06/03/27 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 平成18年3月27日議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成18年3月27日 15:00〜   厚生労働省専用第22会議室 2.出席委員(17名)五十音順   伊 賀 立 二、 板 倉 ゆか子、 井 部 俊 子、◎井 村 伸 正、   笠 貫   宏、 神 山 美智子、 河 盛 隆 造、 北 澤 京 子、   土 屋 利 江、 長 尾   拓、 早 川 堯 夫、 広 津 千 尋、   松 尾 宣 武、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子、 宮 崎 秀 樹、   吉 田 仁 夫 (注) ◎分科会長    欠席委員(6名)   池 田 康 夫、 岩 田   誠、 永 井 良 三  本 田 佳 子、  望 月 眞 弓、 山 口   徹  3.行政機関出席者   福 井 和 夫(医薬食品局長)、 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   北 村   彰(総務課長)、   川 原   章(審査管理課長)、   小 林   剛(医薬情報室長)、 山 本 弘 史(医療機器審査管理室長)、   佐々木 弥 生(化学物質安全対策室長)、 中 垣 俊 郎(安全対策課長)   山 田 雅 信(安全使用推進室長)、 関   英 一(血液対策課長)、   植 村 展 生(血液対策企画官)、     杉 浦 勝 明(農林水産省消費・安全局畜産水産安全管理課長)、他 4.備  考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○総務課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会薬事 分科会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にあり がとうございます。当分科会委員数23名のうち現在14名の委員に御出席いただいてお りますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。本日池田委員、岩田委 員、永井委員、本田委員、望月委員、山口委員は御欠席との連絡が入っております。ま た、長尾委員、松尾委員は後ほどより御参加という連絡が入っておりますことを御報告 申し上げます。それでは井村分科会長、以後の進行をよろしくお願い申し上げます。 ○井村分科会長 それでは分科会を始めさせていただきます。最初にいつものように事 務局から配付資料について御説明をお願いします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。本日審議事項はございません。 報告事項については資料1〜37となっております。その他、議事次第、座席表、名簿を 本日お配りしております。御確認いただきたく存じます。本日報告事項のみ37件予定さ れております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。いかがでございましょうか。お手元にそろ っておりますでしょうか。それでは議事に入らせていただきます。今も御説明がありま したように本日は審議事項はございませんので報告事項です。議題のナンバーと資料の ナンバーが一致しておりますので、そのおつもりで御覧いただきたいと思います。それ では担当していただいた部会ごとに議題を区切って説明をしていただくことにいたしま すので、まずは副作用・感染等被害判定第一部会と第二部会関係の議題1から始めてく ださい。お願いいたします。 ○事務局 それでは副作用・感染等被害判定結果について御報告させていただきます。 資料1になります。前回の分科会以降に副作用・感染等被害判定第一部会が2回、第二 部会が1回開催されております。資料は各開催ごとのものと、その表紙に3回の件数を 集計したものとなっております。それでは資料の1ページ、「まとめ」と記載された3 回の部会の集計結果について御報告させていただきます。部会開催日は平成17年度第2 回の第一部会が平成17年12月22日、第3回の部会が平成18年2月23日、また第二部 会の第2回開催が平成18年1月26日に開催されております。医薬品の副作用判定にお ける3回の合計の申請件数については新規の件数が268件、継続28件、現況46件の計 342件について御審議いただいております。  審議結果については支給決定することが適当と考えられるものが287件、その内訳は 請求どおり支給決定するものが128件、請求期間の一部について支給決定するものが152 件、請求内容の一部について支給決定するものが8件となっております。また、不支給 決定することが適当と考えられるものは49件ありまして、その内訳は医薬品の使用目的 が不適正であったものが1件、医薬品の使用方法が不適正であったものが10件、医薬品 以外の原因によるものが20件、副作用による疾病が入院治療を必要とする程度でない場 合が10件、障害とは認められないものが4件、また副作用による障害が日常生活が著し く制限される程度の状態でない場合が3件、厚生労働大臣が指定する救済給付対象除外 医薬品を使用された場合が1件、資料不足により判定不能であった場合が1件、請求さ れた疾病又は症状と医薬品との因果関係が判定不能であった場合が1件となっておりま す。さらに追加情報を得て再度審議することが適当と考えられたものは6件ございまし た。  また生物由来製品における感染等の判定については、第二部会において輸血用血液製 剤により感染し、肝障害を発現したとして請求された3件について審議が行われました。 審議結果は3件すべてについて生物由来製品との因果関係が確認され、請求期間の一部 について支給決定されました。以上で平成17年度第2回及び第3回の副作用・感染等被 害判定第一部会及び平成17年度第2回の第二部会の結果報告を終わります。以上でござ います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それではただいまの御報告について何か委 員の皆様方から御意見、御質問がございましたらどうぞ。いかがでございましょうか。 どうぞ。 ○宮崎委員 一つお伺いしたいのですけれども、平成17年12月22日に行われた第2回 の副作用・感染等被害判定第一部会の中で、8の感冒、慢性心不全でパブロンゴールド なのですが、これはどこで手に入れたか、それから薬剤師さんが関与していたのか、そ の辺の事情が分かったら教えていただけますか。 ○井村分科会長 宮崎委員のおっしゃった「どこで」というのは薬局でというような意 味でございましょうか。 ○宮崎委員 そうですね、薬局か若しくはそうでない人は…。 ○井村分科会長 よろしくお願いします。 ○事務局 こちらの事例については今詳細の資料を持ち合わせておりませんけれども、 これは支給案件になっておりまして、パブロンゴールドは市販薬ですので、資料につい てはそれを販売した薬局の販売証明書若しくはそれに代わるものが提出されていたと考 えております。入手先が薬局だけに限らず会社の診療室などで受け渡されることもござ いますので、その場合についてもそちらの発行した手続の書類が提出されているものと 思います。 ○宮崎委員 今分からなかったら後でも結構ですが、思います、考えますは駄目なので、 こうですということを教えてください。 ○井村分科会長 では後ほどよろしくお願いします。ほかにいかがでございましょうか。 どうぞ。 ○吉田委員 今のページの2枚後ろ、3ページの43と59でインフルエンザにタミフル カプセルが使われたと。特に59の場合には死亡という記事がありますけれども、説明を していただけますか。 ○安全対策課長 いわゆるタミフルの副作用問題については、昨年末以降安全対策部会 においても御審議をお願いしてきたところでございます。小児、成人、いろいろな形で 副作用報告が上がってきておりますが、現段階においてここにございます中毒性表皮壊 死症とたしか腎障害に起因するものを除いて、因果関係は否定的と判断しているところ でございまして、そういう点から申し上げますと総体として安全性に重大な懸念はない と認識しております。ここに具体的にございます中毒性表皮壊死症でございますが、タ ミフル、PL顆粒、セフゾンカプセルと3種類を併用しておりまして、そのうちのどれ に当たるのかというのは確定的なことを申し上げるような段階ではございませんが、タ ミフルの安全性自体については現在のところそのような認識をしているところでござい ます。またアメリカの小児諮問委員会あるいはヨーロッパの欧州医薬品庁についても、 今申し上げたこととほぼ同様の見解を既に公表しているところでございます。以上でご ざいます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。吉田委員、よろしゅうございますか。どう ぞ。 ○吉田委員 同じくインフルエンザでいわゆるワクチンの副作用というのでしょうか、 事故が多いようですが、発生頻度はどのくらいなのでしょうか。 ○井村分科会長 事務局、つかんでおられますか。 ○安全対策課長 申し訳ありません。今手元に資料を持ち合わせておりませんので、後 ほどお答えさせていただきたいと思います。恐縮でございます。 ○吉田委員 将来ひょっとすると鳥の絡みが出てきたときの参考までに、私どもも予備 知識として知らなければならない問題ですから、是非よろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。私 から事務局に伺いたいのですけれども、これだけ副作用・感染等被害判定部会で取り上 げる件数が増えてきておりまして、使用された薬剤と起こってくる症状との間の何らか の相関のようなものは、場合によってはそろそろ出てきてもいいかなという気がしない でもないのですが、そういう解析はなさっておられるのでしょうか。 ○安全対策課長 この被害判定の対象になったもの、あるいはこれよりも多く報告され ておりますのがいわゆる副作用報告として年間20,000〜25,000件ほど上がってくるわ けでございます。それらの副作用報告あるいはこういった被害事例をどのような形で原 因を究明していくのか、またそのメカニズムに触れていくのかというのは我々の関心事 項でございますし、欧米においてもその研究が進められているところでございます。具 体的には現在医薬品機構において新しいデータマイニング的な手法が開発できないかと いうことで、欧米の情報も入れながら検討していただいているところでございます。そ のような状況でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。どうぞ、笠貫委員。 ○笠貫委員 ただいまの分科会長の御質問にも関係するのですが、今回は余り間質性肺 炎は見当たらなかったのですけれども、スティーブンス・ジョンソン症候群というのは 非常に目立つ、15%以上だと思うのですが、この場合には感冒という軽い原疾患から非 常に重篤な疾患まで幅が広いということと、結果としても死亡に至るものまで含まれて いると。薬剤的にある程度の傾向はこの中でも見られてはいると思うのですが、このス ティーブンス・ジョンソン症候群というようなものについてはできるだけ早く、何回も 注意が勧告されていることはよく承知しているのですけれども、それでもこれだけ多い ということでいきますと、先ほどの分析をしていってメカニズムあるいは予測、注意事 項を立てていく中で、スティーブンス・ジョンソン症候群を是非一つのプライオリティ としては非常に高いところで分析をしていただけたら有り難いと思います。 ○安全対策課長 今御指摘のスティーブンス・ジョンソン症候群については、我々とし ても先生の御指摘のような認識を持っております。