06/06/12 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 平成18年6月12日議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録 厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事次第         日 時:平成18年6月12日(月) 13:58〜15:47         場 所:経済産業省別館10階1028会議室 1.開 会 2.挨 拶 3.審 議   議 事:1 議題        農薬の残留基準の設定について         ・農産物等に係る農薬「フロニカミド」の残留基準の設定について       2 報告事項       (1)乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部改正(乳等の成分規格の 試験法)及び食品、添加物等の規格基準の一部改正(添加物の試験に用 いる試薬・試液等)について       (2)食品、添加物等の規格基準の一部改正(クロラムフェニコール試験法) について       (3)米国産牛肉輸入問題に関する日米専門家会合について       (4)FAO/WHOの合同食品規格計画(コーデックス委員会)の概要につ いて       (5)新開発食品調査部会新開発食品評価第三調査会の設置について 4.閉 会 ○事務局 それでは、定刻より少し前ですが、委員の皆様おそろいになられましたので、 ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会」を開催させていただきます。 本日は、御多忙のところ御参集いただき、厚く御礼申し上げます。 6月から9月まで地球温暖化対策等の一環といたしまして、事務局員は軽装となってお りますので、よろしくお願いいたします。 まず、5月31日付で委員の辞職と新委員の就任等がございましたので、御報告いたしま す。正田委員におかれましては、先般辞任願いが提出され、5月31日付で当審議会委員を 辞職されました。正田委員のこれまでの多大な御尽力に対し、深く感謝の意を表します。 次に5月31日付で当審議会委員に就任され、当分科会委員に指名されました鈴木委員を 御紹介いたします。鈴木委員よろしくお願いいたします。 ○鈴木委員 鈴木でございます。本当に大役を仰せつかりまして緊張しておりますが、勉 強しながら参加させていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。 ○事務局 鈴木委員におかれましては、当審議会委員並びに当分科会委員の就任を御承諾 いただき、誠にありがとうございます。食品安全行政の推進に御支援をよろしくお願い申 し上げます。 それでは、本日の出欠状況について御報告させていただきます。本日は、小沢委員、垣 添委員、児玉委員、品川邦汎委員から欠席との連絡を事前にいただいております。現在の 分科会委員総数20名のうち16名の御出席をいただいており、出席委員が過半数に達して おりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。 次に本日の議事につきましては、議事次第の方を見ていただきたいと存じますが「農薬 の残留基準の設定について」を予定しております。具体的には「農産物等に係る農薬『フ ロニカミド』の残留基準の設定について」でございます。 また「2 報告事項」につきましては、5点を考えておりますが、1点目は「(1)乳 及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部改正(乳等の成分規格の試験法)及び食品、 添加物等の規格基準の一部改正(添加物の試験に用いる試薬・試液等)について」。 2点目は「(2)食品、添加物等の規格基準の一部改正(クロラムフェニコール試験法) について」。 3点目は「(3)米国産牛肉輸入問題に関する日米専門家会合について」。 4点目は「(4)FAO/WHO合同食品規格計画(コーデックス委員会)の概要につ いて」。 5点目は「(5)新開発食品調査部会新開発食品評価第三調査会の設置について」でご ざいます。 なお「2 報告事項」の3点目に書いてあります「(3)米国産牛肉輸入問題に関する 日米専門家会合について」の御報告につきましては、都合上順番を入れ替えまして、報告 事項の1番目に説明させていただきたいと存じますので、御了承ください。 それでは「平成18年6月 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会資料」をごらんいた だけたらと思います。「平成18年6月 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会資料」に、 本日御用意いたしましております資料一覧を付けておりますので、御確認いただきたいと 思います。もし不足や落丁等がございましたら、事務局までお申し付けいただきますよう、 お願い申し上げます。 それでは、以後の進行を吉倉分科会長にお願いいたします。 ○吉倉分科会長 それでは、早速やりたいと思いますが、議事が1つとあとは報告事項で すが、まずは「農薬の残留基準の設定について」フロニカミドよろしくお願いします。 ○伏見課長 それでは、議題の1番目でございます。「農薬の残留基準の設定について」 説明させていただきます。失礼して、座って説明させていただきます。 資料は、右方に1−1と付されております、56ページから成る冊子でございますけれど も、これに沿って説明をさせていただきたいと思います。 まず資料1−1でございますけれども、1ページ目は厚生労働大臣から薬食審の会長に 対しての残留基準設定についての諮問書でございます。 3ページ目、右方は資料1−2となってございますけれども、これは本日こちらで御審 議いただくに先立ちまして、厚生労働省から食品安全委員会に対しまして、このものに関 しまして、食品健康影響評価を依頼しておりますけれども、それに対する食品安全委員会 からの結果でございまして、今年1月19日に厚生労働大臣あてになされております。 結論といたしましては、そこにございますように、1日許容摂取量、ADIを0.073mg/ kg体重/ 日と設定するとなっております。 資料全体の構成でございますけれども、後ろの41ページ目以降が資料1−3となってお りまして、ここから後が井上部会長のところの農薬・動物用医薬品部会におきまして、本 品について御審議いただいておりますけれども、そちらの部会から本分科会への報告とな っております。 それでは、説明をさせていただきますけれども、まず7ページをごらんいただければと 思います。これは安全委員会の資料の一部でございますけれども、ここの資料に借用いた しまして、安全委員会での評価が終わるまでの経緯が付されております。 フロニカミドでございますけれども、そこにございますように2004年、平成16年5月 27日に申請者から農林水産大臣に対して農薬登録の申請がなされております。 その後、同じ年の10月29日に農水大臣から厚生大臣に対して連絡があったのを受けま して、厚生労働大臣から残留基準設定に係る食品健康影響評価につきまして、食品安全委 員会に対して要請をいたしております。 その後、食品安全委員会で検討が進められまして、そこの経緯の一番下でございますけ れども、2006年、平成18年1月18日に農薬専門調査会座長から食品安全委員会委員長へ 報告ということになっております。 これは安全委員会の内部の手続でございますけれども、それを受けまして、1月19日に 食品安全委員会から厚生労働省に対して結果の報告がなされたということでございます。 安全委員会の報告書がその後続いておりますけれども、報告書の内容につきまして、簡単 に御説明をさせていただきます。 9ページ以降でございますけれども、当該物質及びこれに関する安全委員会の評価につ いてでございます。 まず9ページ目でございますけれども、フロニカミドの化学名あるいは分子式、構造式 等は、そこに記載されておりますとおりでございます。 「7.開発の経緯」のところでございますけれども、1994年に石原産業によりまして、 発見されましたピリジンカルボキシアミド系の殺虫剤でございまして、アブラムシ類、コ ナジラミ類等の吸汁害虫の吸汁行動を阻害するとされております。 海外の登録状況といたしましては、米国におきまして、非食用作物に登録されてござい ますけれども、食用作物についても2005年に登録され、残留基準が設定されております。 同じく英国でも、食用作物で登録がされているということでございます。 フロニカミドにつきましては、次のページ以降に「II.試験結果概要」ということで、 本農薬に関するいろんな試験がなされておりまして、その結果が記述されております。 それらをまとめましたものは、30ページに「III .総合評価」というところがございま す。これに基づきまして、要点を説明させていただきます。 まず最初は「ラットを用いた動物代謝試験において」というくだりがございますけれど も、こういった動物代謝試験を行いまして、主な排出経路は尿中でありまして、大部分は フロニカミド本体として代謝されますけれども、主要代謝物が1つ確認されております。 代謝の経路といたしましては、フロニカミドのシアノ基及びカルバモイル基の加水分解等 と考えられているということでございます。 次のパラグラフに、植物体内運命試験がございまして、小麦、ばれいしょ、ももを用い た植物体内運命試験がなされておりまして、結果といたしましては、玄麦、ばれいしょ塊 茎及びももの果実中の残留放射能量はわずかであり、その内容としては、フロニカミド、 主要代謝物として2つの物質が確認されているということでございます。 