06/06/02 第27回厚生科学審議会感染症分科会(議事録) 第27回厚生科学審議会感染症分科会議事録 1.日時  平成18年6月2日(金)9:30〜12:26 2.場所  厚生労働省9階 省議室 3.出席者 (委員) 倉田分科会長、阿彦委員、飯沼委員、池上委員、植田委員    岡部委員、大野委員、小野寺委員、神谷委員、北村委員    相楽委員、重藤委員、澁谷委員、白井委員、菅沼委員、高橋委 員 高山委員、竹内委員、丹野委員、寺島委員、廣田委員、南委員 深山委員、宮村委員、山口委員、山田委員、吉澤委員  (厚生労働省)岡島審議官、塚原結核感染症課長、滝本感染症情報管理室長 正林感染症対策企画調整官 新課長補佐、鈴木課長補佐 三木課長補佐 4.議題 1)感染症法等一部改正法案における委任命令に関する事項              2)その他 (議事内容) ○鈴木課長補佐  皆さんおはようございます。定刻でございますので、これより第27回厚生科学審議会 感染症分科会を開催いたします。  委員の皆様方には、御多忙中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうござい ま す。私は健康局結核感染症課の鈴木でございます。しばらくの間、進行役を務めさせて いただきますのでよろしくお願いいたします。  まず、本分科会の開催に当たりまして、岡島審議官よりごあいさつ申し上げます。 ○岡島審議官  おはようございます。本日は、委員の皆様方におかれましては、御多忙中にもかかわ らず、27回目の厚生科学審議会感染症分科会に御出席いただきましてありがとうござい ます。  さて最近のH5N1型の鳥インフルエンザの発生状況につきましては、御案内のとお りだと思いますけれども、私どもといたしましては、こうした状況を踏まえまして、H 5N1型の鳥インフルエンザを指定感染症に指定するという政令を本日公布したところ でございます。また、鳥インフルエンザだけではなく、あるいは新型インフルエンザだ けではなくて感染症に対する備えというのは今後一層重要になるというふうに考えてお りますので、総合的な感染症対策としまして、病原微生物の管理体制の確立などを図る ための感染症法の一部改正法案につきまして、本年3月に閣議決定をいたしまして国会 に提出しているところでございます。国会での審議はまだ行われておりませんけれども、 今後この感染症法の一部改正法案の施行に向けた準備を進めていく必要があるというこ とで、関係省令を策定する必要がございます。  本日、お集まりいただいたことがまさにそれでございますけれども、委員の皆様方に は、専門的・技術的事項につきまして御意見をいただきたいというふうに思っておりま す。どうぞ専門的事項、そしてまた大局的な見地も踏まえまして忌憚のない御意見をち ょうだいできますようお願い申し上げます。  簡単でございますが、私のごあいさつとさせていただきます。本日はよろしくお願い いたします。 ○鈴木課長補佐  それでは、開会に先立ちまして、私の方から、このたび新たに就任されました委員の 御紹介と委員の出欠状況の御報告をさせていただきます。  まずは、このたび新たに就任されました委員の御紹介をさせていただきます。  厚生科学審議会臨時委員に就任されました全国町村会常任理事寺島光一郎委員でござ います。 ○寺島委員  寺島です。どうぞよろしくお願いします。 ○鈴木課長補佐  本日の出欠状況につきまして御報告いたします。坂谷委員、青木委員、岩本委員、加 藤委員、川城委員、木村(哲)委員、木田委員、木村(崇)委員、工藤委員、高松委員、 田代委員、韮沢委員、山川委員、渡辺委員、吉川委員が御欠席の御連絡をいただいてお ります。また、高橋委員は少しおくれているということで御連絡いただいております。  また、本日の会議に大平参考人、加藤参考人、長野参考人にお越しいただいておりま す。  それでは、後の進行につきましては倉田分科会長によろしくお願いいたします。 ○倉田分科会長  おはようございます。それでは、本日の会議よろしくお願いいたします。  内容につきましては、議事次第に沿って進めていきたいと思いますが、事務局から資 料の確認をお願いいたします。  時間も限られておりますので、議論は沸騰していただきたいのですが、きょう言い尽 くせない場合は文書にして後でいただくということも、資料はこれだけ厚いのが出てい ますから、そういうことも含めた上でお願いしたいとお願いいたします。  それでは、資料の確認をお願いいたします。 ○鈴木課長補佐  資料の確認をさせていただきます。まず、お手元の資料ですが、「厚生労働科学審議会 感染症分科会」の27回の議事次第があると思います。そこの下段の方に資料1−1から 1−2、資料2−1、2−2、資料3、資料につきましてはこの5点があると思います ので、御確認いただきたいと思います。また、参考資料につきましては4点、参考資料 1−1、1−2、1−3、1−4というふうになっております。  不足がございましたら、事務局までお知らせいただきたいと思っております。よろし くお願いいたします。 ○倉田分科会長  よろしいでしょうか。  それでは、資料1−1につきまして、御説明をお願いします。 ○鈴木課長補佐  それでは、資料1−1について御説明させていただきます。  資料1−1につきましては、「病原体等の施設の基準について(案)ということでござ いまして、現在提出されております〔法案第56条の24関係〕のものでございます。施 設基準について書かれておりまして、参考資料1−2というもので図を示しております が、イメージしやすいと思いますので、この資料1−2を横に見ながら御説明させてい ただければと思います。  第56条の24につきましては、こういった病原体等を取扱います施設についての基準 をそれぞれの病原体ごとに定めることになっておりまして、今回事務局の案としてこう いった施設基準はどうかということで案を示させていただいておりますので、御議論を していただきたいと思っておるところでございます。  まず「一種病原体等の施設の基準(案)」ということでございますが、ここで対象とな る病原体といたしましては、エボラウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、南米 出血熱ウイルス、痘そうウイルス、マールブルグウイルス、ラッサ熱ウイルス、こうい ったものが対象になるということでございます。  すいません、一番最初に御説明させていただきますが、この施設基準につきましては、 基本的にバイオテロ等を未然に防止するいわゆる病原体をきちんと管理していただくと いうところがございますので、そういったセキュリティの面を強化したものになってい るところでございます。ただ、病原体のレベルによりまして、そのセキュリティの強弱 といいますか、重要性といいますか、そういったレベルについては、一種についてはき ちんとした非常に厳密なセキュリティをもって管理すべきだろう。ただ、二種、三種、 四種と段階が経るに当たりまして、その辺のセキュリティが少しずつ必要最低限のもの になっていくというような形で今回の基準をつくらせていただいているところでござい ます。  そういった背景がございますことを御了承いただきまして、今回の施設基準について ご覧いただきたいと思っております。  先ほど申しました一種病原体、エボラウイルス等は国内では発生はないというもので ございまして、また、海外におきましても、非常に厳しいバイオセーフティーの中でも 行わなければいけない。セキュリティもしっかりとしなければいけないというような方 針でいっているウイルス系、そういった病原体等になっているところでございます。  したがいまして、国内においても、これら病原体については、原則国内での所持は禁 止というもので、国もしくは政令で指定した施設のみでこういったものが所持できると いうところになっています。したがって、ここについての施設の基準いわゆるセーフテ ィー、セキュリティも含めたものについては厳格かつ最重要的な基準ということで今考 えているところでございます。  一)使用施設に係る基準というところでございますが、(1) 実験室等がある施設は、 地震対策及び地割れ及び浸水のおそれの少ない場所ということで、自然災害対策もきち んとやっていただく。  (2) 火災対策等についても考慮した施設にしていただくというのがまず大前提にござ います。  (3) 施設については、ここにありますとおり、監視室、サポート域、いわゆる人が出 入りできるところ、またシャワー設備を有する前室、後室、病原体を使用する実験室、 保管設備、滅菌設備、給排気・給排水の機械室等がオールインワンということで一体化 させて、他の一般の方々がいるような場所とは隔絶された構造をとらなければ病原体の 安全性を守れないだろうということでこういった基準をつくっております。  (4) 病原体を接種した動物、いわゆる動物実験などを行った場合、その動物について 飼育する場所は、こういった管理施設の中に備えるということをうたっているところで ございます。  (5) 給排気・空調、給排水設備の稼働状況をきちんと動いているかどうかを監視する 設備、またはそういった監視室というものを設けるということで、図によりますと、右 側の方にそういった特別な部屋をつくっていただくということになります。  (6) 緊急時対応のため、電源、給排気、給排水等の補助設備、こういった施設につい ては24時間稼働することになりますので、停電ですとか、そういったものに対してもき ちんと対応できるようなものを補助電源装置という形でつくっていただくということを 考えております。  (7) あらかじめ、第一種病原体等所持者により管理区域内に立ち入りを許可され登録 された者、いわゆるこういった中に入って病原体を扱うことができる者は、あらかじめ 施設の中でも登録し、その者以外の者は絶対に入れないようにすべきだろう。また、そ ういった者が入れないようなことをするために、管理区域内を監視するための装置、い わゆるカメラ等の装置も設備するべきだということを考えております。  (8) 管理区域から当該病原体等を使用する実験室に入室するまでに、3カ所以上の施 錠による通行制限、いわゆる物理的通行制限も行えるような形で厳密な管理を行ってい ただくことを考えています。  続きまして、こういった病原体等を使用する実験室の中身になっているところですが、 (9) 病原体等を使用する実験室には前室、シャワー室、後室を設けていただいて、これ らは二重扉及びインターロックにより、実験室の中と外部とを遮断できるような構造に するというところでございます。  (10) こういった実験室の中には、汚染があった場合を考え、すべて耐水性かつ気密性 のある材料・材質とし、その表面は消毒・洗浄が可能な材質にするということで、もし 事故等重大なものがあった場合にはすぐに対応ができるような形で設備の構造を決める べきだということを考えております。  (11) 当該病原体を使用する実験室内外の通話装置、もしくは緊急時の警報装置を備え て、実験室の中で何か起こったときにはすぐに対応できるようにする。  (12) 中で何を起こっているかということを監視できるように、窓もしくはカメラ等を 設置していただくということを考えております。  (13) 当然のことながら、当該病原体を使用する実験室には、厚生労働大臣が定める規 格、これは後ほど規格を定める予定でございますが、いわゆる安全キャビネットを設置 していただいて、その中で病原体を扱っていただくということを考えております。  (14) 特殊かもしれませんが、いわゆるCDCにありますようなスーツラボと言われる 宇宙服のようなものを着て実験する場合がございますが、そういったものを使用する場 合を規程しているものでございまして、厚生労働大臣が定める規格を満たす陽圧気密防 護服を使用する実験室では、別に定める安全キャビネットを使用して行っていただくも のと、退出時に汚染した防護服を消毒・洗浄できる薬液シャワー室及び薬液シャワー装 置を備えて、そういったものを経て出てきていただくということを考えております。  (15) もちろんのこと、陽圧気密防護服については、宇宙服のようなものですので、防 護服に空気を供給する装置をきちんと備えていただくというのが前提でございます。  (16) 実験室等の排気の問題でございますが、こういった排気施設につきましては、他 の実験室もしくは他の設備とは別に排気設備を設けていただく。  (17) そういった排気設備がある場所には、人がみだりに立ち入らないよう、鍵その他、 閉鎖のための設備又は器具を設けて、こういった排気設備がとまってしまうということ も、中の汚染が拡大するという非常に危険な状況になりますので、こういったところ、 (18)排気・給気施設については鍵をかけてきちんと管理していただくことを考えておりま す。  (19) 当該病原体を使用する実験室への給気設備については、HEPAフィルターを入 れ給気していただく。  (20) 排気については、2層のHEPAフィルターで排気して、完全にクリーンな空気 を外に出していただくというものでございます。  それから、排水・廃液設備の基準でございますが、これにつきましても、当実験室か ら出たすべての廃液もしくはすべての排水については、きちんとした高圧蒸気滅菌及び 薬液処理の2段階で消毒して、これもクリーンな状態で外に出していただくということ を考えております。  続きまして、病原体の保管に係るところですが、二)保管施設に係る基準については、 23 保管は必ず実験室の中に保管する場所を決めて保管をしていただきたい。  24 保管施設(保管庫)の扉には、鍵その他閉鎖のための設備又は器具を設けるとい うことで、実験室の中に入るにも、セキュリティの問題で鍵等がかかっていますが、ま た病原体を取り出す、中に入っているところについても、さらにとられないように鍵を つけて、さらに厳重な管理をしていただくということを考えているところでございます。  こういった病原体が出て排気するということになりますのと滅菌する必要があります ので、三)滅菌施設に係る基準を設けています。  25 こうした当該病原体を使用したすべての物品及び発生した廃棄物等の滅菌、つま り、この病原体に触れたと思われる器具等については、すべて実験室の中で処理してい ただくということを考えています。そのために、実験室の内部と外部との両面に扉があ ります高圧蒸気滅菌器を設置して、その中で滅菌してから外に出していくということを 考えているところでございます。  四)維持管理に関する基準ですが、こういった施設につきましては、年1回以上定期 点検を行って、故障等がある場合については修理・整備をしていただくということで、 きちんとしたこの実験室が管理・運営されているということを定期的にやっていただく ということと、HEPAフィルターにつきましては、滅菌してからきちんと交換して、 外に病原体が漏れないようにしていただくというのがまず第一とで考えているところで ございます。  一種病原体につきましては、こういった基準を満たしていただきたいということを考 えておりまして、その基準を満たしていただいたということになりますと、参考資料1 −2の例にあるような、こういった施設の概要になるだろうということを見ているとこ ろでございます。  この図をちょっと御説明させていただきますと、赤い実線になっておりますが、これ は人の出入りになります。管理区域のところから、まず施設の入口で個人認証装置など があるような扉を入っていただいて、インターロックのあるところを通って、また前室、 シャワー室、後室というところ、これも鍵がかかっておりますが、そこを通ってやっと 実験室に入れるというところでございます。  また、空気につきましては、ブルーのところで書いておりますが、右の方にあります けれども、給排気設備のところから、きれいな空気がHEPAフィルターを通って実験 室の中に入っていくと。空気の排気につきましては、点線になっておりますが、キャビ ネットの中、それから実験室の中の空気はきちんとHEPAフィルターを通って、2層 のHEPAフィルターを通って排気設備を出ていくと。排気施設がダブルであるものに つきましては、どちらかが故障した場合についての保証ということで、こういったもの については複数でどちらが故障しても、必ずどっちかが動いているような形で、点検時 とかがありますので、そういったことを加味しますと、こういったことをやっていただ きたいということを考えております。  また、病原体につきましては、茶色い実線になっておりますが、保管庫の中に一応一 種病原体というものを入れていただいて、それには鍵がかかっているというものでござ います。それを安全キャビネットの中で取り出しまして、そこで実際の病原体の取扱い をしていただくと。こういった病原体を取扱いまして、その後、これが排気するという ことになりますと、点線になりますが、高圧蒸気滅菌器というところを通して、完全に 滅菌してから外に出していただくということと、このキャビネットの中で発生しました 排水等につきましては、点線右側の方に移動しますが、きちんと高圧蒸気滅菌器、それ から、薬液滅菌器を通して外に排水をしていただくというような流れになっておりまし て、第一種を扱う施設につきましては、こういった基準を守っていただきたいと考えて いるところでございます。  続きまして、次のページ、4ページになりますが、第二種病原体等の施設基準であり ます。  第二種病原体につきましては、大きく2つに分かれまして、1つは、ペスト菌SAR Sコロナウイルス、炭疽菌、野兎病菌のような、いわゆるBSL3で扱うようなものと、 もう1つは、ボツリヌス毒素といういわゆる毒素系のものでございます。