今御紹介がございましたとおり、安 全性情報の中で数回にわたり既に情報を提供したところでございますが、これに加えま して現場の先生方がより分かりやすいような形で初期症状、あるいは初期の対応、治療 法、典型的な症例、更には患者さんにそれに気付いていただくような患者さん向けの説 明、こういうものを併せたマニュアルを作りたいということで、昨年末に皮膚科学会に そのマニュアル案を検討していただくようお願いしたところでございます。恐らく今年 中あるいは来年度中にはそのようなものが整備されると考えておりますので、そのマニ ュアルを普及させることによって現場の方々、あるいは患者の方々がより一層迅速的確 に対応できるようにしていきたいと考えております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 今事務局から話があったとおりでございますが、この重症薬疹が指摘され ることが多いと思いますけれども、これはどこで起こしてもほとんど最終的には皮膚科 に受診、あるいはコンサルテーションがある病気ばかりです。この中で過敏症症候群と なっていますが、これは薬剤誘発性過敏症症候群ですけれども、これに関してはもう起 こす薬が8種類ほど分かっておりまして、それ以外のものでは起こらないので割に原因 が突き止めやすいのです。ただ、ほかの病型も起こしやすい薬剤は分かっておりますけ れども、重篤な薬疹に関しては内服テストをしてはいけないことになっていますので、 in vitroの検査あるいは患者さんへの負担の少ないin vivoの検査で原因を追及してい るのです。その場合は陽性なら意味があるのですけれども、陰性のときに違うと言えな いもので陽性率が高くないものですから、どうしてもスティーブンス・ジョンソン症候 群とライエル症候群の二つに関しては原因の究明には限界があるかと思います。ある程 度統計によれば少しは整理ができるかと思いますが、最終的にはどうしても限界がある と思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。審議官、何かございますか。 ○審議官 先ほど安全対策課長から御説明申し上げたところでございますけれども、そ のほか大変重篤な副作用でございますので、どのような原因であるかということを厚生 労働科学研究の一環として、単塩基変異の有無等を基に研究を進めてまいりました。こ れは千葉大学、愛媛大学、それから残念ながら経験された患者さんの御協力も得てやっ てきたわけですが、今までのところはこの方法だけではっきりとした原因遺伝子、ある いは変異部位などを特定するには至っておらず、まだまだ研究が重要なところであると いう状況でございます。またお話もありましたが、少なくとも700以上の医薬品でこう いった報告がなされておりまして、飲んでいてある日突然ということも報告されており まして、大変難しい、しかし対応を是非進めていかなければいけない問題と考えており ます。よろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。取組は進んでいるようでございます。ほか に御意見ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。それではこの資料1につ いては御確認いただいたということでよろしゅうございますでしょうか。ありがとうご ざいました。それでは引き続きまして医薬品第一部会関係の議題が2〜10までございま す。これについて御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは御説明申し上げます。資料2〜10でございまして、新薬の案件が8 件、希少疾病用医薬品の指定の案件が2件ございます。資料2でございます。成分名が 塩酸セルトラリン、ジェイゾロフト錠でございます。本剤は選択的セロトニン再取り込 み阻害薬、いわゆるSSRIと呼ばれる抗うつ薬でございまして、6の効能・効果はう つ病・うつ状態、パニック障害ということでございます。1月26日の第一部会で御審議 いただきまして、承認を可、薬事分科会に報告、再審査期間は6年という御結論を頂い ております。  続きまして資料3でございます。成分名が酢酸セトロレリクス、販売名が酢酸セトロ レリクス注射用「シオノギ」、それからセトロタイド注射用ということでございます。 本剤はゴナトトロピン放出ホルモンのアンタゴニスト製剤でございまして、効能・効果 は調節卵巣刺激下における早発排卵の防止ということで、体外受精の一環で使われる薬 剤でございます。1月26日の第一部会で御審議いただきまして、承認して差し支えない、 薬事分科会に報告、再審査期間6年という結果を頂いております。  続きまして資料4でございます。成分名が酒石酸トルテロジン、販売名がデトルシト ールカプセルでございます。本剤はムスカリン受容体拮抗剤、いわゆる抗コリン薬でご ざいまして、1日1回の経口のカプセル剤でございます。効能・効果が過活動膀胱にお ける尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁ということでございます。1月26日の第一部会 で御審議いただきまして、承認を可、薬事分科会に報告、再審査期間は6年という結果 を頂いております。  続きまして資料5でございます。こちらは塩化マンガン四水和物を有効成分とする製 品でございまして、販売名がボースデル内用液、マグベリー内用液ということでござい ます。効能・効果は磁気共鳴胆道膵管撮影における消化管陰性造影でございまして、M RIに使われる経口の消化管造影剤ということでございます。1月26日の第一部会で御 審議いただきまして、承認を可、薬事分科会に報告、再審査期間は4年という結果を頂 いております。  続きまして資料6でございます。こちらは効能追加の承認でございます。販売名はニ ューロタン錠、成分がロサルタンカリウムでございます。本剤はアンジオテンシンII受 容体の拮抗薬でございまして、既に高血圧症の効能・効果で販売されているものでござ いますが、今般5、6の欄に下線を引いておりますけれども、高血圧及び蛋白尿を伴う 2型糖尿病における糖尿病性腎症の効能・効果を追加するという内容でございます。2 月23日の第一部会で御審議いただきまして、承認を可、薬事分科会に報告、再審査期間 は4年という結果でございます。  続きまして資料7でございます。こちらも効能追加の承認でございます。販売名がヒ ューマトロープCでございまして、成分がソマトロピン(遺伝子組換え)、これはヒト成 長ホルモンの遺伝子組換え製品でございます。今般追加をいたします効能・効果が下線 を引いてございますが、成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)ということで、成人 についての効能・効果の追加でございます。2月23日の医薬品第一部会で御審議いただ きまして、承認を可、薬事分科会に報告、再審査期間は4年という御結論を頂いており ます。  続きまして資料8でございます。先ほど何個か前に御紹介したものと同じようなもの なのですけれども、コハク酸ソリフェナシンという成分、販売名がベシケア錠というこ とでございまして、こちらもムスカリンの受容体拮抗剤、抗コリン薬でございまして、 過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁という効能・効果でございます。 2月23日の第一部会で御審議いただきまして、承認を可、薬事分科会に報告、再審査期 間は6年という結論を頂いております。  続きまして資料9でございます。効能追加の承認でございます。販売名がフエロン、 一般名がインターフェロン ベータでございます。東レの製品でございますが、これまで 皮膚悪性黒色腫、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎他の効能を持っておりましたけれども、 今般1ページの一番下のところで、C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善とい う肝硬変の効能追加をするという内容でございます。2ページのところで部会での審議 でございますが、2月23日の第一部会で御審議いただきまして、承認を可、薬事分科会 に報告、再審査期間は4年という結論を頂いております。  以上が新薬でございまして、そのほか希少疾病用医薬品の指定について、資料10-1、 10-2ということで2品目の御報告をさせていただきます。まず資料10-1でございま す。名称はアルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、予定される効能・効果は糖原 病II型、いわゆるポンペ病と呼ばれている先天性の代謝疾患に対する酵素補充療法の注 射剤でございます。もう1品目は資料10-2でございます。医薬品の名前がラニビズマ ブというものでございまして、高齢者の失明原因の一つとされている加齢黄斑変性症に 対するオーファンドラッグとしての指定でございます。この2品目については医薬品第 一部会でそれぞれ御審議いただきまして、指定して差し支えない、分科会には報告する という結論を頂いております。第一部会の関係は以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。本日は部会長の永井先生が御欠席でござい ますので、部会長代理の長尾先生、何か御追加がありましたらお願いいたします。 ○長尾委員 簡単に少し追加します。議題2のジェイゾロフト錠ですが、既存類薬の中 で本剤の位置付け等について議論をいたしました。選択肢が増えることは好ましいとい う意見がございました。議題3のセトロタイド注射用は国内第III相試験において治験実 施計画からの逸脱例が多かった点について、その内容を確認したということでございま す。議題4に関してはデトルシトールカプセルですけれども、徐放性カプセルである本 剤の製剤設計の考え方、それから日本及び韓国、非ICH国ですが、共同で行われた第 III相臨床試験における韓国人を対象とした試験成績の評価について確認いたしました。 議題5は特にございません。議題6のニューロタンは国際共同治験、RENAAL試験におけ る効果の地域差等について議論をいたしました。議題7のヒューマトロープは診断法に ついて確認をいたしました。また、市販後に新血管イベントなどの長期的なフォローア ップの重要性について指摘がございました。議題8のベシケア錠は、臨床現場における 過活動膀胱の認知度や相互作用による安全性の問題等について確認をいたしました。議 題9のフエロンは、ウイルス血症の改善による肝癌の発生抑制などの長期的なフォロー アップの重要性について指摘がございました。以上でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。ただいまの議題2〜10までの御説明 に関しまして何か御質問、御意見はございますでしょうか。どうぞ、北澤委員。 ○北澤委員 資料2の塩酸セルトラリンについて質問します。33ページの臨床の第III相 試験の[1]及び[2]ではコントロール群に対して非劣性が検証されなかった、つまり劣性で あったという結果でした。ですから、第III相でコントロール以上の効果がなかったとい うことではないかと思うのです。さらに35ページですけれども、三番目としてプラセボ 対照RCTをやって有意差が出たということで、有効であるという結果を導いているの かなと思ったのですが、私が分からないのは[1]、[2]で劣性であることが検証されている にもかかわらず、200□年にもう1回第III相の試験をやっているのはなぜかということ。 それから三番目の200□年からの試験ではプラセボ対照なのですけれども、この時点で 既にほかのSSRIが承認されているので、プラセボを対照にした試験をやってもいい のかなというのが分からなかったので、その辺りについて説明をお願いしたいと思いま した。 ○井村分科会長 事務局からお願いできますか。 ○審査管理課長 詳細は補足があれば審査を担当した機構からさせていただきますけれ ども、最初の部分は非劣性の試験で成功しなかったということで、プラセボと試験をも う1回やり直して有効性を示すことができたと。逆に言いますと、この試験を追加でや りましたために日本でのこの品目の開発に時間が掛かったということがございます。そ れから第III相試験が実施されているときには既にほかのSSRIが承認されていたので はないかということでございますが、細かい日にちなどのところを確認…。 ○北澤委員 それは49ページに書いてあります。 ○審査管理課長 いずれにしましても薬効、特にこういううつのような領域の場合には 必ずしも既存の薬剤との比較というよりも、薬剤の特徴をよく調べるためにはプラセボ のコントロールが容認されるとは一般的に理解しております。以上でございますが、機 構の方から追加がございましたらお願いします。 ○機構 審査を担当しました総合機構の方から補足させていただきます。まず御指摘の ありました第III相試験、もともと199□年当時にやっている試験ですが、これが最初に 申請されてきたときに我々審査チームとしてはデザイン上の問題点があると。要するに 任意漸増法による非劣性試験が行われているということで、その辺りが海外と少し違う と。確かにこの試験で非劣性は示さなかったのですが、それはこの薬が明らかに対照薬 に比べて劣っているというよりも、デザイン上の問題によるもので、その当時の海外等 の認識から比べるとやはりこの薬についても日本で十分有用性が認められ、患者に届け るべき薬剤ではないかということで、デザインを多少変えてその当時の非劣性という、 何か対照薬に対して無効同等、要するに両方とも有効性がないために見かけ上同等とし てしまうというデザインではなく、明らかにプラセボに勝ってくるというエビデンスを 要求する方がクリアではないかということで、プラセボ対照試験を検討していただいた 経緯がございます。  この当時のうつ病薬としてはプラセボ対照試験というのは行われておりませんでし た。この薬が第一番目の日本におけるプラセボ対照試験ですが、その試験が倫理的に問 題であるという考えではなくて、やはりこのうつ病という領域からしますと、プラセボ 対照に対するレスポンスレートが試験間で異なるという結果が得られていますので、安 定したプラセボに対する反応率が得られないといった疾患では、プラセボ対照に対する 臨床試験を実施すべきということもICHガイドラインで述べられております。このう つ病領域についてはそういうプラセボに対する試験を求めていくことが我々としては妥 当だと思っています。それは当時プラセボ対照試験のやりにくさといいますか、難しさ があって今回提示されているような治療中止試験、いわゆるWithdrawal試験という形で プラセボの投与期間をできるだけ少なくして、患者さんの負担を短くするような形でデ ザインを組んではどうかということを、その当時の審査センターで助言しております。 最終的に認められたデータが100mgまできちんと強制増量した上でプラセボとの比較試 験をやるということで実施していただきまして、その結果プラセボに対する有意差が得 られて、承認して差し支えないのではないかと判断した経緯がございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。北澤委員、よろしゅうございますか。広津 委員、どうぞ。 ○広津委員 このデータは少しぴりっとしない感じがして幾つか質問したいのと、特に 追加の無作為化二重盲検非劣性試験をやるということのようですので、それは適切だと 思うのですけれども、そのときに余りいい加減にやらないで幾つか確認してほしいこと がありますので、ちょっと申し上げたいと思います。ぴりっとしないと言ったのは結局 きちんとしたエビデンスが得られたのはうつ、うつ状態に対するプラセボ対照の再燃率 試験だけです。非劣性は駄目で、パニックに関するプラセボ対照の再燃率試験も余りぴ りっとしたことにはなっていないので、本当の意味でエビデンスが得られているのは一 つではないかという気がしています。  まず、うつ、うつ状態で今問題にされた非劣性の内科・心療内科と精神科の二つ、特 に後ろに関しては点推定値ではマイナス9.2、前者に対しては普通にやると駄目で、判 定不能を除いたときにかろうじて非劣性が言えるということなのですけれども、全般改 善度で判定不能を除くというのは余り適切ではないと思われることと、この2試験も含 めてほかのいろいろな試験で中止・脱落率が4〜5割くらいあって、そのために判定不 能例が多くなってという傾向が見えるのです。全体的なことはよく分かりませんけれど も、この薬に関して中止・脱落が特に多いということはないのか、やはり一応確認して いただいた方がいいような気がします。特に再燃抑制試験というのは56例集めて、うち 不適格例が10、残った46のうち29が中止・脱落で先に進めたものが17というデータ が書かれているのです。結局20%ぐらい集めたところで中止ということになっています けれども、どうもその辺りの経緯は少し気になります。  それから今100mgまで強制増量で有効性が確認されたということで、多分それは正し いと思うのです。ただ、II相試験では25〜75までと50〜150を比べて75までの方を至 適としていて、その後の経緯で100までやってそれがよさそうだということなのですが、 100までの方がいいというのはきちんと比較試験で確認されたのかどうか。経験でそこ がいいという議論になっているのかという辺りがもう一点で、そこの確認もきちんとし てほしいということです。  もう一つ、パニックの方に関して再燃率の検証がうまくいかなかったというのは、メ モを置いてきてしまったので薬剤名が分からないのですけれども、セラタ何とかという ものが使用可能としていたために悪化が確認できなかったという説明だったと思うので す。そうすると、今度やろうとしている試験はパニック再燃も含まれているのかどうか、 よく分かりませんけれども、その使用をどうするのかということとか、もし使用が止め られないならプライマリーを変えるのか。その際に全般改善度とパニック回数という副 次の方では、これもいろいろ共変量解析をやった結果本剤の有意差が示されたというこ とになっているのですが、プライマリーは一体何になるのかということに関してちょっ と確認したいと思います。 ○井村分科会長 細かな御質問がございましたが、どうぞ。 ○審査管理課長 議題2について承認の評価をいたしました臨床試験のデザインや質、 解析法等についての御質問だったかと思います。かなり細かい部分がございますので、 部会若しくはそれより前の専門協議、ここに審査報告がございますけれども、その段階 でその辺を押さえて審査をしているかと思いますが、ここでは一応機構の方から分かる 範囲で簡単に回答してもらいまして、確認を要するべきところがございましたら、後刻 別途広津先生の方に御報告するということでいかがでございましょうか。ちょっとお時 間の関係もあるかと思いますので、そのようにさせていただければと思います。 ○井村分科会長 機構の方からございますでしょうか。 ○機構 まずIII相の質の問題ですが、確かに4〜5割脱落している症例があるというこ とについては審査の中でも検討しております。どういった症例が脱落しているのか、判 定不能例だけではなくて安全性、有効性の面から問題がないのか。この脱落例について は全般改善度というところでの評価がなかったり、患者さんが来院しなかったとか、あ るいは禁止の併用薬を使ってしまったということがあったのですが、我々としてはそう いった問題からこのIII相試験で何らかの明らかな結論を得るのは困難だというのが最終 的な判断でございます。そこで、それよりもきちんとした検証試験を再度やり直してい ただく必要があるということで、Withdrawal試験を要求したという経緯がございます。 Withdrawal試験での用法・用量に関してですが、十分な検討が行われていないのも確か なのですけれども、漸増期の任意漸増の用法・用量を見ると高用量、しっかりと用法を 上げていった症例でより改善が認められているといった経緯、それから海外での承認用 量などを含めて最大100mgまできちんと増量していただくのがいいのではないかと判断 して、実施していただいた経緯がございます。  それからパニックでの話ですが、ロラゼパムの併用禁止、ロラゼパムの使用が問題に なっているということでございまして、これから実施していただく製造販売後の臨床試 験においてはロラゼパムの併用は禁止とする予定でございます。また、全般改善度では なくて今のパニック障害でのスタンダードであるPASの改善症状スコアをプライマリ ーにしてパキシルとの非劣性を検証していただく予定にしております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは広津先生、もし疑問が残っておら れましたら後ほど確認をした上で御連絡を頂くようにしてよろしゅうございますか。今 御指摘の部分をこれからの試験に引き続きいかしていただくということで、よろしくお 願いいたします。ほかにいかがでございましょうか。議題2〜10まででございますが、 御意見ございますか。笠貫委員、どうぞ。 ○笠貫委員 資料4と8の薬剤についてですけれども、資料8の方から入りたいと思い ますが、両方ともQT延長を来すということについての共通の問題でありますので、御 質問させていただきたいと思います。IKrというKチャネルのhERGに対する影響 があると。これはいずれもIKrに対する作用は明らかなのですけれども、例えばこの ベシケアの場合にはhERGカリウム電流を濃度依存的に抑制すると。IC50値が270 nMと書いてありまして、QTを延ばして抗不整脈効果を期待するというドフェチリド が25nMとなっていますので、それより弱いことは確かだと思うのですが、これだけで どの程度弱いか、はっきり分かりませんので、絶対的に何%ぐらい抑制とするのかと。 IC50ですと相対的に最大抑制するものの50%を抑えるのが270nMだということにな りますので、どの程度の強さなのかというのはこの数字だとちょっと分かりかねるので す。それといわゆる臨床的に使うという意味では、血中濃度としてどれぐらいのものに 当たるのかということを教えていただけたらと思います。 ── 松尾委員着席 ── ○審査管理課長 今笠貫先生から御指摘がございましたように、QT延長の患者さんの 場合には過量投薬に注意してほしいということで、添付文書等への配慮はされておりま すけれども、笠貫先生からの御指摘はこのものの作用の実際どれぐらいのポテンシーが あるのかということ。それから実際にこの薬物が治療に用いられている場合に、血中濃 度との差とそのポテンシーとの関係でございますが、機構の方から審査の際にその辺り どこまで検討したか、分かっていれば追加で説明をお願いいたします。 ○井村分科会長 機構の方、いかがでございましょうか。 ○審査管理課長 今ここですぐに分からないようであれば、後刻御報告ということでも 御了解いただきたいと思いますが、どうですか。 ○機構 審査を担当しました機構ですが、ただいま審査管理課長からお話がありました ように、臨床的な点については臨床薬理試験等で確認をし、血中濃度等も確認をした上 で注意喚起等を行っております。基礎と臨床の方の細かいデータの詳細については、申 し訳ありませんが今手元に資料がございませんので、確認をいたしまして先生の方にお 答えさせていただきます。 ○笠貫委員 できましたらこれからCM50ということでなくて、絶対的に何%ぐらいを 抑制するかという数字を出していただくのと、実際に使う場合の血中濃度の話になりま すけれども、それとの相関を書いていただくとこれから評価しやすいかと思います。そ れから今の臨床のところにつながるのですけれども、このケースの場合にはモキシフロ キサシンとポジティブコントロールスタディーをしているのですが、一応これは国内で やられたポジティブコントロールスタディーなのでしょうか。国外なのでしょうか。