06/03/07 薬事・食品衛生審議会血液事業部会 平成18年3月7日議事録         薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年3月7日(火) 15:00〜   九段会館 桐の間 2.出席委員(18名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 川 西   徹、    清 水   勝、 高 橋 孝 喜、 中 村 雅 美、 花 井 十 伍、    平 澤 博 之、 比 留 間  潔、 幕 内 雅 敏、 三 谷 絹 子、    宮 崎 久 義、 山 口 一 成    (注) ◎部会長  ○部会長代理  他 参考人2名   欠席委員(8名)五十音順    朝 倉 正 博、 小 幡 純 子、 倉 田   毅、 白 幡   聡、    田 島 知 行、 田 中   滋、 平 澤 博 之、○水 柿 道 直 3.行政機関出席者   関   英 一(血液対策課長)、   植 村 展 生(血液対策企画官)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○血液対策課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから本年度第2回目の血液 事業部会を開催いたします。御案内のように本日は公開で御審議いただくこととしてお りますので、よろしくお願いいたします。部会の委員22名のうち現在14名の御出席を いただいておりまして、定足数に達しておりますので本部会が成立しましたことを御報 告申し上げます。それでは以後の進行については池田部会長によろしくお願い申し上げ ます。 ○池田部会長 先生方お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。 今日は議題が二つほど用意されておりますけれども、議題1に入る前に資料の確認を事 務局の方からお願いできますでしょうか。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。まずお手元の資料1枚目が座席 表でございまして、その次が議事次第、委員名簿になっております。それ以降について は資料Aということで、前回の部会概要の1枚紙。資料B、献血推進計画(案)について が1〜30ページまで。資料C-1、供血者からの遡及調査の進捗状況についてが1〜13ペ ージまでになります。最後に資料C-2、血液製剤に関する報告事項についてが1〜135ペ ージまでとなっております。乱丁・落丁等がございましたらお申し出いただければと思 います。 ○池田部会長 先生方、資料は十分にそろっておりますでしょうか。もしなければお知 らせいただきたいと思います。それでは早速議題1、平成18年度の献血の推進に関する 計画(案)について御審議いただきたいと思いますけれども、この計画については血液法 の規定によりまして厚生労働大臣の諮問を受けて作成されるというものでございまし て、委員の先生方には事前に事務局から意見等の照会があったと思いますが、改めてこ の場で皆様の意見をお伺いしまして、この部会として意見をまとめて答申をさせていた だきたいと思っております。なお、本件の参考人については日本赤十字社血液事業経営 会議総括委員であります田所憲治さん、同じく副本部長の金光公浩さんに御出席いただ いております。お二人の先生方、よろしくお願いいたします。それではこの計画につい て、まず事務局から説明いただけますでしょうか。 ○事務局 それでは平成18年度の献血の推進に関する計画(案)について御説明いたし ます。資料Bを御覧いただきたいと存じます。まず1ページは諮問書でございます。献 血の推進に関する計画については、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、 いわゆる血液法の第10条第1項の規定に基づきまして、厚生労働大臣は毎年度、翌年度 の計画を定めるものとされております。また、同項の規定に基づきまして厚生労働大臣 は献血の推進に関する計画を定めようとするときは、あらかじめ薬事・食品衛生審議会 の意見を聞くものとされております。  平成18年度の献血の推進に関する計画については、事務局案を今年1月6日〜2月6 日までの間、厚生労働省のホームページに掲載いたしまして、広く一般の方々からの意 見を募集いたしました。その結果4件の御意見を頂きました。11ページを御覧いただき たいと存じます。提出された意見、及びそれに対する事務局の考え方について御報告さ せていただきます。  まず一つ目でございますが、「たくさんの人に献血を推進する目的で、かつ、感染者 の献血を防ぐためには検査手順の見直しを行うとともに、血液検査(感染検査の)サービ スを実施する方向で検討してほしい」との意見でございます。この御意見に対する考え 方でございますが、献血は善意に基づく道徳的行為でございまして、感染症検査サービ スを受けることではないということでございます。献血をされる方々には輸血を受ける 患者さんの安全のため、感染した可能性があるときは献血をしないという「安全で責任 ある献血」の基本的考え方が重要であると考えております。  次に二つ目の御意見といたしまして12ページを御覧ください。「献血者側に立ったサ ービスを提供することが大切であると思う。例えば、検査成績を健康管理に役立てるこ とができるように、詳細な血液検査成績を送付してはどうか」との意見でございます。 この御意見に対する考え方でございますけれども、献血者に対するサービス向上方策の 御意見として承りたいと存じます。  次に三つ目の御意見といたしまして同じ12ページを御覧ください。「全血及び成分献 血の年間制限を廃止していただきたい」との意見でございます。この御意見の理由とし て、献血間隔さえ決まっていれば、年間制限はおのずと決まり必要ないものと考えます。 定期的に献血を行うと年間制限に引っ掛かり、成分献血ができず全血をするとしばらく 献血ができず、年間を通して献血をすることができず困っているということでございま した。この御意見に対する考え方でございますけれども、400mLと成分献血に係る採血 基準はヘモグロビン値の回復等、採血により身体に生じる影響を考慮して定められたも のでございます。なお、現行採血基準の設定当時と比べまして、献血に来られる方の体 格や栄養状態が異なっていることなどから、平成18年度から年間献血回数を含めた採血 基準の在り方について研究を行う予定でございます。  次に四つ目の御意見でございます。13ページを御覧ください。「献血時副作用及び献 血時採血事故等の対応についても記述すべきである」との御意見でございます。これに 対する考え方でございますけれども、採血によって生じました献血者の健康被害の救済 の在り方について、平成17年12月に「安全で安心な献血の在り方に関する懇談会」に おいて報告書が取りまとめられました。国の適切な関与の下で新たな制度を設けること により、献血者の健康被害の救済を行うこととすることが適当であるとされたところで ございます。この度の「献血推進計画(案)」にも記載してございますが、採血者は「献 血者が安心して献血できる環境を整備する必要があり、この報告書に沿って平成18年度 中の新たな救済制度の創設に向け、採血業務の運用・管理の見直し、体制整備等を図る」 こととしております。  これらの意見を踏まえまして、事務局において平成18年度の献血推進に関する計画 (案)を作成いたしました。3〜10ページまでになります。なお、平成17年度の計画と の主な変更点でございますが、三つございます。一つ目は効果的な普及啓発、献血者募 集等の推進として、献血構造改革の取組を行うこと。二つ目は献血者が安心して献血で きる環境の整備として、献血による健康被害に対する救済制度の創設に向けた体制整備 等を図ること。三つ目は血液製剤の在庫水準の常時把握と不足時の的確な対応でござい ます。  まず6ページの(1)効果的な普及啓発、献血者募集等の推進でございます。血液製剤に ついては国内自給が確保されることを基本としつつ、将来にわたり安定的に血液が確保 される体制を維持するため、単に献血を広く呼び掛けるということだけではなく、何ら かの目標を定めた組織的な献血推進体制に切り替えていく必要があるのではないかとい うことで、普及啓発の対象を明確にした効果的な活動や重点的な献血者の募集を行うこ ととし、これを献血構造改革と位置付けて取組を行うことといたしました。具体的には 若年者の献血を増やすための若年層を対象とした対策、それから安定的な集団献血を確 保していくための企業における献血の推進対策、複数回献血者を増加させていくという 複数回献血者対策と、大きく三つの柱を立てております。  まず献血構造改革の一つ目の柱、若年層を対象とした対策における取組でございます が、一つ目の○で国、都道府県、市町村及び採血事業者は従来から献血推進活動を行っ ている献血ボランティア等の協力に加えて、若年層を中心としたボランティア組織の協 力を得ること等により、若年層の献血への理解の増進及び献血体験の促進に組織的に取 り組むこと。取組に当たってはボランティア組織との連携を確保すること、また国が作 成した献血推進キャラクターを効果的に活用するとしております。二つ目の○でござい ますけれども、国は高校生を対象として献血について解説した教材等を作成し、都道府 県及び市町村と協力して、これらの教材等を有効に活用しながら献血への理解を深める ための普及啓発を行うこと。