土壌中運命試験というのがその後にございまして、フロニカミド及び代謝物は土壌中で 速やかに分解されるということが確認されております。 水中加水分解試験での結果が記載されておりまして、半減期はpH7及び9、50℃で578 日及び9日であり、pH9、40及び25℃でそれぞれ17.1日、204 日であったというような 知見が得られております。水中光分解試験の結果といたしましては、光分解に対して安定 であるということが確認されております。 中段からやや下の辺り「果樹、野菜、茶等を用いて」というところでございますけれど も、作物残留試験が実施されております。作物残留試験の結果につきましては、後ほど農 薬・動物用医薬品部会の報告書の中にも記載をいたしておりますので、そちらで御説明を させていただきたいと思います。 その後、各種毒性試験の結果が記載されておりまして、急性毒性試験、急性神経毒性試 験、亜急性毒性試験等の記載がございます。 右の31ページに移っていただきますと、マウスの発がん性試験に関する記述がございま す。発がん性試験におきまして、ICRマウスで高率認められる自然発症性の肺胞終末細 気管支上皮腫瘍が認められたため、肺腫瘍についてメカニズム試験が追加で実施されてお ります。 その結果、フロニカミドがマウスの肺腫瘍を誘発した明らかな機序は解明できなかった が、フロニカミドが細気管支のクララ細胞の細胞分裂を亢進することが確認されておりま す。 また、ラットや他の系統のマウス、本農薬の代謝物を投与したICRマウスでは、肺細 胞の細胞分裂の亢進が認められなかったこと、遺伝毒性試験は6種類実施されております けれども、それらの結果は陰性であることを総合的に勘案し、発生機序は非遺伝毒性メカ ニズムであり、評価に当たり閾値を設定することが可能であると考えられるという結論に なっております。 慢性毒性、発がん性試験で得られた無毒性量の記述がございます。 ラットを用いた2世代繁殖試験のところがございますけれども、ラットを用いた2世代 繁殖試験で、親動物に卵巣比重量の減少及び性成熟遅延、子どもの動物の雌で子宮比重量 の減少が認められていますが、これらは繁殖能力に悪影響を与えるほどのものではないと されております。 したがって、無毒性量につきましても、算出されております。 発生毒性試験で催奇形性が認められなかったこと、遺伝毒性試験ではすべてにおいて陰 性であったこと等の記述がなされております。 32ページでございますけれども、これら実施されました各試験における無毒性量の一覧 が記載されております。 表29でございますけれども、一番左に「動物種」がございまして「ラット」のところの 真ん中辺りに「104 週間慢性毒性/発がん性併合試験」というのがございますけれども、 ここで雄に対して無毒性量が7.32mg/kg 体重/ 日となっております。これがいろんな毒性 試験の中で一番小さい無毒性量ということでございますので、この数字を食品安全委員会 としては、ADIの設定根拠としております。 33ページでございますけれども、これらの結果から、7.32を100 で割りました0.073m g/kg体重/ 日がADIとして設定されております。 以上が、食品安全委員会にまとめていただきました食品健康影響評価の概要でございま す。 これを受けまして、厚生労働省としての検討が行われたわけでございますけれども、先 ほど申し上げましたように、41ページ以降が農薬・動物用医薬品部会から分科会への報告 書という形でまとめられております。 43ページから内容がございますけれども、フロニカミドは新規で農薬登録が申請されて いる殺虫剤でございまして、安全委員会の報告書と重複するところはスキップさせていた だきます。 「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」というところがございまして、ここにおきまし て、フロニカミドの適用範囲と使用方法が列挙されております。このものは、散布剤とし て使用されるものでございまして、今回適用作物名として列挙されていますものに、りん ご、なし、もも、うめ、いちご、きゅうり等々がございますけれども、これらの作物につ きまして、農薬としての登録申請が行われているということでございます。 それらのものにつきまして、44ページに「6.作物残留試験結果」がございます。作物 残留試験でございますけれども、そこにいろいろ文章で記載がございますけれども、これ らを表形式にまとめたものが50ページ、51ページにございます。別紙1でございます。 これらの作物残留試験の結果といいますのは、基本的に示されている使用条件下で使っ た際、最もたくさん残留すると考えられる時期のデータ、つまり最大使用条件下の作物残 留試験については、このテーブルでいいますと「回数」と「経過日数」のところにアンダ ーラインを引いておりますけれども、このアンダーラインを引いている条件が最大使用条 件ということに当たるわけでございますけれども、その最大使用条件下で得られた試験の 結果を「最大残留量(ppm )」として、一番右のカラムに記載してございます。こういう ふうにして得られた残留試験結果でございます。 少し戻っていただきまして、47ページに「7.ADIの評価」というのがございます。 これは先ほどの安全委員会の評価のとおりでございまして、0.073 という数字を記載させ ていただいております。 「8.諸外国における使用状況」ということでございますけれども、本品につきまして は、コーデックス、米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて 調査いたしました結果、米国において、ばれいしょ、りんご、ほうれんそう、乳等に基準 値が設定されていますが、そのほかの国、地域につきましては、残留基準は設定されてお りませんでした。 最後に「9.基準値案」の説明に移らせていただきます。47ページの9番のところでご ざいます。 規制の対象といたしますのは、農産物におきましては、フロニカミド及び代謝物はそこ に記述がございますN−4−トリフルオロメチルニコチニルグリシン、TFNGというも の、及び代謝物TFNAでございますけれども、この3物質の総和ということになります。 畜産物におきましては、フロニカミド本体及び代謝物TFNA、代謝物TFNA−AM の総和ということにさせていただいております。 米国における作物残留試験におきまして、農作物TFNA−AMの分析が行われており まして、農産物に係る米国の基準値は、TFNA−AMを含めて設定されております。し かしながら、TFNA−AMの残留が認められている農作物がプラム、レタス及びほうれ んそうのみであり、このうちレタス及びほうれんそうでは、フロニカミド、TFNG、T FNA及びTFNA−AMの総和の中に占めるTFNA−AMの割合が微小であったと。 3%未満であったと言われております。 一方プラムでは、6例中4例でTFNA−AMが検出され、総和中に占める割合はそれ ぞれ13%、17%、20%、28%になっておりますけれども、農薬を使用していない対照検体 でも、本品TFNA−AMが検出されているということがございます。 小麦、ばれいしょ及びももにおいて実施されている植物代謝試験では、TFNA−AM の%TRR、総残留放射能に占める割合として10%を超えていないことを考慮いたしまし て、TFNA−AMについては規制対象物質としては含めないこととしております。また、 同じ理由によりまして、米国の基準をそのまま参考として基準値を設定しても、米国の基 準値と比較してもその差は小さいと考えております。 そのようにして基準値案を設定いたしまして、別紙2のとおりとございますけれども、 具体的には52ページ、53ページに記載させていただいております。若干細かい表でござ いますけれども、52ページ、53ページのとおりでございます。この表に記載されておりま すフロニカミド及びその代謝物の作物残留試験成績を用い、また畜産物につきましては、 米国の基準を参考にして基準値を設定してございます。 こういった形で基準値案をつくらせていただいておりまして、この基準値案に基づきま して、実際に国民が本物質をどの程度暴露するかという暴露評価でございますけれども、 それにつきましては、また48ページに戻っていただければと思います。 48ページに「(3)暴露評価」というのがございます。この基準値案を用いまして、1 日当たり理論的に摂取するであろう最大量、TMDIでございますけれども、その量のA DIに対する比率を計算いたしますと、国民平均の場合は12.7%、幼少児で24.4%、妊婦 が11.6%、高齢者が14.6%という結果になっております。このようにADIの範囲内に収 まっておりますことから、先ほどお示しした基準値案を基準値として設定したとしても、 安全性には問題がないと考えております。 そのような形で基準値案を設定いたしますと、「答申(案)」としては、こういう形に なろうかというものをお示しさせていただいております。「答申(案)」は、54ページ、 55ページになります。 事務局からの説明は、以上でございます。御審議をよろしくお願い申し上げます。 ○吉倉分科会長 説明は以上のようですが、いかがですか。何か御質問、その他ございま すか。どうぞ。 ○品川(森)委員 中身に関係ないことと思いますが、早くいただいたものですから、見 ててあれと思ったので教えていただきたいんですが、18ページの中間の「呼吸循環器系」 「血圧・心拍数」に与える影響の問題のところの「投与量mg/kg 体重」というのが800 〜5,000 まであるわけですが、最後の「結果の概要」のところで、500mg/kg体重群で云々 とあるんですが、これは一体どこから出てきたのかなと思いまして、教えていただけたら と思います。 ○吉倉分科会長 おわかりになりましたか。