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。 ○審査管理課長 どうもありがとうございます。笠貫先生が御指摘のように薬物のQT 延長作用についてはICHの方でも議論がなされておりまして、主にアメリカでモキシ フロキサシン等においてポジティブコントロールの試験が一般的に行われていると。国 内ではまだ一般的ではないと聞いております。このものかどうであったかについては今 確認できれば確認してもらいたいと思いますけれども、一般的にはそのような形でござ います。ICHの合意を受けまして、具体的にどういう形で日本、欧州、アメリカが規 制の方に取り組んでいくかということで、現在そういう作業の段階にございますけれど も、先生の御指摘もございますように世界的にもこの分野は安全性との関連で規制に取 り組むという方向での動きになっておりますので、先ほどの先生からの資料へのCM50 等の反映といったことについては、今後の審査報告書などにおいては適切に反映してま いりたいと考えております。 ○笠貫委員 ありがとうございます。その結果ではポジティブコントロールに比べて余 り6msecですから、3倍では延びていなかったということでここでよろしいかと思うの ですが、そのことのhERGに対する影響があるということを踏まえて、添付文書のと ころで禁忌として「重篤な心疾患の患者[期外収縮等が報告されており、症状が悪化する おそれがある]」という記載があるのです。この薬理作用とポジティブコントロールスタ ディーまでしているということからいきましたら、むしろこの(7)のところはQT延長 症候群とかQT延長を明らかに延ばす薬剤との併用というふうに、禁忌のところで具体 的に書いていただいた方がよろしいのかなとは思うのですが、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 添付文書の禁忌の記載については御指摘を踏まえて検討させていただ きたいと思います。 ○笠貫委員 それから資料4のデトルシトールは同じような意味なのですが、10ページ のIKrのIC50といいますと3.9nMということで、先ほどよりもかなり強いKチャネ ル抑制作用があるのかということが危惧されるのです。添付文書の3ページにもポジテ ィブコントロールスタディーの結果が載っておりまして、これはアメリカのデータだと いうことですが、QT延長についてここまできちんとした評価をしているということに なると思うのですけれども、この場合には先ほどと違って心臓に関しては一切禁忌が書 いていないのです。できましたらここは先ほどと同じように、QT延長症候群及びQT を延ばす薬剤との併用については禁忌というふうに検討していただけたらと思います。  それと、ここでQTを延ばす薬剤というのは慎重投与になっているのですが、この薬 とこういったクラスIA又はクラスIIIの薬剤を含むQT延長症候群が慎重投与でいいの かと。禁忌というふうになればむしろ禁忌になるのではないかという感じがいたします。 慎重投与としてはQT延長をもたらす危険のある患者さん、例えば直接QTを延ばす作 用はなくてもカリウムを下げる、利尿剤との併用の話とか、心不全患者、あるいは高齢 者、女性という、いわゆるQT延長を来す可能性のあるリスク患者は慎重投与と。先ほ どのような明らかにQTを延ばす薬、あるいはQT延長症候群は禁忌としていただいた 方が安全かなという、その辺の御検討はいかがでしょうか。 ○審査管理課長 どうもありがとうございます。デトルシトールの禁忌の項でございま すが、3に「重篤な心疾患のある患者」ということで、心臓の方で一応設定されており ます。ただ先生の御指摘がございましたようにほかの薬剤との組合せの関係でございま すとか、そういったものについては先ほどのベシケアとの関係もございますので、少し 検討させていただきたいと思います。 ○井村分科会長 御検討の結果を添付文書にも反映していただきたいと思います。よろ しくお願いいたします。ほかに御意見ございますか。どうぞ、宮崎委員。 ○宮崎委員 ちょっと質問したいのですけれども、8のベシケアの添付文書の5ページ、 「その他の副作用」のところで「感染症及び寄生虫症」とあるのですが、寄生虫症との 因果関係はどういうことなのですか。 ○井村分科会長 どなたかお答えいただけますか。 ○審査管理課長 ここは分類が「感染症及び寄生虫症」となっておりまして、現実には 膀胱炎、尿路感染ということで感染症のみでございますので、もし「及び寄生虫症」と いう言葉が不要ではないかという御指摘であればそのとおりかと思いますので、そこは 記載を改めたいと思います。ありがとうございました。 ○井村分科会長 では取っていただくと。ほかによろしゅうございますか。溝口委員、 どうぞ。 ○溝口委員 資料6のロサルタンカリウムですけれども、添付文書の2ページの「重大 な副作用」に急を要する副作用がたくさん書いてありますが、その中の「血管浮腫」は 進行しますと気管切開、つまり外科的処置をしないと助からないということで、ほかの 副作用と違うと思うのです。先天性の血管浮腫ですと50歳生存率が50%という非常に 重篤なものですけれども、この薬剤性や基礎疾患によるものは比較的軽いこともあるか と思いますが、この副作用の報告で実際に症状を起こした患者さんがどの程度だったか、 何例ぐらいあったかということがお分かりになったらお教えいただきたいのです。頻度 が少ないとこういう書き方の対応しかできないかとは思いますが、症状の詳細が分かっ たらお教えいただきたいです。 ○審査管理課長 この品目については先ほど御説明申し上げましたように、既に薬とし ては高血圧症の治療ということで市販されているものでございます。そういう意味で世 界的にも使われておりまして、今回は糖尿病性腎症の効能の追加でございます。この副 作用の血管浮腫は特に効能追加と直に関係があるというわけではございませんが、頻度 については現時点では不明ということになっておりますけれども、世界的に使用されま して、こういう血管浮腫の事例なども報告されていると思います。現段階でこの場では 資料がございませんので、後刻詳細を調べた上で御報告させていただくということで御 了解いただければと思います。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ありがとうございました。北澤委員、どう ぞ。 ○北澤委員 同じく資料6のロサルタンですけれども、ここを読みますとRENAAL試験の 結果を受けて適応拡大が申請されたものと理解しました。15ページに載っている実際の この結果が分かりやすかったのですけれども、国際共同治験で日本人の患者は96人で す。それに対して機構は21ページで、「日本人における本薬の有効性、安全性に関する 検討は必ずしも十分とはいえず」と述べており、22ページでも下から10行目ぐらいで 「日本人のサブグループにおける本薬の有効性及び安全性について、本試験から得られ る情報には一定の限界がある」と書かれています。そして、35ページでも専門委員の方 から結局これでいいのかという疑問及び意見が出されているのですけれども、私も素直 に読んでこの専門委員の御意見に賛成だったのです。しかし、機構はそれについてこの ような理由で一定の評価は可能と考えていると説明して、この適応拡大がいいのではな いかというふうになったと読んだのですけれども、私はこれを読んで本当にそれでいい のかなと素朴に疑問に思いましたので、少し詳しく説明いただければと思います。 ○審査管理課長 そこの部分については先ほど長尾先生から、RENAAL試験における効果 の地域差等についてかなり部会等で議論をしたという補足があったとおりでございま す。今北澤委員から御指摘がございましたように、世界的に学会の先生方が主導で日本 も参加してこういう形で試験をやりまして、これはかなりきちんとした形で論文にもな ったわけでございますけれども、効果の地域差等についての議論があったということで、 その結果についての議論を審査報告書にもきちんと反映しているということでございま す。しかしながら、最終的には全体として本剤の有効性、安全性については確認ができ るという結果になったところでございます。機構の方から地域差について追加のコメン トはございますか。 ○新薬審査第二部長 機構から御説明いたします。結論といたしまして2ページの審査 結果のところにありますように、試験全体としてはこの薬剤の効果が出ております。も ともと試験としてそれぞれの国別の解析で個別に有効性を出すという設計になっていな かったことなどもございます。そして全体、アジア地域で出ていること、それから薬理 作用が明確であること等々をいろいろ議論して、先生御指摘のように各種経緯がござい まして、その辺は審査報告に細かく書き込んでおります。そういうことも踏まえた上で 審査結果のところにありますように、日本人のサブグループにおける有効性、安全性に 関する成績の傾向も試験全体の成績と大きな矛盾はないというところも、専門の先生方 に議論していただいた上でこの結論を出しているところがございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。北澤委員、いかがでございましょうか。何 でしたら後ほどまた詳しい御報告を…。 ○北澤委員 それは多分考え方だと思うのでよいのですけれども、添付文書の適応拡大 で追加されたところが「高血圧及び蛋白尿を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症」と 書いてありまして、このRENAAL試験の結果を受けてということからすれば、ややアバウ トな適応になっているのではないかと感じました。細かく読めば添付文書の3ページに 下線部のところでRENAAL試験について詳しく書いてあって、エンドポイントはここだと いうことが書いてあるのでよいのですけれども、ぱっと適応だけ見る人だと、ではこれ ならいいのだとすぐ思ってしまわないかなと感じました。これは感想です。 ○井村分科会長 ありがとうございました。そのことについて何かございますか。 ○審査管理課長 別途また追加で御説明させていただく時間を設けさせていただければ 有り難いと思います。 ○井村分科会長 それではこの議題2〜10までの内容について御確認いただいたとい うことにしてよろしゅうございますか。ありがとうございました。それでは次が医薬品 第二部会関係の議題でございまして、11〜16までです。御説明をお願いします。 ○事務局 それでは御説明申し上げます。全部で6件ございます。まず資料11でござい ます。販売名がリレンザ、成分名がザナミビル水和物でございます。小児に対する用法 ・用量を追加するという承認内容でございます。本剤はノイラミニダーゼ阻害薬の吸入 剤でございまして、インフルエンザ感染症に用いられておりますけれども、今般小児に ついての用法・用量を追加するということでございます。本剤についてはインフルエン ザの流行シーズンに間に合わせるために、当審議会から御答申いただいた後に2月17 日付けで承認させていただいております。こちらは1月27日に第二部会で御審議いただ いて、承認を可、再審査期間は4年という御結論を頂いております。  続きまして資料12でございます。エポジン注シリンジ、それからアンプル製剤でござ いまして、エリスロポエチン、エポエチン ベータの製剤でございます。こちらも効能追 加の承認でございます。1枚目の一番下のところに下線を引いてございますけれども、 今般未熟児貧血という効能・効果を追加するという内容でございます。1月27日の第二 部会で御審議いただきまして、承認を可、分科会報告、再審査期間4年という結果でご ざいます。  次は資料13でございます。こちらも効能追加の承認でございます。ファンガード点滴 用、ミカファンギンナトリウムでございます。抗真菌薬の注射剤でございまして、これ まで成人に対する用法・用量が設定されておりましたけれども、今般小児に対する用法 ・用量を追加するという内容でございます。