また、中学生を対象といたしまして血液への理解を促す資 材を作成し、都道府県及び市町村と協力してこれら資材の有効活用を図りながら、献血 への理解を深めるための普及啓発を行うことでございます。三つ目の○として、都道府 県及び市町村は地域の実情に応じて若年層の献血への関心を高めるため、学校等におい てボランティア活動推進の観点を踏まえつつ、献血についての情報提供を行うとともに、 献血推進活動を行う組織との有機的な連携を確保することが重要であると。四つ目の○ でございますけれども、採血事業者はその人材や施設を活用しつつ、若年層の献血者へ の正しい知識の普及啓発と協力の確保を図るため、献血に関するセミナーあるいは血液 センターの見学会等を推進する。その推進に当たっては国と連携するとともに都道府県 及び市町村の協力を得ること。以上の取組を行うこととしております。  7ページでございますけれども、献血構造改革の二つ目の柱、企業における献血の推 進対策における取組でございます。国及び採血事業者は都道府県及び市町村の協力を得 て、企業にとっての社会貢献活動の一つとして企業における献血の推進を促すために、 献血に協賛する企業を募ること。このほか、各血液センター等における献血推進活動の 展開に際して、地域の実情に即した方法で企業との連携強化、また企業における献血の 推進を図るための呼び掛けを行う。こういった取組を行うこととしております。  次に献血構造改革の三つ目の柱、複数回献血者対策における取組でございます。国及 び採血事業者は都道府県及び市町村の協力を得て、血液の在庫が不足した際はもとより、 平素からあらかじめ各血液センターの登録された献血者に対し、機動的・効果的に呼び 掛けを行うことができる体制を構築すること。複数回献血者に対し健康管理のための講 演会等の付加価値状況の提供を行うなど、複数回献血者に対するサービスの向上を図る ということ。各血液センターに複数回献血者を中心的な構成員とする献血者のクラブを 組織し、情報誌の発行等各種サービスの提供を行うといった複数回献血者の組織化のた めの取組を行うことでございます。以上が効果的な普及啓発、献血者の募集等の推進と しての献血構造改革の取組についてでございます。  次に主な変更点の二つ目でございますけれども、8ページの(2)献血の推進に際し、 配慮すべき事項、(1)献血者が安心して献血できる環境の整備でございます。平成17年 12月に「安全で安心な献血の在り方に関する懇談会」報告が取りまとめられまして、献 血者が安心して献血できる環境整備のため、国の適切な関与の下で採血事業者を実施主 体とする献血による健康被害に対する救済制度の創設等の提言がなされたところでござ います。採血事業者は献血者が安心して献血できる環境を整備する必要があり、この報 告書に沿って平成18年度中の新たな救済制度の創設に向け、採血業務の運用・管理の見 直し、体制整備等を図るということにいたしております。  次に主な変更点の三つ目でございます。10ページの第3節、その他献血の推進に関す る重要事項の(2)血液製剤の在庫水準の常時把握と不足時の的確な対応でございます。 国、都道府県及び採血事業者は赤血球製剤等の在庫水準を常時把握し、在庫が不足する 場合又は不足が予測される場合には供給に支障を及ぼす危険性を勘案して、国及び採血 事業者が策定した対応マニュアルに基づいて、早急に所要の対策を講ずることが重要で あるとしております。以上が平成17年度の計画との主な変更点でございます。  なお、平成17年度の献血推進の実施状況等の一覧表を15〜22ページまで掲載してお ります。15ページを御覧ください。第1節は平成17年度に献血により確保すべき血液 の目標量についてでございますけれども、平成17年度の確保目標量198万リットルに対 して平成17年4〜12月までに148万リットルの献血血液を確保している状況でござい ます。12月時点における目標達成率は74.7%でございます。目標の達成はおおむねでき るという見通しでございます。  28〜30ページにかけて赤血球在庫の推移表、献血者の推移、また献血推進本部におけ る呼び掛け状況を添付しております。28ページの赤血球製剤在庫の推移表を御覧いただ ければと思います。これは平成17年度4月〜本年3月までの赤血球在庫の推移表でござ います。年度ごとに整理はしてあるのですけれども、4月から3月まで年度を追った推 移表でございます。赤血球製剤の単位数の推移を表したものでございまして、緑の波線 が平成16年度、太い青の波線が平成17年度の推移でございます。3月3日、先週金曜 日までの状況を示しております。5〜7万単位の間にある緑の横線が適正在庫の6万 3,600単位のラインでございます。これは平日1日の需要量の3日分に相当する量でご ざいます。  平成16年度の緑の波線を追ってみますと、平成16年度の当初、10月から11月にか けて、12月後半から平成17年1月にかけて、平成17年3月から4月上旬にかけて、適 正在庫のラインを下回る状況でございました。昨年3月に血液不足が深刻化したことを 受けまして、このままでは血液が足りず国民の命を救うことができないという危機的な 状況が予想されるということから、昨年4月1日に厚生労働大臣が本部長となりまして、 省内に献血推進本部を設置いたしました。献血の呼び掛けに努めてまいりましたが、血 液事業に携わる方のマスメディアの積極的な活用を始めとした献血確保の積極的な取 組、あるいは国民への積極的な呼び掛け、更にはそれを受けた国民の方々の温かい御協 力が一つとなりました成果として、変動はございますけれども、昨年4月中旬以降は適 正在庫のラインを上回る十分な血液の在庫量を確保することができております。今後と も日本赤十字社と十分連携しながら全国の在庫状況を注視し、輸血用血液製剤の不足が 発生することのないよう万全を期してまいる所存でございます。  最後ですが、平成17年度における都道府県献血推進情報の一覧表を23〜26ページま で添付しております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま平成18年度の献血の推進に関する計 画を事務局から説明いただきましたけれども、平成17年度との主な変更点、特に効果的 な普及啓発、献血者募集等の推進に関してターゲットを絞ってやっていこうということ、 それから在庫水準の常時把握と不足時の的確な対応についてきちんと頭に置いておこう という幾つかの点があるかと思いますが、この点について委員の先生方の御意見を伺い たいと思います。何かございますでしょうか。どうぞ。 ○中村委員 簡単に伺いますが、6ページの「若年層を対象とした対策」の中で、一番 上に「若年層を中心としたボランティア組織の協力を得る」という表現がございます。 これは献血に限らずいろいろな若年者が組織しているボランティア団体という想定でよ ろしいのでしょうか。現実に献血だけを目的にしたそういう若年層のボランティア組織 というのはあるのですか。 ○池田部会長 いかがですか。その下にも「全国の若年者献血ボランティア組織」とい う言葉が出ているようですが。 ○中村委員 書き分けているような気がするのです。 ○池田部会長 そうですね、全体のボランティア組織と若年者の献血者のボランティア 組織というふうに書き分けているようですが、そこはどうですか。 ○事務局 前段の献血者献血ボランティア組織といたしまして例を挙げるとすると、全 国の学生の献血推進団体がございます。そういったものが想定されると思います。後段 の青少年のボランティア組織等との機能的な連携ということでございますけれども、具 体的には例えばインターアクトクラブとか、いろいろな高校や学校組織の中でボランテ ィアを推進する団体がございますけれども、そういった中でも積極的に献血に取り組ん でいただける団体に御参画いただければと思っております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。 ○中村委員 もう一つよろしいでしょうか。各都道府県の対策を拝見しますと、高校生 に対する啓発のキャンペーンというのはかなり行われていますが、これらの効果が上が っているかどうかを検証しなければいけないと思うのです。その検証の上に立って平成 18年度のいろいろな計画、新しい施策も含めて盛り込まれていると理解しているのです が、それでよろしいですか。  もう一つ、特にこれから若年層に関しては高校生がとても大きなプールになるとは思 うのですけれども、高校生に対する啓発を例えば教育委員会でやるとかなり強制的にな ってしまうのです。そういう意識を持った教育委員会であればそこに働き掛けるという ことが可能かと思うのですが、これは法的にかなり難しい面があるのでしょうか。なけ れば私はできるところからやっても構わないのではないかと思うのですが。 ○事務局 一つ目としては、今年度はたちの献血キャンペーンの時期に合わせて若年層 を対象とした意識調査をやっておりまして、まだ集計中でございますけれども、若年層 の献血に対する意識、献血される方あるいは今まで献血を経験されていない方に御意見 を聞いております。 ○事務局 二点目の御質問については、御指摘のとおり私どもも高校の集団献血の推進 を含めることにはなると思うのですが、献血に対する理解を深めていただくということ で、これまでもホップ・ステップ・ジャンプという形で出させていただいていますけれ ども、昨年3月に血液が非常に不足したところで文部科学省にお願いしまして、文部科 学省から全国の都道府県なり教育委員会の方に献血についての理解を深めていただくと いう、通知か事務連絡かちょっと忘れてしまったのですが、それを出させていただいて います。