06/03/03 薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会合同開催 平成18年3月3日議事録    薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年3月3日(金) 14:00〜   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員  部会ごと五十音順(両部会とも所属の委員あり)   (医療機器・体外診断薬部会:10名)    上 野 照 剛、 岡 部 信 彦、 小 野 哲 章、 鎌 倉 史 郎、    澤     充、◎土 屋 利 江、 富 田 基 郎、○中 原 一 彦、    仁 田 新 一、 山 口 照 英   (医療材料部会:10名)    小 田   豊、 笠 貫   宏、 勝 呂   徹、 高久田 和 夫、    田 野 保 雄、◎土 屋 利 江、○長谷川 紘 司、 牧 野 恒 久、    松 村 英 雄、 山 口 照 英  (注) ◎部会長 ○部会長代理    他参考人1名   欠席委員  部会ごと五十音順   (医療機器・体外診断薬部会:5名)    井 街   宏、 小 俣 政 男、 許   俊 鋭、 田 島 知 行、    橋 本 信 夫      (医療材料部会:8名)    飯 田 寛 和、 菅 野   純、 北 村 惣一郎、 許   俊 鋭、    倉 根 一 郎、 田 島 知 行、 橋 本 信 夫、 橋 本 久 邦 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   山 本 弘 史(医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   金 井 雅 利(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   木 下 勝 美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医療機器審査部長)    新 見 裕 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構品質管理部長) 他 4.備  考   本部会は、両部会合同案件は公開で、各部会個別案件は、企業の知的財産保護の観   点等から非公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻となりましたので、ただいまから医療機器・体外診断薬 部会及び医療材料部会の合同部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、 御多忙中御出席を賜りましてありがとうございます。  本日は、医療機器・体外診断薬部会委員数15名のうち10名、また医療材料部会18 名のうち10名の御出席を頂いておりますので、どちらの部会とも薬事・食品衛生審議会 令第9条第3項に基づき、定足数に達していることを御報告いたします。  本日の会議のうち合同開催の議題につきましては、平成13年1月23日の薬事・食品 衛生審議会決議に基づき、会議を公開させていただいております。合同開催案件終了後、 引き続き医療機器・体外診断薬部会、医療材料部会のそれぞれの案件に移らせていただ きますが、こちらは個別品目の審議でございますので非公開とさせていただきます。  それではまず、合同開催の案件につきまして土屋委員に座長をお願いいたします。よ ろしくお願いいたします。 ○土屋座長 それでは審議に入ります。最初に事務局より資料の確認をお願いします。 ○事務局 今回の合同部会に関係する資料はあらかじめお送りしております。お手元に 資料がない場合は事務局の方に御連絡していただければと思います。  資料1-1が認証基準(案)、資料2-1が承認基準(案)となっております。資料2-1の方 は七つのうち三つが少なくなりまして、残り4基準となっております。詳細は後ほど御 説明いたします。資料3-1は当日配付資料で、表紙の右肩欄外に「(差し替え)」と書い てあるものでございます。資料4-1は機器の関係JIS一覧、資料4-2が制定・改正予 定のJIS一覧となっております。以上、資料4-1と4-2がJIS関係でございます。  以降は参考資料でございますが、大きく分けまして認証関係と承認関係でございます。 参考資料1-1、1-2、1-3が認証基準関係でございます。参考資料2-1、2-2、2-3につき ましては、承認関係の資料となってございます。参考資料3-1はレーザ手術装置の治験 データの添付免除関係の資料でございます。以上でございます。 ○土屋座長 ございましたでしょうか。それでは議題に入ります。議題1ですが、14の 医療機器の認証基準(案)について御報告いただきます。事務局より説明をお願いいたし ます。 ○事務局 それでは事務局から認証基準(案)に関しまして御報告させていただきます。 お手元の資料の1-1及び参考資料1-1、1-2、1-3を使って御説明いたします。厚い縦書 きの資料1-1というのが基準案そのものになりまして、今回は14個の基準を作成させて いただきたいというふうに考えている次第でございます。概要につきまして横書きの参 考資料1-1、1-2の方にまとめておりますので、今回の御報告に関しましてはこの参考資 料を用いて御説明させていただこうと思っております。  まず、個別の認証基準の中身に入る前に、認証基準とはということで簡単におさらい をさせていただきます。