06/05/24 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成18年5月24日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年5月24日(水)  14:00〜 厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(14名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 折 笠 秀 樹、     岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、 神 谷   齊、 後 藤   元、    土 屋 文 人、 早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、     山 口 一 成、 吉 田 茂 昭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(2名)   川 嵜 敏 祐、 溝 口 昌 子 3.行政機関出席者 川 原   章(審査管理課長)、   中 垣 俊 郎(安全対策課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二 部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりをいただきましてありがと うございます。当部会委員数16名のうち13名の委員の御出席をいただておりますので、 定足数に達しておりますことをご報告いたします。欠席は川嵜委員、溝口委員でござい ます。それから、土屋委員におかれましては少し遅れてこられるということでございま す。初めに当部会の委員の異動について御報告いたします。田島知行委員に代わりまし て今回の部会より、日本医師会常任理事の飯沼雅朗先生に委員に御就任いただきました。 飯沼先生には前回4月の当部会に参考人としてご出席をいただておりますけれども、改 めて御紹介申し上げます。 ○飯沼委員 飯沼です。よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 どうもありがとうございました。では、池田先生、以後の進行をよろ しくお願いいします。 ○池田部会長 それでは、まずいつものように配付資料の確認と資料作成に関与された 委員の報告をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、机の上に議事次第、座 席表、当部会委員の名簿のほか資料6「優先対面助言品目の指定について」、資料7「審 議品目の薬事分科会における取扱い等の(案)」の表でございます。また資料8「専門委 員リスト」を配布させていただております。それから関与委員の件でございますが、平 成13年1月23日の薬事分科会申し合わせに基づきます、資料作成に関係された委員の 確認でございますが、本日審議事項の議題1番、イトリゾール内用液につきまして、池田 部会長と岡委員が関与されておりますので、池田先生、岡先生におかれましては、本品 目の審議の間は別室で御待機をいただきたいと思います。このため議題1につきまして は、堀内部会長代理に議事進行をお願いをいたします。以上でございます。 ○池田部会長 本日はそのようなことで審議事項が3議題、報告事項が2議題となって おります。議題の1から審議を開始したいと思いますけれども、大変申し訳ございませ ん。私は関与しているということで退席をいたしますので、堀内先生申し訳ございませ んがよろしくお願いいたします。 池田部会長、岡委員退席 ○堀内部会長代理 それでは、議題1につきまして進行を務めさせていただきますが、 総合機構から審査の概要について説明をお願いいたします。 ○機構 議題1、資料番号1、医薬品イトリゾール内用液1%の生物由来製品又は特定 生物由来製品指定の要否、輸入承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及び劇薬の指 定の要否について医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  イトラコナゾールは1980年にベルギーのヤンセン社で合成されたトリアゾール系抗 真菌薬であり、本邦においては、経口製剤「イトリゾールカプセル50」他が使用されて おります。「イトリゾールカプセル50」につきましては1993年7月にカンジダ属、ア スペルギルス属、クリプトコックス属による真菌症等の効能・効果で承認されておりま す。既存のカプセル剤は全身状態が不良で食事摂取が困難な患者様や、胃酸分泌抑制剤 が併用されている患者様においては吸収にばらつきが認められることから、これらの患 者様に対しても安定した血中濃度が得られる製剤として、本剤の開発が進められました。 しかしながら、本剤ではヒドロキプロピル-β-シクロデキストリンが溶解補助剤として 添加されており、これによる胃腸障害が懸念されますことから本剤はいずれの国におい ても、口腔咽頭カンジダ症及び食道カンジダ症等、内用液剤の特徴が活かせる対象疾患 に対してのみ開発が進められ、平成17年3月現在で米国、英国を含む世界57ヵ国で承 認されております。  本剤の専門委員としては、資料8にございますとおり折笠委員ほか6名を指名し御意 見を賜りました。本邦においては1996年より第I相試験が実施され今回の申請に際して は、評価資料として、2つの国内第I相試験、口腔咽頭カンジダ症患者を対象とした国 内第III相試験それに加えまして、食道カンジダ症患者を対象とした米国第III相試験(IT R-USA-12)の結果が提出されております。  口腔咽頭カンジダ症患者につきましては、本邦において実施された臨床試験により、 この有効性・安全性が確認できたと考えております。食道カンジダ症につきましては、本 疾患を対象とした国内臨床試験が実施されてはいないものの既存のイトラコナゾールカ プセルが内臓真菌症として食道カンジダ症を適応として有していること本剤投与時の血 中イトラコナゾール曝露量はカプセル投与時の曝露量を下回らないこと、海外臨床試験 において口腔咽頭カンジダ症と食道カンジダ症の有効率に大きな相違が認められていな いことから、本邦においても口腔咽頭カンジダ症と類似の有効性が期待できると考え、 食道カンジダ症を効能・効果に含めることは可能であると判断いたしました。  