06/03/16 薬事食品衛生審議会血液事業部会 平成18年3月16日議事録         薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年3月16日(木) 15:00〜   明治記念会館 鳳凰の間 2.出席委員(14名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、    川 西   徹、 白 幡   聡、 高 橋 孝 喜、 中 村 雅 美、    花 井 十 伍、 比 留 間  潔、 幕 内 雅 敏、 三 谷 絹 子、    宮 崎 久 義、 山 口 一 成    (注) ◎部会長  ○部会長代理  他 参考人2名   欠席委員(8名)五十音順    朝 倉 正 博、 倉 田   毅、 清 水   勝、 田 島 知 行、    田 中   滋、 平 澤 博 之、○水 柿 道 直、 吉 澤 浩 司 3.行政機関出席者   関   英 一(血液対策課長)、   植 村 展 生(血液対策企画官)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○血液対策課長 それでは、定刻の3時となりましたので、ただいまから平成17年度第 三回血液事業部会を開催いたします。前回の第二回部会の開催が3月7日でございまし たので、短い時間を経ての開催でございますが、委員の先生方におかれましては御多用 中にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の部会は公開で行うこ ととなっておりますので、よろしくお願いいたします。本日は委員22名のうち、14名 の方から御出席の連絡を頂いております。比留間委員、中村委員が少し遅れるというこ とで、現在12名に御出席いただいておりますので、定足数に達していますことを御報告 申し上げます。それでは、以後の進行は池田部会長にお願いいたします。 ○池田部会長 先生方には本当にお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとう ございます。それでは議事を始めたいと思います。お手元には資料A、B、Cと三つご ざいますけれども、議題は二つでございます。本日は議題に関する説明及び質疑に対応 していただくために、参考人として日本赤十字社血液事業本部副本部長の沼田芳彰さん と財務課長の中西英夫さんをお呼びしておりますので、後ほどいろいろとお話を伺いた いと思います。  それでは議題1、資料Bですけれども、平成18年度の血液製剤の安定供給に関する計 画(案)について審議をさせていただきたいと思います。この件は血液法の規定によって、 薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて作成されることになっております。この計画はも う既に3月8日の需給調査会の検討を経ております。委員の皆様にはこの場合で御意見 を伺わせていただき、血液事業部会としての意見をまとめて答申をしたいと思っており ますので、よろしくお願いいたします。それでは資料Bに基づいて、この計画(案)につ いて事務局から御説明いただけますでしょうか。 ── 比留間委員着席  ── ○事務局 それでは資料Bに基づいて御説明申し上げます。平成18年度の血液製剤の安 定供給に関する計画(案)(以下、需給計画(案))は、今、座長の方から御説明があったと おり、血液法第25条に基づいて血液製剤の安定供給を確保するため、翌年度の血漿分画 製剤の需要や製造・輸入の供給目標量、原料血漿の確保目標量等に関して決めるもので ございます。血液法施行後、三回目の作成となります。本案は血液事業部会、需給調査 会において昨年11月及び本年3月に御審議いただいたもので、血液法第25条第5項に より本日諮問させていただくものでございます。資料の1ページが諮問書でございます。 それから2〜3ページが3月8日の需給調査会の議事要旨(案)になります。  それでは、資料の5ページ以降を御覧ください。以下10ページまでが需給計画(案) の本文でございます。内容、構成に関しては平成17年度の需給計画と基本的に同じでご ざいます。全体の構成でございますが、6ページを御覧ください。第1〜5の事項があ りますけれども、大別いたしますと三点ございまして、第1、2及び4が需要見込みや 製造・輸入目標量等の製造・供給関係となっております。第3が来年度の原料血漿確保 目標量関係で、第5が原料血漿の標準価格及び国内事業者への配分関係となっておりま す。  まず製造・供給関係でございますけれども、「第1 平成18年度に必要と見込まれる 血液製剤の種類及び量」でございます。具体的には8ページに別表第1がありますが、 こちらは需要見込み量でございます。注2にありますとおり、平成14年度〜平成17年 度までの中間実績(4月〜12月)による平均的な伸び率等をベースに来年度の見込みを 算出したものでございます。  続きまして「第2 平成18年度に国内において製造され、又は輸入されるべき血液製 剤の種類及び量の目標」でございます。こちらについては9ページでございますけれど も、関係事業者からの届出を元に算出しております。  続きまして「第4 平成18年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量 の目標」でございます。こちらは10ページでございますが、基本的には関係事業者の届 出を元に算出しております。今年度との比較でございますが、アルブミン製剤等の主要 製剤の状況については、需要見込みは過去少し減っていますので、若干減少となってお ります。血液凝固第VIII因子に関しては増加傾向でございます。また製造・輸入目標量に 関しては、今年度は若干低めの水準でしたので、来年度は各製剤とも増産する傾向にあ ります。  続きまして原料血漿の確保目標量と国内事業者への配分量関係でございます。これに ついては12ページ以降を御覧ください。確保目標量については、来年度の血漿分画製剤 の安定供給を図るために必要な原料血漿の目標量を定めるものでございます。平成17 年度に関しては需要の縮小傾向等を踏まえて目標量を平成16年度の94万リットルから 90万リットルに減量したところでございます。平成18年度については、結論としては 今年度より3万リットル増の93万リットルを目標量案としてお示ししたいと思います。  増加の主な要因は二点ございます。一点目は、血液凝固第VIII因子製剤の需要増加です。 こちらについては、患者さんの年齢が進行して使用量が増加していること等が主な要因 と考えております。これに対応するために国内の献血由来製品の増産を図ることとし、 それに伴って凝固因子製剤製造用の受入れ希望が増加となったものでございます。二点 目といたしまして、凝固因子製剤製造用の増加の原料血漿を有効利用する観点から、他 のアルブミン製剤、免疫グロブリン製剤等についても増産することとし、これによって その他の分画製剤用の受入れ希望も増加となっております。  その状況は12ページの2に前年との比較がございます。凝固因子製剤製造用が5.5 万リットル増の76.5万リットル。それから、その他の分画製剤用が6.4万リットル増の 41.7万リットルの受入れ希望が出ております。なお総量は118.2万リットルですが、そ のうちその他の分画製剤用に関しては途中で発生する脱クリオ血漿の製造が可能ですの で、3にありますように、これにより供給可能量である28.2万リットルを差し引くと来 年の必要量は90万リットルということになります。  13ページの上の方に日赤を含めた各社の受入れ希望の内訳をお示ししております。な お、日本赤十字社のその他分画用の24.7は途中で発生するものですので、必要量として は換算しておりません。この必要量の90万リットル以外に国内自給推進、献血推進の観 点から、将来的に安定的に原料血漿を確保するため、今年度と同様に3万リットルの上 乗せをさせていただいておりますので、合わせて来年の目標量は93万リットルというこ とでお示しさせていただいております。なお、この目標量の確保とこれに基づく国産原 料の製剤の供給に関しては、関係事業者に努力していただくようにお願いしたいと思い ます。  続きまして14〜15ページですが、原料血漿の目標量93万リットルを確保するために 各都道府県別に目標量を定めておりまして、結果的に今年度の割当て量に原料血漿の伸 び率3%ほどを乗じた量を各都道府県に割り当てたいと思います。  続きまして16ページ以降でございますが、原料血漿の標準価格関係でございます。こ ちらの標準価格は日本赤十字社から各事業者に提供される原料血漿について、確保費用 を勘案して積算したものでございます。算定の基本的な考え方ですが、採血により原料 血漿が確保されるわけで、そのうち全血採血及び血小板採血については輸血用血液製剤 の製造が主たる目的ですので、原料血漿としての費用については一部に限定して積算し ております。これに対して血漿成分採血については概ね必要経費を積算しておりますが、 一般的な広報キャンペーンや献血ルームの家賃といった献血全般に共通する事項と、サ ービスに掛かる経費の一部は除いております。これらの考え方、また以下の算定ルール に関しては平成17年度と全く同様でございます。積算については凝固因子製剤用につい て、来年度の目標量93万リットルの確保のために必要な経費を積み上げまして、最終的 に原料血漿1リットル当たりの単価を算出しております。算定根拠としては、日本赤十 字社から提出されたデータに基づいて、原則として平成15年度、16年度の実績の平均 を使用しております。  17ページに各採血ごとの具体的な積算内訳が出ております。経費としては、採血から 原料血漿として製造し、保管するまでに必要な材料費、人件費、諸経費、それから最終 的に日赤の管理センター等へ原料血漿を輸送し、保管するのに必要な管理供給費と、大 きく分けて4種類ございます。