18ページの真ん中の「呼吸循環器系」です。 500mg/kg体重で心拍数減少のところでしたね。 ○品川(森)委員 そうです。この数字は一体どこから出てきたのかということです。 ○吉倉分科会長 この数字の由来はどうかということです。呼吸器に関して、もっと細か い記載はどこかにありますか。 ○伏見課長 実は18ページの一番上のところに「結果は表11に示すとおり(参照19)」 ということになっておりまして、参照文献のオリジナルに戻らないと、今この場ですぐに お答えできないんですが、38ページに参照文献19というのがございます。残留農薬研究 所で実施された試験のようですので、これにつきましては、原典に当たりまして、説明を させていただければと思います。 ○吉倉分科会長 品川先生、特にこれについてございますか。 ○品川(森)委員 特にこだわることはないんですが、どうしてこういう数字が出てきた のかなと思って、教えていただきたいということです。 ○吉倉分科会長 わかりました。要するに基の参考文献19の内容ですね。 ○品川(森)委員 そうですね。 ○吉倉分科会長 この数字そのものに関することです。ほかにはいかがですか。それでは、 これは次回にでも報告しましょうか。 ○伏見課長 はい。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○渡邊委員 参考文献の未公表というのは、どこかに報告書として挙げられているという ことですか。前後を見ますと、随分未公表というのがありまして、2000年とか2001年と いうのも多いんです。 ○伏見課長 ここの未公表というのは、農薬登録の申請資料として、申請者が農林水産大 臣に対して提出した資料でございまして、今ごらんいただいているのは安全委員会が作成 したレポートでございますけれども、安全委員会の審議の場でも中身をチェックした上で 評価がなされております。ただ、一般には公開されていないという意味で、未公表という ことでございまして、農薬の登録あるいは安全性の評価の段階では確認がなされていると 考えております。 ○吉倉分科会長 井上先生、どうぞ。 ○井上委員 直接お答えできないんですけれども、なぜ毒性に携わる者、この答申の座長 をやった者が戸惑っているのかと申しますと、一般薬理試験の結果ですので、薬効として、 これらの影響が出ているのであろうと思われ、その量がごらんいただいておりますように 500mg/kg体重群ということです。 先ほど来事務局が御説明申し上げた実際の毒性のレベルは、例えば32ページの表に出て くるような毒性の指標でごらんいただきますと、数mgから十数mgの範囲が対象になって おりまして、薬効上の問題であろうということで、余り細かい点については評価していな いというのが食品安全委員会の答申でもありまして、念頭に置きませんでした。事務局か ら後ほど御回答いただくことでよろしかろうと判断しております。 ○吉倉分科会長 井上先生、ほかに付け加えることはありますか。 ○井上委員 基本的には先生方にごらんいただきまして、注目される可能性がありますの は、マウスで比較的はっきりした肺腫瘍が観察されるということであります。これは肺の 腫瘍が認められるわけですけれども、肺の終末細気管支上皮の増勢ということで、31ペー ジをごらんいただきますと、クララ細胞という細胞の増殖活性が認められたと。それ以上 の機序については、わからなかったということになっております。 クララ細胞と申しますのは、肺胞の広がる界面活性で、活性剤のようなものを分泌して いる細胞なんですけれども、これにそういう影響があるということであります。これに対 する考え方は、事務局も御説明いたしましたので、繰り返しになりますけれども、肺の腫 瘍がマウスで観察されており、そして遺伝毒性が全く認められておりませんので、エピジ ェネティックカルシノジェネシスと呼びますけれども、非遺伝毒性メカニズムによるもの であることは間違いないであろうと。そうした場合には、一般には閾値を設定することが 可能と考えておりますで、そういう目でほかの種の動物を見てみますと、ラットでは全く 発がん性がないということで、発がん性の問題については、一応危惧を払拭することが可 能であろうという論理になっております。 以上、御説明です。 ○吉倉分科会長 今の先生の御説明ですと、非遺伝性活性というのは、簡単にいうとプロ モーター活性か何かのことですか。 ○井上委員 いわゆる遺伝毒性、Ames試験であるとか小核試験で検出されなかったという ことで、一般に増殖だとか、そういうものを亢進させると、細胞というのは傷がつきやす い確率がありますので、そういう確率論的なものとして、やむを得ないものと考えていた だくしかないということでございます。 ○吉倉分科会長 今、設定したのは、その閾値よりもはるかに低いということですね。 ○井上委員 はい。 ○吉倉分科会長 それでは、審査課長お願いします。 ○伏見課長 先ほど御指摘のありました18ページの500mg/kg体重のところでございます けれども、原典そのものではございませんけれども、原典の論文等をまとめました農薬抄 録という資料がございます。その該当の部分を見ておりますと、18ページは心拍数に関す る記載がございまして、心拍数も5,000mg/kg体重群の投与、6時間後と1日後に減少した という記述がございます。したがいまして、ここから先は想像でございますけれども、5, 000mg/kg体重というのを転記する際に、500 になったのではないのかなと疑われるわけで ございますけれども、この点も含めて確認した上で後日分科会長に報告させていただきた いと思っております。 ○吉倉分科会長 ほかに何かございますか。丸井先生、どうぞ。 ○丸井委員 今の件については、私も多分500 ではなく5,000だろうなと思っていました。 48ページですけれども「(3)暴露評価」のところで、ADIに対するTMDIという のでパーセントが出ていますが、暴露評価と書いてある本文の3行目のところに「1日当 たり摂取する農薬の量」という部分がありますが、これは今回対象になっているフロニカ ミド及びその代謝物の量のことを指しているのか、それとも1日当たりに摂取する農薬の 量、一般的に全農薬の量を指しているのかを明示しておく必要があると思います。恐らく 前者であろうと思いますけれども、その場合に、ほかの農薬あるいは代謝物との相加作用 とか相乗作用というのは考えなくてもよいのかどうかと思いました。 ○吉倉分科会長 お願いします。 ○伏見課長 これは御指摘のとおり、当該農薬の量といいますか、フロニカミドの想定さ れる摂取量ということでございますので、誤解がないような形の記載ぶりにしたいと考え ております。 一般的に複数の農薬を我々は日常摂取しているわけでございますけれども、今のところ それぞれ農薬の基準値を設けるに当たりましては、まずADI以下であることを確認しつ つ基準値を設定しているわけでございますけれども、ADIもそもそも無毒性量に対して 100 分の1の安全係数をかけているというようなことがございまして、実際に摂取して毒 性が発現し得る量から考えますと、個々の農薬につきましては、非常に小さい量であると 考えております。したがいまして、摂取される農薬の相互作用ということにつきまして、 今のところ十分な知見はございませんけれども、現状そういった形で十分な安全率を見越 した形で基準値を設定しているということもあります。今後何かそういった形で相互作用 を疑わせるような知見があれば、検討してまいりたいと思っておりますけれども、現状は こういった形で個々の農薬についての暴露評価をさせていただいているということでござ います。 ○吉倉分科会長 そうすると、ここには「1日当たり摂取する農薬の量」と書いてあるん ですけれども、農薬の量のかわりにフロニカミドというのを入れるということですね。そ ういう具合に修文するということですか。 ○伏見課長 フロニカミド及び代謝物の量という形にさせていただきたいと思います。 ○吉倉分科会長 今後はできれば、今、丸井先生がおっしゃったような表現がいいと思い ます。 あと、丸井先生の相乗作用にちょっと関係するんだけれども、この手の農薬というのは、 ほかにもあるんですか。虫が樹液を吸わなくなるようにする農薬だということで、似たよ うな作用機序のものがあるかどうか、もしも御存じならお願いします。今すぐわからなか ったら、情報として提供していだけますか。 ○伏見課長 吸汁行動を阻害というところですね。調べた上で、分科会長に御報告させて いただきます。 ○吉倉分科会長 作用機序がよくわからないんです。 そういうことで、これはADI比にすると十分安全な領域にあると思いますが、ほかに いかがですか。内田先生、お願いします。 ○内田委員 今の相乗作用とも関係すると思うんですけれども、こういう農薬の場合には、 農薬だけの相乗作用とか相互作用というだけではなくて、医薬品とかほかの食品添加物や サプリメントとの相互作用というものに関しての検討というのは、どういうふうになって いるのか御説明いただければと思います。 ○吉倉分科会長 この辺はひょっとしたら安全委員会の方かもしれませんが、情報があれ ばお願いします。 ○伏見課長 厚生労働省では、複数の食品添加物等を摂取したときにどうかということに 関して、すべての組み合わせというのは難しいわけでございますけれども、ある程度の数 の組み合わせのもので基礎実験をしたというデータはございます。結果としては、特に相 乗作用は見られないという結論を得ております。 今の医薬品との相互作用という御指摘でございますけれども、結論から申し上げますと、 そこまで検討したデータというのは、私自身は承知しておりません。