06/04/21 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成18年4月21日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年4月21日(金)  14:00〜 厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(12名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 折 笠 秀 樹、 守 殿 貞 夫、     神 谷   齊、 川 嵜 敏 祐、 土 屋 文 人、 早 川 堯 夫、     ○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、 山 口 一 成 (注) ◎部会長 ○部会長代理   他 参考人1名   欠席委員(3名)   岡   慎 一、 後 藤   元、 吉 田 茂 昭 3.行政機関出席者 川 原   章(審査管理課長)、   山 田 雅 信(安全使用推進室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二 部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりを頂きましてありがとうご ざいます。当部会委員数16名のうち11名の委員の御出席を頂いておりますので、定足 数に達しておりますことを御報告申し上げます。上原先生は少し遅れておられるようで ございます。今お見えでございます。申し訳ございません。訂正させていただきます。 したがいまして、12名の御出席ということでございます。  それから、御紹介でございますが、当部会委員の田島知行先生に代わりまして、日本 医師会常任理事の飯沼雅朗先生に委員に御就任いただくことで事務手続きを進めており ます。ごあいさつをお願いします。 ── 上原委員着席 ── ○飯沼参考人 飯沼です。よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 ただ、事務的な手続きがまだ完了していない関係がございまして、本 日は参考人として御出席を頂くということになっております。申し訳ございませんけれ ども、そういう形での御出席を頂いておりますので、御紹介を申し上げます。それでは、 池田先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 飯沼先生には今後ともよろしくお願いしたいと思います。それでは、ま ず事務局の方から、いつものように配布資料の確認と資料作成に関与された委員の報告 をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、議事次第、座席表を配 らさせていただいております。議事次第に番号がございます資料ナンバーの1〜4、そ れから資料の6-1、6-2につきましてはあらかじめお送りをさせていただいております。 本日の配布資料といたしまして、資料5「新キット製剤」の資料でございます。それか ら資料7「優先対面助言品目の指定について」、資料の8「審議品目の薬事分科会にお ける取扱い等の(案)」、資料の9として「専門委員リスト」を配布させていただいてお ります。  それから、関与委員の関係でございます。平成13年1月23日の薬事分科会申し合わ せに基づきます、資料作成に関係された委員の確認でございますけれども、本日の審議 品目につきましては、関与された先生はいらっしゃいません。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員の先生方、何か資料について御不足のも のはございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議事に入りたいと思うので すけれども、本日は議題が2品目でございます。報告事項が5題ということでございま すので、早速審議事項の方から入らせていただきます。議題1でございますけれども、 ブスルフェクス点滴静注用の輸入承認の可否についてということで、機構の方から審査 の概要をお願いいたします。 ○機構 よろしくお願いいたします。議題1、資料番号1、ブスルフェクス点滴静注用 60mgの輸入承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきま す。本剤の有効成分であるブスルファンはアルキル化剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。 本剤は造血幹細胞移植時の前処置を効能・効果として、麒麟麦酒株式会社により承認申 請されました。  ブスルファンは既に経口製剤が国内で承認されており、現在、国内外の医療現場で造 血幹細胞移植の前治療として広く用いられております。しかし、経口製剤の場合には、 ブスルファン又は併用薬剤による嘔気がある状況で合計16回の内服が必要であること や、ブスルファンを嘔吐した場合にはブスルファンの投与量があいまいになるといった 実地医療での問題があります。本剤はこれらの問題がない注射剤型として開発されまし た。本剤は米国において1999年に造血幹細胞移植の前治療に関して承認されておりま す。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料にございますとおり7名 の委員でございます。評価資料は品質、毒性、薬理、薬物動態、臨床試験について提出 されました。品質、毒性、薬理、薬物動態について承認にかかわる大きな問題は認めら れませんでした。  臨床試験は海外4試験、国内1試験の成績が提出されました。有効性については、機 構は、同種造血幹細胞移植での骨髄抑制及び生着に関する臨床成績結果は、経口ブスル ファン製剤で得られている文献成績と同様の成績であり、本剤の有効性が示されている と判断いたしました。一方、自家造血幹細胞移植の前治療については、提出された臨床 試験での検討が不十分であり、本剤の有効性は示されていないと判断しました。 安全性については、経口ブスルファン製剤を前治療に用いた場合の副作用としてよく 知られている肝中心静脈閉塞症、肝機能障害、痙攣が留意すべき点と考えます。特に肝 機能障害については、本剤に含まれる新規添加物が毒性試験において肝機能障害を示し ていることから、特に留意すべきと考えます。  また機構は、国内で検討された症例数が29例と少なく、製造販売後においては承認条 件として全例調査を実施し、肝中心静脈閉塞症、肝機能障害、痙攣の発現に注目し、更 なる安全性の確認を行うべきと判断しております。  以上、機構での審査の結果、本剤は同種造血幹細胞移植の前治療に関する有用性が認 められ、承認して差し支えないと判断いたしました。また、本剤は希少疾病用医薬品で あり、再審査期間を10年とすることが適切であると判断しました。また、原体及び製剤 は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。 御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。