06/06/28 第14回医師の需給に関する検討会議事録 第14回医師の需給に関する検討会 日時 平成18年6月28日(水)           14:00〜 場所 厚生労働省共用第8会議室                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          ○矢崎座長 定刻になりましたので、ただいまから「第14回医師の需給に関する検討 会」を開催いたします。各委員の皆様には、ご多用のところ、またお暑い中を本検討会 にお集まりいただき、まことにありがとうございました。  実は私、先週末からヘルペスになって頭痛がしています。過去2回やって、それぞれ 大変なストレスの時期になりました。今回、何が原因かと思って考えてみたら、もしか するとこれかもしれません。是非、よろしくお願いしたいと思います。お手柔らかにお 願いします。事務局から、本日の委員の出欠状況についてお願いします。 ○宮本補佐 本日の出欠ですが、池田委員、泉委員、山本委員、吉村委員からご都合に より欠席との連絡をいただいています。 ○矢崎座長 早速、議事に入ります。お手元に今回の「医師の需給に関する検討会」の 報告書(案)があります。これをまず、事務局から説明いただきます。よろしくお願い いたします。 ○宮本補佐 お手元の「医師の需給に関する検討会報告書(案)」を順次、説明してま いります。やや、詳しく説明していきたいと思っています。  1番目、「はじめに」は、この検討会開催以前の歴史も含め、医師の需給に関する検 討の状況をまとめたものです。まずいちばん最初には、皆様もご存じのように、医師の 需給はそもそも過剰の傾向を心配する中で順次検討を行ってきたものであります。いち ばん最初の状況としては、昭和45年には10万対150人を目指し、それを昭和60 年に充たそうとすれば当面150人を目標に、医学部定員を1,700人程度増加させ、 6,000人に引き上げる必要があるというところから始まったものです。  それに続いて、昭和48年から「無医大県解消構想」、いわゆる「一県一医科大学」 設置が推進され、昭和56年には医学部の入学定員が8,360人となり、「人口10万 対150人」の目標は昭和58年に達成されております。  その後の状況としては、毎年8,000人を超える医師が誕生していくことが見込まれ る状況の中、全体に医師の過剰感が心配されるようになります。その部分が「所要の措 置を講ずるべき」という点ですけれども、昭和59年5月に「将来の医師需給に関する 専門検討委員会」が設置され、昭和59年に中間意見、昭和61年6月に最終意見が取 りまとめられたというところです。  その内容は共通しておりまして、昭和100(平成37)年には全医師の1割程度が過 剰になるとの将来推計を踏まえ、「当面、昭和70(平成7)年を目途として、医師の 新規参入を最低限10%程度削減する必要がある」というものでした。これを受け、旧 厚生省は文科省を含め、医学部の入学定員の削減について各方面について協力を求める ところです。  その結果、平成5年には医学部入学定員は7,725人、7.7%の定員が削減されたとい うところでした。ただ、当初目標とした10%削減には達しない状況である。その中で、 平成5年8月に「医師需給の見直し等に関する検討委員会」第2次委員会が発足し、平 成6年に意見を公表しています。  その中で、将来の医師需給について検討を行ったところ、やはり、将来医師が過剰に なるという推計結果を得たため、「若干の期間をおいて推計値を検証して、必要である とすればその適正化のための対策を立て、できるだけ速やかに実行することが望まし い」。基本的には、それまでの減少をさせるべきだという方向性を踏襲した形になって います。  この報告書が発表された後も、医学部への入学定員はほとんど変化のない形で推移し ていたところです。それが介護保険の導入など、新たな要素を勘案して、その時点での 新たなデータを盛り込んだものが得られる時期になった。続いて平成9年3月、医師を 抑制する旨の閣議決定がなされ、それに続く形で平成9年7月に新たな「医師の需給に 関する検討会」が設置されたというところです。  この検討会における認識としては、「地域的にみて医師の配置に不均等が見られるも のの、現在の医師数の状況は全体としては未だ過剰な事態には至っていないが、診療所 医師数の増加が続いた後には医師の過剰問題がより一層顕在化し始める」。やはり、将 来の過剰感を前提とした議論であります。  これ以降が近年の状況になるわけです。近年の新聞報道を見ると、それまでの過剰感 というものが徐々に減ってきて、一方で医師不足が取り上げられた件数が増えてきてい る。平成12年以降、その件数が増加をしていくなど、各方面・各地域において、特定 の地域や診療科についての医師不足を指摘する声が強まった。  このような状況を背景に、平成16年2月、「へき地を含む地域における医師の確保 等の促進について」ということで、地域医療に関する関係省庁連絡会議、総務省と厚生 労働省、文科省を含む関係省庁の連絡会議において、「医師の養成・就業の実態、地域 や診療科による偏在等を総合的に勘案し、平成17年度中を目途に医師の需給見通しの 見直しを行う」ことが対応の中の1つとしてまとめられたところです。これを受け、平 成17年2月より、「医師の需給に関する検討会」を皆様にお集まりいただいて開催し ているところです。  この検討会においては、昨年7月、中間報告として、「当面の医師確保対策」がまと められています。厚生労働省では、これと並行して、関係省庁連絡会議を開催し、8月 には「医師確保総合対策」が策定されています。また、本年6月、今月成立しました「良 質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部改正」の中において、医師 確保対策が取り上げられています。都道府県を中心に地域の医師確保を図るための枠組 み(地域医療対策協議会)が創設されるなど、制度、予算、診療報酬の各般において医 師の確保を進める取組みが行われているところです。  本検討会において、並行して平成17年12月から本年1月にかけて、医師の勤務状 況に関する調査を行いました。それから、平成18年4月以降において、いま紹介しま した法律案の審議が行われる中で、地域や診療科に関する医師の確保が大きな論点とな ったことを記載しています。  本検討会は、本日で第14回ということですけれども、皆様のご意見を踏まえてまと めたものであると、最後にまとめています。ここまでが「はじめに」の部分です。  2番目、「医師の需給に関する現状」、いくつかの状況で区切ってまとめています。 まず、「全体の状況」としては、こちらの皆様はご存じだと思いますが、毎年7,700 人程度の新たな医師が誕生しています。2年ごとに行われる医師・歯科医師・薬剤師調 査では、7,000〜8,000人程度が増加しています。したがって、退職を差し引いた医師 の増加量としては、年間3,500から4,000人程度というように計算されます。  その調査の中では、病院・診療所とも医師の増加傾向は見られています。年齢階級ご とに見ていくと、各年齢階級での病院と診療所に勤務する医師の割合に大きな変化は見 られていない。そういった状況であります。したがって、近年、診療所に勤務する医師 の増加は、先ほど紹介した歴史の中で、医学部入学定員の増加が行われた時期以降の方 が、だんだんと診療所勤務の割合が高い高年齢層に移っていくことによって医師数が増 加している。言わば自然増というか、これまでのトレンドを前提とすると、自然な経過 として発生していると見られるものであります。  都道府県別に医師数の変動を見ていくと、平成10年と比較して、すべての都道府県 で医師数の増加が見られている。これらからすると診療所と病院、各都道府県といった 大雑把な区切りの中では、医師数全体の動向としては一貫して増加を続けており、充足 の方向にあると考えられております。  続いて、「病院における状況」であります。病院に従事する医師数を平成14年、平 成16年、2つの調査で比較すると、平成14年においては15万9,131人、平成16 年においては16万3,683人ということで、2年間に4,600名が増加しています。  このように、病院における医師数は増加しているわけですけれども、一方で病院にお ける勤務の繁忙感というものが経年的に強まっているといった指摘が強くなされていま す。そこで言われる主な原因としてさまざまなものがありますが、いくつか取り上げて います。1つ目は患者の方の入院期間の短縮が進んでいる状況です。その中で結果とし ての診療密度が上がって、同じ患者を抱えていてもたくさんの処置をしなければいけな いということが1つ目です。  患者に対するインフォームドコンセント、医療安全に対する配慮が業務の中で大きな 割合を占めてきて、そういったものに対する対応が忙しくなってきている。それから、 大雑把に捉えていますが医療技術の向上、いろいろな処置が患者に対してとられる中で ドクターの業務も増大している。  4番目として、特に救急での対応が中心になろうかと思います。夜間とか休日におい ても、例えば小児科の専門医に診てほしいという、患者側の要望・動向に応えるための 体制を作ることが非常に難しいというか、医者の負担が増している。  5番目としては、医師が作成するさまざまな書類、さまざまな手続きの中で求められ る文書量が増加しているのではないか。医師の専門性の細分化により、一人ひとりの専 門性が高まることによって、さまざまな患者の状態をたくさんの医者に相談して進めて いかなければいけない。その部分の割合が増えているのではないかなど、さまざまな指 摘がされているというようにまとめています。  状況の1つとして、入院患者に占める高齢者、65歳以上の割合は、平成2年には32.5 %でしたが、平成14年には45.2%となるなど、入院医療における高齢者の割合が徐 々に増加をしていって、そのことも業務量の増加につながっているのではないかという 形で紹介しています。  このような病院における繁忙感、仕事の負担に加えて、病院に勤務する医者において は勤務に見合う、給料も含めた処遇が与えられていない。また、訴訟のリスクにさらさ れていることも含めて、社会からの評価が低下しつつあるのではないか。その感覚が病 院診療の中核を担っておられる、病院の中堅層の医師の間に広がっているのではないか。 その結果として、病院の勤務に燃え尽きるような形で病院を退職するような医師が増加 しているのではないか。その部分は、はっきりとした統計が出たわけではありませんが 指摘としてはある。重要であるということでまとめています。  「診療所における状況」ですが、診療所に従事する医師数としては、平成14年、平 成16年の調査で比較すると、平成14年は9万443人、平成16年は9万2,985人、 2年間の間に2,500名ほどの方が増加しています。先ほど紹介しましたように、年齢 階級別に病院に勤務する医師と診療所に勤務する医師の割合を見ると、あまり変化は見 られておりません。