06/04/12 薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会 平成18年4月12日議事録 薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年4月12日(水) 10:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(11名)五十音順    入 村 達 郎、 岡 野 栄 之、 小 沢 敬 也、 甲 斐 智恵子、   ○堺   晴 美、 澤 田 純 一、 島 田   隆、 土 屋 利 江、    貫 和 敏 博、◎早 川 堯 夫、 山 口 照 英    (注) ◎部会長  ○部会長代理 他  参考人 1名   欠席委員(5名)五十音順    西 島 正 弘、 野 中   博、 山 口 成 夫、 吉 倉   廣、 渡 邉   信      3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    川 原   章(審査管理課長)、   山 本 弘 史(審査管理課補佐医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)  他 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会を開催させていただきたいと思います。私は医薬食品局審査管理課長 の川原と申します。よろしくお願いいたします。  本日は当部会委員数16名のうち11名の御出席を頂いておりますので、定足数に達し ておりますことを御報告申し上げます。先生方にはお忙しい中、本日の部会に御出席い ただきまして誠にありがとうございます。開催に際しまして、大臣官房審議官医薬担当 の黒川よりごあいさつ申し上げます。 ○審議官 皆様、おはようございます。厚生労働大臣官房審議官の黒川でございます。 今日は大変お忙しい中、また大変重い雨の中にもかかわらず御参省いただきまして、誠 にありがとうございます。  この薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会は、平成17年1月に審議会委員が改選に なりましてから初めての部会となります。何とぞよろしくお願いいたします。  近年の科学技術の急速な進歩に伴いまして、細胞組織を利用した医薬品や医療機器の 開発が進展してきております。一方、これらについては感染症の問題など品質及び安全 性を確保するため、特別の対策が必要とされております。そのため、平成12年12月に は「細胞・組織利用医薬品等の取扱い及び使用に関する基本的考え方」等が定められた わけでございます。本日の審議品目は、この基本的考え方に基づく確認申請がなされた ものでございます。  先生方におかれましては、皆様それぞれの御専門の分野で指導的な立場から、是非忌 憚のない御意見をお寄せいただきたく思っております。最後ですけれども、皆様には今 後とも薬事行政の推進のためお力添えを頂きますようお願いいたしまして、私のあいさ つとさせていただきます。今日はどうもありがとうございます。 ── 土屋委員着席 ── ○審査管理課長 ありがとうございました。ただいまの審議官のあいさつにもございま したけれども、本日は薬事・食品衛生審議会委員の改選が行われた後に開かれます最初 の生物由来技術部会ということになります。薬事・食品衛生審議会の総会及び薬事分科 会といいますのは昨年1月31日に開催されておりまして、当部会の部会長として早川委 員が選出されておりますので、この点を御報告させていただきます。  また、本日は委員の改選後初の部会であるということ、それから新たに委員に御就任 いただいた先生方もいらっしゃるということでございますので、まず御出席の先生方の 御紹介を名簿順にさせていただきたいと思います。  まず入村達郎委員でございます。岡野栄之委員でございます。小澤敬也委員でござい ます。甲斐知恵子委員でございます。堺春美委員でございます。澤田純一委員でござい ます。島田隆委員でございます。土屋利江委員でございます。西島正弘委員は御欠席で ございまして、貫和敏博委員でございます。野中博委員は御欠席でございます。早川堯 夫委員は部会長でございます。山口成夫委員は御欠席でございます。山口照英委員でご ざいます。吉倉廣委員、渡邉信委員は御欠席でございます。また、本日参考人といたし まして、東京女子医科大学循環器内科主任教授の笠貫宏先生にお越し頂いております。  それから恐縮でございますが、事務局の御紹介をさせていただきます。総合機構審査 センター長の豊島でございます。審議役の浦山でございます。生物系審査部長の田中で ございます。ここでちょっと恐縮でございますが、私、国会用務のため途中で中座させ ていただきます。それでは、以降の議事の進行を早川部会長にお願いいたしたいと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 部会長を仰せつかっております早川でございます。何かと行き届かない 点も多いかと存じますけれども、先生方の御協力を得まして何とかこの会を進めたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。  それではまず、部会長代理を決めさせていただきたいと思います。部会長代理につき ましては、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項によりまして部会長があらかじめ指名 することになっております。私といたしましては堺委員に部会長代理をお願いいたした いと考えておりますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。それで は堺先生、こちらの方によろしくお願いいたします。 ── 堺委員、部会長代理席へ移動 ── ○早川部会長 それでは資料の確認をいたしたいと思いますので、事務局の方からお願 いいたします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきたいと思います。机の上に御用意しま した「平成18年4月12日生物由来技術部会配付資料一覧」に従って確認させていただ きたいと思います。まず、本日の資料といたしまして、事前に先生方に資料1の「組織 ・細胞を利用した医薬品の品質及び安全性の確認について」を事前に送付させていただ いております。当日配付物といたしまして、お手元に今見ていただいている配付資料一 覧、議事次第と座席表はセットになってございます。それから、事前にお送りできなか った諮問書の写し、専門協議委員名簿、また本日の報告事項になります資料2、「遺伝 子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づ く遺伝子組換え技術応用医薬品の拡散防止措置の確認について」という長いタイトルが 付いているものがございます。  そして、参考資料が1〜3までございます。参考資料1、「ヒト由来細胞・組織加工 医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針(概要)」と参考資料2、「細胞・組織を 利用した医療用具又は医薬品の品質及び安全性の確保について」の二つは、本日御審議 いただくものについての参考資料となっております。参考資料3でございますけれども、 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の概要」 とタイトルされているものがございます。これは報告事項の参考資料として付けさせて いただきました。以上を御用意いたしました。 ○早川部会長 お手元の資料はよろしゅうございますでしょうか。それでは審議に入り たいと思います。本日、審議事項といたしまして「細胞・組織を利用した医薬品の品質 及び安全性の確認について(骨格筋芽細胞)」が1件、それから報告事項といたしまして 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条 に基づく遺伝子組換え技術応用医薬品の拡散防止措置の確認について」というのが1件 ございます。まず、審議事項の議題1について事務局より御説明をお願いできますでし ょうか。 ○事務局 それでは、資料に沿いまして御説明させていただきたいと思います。まず最 初に参考資料1を御覧ください。「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性 の確保に関する指針(概要)」と書いてあるペーパーでございます。これに沿いまして、 まず指針の位置付けについて簡単に御説明させていただきたいと思います。  まず、「1.目的」でございますが、今回確認申請として提出されておりますものが、 この指針に適合しているかどうかの確認をお願いするわけでございます。本指針は、ヒ ト由来の細胞・組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全性の確保のために必 要な基本的要件を定めたものでございます。本指針において、製造販売業者は細胞・組 織加工医薬品等の安全性及び品質の確保を期すために、当該医薬品等がこの指針に適合 していることの確認を厚生労働大臣に求めることとされております。  確認申請の内容でございますけれども、「3.確認申請等にあたって添付すべき主な資 料」にございますように、培地成分等を含めた製造方法の妥当性、安定性、非臨床試験 による安全性、性能、臨床試験の状況についてということでございます。この場合の臨 床試験と申しますのは、飽くまでも外国における開発状況等がある場合でございます。  それから指針の位置付けでございますが、一般的な流れということで参考資料1の下 に図で示してございます。製品開発や非臨床試験に関するデータを基に今回の確認申請 がなされまして、本日の生物由来技術部会で治験に入る前の品質、安全性の確認という 観点から御審議いただいた結果、もし指針への適合性をお認めいただきますと、薬事法 に基づく申請のための治験として治験計画の届出を行うことが認められるということで ございます。そして治験に関する審査を経て治験が行われまして、そのデータ等をベー スに承認申請がなされますと、総合機構の審査を経て、再度、薬事・食品衛生審議会医 薬品第一部会あるいは医薬品第二部会の方で御審議いただくという形になっておりま す。つまり、今日御審議いただきます指針への適合性につきましては、本部会における 審議の結果が直ちに医薬品等の製造販売承認に結び付くというものではなく、飽くまで 治験に入る前のこのものの品質、安全性の確認であるということでございます。  