06/06/14 第7回労働政策審議会勤労者生活分科会議事録 第7回労働政策審議会勤労者生活分科会          日時 平成18年6月14日(水)          15:30〜17:00          場所 厚生労働省専用第12会議室 ○齋藤分科会長  皆さんお揃いになりましたので、第7回勤労者生活分科会を開催したいと思います。本日は、 新村委員、三井委員、西村委員、篠原委員、菅井委員、佐々木委員、前田委員が欠席です。最初 に、青木部長からご挨拶をお願いします。 ○勤労者生活部長  委員の皆様方におかれましては、日頃から勤労者生活行政に対して多大なるご理解、ご協力を 賜りまして、心から感謝しております。また、本日はお忙しい中ご出席いただきまして、誠にあ りがとうございます。  ご承知のとおり、財形制度は昭和46年に発足しまして、それ以後審議会の場を通じてさまざま なご意見を頂戴しながら逐次改正が行われています。平成15年7月からは、雇用の流動化、ある いは就業形態の多様化等、時代の環境変化に適ったような財形制度のあり方についてご検討をい ただくべく、労働政策審議会勤労者生活分科会基本問題懇談会を設置してご議論をいただき、先 日中間報告を取りまとめたところです。その中で、熱心なご議論、ご検討をいただいた委員の皆 様に、この場を借りて改めて御礼申し上げます。  現在、財形制度をめぐる環境は大きく変化してきています。特に、雇用の流動化等をめぐる環 境の変化とは別に、昨年12月に閣議決定された行政改革の重要方針は、大きな意味をもっていま す。この閣議決定は、ご存じのように政策金融改革、独立行政法人改革、特別会計改革を打ち出 しましたが、3つの改革はいずれも財形制度に大きな影響を及ぼし得るものです。これを踏まえ て、内閣府に設置された行政減量・効率化有識者会議から、先般指摘事項が既に公表されたとこ ろです。これは、主として独立行政法人改革に関わるものです。  また、今後出される骨太の方針において、3つの改革についての政府の基本的考え方が取りま とめられ、更に総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会においても、有識者会議の指摘や骨 太の方針を踏まえたうえで、見直し方針が取りまとめられることになっています。こういった動 きについては、後ほど企画課長から説明します。  本日は、更に現在の財形制度の運営状況、勤労者生活部の組織変更等についても報告をさせて いただきます。それでは、よろしくお願いします。 ○齋藤分科会長  ありがとうございました。それでは議事に入ります。本日は、議題にありますように、報告事 項が5件あります。最初に議題1「財形制度に係る平成17年度の貯蓄、融資、助成の実績」につ いて、事務局から説明をお願いします。 ○企画課長  企画課長の坂本です。よろしくお願いします。  それでは、資料1「財形制度に係る平成17年度の貯蓄、融資、助成の実績について」簡単に説 明します。1頁、貯蓄関係、勤労者財産形成貯蓄の実績は、3貯蓄の取りまとめ表と推移のグラ フを掲げています。厳しい経済状況や低金利等の影響があり、全体として件数が減少する一方で、 残高については天引き等の関係もあるせいか、タイムラグがありまして、やや増える傾向でした が、ここ数年は頭打ちの状況が見て取れるかと思います。  2頁は、3貯蓄別の状況についてグラフで示しています。いちばん上の一般財形貯蓄について は、昭和63年度から利子非課税の特例の廃止がありました関係で、この時点で大きく件数あるい は残高等が減っています。その後、件数そのものはおそらく新規の加入が少なくなったというこ とで減っているようですが、やはり天引きのような財形貯蓄の特性、あるいは一般財形の使い勝 手の良さもあってか、残高については現時点においても横ばい、ないし微増の状況にあります。  他方、財形年金貯蓄あるいは財形住宅貯蓄については、それぞれ一定の時点をピークとして件 数等は減少傾向にあります。やはり、年齢到達等で年金世代に入られる、あるいは持家を持つと いうような状況での取り崩しがあるのではないかと見ています。それに合わせて、貯蓄残高につ いても減少傾向にあるという状況です。  3頁は勤労者財産形成融資の実績の関係です。財形持家分譲融資ということで、事業主が居宅 を建設したり購入して、勤労者に分譲するというタイプのものです。その事業主に対する融資の 状況ですが、平成15年度以降新規0で、利用実績が極めて低調な状況にあり、このようなやり方 はほとんど今は取られていないのが現状です。  4頁は、タイトルが間違っていまして大変恐縮です。「財形持家転貸融資」となっていますが、 「財形持家個人融資」の間違いです。雇用・能力開発機構が行っています転貸融資だけではなく て、住宅金融公庫等の個人融資関係も全部含んだ数字ですので、下のグラフのタイトルが正しい ということになります。これは、やはり金利の動向変化等によって基本的にはサイクルがあるわ けですが、平成11年度以降、貸付金利が一貫して低下したこと等もありまして、平成15年度ま では順調に件数、金額等も伸びていました。しかし、平成16年度以降、貸付金利が若干上昇傾向 に転じ出したこと、あるいは低金利を背景として民間金融機関のキャンペーン金利で、個人に対 する住宅融資に目が向けられてきた影響もありまして、平成16、17年度はやや落ち込んでいる 状況です。  5頁の財形教育融資についても、平成5、6年度辺りをピークとして、近年はいろいろな雇用 開発の助成金等の充実もあったせいか、減少の一途をたどってきている状況が見て取れるかと思 います。  6頁は、勤労者財産形成給付金あるいは財形基金の実績です。福利厚生制度の一環として、事 業主が結ぶ勤労者財産形成給付金契約、あるいは基金の設立の状況については、近年新規が非常 に少ない、特に基金については全く新規がないという状況です。そういった関係もありまして、 件数、資格者数、総資産残高いずれも減少しています。  7頁は、それに対する助成金の実績です。勤労者財産形成助成金については、新規の助成金契 約が極めて少なく、それに対する助成も非常に低調です。平成17年度は14件、約174万円に留 まるという状況でした。  8頁は、財産形成貯蓄活用助成金。これは、一定の要件を満たす貯蓄の引き出しを行った場合 に、事業主がそれに対して支援をする場合、国が助成金をもって支援を行うものです。この件数 についても、近年は横ばいで、平成17年度は709件、金額にして1,124万円でした。もともと、 あまり活用状況は大きくありませんが、特に近年は低調になってきたという感じがしています。  最後に9頁ですが、中小企業財形共同化支援事業助成金です。これは、財形の事業主の協力の 関係で、事業主がいろいろな天引き等の業務をすることがなかなか大変だという場合に、商工会 議所や商工会等が集団で代行することを国が助成することによって、財形を広めていこうという ものです。