ブスルフェクス、ブスルファンの注射用でご ざいますけれども、同種造血幹細胞移植の前治療に使おうということで、29例で国内試 験が行われたということで、結果として同種造血幹細胞移植の前治療で承認がされると いうことでございますが、いかがでしょうか。先生方から御意見を伺いたいと思います けれども。どうぞ。 ○堀内部会長代理 堀内です。従来経口薬があって、これを注射薬に変えたということ ですけれども、この薬物は経口剤であってもバイオアベイラビリティはほとんど100% で注射薬と余り変わらないように思います。1日に4回点滴をしないといけないので長 時間拘束されるということを考えると、メーカーとしては注射薬に切り替えていきたい と書いてありますけれども、本当にその患者の立場に立ったら有用性はあるのでしょう か。 ○池田部会長 その点の議論はどうでしょう。 ○機構 患者さんの負担ということに関しますと、この注射剤を使っているときに、並 行してエンドキサンの大量の投与が併用されることがほとんどの場合で、そうしますと、 吐き気が強い中で1日4回内服の薬を飲む、しかも、それが飲めないと移植片が生着し ないかもしれないというような状況にありますので、内服よりは注射剤で確実に薬が入 るという点のメリットはあると思います。  また、医療現場を考えた場合の推測ではございますが、今申し上げたような大量のエ ンドキサンが入るような環境ですので、24時間に近いような状態で輸液が行われている ような状況の患者さんとも考えられますので、その点は余り注射剤によることで負担が 増すということはないのではないかと思います。  あともう1点は、経口ブスルファンは実際に骨髄移植の歴史の中でずっと使われてき ていますけれども、造血幹細胞移植に関する効能・効果を有していないということがあ りますので、内服剤であると適応外使用の問題があったのでございますが、このブスル ファンの注射剤が承認されますと、その問題が解決されるといった利点はあるかと考え ます。 ○池田部会長 当然のことながら、これは中心静脈から入れるということがマストとい うことですね。もう実際には確保はされているということですから、手間からいうと、 患者さんの手間はなくて、注射薬の調製だけいうことですよね。 ○機構 そのように理解しております。 ○池田部会長 いかがでしょうか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 注射薬の調製についてお尋ねします。これは用時調製となっていま すが、資料を見てもよく分からないのですが、希釈をした場合にどのくらい安定かとい うデータはありますか。用時調製というのはなかなか大変なことですので、安定性の問 題についてお尋ねしたいのですが。 ○機構 御指摘の点に関しましては、審査報告10ページを御覧ください。表の下のとこ ろにございますが、投与液はバッグ及びシリンジのいずれに保存した場合も2時間の排 出時間を含めて8時間までは安定であったという結果でございました。 ○堀内部会長代理 資料はどこにございますか。長期試験など、製剤としての安定性に ついてのデータはあるのですけれども、溶解後のデータが見当たらなかったので。 ○機構 今、申請者の資料内容を探しております。 ○堀内部会長代理 それからもう一つ、有効期限の問題ですけれども、これは低温保存 で2年間ということになっておりますが、36か月まで安定であるという記載があると思 うのですが。2-3の61ページです。遮光した気密容器に入れて25±2℃/60±5%RH で保存した場合は36か月間安定であるとなっているのですが、どうして2年間の有効期 限というようになるのでしょうか。 ○機構 このデータについては、原薬についてのデータであると理解しております。 ○堀内部会長代理 原薬を製剤にした場合には安定度は下がるということですか。 ○審査第一部長 それに関してのデータは後の方にまた、データが取られているところ で担保できるのは今24か月というデータになっているので、現状ではそういう設定をし ております。ただ、今後更に長期安定のデータが出てくれば、それは期間として延長さ れる可能性はございますが。 ○堀内部会長代理 現在は2年間までやられているということですか。 ○審査第一部長 今提出されているデータはそこまでと。ただ、一般的には原体を溶解 したときに必ずしも原体どおりの有効期間になるとは限らないのは、それは御存じのと おりでございますので、実測のデータで確認できたところで設定をするという原則でご ざいます。 ○池田部会長 どうぞ。 ○山口委員 薬のことではないのですけれども、手続きのところで報告書の4ページか ら詳しく問題点が書いてあるのですが、若干詳しすぎて何が問題で何が教訓なのかよく 分からなかったのですけれども、要するに試験の実施者とそれを管理する者が同一であ ったということなのでしょうか。 ○池田部会長 これは説明いただけますか。 ○審査第一部長 細部にわたる問題点の部分はそれとしまして、これにつきましてはこ こに書いてあるとおり、実は1年ほど前に一遍申請がされております。その申請された 間もなくに企業から申し出がありまして、取り下げますという話が突然された経緯がご ざいます。  その理由ということで事情を聞いたのですが、そのときに一番我々にとってショック だったのは、□□□□□□□□□と契約を結んでいたのだけれども、契約文書の印鑑を 偽造していましたというお話がございまして、たまたま院長先生が人事異動で交代され ていたので、その印鑑が替わっていて発覚したというような話が当時ございました。  そういうことであれば、依頼をしているスポンサー側の治験の管理体制に問題があっ たということで、データの信憑性が損なわれるという判断をいたしまして、□□病院以 外にもそのような事実がないかどうかといったことを含めて徹底的に調査をするという 必要が生じまして、洗い直しをいたしました。  結果的にはそういう大きな問題が現実に起きていたのは□□□□□□病院のケースに 限定されるということが確認できましたので、そこのデータにつきましては、手続き上 のそういう重大な瑕疵があるということで評価対象から外しますという扱いで再申請を 行いました。  基本的には外された資料ではありますが、入念に実地調査の対象としてGCPの適合 状況というか、事実関係を確認するために施設にも我々の職員を派遣しまして確認をい たしまして、やはり事実経過としてはここに書いてあるようなことであると、詳細な部 分を全部含めて確認をいたしました。基本的にはそこのデータが使えないということは 変わらないのですが、問題の本質やその再発防止のための策がどの程度きちんと取られ ているかどうかといったことを含めて確認をしたものでございます。  事実上、個人の違法行為といったたぐいの話というふうに企業は言っておりましたが、 それを組織としてきちんと点検ができないということは、やはり組織的な問題があると いうふうに我々は考えておりまして、一人一人のモニターが過重な労務を背負っていて、 そのために問題を起こすというようなことも背景にはあるように思われましたので、そ ういった面まで含めて、治験を運営していくための管理体制の見直しを求めました。  