1月27日の第二部会で御審議いただきまし て、承認を可、分科会報告、再審査期間4年ということでございます。  資料14でございます。ゾメタ注射液、成分がゾレドロン酸水和物でございます。こち らはビスホスホネート系の骨吸収抑制剤でございまして、これまで悪性腫瘍による高カ ルシウム血症で用いられておりましたけれども、今般多発性骨髄腫による骨病変及び固 形癌骨転移による骨病変という効能・効果を追加するという内容でございます。こちら も1月27日の第二部会で御審議いただきまして、承認を可、分科会報告、再審査につい てはもともとの承認条件に付いた再審査期間が長期残っておりますので、そちらの方の 残余期間という内容でございます。  続きまして資料15でございます。販売名がアムビゾーム点滴静注用、成分がアムホテ リシンBという古くから使われている抗真菌薬でございますが、本剤はこのアムホテリ シンBをリポソーム製剤としたものでございます。効能・効果は真菌感染症、それから 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症というものでございます。2月22日の第二部会 で御審議いただきまして、承認を可、分科会報告、再審査期間は4年ということでござ います。  それから新薬関係の一番最後でございますけれども、資料16でございます。こちらも 効能・効果の追加の承認でございまして、ザイボックスの錠剤と注射液でございます。 一般名がリネゾリドでございます。こちらは合成抗菌剤でございまして、これまでの効 能・効果がVRE、バンコマイシン耐性のエンテロコッカス・フェシウムということで ございましたけれども、今般MRSA感染症の効能・効果を追加するという内容でござ います。2月22日の第二部会で御審議いただきまして、承認を可、分科会報告、再審査 については当初の承認の再審査期間の残余期間という内容でございます。以上でござい ます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの議題11〜16まででございますけ れども、何か御意見、御質問はございますでしょうか。よろしゅうございますか。もし よろしければこの議題11〜16に関しては御確認いただいたということにさせていただ きます。次は血液事業部会の関係で、議題17〜19でございます。それでは説明をお願い いたします。 ○事務局 それでは議題17、平成18年度の献血の推進に関する計画を定めることにつ いて、御報告させていただきます。資料17でございます。本計画は安全な血液製剤の安 定供給の確保等に関する法律の規定に基づく、献血の推進に関する計画でございます。 献血により確保すべき血液の目標量を確保するために必要な措置に関する事項等を定め るものでございます。この計画については3月7日開催の血液事業部会において審議さ れ、了承されました。それを受けまして3月17日に告示になりましたものを資料として お付けしております。  次に議題18、平成18年度の血液製剤の安定供給に関する計画を定めることについて、 御報告させていただきます。資料18でございます。本計画は安全な血液製剤の安定供給 の確保等に関する法律の規定に基づく、血液製剤の安定供給に関する計画でございます。 必要と見込まれる血液製剤の種類及び量、国内において製造され、また輸入されるべき 血液製剤の種類及び量の目標、また確保されるべき原料血漿の量の目標に関する事項等 を定めたものでございます。この計画については3月16日開催の血液事業部会において 審議され、了承されました。それを受けまして今月中に告示する予定でございます。  次に議題19、平成18年度の献血の受入れに関する計画を認可することについて、御 報告させていただきます。本計画は安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律に 基づいて、採血事業者が作成する献血の受入れに関する計画でございます。献血により 確保すべき血液の目標量を確保するために必要な取組を定めるものでございます。この 計画については3月16日開催の血液事業部会において審議され、了承されました。それ を受けまして3月22日に認可になりましたものを資料19としてお付けしております。 以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。血液及び血液製剤の安定供給確保について の三つの議題でございますが、委員の皆様方から御質問あるいは御意見がありましたら どうぞ。宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 今御説明いただきましたけれども、日本の献血の現状というのは献血者の 数が減ってきているのは事実であります。それともう一つはBSEの汚染国と申しまし ょうか、例えば英国に1日立ち寄ったら献血の対象にしないと。1日というのは1泊だ そうでございますが、はっきり申し上げますとエビデンスがどうもはっきりしていない と。もう一つは日本は今BSEが24頭発生しております。かつては20頭以上は汚染国 だというので、当初はそこからはもう献血はしないのだという議論がございました。と ころが、現在では日本より少ない例えば2頭だとか、そういうところも5年そこに住ん だ人は献血の対象としないということが決められております。日本はもう24頭出ている のですから、これは日本の国民からは献血できないという議論にもなるので、この辺の 議論をもう少し詰めて、献血の量を確保するためにそちらの制限するきちんとした規則 を勝手にその場その場で変えていくということになると、献血をする側も非常に戸惑う わけでありますから、その辺の議論をしっかりこの部会でやっていただいて、国民にこ ういう理由で実は献血に対しては考えているという統一的なことをしっかりやってもら いたいということを、このお答えは事務方にはできないと思うので要望しておきたいと 思いますが、分かる範囲内で事務方がこのように理解しているということがあればお話 しいただきたい。時間的制限がございますから、これは議論になると大議論に展開しま すので、その辺のところを申し上げたいと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。事務局、何かございますか。 ○血液対策課長 御指摘ありがとうございます。正に御指摘のように国民の方々に御理 解いただきながら献血の要件を定めていくということは非常に大事だと思っておりま す。この問題については安全技術調査会で平成12年来最初に英国で6か月以上滞在した 方に対する献血制限を導入して以来、諸外国での状況を見てですとか、あるいは陸続き ということで牛の移動を想定した状況、それからイギリスにおいて大もとにありますの が血液を通じて感染する可能性、プリオンを通じてBSEからvCJDに感染する可能 性があるということがこれまでに3例英国で報告されております。こういったものをど のようにして排除していくかということの取組なわけでございますが、現在問診によっ てその可能性のある方は滞在歴によって献血を御遠慮いただくという形でしか対応でき ない中での取組でございます。  対象国については正に先生御指摘のように、一つ一つの国について牛の数がどうかと いうことと必ずしもリンクしていないところもございまして、FDAやカナダにおける 制限の状況を参考にしながら、安全技術調査会でこれまで5回にわたって検討いただい た結果、逐次対象国が増えたり、あるいは対象となる条件が厳しくなってきたりという 状況でございます。国民に開かれた議論を心掛けながら今後ともきちんとした説明をし ていくと。どこまでがきちんとしたエビデンスがあり、どこまでが世界的なすう勢を見 ながらの取決めであるかといった説明をきちんとできるようにしてまいりたいと思って おります。 ○井村分科会長 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。ほかに御意見 ございますでしょうか。どうぞ。 ○吉田委員 長年大学にいまして血液を提供する学生の身になってこのキャンペーン等 々を考えます。資料19の3枚目の下に「2.広報活動」とあります。テレビ、ラジオ等 で簡単に言うと血液を提供してくれと、呼び掛けるのはいいのですが、やはりいわゆる 提供者に対する謝辞、それからもう一つは出納といいますか、何か月の間に目標額がど のぐらい集まったとか、あと幾ら足りませんといったような、もう少し提供者に納得の いくような、ただよこせというだけのキャンペーンでは片手落ちになりはしないかとい う気がいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。そういうコメントでございますが、よろし く御勘案ください。ほかにございますか。もしよろしければ血液関係の三つの議題につ いては御確認いただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。 それでは次に医療機器・体外診断薬部会関係の議題20でございます。御説明をお願いい たします。 ○事務局 医療機器審査管理室でございます。報告事項の議題20、株式会社イマトロン ジャパンのレーザ手術治療機器ハートレーザの輸入承認の可否などについて御報告させ ていただきます。本品は資料20の5にございますが、性能・使用目的、効能・効果は薬 物療法では改善されないCCSクラス分類のクラスIII又はIVと判定される安定狭心症 で、直接的血行再建術では改善されない冠状動脈粥状硬化症を示す患者の狭心症状の軽 減及び心筋灌流の増加となっております。対象患者のCCSのクラスIII、IVでございま すが、通常何もしない安定状態でも狭心症の発作が起こる方、また階段を1階上がるだ けで発作を誘発するような方ということで、かなり重篤な虚血性心疾患をお持ちの方を 対象としております。本品についてはそのような重篤な虚血性心疾患の患者さんの心臓 に対して、心臓の外側の心外膜側から炭酸ガスレーザを照射いたしまして、心筋に貫通 孔を設けることによりまして心筋の血行再建を促し、虚血性心疾患の症状を改善すると いうことを目的とするレーザ手術治療機器とその付属品になってございます。  資料20の別紙1-[2]に当該製品を用いた使用方法について、心臓の図と一緒にござい ますけれども、心電図R波、心筋が電気的に不応の際に炭酸ガスレーザを照射して心筋 に穴を開けると。この穴については外側のところの穴はすぐに閉じるという形で、その 後心室が収縮することによって穴の中に血液が入り込んでいくというものでございま す。本品炭酸ガスレーザといたしましては、レーザ手術治療機器として既に承認されて いる医療機器が多数ございますけれども、このような使用目的、効能・効果で承認され ているものがないということから、新効能医療機器として部会において御審議いただい たところでございます。  本品に関しましては米国において行われた臨床試験などの結果から有効性及び安全性 について御審議いただきまして、結果として資料の1枚目の下の10、備考欄に承認条件 を二つ掲げております。本品についてはその使用に関する講習の受講等により、本品の 有効性及び安全性を十分に理解し、操作等に関する十分な知識・経験を有する医師によ って用いられるよう、必要な措置を講じること。また二つ目といたしまして、再審査の 際に添付すべき本品の使用成績に関する資料のための調査については、再審査の調査期 間に本品を使用した全例を対象として実施すること。この二つの承認条件を付すことで 承認して差し支えないとの結論を部会の方から頂いております。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。部会長の土屋委員から何かございますか。 ○土屋委員 議題20のレーザ手術用機器ハートレーザについてですが、部会における審 議の際には本治療法の作用機序を中心に審議がなされたところでありますけれども、そ の作用機序については現段階において明確にはなっていないということがあるわけでご ざいます。