現在の増加というのは、主に50代の医師全体が増えることによっ て、その中でかなりの割合の方が診療所に勤務されますので、診療所に勤務する医師が 全体としては増加したようにカウントされる。このように見受けられる状況になってい ます。  患者の状況としては、外来の受療率、人口当たりの受診行動としては全ての年代にわ たって低下している傾向にあります。医師1人当たりの患者数は、申し上げたようにド クターのほうは診療所の医師が増えていますので、減少傾向にあるという流れです。  今回の医療制度改革においては、入院から在宅医療まで切れ目のない患者本位の医療 を提供できるよう、医療機能の分化・連携を推進するところです。こうした中で、診療 所が、かかりつけ医機能を発揮し、一次救急医療の提供や、病診の役割分担、在宅医療 の実施に際し受け皿となること等が期待されるというようにまとめています。  続いて、「診療科における状況」を「小児科」、「産婦人科」、「麻酔科」、本検討 会において取り上げた3つの診療科について医師の動向を中心にまとめています。「小 児科」については、この数年、新たに小児科に就職する医師が増加している状況です。 全体としての数は安定して増加しています。平成16年の調査の中では、臨床研修制度 が始まって1年目の方はまだ各診療科には所属していないわけですが、その直前の平成 15年に医師となった方について、小児科に従事している状況を見ると、556名という ことでした。これはその年の医者の数の7.7%に当たります。おそらく、それ以前に比 較して最高の値ではなかったかという結果が出ています。  平成18年3月に実施した「臨床研修に関する調査」の結果においても、臨床研修2 年次生で研修修了後の進路を決めている方のうち、約8%が小児科を希望しています。 臨床研修の前後においても変化は見られないという状況でした。  小児科については、医師の就職の観点から見ると、全体としては低下数は見られてい ないわけですが、どの年齢でもそうですが、受療率の低下が見られるなどの点を含め、 全体としての医療の必要量がむしろ低下傾向にある。一方で核家族化の進行や共稼ぎ家 庭などの増加などにも起因して、休日や夜間などの救急受診が増加している。さらに、 専門志向も伴って、小児救急医療を実施する病院への患者の集中など、患者の受診行動 のほうが変化をしている。さらに、救急を受診する患者のうち、9割以上は入院の必要 がない軽症の患者であって、本来の意味での救急医療の対象になる方は限られているの が実情であります。  こうした傾向に効率的に対応するためには、さらに小児科医師数が増加するよりも、 他職種と共同で小児患者の保護者向けの電話相談を整備する、また地域における診療所 に勤務する医師が参加する形で、休日夜間の小児医療の提供体制の確立が図られること などが重要になるのではないか。そのためには動機付けを行うことが必要であり、地区 医師会のリーダーシップが期待される、というようにまとめています。  「産婦人科」については、この数年、新たに就職する医師は年間300名程度と、相 対的に低い水準で推移しています。先ほど申し上げた「臨床研修に関する調査」の中に おいても、進路を決めている方のうち、約5%が産婦人科を志望しています。水準とし ては低いわけですが、臨床研修の前後としては志望している医師が急に減少しているこ とはないという状況でした。  さらに、産婦人科を新たに選択した方のうち7割が女性となっており、急速に女性の 進出が進んでいるという状況です。調査の中で女性医師が志望した診療科を全体で見て いくと、小児科に次いで2番目に志望者の多い診療科となっています。そういった点か らは、産婦人科医療を考える際には女性にとって働きやすい環境が整備される、という ことが特に配慮される必要があるのではないかというようにしています。  医師数については、出生数あたりで見ると、出生数の減少に伴って横ばいに推移して いるわけですがこのままの状況が続きますと、産婦人科医の減少傾向というのは続くの ではないか。結果として、地域によっては、妊婦にとって産科医療の利便性が損なわれ ることが想定されるとしています。  また、医療においては、利便性より安全性がより重視されるべきであり、緊急事態へ の対応を図るためにも、相当の産科医師の配置が可能となるよう、産科医療を提供する 医療機関の重点化・集約化を進める必要がある。その際には、集約される側の医療機関 の役割分担と共に、当該地域の医療提供体制のあり方にも十分配慮する必要があるとし ています。  また、産婦人科医師については、比較的早期に病院を離れる傾向があるため、新規の 就業者をさらに増やしていくことに加えて、病院を離れていく人たちを抑制するための 方策も併せて考える必要があるだろうとしています。  周産期医療では、可能な限り適切な医療を提供しても、一定の患者が不幸な転機をた どる場合があり、このことについて国民・患者に周知が図られる必要がある。また、患 者と産婦人科医の良好な関係を維持するために、中立的な機関により、医療事故の研究 を行う制度が必要である。このような指摘があったことを付け加えています。  「麻酔科」については、先ほど紹介した平成16年の調査の中では339名が新たに 志望しております。「臨床研修に対する調査」の中では6%が選択しています。こうい った状況が続きますと、増加傾向が続くのではないかとしています。  続いて、「医師の需給に関する見通し」についてです。まず、詳細については、別添 の報告書を添付した形で完成させようと考えています。その際には、併せて報告書と見 やすい形でのデータを添付したいと考えています。本日、そこまでの準備ができない状 況になっていますので、ご容赦いただきたいと思います。  内容としては、前回、長谷川委員より紹介いただいた需給のデータの動向が中心にな りますので、参考までにその部分を併せて見ていただくとよろしいかと思います。基本 的な方法としては、前回と同様に、将来の受療動向、患者の入院や外来を受療する傾向 を推計し、これに人口構成の変化が予想されていますので、そのことをよく併せて、基 本的な医療需要の変動を推計する。その変動に見合った形で医師数を求める方法を取っ ています。前回の推計も基本的にはそのような考え方を取っています。  前回は医療需要の変動に合わせた医師数を推計するに当たり、医療法に定められた患 者当たりの配置標準を基礎として検討しておりました。今回は実際の医師の勤務状況を 調査しましたので、その勤務状況を使い、将来の医療需要の変動推計と併せて推計した ものになっているということであります。  また、入院需要の変動を検討するに当たり、前回は入院受療率、一時点における入院 患者数の人口当たりの率になるわけですが、それを使っていました。ただ、現状では入 院期間の短縮化が進んでいますので、それに基づいて見ていくと、医療需要は同じ数だ け患者を入退院させていても少なくなるという指摘もありました。そこで、今回は一定 期間内に入退院する患者、1年間の退院患者の動向に基づいて推計しています。  また、さらに、年齢ごとの医療処置の基本的な重さ・量が違ってくるだろうという点 を考慮するために、年齢階級ごとの1回当たり医療処置の量について、年齢階級ごとの 比率を推計し、これに基づいた調整を行っています。具体的には入院・外来とも、年齢 階級1回当たりの医療費でその変動を調整しています。  基本的な認識として、医師の養成には、6年の医学部における教育と2年間の臨床研 修、そのほかの専門研修が必要になりますので、非常に多くの時間がかかる。そのこと を念頭に対策を考えなければいけない。また、医師の専門性を転換する際にも、多くの 労力と時間が必要になるということを念頭に置くべきだとしています。  「医師の供給見通し」は、現在、海外からの移動というのは日本ではほとんどありま せん。現在の医学部定員数がそのまま、将来の医師数を見通す場合の材料になるという ことです。女性についての影響ですけれども、就業割合について、前回の推計でも変動 を見ています。今回もいまの状況を見てまいりますと、確かに一般女性と同じように、 徐々に若年者において低下する傾向があります。11年目には男性に対して82.9%のと ころまで低下します。それ以降は上昇に転じ、30年目以降は再び低下するわけです。 35年目には男性の就業率も退職によって低下するため、男性と女性はほぼ同等になる。  それ以降は女性が上回った形で就業すると推定されます。45年まで、25歳でもし就 業を始めれば70歳ということになるわけですが、そこまで累積しますと、女性は男性 の92.4%と、一定の割合を占める形になります。  こういった、女性の動向も含めた将来の動向を推計すると、医師数としては平成27 年には29.8万人、人口10万人当たり約236人となります。平成37年には32.4万 人、人口10万人対268人となります。平成47年には33.2万人、人口10万人対 296人となると推定されます。医療施設に従事する医師は、例えば行政や老健施設のよ うな施設に従事する医師を除いた数になるわけですが、ほぼ同様の傾向になります。  この部分を総括すると、今後とも医師の数は増加し続けるということです。医師定数 の設定がほぼ固定化された形で続いていますので、今後の伸びは徐々に緩やかになって いく。一方、人口は減少してきますので、人口10万人当たりの医師数というのは、伸 び続ける傾向が維持され、傾きとしては増加する方向がそのまま維持されることになり ます。  なお、今回の推計では、平成10年に行われた調査においては労働力提供を70歳で 打ち止めるという措置が行われておりました。しかし、実際には、いまの診療所の先生 方を中心に働いておられる状況があります。そこで今回は定年を設定しない形で集計し ています。  「医師の需要の見通し」としては、先ほど紹介したとおりです。国民皆保険とフリー アクセスが確保されている中、現状では基本的に、量としては国民が必要としている医 療を提供しているものと仮定し、その上で医師の勤務時間の現状、勤務時間のあるべき 姿とのギャップを医師の必要数に上乗せした人員が現在における医師の必要数というよ うに置いております。  必要医師数の算定に当たっては、医師の勤務時間を週48時間に置いています。ここ は続いた部分にもありますけれども、51時間に現状の労働時間をとらえ、そことの差 を勘案したものです。医師の勤務時間には大きなバラつきがあるわけですが、より長時 間労働を行っている者について週48時間までに短縮することを行っています。それよ り短時間の者については48時間まで働いてもらうことを仮定したものです。こういっ た方法により、無職や保健医療関係以外の業務に従事している医師を除いた勤務状況と しては26.8万人であるのに対し、必要数は27.7万人と推定されています。  いま申し上げた推計は、医師が医療機関において過ごす時間のうち、診療、教育、他 のスタッフ等への教育、必要な会議などの時間を勤務時間と考えてまとめたものです。 このほかの時間としては自己研修や研究、そういった時間も含めて病院に滞在する時間 があります。