の方が、既に生着が確認できるところまで来ており、また一方のさい帯血 が生着しているということも確認できております。非常に順調に進み始めましたので、 今年度内には第2層の前半の部分まで行けるのではないかというふうに期待しておりま す。  前回のこの委員会でも議論されたかと思いますが、保存されているさい帯血の細胞数 と、実際に移植された細胞数の違い、分布であります。上に保存の細胞数の分布が書い てありますが、保存の基準が3×10?から6×10?に引き上げられた2004年以降と、それ 以前とを比べますと、6×10?以上にシフトしている。  一方、下のグラフには、移植に使われたさい帯血の細胞の分布が書いてあります。前 半の部分の分布から、後半ではより細胞数の多いものにシフトしているということがご らんいただけると思います。  現時点での保存されている、これは私たちのバンクのものですが、日本全体もほぼ同 じでありますが、分布がブルーで示したものであります。  もし今後10×10?以上だけを保存していくとなりますと、グリーンで上乗せになって いる部分に保存されている細胞が集中してまいります。  この細胞数の多いものは、当然のことながら単一のユニットで移植にすぐに活用でき るものとして存在いたします。しかし、これまで保存してきたものはそれではむだにな るかということになりますと、次のクリックをお願いします。  次にどんどん進めていただけますでしょうか。こちらが単数のさい帯血移植。しかし こちらの少ない部分も、複数のさい帯血移植という使い方によって十分生かされていく わけであります。私の私案でありますが、ではいきなり10に上げていくのが賢明である か、あるいは6から途中8というようなところを置いて10に行くというふうな段階的な ものをとるか。これはもう行政の考え方と我々現場の考え方を議論して、今後詰めてい くべき問題かと考えております。次のスライドをお願いします。  以上から、さい帯血移植において現時点では生着あるいは生存に最も重大な影響を及 ぼす因子は移植細胞数であるということが、国際的にも国内的にも確認されております。 しかし、最近はだんだん細胞数が多いもので移植をされますので、その多い少いの間の 差は以前より明確ではなくなっております。つまり、多いもので行われているために、 差を我々は感じなくなってきているということです。採取方法、後ほど中林先生の方か らお話がございますが、これを増加させることによって、現行の6×10?から10×10?個 に引き上げることによって、より効率的な事業となることが期待できるのではないか。 複数さい帯血移植を導入することによって、生着率の向上を図ると同時に、細胞数の比 較的少ないさい帯血の活用、有効利用ということも可能ではないかと考えております。  お手元のハンドアウトの後半の部分に、我が国における造血幹細胞移植の概況、そし てさい帯血移植の概要について参考資料としてつけておりますので、後ほどごらんいた だければと思います。以上です。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。それではディスカッションをお願いいたしま す。先ほど細胞数の少ないさい帯血の活用として、1番目に体外増幅、それから複数さ い帯血の同時移植が2番目だと思いますが、いかがでしょうか。 ○小寺委員 複数さい帯血の我が国の成績が非常に良好で、今先生の研究班でプロトコ ルをつくってやっていらっしゃるわけですが、こういういい成績が出ますと、うちもや りたいというところで、そのプロトコルに乗らないでやるというところが出てくるよう な気もするのですが、そこら辺のコントロールはどんなぐあいになっていますか。 ○加藤参考人 いろんな新しい治療法というのは、そのようなプロトコルに参加すると いうのが原則なのですが、必ずしも参加しなくても独自にやることが可能な場合もござ います。しかし幸いといいますか、さい帯血移植につきまいてはさい帯血バンクネット ワークだけが供給源でございますので、そこのレギュレーションの中において、このプ ロトコルに参加している場合にのみ複数提供を可能にするという縛りがございます。現 時点では、独自に御自分の施設で採取し、兄弟姉妹のさい帯血とバンクからのさい帯血 を複数入れるとかそういう場合には可能かもしれませんが、極めてまれなことで、現時 点では、このプロトコル・スタディーに乗るしか方法がございませんので、そういう点 では質の高い臨床研究が進められるのではないかと思っています。 ○小寺委員 1つ確認ですが、この甲斐先生たちのデータは、基本的にスタンダード・ リスクが対象症例だったと思いますけれども、先生のプロトコルだとハイリスクも対象 になっているのでしょうか。 ○加藤参考人 ハイリスクも対象になっております。 ○石井委員 2つお伺いしたいのですが、1つ目は複数さい帯血を用いることによって 成人への移植が随分可能になってくるということなのか、を確認したい。2点目は少し 話が違うのですが、今、2つの臨床研究が同時に行われているということですね。2つ の臨床研究と、研究ではなく臨床として行われている骨髄とさい帯血移植、それらにつ いて患者さんにどのような説明がなされているのかを、お教えいただきたい。 ○加藤参考人 まず第1点の方の、成人への適用を拡大するというものがやはり大きな 目的になりますが、これは必ずしも成人に限らないことに将来はなろうかと思います。 今は細胞数の少ないものだからやむなく2つ入れようという考え方ですが、場合によっ ては細胞数の多いものを2つ入れるということだって当然理論の上ではあり得るわけで す。さらには、冒頭で述べましたように中国でかつてやっていたように2つ以上、3つ、 4つ、5つということだって可能性としては否定できないことになります。