06/03/15 標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会 保健指導分科会 第1回議事録 標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会 第1回保健指導分科会議事録 開催日:平成18年3月15日(水) 場 所:厚生労働省7階専用第15会議室 時 間:10:00〜12:00 照会先:健康局総務課保健指導室(内線2392) ○出席構成員(敬称略・五十音順)  有原一江、石井みどり、漆崎育子、押野榮司、金川克子、小池啓三郎、椎名正樹、鈴木 志保子、田中一哉、津下一代、土屋隆、直井久枝(松田一美代理)、水口忠男、宮崎美砂子、 宮地元彦、吉池信男 ○厚生労働省出席者  梅田大臣官房参事官(健康担当)、中島大臣官房参事官(社会保険、健康担当)、矢島健 康局総務課生活習慣病対策室長、野村健康局総務課保健指導室長、大島保険局総務課保険 システム高度化推進室長、古畑健康局総務課生活習慣病対策室栄養・食育指導官、加賀山 健康局総務課保健指導室長補佐、中島健康局総務課保健指導室保健指導係長 ○議題  1 標準的な保健指導プログラム(案)について  2 その他  事務局 定刻となりましたので、ただいまから標準的な健診・保健指導の在り方に関す る検討会、第1回保健指導分科会を開会いたします。本日は保健指導分科会の第1回目で ございます。構成員名簿をお手元にお配りしておりますので、各個人の御紹介は省略させ ていただきます。本日、井伊先生、松田先生、諸江先生は御欠席でございます。なお松田 先生の代理として、財団法人社会保険健康事業財団から直井様に御出席をいただいており ます。  それでは議事に入ります前に資料の確認をさせていただきます。お手元に配布した資料 の上から順に座席票、議事次第、構成員名簿、その後に資料、参考資料がございます。資 料1として標準的な健診・保健指導プログラムの構成(案)、資料2として標準的な保健指 導プログラム(原案)の概要、資料3として標準的な保健指導プログラム(原案)を配布 しております。  参考資料でございますが、参考資料1として標準的な健診・保健指導の在り方に関する 検討会構成、参考資料2としましてメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)予防 のための健診・保健指導プログラムの流れ(イメージ)(案)、以上を配布しております。 不足や落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。  第1回の標準的な健診・保健指導の在り方の検討会において御紹介申し上げましたとお りでございますが、当分科会の座長は石川県立看護大学長の金川克子先生にお願いするこ とになっております。この後の進行は金川座長にお願いいたします。  金川座長 皆さん、おはようございます。石川県立看護大学の金川でございます。よろ しくお願いいたします。それではこれからの議事を進行させていただきます。  それでは本日の議題は先ほどの議事次第での御説明もあったとおり、標準的な保健指導 プログラム(原案)についてでございます。初めにこのプログラム(原案)につきまして、 作成過程を含めまして事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願い いたします。  野村室長 保健指導室長の野村でございます。私の方から本日の資料の内容について御 説明をいたします。2月15日に行われた第1回の健診・保健指導の在り方に関する検討会 でもこの作成過程について御説明をしておりますが、昨年の10月から保健指導に関する研 究会の組織において、本日お出ししております原案のたたき台をつくっていただきました。 それをもとに5名程度のワーキンググループで少し訂正を加え、それを直したものが本日 の原案として作成したものでございます。原案は非常に分厚くなっておりますので、概要 などもつくって説明をしやすくしたというところもございますが、きょうは概要だけでは なくて本文も使いながら説明をさせていただきます。まず最初に資料1をお出しいただけ ますでしょうか。  この資料1は何かといいますと、健診の部分も含めた全体的なプログラムの構成(案) でございます。健診・保健指導プログラム(構成案)の編構成になっております。1編は 総論部分にあたる部分です。健診・保健指導の理念の転換、そして2編が健診編で、ここ は健診分科会の方が担当しています。この保健指導分科会が担当しているのはこの3編に あたるところで主です。保健指導の部分1章から7章です。そして第4編は体制や基盤整 備についてということです。ここも関係するわけですが、本日お出ししている本文のとこ ろにはこの部分について触れているところはございません。  本日お出ししている保健指導プログラムの原案はどこに該当するかというのがこの右側 にあるカッコの数字で書いてあるのですが、(1)というのは第1編の1章にあたるところ です。それから(8)というのが資質の向上に関することです。それ以外に2からずっと 続き番号では3編です。ですから今回の原案は1編の1章3章と、3編全部が含まれてい るということです。それ以外の部分についてはまだお示ししてございませんので、関連が 見えなかったりとか、前提が見えなかったりということがあるかもしれませんが、御容赦 いただきたいというふうに思います。  それでは標準的な保健指導プログラム(原案)の概要で説明をさせていただきます。資 料2を準備していただけますでしょうか。今申し上げましたように1.新たな保健指導の 方向性、これは先ほどで言うと第1編1章に該当する部分です。ここにつきましては、こ れまでの保健指導と今後の保健指導がどう変わっていくのかということを少し丁寧に整理 したものです。  その基本になっているものは、この資料2の中の5ページを開けていただけますでしょ うか。この5ページの図は前回2月15日の検討会でお示しをし説明をしたところでござい ます。この5ページのことを少し言葉で書いたものがこの1の新たな保健指導の方向性の 内容になっております。5ページのものですと職域保健がちょっと見えませんでしたが、 この文言で書いた1では、職域保健のことについても少し触れております。  簡単におさらいということで説明をいたしますと、今までの生活習慣病対策における保 健指導は、健診の事後指導ということで付加的な位置づけであったのですが、これからは 内臓脂肪症候群の概念を導入して、予防的な介入を行う保健指導をするということ、そし て対象者が生活習慣の改善方法を自己選択し行動変容をすることを目的とした保健指導を 行うということ、そして健診結果や生活習慣に関する問診、こういったものから生活習慣 の改善の必要性に応じて保健指導の階層化を行って保健指導を行う、そういうふうに変わ っていくということです。  2番目が保健指導の基本的な考え方です。これは第3章の第3編の1章にあたる基本の 部分になります。ここにつきましては資料3の原案の本文の方の目次も横において見てい ただきながら説明をさせていただいた方がよいと思いますが、表紙を1枚めくりますと目 次が出てまいります。その目次を見ていただきますと、保健指導の考え方2、ここには(1) から(6)の項目について書いてあります。これをまとめて説明いたしますと、保健指導 の目的は対象者が生活習慣病に移行しないようにすることだ、しかし最終的には対象者が 生活習慣病予防のためのセルフケア能力を高めること、これを目指していくんだというこ とが目的、保健指導とはというところに書いてあります。  そして保健指導の技術として、カウンセリング技術やアセスメントに関する技術、コミ ュニケーション技術、そして自己効力感を高める技術など、多様な技術を用いて保健指導 は行われていくものだということが(3)に書いてあります。そして成果に基づいて、そ の成果を評価して、より効果的な保健指導の方法を開発していくということもこれからの 保健指導の考え方の基本だということです。そしてポピュレーションアプローチの効果的 な活用、ここも十分に考えながら保健指導をしていくということです。  そして保健指導の標準化とは、この表題で標準的な保健指導プログラムと書いてありま すが、この標準的なとはどういうことを言っているのかということがこの2の(6)で書 いてあります。後ほど本文を見ていただければよろしいかと思いますが、概略を御説明い たしますと、今回のプログラムで標準化されたところは、保健指導のプロセスや保健指導 として行うべき内容や保健指導の頻度、方法、体制、こういったことの標準化を行ったと いうことです。保健指導のコアになるような、1対1での面接で支援をし、その方が行動 目標を自分で決めていく、そういったことについては1対1での面接の部分については標 準化をするということは今の段階では難しいというふうに思っております。そこについて 標準化をしたというわけではないということを基本的なおさえとして書いてあります。  3点目が保健指導の計画の作成ということです。保健指導も単に健診から保健指導が必 要な人に、対象者が来たのでさあ保健指導をしようという考え方でやるのではなくて、計 画的にやりましょう、この計画を立てるためには現状分析が大事です、優先すべき課題は 何かということを把握した上で、目標を立てていくということです。ここにはどのような 指標を使って現状分析をしていくかということも記載しております。  そして対象者の属性ですとか環境ですとか、医療費の観点から解析を行って課題を明確 にすることが重要だということ、そしてその課題が明確になったところで情報提供や動機 づけ支援、積極的支援、こういった保健指導の目標についても設定し、そしてそれが実施 できるような体制の整備、そしてどんな評価をしていけばいいかという評価の計画案を作 成する、そういったことが3番の中に記載されております。  そして4番の保健指導の対象者です。これについては本文の中を少し繰っていただきま すと、最初は基本的な事項ですので保健指導は図を見ていただきますとわかりますように、 健診結果と問診の結果で対象者を判定する、そしてその判定された対象者は情報提供は皆 さんに行うわけですが、情報提供だけで終わりになる人と、それからそれに加えて動機づ け支援をする方、そして積極的支援をする方というふうに、この判定では分かれますとい うことが(1)で書いてあります。  そして(2)が対象者の選定方法です。選定方法は(1)は健診結果からということです。 この健診結果からどのように支援レベルを決めるかというのは、まだ健診班が行われてな いので、ここは決まっておりません。ですのでここは確定したものではございません。健 診結果が出て支援レベルが決まるということを想定した上でですが、(2)として生活習慣に 関する問診を表4のような5項目について行う、この5項目で判定がございます。  1が1点、2〜4が全部いいえだと1点、たばこを吸っているか、はいが1点、そして 合計0〜3点という幅が出ます。この健診結果とこの生活習慣の問診の点数をマトリック スにして、そして対象者の判定を、どこの支援レベルになるかということを決めていこう ということです。健診結果の支援レベルというのは、これは仮置きです。