いずれにいたしまし ても、農薬の場合は、食品経由で摂取する量というのは、作用が発現する量から比べます と小さいところがありますので、直ちに今、大きな問題が進行しているというようなこと は承知しておりませんけれども、また今後そういったことを疑わせるような話があれば、 真剣に検討していきたいと考えております。 ○吉倉分科会長 井上先生、どうぞ。 ○井上委員 御参考になる程度のお話になりますが、まず農薬につきましては、ただいま の内田先生の御指摘にあるような相互作用等は、多くの方が危惧をして、いろいろな試み をしているところではありますが、御承知のとおり、よい方法はありません。ただ、100 種類の農薬を集めて、当然100 分の1ずつですけれども全部投与して、特段の毒性が見ら れなかったというような御報告をなさっておられる先生方もおられます。 あと機序的に考えますと、先ほど座長もおっしゃいましたように、今回問題になってい るものは、吸汁行動を阻害するという、これ自身は座長も興味を持たれたように、私自身 も興味を持ちつつも、よく理解しておりませんが、同じような機序のものが重なると、少 なくとも相加効果があるであろうという考え方はありまして、内分泌かく乱物質などでは、 そういうことも多少示唆するデータが出ております。 御承知のとおり安全域を100 分の1にとっているということであるとか、またすべてが 相加になるものではなく、相殺するものも実験的には非常に多うございますので、プラク ティカルに現在危惧が浮かび上がっているというような情報は事務局の方で御説明になら れたとおり、ないといってよろしいのではないかと思います。 しかしながら、医薬品につきましては、リスクベネフィットとの関係で投与されている ものでございますので、その患者さんにおかれては、主治医の先生方であるとか、内田先 生等々とよく御相談して進めていただくという以上のことは、今のところ技術的に難しい のではないかと私は理解しております。 ○吉倉分科会長 この点のものは、リセプターがあるないもありますし、ケース・バイ・ ケースでかなり違うんだと思います。 それでは、時間も詰まってきたんですが、御質問が大体今のところ尽きたと思うんです が、54ページの「答申(案)」にあるような、食品についてはこういう残留基準値を決め ると。よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○吉倉分科会長 それでは、この「答申(案)」で、この分科会では承認するということ になります。 今後はどうするんでしたか。パブリック・コメント、その他ですか。 ○伏見課長 本件につきましては、現在パブリック・コメントを募集しておりまして、ま たWTO通報も実施中でございます。8月16日にWTO通報が終了いたしますので、その 後寄せられた御意見、それに対する回答案を分科会の各先生方にお送り申し上げまして、 各先生方からの御意見を踏まえて、吉倉先生に再度分科会で審議を行うかどうか御相談し て、御判断いただきたいと考えております。仮に再度分科会で審議する必要がないと御判 断いただきました場合には、この分科会報告と答申をいただきまして、その後告示改正の 手続を進めてまいりたいと考えております。また、そういった各パブリック・コメント、 あるいはWTO通報でいただいた御指摘、御意見、回答等につきましては、答申とともに 公表をさせていただく予定でおります。 ○吉倉分科会長 井上先生、どうぞ。 ○井上委員 議事が終わっているようですけれども、犬伏委員が何か御質問があるようで す。 ○吉倉分科会長 どうも失礼しました。どうぞ。 ○犬伏委員 ごめんなさい。終わってしまってから申し上げてあれなんですが、今の54 ページのところで、トマトの生だと残留基準値が0.4 なんです。隣の表の一番下の「トマ トピューレー」になると0.5 、「トマトペースト」になると2というふうに、加工される と上がってしまうというのは、水分がなくなるのかなと思ったんですが、ピューレとペー ストでこんなに違いがあるというのも、何なのかなというのがちょっと不思議でした。 ○吉倉分科会長 これはどなたかおわかりになりますか。課長からお願いします。これは 大抵摂取量とかそういうのでやっていると思うんですけれども、いかがですか。 ○伏見課長 ここは52ページ、53ページにございますように、米国の基準を参考に設定 している部分でございまして、恐らくトマトピューレー、トマトペーストの違いというの は、トマトからの加工食品をつくるに当たっての加工係数の置き方とかによって違ってき ているんだろうと考えております。 今のところ、御説明としてはこの程度です。 ○吉倉分科会長 これは大きく分けると、工程上、農薬でこれ以上下げられない、下げる と農薬としての意味がないという気はする。 あと食べる量つまり暴露量、2つぐらいがこ れを決める上での大きなファクターになっていると思います。例えばなすびなどは、ほか に比べて3とか、えらい大きな値になっていますが、今のトマトピューレーについても、 同じような、具体的な例はわかりませんが、大体エクスポージャーアセスメントと残留量 で決めているように、私自身は思っております。 ○渡邊委員 水分を飛ばす量の違いだと思います。トマトそのものは9割ぐらい水ですか ら、トマトそのものだと0.4 で、ペーストでは2ですから、10分の1まで水を完全に飛ば せば4になるはずなので、それが半分ぐらい残って2ということではないですかね。これ は私の考えです。調理の方からの製法です。 ○吉倉分科会長 どうぞ。大体今のようなあれで、工程か、どうしても残ってしまうか何 かですね。 ○犬伏委員 大体わかりましたけれども、トマト1つ丸ごと食べている分には0.4 しか摂 取しないけれども、1個、2個というのはわからないですね。ペーストにしたときに、も しかしたら、私が使うペーストはトマト4個分食べてしまったのと同じぐらいのペースト になっているのねという感じで考えるということなんでしょうか。 ○渡邊委員 そうなんです。 ○吉倉分科会長 たくさんお食べになる方もいるとは思うんですが、私は食べたことがあ りません。いろいろな摂取量調査をやって、全体的に決めていくのが普通ですね。 どうぞ。 ○長尾(美)委員 遅い質問で済ません。 これは分解するのにかなり時間がかかりますね。3年か2年半ぐらいですね。今、算出 されているのは、3年ぐらい経つと分解が始まるので、フラットのレベルに達するんです かね。牛の肉とか何かに入っているというのは、撒いたものではなくて、土壌に残ってい るところの草を食べて肉に存在している、そういう意味なのか、よくわからないんですけ れども、そういうフラットに達したレベルで、大体計算すると500mg になるという話なん ですか。それとも使い始めで、こういう量なのか、ちょっとよくわかりません。 ○吉倉分科会長 そういうのが残留していれば、残留量がこの値なわけですね。 ○長尾(美)委員 基準値案ですからね。 ○吉倉分科会長 残っている量だから、別に使う量とは関係ないと思います。 ○長尾(美)委員 わかりました。 ○吉倉分科会長 一応そういうことで、今、事務局からあったような手続でやりたいと思 います。どうもありがとうございました。 それでは、ちょっと時間が詰まっているので、次の米国産牛肉輸入問題について、お願 いします。 ○道野室長 それでは、報告資料3に基づいて御説明いたします。 本日この関係で御説明する内容が3つございます。 1つは報告資料3の一番最初に出ています日米の専門家会合について。 15ページですけれども、4月に本問題についてリスクコミュニケーションを開催してお りまして、その結果。 現在またリスクコミュニケーションをやっております。その予定という3点でございま す。 この3点につきましては、相互に関係してございますので、順番にお話をいたしますと、 先回の分科会でも御報告申し上げたとおり、3月28日と29日に日米の専門家会合を開催 しております。そのときには、1月20日に対日輸出基準に違反する子牛の肉、背骨がつい たものが米国から輸出された原因調査について、日米で理解を深めたというような会合で あったわけです。その会合において、その後のプロセスとして、日本側としては、その原 因、問題の所在について、リスクコミュニケーションを実施するということで、一般の方 々からの御意見を伺うと。 米国側につきましては、実は発生当初から日本側が米国側に申し入れていった内容なん ですが、問題の施設以外の対日輸出施設について問題がないのかどうかということについ て、米国側が再調査を行うと。 この2点が3月の専門家会合において確認された内容でございます。それぞれの内容に ついて、日本側、アメリカ側で実施をされたということでございまして、それぞれが終わ ったということで、5月17日から19日までの3日間、外務省において本件について専門 家会合が開催されました。 1ページの資料をずっとごらんいただければ結構なんですが「I 出席者」としては、 米国側は担当の次官代行以下と。日本側は外務省、厚生労働省、農林水産省ということで ございます。 今、申し上げました3月の専門家会合の結果に基づいて、米国側が実施した35施設のレ ビューの結果ということで、以下の3点が米国側から説明が行われ、確認がされたという ことでございます。 1点目につきましては、去年12月12日に対日輸出プログラムという最終的なものが米 国側でも制定されたわけですけれども、1月20日の問題が起きて以降、追加された要件と いうのが幾つかございます。そういった要件を含めて、35施設の対応状況を調査した結果、 一部の施設で手続や書類上の問題点が確認されたものの、製品の対日輸出条件や適合性等 に影響を及ぼすといったものではなかったということでございます。これは後ほど詳しく 御説明します。 2番目としては、発見された問題点については、早急に改善がされる予定であるという こと。 更に昨年12月から本年1月20日までの間に、対日輸出処理をやって、日本に輸出した 牛肉がございます。