そういう意味では文部科学省も今かなり協力的に動いていただいておりまして、 引き続き先ほど申し上げた意識調査の結果を踏まえて、更に高校生ないしは20代に対し て、どうすれば効果的に献血者として理解を示していただけるかということを考えてい こうかと思っております。 ○中村委員 29ページを見ますと16〜19歳、20〜29歳がかなり減っているのです。献 血数を上げているのは実は40代以上の方が多い。その辺が将来を見ると怖いという気が するのです。ですから本腰を入れて若年層に対する啓発をやらないと、先がかなり苦し いなという気がします。 ○事務局 事務局の方もそういう認識をしておりまして、それが少し遅かったといえば 遅かったのかもしれないのですが、昨年からそういう取組を進めまして、この意識調査 や今後の文部科学省との連携を踏まえて、より効果的な方法を探っていこうかと思って おります。 ○池田部会長 29ページの献血者の推移というのは、中村委員が言われているような傾 向がかなりはっきり現れていますので、平成18年度の計画に若年者を対象としたという ことはかなり盛り込んでいる、そのことに関しては非常に大切な方向だと思うのですけ れども、この実効を上げるためにどういうことをするか、それ自体がやはり大事なのか なと思います。委員の先生方、何か御意見ございますか。どうぞ、大平委員。 ○大平委員 今部会長の方からも御指摘がありましたけれども、若年層、いろいろな年 代があると思いますが、特に学校教育に関する問題についてはこれまでなかなか文部科 学省の理解が難しいところがあったと伺っていますし、私たちもいろいろ進めていく中 でそういう献血の取組について、保健衛生、学校保健だけではなくて少し社会的モラル のような観点から取り組んでほしいということをお願いに伺わせていただいたことがあ ります。ただ、これはやはり国全体が取り組んでいただかないと、厚生労働省だけで解 決できる問題ではなくて、かなりいろいろな教育現場もありますし、また社会でのいろ いろな支援については厚生労働省だけではなくて、他の省庁に御協力いただかないとで きないところが問題解決としてはあるのではないかと思います。是非そういった点もこ この部会を通して、また厚生労働省の方からも例えば内閣府とか、そういう国全体の動 きとして将来の献血に希望を持てるような政策を実現していただきたい。そういうこと をお願いしたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。今は省庁を越えた動きが急速に進んでいるわ けではないのですけれども、省庁を越えて一緒にいろいろな問題を話し合うということ は実際には大分行われているように思うのですが、この問題に関してはかなり文部科学 省等とは話合いはしていらっしゃるわけですよね。そのほかにいかがでしょうか。どう ぞ、吉澤委員。 ○吉澤委員 おっしゃるとおりだと思うのですが、エデュケーションの問題ですけれど も、献血について教育しても、年齢の関係で200ccしか採血できない人たちが献血を希 望してきたときに、採血をすればするだけ日赤の費用が赤になるということから、採血 しない場合があると伺います。若いうちの献血体験はかなり重要だと思いますので、200 cc採血をすると費用が足りなくなるからしないというのではなくて、足りない部分を日 赤に全部かぶせるのではなくて、本当に若い人たちの献血を推進するのであれば何らか の形で足りない分の費用を補填するようなことを国の施策として考えていただくことが できるかどうか検討いただくのも大事かなと思います。 ○池田部会長 それについては日本赤十字社の方からは何か御意見ございますか。 ○参考人 おっしゃるような側面、経済的な問題と同時に、一つは使われないのに献血 していただくということ自体が確かに問題で、実際の医療機関でも400の方が需要が大 きくて8割は400mLだということがございます。ですから若年層を増やしたいけれども、 そうした使われないという現状を踏まえると、そこをやたらに増やして結局捨てるとい う形はとれないというジレンマを持ちながらやっておりますので、お金の問題だけでは なくて御指摘のような何らかの対策を考えていく必要があるかなと思っております。 ○池田部会長 ありがとうございます。そのほか委員の先生方、何か御意見ございます か。事務局に四つほど意見が寄せられておりまして、それに対してそれぞれ考え方が示 されていますけれども、この辺については特に問題はございませんでしょうか。よろし いでしょうか。どうぞ、花井委員。 ○花井委員 池田先生に振っていただいた話から外れてしまうのですけれども、献血の 構造改革という中で私ども安全性という面から見ると複数回献血者が増えるのが非常に 肝要だと思います。今回も複数回献血者対策ではかなり踏み込んだいろいろなことを考 えてやっていこうということなのですが、一つは先ほどの若年層の問題もそうですけれ ども、その効果です。実質複数回献血をどれだけどこのセンター単位でやるのか、どこ で定量化してその効果を見るのかということをきちんとやっていただきたいというこ と。  それから私どもよく予防教育等で知識はあるのだけれども、行動変容と知識の量とは 必ずしもパラレルに相関しませんで、そういったときにいろいろなアイデアやプログラ ムがコミュニティーベースで案出され、そしてうまくいったものは今度はほかでもやる ということはよくやるのです。これもセンターでいろいろな取組をされるのだと思いま すので、是非複数回献血へ向かう、例えば献血者クラブの中身のカルチャーが問題であ って、一体どういうカルチャーが複数回に結び付いていくのかということもフィードバ ックしつつやっていただけると、よりこの指針が生きてくるのではないかと思います。  質問ですけれども、例えばそういうフィードバック、いつも思うのはセンターからの 報告というところでずらっと各県で、これをやりました、あれをやりましたと表に並ん でいて、毎回言っているのですけれども、つまりうまくやったというものがどのように 基づいてやって、それをフィードバックしてある程度全体で共有されるというシステム が特に重要ではないかと思います。この複数回献血の比率を上げていくということは安 全に直結する問題ですので、特に注意深くこの評価をしていただきたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございます。先ほど中村委員からも御意見がありましたよう に、こういう計画が出たときにそれがどのように実行されて、どういう効果を得たかと いうアウトカムをきちんととらえるという方向に毎年整理をしていただくと非常に分か りやすいのではないかと。今回幾つかのターゲットを絞った献血推進計画を出されて、 その結果としてこの領域はどのようなアウトカムが得られたかという整理の仕方がよろ しいのではないかと、恐らく委員の先生方はそのように感じられているのではないかと 思います。そのほかいかがでしょうか。赤血球在庫の推移に関しては平成16年度は非常 に難しい時期があったわけですけれども、28ページにあるように平成17年度は全国的 には比較的安定した推移を示していると考えてよろしいのかと思いますが、この辺に関 してどうでしょうか。高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員 今までの議論を伺っていて、若年層の献血に関する意識付けという行動が 5年後、10年後をにらんで今は重要かなと。先ほど意識調査をされてその解析中という ことですが、果たしてこれが5年、10年前の同種の調査があって比較できるのかという ことが一つです。恐らく献血に関する意識は同じ20前後の方で比較すると相当落ちてい るのではないかと思うのです。先ほど参考人の方から言われました、お金だけではなく て200mL献血の問題というのは非常に難しいということですけれども、私自身は献血を してもいいと、献血に関する広報をして献血前の検査だけするとか、そういう意味で予 備的な献血行動に結び付くようなことを若年層を対象にして行う時期に来ているのでは ないかと。その中から多数の人が何年後かに通常の献血行動に移っていただければあり がたいと。今やはり昨年の取組が非常にうまくいったと思うのですけれども、世の中全 体で血液が重要だという動きがあって献血が見直されつつあるわけですが、これを続け るとともに若年層への働き掛けをなるべく周知といいますか、献血の重要性を理解させ るという点に絞って、現状の血液の有効利用というところから切り離してもやるべきか なと思います。 ○池田部会長 ありがとうございます。本当に5年、10年先の将来につなげるための施 策も非常に重要であろうということで、その年代の意識調査のようなものは5年前、10 年前と比較したデータは出せますか。そういうものは前にやっていますよね。 ○事務局 ちょっと私は記憶がなくて、過去の議事録などを拝見させていただいたとき もそういうアンケート調査をやるべきだという御意見は見たことがあったのですが、な かなかやっていなかったようで、今回が初めてかもしれないです。 ○高橋委員 それでは30歳、40歳という人を比較対象として今の時点での意識を伺っ て、その際に実際に献血に来られる方ではなくて、来られない方も含めた30歳、40歳 の中の標本をうまく抽出するようなやり方をしていただければ、ある程度差が出るので はないかと思うのです。 ○池田部会長 田所参考人、センターでずっと何年か置きにそういうアンケート調査を やっているようなところはございませんでしょうか。そういう調査は余りないですか。 ○参考人 同様の手法で継続的にというのはやられていないかと思います。 ○池田部会長 昨年本当に血液が足りなくなったときに国を挙げてキャンペーンをやっ て、赤十字もやられて赤血球の在庫が増えたという、一目瞭然だと思うのですけれども、 我が国はこのように一致して取り組めるということがございますので、やはり意識を高 めるという方向に持っていっていただければいいのかなと思います。平成18年度の献血 推進計画についてはこのような格好で行っていただくということでよろしいでしょう か。特段先生方に意見がなければ、この部会ではお認めいただいたということにさせて いただきたいと思います。なお、今後この推進計画を告示するに当たりましては、法律 的な観点から審査を経るということになっているそうですので、そこでの修正について は部会長に御一任いただきたいと思いますけれども、それでよろしいですか。ありがと うございました。それでは議題1の平成18年度の献血推進計画については先生方にお認 めいただいたということです。  次に議題2の血液製剤に係る報告事項についてということで、これは平成15年6月か ら実施されております遡及調査の進捗状況、前回の血液事業部会などで報告された事例 のその後の対応状況について報告をさせていただくものでございますので、これについ ても事務局の方から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○事務局 それでは資料C-1から御説明させていただきます。「供血者からの遡及調査 の進捗状況について」でございます。これについては昨年3月にこの部会で御了承いた だいた遡及調査ガイドラインにのっとりまして、日本赤十字社が行っております献血者 の感染症検査の結果、陽性であった場合について過去にさかのぼって、過去の献血時の 血液について個別NATを行って、その結果について医療機関に情報提供することとな っております。その後医療機関で行う受血者への検査で陽転していたか否か、つまり感 染していたか、いなかったかを見るような調査となっております。  まず4ページを御覧いただきますと、陽転しているかしていないか、感染しているか していないかというのを調べた結果が(7)でございまして、献血者から始まる遡及調査で 受血者の陽転又は非陽転が判明した件数、1)陽転事例が現在18件ございます。ただ、 18件のうち2件については陽転ということではなく、塩基配列で受血者と供血者が一致 した件数が2例あったということで合計18件となっております。(8)の医薬品副作用感染 症報告を行った件数はまだ18件のうち17件までしか出ておりませんで、その1件が5 ページにあがっております。こちらはまだ副作用感染症報告が上がってきてはいない症 例ですけれども、陽転事例ということで直近の事例として挙げさせていただいておりま す。  続きまして7ページは薬事法第77条の4の3に基づく回収報告ということで、ほとん どが新鮮凍結血漿で英国の渡航歴で後で御報告いただいて回収されたというものでござ います。  続きまして9ページですけれども、血漿分画製剤のウイルス安全対策について以前国 の方から通知を出しておりまして、それに対する対応についてですが、ここのページは 以前御説明した内容と全く変更はございませんので、省略させていただきます。  続きまして資料C-2の説明に入ります。血液製剤に関する報告事項についてでござい ます。これについてはほとんどが既に運営委員会や安全技術調査会、適正使用調査会等 で御検討、御報告させていただいたものでして、今回はその概要について御紹介させて いただきます。まず1〜21ページは、先ほどお話ししました医療機関からの副作用感染 症報告で血液製剤により感染が疑われる場合のうち、死亡例や劇症例といった重篤例を 取り扱っております。感染しているかどうかはまだ確定していないものということで載 せさせていただいておりまして、感染の有無に係る追加情報は現時点ではございません。 ただ変更点のほとんどとしましては感染源として疑われた献血者の方々の一部がその後 再採血、献血ないし呼び掛けて採血に来ていただいて、血液センターで検査を行った結 果陰性であったということだけが変更点でございます。  ただ、一部部会として初めての報告事例というものがございますので、こちらについ て紹介させていただきますと、15ページになります。E型肝炎の感染が疑われた事例で ございまして、既に運営委員会で御報告させていただいております。症例としましては 先ほども少しお話ししましたけれども、平成17年10月26日に供血者発の遡及調査によ り供血者のHEV個別NAT陽性が判明し、当該血液に由来する輸血を受けた症例でH EV感染の疑い事例があったとの報告でございます。患者さんは心臓外科手術のため輸 血を受けた70歳代の男性で、輸血後の検査でHEV-RNA陽性でございます。その後 HEV-RNAウイルス濃度とALT、AST肝機能値が共に増加しまして、その後また 減少して退院されたと。また、HEV抗体についても陰性から陽転しまして、退院され る前日まで陽性であったということでございます。3.感染についての状況でございます が、(2)にアンダーラインでありますけれども、供血者と患者の塩基配列の相同性は供 血者の塩基配列には複数箇所で2種類の塩基が認められたが、その一方又は両方におい て患者の塩基配列と一致したということでございます。それから供血者に関する情報と しまして、当該供血以降4回の再採血による検査結果についてはALT値はいずれも正 常範囲内で、HEV-NATは当該供血16日後に陰性となり、IgM、IgG抗体は当 該供血9日後に陽性となり、IgM抗体は同2か月後に陰性となったということでござ います。  これらに対する今後の対応については16ページを御覧いただきますと、5.今後の対 応とございます。E型肝炎は通常は経口感染が主な感染経路であることから、豚由来の 食品や野生動物の食肉は十分に加熱調理を行うよう、営業者及び消費者に対し再度周知 徹底する通知が食品安全部から発出されているということ。それからこの後御紹介しま すけれども、HEV-NATの迅速な実施のため機械化・自動化に向けて取り組むことと しております。また、献血における問診強化・HEV検査の北海道での試行的な対策の 効果及び疫学調査の動向を踏まえ、現在、研究的に全国でHEV抗体検査を実施し、こ れらの対策拡大を検討することとしております。  続いて17ページも同様の事例でございまして、既に運営委員会では御報告させていた だいた症例でございます。事例としては同じく心臓外科手術のため輸血を受けた50歳代 の男性で、輸血後の検査でHEV-RNAが陽性であったと。ウイルス量は増加し、また 抗体は陽転したということですが、AST/ALTは大きな変動はなかったということで ございまして、このことは2月13日までに患者の症状の増悪は見られていない、落ち着 いているという状況でございます。感染についての状況としては(2)にありますが、現 在塩基配列の相同性は確認中ということでございます。供血者に関する情報としては喫 食歴については調査中ということでございまして、今後の対応としては先ほど御説明し た以外に当該患者及び供血者の臨床結果を注意深くフォローするということでございま す。  続いて19ページでございますけれども、これも運営委員会では御紹介しましたが、部 会で初めてですので御紹介させていただきます。これは細菌感染の疑い症例の報告でご ざいまして、60歳代の男性、原疾患は消化器疾患等(静脈カテーテル留置)ということで ございます。転院先で感染性心内膜炎と診断されまして亡くなられているということで、 医療機関での患者の血液培養検査により黄色ブドウ球菌を同定しております。検体検査 の状況としましては輸血血液と同一採血番号の血漿3本について、無菌試験の検査はす べて適合ということです。担当医の見解としては、輸血前後の臨床所見と当該輸血血液 と同一製造番号の凍結血漿の精査結果から、敗血症の原因は輸血以外の経路が原因と考 えられるので、因果関係はないと考えるというコメントを頂いております。  次が21ページになります。これはこの部会で初めて御報告させていただく例なのです けれども、先ほど御紹介した例と似ておりまして、やはり細菌感染の疑い症例でござい ます。80歳代の女性で原疾患は血液腫瘍、この方も静脈カテーテル留置ということでご ざいます。輸血後1時間45分後に腹痛、嘔吐、動悸と息切れが出現し、輸血を中止され、 敗血症の疑いで亡くなられております。医療機関での患者の血液培養検査は実施されて おりません。検体検査の状況としては輸血血液と同一採血番号の血漿1本についての無 菌試験結果は陰性ということでございます。担当医の見解としては1月13日のCRPが 9であり、輸血前からある感染症が悪化した可能性が強い、副作用・感染症と輸血血液 との因果関係は不明だが、死亡と輸血の関連性はなしということでございます。  先ほどのものは重篤例だけを集めて御紹介したのですが、すべての感染症報告のリス トが23ページ以降になります。これは運営委員会で既にその都度御紹介させていただい ているのですが、今回2回分をまとめて御紹介させていただきます。25ページは昨年7 月1日から10月25日報告分までの医療機関から感染症報告が上がってきた症例につい てのまとめでございます。疑われる原因としての輸血用血液製剤が75件、血漿分画製剤 が4件で、輸血用血液製剤として疑いを持たれた内訳としてはBが39件、Cが20件、 その他が16件ということでございます。2に書いておりますBの症例について、保管検 体で個別NAT陽性という事例は1例ということでございます。また、その他感染症報 告事例で細菌感染の事例として2例輸血後に亡くなられたという報告を受けておりま す。  続いて10月26日報告分以降が37ページから載っております。