その場合に は非常に複雑な問題になりますので、サイエンティフィックにいろいろ詰めていく部分 はございますが。  2点目の、現場の患者さんたちに対する説明。これはもう当然、既にある程度エビデ ンスの出ているものの説明と、このように実験的なものと、すべてを明確に御説明した 上で、それでその研究に参加をされるか、希望されるかどうかということを確認して行 う。体外増幅もすべてのものがそのような形で進められております。あるいは臨床の現 場でのことを御懸念かと思いますが、かなりそこは明確にきちんと行われているという ふうに考えております。 ○齋藤委員長 よろしいでしょうか。それでは次に、中林委員からさい帯血の採取方法 に関する研究について説明をお願いいたします。 ○中林委員 それでは、私の方はさい帯血の採取方法に関する研究ということで、これ は平成17年度、厚労省の加藤俊一先生を主任研究者とする研究で、私が分担させていた だいたものでございます。スライド、次をお願いします。  目的は、成績向上のために有核細胞をできるだけ多く取りたいということで、東京都 赤十字血液センターと私どもで研究をしました。スライド、次をお願いします。  方法としては、約1年間、1,009例、7つの産科採取施設を対象にして行いました。調 査項目はこのように、分娩週数とか児体重、分娩様式、これは経膣か帝王切開かという ことですが、それからさい帯血採取量、細菌検査陽性数、調整前の有核細胞数、CD34 陽性細胞数、それから最終調整検体数というものを調査いたしました。スライドを。  さて、分娩週数としては、正期産ですけれども、36週が少しと42週が若干まじって おりますが、児体重は2,140gから4,264gということで、経膣分娩729例、帝王切開 45例、記載なし235例ということで、最終的には626例が保存され、保存率が62%。そ れから、細菌検査陽性率は4.8%ということでございました。スライド、次をお願いし ます。  ここで、採取血の容量と有核細胞数を見ますと大変よい相関が出まして、大体70cc ぐらい取るとほぼ10×10?くらいになるという計算で、r=0.712というようなよい相関 が出てまいりました。スライド、次。  ただし、有核細胞数は、正期産では分娩週数とか児体重とは関係しないで、採取量と 正の相関を示したということでございます。スライド、次。  さてここで、採取方法別の血液量の検討でございますが、実は一番たくさん取れたの が、経膣的に分娩した直後に赤ちゃんを母体のおなかの上に乗せる、一般的にはカンガ ルーケアと言ってカンガルーがおなかの上に赤ちゃんを抱えるような感じですけれども、 そうやって採取した群が約90ccくらい平均で取れている。それから帝王切開が82cc。 帝王切開というのは赤ちゃんがおなかの上に乗っかってからさい帯を切るので、胎盤よ り赤ちゃんの方が少し上に来るのですけれども、それが約82cc。そして経膣分娩で児を 上に上げないで、大抵は赤ちゃんが生まれてから少し下のところに赤ちゃんを置いてケ アをするのですけれども、そういった方法ですと66ccということで、この間には大変有 意な差がございました。スライド、次。  それから、1回穿刺法と、できるだけたくさん取ろうということで複数穿刺法がござ いますが、それを比べて見ますと、細菌陽性率に関しては、450例で1回だけですと2.2%。 ところが、複数回穿刺をいたしますと11%と、これも極めて有意に複数穿刺するとよく ないということで、1回穿刺の方がさい帯血の細菌感染率は少なくなるということがわ かりました。スライド、次。  これは、その後全国の11のさい帯血バンクから御協力をいただきまして、どのくらい 採取しているかということですが、年間平均すると1,000検体ぐらいで、そのうち4割 ぐらいの400が保存されて、保存率39.7%、有核細胞数は12×10?くらいが平均値で、 細菌感染率は2.5%ということでございました。スライド、次。  そこで、全国で11のさい帯血バンクから、大変さい帯血採取に熱心な産科施設を1〜 2施設御紹介いただきまして、その先生方と一緒に会議を持ちまして検討したところ、 主に年間分娩数は1,000件ぐらいのところが多く、常勤医師数は4人ぐらいでやってい るところがどうやら成績がよろしい。年に送付される臍帯血280本ぐらいで、保存は130 本ぐらい。そうすると保存率が47%。有核細胞数は10×10?から14×10?ということで、 平均は12×10?個、細菌感染率1.9%。これらは、全国96ぐらいある産科施設のうち、 各バンクで、特に熱心で成績がいいと御紹介いただいたところの成績でございます。ス ライド、次。  そして、これらの先生から、さい帯血がたくさん取れるための工夫をどのようにして いるかということをお伺いしたところ、1つはカンガルーケアをやるというところで、 大変多いところの5施設のうちの2施設がこのカンガルーケアをやっておりました。そ して、副作用がないかと聞いたところ、正期産であれば児の貧血はなく、かつ多血によ る高ビリルビン血症が少なくなるということで、長年やっている先生方が、これによる 副作用はないということをおっしゃっていました。それから、これをやっていないとこ ろでも、新生児を置く分娩台の補助台をできるだけ母親に近い高さとするということで、 やはりいろいろ工夫されていることがわかります。  それから、児娩出後できるだけ速やかにさい帯クランプを行う。それから、さい帯穿 刺は速やかに行い、空気の混入を避ける。それから、さい帯を一遍に引き過ぎて虚脱す ると取れないので、連続的に緩やかに動かしながら取るとか、穿刺は1回を原則とする。 それから、徐々に胎盤を出して、出した胎盤を軽く手で圧迫すると少しふえるとか、バ ックは床の高さ、重力を利用して引き、凝血を防ぐために緩やかに動かす。このために 機械を購入して、緩やかに動かしているところもございました。