06/04/25 第84回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録   第84回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成18年4月25日(火)13:00〜 2 場所  職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表 : 清家委員、北村委員、鎌田委員、        雇用主代表: 輪島委員        労働者代表: 長谷川委員、川畑委員、池田委員   事務局  高橋職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、        篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、        佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について(フォローアップ)       (2)その他 ○清家部会長   ただいまから「第84回労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は成宮委員、 山崎委員がご欠席です。池田委員は少し遅れると伺っています。  今日の議題は、公開で「労働力需給制度についてのフォローアップ」をご審議いただ きます。その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹 介事業の許可の諮問に係る審議を行います。許可の審査については、資産の状況等、個 別の事業主に関する事項を取り扱うことから、これについては「公開することにより、 特定のものに不当な利益を与え、又は不利益を及ぼす恐れがある」場合に該当するため、 非公開といたしますので、傍聴されている方には始まる前にご退席いただくことを予め ご了承ください。  それでは議事に入ります。最初の議題は「労働力需給制度についてのフォローアップ」 です。今回は労働者派遣関係の第1回目として、派遣対象業務の拡大、派遣期間の延長、 派遣労働者の直接雇用の促進についてのフォローアップを行います。まず、本日提出の 資料について事務局から説明をいただき、その後議論を行います。 ○篠崎補佐   それではご説明いたします。まず資料の確認です。資料1のフォローアップ事項は、 これまで提出させていただいたものです。資料2は、労働者派遣事業関係資料というこ とで、今回ご説明する3点についてのペーパーです。資料3は、参照条文です。  資料2を使って説明いたします。資料の構成は、それぞれ今回のフォローアップ事項 について現行制度の説明、昨年行ったヒアリングにおける主な意見、アンケート調査に おける関連資料等という形で説明いたします。  まず、1頁目の派遣対象業務についてです。現行制度については、以下の適用除外業 務を除き、派遣事業を行うことができる。現在、法律で港湾運送業務、建設業務、警備 業務、政令で医療関連業務の一部が適用除外業務です。  平成15年の改正事項については、製造業務への労働者派遣を解禁したということで す。製造業務については、平成19年2月末までは派遣期間は1年になっています。  参考として、病院等の医業における医療関連業務について、紹介予定派遣を可能とし た。これについては、※にあるように、社会福祉施設における医療関連業務についても、 平成15年に可能とした。平成18年4月より、医療関連業務については、産前産後休業、 育児休業、介護休業中の代替要員の場合、へき地の病院等における医師の業務について は、労働者派遣を可能としています。  参考に製造業務へ労働者派遣を行う際に必要な事項を記載しています。まず、派遣元 事業主は製造業務に労働者派遣を行う事業所について、許可申請書又は届出書にその旨 を記載することになっております。実際にやろうと考える事業所は、届出をすることに なっています。これについては8頁をご覧ください。この届出の数は、平成17年2月 から記載しています。平成17年に累計で4,090事業所であったものが、平成18年2月 現在で7,631事業所になっております。これは届出があった事業所ですので、実際に行 っている数字とは一致しない部分がありますが、これだけの事業所で製造業務の派遣を 行う届出をしている状況です。  1頁目の参考のポツの2つ目、「派遣元事業主は、製造業務に従事する派遣労働者100 人当たり、1人以上を当該派遣労働者を専門に担当する派遣元責任者としなければなら ない。製造業務に50人を超える派遣労働者を従事させる派遣先は、製造業務に従事す る派遣労働者100人当たり1人以上を専門の派遣先責任者としなければならない。」と なっております。  2頁目、平成15年の改正においては、製造業務への労働者派遣を解禁したことに伴 い、派遣元責任者、派遣先責任者に以下のものを業務として明確化しております。派遣 元責任者については、派遣元において安全衛生を統括管理する者及び派遣先との連絡調 整、派遣先責任者については、派遣先において安全衛生を統括管理する者及び派遣元事 業主との連絡調整です。  次は、2のヒアリングにおける主な意見等についてです。まず、労働者派遣事業者団 体です。「物の製造の解禁に伴い、請負の専業だった会社が、派遣のライセンスを取って 当協会に加入するという状況が顕著になっている」、「物の製造の業務の解禁は評価する が、請負の実態から見ると、1年は期間が短いと言える。1日でも早くこの受入れ期間 制限の撤廃、もしくは延長を要望しているところである」、「医業の紹介予定派遣の実績 については、まだ正直把握し切れていないが、おそらく実態としてはそう多いとは考え ていない。医業における労働力の問題等について、派遣の仕組みをもっと積極的に導入 しようということであれば、一般の派遣についても医業は解禁すべきではないかと考え る。」  次は、派遣元事業主の意見です。「物の製造への派遣について、派遣先側の反応として 1年の期間制限という部分に躊躇が非常に多かった。熟練度が増してきたところで、期 間制限がくるので生産性の向上にはまだまだ貢献できていない。むしろ、この派遣を利 用することで生産性が悪くなっているというようなことも言われる」、「クーリングオフ の期間をいかにいい形で回避しながら、派遣を上手に製造ラインの中で使うかというこ とがポイントになってこようとしている」、「製造派遣の1年の受入期間制限が大きなネ ックになっている。」  次は、派遣先企業の意見です。「物の製造の業務の解禁については、期間が1年という ことなので、かなり単純な業務でしか使えないという抗議も出ていて、さらに1年後は、 クーリングオフ期間を3カ月必要ということで、なかなか実際の利用は思うように進ま ない実態にある。」  次は、製造業の請負事業者団体の意見です。「製造業の生産現場における外部労働力の 活用という観点からいくと、労働力の外部的な調達という面において、請負の形態が派 遣の形態よりも機能的であり、ある程度まとまりある業務を要する相当数の労働者を調 達する場合においては、生産請負方式によるほうが効率的であり、また技能の蓄積、継 承の観点から、期間制限のある派遣形態よりもそのような限定のない請負形態のほうが より効果的で、請負形態のほうが派遣よりも馴染むものであると思っている。さらに労 働者にとっても、請負では雇用と使用が一致するので、雇用の安定にもつながり、労働 者派遣と比べて好ましいものと考えている」、「労働者派遣法が改正されて以来、製造業 の生産現場においては、労働者派遣の活用は非常に広まっている。半数以上の会社が労 働者派遣事業の許可を取得し、労働者派遣のニーズに応じる体制をつくっている」、「今 後の動きについて、労働者派遣が製造業の生産現場において、労働力の確保・雇用とい う観点からどのようなウエイトを占めるか定かではない」、「労働者派遣が認められてか ら、売上げに占める派遣の割合は15%程度であり、1年の期間制限があるのでこのよう なものではないかと思っている。ただ、請負業は労働者派遣には馴染まないと認識して おり、そんなに伸びるとは思っていない。製造業においてはフリーターと言われる人が 非常に多く、製造の経験のある人というのは極めて少ないため、品質、災害の問題から も請負契約できちんとした管理監督者の元で仕事をすることが望ましいと思う。」  次は、製造業の請負事業者の意見です。