横書きの薄い参考資料1-2を御確認いただけますでしょうか。 医療機器の認証基準に関する基本的考え方についてということで、1ページをめくって いただきますと、昨年の4月から始まっております改正薬事法においてどのように医療 機器を考えていくかという分類の表になっています。もう御存じかと思いますけれども、 一番右の「改正後」というのが既に始まっている薬事法における医療機器の分類でござ いますが、各々が持つ医療機器のリスクに応じて、低い方から一般医療機器、管理医療 機器、高度管理医療機器というような形になっております。このうち二番目の管理医療 機器というものにつきまして今般御審議いただきます認証基準を作成いたしまして、こ の認証基準に合致することによって国の方ではなくて第三者である各登録認証機関にお ける基準審査ができると。それによって、一番下の高度管理医療機器と比べてめり張り の付いた医療機器の審査、及び民間におけるリスクが低い製品に関する審査というもの が実現できるような形にするための基準という位置付けになっております。  2枚目以降を少し飛ばしまして、一番最後の5ページに前回も御説明させていただき ましたが、医療機器の認証についてということで、まず(1)として、その医療機器の適 用範囲及び技術基準である日本工業規格(JIS)、さらにその品目が標榜できる使用目 的、効能又は効果の範囲というものを告示で定め、それと一緒に基本要件への適合性を 説明するためのチェックリストというものを通知でセットいたしまして、これを併せて 認証基準という形で載せさせていただいて、今般14基準を作成いたしました。  それでは、個別の14品目について中身を簡単に御説明させていただきます。もう一つ の横書きの薄い参考資料1-1を御確認いただけますでしょうか。発作時心臓活動記録装 置認証基準(他13基準)についてという資料でございます。まず1ページをめくっていた だいて、2ページから個別品目について御説明させていただきます。  まず一つ目の発作時心臓活動記録装置における認証基準(案)といたしまして、当該品 目におきましては、現在審査に際して利用すべき承認審査基準及び添付すべき資料に関 する通知等は示されておりません。ただ、これは既に類似の品目であります汎用心電計 及び多機能心電計に関する認証基準というものが昨年の3月25日に作成済みでありま す。これと同様に日本工業規格であるJIS T 0601-1と、またその基本要件におきまして IEC 60601-2-47という二つの規格を適用させることによって認証基準を作成させていた だきたいと。ただ、一点違うところと言いますと、これらの既に作成してあります心電 計と違って、持ち歩いて発作等が起こったときに初めて使用するという心電計になりま すので、持ち運びに関するような条項というのが少し差として出てくるということであ りますが、原則として技術基準の根本的なところはJISとIECの両方を満足するこ とで問題ないのではないかと考えております。  更にもう1ページめくっていただきまして、次に脳波計に関する認証基準について御 説明させていただきます。脳波計といいますと、現在やはりこれも承認審査における基 準及び申請資料に添付すべき資料に関する通知は定められておりません。これにつきま しても、やはり日本工業規格のJIS T 0601-1及び脳波計に関するJISでありますJIS T 1203を満足することによって、認証基準として適切な技術基準を満足できるのではな いかと考えまして、この二つのJISに適合することをもって脳波計に関する認証基準 にさせていただきたいと考えております。  次にもう1ページめくっていただきまして、4ページに分娩監視装置等認証基準(案) とございまして、分娩監視装置に関する基準でございますが、これもやはり今までと同 様に審査基準及び添付すべき資料の通知等については定められておりません。ただ、日 本工業規格でありますJIS T 1303という基準が既に存在しておりまして、これを技術基 準として引用することによって認証基準を作成させていただきたいというような形にな っております。  次にもう1ページめくっていただきまして5ページですけれども、経皮血中ガス分析 装置・パルスオキシメータ組合せ生体現象監視用機器等認証基準(案)とございます。こ れがどういうものかといいますと、名前の方が少し長いのですが、経皮血中ガス分析装 置というものとパルスオキシメータの二つの能力を兼ね備えた、いわゆる組み合わせて 一つの機械となっているような製品に関する認証基準でございます。これにおきまして も現在は基準及び通知等は存在しないのですけれども、平成17年3月25日に既にパル スオキシメータ単独に関する認証基準というものを定めさせていただいております。ま た、その後の平成17年8月12日に経皮血中ガス分析装置認証基準の方も作成させてい ただいておりまして、その基準両方を併せ持ったものを技術基準とすることによって、 当該組合せ機器の技術要件として十分ではないかというふうに判断いたしまして、組合 せ装置の認証基準として両基準を満足するようなものを作成させていただきたいと考え ている次第でございます。  続きまして更にもう1ページめくっていただきますと、耳管機能検査装置認証基準 (案)とございます。これにおきましても、やはり従来からの審査基準及び通知等はござ いません。