平成17年度については、商工会議所あるいは商工会で1、2団体が、傘下の企業のた めにこのようなものを行ってもよいということで新たな対象になり、件数的には28件、金額的に は1億639万円余の助成金を支出しています。ただ、全体の状況から見れば非常に少ない件数だ と理解しています。平成17年度の貯蓄、融資、助成の実績については、以上です。 ○齋藤分科会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの資料1について何か質問がありましたら、ど うぞ。何かありますか。特段何もなければ、次の予算と税制改正について説明をお願いします。 ○企画課長  資料2、平成18年度予算額事項別表をご覧ください。平成18年度予算については、平成17 年度予算に比べて約6%強の削減ということで、一番下の合計欄に書いてあるように13億2,149 万9千円を計上という形にしています。この予算策定に当たっては、大きく2つの考え方に基づ いています。1つは、財形の業務の合理化によって、経費削減を図る。もう1つは、融資等の実 績を勘案しつつ、それに合わせて予算を実効性あるものにしていくという2つの観点です。  まず、一般会計については、1の(2)と(3)にありますように、勤労者財産形成推進費あ るいは形成促進費のところ、例えば基金の認可申請業務等の関係の事務費ですが、先ほど説明し たとおり新たな基金の新設、申請認可等がない現状に鑑みまして、これについては実績がないと いうことで0査定としています。また特会ですが、例えば(2)の勤労者財産形成促進事業費補 助金の中の管理費について、983万円余の減としています。これは、実際に事業を推進している 雇用・能力開発機構の各都道府県支部に普及指導員という形で、財形制度の普及指導あるいは助 成金の審査を行う職員を置いています。全国で計66名いるものを、事務の合理化等により1支部 1人プラス本部に2人ということで、49人に絞りました。そのような合理化による減があります のでこのような現状になっています。その下の分譲融資業務費、あるいは転貸融資業務費のとこ ろで、それぞれ5,289万円余、あるいは1,165万円余の減を立てているところです。分譲融資業 務費については、先ほど報告しましたとおり新規融資実績は0ということです。したがって、回 収あるいは償還業務等だけになっていますので、それに合わせて業務の合理化減を立てているわ けです。また転貸融資についても、新規融資業務の件数の減等も勘案しまして、それぞれ減を立 てた状況です。逆に、例えばリの財形融資資金貸付関係業務費、あるいはヲの中小企業財形共同 化支援事業業務費が若干ですが増えているのは、このリの業務のところは借換えや債券発行の手 数料等を計上している部分です。先ほど、融資の実績のところで説明したとおり、平成15年まで は非常に増えていまして、そちらの影響を受けて近年少し減りましたが、若干の増を立てていま す。また、中小企業財形共同化支援事業業務費についても、先ほど若干ではありますが実際の受 託団体が増えたことを申し上げましたが、この関係で若干の増になったということです。なお、 決算のベースと比べてどうかですが、一応決算の括りが必ずしも予算の括りと合っていませんの で、なかなかストレートに比較するのは困難です。それから、いま出ているのは平成16年度の決 算ですので、少し困難な面がありますが、一例ということで説明をさせていただきます。2の(2) の勤労者財産形成促進事業費補助金全体ベースで、実は平成16年度の決算額が13億2,117万1 千円となっています。それから見ますと、平成18年度の予算額は13億1,551万7千円ですから、 決算等の実績を勘案しながらその範囲内で予算を組んだということが言えるのではないかと考え ています。細かなところは括りが違って比較できませんので、その一例だけをもって説明をさせ ていただきました。  次に、資料3、今年度の税制改正の関係です。今年度、税制改正は2項目あります。1つ目は、 勤労者が住宅資金の貸付等を受けた場合の課税の特例の適用期限の延長です。これは、勤労者が 住宅を取得する場合に、使用者が無利息または低利、あるいは利子補給という形で勤労者を支援 することがあります。これをそのまま放っておきますと、給与所得等と見なされて課税対象にな ってしまいます。これでは、折角の事業主の支援が活きないということもありまして、これにつ いては非課税とするという特例をお願いしています。これは、2年ごとの期限が付いていまして、 その特例の適用期限を2年間延長しまして、平成20年12月31日までを適用対象とする、とい う要望を国土交通省等と共同で出したもので、これが認められました。  もう1つは、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限の延長です。これも、新築住宅 に係る固定資産税について、住宅の取得促進等の見地から減額措置という特例を実施しています。 なお必要であるということで、平成20年3月31日までの2年間、この特例を延長するというこ とです。必ずしも、両方とも財形だけに限ったことではありませんが、国土交通省等と並びで要 望しまして認められたということです。以上です。 ○齋藤分科会長  ありがとうございました。ただいまの予算、税制について何か質問やご意見はありますか。 ○田村委員  先ほどの実績の関係とのことです。予算の立て方は非常に難しいところはあると思いますが、 説明の中では業務の合理化なり融資等の実績を見て予算を立てるということでしたが、必要な項 目だということについてはここでの話し合いの中でもありましたので、是非推進するなり進める という意味での予算を少しでも反映していただきたいと思っています。前の実績がないから0に するとか減額するのだということではなく、必要なところには予算を投下するという姿勢もあっ てもいいのではないかと思っていますので、今後是非そのような配慮をお願いしたいと思います。 ○齋藤分科会長  ほかに何かありますか。 ○松井委員  税制改正要望のところなのですが、利子非課税について特段要望はしていないという理解でよ ろしいのでしょうか。 ○企画課長  貯蓄の利子非課税ということですか。 ○松井委員  はい。 ○企画課長  それは、特段要望していません。 ○松井委員  それは、要望しなくても大丈夫だということでいいわけですね。改正要望でないから、ずっと 非課税措置が維持できるという理解でよろしいわけですか。 ○企画課長  期限が付いているものでもありませんので、特段措置をしなくてもそのままということです。 もちろん、税務当局が昨今特例をなくすということで、いろいろな租税特別措置を廃止というこ とで、逆に向こうから掲げられることがあります。