まだ決まってい るわけではありませんが、例えばこういうふうに健診結果でレベルが分けられるとすると、 問診結果の点数と掛け合わせて、その対象者を決めていくということです。   一つ例を説明いたしますと、情報提供レベルというのはほぼ健診データも問題ないし、 そんなに暇もないという方なんだと思うんですが、そういった方でもこの表4の中で3点 すべて点数がついてしまった場合には情報提供だけではなくて、1回の面接を行うような 動機づけ支援に回ったらどうかという、そういう変更をしていったらどうかということで す。  そして3ページには留意事項を少しつけてありますが、そうは言ってももう情報提供だ けやっているということはないよというような事業所もあると思います。そういったとこ ろはあえてそういう高いレベルに維持されるのはかまわないということや、積極的支援が 非常に多かった場合には年次計画をたてて優先度が高い方から計画的に指導していくとい うようなことも書いてございます。  そしてこの選定方法はこういったことをまだやっておりませんので、18年度以降に行わ れる国及び医療保険者の取り組みがございますので、そういったもので実際にやってみな がらここを変更していく必要があるだろうというふうに思っております。とりあえずの仮 置きはこんな考え方で整理したらどうかというところでございます。  次に5になります。ここがコアになる部分ではないかと思いますが、保健指導の実施と いうところです。また概要の方の資料2に戻っていただけますでしょうか。保健指導は今 申し上げましたように三つの段階に分けて、医師、保健師、管理栄養士等によって実施さ れるということでございますが、じゃあこの三つの保健指導の区分ってどうなっているの かというのを整理したのが6ページに表がついております。  これで三つの保健指導をどんなふうに分けているかということがわかりやすくしたとこ ろですが、目指すところというのは、対象者のところで御説明したところですのでよろし いかと思いますが、違いがわかるのが期間ですとか支援頻度が一つはっきりしています。 情報提供は健診結果と同時に情報が流れるということですね。ですから健診結果を渡す時 に何らかの情報がついて対象者に渡っていくというものです。これは紙媒体で行われたり、 最近ではITで行っているところもありますし、結果説明会で渡すというところもあると 思います。それから情報提供のところのプロセスを見ていただいてもわかりますが、対象 者に配布で終わっています。  そして動機づけ支援は若干違うのは、その期間のところですね。30分程度から1日、原 則1回、プロセスが大分違います。その30分とか1日でやる内容は詳細問診をとったり、 健診の結果からアセスメントをすることや、それから健診結果と生活習慣の意味づけ、こ れを面接の場で明確にしていくことや、対象者が自ら取り組むべき目標、こういったもの を決めていただくというのが動機づけ支援の保健指導の内容になります。  そして評価、この方がどうだったかという評価は6カ月後にやっていただくということ です。実質的な保健指導は30分程度または1日で終了するということです。支援形態とし ましては、個人面接やグループワーク、集団指導、ITといったものがある。ITの場合 でも双方向性のものだということです。  そして積極的支援ですが、これは老人保健事業でいう個別健康教育や国保ヘルスアップ 事業といったイメージで見ていただければよいかと思いますが、期間が3カ月から6カ月 という長い期間になりますし、定期的かつ頻回、そしてプロセスも動機づけ支援と最初は 同じですが、その後プランを自分で達成した後、いくつかのプログラムにのっていただい て、その中間評価をして、その時に再アセスメントをして、必要時にまた行動目標をもう 一回設定する、これでうまくいかなかったという時には変えていくということもあり得る。 そしてその後もまたプログラムに参加していただいて最終目標の評価をする。最終的な評 価をするというものでございます。  これには支援形態、個別面接、集団指導、グループワーク、ピアサポート、通信、IT、 様々なものがございます。これは整理をするとこの三つの種類はこういうことになるわけ ですが、それでは具体的にはどんなものがあるかというのは、この本文の方の5の保健指 導の実施の中に事例が後ろの方についています。事例は9ページ以降になっています。9 ページをお開きいただけますでしょうか。  情報提供は紙でいただけたのが1事例だけでした。ITでやってらっしゃるところが多 くて、なかなかいただけなかったのですが、動機づけ支援は四つの例、そして積極的支援 は五つの事例をつけてあります。この事例は冒頭説明いたしました保健指導に関する研究 会の中で現場からのヒアリングをたくさんいたしました。そこの中から出てきた事例を主 に取り上げております。そしてその方法としてもこういった効果があったという、効果が あったものについてのみつけてあります。  ここでさらっと目を通していただきますと、情報提供は現物をつけてありますので見て いただければわかりますが、検査結果に加えて生活習慣上の情報や体の知識だとか、そう いったところも加わったり、それから地域で使える健康づくりのスポット案内まで入って いるというような、こういったその人その人に合わせた情報提供ができないかということ を考えているということです。  そして動機づけ支援の事例としては、22ページをごらんいただきますと、これは尼崎市 でやっておられる、これは職員の方の健康管理ですが、こういった背景がありまして、そ の下にどのような流れでやっているかということがあります。いろいろな形態でやってい るということです。そしてその後の成果はどうだったかというのが23ページにありますし、 それから26ページでは社会保険健康事業財団のやられている、これも職域で事業所を訪問 してやるという形態のやり方をしておられるところの事例です。そして27ページが何万人 かのデータがどう変わったという成果を出していただいているということです。   積極的支援につきましては、国保ヘルスアップの事例として、29ページは藤沢市の例を あげてございます。国保ヘルスアップはいくつかありますが、藤沢市などは30ページを見 ていただいても成果が上がった、こういったプログラムで成果が上がったというものでご ざいますし、以下もずっと同じようにそれぞれいろいろな工夫の仕方をした事例がついて ございます。これはいくつか聞いた中でこういうふうに集めたものでございますが、全国 的に見るともっと効果があって、こういうふうな工夫がある、こういったプログラムがあ るということがあがってくると思いますが、現在集めたところはここまでというところで す。  そして委員の先生方のお手元には支援材料という別冊があるかと思います。これは今御 説明しました事例の中でどういった資料を使って対象者の方々に説明をしているのか、か なりここらへんは工夫をしないと短い時間で効果的な指導ができないというようなことが ありますので、こういった工夫をされているというものを参考までにおつけしてございま す。後ほど見ていただければと思います。  それではもう一度資料2の概要の方に戻っていただけますでしょうか。3ページの頭か らが6の保健指導の評価です。こういった保健指導を実施したけれども、それが成果があ ったのかというのをどのように評価していくのかということを、この評価のところで書い てあります。評価のやり方としては、一人一人の個人を対象とした評価や、それからそれ を集合させた集団としての評価、地域単位、事業所単位、性別でもできるかもしれません が、そういう集団を対象として評価をすること、それから事業としての評価、そして最終 評価、医療費への影響はどうだったかということや、糖尿病等の有病者や予備群がどの程 度減ったかというような最終評価というのもあるというふうに思っています。  それぞれの対象に分けてプロセスからストラクチャー、アウトプット、アウトカム、そ ういった観点から評価をするというようなことがここで書いてあります。一番最後に6番 の保健指導の評価の本文の最後にここらへんをわかりやすく説明してありますので、後ほ ど表をごらんいただければというふうに思います。  それから7の地域・職域における保健指導のところでございます。これは保健指導プロ グラムに直接関係するものではありませんが、これを整理する中で地域保健と職域保健で は大分違うという違いが見えてきましたので、お互いそれぞれどういう違いがあるのかと いうことをわかりながら仕事をする必要もあるかなと思いつつ、こういった整理をしてお ります。  地域保健と職域保健では対象者のいる場が違うということですね。ですから生活環境で すとか職場環境をかなり考慮した保健指導を展開しなきゃあいけない。そして組織体制も 大分違う。あとは対象者に対するアクセスのしやすさ、職域の場合にはしやすいとか、地 域の場合にはなかなか難しい、それから評価のやり方も職域の方はまとまっているので評 価しやすいようなところもありますし、逆にポピュレーションアプローチとの接点は地域 の方がやりやすいというような、それぞれ利点欠点があるということ、こういったことを よく理解した上で展開しましょう、そして地域保健と職域保健を連携することで、保健指 導のサービスの質、量ともに高まっていく、ですから都道府県の地域職域連携推進協議会、 保健所協議会を使ってこういうことをしていくことが必要だということが書いてあります。  8は保健師、管理栄養士が有すべき資質ということでまとめてあります。最初に説明い たしました健診・保健指導の全体のプログラムの中では、第3章は保健指導従事者が有す べき資質というふうにしておりますが、保健指導分科会の中ではここは職種を絞ってここ のことを書きました。広げてコアになるようなことを書いたつもりですが、主にというと ころであげております。医療保険者に所属する保健師、管理栄養士を対象として能力の開 発が必要だということです。  一点目は、保健指導事業の企画評価をする能力開発が必要でしょう。先ほどから御説明 しましたが、計画を策定する力や保健指導を展開する力、社会資源を有効に活用する能力、 それからこれからアウトソーシングなども出てきますので、そういった場合の質を確保す ることや、保健指導の評価をこの部分でできるかという、そういう能力も必要だというこ とです。  そして二点目には、対象者の行動変容が確実に行える能力ということで、いろいろ技術 が書いてございますし、それから専門的な部分としては、栄養、食生活や身体活動、運動、 こういったことに関する専門的な知識もこういう指導をする方々には求められることだと いうことです。  そして最後のページになりますが、9に保健指導の実施に関するアウトソーシングを書 いています。あえてアウトソーシングも保健指導の実施に関して限定をしております。全 体ではございません。最初になぜ今アウトソーシングを保健指導でするのかという、その 必要性をおさえています。現状のマンパワーでは十分に対応できない、こういった仕事の 中身が量的にも質的にも多くなるので、現状のマンパワーでは対応できない、そういった ところから民間事業者を育成し、アウトソーシングをする方向性が示されてきているとい うことです。  そしてアウトソーシングは当面は量の確保、そして将来的には質の向上に寄与するもの だということをおさえております。