具体的に申し上げますと、全血採血及び血小板採血につ いては、まず材料費としてバック代の一部、それから凍結時に貼付するラベル代のみを 見ます。人件費に関しては、原料血漿として製造する作業費や、製造後に保管するため に係る製剤職員の人件費として凍結保管費。それから経費としては、同じく凍結保管費 に掛かる経費、管理センター及び分画センターに掛かる管理供給費を見ております。  これに対して血漿成分採血については、材料費に関しては原則全額。それから、人件 費は凍結保管費に掛かる製剤職員費のほかに、問診時に供血者の方に対応する医師、検 診や採血機械の準備、後処理等に掛かる看護師、検査職員、事務職員の必要経費を見て おります。経費に関しては、凍結保管費のほかに成分採血登録者に対する依頼経費や処 遇費の一部、それから必要な検査機器等の保守関連経費についても積算しております。 管理センターと分画センターの管理供給費も、全血と血小板採血と同様必要経費を見て おります。  これらを一覧にしたのが18ページの横表でございます。ただいま申し上げた方法によ り一採血当たりの経費を算出しております。これを原料血漿の確保割合に換算し、掛か る経費に関する総額を出しております。最終的に93万リットルで、消費税を掛けて単価 を算出しております。なお端数処理として最終的に10円未満は切上げしております。そ の結果、凝固因子用については現行価格13,160円より10円減の13,150円という数字で ございます。  その他の原料血漿については19ページにあるとおりでございます。これも昨年と同じ ルールですが、その他分画用については第VIIIができないということで一部減額するとい う趣旨で、現行の凝固因子製剤との価格の割合、またその他の中間原料が3種類ござい ますが、これは今回の凝固因子用の改定率をベースにそれぞれ算出しております。結果 としては、その他分画用に関しては現行価格と同額、中間原料については10〜30円の減 となっております。  20ページ以降は参考資料ですので、適宜御覧いただければと思います。以上で説明を 終わります。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御意見、 御質問を伺いたいと思います。平成18年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)です が、どなたか御質問ございますでしょうか。幕内委員、どうぞ。 ○幕内委員 18ページの表でございます。いつもよく分からないのですが、この血漿成 分というのはFFPのことですか。 ○事務局 お答えします。これは採血の種別ですので、血漿成分採血という意味でござ いまして、御指摘のとおりFFP(新鮮凍結血漿)もこの血漿成分採血から製造しており ます。それ以外に原料血漿の確保のためにも用いられており、こういう諸経費を積み上 げさせていただいております。 ○幕内委員 細かいところはいまいち不明瞭なのですが。例えば1リットル血漿成分だ けをとったときに34,000円掛かるわけでしたね。そういうことですか。 ○事務局 御指摘のとおりでございます。 ○幕内委員 全血を200、あるいは400というのは、その中から原料血漿あるいはFF Pを抽出するという意味でしょうか。 ○事務局 全血に関しても、原料血漿確保に必要な分を勘案して最終的に単価とし、1 リットル当たり200であれば3,811円、400であれば2,903円と算出しております。 ○幕内委員 患者さんに通常全血あるいはFFPを入れる場合の値段と、原料血漿の値 段というのは、かねてより何回かここの会合で指摘してきたわけでございますけれども、 その辺に激しい解離があるわけですよね。血漿を取るのに34,000円掛かって、そのほと んどは患者さんに直接使う場合にはそのような値段で売っておいて、原料血漿として業 者に売るときは1リットルが13,000円であるということでしょうか。これでは一般の人 はこの算出根拠が分からないので、もう少し分かりやすい説明をしていただけないもの でしょうか。 ○事務局 今御指摘の34,000円に関しては、あくまでも1採血当たりの経費をその中に 含まれる原料血漿に割り返した中間的な数字でございます。最終的に来年度の93万リッ トルを確保するために必要な経費、総経費を積み上げまして1リットル当たりという単 価を算出しております。ですから、34,000円というものがそのまま原料血漿の価格その ものというわけではございませんので、その辺を御理解いただきたいと思います。 ○幕内委員 御理解いただきたいと言われても、これはどこをどう見ればいいのですか。 もう少しよく説明していただきたいのですが。要するに、現行の保険で取られているF FPのお値段と原料血漿の価格は同じなのでしょうか。 ○血液対策企画官 企画官の植村でございます。昨年も御議論があったかと思いますが、 製剤を作る途中の段階の原料血漿として、それを配分する際の経費が幾らであるかとい う積算でこの表を作らせていただいております。最終的な製剤として製剤化されて、そ の製品が使用されたときに保険適用になっていれば保険で償還する。このときの価格は、 完全に製剤化されたものの最終的な償還価格のことであろうかと思います。そういう意 味では、例えば単位数ごと、あるいは400mLなら400mLというように完全に製剤化され た上で医療機関で使用された後に、それが保険でどう償還されるかというところでの最 終価格でございます。この保険の価格の場合には、健康保険法に基づく薬価算定ルール に基づいた計算ということで価格が設定されているかと思います。一方、製剤を作る途 中の段階で日本赤十字社から民間3社へ配分する際の価格を計算するに当たり、途中の 段階に掛かっている経費を積算後、血漿成分なら血漿成分の1採血当たりの経費をどこ まで見るかということで必要とする経費を積み上げたもの、それが積算しますと15,350 円という価格でございますが、それを1リットル当たりに割り返して計算すると、1採 血当たりの原料血漿量が平均して0.45リットルですので、34,000円になるという計算 を出しております。それらそれぞれの採血から得られる経費の部分を原料血漿の確保量 の割合で積算し、一番下の(3)ですが、それぞれの採血から由来する経費を総トータルに した上で、93万リットルという最終的な原料血漿確保量で割り返して単価を計算してい るものです。ですから、あくまでも製剤化する途中の段階での経費の積み上げで配分価 格の決定をしているというものでございます。 ○幕内委員 厚生労働省のいろいろな部署が絡んでいるので、全部の説明をしろと言っ ても無理かもしれませんけれども、要するに血漿成分を取るのに34,000円掛かるという ことですね。 ○池田部会長 積み上げるとそういうことですよね。 ○血液対策企画官 15,000円の経費を0.45リットルということで平均リットル数で割 り返して、1リットル当たりの計算上の数字ですが、34,000円という経費になっており ます。 ○幕内委員 原料血漿の標準価格が1リットル当たり13,000円というと、私達が使って いる値段と非常によく一致しているのです。しかし、私達が使っているのは全血400cc 当たりの濃厚血球やFFP値段ですから、現時点においてもまだ5倍ぐらいの値段の開 きがあるのが現状です。その辺は、厚生労働省全体としてはどのように国民に説明する のかというところをお伺いしたいのです。値段がほかの要素で変わってくるというなら、 そういうこともあるでしょうけれども。原料血漿が1リットル、これは日赤が実際に払 い下げている値段ですよね。しかし実際患者さんの立場になれば、患者さんに売られる 血液は1リットルと同じものが400cc当たりで売られているということです。その辺の 非常にアンバランスな感覚は是非補正していただきたいとお願いしているのですが、何 年経っても一向に変わらないのです。ですから値段設定の仕方というのは、費用が幾ら 掛かったというところと値段を付けるところは部署が違うから私は知らないということ ではなくて、厚生労働省全体としてしっかりした見解の下に国民の前に公表すべきでは ないでしょうか。 ○池田部会長 何かコメントはありますか。 ○血液対策企画官 血液法は平成15年に施行させていただき、日本赤十字社からの配分 価格についてもこういった需給計画としてお示しすると。血液法の中でも運営の透明性 ということで、今日御議論いただいております原料血漿価格をここにお示ししておりま す。その算定をどうするのかということについては昨年も御議論いただいておりますけ れども、原料血漿に掛かる経費の積算ということで、どの範囲の経費を積み上げるのか、 あるいはそれぞれの採血ごとにどの部分の経費を積み上げるかというのも、17ページの 表のような分け方で、一つの割り切りのルールということでさせていただいているかと 思います。この範囲を見るのが妥当であろうということでの経費の積み上げを最終的に はトータルの原料血漿の確保量で割り返して単価として出しているというやり方にして おります。こういったやり方が適当なのかどうかという御議論は昨年もいただいており ますし、今後も議論としてあるかと思いますが、一方ではこういったやり方での透明性 を確保しながら運営していきたいということで、昨年と同様に今年もこういった計算を し、結果的に10円安い価格になるということで経費として今日お示ししております。原 料血漿が昨年の90万リットルから93万リットルに増えているということで、積算して いるトータルの経費の内訳増の部分が逆に割り返した単価ではほぼ同レベル、若干低い ところに結果的になっているというやり方でございます。こういった原料血漿の価格と することで、私どもとしてはこういった形のやり方で透明性を持ちながら運用していき たいと、今日お諮りしているものでございます。 ○池田部会長 いかがですか。 ○幕内委員 長々とお話しになったのですが、答えにはなっていないですよね。ですか ら、実際に保険の点数として付けられるFFPの値段と原料血漿で売られる値段が4倍 も5倍も違っては困るわけですよ。国民の立場から見れば患者になった途端になぜ値段 が原料血漿の5倍になるのですか。そこを聞いているわけです。 ○血液対策企画官 今日お示ししているものは原料血漿として日本赤十字社から民間会 社の方に配分されたときの価格ということで積算しているわけですが、実際の製剤化と いうことになると、この後に民間会社ではこれを原料にして製剤を製造されて、それが 製造・管理・販売・供給を経て医療機関に届けられ、それが…。 ○幕内委員 また同じことを言われているので時間の無駄です。言われているのは、要 するに日赤の範囲の中ですね。ですから、日赤さんが各医療機関に血漿を渡すときと業 者に渡すときとで値段が5倍違うのはなぜかということをお聞きしているので、それに 対して先生は全然お答えになっていらっしゃらないわけです。そこから先で値段の付け 方はいろいろあるでしょう。それはいいですけれども、そうではなくて、日赤が各医療 機関に卸しているわけでしょう。業者に卸すときは1リットルが13,000円で、患者に卸 すときは400cc当たりの血漿のごくわずかな部分がおおよそ13,000円、細かいところは よく覚えていませんけれども、そのぐらいなわけです。その不公平感をどう説明するの かということを聞いているわけで、それに対するお答えになっていないのです。ここま では日赤の管轄なわけです。 ○池田部会長 血液製剤の価格と、国民から献血してもらって赤十字を経由して民間会 社に血液が渡って、それが製剤化されて付けられる価格との解離が大きいのではないか ということで、これは幕内先生がこれまでずっと指摘されてきたことだと思います。血 漿の標準価格が10円下がったということに関しては、上がったわけではないので非常に いいと思いますし、あるいは血漿成分採血の1リットル当たりの単価も、恐らくいろい ろな整理をするともう少し安くなるのではないかというのもございます。それから、国 民が献血するのは最終的には患者さんのためで、赤十字や企業のためではないという視 点を幕内先生は鮮明にされていると思います。やはり国民から預かったものを企業に払 い下げたときに、献血された側の意思が患者に反映されるような仕組みを価格も含めて 作ってほしいということだと思いますので、これは今後この場合で検討を続けていかな ければいけないのかなと思います。それでよろしいですか。 ○幕内委員 以前審議官が出ておられたときに、それは厚生労働省全体でよく話しをし て国民に誤解を与えないような、献血意欲をそがないような方策をとるとおっしゃった わけです。それが今年になっても全然変わっていないのです。ですから、その辺は早急 に厚生労働省全体として内部でよくお話し合いをされて、改善される必要があるのでは ないでしょうか。 ○池田部会長 そうですね。ありがとうございました。花井委員、どうぞ。 ○花井委員 幕内先生に頑張っていただいたのに、患者側として何も言わないのは非常 に心苦しいので、一言だけ言わせていただきます。この需給計画というものは、そもそ も国内自給という血液法の理念に基づいてやろうということであると。患者側からすれ ば、確かに分画製剤なり輸血用血液製剤へのコストというのも非常に気になるところで はありますけれども、全体として輸血医療を含めたサービスとして、例えば安全性とい ったものがどのように確保されているかということが非常に重要なわけです。本来、今 回原料血漿の価格がこのようになっておりますけれども、国内自給をして全体として患 者の利益、若しくは献血者に理解されるような制度にしましょうという過程に今あると 思うのです。その意味では、この価格が妥当かどうかというと、私どもからすれば、供 給している日本赤十字社の中にもまだかなり努力し得る部分があるのではないかと。そ ういったことを全体と見ながら、今このような需給計画になっているということだと思 うのです。ですから、ここで昨年度の実績を追認して大体決めて、結局血漿価格という のは国際価格があるわけですから、幾ら積み上げても国際価格がすごく高かったら、こ れは間違いありませんねと言っても一切売れないで競争力を失うわけです。こういった ことを表立って議論するのは適切かどうか分かりませんが、結果的にこのような形にな っていると理解しております。とすれば、やはり原料血漿の確保目標量が今年は少し増 えたにせよ、ポテンシャルとしては110万リットル、もっと言えば150万リットルぐら い集められるのではないかという中で、93万リットル程度でいいのだということが続く ようであれば、今幕内先生がおっしゃったように国民から見て製剤の価格にある程度の 不合理性を感じることが続くようであれば、やはり国全体の政策がうまくいっていない という結果になってしまいます。患者からすれば、やはり安全性、安定供給といったも のを確保していただくためには、国全体として整合性のある血液事業が運営されている ことが前提ですので、その意味では今その状態にあるとは必ずしも言えないことは間違 いないのではないかと思います。したがいまして、この需給計画によって果たして来年 の国内自給に何らかの、例えばこの価格によって国内向けの製剤が少しは力を付けるの かどうかというところは、ここでは余り言っていないわけです。ですから、そういった こととの兼ね合いで決まっていくものだと思うのです。全体として、国としてはこれで だらだらと計画を立てて、去年はこうだった、今年はこうだということでは、やはり国 民は何をやっているのだとなることは間違いないと思いますので、その辺は是非御理解 いただいて、特に日本赤十字社におかれましては、コスト、営業、人件費といろいろな 側面がありますけれども、更なる努力をされて、それなりに理解を得られる形を作るこ とに努力していただきたいと思います。 ── 中村委員着席 ── ○池田部会長 小幡委員、どうぞ。 ○小幡委員 私も今の点で一言だけ申し上げたいと思います。幕内先生のおっしゃった 輸血用血液との問題というのは奥深いので、更に検討いただく必要があると思うのです。 やはり一般の目から見て、こういうシステムで価格が決まっていきますと、この中で一 番問題になるのは必要経費の積み上げ、算定根拠で日本赤十字社が提出したデータを使 用してという話なのですが、ここで日本赤十字社のデータにおいて、もっと効率的にど んどんやっていかなければいけないというインセンティブが働く仕組みになっているか ということです。説明責任という見地からは、このデータをできるだけ国民の目にさら すことによって前年との比較等もできるような形にして…。もちろん安全性のために更 なる経費が掛かったという説明があればそれでよろしいのですが、人件費や様々な輸送 等いろいろと項目がございますから、そこで効率性の努力がどれぐらいできているかと いうことが分かる形で出していくことが必要なのではないかと思います。 ○池田部会長 ありがとうございます。今のことについて日本赤十字社の方から何かコ メントはございませんか。白幡委員、どうぞ。 ○白幡委員 赤十字社の方で分かれば教えてください。資料の27ページに「原料血漿価 格(日米)の推移」というのがございまして、アメリカの方が増えていたのが2年ほど下 がってきているのですが、この辺の分析などは何かされておられますか。 ○参考人 私どものデータではございませんので。 ○池田部会長 確かに日本はほとんど一定ですけれども、平成14年〜平成16年に掛け て下がっていますね。これについて事務局の方は何かございませんか。 ○事務局 こちらはアメリカのリサーチ会社のデータを過去から使用しております。円 のレートの関係もございますけれども、確かに平成13年度に113ドルほど上がっており まして、それ以降110〜108ドルということで、原料血漿のレートを無視した場合は価格 は減少傾向にあります。そこの要因は分析しておりませんけれども、結果的には米国の 原料血漿価格は平成13年を頭打ちに結果的に若干減少傾向にあると言えると思います。 ○池田部会長 赤十字社の方からどうぞ。  ○参考人 アメリカの状況をお話しさせていただきますと、これは有償採血の価格でご ざいます。有償採血は全国に400か所ぐらいありまして、大きな各メーカーに所属して いるものもあるわけですが、採血所を閉鎖したり新しく作ったり、血漿の需要が伸びて くればどんどん採血する、余ってくればしないということで、価格を調整しようと思う と非常にやりやすいと。ですから、このグラフを見ていただいても毎年同じということ は全くなく、売買の対象とされているという状況が日本と違うと思います。 ○池田部会長 橋委員は需給調査会で議論されたと思うのですが、何か御意見ござい ますか。 ○橋委員 幕内先生がおっしゃっているのは、単純な比較で最終使用の新鮮凍結血漿 の値段と、ここの原料血漿の値段の付け方に開きがあって、それは統一した方が望まし いということだと思うのですが、私が伺ったところでは、この計算の仕方の根拠は血漿 成分採血でとった場合はそれにかかわる費用を一切合切カウントすると。ところが全血 由来とか血小板成分採血に伴う場合は部分的に原料血漿代に加算する。そういうことで、 血漿成分由来でカウントした数値よりは大分低くなるという計算だと思うのです。もし そういう不公平感、単純に考えてもちょっと違和感があるというのを是正しようとすれ ば、輸血用血液に関するコスト、原料血漿確保に関するコスト、そしてその値段を全部 合算して価格設定をやり直すと。単純に原料血漿でこの金額でやるから輸血用血液もこ の金額で行くということは無理だと思います。