それから、粘り強く最 後の1滴まで採取する。大人数でやるところは余り成績がよくありませんで、採取に慣 れた少人数の医師で行うと採取量は増加する。経験が大事だということでございます。 スライド、次。  そのようなことから結論としては、有核細胞数が多く、かつ無菌のさい帯血を得るた めには、新生児を母体の腹部に挙上してから複数回穿刺を避けて採取すること。及び、 採取に慣れた少人数の医師で可及的速やかに行うことがよいと考えられる。  ということで、実際にはこのような採取の現場を、大変慣れた方のDVDビデオを現 在つくりまして、この採取施設90幾つにお配りして、カンガルーケアをルーチンに行っ てくるとどのくらい変わってくるかというようなことを次のステップでは行いたいと考 えております。以上でございます。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○木下委員 児が出た後にすぐにさい帯クランプをしてしまってから母体の方に胎児を 乗せても、余り関係ないのではないですか。 ○中林委員 これは、実際にはまず分娩をして、その後、骨盤誘導線に沿って赤ちゃん をおなかの上に乗っけます。それからクランプします。だから、10秒ぐらい赤ちゃんが 上に行っている時間があるんです。それがいわゆるカンガルーケアということで、一番 先に赤ちゃんをおなかに乗っけてからクランプするという状態です。 ○木下委員 なるほど。3番目に、児娩出後できるだけ速やかにさい帯クランプを行う という表現だとすると、普通はすぐにとめてしまいますので、その辺ははっきりと。 ○中林委員 それは、ただ施設からのこつをまとめたので、カンガルーケアをしていな い方たちにとっては、なるべく早くクランプした方がたくさん取れるという皆さん方の 経験を述べたものです。実際的には、カンガルーケアをしてクランプするというのがル ーチンになると、多分たくさん取れると思います。ここで先ほど10項目出したのは、各 カンガルーケアをやっていないところでも、赤ちゃんを下におくよりは、なるべく赤ち ゃんを、お母さんと同じ高さにおく。そして、同じ高さであれば、なるべく早くクラン プした方がいいという成績を皆さんがお出しになったということです。 ○木下委員 これは実際にやる立場からしますと、さっき10秒とおっしゃいましたけれ ども、児を上のおなかの方に乗せてからどのくらい置いておいていいのか、先ほど貧血 にはならないとおっしゃいましたけれども、理論的にはどんどん出てしまう形になって、 さい帯はもちろん縛ってしまうわけですけれども、何秒間ぐらいなら大丈夫だとか、そ の辺は具体的に言わないと混乱しませんか。 ○中林委員 そのために、これを皆さんが実際にどうやるのだろうということで、実は 東京衛生病院、クリスチャンの病院ですから赤ちゃんをできるだけ早く母親に抱いても らうということを10年ぐらいやっていらっしゃるところですが、そこの先生に実際にや ってもらったDVDをつくりまして、それが開始してから何秒ぐらいになるかという秒 針を一緒につけておりますので、実際にやる方々にそれを全部お配りいたします。そう すると、どのぐらいのスピードでやるんだということが理解しやすいと思います。  10何施設集まったときも、皆さんからも、そのようなビデオをぜひつくってくれとい う御要望がありましたので、それをつくったということでございます。実際には7月に できてまいります。 ○小寺委員 細菌感染をしたものが、わずかですけれどもあるわけですが、これは、取 った後でその一部をサンプルして培養して結果が出る。陽性のものは捨てるということ だったと思いますが、どんな細菌なのでしょうか。 ○中林委員 それは、日赤の方でやっていただいたので、私は具体的には存じ上げませ ん。 ○小寺委員 これは、先ほどの参考人で御出席いただいている伊藤先生の研究とも関係 するのですが、そういうもので陰性であることを確認したさい帯血を使って体外増幅を した場合、これは伊藤先生への御質問になるかと思いますが、なおかつこの14日間の培 養で、培養した細胞液が細菌等により汚染されるという、それも培養の技術でなくて、 もとのさい帯血にわずかなものが感染していたからそれが陽性になるというような可能 性は、どのくらい残されているとお考えでしょうか。伊藤先生にちょっと伺いたいと思 います。 ○伊藤参考人 技術的には、培養中に新たにコンタミネーションする可能性というのは、 今現在完全閉鎖系のシステムができ上がりましたので、最初のさい帯血を解凍して注射 器に取るところで起こるか、あるいは一番最初からさい帯血に少量の細菌がコンタミネ ーション起こしていた場合が考えられるわけですけれども、私たちも非常にそれを懸念 していまして、今抗生物質を使っていない培養法なので、最初に入っていればてきめん にふえてきます。最初、実際感染した細胞を何日目でディデクトできるかという無菌テ ストのバリデーション試験というのを6種類の標準菌でやりましたけれども、やはりこ の培養法においては1日2日でふえてきますので、このさい帯血の最初の状態の無菌性 が非常に重要になるという結果になっています。 ○麦島委員 採取施設の問題ですけれども、先生が今お示しになられたように、ある一 定の出産数があって、産科医が4〜5人おられて、経験ももちろんおありになるところ の方が、採取量も多いし、またコンタミも少ないだろうということですけれども、先生 が、熱心におやりになられていた産科施設と言ったのは、経験年数はどのくらいでしょ うか。 ○中林委員 大体そういった病院は中堅の病院ですので、10年以上経験の人が多くて、 私どもの病院のように2〜3年生の人が主に当直するような病院は、圧倒的に成績が悪 いんですね。ですから、10人以上いるようなところは、若い先生が当直をして採取する ので余り成績がよくないですね。 ○麦島委員 ある程度アットホームなところで数が多いところで、それでも例えばコン タミのことを考えますと、初めのころは混入率が悪い、しかしだんだんに改善してきて いる、採取量も徐々にふえてきている、というふうに理解してよろしいですか。 ○中林委員 そのとおりです。 ○齋藤委員長 よろしいでしょうか。それでは、これまでの御発表を踏まえまして、今 後のさい帯血の保存目標についてディスカッションしたいと思います。最初に事務局か ら説明をお願いします。 ○高岡主査 事務局より説明申し上げます。資料の5「さい帯血の保存目標について」、 1番、さい帯血の保存目標と現状ということで、保存目標につきましては、制度発足時 から平成14年度までは、有核細胞数3×10?以上のさい帯血を2万個。平成15年度から 6×10?以上のさい帯血を2万個ということで、保存目標の細胞数について御議論いただ いてまいりました。  現状といたしましては、6×10?以上のさい帯血の平成18年3月末現在保存数が1万 9,602ということでございまして、2万個の保存目標に近づいているところでございま す。一方、公開数につきましては、昨年度末で1万5,389個ということでございまして、 順調にいきましたら、来年度中に2万個の公開数に至る見込みでございます。  今後の保存目標につきまして皆様方に御議論いただきたいと考えておりますが、(1)さ い帯血移植の治療成績を向上させていくためには、患者体重当たりの有核細胞数が重要 とされておりまして、これまでの御発表にもございましたとおり、2×10?/kg以上が指 標とされてございます。例えば、成人の体重50kgとした場合には、有核細胞数10×10? 以上のさい帯血が必要とされております。  過去2年間の移植に用いられたさい帯血のうち、有核細胞数が10×10?以上のものは、 平成17年は88.9%となってございます。一方現状では、有核細胞数が10×10?以上のさ い帯血の保存数は少ないということでございますので、細胞数の多いさい帯血を保存し ていくために基盤整備を進めていく必要があるということでございます。  こうしたことから、成人に対してもより移植に適したさい帯血を供給することができ るように、現行目標6×10?以上のさい帯血を2万個というものを達成した後は、有核細 胞数10×10?以上を2万個保存することを新たな目標とすることといたしまして、この ためさい帯血バンクの採取体制や、採取施設の協力体制の整備等、細胞数の引き上げに 向けた検討を行いまして、その基盤整備を進めていく必要があるのではないかというこ とでございます。  次に、参考資料1といたしまして、さい帯血移植の現状等についてということですが、 1番は移植実施数でございます。96年から始まりまして、2002年2003年あたりに成人 の移植数がふえておりまして、2005年末までで合計2,894件の移植が実施されたという ことでございます。  2番に、未定稿ではございますが、保存計画数でございます。一番上が保存数で、次 に供給数、次に保存残数でございますが、保存数から供給数を引いていただきますと保 存残数という計算でございます。保存残数の表の合計の、6×10?から10×10?が1万 6,047、10×10?より多いものが3,555。こちらを足していただきますと、先ほど御説明 いたしました1万9,602という平成18年3月末現在保存数になります。  平成17年度について上からごらんいただきますと、6×10?未満の保存数が0、6× 10?から10×10?のものが2,879、10×10?より多いものが、これは未定稿でございますが、 1,000保存されまして、そこから供給された数が、6×10?から10×10?のものが73、10 ×10?より多いものが602、そして残数といたしましては6×10?から10×10?のものが 2,806、10×10?より多いものが398ということでございまして、10×10?よりも多い細胞 数のさい帯血の保存残数の18年度も合わせた見込みといたしまして、合計3,855となる 見込みでございます。  次のページの、保存さい帯血の有核細胞数の分布のグラフでございますが、折れ線で 書いてございますのが保存数、棒グラフで書いてございますのが移植数です。折れ線の 保存数をごらんいただきますと、横軸が細胞数の6×10?のところが保存数のピークにな ってございます。縦軸は、保存数が右側の軸でして、移植数については左側の縦軸にな っておりますが、移植数のピークは12×10?個になってございます。  次のページですが、過去2年間の細胞数の多いさい帯血の保存数と移植使用数という ことでございます。下側の棒グラフをごらんいただきまして、左側が全公開数における 10×10?以上のさい帯血数、右側は移植に使用された10×10?以上のさい帯血数というこ とでございまして、2005年をごらんいただきますと、上側の金色が10×10?以上の細胞 数のさい帯血の数でございます。全公開数における10×10?以上のさい帯血数が1,130 で、割合的には2割、3割程度です。一方、移植に使用された10×10?以上のさい帯血 数をごらんいただきますと、568、ほぼ9割の移植に使用されたさい帯血が10×10?以上 のさい帯血ということでございます。  次のページが、平成17年度のさい帯血受入数及び仮保存数ということでございますが、 17年度の総受入数が1万1,271総仮保存数が4,453のうち、保存細胞数6×10?以上に した場合、総受入数に対する仮保存の割合は38.3%となります。一方、10×10?にした 場合、一番下の段でございますが、13.7%となるということでございます。  次に参考資料2でございますが、こちらは2002年の3月に、日本さい帯血バンクネッ トワークからの「さい帯血バンクの中長期的展望報告書」でございます。