06/03/28 第83回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録   第83回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成18年3月28日(火)13:00〜 2 場所  職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表 : 清家委員、北村委員、鎌田委員、        雇用主代表: 成宮委員、輪島委員、山崎委員        労働者代表: 長谷川委員、川畑委員、   事務局  高橋職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、        篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、        佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について(フォローアップ)       (2)その他 ○清家部会長   ただいまから、第83回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は、労働側池田 委員がご欠席と承っております。  本日は、最初に公開で「労働力需給制度について(フォローアップ)」の調査結果につ いてご審議いただきます。また、その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業 紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問に係る審議を行いますが、許可の審査につ いては、資産の状況等個別の事業主に関する事項を扱いますことから、これについては 「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」 場合に該当するため、非公開とさせていただきますので、傍聴されておられる方々には、 始まる前にご退席をお願いすることになることを予めご了承ください。  それでは、議事に入らせていただきます。最初の議題の「労働力需給制度について(フ ォローアップ)」ですが、今回は「職業紹介関係」についてのフォローアップを行いたい と思います。  まず、本日提出の資料につきまして、事務局からご説明をいただいた後、議論を行う こととしたいと思います。それでは、事務局からご説明をお願いいたします。 ○篠崎補佐   資料の説明をさせていただきます。お手元の資料のご確認をいただきたいと思います。 資料1が「フォローアップ事項」で、職業紹介関係、労働者派遣関係のフォローアップ 事項を並べた1枚紙があります。資料2は、「職業紹介事業関係資料」という形で用意し ています。資料3が、今回の職業紹介事業関係の「参照条文」という形で、職業安定法 関係を付けさせていただいております。資料4は、「労働力需給制度についてのアンケー ト調査集計結果」で、資料番号を付けておりますいちばん上の資料が概要で、あとは派 遣と請負という形で、それぞれ3つずつ合計9個の束が資料に付いていると思います。 こちらの需給制度についてのアンケート調査の集計結果については、本日は、時間の関 係もありますので、説明は省略させていただいて、資料2の中に職業紹介関係の必要な 部分は盛り込んでおりますので、そちらで説明をさせていただきたいと思っています。  それでは、説明をさせていただきます。まず資料4、労働力需給制度のアンケート集 計結果についてで、労働者派遣、職業紹介、請負関係の調査の概要です。本日の職業紹 介関係は、2、調査対象の(2)ですが、職業紹介事業所については2,500事業所、有 料職業紹介事業所については2,270、無料職業紹介事業所については230事業所に配付 をいたしました。(2)求人企業については、職業紹介事業所からそれぞれ4事業所に送っ ていただくという形で、1万事業所。求職者1万人で、こちらも職業紹介事業所からそ れぞれ4人ということで送っていただいて記入を求めたものです。  2頁、(4)回答数の(2)ですが、職業紹介事業については、回答数が771事業所、 回収率30.8%、求人企業が、回答数が1,006事業所、回収率10.1%、求職者の回答数が 1,138人、回収率が11.4%となっております。参考までに派遣関係、請負関係がありま すが、労働者派遣関係についても派遣元事業所の回収率30.6%、派遣先10.5%、派遣労 働者19.4%、請負事業関係については、製造業の請負事業所19.2%、請負に係る発注者 5.8%、請負に係る労働者11.1%という回収率になっております。  資料2、職業紹介事業関係資料です。それぞれのフォローアップ事項について、現行 制度の説明、昨年夏に行いましたヒアリングにおける主な意見等と、関係資料の中にア ンケート調査の中で関連となるような資料がある場合もあります。  まず、Iの「許可・届出制」について、1「現行制度」です。まず、有料職業紹介事 業は許可制になっています。許可手続きについては、事業主単位になっています。これ は平成15年改正で事業主単位となったもので、従来は事業所単位でした。無料職業紹 介事業は、学校等、特別の法人、地方公共団体以外の者については許可制になっていま す。この許可手続きについては事業主単位で、これも平成15年改正前は事業所単位で した。  商工会議所、商工会、農協の特別の法律により設立された一定の法人が構成員のため に行う無料の職業紹介事業については、届出制となっています。これは平成15年の改 正で許可制から届出制になったものです。  地方公共団体が、住民の福祉の増進、産業経済の発展等に質する施策に関する業務に 附帯する無料職業紹介事業を行うことを可能とし、届出制、これも平成15年の改正で、 届出により地方公共団体が無料職業紹介事業を行うことが可能となりました。参考まで に付け加えてありますが、現在、特別の法人による無料職業紹介事業による実施状況に ついては、40法人が行っております。地方公共団体による無料職業紹介については、25 道府県22市12町1村1組合となっています。  2頁、特別の法人無料職業紹介の実施状況ということで、届出により行っている特別 の法人による無料職業紹介事業を載せております。