臨床試験の結果から狭心症の軽減、それから心機能と共に全体の運動機能の 改善などの有効性が示されていること、また薬物療法や冠動脈インターベンション、冠 状動脈のバイパス術などの直接的血行再建術では改善されない重症患者を対象としてい ることなどから、先ほど事務局から御報告がありましたように承認条件として、講習等 を受けた専門性のある医師が使用し、かつ再審査期間中の全症例について使用成績の調 査を行うことを義務付けた上で、承認して差し支えないとの結論に至りました。以上で ございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの議題20について御意見、御質問 ございますでしょうか。笠貫委員、どうぞ。 ○笠貫委員 このハートレーザなのですが、一つは先ほど御説明がありましたように作 用機序というのは分かっていない、しかも侵襲度の高い医療機器であるということが大 前提にありますと、今適応のところで縛っているようで客観性が余りないのです。一つ は薬物療法で改善されないというのは、薬物療法をどこまでやったのかと。これはアメ リカのデータですので、私は薬物療法に関しては欧米より日本の方が優れていると思い ますが、その日本の中でも非常にばらつきがあるということが一つあります。  もう一つはPCIの適応にならないと。日本ではこのPCIの施行施設数が非常に多 いということで、個人の技術もありますが非常に格差があります。CABGについても 同じであります。そうすると薬物療法で改善されない、PCI、CABGの適応になら ないというのは客観性に乏しいということで、私は適応が非常に広まり過ぎるのではな いかということを恐れます。そういう意味ではこの承認条件が余りにも甘過ぎるのでは ないかと思います。といいますのは、この薬物療法、PCI、CABGが日本のトップ クラスの力をすべて持っているところでなければこれは使用すべきではないと思います ので。例えばPCIでしたら200症例以上とか。アメリカではPCI年間200症例以下 のところではやらないようにということですけれども、実際日本では200症例以下のと ころが70〜80%を占めているという現状があります。そういう現状からすると、私はこ のPCIの症例数、それからCABGの症例数を踏まえた極めて厳しい施設制限がなけ れば、この機械自身は非常に危険なものになるのではないかと危惧するのですが、承認 条件についてどの程度まで縛れるかということ。それから添付文書の警告というところ でも、心臓外科が二人いるということだけになっているのですが、これはPCIを200 症例以上やっているという極めて高い技術を持っているということをここに含めておか ないと、このリスクの高い医療技術がむしろ使われ過ぎるのではないかという危惧の念 を持ちますので、その辺の御検討をどこまでされるか、ちょっと教えていただきたいと 思います。 ○医療機器審査管理室長 承認条件がこの医療機器の安全性を確保するのに必ずしも十 分ではないのではないかという御指摘でございますが、この点についてはまずこれはか なり特別な機械でございまして、それほど多くの医療機関に納入するようなものではな いということが実態としてはございます。それはさておきましても全例を対象にして再 審査の調査報告するということで、逆に言うと全例がそもそもフォローできるような体 制の中でしか医療機関に対して販売、使用しないような形をまず念頭に置いているとこ ろでございます。  それから実際に更に講習の受講等によりということで、相当に専門性の高い、実際に は開胸手術ができるような医療機関でなければこれは使用し得ないような実態ではやっ ております。ただ、御指摘のように国内の臨床試験ではなく外国の臨床試験を基にして 安全性、有効性の評価をしておりますので、そういう点で市販後十分に全例のフォロー アップをしながら、安全性、有効性の確保については行う必要があると考えます。その 点では承認条件を付ける必要があるということについては部会の席上ではかなり御審議 いただきまして、このような形にしたものでございます。 ○笠貫委員 全症例をフォローアップということで、一つの安全性担保ができるかと思 うのですが、それをやられてしまったら後に戻らないので、やはりやる前、適応のとこ ろで縛りも必要なのではないかと思います。それから安定狭心症の話になりますので、 先ほど薬物療法とPCIとCABGの適応についてお話ししましたが、安定狭心症の予 後自身が日本はアメリカと比べて極めていいのです。ここで見ていきますと、向こうで はフォローアップの死亡率が極めて高いです。そこのところも欧米のそのままをここで 入れられるのかと思いますので、適応のところでももう少し縛りがあった方がいいので はないか、御検討いただけたらと思うのですが。 ○医療機器審査管理室長 これについては実は国内でも臨床試験を行いましたけれど も、それについては必ずしも当初の治験計画に沿ったものにはなっていなかったことか ら、評価症例としては外国の臨床試験を有効性、安全性の評価として対象としたもので ございます。確かに全例フォローアップした試験についてはかなり詳細な有害事象を把 握しておりますが、さらにその後1万数千例ほど欧米等でこれが使われている中では、 重篤な有害事象の報告はかなり少なくなっております。実際には確かにこれは侵襲度が 高いものでございますけれども、市販後の安全性という問題については、そのデータは かなり良好な状態で使われていることも審議の上で確認をいたしまして、このようにさ せていただいたものでございますが、いずれにいたしましても我が国におけるより有効 で安全な使われ方については十分な指導をしてまいりたいと考えております。 ○井村分科会長 ありがとうございました。審議官、どうぞ。 ○審議官 笠貫先生の御指摘、最初は手術の経験のあるところに絞ってきちんと使った 方がよろしいということが中心の、大変安全性に軸足を置いた御指摘だと思いますので、 その意を呈しまして承認の際には承認条件の文面等の検討に反映させていければと思っ ております。御了承いただければと思います。 ○井村分科会長 ではその辺についてちょっと御検討いただいた方がよろしいかと思い ます。どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。それではこの議 題20に関して御確認いただいたということにさせていただきます。続きまして一般用医 薬品部会関係の議題21〜24まででございます。御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは議題21〜24まででございます。こちらは2月2日に開催されました 一般用医薬品部会で御審議いただいた議題でございます。まず資料21、医薬品ウィンダ ム軟膏、ピロエースLA軟膏ほかの製造承認の可否についてでございます。こちらはみ ずむし、たむし用薬でありますラノコナゾールを有効成分とする外用剤でございます。 このラノコナゾールは一般用として初めてでございますので、スイッチOTCとしての 申請になります。承認して差し支えないとの御結論を頂きまして、承認条件として3年 間の安全性などに関する市販後調査を実施することとされております。  続きまして資料22でございます。医薬品ノリコール及びエトクロンの製造承認の可否 についてでございます。こちらは鎮痛鎮痙胃腸薬である臭化チキジウムを有効成分とす る経口剤でございます。スイッチOTCとしての申請でございます。効能・効果は胃痛、 腹痛、さしこみとなっております。こちらも承認を可という結論を頂いておりまして、 3年間の安全性などに関する市販後調査を承認条件とされております。  続きまして資料23でございます。医薬品ハイガード及びスカイナーAL錠の製造承認 の可否についてでございます。アレルギー用薬であります塩酸アゼラスチンを有効成分 とする経口剤でございまして、これもスイッチOTCとしての申請でございます。効能 ・効果は花粉、ハウスダストなどによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和というこ とで、鼻炎アレルギーに関する効能と、もう一つはじんましん、湿疹・かぶれによる次 の症状の緩和ということで、皮膚関連の効能が申請されております。これについても承 認して差し支えないとの御結論を頂きまして、承認条件として3年間の安全性などに関 する市販後調査を実施することとされております。  最後に資料24でございます。医薬品アゼナ鼻炎カプセル及びビエナール鼻炎カプセル の製造承認の可否についてでございます。こちらはアレルギー用薬でありますフマル酸 ケトチフェンを有効成分とする新一般用医薬品でございます。このフマル酸ケトチフェ ンは平成17年に点鼻薬のスイッチOTCとして承認されておりまして、今回は経口剤に ついて申請されたものでございます。効能・効果は花粉、ハウスダストなどによる次の ような鼻のアレルギー症状の緩和ということで、鼻炎アレルギーに関する効能の申請で ございます。こちらも承認して差し支えないという御結論で、3年間の安全性等に関す る市販後調査を承認条件とされております。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの議題21〜24について、部会長の 松尾先生から何か御追加がありましたらお願いいたします。 ○松尾委員 ございません。 ○井村分科会長 それでは御質問あるいは御意見はございますか。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 一番最初の議題の副作用被害でも一般薬の不適正使用で不支給というもの が毎回出てきているのですが、いろいろな人に聞きますけれども、普通の人が薬局でこ ういうものを買ってきて入っている紙を読みません。箱に書いてあって何錠というもの しか読んでいないというのが普通だと思うので、やはり薬局で売る以上は、中に入って いる使用上の注意をきちんと読みなさいということを伝えなければ売ってはいけないく らいにしないと、いつまでたっても読まないで不適正使用で副作用が出るということが やまないのではないかと思います。添付文書の書き方も、絵が描いてあるようなものは 読む気になるかなと思うのですけれども、細かい字ばかりたくさん書いてあると、読み なさいと言われても読まないと。本だって読まないような人もたくさんいるような世の 中で、こんなものは読まないので、何とか読みやすいように工夫するということを是非 お願いしたいと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。この点に関して事務局の方から何かござい ますか。 ○審査管理課長 御意見として確かに承りました。ありがとうございました。 ○井村分科会長 それは当然そうであるべきだとみんな思っているのですが。今法案が 出ている販売制度の方ではそういう点についてはかなり改善されるような工夫がされて おります。ほかに御意見ございますでしょうか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 資料21ですけれども、このみずむしの薬には比較的カラフルで分かりやす い使用上の注意が付いていて有り難いと思います。みずむしの薬は非常に使用が多いも のですから、こういう注意が必要かと思います。それでお願いなのですけれども、「相 談すること」というところに「薬によりアレルギー症状を起こしたことがある人」と書 いてありますが、この薬そのものはスイッチOTCになるのが初めてでもイミダゾール 系の薬ですので、ほかのイミダゾール系のみずむしのための外用薬でかぶれたことのあ る人がこれを付けますと、かぶれる可能性があります。一般の人はかぶれがアレルギー だと知らない人もいますので、「薬によりアレルギー症状(付け薬のかぶれを含む)」と 書いておいていただけると、より親切ではないかと思いますので、よろしくお願いしま す。 ○審査管理課長 ありがとうございました。検討させていただきます。 ○井村分科会長 ほかにございませんでしょうか。宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 アゼナ鼻炎カプセルの「相談すること」のところで左側はいいのですけれ ども、右側に「まれに下記の重篤な症状が起こることがあります」と。しかし、こうな ってしまうとこれは相談ではないですよね。けいれん、興奮があって意識が消失するな どというのは相談ではないです。ここは相談ではない項目を一つ作らないと、このよう になってから相談しても始まらないので、やはりここは重篤な副作用がありますという 警告をきちんとここで書いておかないと、先ほどのものではないけれども読まないので、 こういう肝障害も「相談すること」の中に入れること自体がおかしいと思いますが、ど うでしょうか。 ○井村分科会長 そうですね、そういう感じがいたします。 ○審査管理課長 どうもありがとうございます。書く場所と内容が合っていないという ことで、少し再検討させていただきます。 ○井村分科会長 よろしくお願いいたします。ほかにございませんでしょうか。もしな ければこの議題21〜24に関しては御確認いただいたということにさせていただきます が、よろしゅうございますか。ここで審議官からこれまでの御指摘についてお話しいた だけるようでございます。 ○審議官 ありがとうございます。特に最初の方の第一部会関係で幾つか御指摘いただ きましたので、個別の医薬品ということではなく一般的な御指摘を頂いた問題について の状況などを含めて、説明を加えさせていただきたいと思います。まずQT延長の問題 でございますけれども、トルサ・デ・ポアンや突然死といったことで諸外国で問題にな り、我が国でも最近この5年間ぐらい特に挙げられている問題ではないかと思っており ます。御案内のとおりこれはスティーブンス・ジョンソン症候群のように特異的なもの というよりは、用量を上げていけばどなたにでも最終的には見付かると。対象となる医 薬品もかなり珍しくないといいますか、相当種類があるわけです。ICHといいます日 米欧の産官学が集まった場でも大きいテーマになっておりまして、その扱いが検討され、 またかなり顕著なQT延長作用があるものについては既に幾つかの製品が市場から消え ているような状況にございます。  今回二つの医薬品について笠貫先生を中心に御指摘を頂いたわけでありますけれど も、もちろんこれはこれで対応をとるとして、一方で国際的にはそういった中で例えば 症例数の蓄積の有無とか、あるいは分かりませんが人種的な差があるかどうか、また用 量の違いということで、正直なところなかなか意見の一致もまだきちんと学問的に決ま っているわけではないところが残っております。これを含めながら今日御指摘いただい た部分の使用上の注意の改訂等を遺漏なきよう、また一方で市販されている薬は今のま までいいのかということもありますので、そういったところも目配りをしながら行くべ きことかなということで、今日は私承った次第であります。  それから二点目でございますけれども、ロサルタンの糖尿病性腎症の腎保護作用につ いてのお話でありますが、御案内のとおり最近では国際的な枠組みの中で、共同で同じ プロトコールで臨床試験を行うことがかなり試みられるようになっておりまして、この 試験自体も実は10年も前に行われた試験になっております。その中でおおよそ背景とし て同じような患者さんに対して期待できるものであれば、国際的な枠組みで行えば症例 数としては全体でかなり見られますので、医薬品としては作用があるだろうということ になるわけであります。今日の報告書にも書いてございますが、なかなかこれをもって 日本人にずばりということは言えないのですけれども、そこは前向きの市販後の対象を 置いた試験できちんと確認をするということでの保証といいますか、目配りをすること によって非常にQOLを下げる糖尿病性腎症の先送りといったことが可能であれば、そ れはそれで大変薬物療法として意義があるのではないかということで、今回のような部 会等の話が出てきたものと推定されます。国際的な治験は申し上げたような形あるいは 思想で開発が設計されて、今後こちらの方に御審議をお願いするようなことも多くなる と思いますので、一つの例として御紹介申し上げました。  それから最後に、精神神経用薬のSSRIのパニック症候群あるいはそのうつの回復、 再発の防止のような部分でありますけれども、御専門の先生方の前で大変僭越でござい ますが、日本の臨床試験の歴史を見ますとなかなかこの領域の試験は難しくて、一番最 初に導入されたイミプラミンなどの抗うつ剤に比べて、それに勝る効果を得るという抗 うつ剤がこの20年以上出てこなかったという状況が実際にはあると思います。そういっ た中でプラセボを対照として少なくとも医薬品であるということはきちんと確認されて いるというところを踏まえ、かつこのお薬はたしか70か国ぐらいで使われていると思い ますけれども、そこでもちろん安全性の問題はないわけではありませんが、致命的なも のはないということをきちんと、これも市販後のプロスペクティブなスタディーで、対 照薬をきちんと加えた前向きの試験を行うということでの再確認ということで、トータ ルで医薬品の力量、臨床上の位置付けを確認していくという開発思想になっているかと 思います。  実際にはこの薬、それからその前の薬も欧米で使えるようになってから相当な日数が たつわけでありまして、特に精神神経用剤のお薬というのはもう10年以上掛かってい て、これもまたもう1回はっきりするまで試験ということでやってしまいますと、日本 の治験の構造から極端な話、半世紀といった遅れが出てくる可能性もあるわけでありま す。そういった中でお困りになっている方々のことも考えつつ、かつ安全性に妥協する ことなくということになりますと、市販直後の調査、再審査、それからこういった前向 きの試験を全部総合的に組み合わせての御判断を願うような姿になってくる、こういっ たことも例外ではなくなってくるかと思います。特にこのお薬ということではなくて一 般論として申し上げました。ありがとうございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは次に進ませていただきますが、私 余計なことを言って時間をとって申し訳ないのですけれども、今話題になっております、 要するに市販後の試験を条件にして承認するという形が大分増えてきております。アメ リカあたりでもそれがなかなか履行されないという現実があるようで、我が国ではその 辺がまた心配の種になりませんように、ひとつ御指導をよろしくお願いしたいと思いま す。  それでは化粧品・医薬部外品部会で議題25が出ておりますけれども、この御説明をお 願いいたします。 ○事務局 それでは資料25を御覧いただければと思います。化粧品基準の一部改正につ いてでございます。化粧品については化粧品基準を告示として定めておりまして、防腐 剤と紫外線吸収剤については化粧品基準に収載された成分のみを配合することができる としております。今般、防腐剤であるブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルについて、 この資料25の表中に示しております配合量の新規収載要請がございまして、化粧品・医 薬部外品部会で御審議いただきました。これは昨年12月22日開催された部会ですけれ ども、そちらで御了承いただいたものでございます。その部会の結果を踏まえましてパ ブリックコメントを既に行いまして、現在告示改正の手続を行っているところでござい ます。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。部会長の溝口委員から何か御発言ございま すでしょうか。 ○溝口委員 特にございません。 ○井村分科会長 ただいまの議題25について、いかがでございましょうか。よろしゅう ございますか。それでは御確認いただいたということにさせていただきます。続いて化 学物質安全対策部会の関係で、議題26の説明をお願いいたします。 ○事務局 化学物質安全対策室でございます。議題26、資料26について報告いたしま す。本件はこれまでの薬事関係とは変わりまして、化学物質の審査及び製造等の規制に 関する法律、通常化審法と呼んでいるものですが、それによる化学物質の規制に関して でございます。本年1月13日に開催された化学物質安全対策部会において、2-(2H- 1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノールという 物質は、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがあると判断され、化審 法の第一種特定化学物質として政令で定めまして、製造、使用等を許可制とすることが 適当であるとされましたので、概要を御報告いたします。  資料の「記」の下の1に分解性、2に蓄積性についてございますが、こちらは主に経 済産業省が担当しておりまして、既に難分解性、高蓄積性であることが判断されており ます。その結果として1段落目の最後にありますように、平成16年9月から第一種監視 化学物質としての規制を受けてきたところでございます。御存じのとおり1の分解性は 微生物が存在する汚泥下での物質の分解を見た試験でございまして、BOD(生物学的酸 素要求量)から見た試験でございます。微生物の分解を受ける物質であれば酸素の消費が 起こりまして、酸素の残存量から試験物質の分解を間接的に検知可能となると。それか らHPLCの方は試験後に本物質を直接検出するものでございますが、いずれの試験に おいても分解は見られておりません。  それから蓄積性の方でございますが、当該物質を少量添加した水の中で魚を飼育いた しまして、本物質が魚の体の中に蓄積するかどうかを試験しております。その結果はB CFという生物濃縮係数で示しておりますが、これは魚の体内のこの物質の濃度と水中 の物質の濃度の比となっておりまして、御存じのとおりこの値が大きいほど生物濃縮を 受けやすいというものでございます。BCFは化審法では5000倍を超えるものを高濃縮 としておりまして、この物質は高濃縮と判断されているところでございます。  以上の二点から、環境中に放出された場合環境に残留し、生物濃縮を受けて人が継続 的に摂取する可能性があるとしておりますが、今般1月13日の部会においては3の人へ の長期毒性について御審議いただいたところでございます。こちらは厚生労働省におい て28日間試験、それからラットへの1年間の連続投与試験を実施したところでございま す。試験結果が昨年8月に試験検査機関より報告されまして、その後3か月後の11月に は調査会において御審議いただき、本年1月に部会において御審議いただいたところで ございます。1日に体重1kg当たり0.5mgという少量において、雄ラットの肝臓に明細 胞変異肝細胞巣という発がん性を有する疑いのある前癌病変が見られたということか ら、審議の結果継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがあると判断され ているところでございます。以上でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。私部会長なのですけれども、詳細な 説明がございましたので特に付け加えることはございません。今の件に関していかがで ございましょうか。よろしゅうございますか。それでは化学物質安全対策部会の議題26 は御確認いただいたということで、ありがとうございました。次は動物用医薬品等部会 の関係の議題でございまして、27〜37と多いのでございますが、御説明をお願いいたし ます。 ○事務局 農林水産省でございます。動物用医薬品等部会関係について、議題27〜37 まで御報告させていただきます。まず議題27でございますが、資料27を御覧ください。 動物用医薬品ネモバックの輸入承認事項変更承認の可否及び再審査期間の指定について でございます。