「一時的・臨時的な業務については派遣、継続 的な業務については請負で行うのが基本的な形態であるが、顧客のニーズに対応できる よう、労働者派遣のライセンスを取って両方のサービスができるようにしている」、「派 遣で来た人がすぐに製造工程に従事できるというのは考えにくいと思う。結果としては、 1年という縛りの中で派遣を使うとすれば、使うメーカー側もスキルを要求される所に 従事させることはできないのではないか。特に、半導体や前工程は請負でないとできな いだろう。」以上、ヒアリングにおける意見を紹介いたしました。  資料の6頁です。製造業における派遣労働者数については、厚生労働省の統計情報部 が行った「派遣労働者実態調査結果の概要」の抜粋です。製造業においては、31万4,400 人の派遣労働者数が従事している。男女比では男性が54.8%、女性が45.2%です。これ は製造業における派遣労働者数ですので、必ずしも製造業務だけではなく、例えば事務 なども含まれていると考えられます。  7頁は同様の調査で、現在行っている派遣業務別派遣労働者の構成比を見たものです。 全体が約95万人ということで、物の製造の構成比が13.9%で、概ね約13万人の派遣労 働者が物の製造で従事しているという試算になると思います。  10頁以降は実態調査です。括弧内は、平成14年の実態調査の数値を参考までに付け ています。表1は、物の製造業務への労働者派遣の予定です。一般については、「すでに 行っている」と答えた方が15.4%、「今後行う予定」が12.9%、「行う予定はない」が 66.8%となっています。  表2は、医療関係業務への紹介予定派遣についてです。「すでに行っている」と答えた 方が3.0%、「今後行う予定」が11.4%、「行う予定はない」が80.4%となっています。  表3は、医療関係業務への労働者派遣についての考え方です。「一般で、紹介予定派遣 に限らず拡大していくべき」が30.5%、「現行のまま」が44%、「紹介予定派遣におい ても認めるべきではない」が9.4%となっています。  11頁の表4は、事業所が雇用している派遣労働者数、物の製造業務を行っている事業 所についてです。現在派遣されている労働者数は、男性について一般で平均59.2人、特 定で14.4人です。女性について一般で41.5人、特定で12人です。  表5は、製造業務で、派遣契約期間ごとの件数、平均契約期間です。平均派遣契約期 間については、1カ月〜3カ月未満が32.9%、3カ月以上6カ月未満が25.0%、6カ月 以上1年未満が29.6%となっており、平均契約期間は7.1月となっています。特定につ いては、平均で11.7月となっています。  12頁の表6は、派遣契約の通算契約期間、平均通算契約期間です。これも物の製造で すが、一般については平均で8.6月、特定で17.3月という平均通算契約期間になってい ます。  表7は、物の製造における教育訓練の受講率です。常用の派遣労働者については一般 で83.3%、特定で77.7%、登録型の派遣労働者については71.6%となっています。  表9は、教育訓練の方法です。この一般については派遣元でのoff-JTが50.8%、派 遣先内での訓練が46.0%です。特定については、派遣元でのoff-JTが56.3%、派遣先 内での訓練が50.0%となっています。  表10は、物の製造に係る派遣元責任者の選任数についてです。一般で平均2.4人、 特定で平均1.3人となっています。  12頁の表11は、物の製造に係る派遣元責任者を統括する立場の者の有無です。一般 では「いる」が58.9%、「いない」が7.3%、特定においては「いる」が43.8%、「いな い」が6.3%です。  次は、派遣先調査についてです。表12は、物の製造業務において派遣を活用する理 由についてです。多い順に紹介しますと、「ラインの一部等に少人数の増員が必要となっ たときに、迅速に対応してもらえるから」が86.5%、「労働者に指揮命令ができるから」 が56.8%、「コストが安くなると思われるため」が31.8%です。  表13は、物の製造業において最長3年までの労働者派遣の利用意向です。いちばん 多いのが、「現在請負を活用している業務と、現在請負を活用していない新規の業務の両 方について活用したい」という事業所は31.1%です。「現在請負を活用している業務に ついて利用したい」が25.0%です。  表14は、利用したい理由です。「ラインの一部に少人数の増員が必要となったときに、 迅速に対応してもらえるから」が31.5%、「労働者に指揮命令ができるから」が7.4%で す。  表15は、利用したくない理由です。これは不明が多いのと、サンプルが少ないので 省略いたします。  表16は、物の製造に係る派遣先責任者の選任数は、平均で3.7人です。表17は、そ の派遣先責任者を統括する立場の者の有無については、「いる」が37.8%、「いない」が 16.9%です。  次は、請負事業者調査です。表18は、物の製造業務への労働者派遣の実施希望です。 「行いたい」または「行っている」を併せると74.5%、「行いたくない」が15.6%です。 「行いたくない」が平成14年調査と比べますと若干減少しています。  表19は、派遣を行いたい、もしくは行っている理由です。いちばん多いのが、「ライ ンの一部に少人数の増員が必要となったときに迅速に対応できるから」で9.1%、「市場 のニーズが高いから」が8.4%、「発注者が派遣を希望しているから」が5.6%です。  表20は、派遣を行いたくない理由です。「労働者派遣事業の許可・届出を取得しない といけないため」が16.7%、「派遣期間制限があるため」が10.0%です。  表21は、現在請負で行っている業務を労働者派遣の形態で実施する場合の方法です。 「すべて派遣に切り替えたい」が7.8%、「請負を基本としつつ、派遣も活用したい」が 59.9%、「派遣を基本としつつ、一部請負も活用したい」が22.4%となっています。  表22は、請負の発注者への調査です。物の製造業務における労働者派遣の利用意向 については、「現在利用している」が23.0%、「現在請負を活用している業務について利 用したい」が24.3%、「現在請負を活用している業務以外の新規の業務について利用し たい」が6.2%、「現在請負を活用している業務と、現在請負を活用していない新規の業 務の両方に活用したい」が10.6%、「利用したくない」が30.1%です。  表23は、労働者派遣を利用している、もしくは利用したい理由です。「ラインの一部 に少人数の増員が必要となったときに、迅速に対応してもらえるから」が36.9%、「労 働者に指揮命令ができるから」が15.0%、「コストが安くなると思われるから」が3.2% となっています。これは平成14年の調査でも、ほぼ同様の傾向です。  表24は、労働者派遣を利用したくない理由です。「1年の派遣期間の制限があるため」 が28.4%、「就業管理の負担が増加するため」が5.7%です。  表25は、請負労働者の調査です。物の製造への解禁について、請負ではなく、派遣 労働者として働く希望ですが、派遣労働者として働く希望の「有り」が13.0%、「無し」 が29.8%、「どちらでもない」が48.4%です。  次は、17頁の派遣期間についてです。まず、現行制度です。派遣期間については原則 1年、派遣先の労働者の過半数で組織する労働組合等から意見聴取した上で、最長3年 まで可能となっています。ただし以下の業務については期間の制限はないとなっており、 専門的な知識、技術や特別な雇用管理を必要とする業務であって、政令で定めるもの、 いわゆる26業務と言われるものです。あとは期間が短い、産前産後休業等の場合につ いては、期間制限はない、となっています。  次は、派遣受入期間の制限への抵触日の通知・明示です。労働者派遣契約の締結時に、 まず派遣先は派遣元に対して派遣受入期間の制限への抵触日を通知することになってい ます。派遣元事業主は、当該通知がない場合は労働者派遣契約を締結してはならない。 派遣の開始前については、派遣元事業主は派遣労働者に対し、派遣先の派遣受入期間の 制限への抵触日を明示する。派遣受入期間の制限への抵触日の1カ月前から前日におい ては、派遣元事業主が、派遣労働者と派遣先の双方に対して、派遣停止の事前通知をす る仕組みになっています。  18頁、平成15年の改正事項です。これは(1)〜(5)以外の業務です。改正前は原則1年 でしたが、改正後は最長3年になっています。その他の有期業務や産前産後休業の業務 についても、一定の制限があったものを制限なしと改正しております。派遣受入期間の 制限への抵触日の通知・明示については、派遣受入期間の制限への抵触日の1カ月前か ら前日までに、派遣元事業主から、派遣労働者、派遣先に対する派遣停止の事前通知義 務の創設をしました。