それにつきましては企業から厚生労働本省の方にそういった旨の報告は既にされてお ります。その後の対応状況を今回の審査においても確認したということでございます。 ○池田部会長 よろしゅうございますでしょうか。という状況でございます。その後、 企業の方も行政当局の方にしかるべく報告をして、それなりに社内での体制を整え直し たということを言っておりますし、私の方にももちろんその旨の報告が来ております。 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。 ○神谷委員 小児の投与のことですが、この報告書を読ませていただきますと、企業の 方は5歳以上については成人と同じ用量でということを出したけれども、症例数が少な かったので、結局現状ではその経験が少ないということでまとめていただいてあるとい うことで、これは仕方ないと思います。  しかし、この報告書の後の方に、企業が審査のために欧州の試験も含めて出すと言っ ているからということが書いてあるのですけれども、放っておかれますとやはり数年間 このままになってしまう可能性があるので、これは指導として早く出すようにやってい ただくように。現実的に使うときは、こういうふうな嘔吐がきつい薬は子供でもなかな かかわいそうなのです。その点をどうぞよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 その点について機構の方から、どうぞ。 ○機構 ありがとうございます。小児については既に申請がなされた状況に今ございま すので、引き続き審査を行って、若干用法・用量が異なる可能性もあるというデータで すので、小児についても用法・用量が定まるような形に行きたいと思っております。あ りがとうございます。 ○神谷委員 よろしくお願いします。 ○池田部会長 それほど実際には遅れないというふうに理解してよろしいわけですよ ね。○機構 さようでございます。 ○池田部会長 ありがとうございます。よろしいですか、神谷委員。そのほかに委員の 先生方からどなたか。どうぞ、守殿委員。 ○守殿委員 ぶり返すようで悪いのですけれども、先ほどの話なのですが、逸脱等の項 目に関連いたしまして、これほど2ページにわたって書いてあると、読む方にとりまし ては何か非常に深い何かがあるような感じに受け止めます。私が4ページ、5ページを 読み終えて単純に思ったのは、担当者に問題があったという印象を受けました。  そういった場合、1行あればいろいろと難しい説明はいらないような感じで、そうで ないと申請者側にものすごい問題があるのかなという印象を受けるのですね。いらぬ心 配をすると言いますか。その辺を少し配慮していただきたいなと思います。 ○池田部会長 何かございますか。 ○審査管理課長 どうも御指摘ありがとうございます。ただ、先生方にも御理解いただ きたい点といたしまして、この審査報告書の関係は承認後に大体公表するような形にな ります。その時点で非常に簡略化して書いてございますと、そこの細かいところを聞か れたときに回答しないという形になると、隠していたのかみたいな話もあり得るのです。  ですから、事実経過的には少し細かすぎるのかもしれませんけれども、詳細にある程 度書いたということだろうと思いますし、本省側としてもやむを得ないかなというふう には思っておるのでございます。御指摘は確かになるほどという感じもしないでもない のではございますが。 ○守殿委員 このように書くと一般的には何か変に思われないかなというのが、私とし ては印象が強かったものですから。 ○審査管理課長 ここには印鑑がどうこうという話は書いていないですけれども、これ までもGCP逸脱で評価対象症例から除外したなどといったようなものは審査の報告書 として公表されているのですが、そういったようなものがいくつか出てきていますと、 世の中はそんなものも時々あるのだなというふうに今理解してくれているという実情も 少しあるようでございます。 ○守殿委員 私は麒麟の会社そのものの体制を疑われて、しょうがないと言っているの です。 ○審査第一部長 すみません。こういうことは前代未聞でございまして、しかも、非常 に待ち望まれていたお薬であったにもかかわらずなぜこんなに時間がかかったのかとい うことを、やはり関係する方にはある程度御説明しなければならないのではないかとい うことで、あえて細かなことも書かせていただいたのですが、細かすぎて先生方に不快 な印象を与えたという部分についてはおわびをいたしたいと思います。しかし、事情は こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。 ○池田部会長 どうぞ。 ○早川委員 先ほどの安定性の話なのですが、この報告書の中に結論が書かれてあるこ とは大事なことだと思うのです。ここに付いているのはモジュール2というものなので すが、本当はモジュール3という、フォーマットタイプのもの、より詳細な資料にその 基のデータはあると思いますので、結論に書くべきものはモジュール2にも基本的なデ ータだけは入れておいていただいた方がいいと思います。よろしくお願いします。 ○池田部会長 よろしいですか。 ○審査管理課長 どうも御指摘ありがとうございました。 ○池田部会長 ありがとうございました。あと、これは全例調査ということになるわけ ですね。全例調査をして、その後どうするかというのを御説明いただけますか。 ○機構 本品目はオーファン指定ということもございまして、全例調査での検討をする ことにしました。その内容につきましては、審査報告書の67ページ〜68ページの部分 に記載してございます。  内容の概略としましては、経口のブスルファンのときに問題になっている肝中心静脈 閉塞症が、本剤を用いたときにより多く、あるいは少なく出るかということを検討する というところから症例数の算定を行いまして、それを含む形で考えると、造血幹細胞移 植患者数から1年間に約300例の患者さんに投与されるので、1年間のデータを取れば 今申し上げたような点についても検討できるということで申請者と話をしております。  ですので、1年間、あるいは約300例の段階で、まずその結果を申請者さんの方で評 価していただいて、その結果を基に情報提供の追加ですとか、あるいは調査内容の変更 といったような判断を適切に行ってほしいということで指示しています。この例は同種 移植ということで有害事象による副作用がどうしても多いので、漫然と調査をやっても 余り意味がないデータが出たり、現場への負担もかなりあるということで、申請者には そのように申し上げました。 ○池田部会長 そのほかに委員の先生方から御質問ございますか。もしございませんよ うでしたら、このブスルフェクス点滴静注用の承認の可について、同種造血幹細胞移植 ということの適応でお認めいただけますでしょうか。よろしいですか。それでは、承認 を可としまして、薬事分科会に報告をさせていただきたいと思います。ありがとうござ いました。  それでは、次の議題に入りたいと思います。テモダールカプセルの製造販売承認の可 否等についてということで、このことについて総合機構の方から審査の概要の説明をお 願いします。 ○機構 議題2、資料番号2、テモダールカプセル20mg及び同100mgの製造販売承認の 可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。本剤の有効成 分であるテモゾロミドはアルキル化剤に分類される抗悪性腫瘍薬です。本剤は中枢移行 性が良好であり、また、非酵素的に活性本体に分解される特徴を有しております。本剤 は悪性神経膠腫を効能・効果として、シェリング・プラウ株式会社より承認申請されま した。  悪性神経膠腫は悪性度の極めて高い原発性脳腫瘍であり、我が国では推定で年間約 2,300人が罹患しております。悪性神経膠腫のほとんどすべては膠芽腫と退形成性星細 胞腫で、そのほかにまれな病理組織型の腫瘍が存在しております。  悪性神経膠腫の治療の中心は手術と放射線治療であり、これらに化学療法を組み合わ せる治療が行われております。化学療法にはニトロソウレア系抗悪性腫瘍薬が多く用い られておりますが、その有効性は臨床的には満足ではない状況です。本剤は米国及び欧 州において1999年に再発後悪性神経膠腫について、また、2005年に初発の悪性神経膠 腫に対する放射線療法との併用について承認されております。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料にございますとおり13 名の委員です。評価資料は品質、毒性、薬理、薬物動態、臨床試験について提出されま した。品質、毒性、薬理、薬物動態について承認にかかわる大きな問題は認めませんで した。  臨床試験は海外4試験、国内2試験の成績が提出されました。国内試験では検討され た症例数は38例と少なく、また、初発患者を対象とした試験は実施されておりません。 しかし、機構は、海外試験では初発の悪性神経膠腫に対する本剤と放射線照射との併用 において、悪性神経膠腫では初めて生存期間延長が示された結果となっており、悪性神 経膠腫に対する本剤の有効性は認められると判断しました。  安全性については、本剤投与後にニューモシスチス肺炎が発生することがあるためあ らかじめ適切な処置を講ずる必要があること、また、動物試験において本剤の発がん性 が比較的強い可能性が示されており、人においても二次性悪性腫瘍の発生の懸念がある ことが本剤使用に当たっての主な注意点と考えます。  また、機構は、国内での症例が限られており、製造販売後においては承認条件として 全例調査を実施し、更なる有効性、安全性の確認を行うべきと判断しております。  以上、機構での審査の結果、本剤の悪性神経膠腫に対する有用性は認められ、承認し て差し支えないと判断いたしました。また、本剤は新有効成分含有薬品であり、本剤投 与後の二次性悪性腫瘍の発現率に関する追跡調査が長期間を要すると考えることから、 再審査期間を10年とすることが適当であると判断いたしました。また、原体及び製剤は 毒薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。  御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今説明がありましたようにテモダールカ プセルでございますけれども、先生方の御意見を伺いたいと思います。 ○堀内部会長代理 堀内です。これは基本的にはアルキル化剤ですね。いろいろなアル キル化剤があると思いますけれども、細胞への作用機構から考えると一番似ているのは ダカルバジンだと思いますが、この薬剤のターゲットを特に悪性神経膠腫にしたという のはどういう特徴によるのでしょうか。 ○機構 中枢神経への移行が良好であったことと、あと、繰り返しになってしまうので すが、非酵素的に活性本体に分解されるという性質から、期待されて悪性神経膠腫が対 象になったものと考えております。 ○堀内部会長代理 要するに、未変化体で脳関門を通って、そこで変化をするというこ とが特徴と考えてよろしいのですか。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 もう一つだけいいですか。これはかなりはっきりしたがん原性を持 っていると思うのですが、例えばアメリカの添付文書を見ますと明確な記載があるわけ ですけれども、日本の添付文書にはそのことについては全く記載されておりません。そ れはどういう理由によるのでしょうか。 ○機構 国内の添付文書におきましては、重要な基本的注意の(6)のところに記載して ございます。 ○堀内部会長代理 これはもう少し分かりやすい明確な記載の仕方の方がよろしいので はないでしょうか。実際に添付文書を読んでみても大変分かりにくい。一所懸命探した のですけれども見過ごしてしまったのですが。 ○機構 全例調査の中で二次性悪性腫瘍には注目されていて、またその結果が出てきま したときには、そういったデータを記載していくことも方法の一つかと考えております。 ○堀内部会長代理 動物実験でも明確に変異原性が出ておりますよね。 ○審査第一部長 それはその他の注意のところに動物実験で腫瘍が発生したとの報告が あるということで、その原報を引いて記載をしてございます。腫瘍の発生があるという 書き方が抑制的な書き方なので、はっきりした発がん性があるというふうな書き方にな っていない点は確かに御指摘のとおりだと思います。ですから、記載部につきましては 海外の添付文書も参考にして検討をもう少ししたいというふうに考えます。 ○堀内部会長代理 米国などを見るともう少しはっきりした書き方がしてあると思いま すので、御検討いただければと思います。 ○池田部会長 確かに、この(6)であると造血器腫瘍に対して特別に二次性の腫瘍がと いうのが限られているのかなというふうにもしかすると誤解されるかもしれませんね。 ○機構 記載の方法については検討させていただきます。実際の二次性悪性腫瘍に関す る今得られているデータは審査報告書の73ページにまとめておりまして、「機構は、臨 床試験データにおいては、」というところのパラグラフでございますけれども、限られ た情報ではありますが、「少なくとも二次性血液悪性腫瘍の疑い5例については、因果 関係を否定することは出来ない」といった状況になりますが、御指摘のとおり、今後デ ータも取っていく必要があると思いますし、記載は検討させていただきます。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかにいかがですか。どうぞ。 ○土屋委員 包装のことなのですが、PTPをやらないのかと言って、やらないという 答えが返ってきて、そのときに、取り出す際にカプセルのキャップとボディーが外れ、 カプセル中の薬剤がこぼれ出してしまう可能性があるからPTPを開発しなかったとい う、そんな嘘は言わない方がいいのではという気がするのですけれども。  海外はボトル調剤などが当たり前なので、PTPは余りやっていないということがあ るのですけれども、こんなところに開封厳禁は結構でございますが、これは普通ですと ボトルとかチャイルドプルーフとかそういうことはやっているのです。  