06/03/23 第24回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第24回)議事録 日  時:平成18年3月23日(木)13:55〜16:37 場  所:全社協 灘尾ホール 出席委員:牛丸委員、熊沢委員、栗林委員、近藤委員、都村委員、林委員      宮島委員、山崎委員 議  事     1.年金数理部会の当面の運営について     2.被用者年金一元化を巡る最近の動きについて               ○田村首席年金数理官  ただいまより、第24回社会保障審議会年金数理部会を開催させていただきます。  審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第 のほか次のとおりでございます。  資料1は、「社会保障審議会年金数理部会委員名簿」でございます。資料2は、「年金 数理部会の審議事項について」でございます。資料3は、「年金数理部会の審議経過」で ございます。資料4は、「公的年金財政状況報告−平成15年度−(要旨)」でございます。 資料5は、「平成16年財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証(要旨)」でございま す。資料6は、「財政状況に関し公的年金各制度から報告を求める事項について」でござ います。資料7は1〜10の分冊に分かれていますが、「被用者年金一元化を巡る最近の 動きに関する資料」でございます。  このほか、参考資料といたしまして、平成16年度の「公的年金制度一覧」と「社会保 障審議会令、社会保障審議会運営規則」をお配りしております。  配布資料は以上でございます。  次に、年金数理部会委員の異動について御報告いたします。  去る1月22日付で、田村正雄委員と山ア登委員が、2月8日付で堀勝洋部会長と渡辺 俊介委員が退任されました。  また、4人の委員に新たに御就任いただきましたので御紹介いたします。  牛丸聡・早稲田大学政治経済学術院教授でいらっしゃいます。  熊沢昭佳・企業年金連合会理事でいらっしゃいます。  山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授でいらっしゃいます。  なお、宮武剛・埼玉県立大学保健医療福祉学部教授にも御就任いただいておりますが、 本日は御都合により御欠席とのことでございます。  次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。  本日は、今、申しました宮武委員が御欠席でございます。御出席いただきました委員 の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げ ます。  なお、審議官は、本日都合により遅れて参るということになってございます。  次に、部会長の選任について御報告申し上げます。堀前部会長が退任されましたので 部会長の選任をしていただく必要がございますが、部会長の選任につきまして、社会保 障審議会令によりまして、「部会長は当該部会に属する社会保障審議会の委員の互選によ り選任するとされております」。社会保障審議会の委員で当部会に所属されているのは、 山崎委員と宮島委員のお二方でございますので、事前にこのお二方で互選をいただきま したところ、山崎委員に部会長をお願いすることになりましたので御報告させていただ きます。  それでは、以降の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。   ○山崎部会長  このたび、年金数理部会長を務めさせていただくことになりました。よろしくお願い いたします。規定上、部会長が部会長代理を指名することとなっておりまして、私とい たしましては、引き続き都村委員にぜひお願いしたいと思います。都村委員、よろしい でしょうか。   ○都村委員  よろしくお願いいたします。   ○山崎部会長  それでは、議事に入りたいと思います。本日の議事は、「年金数理部会の当面の運営に ついて」、「被用者年金一元化を巡る最近の動向について」であります。  それでは、最初の議題「年金数理部会の運営についての審議に入りたいと思います。 先ほど事務局から説明がありましたが、私を含めて年金数理部会の委員が4人入れ替わ りました。そこで、これまでの年金数理部会で行ってきた審議の内容や今後の年金数理 部会の運営について再確認したいと思います。事務局に資料を準備してもらいましたの で、説明をお願いいたします。   ○田村首席年金数理官  資料1から順番に御説明いたしますが、資料1は、委員の方々の名簿でございます。 本日は、先ほど申しました宮武先生以外が御出席でございます。2枚目以降は、年金数 理部会の親審議会であります社会保障審議会の委員の名簿を参考までにお付けしており ます。  次に、資料2でございますが、「年金数理部会の審議事項について」という資料です。 年金数理部会はそこにありますように、平成13年3月16日の閣議決定を踏まえ、平成 13年12月に設置されております。その役割としましては、その下の括弧の中にござい ますが、「各被用者年金制度の安定性及び公平性の確保に関し,財政再計算時における検 証及び毎年度の報告を求めること」、「被用者年金制度の一元化の具体的な措置が講じら れる際の具体的な費用負担の在り方等について、年金数理的な観点からの検討及び検証」 ということになっています。  これに則りまして審議をお願いしているところでございます。  次の資料に行きたいと思いますが、資料3でございます。これはこれまで年金数理部 会は23回開いていただいておりますけれども、その審議経過というか、審議内容をまと めたものです。大まかに御説明しますと、毎年、先ほどの毎年度の報告を求めることと いうところで、決算に関するヒアリングを行っていますが、これが年に2回ほどやって いただいています。第6回あたりには農林年金が厚生年金へ統合いたしましたけれども、 そのときの移管金の検証を行っていただいていますし、それから本年1月におまとめい ただきました財政再計算に基づく財政検証に関しても第9回あたりから検討をいただき、 第17回からはそのためのヒアリングをやっていただいているというような経緯になっ てございます。  次、資料4と5でございます。資料4は、今申しました毎年の決算ヒアリングの結果 を冊子にまとめています。資料4の上にありますように、「公的年金財政状況報告」とい うことで、ここでは平成15年の要旨だけ付けておりますが、13年からつくっています。 本物は委員の方々には、席上の分厚いファイルの中に綴じてございます。説明は省略い たしたいと思います。  資料5は、この1月にまとめていただきました「平成16年財政再計算に基づく公的年 金制度の財政検証」です。財政再計算の結果を見て、公的年金の安定性、公平性が確保 されているかどうかということの検証を行ってございます。その報告書の要旨です。報 告書自体もお手元のファイルに綴じてございますので、ご覧いただければと思います。 この中身も説明は省略いたしたいと思います。  次に資料6でございます。「財政状況に関し公的年金各制度から報告を求める事項につ いて」ということです。資料6の表題に下に書いてありますように、年金数理部会では、 毎年度、公的年金各制度の財政状況について制度所管省から報告書を求めています。平 成16年の財政状況について報告をお願いする必要がございます。時期は、先ほどの審議 経過をご覧いただきますとわかりますけれども、もう少し先になると思いますけれども、 そのための資料を各制度にお願いしなければいけません。その様式について一部制度改 正もありましたので、変更したいと思っております。その中身がそこにあるとおりでご ざいます。  その様式の変更のもととなった制度の変更の中身が1ページに書いてある1. 、2. 、 3.というものですが、1つは、基礎年金拠出金に係る国庫・公経済負担割合の引上げ が始まっております。それに関する事項でございます。後でまた詳しく御説明したいと 思います。そこに書いてあるように、今まで1/3でよかったのですけど、それがそう ではなくなりましたので、それを対応するということになります。  2番目は、国家公務員共済組合と地方公務員共済組合ですけれども、今回の財政再計 算というか、平成16年度から財政単位を一元化をしています。その財政単位を一元  化するのですけれども、さはさりながら運営は別々にやりますので、財政調整をする ということになりまして、財政調整が平成16年度からスタートしますので、それに伴う 変更になります。  3つ目、制度間調整の精算終了ですが、制度自体は平成9年度に終わりましたけれど も、その精算も平成11年で終わりました。後でご覧いただくとわかりますけれども、毎 年の決算のヒアリングの際には、過去5年分の報告をいただいていますので、平成15 年度までは、平成11年度が入っていましたけれども、平成16年になりまして入らなく なりましたので、その項目を削るという中身になります。  