抜粋でござい ますが、(2)の細胞数のところに書いてございますのが、「保存するさい帯血の最低細 胞数は現行では3×10?とされているが、既に述べたとおり6×10?未満のさい帯血の利 用率は低い。」「当面(次の5年間程度)の最低保存細胞数を6×10?とする」ということ。 「しかし、この6×10?という細胞数は、30キログラムの患者に対応可能なレベルであ り、将来的には50キログラム程度の患者にも対応可能な10×10?に引き上げていくこと が理想的であるとされた。」こちらが2002年3月でして、平成15年度より国庫補助金の 配分基準も、6×10?以上の保存数のさい帯血で配分の基準としたところでございます。  参考資料の3といたしまして、同じく日本さい帯血バンクネットワークから2006年3 月に出されました報告書の抜粋でございますが、(1)の抜粋ですけれども、2つ目のパ ラグラフの下の方をお読みいたします。  「移植を希望するすべての患者に対して有効なさい帯血を供給することがさい帯血バ ンクの責務であることから、目標とする保存数は『有核細胞数1×10?以上のさい帯血が 2万個』であることは明確にすべきであると考える。」  「しかし、上記の目標は必ずしも容易に達成できる数値ではない。」ということで、公 開されているうちの10×10?以上のさい帯血の数の少ないところですとか、目標とすべ き有核細胞数10×10?以上のさい帯血を2万個達成するためにかかる年数などが考察さ れておりまして、このパラグラフの最後のところに、「最終目標を『有核細胞数1×10? 以上のさい帯血が2万個』であることを明確にした上で」「分析と評価を加えつつ事業を 継続していくことが重要と考えられる。」ということでございます。  最後の参考資料4でございますが、平成15年国民健康・栄養調査によります年齢別体 重の平均値でございます。右側が男女平均の体重になってございまして、30kgといいま すのは、年齢9歳程度でございます。成人50キロと申しておりますのが、およそ13歳 から14歳の男女平均の体重ということでございます。これは一般の方の体重平均ですが、 参考にしていただければと思います。  これらの参考資料をもとに、保存目標の引き上げに当たりまして御議論いただきたい と思います。さまざま課題となってくる点があると思いますので、保存対象とならない さい帯血の処理についてとか、バンクに支払われる補助金のことですとか論点はあるか と思いますけれども、今後のこれらの課題の検討についての御議論をお願いしたいと思 います。以上でございます。 ○齋藤委員長 ありがとうございました。それではディスカッションをお願いします。  今、目標引き上げの課題といいますと、先ほどの資料にもありますように、運んでき たさい帯血の約14%しか保存できないということになりますから、86%は少なくとも移 植のためには使えないということですよね。いかがでしょうか。 ○小澤委員 実際に保存されるのは細胞数が低いところに中心値があって、実際に移植 されるのはかなり保存細胞数の多いのが使われているわけですね。そうすると、使われ た分をまた補充していくということになってきますと、細胞数の少ないのはどんどんた まってきますから、ほっとくと年がたつにつれてだんだん少ないものの方にシフトして しまう気がしますけれども、その辺の調整はどうなっているのかお聞きしたいのですけ れども。 ○齋藤委員長 これは事務局、あるいはさい帯血バンクネットワークの野村事業運営委 員長が参考人ですが、何か。 ○野村参考人 確かに現状では細胞数の多いさい帯血が優先的に……インターネット上 で公開されるわけですけれども、ある程度条件を満足したものが公開されると、早い者 勝ちといったら何ですけれども、極めて高い確率で短期間に、そういったさい帯血は移 植に使いたいという申し込みが出てまいります。  今、大体毎年600例以上のさい帯血移植が行われているのですが、その9割ぐらい、 600と言っていいと思いますが、そのくらいが細胞数の多い10×10?個以上のさい帯血と 思っていただいて結構だと思います。残り1割ぐらいがその部分でございまして、現在 は年間3,000から4,000の数の保存をしておりますので、そのうち6から9といった部 分が多いのですけれども、10掛け以上も1,000ぐらいは保存しております。600使いま すと400それでも残る。その10掛け以上の400が毎年ふえていっているという状況が言 えると思います。だから決して、細胞数の多いものが全部使われてしまって何も残って いかないということではありません。 ○小澤委員 要するに、その使われないのがどんどんたまっていってしまって、スペー ス的な面とかそういうことで困ることがないのですか。 ○野村参考人 現状では、具体的にそういうことはないと思います。 ○木下委員 高橋先生でございましたか、品質に関する諸外国の調査のことはわかりま した。採取のところから効率よく安全に取っていく方法に関して、諸外国と日本ではど ういう違いがあるのでしょうか。例えば80%は使えないようなものであるということは、 非常に効率よく取って有効であるということをやっているシステムはどのようなもので すか。 ○高橋参考人 米国、イギリス、ドイツにおきましても、使われているさい帯血のパー センテージというのはそんなに高くなくて、この間の調査にもございますけれども、そ れぞれが5%から10%の範囲内に入っているということを見ますと、それほど日本と大 差はないのですが、諸外国は初めから細胞数が多い方がいいということを考えて設定し ております。特にフランスなどは、最初から80cc、100ccということで、非常にレベル を上げて採取されています。それぞれの国の考え方がございますけれども、代表的な英 国の場合にはやはり5〜6%の使用率ということであります。 ○木下委員 そうすると、取る施設の違いによって、我が国よりも諸外国の方が多く集 まるのではないかと思いますが、いかがですか。やはり日本と同じように、さい帯血を 集めること自体が難しい状況なのですか。 ○高橋参考人 やはり難しい同じような問題で、国の援助とかそういったところが、最 近になってやっとアメリカでも動きがあるし、ドイツでは特に援助が全然ないわけです から、団体の大学の自主努力でやるということで、皆さん大変苦労されていると思いま す。 ○木下委員 私は、この会に出させていただいて初めて問題点がよくわかりました。臨 床の現場におりますと、この問題の重要性が理解されない感じがしました。そこで、医 師会はこういう問題に積極的に参加していくべきであると思いました。 ○中林委員 米国、ドイツ、英国で、容量の最小を60ccに決めておりますが、60ccと いうのは大体細胞数にしますと8×10?くらいになるのではないかと思うんです。そうし ますと、多分現在も産科施設は取っても、50cc以下のところは大体皆さんバンクにあげ ないんですね。バンクの方も50ccか70cc以上だったらくださいということで、産科は たくさん取っているうちの一部をバンクにあげて、バンクの中でさらに細菌汚染とかク ロットとか幾つかのことでドロップアウトしていって、ごく一部が保存されているとい うのが現状です。  そして、10×10?でも40%ぐらいの保存率なので、これをかなり上げていくことは、 理論的には現在多い細胞がどんどんなくなってきますからこれをふやす方がいいのです が、いきなりそこに行くと産科の取る意欲が、幾ら取っても採用されない、10%ぐらい しか採用されないとなるとちょっと意欲的が減退するので、こういったさい帯血移植と いうのは社会全体でサポートする事業なので、小児科の先生もバンクも、かつ産科医も 妊婦さんたちも、ドネーションしてそれがある程度使われるという基準でないといけな いのではないかと、私は思っているんです。  6×10?から右の方へ2つぐらいずらすと、10×10?が相対的にふえてくるので、当面 この2年ぐらいはそのくらいの方が妥当なのかなという個人的なインプレッションです。 ○木下委員 そういう集め方の具体的なことはまた御検討願うとしまして、要するに大 学関係とか大きな病院だろうと思いますが、ある限られたところだけがこういったこと に熱心だろうと思うので、もうちょっと施設を広げてということに対しての努力も、我々 ももう一遍しなければいけないという気がしたものですから、またちょっと考えてみた いと思います。具体的にぜひよろしくお願いします。 ○中林委員 採取する施設数が余り少ないと、妊婦さんのモチベーションが上がってい かないという懸念があるのは確かです。 ○青木委員 10×10?個に将来していくということは非常に大事なことであって、私は賛 成であります。しかし、先ほどから議論されているように、いきなりそこに持っていく と、せっかく取っていただいて1割ちょっとしか保存できない。基本的に10×10?個に もっていくにはいろんな体制整備をしていかなければいけないだろうと思います。  まず1つには、産科医療機関でよりたくさんのさい帯血が採取できる訓練――訓練と いうとおこがましいのですが、そういった対策。それからもう一つは、先ほど高橋教授 にちょっと質問したように、日本では24時間以上オーバーしたものは保存していないわ けですけれども、36時間以内ということがほぼ国際的に常識であるとすれば、そこまで ふやすことによって10×10?個あるいは大容量が確保できる。そういった基準を1つ変 更する必要があるのではないか。それからもう一つは、産科医療機関の採取医療機関を ふやすということも1つ必要である。いわゆる産科医療機関がやる気をなくさないよう にある程度の保存数のパーセントを上げていった上で、さらに不足分は新たなる採取医 療機関をふやしていく。こういうことになっていかざるを得ないのではないかと思いま す。  6×10?個で今まで来たわけですから、とりあえずは8×10?個を年度当初には目標値 として掲げ、来年度末あるいはそのあたりを目標にして10×10?個を集める体制整備を していく。こういうことの方が自然ではないかと思っております。 ○齋藤委員長 それから一言つけ加えますと、医療用に使われないさい帯血の一部は、 文部科学省の事業として研究用のさい帯血バンクで活用されているわけですが、その点 について何か西川委員。 ○西川委員 大変バンクの方に努力いただいて、一応、今までだと全く使わない6以下 のものに関しては、一般の研究に使えるようにしていただいております。インフォーム ドコンセントも両方とっていただくという形があって。ですから、文科省のプロジェク トからいうと、研究バンクに入ってくるものが逆に言うと上がればふえるという、変な 矛盾がありますので軽々に言えないのですが、しかし皆さんが同じ気持ちでドネーショ ンしていただいたものが決してむだにならないような仕組みは、やはり両方が手を取り 合ってやっていくということが多分重要で、そのためにいろんな議論を尽くしてきまし たので、全くむだになるということは絶対にないように私たちもしたいと思っています。 ○齋藤委員長 ただ、11カ所あるバンクのうちで、研究用バンクに参加しているのは5 カ所のみという、そういう点はありますね。 ○木下委員 きょうのお話のように、増幅とか複数を用いるということが可能となるな らば、量が少ないからだめだとはならずにすみます。ある程度以上の数であるならば使 えるとなると、もっと採取しやすくなると思います。上限よりむしろ下限のところを押 さえていただければ積極的に進められるのではないかと思います。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。1つ伺いたいのですけれども、野村さん、今 現場で妊婦の方にインフォームドコンセントをしますよね。