この下の方には「最大7日間分の小分けを1容器にまとめたものを想定している」と 言いながら、発売されるものは5カプセルと20カプセルのバラ包装という、投与日数の ところが、最初の連続投与の話などと少し合わないかなという気がするのですが、その 辺についてはどういうふうになっているのでしょうか。 ○池田部会長 これについて。 ○審査管理課長 このものが承認をされまして保険診療とかいう形になってまいりまし たときの、処方日数と実際に販売納入されるものとのカプセル数などの関係の御指摘と いうことでとらえてよろしいでしょうか。 ○土屋委員 そんなに気を付けろというのであったら、やはりPTPならPTPをきち んとやるということをしてもいいのではないかなという気もするのです。 ○審査第一部長 今、引き続きPTPの検討をするように企業に対しては申し入れをし ているところです。ただ、製品として今現実にあるのがそういう形態であるというので、 実はその開封厳禁は私どもが本日のために万一のことを考えてはったラベルでございま して、ものそのものはチャイルドプルーフの瓶になっております。  これを調剤の現場の方に納品をして、患者さんに交付するときはワン・ドーズ・パッ ケージに調剤をしていただくということをお願いしたいというふうに我々は考えており まして、1回服用は体重によってこれを調製して、1服当たり何個という組み合わせを それぞれの患者さんごとにやらなければいけないという、そういうお薬です。したがい まして、この瓶包装をそのまま渡すことはあり得ない。調剤をしていただくということ を想定しているのですが。 ○土屋委員 ただ一包化というのは、基本的には一包化の依頼があった場合はやるとい うことはありますけれども、要するに調剤で一包化を義務付けるとかいう話ですか。 ○審査第一部長 もちろん義務付けということを私どもの方からすることは到底できま せんが、対象となる患者さんがかなり少なくて、限定された施設の限られたケースとい うこともあって、現実に現場での対応はいかがでございましょうかということにつきま して、専門協議の際も、病院薬剤部門の観点からどうでしょうかと、御意見は伺ってお ります。それで、やはりそれは個別の対応ではあるけれども、多分一包化ということを やるのがこの場合は一番いいのではないかというような御意見を賜っております。それ を強制するとか義務付けるとかいうことではございません。 ○土屋委員 バラ包装で出されたときには、通常調剤では本当にバラで出してしまいま すので、そういうときにどこまでをどうきちんとやるのかというのは、いわゆる細胞毒 性がうんぬんかんぬんといったときには心配なわけで、ほかの人がいろいろやるなどと いうこともあるわけですから。  当然一包化といっても単独の一包化をするしかないわけで、ほかのものと混ぜてしま ってまた戻すみたいな、普通ですと戻してまた元に戻すみたいなこともやりますので、 そういうことから行くと、本来はやはりかなりきちんとした包装を、単包装があるとい うことが求められるのではないかなという気がいたします。 ○審査管理課長 承知いたしました。このものは先ほどの機構からの話でございますと PTPの検討も企業はやっているということでございますし、このものが実際に世の中 に出ていくときにそこが間に合うかどうかという話もあるかと思います。  それから、この薬自体は非常に脳腫瘍の方では待たれている薬剤だということもござ いますので、その辺りの御指摘を踏まえてできるだけタイムリーな形で対応ができるよ うに、我々としても関係のところとも連携を取って対応していきたいと思いますので、 そういうことで御了解いただければと思いますが。 ○堀内部会長代理 もう一ついいですか。 ○池田部会長 どうぞ。 ○堀内部会長代理 今のことと関係して、この薬は用量を体重当たりで細かく設定する ということになっていると思いますが、剤型が20と100しかありません。米国は5mgと か50ですか。5ともう一つ、4種類あったように思いますが。 ○機構 海外では250mgがございます。 ○堀内部会長代理 250mg、高いものがあるのですね。特に小児については有効性は確 立されていないということなのですが、実際上いろいろ治験を行ったり、実際に使用す るケースがあると思いますが、それを考えると日本では20と100しかないというのはい かがかなと思いますがいかがでしょうか。 ○池田部会長 どうぞ、機構の方から。 ○機構 剤型の点につきましては、剤型が多過ぎると飲み間違いしたときの毒性がかな り心配といった状況というのがあって、剤型については申請者ともやり取りをしていた ところなのです。専門協議の中で御指摘いただいた点なのですが、5mgについては規格 値の幅の中に飲み込まれてしまうような量だということで、厳密に5mgカプセルを使っ て数値を合わせるような微調整をしても規格値の幅の中に5mgを超える部分が入ってき てしまうものですから、5mgの調製というのは余り意味がないだろうといったような御 提言を頂きました。  先ほど申し上げたように、剤型が多いことによる飲み間違いの医療過誤という観点か らのリスクも考えたときに、機構の方でもそちらをかなり議論したのですが、現行では 5mgは不要であって、20と100で出すことがいいだろうと考えております。ただ、少し 感覚的な発言にはなりますが、例えば10mgですとか、5mgではないもう少し細かい調製 ができるカプセルがあればいいのですけれども、現在それについての検討はなされてお りません。  一方、この薬は、悪性神経膠腫に対しては日本においては20年ぶりぐらいに出てきた ような期待の薬ということもありますので、この20と100の段階で現場に出すことがい いのではないかというふうに考えました。 ○池田部会長 よろしいですか。 ○堀内部会長代理 なかなか…。 ○審査管理課長 これが実際に市場に出た後に、現場の方からもし新しい含量規格のも のの必要性などがございましたら、そちらの方の承認というのは、例えば10mgカプセル で2カプセル飲んだときと、20mg、1mg、1カプセルで同じであるとかいう同等性のよ うなデータで基本的には、これは動物での同等性になると思いますけれども、サイトト キシックですので、そういうようなもので比較的その含量規格の新しい製品を追加とい うのはそれほど大変ではないかと思いますので、そういう説明を追加させていただきま す。 ○池田部会長 それは一般的に例えばどれぐらいの期間で含量の違うものを新たに追加 することができると。もちろんデータを取らなければいけないわけですよね。動物のデ ータはもうありますよね。例えば5mgなら5mgを出すということで。そうすると、その データを基に追加申請を…。 ○審査管理課長 それは海外にある含量のものを追加するのか、それとも新たに日本で やるかとか、いろいろその辺は…。そうなりますと、その場合のデータがどれくらいそ ろっているかとかケース・バイ・ケースかなというふうには思います。すぐに申請でき る状況であればかなり早いと思いますけれども。1年とかそこらぐらいで。 ○池田部会長 どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員 今の論議で少し気になるのは、いろいろエラーが起きるからその刻みを2 種類にした方がいいと、それは私はないと思うのですよね。