2ページと3ページは、先ほど言いました国庫負担割合の引上げと国共済と地共済の 財政調整についてイメージがわかるようなということで手近にある絵を流用してみまし た。  2ページは、基礎年金拠出金への国庫負担割合の引上げの動きです。最初、平成16 年度は、国庫負担で272億円になっていますし、17年度は3分の1に1000分の11を足 す。18年度は、3分の11に1000分の25を足すとされています。今回関係するのは、 下の図の左端にある、先ほど言いました平成16年度のところでございます。272億円と 書いてあるところ。したがって、従来の基礎年金拠出金の3分の1の負担に272億円が 加えられたものが国庫負担になるということになっています。ただ、この272億円とい うのは国庫から出るものでございます。共済組合には国庫以外からも同等の負担が入っ ているものがあります。これは公経済負担と言っていますけれども、具体的には、例え ば地方公務員の場合ですと、この3分の1も含めてすべて地方公共団体が負担していま す。また、国共済でも元は公務員であった独立行政法人とか国立病院、郵政公社、それ 自身が公経済の主体として国庫負担の分を負担しているということで、あわせると約24 億円ありますので、全体では296億円ぐらい公的年金制度に入ってきているということ になります。その分が平成16年には増えることになります。  なお、余談でありますけれども、今後もまた出てくるのですけれども、このため国庫 負担だけではないということで、公的年金の財政を見る際には、国庫・公経済負担とい う呼び名を使っています。これが国庫負担の割合の引上げです。  次のページが、「国共済と地共済の財政単位の一元化に伴う財政調整について」という 資料でございます。これは3ページの下に出典とありますように、国共済連合会のリー フレットからちょっと流用させていただきましたけれども、平成16年の財政再計算から 国共済と地共済ではその財政単位を一元化をされております。次回再計算、今、一元化 等でいろいろ言われていますけれども、そうではなくて、平成16年の再計算の時点では、 今、保険料率が違いますので、次回再計算、平成21年に両組合の保険料率を1つにしよ うということで保険料の一本化をされているということになります。ところが保険料を 一本化して収入はそれで決まるのですけれども、運営等はまだ別々にされますので、当 然収支は過不足が生じてきます。それを調整する仕組みとして、そこにありますが、絵 の緑色の矢印のところ、財政調整とありまして、2つの組合の間で財政調整がされると いうことで、財政調整(A)と財政調整(B)という2つの仕組みが考えられておりま す。  詳細は省きますが、その下の囲みの中にも説明がありますように、財政調整(A)と いうのは、費用負担の平準化を図るための財政調整、独自給付費用率に着目して、それ が同じになるように財政調整を行うのが財政調整(A)になります。それをやっても赤 字が出てくる場合においては財政調整(B)ということで、その赤字を調整するという 2通りの調整方法で調整するような仕組みを設定されているということになります。  以上、2つの変更点を受けまして、様式の変更案を書いたのがその次の4ページ以降 になります。  変更点はそこの様式の網かけをした部分になります。そのほかのところは変わってお りません。4ページは収支状況です。これは全体の収支の状況がわかるものですが、こ れについては、先ほど国共済と地共済のところで御説明しましたけれども、財政調整に ついて、入ってくる方と出てくる方がありますので、それが書いてあるということにな ります。それから、(A)と(B)については、一番下の(注)に書いてもらうことを考 えてございます。  その次の5ページ、6ページは、総合費用率に関するものです。総合費用率というの は、御承知だと思いますけれども、単年度、単年度でその制度が保険料で負担するはず の支出を標準報酬で割ったものということで、賦課保険料率みたいなものになりますけ れども、それを見るところでございますけれども、ここも網かけしてありますように、 財政調整が入りますのでそれの変更になります。  7ページも同じものでございます。7ページで(5)とかで入っていますけれども、これ は国庫負担、基礎年金の除き方が若干制度によって違っていますので、こういった形に なっているということになります。  8ページは独自給付費用率になります。独自給付費用率というのは、先ほど申しまし た総合費用率から、基礎年金拠出金に係る分を除いた、要は各制度自前の給付に係る賦 課保険料率みたいなものですけれども、それを計算する部分です。そこについては、財 政調整の話と国庫負担の抜き方というのも影響しますので、2カ所変更するということ になります。  9ページ、10ページ、これは共済の場合、厚年相当という今いろいろホットなところ もやっていますけれども、それについても、国庫負担と財政調整がありますので、その 調整をするという項目になります。  11ページは収支比率です。これは収入と支出の割合を見て、その財政状況がどうなっ ているかというのを判断するものですが、ここでも収入、支出の中に、国共済と地共済 については財政調整の支出と収入が入ってきますので、それの調整になります。  最後、積立比率です。積立比率は、保険料でまかなうべき支出に対して積立金がどれ ぐらいあるか。要は保険料収入がなければあと何年ぐらい持つかというのを見る指標で すけれども、そのときの支出が財政調整によって変わってきますので、その点に関する 変更になります。  資料6は以上でございます。こういう変更をして、各制度に数字の作成をお願いした いと思っています。  資料7は、後で御説明をお願いするといたしまして、少し飛びますが,最後の方に参 考1、2と付いてございます。参考資料1として、公的年金制度一覧をお付けしており ます。横長の1枚紙で非常に簡単なのですが、(注)が山ほど付いているのですけれども、 これは公的年金制度の今の状況をわかりやすく一覧表にしております。毎年私ども、つ まり事務局で作成しております。制度ごとに各制度から公表されている数字でございま すが、横並びで一覧表にしてございます。御参考にしていただければありがたいと思い ます。  参考資料2でございますけれども、これは社会保障審議会令と同運営規則でございま す。よく御存じだと思いますが、先ほどの部会長の選任の件やこの会議の公開、議事録 の取扱い等について記載をしてあります。社会保障審議会に関する規定でございますけ れども、この部会も準用されておりますので、後でご覧いただければと思います。  御説明は以上でございます。   ○山崎部会長  ありがとうございました。それでは、今の説明に対する御質問や御意見などがありま したらお願いいたします。従来からの委員の方は、十分御承知のことばかりだろうと思 いますが、新委員の方で、牛丸委員いかがでございますか。 ○牛丸委員  結構です。 ○山崎部会長  よろしいですか。事務局の方から、時間はありますが、補足することありますか。   ○田村首席年金数理官  特にございません。 ○山崎部会長  それでは、私の方から一言発言させていただきたいのですが、実は一昨年、平成16 年9月から昨年9月まで、年金の福祉還元事業に関する検証会議というのがありました。 座長は、東京大学の森田教授でありまして、都村委員と私もこの会議に入っておりまし た。この検証会議を設けられた経緯は、御承知のように、年金改正の際に本体だけでな くて、社会保険庁の問題や、グリーンピア等福祉施設事業について随分議論があったわ けでございまして、そのことを受けて検証会議が設けられたわけです。  その検証会議の報告の中で、要点を申し上げますと、「今後の福祉施設事業の実施に当 たっては、これまでの反省の上に立ち、国民の信頼を得ることができるような事業拡大 制御システムを構築すべきである。具体的には個々の福祉施設事業の必要性について、 今後さらに精査するとともに、福祉施設事業の実施、見直し状況や保険料の充当額等に ついて情報公開を徹底すること。福祉施設事業の実施、見直しをする際の意思決定及び 実績の評価について、保険料拠出者や有識者の意見を聞く恒常的な場を設けることを通 じて、国民に対する説明責任を果たしていくことが求められる。」としております。  さらに、本検証会議における直接の検証事項ではないけれども、事務費についても、 これは国庫負担、保険料が充てられているわけですが、「今後とも国民の理解が得られる よう留意する必要がある」としております。  最後に、「今回のこの検証が今後の厚生労働省における諸事業の政策決定において活か されることを期待したい」と結んでいます。  言うまでもなく福祉施設事業にかかわる費用や事務費というのは年金の大きな財政規 模の中ではあまり大きな比重は決して占めないのですが、しかし国民の目から見ると、 実額としては相当な額にのぼっているわけであります。