一部は通関をして国内に流通しましたけれども、一部は現在も保税状 態にあるというものがございまして、その関係で過去に行ったそういった対日輸出処理が 25施設であるわけですけれども、それについて、あくまで記録上ですけれども、検証を行 ったと。結果、問題は発見されなかったというようなことでございました。 この35施設の調査結果につきましては、資料の2ページに、エグゼクティブ・サマリー で概要ということですけれども、更にめくって3ページに報告書そのものの仮訳もござい ます。 この内容について、簡単に御説明申し上げますと、まず監査の方法というのは、先ほど 申し上げた再調査のやり方ということでございますが、農務省の監査官が35施設について 訪問して調査をしたということでございます。基準としては、勿論対日輸出基準のほかに、 施設が農務省から認可をしたプログラムであるとか、個別には13ページに一連の対日輸出 のためのいろいろな日米間の申し合わせであるとか、基準だとかがございますけれども、 これに基づいて行われたということであります。 4ページをごらんいただきますと、その中でちょっとややこしいんですが「重要度の低 い不適合事例」と「重要度の高い不適合事例」とあちらでは分けています。これは国際標 準化機構、ISOでの監査のやり方と。もともとあちらの対日輸出認定のシステム自体は、 具体的にはISO9000のシステムを用いて管理をしているという関係上、監査もISOの やり方でやっているということであります。不適合については、こういう重要度の低いも のと高いものの2つに分けるということでありまして、低いものについては、説明が書い てありますけれども、要は単独では品質システム全体のシステム上の問題とはならないも のと。具体例は後ほど御説明します。 重要度の高い不適合事例は、何種類かあるわけですけれども、ここには典型的には、組 織が、ある特定要素や規範に必要なすべての要件に対応してきていない事項。要は対日輸 出基準で幾つか要件が書いてあるわけですけれども、要件に適応できていないものの場合 には、重要度が高いものとなります。 次のパラグラフの途中からですけれども、問題が発見された場合ということであります けれども、勿論認定をあきらめる場合にはいいわけですけれども、認定を引き続き確保す る、引き続きリストに掲載されるためには、すべての不適合事例が改善されることが要求 される。更に製品の許容性、利用可能性と書いていますけれども、要は今回の問題になる のは、対日輸出基準、20か月齢以下というのと、特定危険部位をすべて除去するというこ とでございますけれども、それに影響を及ぼすような不適合事例は即時に生産及び出荷の 停止につながり、更に当該施設の認定リストからの削除にもつながり得るというようなこ とであります。 5ページの方をごらんください。今回の調査としましては、1ページの「II 会議の概 要」の@にあります、現時点での対日輸出プログラムについての35施設の対応状況。  Bにありますけれども、過去に行った対日輸出処理についての検証。これは去年12月か ら今年1月20日までですけれども、この2点についての調査が行われています。 5ページの「遡及的監査の結果」というところが、去年12月から今年1月20日までの 間に米国側の25施設で行われた対日輸出処理について問題がなかったどうかということ のペーパーワーク、記録の確認ということをやっております。要するに月齢が確認された 牛だったのかどうなのか。A40以下のものだったのかどうなのか。各工程において危険部 位がきちんと除去されていたのか。輸出された製品が日本向けに、例えば背骨が付いた部 位でなかったのかどうかと。そういったことの検証を行ったというものでございまして、 結果としては、問題は発見されなかったというようなことでございました。 7ページでございますけれども、今度は「最近の監査の結果」というのがございます。 これが現時点において、追加要件も含めて対日輸出基準に適合しているかどうかというこ とを、今度は対日輸出を希望している35施設について行った結果ということであります。 8ページの方に少し詳しく書いておりますけれども、第3パラグラフの下から4行目当 たりからですが「監査を行った10施設において、AMSはいかなる不適合事例も発見しな かった。その他の25施設においては、手順上の問題が確認された。これらは施設が日本向 け製品を生産する資格が与えられる前に解決されることとなっている」ということで、不 適合事例ということについて、具体例がその後にございますので簡単に御説明しますと「重 要度の高い不適合事例」ということで1〜6まで、8ページから10ページまで書いてござ います。 「重要度の高い不適合事例1」で言えば、月齢が確認されている牛のロットが搬入され た場合には、その月齢の証明書、フィードロットから提出された月齢の証明書を保管して おかなければならないということになっているわけですけれども、1ロットについて証明 書が見つからなかったというような事例でございます。勿論その証明書以外にも、月齢の わかる牛を飼育したフィードロットは非常に限られておりますし、価格等も異なるわけで すので、別の方法で確認はされているわけなんですけれども、監査したときに、そういっ た記録が欠けていたというようなことが1番目の例でございます。 2番目の例につきましては、4月に追加した要件というのが、追加要件があるわけです けれども、それに併せて各企業が自分たちの品質マニュアルを改正するわけですけれども、 その改正が不十分だったと。こういったことも対日輸出基準に直接違反するということで、 重要度の高い事例というような例になります。 3番目は、内部監査が実施されていなかった例。 4番目は、対日輸出品とそれ以外の製品の区分のルールが、マニュアルに明記されてい なかったというようなこと。 5番目、6番目は、対日輸出向けの施設固有のコードを定めることになっているんです が、それが定められていなかった。要するに企業の中で管理する製品コードが対日輸出特 有のものではなかったというような例であります。 10ページ以下に「重要度の低い不適合事例」ということで、4つ例示を載せてあります。 「重要度の低い不適合事例1」としては、記録の保管について、その保管方法が具体的 に遺失、破損、改ざん、そういったものを防ぐ手だてを書いておかなければならないとい うのがあるんですが、それが書いていなかった。 2番目は、先ほど内部監査を実施しなかったということで重要度が高いとなっていまし たけれども、一度は実施をしていたけれども、ここの企業ではどうも四半期に1回やると いうことになっていたんですが、2回目の内部監査をする時期になってもしていなかった というような事例が重要度の低いところの2番目であります。 3番目につきましては、日本向けに適合する製品の供給先、例えばカット施設であれば、 そういった日本向けに輸出できる20か月齢以下の牛に由来する枝肉を搬入しなければな らないんですけれども、そういったものの手順が明確でなかったというようなこと。 4番目につきましては、対日輸出関係の書類についての日付とか改正番号とか、そうい った特定できる情報が記載されていなかったと。そういうような事例が挙げられておりま す。 いずれにしても、こういったものに関しては、直接対日輸出基準に影響するものではな く、更にこれらの事例については、6月1日までに一応改善が終了したということで、後 日米国の農務省の方から連絡がきております。 資料の1ページに戻りまして、2番目でありますけれども、そういったアメリカからの 状況、これまでに米国政府にこちらから要求していたこととして、問題があった2施設に ついての原因の究明と再発防止措置、更に再発防止という概念の中には、他の対日輸出施 設について問題がないかどうかということの確認といったことなわけでしたけれども、日 本側から要求したものは、おおむね提出がされたというようなことでございました。 輸入手続再開のために必要な措置として、日本側として更に検討している内容は、事前 の現地調査の実施であるとか、施設ごとに輸出可能な品目が少し異なるということがござ いますので、適格品リストの日本側への提供等について、米国側と意見交換を行ったとい うようなことでございました。そのほかに、香港、台湾において発生した、それぞれの国 向けへの輸出基準の不適格事例についての説明を聴取したということでございます。 香港、台湾につきましては、日本とは輸出基準が異なるわけでございまして、月齢も違 いますし、骨なしという条件がかかっていると。いずれの事例につきましても、特定危険 部位ではないというようなことが確認されているということでございました。 3番目でございますけれども、今回の米国との意見交換を踏まえてということで、米国 側から一通りのそういう調査結果が出てきたということを踏まえまして、その内容につい て、リスクコミュニケーションを行っていく。同時に私どもとしての輸入手続の再開につ いての考え方というのも含めて、一般の方々に御説明をして、意見交換を行うということ を実施する。更にその結果を踏まえて、米側と輸入手続再開のための措置の調整を行う形 で進めていくということについて、決定をしましたということでございます。 資料の15ページでございますけれども、これは4月に問題のあった2施設についての原 因の究明状況についてのリスクコミュニケーションをやった結果でございまして、全般の 早期の輸入手続の再開というのには慎重な意見が大部分を占めていたと。一部に早期の再 開という声がなかったわけではないですけれども、そういった全体として状況でありまし て、これは5月の専門家会合のときに米国側に、やはり日本側では一般の方々への情報提 供、説明ということが非常に重要だと伝えております。 