本剤はメリアル・ジャパン株式会社より輸入承認事項変更承認申請され たネモバックという鶏用の弱毒生ワクチンでございます。本剤は既に承認されておりま すが、今般用法及び用量について、これまでの飲水投与に新たに噴霧接種、点鼻又は点 眼接種を追加するものでございます。本年2月22日開催の動物用医薬品等部会で御審議 いただきまして承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支えない、再審査期間につい ては6年という審議結果を頂いております。  続きまして議題28、動物用医薬品“京都微研”ポールセーバーOE8の製造承認の可 否及び再審査期間の指定についてでございます。資料28を御覧ください。本剤は株式会 社微生物化学研究所より製造承認申請された“京都微研”ポールセーバーOE8という 鶏用の不活化ワクチンでございます。本剤は発育鶏卵培養ニューカッスル病ウイルス石 井株等8種類の株を主剤とする注射剤でございますが、効能又は効果はニューカッスル 病、鶏伝染性気管支炎、産卵低下症候群-1976、鶏伝染性コリーザ(A型・C型)の予防及 びマイコプラズマ・ガリセプチカム感染症による産卵率低下の軽減でございます。本年 2月22日開催の動物用医薬品等部会で御審議いただきまして、使用上の注意の一部変 更、内容といたしましては「注射中は汚染を避けるために、滅菌した針と取り替えるこ と。」に変更することを条件といたしまして承認を可とし、薬事分科会に報告して差し 支えない、再審査期間については6年とされております。  議題29について御報告させていただきます。本剤はメリアル・ジャパン株式会社より 輸入承認申請されたエクイバラン ゴールドという、イベルメクチン及びプラジクアンテ ルを主剤とする馬用ペースト状シリンジ入りの強制経口投与剤でございます。効能又は 効果といたしましては馬:大円虫、小円虫、馬回虫及び条虫の駆除でございます。本年 2月22日開催の動物用医薬品等部会で御審議いただきまして承認を可とし、薬事分科会 に報告して差し支えない、再審査期間については6年、劇薬指定という審議結果を頂い ております。  続きまして議題30、動物用医薬品エクイマックスの輸入承認の可否、再審査期間及び 毒劇薬の指定についてでございます。資料30を御覧ください。本剤は株式会社ビルバッ クジャパンより輸入承認申請されたエクイマックスという、イベルメクチン及びプラジ クアンテルを主剤とする馬用ペースト状シリンジ入りの強制経口投与剤でございます。 効能又は効果といたしましては馬の大円虫、小円虫、馬回虫及び条虫の駆除でございま す。本年2月22日開催の動物用医薬品等部会で御審議いただきまして承認を可とし、薬 事分科会に報告して差し支えない、再審査期間については6年、この製剤についても劇 薬指定という審議結果を頂いております。  続きまして議題31でございます。動物用医薬品プロフェンダースポット及びモナリー トの輸入承認の可否、再審査期間の指定についてでございます。資料31を御覧ください。 本剤はバイエルメディカル株式会社及び明治製菓株式会社の共同申請により輸入承認申 請されたプロフェンダースポット及びモナリートという、エモデプシド及びプラジクア ンテルを主剤とする猫用の皮膚へ滴下する製剤でございます。効能又は効果といたしま して猫の猫回虫、猫鉤虫、瓜実条虫、猫条虫及び多包条虫の駆除でございます。本年2 月22日開催の動物用医薬品等部会で御審議いただきまして承認を可とし、薬事分科会に 報告して差し支えない、再審査期間については6年とされております。  続きまして議題32、動物用医薬品プレビコックス57並びに同227の輸入承認の可否、 再審査期間及び毒劇薬の指定についてでございます。資料32を御覧ください。本剤はメ リアル・ジャパン株式会社より輸入承認申請されたプレビコックス57及び227という、 フィロコキシブを主剤とする犬用の経口投与剤でございます。効能又は効果は犬の変形 性関節症に伴う慢性の疼痛及び炎症の緩和でございます。なお、57と227の違いでござ いますが、57がどちらかといえば小型の犬、227が大型の犬を対象とした錠剤でござい ます。本年2月22日開催の動物用医薬品等部会で御審議いただきまして承認を可とし、 薬事分科会に報告して差し支えない、再審査期間については6年とされ、劇薬指定とさ れております。  続きまして議題33、動物用医薬品メタカム2%注射液の輸入承認の可否、再審査期間 及び毒劇薬の指定についてでございます。資料33を御覧ください。本剤はベーリンガー インゲルハイムベトメディカジャパン株式会社より製造承認申請されたメタカム2%注 射液という、メロキシカムを主剤とする牛用の注射剤でございます。効能又は効果とい たしましては牛の急性及び亜急性細菌性肺炎に伴う臨床症状の軽減でございます。本年 2月22日開催の動物用医薬品等部会で御審議いただきまして承認を可とし、薬事分科会 に報告して差し支えない、再審査期間については2年とされ、劇薬指定とされておりま す。 ○事務局 続きまして議題34、エコノアプレミックス2製剤の輸入承認事項変更承認の 可否及び再審査期間の指定についてでございます。これら2製剤は塩酸バルネムリンを 1%又は10%含有する製剤で、飼料に均一に混じて7日間経口投与する用法のもので す。効能又は効果欄に記載の適応症のうち、豚赤痢及び豚マイコプラズマ肺炎について は既に承認されていますが、今回慢性型豚増殖性腸炎の効能と、有効菌種としてローソ ニア イントラセルラーリスを追加する事項変更承認申請です。本年2月22日開催の動 物用医薬品等部会で本剤については承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支えない、 再審査期間については2年という審議結果を頂きました。  続きまして議題35、エクセネル注の輸入承認事項変更承認の可否及び再審査期間の指 定についてでございます。この製剤はセフチオフルナトリウムを含有する用時溶解の注 射剤で、筋肉内注射する用法のものです。効能又は効果欄に記載の適応症のうち、牛の 肺炎及び豚胸膜肺炎については既に承認されていますが、今回牛の趾間フレグモーネの 効能と、有効菌種としてフソバクテリウム ネクロフォーラム及びポルフィロモナス ア サッカロリチカを追加する事項変更承認申請です。本年2月22日開催の動物用医薬品等 部会で本剤については承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支えない、再審査期間 については2年という審議結果を頂きました。 ○事務局 続きまして議題36、動物用生物学的製剤基準の一部改正についてでございま す。資料36を御覧ください。一点訂正をさせていただきます。表紙に「動物用生物学的 製剤検定基準の一部改正について」となっておりますが、「検定」という言葉を削除さ せていただきまして、「動物用生物学的製剤基準の一部改正について」と訂正をお願い いたします。当該基準については薬事法第42条第1項の規定に基づいて、農林水産大臣 が動物用生物学的製剤について薬事・食品衛生審議会に御意見を聴きまして、農林水産 省の告示に定めるものでございます。今回の基準の一部改正案は再審査期間が終了した ものについて、表紙のア〜チすべてを新たに当該基準に追加するものでございます。本 案については2月22日までに開催された動物用医薬品等部会で了承されております。 ○事務局 議題37、動物用医薬品の使用の規制に関する省令の一部改正案でございま す。資料37を御覧ください。この省令は薬事法第83条の4に基づく農林水産省令で、 農林水産大臣が畜水産物への残留防止のために、使用者が守るべき動物用医薬品の適正 な使用方法の基準を定めるものです。2月22日に開催された動物用医薬品等部会で了承 されました。1ページの1は議題33のメタカム2%注射液の承認に伴う改正です。メロ キシカムを有効成分とする注射剤を搾乳牛以外の牛に使用する際の用法及び用量と、使 用禁止期間を定めるものです。2は議題29のエクイバラン ゴールドと議題30のエクイ マックスの承認に伴う改正です。いずれもイベルメクチン及びプラジクアンテルを有効 成分とする強制経口投与剤を馬に使用する際の用法及び用量と使用禁止期間を定めるも のです。  5ページ以降は食品衛生法の改正により、ポジティブリスト制度が本年5月29日に施 行されることから、これに対応するための省令の改正です。5ページは前回及び前々回 の本分科会で報告いたしました改正に伴って、外皮に散布する製剤等が追加されること から、現在省令の別表に収載されているイベルメクチン、モキシデクチン、レバミゾー ルを有効成分とする3医薬品の名称を「外皮用剤」から「外皮塗布剤」に改正するもの です。5〜7ページの使用対象動物欄の「牛(搾乳牛を除く。」の最後の括弧が抜けてお りますので、追加をお願いいたします。この改正については前回及び前々回の当分科会 で報告した内容と併せて、本年5月29日に施行する予定です。また8ページ以降は前回 及び前々回の資料の誤記を訂正するものです。以上で報告を終了いたします。どうぞ御 確認をお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。今の動物用医薬品関係の11議題について、 いかがでございましょうか。部会長の吉田委員、よろしゅうございますか。神山委員、 どうぞ。 ○神山委員 資料34なのですが、これには休薬期間というものは必要ないのでしょう か。 ○井村分科会長 いかがですか。 ○事務局 お答えいたします。資料34のエコノアは既に使用基準が設定されているもの でございまして、今回の用法・用量はこれまでの用法・用量の範囲内に入っておりますの で、これは使用基準に既に入っているということでここには書いておりません。 ○井村分科会長 ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。 ○神山委員 くだらないことなのですけれども、資料27と28の「対象動物に対する注 意」の「制限事項」で、例えば「本剤の投与後、激しい運動は避けること」とか、28の 方は「ストレスを与えないこと」とか、分かりにくいような気がするのです。むしろ27 の(4)のように「ワクチン投与後は、温度管理等に十分に注意し、移動などのストレス を与えないこと」と、具体的に書いてあれば分かるのですけれども、「激しい運動は避 けること」といっても運動するのは鶏なので、意味がよく分からないような注意になっ ていると思います。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。どうぞ。 ○吉田委員 御指摘ごもっともだと思いますが、御存じのように最近テレビ等でよく鶏 舎が出てまいります。窓のない鶏舎であったり、あるいは肉用のものですと地面に平飼 いといいまして、地面を走り回るような状態です。非常に問題発言かもしれませんが、 養鶏場のスタッフはこの程度に書かなければ理解できないという人もおります。その薬 剤の使用目的によっては、こういうストレスを与えるなというよりもバタバタさせるな という方が都合がいい場合もあります。目的は一緒です。余り深く追求しない方がよろ しいかと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。よろし ゅうございますか。それではこの議題27〜37までについては御確認いただいたというこ とでよろしゅうございますか。ありがとうございました。そのほか何か事務局の方から ございますでしょうか。なければ本日の分科会の議事を終了させていただきます。次回 の薬事分科会は6月中旬以降ということになるだろうと思いますけれども、日程は皆様 方の御都合を伺ってから決めさせていただきます。それでは、これで分科会を終了させ ていただきます。ありがとうございました。                                    ( 了 )       連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)