ただ、技術基準として定めさせていただきますものがJIS T 0601-1という電 気安全に関する通知、及び基本要件チェックリストにおきまして、既に当該耳管機能検 査装置の類似品として旧法において医薬品医療機器総合機構における審査を終了して承 認されている製品が、どのような審査項目で評価することによって既承認品として存在 しているのかということを踏まえまして、それらの検査項目は承認時の評価項目をまと める形で、基本要件チェックリストにおいて当該装置の認証基準としてそれらの試験項 目、技術要件等を満足することで技術基準として差し支えないと考えまして、当該耳管 機能検査装置における認証基準として作成させていただきたいと考えております。  引き続きもう1ページめくっていただきまして、7ページの歯科用注射針認証基準 (案)について御説明させていただきます。この注射針におきましても、現行制度におい ては承認基準や資料に関する通知等というのはやはり示させていただいておりません。 これにつきましては、歯科用の注射針に関する国際的な要求事項でございますISO 7885 という基準がございまして、この7885を日本工業規格のJIS T 6130(案)「歯科用注射 針」としてJISを現在作成中でおります。このJISを技術基準として引用すること によりまして、認証基準として作成させていただきたいと考えております。  更に1ページめくっていただけますでしょうか。続きまして一時的使用カテーテルガ イドワイヤ認証基準(案)となります。これはやはり基準及び通知等は今は定められてお りません。これの認証基準をどのように作成させていただいたかといいますと、ガイド ワイヤを含めた血管用カテーテルイントロデューサに関する国際的な要求事項でござい ますISO 11070のうち、当該ガイドワイヤに関する部分をピックアップしたような形で 参考にさせていただいて、対応する日本工業規格JIS T 3267(案)「血管用ガイドワイヤ」 という規格を現在作成中でおります。このJISをやはり先ほどの注射針と同じように 技術基準として引用することによって、認証基準として問題なく要求事項として適切な ものが設定できるという形から、当該品目に関する認証基準を作成させていただきたい ということになっております。  更に1ページめくっていただきますと、9ページにバルーン拡張式血管形成術向けカ テーテル用コネクタ認証基準(案)ということで、これもやはり当該品目について承認審 査基準や申請資料に添付すべき資料に関する通知等はございません。これにおきまして もやはり前の2件と同様に国際的な要求事項でありますISO 11070を参考にさせていた だきまして、当該コネクタのJISを適用範囲としたJIS T 3263(案)「血管カテーテル 用Y-コネクタ」を作成中でございまして、このJISに適合していることをもって当該 品目の認証基準とさせていただきたいと考えております。  更にもう1ページめくっていただきまして10ページですけれども、これが輸血・カテ ーテル用延長チューブ等認証基準(案)という基準でございます。これについても、やは り現行制度は取扱いについては示されておりません。ただ、既に他の基準で引用するこ とを目的といたしまして、JIS T 3211及びJIS T 3212という「滅菌済み輸液セット」 及び「滅菌済み輸血セット」という規格がございます。これらの中から当該品目の基準 として適切なものを参考にさせていただきまして、新たに滅菌済みの延長チューブに関 するJIS T 3265(案)というものを現在作成中でおります。このJISの完成したものを 技術基準として引用いたしまして、当該品目の認証基準として作成させていただきたい と考えている次第でございます。  最後になりますけれども、11ページをめくっていただきますと、個々の歯科材料の認 証基準五つについてまとめて御説明させていただきます。これらの認証基準をどのよう に作成しているかというと、既にほかの歯科材料に関する認証基準は平成17年3月25 日に作成済みであります。それらの歯科材料の認証基準と同様に、まず技術要件として 日本工業規格のJIS T 0993-1及びJIS T 6001の基準を技術要件として定めさせていた だいております。さらに、基本要件チェックリストにおきまして「歯科材料の製造販売 承認及び認証申請に必要な物理的・化学的及び生物学的試験の基本的考え方について」 という通知を発出させていただいております。この通知は何かと申しますと、書いてあ りますように物理的・化学的要求事項や生物学的試験の基本的考え方についてまとめた ものであります。この中に個々の材料についての技術基準を定めさせていただいており まして、これを現在日本歯科医師会や関係工業団体の御協力を得て、当該品目に関する 部分についてもこの通知に反映させることを考えておりまして、その技術基準を引用す ることによって、今までのほかの認証基準と同様に歯科材料の認証基準として当該5品 目も加えて作成させていただきたいという形になっております。  以上、14品目の認証基準に関する簡単な御説明をさせていただきました。次に1枚め くっていただきますと細かくて大変恐縮ですけれども、縦書きで1〜14に示させていた だいた認証基準の個々の対象となる医療機器の一般的名称の種類及び定義を一覧にさせ ていただいております。  また最後のページをめくっていただきますと、これは今回の基準ではありませんが、 現在委員の先生方に御協力いただいた今までの認証基準の作成状況になっております。 申し訳ございませんが、日付が2月6日現在になっておりますけれども、現在3月3日 時点において同じでございますので、修正いただけるようにお願いいたします。  