そしてその保健指導、情報提供、動機づけ支援、積極 的支援、この三つに分けた場合にアウトソーシングできる業務はどういったことがあるの か、部分委託、そして全面委託、どういったものがあるのかということを少し詳しく本文 では説明をしております。  そして留意点としては、保健指導を委託するにあたっての目的をいかに明確化できるか、 そして保健指導の質の評価ができるか、そして委託した業務と、それはパーツですので、 生活習慣病対策全体とどう関連づけてアウトソーシングがやっていける、そういったこと が重要だということが書いてございます。そしてこういったところでは国、都道府県、市 町村、医療保険者、それぞれ役割かあるということを整理しているわけです。  少々説明が長くなってしまいました。資料の量も多く見づらい部分があるとは思います が、以上で標準的な保健指導プログラム(原案)の御説明を終わらせていただきます。  金川座長 どうもありがとうございました。大変膨大な資料につきまして短時間でわか りやすく説明していただいたわけですが、一度聞いただけではすぐにわからない部分もい くつかあろうかなというところが正直なところだと思っております。  今ほどこの標準的な健診・保健指導プログラムの全体図ということで、資料1で構成案 の全体像、特に分科会が二つ、健診の分科会と、それから保健指導の分科会ということで すので、それをあわせた形での全体の構成案が資料1での御説明があったとおりというふ うに思いますが、その中で本日は特に御説明がありました第3編の保健指導、総論の第1 編のところもいくつかございますが、メインとしては第3編の保健指導を中心に、資料3 に詳しい形で標準的な保健指導プログラム原案としてまとめられているというふうに思い ます。  それでは一挙にというわけにもまいりませんので、少し系統的な形で議論を進めさせて いただきたいと思いますが、まずこのプログラムにおきまして先ほど説明がございました 中核的な部分であります、特に第3編の保健指導中心ということでございますが、その中 で第3編保健指導の中で先ほどカッコ書きというのがございましたが、2の基本的な考え 方から6番目までの保健指導の評価まで、一つずつ御意見をいただきまして、その後バッ クしていただいて1の新たな保健指導の方向性とか、あるいは7以降の地域職域における 保健指導、あるいは保健師、管理栄養士が有すべき資質、あるいはアウトソーシングにつ いての御意見をいただくという形でこの会を進めさせていただきたいというふうに思いま すので、御了解よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。  それではまず初めに基本的な考え方、この保健指導のプログラム原案でいけば2の保健 指導の基本的な考え方、あるいはその概要といたしましては、資料2のところでの2の保 健指導の基本的な考え方と一致するというところでございますが、まず、そこの部分に関 しまして何か御質問とか御意見とかございませんでしょうか。委員の先生方のところには 既にお手元に届いているようでございますが、届いていない先生方ももしかしたらいらっ しゃるかとも思いますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  基本的な考え方としては、従来の考え方というよりも、もっと積極的な形でこの保健指 導の位置づけをしていこうということで、ここに書いてありますように、最終的にはセル フケア、自己管理ができるという、そこのところ、行動変容、そういった積極的な保健指 導を十分に進めていこうという、そういう考え方というふうに思っておりますが、よろし いでしょうか。何か御意見なり、あるいはご感想なり、これでいいとか、あるいはもうち ょっとこういうようなところにどうかというようなこととか、遠慮なくよろしくお願いい たします。  押野委員 日本栄養士会ですが、この保健指導の基本的な考え方、セルフケア能力を高 めるという視点は僕は非常にすばらしい視点だなと思います。これまでのある意味での健 康教育、健康相談よりも、まさに積極的に取り組むということで、すごいなあ、こういう ところにきちんと焦点を当てて、まさにビヘイビア・セラピーでやっていけたらなという ふうに思います。  ただ、モチベーションを高めるために30分からというので、その後にまた出てきますが、 いわゆる境界領域、要指導の方たちというのは病識はそんなにない、その人たちのモチベ ーションを高めるのに結構なエネルギーがいるのかなというふうに少し心配をしています。  金川座長 ありがとうございます。考え方としてはいい、これをどういうふうに実施し ていくかという、そこのところを行動変容にきちんともっていくために戦略としてこれか らが大変ということで、そういったようなことがこの後どんどん内容的には入っていって いるというふうに思いますが。  津下委員 あいち健康の森の津下です。この原案作成に携わったのですが、保健指導と いう言葉がどうも今まで知識の提供だとか、上から下へというイメージが強かったので、 今回この保健指導という言葉のもつイメージをガラッと変えることができるような方向性 にならないかな、と思います。要は主役が本人であるということを強調した考え方で、保 健指導のもつイメージが、まあ言葉も本当は変わるといいなというのはメンバーの中では 話し合っていたんですが、法律用語ということですので保健指導という言葉になっており ますが、持つ印象がこれで変わるということが伝えられたらいいかなというふうに話し合 っておりました。  金川座長 はい、保健指導の考え方としては、今、上から下というようなことのお話も ございましたが、最近は表現は違うかもわかりませんが、パートナー的な考え方というよ うな形で進んできておりますので、もしまだその辺のイメージが十分でないという形でい けば、この機会にまたいいイメージになっていけばというふうに思います。ありがとうご ざいます。その他いかがですか。  宮地委員 国立栄養研究所の宮地と申します。保健指導従事者の資質とか能力というこ とが、この基本的な考え方を達成するために非常に重要な点だと思うんですが、他の本文 の中にも書いてありましたが、この従事者というのはおおむね保健師、それから管理栄養 士ということが具体的にあげられておりましたが、そういった人材が養成されていく過程、 大学なり学校、そういった中でここで重要だと書かれているカウンセリング技術だとかア セスメントに関する技術、コミュニケーション技術、いわゆる健康教育というか、指導と いうよりは教育、そういった部分に関するカリキュラム構成というのはなかなか十分とは 言えないのが現状じゃないかなというふうに思っております。  そういった部分を何とかリカレント教育と言っては何なんですが、その質を高めていく ような再教育のようなシステムだとか、そういったようなものもあわせて考えていかない と、なかなかこういったことを実現するのは難しいのではないかということを考えており ます。ぜひそういったことも御議論いただければなというふうに思います。  金川座長 ありがとうございました。これは後半の部分の中で保健師、管理栄養士が有 すべき資質という中で、またさらに具体的に出ると思いますが、出発点としてお題目では なくて、こういうようなことが教育の中にも取り入れられていける、そういうような背景 というのをやっぱりきちんともたなければいけないなというふうに思いました。  漆崎委員 日本看護協会の漆崎と申します。伺いまして非常に保健指導がイメージ化で きたという感じがいたします。今までは何となく標準化って何だろうというふうに思って いて、かなりマニュアル的に決められちゃうのかというのが一つあったんですが、これを 伺って非常に思いましたのは、かなり発想の転換ができて、現場ではその考え方によって はかなりおもしろくできるのではないかなというのは一つ感想としてもちました。  それともう一つ、やっぱり今老人保健事業をかなり市町村でやっているわけですが、そ れを老人保健事業からこの保険者中心の保健指導をどうやって現場ではもっていけばいい のかなというのは、きっと体制のところで検討していただけるんだろうと思うのですが、 その辺がちょっと心配になるし、一般の住民の方がかなりこれは混乱しないようにやっぱ りしていかなきゃあいけないということと、それと今までやった指導体制を多分健康手帳 とか、そういうのは持っていると思うんですが、やっぱり住民のそういうセルフケアが今 までされていた部分も、やっぱりこれはつなげていかなければいけないんじゃないかなと いうような感じがしまして、その辺基本的な考え方の中に、特にセルフケアと言っている のですが、そういうセルフケアの部分が特に今回この中には盛り込まれていないんですが、 そういうところを少しどんなふうにしたらいいのかというのはちょっと考えさせられまし た。  金川座長 ありがとうございます。これが私どもはセルフケア、自己管理というふうに 言っているけれども、その一つの結果的なものが対象の方、健康手帳の話も出ましたが、 こういったことがどういうような形で活用していっていいか、体制との関係も出てくると 思いますので、またその時にというふうにも思いますが、大事な観点かなと思います。今 日はここで結論をというわけではなくて、いろんな御意見を伺わさせていただいて、そし てまたこの中に取り入れられる部分は取り入れて、次のバージョンアップにしていくとい うことが目的でございますので、どうぞ忌憚のない御意見を賜ればというふうに思います。  津下委員 今までは保健指導は職人芸的な側面をもっていましたが、標準化ということ で、うまくやっている事例や、モデル事業でやっていたことのエッセンスを水平展開する ということが一つ大事なポイントだろうと思います。きっちり固まったパッケージのよう なものを国が示して、これでやりましょうということではなくて、現場でどんどん改善し て、いいものをお互いに勉強しあって、さらに高めていくというような、そういう保健指 導の技術の情報公開といいますか、情報交換をしあってよりよいものをつくっていくとい う、そういう仕組みが必要だと思います。現時点でひとつのパッケージをつくってもすぐ に飽きられてしまうのではないか。、それを使いながら改善していく中で資質向上ができる のではないのかなというふうに考えます。  有原委員 狭山市からまいりました有原と申します。確かに説明を聞きましてある程度 イメージはできます。しかし、、現行、保険者は国民健康保険課であり、、保健指導を実際 にやっているのが保健センターというヘルスの部署なんですね。どこでもそうであるとは 言えないかもしれませんが、恐らく、ある程度、役所は縦割りになっているものですから、 その国保と保健指導を行っている部署との連携がうまくできてないというのが実態だろう と思います。  それが今度、保険者が健診を行うことになった時に、国保の担当者の方、これは市町村 の場合ですが、ツールを持っていません。ツールを持っているのは保健センターですから、 その連携をどうするかということで、市町村の中における体制の整備が必要なことだと思 います。  それから事業においてはヒト、モノ、カネと言いますが、ヒトというところを考えます と、政令市や大都市のことはわかりませんが、保健師の実態を一昨年かなり調べた結果に よりますと、若い方で支えられているというのが現状なんですね。