時系列に並べておりますが、下に「法 人の内訳」と書いてありまして農業協同組合14法人、商工会議所8法人等となってい ます。  3頁は、特別の法人の無料職業紹介事業の状況で、グラフの左から新規求職申込件数、 常用求人数、白いところが常用就職件数となっています。求人数については、専門的・ 技術的職業や生産工程・労務の職業、サービスの職業で多くなっている状況が見て取れ ます。  4頁、地方公共団体が届出を行う無料職業紹介事業です。これについても、届出のあ った順に時系列で並べていますが、例えば、上にあります若年者の就業支援なり、中高 年齢者の障害者の支援なり、あるいはU・Iターンの就業支援だったり、自治体の施策 に関連した事業内容が記載してあります。  5頁、地方公共団体の無料職業紹介の状況です。5頁は求職の状況で、この中で事務 的職業、専門的職業、右のほうの生産工程・労務の職業の求職申込みが多い傾向が見て 取れます。  6頁です。求職は職業別ですが、こちらは産業別になっています。常用求人数と常用 就職件数です。求人数については、製造業、サービス業、卸売・小売業で多くなってい る状況が見て取れると思います。  資料の1頁に戻っていただいて、このように特別な法人や地方公共団体の職業紹介事 業が届出できるようになったり、許可制度について事業所単位から事業主単位に、平成 15年の改正で変えたところですが、2としては、「ヒアリングにおける主な意見等」と いうことです。まず、事業主団体からは、「事業主単位での許可により、新規許可や更新 の手続きにおいて、大幅な簡素化があったと評価されている」、事業主については、「事 業主単位での許可により、業界にとって参入しやすくなっており、また事務の簡素化に 貢献してるという実感がある」という意見が出ております。  資料の7頁、「手数料制度」の関係です。まず、「現行制度」です。求職者手数料は、 原則禁止となっています。求職者の手数料徴収が当該求職者の利益のために必要である と認められるときとして省令で定めるときに限り、徴収可能となっています。求職者か ら手数料を徴収できる科学技術者、経営管理者、熟練技能者の求職者に係る年収要件を 700万円超に引き下げと。700万円に引き下げたのが平成15年の改正で、従前は1,200 万円を超える年収要件の場合に、求職者の手数料が徴収可能となっていました。  注ですが、平成15年改正においては、年収要件だけではなくて、熟練技能者の職業 の追加をしています。従来は、芸能家、モデル、科学技術者、経営管理者だけでした。 求職者受付手数料については、芸能家、家政婦、配ぜん人、調理士、モデル、マネキン については、従前より取れることになっていたものを、引き続き取れることとしていま す。  「ヒアリングにおける主な意見等」です。事業主団体からは、「まだ、改正による効果 を把握できる状況にはない」、「求職者から手数料を取っているところは、会員企業では ないと聞いている」、「今後、業務が多様化していくため、将来は求職者から手数料を取 ることも1つの業務のやり方としてあるのではないかという意見も一部にはある。今後 少し状況を見て、いろいろと検討して、今後の規制について検討することが妥当」とい う意見が出ております。  事業主からは、「求職者からの手数料徴収を行っていないので、直接的な影響は大きく ないので、経緯を見守っていきたい。しかし、職業紹介事業者が採用が成功した場合に 成功報酬という形でもらう一方、最近、個人の面談サービスを専門にやる業者はそれで 有料にしていたりするので、同じサービスでも課金形態によって位置づけが変わるとい うことが大きくなるのであれば、この辺の個人から徴収する範囲を限定する必要が出て くるかもしれない」、「求職者から手数料をもらえることはありがたいことかもしれない が、いろいろなトラブルのもとになると懸念。700万円引き下げは、しばらくの間、見 合わせてほしい」。  求職者の意見ですが、「有料、無料ということを初めて聞いたが、転職が叶えば求職者 がお金を払うというのは理解できることである。ただ、気軽に就職先を探していきたい 時でも有料になるのであれば、かなり慎重になると思う」、「手数料について、求人者、 求職者から取っているかの情報が開示されるべき。また、企業から見ると、手数料負担 が求職者に分散されれば、就職の時の条件が緩和されるというメリットも金額的にある と思うので、その辺を開示すると、求職者側にとってもメリットのある話し合いや能動 的に動けることができると思う」、「有料、無料の意識はもともとなかったのだが、求職 者手数料は、会社を選ぶ際の判断基準になり、慎重に選ぶことにもなるのでよい。お金 を払う以上、企業も客のほうを向くし、求職者もそれにある程度見合ったものを提供し てもらいたいという気持ちが強くなるので、お互いとってよい」、「お金を払うというこ とは全く知らなかったが、支払い額のガイドラインを作った上で、成功報酬という形で お互いに納得して支払うのはよいと思う」と。  以上のように、傾向としては、事業主団体、事業主からは、まだ実際に求職者からの 手数料を取っていないと、当面は見守っていくべきではないかというような意見でした。 一方、求職者からは、いろいろな意見がありましたが、そもそも有料か無料かという制 度を知らないという趣旨の意見も多かったところですが、場合によっては払ってよいと いうような意見もあったと考えております。  続いて、実態調査におけるポイントを説明したいと思います。参考1で若干コメント を付けておりますが、表が付いておりますので、11頁以降でご説明したいと思います。 実態調査、アンケート調査の職業紹介関係の抜粋です。<>内は平成14年の実態調査 の数値ですので、適宜そちらと比較していただきたいと思っています。  まず表2です。求職者からの手数料徴収の対象で、有料職業紹介事業者のうち、どの ような求職者から手数料を取っているかというものです。こちらについて見ますと、左 から4番目ですが、科学技術者は0.2%、経営管理者が0.3%、熟練技能者が1.2%とい う形になっております。前回の時には、科学技術者、経営管理者それぞれ1.1%ですの で、若干小さくなっているということだと思います。  12頁、表4ですが、求職者から紹介手数料を徴収する時期については、左から4つ目、 「求人者から求職者に給与の支払いがある都度、分割徴収」という事業所が12.4%とい うことで、いちばん多くなっています。