以上が平成15年改正の内容です。  次は、ヒアリングにおける主な意見です。まず、労働者派遣事業団体です。「自由化業 務における派遣受入期間については1年から3年に延長されたが、ユーザーからいろい ろ声を聞くと、必ずしもその期間延長で満足している状況ではなく、この受入期間制限 の撤廃、あるいは更なる延長を要望している。自由化業務であっても、派遣を継続した い人が、派遣期間の制限によってやむなくその業務を終了せざるを得ない状況について は見直しが必要ではないかと考える」、「意見聴取の問題は、派遣先や派遣労働者からわ かりにくいという声があるため、理解しやすい、運用しやすい制度でなければならない と考える。」  19頁、派遣元事業主の意見です。「意見聴取について、なぜ意見聴取をやらなければ ならないのか、理由がわからないという話を言われることがある。」  次は、派遣先の企業の意見です。「一般事務系、特に資料業務を中心に利用していたの で、期間制限の撤廃は総じて非常に良い印象であり、3年を超えて従事している人もか なりいる。」、「26業務のスタッフが期間に制限がなくなったことについては、途中で替 わられるよりも、できるなら長く勤めてほしいという思いがあり、派遣スタッフのほう も長く雇用してほしいという人もいるので、そこがうまくできたという気がする」、「デ メリットとして、自由化業務について1年を超える場合は、予め労働組合の意見聴取が あり、まだこういう仕組自体はできてはいないので、実質自由化業務はない。」  次は、派遣労働者の意見です。「期間制限を超えて、派遣就業に従事させている場合に は、正社員として雇ってほしい。」  次は資料の21頁、実態調査の結果で、派遣期間の延長に関する表の抜粋です。括弧 内は、平成14年の実態調査の数値です。派遣元事業所調査、派遣契約の平均契約期間 は、一般で平均7.5月、特定で11.9月です。これは下の括弧内にある平成14年の5.9 月、9.6月と比べると、若干長くなっています。  24頁の表2は、契約期間の長期化・短期化の状況です。これについては職種ごとに記 載していますが、概ね変化していないという回答が大体7割程度で、概ね変化していな いという状況です。  26頁の表3は、平均通算契約期間です。ソフトウェア開発については、一般で20.0 月、特定で30.1月、機械設計の一般で18.1月、特定で37.5月、事務用機器操作が一般 で21.1月、特定で39.2月です。営業については、一般で9.5月、特定で32.2月となっ ています。  27頁、物の製造の部分については、一般が7.6月、特定が9.7月という平均通算契約 期間になっています。  表4は、派遣期間の制限がある業務に労働者を派遣しようとする際、期間制限に抵触 する日を当該労働者に通知することがどのように行われているかです。一般については、 「文書で行っている」が72.7%、「口頭で行っている」が17.6%、「行っていない」が 1.1%です。特定については、「文書で行っている」が56.4%、「口頭で行っている」が 30.9%、「行っていない」が4.3%です。  表5は、期間制限の対象となる業務での期間制限までの派遣の有無です。一般につい て、「期間制限まで有り」が34.5%、「無し」が56.0%、特定については「有り」が14.7%、 「無し」が64.7%となっています。  表6は、期間制限を経過したときの状況です。まず、一般については「派遣先の直接 雇用に変わった」が36.3%、「派遣労働のまま継続した」が25.5%、「派遣を終了した」 が72.7%です。特定については、「派遣先の直接雇用に変わった」が9.6%、「派遣労働 のまま継続した」が67.0%、「派遣を終了した」が33%となっています。これを平成14 年と比較しますと、「派遣先の直接雇用に変わった」が若干増、「派遣労働のまま継続し た」が減、「派遣を終了した」が増となっています。  28頁の表7は、派遣期間制限に抵触する最初の1カ月前から前日までに、抵触する最 初の日以降継続して労働者派遣を行わない旨を、派遣先、派遣労働者に通知することが どのように実施されているかです。一般については「文書で行っている」が54.3%、「電 子メールで行っている」が1.4%、「口頭で行っている」が25.9%、「行っていない」が 3.6%となっています。特定、表8は省略いたします。  表9は、産前産後休業等を取得する労働者の業務についてどれくらい行われているか です。一般については、平均で3.0人、特定で1.5人になっていますが、「不明」が多い ので、サンプル数が少ないのではないかと思います。  表10は、派遣先の受入期間の制限についての理解です。一般については、「よく理解 されている」が24.9%、「ほとんど理解されている」が45.3%、「説明しているがあまり 理解は得られない」が23.3%、「全く理解が得られない」が1.4%となっています。特定 は省略いたします。  29頁の表11は、受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の通知についてです。 一般で、「受けている」が56.6%、「受けていない場合もある」が31.5%となっています。 これは前回の調査と比べると、「受けている」が若干増、「受けていない場合もある」が 減となっています。  次は派遣先調査です。表12は、派遣契約期間についてです。ソフトウェア開発は平 均期間は11.2月、機械設計が11.1月、事務用機器操作が9.2月です。平成14年と比べ ると、若干、契約期間が延びています。30頁の26業務以外について、例えば営業につ いては、9.3月、一般事務については9.8月、物の製造は5.8月となっています。営業、 販売、事務については平成14年調査よりも若干延びている状況です。  表13は、派遣契約期間ごとの長期化・短期化の状況です。これも「変化していない」 がいちばん多くなっています。ただ、「長くなった」と「短くなった」で、どちらが多い かで見ると、若干「長くなった」という回答が多いという傾向が出ています。  31頁の表14は、派遣契約の平均通算契約期間です。ソフトウェア開発については26.0 月、機械設計が24.1月、事務用機器操作が23.0月です。26業務以外では、営業が12.1 月、販売が15.3月、一般事務が20.2月、物の製造が8.6月という平均通算契約期間に なっています。  表15は、受入期間制限の認知です。「知っている」が70.0%、「知らない」が25.9% です。これは平成14年のアンケートとほぼ同様の傾向です。  表16は、受入期間制限に抵触する日の通知です。まず、「文書で行っている」が30.0%、 「ファックスで行っている」が0.4%、「電子メールで行っている」が1.8%、「口頭で行 っている」が15.6%、「行っていない」が8.1%となっています。  表17は、受入期間制限についての問題点です。「受入期間が短過ぎる」が26.9%、「同 一の業務の判断が難しい」が21.2%、「特に問題ない」が18.8%です。いちばん多かっ た「受入期間が短過ぎる」は、平成14年の調査では57.7%でしたので、大きく減少し ています。2番目、3番目については、ほぼ同様の傾向です。  表18は、1年の受入期間制限がある業務について、1年を超えて3年までの派遣受 入期間の定めの有無ということです。「定めている」が12.4%、「定めていない」が49.9% です。  表19は、この期間を延ばす際の労働者への意見聴取の状況です。「意見聴取の結果、 賛成であったため定めた」が60.7%、「意見聴取の結果、反対であったが定めた」が8.7%、 「意見聴取は行わなかった」が28.6%です。  33頁の表20は、意見聴取の実施時期です。「就業期間前に行った」が47.8%、「就業 開始後すぐ」が13.2%、「就業期間制限前1カ月まで」が26.5%、「就業期間制限の1カ 月以内」が8.8%となっています。意見聴取の期限については、「1週間未満」が33.1% といちばん多く、続いて「1カ月未満」が25.7%、「1カ月以上」が16.9%です。  表22は、労働者派遣期間を可能な限り長く定める等、派遣労働者の雇用の安定を図 るために必要な配慮の実施についてです。「行った」が53.5%、「行っていない」が12.8% です。  表23は、役務の提供を受ける理由を説明する等、派遣先の労働者の理解が得られる よう措置を実施したかについてです。「行った」が84.2%、「行っていない」が14.6%で す。  表24は、期間制限のある業務での、期間制限までの継続の有無です。