そのときにどのぐらいの割 合で実際に移植に使われますとか、その辺まで含めてされていますか。 ○野村参考人 それは各バンクによっても違うと思いますし、採取施設によっても違う と思います。ただ、ある施設ではこの間、この病院で採取したさい帯血が移植に使われ ましたというようなことが張り出してあったり、そういうことをやっているところもあ るようです。  ちょっとよろしいですか。基本的には、確かに細胞数の多いものを保存していくとい うのは将来的な目標としてメルクマールしていく必要があると思いますが、現在6×10 ?個という保存最低基準があるわけですけれども、これを一気に10掛けというようなこ とになると、はっきり申し上げて、今の採取体制では年間の数は確保できなくなってい くということもあります。  それから、採取病院の数そのものをふやしていく必要があるのですけれども、そうい ったことも一朝一夕では簡単にはいかない。さい帯血バンクと産科施設と契約関係を結 んで実際には採取していくわけですけれども、その際にはさまざまな手順がありますし、 産科施設における採取のスキルアップということもやっていくと、すぐに増やしましょ うと言って、来週からあるいは来月からということでやっていっても、決して細胞数の 多いさい帯血がふえるということにはならないと思います。  それから、細胞数の多いさい帯血を保存していくということに関しても幾つかきちん と検討しておく必要があろうかと思います。3つばかりあると思いますが、この席でも 上っていることですけれども、まず、さい帯血のカクテル移植、複数を同時に移植する ということによって細胞数の少ないものでも活用できる道がどうやら開けそうだという 展望があるということが1つであります。  それからもう一つは、現在さい帯血移植はHLAの2ミスマッチまでの移植が行われ ているわけですけれども、研究成果の中には、やはりHLAを適合させた方が成績がい いとうような研究報告もございますので、そこら辺の将来的なものを予測していくと、 細胞数が少ないからといって、まれなHLAタイプを持ったさい帯血みたいな部分を見 捨てていっていいのかどうかということも、ちょっと懸念される材料であろうかと思い ます。  それから、明らかに100採取したさい帯血のうち10幾つという数しか実際にさい帯血 バンクとして保存されていかないということになったときの、そういった効率主義とい いますか、マキャベリックな考え方は当然コストパフォーマンスとして考えられるので すけれども、やはり社会的な理解のもとに行っている、国民の支援のもとに行っている さい帯血バンク事業として、本当に捨てていっていいのかどうかということは、きちん と皆さんの中で論議していただく必要があるのではないかと思います。 ○柴田委員 11番目のさい帯血バンクとして京阪が発足しているのですが、たしかこの 7月から10×10?のというところにもっていくはずになっています。といいますのは、 11番目というので非常にバンクの当事者が勢いついていますので、ステップ・バイ・ス テップにやっているのですが。  もう一つ僕が気になりますのは、例えば、日本海側の方々がバンクに提供したいけれ どもできない、何とかならんかという話がよく出てきます。数をふやすというのは非常 に問題があるとは思いますが、そういう11番目のバンクが一生懸命やるということは、 12番目ももし決まればやるということが考えられますので、その辺のところは今後どう いうふうな議論になるのですか。もうバンクはふやさないということですか。 ○野村参考人 それは私が答えるような問題ではないですけれども、確かに先生がおっ しゃられるように、提供したいという妊婦さんたちの声にこたえ切れていないというの が現状です。今でもわずか97の産科病院でしか採取は行っておりませんで、それ以外の ところで出産する方たちは提供を絶対にできないという状況です。  そういったことが混乱を招いている1つにプライベートバンクというものもあるので すけれども、あなたはさい帯血バンクでは保存できませんから自分で個人的にとってお きなさいなんてわけのわからない論理ですけれども、そういうことが実は物すごく横行 しています。  中には、国民の善意にこたえるためには47都道府県、1都心に1病院ぐらいは採取病 院を置いて、そこに行けばさい帯血を採取していただけるという体制を組むべきではな いかという声もちらほらと出ていることは事実です。それが新しいバンクにつながるの か、それとも11のバンクが近隣のエリアをそういった形でフォローして、そういった体 制を整備していくのか。その辺はまだ議論のまな板の上にも乗っていないことですけれ ども、その辺はどうしていくのかということもやはりこの委員会の先生方にも考えてい ただけたらありがたいと思います。 ○齋藤委員長 数をふやす問題と、先ほど青木委員から御指摘があったような時間の問 題がありますよね。36時間だったらもってこられるかもしれないですね。いかがでしょ うか。南委員、何か。 ○南委員 特別なことはないのですが、私もこの議論にもずっと参加してきて、普通の 人よりはよく知っているつもりだったのですけれども、やはりきょういろいろ伺います と、国民に知らせるようなメディアの立場にありながら、まだまだ知識が十分でないと いうことがかなりあって、今バンクの方からあった、自分のために自分でとっておきな さいみたいな変な、不十分なだけでなく誤解を招いている部分もかなりあるのかなとい う気もしますので、もうちょっと事実を国民にも広く知ってもらって、医療現場とバン クという特定のところだけでなく社会全体の認識をサポートする方向にもっていかない と、これはなかなか難しいなという印象を受けました。  