その際に実際どういう数字になって、そ れが現状から見てどのくらいになるかというのは、ちょっとやってみないと分からない と思いますが、もし議論するのであればそういうことから始めないと、いつまで経って も幕内先生の疑問と言いますか、腑に落ちないというのは続くのではないでしょうか。 ○幕内委員 日赤でとっているのですから、橋先生がおっしゃっていることは私は違 うと思います。全血を遠沈すれば血漿ができるわけで、それをFFPにしているわけで すよね。それから成分採血で血漿をとっても、値段はここに書いてあるようなことでし ょう。いずれにしても、それを最初から原料血漿用と患者用に分けているわけでもなく て、全血はほぼ全てFFPに分離しているわけですよね。そこで採血の費用が原料血漿 と患者様に使うので違うわけはないでしょう。両方とも結局は人間に使うのですから。 ○橋委員 私が申し上げているのは、この全血、200、400、血小板成分のこの部分に 書かれている数字が、通常全血由来のFFPとか血小板成分採血由来のFFPの計算で はなくて、それで副産物として得られているので、原料血漿確保に要する費用として相 当少なくこの3列がカウントされていると。そのため、一番右側の血漿成分のコストと いうのは恐らくFFPの通常価格に近い計算だと思うのですが、それが相当薄められて、 最終的にはこの数字になったということです。それが最終的な結果で見ると、先生がお っしゃるように直接使う場合と原料血漿として回される場合とで随分差があるのは違和 感があるということであれば、原料血漿であろうが新鮮凍結血漿であろうが全部の価格 をこの価格にする。そういうふうに統一するとしたら、全体のコストから計算し直さな いと出ないのではないかということです。 ○幕内委員 本来は全体のコストから計算すべき問題で、それ以外のことは考えようが ないわけです。いずれにしても、これは日赤から直接業者あるいは各病院に出ているわ けですから、別にこれは割って、例えば全血、血小板成分からとれるもの、それから血 漿だけをとる分画採血といったものを細かく計算してうんぬんということではないと思 います。実際それを合計して値段を付けているわけですから、そういうことは全然関係 ないと思います。全血のところを見ますと用量としてはこれが一番多くて、その中で1 リットル当たりの費用が2,900円しか掛かっていないという現状ですよね。成分採血は ヘモネティックスを直せばそれはお金が掛かるでしょう。そういうことです。しかし、 その量としてはそれほど行っていないということです。これは全体としてまとめて計算 されているわけですから、先生の御答弁は不正確だと私は思います。 ○池田部会長 幕内先生のお話だと、恐らくFFPとそれ以外の原料血漿からできるも のを一緒にして考えるのはやはり非常に不自然だと。そういうことは当然ありますよね。 ○幕内委員 この値段の付け方について参考人の先生方の御意見はどうなのですか。独 占企業として日赤が払い下げているのですから、これは独占価格なのです。ですからこ の値段の付け方は非常に問題があるわけです。国民は言いなりですから。値段の付け方 も非常に訳が分からないといっては失礼かもしれませんが、大体計算の仕方が普通の人 が見ても分かりませんよね。どうしてこういうふうになっているのでしょうか。 ○池田部会長 先ほど小幡委員も言われたように、赤十字社の方も今いろいろな改革を して、中の仕事そのものが分かりやすいような格好に努力されていると伺っています。 積算する費用というのも、こういう形だと1年1年の努力がどのように反映されたのか といった中身が非常に分かりづらくなるということで、そういう面も少し含めてオープ ンにしていったらいいのではないかということだと思うのです。それはよろしいですね。 ○参考人 もしデータが必要でしたら、すべてのデータを公開することになっておりま すし、私どもも情報は公開するという前提ですので、オープンにできます。 ○池田部会長 情報を隠していると言っているつもりはないのです。患者さんに還元す る価格はなるべく安くしようと毎年努力されているのだろうと思いますので、そうであ れば、その努力がどのように反映されているのかということを示すことがとても大事な のではないかと。ですから、毎年同じ議論にならないように、今年はこういう努力をし たためにこうなりましたよというような、積算する費用の内容についても示せたらいい のかなというのが恐らく先生方の御意見だと思います。 ○参考人 一つ御理解いただきたいのは、昨年度の血液事業は50億円の赤字で、今年度 の見込みは70億円の赤字でございます。ですから、今後安全対策ということで白血球の 除去などをやっていかなければいけませんので、もちろん効率的な運営ということで、 先ほど先生もおっしゃったように経営努力をしております。例えば検査の広域化、製剤 の広域化というようなこともやってまいります。ただ、日赤が努力しても現状の赤字は かなりの額に上って、これからもっと赤字が見込まれるので、それについて血液製剤の 価格が日赤の努力によって半額になるといったことはあり得ない状況ですが、諸外国と 比べても血液製剤の価格は日本の方が安いぐらいですので、そこら辺については御理解 いただきたいと思っております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。 ○幕内委員 今、部会長は一番肝心なところが抜けたと思うのです。要するに説明とし て原料血漿価格と、少なくとも患者さんに使用する血漿の払出し価格がどういうふうに なっているかという積算根拠がこれでは全然分からないですよね。それをきちんと国民 に分かるように示してほしい。それから、患者さんに与えるFFPなりの値段と、原料 血漿として業者に払い出す値段の差が何点何倍であって、それはこういう理由によるの だというところがはっきり示されないと皆さん納得されないのではないでしょうか。 ○池田部会長 よろしいですか。 ○参考人 血液製剤の薬価については私どもが必要とした経費をお出しして国の方で価 格を付けていただいておりますし、この原料血漿の標準価格についても私どもで掛かっ たデータをお出しして、このような国の審議会の中で標準価格を決めていただくという 制度になっておりますので、私どもはすべてのデータをお出しいたします。ただし、標 準価格はこういう委員会で国が決めるという法律的な仕組みになっておりますので、そ れについてはこういう場で決めていただきたいと思っております。 ○幕内委員 先生はそうおっしゃいますけれども、説明は全然ないですよね。これでは 全く分からないではないですか。これが分かる人がいたら不思議なぐらいです。要する に厚生労働省で決めていると、それはそうでしょう。しかし独占企業ですから、日赤と してもやはり値段がこれだけ違うことに対して、ある程度こういう会合で説明する責務 があるのではないですか。現実は、この説明が全くなしにこれを通せ通せと言って、こ ういう委員会で素通りしてしまっているわけですね。 ○大平委員 先ほどの日赤の参考人のお話の中で、ちょっと訂正しておいていただきた いところがあります。赤字が50億円、70億円という形で増えているということで、今 後もそれはどんどん増えていくという御説明でしたが、それについてこちらとしては赤 字の内容が分からない問題として言われてしまっても、多分いろいろな内容があるのだ ろうと思うのです。今幕内委員が言われたように、日赤は独占という形態なので、そこ で赤字はどんどん増えますよ、価格はそう下げられないのですよと言われても、日赤の 赤字をそのまま増加させていく傾向というのは、皆さんがそれを見過ごしていいという 話ではないわけです。ですから、ここの議論とは違うかもしれませんが、その赤字の体 質をどういうふうに改善していくかということが、全体として血液事業に関してはかな り重要なお話だったと思うのです。ですから、その努力はどのようにされているのかと いったことがあってみんなのいろいろな議論の土台になると思うので、そこは丁寧に説 明された方がいいのだろうと思います。 ○池田部会長 よろしゅうございますでしょうか。赤十字の体制については去年も非常 にインテンシブな議論があって、中村委員からも幾つか御意見を伺ったかと思います。 幕内委員や何人かの委員が言われたように、非常に理解しづらい点もあるということも たしかだと思います。赤十字も情報はオープンにして、必要な資料はいつでも提供する ということですので、その資料を元に皆さんが納得できるようなものを作っていかなけ ればいけないのかなとは思います。確かに価格の問題は非常に難しい点があると思いま すが、血液対策課だけで価格が付けられるわけではありませんから、これについては審 議官も指摘されたように厚生労働省を挙げて考えるべき問題もあると思います。その辺 も含めて今後検討していただきたいと思います。それでは課長から一言お願いいたしま す。 ○血液対策課長 今日は様々な観点から御指摘いただきましたけれども、一言で申しま すと、まずは事務局として分かりやすい説明を心掛けることが一つの大きな御指摘では ないかと思っております。原料血漿の価格の話をしますと、恐らく連産品であるという 血液製剤のそもそもの仕組みから御説明しなければならないことにもなろうかと思いま すし、また今お話が出たような日赤の事業運営の在り方といったこともございますし、 あるいは花井委員の方からお話が出ました、こういったものがどのように国内自給につ ながっていくのかということも含めて、かなり多面的な要素を含んだものの中で、こう した限られた時間の中でこういう重要な事項を決めていただくということですので、今 日の御指摘を踏まえた反省も含めて、分かりやすい説明ということに一層努力してまい りたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございます。これは非常に重要な問題で、幕内先生が言われ たように素通りしていくのはけしからんという御意見もあるとは思います。