なお、安全性については、本剤ではイトラコナゾールの曝露量による副作用増加の懸 念、新規添加物であるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンによる副作用の懸念 があることから製造販売後早期に安全性に係る情報を収集し、評価する必要があると考 えており、製造販売後速やかに情報を収集することについて申請者の合意を得ておりま す。  以上の審査の結果、本剤を申請された効能・効果、用法・用量にて承認して差し支え ないと機構が判断いたしております。なお、イトラコナゾールカプセルと本剤との相違 については添付文書等の情報提供資材において情報提供を実施するとともに、製造販売 後調査において十分な情報収集を行い、適切に評価していくことが重要であると考えて おります。本剤の再審査期間は4年とすることが妥当であると判断しております。また製 剤は毒薬・劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しないと判断 いたしております。  薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。それでは討議に入りたいと思いま すが、委員の先生方から御質問あるいは御意見がありましたら、伺いたいと思います。 これはイトリゾール内用薬1%ということでありまして、従来カプセル製剤があったわ けですけれども、新しい溶解補助剤ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを加え ることによって内用薬としたということでかなり限定をされた適応症ということになっ ておりますが、いかがでしょうか。食道カンジダ症については国内治験はないけれども 口腔咽頭カンジダ症等と比較をして適応とするとするのが妥当ではないかという説明だ ったと思います。折笠委員、専門委員として何か付け加えることがありましたらお願い いたします。 ○折笠委員 資料を拝見したのですけれども、専門協議の方は出れずどういう議論にな ったのかよく分かりません。口腔カンジダ症の方に関して、非盲検ではあるけれども、 一応効果は出ていると思います。食道カンジダは日本では試験はしていないのですけれ ども、口腔カンジダの方から食道カンジダの方にも効くだろうというふうに想定される だろうという話ですので、一応納得はしました。それから、市販後をどういうふうにさ れるのか気にしているのですが、安全性は大丈夫でしょうか。 ○堀内部会長代理 これには二つ問題があると思います。一つは内用薬にしたことによ ってバイオアベイラビリティが上がっているということです。ですから血中濃度がかな り高くなるだろうということと、新しい溶解補助剤を添加をしていることによってそれ がかなりの量で、計算すると20mLで8gくらいになると思います。溶解剤のバイオアベ イラビィリティは3.3%くらいでしょうか。それほど大きくはないのですけれども、取 り込まれた溶解剤がどういう働きをするかについて、特に安全性について市販後調査を するということですが、もう少し、市販後調査をきちんと実施するという担保がどのく らいあるかお話を頂けますか。 ○機構 市販後調査につきましては、資料の水色のみで1-11と書いてございますペー ジにその骨子が記載されております。こちらを御覧頂きますとお分かりいただけますよ うに現在2,000例規模の調査を予定しております。今、堀内先生から御指摘がございま したとおり、有効成分の曝露が著しく増えることからその曝露増加に伴う副作用の懸念、 並びに添加物の副作用という点が懸念されましたので、私どもといたしましてもなるべ く早い段階で情報を収集し、評価の上フィードバックすることが重要だと考えておりま して、のんべんだらりと2,000例を再審査期間中かけて集めるということではなく、承 認されて初期の頃にほぼ全例に近いような勢いで集めていただいて速やかに情報を収集 していただくことを考えております。その旨につきましては、申請者の方も了解をして いるという状況です。あと、そこに具体的に記載がございますとおりに懸念されるポピ ュレーションとしてはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの観点から腎機能障 害を有する患者様が気になりますし、高齢者、長期使用症例それから併用薬剤、イトラ コナゾールは3A4との相互作用との関連が深いというふうに言われておりますし、ま た多分患者様からの背景からして抗ガン剤ですとか、抗HIV薬を使われているような 患者様も多いかと思われますので、そういった薬剤との併用時にどのような安全性とな るかといった情報についてもいち早く収集するように指導しております。 ○堀内部会長代理 今お話があったように3A4の典型的な阻害剤ということですの で、従来のカプセル剤と比べても血中濃度が2倍以上高くなるということですので、調 査と医療機関への伝達をきちんとやるようにする必要があるのではないかと思います。 ○機構 徹底したいと思います。 ○堀内部会長代理 ほかにございますか。どうぞ。神谷委員。 ○神谷委員 よく分からないことがあって教えてほしいのですけれども、この薬の吸収 ですけれども、吸収は消化管ということが書いて粘膜からも吸収されるし、菌の表面に ついてもこれは菌には直接吸収するのでしょうか。 ○堀内部会長代理 機構からいかがですか。 ○機構 一応主作用としては吸収後に再分布をしたものが主作用というふうに考えてお りますが、直接作用の方も十分な検証がなされていないものの否定はできないと考えて おります。 ○神谷委員 直接作用とは菌に付いたときということですね。それで添付文書を読むと 真菌感染症がある人はよく口の中でくっつけてから飲めということが書いてあります。 それはそういう作用を一応期待はしているということなのですか。 ○機構 検証されていませんが、期待はできるというふうにも考えております。 ○神谷委員 分かりました。 ○堀内部会長代理 表現として5秒くらい口の中に含んでから飲み込めと書いてあるの で、いかにも直接作用があるふうに聞こえますね。その辺は気になるところだと思いま す。ある程度分かりやすく添付文書に反映させたらいかがでしょうか。要するに、主作 用は吸収されたものであることを明確にする。そうでないとこれだけ読むとどうしても 直接作用があるかのように読めてしまうのですが、いかがでしょうか。 ○機構 かしこまりました。そのように対応したいと存じます。 ○堀内部会長代理 ほかにはよろしいでしょうか。どうぞ。 ○神谷委員 それから、これは子供の症例は全然なかったということで小児については 分からないということになっていますけれども。小児でも特殊な例ですが、例えば白血 病などではこういうことで私も何回か痛い目に遭っているわけで、今度これを今大人に 使うことに関しては全然問題はないのですが、子供に拡大をして使うようなことがもし 本当にカプセルよりもそれだけよく効くなら大事な薬だと思うのですけれども、その辺 の計画も何か機構の方から会社に指示がしてあるとかそういうことはございますでしょ うか。 ○機構 今後の開発につきましては、審査報告書の方にも一部記載をしておりますが、 本剤の吸収が安定して高曝露が得られるということですので、カプセル剤の持つほかの 適応についても医療現場のニーズが高いことが予測されましたので、ニーズに応じて開 発を進めるようにということを指導いたしております。小児につきましては特に小児と いう言葉を出して議論をしたことはこれまではしておりませんが、医療現場のニーズに 合わせて開発をするようにという中に小児という項目も明記して申請者に伝えたいと思 います。ありがとうございます。 ○堀内部会長代理 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。添付文書でバイ オアベイラビリティの向上というのが書いてありますが、3ページの薬物動態の項に本 剤の空腹時投与における参考というところがあります。「バイオアベイラビリティがカ プセル剤の直後投与時と比較して高いことが示唆された」となっているのですけれども、 データを見ますと、2倍以上で明確に高いと考えられますので、もう少しはっきり書い た方がよろしいのではないでしょうか。 ○機構 御指摘のとおりですので、適切に変更させていただきます。御指摘ありがとう ございました。 ○堀内部会長代理 既にカプセル剤があってそれが広く使われているところに内用薬の シロップ剤が新しく登場するわけですが、シロップ剤の場合にはかなり血中濃度が高く なりますので、限られた使用がされることが期待できるわけですけれども、有効性から あるいは小児等についてはこちらの方が使いやすいと思いますのでその識別ができるよ うな表現に是非して頂きたいと思います。ほかによろしいでしょうか。それでは、承認 ということで薬事分科会に報告させていただきたいと思います。それでは池田委員の御 入室をお願いいたします。 池田部会長、岡委員入室 ○池田部会長 どうも堀内先生ありがとうございました。それでは、議題2について始 めたいと思います。機構の方から審査の概要を説明してください。 ○機構 議題2、資料番号2、医薬品ベガモックス点眼液0.5%の生物由来製品又は特 定生物由来製品の指定の要否、輸入商品の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及び劇薬 の指定の要否について医薬品医療機器総合機構より御説明を申し上げます。  塩酸モキシフロキサシンは独国バイエル社により開発されたフルオロキノロン薬であ り、本邦においては、2005年10月に経口剤が「アベロックス錠400mg」として急性気管 支炎、肺炎等の効能・効果にて承認されております。  モキシフロキサシンは、グラム陽性菌に優れた抗菌力を有することから、眼感染症に 対しても優れた効果が期待できると考えられ点眼液については、米国アルコン社により 海外42か国で承認をされております。  本剤の専門委員としては、資料8にござますとおり青柳委員ほか7名を指名し、御意 見を賜りました。  本邦においては、本剤の申請に際し、評価資料として4つの第I相試験(うち3試験で は日本人も対象)、4つの国内第III相試験、1つの海外第II相試験、4つの海外第III相試 験、参考資料として、本薬経口剤の国内第I相2試験、海外第I相7試験の結果が提出 されております。  提出された資料に基づいて、審査を行いました結果、本剤は、非臨床試験成績から、 他のフルオロキノロン系点眼薬と比較して、グラム陽性球菌に対する抗菌力が増強され ていること、キノロン耐性菌に対しても比較的良好な抗菌力が期待できること、耐性菌 の発現傾向が少ないことが推測されておりましたが、臨床試験成績としては、レボフロ キサシンに対する非劣性としてその有効性が検証されているにとどまることから、他の キノロン点眼剤との相違点については臨床的には確認されたものではなく、すなわち本 剤の特徴としてその点について強く主張が出来るものではないというふうに考えており ます。  また、申請された適応菌腫のうち、MRSAについては、臨床試験成績より有効性が 期待されるものの、ほかのキノロン系点眼剤と同様に黄色ブドウ球菌属から別記して記 載する必要性はないと考えております。緑膿菌については、他のフルオロキノロン系薬 に比べ抗菌力が劣ることから削除することが妥当と考えました。クラミジア・トラコマ ティスについては、有効性が十分検討されていないと考えられたことから削除すること が適切と考えております。よって、申請された適応菌種からこれら3菌種を削除した上 で、本剤を承認することが適切であると考えました。以上のような審査の結果、本剤を申 請された効能・効果よりMRSA、緑膿菌、クラミジア・トラコマティスを除き、用法 ・用量については申請されたとおりにて承認して差し支えないと判断いたしました。な お、再審査期間は6年、製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品または特定生物 由来製品にも該当しないと判断致しております。  薬事分科会では、報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願い申し上げま す。 