この毒素系の もにつきましては、少し毛色が違いますので、 二種病原体につきましては、2つの施 設基準を設定した方がいいということを考えているところでございます。  まず対象病原体となりますペスト菌、SARSコロナウイルス、炭疽菌、野兎病菌に ついてでございます。こういった施設につきましても、先ほどの一種病原体等ほどでは ないのですけれども、きちんとした病原体の管理というものを行っていただきたい。特 にここの二種病原体につきましては、過去にテロに使われたことがある、もしくはテロ に使われるおそれが非常に高いものが分類されているものでございますので、そのセキ ュリティについても厳密にするべきだろうということを考えておるところでございます。  したがいまして、施設に係る基準でございますが、(1)、(2)につきましては、先ほどの 一種病原体と同様でございます。  (3)につきましては、こういった管理区域の設定、いわゆる外部の人が入らないような 地域の設定をしています。  (4)につきましても、動物実験をする場合のものでございます。  (5)は、あらかじめ、二種病原体等所持者により管理区域内に立ち入りを許可され登録 された者以外の者が侵入することを防止するための設備を有することということで、こ れにつきましても、先ほどの一種ほどのセキュリティは求めないかもしれませんけれど も、きちんとこの管理区域内もしくは実験室、前室、保管室、そういったところに入る 人については、あらかじめ登録した人のみ入っていくことを許可するというようなこと を考えているところでございます。  続きまして、病原体等を使用する実験室の基準でございます。  病原体等を使用する実験室につきましては、先ほどのP4レベルよりも若干落ちると、 そもそもこういった病原体を取り扱うにはP4レベルよりも落ちるということがござい ます。  (6) 実験室については、前室を設けていただいて、前室はインターロックで鍵はかか るようにしていただくということ。病原体を使用する実験室については、きちんと施錠 する構造になっていると。  (7) 実験室に入るにも鍵をつけていただくということです。  (8) 実験室内面は消毒が可能な素材にしていただくということ。  (9) 実験室内外の通話又は緊急時の警報装置を備えて、何かあった場合の準備をやっ ていただくということ。  (10) 実験室の作業安全を外部から確認するための窓、もしくはカメラ等を設置してい ただくということにしておるところでございます。この辺は前室があるということで、 すぐに実験室の中に直接入っていけないということもございますので、外部からの監視 もきちんとやっていただく。何かあったときの対応も考えているところでございます。  (11) 給排気設備の稼働状況を確認できる設備を備えていただく。  (12) 実験室の中には、厚生労働大臣が定める規格を満たす安全キャビネットを設置し ていただくということを考えておるところでございます。  給排気設備の基準でございますが、給排気については、特に給気の方は規程はする予 定はないですが、少なくとも排気については、きちんとしたきれいな空気が外に出るよ うにしていただきたいということを考えておるところでございます。  (13) こういった病原体を使用する実験室の内部に向けて、外部から気流が流れるよう、 内部の汚染した、もしくは汚染した可能性が少しでもあるようなものについては、外部 の方には漏れないような気流管理をしていただきたいということを考えております。  (13) 当該病原体を使用する実験室からの排気の方については、HEPAフィルターを 通して排気をしていただくということでございます。  (14)排水については、排水までというものではないのですけれども、実験に使用した廃 液については、こういった病原体が入っている可能性がありますので、薬液処理、もし くは高圧蒸気滅菌いずれかで除染して外部に出していただくということを考えておりま す。  二)保管施設及び設備に係る基準ですが、(16) こういった病原体については、実験室 の中に保管庫を設置してその中で保管していただくということを考えております。  (17) 保管庫についてはきちんと鍵をかけていただく。  (18) ただし、やむを得ない場合については、施錠できる場所を別途管理区域内に設定 して、その中で保管施設にも鍵がかかる。また、中にある保管庫にも鍵がかかるという 二重の施錠で対応していただくことも可ということを考えております。  三)滅菌設備に係る基準ですが、(19) 滅菌については、これら実験室の中に設置して いただいて滅菌をしていただくということを考えています。  当然のことながら、四)維持管理に係る基準では、(20) 年1回の定期点検を行ってい ただくということを考えております。  それを図に表しましたのが、先ほどの資料1−2の上段の方の図になります。病原体 につきましては、外部から来る場合もありますけれども、保管庫の中から鍵をあけて中 に入っていただくと。病原体の使用についてはキャビネット内で行っていただきまして、 そういった排気が行われる場合については、点線になりますが、実験室内にあります滅 菌の高圧蒸気滅菌もしくは薬液滅菌で必ず滅菌をしてから外に排気していただくという ような流れになっています。  続きまして、二種病原体のそのほか、いわゆる毒素に関係するようなものの施設でご ざいます。これらについては、先ほどの三種のSARSウイルス等の施設基準と同等で すが、若干毒素ということもあって、いわゆる保管ですとか、そういったもののセキュ リティについては、二種病原体のSARS、炭疽菌と同様なセキュリティを求めますが、 セーフティの観点につきましては、毒素特有のものとして考えておるところでございま す。  (1)〜(5)については、先ほどの二種病原体と同様で、きちんとしたセキュリティもしく は場所という設定を行っていただくということにしております。  続きまして、病原体等を使用する実験室の基準ですが、ここにつきましては、これら は毒素ですので、液体もしくは蛋白としてあるようなものですので、前室までは必要な いということがございますので、ただし、(6) 実験室につきましては、外部と閉鎖する ための扉を有し、施錠できる、いわゆる鍵がかかるような形にしておいてもらう。この 病原体については安全キャビネットも必要がないということがありますので、そういっ た作業場において行っていただく。  こういった病原体の使用者への防御はどうするのかということは懸念されますが、そ れはソフトの方できちんとしたPPE、いわゆる個人防御していただいてやるというこ とをソフトの基準の方で定めているところでございます。  二)保管施設に係る基準については、ここについては非常に重要な点でございますの で、先ほどのSARSウイルス、炭疽菌と同様の保管の基準を設定しているところです。  三)滅菌及び無害化施設に係る基準につきましても、非常に重要でございますので、 実験室の中に滅菌場所を設置していただいて滅菌するというのを大原則にしたいという ふうに考えております。  (11) ただし、毒素ということの特性を考えまして、そういった滅菌施設につきまして は、外の場所でも滅菌することができるということにしております。ただし、その滅菌 施設についてはきちんと鍵をかけて滅菌するような施設にしていただきたいということ を考えているところです。  四)維持管理に係る基準につきましては、これは年1回定期点検を行っていただいて、 故障等がある場合については修理・整備を行っていただくということで、ここについて もきちんとした実験室の運営が行われているということを年に1回確認していただきた いと考えております。  続きまして、三種病原体等の施設等の基準(案)でございます。  三種病原体につきましては、段階的に、先ほどの一種、二種よりもレベルが、テロに 使われやすいレベルというものが若干下がってくるものでございます。しかしながら、 こういった病原体につきましては、ある程度のセーフティというものも考えなければい けないということがございます。したがいまして、セキュリティもセーフティも加味し た状況というのが、先ほどの二種よりも落ちたところが今回の基準になっているところ でございます。  一)使用施設に係る基準ですが、(1)〜(4)については、二種又は一種と同じことですが、 二種の場合については、立ち入り制限する人の管理を行っていましたが、三種について はそこまでは必要ではないのではないかということで、その部分については落としてい ます。  病原体の使用する実験室の基準についてですが、これは先ほどのSARSコロナウイ ルスと同等のいわゆる実験室の基準を設けているところでございまして、前室の関係、 きちんと施錠できること。  次のページに行きますが、実験室の内面は消毒ができるようにしておいていただきた いということ、緊急警報装置を備えていただくこと。中がわかるように窓、カメラを設 置していただきたい。給排気についても、きちんと稼働するような状況を確認できる設 備をつくっていただくということと、安全キャビネットの中で行っていただきたいとい うものでございます。  給排気の基準については、きちんとした独立の給排気施設で、なおかつHEPAフィ ルターを通していただくということ。  排水・廃液設備の基準についても、病原体等を取り扱ったものについては、病原体の 毒性等も関係してきますので、きちんとした滅菌処理をしてから出していただきたいと いうことで、実験室内に滅菌場所をきちんと設定するということを考えております。  二)保管施設及び設備に係る基準につきましては、セキュリティの関係からきちんと 保管場所を設定していただいて施錠して保管をしていただく。これにつきましては、実 験室の中に置く場合、保管施設として管理区域内に別の場所に保管する場合、両方とも 可とすることを考えています。  最後に(19)になりますが、維持管理につきましては、ここも年1回点検していただいて、 故障等がある場合については修理・整備するということにしています。  これを端的にあらわしたのが、先ほどの資料1−2の3番ということになります。  施設の概要については、先ほどの施設の二種病原体等のものとはほぼ変わりはござい ません。  続きまして、四種病原体等の施設等の基準(1)(案)でございます。  四種病原体につきましても、ここでは本来病原体の毒性を考えて、BSL3で扱うべ きもの、BSL2扱うべきものという2種類のものが混在しているところでございます。 また、四種病原体につきましては、セキュリティの面からも、先ほどの一種、二種、三 種よりも、そういったテロに使われる可能性は非常に低いものですので、その点を加味 しておるところでございます。しかしながら、そういったセキュリティが必要ないかと いうわけではございませんで、必要最低限のセキュリティは確保したいということがご ざいますので、こういった現在(案)としての基準を出しているところでございます。  まず対象となる四種病原体のうちA型インフルエンザウイルス亜型H5N1及び亜型 H7N7、黄熱ウイルス、ウエストナイル熱ウイルス、結核菌(多剤耐性菌を除く)、イ ンフルエンザH2N2、そういったものについては、元来、病原体のセーフティという 観点からであれば、BSL3というところが扱うべきものということになっております ので、そういったものを加味し、またセキュリティを加味した基準にしているところで ございます。  一)使用施設に係る基準につきましては、(1)〜(4)、これまでと同様ですが、自然災害 対策ですとか、管理区域の設定、動物実験を行う場合の管理区域内に設置することとい うことにしてございます。  また、ここにつきましては、三種同様、この中に入る人の制限というものは、行って いただければいいのですが、法律上そこまで求めるものではないということを考えてお ります。  病原体等を使用する実験室の基準でございますが、ここにつきましては、先ほどのB SL3も加味したということがありますので、(5)〜(11)、いわゆる前室を設けて二重扉も しくはインターロックにする。施錠は必ずできるような構造にする。消毒が可能な内面 の材料・材質とする。実験室の中が通話、緊急時の装置もしくは窓、カメラ等を設置し ていただくということ。給排気はきちんと稼働できるような状況を確認できるようにし ていただくこと。安全キャビネットはきちんと設置していただくということを考えてい るところでございます。  給排気設備の基準につきましても、気流管理をしていただくと同時にHEPAフィル ターを通して排気を行っていただくことを考えております。  また、排水・滅菌設備の基準についても、薬液処理又は高圧蒸気滅菌で処理すること を考えております。  二)保管施設に係る基準につきましては、きちんとしたセキュリティをやっていただ くということで、保管の中、いわゆる鍵をきちんとかけていただくということを考えて おるところでございます。  三)滅菌及び無害化施設に係る基準については、先ほどの施設と同様となっていると ころでございます。  続きまして、四種病原体等のそのほかのものでございます。  腸チフス・パラチフス、腸管出血性大腸菌、ポリオウイルス、クリプトスポリジウム・ パルバム、志賀毒素、赤痢菌、コレラ菌、デングウイルス、こういったものにつきまし ては、セーフティーレベルとして2というところを加味させていただいて基準をつくっ ているところでございます。  したがいまして、端的に申しますと、これらの基準につきましては、先ほどのボツリ ヌス毒素と同じような基準というふうにさせていただいているところでございます。  これらを表に簡略させていただいてまとめたものが参考資料1−1になっているとい うところですので、ちょっとご覧いただきたいと思います。  端的に申しますと、セキュリティの強弱をつけるというところがあるところについて ですが、上の方で見ていただくと、5行目のところの侵入防止、次に通行制限の項目が ありますが、そういった一種から二種、三種、四種に従って、こういったものについて の厳密さを加味するということでございますので、一種病原体については、侵入防止装 置、先ほど申しましたカメラ等を設置して置いていただくというのと、通行制限をやっ ていただく。二種病原体については、通報制限というところで担保していただく。三種、 四種についてはそこまでのものを求めないということをしておりますし、また、最後の 保管のところでございますが、保管についてもきちんとしていただくのですが、四種に ついては二重施錠ではなくて一重の施錠できちんと管理していただくということを考え ているところでございます。  こういった施設基準で今現在案を検討させていただいているところでございます。  また、これら施設につきましては、例えば現行の施設におきまして、特に病院の検査 室等でこういったものを扱う場合ということもございますし、また、ほかの実験室等で 扱っているのですけれども、こういった施設基準に満たないということがあるかと思い ますが、そういったものにつきましては、別途経過措置等を設けて、きちんとした対応 がとれることを担保していただいて、将来的にはこういった基準で行っていただきたい というふうに考えているところでございます。  施設基準につきましては以上です。 ○倉田分科会長  ありがとうございました。皆さんに誤解がないようにお断りしておきますが、まず感 染症法にある病気の類型分類一、二、三、四とこの一種、二種とは、関係あるものもあ りますが、全く関係ない、そういう基準でなされたものではないということ。  もう一つ、世界の共通の認識はバイオセーフティーレベルの一、二、三、四というの があります。WHOは大体のものを規程していますが、各国はそこに病原体の位置けを しております、WHOはしていません。その病原体の分類、これは高くなるのは、一、 二、三、四で、四が一番高くて一はヒトには害がないものという前提があります。その 分類とこの病原体一種、二種という分類も全く関係ない。これをまず前提にしておいて もらわないと、しかし病原体をいじる際のルールというのは、WHO始め世界のバイオ セーフティー関係の人の中で一、二、三、四と分けて、それがおよその基準としてある わけです。ですから、この一種の中に分類された病原体の位置づけ、それに沿ってこの 基準ができてきて、それともう一つは、現在のこれを病原体としていじっている研究所 とか、そういうところの場合と、大学の研究室、そういう場合の話ともう一つは診療と いう問題があります。感染症法の中に入ってきている以上、その問題から逃れられない わけで、現実に検査の問題があります。そこのところを配慮した上で考えていただきた いし、デスカッションもそういう方面のことを頭に置いた上でやっていただきたい。  これは、例えばぎしぎしに法律のところにあるように、違反したら300万の罰金とい う話になりますと、非常にシニカルに考える人は、それならば、病原体が全部見つかっ てはっきりした時点で全部焼却しちゃおうと、つまり滅菌しちゃおうと、そしたら何も 起こらない。保管はない、移動の問題もない。そうしますと何が起きるかというと、感 染症法ができて、日本の感染症の実態と病原体のいろいろな問題がはっきりしてきつつ あって、もっと病原体のサーベイランスをきちんとしようというときにその問題が全部 吹っ飛んでしまう。そうすると、この法律は何のためにやっているか、実態がわからな くなってしまって、セキュリティも何もないものだということになりかねないわけです。  