06/05/29 第85回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録   第85回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成18年5月29日(月)15:30〜 2 場所  職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表 : 清家委員、北村委員、鎌田委員、        雇用主代表: 輪島委員        労働者代表: 長谷川委員、川畑委員、   事務局  高橋職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、        篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、        佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について(フォローアップ)      (2)その他  ○清家部会長   ただいまから、第85回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は成宮委員、山 崎委員、池田委員はご欠席、また鎌田委員は少し遅れてご出席と伺っております。本日 は、最初に公開により労働力需給制度について(フォローアップ)をご審議いただきま す。またその後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹 介事業の許可の諮問に係る審議を行いますが、許可の審査については資産の状況等の個 別の事業主に関する事項を取り扱いますことから、これについては「公開することによ り、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当いたし ますので、非公開とさせていただきます。傍聴されている方には、始まる前にご退席を いただくことになりますことを予めご了承ください。  早速議事に入らせていただきます。最初の議題は、「労働力需給制度について(フォロ ーアップ)」です。今回は「労働者派遣関係」の第2回目として、紹介予定派遣及び事前 面接等の派遣労働者の特定を目的とする行為についてのフォローアップを行いたいと思 います。まず、本日提出の資料について事務局から説明をいただき、その後議論を行う ことにしたいと思います。それでは事務局から説明をお願いします。 ○篠崎補佐   資料の説明をいたします。本日の資料は、資料1から資料3までございます。資料1 がフォローアップ事項について、1枚です。資料2が労働者派遣事業関係資料で、65枚 です。資料3が関係条文、5枚です。本日は、フォローアップ事項の(4)(5)について資料 を用意しています。  それでは資料2の紹介予定派遣についてです。これも前回と同様ですが、まず現行制 度について説明し、その後、ヒアリングにおける主な意見等について紹介いたします。 それから、その他実態調査によるデータについての紹介という流れにしたいと思います。  1頁は、紹介予定派遣の現行制度についての説明です。紹介予定派遣とは、労働者派 遣のうち労働者派遣事業と職業紹介事業の双方の許可を受け、又は届出をした者が、派 遣労働者・派遣先の間の雇用関係の成立のあっせんを行い、又は行うことを予定してす るものをいう、と定義づけています。派遣期間は、同一の派遣労働者について6ヶ月以 内という形で、指針で定めています。派遣先が、派遣労働者を雇用しない場合の理由の 明示では、1つめが派遣先が紹介予定派遣を受けた場合において、職業紹介を希望しな かった場合又は雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じてその理由を明示 すること、それから派遣元事業主は、派遣労働者の求めに応じて派遣先に対して理由の 明示を求めた上で、派遣先から明示された理由を派遣労働者に対して書面で明示するこ と、と指針で定めています。つまり、労働者が職業紹介あるいは雇用されなかった場合 に、理由を求めた場合については派遣元事業主経由でその理由の明示を受けることがで きるものです。続いて、派遣就業開始前の面接、履歴書の送付等については、紹介予定 派遣の場合は実施可能、ただし年齢や性別を理由として特定の者を排除してはならない と、派遣先指針で定めています。  次に、平成15年改正事項です。紹介予定派遣について法律上の位置付けを明確化す るというものです。同一の派遣労働者にかかる派遣期間を設定、これは上で紹介した6 ヶ月で、派遣就業が終了する前でも職業紹介を可能とした。それから派遣就業開始前の 面接、履歴書の送付等の特定することを目的とする行為を可能とした。以上が、平成15 年の改正事項です。  2頁はヒアリングにおける主な意見の紹介です。まず、労働者派遣事業主団体からで す。「紹介予定派遣については、一般のオフィスワークについては大変実績が上がってき ている」、「新卒の紹介予定派遣については、6ヶ月では短いと聞いている」、「自由化業 務における紹介予定派遣の場合、すでに受入期間をある程度経過して、その部署ではあ と3ヶ月しかその業務の派遣を受け入れられないというところに、その業務の紹介予定 派遣を受け入れようと思っても3ヶ月しかできないため、紹介予定派遣については、自 由化業務であっても、人に着目して6ヶ月を認めるべきではなかろうかと考える。」  続いて、派遣元事業主の意見です。「派遣先企業、派遣スタッフ双方とも紹介予定派遣 の認知度は上がっている。紹介予定派遣では、派遣期間は6ヶ月で十分ではないか。た だ、新卒の方に紹介予定派遣制度的なもので来て欲しいという企業も出てきており、そ のときにはできたら1年間見てみたいという意見はある」、「紹介予定派遣において、当 社の営業マネジャーの職員が全員一致していたのは、派遣スタッフから(紹介や採用を) 断ってくるということ。断る理由は、待遇面よりも職場環境、人間関係が圧倒的な理由 である。よって、派遣スタッフが断られた理由を明示しろというのは、当社のごく最近 の話ではまったくないということを聞いている」、「紹介予定派遣における事前面接につ いては、例えば20名くらい候補者を出させて面接を行うことはほとんど行われていな い。やはり1名、多くて2名である。理由は、派遣先企業が人材紹介に近いような考え 方で、じっくり話がしたいということがあるから。」以上が、ヒアリングにおける主な意 見です。  4頁は、平成16年度の事業報告による紹介予定派遣の実績を付けています。上の○ ですが、こちらに概要があります。紹介予定派遣により労働者派遣された労働者数、平 成16年度は1万9,474人、そのうち紹介予定派遣で職業紹介を経て、直接雇用に結び ついた労働者数が1万655人で、約5割の方が実際に紹介予定派遣をされた後、直接雇 用に結びついたという結果になっています。  5頁は、平成17年度に実施した実態調査の紹介です。派遣元事業所調査です。表1 をご覧ください。まず、紹介予定派遣を実施している事業所、一般のところで紹介しま すが、33%、「検討中である」が27.4%、「今後とも実施の予定はない」が、35.9%です。 表2.紹介予定派遣の場合における、実際に派遣する労働者を決定する前に行われている こと、です。履歴書の提出は、一般では「よくある」が47.7%、「たまにある」21.8%、 「まったくない」が18.8%となっています。派遣先による面接は、一般について「よく ある」は52.6%、「たまにある」が24.4%、「まったくない」が9%です。派遣労働者の 派遣先への事前訪問は、一般で「よくある」は63.5%、「たまにある」が17.7%、「まっ たくない」が6.8%です。本格的な派遣に先立つ短期間の派遣先での就労は、「ほとんど ない」が21.4%、「まったくない」が62.4%と、ほとんどの所で実施されていないとな っています。派遣先からの年齢の制限の要請に対する協力では、「よくある」が29.0%、 「たまにある」が41.7%、「ほとんどない」が10.5%、「まったくない」が13.5%です。  6頁は派遣先からの性別の指定に対する協力は、「よくある」が29.7%、「たまにある」 が37.6%、「ほとんどない」が11.7%、「まったくない」が16.2%です。表3.派遣先に よる面接において行われること、です。これについては実施することがよくある、たま にあるという事業所に聞いたものです。面接における派遣元の同席について、「よくある」 が78.1%、「たまにある」が17.1%です。複数の派遣労働者が派遣先に同時に面接を受 けること、いわゆる競合面接ですが、「ほとんどない」が20.5%、「まったくない」が 55.1%です。表4は、事前面接の実施の必要性について聞いたものです。「必要である」 が88%、「不要である」が2.6%です。表5.紹介予定派遣の人員、一事業所でどのくら いの紹介予定派遣の実績があるかというものです。これについては、紹介予定派遣の行 った派遣労働者数は一番右ですが、平均で20.7人です。いちばん多い分布としては、2 〜4人が19.9%です。登録者数、紹介予定派遣を前提とした登録は1事業所で平均73.2 人です。  7頁は、表6.紹介予定派遣の主な業務です。数値的に大きいものは、まず事務用機器 操作が47.7%、財務処理が31.2%、営業が24.1%、一般事務が23.7%です。表7は、 紹介予定派遣先の主な業種です。製造業は43.6%、卸・小売業が19.9%、金融・保険業 が23.7%、情報サービス業が22.6%です。表8は、紹介予定派遣で職業紹介を経て直接 雇用に結びついた労働者数です。平均で17.1人です。分布では1人が9.8%、2〜4人 も9.8%です。  8頁は、表9.直接雇用に結びついた労働者の割合です。一般で見ると、平均で69.2% です。表10は、紹介予定派遣の職業紹介を経て直接雇用になった労働者の年齢の分布 です。20代が44%、30代が42.8%、40代が11.0%となっています。表11は、紹介予 定派遣を通じて直接雇用となった者の雇用形態ごとの人数です。