「継続したこと がある」が14.2%、「なし」が47%です。期間制限経過後の状況については、「直接雇 用した」が15.6%、「そのまま継続して受け入れた」が57.6%、「派遣を終了し、外部に 委託した」が11.6%、「派遣を終了し、内部職員で対応した」が13.0%です。  34頁の表26は、直接雇用をしない理由です。多い順で申し上げます。「派遣労働者の ほうが雇用調整が容易である」が20.0%、「派遣労働者のほうが雇用管理の負担が軽減 される」が14.8%、「派遣労働者のほうがコストが割安である」が14.6%となっていま す。  次は、派遣労働者に対する調査です。表27は、現在の派遣先で同一の業務に継続し て働いている期間で、総数で平均を見ると23.2月です。これを登録型派遣労働者で見る と18.3月、常用労働者で見ると26.6月となっています。平成14年の調査と比べると、 全体的に若干のマイナスになっています。期間としては6カ月以上1年未満、1年以上 1年6カ月未満の辺りに大きく分布している状況です。  表28は、派遣契約期間の変化です。「長期化している」が44.0%、「短期化している」 が5.5%、「変わらない」が33.5%です。若干、「長期化している」という回答が多くな っています。  35頁の表29は、派遣期間が短期化している場合の理由です。「自分の希望」が14.3%、 「派遣元からの要請」が69.8%となっています。  表30は、26業務以外の業務で期間制限がある業務で、同一派遣先の同一業務で、期 間制限までの派遣労働の有無です。「ある」が13.2%、「ない」が28.4%となっています。 これを登録型派遣労働者で見ますと、「ある」が19.5%、「ない」が38.1%です。  表31は、派遣先への就職希望の申し出の有無です。「ある」が13.3%、「ない」が85.7% です。  36頁の表32は、期間制限後の就業状況です。「派遣先に直接雇用された」が2.9%、 「同一の派遣先の同一の業務に派遣就業した」が59.2%、「派遣先を変えて派遣就業し た」が19.0%、「同一の派遣先の違う業務で派遣就業した」が7.0%、「派遣を終了した」 が8.8%となっています。  表33は、派遣先の受入期間の制限の制度の認知についてです。「知っている」が30.9%、 「知らない」が34.3%です。これを登録型派遣労働者で見ますと、「知っている」が34.0%、 「知らない」が40.7%です。  表34は、現在の派遣労働にかかる受入期間の制限に抵触する日の認知です。「知って いる」が18.6%、「知らない」が39.6%です。  37頁の表35は、派遣期間の期間制限についての考えです。「短縮すべき」が1.3%、 「そのままでよい」が11.7%、「延長すべき」が8.3%、「撤廃すべきである」が11.1%、 「どちらでもよい」が10.9%、「わからない」が20.4%となっています。これは前回の 調査より「不明」が増えておりますが、全体としてはすべての項目について若干回答の 割合が少なくなっています。  38頁は、派遣労働者への雇入申込義務の関係です。まず、現行の制度です。1つ目が 期間制限のある業務についての雇入申込義務、法律の40条の4に基づくものです。派 遣元事業主が受入期間制限の抵触日以降、労働者派遣をしない旨を派遣先に通知した場 合において、派遣先が派遣受入期間の制限の抵触日以降も派遣労働者を使用しようとす る場合は、抵触日の前日までに当該派遣労働者であって、派遣先に雇用されることを希 望するものに対し、雇用契約の申込みをしなければならないというものです。若干、分 かりづらいので資料の42頁の図をご覧ください。これはいま申し上げたものを図にし たものです。  上の期間制限がある場合については、派遣契約の締結時に派遣先が抵触日の通知を派 遣元にする。派遣元は労働者にそれを明示する。派遣契約の抵触日の1カ月前から前日 までの間に、派遣元が派遣先と派遣労働者に派遣停止の通知をする。その上で派遣先が 引き続き使用したい。それから派遣労働者が引き続き働きたいという場合については、 派遣先が雇用契約の申込みをするという義務です。  下の期間制限がない場合については、法律40条の5に基づくものです。この申込義 務については、同一の業務に同一の派遣労働者を3年を超えて受入れており、その業務 に新たに労働者を雇い入れようとするときは、派遣先はその派遣労働者に対して雇用契 約の申込みをしなければならない、という義務です。  38頁の※この申込義務の創設の趣旨については、期間制限がある業務とない業務があ り、期間制限がある業務についての雇入申込については、派遣先による派遣受入期間の 制限の違反を未然に防止すること。期間制限がない業務については、同一の業務に3年 間継続して就業している派遣労働者であれば、派遣先において必要な業務遂行能力を有 していると考えられること、派遣労働者の希望を踏まえて、派遣先での直接雇用の機会 を与えることとなっています。  次は、ヒアリングにおける主な意見についてです。まず、労働者派遣事業団体です。 「自由化業務における雇用契約の申込義務については、派遣先が外部労働力(派遣)を 使うことと、直接雇用することは人事政策上位置づけが全く異なるもので、派遣という 仕組みがフレキシブルな労働力需給システムを構築する視点から考えると廃止を要望す る」、「26業務における雇用契約の申込義務については、派遣元の正社員という身分があ る特定型の派遣労働者も対象となっており、実態とそぐわないことと考える。新規学卒 の新入社員を採用するときであっても、3年を超えているスタッフに対する雇用契約の 申込義務は対象となっているが、人事の適切な配置という観点からすると、現場では非 常に厳しい状況があると聞いている。派遣先が障害者を雇用するときも、決してこのル ールは例外ではないという、この3点の問題が生じていると考える」、「派遣元は直接雇 用への橋渡し機能として重要な役割があると考えているが、それが法的な仕組みによる 強制的な直接雇用ではなく、派遣先、派遣労働者両者にとって本当に良い直接雇用であ れば、積極的に派遣元はやっていくべきであり、紹介予定派遣制度等を踏まえ、直接雇 用への橋渡し機能を積極的に考えていきたい」、「派遣先では直接雇用の申込義務を回避 するため、同一の派遣労働者の就業は3年を超えない、というような運用をする所も増 えてきている状況であり、派遣就業、派遣継続を希望するスタッフの声に必ずしも百パ ーセント答えることができていないのではないかと考える。」  次は、派遣元事業主の意見です。「ある製造系の大手企業では、障害者雇用等に力を入 れており、そのような人を受入れようとした矢先に、同じ業務を3年を超えてやってい る派遣社員の人がいたら声をかけて雇わなければならないリスク等を踏まえると、3年 を超えて同じスタッフの人を受入れるのは困るという話を聞く。」、「26業務の雇用申込 義務がいちばん使い勝手が悪い。」  次は、派遣先の意見です。「派遣から正社員への登用制度はないが、通訳関係で派遣を 3年やっていた人を嘱託で採用した事例はあった。」  次は、派遣労働者の意見です。「派遣期間制限がある業務について、派遣期間を超えて 派遣労働者を使用している場合には、直接雇用してほしい。」  次は、派遣先の労働者の意見です。「派遣から契約社員になれる制度があり、契約社員 が社員になる制度もある。全員に告知をしているが、派遣の場合は当然派遣元があるの で、派遣元と話をして登用試験を受けるか、受けないかを決める。社員だと転勤がある ので嫌がる人もいる。」  40頁の【参考1】は、規制改革・民間開放推進3カ年計画の再改定というもので、本 年3月31日に閣議決定したものです。この中で雇用契約の申込義務については、平成 18年度中に検討ということです。雇用契約の申込みについては、その施行状況等を踏ま え、必要な検討を行うということです。  次の実態調査については、表を使って説明いたします。43頁、派遣労働者の直接雇用 の促進に関係する部分です。括弧があるものについては、平成14年の実態調査の数値 です。  派遣元事業所調査については、受入期間制限がある業務について、派遣先の雇用契約 の申込義務の制度について意見を聞いたものです。まず、一般については「廃止すべき」 が26.9%、「努力義務程度に緩和」が46.9%となっています。特定については、「努力義 務程度に緩和」が37.3%、「そのままでもよい」が29.7%です。  表2は、派遣期間制限がない業務についての申込義務に対する意見です。一般につい ては、「廃止すべき」が25.3%、「努力義務程度に緩和すべき」が29.4%です。