本来のこの法律というのは、いわゆるテロ防止ということがあったように、本来はよ その国でこういうボランタリーに届出るという話と一緒にやっている国はないですね。 ですから、そこのところを一緒にしたというのはそれなりの意図はあると思うんですが、 ボランタリーにやることに関して罰則規程がついてきたというのは、日本の特有の背景 があったと私は思いますが、推定ですけど、そこで、そういう現場の先生方がここに大 勢いらっしゃいます。そこで病原体が患者からとれたものを、実際に今度ハンドリング していく場合にいろいろのルールができていますよと。そのときに本来ならば、それが 意図しない人によって別な目的に使われることを防ぐというのがこのセキュリティの話 なのですが、そこのセキュリティだけだったら、フリーザーに入れて、あるいは冷蔵庫 に入れて鍵かけて、それを鍵のかかった部屋に置くと、単純にそれで済むけですが、そ れ以外のところでいろいろの問題が起きてくるわけです。そこを頭に置いて、臨床の先 生方、自分がこういう菌がとれた、ウイルスがとれた、それを今度どうしよう、ああし ようというときに、このルールがどういうことを障害をもたらすか、あるいは大変いい ことなのかということも頭に置いて議論していただきたい。これは議論する前にお願い しておきます。  それでは、今の事務局の説明に対して何か質問あったらどうぞ、あるいは御意見お願 いします。 ○鈴木課長補佐  すいません、冒頭、私の方から委員の御紹介を間違って御紹介してしまいましたので、 お詫びと訂正をお願いします。本日、参考人にいらしていただいております方につきま して、加藤参考人と申しましたが、誤りでございまして、藤原参考人でございます。す いません、お詫びと訂正をいたしますので、よろしくお願いいたします。 ○倉田分科会長  それでは、事務局の資料1−1、施設基準につきまして何か質問、御意見のある方は どうぞ。 ○澁谷委員  例えば、種類、何種というのは違う病原体ですね。例えば二種と三種を同じ施設で扱 うというようなことがあるとすると、それは二種病原体の基準に合っていれば、三種も 四種も一緒のところで扱えるというふうに考えてもいいのでしょうか。それともここで 決まった施設基準は決まった施設の病原体しかだめというふうに考えるのでしょうか。 ○倉田分科会長  事務局、答えありますか、なければ答えますけど、バイオセーフティーの話ですから。 ○鈴木課長補佐  この施設基準ですが、施設基準については、四種よりも三種の方が施設基準としては 厳しくしておりますし、三種よりも二種の方が厳しくしております。したがいまして、 二種、三種、四種を病原体を扱う場合については、より厳しい方に施設基準を見ていた だいて、そこで扱っていただきたいというふうに思っております。 ○倉田分科会長  ですから施設が、例えばいいのがあると。しかし、そこの方がやりやすいからといっ てやっている人がいっぱいいるわけです。ですから施設の基準が高いほどやる分には何 も問題ないわけですね。だけど、それを落としてもらったらまずいよというのがこの話 だと思います。ほかにいかがですか。 ○竹内委員  ただいま第四種の病原体のうちのクリプトスポリジウムの遺伝子のI型、II型なんて 入っていますけれども、これで施設の基準の中に地震対策をやれ、地崩れ及び浸水の少 ない場所に設けろとかいろいろきちんとした規程があるけど、あなたの言い方だと、経 過措置で勝手に使う方で担保しろという言い方だったけど、クリプトスポリジウムなん て、実はII型なんてマウスにごろごろかかっていて、そんじょそこらに散在しているの に、それをまた地震対策を、例えば大学の研究室で扱うときは大学でやれと。担保措置 も大学の金でやれと言っているわけ。すべて大学でやれと、厚生労働省の結核感染症課 がこの基準をつくっただけだから、今、あなたが言った全部の措置はすべて研究所ない しは大学の研究室の責任で、あるいは衛生研究所の責任でやると、そう言っているわけ、 いかがでしょうか。 ○鈴木課長補佐  こういう病原体を取り扱う場合につきましては、各施設の方できちんと基準を守って いただきたいというふうに思っております。 ○倉田分科会長  これはどこにでも書いてあるのですが、耐震構造そのものは必ずついてくる文書なん ですね。ということだと思うんですが、地方衛生研究所がきのう、きょうと所長会やっ ていますが、先週、先々週とこの前のときのあれに沿って、耐震という問題で調べまし た。その当時つくられたものとしてはいいんですが、今の一番新しい基準では全部落第 です。そうしたら全部犯罪かと、そういうことをぜひというとを言われたので、これは 竹内委員の話にもかかるし、その辺どういうふうにお考えですか。 ○新課長補佐  この法律が施行されるときに、現実に存在している施設については、一定の猶予期間 とか、あるいは適用除外というような経過措置を設けるという説明、先ほど申し上げた 趣旨でございまして、例えば一種、二種ですと、罰則規定がありますけれども、直ちに それが、適用されるということがないようにしたいというふうに考えております。その 経過措置の内容、あるいは緩和措置の内容等については省令の中身ですので、議論いた だければと。思います。 ○倉田分科会長  この建物は新しい基準には合ってないと思うのですが、それはこの建物は違反ですか、 それとも立て直すとか、そういうリコメンデーションはどこかから出ているのですか。 ○新課長補佐  法律の施行の際に、現実にある規制対象物というのは、一定の経過措置が通常設けら れますので、その中身でいきなり違反になるというようなことがないようにするという ふうに考えています。 ○竹内委員  ですから一定の経過措置の中で、ある程度のものは担保しろというのが鈴木さんの言 い方だったじゃないですか。その担保は大学側でやれと、研究所側でやれと、厚生労働 省は規程をつくっただけで、後はあなた方の仕事ですよと。今までのプロセスでもすべ て大体そうだったんだけど、要するにそっちの責任でやれと、財政的措置も全部大学側 と研究所側と扱うところでやれと、そういう意味ね。 ○新課長補佐  基準に適合させるためのそういった措置はそれぞれの規制を受ける側が行うことにな るかと思いますけれども、一定期間規制を緩和するとか、あるいは適用しないとか、そ ういった既存の建物に対する経過措置の内容で議論していただければ、それは中身によ って決まってくると思いますけれども、いきなり何カ月以内にそっちでやれという意味 で伝わったのであれば誤解ですので訂正します。その規制緩和の経過措置の内容を議論 していただければと思います。 ○竹内委員  感染症関係の学会では、今、ほかの、例えばHIV/AIDSもそうだけど、講習会 を技術移転のために広範に学会ではやっていて、HIV/AIDSの場合も日和見感染 症の講習会で、例えばクリプトスポリジウムなんてごく普通に大量に扱って、それでA IDSの拠点病院から無論300人ぐらいの方が集まってくるんだけど、そういうときに 実習室でこれは通常扱うんですけど、実習室もこの規程に沿えと。 ○鈴木課長補佐  病原体を取り扱う場合につきましては、すべてこの基準に該当することになります。 ○竹内委員  あなたが言っていることは、大学の医学部の実習室を、例えばクリプトスポリジウム の遺伝子I型、II型を扱うときには、あなたが言っているこの基準に沿ってつくりかえ ろということでしょう。本当にそういう意味ですか。 ○倉田分科会長  いかがですか、竹内委員の質問に対して。 ○竹内委員  もう一つ、おまけに言わせてもらうけど、これは搬入するときは非常にきっちりとし た手順ができていて、それから外へ出すときを見れば、すべて廃棄になって出て行くと 想定しているけど、廃棄になって出て行かないというのは当然想定しているんでしょう。 要するに、倉田先生が言われた病院とか検査室から搬入されるときは想定していろいろ 配慮しろと。倉田先生もおっしゃったし、そうだろうと思うんです。検査室から、例え ば何とかウイルスが見つかったぞ、これはこの可能性があるぞというときは、こういう ような基準に注意して運ぶようにと。  だけど、あなた方はこのつくった図の研究室から運び出すときはすべて廃棄処分にし て、殺して運び出せと言っていますね。だけど、バイオテロにかかわる問題というのは、 基本的には生きたまま運び出されるというのを想定しないとまずいんじゃないですか。 そこはそんなことはないと、日本人ではそういうことはないと信頼しているわけね。 ○鈴木課長補佐  これは廃棄をするということまで施設の基準をつくっておりますが、生きたものを外 に出すということにつきましては、それは運搬になりますので、運搬の基準については、 この資料1−2の方に規程がつくられております。 ○倉田分科会長  つまり竹内委員の言われたのは、保管庫からこの実験室に入らないで、よその違った、 もっと検査ができるところに移動するとか、そういうときに中できちんととった上で、 それをまた出すときの、それを言っているわけですね。それを全部廃棄しなければ出せ ないのかと。矢印が、保管庫からよそへ出て行くのもあってもいいじゃないかと、そん な意味だと思うんですが。 ○三木課長補佐  この示させていただいた概要のところは、あくまで一例でございますので、先生がお っしゃられるような、例えば生きたまま出すとか、ほかの施設に病原体を生きたまま動 かすというときには、別途運搬ということで、どういう形で運搬をしていけばいいのか というような基準を別途設けるということで、この後にまた御説明をさせていただきま す。 ○倉田分科会長  それは1−2の方に、竹内委員、あるようですから、後でまた説明があります。いか がでしょうか。 ○山田委員  地震対策という言葉で書いてあるんですけど、非常にあいまいだと思うんですね。だ から耐震基準を満たすとかというのであれば、どういう耐震基準を満たすのか、地震対 策だったら、どこかにつっかい棒1つしたって地震対策になり得るので、それをすべて の一種から四種まで、同じ言葉でやると、本当にそれでいいのかと。一種は多分壊れに くい建物が必要でしょうけど、今、竹内先生がおっしゃったように、四種でそんなもの まで必要なのかと。だけど、地震のときに病原体が漏洩しないような、例えば保管庫が 倒れないようにするとか、そういうところを少しはっきりと定義しないといろんな誤解 が生じると思うんですが、それと同じことが延焼のところにもいえると思うんですね。 この言葉でどういうものをイメージしているのかが伝わってこないので、そういうとこ ろをきちんとわかるようにしていただかないと誤解も生じるでしょうし、問題になると 思います。御検討願います。 ○倉田分科会長  よろしいですか。 ○鈴木課長補佐  はい。 ○倉田分科会長  ほかにいかがですか。 ○岡部委員  基本的にこういう病原体に注意すべきであるということは当然だと思います。それか ら、以前から議論されているように、検体、もしかすると含まれているかなというもの は規制には当然入らないでしょうし、もしかすると、この病原体を有している生物も規 制に入らないだろうというふうな確認は今までされているとおりだと思うのですが、病 原体を、検体が搬入されて、それを検査して、ある時点で病原体が判明するわけですね。 どこからそこの規制が入るかというのはちょっと教えていただきたいんです。つまり私 が検査室にいて、だれかからもらってきて、同定をしてそうだとわかったこの瞬間から そうなったのではなかなか後がやりにくいし、どこかに運ばなくてはいけないし、実験 室の中でも移動しなくちゃいけないというのも入ってきますから、それを常識的にはわ かるんですけれども、もしこれを法律というところでペナルティかかってくるので、ど こからペナルティかかるかというのはいずれ議論になっちゃうのではないかと思うんで すが。 ○倉田分科会長  いかがでしょう。 ○新課長補佐  病院と診療所と病原体を検査する機関につきましては、今のような規制されていない いろんな動物とか検体を扱いますので、それが岡部先生おっしゃるように確定した時点 ですぐにかかるのではなくて、法律の条文でそういったものについては、一定のルール のもとで滅菌または適正な者に譲渡をするまでの間は適正に保管ができるという仕組み にしておりますので、その手続を定めていただくということになるかと思います。 ○岡部委員  今、譲渡とおっしゃったけれども、譲渡あるいは移動、そういうことも含めて、ある 線を引くことができるというわけですね。 ○新課長補佐  そういうことですね。いきなりではなくて一定のルールを決めた上で、その以降には 規制がかかりますよというような仕組みを担保しております。 ○山田委員  例えば、その期間というのはどのぐらいになるんですか。 ○新課長補佐  適正に保持できる期間というのは、一種病原体ですと、例えば24時間とか、48時間 とか、そういった時間で決めていただきたいというふうに考えております。 ○山田委員  例えば、それが同定されてから一定の時間、それが24時間とか48時間ですよね。 ○新課長補佐  例えば明確な時間の基準があって、その間に適法な保管ができるようにするのか、譲 渡をするのか、滅菌するのかというのをお決めいただくというような考え方でございま す。 ○倉田分科会長  これは前にも議論があったと思うのですが、検体とか、同定される前のプロセスに出 てきたものというのは含まないと、これは世界の共通の認識でして、これは何々のウイ ルスでどういうものだという、いわゆる菌・ウイルスとして同定されたもの、から先が 病原体という言葉に当たるんですね。それ以外のものは全部、今、岡部委員が最初に言 われたように対象にしてない。それをやると人間まで隔離するという話になってしまっ て、とんでもないところに行くので、それは普通表現としては使わない。これをとれと 同定されたものをどうするかということの議論だというふうに考えていただきたい。  ほかに何かありますか。 ○岡部委員 確認なんですが、そこのところをきちんとしておいていただかないと、分 科会長が最初におっしゃっていましたけれども、同定することすら嫌がってしまってわ からなくなる。ここから先同定すると面倒くさいんじゃないかということになると、肝 心の診断が効かなくなったり、あるいは研究所の問題、障害が出てきたりすることがあ るので、善意にやっているということについてはきちんと善意にできるのだということ を担保していただきたいと思います。 ○倉田分科会長  それは、これに関していろいろ疑念を持った人がとらせてきたことがまさに今の質問 でして、これをきちんとわかるようなものとしていただかないとなかなか理解しにくい のではないかなという気がします。 ○新課長補佐  今の点につきましては、国の基本指針を今回の病原体についても定めることになって おりますので、そういったところで、そういった懸念が払拭できるようにイメージをし て、この審議会でも御審議をいただいて策定をしていきたいと考えております。 ○倉田分科会長  よろしいですか。ほかに何か。 ○白井委員  参考資料1−2で図示をしていただいて矢印が病原体が中心となって動いているとい うことでいいのでしょうか。人の動きはまた別というお話もあったのですけれども、対 応する人がどういうふうに扱って、その人も感染対策をして出てくるというようなとこ ろは、この図ではちょっと読み取れないので、そういうことも含めないと、施設の基準 に入らないのではないかと思いますし、あと登録制が必要というところでは通行制限に ついて、これはまた詳しく御検討されるのだと思うのですけれども、しかるべき技術を 持ったというか、やはりだれでもいいわけではないと思いますし、研修があるとか、資 格も必要であるとか、そういうことも必要かと思いますし、緊急時のカメラとかモニタ ーという問題についても、どこまで公開するのか。セキュリティという面ではすべて公 開してもいいものではないと思いますが、その辺のこととか人の動きということも考え て施設を考えていただかないと、箱ものだけになってしまうような気がするんです。 ○倉田分科会長  その辺はいかがですか。 ○鈴木課長補佐  今、御説明させていただいたのは本当に箱ものだけの話でございまして、ソフトにつ いては、この後、資料1−2の方であります。それから、この図につきましては、あく までも例ということで、大体病原体の関係の適切な管理ということでありましたので、 矢印については、病原体のところをちょっと書かせていただいておりまして、絵だけは 入口がどうやって入っていくのか、わかりづらいだろうなということで、赤で人の話を 入れさせていただいております。  通行制限につきましては、確かに先生おっしゃいますとおり、どういった人が入って いくのかというのはあるとは思いますけれども、また、そういったものにつきましては、 施設の中でも御検討いただくべきものだと思いますので、そこは法律で書くのか、施設 独自で考えていただくかというところはあると思いますが、今後の検討課題とさせてい ただきたいと思います。 ○倉田分科会長  ほかにいかがですか。 ○山田委員  二種のボツリヌスと四種のいわゆるBSL2で行うような実験の中に、病原体を摂取 した動物の飼育は、飼育設備を管理区域内に設けるというふうになっているのですけれ ども、現状は恐らく別の施設で動物実験をやる場合の方が多いと思うんですね、感染実 験でも。その場合にもそこを管理区域にするのかというようなところが少し明瞭でない ので、そこら辺もわかりやすい基準にしていただけないかというふうに思います。 ○鈴木課長補佐  図の方は管理区域を一体化させて、本当に1エリアを管理区域として、こういう形の 中に入れるということで図をつくっているのですが、先生おっしゃいますとおり、場所 が変わるというようなところについては、ただ、そこは飛地になっているかもしれませ んが、そこも管理区域と設定していただいて、その中の通行というのもきちんとやって いただくということになります。ですからここは間が入るかもしれません。ただ、そう いった管理区域と管理区域の間については、運搬みたいなものも逆にきちんとしていた だくということになると思います。 ○阿彦委員  ちょっと細かなことですけれども、資料1−1の方の11ページ、四種病原体の方のイ ンフルエンザや結核菌のところの滅菌基準が11ページにありますけれども、滅菌基準の ところのこの説明だと、使用する実験室内でなくても場所を指定して滅菌できる設備を 建物に設置するということであるのですけれども、参考資料の1−1や1−2の図の方 を見ると、実験室内に限定して滅菌場所はなっているというふうに整合性がないのです けど、例えば保健所でも多剤耐性結核菌以外の結核菌をよく扱っていますが、滅菌場所 というのは、参考資料の方は実験室内に限られていますけれども。 ○鈴木課長補佐  すいません、参考資料の方はあくまでも例として考えていただきたいと思います。確 かにこの文章、すべて落とし込んでいるわけではありません。おっしゃるとおり、今、 四種のところで、本当であれば保管、外にもあるような形でつくられなければいけない と思いますが、一例ということで、すいませんが、御理解していただければと思います。 ○倉田分科会長  これは事務局も言ったように、保管庫・保管施設、滅菌施設、動物実験施設が普通は 皆別になっているところがほとんどで、大きな建物でそれなりに実験室がメインになっ ているようなところだとそれが一体になっていることがありますが、大抵動物室は、先 ほど山田委員が言ったように別なところにあって、そういう場合には移動させるわけで すね、その中で。ですから滅菌の施設はオートバッグに入れて、そこでできない場合は、 一番近いところに置くのがいいのですが、別なところでやると。その場合にはそれが散 らからないような配慮をしておくと、移動に、そういうことだと思うんですね、今、事 務局が言っていることを詳しく言えば。いいですか。 ○阿彦委員  参考資料1−1の四種病原体のインフルエンザウイルスというところは使用部屋内又 は滅菌場所ということでいいんですか。表の方ですね。参考資料1−1の四種の右から 2つ目の列の下から3番目です。 ○鈴木課長補佐  すいません、参考資料1−1ですが、下のところ実験室内だけになっておりましたが、 ここは間違いです、訂正させていただきます。ここは実験室内又は滅菌場所ということ で変更させていただきます。 ○倉田分科会長  四種の一番右はそのように書いてありますね。ですから四種のインフルエンザの部分 とそこですね。 ○高山委員  ちょっと話題変わりますが、維持管理に関する基準ですが、年1回以上の定期点検を 行うと、こう書いてありますが、これは自主点検なのですか、立入検査なんですか。 ○鈴木課長補佐  厚生労働省が行います立入検査につきましては、定期的な立入検査は考えておりませ んので、これは自主点検ということになります。 ○倉田分科会長  これは、例えば安全キャビネットの点検にしても、使用頻度によってふた月に一遍や っているところもありますし、1年に一遍しか、使用頻度の時間によっても違いますし、 それは一律に多分できないことだと思うんですが、今、事務局が言われたとおりではな いかと思うんですが、よろしいですか。 ○高山委員  はい。 ○倉田分科会長  ほかに何か。 ○竹内委員  悪いんだけど、今どこの省庁でも、感染症に関する人材育成とかいろんな技術レベル の維持というのは文部科学省でも農水省でもそれなりに配慮を払うようになっていて、 そういうところの動きと照らし合わせてみると、一種とか二種とか、そういうものはこ ういうのでいくのだろうと思うんだけど、四種ぐらいになってみると、例えばまたクリ プトスポリジウムに話が戻るけど、遺伝子のI型なんて、病原体の保管にかかわる基準 というので、12ページに「当該病原体の保管のみを行う場合」って、クリプトスポリジ ウムだけ生きたまま保管なんてできないので、ヒトにかかっているので、ヒトに感染し ているんだ。だからヒトを保管するのをどうするかというわけですか。 ○鈴木課長補佐  これにつきましては、二種以下であるのですが、いわゆるバンクのようなものを将来 的につくったときのことを考えております。 ○竹内委員  そういうのを考えているわけ。 ○鈴木課長補佐  はい。 ○竹内委員  それから、もう一つ、さっきの技術移転とか、ほかの省庁でもしつこくやっている人 材育成なんかの場合、もう一回、話を戻すけど、非常に大規模な100人程度の人を集め て、こういった病原体をある程度、一とか二はそういうものは対象にならないんですけ ど、四ぐらいになると結構人材育成のトレーニングの材料になって使うんですよ。  うちの医学部なんて、耐震構造になっている建物なんて2つぐらいしかなくて、後は 全部耐震構造になってない。実習室もそうで、そういうところをどこかへ書き込んでも らいたいんだけど、あまりリギッドに、これでなければだめだとやられると、実習室の 中にもオートクレーブを設置するのかとか、実習室の中に耐震構造、大きな建物の中に あるから、でっかい建物全部耐震構造にするのかというような話になっちゃうので、も うちょっとフレキシブルに書きかえてもらいたいんだけど、だめですか。 ○倉田分科会長  大変失礼なんですが、竹内委員のところは実習室の中にオートクレーブないんですか。 ○竹内委員  それは先生、やっぱり感染研と違いまして、通常の大学の医学部というのはほとんど のところは実習室は共同使用なんですよ。だから我々みたいに感染症の病原体だけ扱っ ている専属の実習室なんて、恐らくどこの大学探してもないんですよ。だから、現実的 ではないんです、これ。 ○山田委員  私も生意気言うようですけど、いろんな病原体があって、ここの規制に係ってこない、 ミミックできるようなやつをお使いになれば、一応この法律では規制されずに実習を続 けることは可能だと思うんですけれども。 ○倉田分科会長  事務局いかがですか、今のいくつかの御意見。 ○塚原結核感染症課長  竹内先生にちょっとお尋ねしたいのですが、四種に入っている病原体全体的にいえる 話なのか、クリプトスポリジウムの問題なのか、そこを教えていただければ。 ○竹内委員  それは非常に話を明快にするのでいいので、少なくとも私がかかわっているのは、ク リプトスポリジウムの遺伝子I型、II型だけです。ここの表の中にあるもの。要するに HIV/AIDS、日和見感染症の講習会で技術移転をAIDSの拠点病院にやるクリ プトスポリジウムのI型、II型だったらどうしてもひっかかってくるんですよ。感染能 力のあるオーシストを扱うことになって、それをこういう指定でバイオテロの方の概念 からとらえられると話が整合性がとれなくなるということです。 ○倉田分科会長  いかがですか。 ○竹内委員  もう一回、ちょっと考えてくださいよ、その辺のところは。 ○鈴木課長補佐  できましたら、そういう例がありましたら、事務局に教えていただければというふう に思います。ある程度一定の基準は示さなければいけないというふうに思っております。 ただ、先ほどの経過措置ないしは、そういったほかの方法でも、実行上に合うといいま すか、その実行がいいかどうかはまた別として、将来的にはこういった形に持っていっ ていただきたいのですが、現実そういったものはすぐには回らなくなってしまうという ことは避けたいと思っておりますので、その辺について、実情を教えていただければと いうふうに思います。 ○倉田分科会長  最後に、竹内委員に非常に失礼かもしれないのですが、パイオセーフティーのいろい ろな勉強せずにそういうものをいじらせているわけですか。 ○竹内委員  それは話が先生違うんですよ。AIDS拠点病院の現状と、結核感染症課で所管して いるこういうものの現状が、お互いに多分すり合わせがないから、こういう形になって 出てくるんですよ。それはむしろ分科会長の先生とか、結核感染症課長の塚原さんとか、 そういうレベルの話じゃないですか。厚生労働省の内部で、その辺のところというのは 整合性を持って、だからこういう場合には、これはいいよとかというふうな、ある程度 フレキシブルにしていただかないと、これがすべてをコントロールするというふうに、 私のところでは、これはバイオセーフティレベルのいくつだからというのは教えません よ、基本的には。それはおのおののAIDSの拠点病院の検査室レベルで教える問題で すから、我々のところではそういうことは付言はしません、ほんの一言ぐらいだけです。  だけど、このレベルの話と人材育成である程度広く病原体を扱わせなければならんと。 極端な場合、クリプトスポリジウムを持って帰らせて、技術移転を自分の検査室でやっ てくれという場合もあるわけで、だからそういうのが全部これにひっかかってだめだと いうことになれば、これはもう……。 ○倉田分科会長  再び失礼ですが、持って帰ってやるからには、通常のバイオセーフティーレベルに準 じたやり方をしないと持って帰ってやる意味がないんじゃないですか。 ○竹内委員  ですから、それは持って帰る病院の方の仕事じゃないですか。我々の責任じゃないで す、慶應大学の責任じゃないですよ、先生。慶応大学はそういうふうに注意して、第III 類ですから、そこの注意を払ってくださいねと言って、持って帰ってどうやるかは、そ れは国立大阪病院とか、国立名古屋病院とか、あるいは国立医療センターの病院とか、 そちらの方の仕事であって、我々の仕事ではないですよ。だけど、実際慶應に100人集 めて何回か講習会をやるときに、あまり建物とか施設とか保管に関して十把ひとからげ に厳重な基準を当てはめられると、これはやれなくなると。耐震構造もそうだし、それ から、そのほかの各先ほどから出ているいろんな要点もそうですけど、それはちょっと フレキシブルにしていただかないとちょっと対応はしきれない。 ○倉田分科会長  それは今ここで結論出せませんので、御意見としてお伺いしておくということにしま しょう。ほかになければ、どうぞ。 ○塚原結核感染症課長  事務局としては、バイオセキュリティとバイオセーフティーについては、どの程度の ものを求めるかというのは大いに議論があると思いますけれども、それはきちんとした ものをルール化をしたいという考え方で取り組みたいと思っています。ただ、そのとき に現状かけ離れたような基準をつくる、あるいはその基準を運用するということになる と、逆に結果的に国民に迷惑をかけるということがあるのであれば、それは一定配慮は 必要かなと思いますので、今のお話について、具体的に個別にどうしますということに ついてはきょうはちょっと控えさせていただきますが、そういう考え方で事務局の方は 取り組みたいと考えています。 ○山口委員  私も1つ、病原体で、四類感染症のA型インフルエンザH5N1とH7N7なんです が、特にH5N1等について、野生のカモ類が持っているウイルスもあるんですね。そ れから、現実に今鳥インフルエンザのワクチン開発ということで、H5N1を弱毒のウ イルスをワクチンの試料として開発しようとしているんですね。そのウイルスが、これ は弱毒のウイルスなのでヒトにも感染性がないウイルスなので、それを同様に基準に乗 せていただいてしまうと混乱するといいますか、そういワクチンさえもできなくなって しまうというような状況が起こりますので、病原性等の何らかの性状で除外ということ を考えていただきたいと思います。 ○倉田分科会長  これはワクチン株は除くとか、そういう言葉はなかったですか、どこかに。 ○新課長補佐  法律の条文で弱毒株等については適用除外する規定がございまして、そのリストに入 れることになるかと思いますので、規制は受けないということです。 ○倉田分科会長  その点、また、後で配慮していただく。それでは、時間も来ていますから、次に行き たいと思います。資料1−2ですか。 ○三木課長補佐  それでは、事務局の方から資料1−2について御説明をさせていただきます。資料1 −2は、先ほどお話させていただきました施設の基準に対応して、病原体等の取扱いに ついてき規定るものでございます。保管とか使用、滅菌については、一種から四種の病 原体ごとで、最後に運搬の基準というものを考えてございます。参考資料としては、1 −1の2枚目が大きな一覧表になってございますし、簡単にまとめているものでござい ます。  資料1−2の1ページをめくっていただきますと、保管等の基準ということになって ございます。これは一種病原体等についてでございますが、まず保管の基準について、 ここに書かれている(1)〜(5)のとおりでございます。基本的には病原体等を一次容 器に入れて、さらに冷蔵庫、冷凍庫、常温であればキャビネット等の保管庫に保管をす るということでございます。これらの保管庫については常時施錠をするとか、出し入れ は一種病原体については複数名で扱うとか、鍵の管理をする者を限定するとかというこ とを規定することとしております。バイオハザードマークを標示するというような形で 保管の基準を定めたいということを考えてございます。  次に二)使用の基準ですが、これについては、ここに書かれている(1)〜(10)のとおり 規定をしようということを考えてございます。  (1)まず使用に当たっては必ず複数名で作業を行うであるとか、(2)安全キャビネット の中で適切に使用するということを予定しております。また、陽圧気密防護服を、いわ ゆるスーツラボのような場合にもこの安全キャビネット内で適切に使用するというよう な規定を設けようと思ってございます。  (3)あとは前室で更衣をするだとか、個人防御具を装着するとか、退室時にシャワーを 浴びる。防護服を着用した場合には、化学消毒剤によるシャワーを浴びて除染を行うと いう規程を考えてございます。  (4)人がみだりに立ち入らないような措置であるとか、立ち入るときには登録された者 が立ち入る。(5)もしくは定期点検等の場合には、病原体等を取り扱う主任者の指示に従 って、中で行動するであるとか、こういうことを予定してございます。  さらに使用する場合には、(6)でございますけれども、(1)〜(4)のような設備がちゃんと 稼働しているということを確認をしている状態の中で使用していくことを予定しており ます。  2ページ目にまいりますと、あとは実験室内での飲食、喫煙、化粧の禁止であるとか、 搬出する廃棄物等は除染するとか、マークをつけるとかということで、最後には病原体 を接種した動物が、逃走しないような措置が講じられていることというようなことを使 用の基準として考えてございます。  次に、三)滅菌等の基準でございますけれども、一種病原体により汚染があるおそれ があるものについては、廃棄物として実験室から持ち出す場合には、高圧蒸気滅菌等、 これは条件については別途定める予定にしておりますけれども、こういうことで規定を してございます。  先ほど竹内委員からお話がありましたような、病原体を例えば陽性コントロールであ るとか、不活化したもの等について持ち出す場合には滅菌等の基準については除外をす ることも予定をしております。  さらに使用実験室からの排水等についても、これらの条件に基づいて滅菌等を行うと いうような規定をしてございますし、廃棄についてはHEPAフィルターを通して排気 をされるということを規定してございます。  これらの条件等に基づいた滅菌等が適切に行われていることを確認するための措置を 講じるということで、滅菌等の基準ということで考えてございます。  次のページが二種病原体等の保管等の基準(案)でございますけれども、一)保管の 基準については、一種病原体から出し入れをするときに複数名でやるとか、あと実験室 内に保管庫を置くというところを除いては同じ規程を考えてございます。もちろん鍵等 の管理については厳重に行っていただくということで同様の規定としているところでご ざいます。  二)使用の基準ということでございますけれども、基本的には施設基準でありました ようなところを踏まえて、ソフト面での対応ということでございますので、(1)安全キ ャビネット内で適切に使用するということでありますけれども、ボツリヌス菌とボツリ ヌス毒素を使用する場合はこの限りではないとしております。  (2)しかしながら適切な防御具を装着しての使用ということで基準を規定することを 予定しております。  あとはほとんど先ほどと同じように、例えば設備等について適格に稼働しているとい うことを確認しながら使っていただくであるとか、外に出す場合には除染をするという ようなことを書いてございます。  4ページ目が三)滅菌等の基準ということになりますけれども、これも同じような、 例えば条件を定めて高圧蒸気滅菌を行うか、もしくは二種病原体の場合には、いわゆる 消毒剤による浸漬、ここに書いてございますのは、有効塩素濃度0.1%以上の次亜塩素 ナトリウムによる1時間以上の浸漬ということで書いてございますが、ほかの消毒剤の 条件を定めることにしておりまして、これらによって滅菌等をしていただくことを考え てございます。  毒素の場合にあっては、煮沸等でも無害化、いわゆる不活化ができるということでご ざいますので、これらの条件についても別途定めるということで書いてございます。  同様に、二種病原体等についても、レファレンスとして持ち出すような場合、もしく は不活化したものを持ち出すような場合もあるということで考えられますので、この限 りではないということで、念のための注釈をつけているということでございます。  