17ページでございますけれども、現在実施しておるリスクコミュニケーションというこ とで、輸入手続再開に当たっての日本側の考え方について、御意見を伺うということで開 催しております。6月1日に仙台から始まりまして、全国で10か所、6月14日に東京会 場で終了ということになります。 以上でございます。 ○吉倉分科会長 これは基本的には報告で、今、道野さんから説明があったとおりですが、 今後政府としては、どういうふうなことをやっていくんですか。リスクコミュニケーショ ンを今やっている途中だということはわかりますが、簡単に言ってください。 ○道野室長 リスクコミュニケーションが終了後、米国側では輸入手続の再開に当たって、 米国側でどういったことをやる、日本側でどういったことをやるということについて調整 をして、内容が固まった上で次の段階に進むわけですけれども、私どもとしては、やはり 事前の調査ということがすべて終了した上でなければ、輸入手続の再開というのはできな いと考えておりますし、そういった内容で現在リスクコミュニケーションもやっていると ころです。 ○吉倉分科会長 要するに、何か月か知らないけれども、今から事前調査をやると。大体 のタイムフレームはわかりますか。 ○道野室長 米国との調整にどれぐらいかかるかというのははっきりしないんですけれど も、施設の調査だけでも1か月以上、場合によっては2か月近くかかるのではないかと考 える次第です。 ○吉倉分科会長 わかりました。今、作業が進んでいることもありますので、いずれこの 問題はここで報告があると思います。 室長は次の会議があってここにおられないんですが、代わりの者がおりますので、でき る限り対応したいということですが、何か特に聞きたいということはありますか。どうぞ。 ○神田委員 内容はいいんですが、進め方の3のところで確認させていただきたいんです けれども、「3 今回の意見交換会等を踏まえて日本側の考え方を整理し」と書いてあり ますね。今回の意見交換会というのは、今やっている10か所のことですか。次のリスクコ ミュニケーションということとの関係で、この辺が少しわかりにくいんですけれども、進 め方を確認させてください。 ○道野室長 済みません。資料が先月の時制になっていますので、現在やっているリスク コミュニケーションは、資料の1ページの3のリスクコミュニケーションに該当します。 ○神田委員 では「今回の意見交換等を」というのは、アメリカとの意見交換という意味 ですか。 ○道野室長 済みません。これは今回ですから、専門家会合の結果のことですので、3の 1行目の「今回の意見交換等」というのは、当然米国側との会合の結果でありまして「日 本側の考え方を整理し」というのは、今リスクコミュニケーションで提示させていただい ているものでありまして、このリスクコミュニケーションは現在実施されているという意 味でございます。 ○神田委員 わかりました。ただ、なぜお聞きしたかわからなくなってしまったかという と「今回の意見交換等を踏まえて日本側の考え方を整理し」とあったので、日本側の考え が整理されているようには思わなかったものですから、整理されたのかなというのがあり ました。 ○吉倉分科会長 先ほど言われたように、今、調査中だということです。 ○神田委員 ですから、この文章の読み取りがわからなかったということです。 ○吉倉分科会長 ほかに何かございますか。品川先生、どうぞ。 室長さんどうぞ。変わってください。 ○品川(森)委員 全く私の個人的な興味なんですが、1のBのところのことですが、今 この問題を引き起こした大もとの当該牛がありましたね。その書類はどういう形になって いたかということを、わかれば教えていただきたいです。 ○吉倉分科会長 お願いします。 ○蟹江専門官 当該施設、今回問題となった2施設の関係書類ということですか。 ○吉倉分科会長 「II 会議の概要」のところです。 ○品川(森)委員 私が言っていますのは、そもそも発端となったのは、骨付きの牛が入 ってきたということですね。その骨付きの牛も当然書類が添付されていたわけですね。同 じような時期のものについて、書類を調べているわけですから、その当該牛の書類は一体 どうであったかということを、わかれば教えてくださいとお願いしたんです。 ○蟹江専門官 今回、成田空港に到着した貨物に添付されていた書類ということですね。 添付されていた書類といいますのは、米国の農務省が発行している輸出証明書ということ でよろしいですか。 ○吉倉分科会長 ちょっと済みません。混乱しています。資料の1枚目のところに「II 会議の概要」とありますね。1にBというのがありますね。事件が起こったのは、1月20 日より前ですね。どうですか。 ○蟹江専門官 1月20日に到着して、成田空港で発見されたということです。 ○吉倉分科会長 そうすると、今お聞きになっているのは、1のBで調べた中で、今のも のに該当する製品の書類は一体どうであったかという質問だと思います。先生、そういう ことですね。 ○品川(森)委員 はい。 ○吉倉分科会長 要するに1のBに関係して、問題点は発見されなかったと言われるので、 実際に変なものが入っていたんだから、問題があったはずではないかという話なんです。 ○蟹江専門官 わかりました。当該施設で処理された子牛の肉の関係の調査は、既に米国 側で原因究明の調査が行われて、報告書は別に公表されていまして、昨年12月から本年1 月20日までに25施設で処理されたといいますのは、当該以外のものでございます。当該 2施設以外で処理されたもので、既に出荷されたもの、輸出されたもののさかのぼり調査 をした結果、特に問題があるような結果ではなかったということを米国側がとりまとめて、 日本側に報告書として提出をしてきたということです。 ○品川(森)委員 それはあくまでも書類の上の問題なんですね。ですから、同じような ものが同じ形でたまたま見つかったらものの書類がどうなっているのかということなんで す。それは書類がいいから信用しろという言い方なんですね。そうではなくて、書類がき ちっと書かれているものは本当にいいんだということであれば、SRMが入っていてはい けないにもかかわらず、入った牛の書類がどういうふうになっていたんですかということ なんです。そのような牛が当たり前になって問題がないとなっていれば、ほかに問題とな っていないものというのは、本当に問題になっていないのか。ただ書類の上が問題になっ ていないのかという疑問が出てくるものですから、ちょっとお伺いしました。 ○蟹江専門官 25施設で過去に輸出されたものの取扱いでございますが、今リスクコミュ ニケーションを実施していまして、その中で私どもの方の考え方を説明しております。そ の考え方といいますのは、あくまでもこれは米国側の調査の報告であって、その報告につ いて検証する必要があると。先ほど道野室長から説明をしましたとおり、日本側の現地調 査というものを考えておりますので、その中で米国側の調査結果の検証を行っていこうと。 その上で、今、日本に貨物があるわけですので、実際にその貨物について中身を確認して、 検証していくという考え方で、今、意見交換会を行っております。 ○吉倉分科会長 品川先生が聞かれたのは、要するに骨が入っていたものに関しての書類 は、今の説明だともう公表されているということですね。さっきそういうことを言われま したね。 ○蟹江専門官 はい。 ○吉倉分科会長 公表されているから、既に入っていた牛について疑問があれば、それを 見てほしいというお話ですか。 ○蟹江専門官 関係資料というのが、どういう資料か特定されれば、もう少しお答えがし やすくなると思います。 ○品川(森)委員 時間をつぶすつもりではなかったのに、長くなって申し訳ありません が、ここに書いてある「対日輸出された牛肉等については保管されていた記録を検証した 結果、問題点は発見されなかった」とあるわけです。SRMが入っていた牛は、これに相 当するようなものは、どういうことだったんですかということです。要するにやはり問題 点はなかったとか、あったとかということだけを一言言っていただければ、それで私はわ かったんです。 ○蟹江専門官 それは先ほど御説明いたしました当該施設の原因究明の報告書に記載され ていまして、関係書類上は実際には脊柱を除いて出荷するべきところを、例えば農務省の 検査官は当該施設が対日輸出の認定施設とは把握していなくて、日本の基準に合っている と。合っていないけれども、合っているというような証明書を発行して、輸出されてきた という経緯でございますので、そういった関係書類については、不適格な部分が当然ござ います。 ○吉倉分科会長 そういうことです。 ○品川(森)委員 これだけに時間はとれませんので、結構です。 ○吉倉分科会長 そうしたら、今後この件に関しては報告いただくと思いますので、よろ しくお願いしたいと思います。 それでは、議題2の(1)の乳及び乳製品の成分規格に関する省令の一部改正について、 お願いします。 ○伏見課長 それでは、説明させていただきます。 「報告資料1」と右肩に付されております資料でございます。「『乳及び乳製品の成分 規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)の一部改正(乳等の成分規格の試験法)』 及び『食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370 号)の一部改正(添加物 の試験に用いる試薬・試液等)』について」というタイトルでございます。 「1.経緯」のところでございますけれども、この報告書の6ページ目に写しがついて おりますけれども「アスベスト製品の代替化の促進について」という、厚生労働省の労働 関係の部局の通知でございますけれども、このような通知を発出いたしまして、アスベス ト製品の使用等を全面禁止するため、代替化も含めて全面禁止を進めていくという趣旨の ことをここに記載しております。 