06/06/07 全国C型肝炎診療懇談会 第1回議事録    平成18年度第1回全国C型肝炎診療懇談会           開催日:平成18年6月7日(水)           場 所:経済産業省別館1107号室  野上補佐 それではただいまより全国C型肝炎診療懇談会を開催させていただきま す。本日はお忙しい中をお集まりいただきましてまことにありがとうございます。私は この懇談会の事務方を担当いたします健康局疾病対策課課長補佐の野上でございます。 本日座長が選任されるまでの間司会を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い 申し上げます。それでは議事に先立ちまして、中島健康局長からごあいさつを申し上げ ます。  中島健康局長 健康局長の中島でございます。懇談会の開催にあたりまして一言ごあ いさつを申し上げたいと思います。委員に御就任いただきました先生方におかれまして は、大変御多忙のところ委員をお引き受けいただきまして、まことにありがとうござい ます。さて、C型肝炎につきましては、御承知のように昭和54年に肝炎研究連絡協議会 が発足をいたしまして、それ以後国民に対する普及啓発、相談指導の充実、C型肝炎ウ イルス検査の実施、治療法の研究開発、診療体制の整備など、さまざまな対策にこれま で取り組んできたところでございます。  また、平成12年に設置されました肝炎対策に関する有識者会議から、翌年報告書がと りまとめられましたことを受けまして、平成14年にはC型肝炎等緊急総合対策を実施い たしましたけれども、その後、ペグインターフェロンなど新たな治療法が開発をされ、 C型肝炎の診療を取り巻く状況も変化をしてきているということから、昨年の3月再度 の専門家会議を開催いたしまして、8月に報告書、これはC型肝炎対策等の一層の推進 についてというものでございますが、とりまとめられたところでございます。  この中でC型肝炎診療の地域の偏在、偏り等が問題点として指摘をされております。 また、こうした問題に対応するために、都道府県等においてC型肝炎診療協議会を設置 をいたしまして、C型肝炎の診療体制の充実を図るとともに、全国レベルにおいても協 議組織を設置をいたしまして、C型肝炎治療の均てん化を図るということとしておりま す。   これを受けまして今般当懇談会が開催をされる運びになったわけでございますが、各 都道府県において地域の実情に応じながらC型肝炎診療体制の充実が図られますよう、 委員の皆様方の深い見識に基づきます大所高所からの御意見をいただきますことを期待 して、私のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  野上補佐 それでは国会用務のため、中島局長はここで失礼させていただきます。次 に委員の御紹介でございます。まことに恐縮でございますが、飯沼委員から時計回りで 自己紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  飯沼委員 日本医師会の飯沼と申します。よろしくお願いいたします。  廣瀬委員 日本看護協会の常任理事をしております廣瀬です。よろしくお願いします。  久道委員 宮城県病院事業管理者の久道でございます。よろしくお願いいたします。  西村委員 日本肝臓病患者団体協議会の西村です。よろしくお願いいたします。  林委員 大阪大学の林でございます。よろしくお願いします。  宮村委員 国立感染症研究所の宮村でございます。よろしくお願いいたします。  八橋委員 国立病院機構長崎医療センターの八橋です。よろしくお願いいたします。  鈴木参考人 岩手医大の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。  伯野参考人 広島県の保健対策室の伯野と申します。よろしくお願いします。  野上補佐 ありがとうございました。なお、小俣委員は御都合により御欠席となって おります。  それでは議事に入ります前に、お手元に配布されている資料の確認をさせていただき ます。まず、資料1でございますが、全国C型肝炎診療懇談会開催要領でございます。 資料2はC型肝炎対策等の一層の推進について、概要でございます。資料3は三つに分 かれておりますが、資料3−1として、岩手県における肝炎検診診療の現況、資料3− 2は大阪におけるC型肝炎ウイルス検診の現況と課題、資料3−3は広島県における肝 炎対策について、続きまして資料4としてC型肝炎診療体制に関する主な検討事項(案) でございます。また、参考資料といたしまして、参考1として、C型肝炎治療の現状、 参考2としてC型肝炎対策等の一層の推進について、配布資料は以上のとおりでござい ます。配布いたしました資料に漏れ等はございませんでしょうか。漏れ等ございました 事務局におっしゃっていただければと思います。   それでは議事1.全国C型肝炎診療懇談会について説明させていただきます。お手元 の資料1、運営要領をごらんいただきたいと思います。  目的及び検討事項でございますが、全国C型肝炎診療懇談会は、厚生労働省健康局長 より参集を求める有識者により、厚生労働省及び各都道府県におけるC型肝炎の診療体 制にかかわる対策について専門的な協議を行うことを目的として開催いたします。  懇談会の構成でございますが、懇談会に参集を求める有識者はC型肝炎対策に精通し た学識ないし経験を有するものとする。  3番目は座長の指名でございますが、懇談会に座長及び座長代理を置く。座長及び座 長代理は、懇談会構成員の中から互選により選出をいたします。座長代理は、座長が欠 席の場合に座長としての業務を行っていただきます。  4番目は作業班の開催でございますが、必要に応じて外部専門家を交えた作業班を開 催することができるとしております。  5番目、会議の公開でございますが、懇談会の会議は公開といたします。ただし、公 開することにより個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合または知的財産権そ の他個人もしくは団体の権利利益が不当に侵害されるおそれがある場合には、座長は、 会議を非公開とすることができるとなっております。  6番目として、座長は会議における秩序の維持のため、傍聴人の退場を命ずるなど必 要な措置をとることができます。  議事録に関しまして、懇談会における議事は次の事項を定め議事録に記載するものと いたします。  1.会議の日時及び場所  2.出席した懇談会構成員の氏名  3.議事となった事項  続きまして議事録は公開する、ただし、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある 場合または知的財産権その他個人もしくは団体の権利利益が不当に侵害するおそれがあ る場合には、座長は議事録の全部または一部を非公開とすることができる。  9番目として、前項の規定により議事録の全部または一部を非公開とする場合には、 座長は非公開とした部分について議事要旨を作成し、これを公開しなければならない。  大体このようなことでございますが、御質問や御意見等がございましてお願いいたし ます。よろしいでしょうか。  それでは開催要領はこれで認められたということで、続きましてこの検討会の座長の 選任に移らせていただきたいと思います。これにつきましては委員の皆様方の互選によ りお選びいただきたいと思いますが、どなたか御推薦がある方、いらっしゃいますでし ょうか。  林委員 こういう審議会に慣れておられる久道先生にお願いするのが一番いいのでは ないかと思いますが、いかがでございましょうか。  野上補佐 ありがとうございました。ただいま久道委員の御推薦がありましたが、御 了承いただけますでしょうか。  全委員 異議なし。  野上補佐 御了承がいただけたものというふうに考えたいと思います。それでは久道 委員、よろしくお願いいたします。早速でございますが、座長席にお移りいただきまし て、今後の議事をお進めいただけましたら幸いでございます。よろしくお願い申し上げ ます。 久道座長 ただいま座長に選任いただきました久道でございます。どうぞよろ しくお願いしたいと思います。それから開催要領によりますと、座長代理も置くことと なっておりまして、この座長代理も構成員の中からの互選によるということになってお ります。どなたかということなんですが、私の方から推薦申し上げてよろしいでしょう か。  全委員 異議なし。  久道座長 それでは林委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  全委員 異議なし。  久道座長 それでは林先生、よろしくお願いしたいと思います。