一番の問題 点は、恐らくFFPの価格と原料血漿の価格とのディスクレパンシーというのが一般的 には分かりやすい話かなと思いますが、原料血漿の価格というのはそれだけで決まって くるわけではないということもございますので、本年度は一応値段が上がっているわけ ではなくて、10円でも安くなっていると。そして赤十字の方も今後も一層努力していた だいて、小幡委員が言われたように、こういう努力をしたからこうなったということが 分かりやすい形で提示していただけたらと思いますので、それでよろしいでしょうか。 まだまだ先生方には御意見があるかと思いますが、安定供給に関する計画(案)について は先生方から御意見を頂いて、お認めいただいたということにさせていただきたいと思 います。ただ、今後平成18年度の血液製剤の安定供給に関する計画を告示するに当たっ ては、法令的な観点から審査を経ることになっておりますので、そこでもし修正するこ とになりましたら、一応部会長の方に御一任いただけたらと思います。今日の御議論は 昨年も非常に大きな議論になったわけですけれども、部会長としては引き続き宿題とし て受け止め、来年につなげられるようにしたいと思っておりますので、よろしくお願い いたします。   次に議題2に移らせていただきたいと思います。これは資料C、平成18年度の献血の 受入れに関する計画(案)の認可についてでございます。これも血液法の規定により厚生 労働大臣の認可を受けなければならないことになっておりまして、その前に審議会の意 見を聴くこととされております。この計画は日本赤十字社から提出されたものでござい まして、この場で先生方の御意見を伺い、部会としての意見をまとめたいと思います。 この件について日本赤十字社の沼田参考人から御説明いただきたいと思いますので、よ ろしくお願いいたします。 ○参考人 日頃より血液事業の推進について御指導と御協力を賜り、誠にありがとうご ざいます。この場をお借りいたしまして、厚くお礼申し上げます。  さて、平成18年度献血受入れ計画について、お手元の資料Cを御覧いただきながら御 説明させていただきます。まず平成18年度献血受入れ計画の概要について御説明いたし ます。5ページでございます。平成18年度献血受入れ計画は安全な血液製剤の安定供給 の確保等に関する法律の第11条第1項に基づき、採血事業者としての日本赤十字社が作 成したもので、その作成に当たっては同法第11条第2項の規定に従い、あらかじめ都道 府県の意見を聴いて作成したものでございます。必要とする血液を過不足なく安定的に 供給するために、受入れ目標量は全血献血で約133万リットル、血小板成分献血で約32 万リットル、血漿成分献血で約31万リットルの合計約196万リットルとなっております。 都道府県及び市町村におかれましては、同法第11条第4項の規定に基づき、当該地域に おける献血受入れ計画の円滑な実施を確保するため、必要な御協力をお願い申し上げる 次第でございます。  次に「1.献血者の確保対策」について御説明いたします。少子高齢社会において献血 者の確保は重要な課題であり、輸血用血液製剤の安定供給及び安全性向上の観点からも、 若年層及び複数回献血者の増加を中心として献血者の確保を図るため、以下の取組を実 施いたします。(1)若年層をはじめ、広く一般国民へ向け、献血思想の普及啓発及び血液 事業の周知を図る。(2)輸血用血液製剤及び血液由来血漿分画製剤の安定供給に対する理 解を求める。(3)全国キャンペーンの実施や各種広報媒体を活用し、国、都道府県及び市 町村と連携して積極的な広報活動を展開する。(4)企業等をはじめとする献血協力団体と の連携の強化や、ボランティア等の育成と積極的な受入れを図る。(5)情報提供等のサー ビス向上を図り、複数回献血者の確保に努める。  次に「2.広報活動」でございます。平成18年度献血受入れ計画達成のための広報活 動の取組でございます。(1)国内の献血血液による「国内自給」をテーマとした広報。(2) 複数回献血者及び献血登録者確保のための広報。(3)1年間を通じて安定的に血液を確保 するための広報。(4)若年層への献血に関する普及啓発の広報。以上の四つを重点項目と し、年間を通したキャンペーンの実施及び地域に密着した広報を実施してまいります。 なお、テレビ、ラジオ等を活用した全国的な献血推進キャンペーンとしては、「愛の血 液助け合い運動月間」(7月)、「全国学生クリスマス献血キャンペーン」(12月)、「は たちの献血キャンペーン」(平成19年1〜2月)、また献血者が減少する時期の広報とし ての「春の献血キャンペーン」(平成19年3〜4月)を実施いたします。  次に「3.安全対策」でございます。献血血液の安全性確保への対策として、平成16年 10月から検査目的の献血防止対策の一環として献血受付時の本人確認を実施しており、 平成18年度においても更なる適正な実施を行い、安全で責任のある献血の適正な実施に 努めてまいります。なお、より適正な本人確認の実施及び献血者の利便性を図るため、 献血手帳のカード化の導入を進めていくこととしております。更に、問診業務の充実強 化に努め、血液製剤の安全性向上を図り、安全な献血の受入れを確保することとしてお ります。また複数回献血の受入れを促進させるため、複数回献血者を構成員とするクラ ブを設立し、情報提供等の各種サービスを図っていくこととしております。  次に7ページの別紙1、「平成18年度に献血により受け入れる血液の目標量(日本赤 十字社)」について御説明いたします。これは国並びに各都道府県が作成した献血推進計 画に基づき作成したものでございます。一番下の段の合計を御覧願います。先ほど申し 上げましたように、目標量については全血献血で133万リットル、血小板成分献血で32 万リットル、血漿成分献血で約31万リットルの、合計約196万リットルとなっておりま す。これを献血者数に換算しますと、全血献血は約375万人、血小板成分献血は約80 万人、血漿成分献血は約67万人となり、合計で522万人の受入れを予定しております。  次に9ページの別紙2-1を御覧ください。こちらは「平成18年度に献血により受け入 れる血液の目標量を確保するための各採血所ごとの目標量及び稼働数」についての資料 でございます。下の注釈にもございますが、右上にある「オープン献血」というのは採 血ベッド等の器材を持ち込み、事業所や学校の会議室等をお借りして献血を実施する方 法でございます。この表の一番下の合計に記載されているとおり、血液センターの稼働 日数は延べ10,089日、献血ルームの稼働日数は延べ38,091日、移動採血車の稼働台数 は延べ53,426台、オープン献血が1,775回であり、合計で103,381稼働と計画しており ます。年間の献血者数約522万人をこの103,381稼働で割りますと、1稼働当たり50 人の献血者を受入れる計画となっており、1稼働当たりの献血者数を増加させるため献 血会場付近の企業、官庁等からの動員と協力を要請していく所存でございます。  10ページの別紙2-2でございます。こちらは「平成18年4月1日現在の献血受入れ 施設数等について」、及び「平成18年度の献血受入れ施設整備予定について」の資料で ございます。平成18年4月1日現在の献血受入れ施設数については、血液センターが全 国で69施設ありますが、そのうち40血液センターで献血を受入れております。また献 血ルームは全国で117か所、移動採血車は312台ございます。また成分採血に使うため の装置は2,099台保有しております。  次に平成18年度内の献血受入れ施設の整備予定でございますが、血液センターについ ては東京都赤十字血液センターを東京都江東区辰巳に移転し、現在の渋谷区広尾の施設 を廃止いたします。これについては供給時間に配慮し、渋谷区に供給出張所を設けるこ ととしております。献血ルームは1か所新設を予定しております。また移動採血車につ いては3台を減車し、29台を新車に入れ替える予定としております。更に成分採血装置 は48台を減らし、128台を新たな装置に入れ替える予定でございます。  次に11ページ以降の別紙3を御覧いただきたいと存じます。こちらは「平成18年度 目標量を確保するための具体的対策について」という資料でございます。各血液センタ ーの具体的措置に関しては、重点項目についてそれぞれ具体的対策を記載しております。 時間の関係で割愛させていただきますが、各血液センターで挙げている対策で比較的多 いのは、(1)若年層を対象とした対策では、学生ボランティアと連携を取りながら高校生、 大学生などへの献血活動の普及を行う、都道府県、市町村の教育委員会を通じてパンフ レットやテキストなどを配付する、血液センターや献血ルームの見学会を実施する等が ございます。また(2)企業における献血の推進対策では、都道府県、市町村担当者と連携 を取り、新規事業所の開拓や広報活動の強化を行うこと。(3)複数回献血者対策では、献 血登録者への要請やサービス等に関する情報提供の強化を行うこと。(4)目標量を確保す るための全般的な対策としては、年末年始等の献血者数が減少する時期には定休日を設 けないで献血ルームを開く、献血バスの派遣増車、受付時間の延長、各種キャンペーン の実施、献血者登録制度の活用、400mL成分献血の推進等といった取組により献血者の 確保に努めることを考えております。少子高齢化が進んでいる中ではございますが、今 後とも委員の先生方をはじめ、各都道府県や献血協力団体、ボランティアの方々の御理 解と御協力を頂き、年間を通じた安定的な献血者の確保に努めていく所存でありますの で、御指導のほどよろしくお願い申し上げます。以上をもちまして、平成18年度におけ る献血の受入れ計画についての御説明を終わらせていただきます。 ○池田部会長 ありがとうございました。