また、年金財政にも無関係とは いえないということでありまして、私といたしましては、事務局におかれては、新たに こういった福祉施設事業にかかる費用だとか、あるいは事務費がどのようになっている のかといことについても少しお調べいただけないだろうかというのが私の提案でござい ます。委員の皆様の意見もお伺いしたいし、事務局がどのようにお考えかも聞いてみた い。恐らく従来のこの数理部会では検討事項に入っていなかった。その他として処理さ れていることだと思うのですが、御意見をお伺いしたいと思います。  都村委員の方から、補足ございますか。よろしいですか。  それでは、事務局の方からご意見がありましたら。 ○田村首席年金数理官  今、かなり広い範囲の福祉施設事業、私も全貌はよく把握してないのですが、そこま でおっしゃったのですが、福祉施設全部を調べてみたいということでしょうか。 ○山崎部会長  福祉施設事業といいますと、年金以外に健康保険も行ってきたわけですし、共済組合 でいえば、長期と短期それぞれ福祉施設事業をやっているわけでございますが、少なく とも長期給付にかかわるものについては、我々として関心を持たざるを得ないというふ うに思います。 ○田村首席年金数理官  福祉事業がどこまで長期と短期とか、年金と健保とか分けられるかもありますが、数 理部会で御議論願うということは、あくまで年金財政に関係するということで理解をす ればいいのでしょうか。 ○山崎部会長  少なくとも年金財政にかかわる部分については、きちんとお調べいただきたいと思っ ています。本部会とも関係がないことではないと考えております。 ○田村首席年金数理官  今現状がどうなっていて、制度がどうなっているかも含めて調べさせていただければ と思います。各制度にもいろいろお聞きしないと、私どもだけでは調べきれないと思い ますので、その辺もお時間をいただければなと思います。 ○山崎部会長  委員の方々の御意見いかがでしょうか。 ○熊沢委員  先ほどいただいた資料6の4ページに、収支状況で、支出という欄があります。普通 はこの支出の中には福祉施設のための費用は含まれていないと考えていいのですか。   ○田村首席年金数理官  年金経理からの繰入れにつきましては、支出のその他のところに入っています。 ○山崎部会長  よろしいでしょうか。その他、なければ、年金局長の方から。 ○渡邉年金局長  今、部会長からご提案の件、この部会として、こういう形でということが整理される のであれば、共済関係各省庁にも御協力をお願いしてということになると思いますが、 その前段としての基礎知識として、従来の財政の表の中で、何がどのようにカウントさ れてきているのかという事実関係を各委員の先生方に、ちょっと細々した話でございま すので、よく御報告させていただきたいと思います。  それから、もう一点、後ほどの説明になりますが、今、被用者年金一元化の動きが様々 に展開しております。そういう中では共済の福祉施設についても、運用の観点からの評 価という点も含めて問題意識は記述されておるところでございます。  他方、おっしゃられた社会保険庁に置かれました検証会議での整理というものについ ては、厚生年金・国民年金の事業運営の中での福祉事業というものについて、これから 新たに特別な組織としての年金事業法機構が設立される運びに国会審議の後になったと きに、そこに様々な事業の検証のための仕組み、政策、組織運営の企画のための仕組み というものが、外部の有識者を入れて、大きく言うと2種類新たに発生することになる と思います。そういう中で、こうした検証会議での問題提起、宿題というものをしっか りと受けとめて整理していくかと、そちらの方のラインも出てこようかと思っておりま す。  いずれにしても、福祉施設関係事業と申しましても、厚生年金・国民年金の関係でい えば、既に年金住宅融資のように制度としてやめて資金回収だけを残務として行うもの。 それから資金運用主体である年金運用基金が行っていたグリーンピアのように売却済み で、その後の事後フォローだけが残されているもの、その他というジャンルと共済貸付 のように、事業の意味が少なくなり赤字が多い等々の要件のもとに整理・縮小を予定し て動いているものもございますが、年金という目で見ると、例えば貸付事業というもの は多く行われている。あるいはいわゆる病院や施設関係の建設費の貸付けという形で貸 付けをし、その元利を返却していただいていると、こういうような事業などありますし、 加えて健康保険と福祉事業というものと年金関係が一体として運営されている側面もご ざいますので、この年金数理部会として整理いただく切り口という点についても、これ までの事実関係が、どこまで、どのように整理されているかということに立脚しながら、 また、御相談をさせていただきたいと思っております。 ○牛丸委員  初めてですから、確認ということでお伺いしたいのです。先ほど事務局からこれまで の数理部会の審議経過と、一番最初に資料2の審議事項についての御説明がありました。 その中で、一つに各被用者年金制度の安定性及び公平性の確保に関し、財政再計算時に おける検証及び毎年度の報告を求めることと、それに基づいて報告書を作成するという ことがありました。そこで確認させていただきたいのですが、この報告をするというこ とは年金数理部会がどこに対して報告をしていることになるのですか。それから、報告 された後、それが活かされるというか、そういう何か決まり事があるのですか。ただ報 告するで終わっているのかどうか。その辺のことがわからないので教えていただきたい のです。 ○田村首席年金数理官  牛丸委員の今のお話を、資料2の下の括弧内の報告という意味でしょうか。それとも、 この決算を聞いた結果、取りまとめた財政状況報告の報告というどちらでしょうか。 ○牛丸委員  それぞれ違う。 ○田村首席年金数理官  最初の毎年度の報告を求めるというのは、これは各制度から年金数理部会が報告を聞 くという方です。 ○牛丸委員  それでまとめるわけですか。 ○田村首席年金数理官  はい。 ○牛丸委員  まとめたものはまとめるだけということですか。 ○田村首席年金数理官  そうです。 ○牛丸委員  そうですか。報告書をつくるということが求められているわけではないんですか。数 理部会が各機関に報告を求めるということで。 ○田村首席年金数理官  それで疑問や問題があれば、何らかの提言というか、こうやった方がいいのではない かということを発言していくというふうに理解をしております。 ○牛丸委員  報告を求めるというのは、こちらが向こうにということですか。 ○田村首席年金数理官  そうです。 ○牛丸委員  もう一つの方は、今度はこちらが求められていると。 ○田村首席年金数理官  まとめて、こうでしたよということを、財政検証でもやっていますけれども、これに つきましては、特に毎年の決算のヒアリングの後、ここでもいろいろ御議論いただいて、 ここはこういうふうにやった方がいいんじゃないのということで、それは毎年の財政で すから、決算では無理なんですけれども、財政再計算のときには一部配慮していただい ています。そちらの方に織り込まれていくということになろうと思います。 ○山崎部会長  牛丸委員、よろしいですか。 ○牛丸委員  はい。 ○山崎部会長  ほかにございますでしょうか。  それでは、財政状況につきましては、資料6にあるような変更して、報告を受けるこ ととしたいと思います。  次の議題、被用者年金一元化をめぐる最近の動きの議事に移ります。前回の制度改正 時以降、各方面で一元化の議論が活発になっております。先ほどの資料にもありました ように、当部会の審議にも関係しますので、被用者年金一元化をめぐる最近の動きにつ いて、厚生労働省より説明を受けたいと思います。それでは説明をお願いします。 ○高倉年金課長  年金課長でございます。それでは、資料7-1から10までの一元化関係の資料に沿いま して、ただいま御下問のありました被用者年金一元化に係る動きについて御報告をさせ ていただきたいと存じます。  まず、資料7−1、1枚紙で、これまでの主な経緯の一覧をまとめさせていただいて おりますので、これをご覧いただきたいと存じます。  大きく3種類のことが書いてございます。まず、1つ目は、政府それ自体の動きとい うことでございます。昨年の秋に、公的年金一元化の問題につきまして、まず被用者年 金の一元化から先行すべきという観点から、その処理方針をできるだけ早く取りまとめ る旨の総理の指示がございまして、これを受けて昨年の10月3日に関係省庁の連絡会議 を設置しております。その具体的な構成員等については資料7−2にございますけれど も、中身は省略させていただきます。  この関係省庁の部局長級の連絡会議におきまして、その後、検討作業を進めまして、 資料7−1の(1)の2つ目の「○」でございますが、昨年の12月7日に論点整理という ものを取りまとめてございます。本体の方は、資料7−3が概要版、7−4が論点整理 そのもの、7-5が参考資料と、こういうことで配布させていただいておりますけれども、 そのようないろんな論じて整理すべきその論点につきまして、事実関係を整理するとと もに、視点、議論の整理を行った、これが(1)の部分でございます。  