この時間をトータルすると、調査で紹介しているように63.3時間ほどに なるわけです。もし、この数を勤務時間と考え、同じ方法で行ったとすると現在の必要 数は32.4万人ということで、先ほど申し上げた数字よりもかなり上積みされた形にな ります。ここは皆様方もよくご承知のように、病院における医師の勤務の忙しさが主に 反映された形の数字になっています。しかし、こういったものを全て含めるのかどうか。 方向としては、先ほど申し上げたような形を取っているという紹介をしています。  さらに、厳しいとらえ方も理論上可能なのではないか。診療を行っている時間だけを 見ると、平均としては40時間を若干切る形になっていますが、それより長い方、短縮 するのに必要な医師数を上乗せして27.9万人になるということです。  将来の医師需要を推計するに当たっては、方法としては外来の受療率と退院患者の発 生率について、これまでの動向もありますので、それを踏まえて回帰の曲線を指数関数 によって引いたもの、それを「回帰法」としています。それから、現在の直近の受療率 をそのまま将来にわたって続くと仮定して、人口変動だけを考慮した「固定法」。また、 回帰を推計していく際、長期にわたって回帰の線を引くと相当にいろいろなことが起こ ってきます。受療率が無限に大きくなったり、無限に小さくなったりするような変化が あります。こういったものを勘案するために、回帰による変動幅を現状値の3割までに し、現状の姿はベースにしつつも、将来の動向を予想した形で行った方法を取っていま す。そういった方法を「限定法」としています。そういった、主な3つの方法で将来の 推計を行っています。  将来の患者の外来、入院についての発生率があるわけですが、これに将来人口、注意 人口を掛け合わせ将来推計を行っています。最初に紹介したように、さらに実際の患者 の医療ニーズを反映するために、「重み付け」と言っていますけれども、年齢階級1回 当たりの医療費の比率における調整を行い、ここまでで入院と外来の全体に対する医療 の比率というか、ニーズを推計しています。  さらには、入院と外来を現在の医師が医療において使っている時間の比、勤務状況調 査により、診療時間ですが外来で6割、入院では4割をそれぞれ費やしていることに鑑 みて、その割合で入院と外来の診療の総量を合わせて医師需給の変動を作る。将来の医 師数の変動というのは、現在の必要医師数がそのまま、ともに一緒に大きくなっていく と仮定して作っていることになります。  年齢階級別、受診1回当たり医療費の重み付けを行った上での今後の外来診療の動向 ですが、前回の会議で紹介していただいたように全般には低下の傾向があります。低下 の傾向を踏まえた回帰の方法を使っていくと、平成52年、およそ35年後になるわけ ですが、現状の7割の水準にまで低下してまいります。また、現在の受療率が続くと推 定すると、ここは人口の高齢化の影響を大きく受けた形で変動しますので、平成40年 (2028年)ごろ、現在の1.2倍の水準でピークとなって、その後緩やかに減少すると いった形になります。  回帰における受療率の変動幅を固定した形にすると、増加というのはほとんど見られ ない形で回帰と途中までは同じ傾向に推移するわけですが、減少する幅は限定され、 2040年には現在の9割の水準に落ち着くというような形になります。  続いて入院需要の変動です。やはり、同じように、これまでの動向に基づいた回帰法 で見ると、実はこの部分は年齢階級ごとの動向がそれぞれ合わさった形になります。高 齢者における受療率の上昇、退院患者の発生率ということがあります。一方でより若年 者においては、入院患者の発生率も含めて低下傾向がありますので、これらが相殺され た形で将来の動向が発生します。全体としては徐々に上昇が続く形になって、平成52 年には現状の約1.7倍に達する。また、現在の退院率が続くと仮定して、現状値の受療 率をそのまま引っ張った形で重み付けだけ行ったものについては、平成42年には現状 の約1.3倍に達し、その後ほぼ横ばいに推移する。回帰による退院患者発生率の変動幅 を固定した限定法を使うと、その中間に当たる平成52年には1.4倍になる。このよう な形で、入院需要としてはそれぞれ上昇する形の推計が行われたということであります。 いずれの推計においても、平成27年ごろまではほぼ同一の直線で乗っており1.2倍ま で上昇する。これは前回見ていただいたものにほぼ紹介しています。  いま紹介した入院と外来のそれぞれの需要ですが、診療時間の比率である6:4に合 わせた需要の変動に合わせた全体としての動向については、現状値においては平成44 年に現在の1.24倍でピークとなり、その後は徐々に低下する。回帰法においては徐々 に上昇を続けるわけですが、平成52年に1.16倍となるまで増加をしていく。固定法 においては平成52年に1.15倍となるまで増加する。ほぼ重なった形で推移をしてい くということであります。  この全体の医療需要の動向に、現在の必要医師数を併せて変動させて、その中の1つ の限定法を使うと、徐々に医療需要が増大することに併せて必要医師数が増大し、平成 52年には医療機関に従事する必要医師数は31.0万人になると推計されます。  最後、まとめですけれども、供給と需要ということで比べてみると、方法を1つに限 定した場合、一応供給が需要を上回るという形で推計が成り立つ。もちろん、方法によ って違ってまいります。例えば回帰法を採用しますと、回帰の性質上無限に需要が増大 してきますので、いつかの時点で無限の需要に応えられない状況が発生してくるわけで すが、1つの仮定としてはこのようになります。  もう1つの観点としては、「病院・診療所別に見た医師数の需要予測」を行っていま す。現在の医師数の状況を説明した際にも申し上げたように、病院勤務から診療所に移 っていく割合を一定とした場合に、将来病院に勤務する医師の数、診療所に勤務する医 師の数、それぞれを現状を基礎とすれば見積ることができるということであります。  そういった条件の中でまず供給を予測すると、病院の医師と診療所の医師はそれぞれ 増加するわけです。ただ、先ほど紹介したように、今後の医師の増加は年齢が上の世代、 当面は50歳以上の医師の増加が中心になってまいります。病院における医師の増加が 限られた数になって、診療所に勤務する医師がかなり増大してくることになります。平 成37年、病院に勤務する医師数は約17.6万人、診療所に勤務する医師は13.3万人 になります。それ以降、病院に勤務する医師はほぼ横ばいの形で推移する。診療所につ いては、平成47年においては14.5万人になる。それ以降は、診療所についても安定 して推移すると予測されます。  診療所と病院における医師の比率ですけれども、現在は64:36という数字になって います。平成47年時点での比率を見ると55:45ということで、病院側の割合が落ち てくる。こういった予測になります。  次に需要の予測ですが、ここは仕事の組み方によって違ってきます。そもそも、病院 全体の医療の需要を予測することは非常に難しいわけです。ただ、入院医療の中心は病 院であることは事実ですので、入院医療の需要予測を意識して考えると、その前に見て いただいたように、例えば限定法を当てはめると、平成52年には医療全体の入院需要 としては現在の1.4倍になる。一方で、病院に勤務する医師の数は、現在の16.4万人 から17.6万人まで増加、この割合は7%程度の贈になる。  このような状況を見ると、入院需要の増大が予想される一方、全体として病院に勤務 する医師の増加は限られていますので、病院に大きな負荷がかかる可能性がある。この ことは、病院における外来の受診の動向を全く考慮に入れない議論ですので、そういう ものを検討していくことが材料になるであろう。この点はまたのちほど申し上げたいと 思います。  全体のまとめですけれども、将来の医療需要の推計に当たって、これまでの推移と現 状のバランスを取った中間的な方法になると思いますが、「限定法」という推計方法を 取ると、医師の需給の見通しはマクロとしては必要な医師数が供給されるという結果に なっています。ただし、特に需要側については、医療政策をはじめとしてさまざまな要 因で変動しますので、確定的ではありません。今回の需給の意味としては、今後、医師 需要が増大した場合でも、ある程度は対応できるだろうということを示したものと理解 していただきたいということです。  ただし、最初の仮定の段階で、現行の63.3時間というのは拘束時間として非常に長 いと思われるわけですが、推計にあたりその時間の中で医師としての勤務の必須なもの に限定しています。さらにゆとりを持って働くということのためには、そもそも需給と 言う以前に、各病院や各地域において医療提供体制や医師の業務の見直しなど、医師の 限られた時間の中で本来の業務、医師でなければできない業務に専念できるような姿が 必要である。そのことを前提にした計算であることを念頭に置く必要があるとしていま す。  また、これも紹介しましたように、病院と診療所との関係については、今後、入院医 療の需要が増大する。いくつかの仮定を置いていますので、確実にそうだということで はありませんが、そういうことを念頭に置いて、病院と診療所の間で医師の配置、また は外来患者を中心に仕事の分担を考えていかなければいけないとまとめています。  以降は「今後の対応と基本的な考え方」とし、細かい施策というよりは、方向性をま とめています。現状をまとめると、病院、診療所とも、医師数は一貫して増加しており、 地域で見ても各都道府県においてはすべての地域で増加している。ただ、都道府県の同 じ時期を見れば一貫して増加しているわけですけれども、都道府県間の格差というのは 必ずしも減少傾向には向かっていないということであります。  地域における医師配置の問題は、問題の認識ですけれども、短期的に見れば地方を中 心に、大学病院における卒後臨床研修医をはじめとした若手医師が減少している。併せ て、研修医に対する指導体制や医療提供体制の確保に努める必要が大学病院において生 じたことから、大学が従来のように地域の医療機関からの医師紹介の要請に応じること が困難になったものによるとしています。  一方、それに代替する医師の紹介・派遣システムが確立していないということに、短 期的に見れば大きく拠っていると考えられます。また、病院側でも、大学からの紹介・ 派遣に依存してきた病院では、医師の募集に不慣れ、そもそも医師の処遇に対して配慮 がもとからあまりなかったという指摘もあります。併せて、医師に対してキャリアパス を示して、地方勤務の動機付けを行うことが必要であるとしています。  医師の養成には時間がかかること、また多額の国費が投入されていることを踏まえれ ば、医師数が大きく過剰になるような養成を行うことは適当ではない。一方で、現在の 問題として挙げられている医師の繁忙感や不足感に対応しつつ、増大する国民の期待に 応えていかなければいけない。医師の定数のあり方にかかわらず、業務のあり方の見直 し等による生産性の向上を図ることが必須になるとしています。