資料Cに基づいて日本赤十字社からの平成18 年度の献血受入れ計画の概要について御説明いただきましたが、御意見、御質問をお願 いしたいと思います。いかがでしょうか。献血者の確保対策については前回のこの部会 でも話が出ましたけれども、若年層への献血の普及や複数回献血者の確保もしましょう ということが主なものだったと思います。後は団体あるいは全国キャンペーン等、積極 的な広報活動を展開することによって献血者を確保しようということで、実際に522万 人の献血を受け入れようということですが、いかがでしょうか。何か御質問ございます か。中村委員、どうぞ。 ○中村委員 去年も伺ったのですが、確認させてください。平成18年度の目標量が積み 上げの方式で出ているのですが、1年振り返って平成17年度の目標とする年があったと 思うのですけれども、これは達成率は100%と考えてよろしいのですか。都道府県によ ってかなりばらつきがあるのでしょうか。かなり重点的にやらないと…。おっしゃった ようにこれからは少子高齢化になって、危機感はよく認識されているとは思うのですが、 めり張りが付かない計画になっているのではないかという危惧が一部ありまして、実際 問題、達成率はどうなのかということが気になるのですが、このデータはありますか。 ○参考人 平成17年度についてはこれからデータが出てきます。それについては目標量 がございますので、比べることはできます。ただ言えることは、やはり各県によってた くさんとれたところととれないところがございますので、全国の需給調整ということで、 血液をやりくりして医療機関にはお届けできる制度になっております。ですからデータ が出た時点で、この県はやはり目標に行かなかったというものを作成してお出しするこ とはできます。 ○中村委員 それでないと、例えば10万リットル以上というかなり大量な目標値がある 北海道や東京、神奈川、大阪といったところが目標達成しているのかどうかが、この表 だけではよく分からないのです。少なくとも対策とかどういうふうにするかというのは、 ならしてみればそうなのですが、きめ細かいめり張りを付けた対策をとらないと、これ からはかなり厳しいのではないかという気がします。ですから、そういう意味では各都 道府県の目標達成率はかなり重要なことになるのではないかという気がしたので、お聞 かせいただければと思います。 ○池田部会長 各県の具体的対策が書いてあるわけで、こういう対策を立てながら目標 量が立つわけですけれども、それが達成されたところと達成されないところとでばらつ きがあるのですね。恐らく中村委員の御指摘は、達成されないところは何が足りなかっ たのか、達成されたところは何が一番よかったのかという分析がこういうところに出て こないと、ただ各県がどういうことをやると言ってもなかなか理解しづらいということ だと思いますけれども、どうでしょうか。 ○参考人 お話でもございましたように、今後それを出すようにいたします。196万リ ットルというのは輸血用血液製剤と血漿分画製剤の原料血漿の二つの合計の確保目標量 でございます。血漿分画製剤の原料血漿の方は、何リットル確保したというのは毎月す ぐ出ておりますけれども、輸血用の方は何本供給したというのは出ているのですが、そ れをリットルに換算して血小板が何リットル、血漿が何リットル、全血が何リットルと いうのを即時的にやっておりません。それについては御指摘いただきましたので、毎月 すぐに出せるように見てまいりたいと思います。 ○中村委員 数字も重要なのですが、今部会長がおっしゃったように、これからはきめ 細かい対策をとらないと厳しくなってくるのではないかという危惧があるのです。各都 道府県からこういう対策が挙がっていて、それを集積しましたよというだけでは従来と 余り変わっていなくて、その分析からは全然危機感が伝わってこないという意識があり ます。ですから、その辺は各県別、大都会と地方とでかなり違うのかということも細か く分析して、今後はきめの細かい対策をとられないと将来が危ういということです。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に貴重な御意見だと思います。そのほか ございますか。大平委員、どうぞ。 ○大平委員 いつも献血の受入れについては、大変でしょうけれども、ありがとうござ います。今部会長の方からもありましたが、分析をしてその評価がとても大切というの は、多分もう何年か続いていると思うのですけれども、それがやはり今回も出てこなく て、目標だけを挙げているというのはどうなのかなと私もかなり疑問に感じます。でき なかった点を踏まえてかなり改善する余地が出てくるのだろうと思うので、その辺は是 非お願いしたいと思います。  それから各都道府県での具体的な対策について、ここにそれぞれの都道府県の血液セ ンターでの取組が書かれていますが、これは何かベースがきちんとある上でそれぞれの 特徴的な取組があるのか、それとも具体的な取組というのは個々に任せてあって、いろ いろ都道府県によって違った対応になっているのか。その辺の日赤血液事業本部のいろ いろな通達がきちんと行き渡っているのかどうかが、これだとちょっと分かりにくい点 があります。特に複数回献血者の対策、企業での献血の推進と、それぞれ地域の特性は あると思いますけれども、要請電話やはがきの強化、複数回献血クラブの運営といった ベーシックな部分はある程度指針として決まっているところなので、言葉は悪いのです が、やって当たり前だということがあります。書かれていないところはそれができてい ないのかどうか、そこがどういう書き方なのか、そこのところを少し御説明いただけま すか。 ○血液対策企画官 先に事務局の方から作業手順を説明させていただければと思いま す。 先週部会を開催いたしましたときに献血推進計画について御議論いただいて、今日受入 れ計画の方を御議論いただいております。献血推進計画は、御紹介したように案の段階 でパブリックコメントを求め、その内容も含めて先週御議論いただいたわけですが、パ ブリックコメントを求めていることもありまして、この案の段階のものはちょうど年明 けぐらいの段階で都道府県の方にそれぞれお示ししております。そういったものをベー スに各都道府県においても平成18年度の計画を立てていただくと。法律の方でも国の作 成したものに基づいて各都道府県においても都道府県の献血推進計画を定めるという手 順がこの年度内ぎりぎりのところで一斉に行われている状況でございます。そういう意 味では、そういった献血推進計画を踏まえた上での受入れ計画ということで、それぞれ 都道府県の方で御準備いただいております。  また先週御議論いただいた献血推進計画においては、特にその項目の見直しをしたと ころでございます。私どもは昨年から献血構造改革ということで、特に若年層あるいは 団体、複数回といった方に重点を置いた献血の改革を図っていきながらの推進というこ とをお示しし、その内容を盛り込んだ形で推進計画をお示ししたものです。その案に基 づいてそれぞれの地区、都道府県においても議論が進められているという状況です。 ○池田部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。小幡委員、どうぞ。 ○小幡委員 今の大平委員と同じような話なので、日赤の方にお伺いしたいと思います。 たしか昨年も同じようなことを申し上げたと思うのですが、都道府県ごとではいろいろ なさっていると。特色があるところはあると思うのですけれども、これが一番効いたと いうようなほぼ共通のものがあれば、そういうものを抽出して今後必ずやるといった形 でより範囲を広げられるようにというふうなことを探ったらいかがかと昨年申したよう な気がいたします。これを見ますと、都道府県がそれぞれ自分のやっている対策を書い ているのか…。今、当たり前のことはどうなっているのかという御質問があったと思い ますが、私もそのような気がいたします。逆にこれ以外はしていないのかということに なってしまうので、むしろベースはみんなやっていて、自分で特色として掲げるものだ けなのかというと必ずしもそうでもないような気がいたしますので、その当たりのとこ ろがどうなっているのかと読んでいて感じました。分析評価という話がもう先ほどから 出ていますけれども、構造改革とおっしゃるのならば昨年まででは不十分であった点を 正に分析評価なさった上で、これがより効いたというものを抽出して、それは全国的に 必ずやるというふうに仕組んでいくべきですし、それにプラスしてここの県であればサ ッカーがあるからなどといった話になってくるのだと思います。ですから、そこを仕分 けてもう少し…。これは非常に読みにくいデータだなと思いましたので、ベースはどう なっているのかと御質問したいのですが。 ○池田部会長 各県でこのように出てくるわけですけれども、基本的な方向性のような ところはどうなっているのかと。 ○参考人 大変読みにくくて申し訳ありません。ベースとして日常的にやっていること は書いておりません。各都道府県が作成する献血推進計画に基づく献血受入れ計画とい うことで、それではこの県ではこういう特色を出していこうという書き方をさせており ます。ただし、その県の特色が出ているように書いているところもありますし、書き方 が悪くて単に土日に時間を延長するといった書き方になっているところもございます。  それから基本となるところですが、本社から通知を出して全国的にやりなさいというこ とについては、国庫補助の事業は全国的にやっておりますので、複数回献血協力者の確 保事業、例えば複数回献血クラブを作って献血を推進していきなさいというのは平成18 年3月17日から全国的に始まります。それから国が提案している献血構造改革の重点項 目についても、これはやりなさいということで、今後献血協賛企業というような形でや っていくという通知を出しております。