それに対しては、意見なり要望を出すことは ありますが、昨年度はそのようなこともありませんでしたので私どもから特段の要望や意見は出 していないということです。 ○松井委員  少し細かいところですが、財形給付金の積み立て時における非課税のようなものは、企業年金 の特別法人税と同じ扱いになっているものと私は理解しています。それは企業年金のほうで要望 しているということでよろしいのでしょうか。 ○企画課長  昨年度は、特に私どもが主管としてそのような要望は出してはいませんが、企業年金のほうで 必要があれば私どもに声掛けがくるものと思っています。 ○村井委員  1つわかりにくかったのですが、決算と予算の立て方が違うという説明がありましたが、予算 を見るときに非常に奇異な感じがするのですが、そこはどういう背景でそのようになっているの でしょうか。 ○企画課長  なかなか説明しづらいのですが、例えば予算ですと資料2にありますように、管理費、分譲融 資、業務費などという業務費目別になっています。一方決算は、旅費や謝金といった括りで出て いますので、必ずしも、費目ごとに整理されていない恰好になっています。予算と決算の違いと いえばそれまでのことなのです。実は、昨年いろいろと議論があったことを伺っていましたので、 資料を作る際に決算対比表を作ってみようということで作業してみましたが、かなり大掛かりに やらないとできないことがわかりました。たまたま補助金ベースのところは、このような括りで はなくて、旅費などの括りで決算が出ていますが、そこで一緒のものがありましたので一例とし て申し上げたということです。予算の仕組みと決算の集計の仕方が、どうも違っている現状にあ るということを説明したつもりです。 ○齋藤分科会長  ほかに何かありますか。特段のことがないようでしたら、次に中間報告についてお願いします。 ○企画課長  資料4をご覧ください。2点訂正があります。資料4の中間報告の1頁をお開きください。下 から5行目に「基本懇を設置して、8回にわたり議論してきたところであるが」と書いてありま す。基本懇のメンバーの皆様には7回にわたりということでお送りしていると思います。実は、 8回目の基本懇の際に案文の数字を書きましたので、その時点では前が7回でしたので単純に7 回と書いたわけです。分科会に提出するに当たっては、やはり8回ということで事実を踏まえて 訂正をする必要がありましたので、そこは私どもの最終的なチェックミスであり、8回と直して います。  もう1点の修正は、最後の委員名簿のところで松井委員の職名についてその後のご異動があり ましたので、松井委員の職名を修正しています。  それでは、資料4について簡単に説明します。基本懇については、先ほど申し上げましたとお り、平成15年7月から8回にわたり、時代の要請に応じた財形制度のあり方についてご検討をい ただきました。この間、行政改革の重要方針が閣議決定されるなど、検討当初の状況に比べて財 形制度をめぐる状況が大きく変化したところです。したがって、財形制度のみの観点からの検討 だけでは必ずしも十分でない状況になったこともあり、今後の状況変化を踏まえて、改めて検討 することが必要だと考えています。  そこで現時点で、これまで提示いただいた各委員の皆様のご意見をきちんと整理することが極 めて重要だと考えまして、今回これまでのご意見を中間報告の形で整理、とりまとめることとし ました。したがって、必ずしも方向性等を示したものではなく、意見を列記させる形になってい ます。今後の財形制度のあり方を考えるうえで、重要な意見を頂戴したと理解していまして、改 めて基本懇委員の皆様に御礼を申し上げる次第です。  それでは、簡潔に中身について説明します。1、2頁は、検討経緯や先ほど私が申し上げたよ うな状況の変化等について、簡単に記載しています。3頁は、今回の基本懇においては3頁に書 いてありますような問題意識の下、各項目ごとにご議論いただいているわけです。即ち、1点目 に、事業主ないし国が勤労者の自助努力に対して必要な支援を行うという基本構造、即ち「三者 協力の原則」についてはこれは維持しつつも、その内容について時代の要請に合わせて見直す必 要はないのだろうか。2点目に特に中小企業などに対する制度の普及という観点からは、どのよ うな見直しが要るのだろうか。3点目は、勤労者のライフプランの多様化、あるいは雇用の流動 化といったいわば雇用環境面での変化を、財形制度においてどのように考えていくべきなのか。 4点目は、金融の自由化というような大きな変化を財形制度においてどのように考えていくのか。 このような問題意識なり4つの視点があると思いますが、このような視点に立ったうえで、4頁 以降9項目に分けて、具体的な意見の内容を整理したところです。即ち、4頁においては、財形 制度の位置付けについての各意見。5頁は、自助努力への支援。「三者協力の原則」のあり方。6 頁、財形制度の対象者の問題。7頁、財形貯蓄を対象とする金融機関、金融商品の問題。8頁、 雇用慣行の変化への対応の問題。10頁、中小企業への普及促進の問題。11頁、財形融資の問題。 12頁、その他の項目、ということで、全体を9項目に分けて各委員の意見を整理しています。各 項目についての詳細な説明は省略しますが、例えば金融商品のところではリスク商品の扱いなど をどうするかというようなことが出てきました。あるいは、雇用慣行の変化等の対応の観点から は、ポータビリティの問題をどのように扱うのかという指摘をいただいています。いずれにして も、非常に貴重な指摘、意見を頂戴したと思っています。  私どもとしては、現下の行革との動きがありますので、これが一段落した段階で、改めてこの 中間報告を踏まえて財形制度のあり方、あるいは今後の方向性について再度検討していきたいと 考えています。おそらく、この秋以降に企業年金制度の見直しが私どもの省内でも始まることと なっているはずであり、特に、財形年金等に与える影響が大きいのではないかと考えています。 そのような動きにも十分注視しながら必要な検討を行っていきたいと考えています。以上です。 ○齋藤分科会長  何かございますか。 ○奥村委員  議事録なども読み、中間報告なるものを見ている中で、少し感じたことがあるので申し上げま す。勤労者の財産形成というのは非常に重要な施策で、それは国も企業も支援をしていくことは 当然変わらないのですが、議事録でのいろいろなやり取りを見ても、どうもすれ違いがあるよう な気がします。  その1つは、「いわゆる財産形成ということは必要で、これを支援しましょう」ということは良 いとして、実はこれまでの基本懇や分科会でも申し上げてきたのですが、「今の財形制度はいろい ろ問題があって使いにくい」ということです。いま実績のご説明もありましたが、2007年問題の ところを通り過ぎたらどうなるかということも感じるのですが、いまの財形制度というのは、「非 常に不便で使いにくい、いろいろな環境の変化に応じきれていない」制度であると考えます。