平均で説明しますが、 正社員が平均13.8人、常用パートが1.5人、アルバイトが19人、期間契約社員が8.8 人です。  9頁は、表12.職業紹介に至らなかった労働者数です。1事業所で平均10.8人となっ ています。表13.職業紹介に至らなかった理由では、一番左、「派遣労働者の知識・技術 が派遣先の要望と異なっていたため」が、30.5%、多いものですと一番右ですが、「派遣 労働者が派遣先で働くことを希望しなかったため」が37.2%、「派遣先における人間関 係に問題があったため」が13.2%です。表14.紹介予定派遣契約期間ごとの件数及び平 均契約期間です。3ヶ月以上6ヶ月未満が、分布としては47.9%と多くなっています。 平均で4.7ヶ月です。表15.紹介予定派遣において派遣就業期間が、派遣契約期間より 短くなっていることについては、まったくないが32%と、いちばん多くなっています。  10頁は、表16.紹介予定派遣における平均教育訓練期間で、3.9日です。ちなみに0 日と答えた事業所は0でした。表17は紹介予定派遣における主な教育訓練の内容です。 多いものはパソコン・ワープロの操作が52.6%、一般常識・教養が31.6%、マナーが 46.2%です。表18は紹介予定派遣の対象となる派遣労働者の他の労働者に比べたスキ ルレベルです。「高い」と答えた事業所が38%、「どちらともいえない」が53.8%、総 じて高いと答えた事業所が多くなっています。表19は紹介予定派遣に係る要望です。「派 遣可能期間を6ヶ月より長くしてほしい」が23.9%、「6ヶ月より短くしてほしい」が 6.9%、「このままでよい」が56.3%で、このままでよいと回答した事業所がいちばん多 くなっています。表20は、医療関係業務への紹介予定派遣についてです。「すでに行っ ている」が3.0%、「今後行う予定」が11.4%、「行う予定はない」が80.4%と、いちば ん多くなっています。  11頁、ここから派遣先に聞いたものです。表21.紹介予定派遣の利用予定では、「既に 利用している」が9.7%、「今後利用予定」が5.0%、「検討中である」が21.6%、「今後 とも利用の予定はない」が58.3%で、いちばん多くなっています。表22.紹介予定派遣 で受け入れたことのある派遣労働者数は、平均で6.2人です。表23.紹介予定派遣の主 な業務ですが、事務用機器操作が30.7%、財務処理が14.4%、営業が16.3%、一般事 務が19.6%、ほぼ派元と同じような傾向です。表24.直接雇用に結びついた労働者数は、 平均で7.1人です。表25.職業紹介に至らなかった労働者数は、平均で3.7人です。  12頁、表26は派遣先に聞いた、職業紹介に至らなかった理由です。いちばん多いの は、「派遣労働者の知識・技術が貴事業所の要望と食い違っていたため」が20.3%、次 に多いのが「派遣労働者が働くことを希望しなかった」で18.3%です。こちらの回答で 「不明」が68%と多いので、先に申し上げた理由はほぼ半々という状況です。表27.紹 介予定派遣契約期間ごとの件数と平均契約期間では、多いのが3ヶ月以上6ヶ月未満が 42.4%で、平均では7.4ヶ月という結果になっています。表28.紹介予定派遣で派遣就業 期間が派遣契約期間より短くなっていること、「ほとんどない」が32.7%、「まったくな い」が33.3%です。表29.紹介予定派遣の場合の教育訓練の実施ですが、「教育訓練を行 った」が75.2%、「教育訓練はしなかった」が22.2%です。表30.紹介予定派遣のメリ ットを派遣先に聞いたもので、いちばん多いのが「労働者の適性、能力を見極めてから 雇用することができる」で73.2%、「直接採用するよりレベルの高い労働者を雇用する ことができる」が4.6%、「採用に至るまでのコストが削減できる」が2.6%です。  13頁、表13です。こちらは派遣される労働者が決定される前に行われていることに ついて、派遣先に聞いたものです。総数を見てください。履歴書の取り寄せについては、 「よくある」が54.3%、「たまにある」が14.4%、一方「ほとんどない」が7.8%、「ま ったくない」が17.7%です。産業ごとの分類もございますが、サンプルが例えば農林水 産業、該当事業所1となっていたり、建設業4ということで、ほとんどの業種でサンプ ルが少なくなっている。ただ製造業や卸・小売業はサンプルが57なり、21なりある所 もありますが、ほぼ傾向としては総数と同じような傾向になっています。若干違うとこ ろもありますが、そういう意味で産業についてはほぼ総数と同じような傾向と考えてい ただきたいと思います。以下は説明を省略します。  13頁の下のほうですが、事前面接の実施について、「よくある」が56.9%、「たまに ある」が13.7%、一方「ほとんどない」が11.1%、「まったくない」が15.0%です。  14頁の下段ですが、派遣労働者が希望したときの事業所への事前訪問について、「よ くある」が51.0%、「たまにある」が19.0%、「ほとんどない」が11.1%、「まったくな い」が13.1%です。  15頁、本格的な労働者派遣に先立つ短期間の就労について、「よくある」が3.9%、「た まにある」が4.6%と、少なくなっています。「ほとんどない」が20.3%、「まったくな い」が66.0%を占めています。  16頁、年齢の制限について、「よくある」が19.0%、「たまにある」が26.8%、一方 「ほとんどない」が20.3%、「まったくない」が28.8%です。  17頁、性別の指定についてです。「よくある」が21.6%、「たまにある」が21.6%、 これに対して「ほとんどない」が15.0%、「まったくない」が36%です。  18頁、表32.事前面接をする際に事業所で行っていることです。まず、派遣元の同席、 「よくある」が85.2%、「たまにある」が10.2%と、大多数の事業所で派遣元の同席が 行われています。  19頁、事前面接において複数の派遣労働者が同時に面接を受けることの実施状況です。 「よくある」が11.1%、「たまにある」が12%、これに対して「ほとんどない」が10.2%、 「まったくない」が65.7%です。  20頁、紹介予定派遣において派遣労働者への事前面接を実施することについての意見 です。「必要である」が88.2%、「不要である」が2.0%です。  21頁、表34.紹介予定派遣についての要望です。「派遣可能期間を延長してほしい」 が16.3%、「短く制限してほしい」が2.1%、「このままでよい」が60.5%ということで、 これもほぼ派元と同じ傾向ですが、このままでよいがいちばん多くなっています。続い て、派遣労働者に対するアンケートの部分です。表35.紹介予定派遣として派遣された 経験、「ある」が3.2%、「ない」が94.4%です。表36.職業紹介に至ったことの有無、こ れは紹介予定派遣で派遣されたことのある者に聞いています。職業紹介に至ったことが 「ある」が88.0%、「ない」が10.9%です。  22頁、表37.職業紹介に至らなかった理由を労働者に聞いたものです。いちばん多い ものが、「自分が派遣先で働くことを希望しなかったため」が40%、それから「派遣先 の事業計画の急な変更・中止があったため」が20%、一番左ですが、「自分の知識・技 術が派遣先の要望と異なっていたため」が20%です。ただしサンプルが10と少なくな っていることに注意が必要と考えています。表38.採用に至ったことの有無です。採用 に至ったことが「ある」が75%、「ない」が16.3%です。表39.採用に至らなかった理 由、いちばん多いものが、「自分が派遣先で働くことを希望しなかったため」が66.7%、 「自分の知識・技術が派遣先の要望と異なっていたため」が33.3%です。  23頁、表40.紹介又は採用されなかった理由を派遣元事業主に求めたことの有無です。 「ある」が4.0%、「ない」が44%ですが、実数で見ると該当者25人のうち、「ある」 と答えた方が1名、「ない」と答えた方が11名です。これについては、労働者が求める ことができるとあるものですので、必ずしも求めなければならないというものではあり ませんので、このように低くなっているのではないかと思います。表41、表40の理由 を求めたときの理由の提示です。理由の提示を求めた方が1名ですので、その1名の方 については、「提示された」となっています。表42.紹介予定派遣における、実際に派遣 する労働者を決定する前に行われていることについて、総数のみ紹介します。まず履歴 書の提出について、「よくある」が68.5%、「たまにある」が7.6%、一方「ほとんどな い」が7.6%、「まったくない」が10.9%です。  24頁、下段ですが、派遣先による面接の実施、「よくある」が64.1%、「たまにある」 が8.7%、一方「ほとんどない」が7.6%、「まったくない」が13.0%です。  26頁、派遣先への事前訪問についてです。「よくある」が44.6%、「たまにある」が 16.3%、一方「ほとんどない」が8.7%、「まったくない」が22.8%です。  27頁、本格的な派遣に先立つ短期間の派遣先での就労です。「よくある」が8.7%、「た まにある」が6.5%、「ほとんどない」が21.7%、「まったくない」が55.4%です。  28頁、表43.事前面接において行われることですが、まず派遣元の同席については、 「よくある」が86.6%、「たまにある」が7.5%、「ほとんどない」が1.5%、「まったく ない」が3.0%です。これらはどれも派遣元、派遣先に聞いたものとほぼ同様の傾向で す。  29頁、一番下ですが、面接においての複数労働者の同時の面接、「よくある」が16.4%、 「たまにある」が17.9%、「ほとんどない」が20.9%、「まったくない」が37.3%です。  31頁、表44.事前面接についての考え方です。「必要である」が71.7%、「不要である」 が3.3%です。  32頁、表45.紹介予定派遣に対する希望です。「希望する」が5.8%、「派遣先によっ ては希望する」が25.1%、「希望しない」が30.5%、「わからない」が34.2%です。こ の表45については、労働者全員に聞いたものです。  34頁、表46.