06/04/14 第26回厚生科学審議会感染症分科会(議事録) 第26回厚生科学審議会感染症分科会                     日時 平成18年4月14日(金)                        10:00〜12:00                     場所 厚生労働省 省議室(9階) (照会)                厚生労働省健康局結核感染症課                 担当: 清水(内)2379                     松嶋(内)2386     TEL : 03−5253−1111 ○鈴木課長補佐 それでは、定刻でございますので、これより第26回「厚生科学審議会 感染症分科会」を開催いたします。 まず、分科会の開催に当たりまして、梅田参事官よりごあいさつを申し上げます。 ○参事官 大臣官房参事官健康担当、それで私は新型インフルエンザの報道官をしてお ります参事官の梅田でございます。 本日、委員の皆様におかれましては、年度初めで御多忙中にもかかわりもせず、第 26回厚生科学審議会感染症分科会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 さて、東南アジアを中心に発生しておりました高病原性鳥インフルエンザでございま すが、今年に入りまして、ヨーロッパ、アフリカに拡大し、2003年12月以降の患者発生 国も9か国、患者数は194 名、うち死亡者109 名と世界的な脅威となってきております。 また、本年1月には英国の科学総合雑誌『Nature』にトルコの患者から分離さ れたウイルスで、よりヒトからヒトへ感染しやすい遺伝子に変異していることを確認し たというような報告もされているところでございます。 このような状況から、昨年よりもヒトからヒトへ感染しやすい新型インフルエンザの 発生の確率が高まっていると我々も考えているところでございます。 皆様の御存じのとおり、政府におきましては、新型インフルエンザ対策行動計画を策 定し、関係省庁との連携の下、政府が一丸となって対策を推進しているところでござい ます。 また、厚生労働省におきましては、昨年10月に大臣を本部長とする新型インフ ルエンザ対策推進本部を立ち上げまして、対策の検討を行っており、特に昨年度の補正 予算では抗インフルエンザ薬、これはタミフルでございますが、750 万人分の予算を計 上し、現時点で約二百五十七万人分を確保する等の対策の推進を図っているところでご ざいます。 更に、行動計画をより具体化させるために、平成17年12月27日に専門家会議を設置い たしまして、本日の報告事項にもございますが、ガイドラインの検討を行っているとこ ろでございます。 こうした新型インフルエンザ対策の一環といたしまして、同行動計画では、WHOは フェーズ4を宣言した後、新型インフルエンザを指定感染症に政令指定し、各種対策を 実施することとしておりますが、今般のH5N1型の鳥インフルエンザの発生状況を踏 まえまして、指定感染症にあらかじめ政令指定することにつきまして、事前にこの審議 会の委員の皆様に御意見をいただきたいと考えております。 本日は、先生方の専門的かつ大局的見地からの貴重な御意見をいただきますようお願 い申し上げまして、簡単ではございますが、私のごあいさつとさせていただきます。よ ろしく御審議のほどお願いいたします。 ○鈴木課長補佐 開会に先立ちまして、私の方から、このたび新たに就任されました2 名の委員の御紹介と、委員の出欠状況の報告をさせていただきます。 まず、このたび新たに就任されました2名の委員の御紹介をさせていただきます。 厚生科学審議会臨時委員に就任されました社団法人日本医師会常任理事、飯沼雅朗委 員でございます。 同じく厚生科学審議会臨時委員に就任されました全国町村会常任理事、寺島光一郎委 員でございます。寺島委員におかれましては、本日、欠席でございます。 また、本日の出欠状況につきましては、青木委員、神谷委員、竹内委員、池上委員、 木村(崇)委員、高松委員、村沢委員から欠席の御連絡をいただいており、なお、吉澤 委員が所用により、まだ到着されていないということでございます。 出席委員につきましては、過半数を超えておりますで、当会が成立することを御報告 させていただきます。 それでは、後の進行につきましては、倉田会長、よろしくお願いいたします。 ○倉田分科会長 おはようございます。それでは、本日の議事の進行によろしくお願い いたします。 本日の会議につきましては、お手元の議事次第に沿って行いたいと思います。 まず、事務局から資料の確認と資料の説明をしていただきますが、委員の先生方には 時間も決まっていることですので、円滑な議事に是非御協力をお願いしたいということ です。 それでは、資料の確認をお願いします。 ○鈴木課長補佐 資料の確認をさせていただきます。報道の方は撮影につきましては、 これをもちまして終了とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 それでは、資料の確認をさせていただきます。 「第26回厚生科学審議会感染症分科会」ととじられた一連の資料でございますが、1 枚目に、一番最初のつづりつきましては、議事次第ということで2枚紙になっておりま して、2ページ目が資料の番号、リストを振っているところでございます。 資料につきましては、まず、新型インフルエンザ関係で資料1−1から1−2、1− 3、1−4と続きまして、続いて資料2−1、2−2、それと資料3というのが本会の 資料となっております。 また、報告事項の関連の参考資料というのが、資料1−1、1−2、1−3、1−4、 それと参考資料2というのがつづってあります。 資料につきましては、以上でございます。もし、落丁、不足等がございましたら、事 務局の方にお申し付けいただけましたら、すぐにお届けさせていただきたいと思ってお ります。 以上でございます。 ○倉田分科会長 ありがとうございました。続きまして、事務局から新型インフルエン ザに関わります政令指定につきまして説明していただきます。その後、委員の先生方か ら御意見等をいただきたいと思っております。 まず、資料の1−1から1−4までの説明を事務局からお願いいたします。 ○結核感染症課長 結核感染症課長でございます。本年度もよろしくお願いいたしたい と存じます。 それでは、座って御説明をさせていただきます。まず、資料1−1をごらんいただき たいと存じます。 先ほど、参事官からもごあいさつ申し上げましたように、インフルエンザのH5N1 に係る政令指定についての考え方、これについて本日御議論をいただきたいということ で御説明をいたします。 まず、現在の行動計画、昨年の11月に策定をいたしました行動計画の中では、WHO のフェーズ4の宣言に基づいて、ウイルスが確定次第、速やかに、感染症法に基づく指 定感染症の政令指定を行う、あるいは検疫法を適用させるための政令改正を行うという ように計画ではなっております。 ただ、その後の状況の変化として、私どもは3つの点があるのではないかという認識 を持っています。 まず、1つは、WHOによりますと、平成15年12月以降、現時点までに世界で194 名 の方の発症が確認され、そのうち100 名の方がお亡くなりになっているという状況です。 特に平成18年1月以降は、それまで東南アジアに限局をしておりました患者の発生が ヨーロッパあるいはアフリカまで新たな患者が発生してきているというような状況が出 てきております。 2つ目は、WHOの方で医療施設向けの感染対策指針におきまして、 トリ−ヒト感染の段階から入院等の措置を推奨していると。これが今年の2月に出され ております。 3つ目が、平成18年1月にトルコで発生いたしました鳥インフルエンザの患者さんか ら検出されましたウイルスにおきまして、ヒトの細胞へ結合しやすい変異が見られ、こ れは、トリからヒトへウイルスが感染しやすくなってきていることが示唆されるという ような専門家の報告がなされております。 こういった点を考えまして、本日お諮りする方針でありますけれども、現時点での発 生状況を踏まえ、インフルエンザH5N1を指定感染症として政令指定するということ でございます。 それから、これはまた後ほど別途議題として御説明することになりますが、検疫感染 症に政令で追加をするという、この2つでございます。 基本的な御説明は資料1−1でございまして、続きまして付属資料を御説明したいと 思いますけれども、資料1−2をごらんください。 これが昨日段階での高病原性鳥インフルエンザH5N1の発生国とヒトでの発症事例 です。ここで、オレンジ色に塗ってありますのが、トリ−ヒトへ感染が確認されている 国でございまして、9か国、194 名の方が発症されているという状況です。 水色に塗っておりますのが、ヒトへの感染は確認されておりませんけれども、家きん あるいは野鳥の感染が確認されているというのが、この国でして、実は昨年の行動計画 をつくったころは、ほとんどヨーロッパとエジプトは色が付いておりませんで、赤く塗 られている国も東南アジア、中国という国に限定をさせておりましたけれども、現在、 2〜3か月の間にこのぐらいの範囲で確認されるようになってきているという状況でご ざいます。 具体的な国ごとの患者数あるいは死亡者数については、次のページに入り ますので、これは議事の中で必要に応じてごらんいただければと思います。 次に、資料1−3でありますけれども、先ほど触れましたWHOが医療施設向けに出 しておりますリコメンデーションでございますけれども、和訳を後ろに付けてあります。 基本的には、現在のインフルエンザH5N1亜型については陰圧の病床での対応が必要 である。あるいは個室に収容するべきであるというようないろんな勧告を出しておりま して、その中身について、これも議論の中で、必要に応じて先生方にごらんをいただけ ればということで準備をさせていただいております。 資料1−4でありますけれども、これは先ほどのトルコの事例で一部ヒトで感染しや すい遺伝子の変異が認められたということについての資料でございます。これも議論の 中で必要に応じてごらんいただければと考えております。 以上が資料1−1から1−4までの御説明でございます。 ○倉田分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、 何か御意見、あるいは質問がありましたらどうぞ。 田代先生、ヒトにうつりやすい格好になったというトルコのことをもう少しわかりや すく、今、2〜3分で説明してもらえますか。 ○田代委員 ここで、トリ型からヒト型へ近づいたというようなことが2つの点で説明 されておりますけれども、第1の点はレセプターの認識が変わってきたということです。 トリ型のインフルエンザウイルスは、ヒトの細胞の表面にあるレセプターにはくっつ きにくいと。トリの細胞にある表面のレセプターには結合しやすいという性質を持って いまして、それがトリのウイルスがなかなかヒトには感染しないという一つの種の壁に なっていると考えられています。 しかし、最近、東大の研究グループがヒトの体の中にも肺の細気管支の上皮ですとか、 肺胞のII型の上皮の表面にはトリ型のレセプターも存在しているということを明らかに しましたし、ヒトにも感染し得るというエビデンスが幾つか集まってきております。 