特定につ いては、「常用労働者として雇われている労働者は適用除外にすべき」が36.3%、「その ままでよい」が21.3%です。  表3は、派遣労働者が派遣終了後に派遣先に就職すること(紹介予定派遣の場合を除 く)の一般については、「よくある」が5.3%、「たまにある」が43.9%、「ほとんどない」 が23.1%、「ない」が24.6%です。特定については、「よくある」が0.6%、「たまにあ る」が13.3%、「ほとんどない」が19.7%、「ない」が60.2%となっています。  次は、44頁の派遣先の調査です。表4は、派遣労働者がそのまま就職する事例の有無 についてです。「よくある」が2.2%、「たまにある」が21.9%、「ほとんどない」が23.3%、 「ない」が51.7%となっています。  45頁、表5は派遣労働者を社員に登用する制度の有無です。「正社員として登用する 制度がある」が17.0%、「嘱託、契約社員として登用する制度がある」が11.6%、「制度 はない」が70.0%です。  46頁の表6は、派遣受入期間制限がある業務での抵触日前日までの雇用契約の申込状 況についてです。「そのような状況になっていない」が77.4%、「そのような状況になっ たが申込みを行わなかった」が4.0%、「そのような状況になったので申込みを行った」 が10.8%です。  表7は、派遣受入期間制限がある業務での抵触日前日までの雇用契約の申込みの制度 についてです。「廃止すべき」が19.8%、「努力義務程度にすべき」が41.1%、「そのま までよい」が28.8%、「強化すべき」が1.0%となっています。  表8は、派遣受入期間制限がない業務での雇用契約の申込状況です。「そのような状況 になっていない」が81.9%、「そのような状況になったが申込みを行わなかった」が5.6%、 「そのような状況になったので申込みを行った」が7.5%です。  表9は、派遣受入期間、制限がない業務で同一の労働者を3年を超えて受入れており、 その業務に新たに労働者を雇入れようとする場合の派遣労働者に対しての雇用契約申込 制度についてです。「廃止すべき」が20.5%、「常用労働者として雇われている場合は適 用除外とすべき」が12.1%、「努力義務程度にすべき」が34.5%、「そのままでよい」が 24.1%、「強化すべき」が1.0%となっています。  次は、47頁の派遣労働者に対する調査です。表10は、受入期間制限がある業務での 抵触日前日までの雇用契約の申込義務の制度についてです。「廃止すべき」が9.8%、「努 力義務程度にすべき」が18.7%、「そのままでよい」が49.2%、「強化すべき」が13.9% です。  48頁の表11は、派遣受入期間制限がない業務の申込義務の制度についてです。「廃止 すべき」が8.9%、「常用労働者として雇われている場合は適用除外にすべき」が15.1%、 「努力義務程度にすべき」が12.3%、「そのままでよい」が43.8%、「強化すべき」が 19.9%です。以上で説明を終わります。 ○清家部会長   ただいま事務局から派遣対象業務の拡大、派遣期間の延長、派遣労働者の直接雇用の 促進についてのフォローアップの説明、ヒアリングの内容の整理と今回の実態調査の内 容のご説明がありました。それから、本日配付してある資料等をご参考に委員の皆様方 からご質問、ご意見を承ります。今日は3つの柱がありましたので、もちろん行ったり 来たりすることはあるかもしれませんが、最初に1の派遣対象業務についてご質問、ご 意見を伺います。 ○輪島委員   これから3回に渡って派遣のフォローアップですので、ずっと同じようなことを申す のではないかという気がします。まず、総論的なことを2点だけ先に申し上げます。  1点目は、今日の3点目にも引っかかりますが、法律自身が複雑になっていて、この 資料を見ていちばんわかるはずの私どもがあまりよくわからないと。現行法自身がかな り複雑になっているのではないか。それであるが故に、派遣元も守りたいと思っていま すし、派遣先も法律を守りたいと思っているのだが、本当はどうしたらいいのかよく分 からないというぐらい少し複雑なのではないか。フォローアップ全体からして、できる 限りシンプルにしていくという方向性が必要なのではないかと基本的に思っています。  2点目は、この5年、10年、ずっと派遣の審議をして議事録を読ませていただくと、 基本的な考え方が違うのだと思います。労側と使用者側が違うので、どこが違うのか、 どこが同じなのか1回議論したほうがいいのではないかと思います。派遣という働き方 が良い働き方なのか、悪い働き方なのかと思っていて、最近よく言われるのは、パート、 アルバイト、派遣は非典型労働と言われるのですが、実態がそういうことになっている のかどうか。またはパート、アルバイト、派遣は不安定雇用と言われるのですが、本当 に不安定なのかどうか。私どもの立場として不安定ではないと言っているわけではない のですが、不安定なところを直していくということと、原則不安定なのでどうなのかと いう議論は全く違うのではないかと思います。  アンケート調査の派遣労働者のところで今日引用がなかったところですが、派遣労働 者のアンケートで実態がもし出ているのであれば、例えば1頁目の第1表、第2表を見 ると、登録型の派遣は女性が多いということです。常用型はむしろ男性が多い。表3は、 20代から30代で、大体同じようなことだと思います。最終学歴から言うと、大卒が登 録型は25%、高卒が34.8%です。常用型は大卒が30%、高卒が33%です。登録型は親 と同居していて、自分の収入で生活をしているが50%、常用型は配偶者と同居して、自 分の収入で生活しているが60%ということで、登録型と常用型のモデルはだいぶ違う感 じがします。  表8は、実際に登録をしている登録型の人は何社も登録しているというイメージです が、そうではなくて1社、2社、せいぜい3社で、そんなに多くの所に登録していると いう感じではない。  表10の年間勤務の日数で言うと、201日〜250日のところで、登録型は56.0%、常 用型は67.0%ということで、土曜日、日曜日の休みを除くと、大体1年間稼働している というイメージです。週当たりの勤務日数でも5日が83.5%、87.6%ですから、毎日出 ている。  表12でいうと、同一の業務に継続して派遣をしている期間というと24.7、16.7とい う感じで、次の3頁の14から18も、総じて長く働いていて、常用雇用との違いがもち ろんありますが、派遣という働き方の全体が不安定雇用というイメージになるのかどう かということを1回整理をした上で、課題があるところをどう議論するのかとしたほう が、建設的なのではないかと思っています。  最初に戻りますが、良い働き方なのか悪い働き方なのかというところが、どうしても 私どもと労側がすり合わないので、そのすり合わないところについて雇用の申込義務、 抵触日の通知、期間制限をかけてきたというのがこれまでの全体的な流れだと思います ので、そこの本当に必要な部分と必要でない部分を、これからのフォローアップのとこ ろで全体的に少し議論したいと思っています。 ○清家部会長   わかりました。輪島委員から各論に入る前の総論部分についてご発言がありましたの で、その点について最初に少し議論をしたいと思います。労側から何かありますか。 ○長谷川委員   現在、改正された派遣法に対して調査を行いながらフォローアップを行うというのが、 この審議会に託された課題なのですが、輪島委員とは少し立場が違うのですが、問題意 識の共通点があるとすれば、フォローアップと言うのだけれども、フォローアップの必 要性とか、派遣労働者の働き方をどう考えていけばいいのかというそもそも論の議論の ところは、おそらく双方合うのではないかと思うのです。この間、輪島委員と私が参加 したEUの雇用シンポジウムのときでも、「雇用の破壊が起きている」という言い方が出 てきたりしていた。一方、EU、OECD、ILOなどもそうですし、一昨年の厚生労 働省の労働経済白書でも、「良好な雇用機会」とか「良質な雇用」という言われ方がして いた。その背景にあるのは、おそらく非正規社員とか非典型という働き方で、非正規社 員とか非典型というと、パート、有期、契約、派遣、請負などが出てきますよね。そう いう雇用就業形態をどのように見るのかということを、どこで議論するのかというのは、 私も若干戸惑っています。  おそらくフォローアップというときに、派遣労働者をどうフォローアップするのかと、 拠って立つところが若干異なるのかなとは思っているのです。