我々 企業の立場に立っても、新しく入ってくる新入社員に、「入りなさい」と自信を持って指導できる 内容ではないと思っています。そういう意味では財産形成支援は必要ですが、いまの財形制度は 財産形成をうまく支援する仕組みになっているかということに関して、問題がいろいろあるとい うことを指摘しているのです。どうもその辺が曖昧になっているので、「財産形成は必要だ、そう すると、いまの財産形成制度も必要だ」という議論になってきているのではないかと、ちょっと 強く感じます。  基本懇や分科会に関係ないマスコミ等で、「財形制度がフリーターやパートの人を対象にする」 という報道が一部あって、それも読んでいると、あたかも非常に財形制度が良くなるという書き 振りにすらなっていますが、財形制度自身の問題は、単に対象者を広げることで解決できる問題 ではなかろうと思っています。もともと企業がいろいろな形で雇用をしている方に、財形制度を 利用していただくということはいままでもできたわけで、そういうことからすると、そのこと自 体で問題が改善するとか、財形制度が利用しやすくなることはないと思います。  さらに、年金制度や格差是正の問題が指摘されていますが、財形制度が勤労者の財産形成支援 を今まで行ってきたという実績はありますが、いままでも別に年金制度の問題を財形が何か解決 するとか、格差是正をなくすために機能したことはないと思っているので、その辺も議論を分け てしておかないと、財形制度という言葉だけで非常に何かうまく世の中が動くように誤解される ような気がします。  今回、この実績を示されて改めて感じるのは、財形制度は今のままでは先細りになるのは避け られないし、一部の企業や勤労者がこれを利用している、さらにその範囲が限定されていること を強く感じます。ですから、これだけはちょっと言っておきたいと思います。 ○齋藤分科会長  ほかに何かありますか。 ○伊藤委員  私は基本懇のメンバーにはなっていませんので、分科会の委員として参加をしている立場とし て、質問させていただきます。先ほど企画課長のほうからいま行革の流れや企業年金制度の見直 しの議論等、環境や状況が変わっている中で、その流れを見ながらこの先、検討していきましょ うというお話がありました。基本懇は、一時ここで中間報告をまとめられるということですが、 基本懇での検討が再開されて、また最終報告ができると、それを踏まえて分科会の中でこの関係 の法改正や制度見直しの議論を行うというところについて、どのような時期で今後我々は検討を していくのかということについて、いまお分かりの範囲でお聞かせいただければと思うのですが。 ○企画課長  これから議題の5番目の報告の所で改めてご説明をする予定だったわけですが、現在特会の見 直し、あるいは政策金融の見直し、独立行政法人の見直しという行政改革の関係がいくつか指摘 されており、少なくとも今年中には結論を出し、次期通常国会に、若干の財形法の改正を含む法 改正なりを提示しなければいけないかもしれないという状況です。  ひとまずはそのような状況変化があるので、それらの対応を優先しなければならないことにな ります。ただ、この問題はひとつ財形制度に係るだけの問題ではなくて、例えば特会改革で言え ば、労働福祉事業、あるいは雇用保険3事業ということで、各般の事業に関わっている問題であ るわけです。あるいは特会改革という観点から言うならば、厚生労働省だけではなくて、政府全 体に関わる問題で、この処理についてどういう形でやるのかは、まだ示されていません。各省ご とにやるのか、あるいは各事業ごとにやるのか、あるいは政府全体でやるのか、その辺りがよく 見えていません。いずれにしてもあとで説明しますが、見直しその他を省内でも作業をしていま す。それの結論を得た部分については、おそらく次期通常国会に何らかの形で法律改正を出すこ とになるのではないかと思っています。そういう観点から、当然法律改正なので必要な関係審議 会にお諮りすることになるわけですが、これも個別の所ごとに、例えば財形があるので当分科会 にかけるという格好にするのか、例えばもう少し大括りで労災保険部会、あるいは雇用保険部会 のほうにかけるという格好になるのかというところが、まだ決まっておりません。おそらく多岐 にわたるのでバラバラと部会、分科会にかけるというよりは、特定の所に集約して全体的に審議 を行う、横断的に議論をしていただくことになるのではなかろうかと思っています。  その後私どもとしては、財形制度そのものに、先ほども奥村委員からもご意見がありましたが、 将来を見据えて、財形制度、あるいは財産形成支援制度としてどのような見直しを行っていくの かを、改めて考えなければならないと思っています。その場合においては、基本懇を再開する、 あるいは分科会そのものでご議論をいただくということになるかと思いますが、当面はいまの全 体的な動きがあるので、これを解決した上で改めて考えていきたいと思っている次第です。 ○齋藤分科会長  何かありますか。 ○勝委員  いま企画課長からこれからまた再開する可能性があるというお話があったのですが、この懇談 会に参加していた委員として、要望を申し上げます。先ほど奥村委員からも言われたように、使 いにくい制度だということで、かなり制度の問題点について話し合う必要があるということが言 われたわけですが、実際に懇談会で、かなり長い時間をかけて議論をして、本当のところはかな り迷走してしまったと。それはなぜかと言うと、いま言われたようにこの制度だけで議論するも のではなくて、つまり外部の状況がかなり大きく変わっている中で、制度だけを議論するという のは非常に難しいことがあるわけです。  ただ、安定した雇用環境を考えた場合には、この制度は非常に重要であるという認識は、それ ぞれの委員が共有していたものであると思います。特に非課税枠というところを温存していくこ とも非常に重要なことなのではないかと考えると、もしこれから先にこういった懇談会を再開す るのであれば、むしろもう少し実務的で地に足がついたような議論をするべきではないか。  この懇談会でも申し上げたのですが、例えば金融機関の方のお話を聞くであるとか、もう少し 使い勝手をよくするということであれば、問題点を整理して短期間に議論をしていくという形で 行うことが必要ではないかと思います。以上です。 ○齋藤分科会長  ほかに何かありますか。それでは、また後ほど行政改革等いろいろ出てきますので、そのとき に何かあればまた議論をいただくことにして、次に、勤労者生活部の組織変更の話です。 ○企画課長  資料は、資料5から8までです。これは昨年10月以降の動きで、私ども勤労者生活部の組織再 編等がありましたので、その関係について簡単にご報告申し上げます。  