資料7−1の1枚紙に戻らせていただきまして、(2)が与党の方の動きでございます。 与党におきましては、自民党と公明党両党から成ります与党年金制度改革協議会という 場におかれて、平成16年12月の段階で既に来年中(17年)にも一定の方向性を示すとい う旨の申し合わせをされたところでございます。それを踏まえて17年夏に論点メモをつ くり、また、10月には「今後の主要論点」の整理を行うなど与党としての整理が進めら れてきていたわけでございます。  その上で、(2)の2つ目の「○」ですが、12月14日にこの「被用者年金一元化につい ての考え方と方向性」という文書を取りまとめておられます。その資料本体は7-6に付 けさせていただいております。  その上で、与党におかれましては、その後、年が明けてから、後ほど引き続き申し上 げます政府・与党合同での協議の動きも踏まえながら、与党の年金制度改革協議会とし て、今年の2月21日に関係団体からのヒアリングを行われたところでございます。  また、(2)の最後の「○」に書いておりますのは、これは自民党の中のことでございま すけれども、各制度それぞれ自民党内の関係部会が複数にわたっておりますので、その 関係部会の調整を進めるための役員会が設置されておりまして、3月15日には自民党の 役員会としての検討方針案の整理が行われております。これは直近のものでございます ので、後ほど内容も簡単に御紹介させていただきたいと存じます。  資料7−1の(3)ですが、これが上記の政府の動き、また与党の動き、これをいわばブ リッジをかけて政府・与党として一体的、効率的に取り組むためにということで、1月 16日でございましたけれども、この問題に関する政府・与党協議会が発足いたしており ます。その初会合を1月に行ったというものでございます。  これは名簿は7-7にございますとおり、内閣官房長官が主宰でございまして、内閣官 房長官の方からスケジュールのめどにつきましての御発言として、4月末のゴールデン ウィーク前を目途に基本方針を閣議決定したいという旨が表明されておるところでござ います。それが1月の第1回でございましたけれども、第2回が、2月9日に開催され ております。その第2回の政府・与党協議会におきましては、政府の側から、この「被 用者年金一元化についての検討・作業方針」というものを提出して、御議論の上取りま とめられておりますので、これに沿って、今後実務的な調整を行うこととされたという ことでございます。この検討・作業方針についても後ほど御説明させていただきます。  流れとしましては、この政府・与党協議会における政府・与党一体的な検討の場で進 めていくということになっておりまして、その次回の会合が、現時点では日程調整中と いう段階にきておると、こういう状況が大きな流れでございます。  途中経過の部分、論点整理等については、本日は時間の関係で説明は省略させていた だきまして、いわば直近の、現在それに基づいて議論をさらに進めているものとして、 資料7-8の2月9日に第2回の政府・与党協に政府から提出させていただきました検討・ 作業方針から御説明させていただきたいと存じます。  資料7−8の3枚紙でございます。まず、1番目の基本的な考え方でございますが、こ れは公的年金全体に対する国民の信頼を確保する、そして制度の安定化と公平化を図る、 こういった考え方に立ちまして、共済年金制度を一般制度であります厚生年金制度に合 わせるという方向を基本として制度設計を行うという考え方が打ち出されております。  具体的な論点として、あと7つほど掲げてございますけれども、そのうちの1番目と して、まず1・2階の保険料水準の統一についてでございます。これは厚生年金と共済 年金のいわゆる1・2階部分の給付、これは共通給付でございますが、そこの保険料率 が現時点では違っていることから、これを統一していこうというものでございます。こ れにつきましては、恐縮ですが、資料7−5、論点整理のときの参考資料集の中に関連 の計数が出ておりますので、簡単に御説明させていただきます。資料7−5の7ページ をご覧いただきたいと存じます。  この7ページの一覧表、これはこの年金数理部会に対して、昨年、各共済等から提出 された資料に基づいて要約して表記しておる資料ですが、この横長で上の欄、これが実 際にいわゆる職域部分(3階)を含めて各共済で賦課している保険料率と、厚生年金 (1・2階の分)の保険料率が一覧で上に掲げてございます。この上の欄の共済の保険 料率は、職域部分のための保険料率も含めてのものですので、年金数理部会から一定の 計算前提を御提示されたものに沿って、各共済制度から報告されたものが、この表の下 ですが、この数字を見てみますと、2005年度の時点で、厚生年金が14.288でございます けれども、国共済・地共済、私学共済はそれよりも低い料率になっておりますし、将来 いわゆる定常状態に至りました段階でも、厚生年金は18.3%の上限になるわけでござい ますけれども、共済におきましては、16%台でいけると、こういう状況になっていると いうことでございます。これが足元の状況でございまして、縦長資料7−8の作業方針 の1枚目に戻らせていただきますと、こういった相違のある保険料率につきまして、こ れは公平性ということで厚生年金の水準に統一していくべきであると、この方針が示さ れております。  次の「○」は、そのスケジュールに関する考え方でございますけれども、厚生年金の 保険料率が上限に達するのが平成29年度であります。これを押さえた上で、具体的な共 済年金の1・2階部分の保険料の引上げ幅をどうするか、それから、同一にする時期を どうするか、こういったことにつきましては、加入者や事業主の負担増が急激なものに ならないよう配慮しながら、できる限り速やかに厚生年金の水準に統一すると、こうい う考え方に基づいて現在検討を進めているところでございます。  3つ目の「○」は、これは年金事務費の部分につきまして、私学共済では、年金事務 費掛金が別立てで徴収されておりますので、今後1・2階部分の保険料率を統一してい く際には、他の厚生年金、公務員共済におきましては、1・2階部分の保険料率の中で 対処しておりますので、これは同じように内ばきで整理することが適切であると、こう いう考え方でございます。  3.第2の論点でございますけれども、これは積立金の仕分けと管理・運用について でございます。1つ目の「○」で、共済の保有する積立金は、これは当然1・2階部分 と3階部分合わせたための積立金ということで現在あるわけでございまして、特段の区 分がないわけでございます。1・2階部分の年金の財政単位をいわば1本にする。給付 の方は既に設計が揃っておりますが、負担の方も揃えるという年金財政の1本化をして いく上では、保険料率を揃えることはもちろんでございますけれども、積立金につきま しても、共済の保有しておられるものを1・2階部分の給付に充てられるべき部分はこ れであるというものを明確に仕分けをしまして、それをすべてが1・2階部分である厚 生年金の積立金と合わせてともに、「1・2階部分」の共通財源という整理にする必要が あるとこういう考え方が1つ目の「○」でございます。  それではどういうふうに共済年金の積立金を仕分け、整理することが適切であろうか ということにつきましては、次の「○」で、共済年金の保有する積立金の中から、厚生 年金の積立金の水準に見合った額を仕分けるとの考え方に基づいて今後検討する。まだ、 この2月9日の段階では、こういう見合った額をということでさらに検討していくこと になっております。  おめくりいただきまして2ページ、一番上ですが、そういうふうに仕分けられた共通 財源というふうに整理されます1・2階部分の積立金の管理・運用についてですが、こ れは統一的に運用することを基本としようと。その具体的な在り方につきましては、制 度や事務組織の在り方についての議論がどうなるか、これも後ほど出てまいりますが、 そういった問題ですとか、共済の貸付などを含めた現行の運用の実態にも留意しながら、 今後検討する。また、残りの積立金、いわゆる1・2階部分と仕分けた後の共済の残り の積立金でございますけれども、この取扱いについては、職域部分の取扱いなどにあわ せて検討すると、こういった方針が示されております。  4.これが制度的な差異の取扱いでございます。1つ目の「○」で、共通の給付で、 基本的には給付設計は今揃っておりますけれども、まだ、制度的な差異が残っている部 分がございます。そういったものにつきましては、厚生年金に揃えることを基本として、 以下の方向で個々に検討するとされております。ここで示されておりますのは、例示と いうことで、1つ目の「・」が、共済年金における遺族年金の転給制度、厚生年金の場 合には配偶者と子が中心になっておりますけれども、共済年金の場合には、それが、御 本人が死亡された時点で、同時に、例えば祖父母や孫が生計維持をされておられた場合 に、第1順位である配偶者や子が要件以外となった場合には、祖父母や孫にも転給する と、こういう制度が現状ございますけれども、これは厚生年金に合わせて廃止するとい う方向を出しております。  