説明中、土屋委員着席 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を受けた いと思います。いかがでしょうか。経口薬については昨年10月に承認をされているモキ シフロキサシンの点眼薬ということでございます。いかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 適応症としてはMRSAはありませんけれども、ある程度MRSA に有効性はあるというように考えてよろしいですね。 ○機構 MRSAに対しても抗菌力を有すること、具体的に申しますと審査報告書の6 ページに記載をされておりますが、局所投与薬であり、高濃度が移行しますことから抗 菌力があるというふうに考えております。ここの部分につきましては本剤に感性のとい う形でブドウ球菌のなかでも本剤に感性があれば、MRSAである、ないにかかわらず 御使用を頂いて構わないというふうに考えております。 ○堀内部会長代理 要するに、MRSAの中でいろいろ耐性の程度が違うので、場合に よると効くことがあり得るという意味で考えてよろしいですね。 ○池田部会長 そのほかいかがですか。 ○堀内部会長代理 それと関連してエンピリックテラピーの場合の使い方はどのように 考えますか。かなり、適応菌種の幅が広いというように思いますが。 ○機構 確かに、点眼液におきましては、エンピリック使用されることが多いかと存じ ます。したがって、MRSAがあらかじめ疑われるような背景を有する方ではきちんと 細菌学的検査を行ってから御使用頂ければというふうに考えますし、実際問題としては、 なかなか難しいところもあるかと思いますけれども、添付文書上にも決まり文句になっ てしまいますが、1ページの左段の一番下のところに一般的注意としてMRSAにかか わらずという形ではございますが、このような記載を致しております。 ○新薬審査第一部長 少し補足をさせていただきますけれども、確かに眼科の感染症で 病院や診療所にいらっしゃる患者さんにその都度菌を検出して特定して診断をつけるま で待ってもらえないので、即座にある程度効き目のある、切れ味のいい抗菌点眼薬を使 うというのが一般的には避けられないという状況です。これは専門協議の際に眼科の臨 床科の先生方にも御相談しました。ただ、薬剤は緑膿菌には余り効き目が良くないとか、 やはりそれでもいくつか弱点がありますので、そうしたものについてどうなりますでし ょうかということもポイントして議論しました。そういう緑膿菌が起炎菌になっている ようなケースでは多分尋常ではない病態になるということがあるので、そこは眼科的に はきちんと見分けられるというふうに考えますというお答えを頂きましたので事実上多 くはエンピリックな使い方になるだろうと思います。ただ、使用期間はそう長きに渡る ことはないと思いますし、そういう範囲で使っている間には既存のレボフロキサシン点 眼は日本で一番たくさん使われておりますけれども、それと恐らく余り変わらないとい うものになると思います。そういう意味でも既存のキノロン点眼薬に比べてこの薬が特 に何か優れるというふうなところが余り強調されすぎますと、誤った使い方になるよう なことも恐れられるとこういうことでしたので慎重にその点を評価させていただきまし た。結果的には一応スタンダードな抗菌点眼薬としては別に問題はないけれども、特別 なということはこれはなかなか主張できないということでまとめさせていただきまし た。 ○池田部会長 そのほかいかがですか。 ○堀内部会長代理 もう一点だけよろしいですか。審査概要の54ページのところに小児 あるいは乳幼児に対する記載がございますけれども、最近小児に対する治験をしてあれ ば加算をされるということになりまして、第一号が点眼薬なのですが、点眼薬は治験も やりやすい面もあるかと思います。今回の場合にはきちんとした治験という形ではして ないと考えてよろしいのですね。要するに、ニュアンスとしては小児に対しても有効で 安全に使えるというように書いてありますけれども、安全性のデータは不足していると いうことで、まだ十分にそこは検証されていないと考えてよろしいのですね。 ○機構 小児に関する記載といたしましては、同じく審査報告書の57ページの下の方に (3)というところからサマライズしておりますが、国内臨床試験におきましては、乳幼 児7例という症例数にとどまっておりました。米国の臨床試験成績にはそこに示してあ りますとおり、新生児で100例、乳幼児で66例という症例数がございましたので、特に 日本の小児に対しても安全性上の大きな問題等はないというふうに考えてはおります が、国内症例は7例と著しく少ないことから添付文書においては現在のような記載にと どめておくことが適切だと考えております。ただ、この点につきましては恐らく世の中 に出ると小児に対する使用も予測されますことから、1ページの審査報告書をめくって いただきますと、記載がございますとおり下の方に2)という形で新生児、乳幼児に対す る特定使用成績調査を実施することについて申請者の了解を得ております。それで、市販 後にここの部分についてデータが集まった段階で適切に評価をして添付文書の改訂等も 含めた情報提供の方法を考えいきたいというふうに思います。 ○池田部会長 そのほかどうぞ。上原委員。 ○上原委員 そうしますと、今の御説明ですと、添付文書の1ページに書かれてます、 小児等への投与(使用経験がない)ということは、実際は使用経験があるということです ね。私は御説明を聞いていて、この書き方は少し不適切ではないかと思ったのですが、 それを直していただくという理解でよろしいですか。 ○機構 申し訳ございません。ここの添付文書の記載で使用経験がないといたしました のは、ここでは国内における使用経験を示すことといたしておりますので、乳幼児の部 分については国内臨床試験においては7例の使用経験がございましたので、添付文書の 記載からは削除いたしておりますが、低出生体重児、新生児については国内成績がござ いませんでしたので、使用経験がないという形にいたしております。 ○池田部会長 よろしいですか。神谷委員、何か御意見ございますか。特に小児例の問 題で。 ○神谷委員 私もここをそういうふうに読みましたので、言わなくいいと思っていまし た。 ○池田部会長 ありがとうございます。