資料5ですが、昨年10月1日以前においては、労働基準局の本局内に賃金時間課があり、こち らのほうで、労働時間に関する労働基準法に基づく強制的な部分等を含めた時間政策、あるいは 最低賃金等関係する賃金政策を一元化して行っていたわけですが、今回の再編に伴い、大きく2 つの部署に分けて、それが統合されました。  1つは、労働基準法に基づくいわゆる強制的な部分、監督指導業務、そういう部分については、 その他の労働時間やそれ以外のことも含めて、基準局本局の監督課に一元化する。ここですべて の強制的な監督指導、取締りといった部分を政策立案するという整理にする。  他方、いわゆるソフトな部分の指導、援助、助成という部分については、従来からそういうも のを行っている勤労者生活部のほうに基本的に一元化する。したがいまして企画課に労働時間及 び休息に関することという形で一元化したわけですが、これは労働基準法に基づく強制部分は含 まない。あとで出てきますが、従来の時短法に基づく指導、援助業務といったようなことが私ど もにきたということです。  また、最低賃金に関する部分につきましては、勤労者生活課のほうに一元化して移したという ことで、最低賃金絡み、賃金体系といったところについては、勤労者生活課のほうで担当する。 このような改正が行われたわけです。  ちなみに資料6以降は、労働時間設定改善法の関係でして、具体的には条件分科会のほうに報 告やご審議をいただいた案件ですが、従来の時短促進法で全労働者一律1,800時間という目標を 立てて時短を進めていたものを、労働時間等設定改善法ということで、大臣が定める改善指針に 従い、労使が協調して労働時間の短縮を含めたさまざまな取り組みを行い、これにより、仕事と 生活の調和を推進していくという方向での法律に改正をしたということです。  資料7は、改善指針の概要です。基本的な考え方として、労働者の健康と生活に配慮するとと もに、多様な働き方に対応する。その中で労働時間の短縮を図る。さらに労使が話し合って自主 的に取り組む。ここが先ほどの労働基準法であれば、一定の基準を設けて監督、指導。それを守 らなければ違反だということになるのですが、こちらのほうは基準法よりは上の部分で労使が話 し合って、一歩ずつでもよりいい方向に改善していただくということですので、このように自主 的に取り組む等ということが基本的な考え方に出てくることになります。その関係で事業主等が 講ずべき措置として、このようなものがあると紹介されているわけですが、一般的な措置という のは従来から言われていた内容でして、有給休暇の取得促進や所定外労働の削減などですが、今 回の指針では、2番目に、特に配慮を必要とする労働者への措置ということで、個別の労働者に 着目して、必要ないろいろな手段や方法を取っていくことをしています。これは従来一律平均 1,800時間というやり方ではなく、二極分化が進んできている労働時間の中で、さまざまな特色 を持つところに焦点を当てようということです。  例えば健康面で問題があるという労働者の方については、時間短縮のほか、深夜業の回数減等 いろいろな配慮が必要ではないかということがありますし、育児、介護という面でニーズがある ということになれば、育児休業をはじめとするいろいろな休業、あるいは短時間勤務等々のいろ いろな方策があるわけで、そのような支援などをするべきではなかろうかと、個々の労働者の特 色に応じたいろいろな措置を改めて提示したものとなっているのが、従来と違う点となっている ところです。  これらを国として支援するために、資料8にいくつかの助成金や援助事業等を設けています。 例えば1番ですが、改善指針の策定を踏まえて、長時間にわたる時間外労働を是正したり、計画 年休制度の普及等による年次有給休暇の取得等に重点を置いた取り組みを推進する観点から、労 働時間等設定改善援助事業を予算化しています。これは都道府県単位で、地域の主要な事業主団 体に専門家を配置して、中小企業集団を対象として、個々の事業場の働き方にまで踏み込んで、 状況などを把握して、個別の働き方の見直しを含めた指導、あるいは団体全体に対する改善案の 提示等集団指導というやり方を踏まえて、時短や年次有給休暇の取得促進その他の点についての 指導、コンサルティング等を行おうというものです。  また、それらのことを自主的に取り組む団体に対しては、下の○にあるように、推進助成金で 応援するという仕組みになっています。そのほか都道府県労働局にコンサルタント等を配置して、 個別の相談や長時間労働を行っている事業に対する指導を行うことをしているわけです。特に年 次有給休暇の取得率が、最近下がってきているわけですが、それに対しては、なかなか職場の雰 囲気で取りづらい等、労使ともに考え方を変えなければならないところもあるので、そのような 社会的な気運の醸成を図るための推進会議やキャンペーンの普及啓発事業についても、併せて行 っているところです。  このようなソフトな面での対応を、私ども勤労者生活部において行うことになっています。最 賃の部分は若干強制的な部分もありますが、基本的に私どもの部は勤労者の福利と福祉向上を図 るという観点から、ソフトな手法で行う分野になるわけで、労働基準局の本局のほうの監督指導 と相まって、まさに車の両輪ということで協力しながら労働行政を進めていくという立場です。 以上です。 ○齋藤分科会長  それに関連して、行革の関連も一緒に説明していただけますか。 ○企画課長  資料9以降を用いまして、行革の絡みについて説明します。まず、行革もかねてから行って、 かなり久しいわけですので、直近ではなく、やや遡ったところから説明したいと思います。  平成12年12月に、政府は「行政改革大綱」を閣議決定しまして、平成17年度までを目処と して、この5年間でさまざまな分野の行政改革を集中的、計画的に進めることを行ってきました。 行政改革は、そこの期間だけで全部仕上げるということではなく、不断に取り組むべき課題であ るということで、平成16年12月にも今後の行政改革の方針ということで閣議決定をして、さら にこれらの動きを継続していくことにしたわけです。  その中で、今後「小さくて効率的な政府」を確立していくために、さらに推進すべき行政改革 の重要な課題について、現段階で新たに政府として具体的な方針を策定するものを一括して取り まとめることを行ったわけで、これが資料9にある平成17年12月に決定された「行政改革の重 要方針」という形で、取りまとめられたものです。以下は重要方針と言わせていただきます。  重要方針で定める改革の今後における着実な実施のために、基本的な改革の方針、あるいは推 進方策等を盛り込んだ簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、いわ ゆる行政改革推進法を、国会に提出したわけです。これについては資料10に簡単なものを付けて いますが、行政改革推進法は5月26日に成立して、一部の規定を除いて、公布日である6月2日 から施行されている状況です。これがいまの行革の大枠です。  