それともう一つ、小澤先生がさっきおっしゃったこととダブルのかもしれないのです けれども、私もきょうのお話を伺っていて、だんだん使っていく部分と残される部分の ことで、残される部分がやはり使われないものがたまっていって、保存の許容量とかそ ういうものは大丈夫なのかなというのがちょっと気になりました。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○石井委員 ちょっとずれることなのですが、3つほどあります。1点目は先ほどの文 科省のバンクについてですが、ここの移植のバンクで集めたものがそちらに行くという こともあるので、文科省のバンクでどれくらい集めて、それがどう利用されているかと いう情報も教えていただければありがたいということが1点目です。  2点目は、先ほど各バンクで説明がいろいろだというお話だったのですが、共通のパ ンフ等を作成して、妊婦の方だけでなく一般の方も含めて情報提供できるよう考えた方 がよいのではないかということが2点目です。  3点目は、先ほどから効率ということが言われていますが、効率という点で考えると すれば、さい帯血だけではなく骨髄移植、末梢血移植、それらを含めて患者さんにとっ て、社会にとって、プラスなのかマイナスなのかということを考える必要があるのでは ないかということ。  済みません、4つ目もあるのですが、4つ目は、今さい帯血が、文科省の方で研究と して行われていることが、だんだん臨床になっていく等、利用が広がっていくというこ とも考えて、バンクを考えていく必要があるのではないかということです。 ○西川委員 文科省の方はもちろん、使っていただく人があるのですから全部公開され ています。今幾つという数字は持っていませんが。  あと、いろんな議論をした中で、一番ドネーションされた人たちからの要望、特にバ ンクの要望として、それが研究としてどういう成果を生んだのかということも明確にネ ットサイトとかで報告してほしいということで、それに対してこたえられるように今調 整をしています。  それから一番最後の問題ですが、やはり齋藤先生たちとも文科省のバンクのときにい ろいろ議論したのですが、本当に重要な細胞をさい帯血から必要なだけ利用できるよう になったら、例えば複数移植もそうですし、増幅もそうですし、そうなればかなりいろ んな形で仕組みが変わると思います。ですから、もちろん研究用のさい帯血バンクの目 的は、そういうことを実現したいということですが、そういう状況になったときには、 もう一度この委員会でもどこでもいいですから、基本的には厚生労働省の方でそれに合 わせた対応をしていただかないと、実際に患者さんに使うというときには、当然文科省 の問題とは違う問題がありますから。ですから、目指すところは石井先生がおっしゃる とおりなのですが、しかしそれがわかった段階で、もう一度厚生労働省に持ってくると いうのが多分筋道だろうと思っています。 ○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○小澤委員 最初の高橋先生の報告に戻りますけれども、諸外国の動向について調査し て報告してくださったわけですけれども、日本の場合にはこのさい帯血を細胞医薬品化 に持っていくのか、あるいはtissueの扱いにするのか。ある程度そういう方針があるの か、それとも今回の調査を踏まえてゼロから、まっさらな状態から議論を進めていくの か。今、厚労省としてはどういうスタンスなのか教えていただきたいと思います。 ○片岡室長 医薬品の適用をしていくかどうかということについては所管が違いますの でお答えできかねますが、諸外国において、品質管理の基準等が整備されてきておりま すので、ヒト由来の細胞としてより品質を高めていくために、今バンクでは技術指針を つくっておりますが、それと諸外国の動向とを比較しまして、今後整備していくべきと ころはどういうところかということを今度は加藤先生のところでご研究いただこうと思 っております。 ○小澤委員 施設的にちょっと国際レベルに到達していないようなところに対しては国 でてこ入れするとか、そういうことまで考えておられるのでしょうか。 ○片岡室長 今後の調査研究の中でもそういうことも議論していただくことになると思 いますが、現在は基本的には運営費、それから設備整備費について、国庫補助金で100% の御要望にはこたえられておりませんが対応しておりますし、診療報酬においても、さ い帯血に係る費用が一部評価されています。このような体制整備、運営支援については、 これからも取り組んでいきたいと思っています。 ○齋藤委員長 それでは、そろそろ時間になりましたので、目標引き上げに際しまして は、厚生労働省とさい帯血バンクネットワークでいろんな意見を集約して、急にはやら ずに徐々にやるという御意見だったと思います。そのための必要な作業をお願いしたい と思います。最後に事務局より報告事項をお願いします。 ○矢野補佐 事務局から1点御報告申し上げます。参考資料の1をごらんいただきたい と思います。前回4月の造血幹細胞移植委員会におきまして、骨髄移植のための採取施 設の確保について御議論いただきました。骨髄移植推進財団で、コーディネートの過程 で骨髄採取の実施施設の確保に大変苦慮しているといったお話もありました。これを受 けまして5月11日付で「非血縁者間骨髄移植における骨髄採取の実施について」という ことで、当室より協力依頼の通知を全国の骨髄採取認定施設に対していたしましたので 御報告をいたします。  次回以降の日程につきましては、各委員の日程を調整させていただきまして、決まり 次第文書で御連絡させていただきます。お忙しいところ恐縮ですが、日程の確保に御協 力をお願いいたします。 ○齋藤委員長 それでは、これをもちまして終わります。御協力どうもありがとうござ いました。 (終了) 照会先:健康局臓器移植対策室 丹藤 内線 :2362