就職して10年未満の保 健師で支えられているのが実態なのです。そうした実態の中で先ほどお話がありましたが、 アセスメント能力、コミュニケーション技術、カウンセリング技術が肝要となりますと、 多忙な現場の中で高めていかねばならない、しかし、指導者はいないという実情がありま す。  この部分をどういう形でサポートするかという問題もありますし、先ほど津下委員の御 発言もありましたが、例えば県なら県の中でそれを高めていくような体制を作る、大きく バックアップできる体制を作るとか、そうした点まで考えていかないと、おそらく平準化 というところにはなかなか行き着かないんじゃないかという気がするのですが、これは感 想でございます。  金川座長 ありがとうございます。今の御発言の中での部分というのは、まずここは考 え方というところから行くということで、これを具体的にどういうふうな体制で、誰がど ういうふうなシステムでやって、どういう評価して、そしてそれをどう連携という、ヒト、 モノ、カネの話がございました。これを進める体制の問題という形で、いろんなことが次 にあがってまいりますので、これは今の御意見も伺いながら、後半のところでもぜひまた 御発言をいただければというふうに思います。  直井様(松田委員代理) 座長がせっかくおまとめになったところで申しわけないんで すが、今の津下先生、有原先生、宮地先生の御意見から、標準化についてはその中身を、 プロセスをというか、個人対個人のものをびちっと決めていくものではないという御説明 でございましたが、そのスキルの部分、ツールの部分のところでのある一定のレベルを保 つためのマニュアルというものをお考えなのかなというふうに思っているのですが、いか がでしょうか。  金川座長 それではそれは野村室長さんのところに御質問の形でよろしいでしょうか。  野村室長 人材育成のところについては、体制整備のところで出てくると思うのですが、 そこの中でそういった能力をどう高めていくかという、より詳細な議論になっていくと思 います。そこの中でこういったものが必要ということが議論されるのかなというふうに思 います。おっしゃるように、スキルとかツールとか、今いろんな形で出てきていますので、 そういったものを整理していくということも必要だろうなというふうに思っておりますが、 これからの課題かと思います。  宮崎委員 千葉大学の宮崎と申します。今の御質問とも少し関連して、この標準化とい うことにつきまして一言このイメージを広める意味で発言したいんですが、本当に今まで 保健指導というものは各地域、それから事業所でなされてきたという事実がありますよね。 けれども本当に個々で格差が大きかったという実態があると思います。ですからここでい う標準化とは最低基準というふうに位置づけられるものなのかなというふうに思っている わけなんですね。  ですからもう既に非常にマンパワーを投じて、また資源を投じて保健指導を充実してい らっしゃる地域や事業所もあると思います。ですからそこはそこでまた独自にこの標準化 をさらに上回る形でやっていただくことは大いに結構だと思うんですね。しかしここで言 う標準化というのは本当に最低基準、ここぐらい、ここまでは全国各地でどんなところに おいても満たしていこうねという、そういう類のものであるというところのイメージを持 ちたいなというふうに思うんですが。  金川座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは最低基準と言った時 に、どういう内容、あるいはどういう項目、先ほどスキルの問題もちょっとございました が、どういうような項目なり、どういうような内容に関しての最低基準かということの意 味も先ほどの御質問にあったのかなというふうに思うんですが、そこらあたりは宮崎先生、 その最低基準と言った時に、ここでの議論が少しあちこちなりましたが、保健指導プログ ラムのこの標準化と言った時に最低基準の考え方、その時に個々の病態別云々と言わなく て、その保健指導をどういうふうなプロセスで、どういうふうに進めていくかという、そ このところの最低基準を標準化というふうに言ってよろしいんでしょうか。  宮崎委員 きょうの資料でいいますと、この基本的考え方の(6)でしょうか、保健指 導プログラムの標準化とはという(6)がございますね。そこに標準化できる部分はとい うことで、プロセスだとか、行うべき内容、それから頻度や方法、体制など、そこらへん は標準化できるのではないか、そこらへんから確認できていければいいのかなというふう に思っております。  金川座長 ありがとうございました。それでは鈴木先生どうぞ。  鈴木委員 この検討会の方に参加させていただいておりましたが、その標準化というの で最低レベルというのを押さえて話し合いをしましょうというのは前から私はずっと言っ てまして、どのレベルというところを考えるという時にはそれが必要ではないか。  もう一つ、個々に関してというのは、今のところ考えないという標準化もあるかもしれ ないんですが、個人のレベルがあってこそ人に伝えられるという観点から、私は管理栄養 士なんですが、資格というのはいくら持っていても教育された時代とか、あとはその後の 経験、スキルとか、最新の情報の受け止め方とか、それはもう個々で様々な問題となって、 専門家としての個人の裁量に任せていると一定のレベルというのはどこに置けるかどうか というのが明確にならなくなる可能性が出てくると考えています。  最低必要なことを示すという観点からは、今回の保健指導の重要なところは、対象者が 主役であって、その方たちにどういう情報を正確に伝えるか、そして行動変容まで起こす か、そしてそれが結果評価に結びつけるかという観点から、個人の状況等を把握するため の最低レベル教材をちゃんと提示して、対象者に対してどういう教材が必要なのかという、 最低レベルの教材を提示して、そしてそこのところを各保険者さんなり、管理栄養士、保 健師がもっとレベルアップしましょう、ここの部分はもうちょっとわかりやすいようにと いうのをアレンジして提供したことによって、うちはここまで成果が上がりましたとか、 上がりませんというのも、ここの評価というのの一つなのではないかな。  そこから裁量なのかもしれないので、今全国でバラバラなレベルの管理栄養士、保健師 を一定化するためにも、きめ細やかな学習教材を使った標準化というのはある程度このプ ログラムの中に必要なのか。ただ、原案の目次のところの8の(2)の6)のところに、 学習教材という部分がありますので、そこの部分で入れていただいて、こちらに提出され るということを私は望んでいます。以上です。  金川座長 今の6ページというのはどこの部分ですか。  鈴木委員 標準的保健指導プログラム原案の目次の大きい8の保健師、管理栄養士が有 すべき資質の(2)の6)のところに、学習教材の開発という部分がありますので、そこ の部分でどういう教材だというだけではなくて、モデル、きめ細やかな、これは最低レベ ル使いましょうよというものを提示するというのは、私は大切だと考えます。  金川座長 これはあとで出していただいた方がいいかもわかりませんね。最後のところ の6)の学習教材の開発、ここのところということですね。それでは保健指導の基本的な 考え方に対しましては、いろいろ御意見なり、あるいは研究会の方からこういうふうな考 え方というような部分も出していただき、とりあえず共通理解に近いものがいったかなと いうふうに思いますので、それではその次の部分に順次行かせていただきたいと思います。 それでは次に保健指導計画の作成ということにつきまして、いかがでございましょうか。  吉池委員 国立健康・栄養研究所の吉池でございます。サービスのコンテンツのことは 置いておきまして、今後実施者と言われるところの専門職に新たに求められる部分がここ だろうと思います。とかくこういう議論は抽象的な整理が多くて、いざ現場でやろうとな るとなかなか難しいという現実がよくあるかと思います。今回おまとめいただいた6、7 ページの表1、表2を大変興味深く拝見をしました。  今後この中の事項だけではなく、特にアウトカム、疾病とか医療費に近い議論になると、 今回はあくまでも生活習慣病の予備群に対して、それらが医療の対象となるのを防ぐとい うところの議論なわけですが、実際、死亡率、医療費と言った時には、医療そのものがど うかということがかなり大きなウエイトも占めるわけです。結局全体像を見渡した時に、 この保健指導あるいは健診というところではどこを押さえるのか、当然保険者ですから、 医療そのものも含めて包括的に評価をした上で保健指導がどうなのかということを分析を しなければいけないかと思うんです。その辺の全体像や仕組みがあって、今回はどこを押 さえるのかということを少し整理しないと、ここでアウトカムのところを含めてすべてを 抱えるのは重い話かなと思っております。  金川座長 もうちょっと具体的には、今の先生のお話ではその全体計画というものを押 さえながら、その中での保健指導の位置づけも見ていかなきゃあいけないということです か。  吉池委員 要するに保健指導を中心とした専門職である人が、全体の医療費に係わるよ うなことまでも全部評価をして、いろんなことを考えなければいけないのか?又は、全体 の大きな枠があって、ここで書かれている専門職の人にどこまで求めるのかが疑問となり ます。そこが余りに大きな枠で総論的に書かれてしまうと、実際にどこまでどう評価をし たらいいのと実際に担当される方は思ってしまうという意味合いです。  金川座長 ありがとうございます。今のことに関してはいかがですか。  津下委員 計画の作成のところに集団全体の分析項目等が入っている理由、これは保健 指導者が直接計算しなさいとか、そういう意味ではなくて、こういう課題、現状認識を持 って、その重要性を十分理解した上でするということでありまして、むしろ保健指導者が 直接それぞれの責任範囲といいますと(6)の項になるんですが、保健指導の評価の5ペ ージの表がございますが、こちらの方で具体的な個人に対する評価とか、そういうそれぞ れの責任範囲の評価項目はあげてありまして、これが直接的な保健指導の評価ということ になります。  ただ、生活習慣病予防で、ともすれば予備群の方はほとんど余り主体的に取り組むとこ ろが弱い部分がありまして、ついついそれに保健指導者も一緒に流されていくことも往々 にしてあります。要は緊急度としては見えにくい部分があるわけで、こういう情報につい て集団の特徴を押さえた上で、重要度をしっかり認識した上でその計画を立てるという意 味合いで、ここのところは知っておきたい項目みたいなところといえます。だから実際に 保健指導にあたる方がすべてやらなくても、これはもう既に自治体なり保険者なりが持っ ているべき情報だろうなというふうに思うんですが。  中島参事官 健康担当参事官の中島でございます。吉池先生の御質問の趣旨は大変よく わかります。ここの部分は保健指導計画の作成ということでありまして、はっきり言って もう少し明確にした方がいいのかなと思っているわけですが、いわゆる現実に保健指導に 携わっていただく保健師、管理栄養士さんが、自分たちの保健指導の効果といったものを どのように評価するのかという、一つの重要性というのは当然あるわけですね。  