ただ、労働者から見ると、 この派遣労働の問題というのは、派遣労働者の働き方とか、何が派遣のところで起きて いるのかというのは、もう少し厳密な分析が必要なのかなと思います。全部駄目だとは 言えないと思うのです。いいと言っているところもあると思うし、一方で違うところも ある。そういう意味では、アンケートをどのように分析して、何が問題なのかというの は議論する必要があるかなと思います。  もう1つは、今回もそうなのですが、規制改革会議が一方であって、そこから要請さ れていることも射程距離に置いているものですから、どうしても、また何かあるのかな ということがあります。言われているようなことが必要なのかどうかということも、も う少し議論する必要があるのかなと思います。輪島委員が言われたことを受けて言えば、 そうかなと思います。 ○輪島委員   いまはフォローアップなので、16年改正がどういう改正で、それについて、改正点は 今回になると9つ並んで、そこについて、少し時間が短くて、施行状況がきちんとなっ ているような状況ではなくて、少しフォローアップの開始が早かったような気がします が、その点について関係の方からご意見を伺い、実態調査をしたということなので、そ れから出てくるところというのは、これからそれぞれフォローアップをしていくという ことでいいのではないかと思います。このアンケートからすれば、そのところで多少見 えてくるところもあるのかなと思いますが、フォローアップをしたときのまとめのとこ ろで、フォローアップをすれば改正のポイントのことしか議論ができませんから、その 点についてどう思うのかということをフォローアップで書くということも必要なのでし ょうが、総論的に個々の1、2、3というものを議論するよりも、方向性がそれでいい のかなと思うのです。  1つは、アンケートの中にもありましたが、あまりにも複雑なのではないかという気 がするということと、労側と使用者側で、良好な雇用機会なのか、就業形態の多様化の 中でどう評価するのかということはずっと合ってこなかったので、その辺を、フォロー アップの最終段階のところでもう少し議論ができればと思っています。今日議論をしよ うということではありません。今日はこれから1、2、3それぞれのことを話をすれば いいと思うのですが、方向性としてそのように思うのです。 ○清家部会長   この最初の点について何かありますか。 ○長谷川委員   フォローアップはこれでやってみて、そのあとに輪島委員の問題意識について議論す ればいいと思います。労働法全体が複雑化しているのです。複雑化していて、労働者か ら見ると何が何だかよくわからない。本来、労働法というのは労働者が見てわかる明快 な法律であるべきなのに、一生懸命専門家の知恵を借りなければわからないとなると、 そもそも労働法というのは何だと思う。ただ、派遣法というのはもう少し複雑です。事 業法と労働者保護法が一緒に入ってきている。だから、この議論をしながら後半戦でそ ういう議論をするというのは、いいのではないかと思います。 ○清家部会長   この最初の点について、公益側の委員からご発言がありますか。 ○鎌田委員   輪島委員から、総論的な議論をというお話がありましたが、これはフォローアップの 後半でということで、前段階ということではないのですよね。 ○輪島委員   はい。 ○鎌田委員   議論をするということはいいのではないかと思います。ただ、この問題は不思議なの です。派遣労働者は増えてきているのですが、私も海外の調査等をやりましたが、この 議論を始めますと、そもそも論のようになって、どこの国でも労使で大変な議論になる のです。しかし、いま輪島委員がおっしゃったように、基本的な違いが少しでも明確に なるというのであれば、議論してもいい。一致点を見出せるなら見出してもいいと思う のですが、違いがはっきりできれば、それだけでも意味はあるのかなという感じはしま す。 ○北村委員   私は法律のたたずまいについてはよく理解できていないのですが、特に女性の再就職 になってきますと、いま派遣が非常に重要な玄関口になっているところがありまして、 派遣で働くということがセカンドステップだと位置づけている人が大変多いですよね。 そういう意味では非常に重要な法律であり、システムだと思うのですが、それが結局派 遣で終わって出産、育児等で働き続けることができなかったという人にとって、ある種 固定化されるという一面も持っていることを考えると、法全体のたたずまいを考えると いうことと、フォローアップでディテールを見ていくということは、私はかなり密接に 結び付いていると思います。機会のありようとしては非常に有効だと思うのですが、そ れが中でもう少しフレキシブルに運用されるものであってほしい。女性にとって、単な る再就職だけでなく、その次の、かなり永続的な、展開できる職業的ステータスに結び 付くものになるような、そのブリッジの部分というのは、あって然るべきではないかと 思います。 ○清家部会長   それでは、各論について少し議論していきますが、そのような議論をする際にも、今 のような基本的な視点も念頭に置きながら考えて、あとでもう一度そこに立ち戻って議 論を整理するということもあり得る、ということでよろしいですか。それでは、各論の 派遣対象業務の拡大のところについて、ご意見を伺いたいと思います。 ○輪島委員   対象業務の点では、15年改正でいうと物の製造のところがいちばん大きかったわけで、 その実態というのは、ある程度ヒアリングとフォローアップのアンケート調査で浮かび 上がってきていると思います。もう少し時間的な経過が必要だと思う部分もあるとは思 っていますが、物の製造は今のところ1年の期間制限がかかっているので、そこのとこ ろが派先等々の総合的な感覚としても使い勝手がまだ悪いだろうと思っています。ただ、 平成19年3月には3年になる。今後周知をしていって、3年になって自由化業務と並 んだところでどういう議論になるのかというのは、あまり知りませんので、その辺はよ くわからないところというのが実感です。 ○清家部会長   これは、調査をしたのが折返し点ぐらいのところで、現時点で見ると、あと1年ない わけですから、その辺では見方に時間差があるかもしれません。いかがでしょうか。 ○長谷川委員   そうですね。物の製造業のところはよくわからない。3頁に「請負は雇用と使用が一 致するので、雇用の安定にもつながり、労働者派遣に比べて好ましいものと考えている」 とありますが、例えば派遣期間が延びたときもこのように考えるのかがよくわからない。 それと、請負が雇用関係があるということになると、それで雇用の安定にもつながると いうことになるのかなと思いながら、ここは読みました。  それから、12頁の「物の製造業に係る派遣労働者の教育訓練」のところで、登録型の 派遣労働者の71.6%が教育訓練を受講しているということですが、約30%は受講して いないということですよね。前から労側が言っている登録派遣の場合の教育訓練という のはどうなるのか。派遣労働者を考えていく場合に、どうやってスキルアップするのか ということがいつも気になっていて、訓練のことを言うのですが、登録型でも30%ぐら い訓練がないというのは、これ以降考えなければいけないことなのではないかと思いま した。 ○輪島委員   いま長谷川委員がおっしゃった点ですが、私がヒアリングで聞いたもので印象に残っ ているものがこの中に入っていないので、それだけコメントを付けます。請負業者の方 は、通常の製造は自分の正社員でやっている、その上で業務の繁閑のところを上乗せに して請負をやっている、さらに繁閑のところに派遣を乗せているという三層構造になっ ているので、そこの請負と派遣の使い方は違います、とおっしゃっていました。それと ご指摘の点がどういう兼合いになるのかわかりませんが、ヒアリングで聞いたところで はそこが印象に残っていて、ここで落ちてしまっているなと思いました。  それから、ヒアリングのところで聞いて、どこかに書いてあったと思いますが、12頁 の教育訓練のご指摘も、今は実態としては1年なので、登録しておいて、来てもらって 即やってもらえる仕事をやっているので、実際は71.6%だと。それが高いのか低いのか わかりませんが、3割弱の人は来てすぐやってもらえるものをやってもらっているとい うのが実態だと。それをOJTとしてやっていると言うのか言わないのかというのは、 アンケートの主体からどう判断して、ここの数字がどうなっているのかというのは少し あるのかなという気はします。100%にはならないにしても、実態として71.6%になっ ているのは、高いのか低いのかはわかりませんが、そういう実態があるのではないかと 思います。 ○長谷川委員   まだ1年なので、物の製造業は、正規の労働者でやっているところと、請負のところ と、派遣のところがあって、派遣も、はっきりと戦略を決めて派遣を使っているわけで はないと思うのです。解禁になったからとりあえず1年ぐらい使ってみているのだと思 う。これはもう少し時間がたつと動くだろうし、派遣の能力開発は製造業の場合どうあ るべきかというのは、少し様子を見ないとわからないかもしれません。 ○清家部会長   それでは、派遣対象業務については、またあとで戻ることもあるかもしれませんが、 時間も押していますので、できましたら、次の派遣期間の部分についてご意見を伺いた いと思います。 ○輪島委員   これも同じことで、いわゆる26業務のところと自由化業務、それも専門的技術的な 26業務と臨時的一時的な自由化業務というのがやはりわかりにくいということが、実態 としてあるのではないかと思っています。その点で言うと、26の中の常用型と、そうで ないものというのも少しニュアンスが変わって見えるのかなと思いました。それから、 表31をもう1回解説していただけますか。 ○篠崎補佐   まず表30で、期間制限までの派遣労働があったかなかったかという中で、期間制限 ぎりぎりまで就業したことがあると答えた385人の方に、期間ぎりぎりまで働いた場合 に派遣先に就職の希望を申し出ましたか、ということを聞いたということです。この「あ る」というのは、表30で「ある」と答えた人に対してのみ聞いた質問ということです。 ○輪島委員   表31で「ない」と85.7%の人が言っているというのは、どう理解するのですか。派 遣先に就職する気はないということなのですか。 ○篠崎補佐   ここは、申し出たことがあるかないかですので、アンケート上は、内心は希望があっ たけれども言わなかった人も「ない」に入っています。実際に何らかのアクションを起 こした人だけが「ある」と答えた方になるわけです。 ○輪島委員   この数字を見て、派遣先への直接雇用の希望がないと取るわけではないですね。 ○篠崎補佐   そうは取れません。実際に申し出の行動まで起こしたか、ということになります。 ○清家部会長   実態上は、どうせ言っても無理なような雰囲気があるので言わない、という人も含ま れているということですね。 ○篠崎補佐   そういうものもあり得ると思います。 ○輪島委員   そういうものも含まれていると理解したほうがいいのですね。 ○篠崎補佐   はい。 ○長谷川委員   やはり期間というのはなかなか面白い結果が出るなと思いました。18頁に事業者団体 は受入期間制限を撤廃あるいはさらなる延長を要望しているとありますが、これはいつ も出ることです。一方、派遣先の企業は26業務のスタッフが期間に制限がなくなった ことについては、途中で替わられるよりも、できるなら長く勤めてほしいという思いが あり、派遣スタッフのほうにも長く雇用してほしいと思うので、そこがうまくできたと いう気がするとある。それなら長期雇用で期間の定めのない雇用にすればいいのに、と 率直に思いました。あと、派遣労働者のところで、やはり正社員として雇ってほしいと いうのは、これは率直な、聞けばこういう話なのだろうなと思いました。  アンケートのところでは、28頁で、派遣先の受入期間の制限についての理解で、「説 明しているがあまり理解が得られない」が23.3%、「特定」が10.8%とありますが、な ぜ説明しても理解できないのかな、と率直に思いました。普通は説明したら理解できる はずなのに、なぜ理解できないのか。これはどう考えればいいのでしょうか。  それから、32頁の表15ですが、受入期間制限の制度認知で、「知らない」というのが 25.9%ぐらいあるのだなと思いました。36頁の表33でも、派遣先の受入期間の制限の 制度の認知は、「知っている」が30%で、「知らない」が34.3%になっている。輪島委 員が冒頭に言ったように、これは制度が複雑でなかなか理解できないということもある のかな、と思いながら読みました。 ○清家部会長   どうですか。何か事務局からありますか。 ○坂口課長   特にありません。 ○輪島委員   42頁の「雇用契約の申込みの義務」を図で書くとこういうことなのだと思いますが、 派遣期間制限がある40条の4と5がなぜこんなに違うのか、ということがありますよ ね。その辺で、実際に停止の通知の関係からいうと、ここが前回の法改正で使用者側に は厳しかった面ではあるのですが、実際に書いてみると、多少複雑なのだろうなという 感は否めないですね。 ○鎌田委員   3のところに入ってしまって、輪島委員のほうから複雑という話があって、長谷川委 員からも複雑というお話があったのですが、この複雑という意味も少し考えていかなけ ればいけないと思うのです。ここでそもそも論をするつもりもないのですが、派遣法と いうのは、できたときにも難産で、いろいろなご議論があってできたものですし、その 後も、1999年にポジティブリストからネガティブリストに移るという大改革を行って、 いわば接ぎ木をするような形で来た。そういう意味で、いろいろ複雑になっているとい う側面はあると思うのです。ただ、雇用申込義務について、輪島委員は40条の4と40 条の5が複雑と言われましたが、これは制度の創設の趣旨がちょっと違っているのです。 したがって、その部分は、複雑というよりは、どのようにこの問題を解決して、期間を 限定した趣旨をどう生かすかという観点から考えられた、いわば実効確保にかかわるよ うな、労働者保護にかかわるような規定で、法の枠の中で可能なことを考えていたとい うことなのです。派遣法は、接ぎ木をしながら発展したときに発生した複雑さと、いろ いろな規定を設けて、いろいろな趣旨からいろいろなものが出来上がっているというこ ととは、区別をして考えなければいけないと思います。一般に全体として複雑というよ りは、個々の規定においてよりシンプルな形態を目指すというのは、私もそのとおりだ と思うのですが、制度の創設の趣旨を考慮しながら可能なものを追求するということだ と思うのです。 ○輪島委員   私どもで複雑と思っている観点は2つあって、1つはコンプライアンスの観点です。 私どもの会員企業、特に外資系企業に聞くと、日本の法律がこうなっているということ で、法律を守らなければいけないという観点から、いつまでにどうすればいいのかとい うことを合わせていくとすごく大変です、と言われるのです。ですから、法律として守 れるような法律というのは変かもしれませんが、コンプライアンスということで守りや すい法律というのは重要なのではないかと思います。  2点目は、そうは言いながら実態がどうなっているのか、ということです。実態との 乖離がだいぶある部分があるのではないか、ということで複雑だと申し上げているので、 その点が関心事項であるということだけ申し上げておきたいと思います。 ○清家部会長   もうすでに3つ目の雇用契約の申込義務のところに入っていますので、ここも含めて ご意見、ご質問をお願いします。 ○輪島委員   39頁ですが、全般的に私どもはこういう印象を持っています。直接雇用の申込みをす ることになったときに、全体として3年を超えないようにするという運用をむしろして しまって、雇用の安定にプラスにならない結果に一部なっている。雇用の申込義務を回 避するために何をしなければいけないのかという運用を企業側が考える運用になると、 39頁の「派遣先では直接雇用の申込みの義務を回避するために」云々というところが結 構実態としてあるのではないか、という印象は持っています。ここの点は非常に大きな 点だと思いますので、ここも関心を持って議論したいと思っています。 ○北村委員   いま私が見聞きしている例では、特に女性の登録型の雇用などでは、3年になるから 移るというのは常識になってきているのです。輪島委員がおっしゃったように、使用者 側の義務回避が半ばシステム化してしまっている。どちらが鶏でどちらが卵か非常に難 しいと思うのですが、働く女性の側でも、そういうものだと思って、気楽でいいという 考え方も生じてきているわけです。登録で働く人たち、私は特に女性に関心があるので、 女性になってしまいますが、就職したからには正社員になるまで頑張るのだという人と、 どうせ3年で替わるのだから気楽だという人が全く同列で扱われているということが、 私は不合理な気がするのです。使用者側も、それをシステムにしてしまうから、気楽な 転々とするタイプを呼び集める気配がある。登録型の人たちの動機を選別しないという ところにも問題があるのではないかと思います。 ○長谷川委員   前回の改正で特に問題になったのは、ここの雇用の申込義務なのです。