ここで、一方、トリの現在のH5N1のウイルス、トルコの患者さんから取れたウイ ルスのレセプターへの結合のしやすさというのが、アミノ酸が1つ変わったことによっ て、ヒト型のヒトの表面にあるレセプターの方によりくっつくやすくなっていると、そ ういうふうに変わってきたということが報告されています。 2番目のポリメラーゼですけれども、これはインフルエンザウイルスの遺伝子はRN Aですけれども、RNAの遺伝子を増やす酵素というのはヒトの細胞の中には存在しま せんので、ウイルスのRNAポリメラーゼというのが、それを担っているわけです。そ のポリメラーゼの性質なのですが、トリ型のウイルスとヒト型のウイルスの間に若干の 違いがあります。 そこの一番大きな違いは、ポリメラーゼの酵素が働くための最適な温度というがあり ます。トリのウイルスのポリメラーゼは、42度という比較的高い温度が一番酵素活性が 高く出ると。これはトリの体温がヒトよりも高い42度前後だということと一致している と考えられます。 一方、ヒト型のウイルスは、33度とか34度とか、ヒトの上気道、鼻腔粘膜なんかの比 較的低い温度で一番よくRNAポリメラーゼが働くという性質を持っております。 ですから、トリのウイルスがヒトに感染しても、1つはレセプターのえり好みがあり ますけれども、そのバリアーを超えたとしてもヒトの体温である、比較的低い体温、し かも上気道の低い温度ではトリのウイルスは増えにくいという性質があるわけですが、 トルコでヒトから分離されたウイルスは、温度感受性を決めている1か所、627 番目と いうアミノ酸がヒト型のウイルスに変わっていました。 ですから、これはヒトの体温である37度もしくはそれよりも少し低い上気道の温度で もよくRNAを複製させるという性質を獲得しているというか、そういう性質に変わっ てきているということがわかってきました。 この2か所の変化によって、ヒト型に大きく二歩近づいたと考えられています。 このウイルスが、たまたまトルコのヒトの患者さんの中で選択されてそういうふうに 起こったのか、それが一般的に広がっているのかということが非常に心配されるわけで すが、2年前に中国から分離されているウイルス以降ずっと見ていきますと、こういう ような変化というのは、ときどき起こっているということがわかってきました。 それから、もう一つ心配されることは、1918年に地球上で4,000 万人から8,000 万人 ぐらいの人を死亡させたと考えられていますスペイン風邪のウイルスがあるわけですが、 このウイルスの遺伝子の塩基配列が昨年の8月に全部わかりまして、それの前駆体にな ったトリのウイルスとの間の遺伝子の違いを比較してみたところ、ポリメラーゼの遺伝 子、ポリメラーゼは3つのタンパクのサブユニットからなっていますが、そこに10か所 のアミノ酸の違いがあったということが明らかにされてきています。 そうすると、10か所すべてがトリ型からヒト型に変わるために必要なのかどうかわか りませんが、10か所変わっていればヒト型になってしまうということだと解釈されてい ます。 現在、H5のトリ型のウイルスの遺伝子を調べますと、10か所のうち数か所、 株によってみんな違いますが、一番多いのが5か所ぐらいでしょうか。既に同じような ヒト型への変化が起こっているということが報告されております。 ということで、昨年に比べて現在は、かなりトリのウイルスがヒト型に近づいたんで はないかと心配されているわけです。 以上です。 ○倉田分科会長 ありがとうございました。非常にわかりやすくなったと思いますが、 資料の1−1から1−4までの説明を通しまして、何か御質問はありますか。 どうぞ。 ○岩本委員 頭の整理がよくできていないのですけれども、これは今、高病原性鳥イン フルエンザというのが四類感染症になっていて、高病原性鳥インフルエンザを除くイン フルエンザは五類になっているんですけれども、今回のはインフルエンザH5N1と書 いてあるので、これは要するに病気としてはどういうふうに考えているのかと。それが、 まず1つです。 例えば、高病原性の中の一つのH5N1がヒトの感染性を持ち始めたので、その部分 だけを指定感染症にしましょうという意味なのか。 では、例えばオランダで見られたように、H7が万が一流行したら、その場合はどう 対応するのかとか、あるいはパンデミックは必ずしもH5から出てくるということはわ かりませんので、パンデミックの場合には、それは新型とするのかというところの混乱 が本当に生じないのかと。例えば、なぜこれを高病原性にヒトに感染し得るものという ふうにしてとらえないのかというところが、ちょっとわかりにくいのですが。 ○倉田分科会長 事務局どうぞ。 ○結核感染症課長 まず、高病原性の意味は、トリに対する高病原性なものですから、 そこがまずあるということです。 それで、今回インフルエンザのH5N1としましたのは、高病原性鳥インフルエンザ のH5N1というのが四類であるのですけれども、これはあくまでもトリの感染を中心 にしているものでございまして、私たち事務局としてきちんと対応すべきものは、ヒト −ヒトに感染したものを想定しているわけでありますので、そういう意味では、特に高 病原性とか、そういうものではなくて、インフルエンザの中でインフルエンザ様の症状 を持っていて、なおかつ亜型がA型でH5N1亜型というものを今回の政令指定の対象 にしたいという整理をしております。 もう一つ、H7とかH9という話が御質問の中でありましたけれども、これは、まだ H5N1から比べますと、世界的な広がりとか、そういうようなものが我々は違うとい う認識を持っていますので、仮にH7とかH9というような問題が実態として出てくれ ば、また改めて審議会で議論していただいて、また別の亜型について政令指定をするの かどうかということについては御意見をいただくということを考えております。 ○倉田分科会長 よろしいですか。 ○岩本委員 今の質問の中で、多分1999年に感染症法に変えるときに、これは私よりも 喜田先生が適当なのだと思うんですけれども、感染症法はトリの病気を取り扱うのかと いう議論があったと思うんですけれども、それは改正のときに私も申し上げましたけれ ども、今の説明であった高病原性鳥インフルエンザというのは、トリの高病原性を言う んだというのであれば、それは感染症法が取り扱う問題なのか、私らは四類感染症の高 病原性インフルエンザというのは、高病原性トリ型のインフルエンザがヒトに感染した 場合というふうにとらえていたので、それをもし高病原性鳥インフルエンザ感染症の中 のトリの病気、私よりも喜田先生に説明していただくといいのかもしれませんが、その 辺の問題点はないのでしょうか。 ○倉田分科会長 どうぞ。 ○喜田委員 これの混乱の基は、病気と病原体を一緒の表現にしているということと、 トリの病気とヒトの病気が混同されているということだと思うのです。 あのとき申し上げたのは、高病原性鳥インフルエンザという病気は、鶏に対する病原 性を測定して、これ以上だったら高病原性鳥インフルエンザとして扱うと。そのときに は、原因ウイルスはH5N1に限らないわけで、H7N7、H7N1、そのほかのでも 鶏が80%以上死ぬようなウイルスであれば、高病原性鳥インフルエンザを起こすウイル スと言う。 ここにインフルエンザH5N1という表現がありますが、インフルエンザ というのは病気の名前であって、H5N1というのは原因ウイルスのサブタイプであり ますから、ちょっとこれは世間で、今、鳥インフルエンザというヒトの病気があるとい うことが一人歩きしておりますし、WHOもそういう表現をし出しているので整理すべ きかと思っております。 そういう混乱があって、今日はここに来るまでH5N1ウイルスがヒトに入ったとき のための準備であるということを、今、わかったんですけれども、新型ウイルス対策は 大事だと思いますし、H5N1ウイルスは、その候補の代表的なものではあるが、ほか のサブタイプのウイルスも新型として出現する可能性はありますので、H5N1に限っ たものではなく、もう少し包括的な方がいいと私は思います。 田代先生が、今、説明されたスペイン風邪のウイルスがトリのウイルスと遺伝子がそ っくりだと。当時のトリのウイルスはないわけで、したがってトリのウイルスが直接人 間に来たか、その途中でほかの宿主を介したかというのは、いまだなぞのままでありま すが、余りスペイン風邪ウイルスとH5N1ウイルスが同じで、それが同じようなルー トでヒトに入ってきたということを思い込まない方がいいように、私は思っております。 ○倉田分科会長 事務局、いかがですか。WHOのインフルエンザ(H5N1)という 書き方をしていますね。 ○情報管理室長 今回審議会で御審議いただきたいポイントは、現在、世界各国でヒト 感染例が見られているH5N1の感染事例について、あらかじめ指定感染症として指定 をしていただきたいと。それの御審議をいただきたいということでございます。WHO の現在の状況はフェーズ3という状況でございます。基本的にはヒト−ヒト感染はない けれども、例外的にまれにヒトからヒトへの感染も見られると、あるいは世界各国でト リからヒトへの感染が見られると。こういったH5N1の感染事例について政令指定を して必要な措置をとる必要があるのではないか。 これが普通のパンデミックのように、ほかの亜型がパンデミックになった場合である とか、そういったものについては、また別途御議論が必要だというふうに思っています けれども、現在のフェーズ3のこの状況において、ヒトに感染した場合の感染事例につ いて政令指定して必要な措置が取られるように規定をすべきではないかということで、 今回、御提案をしているということでございます。 それから、感染症法で定義をしております高病原性鳥インフルエンザ、これはトリの 病気ということではなくて、当然のことながらヒトに感染した場合の措置ということで、 現在は四類感染症というふうに位置づけられておりますので、入院措置、入院勧告はで きない病気になっておりますけれども、その状況でいいのかどうかということも含めま して、御議論をいただきたいということでございます。 ○倉田分科会長 この表にもありますように、じわりじわりと、またいろんな報道でも 見られますように、確実にヒトの感染が増えて、死亡者も増えてきているということ。 そういうことを踏まえて、いろいろな亜型があるのは当然ですが、今、世界的に警戒を 要するというのは、この問題を引き起こしたのはH5N1にあるわけで、勿論周辺まで 含めましていろんなことを想定しなければいけないのですが、H5N1の世界の動きに 対して、日本での発生に対して対応の仕方の用意をしましょうということだと思います が、何か御意見はありますか。 ○田代委員 現行の行動計画では、WHOのフェーズ4に相当した場合に指定感染症に するということですね。すると、そこで恐らくそのときのプロセスとして今回みたいな 会議を開いて、多分通常では1か月か、2か月ぐらいかかってそれが実行されるわけで すけれども、実際にWHOでフェーズ4になった段階で、恐らく宣言を出すと思います けれども、なった段階から審議を始めて、それで実際にそれが実施されるようになるま で、時間が1か月ぐらいまでかかってしまうわけです。