前回は30.7%で、前回と比べると減っておりま すが、今回、「不明」という部分が73.0%で、大きくなっていますので、そういうこと を考え合わせると、傾向としては変わっていないのではないかと考えています。  13頁の表5、求職者から紹介手数料を徴収するメリットという説問です。右から3番 目ですが、「特にメリットはない」という事業所が41.8%、左のほうの「積極的に求人 開拓をすることができる」が20.6%となっております。  表6、求職者から紹介手数料を徴収するデメリットです。左から4つ目、「求職者と民 間職業紹介事業者とのトラブルが増える」が38.1%、その右の「能力を持った求職者が 有料職業紹介事業者を利用しなくなる」が29.7%という順で多くなっております。  14頁の表7です。手数料を徴収できる求職者の範囲についての説問です。まず、「現 行より拡大すべき」という意見が13.1%で、前回の21%より減っております。「現行の ままでよい」が66.6%で、こちらは前回の58.5%より増えております。「現行より制限 すべき」は8.1%で、前回調査の1.3%よりは大きくなっておりますので、平成14年調 査値と比較して、「現行のままでよい」という意見が増加する一方、「現行より拡大すべ き」という意見が減少し、「現行より制限すべき」という意見が増加するという結果にな っております。  下の表8ですが、「拡大すべき」と考えた事業所のみに聞いております。徴収できる範 囲の拡大についての考え方です。多い順に申し上げますと、右から3番目、「すべての求 職者から徴収できるようにすべき」が57.7%、その左ですが、「徴収できる職業を拡大 すべき」が37.2%、「科学技術者及び経営管理者の年収要件を緩和すべき」が14.1%と なっております。  15頁の表9です。「現行のままでよい」と考える事業所のみに聞いた説問です。「現行 のままでよい」とする理由ですが、多い順に申し上げます。左から2番目、「今でもとっ ていないから」が61.7%、その3つ右、「現行の範囲が適切だと考えられるから」が34.8%、 「求職者から取るべきではないから」が23.4%となっております。  16頁の表12、求人企業から徴収する平均紹介手数料率について、ホワイトカラー系 について聞いたものです。いちばん右の欄に「平均」とありますが、こちらについて専 門的・技術的職業で22%、管理的職業で23.2%、事務的職業で18.7%となっており、 その下の前回調査と比べましても、傾向としては大きく変わってないのではないかと思 っております。 具体的には、多い部分ですが、表の真ん中、「年収の25〜30%未満」、「年収の30〜35% 未満」のところに多くの分布が集中しております。ただ、事務的職業については、いち ばん多い分布が「年収の25〜30%未満」、2番目が「年収の15〜20%未満」となってい ます。  17頁の表13、求人企業から徴収する平均紹介手数料率(伝統的職業)です。1ヶ月 当たりの賃金の何%という形ですが、いちばん右にありますように、家政婦が12.6%、 配ぜん人が10.8%という形で、10%のところに各職業とも位置しているということです。  表14は、今回新たに取った項目ですが、再就職支援事業における送り出し企業から 徴収する平均手数料額です。平均手数料額としては、63万6,000円程度、管理的職業で 68万円程度、事務的職業で57万円程度となっています。  これを、次の18頁の表15の「徴収平均手数料率」で見ていただきたいと思います。 率で見ますと、専門的・技術的職業が15.5%、管理的職業が15.1%、事務的職業が16.2% という形で、求人企業から徴収する手数料率が20%を超えていたのに比べて、再就職支 援事業における送り出し企業からの平均手数料率は15%前後という状況が見て取れる と考えております。  資料の19頁ですが、これからが求人企業に対する説問です。まず表1、民間職業紹 介事業者に支払う平均手数料率ですが、まずホワイトカラー系の職業の求人が中心の事 業所のみについては、いちばん右の平均は20.4%。前回は20.7%でしたので、大きな変 化はないものと考えております。  資料の20頁の表3、非ホワイトカラー系求人が中心の事業所に対する説問です。平 均手数料率としては、いちばん右にありますように、13.2%という形になっております。  表4、「求職者の手数料負担についての考え方」です。まず総数で見ますと、右から3 番目ですが、「求職者からは手数料を徴収すべきではない」が34.5%、「一定の条件があ れば求職者からも手数料を徴収すべき」が25.9%となっております。前回は、「求職者 から手数料を徴収すべきではない」が38%、「一定の条件があれば求職者からも手数料 徴収すべき」が32.2%という形ですので、若干それぞれ減少しています。  資料の21頁の表5、求職者から紹介手数料を徴収するメリットです。まず多い順に いきますと、左から2番目、「求人者の負担が減り、有料職業紹介事業が利用しやすくな る」が51.7%、その右の「求職者がどの民間職業紹介事業者を選ぶかの判断材料の1つ となる」が31.5%となっております。  一方、表6がデメリットです。デメリットについては、左から5番目、「能力を持った 求職者が有料職業紹介事業者を利用しなくなる」は23.6%、それから3つ左の「民間職 業紹介事業者が手数料を多く払う求職者の利益に偏った紹介を行う」が17.9%、その2 つ右の「求職者と民間職業紹介事業者とのトラブルが増える」が16.4%となっておりま す。  22頁以降が求職者に対する質問です。まず、紹介手数料の考え方についてです。総数 で見ますと、「手数料を払ってもよい」と答えた者の率は50.5%、内訳として見ますと、 「サービスを受けたのなら手数料を払うのは当然」と答えた者が13.5%、「よりよいサ ービスが受けられるなら手数料を払ってもよい」という方が18.2%、「就職が決まって からなら一定の手数料を払ってもよい」が18.8%となっています。「手数料を払いたく ない」と答えた者は、これは太字で書いてありますが、全体で29.9%で、この内訳を見 ますと、「従来と同じサービスしか受けられないのであれば手数料を払いたくない」が 9.8%、「求人者負担を減らすためならば手数料を払いたくない」が7.6%、「生活が苦し くなるので払いたくない」が12.4%となっております。