次の5ページ目になりますけれども、三種病原体等の保管等の基準(案)でございま す。  一)保管の基準についてはほとんど変わってございませんけれども、基本的に鍵等の 管理をする者を限定する。これは一種、二種の場合は登録した者の中から指名というこ とで書いてございましたが、それよりは多少緩くなっておりますけれども、厳重に管理 をしていただいて、その者に責任持って管理をしていただくことになるということを考 えてございます。  二)使用の基準については、これも先ほどと同様でございますが、施設基準にあるよ うな設備に対応したような形で使用をしていただく。キャビネットの中で使うであると か、個人防御具を装着する。管理区域を定めて外部の人がみだりに立ち入らないように するとか、もし立ち入るような場合には、施設の者がちゃんと同行するとかということ を規定する予定でございます。  三)滅菌等の基準についても、先ほどと同様でございますか、条件を示した上で高圧 蒸気滅菌やもしくは消毒剤による滅菌ということを考えてございます。  次が7ページ目になりますけれども、四種病原体等の保管等の基準(案)ということ でございます。  一)保管の基準については、三種と同様、鍵の管理、常時施錠というようなことで考 えてございます。  二)使用の基準については、これは四種病原体のうち、施設基準の方が2つに分かれ ておりましたので、こちらの保管等の基準の中でも、四種病原体のうちということで、 ここに書いておりますようなインフルエンザウイルス等については安全キャビネットの 中で適切に使用するということで書いてございます。もちろん適切な個人防御具を装着 するということで、四種病原体のすべてを取り扱う場合にこういうような規定を設ける ということを考えております。  ほかは同様でございますが、部外者がみだりに立ち入らない。キャビネットを使う場 合においては、正常に稼働していることを確認するとか、そのような規定をつくるとい うことでございます。  三)滅菌等の基準についても同様でございますが、条件を示した上で適切に滅菌をし ていただくということになるかと思います。持ち出す場合についても同様な規定をして ございます。  ちょっと抜けておりますのが、これはインフルエンザウイルス等を扱う場合に、施設 基準の中でHEPAフィルターを通すみたいなことになってございましたが、そこの基 準、6ページの(3)にある排気については、HEPAフィルターが装着されているといっ たところは、8ページの(2)の上のところに、すいません、抜けておりましたので、訂正 をさせていただきます。  以上が一種から四種の病原体の保管等の基準ということで、取扱いに当たってのソフ ト面の規程を考えているというものでございます。  続きまして、9ページをご覧いただければと思います。  9ページが運搬の基準(案)ということでございまして、参考資料1−3に例示をお 示しをしてございます。これはあくまで例示ということでございます。  運搬に当たりましては、この法案の中でも、船舶、航空機は除くということで規定を されてございますので、主に陸送に当たっての基準ということになろうかと思います。 また、都道府県の公安委員会への届出というのは運搬の届出ということで別に規定をさ れてございますが、ここで規程をさせていただくのは、あくまで病原体を適切に運搬す るに当たってのいわゆる容器や包装の基準ということで考えてございます。  9ページをご覧いただきますと、まず(1)〜(9)までの規程を考えてございます。  (1)一種、二種の運搬については必ず複数名で行う。  (2)一種から四種の病原体等を運搬する場合には、厚生労働大臣が定める材質、形状に 適合する容器に入れるということで、この規定をどういうふうに考えているかというの は、下の破線で囲んである囲みを見ていただければと思いますが、いわゆる材質と形状 を規定をしようということを考えてございます。  一 材質については、一次容器及び二次容器は、合成樹脂製の耐水性の材質で、かつ、 運搬中に予想される温度及び内圧の変化、振動等により、亀裂、破損の生じるおそれが ない材質というようなことを考えてございます。  2つ目として、外装容器は堅固な材質というので、材質の規定をしようと考えており ます。  二 形状につきましては、一次容器及び二次容器は密封され、かつ、内容物が漏洩し ない構造というので、1つは構造の規定。2つ目は、外装容器は容易に開閉できない構 造とする。  こういった材質、形状の規定をして、これに適合する容器に入れて運搬をしていただ くということ考えてございます。  それが参考資料1−3、これは例示になりますけれども、一次容器、二次容器、外装 容器ということで、このような形で運搬をされるのが好ましいのかということで考えて いるものでございます。  すいません、ここに示している図はWHOの2005年の感染性物質の輸送規程に関する ガイダンス、これは感染研が訳されたものから抜粋をしておりまして、引用先を書かな ければいけないのですけれども、書いてございませんので、お詫びをさせていただきま す。  こういったカテゴリーA、カテゴリーBとなってございますが、これはWHOのガイ ダンスの中で病原体を分類しておりますが、このような感じということで、こういった 上下2つの容器の絵がございますが、このようなもので運搬をされることになるという ことでお示しをしているものでございます。  9ページに戻っていただきまして、(3)が三重包装とする。  (4)一次容器と二次容器の間には、十分な吸収材を入れるというようなこと。複数入れ る場合には、相互に接触しないようにするということ。  (5)二次容器は適切な緩衝材とともに外装容器に入れること。  (7)にありますけれども、ドライアイス等を入れる場合には、当然一次、二次容器とい うきは密封されますので、二次容器の外にドライアイスを入れるということで、冷却し ての運搬ということを予定しております。  (8)外装容器の外側に、バイオハザードマークを貼付する。  (9)運搬は、運搬中の移動、転倒、転落等により運搬物の安全性が損なわれないように 行うこと。  このような規定を運搬の基準として考えているところでございます。  以上が資料1−2の御説明でございまして、もう一つ、参考資料1−4というものが ございますので、この場で御説明させていただきます。簡単に参考としておつけさせて いただいているもので、一種病原体等の所持者については、厚生労働大臣が指定すると いうことでございますので、これは別途この表の中からは外してございますが、二種か ら四種病原体の所持者が手続等でどのようなことをするのかというのをお示ししたもの でございます。先ほどから御説明しております施設の基準で、今お話しました保管等の 基準については、例えば二種病原体の所持者については、当然申請をして許可を受けな ければいけないということになりますけれども、その許可の際の審査に当たっての許可 要件の1つとして、先ほど御説明した施設の基準が入ってくるということでございます。 必要に応じて立入検査等をできることになってございますが、そういったときに、今お 話した保管等の基準に適合しているかどうかということを含めてこちらの方でチェック をさせていただくことになるのかなということで考えてございます。  また、三種病原体については届出ということでございますが、届出により施設基準、 先ほど御説明した施設の基準等に適合していることを確認させていただくことになるか と思います。三種、四種とも必要に応じて立入検査等を行うということでございますの で、こういった場合に、いわゆる保管等の基準に適合しているかというようなことを確 認させていただくということになろうかと思います。  事務局からの説明は、以上でございます。 ○倉田分科会長  ちょっと議論する前にお伺いしておきますが、1−4というのは、所持と保管の審査、 そういうことですね。いろいろなことがあるんだけど、移動に関するそのときの届出と か、そういうのはまた後で出てくるということですか。 ○三木課長補佐  それはここには書いてないです。 ○倉田分科会長  今の言われた運搬というのだけど、これは運搬の説明でなくて包装の説明ですよね。 だから運搬に関するところは1行もないけれども、言葉を直してください。「運搬に当た っての包装基準」と。それから、病原体等の審査というのも、これはまずいので、「病原 体の所持・保管に関する審査」。  それでは、御質問ありましたら、どうぞ。 ○高橋委員  皆様がお考えになっている時間を使ってちょっと。最後の1−4ですが、多分法令で は、許可手続について確認・受理という言葉の「受理」という言葉は使ってないのだと 思うんですけれども、行政手続法では「受理」という言葉は許可のときに使うなという ことになっていたはずなので、10年たって「受理」という言葉が出てくるのは私は非常 に奇異なんですけれども、その辺ちょっと御説明いただきたい。 ○新課長補佐  この資料ですけれども、申請書の確認・受理というのは、申請書に形式的要件に不備 がないかというのを確認するという趣旨でございます。「受理」という言葉は不適切です ので修正させていただきます。行政庁に申請書が到達すれば、それで足りますので、訂 正いたします。 ○高橋委員  届出の方も、「形式要件の審査」というふうにかえておいていただければ。 ○新課長補佐  さようでございます。形式的要件に不備がないか、あるいは補正命令が必要かどうか という意味で、失礼いたしました。 ○倉田分科会長  ほかにいかがでしょう。 ○高橋委員  ちょっと専門の先生のお考えになっている最中をおかりしてちょっと申し上げたいと 思いますが、先ほどの議論とも関係するのですが、この改正、現実に行われてきたこと についてテロ対策という観点から法の網をかけて安全性を確保するとともに、国民に対 する説明責任を果たすという点では非常に重要な改正だと思いますが、逆に説明責任を 果たすということになりますと、いろいろな資料が国民にわたって国民の関心も非常に 高まってくるということだと思います。  そういう意味では、特に一種、二種の施設なんですが、最近リスクコミニュケーショ ンという言葉非常に言われているのですけれども、そういうリスクコミニュケーション 対策みたいなことについてどういうふうに今後お考えになるのかどうか。これがここの 所管かどうかよくわかりませんが、少しその辺についてお考えをお示しいただければと 思います。 ○倉田分科会長  いかがでしょうか。 ○鈴木課長補佐  こういった病原体、テロに使われやすい病原体、特に一種、二種だと思いますけれど も、一種、二種、それに関する情報をどうするかということについては、実は検討はこ れからすることとなると思います。あと、研究費の方では、これは関係ないかもしれま せんけれども、P4というような施設に関するリスクコミュニケーション、今後P4施 設を国内でどうするかということについては、文部科学省の方で、そういったBSL4 に関する総合的な研究班がありまして、その中でリスクコミュニケーションの対応もさ れているというふうに聞いております。  また、感染症全般についてのリスクコミュニケーションにつきましては、今の研究費 の中で対応しているところでございます。 ○竹内委員  御存じでしょうけど、総合科学技術会議の下にプロジェクトチームがあって、その中 で、新興・再興感染症というのがPTの中の1つに取り上げられていて、バイオテロと いうのはそのPTができなかったので、科学技術学術政策局の中の安全・安心科学技術 委員会というところで、それも含めて今取り上げられていて、各PT報告が6月20日を めどに出てくるので、6月20日をめどにバイオテロのリスクコミュニケーションとか、 人材育成とか、社会構築とか、そういうのまで入れた報告が出る予定になっていますの で、また、それを御参考にしていただければと思います。 ○倉田分科会長  ほかにいかがですか、どうぞ。 ○相楽委員  説明を伺っていてよくわからなくなってしまったのですが、参考資料1−1の三種病 原体と四種のインフルエンザウイルス等で違うところというのがほとんどないように思 えるのですが、滅菌施設が使用部屋内か、あるいは外かというようなところ以外に違い がよくわからないのですが、ちょっと御説明をお願いします。 ○倉田分科会長  鈴木さん、質問の意味わかりますか。 ○鈴木課長補佐  参考1−1の表のところで、三種病原体と四種のインフルエンザ等につきましては、 違っているところについては、そもそも三種と四種というところがございますので、保 管のところの施設についての施錠のところが違っております。また、滅菌については、 三種につきましては、使用する部屋、いわゆる実験室の中で行っていくということにな っておりますが、四種につきましては、使用施設内もしくは滅菌場所を別に置いて滅菌 するというところが差が出ておるところでございます。 ○倉田分科会長 よろしいですか。 ○相楽委員  それは区別しておかなければいけないということなんですね。 ○倉田分科会長  それは先ほど質問あったように、きちんとしたものに持っていって、しかるべき場所 でやるということも、何を扱っているかの状況によりますけれども、それは普通どこで もやっていることですよね。その部屋の中がたまたま狭くてできない場合は、きちんと したところへ持っていくと。それはどこでもやっていることで、それを施設改造してや りなさいという話ではないと思うんですが、事務局、その辺、説明してくれますか。 ○鈴木課長補佐  それにつきましては、冒頭も申し上げたとおり、ある程度一定のルールをつくらなけ ればいけないということがございますので、今回の基準をつくらせていただいておりま す。ただし、また、いろいろな御意見等が、先ほどの竹内先生からの御意見もそうです けれども、そういった御意見がありましたら、私どもの方にいただければというふうに 思っております。 ○倉田分科会長  ほかに何かありますか。 ○山田委員  今の話なんですけど、例えば結核やなんかを病院などで診断するような検査室のとき に、経過措置を設けるというふうにはなっていますけど、実際に経過措置の期限を切る のか、あるいはどういう形で設定していくか。経過措置が終わるのは、要するにキャピ ネットが整備されたときとか、あるいは管理区域をきちんと設定できるような施設がで きたときとすれば、そういうところの経済的な担保はどこがするのか、そういうところ はどういうふうになるのか。 ○鈴木課長補佐  その辺、経過措置期間等をいつまで設けるのかということも含めて、あと、財政的措 置について、今のところは、最初のところにつきましては、今現状がどういうふうな話 になっているかというのをいろいろと話を聞かせていただくということは必要だと思っ ています。財政的措置につきましては、今のところ、こちらの方としては用意しており ませんで、そういったところにつきましては、自主的にやっていただければと。それが 経過措置期間の中で、急にやらなければいけないのか、それともゆっくりやっていける のかというところも加味して、そういった経過措置期間の範囲も考えていきたいと思っ ています。 ○倉田分科会長  よろしいですか。ほかに何か。 ○丹野委員  参考資料1−4で、厚生労働省に届けるという形になっておりますけれども、これは 病院とか検査機関については、保健所とか本庁なんかもいろんな形でかかわりは持つの ですけれども、これは厚労省直という形で、これは先ほどの情報を共有すると危ないと いうことがあって、各自治体は持たないというとらえ方でよろしいんですか。実際には 管轄している保健所等では、自分の管内の病院がどうであるかというのは知っていなく てもいいということになりますでしょうか。 ○倉田分科会長  この点、いかがでしょう。 ○三木課長補佐  ここの届出といいますか、二種病原体を、これを所持しようとする者は許可をとらな ければいけないという規定になっておりますので、これは病院等で一時的に所持をする ことについては、先ほど新の方から御説明したように、譲渡とか滅菌をすれば、この許 可については要らないということです。  さらに、研究等のために所持していようという場合には、これは国が直接許可を行う ことになっていますので、保健所等ではなくて、厚生労働省の方へ出していただくとい うことになります。 ○倉田分科会長  その辺のところなんですが、患者が出て病原体がとれているという話が、ここに、長 く所持する場合の保持の話と、とれたものは通常サーベイランスのルートみんな上がっ てくると思うんですが、それはそれでいいと、そういうことですね。所持する場合に関 してですね、これは。丹野さんいいですか。 ○丹野委員  はい。 ○倉田分科会長  それでは、あといくつかありますが、ちゃんとお昼を用意してあるそうですから、12 時超えるかもしれませんが、そのつもりでお願いします。  それでは、今の1−1と1−2と、あと参考資料の病原体の取扱いに関連したものに ついては、御質問がある場合は、あるいはこれはこういう方がいいのではないかとか、 御意見ある場合は、文書にして結核感染症課の方にファックスなり、文書を送るなりし ていただけますか。一応きょうはその辺はそれだけにしておいて、次に行きたいのです が、2−1、2−2につきまして、新たなサーベイランスの問題で鈴木さんの方から御 説明願います。 ○鈴木課長補佐  それでは、資料2−1について御説明させていただきます。今回の法律の第12条にお きまして、新たに慢性感染症という新しい概念を導入することになりましたので、これ の御説明と御議論をいただきたいというふうに思っております。  