06/05/25 第25回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録 第25回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 1 日時  平成18年5月25日(木)15:30〜17:30 2 場所  合同庁舎第5号館(厚生労働省) 職業安定局第1会議室(13階) 3 出席者    委員  公益代表  :諏訪委員、中窪委員        雇用主代表 :塩野委員、中島委員、輪島委員        労働者代表 :栗田委員、豊島委員、長谷川委員、古川委員    事務局 高橋職業安定局次長、生田総務課長、宮川雇用保険課長、田中雇用保険 課課長補佐、金田雇用保険課課長補佐、戸ヶ崎雇用保険課課長補佐 4 議題  雇用保険制度の見直しについて 5 議事 ○諏訪部会長 第25回の雇用保険部会を開会させていただきます。議事に移ります前に、 本日の出欠状況ですが、大沢委員、中馬委員、林委員、相川委員、原川委員、三木委員 の皆様がご欠席です。豊島委員は追ってご出席だと思います。定刻になりましたので開 会させていただきます。  議事に移ります。本日の議題は、「雇用保険制度の見直しについて」です。先月28 日に開会されました第24回の雇用保険部会においては、雇用保険の適用並びに給付及び これに関する財政運営の在り方について、ご議論いただきました。時間の制約もあって すべてについて議論を行うことができなかったのはご案内のとおりでございます。本日 は、前回議論できなかった事項について、引き続きご議論を続けていただきたいと存じ ます。  前回は、求職者給付までの議論をいたしましたので、本日は就職促進給付以降の給付 及びこれらの財政運営に関する議論から始めたいと思います。最初に資料について事務 局からご説明をお願いいたします。 ○田中雇用保険課課長補佐 それでは、お手元の資料に基づきましてご説明いたします。 配付資料は、資料No.1〜No.4までです。資料No.1〜No.3までについては、前回の部会に 提出した資料とほぼ同様で、若干データが新しくなっているものがありますが、基本的 には変更しておりません。  資料No.4は、参考資料と書いてありますが、この資料については前回の部会で宿題に なっていた事項について、答えの用意ができたものについて掲載しています。またこれ はご説明したいと思います。  それでは、就職促進給付以降の給付、財政運営について、資料に基づいてご説明いた します。資料No.2です。1頁に「失業等給付の体系図」を載せています。前回の議論で は、一般求職者給付(基本手当)から始まり、日雇労働求職者給付まで、ひとわたりの 議論を行ったという理解でおります。したがって、求職者給付以降の給付についてご説 明をいたします。順番として、就職促進給付から始めます。  資料No.2の27頁です。就職促進給付ですが、この給付は、昭和59年に創設された給 付です。就職促進給付の中には、就業促進手当、移転費、広域求職活動費という種類が ありますが、就業促進手当が、この中ではメインです。  内容としては、所定給付日数の1/3以上、かつ、45日以上を残して再就職された方、 あるいは早期に就業された方々に30%相当額の給付を行うとなっています。いわゆる再 就職の促進を図るために付加的に設けられた給付です。したがって、付加的な給付とい う性格上、国庫負担はありません。いわゆる基本手当については1/4ということで、こ の前ご説明しましたが、就職促進給付については国庫負担はないということです。雇用 保険部会からの指摘事項ですが、最近の雇用保険部会からの指摘事項は、特に就職促進 給付についてはありません。  28頁ですが、雇用保険基本問題研究会の資料から関係部分だけを抜粋しています。あ まり大きな論点はありませんでしたが、就職促進給付のインセンティブについてこのま までいいのかという論点や、内職減額方式とのバランスをとるべきではないかという論 点が出ています。支給状況については29頁に掲げています。  続きまして31頁の教育訓練給付です。教育訓練給付については、平成10年改正で入 った新しい給付で、平成10年12月から支給を始めています。教育訓練給付については、 平成15年の改正において給付率を半分にしています。  現在の要件は、支給要件期間5年以上の方については、費用の40%相当額、支給要件 期間が3〜5年未満の方については、かかった費用の20%相当額を教育訓練給付金とし て支給するという制度になっています。  対象講座数については、31頁の(注1)に平成17年10月1日現在8,807講座とあり ますが、これは4月1日現在になり、さらに絞り込みをかけて7,789講座で、ピーク時 は2万講座を超えていましたので、3割近くになっているという状況です。  雇用保険基本問題研究会、当雇用保険部会からの指摘事項は32頁、33頁です。33頁 は、雇用保険部会の報告書の中から抜き出しておりますが、教育訓練給付については(1) に1項目だけ載せています。今回の見直しというのは平成15年改正のときの見直しです が、「今回の見直しにとどまらず、雇用保険制度本来の役割との関係や、他の関連諸施 策等の動向も勘案しつつ、今後ともその在り方について検討していく必要がある」とい う指摘がなされております。  32頁は、雇用保険基本問題研究会からの論点を抜粋しております。政策効果が認めら れるものについては、引き続き実施すべきであるが、講座の実績を踏まえ、不断の見直 しが必要ではないかとか、3年以上5年未満の方と、5年以上の方とで給付水準を分け ているが、それが適切かどうか、といった論点が掲げられています。  34頁は支給状況です。改正効果もあったということで、平成16年度、平成17年度と 支給金額は急激に下がっております。平成17年度は118億です。ピーク時は900億近く ありましたので、相当減っているという状況です。  雇用継続給付に入ります。雇用継続給付については、高年齢雇用継続給付、育児休業 給付、介護休業給付の3種類があります。雇用継続給付の国庫負担については、失業し ているのではないということを勘案して、国の責任の度合を基本手当の1/2ということ で位置づけています。したがって、国庫負担については、給付の1/8ということになっ ています。  36頁の高年齢雇用継続給付です。60歳時点に比べて、賃金額が現在の基準では25% という基準を設けています。25%を超えて低下した状態で雇用継続されている高齢者の 方々の65歳未満の方ですが、60歳以降の賃金の15%を給付するというものです。以前 は、この15%が25%でしたが、平成15年改正において15%という水準まで下げていま す。  高年齢雇用継続給付の論点、当部会の指摘事項は38頁と39頁にあります。39頁が雇 用保険部会の報告書から抜き出しています。(1)、(2)と示しています。(1)が平成12年改正 のときの雇用保険部会の報告で、「当面は存続させることが適当であるが、将来的には、 高齢者雇用の状況等も踏まえつつ、その在り方を検討する必要がある」というご指摘で す。  (2)が平成15年改正のときの報告書で、「雇用保険制度本来の役割との関係や、他の関 連諸施策等の動向も勘案しつつ、今後ともその在り方について検討していく必要がある」 という宿題をいただいております。「今回の見直しにとどまらず」というのは、先ほど 申し上げた改正内容です。  雇用保険基本問題研究会からもいくつか指摘されていますが、38頁の(1)に、65歳まで の継続雇用の進展状況、労働市場への影響、在職老齢年金との関係等を、総合的に勘案 し、例えば、高齢法によって継続雇用の義務が課されている期間を除くなど、必要な見 直しを行ってはどうか、というご指摘がなされています。  一方で、(2)のように、労使双方にとって、いま60歳台前半層の雇用継続を図る上で重 要な前提となっているということで、激変を避ける観点から検討を進める必要があるの ではないか、というご指摘も受けています。  40頁は支給状況です。これも改正効果が出始めたのではないかと思われますが、平成 16年度から支給金額が、徐々に下がってきているという状況です。  続きまして育児休業給付です。これは育児・介護休業法の改正に合わせて、平成16 年に改正をして、昨年から改正されたものが施行されているという状況です。