本品目は、確認申請が出された際は申請者は用具と考えておりましたが、「特定の機 能的構造を持ち、その物理的作用によって効果を示す」という医療機器の考え方にそぐ わないため、医薬品としての治験を今後予定しております。ただ、今回の確認申請につ きましては、細胞・組織を利用した製品の品質、安全性を確認するということですので、 医薬品、医療機器の別なく製品の特性で御検討いただけるもので、特に影響はございま せん。確認申請の御説明としては以上でございます。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただいま、この部会の位置付け、役割につい て御説明を頂きました。繰り返しになりますけれども、細胞・組織加工医薬品等につい てのこの部会の役割は、開発された製品について、治験に入る前にどのような利用目的 のために、どのような細胞や原材料を使って、どのような製造方法で製品を作ったのか。 どのような品質特性解析をして、取りあえずどのような品質管理をしようとするのか、 製品の安定性はどうなのかなどを評価、確認すること。さらに、非臨床試験データなど も併せて見まして、治験に進むに当たって差し支えとなる品質、安全性上の大きな問題 点がないかどうか。また、倫理上の問題はないかについても確認するという役割だとい うことでございます。  臨床的な有効性や安全性の評価、その本格的なものはこれからの治験の成績を基に評 価されるということでありますし、製品の品質規格あるいは品質管理の在り方につきま しても、最終的には臨床上の所見や今後の製造実績等を踏まえまして、次第に詰められ て設定されていくということでございます。よろしいでしょうか。何かこの部会の位置 付け、役割、今回の件について、新しい委員の方もいらっしゃいますので何か御質問等 がございましたらお願いいたします。いかがでございましょうか。よろしゅうございま すか。それでは、今回申請のございました骨格筋芽細胞の内容につきましての説明をお 願いいたします。 ○機構 それでは、資料1に沿いまして骨格筋芽細胞の概要及び総合機構における事前 審査の概要について御説明いたします。  骨格筋芽細胞TRE-1043は、自家骨格筋由来骨格筋芽細胞から構成された細胞組織利用 医薬品でありまして、本邦にて重症の心筋梗塞患者に対し臨床試験を行うことが予定さ れております。心筋梗塞になって心筋が壊死しますと再生することはなく、梗塞部位は 線維芽細胞により産生されたコラーゲン線維に置き換えられます。その結果、心不全に 至りますと軽症では薬剤投与による治療が試みられますが、重症の場合は左室補助人工 心臓の装着や、心臓移植を行うこととなります。TRE-1043は、重症心筋梗塞患者の心筋 梗塞部位及びその周辺に直接注入することで心機能が改善されることを期待して開発さ れたものであります。  申請者のテルモ株式会社は、米国Mytogen社より骨格筋芽細胞の製造及び品質管理に 関する技術を導入し、本邦においてTRE-1043の製造方法及び品質管理等の検討を行うと ともに、非臨床試験を実施し、平成16年6月25日に品質及び安全性の確認の申請をい たしております。  本品の製造方法についてですが、病院で患者本人の大腿部又は上腕部から採取された □□□□□□□□である骨格筋組織を製造施設に搬入し、□□□□□、□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□することにより製造され、最終製品として□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□となるようにします。  規格及び試験方法といたしましては、□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□、□□□□□□□□□、□□□□□□□ □□□□□□□□□□が設定されております。□□□□□□□□、□□□□□□□□□ □□□□□□□□の試験結果は、被験者への本品移植終了後に判明いたしますので、こ れらの試験項目については中間製品でも試験を行い、その結果をもって出荷判定が行わ れることとされております。  安定性試験といたしましては、規格及び試験方法に設定した項目について確認され、 有効期間は□時間と設定されております。  非臨床試験としては、ラットを用いた同系骨格筋芽細胞移植試験、免疫不全マウスを 用いたヒト骨格筋芽細胞移植試験、ミニブタを用いた自家骨格筋芽細胞移植試験が行わ れております。マウスでは移植細胞の生着が確認され、ラットでは時間の経過とともに 生着細胞数の減少が見られておりますが、移植12週後まで生着が確認されております。 ミニブタを用いた試験では、移植□週後に移植部位において細胞の生着は確認されてお りませんが、これは報告書15ページの5-3-1項に記載いたしましたように、現時点での 確認方法の技術的限界によるのかもしれません。なお、別紙1-28、29に示されておりま すように、Mytogen社の臨床試験において骨格筋芽細胞□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□された心臓におきましては、移植細胞の生着が確認されておりま す。  非臨床試験における安全性につきましては、一般状態の観察、病理組織学的検査等が 行われておりますが、ラット及びマウスの試験において安全性上問題となる所見は観察 されませんでした。また、ミニブタの試験において移植細胞に起因する線維化は観察さ れず、心電図検査において細胞移植により安全性上問題となる不整脈は観察されません でした。有効性につきましては、ラットを用いた試験において□□□□□□□□等で統 計学的な有意差は確認されませんでしたが、心機能が改善する傾向が示されております。 また、ミニブタ試験において□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□、 □□□□□□□□□を測定いたしまして、それぞれ細胞移植群で統計学的に有意な心機 能の改善が見られております。  次に、総合機構におけるTRE-1043の品質及び安全性に関する事前審査の内容について 御説明させていただきます。まずTRE-1043の純度についてですが、骨格筋芽細胞として の純度を規定するために□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□が設定されて おります。純度の測定に□□□□□□を使用することにつきまして、文献報告から□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と考えられること、□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□ことから妥当であるとされております。  申請者が製造した製品□検体につきまして、□□□□□□を用いて測定した結果、純 度はすべて□%以上となっておりますが、検体数が少ないため、Mytogen社の製造実績 を基に暫定規格値□%以上とされております。今後治験に用いる製品の実測値と治験で の安全性等の所見に関するデータとの関係が蓄積されていく中で、適切な規格値が定ま ってくると考えておりますが、その目標は純度□%を目指しているということでありま す。ちなみに、混入する可能性がある細胞につきましては、骨格筋芽細胞の倍加速度が 速い培地組成で生着細胞のみを増殖させる培養方法でありますため、□□□□□□□で あるとされております。  □□□□□の安全性につきましては、同系細胞ラット移植試験及びブタ自家移植試験 におきましては移植細胞に起因する□□□は観察されておりません。また、Mytogen社 による同じく重症の心筋梗塞を対象とした海外臨床試験□例では、□%未満の純度の製 品が合計□例に使用されておりますが、安全性上の大きな問題は観察されておりません。  事前審査におきましては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□ □□□、□□□□□□□□の結果は、現時点におきましては治験に供する細胞製品の品 質特性を示したものであり、治験での安全性等に関する所見を踏まえたものになってい ないことから、□□□□□□□□□□□□□□□□□□の規格値は暫定規格値として設 定し、それぞれ治験の結果と検体の実測値を踏まえて見直すこととされました。また、 □□□□□は□□□□□□による試験で検出可能であると思われますことから、規格設 定を求めましたところ、試験方法の真度及び精度が低いために工程管理上の参考試験と 設定され、さらに今後試験条件の改善を引き続き検討するということになっております。  次に細胞以外の不純物等について御説明申し上げます。製造培地には、動物由来原材 料としてオーストラリア又はニュージーランドを原産国とするウシ胎仔血清が含まれて おりますが、計□回の洗浄操作のうち□回目の洗浄後には検出限界の1製品当たり□□ ng以下まで低減されるということが確認されております。また、培地には□□□□□□ □□□□□□□、□□□□が含まれているほか、製造工程において□□□□□、□□□ □□□、□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□が使用 されますが、計算上、いずれも安全性上問題ないと考えられる程度まで低減されており ます。なお、出荷時に細胞を懸濁する溶液には□□□□□□□□□が含まれております が、これは医薬品として承認されているものであります。また、本品は体外において□ □□□□を含む培地中で培養されることから、細胞が腫瘍化する可能性が考えられます が、□□□□□□□されていること、□□□□□□□□□□□□□□□であったこと、 □□□□の結果も異常はなかったこと、Mytogen社の製造実績を含め□検体の製造実績 で腫瘍細胞の発生は認められていないこと、及び類似品も含めた海外臨床試験で骨格筋 芽細胞の腫瘍化は報告されていないということから、総合機構は腫瘍化の可能性は考え にくいと判断しております。  最後にリスク・ベネフィットの観点から御説明申し上げますと、Mytogen社で実施さ れた臨床試験では□例中□例に移植と因果関係が否定できないとされた不整脈が観察さ れており、本品を使用した場合にも不整脈が起こるという可能性は否定できません。