どうぞ、審査管理課長。 ○審査管理課長 今の御指摘の点は誤解を招かないような記載をぶりも工夫できないか と、検討できますでしょうか。 ○機構 海外では臨床試験成績がある旨を適切な形で添付文書に反映するように改訂し たいと存じます。 ○池田部会長 ありがとうございました。海外はある程度の数はございますから。その ほかいかがですか。これは国内の第III相試験の重篤な有害事象で原因不明の入院で追跡 調査不能というのは入院しているのに追跡調査は不能なのですか。33ページの上から2 行目に入院していますから、重篤な有害事象として入るわけですけれども。追跡調査不 能と書いてあるので具体的にはないわけですよね。 ○機構 そうですね。ここのところの詳細についてもう一度確認したいと思います。御 指摘ありがとうございました。 ○池田部会長 そのほか何かございますか。これはほかのものと比べて局所症状が特に 強いとか、あるいは局所以外の有害事象は一応上がってますけれども、副作用としての 局所以外のものは余り無いというふうに考えてよろしいですか。 ○機構 そのように考えております。 ○池田部会長 いかがでしょうか。特にございませんか。これは経口薬としは既に先ほ ど申し上げましたように、承認されているものでございまして、点眼薬として今回申請 があったということで審査の報告を聞いて特に先生方が問題ないということであれば、 これも承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきますけれども。よろしいです か。特に御意見ございませんか。それでは、ありがとうございました。承認を可とさせ ていただきまして薬事分科会の報告とさせていただきたいと思います。  それでは議題3に移りたいと思います。事務局から各品目の概要をまとめて御説明い ただきたいと思います。 ○事務局 それでは、議題3希少疾病用医薬品の指定について御説明させていただきま す。本日は資料No.3、1〜5新型インフルエンザワクチン関連及び資料No.4、ネララビ ン関連この2つについて続いて御説明させていただければと存じます。まず資料No.3、 1〜5新型インフルエンザワクチン関連について御説明させていただきます。新型イン フルエンザワクチンにつきましては、開発の方向性について昨年4月の部会で御説明さ せていただいたところです。本日は希少疾病用医薬品の指定の可否について御審議頂け ればと存じます。  沈降インフルエンザワクチン(H5N1)についてインフルエンザ(H5N1)いわゆる 新型インフルエンザの予防を予定される効能・効果といたしまして、希少疾病用医薬品 として指定することの申請がなされています。申請者はデンカ生研株式会社、社団法人 北里研究所、財団法人阪大微生物病研究会そして財団法人化学及血清療法研究所でござ います。それぞれの申請者から提出された資料がお手元の資料3-1〜3-4でございま す。これらの申請に関し医薬品医療機器総合機構が事前評価をとりまとめております。 資料3-5事前評価報告書を御覧ください。希少疾病用医薬品指定要件である、「対象者 数」、「医療上の必要性」及び「開発の可能性」の3点に関し、本評価報告書を基に御 説明させていただきたいと思います。資料の3-5は3枚の紙からなっているものでござ いますけれども。こちらの2ページを御覧ください。  まず「対象者数」についてでございますけれども、本年3月31付けで薬事法施行規則 を改正いたしました。本申請のような感染性疾病の予防の用途に用いる医薬品の場合に はオーファンの申請時において当該医薬品について承認が与えられるとした場合に見込 まれる人数について対象を検討することといたしております。本申請の対象疾患である 新型インフルエンザにつきましては、昨年12月の国立感染研究所の報告書の記載があり ますとおり、5例を確認されております。このことから希少疾病用医薬品の指定要件であ る国内対象患者数5万人以下を満たすものと判断いたします。  次に2番の「医療上の必要性」についてでございますけれども対象疾患である(H5N 1)型インフルエンザは全身感染、出血傾向、多臓器不全、サイトカインストーム等を引 き起こし、致死率が50%以上に及ぶという治験があり、生命に重大な影響がある疾患と 判断されます。また新型インフルエンザワクチンに対するワクチンといたしましては、 これまでにアジュバンドを含まないワクチンや全粒子ワクチンの開発のケースがあるも のの抗体産生性が低いという問題等により現在までに実用化に成功したものはございま せん。以上により対象疾患の重篤性が高いことを及び既存の予防法が存在しないことか ら医療上の必要性があるものと判断いたしました。  最後に3番の「開発の可能性」についてでございます。お手元の3ページでございま すけれども。本剤はアジュバントとして水酸化アルミニウムを含む全粒子型の新型イン フルエンザワクチンであり、非接種者に対する高い免疫原性が期待され新型インフルエ ンザに対する有効な予防法であることが期待されます。また、本剤は現在各申請者によ る第I相試験が実施されており、その後引き続き第II/III相試験を本年□月〜□月まで 実施することを計画しているとのことです。以上より本剤は対象疾病に対して使用する 理論的根拠があるとともにその開発に係る計画が妥当で認められることから開発の可能 性があると判断いたしました。以上対象患者数の観点、それから医療上の必要性の観点、 今後開発の可能性の観点から考えまして、希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判 断しております。  引き続きまして、資料4、ネララビン関連について御説明させていただきます。お手 元の資料4を御覧ください。ネララビンについて成人及び小児における再発・難治性の 下記疾患、T細胞性急性リンパ芽球性白血病及びT細胞性リンパ芽球性リンパ腫、並び に成人T細胞白血病/リンパ腫を予定される効能・効果といたしまして、希少疾病用医薬 品として指定することの申請がグラクソ・スミスクライン株式会社よりなされておりま す。本申請に関し、同じく事前評価報告書を医薬品医療機器総合機構がとりまとめており ます。資料4の2枚目右側に事前評価報告書というタグがございます。こちらを御覧く ださい。