以上の流れの中で、今後の総括的な方針が取りまとめられているのが、資料9に掲げている重 要方針です。その重要方針の概要を簡単にご説明した上で、さらに財形制度との関わりを説明し たいと思います。  この重要方針は大変長く、詳細に説明すると大変時間がかかるのですが、主な中身は、大体10 項目に分かれています。見出しだけをざっと読み上げますと、政策金融改革の関係、2番目は、 独立行政法人等政府関係法人の見直しの関係、3番目は特別会計改革、4番目は総人件費改革の 実行計画等、5番目は政府の資産や債務の改革、6番目は、やや個別になりますが、社会保険庁 改革、7番目は規制改革・民間開放の推進の問題、8番目は政策評価の改善・充実、9番目は公 益法人制度改革、最後に改革の推進方策という内容に分けられるかと思います。これらの内容を そのまま法律化したものが、先ほど申し上げた資料10にある行政改革推進法になるわけで、基本 的には閣議決定をそのまま枠組として法律化したものとご理解をいただければと思います。  その中に、財形制度に関係してくる改革分野が3つあります。それが特別会計の改革、政策金 融改革、独立行政法人の見直しという3つの改革です。改革の目的から簡単に説明します。特会 改革は当然のことですが、無駄な支出や不要不急の事業をなくし、政府資金の効率的な活用を図 ることを目的としている。一般会計が非常に厳しい中、特会のほうですき焼を食べているという 批判がかつてありましたが、特会のほうでゆるめてしまっては意味がない。特会も併せてきちん と改革をして見直していこうということです。  また、政策金融改革については、特に財政投融資資金などを使っているものも多くあることも あり、効率的な資金配分の実現を目指すことが、1つの目的となっています。また、独立行政法 人の見直しについては、独立行政法人の組織、業務全般を見直すことを目的としているわけです。 このうち政策金融改革と独立行政法人の見直しについては、私どもの関係で言えば、財形制度を 実施している雇用・能力開発機構の見直しと表裏一体ということになります。  個別に財形制度との関係について申し上げます。まず、特会改革との関係ですが、資料9の9 頁の(4)の労働保険特会の部分ですが、私どもの関係では労働保険特別会計については、原則とし て純粋な保険給付事業に限り本特別会計にて経理するものとし、労働福祉事業及び雇用保険3事 業については、廃止も含め徹底的な見直しを行う、とされています。同様の趣旨が、行革推進法 の23条第1項に規定が置かれている状況になっています。  私どもはこのように労働保険特別会計の改革を求められていることもあり、厚生労働省として 労働保険特別会計の勘定別に見直しを行うための検討会を設置しています。即ち労災勘定につい ては私ども労働基準局内に、雇用勘定については職業安定局内にそれぞれ検討する場を設けて、 その場において労働福祉事業及び雇用保険3事業に属する各種事業について、一事業ごとに個別 にその成果、あるいは今後の必要性等々について徹底的な見直しが行われていまして、私どもの 財形事業の助成金事業、融資事業等についても、そういう観点からの見直しが現在行われている ということです。いずれにしてもこの点を取りまとめた上で、労働政策審議会の担当部会に諮ら れることとなる予定と聞いています。私どもの分も含めて、全体的な見直し案等が、おそらくこ の7月以降にかかってくるものと理解しています。  政策金融の見直し、あるいは独立行政法人の見直しと財形制度の関係ですが、これについては 先ほどの資料9の5頁の(4)その他の留意事項のエが、政策金融関係の部分です。閣議決定の 中の重要方針の部分は、国民生活金融公庫など既存8政府機関の統廃合についてがメインで、そ れ以外の財形制度のような融資事業等については、直接には何も記載がありません。それは法律 も同様です。エの所にある独立行政法人及び公益法人等による政策金融機関類似の金融業務につ いても、本重要方針の趣旨を踏まえ、所管府省で見直しを行い、平成18年度中に行政改革担当大 臣の下で取りまとめることになっているわけです。この辺のどこの趣旨を踏まえるかということ になりますが、縷々書いてあります。  例えば1頁に戻って、政策金融改革の基本原則の最初の所に、政策金融は3つの機能に限定し、 それ以外は撤退という大方針が掲げられています。中小零細企業・個人の資金調達支援はオーケ ーである。あるいは国策上重要な海外資源の確保、国際競争力確保に不可欠な金融はオーケーで ある。円借款のようなものはオーケーであるとなっていますが、おそらく財形の融資については 中小零細企業、あるいは個人の資金調達支援の範疇には入るのだろうと思いますが、この辺りに 限られてしまい、これからはみ出るものは整理されていく可能性があることになります。  イの所に書いてありますが、「小さくて効率的な政府」の実現に向け、政策金融を半減となって います。特に注目すべきは(2)でして、新たな財政負担を行わないとなっています。したがって、 政策金融で赤字等が生じている場合においても、国庫からそれを補填することは行わないことに なるわけですから、各政策金融機関のほうで、独自の努力を求められることになります。  2頁のエにありますように、効率的な政策金融機関経営を追求することになっています。直接 融資だけではなく、部分保証、証券化、間接融資等を通じた民間金融機関の補完を行う、あるい は政策金融機関のトップマネジメントの天下りの速やかな廃止を行うことで、国の関与を緩める こともあります。  あるいは、統合を集約する新機関では組織を簡素化し、事業運営の効率化を図ることになって います。そういう観点からすれば、私どもも事業運営の効率化を図らなければいけないというこ とが、おそらく指摘されるのではないかと思うわけです。  あとは政策投資銀行や商工中金が個別のことでいろいろ出ています。例えば国民生活金融公庫 の分野の(1)の所で、零細・中小企業への事業資金は残しますよと言ってはあるのですが、教育資 金の貸し付けについては、独立行政法人の日本学生支援機構の奨学金制度等があり、代替可能な 部分については徹退するという整理が行われています。こういった部分がかかわってくるのでは ないかと思います。また、独立行政法人の見直しの部分が5頁以降に出てきます。その中で6頁 のウ、平成18年度における見直しという欄があります。独立行政法人は大体5年間の中期目標計 画を定め、その計画を5年ごとに見直していきます。私どもの雇用・能力開発機構は平成19年度 まで目標期間があるわけですから、本来であれば、平成19年度が終わった段階で見直しをするわ けですが、2つ目のパラグラフに書いてあるように、融資業務等を行う独立行政法人については、 平成20年度末に目標が終了する法人も含め、平成18年度中に趣旨を踏まえた融資業務等の見直 しを行い結論を得るということで、雇用・能力開発機構については平成18年度中に見直しを行う という前倒しが行われます。  