それでは早速議事次 第にのって進めてまいりたいと思いますが、議事の(1)(2)は既に終わりましたの で、(3)のC型肝炎診療体制のあり方についてにすぐ入りたいと思います。事務局か ら説明をお願いいたします。  正林調整官 それでは資料2について御説明をしたいと思います。私は感染症対策企 画部調整官をこの4月から拝命しております正林でございます。よろしくお願いをいた します。最初にこの資料2を使って、今、厚生労働省が全省的にどんなことをやってい るかを簡単に御説明したいと思います。  大きく分けますと、このC型肝炎対策については、ウイルス検査等の実施、検査体制 の強化、それから治療水準の向上、そして感染防止の徹底、普及啓発、相談指導の充実 と、この大きな4つの柱にしたがって施策を進めております。  まず、肝炎検査については、皆様御存知のように保健所あるいは老健事業や政府管掌 健康保険、保険者健診、あるいは職域の健診という場でこのC型肝炎の検査体制をしい ているところでございます。  それから治療水準の向上ということで、まさにきょうこの懇談会がその一つでありま すが、こうした全国レベルの診療懇談会を設置して、全国的な肝炎水準の均てん化を図 ろうという試みをしております。また、都道府県等においても同様な協議の場を設置を していただいて、かかりつけ医と専門医療機関との連携等の強化を推進していただく、 そうした予算もとっております。  他にも地域がん診療拠点病院の整備といった予算もございます。それから治療につい ては、ガイドラインを策定しようというところです。既に策定されたものもありますが、 また策定しようとしているところです。それから研究開発も行っています。そしてC型 肝炎治療について、薬事法の承認であるとか、保険適用も随時推進してきたところでご ざいます。  それから感染防止の徹底ということで、血液透析、歯科診療に伴う感染、それから母 子感染、そうしたものに対応すべく予算をとっております。また、院内感染対策のため の医療従事者講習会といったものもございます。  それから普及啓発、相談指導の充実ということで、先ほど申し上げました都道府県レ ベルの肝炎対策の推進のための協議の場、こうした場を活用して普及啓発に務めるとか、 あるいはQ&Aとかリーフレットなども作成することを考えております。  それから地域や職域、職場における相談機会の確保であるとか、保険従事者の研修で あるとか、講習会であるとか、そうした様々な取り組みを通じて普及啓発に務めている ところでございます。全体的にはこうしたことを一生懸命に厚生労働省は今取り組んで おります。  次にきょうの本題に関係ありますことについて簡単に御説明したいと思います。参考 資料というのが終わりの方についていますが、まず参考資料2、これは先ほど局長の方 からごあいさつで申し上げましたが、昨年専門家会議というものを設置いたしまして、 専門の先生にこれからのC型肝炎の対策全体についてどうしたらいいかということをお まとめいただきました。そのまとめにしたがって今進めている施策は、先ほど申し上げ ました資料2でございます。  この中で15、16ページでありますが、今後の対応あるいは現状のところを概括します と、C型肝炎の治療体制については、例えば肝炎治療についての習熟度がドクターの間 で均一ではないとか、あるいは一生懸命やっている県とそうでない県があったりとか、 そういったことが問題点として指摘されておりまして、それにしたがって今後の対応の ところで、都道府県レベルではそうした協議の場を設けたり、あるいは16ページの3つ 目の○でありますが肝炎治療の均てん化のために関係者からなる全国レベルの協議組織 を設けるようにという御指摘をいただいて、今回こうした懇談会を設定しております。  したがって御議論いただきたいメインのポイントは、検査等で見つかったC型肝炎の 患者さんたちが今は十分にフォローされてないのではないかという問題意識を我々はも っておりまして、じゃあそれをどうフォローしていったらいいかということをメインに この懇談会でディスカッションしていただけたらと思っております。  参考資料1に、今C型肝炎の治療の現状ということで、簡単にかなりベーシックなこ とまで含めてまとめておりますが、それの最後のページをごらんになっていただけます でしょうか。これは昨年行われた厚生労働省の研究班の報告書から抜粋しておりますが、 C型肝炎ウイルス、検診で要精検というふうに指摘された方がその後どうなったかとい うのを調査しております。  13,000人の方が要精検者というふうにされておりまして,これはもちろん調査で回答 があった方のうち、その中で要精検者が13,000人ということですが、その方が二次医療 機関を受診したかどうかが判明した方が50%という、半分しかいない。その判明した方 が二次医療機関を受診している方は82%で、20%の方は要精検者だと言われていながら 二次医療機関を受診していない。さらに二次医療機関受診をしたという方も半分はかか りつけ医、半分はその他専門医等を受診というような調査結果が出ております。  そもそもこの二次医療機関を受診したかどうかも判明してない方が半分いらっしゃい ますが、判明した方でも現状としてはこういうことで、2割の方はそもそも全く精密検 査を受けてないとか、あるいは二次医療機関を受診していると答えた方も、半分の方が 専門医を受診しているという、そういった現状があるということでございます。この辺 が我々の問題意識の原点になっておりまして、ではこういう方々をどうしたらいいかと いうのを主にきょう御議論いただけたらと思っております。私の方からは以上です。  久道座長 どうもありがとうございました。今かなり大雑把に要点を選んで説明いた だきしまた。何かこのことについて質問あるいは御意見はございますでしょうか。いか がでしょうか。ございませんか。私からいいですか。今最後の検診をやった後の精密検 査のための二次医療機関の受診の有無が50%ぐらい判明しないというふうになってい るんですが、これはどういう調査のやり方でやった結果なんですかね。  正林調整官 調査はアンケートを配って回収をしてという形をとっておりますが、そ こで受診したかどうかを聞いてまして、結果として受診したかどうかわからないという 方が残念ながら半分ぐらい出てしまったということです。  久道座長 そうするとアンケートに答えてくれた、いわゆる回収率みたいなものはど の程度なんですか。  正林調整官 まず調査表を全都道府県に配布しまして、44の都道府県から御回答をい ただいております。私の手元には報告書しかないのですが、二次医療機関受診の有無が 調査可能であった数は6,455人、50%であったという、それ以上の記載がなくて済みま せん。 久道座長 それでは後でもしわかったらお願いすることにして、要するに50% ということはあるんだろうけれども、どのぐらいの大きさなのかというのがちょっとわ かった方がいいと思って今質問しました。それからこの表は黄色で色づけしてますよね。 この色づけしている流れが非常にいいというふうに解釈するんですが、この最後の「か かりつけ医」受診ということと、意味づけは何かありますかね。  正林調整官 かかりつけ医を受診すること自体がイコール悪いという意味ではないの ですが、飯沼先生に先日お伺いしたところ、必ずしもかかりつけ医の方が全員がきちん とした検査をできるわけではないというふうにお聞きしておりまして、望ましいのはき ちんと専門の先生のところに行って精密検査を受けていただくのが望ましいのですが、 そうでない方もいらっしゃるのではないかということであります。  久道座長 どうもありがとうございました。他に何か御意見はございませんか。  林委員 今のことに関係して、我々C型肝炎を専門にしているものもそこのところが 一番問題だろうと思っています。新しく感染者が見つかりますと、最初はできたら専門 医にまずおかかりいただきたいというのがございます。それは診断方法もある程度専門 家でないとわからないという点もあるのですが、最近治療方法が急激に変わってきてま す。治療効果もよくなっておりますし、治療の仕方も変わっておりまして、ある程度専 門でない方ですと、その時点でどういう治療を受ければいいかというのはなかなかわか らないということがございますので、とりあえずできたら最初は専門医を受診していた だいて、そちらからかかりつけ医の方に御紹介いただくのが一番いいのではないかと思 っておりまして、この最初のかかりつけ医と専門医の受診が大体50%50%というところ を、できれば最初はもう少し専門家にかかる率を上げていただく方が実際に治療する上 では非常にいいのではないかと思っております。  飯沼委員 この黄色い表ですが、※といいますか、要精検者とは抗体検査と抗原検査 と、RNA検査を組み合わせてというふうにありますが、現実問題としてHCVの抗原 検査というのはここでやっておるんですか。