こちらにつきましても、「対象者数」、「医療上の必要性」及び「開発の可能 性」の3点に関し、本評価報告書を基に御説明させていただければと存じます。  まず「対象者数」でございます。事前評価報告書の2ページでございますけれども。 T細胞性急性リンパ芽球性白血病が成人、小児合わせて360人、T細胞性リンパ芽球性 リンパ腫は計240人と推定しており、本申請の内容である再発・難治性の患者数につい てはさらに少ない患者数が推定されます。また、成人T細胞性白血病/リンパ腫について は700人と推定されてあります。これらのデータより本申請の全ての対象疾患について 希少疾病用医薬品の指定要件である国内対象患者数5万人以下を満たすものと判断して おります。  次に「医療上の必要性」についてでございますけれども、本申請の全ての対象疾患に ついて予後が不良であり生命に重大な影響がある疾患と判断しております。また、T細胞 性急性リンパ芽球性白血病につきましては、現在のところ完全寛解後に再発した場合又 は多剤併用療法により完全寛解が得られない場合の標準的な治療法は確立されておら ず、T細胞性リンパ芽球性及び成人T細胞性白血病/リンパ腫についても同様な状況で す。一方で本剤についてはT細胞性急性リンパ芽球性白血病及びT細胞性リンパ芽球性 リンパ腫に対して海外臨床試験で良好な結果を示しており、成人T細胞性白血病/リンパ 腫に対してはin vitroでT細胞を多く含むヒト末梢血単核細胞に対するアポトーシス誘 導能を有するという知見がございます。安全性につきましては高頻度に認められた副作 用として血液毒性があり、特徴的な有害事象としては神経系のものが報告されておりま すが、海外臨床試験においては成人、小児ともに忍容性が確認されております。以上より 対象疾患の重篤性が高いこと及び既存の治療法として比較して有用性が期待されること から医療上の必要性があるものと判断いたします。  最後の「開発の可能性」についてでございますけれども。以上申し上げてまいりまし たとおり、海外臨床試験の結果及びin vitroの結果から本剤は申請された全ての対象疾 患に対して有効な治療等であることが期待されます。また、T細胞性急性リンパ芽球性 白血病、及びT細胞性リンパ芽球性リンパ腫については米国で既に承認を取得しており、 本邦でも本年6月に承認申請を計画しております。なお、本年1月の未承認使用検討会議 の結論を踏まえ、承認申請後もいわゆる安全性確認試験として国内臨床試験を計画する と伺っております。一方、成人T細胞性白血病/リンパ腫につきましてはin vitro試験 を実施中であり今後開発方針を検討するとしております。以上より本剤は対象疾病に対 して使用する理論的根拠があると共に開発に係る計画が妥当であると認められることか ら開発の可能性があると判断いたします。以上希少疾病医薬品としての3つの用件を満 たすということで判断しております。5剤について御審議のほどよろしくお願いします。 ○池田部会長 ありがとうございました。第3議題は「希少疾病用医薬品の指定」につ いてでございまして、ただいま説明がございましたように、一つは新型インフルエンザ ワクチンについて、もう一つはT細胞性の白血病/リンパ腫の治療薬としてのネララビン についてということでございます。3つとも希少疾病用医薬品に該当するということで 「対象者数」あるいは「医療用上の必要性」、「開発の可能性」という点から御説明い ただきましたけれども委員の先生方から御質問をお願いしたいと思います。どうぞ岡先 生。 ○岡委員 インフルエンザワクチンのことですけれども、対象患者数がぴんとこないで すが、当然ワクチンですから健常人に打つものであって、患者数ではかれるものではな いかなという気がします。それで、医療上の必要性については労を待たない誰にも否定 するところではないので、一応対象患者数について希少であるというのを付ける必要が あるのかという疑問とそれから4社が別々にフェーズ1をしていることにはなっている のですけれども。ほとんどプロトコールが同じで、ドーズまで全く同じなのですけれど も。ちょうど先週でましたランセットで同じようなフェーズ1がフランスから出ている のですけれども。こちらはもう少し高用量までふってまして、4社でするのであればも う少し独自の投与量にしなかったのかという疑問があるのですけれども。 ○池田部会長 いかがでしょうか。今ワクチンの指定についてですけれども。 ○事務局 先生から頂いた2点の御質問で、まず1点目につきまして、対象者数の算定方 法について御説明させていただければと思います。対象患者数に関しましては、本年3 月31日付けで薬事法施行規則改正というものがございまして、その中で5万人がどうい う換算をするのかということについて新たな基準を設けさせていただいておるところで ございます。特にワクチンのような健常児に打つものにつきましては、これまで対象患 者という定義がそれほど明確ではなかったということもございまして、今後は健常人で 何人打つかということではなくてオーファンでの申請時点で何人対象患者数がいるか、 対象患者と言いますのはこの場合は新型インフルエンザワクチンに罹患した患者数につ いて検討しましょう、これが5万人以下であれば希少疾病用医薬品の規定を満たすもの と考えておりまして、必ずしも投与される健常人の数とはイコールではない。むしろ全 く別の換算方法で検討するということを定めさせていただいたところでございます。  それと2点目の4所社が同じドーズで開発を行っているのはなぜかというところでご ざいますけれども、我々が希少疾病用医薬品の指定を行うにあってヒアリングをしてい る段階では特に各所社からどうしてこのフェーズなのかというお話はさせていただいて はなかったところではございますけれども。 ○池田部会長 どうぞ。 ○生物系審査部長 二点目についてですが、本ワクチンの開発の関係で医薬品医療機器 総合機構・生物系審査部それから当然のことながら本省審査管理課血液対策課、感染研 究所のメンバーも含めまして、危機管理の観点から支援に当たっております。本ワクチ ンにつきましては例えば、投与量について諸外国が公比2であるところを我が国では公 比3としまして、どこに振れるか、つまり本ワクチンの場合、抗体価が上がりにくいと いうことも我が国では過去の研究から分かっており抗体価が高くなることが予想される 全粒子型プラスアジュバントとし、用量を増したので、幅広く振らせていただきました。 