今後のスケジュール、どこでこういうことをやるのかは資料11です。政策金融や独立行政法人 の見直しでご留意いただきたい組織が2つあります。1つは、11頁の右側に書いてある内閣官房 に置かれているのですが、行政減量・効率化有識者会議です。これは有識者会議と言われていま すが、行政改革推進本部の求めに応じて、独立行政法人の見直し等についての検討を行うために 開催されているものです。  この会議は、前身が、平成17年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人に関する見直し内 容を判断するときに参考になるため、平成16年に独立行政法人に関する有識者会議があったので すが、これを改組したものであり、学識経験者、あるいは労使の代表者など12名の有識者の委員 から構成されており、これまで16回にわたっていろいろな検討がなされてきております。  もう1つの組織が資料11の左側であり、独立行政法人の中期目標期間終了時に主要な事務、事 業の改廃に関して主務大臣に対して勧告を行うことを目的とし、総務省に置かれている政策評 価・独立行政法人評価委員会、政独委と略称されますけれども、独立行政法人の見直しについて 委員会としての方針を検討します。学識経験者を中心とした7名の委員で構成されています。こ の2つは全く別個の組織ですが、相互に連携をとりながら独立行政法人の見直しの検討を進めま す。  その流れとしては、2月、3月に見直し対象法人の業務についていろいろと勉強を行い、4月 の初めに関係省庁から法人業務のヒアリングを行っております。私どもの雇用・能力開発機構も 4月の上旬にヒアリングを受けております。私のしごと館の問題や、その他抱えている問題点に ついていろいろな指摘もありましたが、私ども財形制度についても若干の質問がその際にありま した。  そのヒアリングの状況を政独委でまとめ、これを行政減量・効率化有識者会議に報告をします。 その報告を受けて有識者会議で指摘事項を、制度として基本的な考え方を取りまとめるために政 独委に送ります。有識者会議の指摘事項というのが既に5月23日に出ており、これが資料12に まとめているものです。  今後は6月を目途に指摘事項を踏まえて政府としての基本的な考え方が取りまとめられます。 これについては、一部は経済財政運営と構造改革に関する基本方針、いわゆる「骨太方針」と言 われているものですが、こちらに盛り込まれるのではないかと思われます。  それ以外の分を含めて、7月を目途に有識者会議の指摘事項と、それを踏まえた政府としての 基本的な考え方を取りまとめた上で、政独委で独立行政法人の見直しの方針が取りまとめられる のではないかと思われます。  これを受けて関係省庁では省庁案というものを作成することになり、各主務大臣が見直し当初 案というものを検討し、各省庁に独立行政法人の評価委員会というのがありますので、そちらに 掛けて省庁案として取りまとめることになります。多分その時期が8月から9月になるのではな いかと思っております。  その後、各省庁案を政独委に提出し、政独委が有識者会議と相談しながらその内容を審査し、 最終的には年内に勧告の方向性を取りまとめ、総務大臣から私どもに勧告がくるという仕組み、 スケジュールになるのではないかと思っております。ただ、このスケジュール等についてはやや 流動的なところもありますので、こういう感じでいくのかどうかまだわからないところもありま すが、私どもとしては、まずどういう方針が出るのかなというものを注視していくことが必要で あり、その状況を見ながら、併せて私どものほうでの対応案というものを考えていかなければい けません。  有識者会議の指摘事項について簡単にご説明します。資料12をお開きください。これも非常に 長いので、概要版のほうでご説明します。2頁に基本認識、見直しの視点が掲げられております が、基本認識は先ほどご説明いたしましたとおり、「簡素で効率的な政府の実現」に資するという こと、あるいは歳出・歳入の一体改革の趣旨を踏まえる、あるいは独立的な運営がなされるよう にするという観点から行われるわけで、見直しの視点としては事務、事業を重点化していく、効 率化していく、収支の改善を図るという観点から行われるべきであるというご意見がありました。  また、3頁で金融業務の見直しについての考え方等が取りまとめられております。1つは基本 的な考え方のところですが、各独法の金融業務はさまざまな分野に分かれておりますから、性格 が若干異なる分野があるということで3つのグループに分けて検討したらどうかと提案されてお ります。1つ目はグループ内での金融という側面が強い業務、2つ目は民間との競合関係を生ず る可能性が基本的にない業務、3つ目はそれ以外の業務、民間との競合関係が生ずる可能性があ る業務です。この位置付けや特性を考慮しながら精査してほしいというのが有識者会議の意見で す。私ども財形はどこに入るのかですが、財投資金を使っていないという点、あるいは財形貯蓄 を原資とする点でややイに近いかなとは思いますが、その辺りのご判断がどうなのかはまだわか らないところです。  そういうグルーピングをした上で、4頁に各金融機関の業務についての精査の視点が書かれて おります。国の政策目的として妥当かどうか、目的達成の手段として適当かどうか、あるいは適 切・効率的に実施されているのかということなどが縷々書かれています。したがいまして、財形 制度についても国の政策目的としての財形制度が妥当かどうか、金融的手法としてそれが妥当か どうか、また、それが効率的に実施されているかの観点から問われることになり、そのような観 点から場合によっては見直しを行わなければいけないと思っております。  いずれにしても、現行の手法の適切さが検討されることになるわけで、また、手法が適切であ ったとしても、事業の一層の効率化が求められることになります。したがいまして、私どもとし ては雇用・能力開発機構が行っている財形融資制度について事業としての必要性、融資としての 手法の適切さ、あるいは、事業の一層の効率化という観点から改めて見直しを行わなければいけ ないと考えております。  現在、私どもはそういう内部的な検討を進めていますが、8月には厚生労働省案を取りまとめ なければいけないということで、今後、政独委のほうで出る統一見直し方針にしたがって、それ を待って改めて成案を検討しなければいけないという状況です。以上、大変長くなりましたが、 現在の行革の状況等についてご説明した次第です。 ○齋藤分科会長  いままでのご説明に何かご質問、ご意見はありますか。 ○新芝委員  中間報告に戻ってしまうのですが、先ほど聞き漏らしたので教えてほしいことと、ちょっと要 望があります。先ほど中間報告の説明の最後のところで、企業年金制度の見直しと絡めてとあっ たのですが、いまの段階でわかっていることがあれば教えていただきたいというのが質問です。  