したがっ て、雇用保険制度全体の見直しをやった後に、もう一回改正をしたという給付です。介 護休業給付も同じように改正をしております。  42頁の育児休業給付です。支給対象としては1歳未満の子を養育するための育児休業 を行う場合を原則として、一定の場合には1歳6か月まで延びるという支給対象になっ ています。支給額は、休業開始前の賃金の4割ということです。休業開始前の3割につ いては休業期間中に、職場復帰後6か月以上雇用された方については、残りの10%を支 給することになっています。  育児休業に係る今後の課題は44頁にあり、雇用保険部会の指摘事項で、教育訓練給付 と同様、「今回の見直しにとどまらず、雇用保険制度本来の役割との関係や、他の関連 諸施策等の動向も勘案しつつ、今後ともその在り方について検討していく必要がある」 という宿題をいただいております。  43頁に戻りますが、雇用保険基本問題研究会からはこのような指摘がなされておりま す。(1)は、制度本来の趣旨に適合する範囲としていくことが必要ではないかとか、給付 だけではなく、育児休業の取得促進策が必要ではないか、という指摘がされています。 また、これは雇用保険で対応するのではなく、別の制度でやってはどうかというご指摘 もいただいております。  支給状況については45頁です。休業制度が定着してきたこともあって、年々増えてい く傾向があります。  給付の最後の介護休業給付で、47頁です。介護休業給付は、最も新しく始まった給付 で、平成10年改正で創設され、平成11年4月1日から始まっております。これも育児・ 介護休業法に沿って一度改正をしております。支給額については休業開始前の賃金の 40%に相当する額ということです。論点・課題は、育児休業給付と同様の課題・論点が あるということです。  支給の状況は50頁です。なかなか制度が定着していないこともあるのだろうと思いま すが、支給額はそれほどなく、増える傾向にはあります。  51頁以降は改正経緯で、給付日数の変遷についてまとめておりますが、説明は省略い たします。  57頁以降は、11その他で、不正受給の状況について掲載しています。不正受給の状況 は58頁です。失業等給付については、平成16年度に20億8,000万円の不正受給が出て います。  どのような不正受給が多いかは59頁の1番目の○で、不正受給については、就労して いるのに申告しないとか、就職しているのに届けを出していないといった基本手当の案 件の不正受給が大半を占めているという状況です。発見した場合は、支給停止から始ま り、悪質なものについては告訴・告発もあります。それから返還命令や納付命令もあり ます。  給付の最後の60頁は、教育訓練給付の不正受給に対応する現在の対応状況です。これ は給付制度自身を見直すということもありますが、不正受給を防止する体制を整備する 観点から、3に掲げてありますように、郵送・代理人による支給申請の原則禁止や、ど のぐらい教育訓練費を負担しているのかを厳格にチェックするとか、納付命令の適用も 厳しくしていくということで、新たな不正受給の発生を防止する体制を整備しています。 給付については以上です。 ○諏訪部会長 それでは、ただいまの説明をめぐりまして、ご意見、ご質問がありまし たらお願いいたします。 ○中窪委員 最後の不正受給のところで、教育訓練給付金についての不正受給の増え方 が、えらく激しく見えるのですが、何か特別な理由があったのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 これについては資料のまとめたところにもありますように、組織 的なものがいくつか具体的にあって、そういう形でこれだけの数になってしまったとい うことで、平成14年以降、不正受給に対する対応ということで、制度的、あるいは実務 的な運用上の対応をやることにより、その発生を防いでいる。未然防止なり、発覚した 場合の適切な対応を行っているという状況です。数が多いのは、平成16年度に不正受給 件数として挙がっていますが、それ以前に発生したものも含めて、平成16年度に不正受 給として摘発されたということです。 ○中窪委員 最初の就業促進手当の中の、この前の改正でできた安定した雇用ではなく、 臨時的なものについても手当を出すということで、実績としてある程度出ているようで すが、これは事務局としてこのぐらいは利用されるだろうと思った予想に達しているの か、それとも思ったより少ないと評価されているのかをお知らせください。 ○宮川雇用保険課長 さまざまな就業形態が増えている中で、再就職以外の就業の形で の利用は、ある程度出てくるのではなかろうかと想定されてきたところですので、若干 そういう意味で、現在の受給者数なり支給金額が想定されていたものよりは、やや少な いのかなという感じはします。それなりに出ており、特に平成17年以降、ある程度出て きていますので、周知が伝わってきたのかと考えています。 ○中窪委員 最近は雇用が回復して、正社員の職が多いので、かえって少なくなるとい うこともあるのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 いまのところはまだ増えているようですので、制度の周知と利用 が図られたということです。そうは言っても、この形はある程度限度があるのかと。再 就職できるのであれば、再就職される方もおられるようですから、平成15年改正のとき に考えていたほどは就業という形ではなく、再就職の道を選ばれた方もおられるのかも しれません。そうは言っても、受給者数は増えておりますし、支給金額も出ております ので、ある程度のニーズはあったのかと考えています。 ○輪島委員 確認で少し教えていただきたいのですが、給付全体の関係で、就業と給付 の体系の国庫負担と、いま入っている所と入っていない所とのバランスで資料No.2の1 頁にある求職者等、給付の国庫負担の1/4の中に、高年齢求職者給付の所は国庫負担が なく、日雇いの所は1/3というのは厚くなっているという意味ですね。今日の議題の就 職促進給付と教育訓練手当は入っておらず、雇用継続給付に1/8ということで、ここは 薄くしており、ここの濃淡がどういうことでできているのか。法令上、どこかにそれを 書いているのでしょうか。就職促進給付と教育訓練給付は入っていないわけですが、入 れないことの理由は、どこかで明確になっているのかを教えていただきたいと思います。 ○宮川雇用保険課長 まずこの制度の国庫負担の問題については、例文では第66条に具 体的に、すべて種類別にこのようなものがきちんと定まっています。その際に、それぞ れの考え方ですが、原則は1/4ですが、日雇労働者の求職者給付については、国庫負担 率1/3は原則となっています。ここは従来から日雇労働者の保険収支が不安定であった ことなどの理由による、という説明がなされていますし、そのとおりだと思います。  雇用継続給付については雇用継続給付の対象者が、いわば完全な失業者という意味で は失業者ではないという意味で、現在の国庫負担についての考え方は、失業に対する国 の責任の一端と申しましょうか、労使に任せるだけではなく、国の責任の一端を担うべ しという考え方で行われているということを逆にしますと、このような雇用継続給付の 方々は失業状態までには至っていないという中で、失業者を対象とする求職者給付に比 べ、国の責任の度合は、相対的に低いと考えられることから、このようにしたという形 で説明されています。  また高年齢求職者給付金については、従来、費用の一部負担をカットしていましたが、 60歳台前半層の方々については、平成10年度から基本手当と年金との併給調整が実施 され、国庫負担の重複は解消される中で、65歳以上の方について年金が支給されること などを踏まえて国庫負担を廃止する、という形で説明されています。  就職促進給付については、失業中の生活保障を目的として支給する求職者給付とはそ の性格が異なり、再就職の促進を図るために付加的に支給するものであるという性格で、 個々の負担は給付の目的の層に応じて、失業中の生活保障という基本的なところに行う こととしていくという整理の中で、就職促進給付については保険料のみをもって賄うこ ととした、という説明がされております。  