実際には例えば、投与経路など各社で変更した部分もあり、情報を集めるという工夫を した点もございます。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。神谷委員。 ○神谷委員 少し、教えてほしいのですけれども。資料の3-5のところでこれは希少疾 病用医薬品とすることは問題はない思いますが、後の方の文章ではH5N1型インフル エンザ感染例をという書き方がしてあって、この表紙のところではインフルエンザH5 N1の予防となっておりますけれども、これは変異株が出てくるというようなことを考 えて後ろに型というのをプロトタイプワクチンということで希少疾病用医薬品と通しま すけれども、その後も多少変わってきてもいいということで型というのが付けてあるの ではないかなと思ったので、そうなるとページの始めのところも型を付けた方がいいの ではないかなと思いますが。そういう意味ではないのでしょうか。 ○池田部会長 いかがですか。 ○事務局 おっしゃるとおりでございますので、そのように訂正させていただきます。 なお、承認申請の段階で効能・効果は必ずしも希少疾病用医薬品の効能・効果はイコー ルでございませんので、その辺は特に注意をしてまいりたいと思っております。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。いずれも非常に必要なお薬だということの 認識は委員の皆さんはお持ちだと思いますけれども、何か、ネララビンももちろん含め てください。 ○堀内部会長代理 ネララビンについてお尋ねしたいのですが、これはara-Gのプロ ドラッグということなのですけれども、T細胞に特異的とするとかなり対象患者数とし ては少ないと思いますが、一般的に言えばこれはいろいろな細胞のDNA合成を阻害す ると思います。特にこれをオーファンドラッグとしてする意味付けについて分かりまし たら教えていただきたいと思います。 ○事務局 御指摘の件でございますけれども、対象疾患について申請者とディスカッシ ョンさせていただきました段階でこの対象疾患についてはここに挙げてあります、これ 以外のものには効果がないということで、つまり特異的にこの対象疾患、白血病につい て効果を特に有するということでお話をいただいておりまして、その意味で希少疾病用 医薬品に適当であると判断しております。 ○池田部会長 B細胞系のリンパ腫には効かない、リンパ性白血病には効かないしその ほかの骨髄性の白血病には余り効果がないということが分かっている…。 ○堀内部会長代理 これはDNAが取り込まれていて作用するわけですね。特にB細胞 に効かないでT細胞に特異的というのはどういうメカニズムが考えられるのでしょう か。かなり一般的な作用メカニズムではないかと思います。 ○審査管理課長 メカニズムまできちんと分かっているかどうか私は確認していないの ですけれども、堀内先生がおっしゃいますように通常、細胞毒性による抗ガン剤の場合 にはそれほどスペイシフィックに効くということではございませんので、場合によって はそのオーファンの指定要件からはずれてくるものもあるわけでございますけれども。 このものにつきましては、欧米での臨床のいろいろな予備的な試験からしてT細胞系の ものにスペイシフィックだということがある程度出ておりまして、それでなおかつ欧米 等でもそれ以外の効能の開発をしていないということもございまして、それから未承認 薬使用問題検討会議での議論等も踏まえてそこを総合的に判断をして、こういう形で処 理をさせていただいたということでございますけれども、もし細かいメカニズム的なと ころで分かっていれば追加をお願いできますか。 ○池田部会長 どうぞ。 ○新薬審査第一部長 本日、お配りしております、資料4のみみがウとついております けれども、ここに当該医薬品を使用する理論的根拠となる資料というものが入っていま す。この緒言と書いてある文の1というところに少しそういう仕掛けの説明がございま す。専門的な話かなと思いますが、基本的にここのGTP、ara-Gになって細胞内で その変換されてそれで効いてくるのですが、その際にT細胞とB細胞の特徴の違いによ って主にT細胞においてのara-GTP濃度が高くなるということでそれがページの 真ん中の辺りに書いてございます。BよりもTには効くというのは理由があってという ことはここに書いてございます。一応種々の白血病に対するスペクトラムを調べている 成績が下の表の1に載ってございますが、やはりここで見ますとT細胞系のところでC Rが出ているのはT-ALL系のところでだけで、こういう様子になってございますの で、やはり細胞内にきちんと入っていて、活性化されるというところに細胞系による効 き目の違いが出ていると、これを利用したということのようでございます。 ○池田部会長 どうぞ、山口委員。 ○山口委員 T-ALLとT-LBLですか。これがよく効くというのは欧米での成績で も分かると思いますけれども。ほかのBよりもTが効くだろうとそれから末梢性よりも 幼若な方がよく効くだろうという説明の場合にATLをin vitroの成績だけでもう治験 まで認められた理由は、何か根拠がありますか。非常に画期的なことなのですが。例え ば、セザリー症候群ほかのT細胞もありますよね。そういうものは効かないということ なのですよね。 ○新薬審査第一部長 余り検討が幅広くしているわけではないのですけれども、機構の 検討の中でもやはりここに挙げております、2つのものだけではなくてATL系の幾つ かの白血病に対しても多分使われる可能性があるのではないかということで議論はいた しました。それで、欧米ではこれは実は疾病コードの違いというものがございまして、 海外でT-ALLとT-LBLは結構いるのですけれども、日本ではまた違っていてほか のATL系の患者さんが日本にはいらっしゃるので、恐らくそこには使ってしまうだろ うというようなことは議論しています。ただ、今回のオーファン指定の指定申請はこの 2つということで申請されておりましたので、その部分を中心にまとめさせていただい たという事情がございます。