2番目の「○」は、これは2種類のことが書いてございまして、1つは、被保険者資 格の年齢要件でございます。厚生年金及び私学共済では、70歳になれば被保険者は卒業 という整理になっておりますが、国共済・地共済では年齢制限がないということになっ ております。実際には国共済・地共済の公務員で70歳を超えてという事例は大変少ない だろうということでございますけれども、現状はそういう差がある。ここのところは揃 えようということです。  また、2つ目としては、障害給付に当たっての保険料納付要件、厚生年金の場合には、 国民年金の加入義務期間、厚生年金に入る前に国民年金の1号の被保険者であった期間 の保険料納付要件、滞納が一定以上あった場合には出ないといった保険料納付要件がご ざいますけれども、共済にはそれが今はないものでございますが、これは厚生年金に合 わせてそういった要件を設けていこうということでございます。  次の「・」は、老齢給付と障害給付で、在職支給停止の仕組みが、自分の制度の中で の在職支給停止の場合とか、制度をまたがった場合の停止の在り方、これが現在揃って おらない部分がございます。こういった差異は統一していこうというものです。  次の「○」は、経過措置についてでございます。ここに例示で書いてございますよう な経過措置につきましては、制度的な差異が解消する時期が既に決まって明らかになっ ておりますので、これは存置をしても解消されるということで整理してございます。厚 生年金における女子の支給開始年齢ですとか、共済年金における以前あった60歳前の繰 上げ支給で経過的に残っているものでございます。  次に5.これは一元化の形態と年金事務処理についてでございます。どのような制度 体系、組織体系にするかといった論点でございますけれども、これは基本的には、2ペ ージの一番下に書いてございますように、できるだけ国民の立場に立った、わかりやす くむだのない効率的な運用を目指すと、こういった観点から考えていくけれども、まず 基本としてやることとしては、被用者全体では年金財政の一本化、これを実現するとい うことを前提とした上で残る問題を検討しようということでございます。  おめくりいただきまして、年金財政の一本化に加えて、その他の問題ということで、 最初の「○」、法律を一本化するのかどうか、事務組織を一本化するのかどうか。ここに ついては、以下の点を踏まえて総合的に検討するとしています。1つ目には、共済組合 におきましては、現在、年金、医療、福祉一体として効率的に実施しているということ など、各制度の実態というものをよく見ようと。そして、また2つには、身分移管、シ ステム開発などに係る移行コストをどう考えるか。また、運営の長期的な効率性という ことはどうか、こういったことも十分踏まえながら検討しようというふうに整理してお ります。3つ目の「○」は、これはどのような形態をとる場合においても、被用者年金 の一元化を行うというからには、様々な被用者年金制度に分かれて加入していた経歴の 方であっても、年金相談などは1カ所で受けられるように、いわゆるワンストップサー ビス的なサービスができるように、情報共有化を推進する。これはやっていこうという ことでございます。  以上が、いわば共通部分に係る話でございますけれども、残る6.7.8.は共済の 特有の部分についてでございます。  まず、6.が職域部分の取扱いについてでございます。職域部分については、資料7 −5の30ページをご覧いただきたいと存じます。これは、共済年金において、昭和60 年改正でこのような整理になったわけでございますけれども、この絵で書かれておりま すように、いわゆる2階部分は厚生年金と給付計算式は一緒でございますけれども、共 済は一定の場合には、網かけになっておりますように、職域相当額というものが付加さ れることになっております。(注2)に考え方が書いてございますけれども、そういった 考え方の下で、今ある職域相当分、これをどうするかという議論でございます。  縦長の7−8の3ページにお戻りいただきますと、6.の最初の「○」で、現在の職 域部分、これは1・2階とあわせまして強制加入・賦課方式という、まさに公的年金方 式で行われているわけでございますけれども、このような形での職域部分についてはど うするかということはさらに検討するということで書いてございます。その上で、この 職域部分を公的年金としては廃止という場合にはどうするかということも付言されてお りまして、民間の3階部分に相当する年金をその場合には創設する必要があるのではな いか。その際には、公務員制度全般の在り方や民間の企業年金の実態などを踏まえるこ ととすると、こういった考え方の筋道が整理されております。  次の「○」、これは私学共済でございます。私学も先ほどの30ページの資料、3共済 共通でございますけれども、私学共済の3階部分については、公務員制度それ自体では ございませんので,上の「○」でいう公務員制度の在り方を踏まえた国共済・地共済の 検討状況を踏まえつつ検討すると、このように分けて書かれております。  7.追加費用の取扱いについてでございます。この追加費用というものにつきまして は、同じく資料7−5の36ページをご覧いただきたいと存じます。  これは国共済の場合の追加費用という制度の概要ですが、国共済制度、また地共済も 同じですが、国共済の場合には、昭和34年に現行法の新共済制度になっておりますけれ ども、その前の過去の期間、国家公務員の一定の方々は恩給制度の下にございました。 そういった方々に関してどうなっているかということですが、これは昭和34年に恩給制 度を廃止して新法を創設しましたときの整理ですが、その創設前に、Aの方、昭和34 年10月までに退職された方については恩給として、その後もずっと恩給制度から支払い 続けております。新しい方はもうおりませんけれども、ずっとこの恩給という制度で、 34年10月前退職者は支払い続けているというものでございます。  一方、Bの方、34年10月以降も公務員を続けられた方の場合には、これは34年前の 恩給期間も含めて共済年金という名前で共済年金の計算式の下で年金額を計算して、期 間に算入して支給する。ただし、昭和34年10月前の期間は、これは社会保険の期間で はなくて恩給の期間だったことから、この部分の期間按分した費用については事業主負 担で国という事業主が負担しているということで、税金で賄っているものでございまし て、これが共済年金制度における追加費用というものでございます。  ちなみにCの方のように、昭和34年10月以降の採用の方については、過去の恩給期 間ございませんので、追加費用という制度の対象にはなっていないわけでございます。  おめくりいただきまして、37ページは地共済で、これは時期が37年とずれているだ けで、構造は全く一緒でございます。  38ページが、その追加費用の総額の推移、実績と今後の見込みでございまして、この ように、実績としては既にピークが過ぎておりますけれども、平成16年段階でもご覧の ような金額がそれぞれ地共済・国共済で税財源で出ていると。これが追加費用の現状で ございます。  ここにつきまして、縦長の7−8の資料の7.で方針が書いてございますが、この追 加費用の取扱いにつきましては、既裁定者の追加費用に係る給付の減額を含めて検討す る。その際、憲法上の財産権侵害の問題や恩給等との関係について整理する必要がある。 このようにされております。  最後の8.これは先ほど山崎部会長から御指摘ありましたが、福祉施設に関連する部 分ですが、この一元化の議論の中においては、共済組合の福祉施設については、共済年 金から貸付という形で行われております。いわゆる資金運用の一環として行われており ますので、この部分については、1・2階相当分の積立金の運用の観点から検討してい こうというふうに整理されているということでございます。  以上が、政府の2月9日に政府・与党協に出して、そしてまた政府・与党として取り まとめられた方針でございます。  資料7−9について若干付言させていただきます。  これは自民党の役員会のいわば直近の検討方針案でございます。ここにおいては、合 計5点について大きな検討方針と若干の具体的な案が示されております。  まず、1番目は、保険料率の1・2階部分の統一でございます。これはできるだけ速 やかにということを基本として今後検討するという基本方針の下で、具体的な4つの案 をこの3月15日に役員会から提示があったという状況でございます。この中身につきま しては、後ほどグラフで説明させていただきます。  概観ということで、2ページ目をご覧いただきたいと存じますが、積立金の部分につ いては、これは基本的に先ほどの政府の検討方針と齟齬のない、同じような方向性のも のでございます。共通財源として統一運用を原則として、その他の問題を今後検討する ということでございます。  