し かしながら、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□ □(□□□□□□)□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□により、不整脈のリスクに対処することが可能と判断しております。  一方、本品に期待されるベネフィットといたしましては、ミニブタでの自家骨格筋芽 細胞移植試験において□□□□□□、□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□など、 有効性が示されておりますことから、重症な心筋梗塞患者の心機能を改善する可能性が 期待されます。専門協議におきましては、臨床に携わる先生方から、安全性の担保を前 提として本品を用いた治験を開始することは、ほかに治療方法のない心筋梗塞患者に対 して心臓移植等を避ける医療技術の提供につながる可能性があるため意義があるという 御意見を頂いております。  以上、重症心筋梗塞患者への使用という観点から、品質及び非臨床試験等に関する資 料及び回答を評価した事前審査の結果、現時点の科学的水準からは治験において十分に 安全性を担保できる方策を講じるということを前提に、治験を開始することは差し支え ないと判断いたしました。  なお、本品目の専門協議に御参加下さいました専門委員は、配付資料の一枚紙にござ いますとおり、笠貫委員、米田委員、許委員、是恒委員、土屋委員、山口委員の計6名 の委員でございます。また、本日参考人といたしまして、心臓が御専門の東京女子医科 大学教授の笠貫専門委員に御出席いただいております。御審議のほどよろしくお願いい たします。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは先生方に御審議いただく前に、今御 紹介のありました専門協議の委員の一人でございまして、心臓が御専門の東京女子医科 大学教授の笠貫先生に専門家のお立場から追加すべきコメントがございましたらよろし くお願いいたします。 ○笠貫参考人 東京女子医大の笠貫でございます。専門協議の方で議論させていただい た過程の中で、若干私の考えを追加させていただきます。ただいま事務局の方から御説 明がございましたように、心筋梗塞における治療としては冠動脈バイパス手術、カテー テル治療であるPCIが血流を改善し、心筋の生存を更に確実にするという意味での心 機能の改善が得られるわけであります。実際先ほどもお話がありましたように、完全に 冠動脈バイパス手術もできない、あるいは血管のカテーテル治療もできないという場合 にどういった治療があるかという現状を考えますと、心筋壊死の領域あるいは心筋壊死 の周辺の虚血を改善すれば正常な心筋に戻り得るというところに対しての治療法が今な いわけでありまして、そうしますと正常側の心筋が肥大してきて、そして、肥大してき たところに更に負荷が掛かって、そこが拡大して心筋障害が起こってきます。これをリ モデリングと呼んでいるのですが、最終的には心筋梗塞で心筋壊死になった以外の領域 での心筋障害が進んで、最終的には虚血性心筋症になってきます。それが重症な心不全 となって、最終的には心臓移植の適応とまでなっていくのですが、その過程の治療法が ないというのが現状であります。  それから、御存じのように日本では現時点で心臓移植のドナーが出ない、ドナーが非 常に少ないということで、この治療法について期待が非常に難しいということでありま す。そうしますと心筋壊死になり、その周辺の血液の再灌流という形での治療法がない 場合に、心筋壊死の広範になった領域に対する治療法として、やはり今一番期待されて おりますのは細胞移植というものであります。その中でこれまでES細胞が一番期待さ れているわけでありますが、まだ倫理的な問題で使えませんし、細胞移植として平滑筋 線維細胞、骨格筋芽細胞、骨髄由来細胞等々がありますが、現時点で臨床的に使われて いるのは、世界的にはこの骨格筋芽細胞と骨髄由来細胞という二つになるということで す。  そうしますとお話がありましたように、骨髄由来細胞、骨格筋芽細胞については、現 時点では骨格筋芽細胞は1999年からアメリカで臨床試験が始められているという意味 では研究としてはより先行しているのではないかと思います。今日も議論いただくと思 うのですが、専門協議の中でも心機能が改善するという臨床データがあるわけですが、 それのメカニズムについては必ずしも十分解明されていないのです。しかし、臨床の現 場においては実際に心機能が改善されるということは患者にとって利益が大きいだろう と考えられます。そこで骨格筋芽細胞のメカニズムが完全に解明されていないとしても、 実際臨床的に安全性が担保されれば、更に有効性の評価をきちんとできるのであれば、 やはり患者にとって一つの大きな利益をもたらすのではないかということで検討させて いただいたと思います。  そういう意味で、虚血性心筋症という最も心臓移植に至るような重症心不全に対する これまでの治療法では期待できない新しい細胞移植の方法として、日本でもこの骨格筋 芽細胞の臨床試験を進められたらということで、臨床の現場としては考えているところ であります。 ── 審議官退席 ── ○早川部会長 ありがとうございました。それでは先生方の間で本件について御審査を 頂く前に、笠貫先生もお時間が限られているということでございますので、できました ら笠貫先生がいらっしゃる間に今のこの製品とその臨床的な意味合いという関係で御質 問、コメントがございましたら、まず初めにそれを中心に御議論いただければと思いま す。どなたでも結構でございますが、いかがでしょうか。小澤先生、どうぞ。 ○小澤委員 今も効果を示す機序がよく分からないというお話でしたけれども、この事 前審査の15ページのところにも生着のことについていろいろと書いてありますが、例え ば下から5行目のところで、「本試験で移植した骨格筋芽細胞は本試験条件では検出さ れない状態で生着し、その収縮力により梗塞巣の伸展を抑制することで周囲の正常な心 筋の働きを機械的に助け心機能を改善したと考えた」とあります。ここに書いてある内 容もちょっと理解しにくいのですが、この辺をもう少し分かりやすく教えていただけた らと思うのですけれども。 ○早川部会長 笠貫先生、よろしくお願いいたします。 ○笠貫参考人 生着に関しては先ほどマウス、ラット、ミニブタでは、その生着が確認 されている、あるいは確認されていないという二つがあったと思うのですが、□□□□ □□□□では確認されたというのがあります。しかし骨格筋芽細胞が心筋になるかどう かについては、今のところその根拠はないように思います。ただ、骨格筋が確認されて いるということから、特に骨格筋に特異的なSERCA1などが発現していることも確認さ れていますので、その収縮性は移植した後に生じているのだろうと考えられます。  それから、心筋細胞との融合が注目されていまして、それも収縮性をもたらしている 可能性も考えてよろしいのではないかと思います。そのときに本当に電気生理的に心筋 細胞とどのような関係にあるかということ、intercalated diskという特異的な構造が どうなのかということについては、この不整脈の問題としてとても議論が残っています。  リモデリングという中で伸展が非常に強くなりますと、左室瘤にもなったり虚血性拡 張型心筋症となり、梗塞巣も非梗塞巣も拡張して拡張型心筋症と同じ病態になってきま す。虚血性拡張型心筋症と非虚血性拡張型心筋症と二つに分けられるのですが、伸展は 当初心拍出量を維持する一つの代償機構でもあるのですが、それがどんどん進行し、最 終的には重症心不全としての増悪をもたらしてくるので、骨格筋の収縮性がこの伸展を 抑制していくこともポンプ機能としての補助的な作用をもたらすかもしれません。 ○早川部会長 よろしゅうございますか。どうぞ。 ○小澤委員 正確にはまだよく分からないのですけれども、もう一つはこの骨格筋芽細 胞を移植した場合には、別に血管新生も刺激されることはないのですね。 ○笠貫参考人 血管新生も当然刺激されると思います。これは骨格筋芽細胞に特異的で はないもので、例えばレーザーなどの機械的なもので血管新生が起こり得るわけですし、 この場合に骨格筋芽細胞を注入すること、あるいは注入するという機械的な刺激という ものも当然そこに血管新生を来すサイトカイン等が出てくることが期待されますので、 骨格筋芽細胞だけの収縮性ということではなくて、血管新生による効果もここに起きて いると思います。 ○早川部会長 よろしゅうございますか。多分、この「検出されない状態で生着し」と いうのは、今先生に御説明いただいたように心筋になるのとは何か別の機構、融合、あ るいは別のファクターを誘発することで機能するという意味もあるのかもしれません し、方法論的な限界があって生着が検出されていないということになるのかもしれませ ん。ラットとかマウスでは検出されているし、ヒトでは検出されていると。しかし、こ この下りはミニブタの話をしていて、原因は分かりませんけれども、ミニブタに関して は結果的には検出されなかったということに対する解釈論を述べているので、ちょっと 言葉足らずかもしれません。島田先生、何かございますか。 ○島田委員 コメントでは私も全く同じで、確かにここは非常に大きな問題だと思って いるのですけれども、ブタは機能的にはよく効いているという結果が出てしまっている だけに、やはり見付けないとまずいと思うのです。確かに蛍光染色辺りではちょっと技 術的に見付からないということはあるかもしれないけれども、もっといろいろなことを やれば可能ですし、そういうベーシックなことがないと、最初にあったようにもちろん 安全性をチェックするのがこの委員会だというのですけれども、科学的妥当性というこ とがある程度保証されていないと、安全性の評価そのものもできないわけですから、や はりその点はきちんと一方においてそういう基礎的な研究をしていただきたいと思いま す。 ○早川部会長 これは先ほど御説明がございましたけれども、ヒトのケースですが、□ □□□□□□□□□□□□□□□の心臓では生着が確認されているというデータがござ いますので、ヒトの場合には検出できたと。ただ、動物実験ではまだ検出されていない ということでございますので、これに関してはまた技術論的には幾つかの方法があるの だろうと思うので、これからもう少しメーカーの方に続けて基礎的なデータも積み重ね るというふうに是非督励をしたいと…。 ○入村委員 今の件ですけれども、私の理解はミニブタの場合はリエージェントがアベ イラブルでないから検出できないのだということなのだと理解したのですが、そういう ことではないのですか。 ○早川部会長 そのような原因があり得るというふうに私どもも理解して、技術的なこ とによって結果として検出されていない可能性もあると思うのです。ですからそこはほ かの方法もあり得ると思いますので、メーカーの方で是非追究していただいて、積み重 ねていくと。 ○生物系審査部長 引き続きそのように原因を研究し続けていくようにという指導をし てまいりたいと思います。 ○岡野委員 御説明いただいた方々、あるいは笠貫先生にお伺いしたい点がありまして、 2ページにDiacrin社、今Mytogen社になっていると思いますけれども、FDAに申請 して臨床研究を始めているわけですが、□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□、□□□□□□□□□□□□□□ □□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。  それから、Genzyme社により2002年からヨーロッパで第II相臨床研究が行われたけれ ども、2006年2月に当該研究を中止すると発表されたと。この辺の背景といいましょう か、情報としてもしおありでしたら教えていただきたいなと。 ○早川部会長 どれだけ情報が開示されているかという問題もありますけれども、分か る範囲で。どうぞ。 ○岡野委員 あと特にそれに関して笠貫先生の専門家としてのコメントを…。 ○早川部会長 どちらからまいりましょうか。 ○岡野委員 まず、情報として…。 ○機構 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□ □□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□、□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。 ── 審査管理課長退室 ── ○岡野委員 それ以上の情報はないのですか。 ○機構 死亡に関しましては、骨格筋芽細胞移植との因果関係は否定されております。 ○岡野委員 ないのか、解析不能であったのかが大事な点だと思うのですけれども。 ○早川部会長 もし、資料上でどこか記載されているところがあれば、それもお示しい ただきながら御説明いただけますか。 ○機構 追加で説明させていただきます。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□、□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□。□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □。□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□、□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□ □□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□、□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□ □、□□□□、□□□□□□□□□というふうに申請資料に記載されております。 ○岡野委員 原疾患による死亡と考えていいのかを笠貫先生に御確認させていただきた いなと思うのですけれども。 ○笠貫参考人 ただいまの1-25を見ていただきますと、報告書の中で死亡についてはこ の細胞移植との直接因果関係はないという説明文になっていますので、細胞移植との直 接因果関係があることを示唆するデータではないだろうと思います。そういう意味で、 ここにも虚血性心筋症という言葉が出てまいりますけれども、かなり重症な患者にして いることから、その因果関係の問題については慎重な評価が必要だと思うのですが、こ の場合にはかなり明らかな死因が分かっているということで否定しているのだと思いま す。特に、□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□を含めてこ の報告書からは因果関係はないと判断してよろしいのではないかと考えております。 ○岡野委員 ありがとうございました。欧州で中止された理由は何か情報はおありでし ょうか。 ○機構 事前審査報告書におきましてはちょっと言葉足らずになっておりまして、臨床 試験が中止されたという表現になってございますけれども、実際は新たな患者の治験へ の組入れが中止されたということでございまして、これまでに細胞移植を行った患者さ んのフォローアップ等々が行われております。その結果は後に公表するというふうにな っておりますけれども、現状においてはまだ詳細な試験結果は公表されておりませんの で詳細は分かりませんが、ただ、安全性上の問題があったという情報はこれまでに得ら れておりませんことから、大きな安全性に関する問題が起こったのではないというふう に考えております。  それからGenzyme社がプレスリリースを出しておりますけれども、それを読む限りに ございましては、Genzyme社の行っている試験条件では期待した有効性が得られる可能 性が低いため、新たな患者の組入れを中止したというふうに読み取れます。 ○岡野委員 フォローアップを続けるのは医師としての責務ですから当然の話でして、 新たな患者さんを組み入れるのをやめたというのはやはり臨床研究を中止したという、 それは当然のことなのですけれども、ただ、やはり安全性の問題ではなくて有効性とし て非常に希薄であったという判断があったということなのですが、今回のMytogen社の ものはそれと違ってかなり利点があるかどうかとか、前臨床試験でより効果があったと か、その辺が結構大事な点ではないかなと思うのですけれども、違う会社による治験で すよね。そうすると、細胞の増やし方とか調整方法による違いによって当然効果が変わ ってくる可能性はあると思うのです。そこは非常に大事だと思うのですけれども、何ら かの前臨床研究レベルでの有意な差、資料に書いてあったら申し訳ないのですけれども、 読み落としているかもしれません。その辺がもしあったらちょっと御紹介いただきたい なと思うのですが。 ○機構 Genzyme社の製造方法及び品質管理方法等につきましては、詳細は分からない 状況でございます。それから、テルモ社と提携しておりますMytogen社で有効性が見ら れたかという御質問についてですけれども、Mytogen社におきましてはまだ第I相の臨 床試験しか行っておりませんで、それも経過観察中ということになっております。対照 群を置いた有意差を検出するための治験プロトコルで行われているわけではありません ので、統計学的にどうかというような有意性は示すことができないのですけれども、□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□ □□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□、□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□という結果が得られてございます。 ○早川部会長 笠貫先生、何か追加でございますでしょうか。 ○笠貫参考人 岡野委員から指摘されました、なぜヨーロッパで中止したかということ についての情報は私も持ち合わせておりません。なぜエントリーが中止されたか、そし てフォローアップに切り替えたかについて解釈としては幾つか成り立つと思うのです が、会社の違いということについては私も分かりません。しかし、ヨーロッパでも多分 フランスかどこかは第II相に入っているのもありましたね。国によってはI相からII相 に移っているところもあります。製造会社の違いというのは私は分かりませんが、有効 性の評価も先ほどの安全性の担保と同じように、もしこれを日本で行う場合にはかなり 検討しなければいけない問題が残されているのだろうと思います。例えばグローバルな LVEFの改善でいいのかどうか、実際、注入した部分の壁運動がどうなのかという細 かい検討まで必要ではないかと思っているのですが、これまでのところでは海外のデー タで注入した部分の壁運動について必ずしも細かく検討されていないと思います。そう いう意味で、先ほど血管新生の話も出ましたけれども、バイパス手術も同時に行うとい う場合にはそのバイパス手術による効果なのか、先ほど逆にバイパス手術での合併症の 問題で亡くなっている場合もあるので、この有効性、安全性についてはバイパス手術と どういうふうに評価を分けていくのかということを含めて、日本の場合にはもっと厳密 にすべきなのではないかと思っています。 ○岡野委員 確認させていただきますと、ひょっとしてMytogen社による臨床研究と Genzyme社、もちろんpatient selectionの段階から条件が変わっている可能性もある わけですよね。そうすると、少なくともMytogen社のFDAでのフェーズ1、2におい て比較的良好な成績ですよね。ですから、我が国でもし承認するとしてもpatient selection、inclusion/exclusion criteriaをかなりきっちり考えていかなければいけ ないと理解してよろしいでしょうか。 ○笠貫参考人 更に欧米の場合と日本の心筋梗塞、特に虚血性拡張型心筋症の予後は異 なるかということを念頭に置いた上で、このプロトコルについては欧米では既に進行し ているわけですから、日本の場合にはそれ以上に緻密なプロトコルを立てないといけな いのではないかと思います。先ほどメカニズムのことについて御指摘がありましたよう に、なぜそんなにいいのか不明のまま、臨床結果としていいということだけでゴーサイ ンを出すことには、抵抗がないわけではないのです。しかし、専門協議のときもかなり 議論を詰めて行ったところなのですが、ほかに治療法がないということで欧米では1999 年から実施されており、日本の場合には2006年までの7年間のデータを十分日本での治 験に生かすことによって、治験を開始することは可能なのではないだろうかというのが 専門協議の最終的な主な考え方であったというふうに思っております。 ○生物系審査部長 今、岡野先生に御指摘いただきましたように、inclusion/exclusion criteriaのところは、これからもし本日御了承いただきますと、いわゆる治験届出調査 というステージがございまして、その中で我々はプロトコル等のチェックをいたします。 その段階で患者さんの選択基準とか除外基準について厚生労働大臣として承認するとい うことになりますので、その段階でチェックする際に今御指摘があったような点につき ましてもよく踏まえて検討させていただきたいと思います。 ○早川部会長 そのほかの先生方、よろしゅうございますか。 ○堺部会長代理 笠貫先生に教えていただきたいと思います。心筋梗塞を起こしてすぐ のときのタイミングはちょっと無理なわけで、そうすると陳旧性になっている梗塞巣に 対して移植することになると思うのです。陳旧性になって瘢痕壊死のようになっている ところにまいても生着しにくいのかもしれない。そうすると先ほどのpatient selection の問題なのですが、例えばドールオペのように、壊死巣を切ってしまって正常な心筋を 合わせてその両側にまくとブリッジングのようになるとか、何か成功しそうな例の見込 みなどはおありになるのでしょうか。 ○笠貫参考人 ただいま御指摘いただきましたドール手術のときにどうかということに ついては、重症心不全になりますとバチスタ手術もありますが、極めてリスクが高いこ とと、長期予後としてはバチスタに関しては反省期に入っていますので、非常に特異な 症例以外には対象にならないだろうと思います。  それから、ドール手術で拡張した心筋を縮めるという手術をしたところに細胞移植を するという考え方は余りないのだろうと思います。それと壊死になったところに生着す るのかどうかという先生の御指摘は、考え方としてはそうかもしれません。壊死になっ た部位に骨格筋芽細胞、あるいはこれからシート工学になるとシートをはるという形も 考え方も出てくると思うのですが、骨格筋芽細胞はミニブタでは先ほどのように確認さ れていないのですけれども、ラットなどでは骨格筋細胞が確認されているのだとしたら、 血管新生というものが出てくれば生着することはあり得るのだろうと思います。それが 実際にあり得ないところなのかあり得るところなのかというのは臨床では判断できなく て、結果的に心機能がよくなったということで判断しているというところに非常にギャ ップがあるのだと考えています。  先ほど言いましたように確かに細胞移植したところの壁運動自身が改善しているとい うことは最低有効性として確認しないといけないだろうと私も思っています。そこのデ ータが今欧米のところでは必ずしも十分でなく、グローバルなファンクションだけで見 ていますので、日本はむしろそれを主な有効性の評価に持っていったらどうかと個人的 には考えております。その辺のことも次のプロトコルに進めるかどうかというときには 十分検討していただきたいと思っています。 ○早川部会長 甲斐先生、どうぞ。 ○甲斐委員 笠貫先生がいらっしゃる間に不整脈についてお伺いしたいのですけれど も、不整脈は対応し得るということと有効性があるということからそれがあってもよい のではないかという流れは分かったのですが、不整脈が起こるメカニズムなのです。線 維芽細胞の増殖ではないだろうと結論付けられておりますし、動物モデル実験ではなか ったということから大変難しいのかと思うのですが、約1割ぐらいいっているわけです。 国によっては2割とかフランスなどでは4割ぐらい出たということが書いてあって、フ ランスの中に移植方法や品質管理などの詳細が不明であるということはそういうことを 疑っておられると思うのですが、そういうことから不整脈が起こるメカニズムを何らか 考察されているのかなと思いまして、先生のお考えで起こるメカニズムがどういうふう になっているのかというのが推測できるのであればお話しいただきたいです。 ── 岡野委員退室 ── ○笠貫参考人 骨格筋芽細胞が移植した後に骨格筋線維になっていくと考えた場合に、 心筋と骨格筋との間の細胞の電気刺激の伝播がどうなっているのかということです。そ こにintercalated diskという細胞と細胞の間がどうなっているのかということが大き な問題で、gap junctionのCD43という蛋白が必ずしも見られていないというデータも あるのです。心筋と骨格筋の融合がどうなっているのか、そのときに刺激伝達がどうな るかというのはまだ分かっていないのです。  そうすると、正常な心筋と骨格筋が本当に電気生理学的に同調して興奮するかどうか というのは疑問になります。正常な伝播が行かない場合には、そこのところに細胞の興 奮の伝播異常によって興奮がぐるぐる回転するというリエントリーと呼んでいるのです けれども、そういう現象が起こり得ます。そうするとかえってそこのところで心室頻拍 が起こり心室細動が起こってくる可能性があり得るということが骨格筋芽細胞の一番の リスクとして考えております。  そうすると、どういうところに骨格筋芽細胞を移植したのかということが一つの問題 となり、壊死に陥ったところに骨格筋細胞線維が生着するのだったらいいかもしれませ んが、正常な心筋の中に入れたらこれが不整脈源になってしまうかもしれません。そこ については全くまだ分からないと思うのです。その辺のところは先ほどお話しのありま した欧米、日本、アメリカでのVT/VFが起こった症例がどんなものであるのかという ことについて臨床的に細かく分析するデータはないと思います。そのときに心電図所見 あるいは興奮伝播異常が心臓に部分的に存在するということを検査する加算平均心電図 とかいろいろなものがあるのですけれども、多分そういうところまでこれまで検討され ていないので、VT/VFを起こすという予測、予知因子が何であるかということについ てはまだ分かりません。しかし、結果的にどうも4週間以内に起こっているということ ですから、その4週間以内に十分モニターしていけば、VT/VFに対してはアミオダロ ンという強烈な薬で抑えられるかもしれません。4週間以降なぜ起こらないかというメ カニズムは分からないですが、電気生理的な同調も可能になってくるのかもしれません。 そうすると臨床的な安全性の担保としては、不整脈についてはある程度可能なのではな いかと考えたところです。  更に対象を絞って植込み型除細動器の適応の人にこれをやったらいいのではないかと いう考え方もあると思います。特に広範な陳旧性心筋梗塞で心機能が非常に悪い人の場 合には、アメリカではそれだけでも植込み型除細動器の適応になるという考え方があり ます。特に心筋梗塞後で左室駆出率が35%以下ないし30%以下というトライアルがあ り、不整脈が存在するかしないか関係なく植込み型除細動器を入れた方がいいというメ ガトライアルの結果が二つ出ております。そういった適応のある人に細胞移植をすれば、 植込み型除細動器により安全性の担保は確実になります。そういう意味では、不整脈に ついての厳しさを考えるならば、そのエントリー対象も考えることは可能ではないかと 思います。 ── 岡野委員入室 ── ○早川部会長 よろしいですか。 ○甲斐委員 よく分かりました。これでフランスの4割という高い方は考察のための何 らかのよい情報になるかと思うのですけれども、詳細は分からないとあるのですが、こ れを入れることは可能なのでしょうか。入れられれば、例えば注入方法や部位を今後検 討するのに役立つかもしれないと思うのですけれども。 ○早川部会長 情報ですね。やはり今一つ分かっているのはフランスのものはかなり大 量の細胞を使用すると、投与量が多いので、不整脈の発生率も多分違うのかもしれませ ん。 ○機構 フランスの不整脈の発生率が他の臨床試験よりも2倍ほど多いということに関 しましては、フランスの臨床試験で用いている細胞数が他の臨床試験に用いている細胞 数よりも□□□□□□□、今回申請者が検討しております細胞数は□□□□なのですけ れども、フランスの臨床試験では約1×109の細胞数を移植しております。恐らくその ために不整脈の発生が起きているのではないかというふうに考えております。 ○岡野委員 今回1バイアル□□□□でしたよね。それを一人の患者さんに打つのです か。幾つの細胞を打つことを想定されているのでしたでしょうか。 ○機構 細胞の総数としては□□□□個ということでございます。シリンジが5本ある わけですけれども、シリンジ1本当たりに□mLの懸濁液が入っておりまして、その中に 含まれる細胞数が□□□□個となっております。 ○岡野委員 個数に関しては、後ほど腫瘍化のところでまた議論させていただきたいと 思います。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。貫和先生、どうぞ。 ○貫和委員 今、患者さん側の議論は進んでいるのですけれども、注入する細胞自体が もうかなり条件が悪い患者さんの骨格筋から採ってカルチャーし、実際使うまで少なく とも5週と書いてあります。その辺でかなりコンディションの差があって、そういうこ とが結果に効いてくるのではないかというのがこのプロトコルを読みまして思いまし た。それから、これは次の治験の問題になるとは思うのですけれども、細胞自体現在な らマイクロアレーなどを使いますから、記録を残しておいて何が効果に絡むのかという ことはやはり次に考えていただきたいと思います。そういうところを何かほかの外国の データなどがありましたらお願いします。 ○機構 では、事務局の方から説明いたします。まず、海外試験での製造実績からは年 齢と細胞純度、バイアビリティとの間に関連性というものは観察されておりません。テ ルモ社自身による製造実績がまだ多くないため、治験用に製造される製品につきまして は採取部位をどこにしたかという点、それから細胞増殖速度を含めて年齢等ももちろん ですが、品質情報を収集するよう指導いたしまして、必要があれば承認申請の際にその ような点も考慮して、製造管理若しくは規格を設定するよう指導していきたいと考えて おります。 ○早川部会長 よろしゅうございますか。どうぞ。 ○貫和委員 今のお答えは少し現状では足らないと思います。もう少し踏み込んだ、使 用した細胞のdescriptionは言いましたようにマイクロアレーならマイクロアレーを使 って、私は可能だと思いますので、これだけの治験をやるわけですからそういう対応を …。ただ、バイアビリティなどではとても次の過程への資料にならないのではないかと。 ○早川部会長 いかがですか。 ○機構 もちろん規格試験といたしましては□□□□□□□□等、骨格筋芽細胞の機能 を確かめるような試験も設定されておりますし、そういうものの情報をすべて含めまし て収集していくよう指導していきたいと考えております。 ○早川部会長 資料を拝見すると、この培養条件で老若を問わず、最終ゴールの細胞数 とかに余り大きな年齢差はないようですけれども、先生がおっしゃったのは多分細胞の 質の問題だと思いますので、いいマーカーがあればそれを指標にしてということもこれ からの課題として挙げておくというのはあり得るのだろうなと思います。 ○生物系審査部長 そのように検討するように指導したいと思います。 ○早川部会長 臨床的な位置付けに関連して、ほかにいかがでしょうか。取りあえずよ ろしゅうございますか。それでは、議論は細胞の方に入っていっておりますが、これか らどこからでも結構でございますので、もし御意見、コメントがございましたらお願い いたします。入村先生、細胞的なことで何かございますか。 ○入村委員 少し前に貫和先生の方からコメントがあったのは大変大事なポイントだと 思うのですが、お話を伺いますと、結局欧米ではもう7年前ぐらいから治験が行われて いると。それを今日本でスタートしようとしているということになったときに、恐らく 今細胞に関する基準、規格、品質管理に関して書かれていることは、7年前と変わって いないことが書かれているのではないかというふうにちょっと思うのです。この7年の 間にテクノロジーが随分進歩して、細胞のアイデンティティーというのが分かるように なってきたのであれば、そこをもう少し今スタートするものらしい基準を付けたらいい のではないでしょうかという、多分貫和先生の御意見もそういうことだと思うので、私 も少しそのように感じました。 ○早川部会長 ありがとうございます。骨格筋芽細胞について、これは最初採った時点 から製品に至るまで培養していって、その間にどういう変化があるのか、あるいは今入 村先生がおっしゃったように1999年から現在に至る間にもっといい特性マーカーとい いましょうか、細胞の特徴を示す何かが分かっているということも含めてよくお調べい ただいて、それは技術的にはよく知られているけれども、並大抵のことではできないと かという技術的な問題もあると思います。技術的に可能な範囲で、特性解析として1回 だけはやる、あるいはルーチンとして組み込めるのであればルーチンとして組み込むと。 これからの作業としてはそういう御意見が強く出ているということでメーカーの方にも お伝えいただければというふうに思います。 ○生物系審査部長 かしこまりました。 ○早川部会長 山口先生、何かございますか。 ○山口(照)委員 こういう分野は非常に進歩していると思うのです。つい最近薬学会で 阪大の澤先生などのシンポジウムを開催させていただいて、その中で骨格筋芽細胞が出 す例えばCXCR4が有効性の中で効いているかもしれないと。これは確定の話ではなくて、 もしそういう情報があるのだったらできるだけそういうものを組み込んでいくという か、必要ならば規格や設定に行くという、そういうスタンスで行けばいいのかなという ふうに思います。 ○早川部会長 技術的にそこがかなり定量的というか定まった形で測れるかどうかとい うことがありますけれども、そこは一応視野においていただいて、今御指摘のあったフ ァクター、ケモカインでしょうか。そういうことについても、マーカーとして考えてみ たらどうかというサジェスチョンもこの部会から出たということでお願いできればと思 います。 ○機構 ちょうだいした御意見はメーカーに伝えまして、適切に対応するよう指導した いと考えております。 ○岡野委員 9年前のFDAと今は大分違いまして、例えばembryonal carcinoma由来 の細胞でさえ通っているのですけれども、本当に免疫不全動物を使って半年間ぐらい腫 瘍形成能を見るというのはマストになっています。そういう意味では今本当に厳しいで す。それで9年前の基準で今ここをパスするというのは少し私はいかがかなと思うとこ ろもあります。ただ、意義はとても感じています。腫瘍形成に関しましても□□□□□ □□□□□□□□しかやっていませんよね。少なくとも私の知識ではローデントの NIH3T3由来のものは□□□□□□□□□□□□□でディテクションしやすいのですけ れども、ヒトtumorというのは私の理解ではなかなか作りにくいと。しかも□□□□の 細胞ですよね。ヒトに入れるのが□□□□と□□□□□□のドースです。怖いのはそれ ぞれの細胞の腫瘍形成能ではなくて、コンタミしている腫瘍形成をするかもしれない細 胞がわずかでも入っているものが腫瘍形成するわけですから、□□□□□□のドースで のアッセイだけでよしとするのはここは少し検討の余地があるかと思います。確かに免 疫不全動物に移植する実験をやっていますけれども、今回腫瘍形成のチェックではない ですよね。1週間程度しか見られていないと。腫瘍形成能はやはり免疫不全動物に入れ て3か月なり半年見るというように…、今ちょうど更に進んだヒトES細胞の審査をF DAでやっているのですけれども、彼らがとても緻密にやっているのは、確実に腫瘍形 成を起こすドースというものをあるポジコンの細胞に入れておいて、それをある程度混 ぜて、本当に腫瘍形成がディテクトできているのかというキャリブレーションも要求さ れているのです。それで半年間待つと。そこまでやらないと、今FDAは絶対イエスと 言わないのです。  そこまでやるかどうかは別としまして、少なくともこの方法で腫瘍形成能なしと認可 してしまうのは、これは結局市販品としてやるわけですから、治験を目指してやってい るわけです。普通の臨床研究ではないわけですから、やはりそこは今FDAで言われて いるプレマーケティングなプレクリニカルのINDで要求されているレベルのことはや ってもいいのではないかなと。それも考え方の一つではないかなと私は思っています。 ○早川部会長 おっしゃるとおりでもあるとは思うのですが、これに関しては骨格筋芽 細胞というものの腫瘍形成能のポテンシャルもここの中には書かれていますし、相当長 期に培養を続けても増殖能が急激に出てくるような徴候はないということもあります。 実際には使う製品というのは腫瘍化の危険性がないと実証されている細胞倍加回数(P DL)の約□□から□□□の囲の中に入っているものを使うということもありますし、培 養方法自体がほかの細胞を振り落としていって□□□□□が残るというような…、それ からこれがその証拠になるかどうか分かりませんが、実際今までの臨床治験の中でもそ ういう所見というか有害事象の報告がないというふうに私は読んだのですが、どうぞ。 ○機構 御指摘いただきました点につきましては、専門協議でも議論していただきまし て御意見をちょうだいしました。やはり御指摘のとおりごくわずか混入した細胞を検出 するというもの、そういう試験系をどういうふうに組めるかということを議論いたしま したが、やはりある程度の細胞数を必要とするであろうと。そうしますと、実際に投与 するのが□□□□ですが、□単位の細胞を恐らくそのための試験に作成することが必要 になると。そうしますと試験の感度であるということ、細胞の特性として、骨格筋芽細 胞はがん化の可能性としては余り高い方ではないであろうと考えられること、それから ES細胞などと違いまして自己由来ですので、個体差というものも考えまして、すべて の製品、検体についてこの試験をしないとやはり意味がないということになってしまい ますと、現実性を考え合わせてすべてについてこれを試験するのはちょっと難しいとい うことで、バリデーションの形で何かやることができないかということで、一応、今□ □□□□□□□□をするということで申請者に指導いたしました。 ○岡野委員 結局これはMytogen社から技術導入してテルモでやり始めているわけで す。テルモで調整したものが本当に安全かというのは、何らかの形で少なくとも1回は 検討して、そのときのセルサーフェスマーカーあるいはマイクロアレーの結果と腫瘍形 成能、こういう結果だったら大丈夫ですよと。少なくともそれが1回あればすべての検 体についてやれというのではなくて、これだけのチェックをすれば腫瘍形成能がないの で、1回やってエビデンスがあれば私はいいと思います。それぐらいの検討はどうなの ですか。全部の症例についてやれということではなくて…。 ○機構 ありがとうございます。先ほどのマイクロアレー等でいろいろ検討する必要性 の御意見をちょうだいしておりますので、併せてやはり適切な指標について何らかの確 認をするよう、これから申請者に指導してまいりたいと思います。 ○早川部会長 どうぞ。 ○小澤委員 その関係ですけれども、岡野先生が言われるようにやはり□□□□で腫瘍 形成を検出するのは非常に難しいと思うのです。ですから、むしろその辺はやってもや らなくてもいいくらいなところであって、現実的にやりやすいものとすると、ずっと長 く培養した後の染色体異常が出てくるかどうかを最低限やって、染色体分析でまた異常 が出てくるかどうかというのはかなりラフな試験ですので、もし本当に新しいテクノロ ジーを使うとすると、CGHアレイか何かで微妙なゲノムの変化が起こるかどうかとい うのを全例でなくてもやっていただくといいかなと思いました。 ○早川部会長 染色体の分析はやっていないのですか。かなり長期間培養した細胞につ いてはいかがですか。 ○機構 □□□□は行っているのですけれども、長期間患者さんに適用する場合と比べ て非常に長い期間培養した後にやっているというわけではございません。それも併せて、 申請者にこれから検討するよう指導したいと思います。 ○早川部会長 できないことを言ってもできないので、今はアベイラブルな方法でしか も確実に何か情報が得られるような方法があれば、是非それは検討していただくと。そ ういうことでよろしいですか。どうぞ。 ○土屋委員 今国の研究プロジェクトで染色体のもう少し長期の培養をした後のFISH 法での解析とか軟寒天コロニー法とかヌードマウス移植試験、それから先ほど大阪大学 の澤先生の御研究においていろいろな増殖因子、ケモカイン、細胞外マトリックスの発 現も含めて、マーカーについて官民共同研究でも検討いたしておりますので、そういっ たものを効率よくフィードバックして、なるべく低コストで安全性を確保するというこ とも重要ではないかと考えております。先ほど先生が言われましたヌードマウスの移植 試験を私も前々からずっと言っているのですが、なかなかやはり骨格筋芽細胞だとES 細胞とは違って腫瘍化の可能性は低いということで、抵抗はあるのですが、先ほど言わ れましたように1回1回ではなくて1回バリデーションとしてやっておくことはそれほ ど大変な実験ではないですし、そういうプロジェクトの中で一緒にやっていきたいとい うふうに思っています。 ○早川部会長 テルモのこの骨格筋芽細胞のプロジェクトに入っておられるのですか。 ○土屋委員 はい。 ○早川部会長 では一緒に結果を出していただければいいのかもしれません。 ○土屋委員 一応、□□□も検討していただいていますし、そういうところで有効に…。 ○早川部会長 そのプロジェクトで□□□もやっていただいたのですか。 ○土屋委員 ヌードマウスまですべてやっていますので。 ○早川部会長 島田先生、どうぞ。 ○島田委員 この細胞に関して気になっていることがあります。こういうことは普通に あるのでしょうか。例えば9ページに規格を決めるときに「目標規格値」というのと「暫 定規格値」という随分幅の広いものを設定しておいて、実際には暫定規格値でオーケー にしてしまっているわけですよね。こういうことが意味があるのかどうかというのが…、 ちょっと私はこういうやり方がよく分からないというのが一つあります。それはどうい う意味なのでしょうか。 ○機構 御説明いたします。目標規格値というのは申請者の少ない試験実績、製造実績 から設定されているものであります。暫定規格値は、Mytogen社の臨床試験に使用した 製品の製造実績を参考にして設定されたものであります。製造の一定性及び品質の恒常 性確保という観点からは、申請者の製造実績に基づきまして規格を設定すべきところで ございますけれども、申請者の製造実績がまださほど多くはないということと、製造は 一定でも個体差によるばらつきのために□%という目標規格値を外れる可能性も十分考 えられるということから、治験用の骨格筋芽細胞につきましては海外で使用されて、安 全性上の大きな問題が見られなかったものから設定いたしました暫定規格値を用いて出 荷を判定するということにしております。今後の治験における製造実績、それから製造 の一定性を確保すれば目標規格値を十分満たすということが確認されましたら、治験で やられる細胞純度、それから安全性等との関連性、そういう情報も踏まえた上で、承認 申請の際には最終的な規格値を決定するという方向で行くようになっております。 ○島田委員 こういうのは普通にやられる方法…。 ○早川部会長 これは細胞なので結構振れが大きいわけですけれども、一般的に治験に 入る前はもちろん製造実績も少ないわけですし、それから純度が安全性上懸念があるよ うなものだとまずいわけです。例えば、今たまたま開いた1-35というところに海外の臨 床試験の報告が出ていて、大体□%ぐらいからのものを使っているわけです。そうしま すと、取りあえずそういうことが足切りの最低ラインであって、それ以上を使いましょ うと。それより低いのは多分Mytogen社の□%ぐらいのもあると思うのですけれども、 取りあえず□%以上を暫定的に…、それ以下はもう使いませんということで設定してお く、実際にはメーカーがこれから製造…、これは個人個人の話になります。オートです から。そういう形で製造実績を積んでいって治験もやるわけでしょうけれども、そうい う中で実はすべて□%以上がクリアできる、あるいは□%以上がクリアできるというこ とであればその□%のもの、□%のもので臨床上の治験を見て評価する、最終規格とい うのは逆に言えば臨床試験の有効性、安全性というのを見定めて決めるものなので、今 の目標は□%ぐらいにしたいということだと思います。 ○島田委員 分かりました。もう一つですけれども、確かに使う細胞をマイクロアレー にしても何にしても非常にきちんと解析していくということはもちろん重要だと思うの ですけれども、ただ、ヒトの治験で使うわけですから実際にヒトに打った後でどこまで 解析できるかというのは、評価の問題も含めてかなり難しい問題があると思うのです。 ですから、もちろんこれはこれでやると思うのですけれども、やはり私は基礎研究が非 常に重要で、先ほどのメカニズムの問題などについても恐らくヒトの治験では、この間 たくさん日本でもやられている例えば骨髄細胞の移植などでも、結局分かったような分 からないようなというふうになってしまうので、やはりそういった前臨床試験をきちん とやるべきだと。これは同時になるかもしれませんけれども、やるように強く言ってほ しいです。私もよく分からないのですけれども、うちの循環器の者なども心筋梗塞モデ ルというのはブタとかイヌで結構やっています。そういう意味ではモデルがあるのでは ないかと思うのです。ですから、そういう動物実験だったらそういった細かい解析も可 能だと思うので、是非それをやっていただきたいと思います。 ○早川部会長 二つあると思うのですけれども、一つは一般的な基礎研究、つまりトー タルとしてのこういうことに関する基礎研究という意味と、それからもう一つは個々の 患者さんにおける個々の解析、実際の評価というか臨床上の評価は個々の患者さんから 情報は得られるわけです。ですから、そこが技術的にできるかできないかは別にして、 トライしてみる…。骨格筋芽細胞に関する一般的な基礎研究はテルモだけの問題、責任 ではないのかもしれません。 ○島田委員 両方必要だ、重要だという…。 ○早川部会長 両方必要だということです。基礎的な検討と、もう一つは1個1個のケ ースについて、もちろん技術的にできる範囲で、もう少しその細胞の特徴を表せるマー カーがあるのか、先ほどのように例えば年齢、ヒトに応じて、実は数は同じだけれども、 中身を見ると違っていたと。結果との対応で1対1ですからそこはなかなか因果関係は 難しいのだろうと思うのですが、できる範囲でやっていこうと。多分二つあるのかなと いう気がします。岡野先生、どうぞ。 ○岡野委員 島田先生の御意見に私も全く賛成でございまして、今、例えば国際幹細胞 生物学会の抄録とか昨日国際会議で議論していたのですけれども、とにかく余りいいス コアを上げられないような作用メカニズム、何か入れたけど効いたとか、そういうメカ ニズムが分からないものは、細胞そのものが生着して効いているのか、それともそれが 出すトロフィックファクターが効いているのか分からないと。それは実験的に区別でき るのです。しばらくしてその細胞をアブレーションした場合、効果が元に落ちるかとか いろいろな方法で分かりますし、さらには実際何らかの方法で増やして、その細胞を例 えばセルソーターとかでセレクションせずに入れているというのは、やはり細胞の純度 の問題にかなりマイナス点が付く場合が多いのです。そうでないと、本当に臍帯血や骨 髄間質をそのまま入れて、何か知らないけれども効いた、メカニズムは分かりませんと いうのは余り尊敬されない研究なのです。やはり9年前で非常に劣っている…、追い掛 けてやるのもいいのですけれども、やはりこの時点でやるのだったらある程度のそうい った前臨床試験を、治験を始めてからでも結構なのでやるように御指導いただけたらな と是非とも思います。お考えいただきたいと思います。 ── 貫和委員退室 ── ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。先生、どうぞ。 ○小澤委員 また戻ってしまいますけれども、笠貫先生にちょっとお聞きしたいのです が、別紙の1-29〜30ページのところで、先ほどもCABGのオペだけで効果が出ている 可能性もあってその上乗せがどのくらいか分からないということでした。この表ですと 余りドーズディペンデンスではなさそうな感じですけれども、本当はこれは移植細胞ゼ ロのデータも並べて出しておいてほしかったのですが、その辺を含めてこのデータを笠 貫先生がどのような印象を持たれるかということと、前のページのこれは多分いいとこ ろを一生懸命探してとっているのでしょうけれども、移植した細胞がこのような感じで 見られますよという染色像が出ていますが、これを御覧になった印象も含めてちょっと お聞きしたいなと思ったのですが。 ── 貫和委員入室 ── ○笠貫参考人 EFの改善率と移植細胞数の話ですが、私もこの評価がグローバルな心 機能でいいのかどうかは、評価法として不十分ではないかという印象を持っているとこ ろです。といいますのは、どうしても冠動脈バイパスでできるところをバイパスしてい るわけですから、そこのところは必ず心機能の改善の方向に働くわけです。EFが□% 改善しているということだけでは不十分で、本当はこの細胞移植をしなかった場合と比 較するためには科学性としてはランダマイズスタディーが必要になってくるのだろうと 思うのです。そういう意味で欧米でのこの根拠はこれぐらいのEFの人はCABGによ り□%ぐらいまで改善するだろうと考え、それと比較して大体□%を超えれば細胞移植 による効果があったのだろうという一つの仮説の上に立っているのであって、細胞移植 が移植細胞数とともにどうこうというような評価にはとてもなり得ないと思っていま す。そこで先ほどの移植した局在性の壁運動がどういうふうに改善してくるか、移植細 胞数との比較をするためにも局在性との評価をしなければできないと思いますし、私も このデータの読み方としては限界を持って見ているところです。 ○小澤委員 もう一つよろしいでしょうか。その関連で、確かに移植した細胞が効いて いるかどうかを見ていくには、移植したところの動きが本当によくなっているかどうか を見るというのは非常に大切だと思うのですけれども、臨床的にはやはりトータルのE Fでそれなりの効果が出てこないと余り意味がないのではないかなという気もするので すが、その辺はいかがでしょうか。細胞が効いているかどうかを局所の動きで見るのは 大切ですけれども、臨床的な重要性はやはりトータルでも出てほしいという気がするの ですが。 ○笠貫参考人 両方が必要だと思うのです。ただ、ランタマイズスタディーとしてプラ セボが使えないとしたら両方、全体として心機能もよくなり、かつ細胞移植自身も効い ているという意味で局在性の壁運動の改善も見るという二つが、プロトコルを作るとき には不可欠ではないかと思っています。それから、私も1-29の病理組織がどの程度壁運 動の改善に効果をもたらすかということについては、十分評価できるほどの知識がござ いません。免疫染色で骨格筋芽細胞が確認されたという程度のことしか理解しておりま せんでした。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○岡野委員 笠貫先生がいらっしゃる間にもう一点よろしいでしょうか。今の小澤先生 の点なのですけれども、ランダマイズしていないのは、いわゆるアーリーフェーズ2だ からしていないということと考えてよろしいのですよね。あと、もし日本でランダマイ ズするのだったら何らかのトリートメント…、何もしないプラセボがいいかどうかとい うのは根幹の問題がありますので、CABGのみとCABGプラス移植という形になる のかとか、その辺をちょっとお聞かせいただけたらと思うのですけれども。 ○早川部会長 それは多分、治験のプロトコルの問題だと思います。 ○機構 治験プロトコルについてはテルモ社と協議をいたしておりまして、我々として は一つのやり方として御指摘いただきましたようなCABGを対象とした本剤の上乗せ 効果を見るような治験ができればということで、今議論しております。