そのためには、各病院 内外における医療提供体制の改善・効率化から取り組む必要がある。効率を向上させる ことによって、そもそもの患者の医療需要ということで、患者に対して十分な医療が提 供できる、それから医師のほうにも持続的な勤務ができるような勤務環境の改善につな がっていく。そういった、効率の向上が重要であることを示しています。  医療資源と医療従事者が限られているということは、依然として事実ですので、医療 の受け手である国民・患者にそのことを理解していただくために正しい情報を提供し、 意識を持っていただく。そのためには行政、保険者、医療提供者、マスコミ等各般の主 体による説明が重要であるとしています。  それ以降はやや方向性を持った取組みのまとまりです。1つ目としてやらなければい けないこととしては、医師の配置の調整です。現在起こっている地域・診療科における 医師不足は、先ほど申し上げたように大学からの派遣ということが順調に行われなくな ったことに大きく拠っているというように考えられます。そのためには代替する機能と して、大学を含む地域内の医療機関や関係者が参加して、地域の医療ニーズを把握した 上で、医師の配置について認識の共有を行った上で調整を行うシステムを作る必要があ る。これは先ほど紹介した医療法の改正により、地域医療対策協議会の設置と運営が都 道府県に果たす役割として盛り込まれていますので、これをきちんと運営していくべき であり、都道府県がその中核を担うことが求められているとしています。  それ以降は、地方公共団体が同じ県立病院内での異動ということもありますけれども、 それを超えた地域内での医師の配置・相互の異動を実施することが期待される。比較的 大きな病院グループにおいては、相互の病院での配置を調整することなどにより、その 成果が期待されるとしています。  2つ目としては、医師の勤務の環境と、裏表になりますが生産性の向上です。医師不 足の声が上がっている診療科や地域では、長時間拘束され、勤務環境が悪化しているこ とが指摘されています。対応としては、1つは地域で集約化を行って医師への負担を軽 減するとか、他の職種のサポートによって医師の負担を軽減し、持続的な勤務が可能と なる環境を作っていく。そういうことが必要であろうということです。  今後、女性医師の比率が上昇していくことを踏まえると、出産や育児といった多様な ライフスタイルに応じた働き方が可能となる環境整備も必要となる。それから、いつで も相談に応じるという安心感で患者と診療所の先生(かかりつけ医)が結ばれて、地域 におけるかかりつけ医の機能が強化され、病院に対する負担が軽減されることも必要で あろうとしています。  このような、持続的な勤務が可能となる環境の整備というのは、新たになる人が少な いと言われているような診療科においても、辞める人たちを抑制するという直接の効果 だけではなくて、新しくその分野に就職しようという人たちに対しても一定のアピール をする材料になるとしています。  また、医師が行っている業務の内容、事務作業などを含めて業務の内容を見直して、 事務職などほかの職種で代行できるものについては順次そのような対象を作っていく。 それにより、患者に対して十分な医療ができるように、医師にとっては負担が軽減され るようにということが期待されるというようにしています。  3つ目、昨今の問題をまとめると病院を中心に起こっていることを踏まえ、手術等、 地域の中核的な医療を担う病院の位置付けについての記述をしています。病院の役割と してはさまざまありますが、手術や救急医療といった、いわゆる急性期医療を適切に実 施することが最も求められている役割であろう。一方で、我が国における医療提供体制 の中では病床当たりのスタッフの数が限られていることも指摘されており、院内、また は地域における人員の配置、勤務の状況を含めた病院内でのシステム、資金の配分とい ったものについて、病院内外のものも含めた医療資源も含めて、病院の果たす役割の位 置付けが必要ではないかとしています。  そういった病院における状況ですけれども、先ほどから順次紹介している勤務状況の 調査を見ると、年齢が若い医師ほど勤務時間が長い傾向が示されています。これを見る と若い医師が不足していて、そのために若い医師をどんどん養成してほしいという要望 になってしまうのかなという結果になっています。今後は、年齢が比較的上の世代の方 のキャリアの形成も念頭に入れ、短時間勤務や交代勤務など、さまざまな勤務体系を作 って多様化することにより、出産・育児といったライフスタイル、年齢が上がっていく ことによるさまざまな要望も含めた、さまざまな年代の医師が病院において長期に勤務 できるシステムを必要としているのではないかとしています。  4つ目は、医師の確保に関する取組みです。1つ目は地域枠の設定、地方公共団体が 取り組んでいる奨学金の設定、それを組み合わせた設定については現在、徐々に広がっ ているところですが、今後とも一定の効果が期待されるとしています。  「臨床研修に関する調査」では現在、臨床研修修了後の進路を選択するに当たって、 「自分の母校だから」とか「いま、研修を受けている施設だから」とか、積極的に自分 の実力を伸ばしていく環境を与えられていることを判断して勤務先を選んでいるという 部分が、いまのところ比較的限られているように見えます。裏返してみると、しっかり としたプログラムを作ることが前提だと思いますけれども、そのことがしっかり研修医 に伝わって適切な判断を行ってもらう。そういうことが必要になるのではないかという ことです。医師の確保を希望する各主体については積極的な、十分な情報提供を行うこ とが必要ではないかとしています。  5つ目は、臨床研修制度の活用等です。そもそも臨床研修制度の効果というか、目的 としては、すべての医師がプライマリ・ケアのための診療能力を身に付けるということ です。中長期的には専門細分化された非効率的な医療の解消につながるのではないかと 考えています。ただ、もう少し短いタームで考えると、現在の仕組みの施行後5年以内 の見直しが規定されていますので、その中で何を検討するか。補助制度の見直しなど、 地域別診療科別の医師偏在緩和に資するような方法を講じていく必要があるのではない かとしています。また、臨床研修修了後になりますが、いわゆる臨床研修において特定 の大学や病院に人気が集中している傾向が指摘されています。こういったものについて も対応を検討していくことが必要であるとしています。  6つ目は、診療科別の必要医師数の検討です。個々の状況でやらなければいけない対 応と、全体が足りているかどうかという議論というのは、なかなか一致したものになら ないという傾向があります。こういったものを念頭に置くと、全体ですらそういった形 になるわけですが、診療科別の必要医師数については、診療科を選択することが医師個 人に委ねられている部分もあり、さらに難しい。その算定方法等個々の困難はあるが、 病院機能の再編成、病診の役割分担、専門医の位置付け・役割といったものを踏まえて、 併せて対策も重要になってまいりますので、効果的な方法も含めて検討することが望ま れるとしています。  7つ目、医学部定員の増加は、全体としては短期的な効果を求めるものではなくて、 中長期的には医師過剰をもたらすものですが、一方で地域間格差というのは必ずしも減 少していない。その中で、医療提供体制の地域における確保が緊急の課題であることか ら、既に地域において、医師の地域定着策について種々の施策を講じているにもかかわ らず、人口に比して医学部定数が少ないためにその効果が現れず、結果として医師が不 足している県の大学医学部については、さらに実効性のある地域定着策の実施を前提と する。そこにいていただかないと意味がありませんので、そのことを前提として定員の 暫定的な調整を検討すべきといった意見があったとしています。  最後ですが、「おわりに」ということで、医師充足感は、全体の医師数のみならず、 国民の医療に対する期待感をはじめ、時代、環境の変化を含めた多くの要因によって影 響を受けているものであるということです。今回の推計の中では、1つの方法ですが、 マクロ的には必要な医師数は供給されるという結果になっております。しかし、これは 問題を自動的に解決することを意味するものではなくて、地域や診療科といった個別の 領域での需要が解決するということではない。  4で示したような考え方を実現するためには、各般の主体、国、都道府県、医師会、 病院、学会、大学等がそれぞれの役割を果たすことにより、国民・患者とこれに実際に 接する医師との良好な関係を築くことが不可欠であるということです。特に国に当たっ ては、今回の医療制度改革で示した方針、施策を着実に実行することが求められる。こ のような形でまとめております。以上です。 ○矢崎座長 報告書(案)を比較的詳細に説明していただきましたが、終わりにありま すように、今後の医療ニーズを勘案しても、マクロ的にはある程度充足することが推測 されるけれども、ミクロの領域でのいろいろな課題があることをこの中で示し、今後の 方針についても示唆したところです。過去13回の検討会でいただいた委員の皆様のご 意見を集約した形で、こういうことにいたしましたが、議論の時間が限られております ので、目次がないのでわかりにくいかと思いますが、「はじめに」と「おわりに」を除 くと、「医師の需給に関する現状」、「医師の需給に関する見通し」、「今後の対応の 基本的考え方」、大きくこの3つに分けられると思いますので、委員の方々から順にご 意見を伺いたいと思います。「はじめに」の部分は大体いままでの経緯ですので、質疑 応答を省略させていただいて、3頁の終わりの「医師の需給に関する現状」で、全体の 状況と病院における状況、診療所における状況、あるいは診療科における状況、そうい うものをトータルに書いているところですが、この中で何かもう少しこういうことを書 き足したらいかがかとかありますか。 ○小山田委員 実は私はこの会議の前に、強いてお願いいたしまして、1時間ほど課長 補佐に質問させていただきました。その中で最も重要だと考えましたのが12頁です。 ○矢崎座長 すみません。いま申し上げましたように、3頁の下の「医師の需給に関す る現状」から9頁までの。 ○小山田委員 そうですか。それも関係あると思うのですけれども。ちょっとだけ、す ぐ終わりますから。この前も申し上げましたが、いま医師不足が言われているのは、病 院勤務医なので、病院勤務医が48時間を超えている部分がどのように不足しているか というのを、数字で出してほしい。そして、それを1行だけここに書いてほしい。そう したら、それを今日出しますと言いましたけれども、今日は出ていないのですが、私の 大雑把な計算によりますと、48時間以下の人も含めて、すべての勤務医16万人を48 時間にした場合の不足数は30%、4万8,000人であります。そうしたことを明記して ほしい。  それから、小児科、産科、麻酔科、その学会を代表する方々がここに来て、いろいろ なデータを出しました。