仕分け方につきまして、2月9日の政府の方では、見合った額をとだけ書いてござい ましたけれども、この自民党役員会のペーパーでは、毎年の給付費に対して積立金が何 倍であるか、いわゆる年数を揃えようというような考え方ではないかと、そういった方 向で検討しようという方向が打ち出されております。運用ルールは統一していこうとい うこと、また、共済の貸付等の独自運用は、運用の評価を踏まえ、実態にも配慮して必 要な範囲で確保する、こういうことが示されております。  3番目の職域部分につきましては、2月9日のペーパーでは検討するとなっておりま すけれども、自民党の方針としては、3階の公的年金としての職域部分は原則廃止する、 別途公務員制度として新たな仕組みをどうするか、また私学についてどうするか検討す るとされております。  具体的な「・」の方でも、職域部分は廃止する、また新たな仕組みや民間の企業年金 等の実態を踏まえて今後検討する、と記されております。  4番目、追加費用の部分につきましては、できるだけ早く削減する方向で検討する、 として、その具体的方策を検討する。  最後の5番目で、上記の点を踏まえ、既裁定者の給付の減額を検討する。この場合に おきましては、公務員共済制度内の世代間格差の是正という観点も踏まえながら、追加 費用の削減に資する既裁定者の給付の減額について具体的に検討する。  このような方針が示されております。  先ほどグラフでと申しましたものについては、7−10で簡単に触れさせていただきた いと存じます。  7−10の資料の中で黄色の線、これは厚生年金の今後法律で予定されておる保険料率 の引上げスケジュールでございます。足元の左端の方から、順次毎年0.354%ずつ引上 げていき、平成29年(2017年)に上限の18.3%に達する、これが厚生年金でございま す。  この1ページ目における緑色の線は、公務員共済の現在予定している保険料の引上げ 階段の平成30年分までが緑で示されております。これはいわゆる3階分も含めたもので ございます。下の方にございます青の折れ線は、これは年金数理部会から提示された前 提に基づいて計算、仕分けをした公務員共済の1・2階保険料率を分けた場合の階段で ございます。これをどのように18.3の厚生年金に揃えていくかというところについての 4種類の案とういことでございまして、吹き出しの左上の(1)と書いてございますのが、 先ほどの縦紙の1番目の案でございます。これはいずれの4種類のすべての案におきま して、出発時期をどうするかについては共通しておりまして、いずれも公務員共済は国 共済・地共済が前半の資料説明の中でございましたように、21年に統一されることにな っておりますので、それを踏まえて、その翌年から統一していこうと、そういった共通 の前提でございますけれども、その後どうするかについて、(1)の案は、それでは直ちに 平成22年に即時に厚生年金料率に統一するということではどうかというものです。この 場合には、足元、青色の線からで見ますと、1.958%の1回目のジャンプで、あとは0.354 ずつ厚生年金と一緒に上がっていくというものです。  (2)の第2案目の案は、厚生年金の方は、29年に18.3%が上限になるということから、 この平成29年に18.3%になるように公務員共済等においても上げていこうという考え 方でございます。ただ、発射台、出発点は、この水色の1・2階と想定されている料率 から上がっていくという前提で計算してみますと、毎年0.563%ずつ引上げていけば、 ちょうど平成29年に18.3%、上限に達するというもので、この赤の破線で示されてい るものでございます。  (3)の緑で吹き出しに書かれておりますのは、これは前提が違いまして、直前までは共 済年金において緑色の階段で実際には保険料を賦課しているということから、そういっ た予定されていた1〜3階分の料率のところから発射台にして、厚生年金と同じく、そ の後、0.354ずつ引き上げていくと、こういう案でございます。これはいわば平成22年 の段階から、従来1〜3階という緑を予定しておりましたけれども、公的年金としての 3階部分は廃止するという自民党の考え方に照らした場合には、そこの部分は不要とい うことになるのではないか。そうしますと、その分を一旦下げて水色の階段から改めて 上に登ってくるというのは、厚生年金なり民間の目から見たときにいかがなものかとい うふうに考えると、従来もともと予定していた緑の階段は、1・2階料率に置きかえて 上げていくことにしたらどうかという考え方でございます。この場合には、統一時期が 30年になるというものでございます。  あと、最後の(4)の案です。これは発射台を(2)の案と同じように、青色の方の1・2階 分のところに置いた上で、毎年の引上げ幅は厚生年金の幅に合わせて0.354ずつ上げて いくと。そうしますと平成34年になるというものでございます。  2枚目は私学共済につきまして、同様に4種類の案を当てはめて図示したものでござ いまして、私学の場合には、現状足元が公務員共済よりも低いことから、到達年次はそ れぞれ表の中にあるような、もうちょっと遅い年次になるという問題がございます。  これが自民党の方から提示されていると、こういう状況でございます。  以上でございます。   ○山崎部会長  ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がございま したらお願いいたします。 ○近藤委員  追加費用のことがよく騒がれているのですけれども、これを一元化した場合に、この 恩給期間に見られる追加費用も全部制度の中に持ってくるのですか、それともこれはこ れとして、従来どおり別の形で残すのですか。考え方はいろいろあると思いますが、そ れによって,我々の考え方も違ってきてしまうと思うので、教えてください。 ○高倉年金課長  今の点につきまして、先ほど説明させていただきました資料7−8、2月9日の政府 の検討・作業方針の3ページ目をもう一度補足させていただきたいと存じますけれども、 この検討・作業方針におきまして、追加費用の取扱いにつきましては、給付の減額を含 めて検討するという点まで書かれておるわけでございまして、給付を減額をすべきでは ないかと、その問題を含めて検討しようというところまで、今、政府・与党の方針にな っておるという段階でございます。それ以外の部分につきまして、どのような形でどう いうふうに最終的に整理していくかという点は今後の検討ということになっております。 ○山崎部会長  ほかにございますでしょうか。それでは、私の方から。ただいまの御説明、あるいは 文章の中で、すべて国共済では昭和34年前、地共済でいえば37年前の期間について、 恩給期間というような御説明になっているのですが、これは不正確だと思うのですが、 いかがでしょうか。年金課長、よろしくお願いいたします。 ○高倉年金課長  ありがとうございます。おっしゃるとおり、ここは簡略化して書いてある資料でござ いまして、ここのところはもう少し詳細に申しますと、恩給そのものと、あと雇傭人の 方々の旧共済、その分も含めて、昭和34年、37年にあの制度を、現状の共済年金制度 に切りかえた際に、恩給期間の分、雇傭人の方の旧共済期間の分、これを追加費用とし て整理したというのが詳細でございます。 ○山崎部会長  つまり恩給期間は基本的に税で財源が賄われていたわけですが、旧共済の雇傭人に対 する共済の期間につきましては、これは社会保険のシステムであったというふうに理解 しておりますが、いかがでしょうか。 ○高倉年金課長  制度所管官庁から聞いておりますところでは、ここの旧共済期間については、まさに 保険料ということで労使折半の保険料を賦課していたと。しかし給付の財源に関しまし ては、基本的には、もし不正確なところがあれば、また訂正させていただきたいと存じ ますが、基本的には、給付、いわゆる確定部分というのでしょうか、政策改定で給付改 善をしていく部分につきましてまでは保険料で見ておらずに、そこの部分は税で賄って いたということから、実際上の国庫負担率は相当高いものがあったと。その意味では純 粋な社会保険の年金数理できちんと計算した保険料を賦課していたというものでは実は なくて、恩給公務員の恩給水準とのできるだけ均衡を図っていくというような考え方か ら、相当程度税財源を投入しており、純粋な社会保険という評価ができるかどうかとい う点ではいろいろ見方が分かれるような面もあるのではないかと、そのような説明を聞 いているところでございます。 ○牛丸委員  2点、お聞きします。第1点は、今、被用者年金一元化に係る経緯をお話くださって、 その最新ということで、政府・与党協議会の検討・作業方針と、それから、もう一つ、 自民党の検討方針案という説明がありました。もちろんこれから変わっていくと思いま すが、最初のお話にありましたように、年金数理部会が審議対象とする、具体的な費用 負担の在り方等についての年金数理的な観点からの検討及び検証というのは、どの段階 から行うのでしょうか。最終的な案が出て、それを対象として議論するのか、今の段階 でもいろいろできるのか、どうしたらいいのでしょうか。 ○山崎部会長  事務局からお答えお願いします。 ○田村首席年金数理官  特に決まってはいないというか、まだ考えてはいないんですけれども、最終的な形が 見えてからになろうかなというふうに私は思っています。 ○牛丸委員  私たちというよりも、恐らく事務局は大変だと思いますが、数理的観点ということで すから。 ○田村首席年金数理官  年金数理は、普通は制度があって、それを財政的に見て大丈夫でしょうかと、それと も大丈夫にするにはどうすればいいかということで数理が働いてくるので、数理がまず あって、制度をどうしましょうか、要は数字があるから、これでうまくいくからやりま しょうというのは間違いです。制度がうまく仕組まれた以降に数理が登場するというふ うに思っています。 ○牛丸委員  具体的な案が出てくるわけですね。それを数理的に見るということだと思います。 ○田村首席年金数理官  そうです。 ○牛丸委員  ですから具体的な案として、どの段階で議論を始めるのでしょうか。 ○田村首席年金数理官  最終的には一元化の法律が通った後になろうかなと思います。もうちょっと前に、事 前にチェックしろと言われるかもしれませんけれども。 ○牛丸委員  そういうことでなく、私たちがどこまで議論していいのかという、もう少し煮詰まっ た段階で案が出てきて、それに対して検討すると。 ○田村首席年金数理官  今のままでは案がまだいっぱいあって、各関係者によってばらばらだと思いますので、 それぞれについて、1つでもかなり手間かかりますので、それをいっぱいやるというの はちょっと不可能だと思います。したがって、ある程度というか、かなり案が固まって から、きちんと最終的な形ができて、それが正しいでしょうかというあたりを数理的に 見ていくということになろうかと思います。それは最初に御説明しましたけれども、農 林年金の厚生年金への統合のときも、これに関連するようなことをやっていますけれど も、あれは当然法律が通って、若干タイミングがおくれましたけれども、移管金も終わ って、それで統合が終わってからチェックをしていただいたという形なので、あれはち ょっと遅いですけれども、そんな形もあるということかと思います。 ○牛丸委員  もう一つの質問ですが、例えば先ほどの御説明の中で、政府・与党協議会の作業方針 ですか、その中にもありましたが、被用者年金の一元化において1・2階の保険料水準 の統一という、こういう文言があるのですが、私、勉強不足ですが、厚生年金にしても、 共済にしても、1階部分の保険料率という概念はあるのでしょうか。それについてお聞 きしたいのですが。 ○高倉年金課長  1階部分を保険料率で示しているというのは、計算上は年金数理部会の資料の中でご ざいますけれども、法制度上は1階部分とか、あるいは1・2階部分というぐあいに切 りわけて料率というものは独立してあるということではございません。ただ、まさに年 金数理部会において、厚生年金制度との財政的な比較検証する上では、厚生年金は1・ 2階給付だけの制度でございますから、他制度の共済制度の方の保険料率につきまして も、それに見合う料率はいくらかということを一定の前提を置きまして計算していただ かないと、なかなかこの比較議論というのがうまくいかないのではないかというような ことから、年金数理部会における計算としての1・2階部分の料率というものが示され ておるわけでございます。そこのところを設定をしてよく見つめてみると料率が違って いる。いろんな要素が考えられますけれども、基本的にはそういった被用者年金が4つ の集団に、公務員は1つになるにしても、3つの財政単位集団に分かれて計算をしてい るというところに料率が分かれてくる淵源がございますので、そこは1つの財政単位に して計算をして、同じ給与であれば、同じ料率で同じ給付をもらうと、そういう形にし ていくことが適当であろうと、こんな考え方で今やっているというものでございます。 ○牛丸委員  全体的な保険料率というふうに解釈してよろしいですね。1階と2階を合わせた。 ○高倉年金課長  そのとおりでございます。 ○牛丸委員  1階だけの保険料率という概念があるわけではないですね。 ○高倉年金課長  ありません。 ○牛丸委員  最初にきょうお話があったように拠出という形をとっていますので、保険料という概 念はないわけですね。ですから同じ被用者でありながら、総合的に取られる保険料が違 うはおかしいではないかという、そこでの保険料率、そういう考えでよろしいですね。 ○高倉年金課長  そうです。 ○牛丸委員  わかりました。 ○熊沢委員  資料7−5の7ページですが、先ほど説明がありました各制度の職域部分を除いた保 険料という資料があります。職域部分を除いたやり方、どのように職域部分を除いた保 険料を算出するかというのは、年金数理部会でルールを決めて、それぞれの計算は各共 済で行っているという理解でいいかどうかということと、それから、7ページの下の職 域部分を除いた保険料で、厚生年金は18.3%ですけれども、それぞれの制度は波打って います。例えば、私学共済で言いますと、16.2%から16.6%というふうに。これはどの ように理解したらいいのでしょうか。 ○高倉年金課長  資料7−5の7ページは、基本的には年金数理部会で前提を置かれた1・2階の保険 料率の計算の方法は、毎年、毎年の1・2階部分の給付費と3階部分の給付費というも のが片方にありまして、そしてまた積立金の運用益の充て方につきましては、それは基 本的には1階には入れずに、1階は毎年のフローの保険料収入の方から拠出金は賄うと いう前提を置かれて、そして残る積立金につきましては、2階と3階の比で一応充てる 前提を置いた上で、今の合計1・2・3階全部で取っている保険料率をあえて1・2階 分と3階分に分けると、こういう前提をまさに年金数理部会が指定して計算を各共済に おいてしていただいたというものでございます。  この波を打っている部分につきましては、1階部分の率が、今申し上げましたような 前提で基礎年金拠出金分は保険料で先充てしていくということでございます。そこの部 分の拠出金相当額が若干上下、波を打ちますので、その関係で3階込みの料率が上限に 達した後の時代の中でも、やや、各年若干そこの係数が幅があるということが基本的で あるというふうに理解しております。 ○山崎部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○栗林委員  2点ほど教えていただきたいのですが、年金数理部会としての検討の対象になるのか どうかわかりませんが、1点は、基本的に改正がすべて厚生年金制度に合わせるという 形でいくのか、それとももう少し全体を考えていい制度の方向に行くのであれば、そう いう制度全体をもう少しいい方向に持っていくという、そういう考え方は入るのかどう かということ。  もう一点は、保険料率を引き上げていくというときに、どういうふうに引き上げてい ったらいいかというのが非常に検討課題になってくる。前回の年金数理部会でいろいろ 検討した結果でも、最終的に積立金がどうなるのかという、100年後に積立度合が1と いうのがあって、ほかの制度は厚生年金の動きに合わせる形でむしろ保険料率が決定さ れていくという形をとっていたわけで、もし、こういうところで保険料率を先にずっと 上げちゃうという制度になってくると、積立金がその間、積み上がっていくという形が とられてくると思うんですけれども、そのときに積立金の扱いというのは、こういう、 制度を統合したときにどういう形でそこの部分は考慮されていくのかということがもし ありましたら教えていただきたいと思います。   ○山崎部会長  年金課長、お願いいたします。 ○高倉年金課長  まず、第1点目の制度的な差異を揃えていく際に、すべて今の厚生年金に合わせると いうだけなのか、それともより良い方にという視点はないのかというような御質問かと 理解させていただきましたが、その点につきましては、2月9日の検討・作業方針の2 ページ目で、「4.制度的な差異の取扱いについて」、この中で、「厚生年金に揃えること を基本とし、以下の方向で個々に検討する」ということの中には、必ずしもすべてを厚 生年金に細かいところまで全部合わせるだけでいいかというと、どうもそうでないのも あるかもしれないということで、これは個々に検討していこうとなっています。  ただ、ここの2ページに書かせていただいております例示の中で申しますと、1番目 の「・」の遺族年金の転給制度、これはない方の厚生年金制度に合わせようということ で、政府部内では合意しておるわけでございます。  また、2つ目の部分について、これはここに書いてございますように、厚生年金に合 わせる方向だろうと。  ただ、3つ目の老齢給付及び障害給付に係る在職支給停止については、制度間の差異 を統一するということで、あえて、どちらにどう合わせるとまではまだ書き込んでござ いません。これは個々に見ていった場合には、どういうふうに最終的に整理するのが最 も合理的であろうかといったような視点からの検討が必要な部分があると、そういう認 識に立っておるということでございます。  