いずれにしましても、多少周辺部分については、検討の余 地があるのだろうなというふうには私どもも考えてございます。 ○池田部会長 よろしゅうございますか。大まかに言って恐らくB細胞系には余り効か ないとTに非常に効くとin vitro、in vivoはある意味では合うと日本ではT系のもの が多いのでしたらどうかとそういうことだろうと思いますけれども。よろしいでしょう か。もしそのほか、御質問がなければただいま御審議頂きました、C型インフルエンザ ワクチンはこれは4社のもので4品目です。そして、ネララビンについて希少疾病用医 薬品としての指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきたいと思いますがよろ しいでしょうか。ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたい と思います。それでは続きまして、報告事項です。事務局の方からお願いしたいと思い ます。 ○機構 それでは、議題1、医薬品ジェムザール注射用200mg及び同1gの輸入承認事 項一部承認申請について報告いたします。資料5を御覧ください。本剤はデオキシシチ ジン誘導体である塩酸ゲムシタビンを有効成分とする代謝拮抗性の抗悪性腫瘍剤であ り、現在、非小細胞肺癌、膵癌の効能・効果で承認されております。今般、日本イーライ リリー株式会社より、胆道癌の効能・効果の承認について輸入承認事項一部承認申請が なされたものです。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断 いたしました。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。次の議題2についての報告もお願いします。 ○機構 優先対面助言品目の指定について御報告を申し上げます。資料6でございます。 当日配付資料として机の上に配付いたしました。医薬品医療機器総合機構が治験相談を 優先的に行う品目ということで、優先対面助言品目を行っておりますが、サノフィー・ アベンティス社、ドセタキセル水和物、タキソテール注であります。既に乳癌、非小細 胞肺癌、子宮体癌等の効能・効果について承認されておりますけれども。今般の指定は 前立腺癌に関する開発であります。海外の試験におきまして、ホルモン不応性転移性前 立腺癌の患者を対象とした試験で本剤群が比較対照群に対しまして、生存期間の延長を 示し、疼痛、QOLの改善も見られているということでございます。本疾患領域で生存 期間延長がきちんと示されたことの意義と今後の早期の国内開発への期待を含めまし て、本剤を優先対面助言品目として指定したということでございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま機構の方から報告事項をさせていた だきました。一つは塩酸ゲムシタビンですけれども、輸入承認事項を一部変更承認につ いてということで効能・効果の追加ということで胆道癌を追加したいということ、もう 一つは優先対面助言品目の指定ということでドセタキセル水和物について、ホルモン不 応性転移性前立腺癌の適応ということでございますけれども、まず始めに両方一緒に構 いません。先生方から御質問がございましたら受けたいと思いますが、いかがでしょう か。どうぞ、吉田委員。 ○吉田委員 ゲムシタビンの胆道癌の適応なのですけれども、これは胆道癌というと頭 頸部癌と同じでかなりいろいろなものを含んでいて、報告書を見せていただくと胆管癌 が最終的に含まれるのか含まれないのかよく分からなかったり、それから例えば、胆道 癌ということで今度保険局の絡みになると思いますが、適応にすると胆嚢癌は駄目だと いうふうに間違えて言われる可能性もあるので、例えば胆道癌という中にはこういうも のが含まれているということを明らかにしていただけると一般の医科としては助かるの ではないかと思うのですけれども。 ○池田部会長 ありがとうございました。機構の方はいかがでしょうか。 ○機構 胆道癌の中には肝外胆管癌、胆嚢癌、それから乳頭部癌がございますが、現在 日本の肝癌取扱規約ですとか、そういった学会の出ている規約ではこの3つということ で統一して記載されておりましたので、効能・効果、胆道癌と書かせ頂きましたが、た だ、含まれている部位別の名称がございますので。そこがどれが試験で検討されたかは 明確にする必要があると考えてまして、臨床成績の項に記載をさせていただいて情報提 供する形という対応を取っております。 ○池田部会長 それでよろしいですか。ただもう少し具体的に…。 ○吉田委員 現場に混乱が出ないようにしていただければいいと思います。 ○池田部会長 そのようによろしくお願いしたいと思います。ドセタキセルの前立腺癌 への場合優先対面助言の対象効能ですけれども、これは守殿先生は特に問題なくよろし いですか。 ○守殿委員 特に問題ないと思いますし、現在も一部では使用されており、一定の評価 される成績が上がっているようですので是非ともお願いしたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほか委員の先生方から御質問ございます でしょうか。よろしいでしょうか。それでは報告事項については2品目を確認いただい たということにしたいと思います。ありがとうございました。本日の議題は以上でござ いますけれども。委員の先生方から何か御意見ございますか。特にございませんでしょ うか。それでは事務局から何か報告がございますか。 ○事務局 どうもありがとうございました。次回の開催の御案内ですが、6月はお休み でございまして、次回は7月21日(金)の午前10時から開催させていただきますので、 よろしくお願いいたします。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。次回は7月21日(金)午前10時〜12時という ことでございますので、どうぞお書きとめ頂きたいというふうに思います。それでは本 日はこれで終了したいと思います。先生方にはお忙しいところお集まり頂きありがとう ございます。   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 山本(内線2734)      - 1 -