紹介予定派遣を希望する理由について聞いたものです。「就職先の仕事 が自分に合うかどうか見極めることができるため」が48.3%と、いちばん多い。「いず れ正社員として働くことを希望するため」が9.1%、「正社員としてすぐ就職できる先が 見つからないため」が8.7%、「人間関係が自分に合うかどうか見極めることができる」 が7.7%です。表47.紹介予定派遣制度についての要望です。「派遣可能期間を長くして ほしい」が18.8%、「雇用上の身分が不安定な期間が長くなるので、派遣可能期間を6 ヶ月より短くしてほしい」が、35.8%、「このままでよい」が40.7%です。短くしてほ しいという希望が、派遣元や派遣先よりも若干多いという傾向にあります。以上が、紹 介予定派遣の説明です。  続いて35頁、事前面接等派遣労働者の特定を目的とする行為についての説明です。 まず現行の制度についてです。内容は労働者派遣、紹介予定派遣を除くものの役務の提 供を受けようとする者、いわゆる派遣先ですが、派遣先は労働者派遣契約の締結に際し、 当該労働者派遣契約に基づく、労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とす る行為をしないように努めなければならないこと、とされています。この※ですが、具 体的に特定することを目的とする行為、例えばどういうものかというと、労働者派遣に 先立って面接をすること、履歴書を送付させること、若年者に限ることとする等の行為 とされています。ただし自らの判断の下に、派遣就業開始前に事業所訪問を行う、若し くは派遣就業中の履歴書の送付を行うことは、特定を目的とする行為には当たらないと されています。  平成15年の改正事項です。平成15年には派遣元指針、派遣先指針において自らの判 断の下に派遣就業開始前の事業所訪問、履歴書の送付等を行うことについては、特定を 目的とする行為には当たらず、実施可能であることを明記しています。  2はヒアリングにおける主な意見等の紹介です。まず労働者派遣事業団体ですが、「紹 介予定派遣以外における事前面接については、雇用のミスマッチ防止の観点から、労働 者保護のための一定のルールの下、解禁してほしい。事前面接は、派遣期間中のミスマ ッチによる中途解約の防止に一定の効果があると考える。一定のルールというのは、例 えば、1つのポストに対しては1社から1人という形であり、1つのポストに対して複 数の派遣労働者を、いわゆる事前打ち合わせに行くようなことがあってはならないと考 える。またプライバシーにかかわるような質問は絶対にあってはならないとか、相当数 細かくルールを決めなければならないと考える」、「最終的に、その派遣労働者を雇用す るかしないかを決定するのは、あくまでも派遣元が雇用主として判断すると考えている ので、事前面接により派遣事業そのものの根幹が揺らぐとは考えていない。」  36頁、派遣労働者の意見です。「事前面接がない所もあったが、事前面接というか、 顔合わせみたいな形であるところもあった。そこで面接をして今回の話はなかったとい うことになることもあり、他の派遣労働者からも面接でお話がなくなるということも 多々あると聞いている」、「派遣先が求めるニーズに合ったスタッフを、派遣元が選べば 問題はないので、派遣先の担当者と面接する必要はないと思う。派遣先の中には、何歳 くらいまでの人、子どもがいる人は駄目など、本来のスキルとは全く関係ない理由をつ ける会社も多いと聞く」、「事前面接については、働く所の様子を見ることができれば雰 囲気がわかるので、そういう機会があってもいいが、実際に面接をやって、そこで駄目 になったということも聞くので、メリット・デメリット両方あると思う」、「派遣元に登 録後、派遣先を紹介され、事前面接を受けた。面接では自分のスキルなどについて質問 があった。」  参考1で、規制改革・民間開放推進3カ年計画(再改定)、平成18年3月31日閣議 決定されたものです。この中で、紹介予定派遣以外の労働者派遣における事前面接の解 禁があり、閣議決定の内容はここに書いてあるとおりですが、一番最後の3行目、ミス マッチから生じる中途解約等の問題の発生を未然に防止するためにも、紹介予定派遣以 外の派遣における事前面接の解禁のための条件整備等について可及的速やかに検討を行 う、とされています。  38頁、以下平成17年の実態調査を紹介します。まず、派遣元事業所調査です。表1. 実際に派遣する労働者を決定する前に行われていることについてです。こちらは一般の ほうを紹介いたします。履歴書の提出、「よくある」が11.5%、「たまにある」が10.6%、 これに対して「ほとんどない」が16.9%、「まったくない」が58.9%です。派遣先によ る面接、「よくある」が12.7%、「たまにある」が18.9%、一方「ほとんどない」が23%、 「まったくない」が44.2%です。派遣先への事前訪問、「よくある」が28.9%、「たまに ある」が30.2%、一方「ほとんどない」が17.7%、「まったくない」が21.1%です。本 格的な派遣に先立つ短期間の派遣先での就労、「よくある」が1.7%、「たまにある」が 8.2%、一方「ほとんどない」が19%、「まったくない」が68.6%です。派遣先からの年 齢制限の要請に対する協力、「よくある」が14.3%、「たまにある」が33.9%、一方「ほ とんどない」が23.1%、「まったくない」が26.9%です。派遣先からの性別の指定に対 する協力、「よくある」が17%、「たまにある」が30.9%、一方「ほとんどない」が19.2%、 「まったくない」が30.8%です。  39頁、表2.派遣先による面接において行われていることについてです。派遣元の同 席、「よくある」が65.8%、「たまにある」が26.8%と、約9割で派遣元の同席が行われ ています。複数の派遣労働者が派遣先に同時に面接を受けること、「よくある」が9.8%、 「たまにある」が15.8%、これに対して「ほとんどない」が30.3%、「まったくない」 が43.3%と、約7割の事業所でこのようなことは行われていないと答えています。表3. 事前面接の実施理由についてです。履歴書の提出については、いちばん多いものが「派 遣先からの要望」で69.1%、それから「事業所の判断」が18.5%となっています。事前 面接、派遣先による面接の実施については、「派遣先からの要望」がいちばん多く、69.7%、 「事業所の判断」が10.6%、「本人の要望」が7.1%です。本格的な派遣に先立つ短期間 の派遣先での就労、「派遣先からの要望」が48.8%、「事業所の判断」が23.8%、「本人 の要望」が8.8%です。  40頁、表4.事前面接を実施することの是非です。「認められてよい」が26.9%、「場 合によっては認められてよい」が50.6%、一方「場合によっては認められるべきではな い」が7.8%、「認められるべきではない」が11.3%です。表5.事前面接が認められて よい理由です。多い順に、「派遣労働者へ業務内容を教えられる」が83.4%、「派遣先の 社風を教えられる」が61.9%、「派遣先が派遣労働者の能力を選考できる」が43.7%、 「派遣先が派遣労働者の人物を選考できる」が41.8%となっています。表6.事前面接が 認められるべきではない理由、いちばん多いのが、「派遣先が選考するのであれば、派遣 元の存在意義がない」が70.8%、続いて一番右の「派遣先による派遣労働者の選別が増 大する」が58.4%、「責任の所在が不明になる」が40.3%、「派遣先が適切に選考するか 疑問である」が39.0%となっています。  41頁、表7.派遣先に雇用者としての責任を負担させることについての考え方です。 いちばん多いものが、「相当期間同一の派遣労働者を相当長期間使用したのであれば、派 遣労働者の希望も踏まえ、責任を負わせるべき」が45.9%、「面接等で派遣労働者を事 前に特定するのであれば、その分責任を負わせるべき」が35.9%です。  表8.派遣先の調査についてです。派遣される労働者が決定される前に行われているこ と、こちらも産業別で取っている部分がありますが、基本的には総数と同様の傾向とい うことで、総数について紹介します。まず履歴書の取り寄せについて、「よくある」が 25.2%、「たまにある」が10.6%、これに対して「ほとんどない」が11.5%、「まったく ない」が47.6%です。  42頁、事前面接の実施について、「よくある」が27.9%、「たまにある」が13.4%、 一方「ほとんどない」が13.8%、「まったくない」が40.7%です。  43頁、労働者が希望したときの事業所への事前訪問についてです。「よくある」が 29.0%、「たまにある」が24.9%、「ほとんどない」が17.4%、「まったくない」が23.3% です。  44頁、本格的な労働者派遣に先立つ短期間の派遣先での就労について、「よくある」 が2.2%、「たまにある」が5.0%、「ほとんどない」が16.5%、「まったくない」がいち ばん多く、69.6%です。下のほうですが、年齢の制限について、「よくある」が8.7%、 「たまにある」が20.8%、一方「ほとんどない」が25.2%、「まったくない」が39.6% です。  45頁、性別の指定について、「よくある」が17.8%、「たまにある」が19.4%、「ほと んどない」が18%、「まったくない」が39.9%です。  47頁、表9.事前面接において行っていることについてです。派遣元の同席、「よくあ る」が32.3%、「たまにある」が8.5%、「ほとんどない」が2.5%、「まったくない」が 4.4%です。下のほうですが、複数の労働者が同時に面接を受けることについては、「よ くある」が3.8%、「たまにある」が5.6%、これに対して「ほとんどない」が10.6%、 「まったくない」が26.8%です。  49頁、表10.事前面接を実施することの是非について、派遣先に聞いたものです。「認 められてよい」が40.8%、「場合によっては認められてよい」が44.4%、「場合によって は認められるべきではない」が2.2%、「認められるべきではない」が6.8%で、多くの 所で認められてよいと答えています。