それとともにもう一つは、医療保険者として自分たちの抱えている、被保険者集団の健 康課題をどのように発掘し、そしてどのような保健指導を行い、それがどのような成果に つながるのか、またはアウトソーシングする場合には、そのアウトソーシング先というの をどのような基準で選定していくのかという、いわゆる医療保険者の中で企画立案に携わ る者が持たなければいけない、または把握しなければいけない指標というのが、こうある んだ。それで往々にしてその企画立案の部分に携われるのも医療保険者が抱えられる保健 師さん、管理栄養士さんがおそらくそこの企画立案の部分も持つんだろうと、こう思うわ けです。  だからある意味での野村室長の方の説明にも、今後保健師、管理栄養士が持つべき資質 のところで大きく二つに分けて書いていたと思いますが、いわゆる医療保険者の中でやら れる方々というのは、まさに健診・保健指導計画の企画立案と評価をする、そのためにど ういう指標が要るかということが必要ですし、現実に保健指導に携われる方々にとって自 分たちのする保健指導の効果をどのように把握するか、それから自分たちはどのような問 題認識をもって、個々の保健指導に携わらなければいけないのかという時に把握すべき手 法というのはおそらく分かれていくんだろうから、おそらくそういう点をもう少しクリア カットにして、今後整理をしていく必要があるのかなと思っております。  金川座長 それでは今の話に続けていけば、きょうはいろんな領域の保険者の方々も来 ていらっしゃいますが、少し御意見いかがでしょうか。多分あとこれの体制のこととか、 あるいは今の計画の後、関連という意味の中では、評価のところで、これも個人の評価と、 集団的、それから事業の評価、それから全体的な最終評価という評価のレベルもいろいろ ございますが、医療保険者の方々の、あるいはその事業体の評価というのがすごく大事に なって来ると思うのですが、その辺を含めまして、まず保健指導の計画のところで、まず 集団全体、その地域なりその集団がどういう特徴があって、どういう問題があるのかとい うようなことを把握していきながら、もう一方個人の分析という形、こういうことを頭に おきながら次の保健指導へと連なっていくというふうに思うんですが、この最初のこうい った全体像の把握というような面につきましては、少し保険者の方々いかがでしょうか。  有原委員 全体像を眺めて、課題を認識し、対象者を絞り込むことをしていかないと、 おそらくすべてをやるということは難しいかなと考えております。仮にアウトソーシング をするといたしましても、健診結果によって対象者を選定し、保健指導の案内をするとか、 対象者を選び出すというのは、保険者の役目であると考えています。  そして、その対象者の選定をする際、この人たちにやれば指導の効果が上がると判断で きるのは、専門職に係っていると考えています。しかし、その点を確信を持ってできるか というと、なかなか難しいところがあります。そこで、平準化とか、かなりの知識を必要 とするわけです。、それから、もう一つは、この方向でいくのだというところを明らかにし、 政策として実施していかないと、保健指導の評価がされにくいのではないかなというよう な思いがあります。  当市の場合、過去に保健指導の評価をしたのですが、指導により医療費が削減されたと いう、大きなところの評価まで至っていない為、健診とか保健指導が大きく評価されなか ったかなと思います。政策として重要視する首長さんのお考えが明確になり、それに基づ いて保健指導を実施していくのであれば、おそらく効果的は大きくなりますし、市として これを施策として、健康で住みやすいまちを作るという町づくりの方向性が出していけれ ば、担当しているものとしては非常に喜ばしいことだと思っております。そのためには課 題分析を、市の国民健康保険課が、保険者として実施していくことは、必要であると考え ております。  椎名委員 保険者の立場からというようなお尋ねがありましたので、健康保険組合連合 会の椎名と申します。一番最後にいろいろマンパワーとか、アウトソーシングとか、ある いは大体そういった専門職が一体どんな需給関係にあるのかとか、どんな就業形態になっ ているのか、その辺を教えていただこうと、少し項目が進むのを待っていたんですが、こ の段階で振られましたので一言申し上げたいのですが、私ども保険者の一角を占めている わけですが、健保組合の場合現状は非常にさまざまなんですね。財政規模から、あるいは 保健事業の取り組み方とか、非常にさまざまです。先駆的に優秀なマンパワーとか財源を 持ってやっているところもありますが、ほとんど保健事業をやられてないような組合があ るわけです。  御承知のようにいろいろな医療保険制度改革の結果、財政状況というのが非常に大きな ポイントになっていまして、ここの10年間で200〜300の健保組合がなくなってきている わけですね。一時は1,840ぐらいあった健保組合が今は1,560ぐらい、まあそれは置いて おきまして、基本的に先ほど中島参事官が言われたように計画を作成するのは医療保険者 自身の問題だとおっしゃるのはそのとおりなんです。  ですからそれは保健師さん、あるいは管理栄養士さんも含めて、保険者がきちっとこう いった計画を策定していく、これが本筋なんですが、なかなかそれができない組合がいっ ぱいある、それをどうすればいいのか、非常に頭が痛い、悩ましい問題で、私どもとして はそういったものを少しでもレベルアップしていきたい、あるいはアウトソーシングも含 めてそのレベルを上げていかなくてはいけない、そういうふうな考えなんですね。  当然これは今後義務化された中で保険者として従前以上にかかわっていかなくてはいけ ないんですが、そのためにはそういったレベルの健保組合の体制をどう整えていくのか、 それはお金もない、人もいない、ノウハウもないという、そういう組合をどうやって私ど もとして支えていくのか、あるいは標準化していくのか、その辺で頭がいっぱいです。  金川座長 どうもありがとうございました。健保の少し現状のお話も伺って、ますます これをどう実施に移すかというところでの課題も大変多いというふうに感じました。それ では次に保健指導計画を立てるためには、こういった非常に大きな全体的な形でも見なが らという、そういうことの大事性ということで、次に保健指導の対象者のことに移ってい きたいというふうに思いますが、だんだんと具体的なところに入ってまいりますが、保健 指導の対象者のことにつきましては、ここにございますし、それから先ほどの御説明もご ざいましたように、対象者はすべてであるという中で、保健指導の対象者をこういった情 報提供、あるいは動機づけ、あるいは積極的な支援という段階に階層化して進めていくと いう、そういうことでの提示ということでございますが、このところに関しましては御意 見なり、内容的なことについて何かございませんでしょうか。  これも一度聞いただけでもなかなかわかりにくい点もあろうかというふうには思います が、そして特に私も話を伺いながら、この本文の2ページのところに最終的には健診班の 基準値がまだ出てこないわけでございますので、それともう一つここにあります問診の表 4のものを加味して、この保健指導の対象者を少し階層別にして、そしてさらにこの動機 づけとか積極的な支援ということに関しましては、さらに4ページの問診表を加味すると か、あるいはさらに個別的なことへという流れかなというふうに思うんですが、何かござ いますか。  直井様 社会保険健康事業財団では政管健保の方の健診後の保健指導を行っているわけ なんですが、最初にこの対象者選定の問診表がこの5項目、3点以上の方ということで振 り分けていくというふうに統一をされますと、私ども現在使っている問診表とはずいぶん 違ってきてしまいまして、問診表を変えていかなきゃあいけないかということが出てくる わけなんですが。  矢島室長 実は問診票につきましては、健診の方も同じ課題がありまして、ただ、そう は言っても電子的に標準化するためには、要するに現場で使う細かい問診のレベルもある のですが、やはりちゃんとしたデータ管理、医療保険者にいくデータとして健診の結果等 も含めて、やはり重要な問診というのがあって、それはある程度電子媒体にのせられるよ うな標準的なものにする項目もあるのではないだろうかふうな御意見もありますので、健 診分科会の方でもそういうふうなことの御議論をいろいろといただいてるものですから、 そういうふうな議論も踏まえてまたこちらの方でも御議論いただければというふうに思っ ております。  直井様 引き続きそのことに関してなんですが、健診の方と問診表、実際リンクしてい くという形になるかと思うんですが、もう一点は、今この5項目になっているんですが、 この保健指導のところでセルフケアということが最後の目標というふうになりますと、有 効なアプローチをしていくためには御本人の健康観、どういうふうに御本人が思ってらっ しゃるかというあたりをお尋ねできればいいのでないか。  例えばこれで情報提供レベル、それから動機づけレベルというふうに分けていくわけな んですが、その時点で例えば情報提供レベルの方にでもその健康に関して何らかのある程 度関心があるとか、少し何かやっているとかというような方への情報提供と、それから全 く何も知らない無関心、それから何もしようと思ってない方への情報提供というのは、例 えもしそれを自動的に振り分けるとしても若干の違いが出てくるのではないかなと思うん ですね。  より有効にやっていこうとしますと、そこのところをお尋ねした方がよろしいのではな いかなと思ってこの問診表を拝見したところなんですが。それがあわせて結局バラバラに、 ここでは健診結果とこの問診表といったようなことを加味して対象者を階層化していくと いうふうになりますと、そこのところで健診結果とこの問診の結果が、さっき矢島室長さ んがおっしゃっていたように、電子媒体なり、何らかの形で一緒にもういただけるような 形になれば非常に早く楽にできるのではないかなと思いました。  石井委員 今の問診に関することなんですが、当然電子媒体で管理ができて、アナライ ズができてということがあるんですが、ただ、やはりそれぞれの工夫とか、もちろん健診 とリンクするわけですから、そうしますと例えば基本項目と、それからあとは選択的にも う少し項目数がふえるとか、この問診そのものを段階化するというか、そういう考え方は できないんでしょうか。  野村室長 問診については、実は2カ所に書いてあるんですね。対象者のところでは、 健診を受診する時に行う問診ということでかなり数を絞っています。そして5番の保健指 導の実施のところでは、動機づけ支援や積極的支援になった方々は、一番最初にアセスメ ントする、その時に必要な問診というのを、詳細な問診という言い方で書いています。で すのでそういう意味では1段階目と2段階目と分けて問診を書いてあります。そして2段 階目のその詳細な問診の中に、こちらの5番の保健指導の実施の2ページ目をお開けいた だきますと、その詳細にとったらよろしいではないかと思われる問診を1〜10項目まで書 いてあります。この中に先ほど直井委員の方から御発言のあった健康意識ですとか、変容 のステージですとか、過去にとった健康行動ですとか、そういったこともここの場面の問 診時点で把握をしたらよろしいのではないかなというふうな考え方でおります。