これに関連いたしましてですけれども、現在食品衛生法に規定されております、下に@、 Aとございますけれども、以下の2点につきまして、関連法令の整備に合わせ、アスベス ト、石綿を用いない形に改正したいと考えております。 なお、今般の改正は食品衛生法11条1項に基づき規定された乳等省令及び告示を改正す るものではございますけれども、改正事項は基準そのものではなく、これから御説明いた しますように、基準の確認に用いられる試験法に関する部分でございます。 2点ございまして、@の方でございますけれども、乳及び乳製品の成分規格等に関する 省令、いわゆる乳等省令といっておるものでございますけれども、そこで規定する乳等の 成分規格に関する試験法のうち、別表第1二(七)(1)7aというところに、乳等の定 量法というのがございます。同項の(3)1というところに、無脂乳固形分の定量法とご ざいますが、いずれのところにも試験に用いる器具として、石綿付金網及び石綿網という ものが、試験法、乳等省令の中に単語として出ております。それが1点です。 Aでございますけれども、食品、添加物等の規格基準に示す添加物の試験に用いる第2 添加物の部C試薬・試液等の項1.試薬・試液の目中モリブデン酸アンモニウム試液及び 同項2.容量分析を標準液の目中で0.02mol/l 過マンガン酸カリウム溶液という、今、申 し上げましたものに関して記載があるわけでございますけれども、そこにろ過に際して石 綿を用いるような形での記載がございます。ろ過の試験法として、石綿を用いなさいとい う記述がございます。 この2点につきまして、石綿を用いない形に改正したいと考えております。 「2.現状」でございますけれども、社団法人の日本乳業協会及び食品衛生法に基づく 登録検査機関の団体である登録検査機関協会に調査を行いましたところ、各検査施設等に おきましては、既に石綿付金網及び石綿網は使用されておらず代替品を使用しているとい うことでございます。 具体的には、代替品といたしまして、セラミックの金網、ガラス板、またはホットプレ ート等が使われているというところでございます。また、石綿ろ過の代替としては、ガラ スろ過が行われていると確認されております。 「3.改正の内容」でございますけれども、乳等省令に規定する、石綿付金網及び石綿 金網を別紙1のとおり、別紙1は次のページでございますけれども、一番上のところでご ざいます「石綿付金網上」というところに取消線が引かれておりまして、その右に「直火 をさけて加熱し」と書いてございますけれども、こういうふうに言い方を変えるというこ とでございます。下の部分も同様でございます。 3ページ目も同様のことでございまして「石綿で」というところに取消線を入れまして 「ガラス繊維ろ紙を用いて吸引」という形に改めたいということでございます。 1ページに戻っていただきまして「4.その他」でございます。これは、いずれにいた しましても、省令なり告示の改正ということでございますので、食品安全委員会において 食品健康影響評価を原則受けないといけない事柄でごさいますけれども、本件につきまし て、安全委員会に対しまして照会をいたしまして、そこにございますように、食品安全基 本法11条第1項第1号の食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でない場合に該当 するということで、安全委員会の確認をいただいております。したがいまして、この安全 委員会の回答をいただきました後、現在厚生労働省内で、ここにあります乳等省令及び告 示の改正作業を現在進めているところでございます。 以上でございます。 ○吉倉分科会長 いかがですか。たしか分科会でも検査法の変更については、報告で済ま すという事になったのではないかと思います。この手のものは、前にも同様にやりました ね。よろしいでしょうか。 それでは、次お願いします。 ○伏見課長 引き続きまして、報告資料2でございますけれども「食品、添加物等の規格 基準(昭和34年厚生省告示第370 号)の一部改正(クロラムフェニコール試験法の一部 改正)について」でございます。 「1.経緯」でございますけれども、食品に残留する農薬、飼料添加物、動物用医薬品、 以下農薬等に関しまして、ポジティブリスト制度を導入したわけでございますけれども、 その中で幾つかの化合物に関しましては、食品中において不検出の扱いをしております。 食品において不検出とされる農薬等の成分である物質を定めるとともに、これらの物質が 食品中に検出されないことを判断するための試験法を規定しております。表題にございま す告示370 号というところで、そういった試験法も規定しておるところでございます。 このうちクロラムフェニコールにつきましても、不検出との扱いをしているわけで、ク ロラムフェニコールの試験法を告示の中に書いておるわけでございますけれども、このク ロラムフェニコール試験法につきましては、はちみつ等の養蜂製品を試験に供する場合に おきまして、検体中の夾雑物の影響等により、その実施が困難となる場合があることが報 告されております。 今般、これらの養蜂産品につきまして、抽出・精製法の検討を行い、クロラムフェニコ ール試験法に適用することで、良好に試験が実施可能であるということがわかりましたの で、当該試験法に養蜂産品を試験に供する場合の抽出法及び精製法を追加するための告示 の改正を行うこととしたいということでございます。 「2.改正の内容」でございますけれども、クロラムフェニコール試験法において、別 紙のとおりはちみつ及びローヤルゼリーを試験に供する場合の抽出法及び精製法をそれぞ れ追加するということでございます。 詳細は2ページ、3ページにございますけれども、抽出方法、精製方法のところで、溶 媒を少し変更する、あるいはカラムに関する規定を少し追加するというような形で改正を 行いたいと考えております。 1ページ目「3.その他」のところでございますけれども、これも告示の改正というこ とで、本来食品安全委員会の食品健康影響評価を受けることが必要なわけでございますけ れども、本件につきましても、食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でないという ことで、食品安全委員会の方の確認を得ております。 これらを踏まえまして、現在告示の改正の作業を進めているところでございます。 以上、御報告申し上げます。 ○吉倉分科会長 これも同様で、試験法の改正です。よろしいですか。 それでは、次にコーデックス委員会の概要について、お願いします。 ○梅田室長 報告資料4を御参照ください。 本年4月1日から、食品安全部内に新たに国際食品室が設置されております。これまで 当分科会の審議の中で、コーデックス基準を参考にしているなどと御説明を申し上げてい るところですけれども、コーデックスに関しましては、単にでき上がった国際ルールを適 用しているだけではなく、コーデックスの規格の策定段階から、私どもは積極的に関与し ているところでございます。コーデックスでの主なテーマについては、今後当分科会で、 具体的に報告を予定したいと考えているところですが、本日は総論といたしまして、厚生 労働省のコーデックスでの取組みやコーデックスに関する最近の状況について、若干お時 間を賜りまして、話題提供させていただければと思っております。 報告資料4の1ページ目の1のコーデックス委員会、正式名称はFAO/WHO合同食 品規格計画というものですけれども、これは1962年にFAOとWHOが合同で設立した国 際政府間組織で、食品に関するさまざまな国際的な規格や基準、行動規範、ガイドライン 等を策定しております。 目的は、消費者の健康の保護と公正な食品の貿易を確保するということで、安全と公正 という2つが2大目標となっております。我が国は1966年に加盟しております。ちなみに、 コーデックス委員会の事務局のヘッドは日本人で、宮城島事務局長です。 コーデックス委員会ですが、総会のほか執行委員会と20の課題別の部会、1の特別部会 と6つの地域調整部会により構成されておりまして、4ページ目に組織図を載せておりま すので、御参照ください。 コーデックス委員会の組織図の一番上にございます「コーデックス総会」ですが、これ がコーデックスにおいての最高意思決定機関となっております。議長、副議長がありまし て、議長、副議長は総会参加全加盟国の選挙により選出されます。昨年まで2期にわたり、 当分科会の分科会長である吉倉先生が副議長を務めておられました。 コーデックス総会は毎年7月に開催されるもので、ここでコーデックス規格、ガイドラ イン、基準等が採択されます。昨年は約三十の新しい規格が採択されました。残留農薬基 準や残留動物用医薬品の基準等、個別の剤ごとに基準を数えると、更に多くの数となりま すが、例年多くの基準を新たに採択しているというものです。 その下に課題別に「一般問題部会」が9つ、「個別食品部会」が11ございます。「一般 問題部会」の方は、毎年1回開催されているわけですが、厚生労働省としましては、すべ の部会に参加をし、また「個別食品部会」の一部についても、参加しております。ちなみ に日本政府代表団としての参加は、厚生労働省、農林水産省からも参加がありますが、個 別食品部会の方は農林水産省の方が多く参加されています。 「特別部会」は期限を限定して設置されているものですが、バイオテクノロジー応用食 品特別部会がございます。括弧書きで各部会ごとに記載しておりますのが、議長国で、バ イオテクノロジー応用食品特別部会は日本が議長国を務めている部会です。 7ページに 少し詳しく書いておりますので、御参照いただければと思います。既に2000年から2003 年にかけて、日本が議長国を務め、4回バイオテクノロジー応用食品特別部会を開催しま した。