これに対して、前回の調査結果 では、「手数料を払ってもよい」と答えた者の率は全体で76.8%、うち「サービスを受 けたのであれば払うのが当然」と答えた者は19.3%であり「手数料を払いたくない」と 答えた者の率は22.2%でした。そういう意味で、今回の調査結果を比較しますと、「手 数料を払ってもよい」と答えた者の率は少なく、「払いたくない」と答えた者の率が多く なっている傾向があります。  これは全体ですが、これを職業別に見ますと、家政婦、科学技術者、経営管理者等と 並べてありますが、「手数料を払いたくない」と答えた者の率が、生産工程・労務の職業 で46.2%、事務的職業で39.8%で、職業別で見ますと、生産工程・労務の職業、事務的 職業は若干「払いたくない」という方が多くなっております。  役職別で見ますと、部長以上クラスや課長クラスと比較して、係長クラスや役職なし では、「手数料を払ってもよい」という者の率が低く、「手数料を払いたくない」と答え た者の率が高くなっております。具体的には、部長クラスでは、「払ってもよい」という 方が56.2%なのに対して、係長クラスでは51.7%、役職なしでは49.3%と。逆に、「払 いたくない」という方は、部長以上クラスは27.4%なのに対して、係長クラスでは33.7%、 役職なしでは30.7%となっております。  年収別のところですが、100万円刻みでとっておりますが、700万円未満計と700万 円以上計という覧を設けています。これによりますと、700万円以上の者と比較して、 700万円未満の者では、「手数料を払ってもよい」と答えた者の率が低く、「手数料を払 いたくない」と答えた者の率が高いというようになっております。具体的には、700万 円未満計で「払ってもよい」という方が50.5%なのに対して、700万円以上計では56.6%、 「払いたくない」という方は、700万円未満計では29.8%なのに対して、700万円以上 計では8.7%となっています。  資料の24頁をご覧ください。求職者が手数料を支払うメリットです。これは「手数 料を払ってもよい」と答えた方の中で聞いています。まず1番、左から2番目ですが、 「求人者の負担が減ることにより、有料職業紹介事業を利用する求人者が増え、就職し やすくなる」と答えた方が29.7%、2つ右の「民間職業紹介事業者が求人企業側の利益 に偏った紹介を行わないという信頼感が持てる」が29%となっております。  26頁の表3をご覧ください。こちらが、メリットに対してデメリットです。これは「手 数料を払いたくない」と答えた方に聞いております。左から4つ目の「民間職業紹介事 業者のサービスに満足できない場合が増加する」が25%、その右の「能力を持った求職 者が有料職業紹介事業者を利用しなくなる」が16.5%、その3つ左で「手数料を多く払 う人がサービスを優遇される」が15.9%というように、デメリットとして答えている方 が増えております。手数料関係は以上です。  28頁、「兼業禁止規制」についてです。「現行制度」は、職業紹介事業と、料理店業・ 飲食店業・旅館業・古物商・質屋業・両替業等との兼業禁止規制を撤廃しております。 平成15年改正で行った措置です。  「ヒアリングにおける主な意見等」としては、事業主団体からは、「一部の業界では、 企業規模の大きな事業所で、職業紹介事業者の系列化があり、競争の阻害ということに ならないか危惧する声がある」、事業主の意見ですが、「業界自体の健全な発展のために、 今回の緩和を少し見守っていく時期が必要」、「今現在では、兼業禁止がなくなって然る べきであり、社会情勢がよほど変化しない限りは廃止されたままでよい」という意見が 出ております。  29頁、「保証金」です。「現行制度」は、有料職業紹介事業者に対する保証金制度を廃 止。これは平成15年の改正で行ったものです。「ヒアリングにおける主な意見等」です が、事業主団体からは、「保証金の廃止は非常に歓迎」、事業主からは、「中堅で多少事業 所が多い業者にとっては、非常によかったのかもしれない」、「30万円程度のものがあっ ても大きな担保になるわけではないので、廃止されてよかった」という意見が出ており ます。  30頁、「職業紹介責任者」関係です。「現行制度」は、職業紹介責任者の選任要件につ いて、職業紹介に係る業務に従事する者50人当たり1人以上すると。これは平成15年 改正前については、「有効求職者500人につき1名を選任」となっておりましたのを、 仕組みを変えて、「職業紹介事業を行う従業員50人当たり1人」ということで責任者を 選任するように改正しています。  「ヒアリングにおける主な意見等」は、事業主団体からは、「従来だと、どの段階から 求職者としてカウントするのかという点で迷いがあったので、これですっきりした」、事 業主からは、「概ね妥当な改正と考えている」、「合理的な数字で、大きな企業でもそれほ どの数が必要となるわけでもなく、妥当」という意見が出ております。  資料の31頁、アンケート関係ですが、まず表1、職業紹介責任者数です。これは、 平均では、いちばん右ですが、1.6人、前回の調査が2名でしたので、大きな変化はな い。具体的には、「1人」という事業所が64.6%、「2人」という事業所が18.7%。前回 の調査については、「1人」が65%、「2人」が22%でしたので、傾向としては大きな 変化はないと考えております。  表2の職業紹介責任者の役職です。「貴事業所の長」と答えた事業所が45.3%、前回 調査は49%です。「職業紹介部門の長」と答えた事業所が34.1%、前回調査は39%です。 「職業紹介部門の従事者」が31.1%、これは、前回調査が36%ですので、これも傾向 としては大きな変化はないと考えております。  資料の32頁、職業紹介責任者の業務を実際に行う者で、職業紹介責任者と単なる職 業紹介事業の担当者が具体的にどういう業務をやっているかを聞いたものです。上から 申し上げますと、求人者から申出を受けた苦情の処理については、「職業紹介責任者」が 担当する事業所が72.1%、「それ以外の従事者」が12.5%。これも下にある前回調査が、 それぞれ75%、16%でしたので、大きな変化はない。2番目、求職者から申出を受けた 苦情の処理についても、「職業紹介責任者」が71.3%、「それ以外の従事者」が13.2%で、 これも前回調査と大きな変化はない。  求人者の情報の管理も、「職業紹介責任者」は57.2%、「それ以外の担当者」は27.9% となっております。