それが全然反映されていない。それから、今日ご欠席の泉委員 から全国の衛生部長会での要望といいますか、それも個々の意見で出されました。私は 賛成しました。一切書いてありません。そうしたことで、これは全体からしますと、現 状のままでいいのだという概念で、最初から最後まで、そういう都合のいいデータだけ を付けて、私ども国民が最も知りたい、労働条件からして、いま勤務医がどのぐらい不 足しているのかを出さないとかいうことで、結局これはそのような姿勢で厚生労働省の 医事課が書いた作文であって、我々が審議した、あるいは意見のあったその議事録から 共通する部分を答申という形で出すのが、検討会のあり方ではないでしょうか。そうで なかったら、最初からこういう案を出して、それで討論しろというならわかりますけれ ども、参考人の意見も取らない、私が何度要求しても、勤務医の実態を出さないという ことで、いったいこの検討会というのはどうなのだろうかという疑問を持っています。  何度も言いますが、勤務医の不足数、いま問題は病院勤務医の不足なのです。それが 30%、4万8,000人足りないという計算になります。そのぐらい明記することができ ないということがおかしいと思います。私はこれをマスコミにも言います。以上です。 ○矢崎座長 事務局、いかがですか。 ○医事課長 先ほどの説明の中で、13頁の所で週48時間までに短縮するには必要医 師数は32.4万人というのがあります。おそらくここの部分のお話だと思いますので、 別にそこを出すのは構わないと思います。ただ、ここで書いてありますように、いま小 山田委員は63時間を前提にずっとお話されておりましたが、そこは先日来、長谷川委 員からのご報告もありましたけれども、まさにここに書いてありますように、病院に入 った時間から出るまでの時間でそういう時間ですので、そのうちどこが勤務時間、まさ に医師としての勤務時間なのかはいろいろな捉え方がありますので、それでこう書いて おります。別に小山田委員のおっしゃっていることを無視しているとか、そういうこと ではありません。まず、32.4万人というのをベースにして、それを診療所と病院に分 けることは可能だと思います。別にそれを出すことは可能だと思います。 ○小山田委員 私が言っているのは将来ではなくて、現在ですよ。現在の時点、ですか ら12頁の最後、これは全体の数字なので、この現状を、労働時間から個人の診療所は どのぐらいか。それから、病院勤務医は労働時間から多い部分が何パーセントか、何万 人かということを、1行だけ加えてくれと言っているわけです。 ○医事課長 だから、いま申し上げましたように。 ○小山田委員 はっきり言ってください。そう書いてください。いくらですか。 ○医事課長 それは計算すれば出ると思いますので、別に構いませんよ。 ○小山田委員 私がいま計算すると、30%です。 ○医事課長 それが正しいかどうかはこちらで見ないとわかりませんので、それを書く ことは確約しかねますけれども。 ○小山田委員 だから、何でこれを出せないのですか。 ○医事課長 出せないと言っていないじゃないですか、何を。 ○小山田委員 だから、出してくださいよ。この次、出すんですか。 ○医事課長 そういうことを言われても困るのですけれども。 ○宮本補佐 この次まで。 ○医事課長 まず、きちんと読んでいただきたいのです。だから、12頁の所を読んで いただければわかりますように、要するにずっと63時間で先生は議論しているけれど も、この12頁の下のところは63ではなくて、50時間強の時間でやっております。 先生がおっしゃっている63のところは、例えば13頁の上段にあるように、それでや ると32.4万になる。これは、だから現状での数字ですから、書いてあるわけです。こ の32.4というのは、別に将来推計でも何でもないですから。だから、そこを読んでい ただければわかると思うのですけれども、おわかりにならないというのであれば、それ については書き加えることは別に可能ですから、次回はそういたしましょう。 ○矢崎座長 長谷川委員、いかがですか。 ○長谷川委員 小山田委員のリクエストは、13頁の上から4行目に書いてあるのでは ないでしょうかね。ただ、まず2つ、技術的な側面から申し上げてコメントいたします と、今回の調査は、なるべくご参加いただいて、日本の現状に近いものをやったつもり ではありますが、そこの調査自身の持っている限界が若干あるのかなというのがありま すので、数字は少し気を付けて扱うべきではないかというのが1点目です。  2つ目は、前から何度も指摘しておりますように、日本の病院の生産性は、諸外国と 比べて非常に悪い。はっきり申し上げて、約50%から70%程度である。日本の病院経 営に問題があると。つまり、1人当たりの病院医が1年間に退院している数というのは、 日本では平均80数名ですが、フランスを筆頭に160名ですから、大体100名から 100数十名ぐらいというのが諸外国の値ですので、何か日本の病院はおかしいと。した がって、その分を勘案いたしますと30%ぐらいの数はすぐ出てくるというようになり ますので、いま無茶苦茶働かされているから何人必要だという表現は、間違っていると 思います。つまり、現状の非常に非効率な病院経営において、これだけ足りないという ことをお書きになるとすれば、それはそうかもしれません。ですけれども、例えば自治 体病院のように院長にほとんど権限がないと。したがって、院内のさまざまなことに対 応できない。したがって、どうしても不必要な労働時間が生じてしまうなど。  あるいは、働き方に若干問題があるかもしれませんが、どうも待機の時間が随分多い ようでありまして、そこのところをうまく病院経営的にやっていくと、医師の労働時間、 実際に病院にいる時間も減るのではないかと思われると。そういうのを勘案して考えま すと、何度も申し上げてすみません。これだけ働いているからこれだけ足りないという のは、結論はできないと思います。以上です。 ○古橋委員 座長からご指示のありました順番から見ておりますと、4頁の書きぶりな のですが、4つ目で「これらから、医師数全体の動向としては、充足の方向にあると考 えられる」と書かれているのです。これはそれこそマクロ的に、あるいは統計的に考え ていくとそうなのですが、ここでずっと議論してきた今日の医師の偏在の問題というと ころからいきますと、何か実感がなくて不一致感があるんですね。こういうものが報告 書として出されていった場合に、いま日本が抱えている医師の偏在とか医師の不足感と いうものに対して、この報告書が肩透かしのような形で受け止められることを、私は大 変残念に思うのです。ですから、例えば将来構想的に後段に出てきますが、45年後の 数を云々したところでさして説得力がない。いまのこの医師の今日的課題をどう捉えて いくかという辺りに、もう少し言及できないのかなという点が1つです。  8頁です。いま産婦人科医が非常な課題ですが、1つには医療事故が起きたとする。 患者の傷害・死亡が起きたとすれば、患者方は不服・不満で訴えるという行動は、ある 意味で歯止まらないかもしれない。そういう中で、警察が直ちに介入して、医師の逮捕 という事態になること自体が、やはり少し医療に対して、要は警察権の介入という辺り について見当が必要だと。ここに書かれておりますように、「中立的な機関による、よ り医療事故の原因究明等を行う制度」というようなことが書かれておりまして、これは 裁判外の医療紛争処理制度ということも議論に出ておりますが、そういうことももうち ょっと言及して書けないだろうかと思うのですが、ここの検討会としてはテーマが広が りすぎてしまうことなのかとも思います。何しろ全体的にこの4頁に充足の方向と書か れると、何か不一致感があるのですが、いかがなのでしょうか。いま現場は、こんなふ うにフワッと、さらりと言える状態ではないと私は思うのですけれども。 ○水田委員 最後まで読むときちんと色々書いてありますので、分かるのですが、この 最初の方の書き方ですと討論した内容とだいぶ違う様に感じます。私はこういう委員会 の提言の書き方を知りませんので、間違っているかもしれませんが、くどくても良いか ら、そして何回も同じ事が出てきても良いから、現実はこうだという風に現状を入れな がら書かれた方が分かりやすいのではないでしょうか。それと産婦人科の裁判のことは 話題になりましたかね?デイスカッションしましたかね?しなかったと思いますが・・。 ○宮本補佐 していないですね。 ○水田委員 書いてあるからですね。ちょっとびっくりしたのですけれども。 ○本田委員 追随で申し訳ないのですが、私も先ほど2人の委員がおっしゃったように、 「充足の方向」に「違和感」と自分でメモをしていたのです。それは一般のマスコミと しての目から見ても、それは違うだろうとまず思うので、報告書自体の重みというか、 ちょっと書きようがあるのではないかと思ったことが1つです。  先ほど小山田委員がおっしゃった数字のことについても、私もこれを読んだときに、 結局、大体いろいろな推計の仕方とか、例えば63時間を見るのか、50時間で見るの かとか、いろいろ問題はあると思うのです。そこの細かいことはちゃんと書いてあるの ですが、やはり読んでパッとわかるということは、なるほど、いまはそうだよねとか、 納得性があるとか、そういう意味では、例えばいろいろな推計の仕方によっては、現状 でも何万人から何万人ぐらい不足と考えられる。ただし、先ほど長谷川委員がおっしゃ ったような、こういう現状もあるとか、そういう数字が独り歩きするかもしれないけれ ども、やはりみんなのいちばん注目するところなので、それはきちんと明記してほしい と私も感じました。ちょっと先のところですけれども。 ○吉新委員 前回の……委員会のときには、医師が過剰になると、医師が悪いことをす る、不正が横行する、勝手な診療が増えるのだということがあったのですが、今回、税 金でちょっと無駄になるなどということは書いてあるみたいですが、医者が多いことで 困るということは全く書いていないので、もうちょっと医師過剰はどこが悪いのだと。 過剰なら過剰でもいいではないかという議論になってしまうと、検討会としてスタンス が曖昧になってしまうと思うので、過剰であるととても問題だということをやはり書く べきではないかと思うのですけれども。 ○川ア委員 この「充足の方向にある」というのは、このレポートにはお書きにならな いほうがいいのではないかと思います。本当に地方の医科大学付属病院でも、医師が足 らなくて困っております。公的病院はもちろん足りません。ですから、需給は充足の方 向にあるということは、ちょっと言えないのではないかという気がいたします。 ○矢崎座長 いまいちばんの大前提のところの議論になったのですが、医師の需給の検 討というのは、いままで医師の全体の需給の議論できたと思うのです。今回は、いまお っしゃられたような病院の医師不足、特に公的病院の医師不足が大きなポイントになっ ているのです。ですから、その点と全体のマクロとごちゃ混ぜにすると、やはりこれは かえって問題が困難になってしまう。例えば医師数を増やせば、いまの状況が解消する のかというと、必ずしもそうではない。