教育訓練給付については、労働者の主体的な能力開発の取組を支援するということで すが、求職者給付や雇用継続給付のように、総出した賃金の一定割合を支給するという 性格とは異にしている。つまり、生活や雇用の安定の確保を目的としているものではな いという性格から、保険料のみをもって賄うこととした、という説明をしています。い ずれも最初に申し上げたとおり、法律上、措置されているものです。  1/4と1/8の違いは、雇用継続給付については、国の責任の度合が相対的に低いと 考えられることから、国庫負担1/4の1/2にしたということで、1/8としたというこ とです。 ○輪島委員 相対的に低いから、その半分だというイメージですか。 ○宮川雇用保険課長 そういう説明です。 ○輪島委員 しかし、いずれにしても国の責任というのがあるということが明確になっ ているので、それぞれの給付の中に、特に生活を継続する必要がある。失業というのは 大きなことですから、そのことについて、国にも責任があるということを明確にして国 庫負担を入れているということは、濃淡はあるにしても、そのことははっきりしている ということですね。 ○宮川雇用保険課長 今までの説明はそうだったということです。制度の設計上の問題 です。これは資料にはありませんでしたが、輪島委員が言われたとおり、責任を持って 説明しているというのが現在の制度の説明です。 ○長谷川委員 輪島委員と共通する話ですが、資料の2頁の給付の変遷で、雇用保険と いうのは、もともと失業保険時代から始まり、雇用保険になり、給付や目的が少しずつ 変わってきているわけです。平成10年改正の目的は、今までと変わって、大きな変化を してきていると思いますが、そのときに教育訓練などに対して、国がどういう関わり方 をするのかは、これまでは確かに失業給付時代からすれば、失業しているときの生活保 障を行うということで、国が1/3だったものが1/4になり、雇用継続給付については 1/8となってきたのですが、教育に対して国庫負担がないというのは、国が役割を果た さないという考え方なのか、その辺を教えてほしいのです。 ○宮川雇用保険課長 職業能力開発の促進という意味での国の責務は、例えば職業能力 開発促進法の中でも明記されているように、さまざまな責務があろうかと思います。雇 用保険の世界で国庫負担を出す失業という保険事項については、国の経済政策なり雇用 政策とは無関係な話ではありませんので、その責任の一端を担うべしという意味での国 庫負担が言じられるところがあったと理解されます。そういう意味で言えば、失業状態 を対象としないような雇用継続給付については、相対的にその責任分野は軽いのではな いかとか、教育訓練給付のようなものについては、失業状態を前提にしていないもので すので、そこの部分については制度として国庫負担を入れるまでもないだろうという理 解のもとに考え方を整理しているのではなかろうかと思っています。 ○諏訪部会長 ほかに何かございますか。次にこれまでの議論と一部重なる点もござい ますが、財政運営関係について、事務局からご説明を受けたあと、皆様でご議論いただ きたいと思います。 ○田中雇用保険課課長補佐 それでは資料No.3に基づいてご説明いたします。今までの 議論と若干重なるところがあろうかと思います。  1頁です。雇用保険料、国庫負担の変遷をまとめております。失業保険時代から雇用 保険制度に変わり、60年近くになりますが、失業保険制度から現在までの姿を示してお ります。途中で雇用保険三事業が創設されましたので、雇用保険三事業については保険 料を分けて料率を決めることになっております。現在の保険料率は、失業等給付分につ いては、原則16/1000、雇用保険三事業については3.5/1000となっております。途中 の段階で変遷をしておりますが、法改正で変遷をしていた部分については「法改正」、 後ほどご説明いたします弾力条項ですが、弾力条項で変わった分については「弾力」と いう示し方をしています。  国庫負担の変遷ですが、これは1/3から1/4に変わっています。この部分について は法改正で、いわゆる恒久措置として変更されています。平成4年、5年、10年と22.5%、 20%、14%と下がっていますが、これについては法律改正ではありますが、法律の暫定 措置ということで措置をされています。平成13年度からは現在のように1/4です。な お1/4というのは、基本手当の国庫負担ですので、各給付において若干国庫負担の割合 が違っています。あくまでも基本手当の国庫負担率を示しているものです。  2頁です。これも国庫負担率がどのように変遷をしてきたかを示しています。昭和34 年度に国庫負担率を変更した際、従来国庫負担率は1/3でした。これは労使、国がそれ ぞれ等しく負担をするという考え方で1/3ということでしたが、当時、社会保障制度が 整備されてきて、社会保険制度全体を通じて国庫の支出が多くなってきたという背景を 踏まえて、その当時の失業保険制度の財政状況にかんがみ、1/4まで下げても大丈夫だ という判断で下げたとなっています。これは昭和34年度に引き下げた理由です。  平成4年、5年にかけて暫定的に国庫負担率を下げております。このときの理由は、 失業等給付に係る収支状況は非常に良くなっており、積立金規模も徴収保険料額の2倍 を上回るという、非常に黒字基調で推移をしているという観点で、国庫負担、保険料率 のいずれも下げても大丈夫だという状況になっていました。暫定的に国庫負担率につい ては20%まで下げました。保険料率についても、暫定措置ということで11/1000から3 /1000引き下げて8/1000に引き下げています。  平成10年度に20%から14%に引き下げています。これは7割相当額にしたわけです が、このときの理由としては、財政構造改革の政府全体の流れの中で雇用保険制度とし ても一定の貢献をしたということです。平成13年度には、国庫負担については、今の状 況に戻ったということです。  次の頁ですが、国庫負担率については、高率国庫負担の制度が設けられています。原 則として基本手当については1/4という給付率になっていますが、これが例外措置とし て最大1/3まで広がる場合があります。どういう場合かというと、3頁のいちばん下に 矢印が書いてありますが、その矢印の手前の文章に、いわゆる一般求職者給付(ほとん ど基本手当)と短期雇用特例被保険者に係る求職者給付(特例一時金)と基本手当を足 したものの3/4(75%分)が、保険料収入よりも多くなっている場合に、最大この給付 にかかる費用の1/3まで国庫が負担をするという制度が設けられています。最近、発動 されていませんが、昭和50年代には5回ほど発動されています。なおこの1/3という 考え方は、失業保険時代に原則1/3であったことの名残りです。  弾力条項について4頁、5頁に資料を付けています。弾力条項については、積立金と 雇用安定資金、いわゆる失業等給付と雇用保険三事業のいずれについても設けられてい る制度です。弾力条項が設けられた趣旨としては、4頁に掲げていますように、早急に 対応しなければならない状況の下で、法改正などをしていると非常に時間がかかる。一 定の要件の中で行政が保険料率を変更できるようにするという趣旨から設けられました。  弾力条項の発動する基準は法律上決まっており、労働保険の保険料の徴収等に関する 法律の中で決まっています。5頁に式にしたものを載せています。考え方としては、失 業等給付に係る弾力条項については、分母を失業等給付費にしており、積立金が失業等 給付費の何倍になるかということですが、大体2倍の水準と言っていますが、正しくは ここの計算式のような形になります。当該年度末の積立金に、括孤書の中は収支差です が、差引剰余がどのぐらい出るかということを足し上げて、2倍の水準になったかどう かを判定しています。  逆に1倍の水準を下回ることになれば、保険料率を引き上げることができるわけです が、このときには当該年度末の積立金から差引剰余がマイナスになっていますので、そ れを引くという形になります。いずれにしても現在の積立金の額で見るのではなく、来 年どのぐらいのレベルになるのかを判定をするということです。  なお失業等給付に係る弾力条項については、引き下げること、あるいは引き上げるこ とができるという「できる規定」ですので、実際に上げ下げする際には、労働政策審議 会の審議を経て、厚生労働大臣告示で引下げ、あるいは引上げを決めるということです。  