何かの間違いじゃないんですか。ここでや っちゃうんですか。  林委員 現在、節目検診と節目外検診がございますが、保健所、それから府県によっ ては開業医さんに委託しているところがございますので、この検査は現在どの医療機関 でも可能でございますので、C型肝炎の検査を御希望になられれば、その地域のそうい うことができるところに行って採血だけすれば、とりあえずC型肝炎に対する抗体検査 ができます。抗体検査が陽性の方については抗原検査を次にするということになってい ます。  飯沼委員 抗原検査はそのHCV−RNAを調べるより先にやるんですか。  林委員 いいえ、先に抗体検査をしていただきまして。  飯沼委員 それはわかっていますが、抗体でチェックしますよね。抗体の陽性者に対 しては、次はHCV−RNAを調べるんじゃないんですか。  林委員 抗体価を見まして、抗体価が高い方はほとんどウイルスが陽性なので、ある 程度抗体価を参考にしながら次の抗原のチェックをしていきます。抗原はコア抗原とい うウイルスの中心部分のたんぱくをまずチェックをして、それからもう一度精密のHC V−RNAの検査をするという、2段階の方法で抗原をチェックしています。  飯沼委員 そうですか。これは費用がもったいないような気がしますけどね。  林委員 最初の段階は最初からHCV−RNAの検査をしていたんですが、効率のこ とを考えて、コア抗原の方が大量に,費用も安いということなので、コア抗原のチェッ クが入っています。  久道座長 他にはございませんか。なければまた振り返って御質問があったらどうぞ 御遠慮なく出していただいて結構です。次に各地方自治体のC型肝炎対策の取り組みの 現状を説明をしていただきますが、岩手、大阪、広島の順に御報告をいただきたいと思 います。既に自己紹介されましたが、最初に参考人として岩手医科大学の第一内科の鈴 木教授にお越しいただきましたので、岩手県の現状についてお話しいただきたいと思い ます。どうぞよろしくお願いいたします。   鈴木参考人 それではお手元にスライドと同じような資料がございますので、それを 見ていただきたいと思います。きょうのこの懇談会につきましては、いわゆる二次医療 機関を受診した患者さんの治療、フォローアップをどうするかというところが中心だと 思いますが、簡単に岩手県の現状をまずお話をしたいと思います。  そこに岩手県のいわゆるウイルス肝炎対策専門委員会というものの構図を示しており ますが、この会はもともと1982年からこういった組織ができまして、今継続して活動し ております。当初はB型肝炎に対します母子感染事業が1986年から開始されたわけです が、岩手県におきましては1982年から準備ということでスタートしたところがございま して、そこに書いてありますように、行政、そして医師会、あるいは我々の大学とか、 あるいは婦人科、小児科、保健所、こういった方々にお集まりいただきまして委員会を 構成しております。  これが平成14年から始まりました肝炎検診事業が本格的にスタートした後に、もう一 度改めてこういった検診体制をつくりました。この中で他県とちょっと違う点は、岩手 県におきましてはいわゆるB型とC型の抗体、あるいはそういった肝炎ウイルスの検体 検査というものが一括して岩手県予防医学協会で行っている点でございます。そこに書 いてありますように、そういうことによりまして検診依頼機関が一つであるということ、 あるいは測定法がもう統一されているということが一つの特徴でございます。  そして節目、節目外検診を含めて、各市町村で検査を行いまして、そしてその結果に 基づいて一次医療機関、二次医療機関、そして三次ということで大学が位置づけられて おりまして、その間に受診者のアンケート、受診をしたかどうかというようなチェック、 また医療機関に毎年そのアンケートを送りまして、その患者さんがどうなっているかと いうような追跡調査も行っているということでございます。  これがもうちょっと詳しく書いたものでございますが、今、平成14年からは各市町村 におきまして未受診者リスというものが大体出ておりますので、そういった方につきま してはなるべく保健師さんとか、地元で二次医療機関にぜひ行ってくださいというよう な、そういった個別の対応もやっておりますが、岩手県予防医学協会から各医療機関に 各患者さんの受診したかどうか、そういったはがきの回収と、あとは毎年1回の経過観 察を行っているということでございます。  これまでの成績でございますが、検診ということで、岩手県におきましては1996年か らこういった肝炎検診が独自に各市町村でやられてきておりまして、実際のこの事業が スタートする前の年までにおきましては、大体岩手県の人口の約12%の方が検診が終わ っております。そして2002年からスタートしたわけでございますが、現在のところ、最 終的には40歳以上、これは89歳までということで、いろんな検診の方式がございます ので、大体15万人ちょっとということで、同年代の約20%近くが検診が終わっている 状況でございます。  肝炎ウイルスの陽性率につきましては、岩手県の場合は全国の平均と同じでございま して、約1%ということでございます。当然のことながら、これは後でどういう治療法 をやるかということにも関係して来ると思いますが、これは全国どこの地域でも同じだ と思いますが、年齢が高くなるにしたがってC型の陽性率が高くなっているということ は岩手県も同様でございます。  ここの検診事業が始まりまして、一つの効果というのは、やはりこういう検診事業を やることによって初めて今まで見つからなかった新たなキャリアの方か発見されている ということで、大体毎年の検診者の中で発見される患者様の6割から7割ぐらいが初め てその検診によって発見された方でございます。  これはそういうことで毎年フォローアップしていて、実際その患者さんがどういうふ うに変わってきたかということを調査している表でございますが、平均約6年の観察期 間の中で改善する方、もちろん進行例が多いわけでございますが、最近はインターフェ ロンとか、そういった治療法が出てきたことによりまして、いわゆる慢性肝炎、無症候 性キャリアから上の方に矢印が行く方も出てきておりますが、多くの患者さんはやはり 慢性肝炎から肝硬変、あるいは肝がん、こういった進行例もやはり多く見られるという ことでございます。  これは発見されましたキャリアの医療機関への受診率、これはアンケート調査でござ います。これは県でやっておりまして出ておる成績と若干低く出ておりますか、岩手県 におきましては二次医療機関といいますか、精密検査ということで受診率が79%ぐらい でございまして、このアンケート調査が来ましたら大体回収率が70%前後で、そして大 体7割の方が発見された方が行っているということでございます。この数字というのは ここ数年変わっておりませんので、2割から3割ぐらいの方がやはり発見された後、医 療機関を受診してないという状況でございます。  これは医療機関を受診された方がその後どうなっているかということのアンケートで ございますが、定期的に受診をしている方が6割から6割5分ぐらいということで、そ こに書いてありますように、一度とか二度行って、その後受診してないという患者さん は減ってきているということで、少しずつ経過観察をしている方がふえているというこ とでございます。  これはいわゆる一次医療機関として位置づけておりますかかりつけ医と、二次医療機 関、三次医療機関ということで、どのような治療法をやっているかというものを、やは りこれもアンケートで結果を見たものでございます。そうしますと大体一次医療機関に おきましては、これはいろいろな条件がございますので、ちょっとこれだけでは単純に 言えないと思いますが、一次医療機関におきましては単なる経過観察をするということ が少なくなってきて、何らかの肝庇護療法が少しずつふえてきている。一方、二次、三 次医療機関におきましては、逆にちょっと経過観察例がふえてきているというような状 況でございます。  これには後で出てきますが、いわゆる肝機能、トランスアミナーゼが正常の方、ある いは高齢者の方が多くなってきたというようなところにも原因があるかもしれません が、単純にどういった治療法をして、あるいはどういうことで経過観察をしているかと いう、そういうような結果でございました。  実際にはインターフェロンとか積極的な、いわゆる抗ウイルス療法が必要なわけでご ざいますが、大体岩手県におきましては全体では10%の実施率ということで、当然のこ とながら男性の方が実施率が高いのですが、女性の方で少ない。そしてやはり60歳以上 の方が少ないという結果でございます。  