そして、4回開催する中で、3種類の遺伝子組換え食品の安全性評価に関する原則 やガイドラインをとりまとめまして、これはコーデックスの作業の中では極めて短期間の 間に質の高いものを策定し終えたということで、国際的に極めて高い評価を得ております。 そして、2003年にコーデックス総会でこれらの文書が採択されて、一旦特別部会は終了 いたしましたが、2004年のコーデックス総会において、満場一致で再設置が決定されて、 我が国が再度議長国を引き受け、昨年9月に再設置後の第1回目の会合が開かれたところ です。バイオテクノロジー応用食品特別部会は、分科会長の吉倉先生に議長になっていた だき、日本がリーダーシップを発揮して進めている部会でございます。 1ページ目に戻っていただきまして「2.コーデックス規格とWTO(世界貿易機関) 協定との関係」ということでまとめております。コーデックスの規格自体は、実は任意基 準で拘束力がございませんが、WTOが発足されてから、性格が変わったということで、 WTOの協定の中に位置づけがされています。 その理由を書いておりますが、一言でいいますと、食品貿易で何らかの紛争が起こった ときに、その裁定に当たるWTOが判断基準とするのがコーデックスということになって おりますので、コーデックス基準自体に強制力がなくても、科学的に証明できる特別な理 由がない限り、コーデックス規格は無視できない重要な規格になっているという関係にご ざいます。 次のページですが「3.コーデックス規格等の作成手順」です。STEP1〜STEP 8まで、通常段階的に議論を尽くすということになっております。コーデックスの規格、 ガイドライン、行動規範など、文書が策定されるには、コンセンサスで合意を得るという ことで、まず数十か国が集まる部会で議論をして、そして総会で百数十か国が集まる中で、 コンセンサスで採択されるというものですので、大変に時間がかかるという批判もござい ますが、それだけのコンセンサスで得られた文書ということでの重みが加わっているもの です。 日本といたしましては、意見書面の提出であるとか、部会への参加あるいは総会への参 加などによって、意見を主張しているところです。また、日本がこれらの意見を表明する に当たりまして、コーデックス連絡協議会という会を厚生労働省と農林水産省共管で開催 しておりまして、学識経験者、消費者、事業者団体などの方から構成される会で、年5、 6回意見交換をさせていただいているところでございます。 「4.コーデックス活動の担い手」ということで、まとめておりますが、一番下の「コ ーデックス会合への参加者」ですが、コーデックスの手続は透明性ということが非常に重 要視されております。そこで各国の政府代表団だけではなく、さまざまなオブザーバーも 発言権があり、会議の中では活発に発言をしております。 また、最近では途上国の意見が十分反映できるように、トランスファンドという基金が つくられまして、参加経費が援助されております。日本もこのファンドに拠出していると ころです。 また、一般の方の傍聴も可能となっております。会合は公開で実施されているものでご ざいます。 次のページの「5.コーデックス委員会と専門家会議の関係について」ですが、コーデ ックス委員会は、リスク管理機関という役割を担っております。したがいまして、コーデ ックスがさまざまな基準をつくるに当たってのリスク評価はどこが行っているかといいま すと、FAOやWHOの合同専門家会議というものがございまして、代表的なものをここ に挙げております。これらのFAO/WHOの合同専門家会議とコーデックスの活動とは 相互に連携はしながら、全く別の機関として活動しているものでございます。 「6.コーデックス各部会の構成及び権限の検証」ですが、これを挙げさせていただき ましたのは、コーデックスの中で組織や権限、役割について改革が常に進められておりま して、例えば優先順位づけをきちんと行って、新規作業を行う場合には、数年間議論が長 引かないようにというような制限が設けられたり、執行委員会が各部会の進捗を管理する ような機能を強化するというような、今さまざまな改革の途上にあり、一部それらが実現 しているところだという情報提供です。 また、ここには書いてございませんが、個別の品目ごとに置かれております個別食品部 会の役割の見直しも引き続き行われておりまして、本年7月3日から7日に、ジュネーブ でコーデックス総会が行われますが、そこにおきましても、コーデックスの見直しという ことも規格基準の採択の議論と併せて行われる予定です。ちなみに、本年の総会は約四十 五件の規格等の採択のための審議が行われる予定ですし、単に基準だけではなくて、新規 作業の承認ですとか、新たに定義をつくるというようなことの議論も行われます。 厚生労働省のコーデックスに関する取組みの重点といたしましては、バイオテクノロジ ー応用食品特別部会の議長国といたしまして、これは2008年までに行わなければならない ものですので、2008年の部会会議で文書策定作業を終了できるようにということと、ほか のコーデックス部会に更に関与を強めてまいりまして、意見を主張し、議論に貢献するこ とで、コーデックスにおけるプレゼンスを高めていくことを目標としております。 また、次回分科会以降、コーデックスにおける重要案件について、随時御報告をさせて いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長 よろしいですか。コーデックスの紹介は、分科会で多分今回が初めてだ と思います。今後関係のある話題については、報告があるということです。 特になければ、次の議題にいきたいんですけれども、お願いします。 ○北島室長 それでは、報告資料5をごらんいただきたいと思います。 本年5月17日に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会の下に、新開 発食品評価第三調査会を設置させていただいたところでございます。 「1.新設理由」につきましては、1にありますとおり、近年大豆イソフラボンを含む 特定保健用食品やジアシルグリセロールを高濃度に含む食品、コエンザイムQ10を含む食 品、アガリクスを含む食品等、新開発食品に関する安全性について、新たな知見に基づい たリスク評価、リスク管理が求められており、食品安全委員会に対しまして、食品健康影 響評価を依頼しているものもございます。 こうした事案につきまして、@といたしましては、必要に応じて専門的科学的な見地か らの検討を行うこと。Aといたしまして、食品安全委員会から食品健康影響評価結果が通 知された後に講じるべき具体的なリスク管理措置やその普及啓発方法に関する検討を行っ ていただくために、設置したものでございます。 「2.調査審議事項」でございますが、新開発食品の安全性の確保等に関して、新たな 知見を踏まえた管理措置等について、専門的科学的な検討を行うというものでございます。 「3.運営方法」及び「4.委員構成」につきましては、3、4にありますとおりでご ざいます。 なお、評価第三調査会につきましては、既に5月19日及び31日の2回開催しておりま して、大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針案の作成について、 御検討をいただいております。大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いにつき ましては、ここで作成されました原案を基に6月16日に開催予定の新開発食品調査部会で 御検討いただくこととしております。 御報告は以上でございます。 ○吉倉分科会長 これは今からやる委員会ですね。どうなんですか。 ○北島室長 評価第三調査会につきましては、分科会長の御承認をいだたいて設置するこ とが可能でございまして、既に5月17日に設置をしております。その後、5月19日と31 日に第1回目、第2回目を開催しておりまして、既に調査会としての原案は作成していた だいておりますので、今後部会での審議をしていただくことになっております。 ○吉倉分科会長 わかりました。 第一、第二というのは、あるわけですね。ついでですから、職域分担といいますか、イ ソフラボンとかをやるのはわかるんですが、簡単に第三分科会がどういう位置づけになっ ているか、簡単にお願いします。 ○北島室長 新開発調査部会の下に、これまで第一、第二評価調査会がございました。こ れらの第一、第二の評価調査会につきましては、特定保健用食品の申請の許可があった製 品につきましては、個別の審査をし、表示の許可を承認するという位置づけの調査会でご ざいまして、こういった特定保健用食品の許認可以外の案件につきましては、所掌してい ないことから、第三調査会を設置させていただいたところでございます。 ○吉倉分科会長 わかりました。特保に関係ない、この手の問題についてやるという話で すね。 ○北島室長 個別製品の許認可以外の特保も含めた、いわゆる健康食品等も含めましたリ スク管理措置等についての議論を行うということで、設置をさせていただいております。 ○吉倉分科会長 わかりました。一応そういうことで設置するということです。委員の先 生方、よろしくお願いします。 それでは、あとは、これで、事務局から何かありますか。 ○事務局 次回の分科会でございますけれども、開催日時、議題等につきましては、後日 また調整いたしましてから、御連絡させていただきたいと存じますので、よろしくお願い いたします。 ○吉倉分科会長 それでは、今日はどうも御苦労様でした。 照会先:                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                   TEL:03−5253−1111(2449)