3種類にすることの危険性 というのは確かにあるのです。でも、用量調整が20刻みになってしまう話と、例えば5 がいいかどうかは別として、間違えるから刻みを大きくしてそれでいいのだという、そ れは考え方としては私は違っていると思うのですよね。  あくまで医療事故を防止する役割というのは我々が持っていて、その中でどうするか。 確かに、この中になるべく少ないもので組み合わせをしなさいとか添付文書に書いてあ りますからあれですけれども、だからといって製剤をいくつのものの刻みを大きくする かどうかというのは、そこは余り理由にはされたくないなという気がいたしました。 ○審査第一部長 先生、その御指摘はまさしく我々もそのように考えたところなので、 ただ、実際の取り違いの問題は、5と20と100というものを置いておいたときのエラー の可能性は間違いなくあるだろうと思っております。 ○堀内部会長代理 でも、これはカプセルの色が違うのですよね。 ○審査第一部長 ただ、遮光瓶に入っていて、これを御覧になっていただいてもお分か りのとおり、ぱっと見になかなか区別がつかない点はやはりあるかと思います。カプセ ルの大きさ自身もそんなに違わないものですから、5mgと100mgを取り違えて飲んだ場 合はとんでもないことになりますし、危険性はいろいろな意味で想定はされます。  ですから、決定的に今回5mgを落としましたのは、100mg製剤の含量規格幅が95から 105ぐらいの幅があって、そこで既にプラスマイナスの幅があるでしょうと。それに対 して5mgの調製は余り誤差と変わらないので、それだけの調製ではしょうがないのでは ないですかという専門協議の際の指摘を受けまして検討を求めましたところ、企業の方 として5mgの必要性というのがさほど高くないということで整理をするという回答が来 たのです。  ただ、確かに先生の御指摘のとおり、20mgの製剤を使って実現できる投与量の刻みが 決して細かくて十分かというとそうではない面もあるので、10mgのカプセルで調製する 方がいいのではないかといった議論はしております。ただ、現状では海外にも10mgの製 剤はございませんので、新たに製剤開発をして安定性のデータも取った上で申請すると いうようなことを考えますと、すぐには出てこれないだろうなということを我々として は考えております。  ただ、実際に現場における用量調節の観点でこのような規格のものがということを御 指摘を頂くのであれば、それを企業に伝えて、この規格を検討しろということで指導す ることは可能かと思います。 ○堀内部会長代理 小児の場合でも余り問題にならないと考えているわけですか。 ○審査第一部長 今のところ、要するに5mgで調製をするのかということに関して言う と、小児のケースも想定して検討しましたが、5mgよりは10mgの方がむしろいいだろう というような判断に今なっております。 ○土屋委員 すみません。 ○池田部会長 どうぞ。 ○土屋委員 これで起きるとは思いませんけれども、ただ、現場ではよくあるのはそう するとすぐ扱いをしろとか、そういう話だって出てくるのですね。ですから、用量を守 りたい、きちんとしたいがためにそういう話がいろいろ出てくるというときに、それを やる手段を医療事故が心配だからと言ってやらないというのは本当かなという、要する に、そこの考え方としては私はあくまで初めに用量があって、それを、事故を減らすた めの手段は別に考えればいいわけであってというね。  確かに、そこまで信用がなくなってきてしまったのかなというのは我々薬剤師にとっ ても情けない話ではありますけれども、ただ、本筋は何で考えるべきかというときに、 海外で5mgがあるから当面の間5mgがあっても別に、ただし用法は10mgがいいよねとい う話になるのかもしれませんが、そういった意味で言えば、やはりその考え方として用 量と事故というね、大体世の中に3規格あるものはみんな駄目かという話になってしま いますからね。そんな論理だったら。ですから、そういうことからいったときにそこは 少ししっかりお考えいただいた方がいいかなという気がしました。 ○池田部会長 どうぞ。 ○審査管理課長 そこの御指摘の点はきちんとテイク・ノートしておきたいと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。神経膠腫に対して有効性を証明したお薬 がここのところずっと出ていないという意味では非常に意味のあるお薬かなというふう には思います。剤型の点が今議論ございましたけれども、これについては今後も少し検 討課題ということにさせていただいて、このものについての製造販売承認の可否につい ては、もし先生方にそのほかに御意見ございませんでしたら…、どうぞ。 ○堀内部会長代理 これは先ほどのものと同じ議論なのですけれども、二次性の悪性腫 瘍のことが議論になっているわけですが、やはり添付文書にもはっきりと反映をさせて いただければというように思います。 ○池田部会長 その点についてもよろしいですね。 ○審査第一部長 はい。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。それでは、このテモダールカプセルについても先 生方の承認は得られたということで、薬事分科会に報告をさせていただきたいと思いま す。ありがとうございました。  それでは、報告事項が5議題ございますので、この報告事項について順次事務局の方 から説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは、報告事項の議題1、希少疾病用医薬品の指定について、御報告さ せていただきます。資料3でございます。4ページに平成18年4月10日付けの「希少 疾病用医薬品としての指定の可否に関する審査報告書」というタイトルのページが出て くると思いますけれども、こちらに沿って説明をさせていただければと存じます。  報告対象の品目は塩酸ドキソルビシンリポソーム注射剤、対象疾病はエイズ関連カポ ジ肉腫、申請者はヤンセンファーマ株式会社でございます。本剤は、副作用を軽減させ、 有効性を高めることを目的として塩酸ドキソルビシンをリポソーム化した製剤でござい まして、HIV感染症関係の治療薬につきましては平成11年5月13日付けの医薬品特 別部会における申し合わせ事項に基づき報告事項とさせていただいております。  それでは、本剤の希少疾病用医薬品の指定の可否について、「対象患者数」、「医療 上の必要性」及び「開発の可能性」の3点に基づき指定を可とする旨判断いたしました ので、概要を御説明いたします。  まず「対象患者数」でございますけれども、2004年の厚生労働省エイズ動向年報によ るとエイズ関連カポジ肉腫の報告件数は、日本国籍14例、外国国籍3例であり、オーフ ァンの指定条件である「対象患者数5万人以下」を明らかに満たしていると判断いたし ました。  次に「医療上の必要性」についてでございますが、HIVがエイズ関連カポジ肉腫の 病原性に関わるとされていることから、HAARTに加えての放射線照射などの局所療法や 抗腫瘍効果を有する化学療法剤による全身的な薬物治療が、エイズ関連カポジ肉腫の治 療法として現在のところ国内で用いられています。