どうしてインターフェロン治療をやってないかというか、できなかったかというよう な理由を聞いております。そこに書いてありますように、男性も女性も肝機能、いわゆ るトランスアミナーゼが正常であるという方と、あとはやはり年齢が高齢のためという ことでの回答が多うございまして、その他、そこに書いてあるような頻度がございます が、大きな要因としてはその二つがあるのではないかなというふうに考えております。  特に岩手県は四国全県に匹敵するぐらいの非常に広大な県土でございますので、その 中でこういった検診事業、あるいはフォローアップを展開していくというのはなかなか 難しい場合もございますが、特に盛岡近郊のS町というのがございまして、ここがHC Vの感染率が非常に高い地域でございまして、町の方と我々とで連携して肝炎対策検討 会という組織をつくりまして、肝炎検診そして希望者に腹部超音波検査、あるいは個別 相談、これは我々が事後相談ということで行っておりますが、また地域での健康フォー ラム、交流会などをやっているところでございます。  そういった積極的に町が、このS町での取り組みにつきましては、厚労省からの補助 をもらってC型肝炎対策ということで展開しているようでございますが、そういった地 域におきましてもやはり12%の方が未受診でございます。通院治療中、あるいは経過観 察中とか、そういう方が約7割ぐらいいらっしゃいますが、こういった積極的に住民に いろんなことをやっている地域でも、やはり1割ぐらいの方は未受診者というような状 況でございます。  そういった地域におきましても、やはり実際の患者さんから理由を聞きますと、そこ に書いてありますように、自覚症状がないからとか、あるいは治療や経過観察が必要と 思わなかったと、こういった意見が多うございますし、またやはり医師から異常がない と説明された、これはいわゆる高血圧とか他の病気で医療機関に受診していて、そして 肝炎検診、ウイルス検診を受けたということでわかった人でございますが、多分この大 部分はいわゆる1回とか2回血液検査をして、肝機能が正常だと言われた方だと思いま すが、こういった状況でございます。  したがいまして、今日の議論になると思いますが、検診事業体制、各市町村と連携し ましていわゆる検診を受けられる方、そして新たに発見されたという、そういったキャ リアの方が医療機関に行くということにつきましては、こういった検診事業が始まった 以降だいぶ向上してきておりますが、やはりそこから実際に積極的な治療を展開するか どうか、あるいはそういった体制、かかりつけ医を含めた医療機関との連携を含めて、 そのあたり、あるいは肝機能が正常な方に対する治療の標準化とか、そういったところ を今後やはりきちんとした形で啓蒙していかなくちゃあならないのではないかなと考え ております。  なお、岩手県におきましては、やはり肝臓の専門医が非常に少のうございますので、 各地域におきまして、二次医療圏の中心的な県立病院とか自治体病院の消化器を中心と したドクターに一応二次医療機関の受診先ということでお願いして、そういった体制を つくっておりますが、やはり大体岩手県においては38%の方がかかりつけ医、一次医療 機関に行っております。先ほどお示しした成績よりもちょっと少のうございますが、で すから非常に広域なところにおいてはそういったかかりつけの人にもこういった肝炎の 検診、そして治療に参加していただかないと、なかなかうまくいかないのではないかと 考えております。以上でございます。  久道座長 どうもありがとうございます。どなたか御質問はございませんか。  宮村委員 まず、こういう緻密な事業を続けておられることに敬意を表したいと思い ます。その中でも特に検査体制の中で、岩手県予防医学協会というものがあって、そこ で検査等を一括して検査の方法、手法等も統一化されているということを高く評価した いと思いますが、実際に検査は、血清はこの岩手県予防医学協会のところにものが移動 してされるわけですか。  鈴木参考人 そうです。  宮村委員 わかりました。そうしますと2000年ごろから始められて、2005年になっ ていますが、その間、検査方式も飯沼委員が言われるように進歩してるところがあると 思いますが、キャリアの定義というのは変わってはいないんでしょうか。その辺を教え ていただきたいと思います。  鈴木参考人 厚労省の肝炎対策研究班の吉澤先生が班長をやっております研究班、そ こに一応岩手県がモデル地区として参加しておりまして、検査手順とあとはその検証と いいますか、そういったことでやってきておりますので、もともと予防医学協会におき ましては、HCV抗体検査と、あとはRNA検査をやりまして、そして陽性者を判断し てきておりましたので、最終的な結果は今回の検診事業では途中にコア抗原の検査が入 っておりますが、最終的にナットウ(?)をやってというような方式でやっております が、陽性、陰性の判定は多分同じだと考えております。RNAまでやっているというこ とでございます。  宮村委員 それからもう一つ、岩手県の中でC型肝炎のキャリアのここでは高感染地 域というふうにされていますが、これは有意なことだと思われますが、この感染方式と か、その理由についての検討等は今どの辺までわかっているのですか。  鈴木参考人 過去に私の前任者が中心になって、どういうふうにしてそこで非常に多 かったかというのを調べているようでございますが、やはり今は閉院したというような 開業医の方といいますか、そういった医療機関での受診者が非常に多かったということ が一つ出ているようでございます。大体3%ちょっとぐらいの地域で,岩手県の場合は 西の方と違いまして10%とか、そういった地域ではないのですが、昔の医療機関を介し たものではないかというような話もあるのですが、私は余り詳しくはわかりません。  久道座長 他にございませんか。  八橋委員 最後から2枚目のスライドを見させていただいて、問題点はここにあると 思いました。結局、C型肝炎であることはわかっているけれど、検査を受けられないと か病院へ行かないという理由には、やはり自覚症状がないとか、必要がないと理解され ていることかと思います。住民の方の知識向上、啓発活動が必要だと思います。またか かりつけ医の先生の方がおそらくは肝機能、いわゆるALT値が正常だから、余り心配 いらないよということで診療が止まっているケースが結構多いんですよね。  我々はC型肝炎の方を見ますと、必ず腹部エコーを行います。それをやらないととて も怖いような気がします。そのあたりのギャップがあり、そういう意味で今回の懇談会 を含めて住民の方とかかりつけの先生方に対してC型肝炎の病気の全容を正しく理解い ただくことが非常に重要ではないかというのがあのアンケートから浮かんできたような 気がしました。  久道座長 それは質問で見なくて御意見ですね。他に何かございませんか。  廣瀬委員 検査は三つの検査法ということで、最初に正林先生が報告されたこの要精 検者という、ここの三つの検査法ということと同じでよろしいんでしょうか。  正林調整官 はい、そうです。これは一応指針が出ているもので。  廣瀬委員 これというのはHCVのキャリアと感染既往者を区別するというようなこ とから、必ず三つをするという理解でいいんでしょうか。  鈴木参考人 研究班でこういった検査手順とか、どういった検査をやれば一番効率的 にキャリアの方を発見して、かつコストの面も含めて、ずっと3年ぐらい検討してきた わけでございまして、私どもも班員として一応やらせていただきましたが、その中でこ の方法というのが今全国的に統一したC型肝炎の患者様の発見といいますか、そういう ことで同じ方式でやっていると理解しておりますが。ただ、確実に今ウイルスがいる陽 性者を発見するということで、まずこれでほとんど見逃しがないということは検証して おります。  久道座長 それでは引き続き参考人の方々に説明をいただいて、また鈴木先生に質問 に戻って結構ですから、次は大阪の現状を林委員にお願いしたいと思います。   林委員 それでは大阪府の例をとりまして、C型肝炎の診療体制の問題点を二、三述 べさせていただきます。先ほどからお話がございますように、C型肝炎というのは現在 二つの観点から診療体制を急速に整備していただかなければならないと思っています。  一つは疾患概念の問題で、後ほどもう少し詳しく申し上げますが、ALTが正常のC 型肝炎の患者さんをどのように扱うかということです。それからもう一つは治療方法が 急速に変わってきておりますので、ある程度そういう情報をもっている方でないと適切 な治療あるいは助言ができないと言う点です。  これは大阪市を除く大阪府の例でございますが、先ほどの岩手と同じでございますが、 検診で平成14年から16年で大体年間1,000名近くのC型肝炎ウイルスの感染者が見つ かってきています。  