この中で産業別の部分ですが、例えば通信業につ いては、「認められるべきではない」が17.4%、金融・保険業では「認められるべきで はない」が13.8%と、若干全体の傾向から外れて、認められるべきではないと答えた業 種が見られるところです。  50頁、表11.事前面接が認められてよい理由についてです。多い順に、「派遣労働者へ 業務内容を教えられる」が79.6%、「事業所が派遣労働者の人物を選考できる」が54.6%、 「事業所が派遣労働者の能力を選考できる」が48.3%、「事業所の社風を教えられる」 が37.1%となっています。  51頁、表12.事前面接が認められるべきではない理由についてです。多い順に、「派 遣先が選考するのであれば、派遣元の存在意義がない」が61.5%、「責任の所在が不明 確になる」が43.3%、「派遣先が適切に選考できるか疑問である」が16.1%、「作業量が 増大する」が14.0%となっています。  52頁、表13.派遣先に雇用者としての責任を分担させることについての考え方です。 多い順に、「雇用者としての責任は負担すべきではない」が39.8%、「相当長期間同一の 派遣労働者を使用したのであれば、労働者の希望も踏まえ責任を負担すべき」が33%、 「面接等で派遣労働者を特定できるなら責任を負担すべき」が13.9%となっています。  続いて派遣労働者に対する調査です。表14.実際に派遣する労働者を決定する前に行 われていることですが、履歴書の提出、「よくある」が38.8%、「たまにある」が8.0%、 一方「ほとんどない」が11%、「まったくない」が33.9%と、ほぼ五分五分です。  53頁、派遣先による面接の実施についてです。「よくある」が38.6%、「たまにある」 が12.1%、一方「ほとんどない」が12.2%、「まったくない」が29.0%です。  54頁、あなた自身が希望した場合における派遣先への事前訪問についてです。「よく ある」が18.0%、「たまにある」が13.6%、一方「ほとんどない」が18.1%、「まった くない」が39.4%です。  56頁、本格的な派遣に先立つ短期間の派遣先での就労です。「よくある」が4.8%、「た まにある」が7.1%、一方「ほとんどない」が16.2%、「まったくない」が61.6%です。  57頁、表15.事前面接を実施している事業所で行っていることです。面接における派 遣元の同席については、「よくある」が75.6%、「たまにある」が12.8%、約9割の労働 者がよくある、たまにあると答えています。  58頁、面接において複数の労働者が同時に面接を受けることについて、「よくある」 が10.6%、「たまにある」が11.4%、「ほとんどない」が21.3%、「まったくない」が50.9% となっています。  60頁、表16.事前面接の賛否について、派遣労働者に聞いたものです。「認められて よい」が48.2%、「場合によっては認められてよい」が37.2%、「場合によっては認めら れるべきではない」が3.2%、「認められるべきではない」が4.0%です。  61頁、表17.派遣先との事前面接が認められてよい理由、多い順に、「派遣先の業務 内容がわかる」が87.9%、「派遣先の社風がわかる」が61.2%、「自分の人物がわかって もらえる」が48.9%、「自分の能力がわかってもらえる」が38.0%、「派遣先の責任を問 うことができる」が8.6%となっています。  63頁、表18.事前面接が認められるべきではない理由です。多い順に、「派遣先は雇 用主ではない」が58.2%、「派遣先が適切に選考できるか疑問である」が41.4%、「面接 で断られる場合がある」が32.2%、「時間的負担がかかる」が18.8%となっています。  64頁、表19.派遣先の雇用者責任についての考え方です。多い順に、「相当長期間同 一の派遣労働者を使用したのであれば、労働者の希望を踏まえ責任を負わせるべき」が 37.4%、「面接等で事前に特定するのであれば、その分責任を負わせるべき」が25.1%、 「倒産等により派遣元が責任を果たせない場合、賃金や保険料の負担を負わせるべき」 が24.9%となっています。以上が資料の説明です。 ○清家部会長   議論に移りたいと思います。ただいまのご説明あるいは本日配付の資料等を参考にし ていただき、ご質問、ご意見等ございましたらお願いします。いま説明にありましたよ うに、紹介予定派遣についてのフォローアップと事前面接等のフォローアップの2つに 分かれていますので、最初は紹介予定派遣について、ご質問、ご意見等がありましたら よろしくお願いいたします。 ○輪島委員   資料の4頁ですが、平成16年度の事業報告ですが、平成17年度はいつぐらいにまと まるのですか。1万9,000人で1万人、半分というのは多いのかもしれませんが、もう 少し直近の数字だと良くなっているのかどうかは気になるところです。  2つ目は8頁の表9、直接雇用に結びついた労働者の割合で、7割ということですね。 一方でトライアル雇用というのがあり、それは8割ぐらいですが、この10%の違いは何 に、どういう理由があるのか。体裁としてはあまり変わりがないと思うのですが、8割 とか7割、高いなという気はしますが、何かあるのであれば教えていただければと思い ます。 ○清家部会長   では事務局から。 ○坂口課長   調査のほうは、平成16年度の事業報告もとりまとめ、各労働局でとりまとめたもの をまた報告を受けて、全国的に集計するということになっています。例年のスケジュー ルから年末ないし年明けという形になりますので、いましばらくお時間をいただかない と、平成17年度の状況についてはご報告できないということだと思います。  トライアル雇用との関係は、正直申しまして我々も分析の手だてというものもなく、 ご指摘の8割との10%ほどの違いについては、その理由については分かりかねるという ことです。 ○輪島委員   そのトライアル、いま若年者の雇用対策とか、高齢者も障害者もやっていますが、い ずれも結構打率8割ぐらいです。おそらく双方にメリットがあって。はっきり言って、 トライアル雇用に行った人もその会社の雰囲気とか仕事の中身というのはわかる。事業 主側も、人物を見極めることができるということで、紹介予定派遣とほとんど変わらな いで、かなりのメリットはあるかなというふうに思っていて。紹介予定派遣も、その派 遣の中でいくとほとんど直接雇用ということをターゲットにしてやるので、もう少した ぶん実績が上がってくると、8割ぐらいになるのかなという気もするのです。フォロー アップから言うと、今回の法改正、紹介予定派遣がきちんと法律の中に位置づけられた ということで、これだけの実績が出ているということは非常に大きな成果ではないかな とまず思っているということです。 ○清家部会長   ほかにいかがでしょうか。まず、紹介予定派遣について何かご意見ありますか。 ○長谷川委員   いま8頁の表9では、69.2%ですね。次に、中身の表11で見たときに、正社員が13.8、 これは平均ですね。 ○篠崎補佐   平均です。 ○長谷川委員   13.8人、これは割合でいくとどれで見ればいいのか。 ○篠崎補佐   この表で不明というところがかなりあると思うのです。そういう意味で0人とか、分 布に実数があるところだけを見ていただくと、正社員については実数が102人、常用パ ートは、2事業所です。アルバイトが16事業所、期間契約社員が44事業所となってい るので、仮にいまの事業所数と平均人数を掛けると、正社員が約1,400人、常用パート は3人、アルバイトが約300人、期間契約社員が約400人弱になるので、数としては正 社員、期間契約社員、アルバイトの順で多くなっていると思われます。 ○長谷川委員   読み方で、紹介予定派遣で大体70%ぐらいあるのだけれども、そのうちの半分ぐらい が正社員で、あと半分がアルバイトと期間契約社員というふうに読んでいいですか。そ れでもちょっと大雑把ですか。   ○篠崎補佐   1400対600になりますので、半分というより、やはり正社員のほうが多いかなと思 います。 ○長谷川委員   紹介予定派遣が比較的このように行っている、制度を活用して雇用されているという のをこれで伺いましたが、一方で漏れ聞くところによると、その雇用形態が必ずしも正 社員でないという話があるので、それはここで読むしかないのかと思い、それで聞いて みたのです。 ○篠崎補佐   事業報告では雇用形態を問うていませんので、ひとつこのアンケートで見るしかない のかなと思います。 ○長谷川委員   そういう意味では、表9と表10は今回のアンケートの中で貴重な資料だと思うので す。制度を作って、その制度が活かされているわけです。一方では必ずしも正社員でな いということについてどう見るのか、というのは少し議論があるのかと思います。  もう1つは、派遣労働者が何を望んでいるのか。本当は正規労働者になることを望ん でいるのか。おそらくアルバイトというのは望んでいないと思うので、アルバイトで300 人ぐらい出てくるというのは不思議だという感じを抱くのですが。 ○清家部会長   事務局からは何かありますか。 ○長谷川委員   アンケートですから現実がわかればいいので結構です。 ○輪島委員   32頁の派遣労働者へのアンケート、表45を見ると、紹介予定派遣でも、派遣先によ っては希望するけれども、「希望しない」も30.5%あるわけで、スタッフの考え方も、 そこはハッキリ使い分けるということはあるのかなと思います。34頁の表46で「紹介 予定派遣を希望する」も、それなりに就職先の仕事が自分に合うかどうかを見ているわ けで、紹介予定派遣の結果として直接雇用になっていますが、8頁の表11のように、 直接雇用で正社員が多いにしても、アルバイトや期間契約社員という雇用形態もあり得 るべしということです。つまり、直接雇用であるのか、派遣という間接雇用なのかの仕 分けからすれば、間接雇用から直接雇用に行くという道筋がこれでついている、という ことは一定の評価なのだろうと思っているのです。 ○長谷川委員   10頁の表19、紹介予定派遣に係る要望の派遣元事業所の調査では、「可能期間を6ヶ 月より長くしてほしい」が23、「このままでよい」が56という数字が出ているのですが、 これはこのままでよいという要望がほとんどである、という読み方をしていいのですか。 ○坂口課長   ほとんどだと言われると、このパーセンテージなのであれなのですが、まさしく「こ のままでよい」が過半以上であるということだとは思います。 ○輪島委員   2頁のヒアリングのところ、また私どもが聞いている所は、基本的な紹介予定派遣と いう今の制度の中で6ヶ月ということからすると、従来から私どもは、6ヶ月では少し 短い、基本的には1年と思っております。1年と言うのはなぜかというと、1年やって みてということなのですが、現行こういうことで評価はあると。ただし2頁にあるよう に、紹介予定派遣の中でも少しセグメントして、新卒のところは6ヶ月では短いのでは ないか、という基本的な考え方もあるので、ご指摘の10頁の要望の所で、可能期間を 6ヶ月より長くする、特にその中でも新卒について言えば、1年ぐらいがいいのではな いかというベーシックな考え方があり、そこが多少表19に出ているのではないかと思 います。 ○長谷川委員   私もそうだと思ったのです。2頁のヒアリングのところで、事業者団体のほうは6ヶ 月では短いと聞いていると言っていて、派遣元だと6ヶ月で十分であるが、新卒は、と いうことです。それで、派遣元と事業者団体で若干違うのは何でなのか、一回輪島委員 に聞いてみたいと思っていたのですが、そこはどうなのでしょうか。 ○坂口課長   派遣事業者団体は、まさしく派遣元事業主の団体です。2頁の2つ目のポチについて は、いま輪島委員がおっしゃったとおり、事業主団体のほうも、新卒については6ヶ月 では短いと言っていました。派遣元事業主も、これは1事業主だったかと思いますが、 「ただ」というところで2つ目のポチに書いてあるように、新卒については6ヶ月では なく、もう少し長くと、おおむね同じような趣旨だったと思っております。 ○長谷川委員   アンケートと要望はわかりましたが、制度設計をどうするのかというのはまた別です から。 ○清家部会長   ほかによろしければ、また後で紹介予定派遣に戻ることも十分あり得べしということ で、次の「事前面接等の派遣労働者の特定を目的とする行為について」の部分でご意見、 ご質問をお願いいたします。 ○輪島委員   35頁の現行制度のところの法第26条第7項について、事務局に伺いたいのです。審 議会で議論をした結果がこういうふうになったのではなくて、むしろ、国会に提出した 後の国会の修正で現行制度になっていると私どもは理解しております。あまり議論もな くということではないのでしょうが、唐突に現行の枠組みが出来ていると記憶しており ますので、そこの経緯だけをもう一度確認ができればと思います。 ○清家部会長   事務局のほうから確認していただけますか。 ○坂口課長   先ほど説明した35頁の1、現行制度の所に書いてある26条7項の規定ですが、今回 は15年改正のフォローアップを中心にやっては頂いているのですが、この26条7項は、 いま輪島委員がご指摘のように、11年の法律改正で入った規定です。  経過としましては、いわゆる法律改正、通常閣法の場合、審議会でご議論いただき、 その結果を踏まえて諮問・答申をいただいて政府案として国会に提出するという経過が 通例です。この平成11年改正も、対象職種のネガティブリスト化をはじめとする内容 について、審議会のご議論を踏まえて提出した法案であったわけです。いま輪島委員か らご指摘がありましたが、この26条7項そのものの規定は、政府原案としては含まれ ていなかった、議論の経過として、たしか主立った観点についてのご議論はなかったと 理解しております。  その上で、国会の審議の過程で、まず衆議院の所管委員会のほうで審議がなされたと 思いますが、そこで、他の規定との関係も含めて、事前の面接行為や履歴書の配付・送 付についてのご質問が委員のほうから出された。それについては、本来、派遣法の派遣 という趣旨に照らして指導しているものであるということを政府としてご答弁した結果 を踏まえた上で、法案の採決時に、与野党の共同修正という形に基づいてこの規定が盛 り込まれた、経過は以上のことかと理解しております。 ○輪島委員   いまはこういう課題になっているわけですが、11年改正ではあまり問題にならなかっ た。最近の問題だと理解していて、どちらかというと、労使での審議会での議論以外の ところでこういうふうにくっついたというのは、実際にそういう課題があるにしても、 いまの観点から言うと残念だと思っています。  いまの質問の趣旨は、履歴書を提出するとか何とかと言われたわけですが、それにつ いては当時あまり議論をしていなかったように記憶しているのです。何かデータ的なも のがあってそういう修正が行われたということなのでしょうか。 ○坂口課長   データ的なものがあったかどうかは確認できないのですが、11年改正のときに入った 規定としては、個人情報保護に関わる規定や情報漏洩でしたか、そういった規定を盛り 込んだときの履歴書の扱い、実際に派遣先がそういう情報を扱うということとの兼合い で国会で議論があったように記憶しております。あとは、現実の部分として、実際に差 別的な事案に関わらないかというようなことも含めて、個別の事案としては、国会の所 管委員会からは、いくつか質問があったのではないかと思います。 ○清家部会長   一応そういう経緯だということで、今日の説明について何かございますか。 ○輪島委員   35頁以下の議論のところで少し整理したいと思うのですが、まず、事前面接等派遣労 働者を特定することを目的とする行為そのものです。法律上労働力需給調整機能を持っ ている、ということが派遣法の趣旨ですが、そこのところと事前面接。「面接」という言 葉は採否だと思うので、そこを整理するということは必要なのではないかと思っていま す。現状のものが「事前面接」なのか「事前の打合せ」なのか、それから「面談」なの か「顔合せ」なのか、いろいろな表現があるわけです。派遣先が派遣元に今度派遣を使 いたいと言ったところから、実態としてどういうふうに情報がやり取りされ、どこで派 遣契約が成立し、どこでそれ以降が「面接」であり「打合せ」であるのかということの 整理があまり出来ていないのではないかと思います。  事前面接自身は派遣法上、労働力需給調整ということで言えば駄目なのだろうという ことで、そこの整理は、むしろハッキリしているのではないかと考えているのです。「事 前面接等派遣労働者を特定する行為」、そこで言われていることはよく分かるのですが、 さまざまな実態があるようなので、整理をして議論をする必要があるのではないかと思 います。 ○清家部会長   確認ですが、輪島委員が今お話になった定義でいけば、派遣先が面接によって、この 人を派遣してくださいとか、してくださらなくて結構ですとかと言った場合は明らかに 「事前面接」になるが、それ以外のものについてはいろいろな解釈があるのではないか と、そういうことでしょうか。 ○輪島委員   実態としてどこで派遣契約が成立しているか。派遣契約が成立していれば、双方断ら ないわけです。ただ、このアンケートにもあるように、派遣スタッフも事前の打合せを した後断ることが担保されている、というか、実態として断っているわけです。そうす ると最終的に、今日話をして、来週の月曜日から来てね、と言ったときの契約は、どこ で成立しているのか。打合せをした後、もしくはここで言う事前面接をした後、実は派 遣先も良いか悪いかを見ている。派遣スタッフも良いか悪いかを見ているということが 実態としてあるようなので、それをどのように考えるのかを整理したほうがいいのでは ないかと思うのです。 ○長谷川委員   労働契約がどこで成立するかというのは、そもそも論だと思うのです。そうすると、 派遣スタッフと派遣先会社が雇用契約にどういう形で合意したのか。もう、そこで契約 だと思うのです。 ○輪島委員   労働者派遣契約と雇用契約を分けて考えていて、雇用契約は派元とスタッフにどこの 時点ででしょうか。 ○長谷川委員   派元とスタッフの間に雇用契約が成立します。 ○輪島委員   時間的な経過の中で、それはどこで成立しているのでしょうか。 ○長谷川委員   「あなたのことを、この条件で雇用します、いいですか」「はい」と言ったときに雇用 契約は成立すると思うんですね。 ○輪島委員   そこはそうなのですが。 ○長谷川委員   雇用契約の後に、例えば事務の打合せに行くようなことはあると思うのです。もし雇 用契約が成立しないうちに何らかの行為があったとすれば、それは「事前」に全部かか ってくると思うのです。だから、それはすごく難しいと思いますよ。 ○輪島委員   だけど実態として、ここで派遣スタッフも、事前打合せをやったら嫌だと言って派遣 契約をキャンセルしているわけです。ということは、雇用契約は成立しているけれども、 事前打合せによって、事実上雇用契約を破棄しているわけですね。 ○長谷川委員   それは違う。だって派遣元が雇用契約をした場合に、スタッフがこっちが嫌だと言っ たら、別の所にどこか先を探さなければいけないでしょう。そもそもそういう法律では ないですか。 ○輪島委員   次の紹介をセットにするのでしょうけれど、その間は働いていない。雇用契約はあっ ても、それは賃金が払われる雇用契約ではない。それが何日かあるわけでしょう ○長谷川委員   だから登録型派遣。派遣の難しさというのはそこにあるわけです。 ○輪島委員   そうですね、そこがどうも実態とは合っていないのではないかと思って伺ったのです。 ○坂口課長   輪島委員がおっしゃったように、根本的には、事前面接というパターンが打合せであ ったり顔合せであったり、どこまでをやるかという対応はさまざまだと思います。また、 実際に今回の調査でも分かり切れてない部分もあり、そこまで精査して整理するという のは、今お答えするのも難しいのです。  いま2人の委員でご議論になっていたことに関連して、典型的なパターンからいくと、 本来的に派遣契約は当然、派遣元と派遣先において結ばれるわけです。