ですから、マクロの視点から長谷川委員が高齢 化とか、国民から期待される医療に対するいろいろなニーズ、これはほとんどは病院に おける医療のニーズだと思うのですね。  それをどう応えていったらいいかということは、また別に議論していかないといけな いということで、それについては委員の方々に随分個別的な議論をいただいたのですが、 報告書としてはオーソドックスに全体の需給はどうかということで、前回までは医師が 過剰になると。だから、定員をしっかり減らしましょうということだったのですが、い まは医療を取り巻く環境が変わっていても、いまの医学部の卒業生で、全体的にはある 程度カバーできるのではないかということを最初に押さえておかないと、先ほどご意見 があったように、ちょっと議論が散漫となってしまうので、まず全体的に我が国におけ る医療のニーズと医師数がどうかということで、これは長谷川委員に医師の勤務状況ま で調べていただいて、定量的に分析できたのです。ただ、いまのご議論は、私自身も国 立病院機構で医師不足でものすごく悩んでいる超本人なのですよね。本当に医政局長に 文句を申し上げたいのですが、今度の診療報酬改定で標欠病院で、そういうので我々は 対応に右往左往しているところがあるのです。  そういう課題と全体で、要するに病院を取り巻く環境が激変していると。ただ、いま 激変して、この中に書いてありますが、比較的若い医師が病院から去っているのではな いかという感覚があるのです。それを実数としてしっかり出してくれといったときに、 いま極めて難しいのです。先ほど小山田委員が言われた学会からの報告、大学病院から の報告といっても、全体を網羅した、本当にエビデンスになる数字を取るというのは、 極めて困難な状況があるので、私も事務局と医師不足で困って、医師不足というのは病 院、特に公的病院の医師不足だということをずっと主張しているのです。ただ、こうい う報告書ですが、各委員からのご意見を参考にして、誤解を受けないような、もう少し 書きぶりを変えるとか、そのようにしたいと思います。小山田委員の意見は、私どもも 痛烈に感じているところなのですけれども。そのほか、いかがでしょうか。 ○医事課長 大体いま座長からお話があったのですが、省略されました「はじめに」の 所で、国会でも随分議論があったということで、先ほど水田委員がちょっとご指摘にな りましたが、そういったものを踏まえて、必ずしもこの検討会で十分議論されていない ことも、少し挿入していることがあります。そこについては、またここはちょっと違う のではないかというご指摘をいただければいいと思っております。  それから、先ほどの水田委員の意見はちょっと耳が痛かったのですが、正直に申し上 げて、この報告書が従来の医師需給の検討というのは、基本的には将来こうなりますよ というのがメインですから、今回それでいくのか。それとも、夏の中間報告にもありま したように、いまマクロの話とミクロの話はだいぶ違うからということでやってきて、 それを最後に書いております。そこを最後の「おわりに」の所でまさに書いているので、 たぶん最後までいくと問題点がわかるということだろうと思うのです。この「はじめに」 と「おわりに」の所をもうちょっと考え直して、最初に「はじめに」の所で問題点みた いなものを少し書くような形に作り変えたいなと。最初、1頁、2頁読んでいただいて、 少し問題意識が出るような形にできればと思っております。 ○矢崎座長 いまご議論いただいたように、3頁の医師の需給に関する現状ですね。皆 さん、これを見ますと、やはり医師は充足しているというニュアンスを持ってしまう。 だけど、よく読むと、次の項目に書いてあるのですが、なかなか難しいですね。いろい ろ考えて報告書を作られている。だから、水田委員が言われるように、繰り返し繰り返 し言って、問題意識を高めるような方向で少し手を加えていきたいと思います。 ○水田委員 同じような事ですが、女性医師の件でも言えると思います。全然変わらな いと言うことはあり得ません。先日もある教授とお話ししていましたら、今年は7人の 入局が有ったけど、全員女性だから多分3−4年すれば全部止めてだれもいなくなるん じゃないかなーと気にされていました。そういう現実が有ります。ですから、そういう 女性医師がどうやったら途中で退職しないで、ずーと医師として仕事を続けることが出 きるかを皆んなで考えていろんな意見も出ましたので、そこも入れて欲しいと思います。 ○矢崎座長 そうですね。女性医師に対するサポートは中に書いてあるのですが。 ○水田委員 何かチョロッとという感じなので、もうちょっと詳しく。みんながいちば ん関心を持っているところではないですかね。 ○矢崎座長 そうですね。 ○水田委員 保育園のことも入れてください。 ○宮本補佐 対策の所は全般にあっさりしているというのは確かにご指摘のとおりなの ですが、需給のモデルの中には女性の意識動向、離職動向も含めてカウントしています ので、一応、無視はしていません。ただ、全体に私どもが問題意識として持っておりま すことは、確かに男性よりも一旦離職する傾向はあるのですが、そこが戻ってくる割合 というのはまた診療科によっても違っていますし、ものすごく長期のスパンで生涯の職 業生活を見た場合に、そこまで言うほどけしからんというような感じではない。また、 診療科によってもかなり状況が違う。そういうことを踏まえますと、一概にけしからん という話から大問題だという話から始まるのは違和感がないかなと、そのように思って います。 ○矢崎座長 ただ、この数字がやはり我々の病院での女性医師から見ると、就職された あとと10年後の病院での女性医師の勤務というのは、やはりちょっと違った感覚があ るんですね。統計はおそらく実働している女性医師ということですから、勤務医とはち ょっと違うところなんですね。だから、この書きぶりが総体的に女性は95%ですが、 勤務医はすごく下がっていると思うのです。ただ、それを実証するデータが、いくら探 してもなかなか難しいんですよね。 ○水田委員 実は全国医学部長・病院長会議の委員会でこのような実証データを取りた いと思い、アンケートを計画しているのですが、対象となる女性医師についての住所な どの情報を大学へお願いしたのですが、個人情報保護法の関係で駄目だと言われており ます。 ○医事課長 いま例えば現実に本当に長時間の勤務が60何時間なのかというのはあり ますが、中でなかなか大変だというのがあるのです。今回、数字のベースでいきますと、 例えば48時間にすれば、そこはたぶんいまおっしゃっていたのと、逆にかなり近付い てくるのだと思うのです。子育て期なり何なりのときに、60時間働くというのはなか なか難しいと思うのですが、それが40時間なり40数時間であれば、マクロの必要数 という面でいくと、あまりそこのカウントは要件がなくなるのではないかと思うのです けれども。その辺り、政策面も含めて、もう少し丁寧に書いたほうがいいかと思います ので。 ○矢崎座長 いまの議論が3番目の「医師の需給に関する見通し」、9頁から16頁の 項目になりますが、先ほど小山田委員から指摘されました現状の63.3時間の拘束時間 を48時間にした場合に、現実に何人足りないのかというお話がありましたので、推計 というのはものすごく難しくて、経済の推計でもすごく当たらないところで、この推計 もベースのデータがありませんので、なかなかクリアな数字を出すのは難しいと思いま す。小山田委員のご指摘もありますので、事務局で検討させていただきたい。 ○長谷川委員 32.4から27.7を引けば、その数字ではないですか。4.7万人、もう書 いてありますよ。先ほど小山田委員はずっと書いていない、書いていないと言っており ましたが、そこに書いてあるんですよ。32.4万人必要であると。実際に現状が26.8 万人と書いてある。 ○長谷川委員 だから、なぜご質問されたのか、私はよくわからなかった。書いてある のになと思いながら聞いていたのですけれども。ただ、もうちょっと。 ○矢崎座長 ただ、ちょっと小山田委員がおっしゃったように、これは現時点でこれだ け不足というのではなくて、「必要医師数は32.4万人と推計される」という中にあり ますのでね。 ○長谷川委員 これを引いたものが必要な数と。 ○矢崎座長 やはりそれを明記しないと、なかなかわかりにくいということで、先ほど ちょっと議論が錯綜しましたが、そういうことですね。 ○本田委員 書いてあると言えば書いてあるのだとは思うのですが、やはりそれを一言 明記してほしいと思います。あと、これはそもそも論じゃないか。どう書いたらいいか わからないのですが、12頁の真ん中に「医師の需要の見通し」と書いたことで、2行 目から3行目にかけて、「現状で総量としては、基本的には国民が必要としている医療 を提供しているものと仮定し」と、推計というのはそうやって仮定してやるものなので しょうけれども、現状の医療、国民が本当にいまの総量を満足しているのが当然だとい うように読めてしまって、そうではないと私は思っているので、ちょっと違和感を感じ ました。推計としてはそれが当然ということはわかるのですが、ちょっと表現の問題か なと思いました。 ○矢崎座長 実際の内容については、5頁に最近の病院医師の取り巻く環境の変化とい うのをいくつか箇条書きにしてありますが、私もこれを推計のベースにすると、いろい ろなご意見があるかと思いましたので、これについてはまた議論させていただきたいと 思います。 ○江上委員 11頁の3つ目の○の女性についての所なのですが、最初の2行の文言が あまり適切な表現とは思えないのです。あと、就業割合で82.9%と計算してあるので すが、女性の出産休暇であるとか妊娠、子育て期の短時間勤務であるとか、育児休業の 取得率の実態的な比率で換算したもの。そういうものを計量的にきちんと織り込んで、 そのあとの需給について供給の量を計算しているのかどうかというのは、どうなのでし ょうか。つまり、いま勤務医で非常にいろいろなことが問題になって、特に女性の場合 には、やはり勤務医での雇用労働時間のところで、産み育てるというワークライフバラ ンス上のいろいろな問題が出てきているわけで、そこのところはやはり丁寧な書込みを したほうがいいのではないかと思うのです。女性の医師の供給が、ますますこれから増 えていくわけですから。 ○矢崎座長 女性医師の生涯の就業率に関しては、長谷川委員からデータがあって、デ コボコがあって、それを平均すると92%になる。ただ、病院の医師と全体の医師登録 している女性医師とちょっと違うんですね。ここはもう少しどうですかね。先生、何か 工夫できますでしょうか。 ○長谷川委員 数字は、2段階に分けて分析をしたわけであります。第1番に働いてい るかどうか。これは医師登録と……調査という調査を使いますと、分母・分子を割り返 すと何パーセント働いているか出てくるので、それで計算すると働いているという言い 方は、男性に比べると82%となります。働いている方がパートかフルタイムかという ことですが、そこはなかなか把握しにくいところでありました。