雇用保険三事業に係る弾力条項は引き下げるほうの規定のみです。雇用保険三事業に 係る保険料額が分母になっていますが、当該年度末の雇用安定資金に差し引き剰余を足 すということですが、これが雇用保険三事業に係る保険料額の1.5倍の水準を超えたら 保険料を0.5/1000引き下げることになっています。これは「できる規定」ではなくて、 0.5を下げるという規定になっており、裁量の余地はないということです。  6頁が最近の失業等給付関係の収支状況です。平成16年度まで決算が出ておりますの で、平成17年度、平成18年度は予算ということです。平成15年度から差引剰余が何と か黒字になったという状況です。平成16年度では積立金残高が1兆6,000億円です。  7頁以降は諸外国との比較の資料を出しています。7頁は諸外国の失業保険制度と我 が国にはありませんが、失業扶助制度の給付額と国庫負担についてまとめたものです。 イギリス、ドイツ、フランスといったヨーロッパ諸国においては失業保険制度が終了し た後に、長期失業者に対して失業扶助制度が設けられています。各国とも制度の内容は 違っていますが、考え方としては、一定の資産要件や収入要件を見て、お金を持ってい る方、ほかに収入がある方を除いて、失業等給付と同レベル、あるいは多少低い額にな る場合もありますが、同レベルの給付を行っていくという制度です。日本にはない制度 です。  この制度と失業保険制度の両方を足すと、どのぐらいの給付が出て、国の負担がどの ぐらいかをまとめて示しています。日本の場合は平成15年の決算ですが、合計を見ます と、国庫負担は全体の約23%です。イギリス、フランス、ドイツは、イギリスは78%、 ドイツは43%、フランスは13%となっています。保険だけを見ますと、イギリスはゼロ で、ドイツが11%、フランスがゼロとなっています。定率国庫負担という考え方はドイ ツも採っているわけではありませんが、足りなくなった分は国庫が負担するという考え 方で保険制度にも国庫負担が入っています。  なおイギリスについてもドイツと同じように、足りなくなったら国庫負担をするとい う制度があるということですが、現実には、今は保険料だけできっちり回っているとい う状況です。8頁が保険料率、失業率、諸外国との国庫負担率の比較です。  9〜14頁までは主要国の失業保険制度と、失業扶助制度について未定稿と書いていま すが、いま調べている限りの情報について出しております。説明は省きます。  最後に15頁ですが、基本問題研究会からの論点です。ここは基本問題研究会からもさ まざまな論点が出されております。それぞれの先生方のご意見が違っていたということ なのだと思います。例えば、(2)のように国庫負担は原則として廃止して、一定レベルを 越えれば国庫負担を行うという考え方もあるがどうかという考え方や、(3)のように、各 国との比較から考えると、各国の保険制度との比較で考えなければいけないのではない か、というご指摘があります。それに対して(4)のように、ヨーロッパ諸国においては、 失業扶助制度が存在しており、これも加味して考えないと比較はできないのではないか という考え方もあります。(5)のように、今の考え方を踏襲しつつも、通常時には国庫負 担はより薄くてもいいが、非常時には一時的に国庫負担をより手厚くするものだという 考え方はあるのではないか、という論点もあります。論点、考え方はさまざまあるとい う状況です。 ○諏訪部会長 それでは、ご質問ご意見がありましたらお願いいたします。 ○長谷川委員 15頁の財政運営の在り方に係る論点の(2)の国庫負担は原則として廃止 して、雇用保険で労使の共同折半、共同連帯というときに、この保険料率はどういうふ うに考えようとしているのか教えてほしいのです。 ○宮川雇用保険課長 それぞれの考え方の寄って立つところ、これを出された先生の意 見がそうだというのではなくて、これを論理的に考えるとどうなるかという意味での説 明としてお聞きいただきたいと思いますが、この2番の考え方を付言すれば、まず料率 は労使共同連帯で、一定の料率を保険給付として必要な額を定めた上で、一定程度のと ころまではそれで当然賄っていただくけれども、それを超えるようなものについては、 国庫負担をどれだけ行うかどうかは別にしても、そこの部分についてある程度の国庫負 担を出すと、その国庫負担を全部でやるのか一部でやるのかというのは、この2番の考 え方ではどちらもあり得るだろうということだろうと思います。ですから、それ以上の 負担については国庫負担を行うというところについて、この2番の考え方を示された方 が、全部国庫負担で賄うとまでは言い切っていないけれども、その考え方も含めて国庫 負担を出すのはそこから先の部分であるという考え方だと理解できます。 ○長谷川委員 一定の状況というのは、どういう状況ですか。 ○宮川雇用保険課長 端的に言えば、給付がたくさん出たときです。失業者が予想され たものよりもずっと多く出て、いうなれば保険料だけでは賄いきれなくなった時。その 部分についてどうするかといった場合に、保険料部分で賄いきれなければ、方法は3つ しかありません。給付を切るか保険料を上げるか、国庫負担を入れるかと、この組み合 わせですが、この考え方は、通常の場合には、労使の保険料でやって、そういう保険料 では賄いきれないような状況になった場合に、初めて国庫負担を入れるという考え方は どうかという考え方です。 ○輪島委員 もう少し国庫負担のことをお伺いしたいと思うのです。資料の2の1頁目 ですが、失業等給付の労使折半のところで、労使折半の16/1000と、国庫負担を財源に して、積立金があると積立をすると書いてありますが、これは国庫負担と積立金の関係 になるのか。積立金は国庫負担にいくのかどうかということは、理解はたぶんそうでは ないことだと思うので、そこのところでお金の流れについて伺いたいのですが、そうな ると、国庫負担の1/4とか1/8というのは、給付の実額に出ていると理解をしている ので、実際に予算で入ってきて、この1/4、1/3、1/8を払って、そして、払い終わる と、予算上、使っていなければそれは国庫へ入っていって、ここの積立金とはセパレー トされているというふうに思っていたのですが、そこはどういう話なのかということで す。  資料3の先ほどの弾力条項のところの5頁目ですが、弾力条項が効くときの5頁目の 上の表には、分子のほうに国庫負担額が入りますが、たぶんそれはそういうことなのだ ろうなと思いつつ、それは法文上というかお金の流れとして、こういうことでいいのか どうかという確認を教えていただきたいのです。 ○宮川雇用保険課長 資料の2の1頁の図で書かれている国庫負担。財源をここで書こ うと思ったために、保険料と国庫負担と並べたところですが、先ほど申しましたように 剰余を出すためには、国庫負担も含めて剰余金は当然のことながら計算をするという意 味にはなります。いずれにしましても、国庫負担はあくまでも実際に出た給付の1/4 なり、決まった率となっています。  いま輪島委員が言われたように、余った場合どうなるかというと、翌々年度に精算す るという規定が法律上、特別会計法にあります。足りなくなった場合には当然、逆の精 算の方法もありますという意味で、実際にかかった額について最終的に国が負担すると いう整理になります。もちろん、ある年度にどれだけ出るかというのは、予算のときに はわかりませんので、ある程度、見込みでそれに近い数字になる形で予算をセットいた します。その最終的な精算は翌々年度までにやる。そして、毎年毎年やりますので、そ れをずうっと転がしていくというイメージです。あくまでも実額に対する1/4なり、1 /3ということです。そういう意味では、はっきり申し上げれば積立金とは本来無関係 です。積立金の中に国庫負担金が入るという世界ではなくて、その前の段階の話です。 給付に対しての1/4を国庫が義務的に負担しているというものです。  失業等給付に係る弾力条項は、剰余がどれだけ出たのかを調べるためには、当然、失 業等給付の原則1/4の部分については、国庫が賄うわけなので、厳密な意味でいえば、 これは分子の部分から国庫負担額を除くのであれば、国庫負担相当額に対する逆数の部 分は失業等給付費からい除いてもいいのですが、計算上それは面倒くさいので、失業等 給付の保険料額と国庫負担額という収入の部分と、失業等給付費という費用の部分を足 したいわば剰余です。