それからこういう政令に指定し てももう遅いと、国内で広がってしまって対応できないという状況になるのではないか ということを私は心配しているわけですけれども、恐らくこれを早目に現時点でそうい うふうに指定するということは、そのときの時間を少しでも短縮して危機管理対応を可 能にするというような考えではないかと理解しますけれども、そういう意味では、今や っておくということは非常に適切なことだと考えます。 ○倉田分科会長 これは私的な意見もありますが、日本はずっと見ていますと、前もっ てやるということを、結果がわからないものに対して何でやると、その代わり、起こっ た結果に対して、1億を惜しんで100 億は平気で出すんです。こういうのはどうかと思 うのですが、日本の結果に対して金を出すという恐るべき行動がずっとあるわけです。 これは、何事においてもそうで、私は、今、いろんなところではっきり言っていますが、 やはりこういうものは考え方を切り替えるべきときではないかと思うのです。そういう ことで、今日、皆さんにお諮りしたということで、もう少し意見を聞きたいのですが、 いかがでしょうか。 どうぞ。 ○岡部委員 私の理解は非常に単純で、今の四類のままで、いわゆる高病原性鳥インフ ルエンザウイルスに感染したヒトが出た中で、仮に日本でH5N1が出た場合には、何 の処置もできない。届けだけ出してくださいということになると思うのです。 これがヒト−ヒト感染がほとんどない段階ならば、まあ何とかなるかもしれないけれ ども、ヒト−ヒト感染の可能性が示唆されているわけなので、実際、疫学上はそんなに ひどくはない。ただ、非常に密接なところでは起きやすい状況で、やはりこういう患者 さんが出たときには、早目にそれなりの入院措置あるいは経過観察が必要だろうという ところから、今のうちに指定しておいた方がいいんじゃないかということだろうと思う のです。 日本の行動計画でもWHOがフェーズ4に指定すれば、それに従ってというのがたし か書いてあったと思うのですけれども、WHO自身もそれをするには、恐らく各国の情 報を入れるので時間がかかるだろうといっているので、それを待って更に日本でプロセ スを取るのでは、非常に時間がかかって、むしろ実際的に、仮に日本で国内発生あるい は国外からH5N1の感染した患者さんが見つかった場合には、あるいはその疑いのあ る患者さんも含めて、早目にした方がいいだろうということが趣旨だろうと思って、私 自身の意見は賛成です。 ただ、事務局もしばしばおっしゃっているように、新型インフルエンザないしパンデ ミックウイルスが出るのは、確かにこれとは限らないので、それはそのときにきちんと した話し合い速やかに行っていただくということが前提になると思います。 もう一点よろしいですか。 ○倉田分科会長 どうぞ。 ○岡部委員 あくまで、これはウイルスの感染症であって、後で抗体だけの上昇がわか ったとか、そういうことは恐らくこの指定感染症の中に入るものではないのではないか と思いますけれども、その辺はちょっとはっきりしておいていただいた方がいいと思い ます。 つまり、例えばH5N1の血清抗体陽性者というのは現にいるわけで、そうい う方々にまでこれは及ばさないだろうということを確かめておきたいのですが。 ○倉田分科会長 どうぞ。 ○結核感染症課長 血清抗体者は入りません。あくまでも体内にウイルスそのものがい る方という整理です。 ○倉田分科会長 患者と考えていいですね。ほかに何か御意見はございますか。いかが でしょうか、どうぞ。 ○白井委員 届出を受け取る自治体側の意見として、症例の定義がどの段階で報告を受 けるのかというのは、今のお話では確定診断の段階で自治体は動くと考えてよろしいの でしょうかということなんですが、SARSのときには、ある程度動いた経験があるの で、疑い事例でも網を張ってという対応をしていたんですが、いろいろ医療機関からの 問い合わせを得る自治体側でどういうアドバイスというか、受け手をして、確定に至る までも時間はかかると思いますし、どうしても京阪神が一番最初に第1例を受けるよう な懸念もありますので、その辺を具体的に教えていただければと思います。 ○倉田分科会長 どうぞ。 ○結核感染症課長 症例的にはどうかという話と、確定診断後に動くのかという2つの お話だったと思いますけれども、確定診断後に動くかどうかということについては、ま さに次の資料2の関係での議題で出てくるのですが、それぞれ政令を指定する条文につ いて、具体的に言うと疑似症を含めるのかどうか、あるいは無症状病原体保有者を含め るのかどうかという議論になってきますので、そこについては、次の議題の方で御議論 いただければと思います。 ○倉田分科会長 それでは、今、いろいろ議論があると思いますが、後でまた全部含め て質問なり御意見をいただきますが、2の方の資料に移って説明していただいて、もう 一度今の御質問があったことの答えが出てくると思うのですが、よろしいですか。 それでは、説明をお願いします。 ○結核感染症課長 それでは、具体的に感染症法のどの条文を適用すべく指定をするか ということについての御議論でございます。資料の2−1をごらんいただきたいと思い ます。 資料2−1は、指定感染症というのは、そもそもどういうふうになっているか ということのおさらいをさせていただきたいという資料なのですけれども、まず、指定 感染症の定義につきましては、感染症法の第6条でこのように書かれておりまして、既 に知られている感染症の疾病であって、これは一類から三類を除くと。具体的に高病原 性鳥インフルエンザの四類、あるいはそれを除くインフルエンザの五類というのは、指 定感染症になり得ます。 それで、第3章から第6章までの規定の一部、または全部を準用しないと重大な影響 を与えるおそれがあるということで政令で定めるものを指定感染症と申しております。 指定感染症に対する法律の準用でありますが、1年以内の政令で定める期間で定める ということが1つのルールでございます。 2番目に書いてありますのが、更に延長が必要な場合は1回に限って、すなわち1回 延長ですから、最大2年間指定をすることができるということになっております。 3番目として、厚生労働大臣は、この政令の制定の改廃を立案しようとする場合には、 あらかじめ厚生科学審議会で意見を聞かなければならないと。こういう手続が決まって いる指定感染症でございます。 指定感染症といいますと、自動的に一類に指定するとか、二類に指定するとか、そう いうルールでありませんで、第3章から第6章までに書いてあるそれぞれの条文につい て、これは適用する、これを適用しないということを決めていくというのが指定感染症 の決め方でございます。 その第3章から第6章が何かといいますのが、資料の2−2でございまして、これは 今日の議論のたたき台ということで、事務局としてはこう考えますということを整理さ せていただいた資料でございます。 見方でございますけれども、黒い枠組みになっている部分と、なっていない部分があ ります。これは何かといいますと、白抜きになっている部分は、既に四類感染症あるい は五類感染症でも、感染症法上対応できることになっているものでございますので、今 回、これを追加する、しないという議論は必要ないと考えておりまして、白抜きになっ ていない部分について、それぞれ適用するか、しないかが議論になります。 上から、順に御説明をさせていただきたいと思うのですが、まず、先ほど御質問がま さにありました、疾病については少し整理が必要かもしれませんけれども、インフルエ ンザのH5N1亜型と、これは勿論症状があってということでありますけれども、その 場合、疑似症患者に対する適用が必要かどうかということが、まず1番目であります。 ここに、事務局の考えとして○と付けておりますのは、適用が必要だということであ りますけれども、これはH5N1を確定するのに、我が国でそれなりの時間がかかりま す。 したがいまして、H5N1までが確定するまで対応しないということになります と、蔓延の防止の十分な措置が取れないのではないかという考え方で○を付けておりま す。 次が、無症状病原体保有者に対する適用でありますけれども、これは具体的な事例と しまして、例えば入院をされて、症状がなくなった後も腸管からウイルスが排出される というような状況もあると認識しておりますので、その場合、症状がなくなった方に対 する対応というのが必要なのかどうかという議論なのですけれども、これについてもそ ういったエビデンスを考えれば、準用するということで、これも適用するということが 適当ではないかと考えております。 第3章は届出の関係ですけれども、獣医師の届出は、現在、適用になっておりません が、これについては、やはりトリに感染したものを想定しておりますので、現行はそれ ぞれ類型ごとに自動的に決まるのではなくて、それぞれの感染症ごとに獣医師の届出を 規定しているんでありますけれども、今回、獣医師の届出というものについては適用が 必要ではないかということでございます。 第4章の方に行きまして、17条の健康診断でありますけれども、これは、例えばH5 N1の患者さんがいた場合、その家族の方に健康診断の勧告をするかどうかということ なのですけれども、これはヒトからヒトへ感染することがあると認識をしておりますの で健康診断は必要ということで、○とさせていただいております。 就業制限でありますけれども、これも蔓延防止のためには必要だと考えております。 入院につきましても、先ほどWHOの医療施設に対しての中身をごらんいただければ と思うのですけれども、これについても入院の勧告をする制度、これの適用が必要であ るということで○としておりまして、以降、移送、退院等については一連の関係があり ますので、○が付いております。 第5章になりますけれども、27条から29条までは、既に第四類感染症で適用になって おりますので省略しますが、30条から33条までの関係でありますけれども、死体の移動 制限、これはやはり適用が必要だろうと認識をしています。 31条は、生活の用に供される水の使用制限というのがあるのですけれども、これは日 本の場合については、例えば池の水をくみ取ってきて飲むというようなことが、果たし てあるのかどうかということを実際に考えますと、何でも適用すればいいということで はないと思いますので、生活の用に供される水の使用制限については必要はないんでは ないかというのが事務局の整理です。 それから、建物に係る措置。これは、患者さんが出た建物の封鎖をして人の出入を止 めてしまうというような、一類感染症にのみ適用される条項であります。 33条も交通の遮断でありますけれども、患者さんが出た地域を封鎖するということで、 道路を全部止めてしまうという措置で、これも一類感染症のみに適用するものでありま すけれども、事務局の整理としては、今の段階でそういった建物の封鎖あるいは道路の 遮断というような措置までをあらかじめ適用するということを決めるような状況ではな いという認識で×とさせていただいております。 1ページをめくっていただきまして、医療以下のところなのですけれども、こちらに ついては支払いのルールとか、費用負担のルールとか、入院勧告に伴って発生してくる ものでありますので、これについては特段詳しい御説明は省略をさせていただきます。 