患者の組入れや 実際的にそれが実施可能かという具体的なところまで詰め切れておりませんので、それ についてはそういう御意見も頂いたということで伝えたいと思います。 ○早川部会長 ほかにいかがですか。それではテクニカルなことでもしございませんよ うでしたら倫理的な面、例えばインフォームド・コンセント等についてもここで…、最 終的には治験のプロトコルの中できちんと整備していくべき問題だとは思うのですが、 今の時点でお気付きの点があれば…、どうぞ。 ○島田委員 全体として評価するという意味ではその部分は大変重要だと思います。で すから、是非次のステップのときによく検討してほしいのですけれども、このインフォ ームド・コンセントは非常に不十分な情報しか入っていなくて、正にこういう移植のア プローチは非常に重要だと思うのですけれども、実際これがどういう科学的位置付けか というのがきちんと書いていないと、何だか効くかもしれないですというだけの話にな って、つい2、3週間前も出ていましたけれども、問題はマスコミでちょっと新しい移 植をやったらまたここに効きましたという話が出てしまいますよね。そうすると、患者 さんにとっては何を使ったのかは別にして、何だか効くかもしれないというインフォメ ーションが入ってきてしまっているので、このプロトコルの位置付けは、やはりきちん と患者さんに理解してもらった上でやりたいという人に対してやる分には全然問題ない と思います。その辺のところを是非次のステップでは考えてほしいと思います。 ○早川部会長 貴重な御意見を頂きました。もし具体的にここはせめて充実してくださ いというのがございましたら御指摘いただければ…。 ○島田委員 例えば移植の問題が何も書いていないのです。ですから、実際は今、細胞 治療として骨髄細胞もありますし、一方において日本などは今ものすごい数の骨髄細胞 をやっているわけです。そういうものがどうなのかという…。それから、この方法に対 しても先ほどから出ているように、ヨーロッパでここまで分かっていてここが分からな いのだということをきちんと出してほしいということがあります。少なくともそういう 点を患者さんに理解してもらった上で参加してもらうと。 ○早川部会長 ありがとうございます。どうぞ。 ○機構 御意見ありがとうございます。治験プロトコルも含め、同意書については今後 指導してまいりますけれども、御指摘いただきましたように、現在やられている治験の リスクとベネフィットをきちんと公平な形で情報提供するように指導してまいりたいと 思います。 ○早川部会長 ほかにどなたか何かございますでしょうか。それでは時間もかなり押し てまいりました。笠貫先生、長時間にわたりまして大変ありがとうございました。全体 の結論というのでしょうか、この会でのいろいろな御意見を踏まえますと、これから治 験プロトコルに対しては今出していただいたようないろいろなことを踏まえてきちんと 組むようにと。これは笠貫先生が再三強調されておりますようなどういう判定基準にす るのかということも含めて、その辺はプロトコルを作る中でよく検討していただくと。 それから、細胞についても技術的にもちろん可能な範囲…、患者さんから細胞を採って くるわけなので、無限にその細胞を患者さんから採ってくるわけにもいかない。やはり 限られた細胞数あるいはテクニックの中で、もし更に情報を深められるような臨床治験 と関係付けられるような指標があれば、そういうものについては積極的に考えてこれか ら検討していくと。それから安全性の問題として、先ほど腫瘍化についての基礎的な検 討も必要だということもございました。それにつきましては土屋先生にやっていただけ そうな感じもありますので、研究班の中で是非骨格筋芽細胞を…。ただ、これも患者さ んから試料を頂かないといけないので、どこまで細胞がアベイラブルかという問題も別 の意味ではあるかと思いますが、技術的に可能な範囲でできるのであれば検討していた だくということです。それから、インフォームド・コンセントについてはこれも臨床治 験のときの問題ではありますけれども、島田先生に御指摘いただいたような点を十分踏 まえてきちんとした…、要するに科学的なこの治験計画の位置付けを患者さんに十分知 っていただくと。それから、世界でやられている治験がどういう状況であるかを説明し ていただくと。そういうことも含めて、きちんとしたインフォームド・コンセント案文 を作っていただく。大体そのようなことで、この確認申請についてはそういうことを前 提として御了承いただいたと理解しておりますが、それでよろしゅうございますでしょ うか。どうぞ。 ○岡野委員 これは当然のことだと思うのですけれども、いわゆるGMP基準での facilityで手順書、その他のチェックは何らかの形でやっていらっしゃるのですよね。 ○早川部会長 これはやっているのですね。 ○機構 GCPの中に治験薬GMPに関する基準がございますので、それにのっとる形 でやるということが規制上も課せられております。 ○岡野委員 それでやるという手順書を確認されたと理解してよろしいですか。 ○機構 手順書については今後、治験届の確認の際に同様に品質管理を含めて確認をし ていく予定でございます。 ○岡野委員 よろしくお願いします。 ○早川部会長 治験薬GMPというカテゴリーの中で取り扱っていくということです ね。治験薬についてのGMPを遵守していくということのようでございます。というこ とで、本品目は今回に関しては基準に適合しているということを御了承いただいたとい うことで、薬事分科会に報告させていただきたいと思います。笠貫先生、長時間にわた りましてありがとうございました。 ── 笠貫参考人退席、審査管理課長入室 ── ○早川部会長 それでは、時間も迫っておりますけれども、次の報告事項であります遺 伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基 づく遺伝子組換え技術応用医薬品の拡散防止措置の確認について、事務局の方から御説 明をお願いいたします。 ○事務局 それでは御説明させていただきます。資料2に沿って御説明させていただき ます。その前に参考資料3、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性 の確保に関する法律の概要」と書いてあるものを御覧下さい。枠で囲ってあるところの 大きいところですけれども、本法律では遺伝子組換え生物等の使用等に先立ち、使用形 態に応じた措置を実施することが求められております。環境中への拡散を防止しつつ行 う使用等において、施設の拡散防止措置が主務省令で定められております場合は当該措 置を、定められていない場合はあらかじめ主務大臣の確認を受けた拡散防止措置をとる こととされております。  それでは、資料2に戻っていただきます。遺伝子組換え生物等の使用等の規制による 生物の多様性の確保に関する法律施行後、平成16年8月〜平成17年12月までにこのカ ルタヘナ法第13条に基づいて、遺伝子組換え技術応用医薬品の拡散防止措置の確認を行 った品目数は、ここにありますとおり全部で77ございます。このうち、カルタヘナ法実 施後に新規に確認を行った品目が、Good Industrial Large-Scale Practice、すなわち GILSPで24ございます。カルタヘナ法施行前に組換えDNA技術応用医薬品等の製造の ための指針への適合確認を既に行っているものはGILSPが51、それからカテゴリー1が 2つございます。  カルタヘナ法第13条に基づく拡散防止措置の確認についての取扱いでございますけ れども、GILSPは部会報告、カテゴリー1は部会審議、分科会報告となってございます。 カテゴリー1は本来、部会審議でございますけれども、従来の「組換えDNA技術応用 医薬品等の製造のための指針」への適合確認を既に行っている品目であり、新規性のあ るものではないことから、事務局が部会長の御了解を頂いて、部会審議を行わずに確認 通知を発出させていただいております。  資料2の次のページ以降に、カルタヘナ法第13条に基づく拡散防止措置の確認を行っ た品目のリストを御用意してございます。ここでカテゴリー1の2品目について簡単に 御説明させていただきます。3ページの34、35番が該当いたします。AcRP23.lacZ-VP1 及びVP2でバキュロウイルスを宿主として、トランスファーベクターpAcYM1を用いてヒ トパルボウイルスB19のVP1、VP2たんぱく質をコードしている構造遺伝子を供与 核酸として作成されております。用途はヒトパルボウイルスB19の抗体検出用体外診断 薬の原料作成でございます。以上でございます。 ── 説明中、島田委員、小澤委員退席 ── ○早川部会長 ありがとうございました。ただいま御報告のございました件について、 何か御意見、コメント等はございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、 本件については報告を了承いただいたということにさせていただきたいと思います。本 日の議題は以上でございますが、全体を通じてで結構でございますけれども、先生方、 何かございますでしょうか。どうぞ。 ○岡野委員 やはり今御存じのとおり、厚生科学審議会でヒト幹細胞等を用いた臨床研 究の指針がパブリックコメントの受付が終わったところで、うまくいきますといよいよ 7月1日発令で8月1日から施行ということになりまして、いってみれば未分化な細胞 を含んでいるということになりますので、もしこれをアカデミアでやるとその指針の対 象になりますので、是非ともそのお手本となるような形で今後御審議を進めていただけ たら大変うれしいなと思っております。指針の方が厳しくなってしまったらちょっと本 末転倒なような気もしますので、そこは是非ともよろしくお願いしたいと思います。 ○早川部会長 ありがとうございました。先端医療技術はもちろん安全性確保というの は第一義的にあるわけですけれども、是非進めていきたいということでございますので、 先ほどのお話のようにFDAでは9年前に出た話が今日本で出てきているというような 状態を是非どんどん解消していきたいということも含めて、これからこの部会審議も大 事になっていくと思いますので、先生方の御協力をよろしくお願いいたしたいと思いま す。事務局の方で何かございますでしょうか。 ○事務局 特にございません。 ○早川部会長 それでは、本日の議事はこれで終了ということにいたしたいと思います。 本日は熱心な御討議を頂きましてどうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 齊藤(内線4221)