昨年10月26日以降の 感染症報告は、輸血用血液製剤が41件、血漿分画製剤が2件、輸血用血液製剤の内訳と してはBが22件、Cが9件、その他が10件ということでございました。先ほどもBの 疑われた例で献血者の保管検体で個別NAT陽性が1例ありましたが、今回もまた1例、 これは別の例でございます。その他感染症報告事例としましては、やはり輸血後に亡く なったという報告を受けた事例が1例ございました。それが概要でございます。  続きまして47ページを御覧いただきますと、昨年10月20日に安全技術調査会に提出 させていただいた資料でございます。その後も運営委員会の方にも出させていただいて おります。輸血用血液製剤に係る受血者へのHEV感染防止対策についてということで、 具体的には二番目に挙がっております「今後の対策」を御覧いただきますと三つの柱が ございまして、一つはNAT及び感染範囲に係る調査の実施ということでございます。 現在HEV-NATについては北海道の献血者で全例実施しております。これを引き続き 実施していくことと、感染の広がりをより正確に確認するため、HEV抗体検査を全国 の基幹センターで無作為に実施するということで、今実施して解析をしていただいてい るところでございます。また、抗体陽性率の高い地区においては適宜NATを実施し、 今後のNAT拡大の必要性を検討することとしております。検討結果はまた安全技術調 査会に御報告、御検討させていただければと思っております。  二つ目の柱が問診の強化でございまして、問診については北海道の献血受付時の予診 において現在E型肝炎に関する問診を行っております。今後は研究的に質問内容を拡大 しまして、「過去3か月以内の生肉(生焼けを含む)、レバー、ホルモンの喫食歴」を聴 取し、該当する場合は詳細な調査を試行し、その結果を踏まえてより効果的な問診を実 施するための検討を行うということです。51〜52ページを御覧いただきますと、昨年1 月から北海道で全例HEV-NATをやって陽性になった事例がこちらに挙がっており ます。これの真ん中辺を御覧いただきますと「問診該当」という部分がございまして、 ここで「有」と「無」がございます。これが予診としてHEV関連の問診を行っている のですけれども、ここで引っ掛からない方がほとんどでございまして、今回研究的に問 診の幅を広げてその後より詳細に調査をしていこうということで、昨年安全技術調査会 でその方針が示されたところでございます。  また47ページに戻っていただきまして、三つ目の柱としてHEVスクリーニング法の 開発等でございます。現在日本赤十字社の方で使用しております自家製の抗体及びNA T試薬の標準化を進めるということと、実際に医療機関に提供をする前にNATの結果 が分かるように、そういった迅速な実施をするために機械化や自動化に向けて取り組む ということになっております。  49ページの一番下の2を御覧いただきますと、NATの結果、昨年の1月から今年の 1月いっぱいまで見てみますと、総数というのは北海道での全献血者になります。NA Tを全例やりまして、陽性だったものが39件、陽性率が1/8,174ということになってお ります。これは今後も引き続き進めていくということで、51ページを御覧いただきます と、先ほど問診でのすり抜けが多いということだったのですが、その後もアンケート調 査を対象者、NAT陽性者に対しては行っておりまして、その状況が載っております。 ただ、ここでお聞きしてもやはり十分加熱して食べたという方々が非常に多くなってお ります。「受血者情報」というのが右端に載っておりますけれども、実際に血液製剤が 医療機関に提供された受血者の情報がこちらでございまして、使用されなかったり、使 用されたけれども感染がなかったり、原疾患により亡くなられたり、あとは感染された り、疑いという報告もございます。「HEV感染」と書いてある19の症例は先ほど御報 告しました15ページの例でございまして、28の「HEV感染疑い」という例は17ペー ジで御紹介させていただいた症例でございます。  続きまして53ページになります。これも昨年10月20日に安全技術調査会に提出して 御検討いただいた資料でございます。「我が国におけるウエストナイルウイルス感染発 生時の献血者への対応(案)」ということでございます。具体的には57ページを御覧いた だきたいのですが、別紙1というものがございます。ウエストナイルウイルスの感染経 路が載っておりますけれども、御覧のとおりヒト→ヒト感染はないと。ただ、輸血や臓 器移植は除くということ、これについてはあるということです。それからヒト→カ→ヒ ト、トリ→ヒトというのも感染経路としてはないと。ただ、トリ→カ→ヒト、トリ→カ →トリというのはあると書かれております。  続いて58ページに日本への侵入ルートが載っております。こちらを御覧いただきます と、ヒトを介してといいますか、米国から日本へ来た方で感染していたとしても、感染 拡大はまずないだろうということで×になっております。米国からトリ(ペット等)が来 るケースも考えられるのですが、移動規制の関係でこれも考えにくいということでござ います。ロシアで渡り鳥で感染例が報告されておりまして、これが日本に来た場合、た だ蚊がいないので×ということになっております。ただし、秋に飛来する旅鳥もいるの で可能性としてはあるということでございます。最も問題なのは東南アジアで渡り鳥が 感染していて、これが日本に来た場合は感染が拡大する可能性があるということで○に なっております。ただ、現時点ではまだ東南アジアでは感染例の報告はございません。  こういった前提の下で59ページの参考を見ていただきますと、我が国におけるウエス トナイルウイルス感染発生時の献血者への対応(案)でございます。これまでも海外から 国内に帰国された方で4週間は献血ができないということで予防的措置はやってきたの ですが、今後国内で感染が確認された場合に献血としてどのような対応をしていくかと いうのがこちらの表になっております。感染媒体としては3通りございまして、上の表 は人、真ん中が蚊、一番下が鳥又は動物ということになります。この3種類で感染が広 がっていく可能性が感染源として考えられるということでございます。  人の場合を見ていただきますと、左の方は流行地から帰国後4週間以内の渡航者の場 合、これは既に昨年1例御報告がありましたけれども、こういった方については献血制 限は感染確認後120日までということで対応させていただいております。また、港湾又 は空港近隣の労働者又は居住者であった場合は、感染源としては外来蚊ないしは輸入動 物であろうということが考えられますので、輸入動物の場合はおりに入っているという 前提で考えますと、蚊の行動範囲を考慮しまして半径数km以内の方について献血制限を するということでございます。それ以外の方々の場合については国内で既に感染が拡大 している、ないしは拡大する可能性が高いと考えられておりまして、最大限献血制限の 範囲を広げて感染が確認された方の行動範囲と、半径10数kmといいますのは鳥の行動範 囲が10km、カラスなどを想定しているのですけれども、それから蚊の行動範囲が数kmな ので10数kmということで、これを献血制限範囲とさせていただいております。制限の期 間は蚊のいなくなる時期から4週後ということで、11月ごろを目安と。ただ、これは地 域性がございますので、一概にこういう形ではございません。NATの実施については 先ほどの事例については最も広く置きまして、地方ブロック単位ということにさせてい ただいております。  続いて感染媒体が蚊の場合については先ほども御紹介しましたけれども、港湾又は空 港で採取された蚊であれば半径数km、そして日本に生息している蚊で確認される場合は、 もともと自治体でもこういう調査をやっていないのでほとんどいないとは思うのです が、もう既に感染が拡大していると考えまして半径10数km、NATの範囲については都 道府県単位までと考えております。  続いて鳥又は動物で感染が確認された場合、輸入鳥又は輸入動物についてはこれもお りに入っている前提で考えまして、蚊の行動範囲を考えて半径数kmの献血制限というこ と。またペットとして飼育している場合と国内に生息している野鳥、野生動物で確認さ れる場合は同じく半径10数kmの範囲を献血制限とするということで、NATの範囲は採 取地の都道府県単位まで広げるということにさせていただいております。  この考え方を踏まえまして55ページを御覧いただきますと、「3 NATの円滑な導 入に向けた対策」とございます。国内でウエストナイルウイルスが発見される可能性が 最も高い野鳥等が感染媒体となる場合を想定し、都道府県単位でNATを迅速に実施で きる体制を事前に整備しておくということで、具体的には日本赤十字社は毎年3〜11月 の間に都道府県単位で実施可能なNAT試薬1か月分を備蓄しておくとともに、NAT センターへの搬送、検査実施等の手順を明記しておくということです。厚生労働科学研 究費の中で実際に研究費が付きまして、今山口先生のところを中心としまして日赤と共 同で検討を進めていただいているところでございます。ウエストナイルは以上でござい ます。  続いて61ページを御覧いただきますと、これも昨年10月20日に安全技術調査会に提 出させていただいた資料でございます。「プラセンタエキス注射剤使用者に係る献血に よるvCJD伝播のリスクと献血時の対応について(案)」ということでございます。具 体的には61ページの下の方にあります2の(2)にアンダーラインで示しておりますけ れども、「献血することにより、受血者にvCJDが発生すると仮定した場合の発生率 は、小さいと推定されるが理論上は否定できない」としまして、安全技術調査会として 問診方法について検討していくということになっております。  