これが年齢別に分けたものでございますが,特に高齢者の節目外検診で、陽性率が圧 倒的に高くなってきています。そういうことで感染者を見つけるということについては、 ある程度スムーズに現在いっていると思っておりますが、問題はその新しい感染者に適 切な治療が行われているかが重要で、大阪府は肝炎フォローアップ事業というのをやっ ています。  これは検診実施機関で陽性者が見つかりますと、御本人の同意をとりまして、その方 の詳しい診療情報を集めさせていただきまして、それを大阪府全体で標準治療評価部会 というのをつくりまして、適切な治療が行われているかどうかという、質の問題を検討 しています。単に二次医療機関に受診しているだけではなくて、そこで本来の適切な治 療が行われたかどうかということを検証しようということでやっています。  これがその報告書でございますが、かなり複雑な報告書ですので、一部の医療機関で は御協力をいただけないところもございますが、協力をいただいたところは大阪府全体 で先ほどの部会ですべてチェックさせていただいています。  検診期間の14年8月から16年3月までで905人の方に登録いただいています。そこ で一番の問題は、ALTの分布をごらんいただきますと、68%の方が35以下でございま す。これは実は非常に大きな意味をもっておりまして、普通一般では無症候性キャリア といいまして、余り病気が進行していかないのでしばらくそのまま経過を見ればいいと いう層なんですが、実際に調べますとALTが35以下なので肝炎が起っていないので、 一切精密検査をしていない事例というのがかなりございます。単純にALTが正常だと いうことで以後の検査をしておりません。   それからかなり病気が進行して肝硬変になってまいりますと、実はALTが下がって きます。血小板を見て明らかに肝硬変だと思われる例でもALTが35以下だということ で、それ以後の検査をしていない事例等がかなりございます。そういうことでかなり内 容を詳しく見ていかないと実際に二次医療機関に行かれたとしても適切な治療が行われ たかどうかということが大きな問題になると思います。   以前、肝機能が正常な無症候性キャリアと言っていたものについては、最近国際的に は呼称が変わってまいりまして、肝機能が正常なHCV感染者という呼称に変わってき ています。その中には慢性肝炎、あるいは肝硬変を含んでいることがありますので、無 症候性という言葉を国際的には使わなくしておりますし、そういう層にインターフェロ ン治療を行いましても、慢性肝炎とほぼ同等の治療効果があるということが国際的に明 らかになってきていますので、日本肝臓学会でもそこの治療をどのようにするかという ことが現在議論の対象になっているところです。  これも同じような解析でありますが、905人で中段のグリーンのところを見ていただ くのが一番いいと思うのですが、二次医療機関でどのような最終的な診断がなされたか ということでありますが、肝炎発生なしというのが46%もあります。これはALTが正 常だというのが最大の根拠になっていますが、この中にはかなり不適切な判断がありま す。それから慢性肝炎が47%、肝硬変が4%、肝がんが0.5%ということで、やはり二 次医療機関で今後診療体制を整える時に一番問題になるのは、やはりALTの正常者を どのように今後扱っていくかということで、この点を明確にしなければいろいろ混乱が 起るところではないかと思っています。  大阪府はやはり人口が多いので、このようにフォローアップしましても、なかなか正 確なフォローアップができないと思っています。すべてのHCV陽性者からフォローの データをとることができませんので、方向を少し変えまして、大阪の北でかなり人口が 小さい、池田市、箕面市、豊能町で検討しました。そこではHCVの陽性者が見つかり ますと池田市民病院にほとんど患者さんが送られてくる体制がつくられています。二次 検診機関で正確な判定ができる医療機関にほぼ来るという地域でございまして、検討し たのがが以下の成績です。  やはり70歳以上のキャリア率が2.3%と非常に高くて、40歳代ですと0.46%ぐらい のキャリア率です。  男性が21人,女性が22人、合計43人の方が池田市民病院に来ています。その中でA LTが36以上の人は51%ですので、やはりALT正常の方が約50%あります。血小板 が15万未満という、肝硬変の可能性がある方ですが、それが30%近くいます。  実際そこでどういう最終的な判断をしたかといいますと、16%、7名の方にインター フェロン治療、16人、37%の方にウルソあるいは強ミノCという注射をして、できるだ けALTを下げる治療をして、残り20人47%が経過観察だということになっています。  このように二次医療機関で一度、専門家の方に病態を判断していただいて、その後の 治療指針を決めた上でかかりつけ医の先生に戻していただくのが非常にありがたいと思 っています。その最大の理由は先ほど申し上げましたように、診断と治療方法の変化が 非常に激しいということで、できるだけ一度専門医に診察していただきたいと思ってい ます。  個々のドクターのレベルを上げるということについては、日本肝臓学会でも努力をし ておりますので、個々のドクターのレベルは上がっていくと思いますが、やはり治療法 等の変遷が非常に激しい時代に来ておりますので、できたら一度は専門医に受診してい ただくのがいいのではないかと思っています。以上です。   久道座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明に対してどなたか御質問 御意見はございますか。  宮村委員 大阪は人口が多いとともに、もう一つ岩手県などに比べれば人の移動とい うのがあるというのが重要だと思うんですが、フォローアップの時にその辺の配慮とい うのはどういうふうにされていますか。   林委員 患者さんの個人情報を含んでおりますので、かなり厳密な同意をとった上で やっています。そういうことで発見された陽性者に比べたら実際にフォローアップされ ている患者さんの割合は少ない状況になっています。移動等の影響もあるのですが、大 阪府全体でこのフォローアップ患者数の割合を上げるというのは難しいと思っていま す。これはある程度モデル事業で、実際どの程度のことが行われているのかという予測 でしかないと思っています。  一方、小さな市ですと確実に患者さんのフォローアップができますので、先ほど池田 市の例をお示しいたしましたが、厳密な数字を得ようと思うとああいう特定な市を選ん でデータをとる以外にはないだろうと思っています。どちらにしてもALTが正常な患 者さんを今後どのように扱うかというのが一番大きな問題ではないかという気はしてい ます。   久道座長 他にございませんか。  西村委員 同じ大阪で南の方に住んでおります。和泉市というところで人口が約20 万弱なんですが、感染率が1%と計算しまして、約2,000人が感染でフォローアップの 対象になるのと違うかなと私自身は考えているんですが、そこで肝炎を診てくれる総合 病院が三つあります。専門医が総合病院に3人、一般開業医で1人いてはるのですが、 ですから一つの中くらいの町の肝炎の対策を考えていかないかんところだと思うんです が、うちの患者さんから聞いても、そういう病院というのは待ち時間が長くて、非常に 診察時間が短いということで、いろいろ相談もできないという問題とか、それから超音 波検査なんかも3カ月や4カ月ということで、行くんだけれども受けにくいという、い ろんな悩みが患者会に寄せられております。  それで今後の課題として、そういう大体それぞれの町で感染者数がはっきりしてきま すから、そこでの診療をどういうふうにしていくかということで、今やっておられるこ ととはまた別にモデルといいますか、そういうものをつくっていかないかんのとちがう かなと思っております。2,000人の患者さんの管理をしていこうと思ったら、今の保健 センターとか保健所、そういう公的病院も含めまして、なかなかしんどい面があるのと 違うかなというふうに思っているんですが。  林委員 西村さんのおっしゃるとおりであります。単純に患者さんをその地域の専門 医の数で割りますと、とても診れる数にはなりません。偶然今すべての患者さんが医療 機関に行っていないので何とか医療行為ができているという現状だと思っています。そ ういうことで大阪でもC型肝炎の知識をもっている専門医の数をふやすようにできるだ け努力をしておりますし、専門医療機関はできるだけふやすようには行っておりますが、 なかなか急激にふえないという事情があります。  それに対する対策は、今回診療体制をどうするかということにも大きく関わっていく と思いますが、もちろんかかりつけ医の先生方のレベルを上げて、専門医の方がすべて 最初から最後まで見るというのではなくて、その評価だけをして日ごろの診療について はできるだけかかりつけ医の先生のところでフォローする体制が重要です。