これを足すという計算式上、簡易な方法で示したということでご 理解いただきたいと思います。 ○輪島委員 明確にセパレートになっているけれども、ここは簡易的にわかるようにな っているという意味ですか。 ○宮川雇用保険課長 お金に色はついていないので、一旦そのものの中に入ってしまう と、特別会計、雇用勘定の中に入ってしまえば、それは区別はできませんが、考え方の 整理としては、あくまでも給付の実額に対する国庫負担であると、決して積立金のため に国庫負担をしているわけではないということはご理解いただきたいと思います。 ○輪島委員 それは、どうもご理解いただけていないところがあるのではないかと言っ ているのであって、そのことを前回の最後にも申し上げたと、そういうことです。 ○田中雇用保険課課長補佐 資料の作り方として、確かに資料No.2の1頁にありますが、 これをぱっと見ると、国庫負担から剰余が入っているように見えてしまうので、これか ら資料を作るときには、そういう誤解を招かないように作り方には注意をしたいと思い ます。これだと確かに国庫負担から入ったように見えてしまいます。あくまでも積立金 というのは保険料の余ったものが積み立てられていくということです。 ○長谷川委員 大きい字で積立金には国庫が入っていないと書いて説明すると。 ○田中雇用保険課課長補佐 はい、わかりました。 ○長谷川委員 弾力条項を使うときというのは、これだと大臣の告示によりできるとな っているのだけれども、それは弾力条項にこういうふうに書いてあるから、こういう条 項だと思うのですが、そういうものを発動するというか、使う使わないというのは、こ の計算式にピタッと当てはまったとき、瞬時なのか、どういうことなのか。 ○宮川雇用保険課長 この算式が計算できるのは、あくまでも決算数値が固まった時点 なので、通例で申し上げれば、決算数値が最終的に固まるのは、その年度の締めをする のが3月だとすれば、おそらく秋口の9月か10月ぐらいに確定的な数字が、そこまで固 まりませんので、その時点で数字が出てきた場合に、それに該当した場合にどうするか というのを判断するわけですが、その際には単純に数値だけではなくて、その後の失業 情勢とか財政状況の今後の行く末などをある程度判断しながら、上げるのか下げるのか ということは、厚生労働大臣として判断する必要性があろうという意味で、「できる規 定」という形で整理されていると認識しています。 ○輪島委員 全体の答弁がありましたが、それが秋口に収支が締まるというのは、その 本体給付と三事業両方ともですか。 ○宮川雇用保険課長 両方ともです。 ○諏訪部会長 ほかにいかがですか。 ○長谷川委員 これもよくわからないので教えてほしいのですが、国庫負担がもともと 失業保険の時代は国が1/3で、あと労使がというのは、私はわかりやすかった。それが なぜ1/4に国がなるのか。 ○宮川雇用保険課長 先ほど申しましたように、昭和34年、まだ失業保険制度の時代で したが、さまざまな国民皆保険、国民皆年金などのような制度が充実され、それぞれの 制度の中で国庫負担という問題が現実に行われようとしている中で、これが1/3の、当 時の考え方としては、かなり高率の国庫負担がなされていたという状況を加味しますと、 1/3のままで一般会計と申しましょうか、国庫の財政上、かなり厳しい状況であるとい うことなど、総合的に勘案いたしまして、1/3をいわば一段落下げた1/4にしたとい うことではなかろうか。  1/4の根拠を探してみたのですが、数字的な根拠は当時は説明はしていないようです。 何々の数字の結果1/4にするという形の説明の資料は残っていませんでした。ただ、そ ういう意味でいえば、やはり失業という事項を対象とした保険である以上、一定の責任 を負うべしという思想は、当時からおそらくあったのだろうと思いますので、その考え 方として一定程度のものとしてふさわしいものという点と、先ほど申しましたように、 財政状況が非常に逼迫して保険料収入だけでは給付が賄えなくなるような状態に陥った 場合には、1/3を上限としてその部分を埋めるというところで、1/3の思想は残したと いう説明が残っているだけです。 ○長谷川委員 いま行革推進法が審議されていますが、その中で雇用保険のところに関 しては、議論の中で廃止も含めて検討というされ方が、今いろいろなところで行われて いるのですが、国庫の負担を廃止も含めて検討というのは、失業に対する責任を国は放 棄したいという考え方が含まれているというふうにとっていいのですか。 ○宮川雇用保険課長 国の責任という問題も含めて、こういう雇用保険制度における国 庫負担の中で実際の話、この「廃止を含め検討」ということについて、川崎厚生労働大 臣も国会等の答弁では、従来からこの規定については国庫負担の考え方については、一 定の責任を表わしていたという趣旨で行われていたことを踏まえて考えると、今後この ことを検討するに当たっても、廃止を含めて検討ということで検討するに当たっても、 国の責任を放棄するととられるような見直しは避けなければならないという趣旨は言明 しております。したがいまして今、長谷川委員が言われましたように、これは責任を放 棄するために、あるいは責任を軽減するがためにこの改正をするというよりは、国庫負 担としてどういうものがいいのかどうか、いわばゼロベースで考える中で、廃止という 選択肢も当然あり得るということだと理解しています。 ○中窪委員 先ほどの失業保険時代の数字に戻るのですが、当初1/3で出発したのは昭 和22年ということで、戦後の経済的にもひどい状況で、失業者もたくさんいたというわ けですから、ある意味で非常時です。それが34年というのは1959年ですから、そこそ こ現在の経済体制も固まって高度成長が始まった時期です。そういう意味で当時の失業 率がどの程度か比べて見たい気もするのです。その中で1/4というのは、いわば平常時 における失業率もこれだけ下がったのだから国としてもそのぐらいだろうという思想で 捉えたのかなと私は推測したのですが、そのようなことでよろしいのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 私もその当時の雇用失業情勢なりというので説明をしているのか なと思っていろいろ調べてみたのです。一応、調べてみた限りでは昭和34年時点でのそ ういう数字的な説明は実は一切残っていません。当時、昭和34年の失業率は2%程度で して、この数字は27、28年を見ますと、ちょうど2%前後を行ったり来たりしているぐ らいのところでして、昭和22年から24、25年ぐらいの戦後直後の混乱期は格別。昭和 34年辺りでドラスティックに変わっているかと申し上げますと、昭和28年前後から大 体2%前後を行き来しているような数字です。 ○中窪委員 そこまで落ち着いて放っておいても元に戻ることはないだろうと、ある程 度確認できたということです。 ○宮川雇用保険課長 それもあったかもしれませんが、ただ、それは説明にはあまり残 っていないというのが正直なところです。それから論点には書きませんでしたが、ご参 考までに申し上げますと、一応、雇用保険制度の国庫負担がある際に、なぜサラリーマ ンだけ、あるいは雇用保険の被保険者にだけ国庫負担を、つまり一般国民の税金をかけ るべきなのかというご議論もあるやに聞いております。ただ、私どもとしては、現在の 雇用保険制度が勤労者の中で大多数の、いま20時間以上働いている方は全て被保検者と いうことでカバーさせていただいておりますし、それらを使っている事業主の方々にと っても、メリットのある制度ということから考えれば、やはり私どもは少なくとも国庫 負担、税金を使ってでも維持すべき制度ではなかろうかと考えているところです。ご参 考までに。 ○諏訪部会長 ほかにいかがでしょうか。それでは今日のところはこの程度でここはよ ろしいですか。もう1つ残っている問題がございます。それは先ほど事務局の説明のと きにも触れていましたが、前回の部会において委員の皆さまからご指摘のありました事 項について、いわば宿題として事務局で資料を作成したものがございます。そこでこれ をご説明いただき、また皆さまからご議論をいただければと思います。 ○田中雇用保険課課長補佐 お手元の資料No.4の参考資料に沿って説明申し上げます。 