ヒアリングと アンケートはこういう形しか出ていないのですが、私は、先ほど皆さんも言ったように、 直接雇用にしないように、逃げ切るためにものすごく細切れ契約になってきているとい う話を聞いているのです。これは厚生労働省もこの改正のときに積極的にやったはずな のですが、実際にどのぐらい直接雇用に希望があって、直接雇用になっているのか。  それから、これも問題が指摘されているのですが、派遣からは直接雇用でも有期なの です。有期で直接雇用して、そのあと期間の定めのない雇用と。ひとまず有期でという 形になっているのですが、本来は、3年も雇用してきたのだから、もう期間の定めのな い雇用でもいいではないですか、という話だったと思うのです。それが、直接雇用にし ないための技術的なところに企業の目はずっと集中していると思う。行政はこの辺をど う指導したのかというのは、このフォローアップで聞いたほうがいいのでしょうか。指 導も途中で変わったとか変わらなかったという話も聞いているのですが、その辺はどう なのですか。 ○篠崎補佐   まずデータ的なものですが、直接雇用になった例ということで、例えば43頁の表3 で、派遣終了後に派遣先に就職することがあるか、ないかということで、「たまにある」 が一般で43.9%。これは派遣元に聞いたものです。 ○北村委員   実際には非常に少ないという印象がありますよね。この「たまにある」というのも、 43.9%が就職したわけではなくて、43%の人が「たまにあった」と言っているわけです。 派遣から本採用になったという例そのものというのは、数的には把握できていないので しょうか。 ○輪島委員   日経新聞の1面に、派遣からだけではありませんが、直接雇用に今どんどん変わって いるという記事がありますよね。それが制度でいくのか、だんだん労働力の需給が逼迫 してきて、必要だからということなのか、それが何にオリエンテッドになるのかわかり ませんが、ただ、需給関係からいくと、今はそういうケースは、散見されるとまでは言 えないのでしょうが、増えているということは実態としてはあるのではないかと思いま す。それを統計としてつかむということは、たぶん難しいのだと思います。 ○北村委員   例えば新卒の大学生の就職などでも、いくらシステムを整えても、結局はシステムよ り景気の需給で決まるようなところがあって、ある種の空しさを感じないでもないので すが。 ○篠崎補佐   労働者の調査ですが、以前お配りした全体版の派遣労働者調査の5頁にあります。期 間制限後の状況ということで、これは労働者に聞いていますが、「派遣先に直接雇用され た」が2.9%という形になっています。このアンケートによると、そんなには多くない ということです。 ○輪島委員   長谷川委員が言われた点ですが、2つ目の実態からすると、制度として直接雇用なの か常用雇用なのかということですよね。この法律の中で常用雇用の義務ということにな ると、むしろもっと今の実態に拍車をかけることになるのではないかと思うので、ここ はなかなか難しいのだろうと思います。 ○長谷川委員   この辺は、もう少し議論が必要だと思います。一般的な労働者は単純だから、派遣法 が変わって、雇用義務が派遣先の雇用義務となると、無条件にそこで正規の社員に雇わ れると考えてしまうのです。私たちのように労働法に携わっている者から見れば、雇用 といってもいろいろな形がある、パートもあるし有期もある、となってくるのですが、 一般的な労働者の労働法に関する知識でいえば、正規の労働者、期間の定めのないフル タイムの労働者に雇われるということだと思うのです。ところが、今回この法律の施行 後に起きてきたのは、例えば雇用義務というときに、期間の定めのない雇用ではなくて 有期だったということなのです。それは実際そうなってみて、何だ、こういうことだっ たのかということなのです。私たちのところでは、そういう問合せがあったし、問題と して指摘されました。有期だったのか、本来は期間の定めのない雇用ではないのかと言 われて、そうだなとは思ったのですが、そこはどこも決めていない。  もう1つ、先ほど輪島委員の言った話ですが、連合が12月から2月までの間に雇用 実態調査をいつもやっています。緊急のハガキ調査ですが、そこで、非正規から正規へ の転換があったかと単組に聞いたら、あったというのです。数を数えたら9,000いくら で、約1万と言っているのですが、1万人が正規の労働者になったということがあった。 これはいろいろな新聞にも出たので、うちの調査と感じは合うなと思いました。それが パートから期間の定めのない正規採用になったのか、有期からなったのか派遣からなっ たのかはわかりませんが、丸めて言えば、そういうことが起きていることは事実だなと いうことはわかりました。 ○坂口課長   事務局にもいくつか質問をいただいていました。申込義務で直接雇用になった状況は、 まさしく、いま労使の委員の方々がおっしゃっていたとおりで、先ほど補佐のほうから ご説明させていただいたとおりなのですが、私どもとしても、指導対象となっているも ののみならずという部分も相当程度あるということもありますので、現実的にどれほど 直接雇用につながったかというのは、先ほども期間制限のかかった部分ということなの で、全体としてそうではない部分も含めてということになると、なかなか難しい。先ほ どの、指導をどういう形でしているのかという長谷川委員からのお尋ねについては、い まの長谷川委員のご紹介の調査のときにもご紹介があったように、特に派遣の場合は、 派遣元に雇用されている方を派遣先でということで、今回の40条の4、40条の5も、 雇入れの申込みの義務という形の法制をとっているがごとく、ということであるのです が、私どもは、その適用に当たって派遣先に対して指導する場合には、どういう労働条 件で、どういう形態でということになりますと、やはりその労使の中でお話合いをして いただくしかないということで、指導の中で期間の定めのない雇用でなければいけない というようなところまでは指導をしていない、というのが実態です。   ○清家部会長   ほかに何かありますか。今日は、派遣対象業務、派遣期間、派遣労働者への雇入申込 義務についてご議論いただきました。もちろん今後もこの点に立ち戻っていろいろご議 論いただくこともあるかと思いますが、本日は一応、この3点についてはここまでにさ せていただきたいと思います。どうしてもこの際ということがあればご意見を伺います が、よろしいですか。それでは、本日の労働者派遣のフォローアップの第1回目の議論 はここまでとしまして、事務局には、当部会における中間的な整理に資するよう、本日 の議論の整理をお願いしておきたいと思います。追って、前回議論しました職業紹介関 係や、次回以降の労働者派遣関係のフォローアップの2回目、3回目と合わせて、7月 の部会でフォローアップの中間的な整理を行うべく、改めて議論をさせていただきたい と思います。また、次回の部会におきましては、労働者派遣関係のフォローアップの2 回目としまして、紹介予定派遣等についてフォローアップをすることとしたいと思いま す。よろしいでしょうか。  それでは、次に、一般労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思いますが、冒頭に 申し上げましたように、傍聴される方につきましては、ここでご退席いただきますよう お願い申し上げます。また、高橋職業安定局次長も、所用によりここで退席させていた だきます。よろしくお願いします。            (傍聴者、高橋職業安定局次長退席) ○清家部会長   それでは最後に、事務局から何かありますか。 ○篠崎補佐   次回の部会は、5月29日(月)の15時半から18時までとなっていますので、よろ しくお願いします。 ○清家部会長   それでは、次回は5月29日の15時30分から18時で開催させていただきます。先ほ ども言いましたように、フォローアップと許可の諮問について両方行うということです。 それでは、以上をもちまして、第84回労働力需給制度部会を終了します。本日の署名 委員は、雇用主代表は輪島委員、労働者代表は長谷川委員にお願いします。どうもあり がとうございました。        照会先   厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係   〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2   TEL03(5253)1111(内線5747)  FAX03(3502)0516