専門医の数 をふやすと同時にかかりつけ医のC型肝炎の医療知識レベルを上げるという、両方でレ ベルアップを図っていかなければならないだろうと思います。  久道座長 このかかりつけ医のレベルを上げるということになると医師会の関連です よね、飯沼先生、これに対して何かございませんか。  飯沼委員 当然そのレベルアップをしなきゃあいけないのですが、かかりつけ医がや ることが非常にたくさんありますので、系統別ぐらいの分け方で、例えば循環器をやっ ている先生に判断をせえというのも酷は酷だと思いますが、一番近いわけですから、消 化器を広く扱う先生とか、こういうところには例えばウイルス学者が医者になったもの もいっぱいおりますよね。そういうのは使いようがあるんです。例えば臨床の先生方は、 初めから臨床の人はインターフェロンというものを、あれは薬だと思っている。だから 我々が大学院に入ったころは5単位のインターフェロンをつくるのに何カ月もかかって やって、それができた時のあの嬉しさというのは今でも覚えていますが、そういうイン ターフェロンという物質や何かを薬という判断じゃなくて、あれは生物製剤で生物由来 のものであるということをしっかり認識できるような、そういうことの経験のあるウイ ルス学者だったら当然応援はできるし、そういうように少し分けて、呼吸器の専門家に ウイルス屋さんはたくさんおりますが、それよりもやっぱり消化器の先生にお願いをそ れはした方がいいと思うので、そういうことの努力は生涯教育や何かの時に各地区、都 道府県医師会がもう何回も偉い先生に来て講演してもらっているのですから、おそらく 系統別に今年の春は肝臓でいくとか、そういうようなものの考え方をするように、私も 申し上げますけれども、先生たちからもそれは言っていただきたいと思います。  久道座長 今の話いいですよね、系統別にというのは。  林委員 先生がおっしゃいますように、かかりつけ医の先生はすべての疾患を見てい るわけなので、C型肝炎だけの最新情報を知るのは実際難しいわけですが、開業医の先 生も専門分化をある程度はされておりますので、例えば肝臓が御専門でなくても消化管 が専門の先生は消化器病学会で肝臓のことも聞いておられるわけですので、当然知識は あるわけで、その様な先生のレベルを上げるというのが一番てっとり早いと私も思いま す。  久道座長 他に何かございませんか。  八橋委員 専門医が少ないことでちょっと補足しますと、昨年の協議会でもお話しし たのですが、今肝臓学会の専門医は3,300人、C型肝炎のウイルスを持っている方が150 万人から200万人、B型肝炎のウイルスをもっている方が100万人としますと、合わせ て大体250万人から300万人と推定されます。  専門医が1人、1回でも、ウイルスをもっている方を診るとするならば1,000人の方 を1人の専門医が診ないといけないということになります。現実問題としてかなり難し いところです。専門医をふやすというのも一つの手なんですが、やはり私は病診連携を 密にして、開業医の先生と連携してやっていかないととてもできないだろう。必ずしも 開業医の先生方にはC型肝炎の専門家ではない方もおられるのですが、インターフェロ ンを打っていただくのをお願いしますと、ある程度実際に慣れて来られます。今私自身 が患者さんを紹介している開業の先生には10人ほどインターフェロンを打っていただ いている先生もおられますので、そういう病診連携をやっぱり協力していかないといけ ないのかなというふうに思っています。  久道座長 他にございませんか。先生、先ほど905人のフォローアップで登録された 精検情報というのがありましたね。そこでALTが正常だけれども、何か不適切な判断 をしてというのがありましたね。  林委員 細かく見ますといろいろな事例があります。例えばHCV抗体が陽性で二次 医療機関に来ているわけですが、ALTが正常なので、肝炎が起っていないと考えて以 後の検査をしていないという事例がかなりあります。当然C型肝炎の患者さんなんです が、ALTが正常というだけで以後の検査を一切やっていない、だから治療についても 検討されていない。  それから、血小板が非常に低いので、ALTは正常なのだけれども,実は肝硬変まで 進んでいると思われる例があるのですが、ALTが正常なので以後の検査をしていない 事例がかなりあります。そこで、二次医療機関に行って、一度専門の先生に診ていただ かないと、そこで問題なしとはねられてしまいますと、その患者さんは以後医療機関に 行きません。したがって、陽性の人は一回専門家に診てもらってからかかりつけ医の先 生のところに行く方がいいのではないかと思っています。ただ二次医療機関に行く率を 上げるだけではなく、その前後内容を吟味しなければダメだろうと思っています。  久道座長 他に質問はございませんでしょうか。少し岩手県の方に戻るのですが、鈴 木先生にお伺いしますが、精密検査の受診が約62%受けていますよね。それは大阪みた いにどういう検査を受けているか、その中身のことまではわかるんですか。   鈴木参考人 今日はパンフレットのスライドを出しませんでしたが、広島県と同じよ うに、一次医療機関と二次医療機関に指定しました施設につきましては、全部同じよう な方法で検査をしてくださいということで、初診の場合、あとは経過観察の場合にはこ ういった検査項目をやってくださいということで、そういった形でやっております。か かりつけ医の先生方もトランスアミナーゼだけではなくて、血小板とか、いろんなそう いう慢性化の指標になるようなものの検査の回数といいますか、頻度もふえてきている データもあるのですが、ですからもちろんコストの問題とかいろいろあると思いますが、 やはり最初に地元の先生のところに行く人が多いものですから、そこからやっぱり一度 二次医療機関とか、そこに行くように紹介して、また戻すとか、そのあたりの関係をや はりつくるというのが岩手なんかでは特に大事かなと思っておりました。  久道座長 どうもありがとうございました。また振り返って御質問いただいて結構で すので、先に進みまして、広島の現状について御説明いただきたいと思います。よろし くお願いいたします。  伯野参考人 それでは早速広島県における肝炎対策について説明をさせていただきま す。スライドにそって説明をさせていただきます。  まず広島県における肝炎対策の経緯なんですが、主なところですが、平成3年に広島 県地域保健対策協議会というのがありますが、そこの中で専門委員会というのを設置し ております。これは後ほど地域保健対策協議会というのはどういうものかというのを説 明させていただきますが、基本的には医師会と県と市と、あとは広島大学病院との4者 が合同で開催する協議会でございます。その中で肝炎の専門家委員会を平成3年に設置 しております。その後平成7年にウイルス肝炎対策マニュアルというものを、これも地 域対策協議会で作成したものですが、これを作成して各医療機関及び各行政の担当者に も配布をしているところです。  平成14年になりまして、広島県肝炎治療ネットワークというものを構築しておりま す。この肝炎治療ネットワークについて本日は具体的に説明をさせていただきたいと思 います。目的ですが、検査陽性者とありますが、これは先ほどから議論になっています、 要精検者のことでございますが、要精検者を対象に本人とかかりつけ医と専門医が情報 を共有しつつ、適切な役割分担のもとで検診後フォローアップを行いまして、肝炎の進 行及び肝硬変や肝がんによる死亡を予防することを目的としております。  先ほどの広島県地域保健対策協議会についてですが、地域の地と対策の対と協議会の 協をとって地対協と呼んでおります。具体的には広島県の医師会と広島大学と広島県、 広島市の4者で構成されておりまして、目的ごとに専門家委員会を設置しております。 保健・医療、福祉に関する具体的な事項の調査、研究及び協議を実施しております。こ の調査結果をもって具体的な提言を行いまして、行政の施策に反映しております。また、 県の地対協だけではなくて、二次保健医療圏ごとの課題については、県内に七つの圏域 地対協というものを設置しております。  肝炎治療ネットワークの具体的な流れでございますが、まず検査が陽性者、要精検者 になった方に対して、広島県は町村合併で村が一つもありませんので、市町において保 健師が保健指導をまず行っております。その上で「HCVとC型肝炎の知識」このよう なパンフレットを配布しております。今お手元の座席にも配布しているところでござい ます。これをもとに説明、肝炎とは何ぞやというところから説明をしていただきまして、 あわせて医療機関の受診勧奨を行っております。