第8章でありますけれども、具体的にいいますと、動物、トリの輸入等でございます けれども、これについては、一番厳しい措置が輸入の禁止というのがありまして、それ から段階的に届出までありますけれども、この輸入禁止というふうにいたしますと、発 生していない国からの輸入もすべて全面禁止ということになりますので、それは少し行 き過ぎているのではないかというような認識を私たちは持っておりまして、輸入の届出 という制度できちんとチェックをしていくということで、今の段階ではよろしいのでは ないかというのが事務局の整理でございます。 それから、第9章の費用負担でありますので、10章の雑則については事務的なお話で ありますので、この場での御説明は省略させていただきたいと思います。 以上でございます。 ○倉田分科会長 ありがとうございました。ただいま2−1、2−2に関する説明がご ざいましたけれども、何か質問あるいは御意見はありますか。 どうぞ。 ○高橋委員 素人で全く申し訳ないのですけれども、鳥小屋というのは建物ではないん ですか。 ○結核感染症課長 ちょっと確認いたします。 ○倉田分科会長 鳥小屋も建物ではないかという御意見ですね。 ○高橋委員 はい。 ○倉田分科会長 そうすると、第5章の32条ですね。建物に係る措置が×というのはな ぜかという質問です。 ○結核感染症課長 含まれるという整理です。 ○新課長補佐 法文上は建物ですので、現住建造物のみに限るということではなくて、 建屋を含むということです。 ○高橋委員 とすると、あえて排除された理由はどういうことでしょうか。そこまでの 必然性は考えられないということでしょうか。 ○新課長補長 非現住の建物、例えば鳥小屋の場合には、消毒等の措置というものが適 用できますので、その措置を講ずることで対応できるということで、必要最小限度の措 置としては、現在としてはその程度で十分ではないかと考えております。 ○倉田分科会長 よろしいですか。 ○高橋委員 はい。 ○倉田分科会長 ほかにございませんか。どうぞ。 ○岩本委員 1章のところで疑似症の件なのですけれども、1例目は確定例なんですね。 そういうことですね。その後、例えば冬に起こったら疑似症例というのはどうするので すかというところは、今、聞いてもしようがない質問かもしれませんけれども。 ○倉田分科会長 先生にしては、かなりしようがない質問ですね。先生が、例えばある 患者がいて、その周辺にいた人とか。 ○岩本委員 いやいや、インフルエンザ症状が出てしまった人ですね。1例日本で報告 があった後のインフルエンザ症例をどうするのだという質問ですけれども。 ○倉田分科会長 それについては、いかがですか。どうぞ。 ○結核感染症課長 ここは、現時点で症例定義というのは、2つの症例の定義の仕方が あると思うのですけれども、国内で発生していない段階では発生国でトリに接触をして、 38度以上の高熱があって、呼吸器症状か消化器症状があると、これがWHOの症例定義 ですので、症状から見ればそういう定義の仕方になると思うんですけれども、実際に法 を適用する段階で、どういう運用をするかということは、非常に難しい点があろうかと 思いますけれども、例えば最初の例をどうするかというお話がありましたけれども、確 定診断というのは、まさにH5N1というのが確定診断なのですが、事務局の議論では、 H5の段階で対応をするということは十分あり得るというように考えていまして、それ は疑似症の対応になると思います。 具体的に言いますと、先般、某県で70名ぐらいの方がH5N2で感染して発症がなか ったという事例がありましたけれども、合理的に今の医学的知見で判断すれば、H5に はN1とN2がありますけれども、H5N2の場合は、今のところは感染があっても発 症した人はいないというエビデンスですので、それを考えれば、症状があってH5とい うことがわかった段階で、何らかの対応をしてもそれほど間違ったことはないのではな いかと思いまして、そういう段階での疑似症という適用はあろうかと思います。 ○倉田分科会長 どうぞ。 ○岩本委員 先ほど岡部先生からの無症状の抗体陽性者の質問があったと思うのですけ れども、患者の人権のことを考えると、やはり抗原陽性で出た人をいつまで、この中に 入れるのかという議論は、恐らく科学的な根拠が要るんでしょうけれども、どこかでは っきりしておいた方が、この方はこの時期を過ぎたので、完全に外れたということをち ゃんと決めておく必要があるんではないかと思います。 ○倉田分科会長 これは、今まで百何例のうち、どのぐらいきちんと調べているか知り ませんが、あるいは感染して治った人の事例で、どのぐらいまでウイルスあるいは抗原 陽性になるか、田代さん、何か御存じですか。 ○田代委員 一番長いのが、呼吸器と糞便の材料から20日間ぐらいまでPCRで陽性だ というのがありますか、これはあくまでも遺伝子が見つかったということで、感染性が あるかどうかということははっきりしていません。 ○倉田分科会長 事務局、何ございますか。 どうぞ。 ○情報管理室長 WHOのガイドラインにもございますが、仮訳の2ページ目のところ にございますように「図1 医療施設におけるトリインフルエンザ感染対策実施」とい うことで、成人と子どもの場合にケース分けをしておりますけれども、これを見ますと、 成人の場合ですと、解熱から7日間は完全感染対策を継続、12才以下の小児については、 発症から21日間は完全感染対策を継続というような記載もございます。 いずれにいたしましても、他のヒトへの感染力がある間については、入院を継続して いただくというのが基本的な考え方になるのではないかと考えています。 ○倉田分科会長 岩本さん、よろしいですか。 ○岩本委員 はい。 ○倉田分科会長 岡部さんどうぞ。 ○岡部委員 疑似症のことなのですけれども、結局まだ症例定義がきちんと固まってい ないので、細かいところの議論まではいけないと思うんですけれども、前提としては、 恐らくこれはヒト−ヒト感染をなるべく広げないようにということですので、例えば疑 似症ならば、その患者さんと非常に密接なところでコンタクトがあったとか、あるいは 海外でも発生地で、それと疑わしいところである程度行動していたとか、そういうこと が明らかでなおかつ症状のある人というようなことに多分なっていくんではないかと思 います。 岩本先生が御心配になっている、例えばH5N1感染症が日本でいたと。その周辺、 一緒に食堂で御飯食べた人が熱があったときに、これを疑似症とするかというようなこ とだと思うんですが、そういうことではなくて、やはりある程度の制限は当然必要だろ うと思うので、もし疑似症を考えるならば、そこを話として入れていただきたいという こと。 それから、やはり周辺の状況によって広がり方が変わってくるので、それをかなり流 動的に考える要素を取っておいた方がいいと思うのです。 ○倉田分科会長 ほかに、御意見はいかがですか。 相楽先生どうぞ。 ○相楽委員 無症状の病原体保有者について伺いたいのですが、こういう方たちという のは隔離の対象になるんでしょうか。それと解除の基準とか、もしありましたら教えて ください。 ○結核感染症課長 無症状病原体保有者に対しても適用するということになり、かつ、 それで入院勧告も適用するということになれば、入院勧告の対象とすることができるこ とになります。 ○相楽委員 そうしますと、先ほどの入院の症状がなくなってから1週間で隔離解除と いうようなことがWHOの基準にあったかと思いますが、無症状の方の基準というのも それに準じてということになるのですか。 ○結核感染症課長 WHOのリコメンデーションを踏まえれば、症状がなくなって1週 間は便に出得るということを考えれば、その間が無症状病原体保有者ということで、こ の○×のとおりでよろしいということであれば対象になるということであります。 ○倉田分科会長 どうぞ。 ○阿彦委員 今の関連で2つあるのですけれども、1つ目は今のことで、今回の対象と なるウイルスが無症状病原体保有者という診断が可能なのかということを1つ教えてい ただきたい。 ○倉田分科会長 同じことを私も聞こうと思っていたのですが、それについて岡部さん か、田代さん、御意見をお願いします。 ○田代委員 陽性に出た例しか報告されていませんからわかりませんけれども、ベトナ ムで兄弟が発症した例があって、それでお兄さんと2番目のお兄さんの2人は発症して 入院してウイルスが見つかったと。3番目は無症状だったのですけれども、同じような 環境にいたものですから、念のために入院させて調べたらウイルスは見つかったという 例があります。 無症状の人が感染源になるかどうかという証拠は、今のところありません。だけれど も、ならないということを積極的に示唆する成績もないという状況です。 ○倉田分科会長 H5かH5N1かということに関するラボでの診断の技術があるわけ で、どうしてもみんなが疑うのならそれをやると。そうしたら、日本中H5N1の検査 だらけになってしまうかもしれませんが、そこは先生方の知恵等を使ってやらないと。 こういうのがあるからといって、もしかしたらといって全員でやり出したら、日本の病 院は全部インフルエンザの疑いで止まってしまいますから、そこはちょっと専門家の先 生方に努力していただいてということになるのだと思いますが、ほかにございますか。 どうぞ。 ○阿彦委員 もう一つは、指定に関することなのですけれども、3章から6章の全部ま たは一部を適用するということですが、病原体の種類が不明でないので、新感染症では なくて指定感染症だということだと思うんですけれども、ヒトにとっては新型インフル エンザということで新しい感染症には間違いないと思うんです。 そういった場合に、既存の3章から6章の対応では不十分で、新しい対策が必要な場 合があると思うのですけれども、例えば今までほかの病気ですと、感染歴が状況から明 らかな場合に、無症状のうちに予防内服というのが、今回タミフルで大きい政策として あるわけですけれども、そういう予防内服を接触のあった人に積極的に行うといった対 策は、今の感染症法の中にはないと思うんです。大々的にこれをやれば、かなりの副作 用事例が出てきて、健康被害が出てくると思うのですけれども、そういう大々的なタミ フルの予防内服を政策としてやるのであれば、副作用についての健康被害も想定した措 置として、法律改正には間に合わないと思うんですけれども、何らかの措置が必要だと 私は思うんです。 今回の指定感染症では、3章から6章という今までの既存の対策の 全部または一部の適用というようなことですので、それでは新しい対応が抜けるのでは ないかという感じがします。 それで、予算的にも多く使っているタミフルの予防内服等については、今回、指定感 染症指定に伴って、どういうことで対応になるのかを伺いたかったということです。 ○倉田分科会長 その辺、何か見解はありますか。 どうぞ。 ○結核感染症課長 今の行動計画でタミフルの使い方がどう書いてあるかと申しますと、 医療従事者の皆さんが患者さんと接触した後に発症前に投与するということが書いてあ りまして、そういう意味の予防内服なのですけれども、例えばある地域で患者さんが出 たときに、例えば半径5キロ以内の人に全員足止めして、皆さんにタミフルを一定期間 飲んでいただくというようなことまでするのかどうかということについては、今、行動 計画では想定していないという状況なんです。 