その下の求職者の個人情報の管理は、「職業紹介責任者」が62.3%、 「それ以外の従事者」が23%で、こちらも大きな変化はないと考えております。  33頁は、求人の申込みを誰が担当するかということで、従事者の割合がもともと高い という傾向がありますが、「職業紹介責任者が担当」が47.9%、「それ以外の従事者」が 38.1%。前回の調査は、申込受理は、「職業紹介責任者」が43%、「それ以外の従事者」 が48%でしたので、逆になっておりますが、「不明」と答えた方が今回多かったという ことからすると、一概に役割分担が変わったとは評価できないのかなと思っております。  「求職の申込みの受理」についても、先ほどの求人の申込みの受理と同じような傾向 があります。求人者に対する助言及び指導は、「職業紹介責任者が担当する」というのが 58.9%、「それ以外の従事者」は25.4%。これは前回調査と大きな傾向の変更はありま せん。求職者に対する助言及び指導についても、「職業紹介責任者」が57.2%、「それ以 外の従事者が27.4%となっております。下のほうですが、職業安定機関との連絡調整を 担当するのは、「職業紹介責任者」が71.5%、「それ以外の従事者」が13.6%で、相対と して、こちらも変化がないと思っております。  34頁、表4は、職業紹介責任者に対する講習制度についての考え方です。総数で見ま すと、いちぱん左から2番目、「現状でよい」という事業所が50.6%、それから2つ右 の「講習内容をもっと実践的なものにしてほしい」が25.6%、その左、「講習の開催回 数を増やしてほしい」が18.0%となっております。それに比べて、前回は「現状でよい」 という方が36%だったのに比べて、今回は50.6%ですので、「現状でよい」という方が 増えているというのは、傾向として見て取れると思っております。  以上、資料の説明を終わらせていただきます。 ○清家部会長   どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明及び本日配付されてい る資料等をご参考に、ご質問、ご意見がありましたら、委員の皆様方からお願いしたい と思います。いまのご説明もいくつか大きな項目に分かれているので、まず最初の議論 は、Iの「許可・届出制」の部分について。その後、IIの「手数料制度」について。そ して最後に、IIIの「兼業禁止規制」、IVの「保証金」、Vの「職業紹介責任者」について。 このように、3つぐらいに大きく分けてご議論いただきたいと思います。  それでは最初に、いまご説明があったIの「許可・届出制」の部分について、ご質問、 ご意見はございますか。 ○輪島委員   質問ですが、今回の法改正で商工会議所、商工会等々、それから地方自治体が許可を 得て届出になりました。数字も実際に出ていますが、今後も増える傾向だとお考えでし ょうか。毎月許可をやっていますが。 ○坂口課長   2頁と4頁にそれぞれ実施状況、平成16年3月以降、時系列的に届出があった開始 日と共に、ご提示しています。若干、去年の秋口からという部分では届出が低調になっ てきているのかな、という部分はありますが、全体としていろいろな自治体、あるいは 特別の法人の中でも、構成員の方へのサービスという意味では、ご検討されている部分 もあろうかと思うので、施行直後ほどではないと思いますが、微増で増えていくのでは ないかと思っています。 ○輪島委員   前回の法改正の経緯の中でいうと、私どもは私どもなりに、地域にそれぞれ経営者協 会というものがございまして、経営者協会も届出でできるようにと思っているわけです。 ただ、平成15年改正というのは一応、法律でできている特別の法人ゆえに、商工会議 所、商工会、農協等に限定をされたわけで、そこら辺は私どもとしても引き続き関心を 持って、私どももできるような体制になっていきたいという希望を持っています。  それから地方公共団体が、これを見るとやはりUターン、Iターン、若年者対策、そ れぞれピンポイントで絞ってこのようにやられるということは、非常に重要なことでは ないかと。特に若年者対策であるとか、ミスマッチの観点からいうと地域の問題である とか、そこは全国的なハローワークの一元的なものと、こういう地方公共団体等との連 携で、ミスマッチを少しずつ解消するような、そういうものが重要ではないかとも思っ ています。 ○清家部会長   いまの2つは、ご意見ということでよろしいですか。 ○輪島委員   はい。 ○清家部会長   他に何かございますか。 ○長谷川委員   地方公共団体は、資料の4頁にあるようなところしか行っていなくて、いま輪島委員 がおっしゃったように、若者や農業という形に特化されているのですが、例えば母子家 庭の就業支援を鳥取などがやっているのですが、結局母子家庭のそういうものの申請や 生活保護の届出は、全部地方公共団体にいくのだけれど、そことこういう鳥取のように 母子家庭の就業支援がマッチングすると、本来は地方公共団体にこういうものが開放さ れたメリットというのがあるはずだけれど、これが広まらないというのはどういう原因 なのでしょうか。  もう少し地方公共団体はこういうのに取り組むのかと思ったら、25都道府県22市22 町1村1組合というのは意外と少ないと思いました。だから、いまは障害者も母子家庭 もそうですが、福祉からもっと就労へという、そういう施策がシフトしていますよね。 そうすると、ハローワークと地方公共団体の施策が一緒に進められていくことが必要な のです。そういう意味だと比較的少ないけれど、地方公共団体の意識が低いのか、もっ とお互いに行政の連結が必要なのかという、その辺はどのように考えればいいのか、こ のぐらいが妥当なのか。 ○職業安定局次長   妥当かどうかは別として、いま言われた障害者の福祉から就労への大きな流れである とか、母子家庭、生活保護の方々の就労支援というのは、ある意味では福祉部門と私ど もハローワークとの連携のスキームというのは、実は結構はっきりできています。だか ら、そのスキームが確立している、あるいは確立しているスキームをより実効あるもの にしていくという取組みのほうが主体になっていて、そういう意味で自治体は自治体で 勝手に職業紹介をやりますということではなくて、むしろそれが上手く連携をしている のではないかと理解しています。 ○長谷川委員   そうですね。ここの見方というのは、だからどのように見るかという言い方だとわか ります。 ○輪島委員   連携を1つテレビで見たのは、たぶんUターン、Iターンだと思うのですが、定年後 の団塊の世代を見据えて、田舎がない都会に住んでいる人たちに、第2の故郷になって くださいと言って、帰ってきてもらって、そこでたしか町長さんだと思うのですが、町 長さんが町にある工場・会社の社長さんのところに無料職業紹介をする。それで、帰っ てきた人に宅地の提供をしたり、税制で優遇するというだけではなくて、職業も紹介を します。それが他の民間のデベロッパーとは違って、町が町起こしのためにやるという こと。それはそういう意味で、セットでやるというのは非常にいいことだと思います。  ただ、それは好事例だと思いますが、いまおっしゃったのはある意味で、国がこれま でハローワーク中心に労働力需給調整を、雇用政策は一応全般的に国がやってきたわけ で、そういう意味で地方自治体や地方公務員の中に職業紹介のノウハウがどれぐらいあ るのかというと、あまりないのではないかという気もするのです。そこの連携のスキー ムはできているにしても、もう少し職業紹介のノウハウみたいなものを、もしくはハロ ーワークのノウハウみたいなものを地方自治体におろせるような、そういうスキームを 少し考える必要があるのではないかと思います。 ○坂口課長   いまの点は、まだまだ不十分ではあるのですが、先ほどの地方自治体の無料職業紹介 を実施されているところ、あるいは実施されようとしているところの職員の方、あるい は先ほど長谷川委員のお話もあったように、特に昨今は審査案件のほうでも、無料の職 業紹介で母子寡婦団体の許可の手続きが出てきているのをご承知かと思いますが、そう いった無料の職業紹介の団体との連携という意味で、そういった方々の従事者に対して、 民間職業紹介事業、民紹協さんのほうに委託をしたり、ご協力をいただいて、そういう ノウハウの提供、あるいは国の職員のノウハウの提供、紹介技法の提供ということにつ いては、いま徐々に、まだまだ不十分ではありますが、やり出しているということはあ ります。 ○北村委員   これは厚労省の仕事ではないかもしれませんが、若者の就業について、いま経産省が ジョブカフェという活動をしていますね。それから、いま大学や高校というのは、卒業 生の就職に非常に難儀していて、ノウハウも確立していない。そのときに、すぐ派遣で あるとか新卒派遣という言い方があって、派遣業者に任せてしまう面もないではないの ですが、せっかくこういった地方公共団体が無料でということなら、そこでぜひ有機的 な繋がりを持ってほしいという気がします。各地の大学、高校、それからジョブカフェ など、言ってみれば省庁の枠を越えた協業というのは可能なのか。可能だとしたら、何 か具体的なことを検討していらっしゃるのかどうか。 ○職業安定局次長   ジョブカフェ自体は、これは経産省と厚労省が連携を取って、都道府県が主体になっ てやっていただいています。それで、いまジョブカフェは既に46が出来ていまして、 そのうちのハローワークが併設されているジョブカフェが、ちょっと手元に数字はない のですが、おそらく30ぐらいあると思います。  つまり、それはジョブカフェを運営していただいている都道府県が、ぜひハローワー クの併設もお願いしたいというときには、積極的にそれを、私たちハローワークもジョ ブカフェの中に併設をさせていただいていまして、いろいろな情報提供に合わせて職業 紹介までサービスを提供しているというのが、まず実態です。ある意味では、もう連携 は相当進んでいるのではないかと思っています。  それから大学なり高校なりの問題ですが、大学と高校は若干扱いが違っています。高 校の場合は、学校と安定所がまさに合体して、卒業予定者に対する職業紹介を実施して います。大学の場合は基本的に、学生が自由に就職活動を行う、あるいはそこに大学が いろいろな支援をやっているということが基本になっています。同時に大学生に対する、 私ども職業安定機関としての就職支援のための活動というのは、学生職業センターとい うものを設置して、実施をしていますが、大学との間でどれだけ連携があるのかと言わ れると、卒業予定者に対する就職活動となると、どうしても学生がどう判断するかによ って異なる面がありますが、卒業後になると、いま大学のほうではあまり卒業してしま った方に対しての支援というのが必ずしも十分でない面があるのではないかと。そうい う意味では、むしろ私どもの学生職業センターが、かなり役割を果たしている面が、大 学との比較でいえばあるのかな、という気がします。  ただ、大学との連携を今後どのようにやっていくかというのは、確かに1つの大きな 課題だと思います。 ○長谷川委員   輪島委員が先ほど言った、特別の法人の無料職業紹介のところで、商工会議所はあっ て、それで地方経協の話。例えば地方経協で無料職業紹介をしたいというときに、商工 会議所と別に県単位くらいでやるという感じですか。 ○輪島委員   47各県ごとにある全てが職業紹介をやりたいと言っているわけではなくて、10経協 くらいですが、そこのお話は地域に非常に根ざしていて、会社の求人情報などは経営者 協会ですから得やすいわけです。そういう意味で会社のニーズというのは吸収しやすい ので、ぜひやれるのであればやりたいという基本的なニーズがあります。  ただ、もう1つは法人としてのステータスが、任意団体である経営者協会もあるし、 県ごとに社団法人の認可をもらっているところもあるので、そこも一律いろいろなので、 このようにスパッと特別の法律により設立された法人とはならないので、なかなかそこ に乗りにくいという実態があるのは事実です。 ○清家部会長   よろしいですか。それではまだあるかもしれませんが、また後でこちらに戻ることも あるので、次に今回のアンケート調査の結果も大量に参照されながら説明になった部分 です。IIの「手数料制度」について、皆様方からご質問、ご意見を承りたいと思います。 ○輪島委員   現行制度、1,200万から700万になっていて、前回の法改正とヒアリング、またアン ケート結果というのは重く受け止める必要があるのだろうと思っています。  10頁にある基本的な、これまで私どもがどうして手数料のことで議論をしてきたのか ということになると、10頁の3の1(1)の2段落目、「確かに、わが国が批准したI LO181号条約は、求職者からの手数料徴収を原則で禁止している」、このことは承知し ているわけで、ハローワークもしくはセーフティネットとしての、全国あまねく求職者 から手数料を取るということは基本的に原則禁止だろう。