しかし、一旦フルで働 いている方に関しますと、男女あまり変わらなかったという結論でした。当たり前と言 えば当たり前ですけれども。 ○矢崎座長 ですから、いつも議論になるのですが、働いているときは、男性と女性は 全然変わらない。ただ、女性の場合にはいろいろな我が国の核家族化とかいろいろな状 況で、休まれると。そこが大きく全体に響いてくるということで、その辺についてまた よく委員の方とも相談しながら、文章については工夫を加えていきたいと思います。 ○古橋委員 医師の需要の見通しで、12頁から13頁の中ほど下ぐらいまでの書きぶ りなのですが、先ほど来、必要医師数は32.4万人と推計されると書いてあるではない かと言われたのですが、前の頁には、すべての医師が26.8万人であるのに対し、必要 医師数は27.7万人と推計されると。これはこういうことを念頭に置くと。しばらくい くと、こういうものを勘案して、48時間までに短縮するとすると、必要数は32.4万 人と推計されると次なる数字が出ています。でも、そのあとに、しかしながら、こうこ うこうなので、そう考えることは適切でないという件があります。また、次の○で、結 果的に27.9万人と推計されるとなってます、このようにして何段階かでブレがあるの で、ではこの報告書では何が核で、結果はこれだといえるものは何なのか。だから、捉 え方がいろいろあるから、いろいろな要素で考えるとこうなるとされたなら、それはそ のとおりと思うのですが、それでいくと、不足医師数というのは1万1,000人にもな れば、9,000人にもなれば、4万を超す数字にもなるわけです。このように幾通りにも なります。その辺りについてはもう少し集約的に出すということが覚悟をもってできな いものなのかなと思います。  もう1つ、16頁辺りで書かれているところで見ますと、例えば下から2つ目の○で すが、「医師が限られた時間の中で本来の業務に専念できるような体制づくりが必要で あることを前提としていることに留意が必要である」と書いてあるのですが、この書き ぶりも鶏と卵のような議論で、だからどうするというようになったときに、何か見えて くるものがないように感じます。ですから、その辺りをもうちょっと踏み込んで、提言 的なものになれないのだろうかと。でも、そこは現実的には難しいのだろうか。読んで いる者からすれば、16、17頁は鶏と卵の議論が、いろいろな言葉をもって述べられて いるだけではないかなという気もいたします。 ○江上委員 いま古橋委員がおっしゃったように、基本的にこれからの医師の需要とい うものをどのように見るかというポリシーの合意形成がとれていないと思うのです。ま ず全体的には、資格の稼働率だけでフレームワークをつくっている。しかし、こういう 問題もあるし、48時間労働で換算すれば、ここうなのだと、いろいろなことが入って いると思うのです。これからの日本の社会の趨勢を考えるならば、やはりワークライフ バランスということで、週48時間労働を基本にして供給を考えるべきであろうし、ま た女性の生涯の生産性、医師の供給がどのぐらいの割合になるかということと、生涯生 産性も織り込んで考えるべきだろうと思います。それから、今回は医師の労働力提供を 70歳まででなくて、上限を設定していないというように織り込んでいるのですが、こ れもむしろ無理があるのではないかということですよね。この辺についての基本的な前 提の条件を、きちんとここで同意形成を図るべき、そこにおいて、きちんとした供給の 理論をつくっていかないと、これはやはり何回議論しても押し問答になってしまうので はないかなと思います。 ○長谷川委員 ……定年者はいる。 ○宮本補佐 そういう意味では、あり方については比較的、現状を肯定する形で整理を しております。中でも展開しておりますが、供給側のほうは比較的、そういう仮定を含 めてもシミュレーションしやすいのですが、需要に関してはここでも1つ置いてありま すが、高齢化の影響も含めて、こういう方法ではこのぐらい増大するというようにして おりますから、わからない部分がだんだん増えてくる。そういう中で、むしろ数として どうというよりは、入院需要を動かすとどういう影響が出てくるかなど、結果としてや らなければいけないことをご理解いただくということを、長谷川委員にまとめていただ いたものなのですけれども。 ○矢崎座長 いま江上委員が言われた前提となるベースのデータというのは、ちゃんと 取れますですかね。 ○長谷川委員 どの部分に関してですか。 ○矢崎座長 いま江上委員が言われた大前提となるいろいろな。 ○長谷川委員 大前提は、ポリシーを決めるということですから、データは必要ないで すよね。 ○江上委員 ポリシーって、考え方をここの検討会で決めるということで。 ○長谷川委員 だから、70歳の医師にはやめてもらう、働かないほうがいいというよ うにやるのだったら、そうしたらいいでしょうし。 ○江上委員 やめてもらうということではなくて、ここでその数字をどう扱うかという ことですね。 ○長谷川委員 事実、多くの医師が70を超しても働いておられます。パートというの で、時間的には短いです。例えば週に20時間とか15時間とか、高齢社会においては そういう姿が望ましいのではないかと。折角の経験をそのまま捨ててしまうのは、社会 として無駄であると思いますから、いいのではないかと思うのです。 ○江上委員 今回の推定では70歳以上については週20時間換算で人数を取っている のですか。 ○長谷川委員 私の記憶では、20時間換算というか、大体そのぐらいでした。 ○江上委員 いや、この推計には。 ○長谷川委員 いえ、やっておりません。そういうふうにしておりません。調査の結果 がそうだったと申し上げたわけでありますけれども。 ○矢崎座長 これは長谷川委員が取られた診療所の医師と、病院の医師というと、定年 が60歳か65歳ですから、そのときに48時間以上働いている方は少なくすると。そ れから、少ない時間の人を48時間まで働いてもらうということは一切していないので す。ですから、高齢者の方は、この中には特に病院の医師を焦点にしていますので、あ まり変わってこないと思うのです。 ○長谷川委員 すみません。思い出しました。病院の医師は、70歳以上の方はあまり おられませんでした。私の記憶では非常に少ない。大半が診療所の医者でした。 ○医事課長 いまの江上委員の発言内容でいきますと、70歳以上をどうカウントして いるかということについては、もともとの医師数のベースが、この中にもありますが、 医師・歯科医師・薬剤師調査というのをやっております。それは当然、届け出ていらっ しゃる方がどこで働いているかとか、あるいは働いていないというのもあるのですが、 基本的に高年齢になると非常に回答率が低くなって、大体返ってこない人はほとんど医 師としては働いていないということですので、例えば70歳以上の医師免許を持ってい る方を、すべて1人としてカウントしているなどということではありませんので、そこ については差は小さい。先ほど座長からもお話がありましたように、いま20時間しか 働いていない人を48時間まで働かせてという計算はしておりませんので、そこはそこ の影響は極めて少ないのだろうと思います。  それから、古橋委員からご指摘があった12頁から13頁の書き方については、最初、 小山田委員からもありましたように、少し書き方はわかりにくいと思いますが、基本的 には前回の長谷川委員のプレゼンテーションがありましたように、12頁の下に書いて あるこの部分が、一応こういう考え方だという形です。ただ、一方、前回、小山田委員 からもこうやって63時間でやったらどうなるのだという議論がありましたので、13 頁の「なお」の所をこういう形で書いているということです。「また」の部分について は、要するに40時間と書いてあります。例えば診療時間のみを48時間と置けば、い までも医師大過剰になってしまいますので、それはちょっとまた変な形になりますので、 こういう形で書いているということです。  したがって、前回の長谷川委員のプレゼンテーションの中で、小山田委員からのご指 摘はありましたが、おおむねこれについて異論がなかったと思いましたので、12頁の いちばん下の○の所がベースだと思っております。ただ、ここは「なお」とか「また」 とか書いて、役所的な文章になっていると言われればそれまでですが、そこは少しわか りやすいようにしなければいけないと思います。 ○小山田委員 すみません。くどいようですが、これでいいのですけれども、はっきり 勤務医・病院勤務医は現状、どんな計算でもいいです。先ほど長谷川委員が4万いくら と、それを病院勤務医は、いまの計算からするとこういうのが出ているということを書 いてくださいということです。だから、すぐそれを増やせということではないのです。 ○矢崎座長 ありがとうございます。ですから、13頁の○は、必要医師数は32.4万 人と推計されて、いま小山田委員が言われるように現状ではこうだと。それで、「しか しながら」というのは別に立てて、やはりいま長谷川委員が言われたように、病院医師 の勤務体制をもう少し改善して、不足を何とか改善する方向で検討しなければならない ということを言って、勤務状況がこうだから不足が改善されるとか、そういう書きぶり にすると、皆さんちょっと現状と違うのではないかということなので、分けて書けばご 納得いただけると思います。そのほかいかがでしょうか。 ○長谷川委員 いまのところの箇所についてコメントですが、古橋委員のお考えとは反 対で、このように書いたのは非常にいいのではないかと私は思います。つまり、医師の 労働というのは定義がしにくいです。この間申し上げましたように、63だってどうか。 例えばほかの病院で働いている方が多いので、それを足すと70時間になります。です から、日本の医師は平均で言いますと、70時間働いていますね。さらに、土・日のオ ンコールの部分は入っておりませんので、それを入れると80時間とかになって、いっ たい医師の労働とは何かという定義がなかなか難しいので、いろいろな定義によってど のように変わってくるかということをシミュレートするというのは、大変親切な考え方 のように私は思うのですけれども。 ○矢崎座長 そうおっしゃっても、一つひとつ結論を付けて、次に打つ手はどうかと、 ちょっと分けないと、不足だけれども、こうやれば足りるのではないかという書きぶり になってしまうから、皆さん現実と違うのではないかという話になるので、少し分けて 考えたいと思います。だから、先ほど古橋委員から言われた、どちらが鶏か卵かという 議論になってしまいます。一つひとつ結論を付けて、それに対する対応を考えていけば と思いますので。 ○長谷川委員 それに関連してですが、先ほどから4頁の「充足の方向にある」という 議論がいろいろと問題になっておりますので、蒸し返すようで恐縮ですが、結局、この 検討会の目的といいますか、守備範囲は何かということで、この辺の考え方等が変わっ てくるのではないかと思います。特に前回オブザーバーで出席をし、今回委員として出 席して、2回とも見ている私の経験から申し上げますと、この検討会は基本的には医師 数全体の方向がどうか。