また若年層献血者等の確保推進事業、例えば青 少年の献血体験事業や若年者献血セミナー事業、献血協力組織の育成、研修事業、献血 協賛企業の活動推進事業などはすべてやりなさいという通知を出しております。そのよ うなことがベースになっております。今回はこの件に関して、(1)若年層を対象とした対 策、(2)企業における献血の推進対策、(3)複数回の献血者対策という三つの重点的な項目 に対する各都道府県の取組について具体的に報告を挙げてきなさいということで、四番 として目標を達するためのその他の事項といった形で掲載いたしましたが、次回は先生 方の御意見を頂きまして、もう少し見やすい形にいたします。 ○池田部会長 今、複数回のクラブができる、若年層の開発など三つ出されましたが、 次回はそういうものがそれぞれの県でどのように効果を上げたかということを分かりや すく示していただくと。それができなかったところはなぜできなかったのか、できたと ころはそれによって献血量がこれほど増えたといった、施策と実績がどういうふうにマ ッチしていったかということを出していただきたいというのが恐らく委員の先生方のお 考えではないかと思います。ですから、来年は是非そのようにデータを示していただけ たらと思います。そのほかはいかがでしょうか。橋委員、どうぞ。 ○橋委員 献血の実態というか、現状の問題点を各地区の問題以前に、全国なべてこ ういう傾向があると。昨年は変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の問題があって献血推 進については大変努力されたわけですけれども、今言われているような若年層の献血の 伸びが、人口比で言うと40代の方よりも大分悪いと伺っているのです。ですから、まず 国内自給に向かって全体で一番大きな問題は何か、それを改善するためにこういう手を 打つと。若年層のうんぬんというのは恐らく即効性が得られるような施策ではないと思 うのですが、5年、10年後には非常に効いてくる話であろうと思います。逆に企業への 献血のお願いというのは即効的に現状を変えるといったことだろうと思うのです。そう いう問題点を整理して何を中心にやっていくか、まず日本全体で方針を出して、それを 各地の取組としてどう展開しようとしているのかといった流れでないと、ここにずらっ とあるような各地区ごとの取組以前に大方針が日本全体で見えてこないのではないかと 思います。ちょうど適正輸血にかかわる事柄で、各地の取組を厚生労働省が細かく調べ られて相当進化したと思うのですが、献血に関しての全体像というのは適正使用より少 し手前の段階で日本全体の問題点の確認が十分になされていないのではないかと思いま す。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。花井委員、どうぞ。 ○花井委員 私も毎年言っていて、来年こそはという話なのですが、先生方は随分お優 しいと思います。今驚くべきことは、この案を作る前段階で各センターからの実績状況 を聴いていなかったと。そのままでこれを作ってくるということ自体到底容認できない 話です。それからこの献血推進計画に関しては都道府県ですが、受入れ計画は採血事業 者が作るわけですから、いわゆる血液事業本部のガバナンスによってトータルのセンタ ーの問題はやるのだと。各センター、各都道府県の支部にぶら下がっているということ についてはいろいろ議論はあったのですが、事業本部ができてガバナンスがきっちりし ますよというお話の中であったのであれば、そういったことは事前に事業本部が全体の 中のデータを一部中途の実績で上げてきて評価してからこういうものを出してこられる のが当然だと思うのです。ところが、今回また県ごとに一覧表を出してきたというのは、 私は個人的には極めて遺憾だと思います。  来年度はということなのですが、私の個人的な感情としては、今回受入れ計画という のは基本的にはタイムスケジュールもあるので事務局にお任せするのですが、やはり事 業本部が主体となってやったものとしては余りにももう一つではないかなと。データは 後から上がってくると今おっしゃいましたが、そのようなものは、こういうものを作る 必要がある中で現在中途の段階でのデータが必要なのだと言ってお尻をたたいて集める のは当然事業本部の仕事だと思うのです。それを怠っているのは問題なので、新年度に 入ってからでもいいですから、やはり事業本部として基本の3本柱をどのように実施さ れるのかという計画をもう少し示していただきたいと思います。1年待つのではなくて、 今年はこれで行くのだという姿を出していただきたいというのが一点です。  さらに同じ論点から行きますと、事業本部は事業本部で、各センターの統廃合問題に 着手しておられるわけですね。血液事業全体の統廃合問題とこういう問題はリンクして いるはずなのですが、相変わらず県ごとなどというのがぽろぽろ上がってきています。 この関係が一体どうなっているのかということも血液事業本部の運営全体の中では重要 なわけですが、そういうものもここには何も見えてこないというのは、要するに何も変 わっていないではないかという感じを受けてしまいます。嫌われるとは思うのですが、 やはり事業本部になってこうなったのだということが示される形というのが何かあって ほしかったし、できれば1年待つことなく何らかの機会でデータが取れた時点で出して いただきたいと思います。推進計画と受入れ計画は内容としてはリンクするのですが、 実は位置付けが全然違います。受入れ計画はやはり採血事業者の責任として一体全体を どうするのだという話ですので、そこは正に日本赤十字社の血液事業に対する方針その ものがそこに示されるということでもあると思います。やはり1年待つことなく、もう 少し全体として本部の方針をきちんとまとめたものを何かの機会に御提出いただけたら と思うのですが、どうでしょうか。 ○池田部会長 ありがとうございました。平成17年度のデータも含めて、まとまり次第 是非委員の先生方にお示しいただくように事務局の方も少しお考えいただけますでしょ うか。 ○参考人 私の説明の仕方が悪くて一つ誤解を与えたかもしれません。データについて はコンピューターでやっておりますので、今日はお持ちしていないということでござい ます。年度が終わった段階ですぐにコンピューターで作成いたしまして、厚生労働省を 通じて委員の皆様に説明させていただくような資料を作ってお渡ししたいと思っており ます。 ○池田部会長 私の方から一つお伺いしてよろしいですか。10ページの「平成18年度 の献血受入れ施設整備予定について」ということで、成分採血装置について長野と京都 に著しい変化が見られますが、これはどういう理由なのか御説明いただけますか。 ○参考人 長野センターの14台というのは、今年の4月から移動採血車での成分献血を やめるということで、移動採血車や母体で、また献血ルームで成分献血を推進していく と。京都も同じでございまして、福知山の血液センターでの採血をやめるためにこの台 数が減るということでございます。 ○池田部会長 移動採血車に関しては実際には余り変化がないではないですか。移動採 血車のところを見ると長野は1減りますが、増減はゼロですよ。今、成分採血で方向付 けをしようというときに、やはりなぜここがこのように大きな変化を出したのかという のをきちんと説明しないといけないのではないでしょうか。それはそれで、事業本部と してはこういう方向でいいのかどうかといったことではないでしょうか。説明してくだ さい。 ○参考人 移動採血車に積んである成分採血機を下ろして移動採血を全血採血に振り分 けるということですので、採血車は減少しておりませんけれども、成分採血装置だけが 減少するということでございます。 ○池田部会長 これだけ減らして成分採血でのものは変わらないのですね。それは大丈 夫なわけですか。分かりました。そのほかいかがでしょうか。白幡委員、どうぞ。 ○白幡委員 日本赤十字社がずっと注文と言いますか、責められて同情するわけではな いのですが、今年のHIVというか動向委員会の調査を見ていて、全体としてサーベラ ンスで数は増えているけれども、献血の中の抗体陽性率が減っています。これは検査目 的の献血防止策がそれなりの成果を上げてきたのかなと思ったのですが、その辺は赤十 字の方ではどのように評価されておられるのですか。  ○参考人 私はその担当でデータを解析しているわけではございませんけれども、私ど もが献血推進の立場から思っていることとしましては、やはり本人確認が非常に効いて いるのかなということです。実際に本人確認をさせていただいてからHIV陽性の方も 減っておりますし、また検査通知が戻ってくる率も極端に減っておりますので、それら について御理解いただいて、検査目的のために来られる方が少しは少なくなっているの ではないかというのがデータによって表れているのではないかと理解しております。 ○白幡委員 是非その安全対策を更に進めていただくというのも大事な視点ではないか と思いました。 ○池田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。委員の先生方が言われ たように、献血に大きな変化が出ると本当に医療に多大な影響を及ぼすということはも ちろんどなたも認めるところだと思うのですけれども、どちらの方向を向いているか分 析して動向を察知するのもリスク管理の一つだと思います。ですから、一つ一つのこと を評価していく、精査するということで、今どちらの方向に向かって血液事業なり献血 が動いているかを認識していただいて、大きな波が来ないようにということを是非要望 したいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、先生方から御意見を頂 いたわけですけれども、今日の先生方の御意見を是非参考にして、赤十字の方で献血の 推進に一層努力していただきたいと思います。