しかしながらこの治療法には、副作 用が著しく投与を中止せざるを得ない症例も多いという難点がございます。  本剤は、先ほど申しましたように、副作用を軽減させ、有効性を高める目的でリポソ ーム化した製剤でございまして、海外ではエイズ関連カポジ肉腫治療のファーストライ ンとして用いられている製剤でございます。現在国内で「エイズ関連カポジ肉腫」を適 応とする医薬品が存在しないことと併せて、医療上の必要性は高いと判断いたしました。 なお、本剤は、エイズ治療薬研究班が海外から輸入し国内医療機関へ提供しているとい う実績もございます。  最後に「開発の可能性」についてでございますけれども、海外臨床試験で有効性及び 安全性が確認されており、また欧米を含む世界78か国で「エイズ関連カポジ肉腫」を効 能・効果として承認を取得している状況にあることから、十分に開発の可能性があると 判断いたしました。  これらの知見に基づき、希少疾病用医薬品の指定を可とする旨判断いたしました。併 せて、今後、指定のための手続きを進めることを御報告いたします。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今の報告につきまして、何か先生方から 御質問、あるいはコメントはございますか。よろしいでございますでしょうか。それで は、次に行ってくださいますか。 ○機構 続きまして、報告事項の議題2、医薬品ファイバの輸入承認事項の一部変更承 認について報告いたします。資料4を御覧ください。  本申請は、本剤において、従来、効能・効果といたしまして、「血液凝固第VIII因子又 は血液凝固第IX因子インヒビター力価10ペセスダ単位以上の患者に対し、血漿中の血液 凝固活性を補いその出血を抑制する」とされていたインヒビターの制限を撤廃すること について、平成11年2月1日付け研究開発振興課長・審査管理課長の2課長通知、「適 応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」に基づき、医学薬学上公知として、効 能及び効果の一部変更承認申請がなされたものです。なお、本申請に関しまして、日本 血栓止血学会より要望書が提出されております。総合機構における審査の結果、本剤を 承認して差し支えないと判断いたしました。 ○機構 続けてよろしいですか。 ○池田部会長 どうぞ。 ○機構 続きまして、議題の3でございます。議題の3の新キットの承認につきまして、 先生方の机の上に配布させていただきましたこの2種類のサンプルと、資料ナンバー5 でございますが、A4横書きの1枚紙でございます、この資料に基づきまして、御説明 させていただきます。  昨年度承認されました新キット製剤につきましては、2品目ございます。  まず、1品目めでございますけれども、カイトリル点滴静注用3mgバッグでございま す。これでございます。これにつきましては、既承認の品目がアンプル入りの製剤でご ざいましたが、これを調製時間の短縮、無菌性の保持、異物混入防止、あと医療事故防 止を目的といたしまして、この既承認の品目をあらかじめ生理食塩水に溶解して、全量 を100mLとし、点滴専用バッグに入れたものでございます。これが1品目めでございま す。 次に、2品目めでございますけれども、ペランコシン注シリンジ600mg、これで ございます。この品目でございますが、これは有効成分が塩酸リンコマイシンで、これ も既承認の品目がアンプル製剤でございましたが、これを無菌性の保持と、異物混入防 止、医療事故防止を目的といたしまして、この既承認品をシリンジに入れたものでござ います。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。次へどうぞ。 ○機構 続きまして、議題4、医療用医薬品の再審査結果について報告申し上げます。 資料6-1及び資料6-2の医薬品再審査結果等確認通知書、「インターフェロン ガンマ 1a(遺伝子組換え)」及び「酢酸ゴセレリン」を御覧ください。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査の成績、特別調査等に基づいて再 審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項各号に掲げられている承認拒否事 由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項につ いて変更の必要のない「カテゴリー1」と判定したものであります。 ○池田部会長 ありがとうございます。それでは、次、お願いします。 ○機構 続きまして、議題5、優先対面助言品目の指定について、お手元の資料ナンバ ー7-1と7-2を御覧ください。  優先対面助言品目指定制度は、治験品目の中でも医療上の有用性が特に高いと期待さ れる品目について、優先的に対面助言、いわゆる治験相談を行い、その開発の迅速化を 図ろうとするものでございます。優先対面助言品目は、優先審査品目の選定の考え方に 準じて、指定の時点までの国内外の試験成績に基づき、「適応疾患の重篤性」と「医療 上の有用性」を総合的に評価することにより選定いたします。  今般、当部会の関連品目として資料の7-1と7-2のこの2品目を指定いたしましたの で、御報告いたします。  まず7-1でございますが、中外製薬株式会社のBevacizumabでございます。優先対面 助言品目の対象効能は「他の抗悪性腫瘍剤との併用による非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除 く)の治療」及び「他の抗悪性腫瘍剤との併用による乳癌の治療」でございまして、この 疾患は生命に重大な影響がある疾患であると判断しております。  非小細胞肺癌につきましては、海外におきまして進行・再発非小細胞肺癌(扁平上皮癌 を除く)の一次治療例を対象に臨床試験が実施されておりまして、標準的治療法、これは CalboplatinとPaclitaxelの併用療法でございますが、これに本剤を併用することで生 存期間の延長が示唆される成績が得られております。  また、乳癌につきましては、これも海外におきまして化学療法未実施の治癒切除不能 な局所再発又は転移性の乳癌患者を対象に臨床試験が実施されておりまして、これに関 しましてはPaclitaxelに本剤を併用することで無増悪生存期間及び全生存期間の延長 が示唆される成績が得られております。  これらの成績より既存の化学療法に本剤を併用することで、より顕著な効果が得られ る可能性があると判断いたしまして、本品目を優先対面助言品目に指定したものでござ います。  続きまして、資料の7-2を御覧ください。これはトラスツズマブ、商品名はハーセプ チンでございます。既に「HER2過剰発現が確認された転移性乳癌」の効能・効果で 承認されておりますが、今回の指定は、そこに記載しておりますとおり「HER2過剰 発現が確認された原発性乳癌における術後補助療法」に対するものでございます。当該 疾患につきましては生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)であると判断しており ます。  