前回ご指摘のありました事項の中で、この中に含まれていないものもありますが、用意 できたものということで示させていただきます。  まず、はじめに適用の関係につきまして、いくつかご質問があったわけですが、その 中で現在、雇用保険制度の適用範囲としまして、基準として週の労働時間、20時間未満 の方、それからあと1年以上の雇用見込みというのがあるわけですが、週20時間とそれ から1年以上の雇用見込み、これは短時間労働者の方の適用のメルクマールになってい るわけです。1年以上の雇用見込みというのはなかなかわかりづらいところがあるので すが、週20時間未満の方は今どれぐらいいらっしゃるのかということで、ご質問がござ いました。  回答としては1頁目です。これは「労働力調査」、「就業構造基本調査」を使いまし て、週の所定労働時間が20時間未満の方を試算をしているものです。雇用者数に対して 20時間未満の方の雇用者数を掲げています。平成元年から載せていますが、平成16年 では7.3%、391万人という推計です。平成元年から見ますと、若干増えているなという 状況ではあります。ではありますが、逆に申しますと20時間未満の方は10%いない状 況です。  2頁、3頁ですが、いわゆるマルチジョブホルダーの方の状況です。これも現状どう なっているかというものについて、総務省の「就業構造基本調査」を使って示しており ます。いわゆる本業として雇用されている方で副業でも雇用されているという方がどれ ぐらいいるか、そして、どういう産業でいらっしゃるかを示しています。  2頁を使って簡単に説明いたします。まず、雇用者数は5,473万人ということになっ ていますが、このうち副業がある方で副業も雇用されているという方が81万4,900人で す。雇用者数に占める割合が1.5%、1.5%の方がマルチジョブホルダーだということで す。ちなみに本業でどういう方が多いかということですが、本業の産業、いろいろ並ん でいますが、真ん中辺り、卸売・小売業というところ、スーパーとかコンビニというと ころですが、ここが多い層になっています。それから多い所として教育・学習支援業で あるとか、サービス業が多いということです。ちなみに副業にどういうものをやってい るかというのは、右の欄に並んでいますが、卸売・小売業であれば、やはり同じように 卸売・小売業で副業をやっている方が多いということです。それから教育・学習支援業 においても、同じ教育・学習支援業が多いということになっていますし、サービス業に ついても、サービス業が比較的多いのかなということがわかります。マルチジョブホル ダーの資料ですが、あとの賃金がどうなっているかとか、足して雇用保険の適用になる 方はどれぐらいいるかというのは、なかなか調べきれていない状況です。  4頁です。公共職業訓練の長さについてご質問がありました。大体どれぐらいの訓練、 受講指示によってどれぐらいの教育訓練を受けておられるか。大体3か月ぐらいが多い とそのときには答えましたが、それぞれどれぐらいのパーセンテージになっているかを 示しております。左側は教育訓練機関の期間別の数です。教育訓練の受講指示を受けて 公共職業訓練を受けておられる方ですが、9万5,000人を母数にしています。多いのは やはり3か月ということで37.3%です。次に多いのが6か月、16.6%です。概念上2年 間まで大丈夫なのですが、12か月を超えておられる方はほとんどいらっしゃらない状況 です。  訓練期間の間は基本手当の給付が延びる。延長給付が受けられるわけですが、これも それほど長期のものはありません。平均しますと3か月です。以下は訓練機関別に平均 の延長月数について書いていますが、いちばん長くて12か月超の方も、ここに70人ほ どしかおられませんが、11.4か月ということで1年も延長はしていないということです。  5頁目、これも基本手当のところでご質問があった事項です。自己都合退職の方で、 いわゆる正統な理由のある方については、給付制限をしないということになっています。 どういう方々がおられるかということですが、そこに掲げているような形で判断をして います。例えば妊娠や出産、育児等により退職された方であるとか、あるいは家庭の事 情が急変したことによって退職された場合ということで、本人がもう仕事が嫌だから辞 めたとかいう理由ではなくて、一定程度の正統の理由がある場合については、給付制限 をしないということで運用いたしております。  6頁です。一般被保険者の給付と負担のバランスです。これはいわゆる特例一時金の 議論をしていました際に、特例一時金の給付と負担のバランスがアンバランスだという 説明をしたわけですが、では、一般の方々はどうかということです。上のほうが一般被 保険者の給付と負担のバランスです。負担というのは保険料だけで見ています。国庫負 担とかは入れていません。単純に保険料だけで見ています。これで見ますとやはり平成 12、13年度、14年度はかなり給付が出ていたということですが、15年度からは給付が 落ちてきたということを反映しまして、16年度で見ますと給付と負担の割合が0.6とい うことになっています。特例一時金のほうは16年度が5.6ということで依然、高い状況 です。  同じく特例一時金ですが、前回は1年分の状況しか示しておりませんでしたので、昔 からどうだったのかということでご質問がございました。1990年、平成2年度から各労 働局別にどれぐらいの支給金額があって、どれぐらいの受給者がいるかを掲げています。 7頁から9頁までです。平成2年度からそれぞれ並べていますが、いずれも北海道と青 森が1位、2位を占めている状況です。構成比については北海道の割合がやはり最近高 くなっていることがわかるかと思います。そういう状況です。  最後ですが、北海道における財政状況です。これもご質問で北海道全体には、どうい う補助金が入っているかというご質問があったわけですが、財政状況という形で示して います。これで見ますと、北海道の収入、いわゆる歳入のところを見ますと、道税が 17.7%、地方消費税清算金が3.9%です。合わせましていわゆる自主財源といいますか、 税で収入を得ている割合が21.6%です。横に掲げているのが地方財政計画ということで、 47都道府県全体で見ると、地方の財政はこのような割合になっているということでして、 地方税が大体4割ぐらいだということに対して、自主財源といいますか、自主税で賄っ ている部分は少ないのかなということがわかると思います。下に掲げているのが支出の 内訳です。資料4については以上です。 ○諏訪部会長 大変貴重な、はじめて拝見するような資料も入っているようでございま すので、ご質問なりご意見なりをお願いいたします。場合によってはさらなる課題もご 遠慮しつつ必要ならばお願いしたいと思います。 ○長谷川委員 感想なのですが、マルチジョブホルダーのは、私も前回言って、この資 料を出してもらいました。2頁ですが、教育・学習支援業といいますか、そこで、比較 的副業があるというのは、今回の労災保険法の改正で、ダブルの場合のAからBの事業 所に対する通勤災害のとき。学習塾の話が話題になったというのでなるほどと思ったの ですが、例えば私がよく聞くシングルマザーがお弁当屋さんだとか、そういう所と次の 他の所で働いているというのが、この資料からだとなかなか読み取れないのかなと思っ たのですが、いかがでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 サービス業なりあるいは卸売・小売業あたりに、そういう方々が おられて、もうひとつの所に掛け持ちをする。先ほど田中のほうからもご説明しました ように、卸・小売なりサービス業という辺りは人数的には多い所の部分ではなかろうか。 やはり卸・小売ですと、やはり卸・小売をやられている方、サービス業はサービス業を やられている方がその中でも比較的人数が多いところなので、その辺りがその辺の一端 を示すのかなと。ただ、これだけで全てそれを説明できるわけではありませんが、その 辺あたりはほの見えさせているという感じではなかろうかなと思います。 ○長谷川委員 研究者のところは別だと思うのですが、例えば私どもの会議だとか、一 般的に言われているのと、実際に統計資料で見た場合に時々違いがあることがあるので すが、やはり何かこれだと今、説明されれば、少し強引な読み方をすればできるかなと 思ったのですが、そういうものの調査というのは難しいのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 もう少し探してみたいと思いますが、いまのところ統計的な数字 としてはこれがあったものですから、今日ご披露させていただきましたが、またもう少 し調べてみたいと思います。いわゆるマルチジョブホルダーについては統計的というよ りは、個別調査的なものを含めて少し調べさせていただきたいと思います。 ○輪島委員 特例一時金の関係ですが、先ほどの国庫負担の関係でもう1回確認ですが、 求職者給付の中に入っているけれども、ここの特例一時金というのは国庫負担が入って いない。 ○宮川雇用保険課長 特例一時金は1/4です。 ○輪島委員 1/4が入るわけですか。 ○宮川雇用保険課長 資料2の1頁をご覧いただきますとわかりますように、国庫負担 原則1/4というところがきいているのが、一般求職者給付と短期雇用特例求職者給付の ところです。日雇は1/3。高年齢求職者給付はないと、こういうことです。ですから短 期雇用特例についても実際に出た額の1/4は国庫負担しております。 ○中窪委員 ひとつは指摘されているように、循環的な失業というところを、どういう ふうに考えるのかというのは、非常に議論として失業を予定しているというところの中 で、雇用保険の中に馴染むのか馴染まないのかというのは、将来的にというか議論をす る必要があるだろうと思います。ここで見て理解不足だったのは、国庫負担が入ってい ないという整理だと、それは国の責任がないという整理で、それだと議論もある一定の 方向性を見つけやすいのかなと思ったのですが、現状ではそういうことではないのです ね。 ○宮川雇用保険課長 現状では一般求職者給付と同じ国庫負担の割合になります。 ○中窪委員 5頁の正当な理由の基準については私は前回お願いしたのですが、いわゆ る特定受給資格者については、施行規則の中で明記していますが、これはどういう所に 書いてあるのか。それについては実際にこの受給者が知ろうと思えば知れるのか、その 辺りを教えてください。 ○戸ケ崎雇用保険課課長補佐 33条の給付制限の正統事由の基準につきましては、労働 大臣の定めによって決めておりまして、基本的には公表、局長通知以上できちんとこう いう基準だというのをお示しております。本来的には告示であるべきだという議論があ るのでしょうけれども、一応、大臣定めということにしていますので、市販の本とかで も記載していますし、公表ベースになっています。これは従来からずっとそういう取り 扱いになっています。 ○中窪委員 この部分についてはホームページ上では、一応公開されているわけですね。 ○宮川雇用保険課長 はい。 ○中島委員 諸外国の例でも正統な理由がない自己都合による退職の場合は、期間的な 面などから給付制限が行われており、日本もそういうことでやっているわけですが、そ ういうのが各国とも正統な理由がない自己都合退職については、それなりのペナルティ というか給付制限をどこの国でもやっているようです。はっきりわかりにくい部分、つ まり国に責任があるのかないのか。それで1/4とか1/8ということで、責任の度合が 1/2しか何故ないのかというのは、よくわかりませんが、いずれにせよ自己都合による 退職、正統な理由がないものについては、明らかに国などに責任があるわけはないし、 事業主にも責任があるわけではないですね。仲間から見たらかわいそうだなと言うこと があるのかもしれませんが。そういう意味でその制度本来の、不慮の事故で職を失った 人をみんなで助け合おうということから三方一両損で1/3というのは、昭和20何年の 制度スタート時の考えは私は素晴らしいアイディアであったかと思います。これが1/4 が適当かどうかは別にして、いずれにせよ、みんなで事故に遭った人を助け合おうとい う思想は非常に素晴らしいものですから、それはいつまで経っても国も然るべき負担を すべきだと思います。それはそれとしても、自己都合による退職についてはもっと厳し く考えて、正統な理由のある自己都合とか、会社が倒産とかというのは当然みんなでカ バーをしなければいけませんが、そうではない、まったく手前勝手な自己都合の退職の 場合は、これは前からの私の主張ですが、保険の対象から外してもいいぐらいのことを 考えてもいいのではないかなという気がいたします。5頁のこれは、何か証明のような ものを本人から出させたり何かするようなことになっているのでしょうか。 ○戸ケ崎雇用保険課課長補佐 それぞれの事情に応じて、それぞれの確認書類を提出して いただいております。 ○中島委員 1番目の身体的条件に基づく退職、体力不足と視力の低下。これは証明は どのようなものなのですか。 ○戸ケ崎雇用保険課課長補佐 通常、自分が体力がないのですという単なる申し立てだけ では、なかなか難しい部分がありますので、基本的には医師の診断書なりを取って、就 業が困難だとか、軽作業しか無理だとかいうようなものを出していただいて確認をさせ ていただいています。 ○中島委員 わかりました。 ○諏訪部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは新たな宿題が出な かったということで、よろしいでしょうか。 ○栗田委員 宿題というか、財政収支ということからすれば、保険料を支払っている人 ということでは、普通の勤労者は確実に保険料が徴収されるわけですが、例えば以前、 1回この中で出していただいたかもしれませんが、私大だとか、公務員の保険料につい てだとか、勤労者全体の労働者全体の考え方というベースとすれば、強制保険というこ との考え方も入っているということからすれば、こういった保険徴収の財政収支、それ をもう少し見たいと思うのです。 ○宮川雇用保険課長 まず公務員については適用のところで説明させていただきました ように、公務員制度のいまの一応の仕組みとしては、公務員には適用しないと。公務員 については退職手当法による退職手当が整備されている等の理由を、一応理由として適 用はしないという形で整理させていただいています。それから、徴収のほうの具体的な 適用、どのような観点からのことですか。 ○栗田委員 要は民間というよりは勤労者の徴収であればはっきりわかるわけですが、 例えば私大の先生だとかそういう人たちの徴収は、本来は保険料を徴収されるべきだと 思っているのですが、聞くところによると、なかなか完全な保険料は支払われていない のではないかというようなこともありますので、その辺のところを少し。 ○宮川雇用保険課長 わかりました。出せる資料を次回にでもご用意させていただきた いと思っています。私大についてはさまざまな問題が過去の経緯としてあったやには聞 いていますが、原則、今年度から入っていただくという形で整理をしていまして、いま 5月の年度更新に当たってのものを、粛々とやらせていただいているところですので、 またその辺の状況なども必要な資料がありましたら報告させていただきたいと思います。 ○豊島委員 今の話、突っ込むことになるかもしれませんが、私学というもののイメー ジがぴんとこないのです。私学の場合、私学共済に入っているような先生もいますし、 そうではない先生もいますね。雇用保険で雇用保険を払っている人もいれば厚生年金を 払っている人もいるということだから、いま説明された調べてみましょうという中身は、 どういう趣旨のことですか。 ○宮川雇用保険課長 調べてみましょうというよりも、雇用保険の世界だけなのですが、 雇用保険について、これは国会などでも取り上げられているのですが、過去の経緯から して、一部の私立系の大学を中心とした教職員の方が、雇用保険に適用されていないと、 手続きを取られていないという実態が現実にありまして、そういうことです。それを解 消しようという動きの問題です。 ○諏訪部会長 これは座長としての発言ではなく個人としての発言ですが、私もきちん と徴収されるようになっています。私学も事務局のご努力には、どうやら従いつつある、 そういう意味では、徴収のほうはかなり進んできている。公務員のほうは制度問題が絡 まっていますから、これはなかなかここの場では議論が難しいところもあります。 ○長谷川委員 前回、輪島委員が発言していました育児休業の給付の関係ですが、この 間かなり新聞紙上でいろいろなことが取り上げられていたのですが、今回、見直しの論 点のところにもいくつか書いてはありますが、雇用保険の制度と、それから少子化対策 全体の他の制度との関係については、もう少しきちんと議論をして、この部会で議論し たことはあるわけですが、そこはきっちりと押えておく必要はあるのかなと考えており ます。雇用保険制度を知らなくて、何となくそれがいいとか、財源があると積立金があ ると、そういうところに着目する人々がいらっしゃるわけですが、行政担当者は大変か もしれませんが、雇用保険の制度というのはどういうものかということと、雇用保険の 積立金があるからといって、いつまでもこういう好景気が続くかどうかということもあ るわけなので、その辺はしっかりとご説明をしていただければという要望です。 ○栗田委員 資料3の15頁の研究会資料の(9)、いろいろ新聞とか報道などの中で、事務 費のことだとかがよくいわれているのですが、実際には雇用保険の事業に係る、どうい うことにかかっているのだとか、そういうことがいろいろなところから言われるわけで すが、ここの中できちんと教えていただいたことがないのですが、少し勉強をしたいと 思っているのです。 ○宮川雇用保険課長 その辺も次回に適切なものをお出しさせていただきたいと思いま す。 ○豊島委員 先ほど諏訪部会長から追加の宿題がなかったと言われた後に言いにくいの ですが、前回の議論を受けていろいろ調べていただいてありがとうございましたという ことを前提として。先ほどの「できれば」ということなのですが、これでわからないな と思うのは、長谷川委員も言われましたが、マルチジョブホルダーの関係で、2つ以上 で働いている人がどういう業種であるという数字も出されたのですが、何か所というの はなかなかわからないですね。副業で1つとは限らないわけで、要はメチャクチャにな っているというのも伝わってまいりますので、もう聞くだけでいかがわしさすら感じる。 もちろん同じ仕事でずうっといかがわしい仕事をされている実態もあるわけですが、そ ういう関係でもし、もう少し具体的な中身がわかればというのがありますので、受け止 めていただきたいと思います。 ○宮川雇用保険課長 先ほどのマルチジョブホルダーの研究等も少し精査する中に、そ ういう視点も入れて調べてみたいと思います。 ○輪島委員 先ほどの長谷川委員のご発言ですが、私は前回意見を申しましたので繰り 返しになるかと思います。基本的に先ほど積立金のところで理解をしたように、私ども はその積立金というのは、前回の法改正も踏まえて、財政が非常に厳しくなったときに、 労使が保険料率を上げて、かつ大幅な給付のカットをして、その結果として積立金が積 み上がっているわけです。労使が努力をした結果の積立金がいま目の前にあるからとい って、それを目的外というか、使用するというような議論について、全く論外だという ふうに思っている点と。  その点に踏まえて少子化対策と言われているわけですが、現状のような1/4の国庫負 担ということを考えれば、給付率がもう40%で、本体給付、基本手当が50%の給付率か らすれば、それをさらに上げていこうということについて言うのならば、それは少子化 対策の中で国がもっとやるということが基本的に考えられるわけで、それを労使の中の 雇用保険の中でやるということではないだろうと。さらに言えば、これも前回も申しま したが、それは育児休業を取得することができる人たちの制度にさらに上乗せをすると いうことであって、実態は育児休業をなかなか取得できない人たちも別にいるわけで、 そこについての少子化対策は別に議論があまりされていないようなので、それはバラン スを欠くことだろうと私どもは考えていますので、その点も踏まえて是非、厚生労働省 も毅然とした雇用保険の運営をお願いしたいと思っています。 ○豊島委員 これも意見のような要望のような思想のような話なのですが、先ほど出さ れた三方一両損、1/3を上限としてということがありますが、ここは1/3を基準とし てという格好のほうが言葉の響きとしてはわかりやすくていいような気が私はするので す。なぜかというと、ずっと1/4できている背景、あるいはそうした活用があまり明確 ではないようです。  なぜこんなことを言うかというと、弾力条項の発動との関係なのでしょうね、基準の 問題整理、数字の整理、精査とかいろいろな関係があって、事務的な問題はわからずに いいますが、弾力条項を発令するときに、先ほどの方程式に基づいて一定の判断を加え て大臣がやる。それはそれでいいのですが、その時の優先順位が労使の折半の部分を上 げることが先で、弾力条項を発動することが先であって、国庫負担がその次であるとい うことではなくて、国庫負担が先にあって、例えば事業主、労働者側の負担をプラスに すると。マイナスは下げればいい。国民の負担を軽くするという意味でマイナスは下げ る。そのときは国が責任をとる。国の責任を重く受け止めるという感じがわかるほうが いいような気がするものですから、そのことについてどうなのだと。そこは先ほど出さ れています毅然とした態度をもって財務処理に臨んでいくべきです。 ○宮川雇用保険課長 1/3、1/4という数字の意味は、また格別。一応、制度としては 先ほど申しましたように、原則1/4の中で16/1000を中心値として一定の積立金の水 準になれば引き下げることができ、一定以下の積立金水準になった場合には引き上げる ことができるという制度が、いわばビルトインされている。しかもそのほかに、先ほど の説明の中にありましたように、保険料だけでは給付は賄えない場合には、高率国庫負 担の形で1/3までを埋め合わせる形での制度もビルトインされている。こういう形の中 でどのような形で、この制度を運用していくかというのは、雇用保険を所管している厚 生労働大臣の責任の判断の中で、必要な対応を当然考えるべきだろうと思いますが、こ の制度を運営するという意味では、一応この制度がビルトインされていますので、この ビルトインされている制度をどううまく使っていくのかということに係る問題ではなか ろうかなと思います。  そういう意味でいえば、現実にはこういう失業情勢ですから、それが給付の見直しな どもあり、両者相まってかなり財政状況的には厳しい状態は脱しているところではあり ますが、これがいつ逆転するか、簡単に逆転するわけでして、そういう際にはやはり弾 力条項を発動せざるを得ないときには、弾力条項の発動をお願いするなり、そういう際 には例えば過去の場合にご覧いただきましたように、暫定的に引き下げていた国庫負担 率を元に戻すなどのことも過去、実際にやっているわけですので、そういう意味で必要 な政治的判断も含めて判断をすべきで、この制度を活用した中での判断ということでは なかろうかなと思っております。 ○中窪委員 皆さんがおっしゃったことと全く変わらないのですが、前回、平成15年の 改正を経験した者として、あのときは年度中に本当に枯渇してしまって大変なことにな るという状況で、本当に苦渋の決断で給付を削り保険料を上げたわけです。それがよう やくここまで回復してきて、なんとかあるべき水準になったということなので、その点 は是非もう一度確認して、積立金というのはこの制度を健全に運営していくために必要 不可欠なのだということを、重ねてのお願いになりますが、是非アピールしていただき たいというお願いです。 ○諏訪部会長 いま労使公益委員の各側の先生方から、それぞれ基本的な考え方を述べ ていただきましたが、このような要望は是非、雇用保険部会として事務局の側にはお願 いをしたいと思います。それでは、ほかに特にご意見はございませんでしょうか。ござ いませんようでしたら本日は以上をもって第25回の雇用保険部会を終了させていただ きます。次回の日程につきましては、事務局において調整の上、各委員にご連絡をお願 いしたいと思います。本日の署名委員ですが、雇用主代表として中島委員に、労働者代 表として栗田委員にそれぞれお願いしたいと思います。お忙しい中をご無理を申し上げ ますが、どうぞよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。  照会先   厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係   TEL 03(5253)1111(内線5763)