もう1点要望は、先ほどご説明のあった資料7、8についての要望は申し上げていいのでしょ うか。少し分科会テーマからはずれるような気もするのですが。 ○企画課長  この分科会の所掌範囲ではございません。 ○新芝委員  わかりました。でしたら、質問だけお願いします。 ○企画課長  前者の件ですが、まだ年金局のほうでは本格的な再検討が始まっているわけではなく、私ども の財形年金制度等と関わりがあるよねということで、どういうふうなことをお考えなのですかと いう投げ掛けが行われている状況です。私どもとしてはそもそも企業年金、かぶる部分もあるの ですが、どういう方向で見直すのですかと逆に尋ねているわけで、その状況が見えないとそれに 併せて我々の制度をどう変えていけばいいのか。場合によっては融合したほうがいいのか、制度 としては別ものとして、例えばポータビリティを持たせるとか、いくつか考えられる論点がある ので、その辺りは年金局の検討を見ながら、しかしそれに遅れた格好で我々が検討するわけにも いかないものですから、その状況が変化するにつれて適宜対処していかなければいけないと考え ています。いずれにしても、業務の関係ではいろいろと、密接に連携をとらなければいけない分 野ですので、その点留意してまいりたいと考えております。 ○新芝委員  わかりました。私からは以上です。 ○齋藤分科会長  ほかに何かありますか。 ○松井委員  行革の絡みで、審議会以外で様々な動きがあるというご説明はそれなりに十分理解したつもり です。企業年金との動きに遅れないようにといま課長がご説明くださったので少しホッとしてい るところです。企業年金との絡みと言うと、おそらく財形年金はどんな形で今後対応していくの か、もちろん住宅財形も一般財形もあるのかもしれませんが、そこだけの範囲の検討だと非常に 狭いのではないかと思います。ですから、企業年金の見直しそのものは、施行から5年というこ とで、年金局のほうからお話があると思うのですけれども、こちらもその動きに遅れずに対応し ていくということについて引き続きご検討をお願いしたいと思います。  先ほど伊藤委員から中間報告後の分科会、懇談会の審議予定についてお聞きしましたが、よく 理解できなかったというのが正直なところです。奥村委員が先ほど申し上げたように、財産形成 を続けていく、これに対する支援は必要だけれども、いまの財形制度はこのままで本当に生き残 れるのかどうかということは、私ども使用者側はずっと言い続けてきておりますので、そこを忘 れないでやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○田村委員  同じ意見なのですけれども、財形制度そのものの必要性なり、三者協力というところについて はほぼ同じような意見があって、制度がこのままでいいのかということについても同じような問 題意識を持っています。その下に政治的な動きもありますけれども、例えば高負担、低福祉に流 れようとしている中で、自助努力をどうするかは支援という意味では時代の流れにも合っている ところなのだけれども、制度そのものが合わずにきている。そのアピールの仕方が悪い、あるい は、事業の負担の軽減が図られていないということがベースにあるわけですから、いま言われた ように、この制度そのものをどうするのかということは、政治的な動きもありますけれども、こ の場では少し議論をする必要もあるのではないかと思っておりますので、年金だけではない、財 形制度全体を、必要性をもう1回、時代に合わせて考え直しながら、どう普及、発展させていく のか、対象者をどう絞り込むのかという検討をする場を今後是非続けていただきたいなという要 望です。 ○奥村委員  それと関連してなのですけれども、いまの説明を聞いていると行革への対応を専ら中心にやっ ているということで、実際にこういう分科会や基本懇はどういうふうに分類されているのか、確 認したいのです。先ほど基本認識のお話がありましたけれども、年金だけ財形のところから取り 出してやられるというのが理解できなかったし、これで結局次の通常国会に出るということにな るのでしょうけれども、そうすると、その他の部分はもうまさに置き去りとなるのではないでし ょうか。いままでの財形審議会の時代からも事務局が変わると、「いままでの経緯はわからない」 という発言があったり、その間にまた委員が変われば、「私は財形制度を全く知らないのですけれ ども、財形制度は良い制度ではないでしょうか」という意見が単純に出てきたりして、非常に迷 走しているというか、先に進まない状況があるので、そういうことだけは本当に避けていただき たいなと要望しておきます。 ○企画課長  当面、行革など間違いなくやらなくてはいけないものであるということを申し上げたつもりで、 その部分の対応をまず急いでやるということです。  それから、財形年金のことを中心に企業年金との絡みを申し上げたのですが、そちらの検討が 動いている以上、私どもはその分については間違いなく対応しなければいけないと申し上げたつ もりですが、だからと言ってそれ以外の分もそのままというわけではなく、もちろん、そういう 状況も踏まえて全体的な見直しを行う、いま各委員の皆様からご意見を頂戴したような観点から の見直し検討も行わなければいけないのは当然です。特にここの部分は間違いなく動いていくで あろうということをあえて申し上げたつもりです。 ○松井委員  検討していく中で企業年金の動きもあると思うのですけれども、その物事の是非は別として、 中退金等の、例えばポータビリティとか応用問題を考えるといろいろありますので、是非、引き 続ききちんと検討していくことは忘れないでいただきたいと思います。 ○田村委員  いろいろ政治的な動き、時間的な配慮の中で年金は動きますよとご説明があったのですけれど、 それを受けるにあたって、大本のところをちゃんとしておかなければいけないのではないですか という意見ですので、それをしておいてそのことは確かにあるわけですけれども、大本のところ を押えておかなければいけないということです。 ○齋藤分科会長  少し動きが見えてきたらまたお集まりいただいて、皆さんに改めてご相談をしたらいかがかと 思うのですけれど。 ○企画課長  行革の話もございますが、状況の進行具合にしたがってこういう場を開くことももちろんです けれども、個別も含めて必要なご説明なりしたいと思っております。 ○齋藤分科会長  そういうことで、特段の話がなければこれで閉会とさせていただきます。本日の議事録の署名 委員は労働者側は南雲委員に、使用者側は伊藤委員にそれぞれお願いをしたいと思います。どう かよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。 照会先:労働基準局勤労者生活部企画課企画係(内線5353)