続きまして65ページからはちょっと違うものなのですけれども、今年の運営委員会で 御説明した資料でございます。67ページの表を御覧いただきますと、献血件数とHIV 抗体・核酸増幅検査陽性件数となっておりまして、1987年から、もっと言いますと昭和 61年の途中から検査を実施したのですけれども、途中ですので1987年からこのように データを出しておりまして、1988年からずっと陽性件数が増えてきております。また、 献血者10万件当たりの件数も当然増えてきているということでございまして、一番下を 見ていただきますと献血件数についてはまだ速報値なのですけれども、陽性件数という のは平成17年で初めて減少に転じたということでございます。10万件当たりも1.468 ということで減っております。  この理由としては69ページを御覧いただきますと、一つは本人確認の実施を一昨年 10月から行っております。ただこのページを見てもそれがすぐ効果として表れたという ことでもなく、この本人確認の実施と問診の強化、そして少し飛びますけれども、73〜 74ページにありますが、保健所や自治体率でのHIV抗体検査が件数もこのように増え ておりますし、74ページにありますのは休日、夜間ないしは迅速検査の件数が非常に増 えてきているという、受け皿も利便性がよくなってきているというのも挙げられるかと 思います。  ただし、全体的には減っているのですけれども、71ページを御覧いただきますとこれ は昭和61年から平成17年までの都道府県別の件数なのですが、例えば平成17年の群馬 県や京都府、大阪府を見ていただきますと、特に大阪府は全体的に増えてきている傾向 がございます。この増加している原因等については今事務局の方で調査をしているとこ ろでございますので、また次の運営委員会等で御紹介させていただければと思っており ます。  それに関連しまして75ページですけれども、HIV検査目的献血の危険性周知につい て関係機関の相互協力を依頼するという通知を、疾病対策課と血液対策課の方で都道府 県に対してあてたものでございます。それぞれの都道府県における献血の担当部門とH IVの担当部門が相互に連携して、それぞれが主催する会議に出席するなどして連携を 強めていただくということを示したものでございます。  続いて77ページには報告事項として今月6日に官報に載ったのですけれども、厚生労 働省の告示で輸血管理医療についてこのような形で掲載されたと。今回の診療報酬の改 定で輸血管理医療が通ったということでございます。細かい内容については通知等でま た後日保険局医療課の方から出されるということで、ずっとこれも輸血に携わる先生方 については念願だったわけなのですが、このような形でやっと保険で認められるように なりました。 ○事務局 それでは79〜111ページまで、血液製剤の使用実態調査に関して御報告申し 上げます。本調査は昨年10月、血液事業部会の適正使用調査会で御審議いただきまして、 総務省の承認を取得後、本年2月精神病院を除く一般病院約8,000を対象に調査を実施 しております。現在はまだ調査中でございます。  本件の調査に至った経緯といたしましては104ページを御覧いただきたいのですが、 一昨年の平成16年12月に「血液製剤の平均的使用量について」、こちらは平成15年に 厚生労働省の研究班が調査した結果に基づきまして、105ページの表を見ていただきた いのですけれども、各医療機関の病床規模別、それから全麻件数があるかないか、心臓 件数うんぬん、そういった医療機関の分類パターン別の使用量を調査いたしました。例 えばMAP50%が2.9という数字に関しては、対象施設の50%がその数値以下というこ とでございまして、こちらは平成14年の実績に関して御報告いただいたものを踏まえ て、一つの指標ということで発出したものでございます。調査会の先生の方からこの平 均的使用量に関して、直近のデータに基づいて数値がどのようになっているのかフォロ ーアップをすべきであると。また医療機関の方にも是非この指標を活用していただくと いった趣旨もございますので、同様の調査をすべきだといった御指摘がございました。 それからもう一点、今までの全体的な使用量調査というのは過去にもやっているのです が、病態別、疾患別まで踏み込んだ個別の詳細が必要であるという御指摘を受けまして、 今回調査を実施したものでございます。  調査の概要についてはまた79ページに戻っていただきたいのですが、79ページ以降 が調査票本体でございます。調査票が3種類ございまして、血液製剤適正使用実態調査 票、血液製剤平均的使用量調査票、病態別・術式別血液製剤使用量調査票でございます。 まず一番目の適正使用実態調査票でございますけれども、80〜86ページまででございま す。内容については医療機関の概要をお聞きした後、81ページ以降に輸血業務の管理体 制、責任医師・担当技師の配置の有無、いる場合には活動状況、その他輸血療法委員会 の開催実績・活動状況等と、主にこれまでの適正使用指針や厚生労働省の方からいろい ろな形で通知を出しておりますが、そういった要請している事項に関して、どのような 状況であるのかということを把握する趣旨で調査いたすものでございます。  続きまして二番目の平均的使用量調査は87ページになります。こちらは一枚紙の調査 票でございますけれども、先ほど申し上げました一昨年の平均的使用量調査と基本的に 全く同じ手法で調査をいたすものでございます。各医療機関の方で病院機能を選択して いただいて、一般病床で1床当たりの使用量を出していただき、各分類パターンごとに 先ほどの一昨年の通知の票と照らし合わせていただいて、50%以下なのか、90〜50%の 範囲なのか、超えているのかというのを自ら選択していただくと。なお、90%を超える ような場合は一昨年の通知上その原因究明等に関して検討することというお願いをして おりますので、そういった取組をしているか、いないかということに関して調査をいた すものでございます。先ほども申し上げましたとおり、一昨年のフォローアップの趣旨 と当該通知の活用を普及するといった面もございます。  それから三点目の調査でございますが、88ページの病態別・術式別血液製剤使用量調 査票でございまして、こちらは黒い枠で囲まれた各疾患ごと、1は「胃癌(全摘手術例の み)」と指定をしておりますが、1〜10までの各疾患における血液製剤の使用実態を把 握するということでございます。当然医療機関によって各疾患ごとにばらつきがあるの ですが、最大20症例該当があれば御報告いただくと。また、血液製剤を使うか使わない かという傾向も把握する必要があるということでございますので、投与実績のない症例 も収集する予定でございます。  89ページ以降が各疾患ごとの調査票でございまして、若干疾患によって調査内容が違 うのですが、基本的に患者さんの身長・体重・合併症・病態や血液製剤を使用したかし ないか、使用した場合の使用量等に関して調査を行いまして、これらの疾患に関する各 医療機関の血液製剤の使用傾向や、ある程度平均的な使用量的なものも実態把握ができ ればと考えております。現在調査に関しては調査票を回収中でございますけれども、調 査票の集計終了後の分析評価を実施いたしまして、また調査会の先生の御指摘も受けな がら最終的な報告を取りまとめて公表する予定でございます。  続きまして平成16年度需給計画の実施状況、また平成17年度需給計画上半期の実施 状況について御報告申し上げます。資料の115ページが平成16年度の実施状況の一覧表 でございます。需給計画の対象製剤は血漿分画製剤が製剤ということで16ございまし て、それぞれ製造輸入見込み、供給見込みという需給計画を作成いたしまして、この計 画のある程度範囲内で各関係の事業者さんが製造しております。平成16年度の実施状況 でございますが、まず第一に国内において製造輸入された血液製剤の種類と量の目標と 実績が(1)でございます。別表の(1)には各製剤ごとの上段が実績で下段が需給計画上の数 字でございます。製造・輸入量に関してはインヒビターの製剤等6製剤において目標量 を上回るということでございまして、極端に下回っている製剤も基本的にはございませ ん。  それから同じ表の(2)というところは国産原料、献血由来原料で作られた製造実績でご ざいます。こちらに関しても対象製剤が10製剤ございますけれども、血液凝固第IX因子 製剤等6製剤で目標を上回っております。(3)の供給量は実際に医療機関へ供給した実績 でございますけれども、使用のアルブミン、免疫グロブリン、第VIII因子製剤で見ますと、 アルブミン製剤に関してはほぼ実績どおりの数値になっております。第VIII因子に関して も遺伝子組換えを含んだ数値でございますけれども、ほぼ96%といった状況でございま す。免疫グロブリンに関してもほぼ見込みどおりの供給実績となっております。これら 3製剤の自給率でございますけれども、平成15年度と平成16年度を比較いたしますと、 アルブミンに関しては47.5%から50.2%と増加しておりますし、人免疫グロブリンに関 してもほぼ同水準ですが、86.9%から87.5%と上昇傾向でございます。第VIII因子に関し てはリコンビナント製剤も若干シェアが伸びておりますので、平成15年度の44.1%か ら39.9%と、全体の献血製品の中では減少しております。  続きまして、これらの原料となる原料血漿の確保目標量と実績の関係でございますが、 114ページの4に平成16年度における確保目標量と実績がございます。