当分科会の中でも御議論していただいたと思いますが、現在の感染症法の対象疾患の 多くは急性感染症ということで、こういった慢性の感染症については、現在の感染症法 の中はて対応しづらいというような御議論があったと思っております。  したがいまして、ここにありますとおり、現在の感染症法の対象疾患の多くは急性感 染症であり、当該感染症に対する迅速な対人措置、対物措置を講ずることによりまして、 当該感染症の蔓延防止というのは一定期間で終了すると。しかしながら、いわゆる慢性 に経過する感染症については、その後のフォローというものが重要になってくるだろう ということは考えておるところでございます。  また、現行の感染症法におきます届出は初回の届出だけということがございますので、 初回のみならず、こういった慢性の感染症については、それ以降の情報、また対策は非 常に重要であることから、急性感染症とは別の対策を講じる必要があるのではないかと いうことを考えております。  感染症法における慢性感染症の考え方ということで2番目になりますが、今の法律で 規程しております一類感染症から五類感染症までの感染症のうち、急性感染症とは異な り、慢性に経過するもののうちから感染拡大防止又は医療の提供等のために定期的な情 報の収集等の対策の必要性を総合的に勘案しまして、厚生労働省令で別途定めることと しております。  法律上期待される効果といたしましては、大きなところで3点あると考えております。  (1) 患者の医療に対する効果が期待できるのではないか。こういった定期的な治療に 関する情報を長期的に集計・解析・検討することによりまして、慢性感染症の患者さん に対する良質かつ適切な医療の提供、また、それを通じた慢性感染症の蔓延防止という ものも可能となってくるだろう。  (2) 感染の防止に対する効果として、初回時における感染経路・感染地域等の情報か らは、効果的な感染防止のための普及・啓発の実施が可能となる。  また、さらに定期的な報告から、現時点で各地域における患者数が正確に把握するこ とができますので、地域格差、地域の状況に則した重点的な普及啓発等の対策の実施が 可能と考えております。  (3) 行政施策等への反映ですが、こういった基礎的情報の収集を定期的に実施するこ とによりまして、実施されている予防から治療までの一貫した施策に対する評価が可能 となりまして、今後施策の充実が期待できると考えているところでございます。  続きまして、次のページでございますが、慢性感染症対策に必要な事項ということで ございまして、まず医師の届出でございます。医師の届出については、現在法第12条に 基づいて行われておりますが、今後については、慢性感染症の初回以降届出については、 治療等を行っている医師から求めるということを考えております。  届出項目ですが、今後、厚生労働省令の方で別途定めるということを考えているとこ ろでございます。  そういった情報について、慢性感染症の発生の状況、動向及び原因について分析を行 う必要がございますので、これらについては、厚生労働大臣がこれら報告によって収集 した情報について分析を行っていくということでございます。  また、こういった分析を行った結果については、(4)にありますが、国民への情報提 供、対策の実施につなげていこうということを考えているところでございます。  簡単ではございますが、慢性感染症に関します事項、今回の概要につきまして御説明 させていただきました。 ○倉田分科会長  ありがとうございました。これにつきましては、本日3人の参考人においでいただい ています。3人の方に発言をお願いしたいと思いますが、最初に、大平参考人からお願 いします。どうぞ、お願いします。 ○大平参考人  はばたき福祉事業団の大平と申します。よろしくお願いいたします。きょうは発言の 機会をいただきましてありがとうございます。  私たちは、薬害エイズの関連で、今回は参加させていただいております。私の所属し ておりますはばたき福祉事業団というのは、薬害エイズの被害者の救済を被害者が中心 となって、自らの救済ですとか、薬害、再発防止、また感染症にかかわる差別偏見の是 正ですとか、感染者の福祉向上についていろいろなことを取り組んでおります。  ことし私たちの被害者にとりまして、民事訴訟ですけれども、薬害エイズ裁判の和解 十周年記念の式典が3月25日に行われました。厚生労働省からも大臣の代理としまして 副大臣が出席していただきました。そして、今の小泉総理からもメッセージをいただき ました。この趣旨は、私たちの問題につきまして、十分被害者との協議というものを前 提にこれからも施策を進めていくということを述べておられました。  それをもとにきょうお話ししたいと思うんですが、この新感染症法の法律の一部改正 の問題につきましては、法律、新感染症法を策定時、予防・治療に人権が尊重されたも のというもので、予防と人権というのが両輪で動くということを私たち患者を含めて十 分議論されて、そしてそれをもとに、当時の当事者が参加しまして、当事者の思いが生 かされた法律として平成10年に国会で成立されたものです。ですから、そういったもの に対しまして、私たちとしましてはエイズに対しての偏見差別また医療現場での差別と かそういうのがありました。そしてまた現実に、私たちエイズに感染してもう二十数年 たちますけれども、約1,500人の被害者のうち825人が既に亡くなっております。実に 3分の1を超えております。  そういったエイズというHIV感染症の重篤な予後の問題というのは私たちも十分知 っておりますし、そして、また、これからも感染症の問題として、私たちは薬から感染 しましたけれども、しかし感染症を既に背負った者として生活行動ですとか、そういう ものも含めて十分配慮しながら生きていかなければならない立場にあります。そういっ た当事者の意見が、本来ですと、こうした新感染症法の一部改正の問題の議論の中で、 十分当事者の意見を反映されるような形の議論が行われなければいけなかったのではな いかということで、私たちは大変遺憾に思っております。  また、今回のバイオテロの問題で、早急な多分立案があったのだろうと思いますけれ ども、その背景にあります感染症を負った当事者の思いというのがどういうふうにここ で反映できるのかどうかというところも私たちとしては大変関心があるところでした。  しかし閣議決定されて、法律が上程されるようなかなりせっぱ詰まった段階での今回 の問題で、私たちの思いが十分ここに反映できるかどうかは、私たちとしても全く未知 のことですけれども、でも、少しでも私たちはこれを反映していただきたいということ を思って、きょう意見を述べさせていただきたいと思っております。  当事者としましては、私たちは、調査される側、管理される側というような、今まで の立場にありましたけれども、しかし、私たちとしても、きちんとHIVの感染症の患 者さんたちの実態がわからないままに日本のHIV感染症の医療体制とか、また予防に ついてどういうふうに動いていくのかというところが全くわからない、そしてまた心配 しております。やはり私たちとしましては、同じHIVの感染をした者にとりまして、 大変治療としては、かかってしまうと治療が大変困難であるということは、今大変いい 薬が出てきておりますけれども、それは全くまだ先の見えない今の治療であることは皆 さんも御承知だというふうに思います。ですから、そういう意味で、できるだけ私たち と同じような、感染症としてのHIV感染者をぜひ増加を防ぐという、そういう予防の 問題についても、私たちのいろいろな観点をぜひ反映させていただきたいというところ があります。  そこはいろいろサーベイランスとか、そういう調査をする段階におきましても、私た ちはかなり患者としましても、協力して、そしてそれに対してどういうメリットがある か、調査のメリットがどういうふうに感染者に反映されてくるか。国の予防もそうです けれども、治療にどういうふうに反映してくるのか。そしてまた福祉にどういうふうに 反映してくるのか、その実態の把握は大切なのだろうというふうに思います。その数と か病状の変化ですとか、そういうものがHIV感染症のエイズ発症者がどのくらいいて、 どういう段階で、どういう形で治療効果が上がっているのか、上がっていないのかとい うところもも含めて、かなりそういう調査ができて、私たちのこれからの生きる将来と か、そういうところにもつながっていく問題なのだろうと思います。  ですから、もし法律を改正しまして、そして慢性感染症とか、そういう形で実際にサ ーベイランスとかそういうものが必要な場合に関しまして、それはかなり私たちも情報 提供をしながらも、そしてそれをきちんと将来のいろいろな医療体制とか、そういうも のに反映できるようにしたものであれば、それは私たちとしてはかなり前向きな調査と いうものをしていただきたいなというふうには思っております。  そういう意味で、私はここに自分たちのHIV医療の進展につながるもの、そしてま た、この社会が、この法律の意図するところがどういうふうに伝わっていくのかどうか。 法律の精神がどういうものなのかというところを、もう少し皆さんに議論していただい て、私たちが最初に思いを込めてつくりました新感染症法について、従前の、当時のエ イズパニックとか、そういうものを教訓としまして、先ほど先生方の方からもいろいろ お話がありましたけれども、リスクについてのリスク管理、社会でのリスク管理とか、 それから施設のリスク管理とか、そういうものも十分反映したものをつくっていただき たいと思っています。  特に施設についての、きょうのテーマでありました病原体の施設の保管等についての 基準というのがなかったということは、私たちとしては大変驚きでした、正直言いまし て。私たちはかなりリスク管理というのは国の責任でいろいろな形でとられているので はないかと思いましたけれども、病原体の保管施設のいろいろなルールとか、そういう ものが国の基準としてあまりないということを今回初めて正直言って知りまして、それ はちょっと驚きでした。そこはいろいろな問題点があるのだろうと思いますけれども、 でも私たちは感染症のいろいろな、これからも新しい病気が出てくるかもしれません。 そういったものに対してきちんと対処できる感染症の管理とその研究施設、それについ て十分検討していただいて、そして施設の充実に努めていただきたいと思っています。  今回は予算が絡んだ法律案ではないという話を聞いておりますけれども、財政面がき ちんと、日本は感染症についてはお金をあまりかけてはないのではないかという、前々 から私たちはそう思っておりまして、もっと感染症に国がお金をかけて、そして国民が 安心して生活できる体制をつくっていただきたいと思いました。  きょう私は、以上を発言させていただいて終わりますが、ぜひ患者の思いが込められ た人が人を管理する。そういうところでは、人の思いというのは、逆の立場に立った形 で考えてみると、また、そこは発想の転換が違ってくるかもしれません。ですから、そ ういった点で、先生方の御賢明なお考えをぜひ国の政策に反映させていただきたいとい うふうに思います。よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。 ○倉田分科会長  ありがとうございました。  それでは、次に藤原参考人に発言をお願いします。 ○藤原参考人  大阪HIV訴訟原告団の藤原と申します。  先ほど大平さんとかぶるというか、同じようなところははしょらせていただきまして、 念願でありました感染症というものは、そもそも差別との戦いであるわけで、患者にな ってしまうと、それは差別がついて回ったり、また、気持ちの中でそういうことを、差 別されるのではないかというふうなベルトスティグマをどうやって払拭していくかとい う、そういったものとの戦いであったと思います。  その中で、念願のエイズ予防法を廃案にいたしまして、人権に配慮した良質な医療と いうものを前文に掲げた新しい感染症法をつくることができました。  しかしながら、なかなか過去からの現状を把握するというか、過去を検証するという ことがなかなかできてなくて、現在のサーベイランスのあり方でありますとか、評価を どのようにやっているかでありますとか、そういったことはいまいち我々はわからない 部分があります。また、厚生労働省内におきましても、医療体制をつくっている疾病対 策課と、こういう法案をつくっていらっしゃる担当課がどのように連携しているのかと いうのもいまいち見えにくい問題もあります。  HIV感染症の特徴としまして、HIVの陽性者になりますと、他の病原体に感染す るという不安が絶えず来ますので、例えばこのように分けていただいたときに、過去エ イズに感染しましたある方々が受けたような犯人捜しのようなことがまた起きないとも 限りません。そういったものも含めたものがすなわち良質な医療であるかと思います。  今回の法律上期待される効果ではありますが、結局、この一、二、三にいたしまして も、医師がどのような情報をどれだけ伝えるかによって大きく違ってくるのではないか と思います。例えば一人一人のカルテを全部を出したとすれば、そしてそれを集計し、 分析し、検討すれば、確かに(1)のようなことができるかもしれませんが、そこまで本当 にするのか。それでプライバシーの問題は配慮できるのか、そのようなことが実はよく わからないまま進んでおるというのが現状であります。法案でそういうことを書くこと は恐らくできないであろうと思いますので、それを補完するものとしまして、例えば施 行規則でありますとか、指針でありますとか、そういったようなものをきちんとつくっ ていただいて、その際には、やはり皆様方のような専門家の御意見と、我々実際にそう いったところに最初に出くわしていく患者の意見を聞いていただくということがやはり 重要なのではないかというふうなことは思います。  大体以上です。 ○倉田分科会長  ありがとうございました。  それでは、3人目の長野参考人、発言をお願いします。 ○長野参考人  日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンプ+の長野と申します。本来であれば、代表 の長谷川の方がこちらに来る予定だったのですけれども、今、アガスの方でニューヨー クの方に行っていますので代わりに私の方が来ました。  大体大平さん、藤原さんのお二方に発言いただいたのですけれども、今回、薬害のお 二方とともに、感染経路にかかわりなく、当事者のネットワークをやっているジャンプ プラスという団体にお声をかけていただいたということに関しては感謝いたします。  HIV/AIDSというものに関しては、薬害の方々のいろいろな今までの御努力が あったというのもありますけれど、今では様々な経路から感染された方がいらっしゃい ます。その方たちの声を反映させるという意味では、ジャンププラスというようないろ んな当事者のネットワークをやっている団体の声を聞いていただく機会を設けていただ くというのがよろしいかと思います。できれば、今回はあまり法律のことについて、も っと詳しく言えればいいのですけれども、緊急に対応したものでうまく言えませんけれ ども、次回からもできたらジャンププラスのような団体及びほかの団体にも声をかけて いただいて、当事者の声をもっと広くすくい上げていただきたいと思います。  きょうはありがとうございました。 ○倉田分科会長  どうもありがとうございました。3人の参考人に御意見をいただきましたが、何か御 質問、あるいは御意見ございましたら、どうぞ、委員の先生方。  それでは指名させていただきますが、感染研の感染症のサーベイランスの責任者の岡 部委員、慢性感染症というカテゴリーのことについていかがでしょうか。 ○岡部委員  慢性感染症というようなカテゴリーを1つ設けた方がいいのではないかというのは、 私もそのような考え方をしている一人なんですけれども、今までの仕組みですと、参考 人のお三方がおっしゃられたように、初発のときしかわからないので、その後の状況で どういう変化をしているかということがサーベイランス上極めて不明になります。ただ、 それもこのディスカッションの中に今まであったと思うんですけれども、そういうこと を知るために必要な情報だけであって、ちょっと例におっしゃいましたけど、カルテを 見て洗いざらいといったようなことは実際にそれは不可能な部分もあるし、あるいは仮 に限定された情報の中で、多少患者さんの個人的なことが入ったとしても、それはそれ できちんと保護するというようなことが前提になって必要だろうと思います。  私たちにとって必要な分というのは、それがデータというような言い方をすると非常 に冷たくなってしまいますけれども、その結果が分析されてきちんと応用ができるとい う意味での必要性。もちろん今回この内容についてまでは討論されてないわけですけれ ども、そこら辺は議論をしながら積み重ねていくべきものであって、全部とってそれぞ れの人の行動を見るというのが意味ではないということは、私提案したときの思いです。  今回、疾患としては、HIV/AIDSが代表になっていますけれども、慢性疾患と いうのは決してそれだけではなくて、いくつかのものがありますから、場合によっては、 対策の必要上からこちらからお尋ねするというようなことも時には出てくると思うので すけれども、そういうときにいろんなものを配慮してやるというのは、この数年間で随 分違ってきたと思いますから、そういうような変化を十分尊重して反映していただけれ ばと思います。  私はこの慢性感染症を入れていただくというのは、1つ感染症対策という意味でブレ ークスルーになるというふうに思っています。 ○倉田分科会長  ほかにいかがでしょうか。 ○廣田委員  私もこの慢性感染症という取り上げられ方をされるというのは1つの前進だろうと思 います。ただ、ちょっときょうとお話をお伺いしておりますと、あまりにも薬害エイズ ということが突出したような感じで印象受けますので、例えばHCV感染であるとか、 あるいはヒューマンパピローマウイルスの問題とか、ああいったもっと幅を広げたとら えられ方をするという御予定なのか、あるいはそうしますと、一番問題となっていく、 例えば感染症とがんというような、そういった関連が出てきますので、これは疾病対策 として、そこら辺の仕分けみたいな、線引きみたいなものがどうなるのか、ここをお話 をお伺いしたいと思います。 ○倉田分科会長  いかがでしょう。 ○鈴木課長補佐  慢性感染症しょうという概念で、今回一類から五類の中の慢性感染症の中で、特にす べてを慢性感染症という括りの中で行うというのではなくて、やはり一類から五類に規 程されております疾患の中で、そういった初回以降の御報告というものが政策上もしく は患者の医療上ですとか、様々な条件を総合的に勘案して、必要であるというようなも のについて、疾患を定めてとれるような形にさせていただきたいというふうに思ってい るところでございます。  さっきパピローマウイルス、ほかにも性感染症、今、多分、こちらの事務局としては、 そういったことがありますので、今回HIVの患者さんの団体を及びさせていただいて おりますし、また、この会議の中でも、HIVというような声があったというふうに聞 いておりますので、そういったところでもブレークスルーにしながら、すぐに全部が全 部というわけではないと思いますし、また、こういうのは議論を重ねながら入れていく べきだろうというふうには思っておりますが、事務局としては、そういったこれまで名 前が挙がってきたようなものについて、そういったものを、優先順位が高いと言ったら おかしいかもしれませんけれども、こういった適用にするのの上位の方に挙がってきて、 検討していきたいと考えているところでございます。 ○池上委員  慢性感染症という言い方でいくつものものを括っていくということなんだと思います が、エイズ予防指針の見直しのときに、今HIVは慢性感染症になったという表現をめ ぐってかなり議論がありました。それは医学的にコントロール可能になったということ では慢性という形で大きな括りの中に入るのかもしれない。けれど、今、HIVだけで はないと思いますが、HIVに関係している者としていえば、ただ、医学的にコントロ ール可能になったという意味で同列に扱ってしまうときには非常に慎重な配慮が必要だ ろうというのは、先ほども参考人から出ましたけれども、病気につきまとっているステ ィグマとかイメージとか、それで実際の生活者としての影響が出る、あるいは医療の現 場でも、例えば影響が出るということはあるわけで、そこら辺にちゃんと配慮がありま すということは文章としてやはり入れていただきたい。単にこれは医学的にコントロー ル可能ですから慢性感染症。慢性感染症の対応はこうこうこうですというだけでは、今、 現実に対応していく上でちょっと不備ではないかという懸念を感じます。 ○倉田分科会長  いかがでしょう。 ○飯沼委員  お話を聞いて大体わかってきましたが、例えばヘルペス群のウイルスは随分自動感染 というか慢性感染症になるとか、それから、今パピローマのお話もあったし、一番大切 な結核もそうなんでしょうけれども、これをやるときには、こういう疾患をこういうイ メージでやるのだということをはっきりしないと、この間口だけが非常に大きくなっち ゃって収拾がつかなくなるような気がします。それぞれのところが、例えばSTDなら STDで、小野寺先生のところで班会議があるとか、そういう問題もまた別に扱ってい るわけですから、どういう疾患をどういうふうにやりたいのだということを初めにイメ ージングしてもらわないと、間口だけ広がってどうしようもないような気がしますが、 いかがでしょうか。 ○倉田分科会長  事務局、何か御意見ございますか。 ○鈴木課長補佐  先ほども申したかとは思いますが、この一類から五類の中で、御発言ありましたよう な慢性に経過するいわゆる慢性感染症というようなものは多分ほかにもいろいろあると は思います。ただ、今回につきましては、法律の中でも厚生労働省令で定めるものとい うことになっておりまして、その中でもきちんとした目的、もしくは先ほどから申して おりますが、いろんなことを加味して、総合的に法律の対象としてきちんとしたことを やって、サーベイランス等をやっていくべきものということで規程する予定にしており ます。これは別に今回規程されなかったから、将来的にはもうないのかというわけでは ないと思っておりますので、きちんとした議論が行われた中で少しずつこういったもの についての適用というのは考えていくべきだろうというふうに考えているところでござ います。 ○倉田分科会長  ここに書かれている中には、個々の疾患をどうする、こうするということは書いてあ りませんから、今、皆さんの言われた配慮せよという点を十分に考えて、はっきり言う と、1つ1つ、どんなやり方をするかということがあればわかると。 ○岡部委員  届出をサーベイランスを担当する側としては逆の話になるのですけれども、届け出る 方の負担ということも考えておかないと、ここには医師の届出を求めることになります から、そのときにどういうタイミングなのか、あるいはどういう機関なのか、どういう 内容なのかというのを届ける方の、隣に飯沼先生たちがおっしゃられることだと思いま すけれども、そういう負担も考えながら、最大できることのいいところをピックアップ するというふうにしていただければと思います。  私もいくつかの慢性感染症、例を挙げれば、例えばB型肝炎とかC型肝炎も、そうい ったようなものに入ってくるでしょうし、あるいはエキノコッカスみたいなものも入っ てくると思うんですけれども、一気に全部やるのは多分難しいと思うので、うまくいく かどうかという言い方はいけないのかもしれませんけれども、きちんとやることをやり ながら、本当にそのほかのことに必要かどうかということの応用の議論を続けていただ ければというふうに思います。 ○藤原参考人  1ついいですか。 ○倉田分科会長  どうぞ。 ○藤原参考人  こういうふうに決めるときは活発な議論になるのですけれども、その後、評価をした りするときに非常にしりつぼみになって、予算とかがなくなったりして、最後まで結論 づけができずに終わってしまうことになっていることが往々にしてあるので、そういう ふうなことをはっきりしておかないと、それが担保されないとなかなか難しいのではな いかなというふうに感じます。 ○新課長補佐  今回の改正で国の基本的な政策とか、感染症施策を基本指針という形でこの審議会に も御意見を聞いて定めていますが、それを再評価、政策の効果に関する評価をして、そ れを踏まえて随時見直すということをまた法律的にも明記をいたしましたので、そうい った中で対応させていただきたいというふうに思います。 ○倉田分科会長  よろしいですか、ほかに、どうぞ。 ○大平参考人  慢性感染症の範囲を定めたというのは、エイズの蔓延というんですか、かなり感染者 が増えていく傾向と、世界的にもHIV感染症の増加というのが世界でも大変注目され ているということと、それとまだまだ新しい感染症としてのいろいろな治療の、コント ロール可能というふうになったと言われていますけれども、私たちとしてはコントロー ルはまだ可能な領域に入ってないだろうと思うんですね。そういうのは、新しい薬剤が 出てきても、それは2年ぐらいのサイクルでどんどん変えていかないと耐性が出てきた り、効果が出てこないというところでは、まだ、この先どういうふうになっていくかと いうところはわからないと思います。  ですからこういった意味で、慢性感染症としていろいろフォローしていくことは大変 重要なことだろうというふうに、前から私たちは思っておりました。ですから、そうい った点での、逆にいろいろ調査する段階で、医療者側のいろいろ負担も大変あるのだろ うと思いますが、私たちの感染症患者としての一番の懸念は、最終的にこういった問題 が人権的にどういうふうに守られていくのか、そしてまた何か問題が起きたときに、先 ほどリスクコミュニケーションという話も出てきましたが、職場ですとか学校、いろい ろなところでの、それに対しての啓発ですとか、また、原状回復とか、そういうものの いろいろな手だてというのが、これはエイズだけではなくて急性感染症の一類、二類の 問題などは特にあるのだろうと思いますけれども、そういった問題に対しての1つの私 たちはサンプルをつくっていっていただきたいというふうに思っていまして、その意味 で、ここの法律上期待される効果の中で、また、(3)のほかに(4)みたいな形できちんと人 権を守ることとか、人権回復についていろいろな手だてを探るとか、そういうものが何 か明記されているところが重要ではないかなというふうに思っております。  再三言いますように、慢性感染症にHIV感染症をいろいろ議論されたというところ に、私たちが参加できなかったことというのは大変残念だったのですけれども、でも、 これをぜひいろいろと反映していただきたいなというふうに思います。 ○倉田分科会長  ありがとうございました。 ○竹内委員  少し私が関係していることを申し上げますと、ちょっと先ほどお話した文部科学省の 総合科学技術会議の下にある感染症関係のプロジェクトチームと、そこに入らない感染 症、テロを含めたチームがありまして、そこは今まさに参考人が言われたような、言葉 をかりていえば、社会人文科学的なアプローチ、教育、初等教育・中等教育。それから、 これはたしかきょう欠席の岩本先生が言われた言葉なんですけど、センシティブ・バッ ト・トレラントな社会の構築というような方へ非常に重点を置いて、今、総合科学技術 会議のPTの報告とあわせて論議が進んでおります。まさに職場での問題とか、コミュ ニティの問題とか、初等・中等教育で何をどういうふうに教えるかというようなことも 総合的に、厚生労働省と多分両輪をつくって動いていくのだろうと思うんです。  また、そういうことを踏まえて考えますと、迅速なサーベイランスに基づいて良質な 医療情報、例えば薬剤にしても何にしても提供できるというふうなことが、多分岡部先 生などを通してできるのだろうと思うんですよ、これを拝見していますと、ですから、 私としては前向きに、各省庁が連携しての取組を期待したいと思います。 ○倉田分科会長  ほかによろしいですか。 ○阿彦委員  私も今回の議論で、ちょっと急だったので驚いたのですけれども、結核については別 枠で、今も種々のサーベイランスを登録制の下でやっているわけですけれども、そうい う面で、結核のサーベイランスは対策のサーベイランスということで治療効果の評価だ とか、早期発見の評価だとかいろいろなことが今システムの中でできて、具体的にイメ ージするには、結核の今のサーベイランスなどがモデルになるかもしれませんけれども、 結核の場合は、一応登録制ということで個人の識別ができておるコホートを縦断的に追 跡するような、そういうシステムですけれども、今回イメージするものが、岡部先生に 質問したいのですけれども、海外で、アメリカ等で、そういう慢性感染症のサーベイラ ンスが結核以外のもので、具体的に動いているもののモデルがあれば少しイメージでき るのかと思ったので、そういうのを次の会議ででもちょうだいいただくとうれしいなと 思ったわけなんです。  例えば一類から五類までとありますけれども、四類までだと患者さんの名前が届出で きますので、その後、どうなったかということの報告を求めようと思えばできるわけな んですけれども、五類は名前がありませんから、HIVを含めて患者さんの氏名があり ませんから、断面の今治療中の人のことについて何月にすべて出してくださいとか、そ ういう断面の調査になると思うのですけれども、その辺、五類の感染症も慢性感染症の サーベイランス含めるといろんな技術的な問題とか、人権の問題とか出てくるだろうな と思って聞いていたので、その辺のことも含めて。 ○岡部委員  国によって様々だと思うのですけれども、特にAIDS/HIVの場合はどの国も気 を使いながらやっているというのがある中で、一部の国は患者さんの名前、住所その他 も含めて全部登録しているところもあれば、しかしむしろそういうところは少なくて、 例えば今アメリカという話が出ましたけれども、番号で登録するような形にして、そこ までさかのぼれないというようなことはチェックがされております。ただ、途中の経過 を見ていくため、あるいは治療の評価、ダブルカウントみたいなのもありますから、そ ういうようなのを避けるためにはコード化して登録をしている国の方が多くあります。  その結果を対策に使っているわけで、急性感染症、例えば一類から三類、四類といっ たようなところでは、急性の対策をとるためにある程度限定した情報が必要になってい るのですけれども、慢性の場合はそうではなくて、周辺のことが必要で、例えばどこか 引越しをして、そこから変化がわからなくなったということになると、結局は全体の像 がとれない、あるいはさっきも参考人のお一人の方がおっしゃっていましたけれども、 何人中何人が亡くなられたということすらわからなくなってくると、一体その病気はど ういうものかというのがわからなくなるのが慢性の部分ですから、そういったようなこ とを意識しながら項目を決めていく必要はあると思います。  ただ、いずれにせよ、コード化は、私自身の考えでは、そういうものは必要だろうと いうふうに思っています。 ○倉田分科会長  よろしいですか。それでは、いくつかの重要な意見が出されましたので……どうぞ。 ○白井委員  阿彦委員の観点と少し似ているところもあるのですけれども、結核が別扱いでという ことに将来なって感染症法と同並列に入っていくということなんですけれども、今の結 核予防法の中では、良質かつ適切な医療の提供の中では、結核審査会などのシステムが あって、そこで内服薬の治療などのサジェスチョンができるのですけれども、このよう な法律上期待される効果の中に、届出項目に薬剤の使用できるような疾患については、 そのような報告があって、それについてサジェスチョンができるかどうかとか、そうい う場合には公費負担というような場合もあるかと思うのですけれども、そのようなこと まで考えて、期待される効果というところの大きなところも求めてもいいのかというの がイメージとしてはわからないので教えていただきたいのですけれども。 ○倉田分科会長  事務局、答えてもらえますか。 ○鈴木課長補佐  結核につきましては、今、入院治療また通院治療については公費負担で行っておりま して、それの公費負担の是非も含めて、そういったデータを登録票という形でそれをい ただいて評価していくということになっております。ただ、今回の慢性感染症につきま しては、どちらかというと、初回届出のサーベイランスの延長ということを検討してお りまして、医療費云々というわけではなくて、そういった初回届出以降の情報をきちん といただきたいというような目的ですので、どこまで評価するところをつくるのかとい う問題はあるとは思いますけれども、基本的には私どもは、結核のいいところは吸収し たいと思いますけれども、それは個々の疾患によっていろいろ変わってくるというふう に思っておりますので、個々の疾患の状況、それから、いろんな社会的問題ですとかそ ういったものも加味しながら検討していきたいと思っています。 ○倉田分科会長  よろしいですか。  それでは、次に行きたいと思います。資料2−2を、さっき飛ばしましたが、説明し てください。 ○鈴木課長補佐  すいません、資料2−2について御説明させていただきます。  資料2−2につきましては、「擬似症」のうち厚生労働省令で定めるものの発生届(法 第十四条関係)についてということでございます。これにつきましては、こういった生 物テロとか事故等につきましては、自然災害のときに発生した感染症に比べて、一層か つ適切に迅速に対応すべきだろうということがございますので、こういった患者さんに つきましては、確定診断を待たずにそういった異常な情報を察知して急速な対策をとれ るようにということで、それにつきまして「擬似症」ということで報告を求めるもので ございます。  イメージといたしましては、過去にサミットですとか、ワールドカップのときに行わ れました症候群サーベイランスというものが行われておりますが、それがイメージに一 番近いものというふうに御理解していただければと思います。  具体的などういうものをとるかということで、今、事務局としてはいろいろなパター ンがあると思っているのですが、この2つについて、特に今回先駆的に行ってみるべき ではないかというふうに考えております。  1つは、発熱・呼吸症候群ということで、これは昨今の鳥インフルエンザ、もしくは 新型インフルエンザの発生に備えまして、こういったものを行った方がいいのではない かということでございまして、症候につきましては、38度以上の発熱かつ呼吸器症状が 見られるような方々について、定点から報告していただいて、迅速な対応がとれるよう な形にしたいというものでございます。  もう一つは、発疹/水泡症候群ということでございますが、特に天然痘、天然痘につ きましては擬似症というのがあるのですが、それよりも先にこういったものがとれるよ うにということで、発熱及び発疹/水泡などの症候をすぐに報告していただくというこ とで、こういったテロ対策についても対応したいというふうに考えているところでござ います。  