端的には、医師の数、医学部定員を増やすか減らすかという手 法で変えていくということ。それを検討して、前回もまいったし、今回もそういう出発 点だったと思ってはいるのです。前回と今回の間に生じた大きな課題というのは、例え ば診療科や地域、大きく言えば病院と診療所。その中でのばらつきが大変大きいという のが課題であって、この検討会はそれに取り組むのだということを最初に明確な意思一 致せずに、こういう問題がある、ああいう問題があるというように走りすぎた感が私に はあるのです。  したがって、1つの整理の仕方としては、この検討会の目的を、実は前回ほとんどそ ういうことを議論していませんでした。前回の検討会では地域偏在や診療科偏在につい ては議論されませんでした。今回この検討会として、それが大きな課題であるとしたい のであれば、それを最初に書いて、やはり医師数についての長期的展望についての修正 をするかどうかということもこの検討会の課題だ、というように並べて最初に書くと、 混乱がないのではないかと私は思いますが。 ○小山田委員 先生にお伺いしたいのですが、第2回目だったと思いますが、国際的な OECDのデータを出されましたね。日本の人口当たりはあの29カ国のうちの26位 です。そして、先進国の趨勢は、医師過剰から医師不足へという認識に変わりつつある と、はっきりと書きましたね。これをどうしてここに書かないのですか。しかし、日本 はこれでいいのだというのだったらね。先生の出されたあのデータは間違いないですよ ね。 ○長谷川委員 はい。 ○小山田委員 そういったことを書いてくれませんか。これを言うときに、それでいい のかと。これは先生のデータを基にしてできているのですので、一貫性がない。国際的 に見た場合にはどうかというときに、先生が自ら研究されたものを使って我々に説明し、 最後は現状でいいのだという、これは国民もちょっとわからないと思う。 ○矢崎座長 少し交通整理しますが、いままでの医師の需給の検討は、医師が過剰にな るのではないかということで、いままできたと思うのです。この需給検討会の大きな違 いは、医師は不足していると、不足感がある。でも、よくトータルにマクロで見ると、 医療ニーズの上昇に、いまの状況で充足する。充足するというのは、十分ではないかと いうことではなくて、いまの体制である程度対応できるのではないかということがこの 文章だと、私は理解したのです。だから、医師が余っているということは決して言って いないと思うのです。いままでとは違って、いまのである程度対応できるのではないか。 でも、ミクロで見ると、極めて問題があるということで、いろいろ書込みをしたわけで すが、いまのいろいろなご意見で、またOECDの医師の比較、これもなかなか難しい のです。見ますと、例えば人口当たりにすると、OECDの中で非常に下のほうなので すね。イタリアは医師余りで、医師がタクシーの運転手をしなければならないというこ とを噂に聞きます。例えばの話で、これはまた地域によって違いますが、日本の国土は ものすごく狭いですよね。それで、人口密度がものすごく高いですよね。統計によると、 例えば面積当たりの医師数になると、これはイタリアと同じぐらい多くなるというデー タもあるのです。  ただ、先ほど申し上げたように、今度、東北や北海道などの広い地域で考えると、医 師がものすごく少なくなるということもあります。ですから、人口当たりの医師で本当 に医師の需給を考えていいのかどうかということもまたありますので、医療というのは 本当に難しくて、1つのインデックスではなかなか語れない、複雑な方程式を解かなけ ればならないというところもあります。  もう時間がまいりましたので、今日は大切なご意見をいただきました。最初に申し上 げませんでしたが、これは最終稿ではありませんので。 ○内田委員 いま座長からマクロの議論とミクロの議論というのが出ておりますが、私 は1つ日医総研でアンケートを取った調査があります。これを是非お話しておきたいの ですが、日本の患者に「受けた医療に対する満足度はどうか」というアンケートを取り ますと、83.6%が「満足している」という答えなのです。ところが、「日本の医療への 満足はどうですか。日本の医療というものに満足していますか」とマクロの質問になり ますと、これは51.2%に下がってしまうという、非常に大きなギャップが出てくると いうのがあるのです。  この中で、やはり今回の議論に関しては、ベースになる考え方がどうであるかという 話がありましたが、医療提供体制とか医療内容とか、そういうものに関しては、医療費 も含んで、常に全体をこれからどうもっていくのかという話と、それから実際に患者が 受ける医療に関してはどうなのだという話が出てくると思うのです。だから、国際間の 比較といっても、単純には絶対にいかないということだけは、はっきり言えると思いま す。日本の医療の特殊性といいますか、非常に少ない医療資源、あるいは人材の中で、 それを非常にうまく活用しながら、高い医療レベルを維持していると。そのベースには 何があるかというところをよく考えながらこの議論を進めていかないと、ちょっと変な 方向に行ってしまうのかなということを最後に申し上げます。 ○矢崎座長 どうもありがとうございました。今日、貴重な意見をいただきまして、も う時間がまいりましたので、今回はこれで終わりたいと思いますが。 ○医政局長 私は初めのほうの会議はずっと国会に取られておりまして、出ることがで きませんで大変失礼をいたしましたが、まだ時間がありますので、最後まで先生方には よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。  今日の議論の中で、江上委員からお話がありました前提となるところのコンセンサス は、やはり検討会として是非得ていただきたいと。今日、大体得られたと思いますが、 供給のほうについてはもうほとんど異論がないですし、需要の推定については週48時 間というのが前提になっております。それを超える部分については、むしろワークシェ アリングみたいなことで解決をする。それに向かう不足のところについては、むしろ数 のほうでいくと。そういったことになるのではないかと。ちょっと私の理解がきちんと していないかもしれませんけれども、例えばそういうことです。それから、女性の医師 についての考え方をどうするか、高齢の医師の考え方をどうするかという辺りかと思い ますが、おおむねのコンセンサスは得られたと思います。まだ細かい議論はあるかと思 いますので、ご意見をできれば早めにいただければと思います。  それから、この検討会が昨年発足して以来、前回までの同じ名前の「需給に関する検 討会」と今回は、だいぶ質的に違うと思います。前回まではマクロの増減で、全体の増 減をどうするか。今回の報告書も、今回のこの案はまだそれに引きずられているところ もありますが、今回の検討会は、小山田委員がご指摘のとおり、端的に言えば病院の勤 務医の不足の問題というところに、ある意味では原因の問題点がありますので、そこを 端的に指摘することも、報告を書くに当たっての1つの方向だと思います。それは各委 員からも類似のご指摘もありましたので、書きぶりの問題も含めて少し改善をする必要 があると思います。  したがって、座長がご指摘のように、もちろんミクロの問題とマクロの問題は、きち んと切り分けて書く必要がありますが、今回の因って来る問題点というのが明確になっ て、その解決の方向のための報告ですので、できるだけそういう方向でまとめるように いたしたいと思います。また、これから各委員にいろいろご指摘をいただきたいと思い ますし、ご意見も賜りますので、よろしくお願い申し上げます。 ○江上委員 最後に1つだけ、医政局長にいまおまとめいただいて、ありがとうござい ました。私は内田委員がおっしゃったこと、それから先ほど本田委員がおっしゃったこ とが、やはり非常に重要だと思うのです。結局、個人の直接フェース・トゥー・フェー スで治療を受けた医師に対しては、非常に誠意を持って対応してくれているから、患者 満足度は高い。しかし、医療全体になると50数パーセントと。この4、5年、例えば がん患者を例に取りますと、インターネット上でがんの病状から医師の問題、薬品の問 題、治療法の問題、ものすごい情報量が交換されております。最近、新聞にも先端治療 の実例などは、皆さん実名を挙げて出すようになってきております。  そして、また大学病院、特に国立大学病院では、この3、4年は先端治療の治療実績 まで、全部データで出ております。そういう意味では、特に患者の医療知識が非常に高 度化して、非常に専門化したところに、いまものすごい集中が始まっているのです。そ ういう意味では、いままでと同じようなメカニズムでの供給の仕組みだけでは、絶対に うまくいかないと。やはり今回の報告書は、そういった生活者の基点に立った書き方を しないと、これは大変大きなバッシングに遭うと思います。それを是非申し上げておき たいと思います。 ○長谷川委員 それをおっしゃるなら、逆に国民は医者の置かれている現状を理解する 必要がありますよ。このぐらい酷使されていて、大変なのですよ。こっち側のことを全 く理解されずに、いろいろなことを要求されている側面があります。したがって、それ を併せて国民に訴える必要があるのではないか。是非そのことを申し上げたい。 ○矢崎座長 どうもありがとうございます。今日はこれで終わりたいと思いますが、皆 さんの資料のいちばん最後に、「連絡先」と書いてあります。そこにご意見をいただい て、次回までにまとめて、前もってご相談し、次回にはある程度のまとめ案を作りたい と思っております。今日いただいたご意見を参照して、ご意見に応えた報告書になるよ うに努めたいと思いますので、今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。事 務局からお願いします。 ○宮本補佐 次回の開催ですが7月19日(水)の16時からということでお願いした いと思っております。場所については現在調整中ですので、決まり次第お知らせいたし ます。また、報告書ですが、いま座長からご紹介いただきましたように、できれば集約 のプロセスをなるべく進めていきたいと思っておりますので、本日、検討いただいたも のはもちろん反映いたしますし、検討いただかなかった部分も私どものほうまでお寄せ いただければ、それを反映した形で次回紹介させていただきます。可能であれば、事前 に皆様方の所へ配付させていただきます。私どもの都合ですが、もちろんそれが最後で はありませんので、できれば来週の水曜日、7月5日までに一旦ご意見をいただければ、 次の集約のプロセスが早く進めていけるのかと期待しておりますので、ご協力をお願い したいと思います。 ○矢崎座長 本日はご熱心にご議論いただきまして、ありがとうございました。次回は さらに理解を深めて、対応したいと思います。本日はどうもありがとうございました。 −了− 照会先 厚生労働省医政局医事課 課長補佐 井内(内線2563) 指導係長 丸尾(内線2568) 代表 03-5253-1111