目標量94.0万 リットルに対して確保実績が94.2万リットルということで、100%以上を達成しており ます。これも関係者の方の御協力でございます。続きまして同じページの5に原料血漿 の配分計画量と実績がございまして、基本的に計画どおり、日本赤十字社から国内の3 社に対する配分計画と実績でございまして、これもほぼ計画どおりとなっております。 以上から、平成16年度における需給計画上の実施状況についてはほぼ計画どおり適正に 実施されたものと考えております。  続きまして平成17年度上半期の実施状況について御説明いたします。こちらは平成 17年4〜9月までの中間実績に基づくものでございまして、118ページに同じように表 をお付けしております。先ほどの平成16年度と同じ整理でございまして、上段が実績、 下段が需給計画でございます。上半期ということでございますので、おおむね50%を一 つの目安ということでございますけれども、(1)の製造・輸入上の合計、そのうちの国産 原料の実績、それから供給量に関しても基本的には計画の枠内で推移していると考えて おります。現在12月末までの実績も承知しておりますが、ほぼ計画の枠内で供給、それ から製造・輸入に関しても推移しているということでございます。以上から平成17年度 の中間実績に関しても大きく計画より相違のあるような動きは見られないと考えており ます。以上で説明を終わります。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは引き続き日本赤十字社から資料の説 明をお願いできますか。 ○参考人 それでは資料B-2について説明させていただきます。これは血液事業本部が 発足1年たちまして、それに当たって当面する血液事業の運営方針について運営委員会 に御報告させていただいたものでございます。血液事業の当面の方針についてというこ とで、日本赤十字社の血液事業の基本は採血事業者及び製造販売業者としての責務であ る献血者の保護、安全な血液製剤の安定的かつ適切な供給並びにその安全性の向上に努 めるとともに、法令を遵守した安全管理体制を構築することであり、当面の方針につい て以下のとおり取り組むこととするということで、数年間の全体計画をI、3年間に取 り組むべきものをIIとして2ページから、そして当面今年行うものとして4ページから 書いております。  そのうち全体計画の中の1.今後の血液事業の実施体制といたしまして、今後血液事業 を行うに当たっては薬事法へのハード、ソフト面での対応、あるいは安全性の向上、更 には血液事業の効率化に対応していくには従来の都道府県での事業運営体制では困難で あるということから、事業の広域的な運営を図っていくということで、広域化の第一歩 としては検査業務について全国12か所程度に業務集約していくとしております。これは 現在更に淘汰が進みまして、現状41あるのを2年以内には11程度にするということで 具体化を進めているところであります。続いて、その検査を11から更にもう一歩進める ことを検討しておりまして、並行して製剤業務についてもより広域的な都道府県の枠を 超えた集約化ということを考えております。製剤業務が集約されると採血供給体制にも 関係してまいりますので、その需給体制、採血供給体制についても広域化を図っていく としております。都道府県との関連については都道府県支部が都道府県と連携して果た している献血思想の普及・献血者の確保等の役割を考慮しつつ、しかし現在県単位が行 っていたものからより広域的なものになりますので、そうした進展状況を踏まえて組織 体制あるいは運営体制についても再構築していくという方針でございます。  2.血液の安全対策については、当社が掲げる総合安全対策の中で、採血事業者あるい は製造販売業者としての日本赤十字社が掲げている8項目の安全対策を現在着実に進め ているところであります。4ページの「本年度の」というところでありますように、既 に実施したものとしては本人確認を平成16年から開始しておりますが、更にそれを効果 的に実施していく、あるいは貯留保管も既に6か月実施した、またガイドラインも作ら れ国もそれを拡大する形でガイドラインが出されて、既に実施に移されているところで あります。2ページからありますようにその他の8項目についても現在E型肝炎の問題、 あるいは核酸増幅検査についても既に20プール行っておりますが、更に機器の更新も控 えておりますので、それを兼ねた精度の向上を検討しております。また保存前白血球除 去についても既に血小板は実施し、血漿、全血について今年度中に実施する予定で取り 組んでいるところでございます。それから全数検査についても血液の安全性を検証する という意味で引き続き実施しております。また不活化技術については現在可能な方法の 評価を実施しているところでございまして、将来的には国の審議会での審議を含め透明 性を確保しながらその導入について検討していくと。そのための資料を取りまとめたい と考えております。  2ページの冒頭に戻りますけれども、こうした技術の中で2.血液の安全対策について ということですが、技術的な検討は製造販売業者の責任として取り進めているわけです が、そうした検討と並行してコスト等あるいは製造や仕様、供給、そうした使用者側へ の影響もございますので、それらの問題については導入の際にどう判断するか。導入の 可否については国の指導・助言を受けながら進めてまいりたいと考えております。  血漿分画製剤の第VIII因子については引き続き責任を持って実施していくということが ございますが、その他のものについても日本赤十字社の血液は商業的に売買すべきでは ないと。あるいは献血に由来すべきものであるという概念、また国の法律で新たに決め られた献血を基にした国内自給をするといった方針に照らしながらも、国の血漿分画製 剤の製造体制の在り方に関する検討会での審議や、国の具体的な政策を踏まえて、今後 着実に実行していきたいと考えております。その他この間やるべきこととしては法令を 遵守した安全管理体制の構築、あるいはそれにかかわる職員の教育訓練等を実施してま いりたいと考えております。以上が基本方針の概要です。  それからもう一つ、度重なる事故の御報告で申し訳ございませんが、海外渡航歴のあ る献血者の血液等を医療機関へ提供した事例を125ページで報告させていただいており ます。1月23日に京都府赤十字血液センターにおいて、英国渡航歴があって採血しては ならない献血者から採血をし、それを関係職員が失念した、あるいは連絡体制が不備で あったということから1月30日に医療機関に供給、輸血されました。患者さんは原疾患 により当日死亡された、あるいは片割れの血液は確保されて使用されなかったという、 大きな影響はなかったということではありますが、こうしたことは二度と起こってはな らないということがございます。先ほどありましたように、これは問診においていろい ろな項目がある中で問診医がこの項目を見落とし、他の職員もチェックすべきところを 見落としたと。気が付いた職員はいたわけですが、その者が業務を担当している者に確 認を依頼し、その確認をした人が本来製剤を止めるための動きをしなければならなかっ たのですが、失念してしまったという一連の積み重なった過誤がありまして、こうした 事態を招きました。今後の対策としては受付あるいは問診、採血にかかわる人について 確認を徹底するということ、これに関する教育訓練をしっかり行うということ。それか ら、まず危ない血液は止めるということでの連絡体制が極めて重要ですので、そうした 関連部門での連絡体制をきちんとすること、その手順を明確にするということを徹底し てまいりたいと考えております。こうしたことをなくすため、今後とも努力してまいり たいと考えております。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。輸血用血液製剤における感染症の報告、最初 は供血者からの遡及調査の進捗状況、それから感染が疑われた事例の報告、特にHEV- NAT陽性献血者の状況、ウエストナイルウイルス感染発生時の献血者への対応等の報 告がございました。そして血液製剤の使用実態調査、あるいは平成16年度需給計画の実 施状況、平成17年度上半期の需給計画の実施状況、ただいま田所先生の方から日本赤十 字社の血液事業運営のための方針についてということで、非常に多くの報告を頂きまし たけれども、時間が少し限られていて多くの時間は割けないのですが、先生方からこの ポイントについてということで何か御意見を頂けたらと思いますけれども、いかがでし ょうか。どうぞ、比留間委員。 ○比留間委員 血漿分画製剤の国内自給に関して少しお聞きしたいのですが、118ペー ジの資料にありますように血漿分画製剤の製造に関しては予定どおり順調にいっている ということで、御努力に感謝するわけですけれども、アルブミン製剤はやはり平成17年 度上半期で53.6%しか国内自給できていないということで、私が繰り返すまでもないで すが、これから多分取り組まれていくことだろうと思います。血液法の基本方針には平 成20年を目途に国内自給、とりわけアルブミンと免疫グロブリンに関しては達成すると いうことを言ってしまったわけで、言ったことに対してはすごいことをよく言ったなと 大変感激したのですけれども、だんだんたってきてまだ50〜53くらいになってくると、 とても心配になってくるのです。もしこれができなかったら一体だれがどうやって責任 を取るのだろうかとか、大きなお世話かもしれないのですけれども、心配になってくる わけです。  そこでそれに関して臨床現場で見ている者にとって、一つは国内製の5%の等張アル ブミン製剤がいまだにないということ。