もう一つのポイントとしては、要するに封じ込めのために、仮にタミフルを予防投与 として皆さんが飲んでいただいたときの健康被害をどうするかという話だと思うのです けれども、そこは、むしろ法律そのものの在り方みたいな議論だと思いますので、少し 今回の政令指定のお話を超える話かなと思いますので、そこは将来的な課題というふう に認識させていただくということで、お答えとさせていただければと思うんですけれど も。 ○新課長補佐 医薬品の予防投与について承認を受けておりますので、その医薬品の承 認の内容に従った投薬についての被害については、医薬品副作用機構法の救済の対象と なりますので、一定の医療費の補助、あるいはそういった死亡に対する保障ですが、こ ういったものがございます。 ○倉田分科会長 インドネシアとかベトナムで出て、それを押さえ込みにいった日本の チーム、田代さん、岡部さんも行っていますが、例えばある症例があったときに5キロ 四方にやるのかということではなくて、直接接触者ではないかと思うのですが、ちょっ と田代さんか、岡部さん、実際のときにどうやって止めているかという話をちょっとし てくれますか。 ○岡部委員 ペーパーに出たのでは、ある一定の地域に一斉に予防投与すれば、パンデ ミックの状況の時間をかせぐことができるというような数理モデルに基づいたのはあり ますけれども、実際にそういったような予防投与が適当かどうかということについては、 まだ議論中だと思うのです。 ですから、特に日本の場合は、前提としている備蓄は治療を前提にしているのではな いかと思うんです。勿論、限定的な使い方がある。 それから、私たちが調査や何かに行くときには、そのスタッフには勿論持たせていま すけれども、予防的に使うかどうかというのは、そこの現地での相当の接触によって判 断をしているので、すべてにあらかじめ飲んで現地に行けとは、私の方では今のところ 言っていません。 ○倉田分科会長 私の質問は、そういう意味ではなくて、現地でケースが出ていますね。 その周辺に日本のチームが診断とか、疫学調査に行きますでしょう。現地ではどうして いるかです。このケースの家族なり周辺にタミフルを飲ましているかと。そういうよう な答えが多分阿彦さんは必要だと思います。 ○岡部委員 私の知る限りでは、そういうところでは周辺への予防投与はやっていない と思います。 田代先生、いかがですか。 ○田代委員 ないです。 ○倉田分科会長 どうぞ。 ○工藤委員 臨床の呼吸器の方を担当する人間として、診断の問題というのは一番気に なるのですけれども、現在、194 名のWHOに報告されているケースの中で、接触歴が なくて発症しているというケースはあるんですか。 ○岡部委員 疫学的には、例えばベトナムとかタイのようなところで、明らかにトリと の接触がない人での発症というのはあります。ですから、それがヒト−ヒト感染の可能 性があるのではないかという疫学的な部分ですけれども、しかし、その人は全くスポラ ディクというよりは、直接患者さんとの同一家族にいるとか、極めて限定的なところな ので、それが広く感染の原因にはなっていないというところにとどまっています。 ですから、ヒト−ヒト感染の可能性はあり得るのだけれども、あるところがそれを原 因に広く広がっているという状況は、今のところ確認されていないと思います。 ○工藤委員 私が伺いたかったのは、診断の切り口です。何をもって臨床の現場の医師 が鳥インフルエンザの感染を疑うかと、そこのところで、私もベトナムの兄弟例は聞い ておりますけれども、ベトナムでのレントゲンは、私はスライドで1ケースしか見たこ とがないのですけれども、まるでSARSと同じようなARDSの格好だと思うんです が、そういうのというのは、通常我々は結構見ますから、別に鳥インフルエンザではな くても、いろんな場合に見るんです。レジオネラの感染も同じなのです。 ですから、ああいったときに何をもって鳥インフルエンザの方を考えて、そこの検査 までもっていくかという動機づけの問題が、この百九十何例では、どうしてここの診断 に至ったかということなのです。これは、やはり接触しているという背景を知った上で やっているということですかね。日本の場合には、それが非常に大きな問題だと。 ○岡部委員 日本と状況が違うと思うのですけれども、日本で診断する場合には、今の ところは、少なくとも疫学的リンクというものが動機づけになっていくのであって、A RDSを起こした患者さんについて、すべてH5のPCRを求めるということではない と思います。 ただ、例えば本当に広がり始めてきたときには、ARDSを起こしてきた方は、そう かもしれないということになるかもしれませんけれども、少なくとも今のヒト−ヒト感 染は可能性があるけれども、2次感染、3次感染という広がりがない段階では、疫学的 リンクが動機づけになると思います。 SARSの症例定義をしたときに、同じような議論が臨床の先生方からいっぱいいた だいているのですけれども、あのときでも我が国において何日以上の熱があって、AR DSを起こした人はみんなSARSかというと、そうではないんだという説明を随分申 し上げたと思うんですが、初期において同様だと思います。 ○倉田分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 先ほどの前半の方の1−1から1−4までの資料と2−1と2−2の資料全部含めま して、あるいは今までの議論を含めまして、何か質問、御意見はございますか。 どうぞ。 ○岡部委員 1つ質問は、感染症の規定の中の第3章の獣医師の届出なのですけれども、 ちょっとはっきりしておきたいんですが、獣医師は動物の届出ですね。今までのでもす べて人の届出はないので、H5が出たときも獣医師の届出は、1つは家伝法でいってい ると思うんですが、どういうものを対象にして考えられておられるか。 ○情報管理室長 家きんの場合は家伝法で獣医師の届出は当然かかっているのですけれ ども、感染症法においてもヒトへの感染例の把握と申しますか、サーベイランスのため に届出をしていただく必要があろうというふうに考えておりまして、対象は家きんのみ ならず、鳥類全般について、例えば野鳥でH5N1が取れたというようなときについて も届出をしていただこうかなというふうに考えております。 当然、家きんと重なる部分については、農林水産省に対する届出と、それから厚生労 働省に対する届出というのが重複するわけですけれども、それは運用でうまく調整をし ていきたいと考えております。 ○倉田分科会長 ほかにいかがですか。 どうぞ。 ○岡部委員 確認ですけれども、あくまでウイルスや何かが取れたときということです。 それから、別に野鳥ではなくても、そんなことはないと思うのですけれども、たまたま ネコから取れたとか、含まれると考えてよろしいと思います。 ○情報管理室長 対象動物のところは少し検討が必要かもしれません。想定しておりま すのは、とりあえずは鳥類ということで考えております。 ○倉田分科会長 ほかに、どうぞ。 ○菅沼委員 インフルエンザに関しては、鼻腔とか咽頭からの迅速診断がございますけ れども、鳥インフルエンザの場合にそういうのはじきにできるとか、そういう何か情報 があったら教えていただきたいと思います。 ○倉田分科会長 検査ができるかですか。 ○菅沼委員 そういう迅速診断に製薬会社などが取り組んでいるのかどうかということ。 ○倉田分科会長 これは、田代さんの方からお願いします。 ○田代委員 非常に大事な問題なのですが、通常のヒトのインフルエンザに対する迅速 診断キッドというのは、通常鼻腔をスワブで拭って、そこで感染している細胞を取って きてその中に存在しているウイルスの抗原を見つけるというのが原理なんですが、先ほ どお話ししましたように、現在のトリ型のインフルエンザがヒトに感染している限りは、 鼻腔の中にはほとんどウイルスは増えません。 ですから、ベトナム、タイの例では、現行のヒト用に日本でたくさん使われている迅 速診断キッドは、ほとんど役に立たないという評価をなされています。 これが、もしヒト型に変わって、鼻腔でよく増えるようなウイルスになった場合には、 検出のメカニズムになっているウイルス抗原は、内部タンパクなのですが、それは今の 想定されるトリ由来の新型インフルエンザと、現在のヒト型のウイルスとの間で全く抗 原性は同じだと考えられますので、その場合にはA型として検出できると思います。 更に、それがH5かどうか、もしくはほかの亜型かどうかということについての迅速 診断キットは、今、開発中で実用化には至っていません。 ○菅沼委員 そうしますと、一般の臨床で一番最先端にいますので、風邪の患者さんが 来まして、鳥インフルエンザがはやった時点で、そうしますと、もし鼻腔の迅速診断を 使えるとなった場合に、普通のインフルエンザと鳥インフルエンザの選別はできません ね。 ○田代委員 今の方法では鑑別できません。 ○菅沼委員 そうしますと、どちらもタミフルを与えるということですね。 ○倉田分科会長 ちょっと待ってください。今の開発中のものというのは、いつごろき ちんと出てきますか、そちらの方が先の話で、何年か先の話をしていてもしようがない のですが。 ○田代委員 幾つかキャンディデイトがあって、これから臨床試験をやっていかなけれ ばいけないわけなのですが、早くても半年かそれ以降になると思います。 現時点では、RTPCRといって遺伝子を検出する方法が非常に検出率が高いと、 100 %ではありませんけれども、それができるところは、各地方衛生研究所を含めてか なりのところにありますし、それについてどういうような方法で、どこに依頼して、ど ういう検査をするかということは、既にガイドラインに出ていると思いますけれども、 現時点ではそれで診断していただくということになると思います。 ○菅沼委員 ありがとうございました。 ○倉田分科会長 各都道府県に、あるいは政令都市に、あるいは中核都市に地方衛生研 究所というのがあります。そこではすべてできると。それ以外に一生懸命やっていると ころではやれるということですので、どこにもないということではないと。疑わしいの は全部、今までもそうですが、いろいろな問題について感染研に来ているわけで、検査 する方法はありませんということではないということです。 ただ、一般の先生が、今のインフルエンザの鼻にちょっとやっているような、あのや り方に行くまでにはもう少し時間がかかりますよということだと思います。 そういうことですので、周辺の証拠から、どうしてもこれは鳥インフルエンザにかか っているのではないかというときには、これはよく御相談していただいて、それででき るだけ早く検体を実験室に持ち込むというのが、日本はそういうシステムは、よその国 よりもはるかに機動的になっていますから、それをちゃんとやっていただくということ だと思うんです。 あと、その間は、できるだけこれが実際の症例として日本に飛び込んでくるのが少し でも遅れれば遅れるほど診断の普及の方が行きますから、今までの議論から行きますと、 そういうことだと思います。 ほかに何かございますか。 どうぞ。 ○廣田委員 普通の感染症のときは、蔓延し出したときに一番強力な対応をすることに なるわけですけれども、このH5N1の場合は、本当に初期の段階で封じ込める、ある いは蔓延を遅らせるということで、実際に猛威を振い出したときには、むしろこういう ことをやっていられないわけですね。こういうことを解除していく方向になると思うの ですけれども、そういったときの手順というのは、どんなふうになるんでしょうか。 ○倉田分科会長 いかがですか。 ○新課長補佐 指定感染症につきましては、政令で指定をし、また、それについては事 後に改廃が可能でございますので、解除が必要と判断をされた場合には、厚生科学審議 会の御意見を承りまして、政令を改正する、あるいは失効させるという手順になります。 ○倉田分科会長 後の方でも多分報告事項の中で説明があると思いますが、そういうこ とを検討している専門家の意見もあるようですから、パンデミックのときはどうするか というのも想定したいろいろな考えをつくられておけばよろしいのではないかと、この 次はこういうことだと、それが本当の事前の準備だと思うので、そういうことだと思う んですが、それに必要な実験室の診断計をより確実なものにして、それをより普及させ るということが一番の肝心なことかなと思っております。 ほかに質問はございますか。 どうぞ。 ○田代委員 今の廣田先生の質問と関連するのですが、新型インフルエンザが流行した 場合に、最盛期は必要ないというか、むしろ足かせになってしまう可能性があるという ことで、そこで指定解除するか何かのことが必要になってくるかと思いますが、過去の インフルエンザの場合は、第2波、第3波というのが起こってくるわけです。そうする と、また同じようなことを初期の段階ではやらなければいけないかもしれないし、もし くは継続しておいて一時中断というか、そういうようなことも必要で、むしろその方が 能率はいいのかもしれませんけれども、その辺の手続というのは可能なんでしょうか。 ○倉田分科会長 どうぞ。 ○新課長補佐 指定感染症の規定の適用等については、すべて政令に委任されておりま すので、厚生科学審議会の意見を聴いた上で政令を改正あるいは廃止等を行うことは可 能でございます。 ○田代委員 そうすると、そのたびごとにやるというになりますか。 ○新課長補佐 法律の委任を受けた政令ですので、その都度に行うことが必要になって くるかと考えられます。 ○倉田分科会長 その迅速性が重要だと、そういうことですね。ほかに何かございます か。 どうぞ。 ○木村(哲)委員 少し別の観点からなのですけれども、今回は、WHOのフェーズ4 宣言より先に指定感染症にしようということなんですけれども、そしてその制限が2年 間ということですが、この2年間、フェーズ3のまま何事もなく経過した場合、その先 はやはり同じような状況ですから、指定感染症として扱っておく必要があるのかなと思 うんですが、2年を超えた場合はどうなるんですか。 ○倉田分科会長 その前に、先ほどの表を見てもらえればわかるとおり、刻々と状況が 世界的に広がってきているので、2年待たずに何が起きるかわからないというのが本当 のところだと思うのですが、超えた場合にどうするかについてお答えください。 ○結核感染症課長 現行制度では、一旦御破算ということで本当に戻ります。ただ、改 めて必要かどうかという議論をしていただくということになろうかと思いますし、場合 によると2年後にはもう少し医学的知見がもっときちんとわかってきていれば、法律の 中できちんと入れるというような議論もあり得るかもしれませんし、また、H5N1以 外のものがいろいろ問題になってくる可能性もありますので、2年後は、とりあえず法 制的にはそういう格好になると思います。 ○倉田分科会長 法律は法律でいいのですが、実際にどういうふうに飛び出してくるか わからないし、こういう準備があることによって、それに対する対応がよりスムーズに なると私は思っていますが、それがないと、またどうするんだ、こうするんだと、ばた ばたになるということでは、一つの道をきちんとつくっておくことによって、いろいろ な派生したものが起ったら、そのときに臨機応変に考えるということが、ここに集まっ ている先生の知恵であり、経験であり、今後どうするかという対応になるんだと思いま す。そうでなければ、この審議会の意義は全くないと思います。 そこで、先生方のお知恵と経験を、こういうときはどういうふうになるのかというこ とを法律はこうなっていると、それは法律でいいんですが、法律というのは、この場合 は人を助けるためにあるわけで、そういうような考え方で物事を考えていく必要がある。 私はそれをお願いしておきたい ところで、ほかにまだ御意見はございますか。よろしいですか。 これの指定に関しましては、異議のある方に関しては、また意見を聞いてということ ですが、異議のある方は是非御意見を言っていただいて、最終的には全会一致が一番望 ましいわけですが、御異論がある場合には多数決というのがルールのようですので、皆 さんの御意向をお聞きしたいわけで、それにつきましてはいかがでしょうか。これはけ しからぬという人がいたら是非御意見をお聞きして、その場合には多数決ということに なると思うのですが、まだほかに御意見があれば、今のうちに言っていただいて、よろ しいですか。 どうぞ。 ○丹野委員 異論ではないのですけれども、先ほどからちょっと確認をさせていただき たいので、何人かの先生方から御意見が出て、疑似症患者さんの取扱いとか、それから 無症状病原体保有者につきましては、是非指定感染症になったときに、きちんとしてい ただきたいということを確認させていただきたいと思います。 ○結核感染症課長 そこは、今ある医学的知見を最大限集めて、最も妥当なものをつく りたいということで考えております。 ○倉田分科会長 よろしいですか。ほかにございますか。 どうぞ。 ○川城委員 患者さんを預かる方の立場からの心配と確認なのですけれども、資料の2 −2の第6章の第38条「感染症指定医療機関」ということなんですが、どういう病院に なるのか、お世話する患者さんが出たときに指定感染症に指定された後、実際に発生し た場合に、我々はその辺の受け皿をどういうふうに考えておけばいいのかなという質問 なんですけれども。 ○倉田分科会長 事務局、お答えください。 ○結核感染症課長 この原案のとおり、仮にお認めいただくとした場合には、感染症法 に基づく特定感染症医療機関、第1種感染症指定医療機関、第2種感染症指定医療機関 が入院勧告を受けた場合の患者さんの受け皿になります。 ただ、非常にベッドの数に限りがありますので、それでは足りないというような判断 が都道府県知事の方であった場合には、陰圧病床を持っている医療機関が別途指定をそ の段階で受けて、その受け皿を担っていただくと。 具体的にいいますと、多分先生がお知りになりたいのは結核療養所がどうなるのかと いうことだと思うのですけれども、結核療養所で陰圧病床を持っているところは、その 段階で、都道府県がそれぞれの御判断で必要だと思われれば追加をさせていただくとい うことはあり得るということで御認識をいただければと思います。 ○倉田分科会長 よろしいでしょうか。 どうぞ。 ○川城委員 結局、その場合に、具体的に本当にパンデミックになると、その部屋の確 保というのは、結核病床を持つ病院でもスムーズに行くかどうかというのは、やはり考 えておかないと、今、全然大丈夫ですから、どうぞ御安心くださいという状況ではない と思います。 ○倉田分科会長 今回の指定感染症というのは、パンデミックのずっと前の段階だと思 いますので、それについては、先ほど私が申し上げましたように、パンデミックに対し てどう対応するかというのは、是非厚生労働省として、オープンにするのは別としても 方針を出しておく必要はあるでしょうね。具体的なことです。それを事務局にお願いし て、先ほど言いました委員会も幾つかできるようですから、その中で十分に検討してい ただくということかなと。それが先生に対する答えだと思うのですが、ほかに何かござ いますか。 どうぞ。 ○喜田委員 そのときの文言で、さっきからうるさいことを申し上げますが、鳥インフ ルエンザというのを使う場合には漢字でお書きください。それで、表現するときに、鳥 インフルエンザという人の病名があるような表現だと大変ややこしくなりますので、例 えばインフルエンザH5N1というのも本当は正しくないので、H5N1ウイルス感染 症とかインフルエンザ、H5N1にウイルスによるインフルエンザでしょうか。その程 度の配慮はお願いしたいと思います。 ○倉田分科会長 用語についてですが、いかがですか。 ○新課長補佐 政令の規定につきましては、法制的な点検をいたしまして、今、御指摘 のように、病原体が特定のインフルエンザウイルスであるということを確定したもので 表現をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○倉田分科会長 喜田先生、よろしいですか。 ○喜田委員 はい。 ○倉田分科会長 ほかにいかがですか。どうぞ。 ○岡部委員 喜田先生のあれなのですけれども、H5N1によるインフルエンザという 病名ではないと思うんです。 ○喜田委員 いや、H5N1ウイルスによるです。 ○岡部委員 H5N1感染症がインフルエンザという病系を取るかどうかわからないわ けですね。 ○喜田委員 そうです。ただ、病気の名前を書かないといけない法律ですから、だから 私も悩んでいるのですが、そこにH5N1と入れるのは、H5N1というのはウイルス に対するサブタイプの表わし方ですので、病気にはいかないわけです。だから、H5N 1インフルエンザという病気があるわけがない。そこで同じだと思います。 ○倉田分科会長 そこのところの表現の仕方、前のときにどういう議論があったか知り ませんが、鳥インフルエンザという名前が付いたことについてのいきさつもあったと思 うのですが、そこのところで今度の表現の仕方は、そういうことを関係者が納得いくよ うな表現にしておいていただけるとありがたいということだと思います。 ほかに何かございますか。 どうぞ。 ○岩本委員 くどいようなのですけれども、今の議論は、やはりSARSの場合は、重 症急性呼吸器症候群、SARSコロナウイルスに限ると書いてあるわけですね。だけれ ども、この場合には、今はないし、こういうときにつくっておくという事情はよくわか るのですけれども、今の議論で、やはりインフルエンザ、何でH5N1に限ると言わな いのかみたいなところの詰めは要るようには思うんです。 ○倉田分科会長 非常に大事なことなのですが、先ほどから出ているように、また次の ほかのも出てきて状況が変わったら、そのときはという話だったと思うんですが、それ について課長、意見をお願いします。 ○結核感染症課長 こう書いてありますが、事務局の整理としては、インフルエンザの 病気についてA型のH5N1亜型のウイルスによるものに限るという整理です。 ○倉田分科会長 よろしいですか。今、世界的にはやり出したものに関して、それを指 定感染症としてとらえるということだと思います。 ほかに何か意見はありますか。 どうぞ。 ○高山委員 先ほど病床のことで話が出ていましたので、ちょっと付け加えさせていた だきたいのですけれども、小児の完全隔離が21日間となっていますけれども、通常子ど もの入院期間が1週間あると我々は長いと感じています。