そのことは全くかまわないと 思っていますが、プラスアルファでサービスを受けたいと思う人も、求職者からのヒア リングでは多少出てきましたが、そういう人たちに対して払うということで、サービス を受けることを阻害してしまうというのはいかがなものか、ということをずっと言って きたわけです。そのことがある一定の水準で、つまり現行700万ですが一定の水準で達 せられているということは、私ども理解をしておりますので、もう少し今後の推移を見 るということは、そういうことなのだろうとも理解をしています。 ○長谷川委員   いまの輪島委員の話ですが、比較的この話というのは長い時間がかかって、それで皆 さんからのいろいろな規制改革の中で下げてきたわけですよね。今回のアンケート結果 というのは、ある意味では出ているのですが、一方で規制改革会議からまた下げたらど うかという話もあります。それは次の議論だと思うのですが、今回のこの調査がこうい う結果だということは真摯に受け止めるという、そういう理解でいいのですか。 ○清家部会長   使用者、企業側も、求職者も、現在の700万円の水準で、少し状況を見たらどうかと いう、そういう感じですね。 ○長谷川委員   そうですね。 ○成宮委員   両方とも、ちょっとおっかなびっくりですね。ヒアリングなどを聞いていると、事業 者側のほうはトラブルのもとになりそうなので、という意見が結構ありましたし。そう すると仮に枠を拡大して、制限を緩やかにしても、実際に事業者側がそれを適用してど んどんやるかどうかというのはわからないですよね。だから制度の問題としては、もう 少し広げるというオプションはあるのかもわからないが、すぐには広げても使われない ということかもしれないです。 ○長谷川委員   このアンケートでこれ以上下げることに対して、どちらからも非常に慎重ですね。よ り良いサービスが受けられないかもしれないと。だから実際使った双方に、そういうも のを感じさせる何かがあったのかな、どういうことなのかなと思いながら、このアンケ ートを見ていたのですが。 ○成宮委員   求職者のほうから言えば、結構手数料を取るけれども、相当親切で丁寧にやってくれ るという事業者もあり、無料でやってくれるところもあり、という選択肢が両方あって も、そのほうがむしろ求職者にとってもメリットがあるのかな、という気もしますけれ どね。 ○輪島委員   ヒアリングを聞いた限り、いまのことだと思いますが、7頁の事業主団体も、それか ら個々の事業主も、おっかなびっくりというようなことで、むしろどうなのだろう、も う少しという感じでしたが、むしろ8頁の求職者からのヒアリングのほうが意外で、1 つは無料、有料というのはよくわかっていない。このことが非常にクリアになったとい うことと、もう1つはサービスが受けられるのであれば、もしくは他よりも自分に対し てもっとメリットがあるのであれば、多少なりとも払ってもいいという感覚があった。 そこがどの程度本気なのか、またはそれがすごく高いサービス、コストが高いので、そ れでも払ってもいいと言っているのか、ちょっとだったらいいと言っているのか、そこ ら辺はよくわからなかったのですが、オプションとしてそういうものがあるということ は、非常に重要なのだろうとは思いました。ヒアリングを聞いた限りはですよ。 ○清家部会長   このアンケート調査の結果は、いずれにしてもまだ事業者のほうでも手数料徴収を実 際にしているところはそんなに多くないので、サンプルサイズ的にもなかなかはっきり したことを言うのが難しい段階かもしれない、という感じはします。 ○川畑委員   これは、事業者同士で敬遠し合う部分というのはないものですか。例えば向こうが取 ったから、うちが取っているから、向こうはどうなのだろうというような部分は。そう いった関係というのは対求人者だけに限らず、業者同士、事業者同士、そういう対抗意 識的な部分ですか。そういうものはないのですか。 ○輪島委員   何とも言い様がないので、事業主団体に聞いていただくか、企業秘密で、お互いにそ こはさすがにというのか、どういうしきたり、状況なのかはよくわからないので、何と も言い様がないと思います。 ○清家部会長   他に何かございますか。 ○鎌田委員   ここで言うべきことなのか、ちょっとわからないのですが、いま手数料について、求 職者のほうがどちらかといえば、いいサービスを受けられれば徴収してもよいという、 そういったニュアンスがあって、むしろ事業者のほうがやや慎重な態度のように、この データからは見えるのですが、私のようにちょっと法律みたいなものをやっている者の 立場から見ると、問題が大きく2つあると思います。  1つは先ほど輪島委員がおっしゃいましたが、ILO181号条約のもとで原則禁止。 しかし求職者の利益のために、限定された範囲で求職者手数料の徴収を認めるという、 いわば大きな法制の枠があって、おそらく求職者がアンケートで答えているときは、あ まりそういったことは意識されてないというのでしょうか、そもそも通常のサービスの 一環として考えておられるのではないか。そうすると、例えばいまここで議論されてい るのは、いろいろな観点から問題があると思いますが、ILO181号条約の原則そのも のがどうなのだろうかという問題と、それはそれで押さえた上で、それは日本の労働市 場に対する基本的な枠組みに関わる問題ですが、それは押さえた上で、しかし求職者の 利益のために、具体的に事業者、求職者、求人企業がどのようなメリットを最大化させ るような工夫ができるだろうかという、そういう問題を考えた場合に、やはりいちばん よくわかっているのは事業者で、私などは事業者の反応がかなり慎重だと見て取れる、 ということが感じられます。  しかし一方、求職者がなかなか仕事を得られない中で、なんとか工夫してほしいとい う強い要望がある、というようなことではないかと。そういう意味で何を言いたいのか というと、原則禁止という枠組みの問題と、その枠組みの中でどのような工夫があるの かということを、少し分けて考えないといけないかなと思いました。 ○輪島委員   ILO条約上の問題というか、181号条約の議論というのは、むしろ一般的、世界的 にいうと、やはり求職者手数料を取らないというのは原則ですが、その原則というのは、 多くの議論に参加した国が開発途上国であって、そういう意味でのサービスというのは 全然充実していない国の多くの議論が、ここの原則禁止というところにたどり着いた結 果なので、それのために10頁の(1)(2)(3)で穴が空いていると、私どもとしては理解して いるのです。