PPFはあるのですけれども、やはりPPFは 人工心肺のときに禁忌項目などがあって、なかなか使いにくいということもあるのです。 やはりFFPを適正使用して循環血漿量補充のためには、等張アルブミン製剤を使う方 に切り替えていくと、どうしても5%アルブミン製剤のニーズが高まってくると。それ なのにその献血由来がないということが大きく妨げている一つではないかと思いますの で、5%アルブミン製剤を日赤に早く作ってほしい、25%で作ったものを5倍に薄めて 出してほしいと思います。そんなことはできないかもしれませんが、ほかのメーカーも 献血で作っていればそれで結構ですけれども、早く認可することがいいのではないかと。  それからリコンビナントアルブミン製剤は当院でも第IV相の追加治験に参加させてい ただいたこともあって、少しなじみがあって言うわけですけれども、あれから随分たっ ているのにこれはいまだに上市される話が聞こえてこないということで、これもやはり 早く何とかした方がいいと思います。この二点に関して進捗状況を教えていただければ、 あるいはもし平成20年度に100%達成されない場合、だれがどう落とし前をつけるかに ついてお聞かせ願いたいと思います。 ○池田部会長 それでは非常に重要な問題なので、アルブミンについてお答えいただけ ますか。 ○血液対策企画官 厳しい御指摘を頂いていると同時に、もう平成18年3月でございま すので、平成20年を目途にというところまで数えていかなければいけない、具体的な方 策を進めてまいりたいということで、この血液法を作りまして基本的な方針を定めた当 初、平成14年から先ほども御紹介させていただいた検討会における議論を進めてまいり まして、昨年12月にも一度検討会において議論をさせていただきました。その際にこれ までの状況等を振り返りながらできるだけ具体的な方策についての検討をしようという こと、少し専門的な見地から意見を頂きながら特にアルブミン、グロブリンの国内自給 に焦点を絞った議論を進めていきたいということで、検討会の委員とは別に専門的な観 点からの議論を進める場ということで、実は明日から検討会の下にワーキンググループ を設置いたしまして、そこで御議論いただいた内容で具体的な方策について検討会の方 にフィードバックをすると。その上で具体的な方策をできるだけ実効性のある内容につ いて議論を進めていきたいという予定をしているところでございます。今先生から御指 摘いただいたような点をより実際の現場での議論なども含めて、あるいは製造体制、製 造に向けてのこれからの考え方等も具体的な方策を挙げながら議論を進めていかれれば ということで、明日第1回目のワーキンググループを開催し、何回か議論を重ねていく 中で、この夏にはもう一度検討会で議論をすると。それに向けてワーキンググループで も中間的な報告を頂くということで進めたいと思っております。より具体的な御指摘、 御意見等を頂きながらその検討を進めていくことにしているところでございます。  また御指摘がありましたように、遺伝子組換えについてはどうしても薬剤としての有 効性と共に安全性ということで、既に治験を実施していただいておりますし、その内容 を十分精査した上でということでございますが、アルブミン製剤は非常に広範囲にわた って、あるいは使われる量も多い製剤でございますので、安全性という面においては十 分な議論が必要であると。有効性と安全性とも両方の評価ということではございますが、 より安全性については十分な審議・調査が必要であるということで、私ども今審査を重 ねさせていただいているところでございます。これは審査部局の方で現在審査中という ことでございますが、その内容等を踏まえて有効で安全な使い方ということになれば、 その先の実用化へ議論が進んでいけるのではないかというところでございますが、現状 はまだ審査中であるということで御紹介させていただきました。 ○池田部会長 ワーキンググループはこれから頻繁に開かれるわけですね。月にどれぐ らいの頻度で開かれるのですか。 ○血液対策企画官 まず第1回目は明日開催させていただきまして、関係者のヒアリン グのようなこともさせていただければと考えておりますので、毎月1回ぐらいの頻度で はスケジュールを組んでいきたいと思います。私どもいろいろ懸案事項がある中でお忙 しい先生方にお集まりいただきながら検討を進めるということと、数回の検討の上で夏 にはもう一度また検討会の場での議論にフィードバックさせていただければと予定して おります。 ○池田部会長 毎月に1回ぐらいはワーキンググループで詰めて、集中的に議論してい ただくということですので、その議論を待ちたいと思います。リコンビナントアルブミ ンは追加に臨床試験をやらなければいけないという状況ですか。あるいは今審査中とい う了解でよろしいのですか。その辺恐らく比留間先生の…。 ○血液対策企画官 審査当局が今やっております内容でございますので、私どもの立場 では現在審査中と。既に臨床試験、治験もいろいろ実施されたかと思いますが、そうい ったものを現在審査中です。 ○池田部会長 全部併せて審査中と理解してよろしいですね。ありがとうございました。 そのほかいかがでしょうか。どうぞ、大平委員。 ○大平委員 血液製剤の使用実態調査に関してですけれども、これは多分輸血用血液が 主な調査の対象になっているのかなと思うのですが、血漿分画製剤などは入っていない という認識でよろしいのでしょうか。ただ、血漿分画製剤の方のこういった使用実態と いうのも調査された方がいいのではないかと思いました。先ほど国内自給の問題が出て まいりましたけれども、献血者にこれから若年層も含めて献血の必要性を訴えていく中 で、国内自給はアルブミンの数値などを見てもなかなか伸びていないというところは訴 えが固定してしまうのではないかというところがありますので、こういった調査の中で やはり国内の献血血液を利用していただけるような、誘導はよくないのかもしれません が、適正にそういう形で使っていただけるような方向性をアンケートの中でとっていっ ていただいてもいいのではないかと思いました。  それからE型肝炎の問題などが出てきておりまして、前から指摘はされてきておりま すけれども、北海道に限らず最近生肉というのでしょうか、レアの状態でレバーなどを 食べたり、半生の形で鹿など、これは全国的な範囲で食用に供されていると思いますの で、こういった30数例の方たちの陽転例が出てきておりますので、今後その対策はやは り早めにとっていただければと思います。 ○池田部会長 これは北海道のデータを参考にしながら全国的にという考えでよろしい でしょうか。 ○事務局 HEVについては先ほど御紹介しましたとおり、全国の広がりを今抗体検査 で調べているところでございますので、その結果が出てそれを踏まえて高いところにつ いてはやはりNATも引き続き全国でやってみて、そこで専門家の委員の御意見を拝聴 して、全国的にやるのかどうするのかというところをお伺いできればと思っております。 ○池田部会長 ありがとうございます。厚生労働省の研究費の補助もなされて、恐らく NATの試薬標準化等も研究班で研究されていると思いますので、それも少し早めてい ただくということでよろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。どうぞ、岡田委 員。 ○岡田委員 45ページの血漿分画製剤でパルボウイルスの感染が疑われているという事 象がありまして、これは1月26日の運営委員会では原料血漿のパルボの有無を確認中と いうことになっていますけれども、その後の進展はどうなったのでしょうか。それから 因果関係はどのようになっているのでしょうか。 ○事務局 本日までの時点で新しい情報を得られておりませんので、再度確認させてい ただきます。 ○岡田委員 それからもう一つ、輸血で成分製剤の方でパルボウイルスの感染が起こっ ているのですけれども、その原因となった保存血液の方でIgM陽性、IgG陽性でも 一応感染例の報告が上がっていますので、従来ではIgMが陽性になると感染価は大分 落ちるのではないかということが言われていたのですが、こういう症例があるとごくま れな例なのか、それとも我々が今まで気付かなかっただけで抗体が陽性であっても感染 してしまうのか、ちょっと驚いたのです。この症例に関してはDNAの量が極端に多い とか、供血者の特別な情報がおありでしたら調べていただきたいのですが。 ○参考人 調べてみます。 ○池田部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。よろしゅうござい ますか。非常に多くの報告を頂いたわけですけれども、今委員の先生方から幾つか御意 見を頂きまして、事務局あるいは日本赤十字社の方もそれを参考にして是非この調査、 報告を継続していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは二つの議題が終わったということで、議題3のその他について何かございま すか。特にございませんでしょうか。それでは特に議題はないということですので、本 日の審議はこれで終了させていただきたいと思います。次回は年度末で先生方非常にお 忙しいところ恐縮なのですけれども、来週の3月16日になります。日程が非常に近いわ けですけれども、先生方是非万障お繰り合わせの上また議論をしていただきたいと思い ますので、よろしくお願いいたします。それではこれで本日の部会を終了させていただ きたいと思います。どうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 稲岡(内線2906)   - 30 -