しかし、それに 当たっては、どの労働者ということではなくて、どういう場所でどういう仕事をしてほ しいということ、それから、それに当たって締結される派遣法26条に基づいて、内容 ごとに派遣労働者の人数を定めるということになっており、まずはそこで1つの派遣契 約が締結されるのです。 ○輪島委員   いまのお話で言うと、先に派遣契約が結ばれた後に雇用契約があるということですか。 ○坂口課長   本来的には派遣契約が結ばれて、その上で派遣元がどの労働者かを決める。実際に、 特定派遣のようなところでは、すでに常用雇用ということで雇用契約を結んでいる労働 者もあるわけで、その場合には、その時点で就業条件を明示して、それで派遣労働者を 決めて、当該労働者の名前を派遣先に通知するということになるのですが、登録型の場 合、実際上、派遣就業を決めるとした段階で、現実には雇用契約もその時点で締結され るわけですので、その時点で労働条件の明示並びに派遣労働者としての就業条件の明示 を併せて行ったうえで、派遣労働者としてその労働者が派先に派遣されることが決定さ れることになります。 ○清家部会長 やはり派遣契約が先ですか。  派先が派元に、こういう人を何人派遣してくださいと言う形になって、そこで契約が 結ばれた後に、派元がそれに該当する人を登録者の中から探して雇用契約を結ぶ。 ○坂口課長   そうです、そこは「先」というのが近接してくる部分は出てくると思いますが、まず は派遣契約で、派遣元と派遣先でどういう仕事をどういう形でやるかということがあっ て個々の労働者が出てくることになります。  ただ、ここで問題になっているように、派遣先のほうでも、派遣契約を締結する前提 として、どういう人が来てくれるのかなということで実際に事前面接をするケースが 多々見られるという現実がアンケートに見られるということだと思います。 ○輪島委員   どの時点でどういうふうになっているのか。先ほどの、派先のほうから派元にこうい うことをお願いしますというお願いによって派遣契約が締結されるわけではなくて、一 種のオファー、つまり、こういうことでどうかと言っているわけです。まず派遣契約の 申込みがあって、派遣契約がどの時点で成立するのかというのは、実態として非常に後 になってくるのではないか。もっと言うと、いろいろな時間的な経過があった後に派遣 契約と雇用契約が結ばれているのが、むしろ実態なのではないか。実態にどうやって合 わせるか、また、そこで何が良くて何が悪いものなのかを区別しなくてはいけないので はないかと思っているのです。 ○長谷川委員   輪島委員の言うことは分からないわけではないのですが、派遣法の中で、派遣という のはどういう制度なのかという、そもそものところが重要になってくるのだと思うので す。  今日出された事前面接についての表10や表16を読むと、労働者派遣制度についての 理解が十分ではないので、分かってやっているということもあると思うのですが、わか らないままということもある。派遣元は元々派遣業者ですから、派遣制度がどういうも のかということをよく知っているので、わかってやっていると思うのですが、派遣先は、 派遣労働法や派遣事業法の制度が分からないで運用している所があるのではないか。こ れらの表を読んでも、またヒアリングでも、私はそれを感じるのです。  こういう言い方をしていいかどうか分かりませんが、輪島委員が言うように事前面接 を認めるということになると、「そもそも派遣って何ですか」というところに行きついて しまって、「派遣」のそもそも論の議論がまた始まるのだと思うのです。だからもう1回、 派遣の制度がどういう制度なのかということをきちんと捉えながら、その中で事前面接 や事前の事業所訪問をどう扱っていくのかという議論が必要なのではないかと思うので す。  広く行われているというのは知っています。だから、派遣労働者でもう10年ぐらい やっている人は心の中で「おいおい、それは違法だよ」と思うのだけれど、自分はそれ でも働きたい。派遣を10年もやると正規労働者の道は簡単にはないから、派遣で何と かずっと行きたいと思うから、「おいおい、これは違法だよ」と思うけれど、しかし自分 が働くことを考えれば、それは甘んじて受けるという話は、私どもの電話相談などでも あるのです。だから、実態を見ながらどうするかという議論をやるのと同時に、制度そ のものがどういう制度なのかと、そこにも戻らなければいけないのかなという気がしま す。 ○輪島委員   確認的に申し上げておくと、「悪い事前面接」と「良い事前打合せ」というのは実態と してあり、それを整理する必要があるのだろうと思うのです。ここで言うような、履歴 書を出すというのは違うでしょう。それから、1社に1人の派遣契約に複数の人を呼ん で面接的なことをするということもおかしいであろう。それを一切「事前面接等」とい うようなところでいいではないかとは思っていないのですが、ミスマッチの解消になる。 一方では派遣スタッフが事前打合せに行って契約を解除できる。実態としても断ってい るので、そこは一方で担保する必要もあるのかもしれません。それであれば、他方でど のようにしたらいいのかということについても整理したほうがいいのではないかと思い ます。 ○鎌田委員   まだ議論の最初の段階なので、問題点など、あまりカチカチに考える必要もないと思 うのです。私の理解ですと、26条7項の問題が提起されたのは、先ほど課長がおっしゃ ったように、国会の中での議論であるわけですが、いくつかの問題が背景にあったと思 うのです。1つよく言われるのは、事前面接、場合によっては採用類似行為。特に競合 面接の場合で、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんがいて、ではCさんお願いしますと派 先が言って派遣が開始されるという場合に、一体使用者は誰なのだろうか、つまり採用 行為を行ったのは誰なのだろうかということです。派遣法の大原則は、誰が使用者であ るかを明らかにして、誰が使用者であるか曖昧なままのつけは労働者に負わせないとい うことです。そのようなことから、明らかに使用者がやるべき行為を、使用者ではない 派先が行うのは問題だろうということがあったと思うのです。  それから、注文という形でいろいろ言う場合になっても、例えば何歳以上の女性でお 願いします、あるいは、男性でも何歳、というような注文をつける。仮に派遣契約に基 づく注文であったとしても、それが事実上派元を拘束すれば、派元が送る派遣労働者の 選定において事実上差別が行われるという問題があって、これをどうするかという問題 も出てきます。  もう1つ、これは表にも調査にも出てくるのですが、一方ではミスマッチの問題があ る。派遣労働者にしても、また派先にしても、自分のスキル、自分の業務が本当に求め られているのか。派先にしてみれば、どういう人が来るのかということは、業務に関連 して、やはり知りたいということもあり、そういうことが問題になっていたと思うので す。それらは一つひとつ問題として捉えて考えなければいけないのです。先ほども輪島 委員と長谷川委員がちょっと議論になりましたが、実際に事前面接と言われるものが一 体どういう法的な性質を持っているのかよく分からないのです。  先ほど少し議論にもなりましたし、私も常に悩むのですが、例えば、派遣労働契約が まだ成立しない前である。派遣契約がいつ成立するかというのは、それは民事契約だか ら、いろいろ微妙な問題があると思うのです。同時の場合もあるし、事前の場合もある。 派元にすれば、事前に決めてもらったほうが安心して派遣労働者を選定できるというこ とがあると思いますが、いろいろ当事者の利害というものがあって、民事契約がいつか ということはいろいろあると思います。  派遣の労働契約、雇用契約について言うと、例えば派遣元がCさんに、Aという会社 に行ってくださいと言ったときに、行ってくださいというのは一体何なのか。要望なの か、あるいは業務命令になるのか。実際として断るケースはあまりない、派遣労働者が 嫌ですというケースもないと思うので行く。行った場合に、表に時間のロスというのが 出ていましたが、その間の時間に対する対価というのはあるのか、あるいは交通費はど うしているのか。もし仮に報酬は払っていないし交通費も払っていないという場合、そ れは形の上では全く任意に労働者が行っている、だけど実際に断われない。でも、もし それが、実は労働契約が成立している、あるいはそれに近いものだということであれば、 業務命令みたいな性格のものだとすると、ただで行ってもらおうというのも何かおかし な話だし、交通費も払わないというのも、おかしな話です。何が言いたいかといいます と、実態として今ここでいろいろな問題が議論になるのだけれど、それを法的にどう考 えていくのかということは、なかなか難しい問題です。  最後にもう一言。この問題を考えるのに私がいつも本当に分からなくなってしまうの は、「特定を目的とする行為」です。実際には事前面接と履歴書の送付なのですが、差別 とか何とかということが問題になるときには、この年齢でお願いしますというような特 定した行為が差別なのです。「特定を目的とする行為の規制等」をどのように事前面接の 問題で考えているのか。法律上、それは特定を目的とする行為なのです。  国会の中でどういう審議があって、その辺の問題をどう解決され審議されたのか私は 分からないので、もしお分かりであれば事務局からお答えしてもらいたいのですが、こ の問題を考える場合に、いま言った派遣労働者と派遣先との間で、労働者に行ってくだ さいというような単純な行為が一体何なのだろうということを少し考える必要があるの ではないかと思っています。 ○輪島委員   「ちょっと行ってください」と言うのは、実態としてたくさんあるようで、それが派 遣スタッフにとっては事実上断れないところと、派遣契約が成立しなかった場合のロス、 それは時間的な拘束であったり。そこが先ほど聞いた、雇用契約が成立していれば労働 の対価としての賃金をもらうことが想定されるが、今はそうではない。交通費も、例え ば1日拘束されて行ってきたのに、派遣契約が成立しない、そこが大きな課題なので、 何か解決する手段が必要だとは思っています。 ○清家部会長   この点について、ほかに何かご意見はあるでしょうか。 ○長谷川委員   いま鎌田委員がおっしゃったように、具体的に言えば、女性であること、年齢が30 歳未満であること、それから、ときどき容姿端麗が出てきたり、そういうのはあると思 うのです。おそらく派先は、自分の所では秘書にこういう人を欲しいというものを持っ ていて、それを具体的に派元に要望する。ミスマッチがないように事前面接をしたり、 履歴書を出して、派先が納得のいく人を派元が派遣で出す、ということなのだと思うの です。そのために「年齢30歳未満」「女性」「容姿端麗」が出てくるのではないか。女 性、若い、それから容姿端麗ということを特定するわけですが、厳密には、そういうこ とが、派遣制度はそもそもどういう制度だったのかに掛かってくるのだと思うのです。  もう1つ。労働契約のどこで雇用契約が成立したのかというのは非常に難しい、いつ もそう言われているわけです。A会社に行ってほしいと言えば、厳密にはそれは雇用す るから、あなたを雇うから行ってくれという業務命令ではないか。業務命令とまで言わ なくても、それに近いものではないかと思うのです。ではどこで雇用契約が成立したか といったら、彼女が断らないでそこに行けば、そこでもう成立しているのではないか、 というのが私なりの解釈なのですが、そこはおそらく、この中ではこれからの議論では ないかと思います。 ○川畑委員   私は供給をやっているわけですが、供給と派遣の違いの複雑さということでは、明ら かに派遣のほうが複雑すぎるのです。供給の場合ですと、供給元と供給先とで労働協約 を交わして、元から労働者を供給します。それで不平不満があったにしても、使側と労 働者との間にちゃんと契約があるわけで、交通費も含めて、賃金はちゃんと払うわけで す。また、供給先のほうから「あの人は、ちょっとうちには沿わないから、次回からは 勘弁してよ」と言うことはできるわけです。派遣の場合ですと、元が良しと思って契約 を結んでAさんを出したが、派先も気に入らない、本人も気に入らないという場合も出 てくるんですよね。そうすると、それだけの対価はどうするのか、誰がみるのかと。ま た、今輪島委員がおっしゃったように、ただ働きなのか、交通費も出ないのかという場 合も生じてくるのではないかというのが、この派遣法だと思うのです。供給と派遣の違 いというと、その辺でかなりギャップがあるわけで、その辺を整理していかないと、今 後どうなるのかと。長谷川委員のおっしゃった雇用契約、それを派元と労働者で結んで いるわけですから、あとは派遣契約の問題です。そして、派先がやたら人選をするのか、 年齢を指定してくるのかということも、必然的に考えられるわけです。だからいま長谷 川委員がおっしゃった、派遣とは何ぞやというところに戻ってしまうということだと思 うのです。 ○輪島委員   事前面接の件で、少し別の観点からコメントしたいと思います。いま長谷川委員は、 秘書とおっしゃいましたが、職種別の違いというのもあると思うのです。例えば秘書だ ったらむしろ、使う派遣先としては、おそらく長く使いたい。そこからすれば、どうい う人が来るのかということを、むしろ見極めておきたい。職種によっては、例えば秘書 ということであれば、事前面接等をして、しっかり見極めた上で考える。それ以外の、 例えば事務・OA機器操作は、短期であればそれは要らないのではないか。職種によっ て、必要度合はだいぶ違うのではないかと思っているのが1つです。  派遣スタッフ側から言うと、むしろ、真面目な人は、どういう所で働くのかも全くわ からないところで、明日から行きましょうというふうには、実態としてはならないと思 うのです。少なくともロケーションはどこなのか、どういうオフィスの雰囲気なのかと いうようなことを、真剣に働こうと思えば思うほど、現場を見ておきたいと思うのが人 情だろうと思って、悪い事前面接とよい事前面談との違いを切り分ける仕組みは何かな いかと思っているところです。 ○鎌田委員   いま輪島委員がおっしゃったことについての確認なのですが、前回の改正のときに、 会社の社風や雰囲気を知りたいということで、労働者の側から自発的に訪問する場合に は良い、という論理になるわけですね。今日もそのデータも少し出ているのですが、こ のデータを見て、どのように評価していいのか。いま活きているのか。私はまだしっか り見てないのですが。  何が言いたいかというと、事前面接をやってはいけないという意識がありながら、一 方で労働者の自発的なものだったらいいと言われて、その辺りの切り分けが実態として うまくできているのかが、やや気になっているのです。趣旨とすれば、いま輪島委員が おっしゃったように、労働者としても、自分の働く現場は気になる、知りたいというこ とも分かる。そういうことで前回ちょっと工夫したのだけれど。派先に要請があった上 でだと思うのだけれど、派元が行ってくださいということと、労働者の自発性というこ とが、現実の実務においてどのようにうまく住み分けというのか、区分されてやってい るのかが、私にはよく分からないのです。データを見て、もしかしたら派元が認識して いる、労働者の自発で行っているというのと、派遣労働者の調査結果が多少ずれている とすれば、その辺は労働者と派元の認識の違いがあるのかもしれません。私はまだデー タをしっかり見てないので、どうなのかなと思っているのですが。 ○輪島委員   60頁の表16から言うと、これは事前面接の賛否なので、本当に派遣スタッフが事前 面接として賛否を聞いているのかどうかということも検討しないといけないと思います が、とりあえず「認められてよい」48.2%、「場合によっては認められてよい」37.2%で、 ここは高いわけです。ただその後の表17で、認められてよい理由が、「派遣先の業務内 容がわかるから」が圧倒的に高いわけです。こういう観点から言うと、現行法の但書き の「自らの判断のもとに」というところで「行きたいと思っている者について」は合っ ていると思います。  しかし、実態がどういうふうになっているのかというのを少し整理しなくてはいけな いと思っているのです。派先が来てほしいと言っているのか、言っていないが、派元が 事前面談をしましょうと言っているのか、それとも実態としてオートマティカリーに事 前打合せをしましょうというふうになっているのかということになると、少し実態を見 てみないと、こういう調査では出てこないと思っているのです。この資料の「自らの判 断のもと」ということを少し踏み込んで使っているケースがあるということが実態では ないかとは思います。 ○北村委員   登録型で働いている女性の話を聞きますと、いざ行ってみたら様子が違った、という 話はしばしば聞きます。ただし、それなら直にそこに交渉すればいいと思うわけです。 先ほどから長谷川委員がおっしゃるように、そもそも派遣とは何だということになると、 派元の業者の方は登録者にどれだけ情報を渡しているのか、というのもちょっと不思議 な気がするのです。本人が行ってみないと分からないということであるならば、対照的 に派先のほうでも、本人を見てみなくては分からないということになるわけで、情報の 量というものがどこかで調べられていいのではないかという気がするのです。業者によ っても、非常に緻密な情報を送る所もあれば、私が見聞きする例のように、行ってみて 初めてわかった、こんなはずではなかったという問題になってくると思うのですが、そ れを直に談判することで解決していいのかというのは、私には疑問に思えるのです。た ぶん業者の方によって情報量はかなり違うのではないでしょうか。 ○長谷川委員   輪島委員が言うように、表17はそうだと思います。派遣先の業務内容がわかるとか、 派遣先の社風がわかるということ。派遣労働者にしてみれば、どういう会社なのかとい うのはすごい関心事だと思うのです。これは1回派遣会社に聞いたほうがいいと思うの だけれど、そこでもう少し詳しく、例えば、派遣労働者に事前面接のことをどうやって 説明するのか。あなたがA会社を事前に見たいと言うならば、事業所訪問できますよ、 でも嫌だったらいいですよ、という説明をするのか。そこは事業者に聞いてみないと分 からないし、派遣労働者に、どうだったのかと聞いてみないと分からない。この間のヒ アリングではそこまで聞かなかったから。ただ、これを表17から見ると、派遣労働者 は自分の働く所を、不安だから見てみたいということで、そういうところでは活かされ ているわけですね。自分の人物がわかってもらえるというのが50%を切っているという ことは、自分を理解してもらうことではなくて、会社がどういう会社なのか知りたいと いうことです。あとは派先がどんなふうに考えているのか。それについて、この表では 何かあるのですか。 ○坂口課長   いま長谷川委員がおっしゃっていた表17に対照するのが、派先のほうでいくと、50 頁の表11だと思います。逆に言うと、派先のほうも労働者の能力を選考できるという のが50%前後ですが、自分たちの業務内容を直接社風も含めて教えられる、というのも 7、8割あると思います。ですからそこの面は、まさにこの調査の中でも、お互いに訪 問して分かるというだけの部分と、お互いに相手の確かめ合いができるという部分がそ れぞれある、ということは表れていると思います。  先ほど鎌田委員からあった、労働者が自分から望んで訪問すること、というのは、う まいお答えにならないので、かえって恐縮なのですが、52頁の表14。労働者に対して 「実際に派遣する労働者を決定する前に行われていること」という中の調査項目の中で も、「あなた自身が希望した場合における派遣先への事前訪問」という形で聞いておりま す。それは総数で「よくある」が18.0%、「たまにある」が13.6%という状況になって いるのです。ところが、38頁、派遣元の事業所に対して実際に派遣する労働者を決定す る前に行われていることの中では、派遣労働者の派遣先への事前訪問について、派遣労 働者が望んだのでということが設問からも落ちているのです。ですから、こちらの側で 見ると、「よくある」が28.9%、「たまにある」が30.2%で、ここの違いがあるのではな いかということも窺われるのですが、ここには「望んでいない場合に行かせている事前 訪問」が、事前面接と同様の形で行われているものが含まれてしまっているきらいもあ るのです。 ○鎌田委員   私が知りたかったのは、前は自発的に行く場合については緩和したわけです。そうい う制度が実務で定着して活用されていて、しかしその上で、派先からの要望で事前面接 はやらなければいけないのだと考えるのか、あるいは実態としてよく分からない。単に 労働者の側も、派先の事情を知りたいのに、それに応える手だてはないのではないかと 言われると、そうではない。それは一応制度として用意はしたのだが、あまりよく理解 されていないということなのか、そこを知りたいのです。 ○坂口課長   いまの点でいくと、実態としては、派遣労働者調査で「希望しての事前訪問」という 枠組みがあるにもかかわらず、現実には「派遣先による面接」のほうが労働者調査でも 多く見られるということ。また先ほど長谷川委員のお話との関連で紹介した派遣先調査 の表11で見られるように、「派遣労働者に業務の内容を教えられる」が7、8割ある一 方、依然として「人物の選考をできる」と言っているのは、事前面接という、相対なり 直接のやり取りをするという部分の要請が派遣先にはまだ残っている、そういうことで はないかと思います。 ○北村委員   この調査では派遣元、派遣先、派遣労働者ということになっていますが、派遣労働者 は派遣先で実際に働いている、あるいは働いた経験があるということですか。登録はし たが経歴や面接のような形のもので職に就けなかったという人はここに入っていないわ けです。お互いにお見合いするのは結構だという流れは両方にあると思うのですが、そ ういうシステムによって除外された人が入らない調査である、ということは意識する必 要があるのではないかと思うのです。自分は何回も登録しているのだが、既婚だから、 子どもがいるから、あるいは自分は容姿に自信がないけれど、というようなことでのつ ぶやきは結構多いように思われますので、そこの配慮はやはり必要ではないかと思いま す。 ○清家部会長   私はこの辺をよく整理できていないのかもしれないのですが。もともとの趣旨はいろ いろなことがあるのでしょうが、面接や履歴書を使って派先が誰を雇うかということを 選んではいけない、というのがボトムラインなわけでしょう。しかし、いま問題になっ ていること、例えば輪島委員がおっしゃっていることは、そういうことに関わらない種 類の面談は、趣旨から言って問題ない部分もあるのではないか。ただ、問題があるもの と無いものはそんなに簡単に識別できないので、形式的に面接は禁じておいたほうがい い、という考え方が一方にあるということですか。また、労働者のほうはいまの制度の もとでも行けるのだから、労働者のために事前面接を解禁するというロジックは少なく とも成り立たないということでしょうか。 ○鎌田委員   いや、そうでもないのです。労働者も確かに派遣先のことは知りたいけれど、自分の 時間を半日使って、ただで自分で交通費を使って行ってというまでの気持はないとすれ ば、派元のほうで「どう、行ってみる?」と言ったときに、交通費や報酬が出るのだっ たら、それに乗っかりますという気持もあるかもしれないのです。つまり、労働者のほ うでそういう制度があるからそれに単に乗っかっているかと言うと、そうでもないかも しれないのです。 ○清家部会長   私は部会長ですから、議論をどちらかに誘導するようなことはやめたほうがいいと思 うのですが、雇うほうも雇われるほうも、情報は多いほどいいというのが一般論として あるわけです。ただ、とにかくここでまずいのは、労働者派遣法の趣旨から言えば、少 なくとも、派遣先が誰を雇うかを決めることができるというのは絶対にまずいわけです。 そうすると、整理としては、そこのところがしっかり担保されればいい。双方にとって 情報は多いに越したことはないというのは一般論としてあるのかもしれない。ただ、派 先にとって多いに越したことはないといっても、結局のところ派先が選べなければ意味 はないのだから、そちらにつながってしまう、そういうことですか。 ○坂口課長   いま部会長がおっしゃったように、情報として知りたい部分で、単に情報だけという 要請なのかという点、また、派遣労働者の方も含めて、自分を分かってもらいたいとい うのはどういうシチュエーションでというようなことがあるのかということ、さらにい ま鎌田委員もおっしゃったような、実際の派遣先や派遣元の役割との関係で、この問題 をどう整理するかということだろうと思いますので、論点、問題点を整理いたします。 ○輪島委員   派遣先がどういう会社で、どういうセクションで何の仕事をしているのかということ を派遣元が正確に把握できるのかどうか。そして、派遣先がその情報を正確に出すのか どうか、正確に伝えているのかどうかです。日本の企業の職場の実態からすると、ジョ ブ・ディスクリプションがきちんと書いてあるわけではないので、まあこんな仕事かな とグリグリグリッと書いて派元に言うということが実態である。そこを言うと、どうい う仕事かと聞かれて、派元からスタッフに、こういう仕事ですと一応の説明はできるが 実際には聞いてみないとよく分からない、というところがいちばん大きいのではないか。 情報をどこまで出すのか、どこまでやれるのかということ、そこがどうもうまくいかな い大きな原因の1つかなと思っています。  もう1つ。最後に派遣スタッフのほうから確認するのは、例えば残業があるのか、残 業がないのかということです。自分は残業したいと思っているが、残業がない職場なの か、あるいは自分は残業したくないと思っているのだが、1日2時間ぐらい残業がある と言われるのか。最後の最後は自分が事前面談といわれている所に行って、職場の雰囲 気も含めて自分で確認をした上で最終的に判断をする、ということがあるのではないか と思っているので、労働力需給調整ですから、そこがスムーズにいけば問題がないので すが、派元からスタッフへの情報の流れのところ、どうもそこに課題があるのではない かと思います。 ○川畑委員   輪島委員がおっしゃったとおりだと思います。派元が派先の情報を十分に把握してい ないと、労働者に勧められないわけです。ですから、どこからどこまででいいのだとい うのではなくて、細かい部分まで派先の情報を提供していただく、また調査に行く。準 備万端しておけば、たとえ登録型でも、労働者に対して説明もできるわけです。そこま でやらないと、いろいろと問題が生じてきます。 ○輪島委員   そこがいちばん難しいところです。1人の営業の方がたくさんのスタッフを見るわけ です。千差万別の職場の、同じ会社の営業1課と営業2課だって、扱うものが違う。例 えば商社で、鉄鋼系なのか化学系なのか。営業1部と営業2部が全然違うものを扱って いれば、そこで何の仕事をしているということを派遣元が言うわけで、そこがいちばん 難しいのだろうと、実態として思うのです。 ○長谷川委員   輪島委員にそう言われると、それはそうだと言わざるを得ない。でも、使用者は派元 なのです。例えば時間外がどの程度あるか、どういう仕事だという説明は、やはり使用 者である派元がやらざるを得ないのです。優秀な、優良な派遣会社であればあるほど、 そこはしっかりしています。ここは残業があるとか無いとか、雰囲気はいいとか、あと は、こういうことをしてほしいとかと結構丁寧に説明すると聞いています。あまり良く ない所は本当にザッと説明して、そういう所はトラブルも結構あるようです。派遣会社 も企業としてその中で生きていこうとすれば、やっぱり使用者責任はあるわけだから、 そういうのはもっときっちりすると思うのです。  事前面接が何で言われるかというと、特定してしまうからなのです。その人を採るか どうかという決定権を面接した派先に与えているということは、すごく問題だと思いま す。「私は、行ったら、事前面接で駄目だったわ」という話はよくあるわけで、そういう トラブルはよくある話で、そこをどうするかというのは今後の議論だと思うのです。い ろいろな先生方から貴重なる意見を聞いて今後の議論にしたらいかがですか。 ○清家部会長   私も十分理解しているとは思いませんが、今日はいろいろな議論が出ました。紹介予 定派遣についてもそうですが、特に、事前面接のことについてはいろいろなご意見が出 ました。労働者派遣のフォローアップ2回目の議論はここまでとして、事務局には、当 部会における中間的な整理に資するように、本日の議論の整理をお願いしておきたいと 思います。           いままで議論した部分や次回の労働者派遣関係のフ ォローアップ3回目と合わせて、7月の部会でフォローアップの中間的な整理を行うべ く改めて議論をしてまいりたいと思います。また、次回の部会では、労働者派遣関係の フォローアップの3回目として、「派遣元事業主、派遣先が講ずべき措置」等についての フォローアップをしたいと思います。  次に「一般労働者派遣事業の許可」の諮問に移りたいと思いますが、冒頭に申し上げ たように、傍聴されている方はここでご退席いただきたいと思います。また、高橋職業 安定局次長におかれましても、所用により退席いたします。             (傍聴者・職業安定局次長退席)                   ○清家部会長   最後に事務局から、次回の予定等について何かございますか。 ○篠崎補佐   次回の部会は6月28日(水)17時から19時半に、同じくこの第1会議室で行いま す。 ○清家部会長   ただいまございましたように、次回の部会は6月28日(水)17時から19時半まで 開催させていただきますので、日程の確保等、よろしくお願いいたします。以上をもっ て第85回労働力需給制度部会を終了いたします。なお、本日の署名委員は、雇用主代 表として輪島委員、労働者代表として川畑委員にお願いいたします。委員の皆様、どう もありがとうございました。        照会先   厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係   〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2   TEL03(5253)1111(内線5747)  FAX03(3502)0516