2点目の、保険料率を前回平成16年の各制度ごとの財政再計算で予定していたスケジ ュールから見ますと、違う形の引き上げをしていくということから、それでは最終的な 積立金の100年後の保有水準の考え方などとの関係はどうかということですが、これま での政府部内での検討におきましては、そういう大きな流れで見た場合の積立金の持ち 方に関する考え方を変えるというような議論はしておりません。基本的に有限均衡方式 という前提でやっていこうということでございます。それ以上の、今、栗林委員御指摘 の上げ方によるわけですけれども、どれぐらい、平成16年の想定と比べまして積立金の 額が途中で大きくなるのか、それはどういう形で調整、吸収されるのかという点につき まして、まだ詰めた議論までは行われておりません。基本的には今のマクロ経済スライ ドの制度の中で全体を動かしていく中で考えていくことではなかろうかと私どもは現時 点では考えています。まだ詰めた議論はしていないということでございます。   ○山崎部会長  ほかにございますでしょうか。牛丸委員。 ○牛丸委員  今、お話ありましたことに少し関係しますが、職域部分の取扱いに関して難しい点は ありますが、それ以外に関して保険料率を上げていく、積立金も、給付に関しては職域 はちょっと除きまして、要は合わせると。その前提で保険料率も合わせていくという、 保険料率だけ見ているわけでなくて、給付の方も合わせた前提で保険料を合わせていく と、こういうお話として解釈してよろしいですか。 ○山崎部会長  年金課長、お願いいたします。 ○高倉年金課長  基本的にそのとおりでございますが、給付については、基本設計は既に揃っておると いう理解でございます。ただ、支給要件等の細部につきまして、先ほど触れたような細 かい差異が残っておりますものを、基本は厚生年金に合わせる方向で個々に検討しなが ら統一していこうと。ただ、給付設計の先ほどの職域部分の絵の表にございましたよう に、今の時点で平均の報酬に同じ乗率を掛けて同じように計算するという、そこの年金 額の1・2階の給付式そのものは、昭和60年改正において既に揃っておりますので、職 域部分を外して考えれば、そこは既に合っていると。ただ、負担が合ってないというこ とで、合っている給付に負担の方も合わせるということにしていこうと、こういう考え 方でございます。 ○山崎部会長  ほかにいかがでしょうか。首席数理官の方から。 ○田村首席年金数理官  先ほど来の御議論での御質問とお答えで、年金数理部会の資料として、職域部分を除 いた保険料率というのがあって、これがかなり議論のベースになっていると思います。 これは一応両方、厚年と共済を合わせて年金数理的に見る場合に、一定の前提を置いて 計算したものであって、確定値というか、本当にこれが正しいかどうかというのはわか らない状況ですので、そこを頭の中に置いておいていただいた方が、ありがたいと思い ます。  1つは、先ほど来、給付は原則同じですけれども、微妙に違っているというお話がご ざいました。その微妙に違っている給付を前提として、それを賄うための保険料を計算 している。したがって、例えば支給開始年齢でいくと、厚生年金をもらう女子が5年遅 れになっていますので、保険料が若干高めになるというようなこと。逆に共済だと高め になる可能性もあります。例えば共済の3階部分ですけれども、まだ、20%になってい る方は恐らく出てないと思いますので、制度的には報酬比例部分の2割ですけれども、 まだ裁定されている方では2割になってないということもあって、それで将来、額が増 えるという前提で保険料の設定をされているというような違いがあります。  もう一つ、共済につきましては、昭和61年の基礎年金導入前は最終俸給比例でした。 それを一定の前提を置いて分けております。この年金をもらっている方もかなりいらっ しゃいますが、今のような給付設計じゃありませんから、厳密には分けられないという 点もあります。  それから、もう一つは、追加費用につきましても、ここで分けていますけれども、そ この分け方もなかなか難しいと言えます。過去の特例をいっぱい引っ張っていますので、 追加費用については、その辺の分け方もあり、ここに載っている数字自体が、大まかな 方向はこれで正しいのですけれども、厳密にこうですよということまでは、担当者とし て断言しづらい点です。 ○山崎部会長  今の共済は、20%の職域加算がつく人は発生していないと言われましたが、それはな ぜでしょう。 ○田村首席年金数理官  たしかに発生してないと思っていますが…。 ○山崎部会長  発生しているはずだと私は思っておりますが、つまり、61年前の期間も含めて20年 以上あれば20%の職域加算がつく。 ○田村首席年金数理官  いえ、違います。出生年によって5%から20%に増分を増やしている途中ですので、 そういう意味です。 ○山崎部会長  わかりました。ほかにございますでしょうか。年金局長の方から。 ○渡邉年金局長  新たに年金数理部会の委員としてお願いしております先生方も混ざってまいりました ので、改めて年金数理部会の役割という点についても積極的な御議論いただきましてあ りがとうございます。  他方、今、後段部分でとりわけ御議論いただきました被用者年金一元化の政策、制度 の動きということにつきましては、これ自身がこの年金数理部会としては、過去に経験 しない事態との遭遇であろうかと思っておりますので、単純に今までの例どおりという わけにはいきません。今後政府・与党のレベルで大きな政策の方向づけをしていくまだ 途上でございます。1つの目安は、4月末のゴールデンウィークが始まる前までに閣議 決定まで持っていきたいということで、官房長官から方針表明されておりますので、大 車輪でそこを実現していく務めがあるわけでございますが、その閣議決定というものが 具体的にどの程度まで詳細なものになるのかという点は現時点では予測ができません。 例えば国共済・地共済の財政単位の一元化が平成16年度改正で行われましたが、それの 拠り所となった平成13年の閣議決定の文書というのはほんの1〜2行でございます。そ の1〜2行読んだだけでは数理分析は恐らくできないだろうというふうに思います。今 般のものは、もっと既に多方面にわたり多くの論点について、政府・与党の議論が進ん でいるというのが現状でございますが、それをどのぐらいの具体論で最後の閣議決定に していくのかというところはこれからの問題でございます。  その上で、さらに一元化の制度化に向けて政府部内、さらにはまた与党との関係も引 き続き残って作業が進められていくことになると思いますし、5月以降ということで申 し上げれば、とりわけ保険料を御負担しておられるそれぞれの当事者の方々の御意見と いうものも節目、節目、あるいは議論の場という形で様々な展開があろうかというふう に思っております。したがいまして、5月以降、どういう形で進んでいくのか。関係の 法案はいつ取りまとめて出すのか、この点につきましても、この4月末までの作業を踏 まえながら、改めて政府・与党としての方針を立てていただくというところにまだいる ということでございますので、なかなか先走って整理できない点が多々ございます。し かし、この数理部会は、各制度を横断的に数理的な専門的な観点から様々な数値をこれ までもできるだけ共通化して解析して世の中に御報告いただいてきた。その集積が今日 の一元化の様々な政策論の原点になっているものでもございます。  したがいまして、具体的な法律案できるまでの間も様々な節目があろうかと思います ので、その都度、この年金数理部会にも御報告申し上げて、様々な観点から、特に専門 的な御助言を賜りたいと思っております。本当に年金数理部会としての数理分析をして いただくような素材というものが出てくるのは、もう少し具体的な法案、その実施細則 というものを見ていかなければいけないというふうに思っております。しかしながら、 その間にも様々な前提となる数値、今、田村の方から保険料率の認識の仕方ということ も含めて、最終的には法案化のプロセスの中で、このように考えるというふうに1つ1 つ設定していかなければならない部分もあろうかと思います。既存の制度の分析によっ て共通見解が得られた数値というものもあるでしょうし、制度を設定していくために、 概ね正しいと思うものの中から数値選択をしていくということもありましょう。それに よって制度を構成していくという局面も出てこようかと思いますので、いずれにしても 節目、節目でまた専門的な御助言を賜りたいと思いますが、数理部会本来の数理分析・ 解析に基づく御報告、御提言という点については、制度化された後が中心になろうかと いうふうに思っておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。 ○山崎部会長  ほぼ、予定しておりました時間が参りましたけれども、そのほか、御発言ありますで しょうか。  それでは、本日はこれまでにさせていただきたいと思います。どうも長時間、熱心な 御議論ありがとうございました。 −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)