その上で健康管理手帳というのを配布 しております。これは後ほどまた詳しく説明しますが、健康管理手帳を配布した方は市 町が台帳をつけて、管理をする体制をとっております。  かかりつけ医と専門医の連携についてですが、一次医療機関、二次医療機関という言 い方をしておりますが、一次医療機関はかかりつけ医、二次医療機関は専門医という形 で、役割分担を明確にしております。かかりつけ医、一次医療機関は日常的な診察と検 査、注射、処方を行っております。一方で二次医療機関の専門医の方は専門的な診断と また治療方針の決定を行っております。  一次医療機関用と右上に書いてある診療の手引というパンフレットがございますが、 これもお手元に配布しております。これは一次医療機関用と二次医療機関用に分けてパ ンフレットがつくられておりまして、基本的に医療従事者の方に配布するものでござい ます。一次医療機関用としましては、基本的な肝炎の知識について説明をしております。 また、二次医療機関との連携について説明をしております。二次医療機関用につきまし ては、具体的な肝炎の診療の流れについて説明をしておりまして、一次医療機関との連 携、二次医療機関で手に負えないとか、より高度な技術が必要な場合には三次医療機関 に紹介しましょうとか、その辺の具体的な流れが記載されているところでございます。  二次医療機関の選定についてですが、手上げ方式で行った場合にはすべての医療機関 が手を上げてくるかと思います。広島県におきましては具体的な方法としましては県の 地対協が圏域の地対協に推薦依頼をします。圏域の地対協が推薦をするわけですが、そ の条件としまして、原則として肝臓学会の肝臓専門医が常勤をしていること、また肝炎 の病期、活動度などの確定診断等ございますが、具体的には肝生検だとかそういう技術 的なところで対応できるところ、また、その地域での中核医療機関であることが望まし いという、このような条件をもとに圏域の地対協が医療機関を選定して推薦をします。  その推薦をもとに県の地対協が決定を二次医療機関として決定をします。また、その 圏域ごとの二次医療機関だけではなくて、開業医の中でも非常に肝炎にお詳しい方も大 勢いらっしゃいますので、そのような方も二次医療機関としての役割を果たしていただ くために、県の地対協の作業部会、ワーキンググループがありますが、そのメンバーの 中で肝臓の専門医、あるいは指導医にあたる方を二次医療機関として選定しております。 今、現時点の二次医療機関の数でございますが、圏域ごとではトータルで30の医療機関、 開業医の方では四つの医療機関、トータル34の医療機関が二次医療機関として選定され ているところでございます。  健康管理手帳の活用ですが、検査陽性者に対して保健師が保健指導、受診勧奨をしま すが、あわせて健康管理手帳を配布します。  具体的な中身ですが、これは本日配布していないのですが、医療機関の受診を勧める 際にはまずかかりつけ医を実際のところは勧めております。かかりつけ医に受診した際 にかかりつけ医はなるべく速やかに専門医を紹介することになっております。専門医と いうのはいわゆる二次医療機関です。なるべく速やかに紹介して、診断及び治療方針の 決定を行っていただくこととしております。  その際に、これは3種類色がありますが、かかりつけ医、専門医、患者と、3枚の複 写つづりになっておりまして、かかりつけ医が専門医の方に紹介状を書いていただいた 際に、3枚複写になっておりますので、かかりつけ医も専門医も患者さんもすべてが情 報共有するようなシステムになっております。紹介された専門医はかかりつけ医に対し て返事を書くような形になっております。これも3枚つづりで情報を共有できるような 体制をとっております。   報告書というのがございますが、これは基本的にかかりつけ医が行政の方に報告して もらうものでございます。向かって左側が受診勧奨を行政がして、実際に受診したかど うかを確認するための報告書でございます。向かって右側は1年後のフォローの報告書 でございます。これによって受診勧奨した方が本当に受診をしていただいたかどうか、 あるいは1年後の報告書によって受診を継続していただいているかどうかというのが確 認できます。  肝炎治療支援ネットワークのまとめでございますが、まず真ん中に患者さんがござい ます。患者さんが検診を受診して、行政が要精検者に対して保健指導及び医療機関の受 診勧奨、手帳交付を行います。その後、患者が基本的にはかかりつけ医に行きます。か かりつけ医がない場合は専門医を受診します。かかりつけ医に受診していただきまして、 速やかに専門医を紹介することになっております。専門医の方は診断と治療方針の決定 をするわけでございますが、その後のお薬の投薬だとか注射に関してはかかりつけ医が 行うことになります。  その後、かかりつけ医も、何の変化もない、肝機能障害は異常ない、薬の投薬で落ち 着いているという状態であっても、1年に最低1回は専門医を受診することとしており ます。かかりつけ医、あるいは専門医が行政の方に先ほどの報告書がございましたが、 報告書を通じて行政の方に報告していただく、また行政の方もかかりつけ医の方に受診 状況等を確認する、このようなシステムになっております。  普及啓発活動ですが、こちらはまず県民と医師、医療従事者の方に分けて記載してお りますが、一つはパンフレットの作成でございますが、県民の方へは検診を受けられる 方に、「肝炎検査を受けられる方へ」というパンフレット、または検査で要精検となっ た方へ「肝炎の基礎知識」というパンフレットを配布しているところでございます。ま た、県民の方へは県民公開講座を開催しまして、毎年開催しておりますが、普及啓発を 行っているところでございます。  医師への普及啓発ですが、パンフレットでございますが、「診療の手引」を配布して、 かかりつけ医及び二次医療機関の専門医の方に正確な情報、普及啓発、またネットワー クの説明をしているところでございます。また、県地対協で講演会を開催しまして、こ のネットワークの説明を毎年行っているところでございます。  平成14年にこのネットワークが始まりましたが、その後3年たった平成17年に実際 にどのような状況かという調査を行っております。県内の28の全市町村に対して行って おりますが、回収率は100%です。  調査結果でございますが、まず要精検者となった方に対して肝炎手帳がどれぐらいの 割合で交付されているかという状況でございますが、C肝とB肝で分けておりますが、 C肝に関しては60%、B肝に関しては79.8%。基本的に集団検診で行えば保健師が全員 の方に配布できるところでございますが、個別検診の場合に担当した医師が配布してい ただかなかった場合に、このような数字に反映されているというふうに思います。  2番目でございますが、手帳交付者の受診状況、実際に受診勧奨をして受診していた だいているかというところでございますが、下のグラフにありますが、C型肝炎の場合 はトータルで89.3%、B型肝炎の場合は83.7%の方が実際に医療機関を受診しておりま す。しかし二次医療機関まで受診している方というのがC型肝炎の場合は半分、B型肝 炎の場合は38%ということで、やはり一次医療機関でストップしてしまっているという のが現状のようです。  肝炎対策の課題ですが、いくつかありますが、主なところは真ん中の二つかと考えて おります。一つは医療機関への受診勧奨を行ったものの受診状況、これは実際に報告書 というはがきで確認をできるようなシステムになっておりますが、なかなか報告書とし て出していただいていないという状況がございます。そのため、受診の状況がタイムリ ーに把握できてないという状況がございます。  また、具体的な治療方法の中身に関しましても、1年後の報告書で返事をいただけれ ば把握できるシステムにはなってございますが、なかなかこちらも100%返信をいただ けないという状況にございますので、この辺をどうやって改良していくかというところ でございます。  3番目のところにありますが、受診中断者に対する受診勧奨、これは市町村によって 保健師の、ある程度個人的な熱意によって多少変わって来るところでございます。市町 によっては非常に熱心に勧奨して受診率が非常にいい場合もありますし、場合によって は余りよくないというところもございます。この辺をどうやって改良していくか、これ は例えばガイドライン、マニュアル等をつくっていくというのを今考えているところで ございます。以上でございます。ありがとうございました。   久道座長 どうもありがとうございました。今の説明にどなたか御質問はございます か。肝炎手帳というのは行政が出すんでしょうか。  伯野参考人 はい。  久道座長 交付状況が60%というのはどういうことなんですか。  