これに関しまして、乳癌切除及び標準的な術後補助化学療法が施行されたHER2過 剰発現原発性乳癌の患者を対象とした複数の海外大規模臨床試験が実施されておりまし て、本剤を標準的な術後の補助化学療法に追加又は併用することにより、標準的な術後 の補助化学療法の単独に比べまして、再発のリスクが大きく軽減することが示唆されて おります。  本剤は、当該疾患におきまして既存薬に勝る有用性を示し得ると判断いたしまして、 本品目を優先対面助言品目と指定いたしましたので、御報告いたします。以上でござい ます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今の2種類のヒト化モノクローナル抗体 に関して、優先対面助言の品目にしたいということでございます。五つの報告を頂きま したけれども、まとめて先生方から御質問ございますでしょうか。どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員 プレフィルドについてはそろそろ事故防止という言葉はやめていただきた いのです。むしろ事故を誘発するということを、現実プレフィルドの取り違い事故がた くさん起きていますので、そういうことをそろそろ注意喚起をしないといけない時期に 来ているのではないかと。  薬価が高くなるということがあるのでしょうけれども、何でもプレフィルドにしてと いうのはいかがなものかという気がいたしますので、本当にプレフィルドの必要がある ものとないものを、なかなかセレクトすることというのはできないのかもしれませんが、 少なくとも事故防止だと言ったらそれは違うというか、むしろ誘発するということだっ てあり得るということを言っておかないといけない時期に来たのかなという気がいたし ますので、一言申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございます。それについて何か、審査課あるいは機構の方か ら意見はございますか。こういうものに対する基本的な考え方というのは今後どうされ るのですかね。指導としては。 ○審査管理課長 一応承認の際にも必要性とかいったものについては審査の際にチェッ クをしております。ただ、今御指摘ございましたように、現時点ではもうプレフィルド シリンジが多くなり過ぎてしまったのかもしれませんけれども、事故防止という観点か らは少しおかしいというお話がございました。  あと、現実問題としますと、このものが承認されまして、それから保険で使用される ようになるためには薬価基準収載といったようなところに行くのですけれども、その段 階で関係団体等々、医療関係団体の方の御意見などはお聞きしますので、その段階でい ろいろ別の観点から、状況の変化もあってということなのだろうと思うのですが、何で もかんでもプレフィルドというのが良くないのだというような話になると、少しまたこ ちらの方でのキット製品の審査のときのスタンスというのを変えていかなければならな いかもしれません。  現在のキット製品についての取扱いを示した通知というのは何年ぐらい前でしたか。 昭和61年だそうでございますので、今のような御指摘がもっとあるようでしたら、場合 によってはそこらも見直す必要が出てくるのかもしれませんが、今御意見がございまし たので、とりあえずのコメントになってしまっておりますけれども。 ○土屋委員 外観類似を防ぐようにというのは厚生大臣緊急アピールにも入っているわ けですよね。となると、プレフィルドというのは外観類似どころか外観一致なわけです。 ですから、そこら辺をもっと気をつけていないと極めて危ないと。現実に取り違いが起 きていますので、少し観点を変えなければいけない時期に来ているのではないかと思い ます。  少ないとき、それから緊急性など、やはり必要性があってやるものと、何が何でもと いう、今あるものが到底必要だと思えないもの、もちろん市場でそれを判断すればいい という話かもしれませんけれども、そろそろ元のところでも考えてあげなければいけな い時期かなというように思います。 ○堀内部会長代理 追加でよろしいですか。 ○池田部会長 どうぞ。 ○堀内部会長代理 今のことですけれども、一時はプレフィルドは採用していたのです が、我々の病院でも、例えば抗生剤はほとんど元に戻してプレフィルドは使わないとい う形になってきておりますし、今の土屋委員の話は大変重要だと思います。それから、 特にの薬剤の場合、中のシリンジに何もラベルがはっていないのはナンセンスもいいと ころで、何本もこれをやられたら分からなくなってしまいます。 ○機構 先生、申し訳ございません。これにつきましてはまだ実生産が間に合わないと いうことで、実は先生方の机上に配布させていただきました添付文書の後ろから2枚目 のところに、ラベルの表示の仕方というものを入れさせていただいております。色が若 干違うところがございますが、このような表示を付けて実際には販売する予定でござい ます。 ○審査管理課長 したがいまして、実際の製品が出るときにはこちらの方からも改めて、 市場に類似のもので、色とか、それから表示とかは注意するように指導はできると思い ます。 ○池田部会長 それはシリンジにですか。 ○審査管理課長 シリンジそのものにも当然ラベルは付くはずでございます。 ○機構 実際にはシリンジそのものと外箱にきちんとした表示がなされる予定でござい ます。 ○池田部会長 そのほかに、特に報告事項について御意見ございますか。よろしいです か。それでは、報告事項について御確認いただいたということにさせていただきたいと 思います。  一応、議題は本日審議事項2議題、報告事項5議題ということでこれで終わりますけ れども、事務局から何か報告はございますか。 ○事務局 2点ございます。一つは、当部会で過去に御審議を頂きまして、承認された 品目についての御報告をさせていただきます。  去る3月27日の薬事分科会を経まして、昨日4月20日付けで承認をいたしました医 薬品でございますけれども、エポジン注(エポチンベータ)、未熟児貧血の効能追加。そ れから二つ目がファンガード点滴用(ミカファンギンナトリウム)の小児の用法・用量の 追加でございます。それからゾメタ注射液(ゾレドロン酸ナトリウム)の固形癌の骨転移 などの効能追加でございます。それからアムビゾーム点滴静注用(アムホテルシンB)の リポソーム製剤でございます。それから最後がザイボックスの注射液、それから錠剤(リ ネゾリド)のMRSAの効能追加。この五つにつきまして昨日付けで承認をいたしました ので、御報告を申し上げます。  それから、次回の当第二部会の開催でございますが、既に御案内させていただいてお りますけれども5月24日水曜日午後2時から開催させていただきますので、よろしくお 願いいたします。以上でございます。 ○池田部会長 それでは、次回は5月24日の水曜日でございますので、またどうぞよろ しくお願いしたいと思います。それでは、少し時間が早いようですけれども、早いに越 したことはございませんので、これで第二部会を終わりたいと思います。ありがとうご ざいました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)      - 1 -