資料の説 明が不十分で失礼いたしました。  矢島室長 少しだけ補足いたしますと、基本的にはそういうふうな形で健診のレベルと 保健指導のレべル、また問診の考え方が今説明をさせていただいたとおり違うものがあり ますし、それから標準的にすべきものと、それから個々に工夫して、現場でオプションが できるような工夫もまた必要なんだと思っております。そこも含めて議論していく必要が あるんじゃないかと思っていますが、基本的には共通にすべきものと、やはり現場にある 程度自由裁量というんでしょうか、現場がやりやすいように必要なものかとれるような仕 組みというのもあってもいいんじゃないかと思いますが、そこも含めて今後もう少し御議 論を深めていく中で、またそれのところは少し議論を煮詰めていければというふうに思っ ております。  押野委員 階層の選定で実際に健康教育、健康相談を市町村の仕事を進めてきた中で、 ここではそういうことはありませんが、かつてのしっかりした改善をしていますが、健診 結果と保健指導の対象が例えばこれまでこんな問題がありました。市町村で健診をしまし た、そして保健指導等を、これまで健康相談をする時に、市町村広報で募集します、健診 結果と離れた人が受講してくるんです。そのことが決してないように、ここではなってお りますが、きちんとした対象に焦点を当ててほしいということが一点。  そしてもう一点が、この対象者の選定で、表5の7、8、9とあるんですが、ここのフ ァーストイーティングやナイトイーティングシンドロームというのは、まさに肥満の特有 の食行動なんですね。ここは単に情報提供という項目でいいのか、本当にこういう食行動 があれば肥満の予備群としての介入が必要なのではないかというふうに思ったりするんで すが、その特有の食行動になっていると僕は思うんです。こういうクライテリアでいいか とかということです。二点です。  鈴木委員 それに関して、押野先生のおっしゃるとおり、この問診を情報提供にすべき かどうかに関しての議論は研究会の方で相当長いことやりまして、この7、8、9番に関 して、そしてもう一つステージを上げて、対象者を選定のための問診にあげるべきではな いかどうかというのもとても議論があったんですが、この食行動をもっている方というの は必ずや体重に何らか響いてきたりとか、中性脂肪の高値を示したりという、この健診の 結果とリンクできるのではないか、なのでそちらで確実に拾っていくという方が十分な対 象者の選定になるのではないか。  日本では栄養教育というのは割と盛んに行われていますので、この7、8、9番に○を したらどういうことが起るかというのは、その対象者側もある程度予測がつく、早食いで あるのに○をしたならば、どういう結果を招いて、どういうことをやらされてしまうとい うのが大体わかるということを考えますと、健診結果と体重がふえたというところから完 璧に対象者を動機づけ支援、あるいは積極的支援にもっていく方が確実ではないかという 結論に一応研究会では至りまして、こういうことになりました。ただ、これに○をしてく ださった方に関しては、ひっかからなかった、情報提供だけで済んだ方というのに関して は、これに関する情報提供の適切な学習教材をお送りする、きめ細やかな学習教材をお送 りするということでどうであろうかという結論に一応達したということです。  金川座長 そういうことも含めてこの項目、保健指導の対象者の選定、あるいはその時 に使う基準といったようなものをまた検討させていただきたいと思います。それでは次に 保健指導の実施に関しまして、いかがでございましょうか。実施に関しましては、具体的 な情報の提供の事例も含まれているということでございますが、ここのところに関しまし ていかがでございましょうか。  階層化していく時の基準とかということに関しましては、その前との関係ということで すので、未だ議論の余地は若干ございますが、そういった対象者、もし階層化をしていっ た時に保健指導の具体的な内容ということで、表6のところにわかりやすい形でまとめて 提示されているということで、先ほどの説明があったとおりということでございますが、 こういった回数がいいのかどうか、あるいは内容的なこと、支援の形態、そういったとこ ろで、各論になりますのでちょっと議論はしにくいかなと思いますが、もし何かお気づき の点とか、あるいは何かこの分け方についての御意見とかございましたらお願いします。 ここのところに関しましては研究会の方では特に何か御意見を伺うとかというようなこと はよろしいでしょうか。  それでは時間を急がせて申しわけございませんが、もし後で出ればまたバックというこ とで、一通り私の役割としては御意見を伺うということですので、次に実施の後、評価と いうことで保健指導の評価で、これは先ほどの計画とのところでのどういうような内容を 検討して計画を作成するかということもございました。その後、保健指導を評価していく という面の中では保健指導を評価するレベルがいろいろあるということで、繰り返しにな りますが、かなり個別的なところから事業全体、それが最終的には医療費に結びつくとい うような非常にマクロという表現はここでは余り使っておりませんが、非常に大きな形で のリンクというところもございますが、この評価の意味、あるいはこういったことの評価 ができるかどうかというようなことも含めまして、これは保険者のところにも保健指導の 評価の方法ということで、本文のところでいけば5ページのところにとりあえずまとまっ た形で対象、それから評価の項目、それからどういうような面から評価をしていくかとい う、その評価の指標、それからその方法、時期とか、その評価をしていく責任者という中 で保健指導従事者のところ、それから先ほどちょっと委託の問題、あとでアウトソーシン グのところで御意見があろうかなというふうに思うんですが、大きな事業という意味では 保険者のところでの評価ということがございますが。  吉池委員 保険者単位、健保組合単位で評価した結果について、組合員、利用者にきち んとその結果を伝えることが重要と思います。またその医療費ということに限っていえば、 医療費の適正化に関する今の流れ等が組合員にきちんと伝わるような仕組みをつくるとい うのが大事じゃないかと思います。  また5ページを見ていますと、最終評価で死亡率、要介護率というのは5年後10年後と なっています。これは断面的ではなくて、縦断的にデータがリンクされればよいわけで、 そうすると研究的な意味あいも含めて、コホートを設定することになります。おそらく組 合によってはそういうことも可能だとは思いますが、ただしそれをするにやはり組合員、 利用者の理解、協力が必要です。そういうデータをきちんと残し、評価をさらに精緻にし ていくための協力が得られるような体制もあわせて考えていかれると良いのではないかと 思います。  金川座長 ありがとうございます。きちんと対象者に伝わる仕組みということですね。  宮崎委員 今の御発言とも関連するかもしれませんが、この5ページの表というのは割 ときめが細かく出してあるのかなという印象なんですね。ある程度本当の意味で標準化と いうふうに詰めていきますと、全国レベルでいろいろ比較ができたり、その全国レベルで の比較の中でもう少し努力しなきゃあいけないかなとかいう、そういう自分自身の保険者 へのフィードバックがまたそこにあったりという、そういう循環が生まれるようにしてい かないといけないと思うので、この標準化の中でもおそらく、今回のこの取り組みの最終 目標は生活習慣病有病者予備群を少なくとも25%減少していくという大目標があるので、 そこに向けての指標となると、この最終評価あたりをやはり大きな評価指標としていくの か、何かこの評価指標はいっぱいあるのですが、特にこのレベルというところに絞りきっ たものをさらに明確にしていって、全国レベルで集約していくような、そういう仕組みも もたなければいけないのかなというふうに感じたんですが、どうなんでしょうか。  金川座長 ここにいくつか最終評価が並んでいる中で、これは絶対にはずせないという、 非常にミニマムの項目というように解釈してよろしいわけでしょうか。  宮崎委員 一応これは標準的なものというふうに提示して、個々の保険者がそれぞれの 個人から集団、事業、そして最終というところで、もちろん押さえていかなければならな いものですが、その中でも特に全国レベルで比較検討できるような、そういう指標という、 重みづけというんですか、そういうのが何かあった方が各保険者がもう少し自分自身の評 価をさらに全国視野の中で検討したり、あるいは自分たちの特徴というものをより明確に していったりということができるのかなというような印象をもったのですが。  矢島室長 今の御指摘の点につきまして、標準的な健診・保健指導プログラム構成案の 全体の第4編の体制基盤整備の第1章の健診・保健指導に関連するデータ管理、ここのと ころも私どもの方は健診の方でいろいろと御意見を承っているところがあるので、ここの ところで今宮崎委員から御指摘のあったことも踏まえまして、ちょっと御議論をいただけ ればというふうに思っております。   金川座長 今ほどの投げかけとしましては、資料2のところで保健指導の評価の最後の ところで、こういった評価に関しましての明確にしておくことと同時に、データについて のデータ管理ということに関しての重要であるということなんですが、という表現になっ ているんですが、この辺に関しまして何かそれぞれの立場、あるいは保険者の立場ではこ の辺のデータ管理というのはいかがでしょうか。どういうふうにしていったらいいのかと か、あるいはこれをするにあたってこういうふうな課題があるとかということに関しまし ていかがでしょうか。  直井様 またお尋ねなんですが、さっきのデータ管理のことにつきまして、健診部会の 方では基準値の統一はもう図られると考えてよろしいんでしょうか。  矢島室長 健診分科会は20日の予定になっていまして、これからそれを含めて御議論い ただくことになっています。済みません、ちょっと順番が逆になってしまって申しわけご ざいません。  直井様 それをお尋ねいたしましたのは、評価をしていく場合、先ほど宮崎先生の方か らもありました全国レベルでということを考えていく時に、そこがまたバラバラでありま したりということで、非常に困る部分が私ども今出ておりますので、そこのところをきち んとしていただく、レセプトにつきましても疾病の書き方等をきちんと統一していただか ないと、その辺での評価というのは非常にあいまいになってしまうということがあります ので、あわせて御議論をいただければと思っております。  矢島室長 今御指摘いただいたような点も私どもは直接研究班の先生からも意見をいた だいているものですから、そこも含めてまた健診分科会の方で議論をさせていただければ というふうに思っております。   金川座長 では健診分科会の方でまた御議論ということですけれども、このデータ管理 について特に注意すべきこととか、あるいは管理の上でこういったようなことが少し障害 になるとか、問題になるとか、なかなかできないとか、どうしたらいいかとかいうような ことに関しまして、もし御示唆なり何かあればまた健診班のところにも反映させていただ くという意味ではいいかなというふうに思うんですが。