伯野参考人 先ほども少し説明したんですが、集団検診であれば結果を聞きに来る時 に保健師が配布はできるわけですが、個別検診の場合は契約している医療機関の方で受 診をするわけでございますが、その際にやはり十分に手帳のことが周知できていないと いう点があるんだと思いますが、お渡ししていただけてないという現状があります。  久道座長 そうすると取りに来ないということですね。  伯野参考人 来ていても開業医さんが配布していただけてないという場合もございま す。  久道座長 他に何か御質問はございませんか。  西村委員 広島県の場合でしたら都市部と田舎とあって、その辺で感染者の方の受診 動向というのは差があるものなんですか。  伯野参考人 地域別にアンケートはとっておりますが、その辺の詳細な解析まで行っ ておりませんので、受診勧奨した後の受診したかどうかの割合でございますか。  西村委員 そうですね、陽性者で、その後一次医療機関、二次医療機関を受けておら れるかどうかという、というのは今後の問題として、患者会なんですが、割合地方の患 者会で困る例がたくさん聞かれます。要するに陽性とわかっても、今先ほど他の報告に もありましたが、時間がないとか、いろんなことで受診できない問題が割合患者会にも 寄せられてくるんです。ですから広島の場合は全部にそういうシステムをつくってやっ ておられますから、地域的にどういう受診動向というのは把握しようと思ったらできる のと違うかなと思ってお聞きしたいんです。  伯野参考人 実際にアンケートはとって、地域ごとの受診状況を出すことは、データ は揃っておりますので、確認することはできます。今後参考にさせていただきます。  久道座長 それは後で担当に教えてください。他にございませんでしょうか。広島の 例だけではなくて、岩手県の例、それから大阪の例も含めて、全体を見ていかがでしょ うか。よろしいでしょうか。  それでは質問がないようですので、議事の方を進めたいと思います。(3)のAの検 討というところなんですが、これは事務局から説明をお願いしたいと思います。  正林調整官 私から資料4について御説明をしたいと思います。C型肝炎診療体制に 関する主な検討事項ということで、事務局の方で案を考えさせていただきました。  まず一つ目に、検診等を通じてC型肝炎ウイルスに感染している可能性が極めて高い と判定されたものに対する相談、診療指導、これをどうしたらいいかというのが一つ。 二つ目に検診の結果、医療機関への受診を勧奨されたものの受診状況や治療状況等の把 握。三つ目がHCV持続感染者が継続的なかかりつけ医へ受診などの健康管理を十分に 受けていない場合の改善方策。  四つ目が身近な医療圏において病状に応じた適切な肝炎診療が行われるよう、かかり つけ医と専門医療機関との連携の強化。五つ目が慢性肝炎、肝硬変、肝がんに対する高 度専門的ないし集学的な治療を提供可能な医療機関の確保。六つ目が肝炎、肝がん診療 にかかわる医療機関情報の収集と提供。七つ目が肝炎、肝がんの診療にかかわる人材の 育成。  以上のような検討事項を用意させていただきましたが、これをそれぞれ検討していた だいて、最終的には先ほど局長のごあいさつにもありましたが、都道府県で同じような こういう協議の場というのを設けていただこうと思っていまして、その際にこういった 検討事項についてまとめて、何かガイドラインみたいなものもお示ししておけば都道府 県も取り組みやすいのではないかというふうに考えております。  久道座長 今、事務局からの説明で何か御質問はございませんでしょうか。  西村委員 都道府県で同じような協議会を、こういう場をつくっていただくというお 話がありましたが、C型肝炎についての都道府県自治体でのこういう事業についての実 施要領みたいなものを新たにつくられるという、そういう計画はあるんでしょうか。  正林調整官 今、実施要領を作成中でございます。予算はとってありますので。  関山課長 これは、もう既に実施要領については内部決済をとって発出する状況でご ざいますので、そしてまたこういった事業を実施することについては、従前から都道府 県等にもお話をさせていただいておりますので、しかるべき都道府県等と言った方がよ ろしいんでしょうか、都道府県、政令市、特別区において、そういう事業を体制を組ん でいく、事業の実施内容を御紹介させていただく協議会をつくるというお話でありまし たが、協議会をつくるという以外にも、先ほどかかりつけ医の質の向上をどうしましょ うかといったことについての研修会、あるいは患者の方々等に対するシンポジウムの開 催、その他普及啓発、こういうようなものを盛り込んで出していこう。  したがってこういう予算の内容を確保したとしても、検討事項で御提案させていただ いているようなことをもう少し肉付けてこの場で御検討いただいた方がより都道府県等 においてのこの問題の対応というのか具体的に下ろしやすいのではないかということで あります。同時並行的におそらく、これは検討事項は検討事項として御検討いただきま すが、都道府県においてはやりやすいところから予算を確保していただいて実施してい ただくというようなことになろうかと思います。今年は同時並行的にやるみたいなこと です。  久道座長 よろしいですか。他にございませんか。  廣瀬委員 今日は全国保健師長会長の村田さんが欠席ですので、教えて下さい。保健 師等の相談の指導について、例えば広島県などの治療支援ネットワークでは、どこかに 1人ぐらい保健師さんは入っているんですか。  伯野参考人 ネットワークと申しますか、市町の方で説明する患者さん、要精検者に 説明する上ではもちろん保健師さんが説明しておりますが、地対協の中にですか。  廣瀬委員 患者さんにどういうふうに効果的に説明していくか、その人の生活実態も 含めて把握していないとなかなか進まない話ですよね。肝炎対策の組織の中に保健師の 代表みたいな人が組み込まれているのですか。  伯野参考人 保健所の保健師が説明しています。  久道座長 他にはございませんか。よろしいでしょうか。きょうは第1回目ですので、 いろいろ御意見はまた後で、ああこれも話しておけばよかったということがあろうかと 思うんですが、まずその議題の方に戻って進めたいと思いますが、(4)の作業班の設 置という項目がございます。開催要領の中の4番目に、懇談会は必要に応じて外部専門 家を交えた作業班を開催することができるということがありますので、作業班を設けて、 今事務局から提示されたいろんな検討事項についてもう少し詳細な検討をしてもらいた いというふうに思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  ワーキンググループを設けるということなんですが。それでは作業班を設けるという ことについて御了承いただきました。その班の班長に私の方から指名させていただいて、 林委員に作業班の班長をお務めをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろ しいでしょうか。  委員全員 異議なし。  久道座長 はい、どうもありがとうございました。ということになりますと作業班の 人選も、これは林委員にお願いするということで、何かみんなお任せなんですが、それ でよろしいでしょうか。  委員全員 よろしくお願いします。  久道座長 それではどうぞ林先生、よろしくお願いしたいと思います。皆さん異議な しということですので、そのようにさせていただきます。  その他、事務局から何かございますか。特にないですか。それではきょうの議事は全 部終了いたしました。予定よりも15分早めに終わりましたので、上出来だと思いますの で、一つこれでよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。   西村委員 会議の運営といいますか、いつごろまでにこの会を終わるとか、そういう 予定、開催の頻度とかはどうなっていますか。   関山課長 開催の頻度につきましては、先ほどの作業班の中で課題についてもんでい ただきますので、一定のとりまとめができた状況でこの会を開催させていただこうとい うことで考えております。したがってその検討状況によるんだと思いますが、できれば 年末ぐらいになりますでしょうか。  西村委員 余り長くかかるとこれは非常に対策が急ぐことでございますので、できる だけ早くお願いします。  関山課長 そういったことでそのとりまとめ状況においてとりまとめ次第開催させて いただくということになろうかと思います。  久道座長 そういうことです。よろしいですね。それでは改めてきょうはどうもあり がとうございました。閉会いたします。                                   (終了) 照会先:厚生労働省健康局疾病対策課 中村(内線2943)