事務局の方では先生方の御意見を踏まえ て、是非この計画の認可手続を進めていただきたいと思います。また、赤十字は受入れ 計画の目標量の達成と献血の推進をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうござ いました。  今日は大事な二つの議題について御議論いただいたのですが、議題3のその他につい ては、委員の先生方は何か御議論ありますか。幕内委員、どうぞ。 ○幕内委員 前回の会合で、現状といたしましては献血によってある程度のviral transmissionが起こっております。年間で約30件ぐらいの数が示されているわけです が、今の技術ですとメチレンブルーを用いれば少量のウイルスが不活化されて感染が防 げるという方法があるわけですので、日赤の方もそういう処置を早急にやる必要がある のではないかと思います。数は少ないと言っても、やはり現在方法があって、ヨーロッ パのかなりの国が実際にNAT検査だけではなくてメチレンブルーの不活化システムを 取り入れてやっているというのが現状ですので、是非日赤の方でもメチレンブルーにつ いて至急取り入れて検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○池田部会長 ありがとうございます。どうぞ。 ○血液対策課長 赤十字の方からもお答えがあるかもしれませんが、厚生労働省の方と いたしましても、正に今幕内先生が指摘された問題も含めてさらなる血液製剤の安全性 確保対策、特に今の御指摘は製剤をしていく上での不活化技術をはじめとする安全対策 ということですけれども、幕内先生が御指摘のとおり、数は非常に減ってきたとはいえ、 やはりまだ例えばB型肝炎の血液製剤を通しての感染等があるわけでございます。そう いったものに対して更に技術的な向上ができないかどうかということは、赤十字社の方 でも鋭意検討しておりますし、また私どもも御相談を受けながら進めていくべき立場に あるものと考えています。  輸血医療の安全性確保の総合対策の中に、一つの重要な要素として日赤の8項目の安 全対策がございます。その中での取組として、例えば現在保存前の白血球除去の取組な どをしておりますが、次なる課題ということで今先生が御指摘になったようなことも含 めた総合的、技術的評価を踏まえて、日赤の血液製剤製造のライン上にどのように組み 込んでいけるかといった検討をしていかなければならないと考えております。意思決定 をしていく際のいろいろな判断の根拠といったことは、日赤の方ともよく協議をしなが ら、分かりやすく説明できるような形で迅速に検討を進めいきたいと思っております。 ○池田部会長 赤十字の方は何かありますか。 ○参考人 これも私が担当ではないものですが、今課長がおっしゃったように8項目の 中にウイルスの不活化除去導入の検討というのがございまして、いろいろな方法につい てバリデーションとデータを取って、海外の実施状況の調査を行っております。メチレ ンブルーについて特別どういうふうにやっているかというのは、現在資料を持っていな いのでお話しできないのですが、細菌を含めたウイルス全般の除去、不活化の方法につ いては現在検討を行っているということでございます。 ○池田部会長 幕内委員、どうぞ。 ○幕内委員 非常に高いタイターのウイルスをどうするかということと、ごく微量のウ イルスをどうするかということの二つの両極端の問題があるわけです。高い方はNAT 検査をやればまず間違いなく引っ掛かりますから、今すり抜けているのは低用量のウイ ルスに対してどういう対策をしたらいいかということでございます。そういう点に関し ては、日赤は8項目の一つの中でどのような方法論を検討されているのでしょうか。 ○池田部会長 いかがですか。 ○参考人 私が聞いておりますのは、血漿又は血小板についてどの方法がいいのかとい うことに関して調査しているということでございます。 ○池田部会長 赤十字としては大体いつぐらいまでにそういう結論を出して…。これは 計画ですから、もちろん狂うこともあると思いますが、要するに少数であってもより安 全性を高めるために、具体的にどのような目標を持って進んでいるのかということを分 かりやすい格好で示してほしいということではないかと思います。ここでは今の段階で はなかなか言いづらいでしょうか。 ○事務局 私が申し上げる立場ではないとは思うのですが、聞き及んでいる範囲で御紹 介します。現在EUで用いられていると言われていたメチレンブルーだけではなくて、 メチレンブルーは今フランスで使われているということなのですが、それ以外でもソラ レン誘導体やリポフラビンなど、幾つか諸外国で導入を前提として検討しているものも ございます。これを今、日赤の方で試行して試薬の精度を調べておりまして、その結果 がつい最近出てきたということで、日赤内部でどれを使えば最も効果的かと、今…。そ れぞれ三者三様と言いますか、効果が非常に強いのだけれども、輸血用血液製剤に与え る影響も高かったり、ウイルスに対する効果と、そもそもの血液の失活に及ぼす影響も 強かったり、その逆も当然ございまして、また細菌まで含めて失活させられる製剤や、 それができない製剤といったいろいろな問題点があるようです。さらには、先ほどのメ チレンブルーは新鮮凍結血漿について今使われておりますが、ほかの製剤についてはま だ使われていないという現状もあります。一方で、やはり一番問題なのはMAPやPC と考えておりますので、そこをどうやっていくかということを今検討していただいてい るところと聞いております。 ○幕内委員 MAP、それから血球が入っているものは問題がちょっと違うと思うので すが。フランス、ベルギー、イタリア、スペイン、イギリス、ギリシャ、ノルウェー、 シンガポールなどは、今もう既にFFPについて行っているのです。これだけの国がや っているわけです。前回報告があって、来年度もまたあるのでしょうけれども、要する に遡及調査などによってこのぐらいの患者さんが出てどうこうというのも重要なのです が、その次の対策がなくて、ぽっこり抜けています。検討されているなら検討されてい るでいいのですが、そこはやはりこういった会合で、これだけあるのだからそれが起こ らないようにこういう対策をやっていて、現在の進捗状況はこうですよということを是 非御報告願いたいと考えますので、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。今事務局から話がありましたように赤十字と も対策を立てているということですので、よろしいでしょうか。そのほかに特に議題と して委員の先生方から何かございますか。大平委員、どうぞ。 ○大平委員 既に議題1の方で安定供給に関する計画については済んでしまっているの ですが、注文でございます。血友病の第VIII因子製剤や遺伝子組換え製剤の問題で、大分 前から聞いてはいたのですが、インヒビターの発生が少し多いということです。昨年9 月の世界血友病連盟の患者の集まりの中でもその傾向が高いということで、患者からの 不安が紹介されておりました。最近もいろいろなところで出ておりますが、このインヒ ビターが発生すると、また血友病患者はそれを凌駕するだけの様々な凝固因子製剤を必 要とするというところで、インヒビターの治療製剤についても特段必要量が増してくる のではないかという心配があります。そういった点で、今日本の血友病患者の中でも、 インヒビターがある人はかなり量をセイブされるような医療環境の中でインヒビター治 療をしているということもあります。インヒビター発生のいろいろな科学的メカニズム もそうですけれども、今後どういう経過をたどるかということをきちんと把握しておい ていただきたいと思います。  また患者が安定的に使えるようなインヒビター製剤の供給についても、残念ながら国 内での製剤がほとんどないので、海外からの輸入に頼っていると。そういうことでは国 内自給の一つのところではできていない点もあります。希少製剤で大変難しいのかもし れませんが、そういった点も勘案して需給の中で一つ宿題として置いておいていただけ たら有り難いと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。山口委員、どうぞ。 ○山口委員 私はちょうど2週間ぐらい前に、EUの医薬品局であるEMEAがロンド ンで開催した第VIII因子のインヒビターに関する国際会議に行ってまいりました。本当は 私の方から先に言えばよかったのでしょうけれども、この報告を兼ねて総合機構と血液 対策課と来週ミーティングをやることにしております。そういう結果を踏まえて、また 詳しい御報告をさせていただきます。 ○池田部会長 ありがとうございました。 ○白幡委員 国産の献血由来のインヒビター製剤の治験準備に取り掛かっています。 ○池田部会長 大平委員が言われるように、インヒビターは非常に重要な問題で、その 発生のメカニズム、対策等については国際的にも、あるいは日本の学会でもかなり積極 的に取り組んでいると聞いておりますので、その点については恐らく進捗があると思っ てよろしいのではないかと思います。非常に大事な点だと思います。ありがとうござい ました。  それでは、先生方から特に付け加えて御意見ございませんでしょうか。もしなければ 本日の議題は以上でございます。今回も非常に多くの宿題が出たと思いますので、赤十 字の方も先生方の御意見を参考にして、是非今後一層献血の推進に努めていただきたい と思います。事務局の方で特に何かございますか。よろしいでしょうか。それでは次回 の日程ですけれども、またおって連絡ということにさせていただきまして、そのときに は今日先生方から頂いた宿題も含めて御報告できるように事務局と相談をしたいと思い ます。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 稲岡(内線2906) - 1 -