まだそこまで内容をどう進めてい くかということで、データベースをどう整えるとか、あるはデータ管理をどうするかとい うようなことまでなかなか準備が行きにくいというか、まだそこまで頭がいかないという 点があるのかもわかりませんが。  直井様 もう一つ質問してよろしいでしょうか。先ほど宮崎先生がおっしゃいました、 全国レベルでやっぱり評価で比較していかなくてはというお話がありましたが、その場合 にまたさっきのマニュアルの最低限ここは押さえるという話にむし返してしまうのですが、 それプラスαの最低限を押さえたところプラスαのことをやっているので、評価をした時 にこれだけ飛び抜けた成績が出せるんだよということが、どういう形で把握していくのか、 その辺はいかがかと思って、特に健保組合さん、連合会さんなんかですと、それぞれの組 合によっての差があるということも先ほどおっしゃってましたので、そのあたり、最低限 ここは押さえるんだけれども、プラスαでアップしていける部分、それから津下先生もお っしゃっているようなスキルアップの部分でやっていく部分というのを、どのように比較 して見ていって、その評価に反映させられるのかというあたりはどのようにお考えか、ち ょっとお伺いしたいと思いました。  中島参事官 そこについても、健診分科会と本保健指導分科会でもう少し具体的なデー タというのを、どういうものをやっていくかということですね、それで基本的には都道府 県ごとの健康増進計画、それから今度新たにつくっていただく都道府県ごとの医療費適正 化計画、そしてどういう形でつくっていただきたいかということを国として基本指針みた いなものを示させていただきます。その中で現段階で考えておりますのは、きょうも御議 論があったような糖尿病等の有病者・予備群の数を25%減らしていくということ、いわゆ る糖尿病等の有病者・予備群の数、それから健診の実施率、保健指導の実施率といったも のというのは、少なくとも健康増進計画,医療費適正化計画の中には指標として入れてい ただきたいというふうに考えております。  それで具体的に委員の御指摘があったように、そこのデータがどのようなところでいい 結果が出ているのか、何で有病者が減らないのかというところについても、ある程度今日 保健指導分科会で提示したようなデータ等も示してある程度データ管理ができるようなフ ォーマットみたいなものを提示をしたいと思っています。  そしてそういう中でまずは私どもが考えておりますのは、そうしたデータについては都 道府県ごとの保険者協議会でデータをお互い比較し合う中で保険者同士多いに議論をして いただいてということも一つの方策なのかなというふうに考えておりまして、いずれにせ よどういうデータをどのような形で収集し、それをどのような形で評価していけばいいの かみたいなものもこの標準的なプログラムの中に盛り込んでいければと、こう思っており ます。  金川座長 よろしいでしょうか。まだ課題はいっぱいある、検討しなきゃあいけないこ とがあるということですが。  津下委員 評価をする目的、それから評価の指標があって、判断基準というのが必要な わけですね。どのあたりだったらレベルが合格点で、どのあたりだったら改善しなければ いけないかとか。ただ現状ではそのような一定した方法での評価をなされていない現状で すので、今の段階で最終的に25%減らすという目標に向かっていくけれども、そこのプロ セスの中で個々の事業がどこのあたりが合格点なんだということは、いまの時点ではいえ ないのではないでしょうか。やはりこれからきちっとデータを見ていく必要があるんだろ うと思います。だからそのプロセスをこういう評価指標の中で落とし込むことでたくさん の取り組みを標準化する中で、合格点というのが今後しっかりと議論できていくのではな いのかな。  どこのどういうところが糖尿病予備群を25%減らすことに成功しているのか、それは結 果論として成功しているわけで、そこの間にいろんな段階がある、対象者の選定もプログ ラムも周知も予算のかけ方もいろいろ違う、そこのところをこういう標準化した評価指標 でもってしっかりとした見ていくことが必要なのではないでしょうか。そのための評価指 標を明示することで材料集めが可能になる。まず今回は、そういう仕組みを入れ込むとい うことが大事なのではないでしょうか。  直井様 それは第4編の第3章のあたりにも盛り込まれていくようなことだと考えてお いてよろしいんでしょうか。  金川座長 多分さっきデータは、私も見ながら、データ管理、保健指導を含めてデータ 管理の問題、それから育成、こういった見直し云々ということは第4編のところにという ことですので、多分これからの御意見も入れながら検討してつくっていくことですが、何 か。  矢島室長 御指摘の点はすごく大事なことだというふうに我々は思っていますが、最初 のところの話が決まらずに、出口のところだけの御議論になると、ちゃんと押さえたとこ ろで何を評価できるかのというところもちゃんとわかった上で議論しないといけないとこ ろもありますので、お気持ちはわかるんですが、多分そこで議論があるんですが、そうい うふうな議論を積み重ねていく中で見れると思いますが、それのところについてはこれか ら議論をしながら深めていければというふうに思っております。  金川座長 それでは保健指導の評価というところでの最終的な評価のところで、糖尿病 の予備群を25%下げていくという大きな目的という、そこらあたりが最終的な評価でとい うことですが、具体的にそれをどうやって数字として表し、どうやってそれを引っ張って くるかという、そういったことに関してはまだこれからということでございますが、それ ではお時間も残り少なくなってまいりましたが、一番に戻らせていただいて、例えば先ほ どの新たな保健指導の方向性という部分、あるいは今の各論でいけば地域と職域に関して のリンクしていく、地域職域における保健指導、それから保健師、管理栄養士が有すべき 資質、それからアウトソーシングということ、あるいはこれをどうやって進めていくかと いう体制は、あとではございますが、医療保険者の方々も多いわけでございますので、何 かこれまでの中で含めましてこれを進めていくということに関しまして、何か御意見とか あるいは何か御示唆があればというふうに思いますので、最後の時間をそれで費やしたい というふうに思いますが、いかがでしょうか。  小池委員 私学事業団の小池と申します。これまでの御議論いただいている事柄と重な る部分もあるかと思いますが、プログラム7の地域・職域における保健指導というのは、 この事柄を国民的な課題として位置づけた場合には大変重要なキーワードだと思います。 その意味でプログラム1の中にそういう部分について折り込む必要も前提としてあるので はないかと思います。  椎名先生からも健康保険組合についての現状について御指摘がありましたように、私ど も私学事業団の場合も私立幼稚園から私立大学まで、大小さまざまですし、しかも全国で 約14,000校散在をしているわけでして、これを実行あらしめるためには、やはりその地域 あるいは職域という部分での連携というのは相当強固にしなければならないだろうと思う わけでございまして、後段に書かれております保険者協議会等への表現について、もう少 し具体的にその連携のあり方について強調した表現が必要なのではないかと個人的に思っ ているわけでございます。  田中委員 国保の田中ですが、難しい問題があり過ぎてちょっとイメージがなかなか浮 かんでこないのですが、専門職能としてか、保健活動の知識については有原さんがいらっ しゃるのでいろいろおっしゃっていただけると思いますが、保険者としてじゃあこれにつ いてどう取り組むかという話でいろいろ書いてありますが、まずイメージをつくろうと思 っていますが、要するに国保として実施するのに不足するものがあり過ぎて、それと実施 するという時に取り組む時に難しい要素があるものですから、ちょっとイメージがなかな かわかないんですね。  ただ、それはそれで一つあるんですが、ただ医療保険者として私どもは保険ですので、 経済行為ですので、いわゆる投資した費用というものがどれだけ支出に影響を与えるか、 支出というのは医療費ですね、要するに投資した費用がどれだけ医療費を引き下げれるか、 これは収支バランスがとれなければ医療保険者としては取り組む理由は何もないわけです から、そこらあたりが一つ整理を我々はしておかなきゃあいけない、非常に膨大な仕掛け、 そのことは僕は大事だと思いますが、それが費用としてどう我々として医療保険者として 評価されるのかということですね。  それから地域・職域といわれた時に、これは前も健診の委員会で申し上げたんですが、 地域ヘルス、これは市町村の一般衛生を意味して表現されているような感じが非常に強い んですが、我々国民健康保険というのはこの表現の中でいわゆる地域職域のどこに入って いるのかなということが一つはっきりわからないわけなんですが、幸いに国民健康保険と いうのは保健事業をやりづらいというふうな認識をもっていただいているということであ れば非常にありがたいわけですが、話は元に戻りますが、要するにそういった投資とか費 用対効果という意味では、我々国保としては市町村に足場を置いているものですから、市 町村の一般衛生と、どれだけ連携してやれるか、こういったことは非常に大事なことだと 思いますし、やらなきゃあいかんと思いますが、市町村の一般衛生と国保の保険者とどう 連携するなり、仕事の切り分けをやっていけるのかということをこれから考えていかなけ ればいけないのではないかと思っております。  そういった意味では、我々は保険者協議会の話も出ますが、多分被用者保険の方もそう だと思いますが、結局連携しなきゃあいかんのは市町村の一般衛生といかに連携するかで あって、我々は健康保険組合とか政管健保と連携して得るところはほとんどないんです。 健保組合もそうだと思いますね。国民健康保険と連携して得るところはほとんどないんで す。やっぱり市町村の一般衛生とどう医療保険者が連携して、いわゆる住民情報というも のと医療保険者の情報というものが、いわゆる二つの分野になるわけですね。これが二重 にならないでうまく対応できるかというところに知恵を出さなきゃあいけないわけであり ます。だからこれだけ整理されたものは非常に重要なことだと思いますが、今申し上げた ようなところをちょっと頭に置きながら我々も判断していかなきゃあいけないんじゃない かと思っております。以上です。  金川座長 ありがとうございます。大変大きな課題も出てきたということですが、事務 局の方で何かこれに関して御発言はございますか。  中島参事官 田中委員の方からの御指摘はまさにそのとおりでございまして、極めて重 要なポイントです。一つはやはり市町村の中で衛生部局と国保部局のところの連携という のは極めて重要だろうと思うわけでありまして、そういう意味では既に今度の医療制度改 革についての都道府県など,地方自治体向けの説明会を厚生労働省として何回かやってお りますし、1月13日には保健指導担当者会議というものもやって、野村室長の方からそこ の点は強調して説明をさせていただいたところであります。  