届出方法につきましては、それぞれ定点医療機関から週に一度まとめて報告をいただ くということで、極力提供側の簡素化ということもございますので、電子化をさせて報 告をさせていただくようなシステムを考えたいと思っているところでございます。  定点の医療機関の数につきましては、他の疾患、今、五類で定点を行っている疾患が ございますので、そういったものとの整合性をとりながら決めたいというふうに考えて いるところでございます。  〈参考〉の方、後ろにありますが、これはイメージといたしまして、炭疽菌による生 物テロを想定した場合というところでございます。左側の図の流れの方が、今回のいわ ゆる擬似症・症候群サーベイランスを導入した場合ということで、右側の方で既存の発 生動向調査の場合ということで、右側の方はどちらかというと、最悪の最悪を考えたよ うな流れということになっているところでございます。  こういった炭疽菌のテロが発生しますと、発生の1〜7日後には患者がいろいろ出て くると。初期症状というのはインフルエンザ症状、発熱ですとか呼吸器症状が出てくる だろうということで、そういったものを左側にありますとおり、呼吸器症状という形で 報告をいただいて、そういったのが増えているという異常事態をすぐにキャッチしてい ただいて、そこでそういった炭疽菌ではないかというよな判断をして、それぞれ対策を とっていくと、やはりこういったものについては非常に早期に対応ができるのではない かということを考えているところでございます。  ただ、一方、通常の発生動向の場合ですと、そういったインフルエンザ症状というこ とで炭疽菌を疑う先生というのもいらっしゃるかもしれませんけれども、一般的には疑 わない可能性もあります。そうしますと、個人の患者さんで見ると、いろいろとわから ずに抗菌剤投与ということが出てきて、届出がおくれてきて、対策もおくれる可能性も あるだろうということはございます。  したがいまして、今回こういった形でテロ対策、もしくは新しい異常な感染症が見つ かるような場合についての対策強化のために今回この法律の第14条というのを制定さ せていただいているところでございまして、これについて、こういった具体的内容を案 として挙げておりますので、これについて御議論いただきたいと思っております。  以上です。 ○倉田分科会長  いかがでしょうか。どうぞ。 ○岡部委員  私もサーベイランスの立場の方からの意見なんですけれども、これは例えば炭疽のこ とが例にはなっていますが、これで最初の1例がすぐキャッチができるとか、そういう ことではなくて、ある固まりを見つける1つのツールであると、これですべてがわかる わけではないので、いくつかの安全の仕組み上の1つであるというお考えでいっていた だきたいというふうに思います。 ○倉田分科会長  ほかにいかがですか。よろしいですか。これはまた具体的に提示するときには、きち んとわかりやすく出てくると思いますが、お願いします。 ○岡部委員  それと、既に事務局から御説明はありましたけれども、常時やるという意味では、こ れも医療機関に負担のかかる可能性があるので、できるだけそこを排除するということ と、代表性については、技術的な議論をしていく必要があると思います。ただ、実際的 には現在でも、インフルエンザの定点の先生の中から、約10%ぐらいになりますけれど も、毎日毎日それの症状をコンピュータに入力して大体のグラフができているというよ うなことは実施しているので、それで見ると、数は少ないけれども、早く検知できると いうようなことは既に証明されております。 ○倉田分科会長  ほかに、よろしいですか。  では、次に行きたいと思います。次に資料3です。感染症の予防及び感染症の患者に 対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案における新たな命令委任事項(案)、 新さんお願いします。 ○新課長補佐  今回の感染症法改正の施行に関しまして、今まで御議論いただいたテーマが、主に新 たに規制等について検討をお願いする事項でございます。そのほかに当然法改正で様々 な許認可等を新たに設定しておりますので、これに関係しますいわゆる委任命令、政令、 省令、告示、こういったものがございます。定刻を過ぎておりますので、まず資料を簡 単に御説明をさせていただきまして、また当然内容につきましては、概要等をお示しし て御議論いただきたいというふうに思いますので、まず概要を御説明させていただきま す。  資料3の1ページでございますが、左の欄が今回の改正法案の根拠の条文でございま す。真ん中の欄が、その条文を要約させていただいております。こういったものを政令、 省令、厚生労働大臣が定めるようにということで委任がされております。右の欄でござ いますが、事務局が、例えば他法令、参考にした法令等でこういった規定を設けるとい うようなことも勘案しまして、また、法案制定時の審議会の意見等も踏まえながら、例 えばこういった内容が規定されるのを考えていますよということでございます。  まず1ページの一番上でございますが、四類感染症については、代表的なものを法律 で書きまして、それ以降は政令、これは現在もそういった考え方ですけれども、こうい うことでございます。  今回は、法律のときに御議論いただきました新たな規制対象となる病原体によって引 き起こされる感染症を四類感染症に新規に追加するというものがございまして、オムス ク出血熱ほか、ここに規定しているものが対象となる予定でございます。  次は6条、政令で定める結核指定医療機関の種類ということですが、これは結核指定 医療機関の病院・診療所以外のものが将来、いわゆる病院と同等のサービスを提供する ものが出てきた場合に指定医療機関とする必要があるのかどうかということで政令を定 めることができるという規定を置いております。現在のところ、関係法令との関係上該 当するものはございません。  次に3つ目以降ですけれども、病原体の定義に関する事項でございます。代表的なも のを御説明させていただきますが、まず上から3つ目のものですが、これは先ほど委員 からも御質問ございましたように、病原体には形式上該当しますが、弱毒のものとか、 生物学的製剤のようなものについては規制の対象から外すという規定で、厚生労働大臣 が1つ1つ指定をしていくということでございまして、生物学的製剤等が想定をされて いるというものでございます。  これと同じ規定が、二種、三種、四種についてもそれぞれ除外をしていくという規定 がございますので、またあわせてご覧いただきたいと思います。  それから、一種病原体等につきましては、上から4つ目ですが、政令で定める一種病 原体等ということで、一種病原体のリストの中から、我が国において、国立感染症研究 所等で研究等を認めて差し支えないものについて、政令で定めていくという規定がござ います。法律以外にも今後出てきた場合にはこれで対処するということでございますが、 現在は該当がないということでございます。  同じ仕組みがそれぞれ二種病原体等にもございますので、またご覧いただきたいと思 います。  次、2ページの方にお願いをします。上から4つ目の欄でございますが、慢性感染症 の関係は、これは先ほどお示ししたものについて、省令でまずどういった感染症がサー ベイランス等の対象になるのか。それから、どういった手続で届け出るのか、どういっ た事項を届け出るのか。それから知事へ届けられたものが大臣へ報告する際の報告期間 をどうするのかといったものについて、今後検討していきたいというものでございます。  その次、14条1項、2項につきましては、この前の議題にございましたいわゆる症候 群のサーベイランスの関係でございまして、どういった擬似症、つまり発熱であるとか、 そういった擬似症を個別に省令で定めていくというものでございます。  その次の結核の関係でございますが、第37条の2ほかそれぞれ掲げてあります規定で ございますけれども、これは結核予防法を廃止しまして、結核の章を設けたことに伴い まして、現在の政令、省令の事項が、感染症法の政省令の方に移ってくるということで ございまして、患者の医療等に関する必要な事項について、現在の規定と同等の規定を 設けるというものでございます。  56条の3以降につきましては、一種病原体から四種病原体のいわゆる具体的規制に関 する委任事項でございます。  2ページ目の下の4つにつきましては、一種病原体等の規制の関係でございます。ま ず、試験研究を認める一種病原体等を政令でさらに絞り込んでいくということで、現在 のところ、我が国において所持させるものというものは想定しておりませんので該当な しですが、今後そういった必要性に応じて政令で定めるというものでございます。  その次の欄は、先ほど病院、診療所、検査機関等で、患者等から分離された病原体等 が特定された場合に適法に所持ができるようにする規定でございまして、例えば所持か ら24時間以内とか、こういった手続を定めるものでございます。  その次の56条の3については、国以外の法人で一種病原体等を所持を認める法人です が、現在のところ該当はないものと考えております。  その次は譲渡の手続ですが、これは他に譲渡をする場合にどういった基準が適用され るかというものでございます。  3ページ目をご覧いただきまして、一番上から下まで2つ目までが、二種病原体等に 関する許認可の規定でございます。二種病原体等の所持は許可手続になっておりますの で、許可に必要な一般的な規定でございます。事業所ごとに許可を受ける、あるいは先 ほどの滅菌譲渡のための手続、それから申請書の添付書類、欠格条項の対象となるいわ ゆる役員並びの使用人の対象、許可対象と認められる所持の目的、適法な所持の目的の 中で、省令で定める製品というものを決めております。そのほか、施設の構造の技術的 基準、これは先ほど御議論いただいたものでございます。  そのほか、許可証に関する記載事項や再交付、返納手続等でございます。それ以外に は、変更の許可、軽微な変更等についても、ご覧のとおりの手続を定める予定でござい ます。  56条の12からは、輸入の許可でございますが、同じく輸入の許可の種類ごとに受け る旨、あるいは申請書の記載事項等を定める予定でございます。  3ページ目の一番下から次の4ページの上から3つ目までは三種病原体等でございま す。三種病原体等は事後届出でございますので、届出の手続、届け出る内容の事項でご ざいます。  滅菌譲渡につきましては病院等が所持するに至った場合の処理の期間でございます。  4ページの上から4つ目以降については、共通のいわゆる規制でございますが、56条 の18から、56条の22までの欄につきましては、一種と二種の病原体に係る規程でござ いまして、いわゆる予防規程、マニュアルの作成、取扱い主任者の設置に関して必要な 予防規定の内容、主任者の資格要件等を定める予定でございます。  そのほか、施設への立入者への教育訓練の内容、備付帳簿の記載事項等を規定してお ります。備付帳簿については、一種から三種まででございますが、主要内容の帳簿記載 事項、それから帳簿の保管年限等を規定する予定でございます。  56条の24と25につきましては、先ほど第1点目で御議論いただきました施設の基準 と保管上の基準でございます。  4ページの下から4つ目以降でございますが、56条の27に関するものにつきまして は、いわゆる運搬の届出の関係でございますが、現在これは警察庁の方が所管になりま すので、同庁において検討中でございますが、国家公安委員会規則で定めるところによ る届出の手続、指示の内容、措置命令の手続等が定められる予定でございます。  次に5ページ目をお開きいただきまして、5ページの上から3つ目までは、いわゆる 災害発生時の応急措置あるいはその報告でございます。上から2つ目までは非常時にお ける届出措置、応急措置の内容を規定する予定でございます。  56条の36は、厚生労働省令の手続によって、必要な滅菌等の命令を行うことがある という規定に対しての手段等でございます。  検疫法関係では、南米出血熱が検疫感染症に入りますので、これの潜伏期間を勘案し て定めるということで、例えば384時間というようなことを想定しております。  予防接種法の関係につきましては、予防接種に関する記録の保存が新たに設けられま すので、これにつきまして、例えば住所、氏名等を記載した上で20年間保存するという ような内容を予定しております。  以上が政省令等に委任された事項の一覧でございまして、きょうは概要の御説明とさ せていただきたいというふうに思います。  以上でございます。 ○倉田分科会長  ありがとうございました。先ほどいろいろ議論してきたものを法律的な根拠としてど こにあるかということだと思います。何か特別な質問ありましたらどうぞ。 ○高橋委員  すいません、保存年限なんですけれども、いろんな保存年限あると思うんですが、20 年というのは保存年限の中でもかなり長いような気がするのですが、この根拠というも のはどういうものでしょうか。 ○新課長補佐  案の段階ではございますが、まず病原体に関する帳簿に関しましては、生物製剤等の 基準が20年間の保存をしておるということで、それを参酌させていただいて案としてお 示しをしております。予防接種に関しましては、予防接種の記録が様々な健康被害の救 済等とも関係をしてまいりますので、除斥期間等も勘案をして20年程度というふうに案 としてはお示しをさせていただいております。いささか長期かとは存じますけれども、 そういったことを検討しております。 ○倉田分科会長  30年という国もありますね。ほかに何か御意見ありますか。 ○神谷委員  今の予防接種のことでお聞きしたいのですけど、これはまだ途中でしょうが、最終的 には各市町村で管理するような格好になるのでしょうか。 ○新課長補佐  市町村が保存する書類の年限でございまして、対象は市町村でございます。 ○神谷委員  ぜひデジタル化でちゃんとやってもらうように、手書きで置いておくのは非常にごち ゃごちゃになっていますから、よろしくお願いします。 ○新課長補佐  20年間につきましては、当然紙でやりますとスペースの問題が出てきますので、基本 的には電子化ということで考えております。 ○高橋委員  すいません、電子媒体の保存のことをやっているんですけど、20年持つんですか。 ○新課長補佐  検討します、申し訳ありません。 ○高山委員  予防接種の記録の保存の期間の件なんですけれども、これは定期予防接種、自治体が 行う定期予防接種だけのことなんでしょうか。病院でも予防注射やっているわけで。 ○新課長補佐  予防接種法に基づく法定接種を市町村が行った場合の規定でございますので、予防接 種法の範囲内ですから市町村が行うものです。 ○高山委員  それで、定期接種なんだけど、近隣の開業の先生に、ちょっとアレルギーがあるから 病院へ行ってやってきなさいと言われて、病院でも定期接種としてやることがあるんで すね。それは対象外になるのですか。 ○新課長補佐  その記録を市町村の整備するいわゆる予防接種台帳といいますか、そういった記録が 対象ということです。 ○高山委員  わかりました。 ○倉田分科会長  それでは、最後に課長の方から、新型インフルエンザの政令指定について一言。 ○塚原結核感染症課長  資料は特に用意しておりませんが、口頭で御報告させていただきます。前回の4月14 日だったでしょうか、この分科会を開催させていただきまして、インフルエンザH5N 1の亜型にあるインフルエンザの病気ついて政令指定をすることについての御審議をい ただきましたけれども、その後、速やかにパブリック・コメントを行いまして、5月31 日に閣議決定、6月2日の公布、6月12日施行ということで、6月12日から政令指定 しまして入院勧告、就業制限でありますといったようなことができるような措置をいた しました。  5日に、来週の月曜ですけれども、都道府県の主管課長会議を開く予定にしていまし て、その場で政省令の内容、それから具体的なオペレーションの仕方についてもお示し をするという予定でございます。  以上、御報告です。 ○倉田分科会長  ありがとうございました。  それでは、予定したことはすべて終わりましたので、閉会にしたいと思いますが、事 務局から。 ○岡島審議官  本日は大変長時間にわたりまして、また、大変暑い中、熱心な御議論いただきまして ありがとうございました。いただきました御意見を踏まえまして、また、私どもも検討 を進めてまいりたいと思います。  また、本日は大平参考人、藤原参考人、長野参考人、大変長時間にわたりまして御出 席いただきまして、また、大変貴重な御意見をちょうだいいたしまして、本当にありが とうございました。御礼申し上げます。 ○鈴木課長補佐  それでは、各委員の先生方におきましては、昼食を御用意しております。  なお、28回厚生科学審議会感染症分科会の開催につきましては、また後日日程等を調 整の上、また、御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○倉田分科会長  それでは、本日の分科会は終了させていただきます。大変お忙しいところ、ありがと うございました。                                    (以上)              (照会)                         厚生労働省健康局結核感染症課                         担当: 清水(内)2379                           松嶋(内)2386      TEL : 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