それを21日間どうやって中に 押し込めておくことができるのだろうかと。また、日々の生活の世話はだれがどうやっ てやったらいいのだろうかということは、想像もできないぐらいです。 もし、本当にこういうことをしようとなさるのでしたら、子どもの生活を院内でサポ ートする手当もしていただかないと、医者や看護婦だけではとてもできないということ をよく考えていただきたいと思います。 ○倉田分科会長 入院措置の重要な提案がありましたので、それも含んだ格好で考えて いただくということになると思います。 それでは、更に意見はありますか。なければ、全員異議なしということならば、多数 決はやりませんが、そうでなければ、審議会のルールによる多数決することになってい ますが、よろしいですか。多数決なしでいいですか。 (「はい」と声あり) ○倉田分科会長 それでは、全員一致でということにさせていただきます。 それでは、事務局、次の方に移りたいと思いますが、そのほか、全般に関して何か言 っておきたいことがありましたら、是非言っておいていただいて、報告事項に移ります。 どうぞ。 ○山田委員 今回のH5N1については、病原体がはっきりわかっているからいいので すけれども、今回こういう格好で事前に指定するというのは、いわゆるイマージングデ ィジーズが出たときの対応を早くしたいと。病原体が不明なものの場合にも、やはり同 じような手続が非常に複雑で、非常に長くかかるということがあると、やはり対策が後 手に回るということは十分考えられるので、病原体が不明な場合、イマージングディジ ーズが出てきた対応というのを、やはり国として危機管理という格好で、速やかに対応 ができるようなスキームを是非つくっていただきたいと思います。 以上です。 ○倉田分科会長 ほかに御意見はありますか。全体でいいです。御意見だけをお聞きし ておきます。 なければ、気がついたら、後でインフルの報告事項がありますから、それが終わった 後でどうしてもということがあれば、もう一回お聞きします。 どうぞ。 ○結核感染症課長 報告事項の前に資料の3でもう一つ議論していただくことがござい ます。 これは、あらかじめ政令を指定する前に意見をというような法律上の手続があるわけ ではないのですけれども、やはり非常に重要な事項でございますので、審議会で御審議 いただきたいという事項でございます。 資料3をごらんいただきたいと思います。 検疫感染症における政令での位置づけのことでございます。今まで議論していただき ましたのは、国内に入ってきたときの対応でありまして、これからの議論は、水際、検 疫での対応ということですので、また違うものだということで、切り替えて議論をいた だきたいと思うのですけれども、この検疫で対応する感染症というのが、ここに書いて ありますような検疫感染症ということで定められておりますけれども、一類感染症につ いては自動的に検疫の対象になります。それから、コレラと黄熱は指定されていると。 ここまでが検疫の感染症でいろんな措置ができるようになっております。 その検疫感染症の中で、4番目に「国内に常在しない感染症のうちその病原体が国内 に侵入することを防止するためその病原体の有無に関する検査が必要なものとして政令 で定めるもの」という検疫感染症のグループがございます。停留ですとか、入国を止め るというものではなくて、強制力をもって、その方の一定の状況を満たす方に検査をす るということを検疫法で義務づけるということが可能になっております。 実際に、今、どういう病気が対象になっているかと申しますと、下の方の抜粋に書い てありますように、デング熱とマラリアが検査の対象となっている検疫感染症になって おります。 これも新型インフルエンザ行動計画では、フェーズ4になった段階で停留をするよう なことを検討すると決めてあるのですが、現在どうなっているかというと、H5N1の 患者さん、あるいは感染している方々は、特段検疫はパスをしてくるというような状況 でございますので、今の医学的知見、感染性ということを考えた場合に、デング熱ある いはマラリアと同様に帰国されて、一定の症状等で状況を満たす方については、健康診 断を受けていただくというような対象にする疾病として検疫法で位置づける必要がある のではないかということで、これが2番目の議題で、今、御説明させていただいている ものです。 2ページ以降は、検疫法の関係する条文を付けておりますので、もし議論の中で必要 になりましたら、これを御説明させていただきたいと思いますけれども、御説明は以上 でございます。検疫法の中で健康診断を受けていただくことを義務づける病気としてイ ンフルエンザH5N1に限るのですけれども、この指定を改めて政令で定めたいという ことでございます。 ○倉田分科会長 何か御質問はございますか。先ほどの関連のある検疫法に関してです が。 よろしいですか。このデング熱、マラリア、その次に入れるということですね。 何か質問はございますか。 それでは、これに異議ありという方がいましたら、御意見をお聞きしたいのですが。 この中の第1条にインフルエンザ、今のH5N1、病名の形がこうなるかどうかは別 として、中身はそういうものを入れるかどうかということです。入れるなという御意見 があれば、是非御意見をお聞きしたい。よろしいですか。 どうぞ。 ○岡部委員 済みません、念のためになんですけれども、これは私、必要だと思うので すけれども、これがパーフェクトで水際作戦ができるんだという宣伝にならないように していただきたいと思います。これはミニマムなことであって、これで確実に侵入を防 止できるというほどのものではないと思うのです。 ○倉田分科会長 事務局、いかがですか。 ○情報管理室長 今回は、あくまで現時点において、フェーズ3の段階において必要な 措置を取ると。これが当然フェーズ4になりパンデミックになった場合には、当然また 別の対応が必要になってくると思うのですけれども、そのときには、また先生方の御意 見を伺いながら適切に対応したいと思います。 ○倉田分科会長 いいですか。 ○岡部委員 はい。 ○倉田分科会長 ありがとうございました。ほかに、どうぞ。 ○田代委員 質問というか確認なのですけれども、この検疫法では、健康診断を受ける ということと検査をするということで、もし万一そこで陽性ということがわかった場合 には、国内の法律、先ほどの感染症法でその時点から対応するわけですね。 ○倉田分科会長 それで、よろしいですね。 ○結核感染症課長 はい。 ○倉田分科会長 ほかにいかがですか。どうぞ。 ○岩本委員 意義はわかるのですけれども、ただ、どういう状況でどういう方を検疫す るんですか。発生国の熱のある人をやるのですか。発生国からの旅行者の熱のある人を 成田空港でやるということですか。 ○倉田分科会長 SARSのときのような発想になるのではないでしょうか。せきが出 て、熱があって、その発生した場所は多分こっちの方が情報は早いと思うんですが、そ こでどこから入ってきたかなど、いろいろ聞いているうちに話はわかってくると思うん ですが、岡部さん、そんなところでよろしいですね。 ○岡部委員 はい。 ○倉田分科会長 事務局、よろしいですか。 ○結核感染症課長 はい。 ○倉田分科会長 そのときの状況により、その対応は少しずつ違うかもしれませんが、 原則はそういうことです。 ほかに何かありますか。よろしいですか。これに関しては、異議なしということでよ ろしいですか。 (「はい」と声あり) ○倉田分科会長 それでは、そのように取扱いをお願いします。 次に、報告事項になります。議題はこれで今日は終わりになりますが、報告事項につ きましてお願いします。 ○情報管理室長 報告事項は2点ございます。1点は新型インフルエンザ対策について ということで、行動計画でありますとか、専門家会議の設置、ガイドライン、それから 予算について御説明をいたします。 もう一点は、感染症法の改正案の現在の状況につきまして、状況を報告させていただ くという2点でございます。 資料につきましては、参考資料の1−1あるいは1−2、1−3、1−4が新型イン フルエンザ対策関係ということでございます。 詳細につきましては割愛をさせていただきますが、新型インフルエンザ対策行動計画 についてということで、参考資料1−1に付けてございます。 昨年10月28日ですけれども、大臣を本部長といたします厚生労働省の新型インフルエ ンザ対策推進本部を立ち上げたところでございまして、11月14日に新型インフルエンザ 対策の行動計画を策定したということです。 厚生労働省が中心になりまして、この行動計画を策定したわけでございますけれども、 厚生労働省の所掌だけではなくて、各省にも話が及びますので、各省をまたがる行動計 画ということで、関係閣僚による会合等々も行われているということでございます。 それから、資料にはございませんが、本年の1月12日、13日に新型インフルエンザ早 期対応に関する東京会議ということで、国際会議を開催しております。日本政府とWH Oの共催で23か国、6国際機関の専門家の先生方等々お集まりいただいて会議が開催さ れました。特に、早期封じ込めに争点を当てた最初の国際会議ということで開催をされ ているということでございます。 それから、参考資料1−2でございますが、行動計画はフェーズごとの対策について 骨子でどういったことをやるということが決められておるわけでございますけれども、 具体的、専門的あるいは技術的事項につきましては、なかなか言い尽くせていない部分 もございます。あるいは詳細なガイドラインが必要だというようなこともございますの で、厚生労働省の新型インフルエンザ対策の幹事会の下に新型インフルエンザ専門家会 議を昨年の12月27日に設置をして、具体的、専門的、技術的事項について調査審議をお 願いをしようということでやっております。 具体的には、2枚目に委員の先生方のリスト等々がございます。 それから、参考資料1−3にございますが、各種のガイドラインについて御議論をお 願いしようということを考えております。 今日お付けいたしましたのは、まだこれはドラフトの段階でございますけれども、現 在とりまとまっているガイドラインについて参考までにお付けをしたということでござ います。 今後、専門家会議で更に、また今回新たな政令指定というような動きもございました し、それからWHOの方からもガイドライン等々出ておりますので、そういったものも 参考にしながら専門家会議で更に詳細について御検討をいただこうという予定にしてい るところでございます。 それから、参考資料1−4でございますが、新型インフルエンザ対策関係の予算関係 の御説明でございます。 まず、平成17年度、昨年度の補正予算におきまして、厚生労働省関係でございますが、 全体で240 億円の予算措置、これは補正予算でございますけれども、予算措置をされた ということでございます。 一番大きなものは、抗インフルエンザウイルス薬、タミフルの備蓄費用に関する経費 でございまして、162 億円措置されたということでございます。 タミフル750 万人分の経費ということでございまして、現在までのところ、257 万人 分が既に購入をされまして備蓄をされているというような状況になっております。