やはり国保部局にきちっと衛生部局と連携をとりつつ、保健師、管理栄養士といったも のの配置をしてもらいたいということ、さらには保健師、管理栄養士の一層の資質の向上 のために県と市町村の間の人事交流も積極的にやってもらいたいというようなこともお話 をしておるところでございますので、きょう田中委員の方からお話のあった点については 引き続き県、市町村の方にお願いをしたいと思っております。  それからもう一つは市町村国保と健保組合は連携するにもなかなかというところがある んですが、実はいわゆる私学共済の小池先生の方からも御意見があったわけですが、いわ ゆる被用者本人についてはある程度職域でカバーできるけれども、被扶養者のところをど うカバーするのかというのがおそらく被用者保険で頭を悩まされているところであるわけ で、そういう意味である意味ではその被扶養者に対する健診・保健指導といったもののあ り方について被用者保険と国保の方が連携をしてやっていただくということも重要なポイ ントになってくるのかなというところもありまして、そういうところも含めて今後国とし てもどのような形で円滑にそれが進んでいくのかということを検討してまいりたいと思っ ております。  津下委員 今の田中委員の話の中で費用対効果の話があったのですが、ここが優先順位 だとか、対象者の選定、それから内容、これに直接係わってくることだろうと思います。 今まである企業の健保組合が保健指導を、例えば私どものあいち健康の森で行う場合には、 どのような対象者にすると翌年の医療費や健診結果がよくなるのかというのを分析した上 で、やっぱり肥満者だとかメタボリック・シンドロームの方に集中して行うほうが効果的 だとか、それから年代についてもここの年代に行うのが有効だということで、費用対効果 を分析した上で保健事業をやっている。ところがそういう費用対効果を考えないと、とり あえず何人やればいいという人だけの評価になってしまって効果を見ない、これでは保健 指導の実質効果は出てこないわけでして、費用対効果を十分意識しているからこそ今回の 検討会ではどのようなグループに焦点を当てるべきか、それからどのような年齢層だとか、 そういうことをきちっと分析をして、この効果が上がる対象者をセレクトする、または効 果の上がる方法論をセレクトするという方向へ進んでいくのかな、と思います。ですから 非常に費用対効果をこれからは意識をしていくのがよりよい保健事業のために必要だろう というふうに思っております。  椎名委員 全体の目次表を見ますと、アウトソーシングにつきましては、健診と保健指 導と二つに切りわけた形になっているわけですね。資料1です。しかし先ほど来のいろい ろなお話を聞いてますと、いろいろな計画や評価、あるいは体制の話もありますが、一体 アウトソーシングとしてどこまで何をということで、これらをひっくるめて考えなくては いけないのかなと、そうなると大変大きなテーマになってくるのではないかと思うんです ね。  先ほどの話とつなげますと、人もいない、お金もない、ノウハウもない、そういったと ころをどうするかというのが私どもの大変大きな問題です。ですから基本的にこういった 健診あるいは保健指導、あるいはデータ管理、そういった一連の大きな試みになるのかな と思うのですが、これに関して委託やアウトソーシングを全体的にどう考えるのか、これ をぜひ一つ大項目として御議論いただければと思います。  ではマンパワーはどうなっているのか、保健師さんとか管理栄養士さん、その辺の需給 とか就業形態とか、あとは民間事業者、受け皿的なものが現時点であるのかないのか、あ るいは今後どうやってそういったものを整備していくのか、そしてさらに先ほど来出てい ます費用対効果ですね、これは大変大切な問題で、そういったことも含めてぜひ大きなテ ーマとして御議論いただければと思います。  中島参事官 椎名委員御指摘の方向で改めてまた事務局としても検討させていただきま す。現在国会に御審議をお願いしている法案では、保健指導のアウトソーシングというと ころについては、医療機関その他適当な者に医療保険者はアウトソーシングできるという 話でありまして、実は我々としては保健指導の実働部分をアウトソーシングするという形、 そしてそこの質を的確に医療保険者は把握していただければということなんですが、きょ う椎名委員の方からはそもそもこの健診・保健指導の事業を立案する段階から、なかなか マンパワーが揃っていない医療保険者もあるんだという、かなり衝撃的なお話もお伺いし たわけです。  まさにある意味では本来保険者が持つべき保険者機能、その中に一つ私は疾病予防とい うのも大いにあるわけですが、そこもなかなか担いきれない脆弱な医療保険者もおありに なるということであれば、ある意味ではそもそも根っこからアウトソーシングする、すな わち自分のところの医療保険者の健診・保健指導の事業計画からもう外の人の知恵を借り てやりたいんだという保険者がもし存在するんだとすると、本当にそういうアウトソーシ ングを認めていいのかどうかですね。本当にそれが保険者として大丈夫なのかということ も含めて、この場で大いに御議論をいただければと思います。  そしてそれが現実だ、そして当面の措置としてそこから考えないといけないのだという ことであれば、まさにアウトソーシングのあり方、そしてその場合、アウトソーシングす る際に一定の基準を設けるとするとどういうふうな基準があるのかということにもなって いくと思いますので、そこらへんはやはり保険者の実情も十分お伺いしながら考えていか なければいけないところだなと改めて認識させていただいたところでございます。   田中委員 アウトソーシングの話はまたの機会にと思っておったんですが、一言だけ。 おっしゃるとおりでして、結局全体の体制整備の話もあるし、個別的な実施の問題もある わけですが、やはり手勢が少ない中でどうやっていくか、手勢をふやすということなんで すが、僕は基本的に保健事業って、ヘルスというものは民間の事業者に委託するものじゃ ないんじゃないかという気がしていまして、やはり同じ町内、同じ市内の一定の職能をも った人たちが住民と親しく接して、そういう中で心身の指導なりにあたっていくというこ とじゃないかと思っております。かつての保健婦の家庭訪問というのはまさにそれが原点 だったと思いますが、そういった時間が極めて限られてきているというのがきょうの保健 師の問題かもしれませんが。要するにそれが一つ。  余り民間の事業者というものを意識しないでやっていくのがいいんじゃないかというこ とと、それから我々国保では保健師百万人運動というのを提唱しているわけですが、これ はどういうことかといいますと、要するにボランティアの参加を促してやっていくという ことなんですね。市町村に24,000〜25,000人の保健師がいらっしゃいますが、こういった 方たちに40〜50人ボランティアをつかんでもらって、要するに保健師と同じぐらいの資質 まで高めて、長野がいい例ですが、そういった形で住民全体で取り組んでいくという、こ ういうやり方が望ましいんじゃないかと思っております。  それからもう一つ、我々国保としてはOB保健婦、在宅保健婦の組織をもっておりまし て、現在全国で4,300人ぐらいの方にOB保健婦に参加していただいておりますが、こう いった方々が全国に散在されているわけですが、こういった方たちも現役保健婦と一緒に 核になって、そういった核になる方を中心にボランティアの参加を促して、いわゆる市町 村自らが取り組んでいく、こういった形が保健事業には馴染むし、必要じゃないかと思っ ております。これからまた議論する時に一つそういったことを申し上げてみたいと思って おりましたので、先走りますが申し上げました。  漆崎委員 日本看護協会の漆崎ですが、この生活習慣病の保健指導につきまして、やは り保健師がこれから住民の期待に応えていく重要な課題だというふうに思っておりまして、 これについては一生懸命やっていきたいというふうに思っております。つきましては保健 師の今現状なんですが、大体市町村に24,000人ぐらいおりまして、昭和57年の老人保健 事業からかなり保健師が10,000人ぐらい増えているわけなんです。ですからこういう人た ちを少しうまく今回は国保と衛生関係のうまくそれを御利用いただきまして発揮できるよ うにしていただきたいということが一点です。  それともう一つは、保健師の国家免許をもって毎年8,000人ぐらい出るんですが、市町 村等で保健師として就業できるものは僅か1,000名足らずなんですね。そういう意味では まだまだ保健師として働きたいんだけれども、その職場がないということで、病院等に入 っている方も結構多いものですから、そういう意味ではぜひこれらを活用していただきた いというふうに思っております。  それと先ほど生活習慣病に関しましては、生活習慣を変えるというのは非常に難しいテ ーマだと思いまして、今まででも現場でもかなりこの辺はできてないという実感がありま して、その辺につきまして研修等、それからバックアップシステム等をよろしくお願いし たいというふうに思っております。以上です。  金川座長 どうもありがとうございました。最後になりましてヘルスの事業のあり方と いうようなことも含めまして、かなり大きなアウトソーシングそのものの考え方というと ころまで話も及んだということでございますが、これに関しましては先ほど何回も言って おりますが、体制基盤整備のところでまた今のいろんな御意見も加味しながら事務局のと ころでの案も出て来るというふうに思います。  小池委員 最後に申し上げようと思ったんですが、今回のこの概要、それからプログラ ムの原案を拝見した時に、外来語等の表記が見られ気になりましたので、国民にわかりや すくという観点から、出来る限り日本語的な表現に変えていくとか、( )で言い換えるな ど、全体としてわかりやすい表現に努めていただければありがたい、これは希望でござい ます。  金川座長 ありがとうございます。それではまだ御意見もあろうかというふうに思いま すが、検討の時間として12時まで指定されております。きょういろいろ御意見をいただき ましたことを受けまして、また事務局の方におきましてこのプログラムの原案を訂正して まいりたいというふうに思います。本当にどうもありがとうございました。それでは事務 局の方から今後のスケジュールをお願いいたして、多分終わりにさせていただくと思いま す。よろしくお願いします。  事務局 今後のスケジュールでございますが、先ほども御紹介がありましたように来週 3月20日(月)に健診分科会の第1回目が開催されます。当分科会できょう御議論いただ きました中身については、健診分科会との議論の関連が大変深いものがございますので、 健診分科会の開催後に関連する事項について調整させていただきまして、原案の訂正も含 めてさせていただこうと思います。従って次の分科会において、それを踏まえた御議論を していただきたいというふうに思っておりますので、第2回の保健指導分科会を予定させ ていただいて、その日程については4月以降の日程で皆様にお諮りしたいと思います。日 程が決まり次第お知らせをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。以上で ございます。  金川座長 それでは事務局の説明の中でまたいろいろ先生方に御連絡とか御指示を受け ることも多々あるというふうに思います。本日はこれで終わらせていただきたいと思いま す。どうも御苦労さまでした。 (終了)