そういう意味で途上国の使用者側もむしろ取るべきではないとは言ったの で、そのことについての世界的なコンセンサスはそういうことだろうと思いますが、原 則禁止、しかしサービスを受けるという観点で取ることもオプションとしてある、とい うことの重要性というのは、むしろ日本の国内においても基本的なハローワーク、全国 600箇所のセーフティネットと、それ以外の有料職業紹介所での、より付加的なサービ スを受けるということのインセンティブがある、ということの2階建てをとれる日本の 労働市場のほうが健全なのではないかと、私どもとしては思っています。 ○鎌田委員   いま輪島委員がおっしゃったことについて、もう少し何か機会があれば検討したいと 思いますが、いまは発展途上国との関連で、ILOの求職者手数料原則禁止というのが、 事実私もそれはそのように。ただ、やはりILOの調査、そのときの181号条約の議論 の中で見ると、必ずしもそうではなくて、そういう以外のものもありまして、いちばん 問題になったのは、芸能実演家の方とか、スポーツとか、かなり特殊な求職者の方たち が、やはり実態として手数料を自ら払って、職業紹介をエージェントにお願いしたとい う伝統もあったということで、そういったことが非常に大きな1つの要素になっていた のではないかと思っています。いずれにしても、こういった議論もあるということで。 ○清家部会長   ありがとうございます。他にいかがでしょうか。  次にご説明いただいた部分について、大きなIIIの「兼業禁止規制」、IVの「保証金」、 Vの「職業紹介責任者」に関わる部分について、ご議論いただきたいと思います。 ○輪島委員   28頁のヒアリングの事業主団体のところ、「職業紹介事業所の系列化があり」という ところはあまり記憶がないのですが、この系列化というのはどういう実態ですか。 ○篠崎補佐   事業主団体の、たしかホテル業界だったと思いますが、自分のやっているところに多 くの方を職業紹介する。だから自分の会社、系列の会社に紹介するのを目的にやってい るようなところがあると、必ずそこを経由してやってくることなので、他の職業紹介事 業者が入れないのではないか、という趣旨だったと思っています。 ○輪島委員   もっぱら紹介ということですか。 ○篠崎補佐   そういう行為があるということでしたので、他にもいっぱい常態化していて、大きく 問題だということではなかったとは思っています。 ○長谷川委員   これは平成15年改正で兼業禁止規定を撤廃したわけですが、これで例えば何か問題 があったとか、トラブルがあったという、そういうのは厚生労働省に問い合わせだとか、 相談があったかどうか聞きたいです。そういうトラブルだとか問題というのは、どこが 取り扱って、どのようなトラブルがあって、解決したような事案があったかどうか、ち ょっと教えていただきたいです。 ○佐藤補佐   兼業禁止規制に関してトラブルの事例というのは、いまのところ私どものほうには入 っておりません。 ○清家部会長   他にいかがでしょうか。  それではIII・IV・Vについても含めてですが、もう一度今日のご説明全般に振り返って、 何かご質問、ご意見がございましたら、それも併せて承りたいと思います。 ○長谷川委員   全体的に今日議論したところ、職業紹介関連で、法改正に伴って何か問題が起きたと か、そういう問い合わせが厚生労働省にあったかどうか聞きたいのですが、何もないの ですか。素晴らしく上手くいっていると。 ○坂口課長   それは今日お手元にお配りして、詳しくはご紹介できていませんが、求職者調査の中 にはいろいろ苦情申立てのアンケートなどもあって、そこの部分の中では一義的には紹 介所のほうにということではありますが、私どもの地方出先機関の労働局のほうにもそ ういったお話、就業条件の食い違いであったりという部分はありますが、法律改正の内 容との関わりでという形で、具体的に大きな問題として提起されていることは、私ども のほうには入っておりません。 ○川畑委員   もう1点、求職者からの手数料でトラブルというのは、実態的にはありませんか。大 きなトラブルみたいなものは。 ○佐藤補佐   大きなということよりは、やはり当初約束していた手数料より高くなっているではな いかなど、そういったことを聞くことはあります。 ○清家部会長   それでは、本日いろいろご意見をいただきましたが、職業紹介関係のフォローアップ のための議論はここまでとさせていただきます。事務局には当部会において中間的な整 理に資するよう、本日の議論の整理をお願いしておきます。追って、次回以降の労働者 派遣関係と併せて、7月の部会でフォローアップの中間的な整理を行うべく、改めて議 論をさせていただきたいと思います。  次回の部会においては、労働者派遣関係のフォローアップの第1回目として、「派遣対 象業務の拡大」等についてフォローアップを行うことにしたいと思っています。よろし いでしょうか。  それでは次に、一般労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思います。冒頭にお願 いしたように、傍聴されておられる方においては、ここでご退席いただきたいと思いま す。また、高橋職業安定次長についても、所用によりご退席になると伺っています。           (傍聴者、高橋職業安定次長退席) ○清家部会長   最後に事務局から何かございますか。 ○篠崎補佐   次回の部会ですが、4月25日(火)、13時から15時半ということで、派遣関係のフ ォローアップ第1回ということになります。同じく当会議室で行う予定です。 ○清家部会長    それでは、次回の日程の確保等をよろしくお願いします。  以上を持ちまして、第83回労働力需給制度部会を終了します。なお本日の署名委員 は、雇用主代表の山崎委員、労働者代表の川畑委員にお願いします。委員の皆様、どう もありがとうございました。  照会先  厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係  〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL03(5253)1111(内線5747) FAX03(3502)0516