残り の500 万人分については、この夏以降に順次備蓄されるというようなことになっており ます。 2つ目は、ワクチン供給体制の確保事業費ということで、77億円の経費を計上 しております。 それから、先ほど検査キットのお話が出ましたけれども、新型インフルエンザ診断の 検査キット開発事業費ということで1億円の経費が計上されているということでござい ます。 タミフルの備蓄につきましては、2,500 万人の方が医療機関を受診するだろう という想定の下で、それに必要なタミフルを備蓄しようという計画を行動計画の中で立 てております。 そのうち、400 万人分については、流通分を手当することで可能。残りの2,100 万人 分について、政府と都道府県とで2分の1ずつ備蓄をしようということでございまして、 国の1,050 万人分のうちの750 万人分が既に予算措置されたということでございます。 都道府県の1,050 万人分につきましては、地方交付税措置をいたしまして、それぞれ 都道府県の方から備蓄計画を提出していただいているところでございまして、全県で 18年、19年の2か年間で1,050 万人が備蓄されるというような状況になっているという ことでございます。 2枚目は、本予算でございます。平成18年の新型インフルエンザ対策関係予算案とい うことで、感染症全般を含んでおりますが、3番目に「抗インフルエンザウイルス薬の 備蓄」と出ておりますが、タミフルの備蓄だけではなくて、耐性等々の問題も勘案いた しまして、リレンザにつきましても、こちらの本予算の方で手当をしております。リレ ンザ30万人分について予算措置を平成18年度にしているというような状況でございます。 以上が新型インフルエンザ対策についての現在における進捗状況でございます。 もう一点、感染症法の改正案につきましての現在の状況ということでございます。 先生方には、先月になりますが、法律案の要綱でありますとか、新旧を冊子にしたも のをお送りさせていただいております。御一読いただいているかと思いますけれども、 概略を説明したいと思います。 まず、現在の状況でございますが、昨年10月11月にかけて御審議をいただきました。 その後、法制上の整理等々、あるいは各省協議等々を行いまして、3月10日に政府案と して閣議決定をいたしました。現在、国会の方に送付をされております。衆議院の方か ら議論されるというふうに聞いておりますが、今後、国会での審議が予定されていると いうことでございます。 参考資料2の1枚目にございますが、これが今回の法律案の全体の概要ということで 整理をしたポンチ絵でございます。 主要な改正事項は3点ございます。テロ対策あるいは事故による感染症の発生・蔓延 防止するための病原体の管理体制を確立していくということ。 2つ目といたしまして、感染症の分類の見直し。それから結核を感染症法に位置づけ で総合的な対策を実施するということでございます。 そのほか、これに関連をいたしまして、例えば検疫法で、コレラ、黄熱を検疫対象か ら除外をするでありますとか、あるいは予防接種法につきましても結核の定期の予防接 種を位置づけるということから改正をされるということでございます。 施行につきましては、一番下に書いてございますように、公布の日から6か月以内に 政令で定める日というふうになっております。結核につきましては、平成19年4月1日 ということでございます。 2枚目でございますが、病原体の管理に関する概要でございます。ここは、もう御議 論いただいたところでございますので、詳細は省略させていただきますが、一種、二種、 三種、四種ということで、所持の禁止をするもの、あるいは事前に許可を受けなければ 所持等できないもの、あるいは届出をしていただくもの、あるいは基準を遵守していた だくというような四類型に分けて、それぞれ管理をお願いするという形になります。 先ほど施行期日で6か月以内で政令で定める日というふうになっております。まだ、 法律案は国会で審議いただいていないわけですけれども、公布になりましたら、その施 行まで非常にタイトに作業を進めなければいけないというようなことがございます。具 体的な基準、政令、省令等々で定めていくということになろうかと思います。 この下に掲げてございますような施設基準でありますとか、使用基準等々についても 作業を進めなければいけないというような状況でございまして、先生方には改めて政省 令の内容につきましては、御意見をお伺いしたいと考えておりますので、よろしくお願 いしたいと考えています。 また、詳細な条文等々につきましては、その際にも改めて御確認をいただければとい うふうに考えております。 その次にページをめくっていただきますと、感染症分類の見直しということでござい まして、南米出血熱を一類に加え、SARSを二類、結核を二類、コレラ、赤痢等々に ついては三類、それから新たに四類感染症として、ここに掲げてあるようなものを追加 するということでございます。 次のページでございますが、結核予防法を廃止いたしまして、感染症法の方に統合す るということになっておりますけれども、その関係図を示したものでございます。結核 固有の規定につきましては、結核という章を設けまして、この中で規定をするというこ とになっております。 基本的には、現在行われている結核対策をそのまま継続し、感染症法の中で継続し、 かつ現在まで取られなかった部分については、新しい感染症法の中で対策が取れるよう にというものでございます。 以上が新型インフルエンザ対策あるいは感染症法改正の状況報告ということでござい ます。 ○倉田分科会長 ありがとうございました。それでは、時間がまだちょっとありますか ら、これらにつきましては、もし十分な時間が必要だとしたら質問等に関しましては、 また事務局へお送りいただくなりすることにしまして、何か基本的な問題につきまして、 今、報告がありました参考資料のインフルエンザ対策の面と、感染症予防法の改正部分 についての概要が出ていますが、これに対して何か質問がありましたら、どうぞ。 それでは、先に参考資料1−1から1−4までの新型インフルエンザ対策についての 幾つかの行動計画そのほかの案が出ていますが、これについて基本的なところで、こう いうところを押さえておいたらどうかとか、何か御意見がありましたらどうぞ。 今、この場でどうぞと言われて、これは何だと言えないと思いますので、これは確定 版ではありませんから、こういうところはこういうふうにしたらどうだという意見があ りましたら、そこにある検疫、診断治療、院内感染対策、患者移送、それから対策の積 極的な疫学調査、こういうような問題が全部入っております。 これにつきまして、御意見がありましたら、電話ではなくて文章にて事務局の方にお 送りいただいて、その上で検討してもらうということにしたいと思います。 次の感染症の法律改正の部分ですが、重要3点がございますが、参考資料2の1ペー ジ目です。これらを含めまして、更にいろんな御意見があるやもしれませんが、ありま したら、是非前もってお送りいただいて、既に議論があって答えが出たものについては お答えいただき、更に議論が必要なものは、事務局として検討していただいた上で返事 をするということにしたいと思います。 よろしいですか、どうぞ。 ○高橋委員 これまでの議論の経緯から、いわゆる結核の統合については、去年から随 分いろいろ議論があって、議論をまとめるときに、私はあのときに多分座長がおまとめ になって、要するに承認するということでおまとめになったと理解しているのですが、 ただ、それと同時に、いわゆる結核医療関係者に対しては、いろいろと御説明されて理 解を得るという努力をされるということを事務局はおっしゃったわけで、この間、どう いうような御努力をされたのかということについて、少し御説明いただきたいと思いま す。 ○倉田分科会長 では、その件をお願いします。 ○結核感染症課長 その都度、その都度情報の御説明をし、御意見をいただいて、でき るだけ反映させたつもりでございます。具体的には、学会関係では、結核病学会、感染 症学会、それから呼吸器病学会の方に二度はお伺いをして、会長さんを始め、お集まり いただければ、理事の皆さん方にも御説明するというようなことをさせていただきまし た。 それから、衛生部長会にも何度かお邪魔をして状況の説明、あるいは問題点があれば 御指摘をいただくというようなこともありました。 それから、結核の療養所の先生方とか、特に結核に関係があると思われるような先生 方には、少なくとも一度は私どもの方で足を運んで、その段階で御説明できる範囲で御 説明をし、いろいろ問題点については御指摘をいただき、反映されられるものについて は反映をさせていただいたということです。 ○倉田分科会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。 どうぞ。 ○重藤委員 今のお話に関連しまして、私もいろいろ御説明を受けましたし、あちらこ ちらで御説明されていることはよく存じておりますし、専門家はみんなそういうことを 了承しつつあります。ただ、一般の反応としては、結核に関する認識が、もういいのか という反応がまず一番に来ます。ですから、一般に向けての啓蒙とか、そういうことを よろしくお願いいたしたいと思います。 ○倉田分科会長 ほかにいかがですか。事務局、その辺よろしく。 それでは、更に御意見もあろうかと思いますが、是非先ほど申し上げましたように、 文章にて結核感染症課にお送りいただいて、更に今後直すところがあれば考えていただ くということにして。 どうぞ。 ○北村委員 本日のテーマとは、ちょっと内容を異にしますけれども、私は性感染症予 防指針やエイズ予防指針の改定の問題に関わらせていただきましたが、その後、全く動 きが止まっている印象を持ちます。審議会の会議録などにも大変関心を持っております けれども、7月25日以降の会議録が全くアップされていない理由、この辺りについて御 説明をいただけたらと思っております。 ○倉田分科会長 今のエイズは、疾病対策課ですか。 ○結核感染症課長 エイズ予防指針については、既に改定が済んでおります。感染症指 針の方には、まだ一部調整すべき点が残っておりますので、速やかにとは思っておりま すけれども、今しばらく時間がかかるということでございます。 ○北村委員 何が、それだけの大変長い時間を要しているのかというのは、大変興味が あるのですけれども。 ○倉田分科会長 お答えいただけますか。 ○結核感染症課長 正直いいますと、早く整理をして次々進めていきたいということは、 我々は思っているわけですが、その後、いろんな新型インフルの問題ですとか、いろん な問題が発生する中で、やはりどうしてもプライオリティーを付けて、性感染症がプラ イオリティーが低いというわけではないのですけれども、そういう中で現行のマンパワ ーの中でやっておりますので、そういう面があって少し予定よりずれているということ でございますので、そこは御理解いただければと思います。 ○倉田分科会長 それでは、指摘された点につきましては、今後迅速に対応していただ くということにしたいと思います。 それでは、時間も来ましたので、今日の分科会はこれで終わりにしたいと思います。 どうもありがとうございました。 1