以上、簡単ではございますが、認証基準14品目について御説明させていただきました。 部会長、よろしくお願いいたします。 ○土屋座長 ありがとうございました。それでは、クラス分類・基準等検討小委員会の 委員長を務めておられます小野委員長から何かございますでしょうか。 ○小野委員 小委員会におきまして資料1-1の認証基準(案)を検討しております。各委 員からの意見を反映した形で資料1-1をここに提出いたします。委員会として了承して おります。 ○土屋座長 ありがとうございました。それでは何か御質問等はございませんでしょう か。小委員会で一応検討して了承しているという内容でございまして、報告事項ではご ざいますが、特に御意見等がないようでございましたら次の議題に移りたいと思います。 よろしいでしょうか。  それでは議題2に入ります。議題2ですが、四つの医療機器の承認基準(案)について 御報告いただきます。事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局 引き続きまして、承認基準の4基準について御説明させていただきます。資 料は2-1という縦書きの厚い資料と、参考資料2-1、2-2、2-3というものが承認基準に 関する説明資料となっております。この品目におきましては、先般の2月6日にクラス 分類等検討小委員会を行っております。また、1月17日〜2月16日までの間にパブリ ックコメントを行いまして、それらの頂いた意見も反映させた形で今回の資料とさせて いただいております。また言い損ねてしまいましたが、先ほどの14の認証基準におきま しても同様の手続を踏んで、2月6日のクラス分類検討小委員会の審議及び1月17日〜 2月16日までのパブリックコメントを同様に行っているところでございます。それで先 ほど資料説明のところで少し簡単に触れさせていただきましたが、本承認基準におきま して、当初クラス分類検討小委員会においては7基準を審議品目として上げさせていた だいて、パブリックコメントの方も募集をさせていただきました。その際にパブリック コメントの意見としてまだ少し検討を要するであろう指摘を頂いた関係上、放射線源に 関する基準が三つほどございましたが、それにつきましては頂いた意見も踏まえて再度 こちらの方で検討いたしまして、改めて当部会の方に御報告させていただきますので、 御了解いただけますようお願いいたします。  それでは具体的な承認基準の中身について御説明させていただきます。まず先ほどと 同様に、簡単に承認基準の概要について御説明いたします。横書きの薄い参考資料2-2 の方を御確認いただけますでしょうか。まず1ページをめくっていただきまして、この リスク分類の表は先ほどの表と同じですけれども、一番右の一般、管理、高度管理医療 機器と三つございまして、一般は医療機器の承認の審査は必要ございませんので届出だ けで済むというような製品でございます。そこからリスクが高い管理医療機器及び高度 管理医療機器というものがございます。先ほど管理医療機器の中で認証基準を作成させ ていただいたものにつきましては、登録認証機関に行くこととなると御説明させていた だきましたが、それ以外の管理医療機器のうち、認証基準を作成できないもの及び高度 管理医療機器につきましては、現在独立行政法人医薬品医療機器総合機構の方に審査を お願いしているところでございます。医薬品医療機器総合機構の審査対象の中の品目の うち、審査に関する基準を定められるものについて作成させていただいて、その基準を 利用した審査を行うことによって基準が作成できない非常に新規性の高い製品について めり張りの付いた効率的な審査を行いたいということを目的といたしまして、当該承認 基準を作成いたしまして総合機構での審査に対して活用させていただきたいという形に なっております。  詳細を少し省かせていただきまして3ページになりますが、これが今言った総合機構 における承認申請の区分になります。承認基準がない品目については、一から添付すべ き資料等々、申請者の方で御判断いただいて申請していただきまして、それが臨床試験 が必要な程度新規性が高いものというのが一番時間が掛かる「(1)臨床試験あり」とい う審査をさせていただくと。二番目として、基準がないけれども、臨床試験をするまで はいかない品目について「(2)承認基準なし臨床なし」で審査をさせていただくと。こ の(1)、(2)というのが基準がございませんので、やはり審査にどうしても時間が掛か ってしまうということを受けまして、「(3)承認基準あり臨床なし」とありまして、今 回作成させていただきます承認基準の適用範囲である医療機器につきましては、この基 準に適合していることをもって承認審査をさせていただいて、時間的にもお金的にも効 率のいい審査をさせていただきたいと考えております。  それでは具体的に個別の4基準の中身について御説明させていただきます。基準その ものにつきましてはやはり厚い資料2-1の方に書いてあるのですけれども、簡単にその 品目の概要についてまとめさせていただきましたので、横書きの薄い参考資料2-1を御 確認いただけますでしょうか。  まず、2ページの植込み型心臓ペースメーカ等承認基準(案)について御説明させてい ただきます。これは現在の審査におきましても、植込み型心臓ペースメーカの審査に関 する基準といたしまして、「人工肺および人工心肺用回路基準等について」というもの が平成11年の医薬発第1439号において示させていただいております。これは人工肺及 び人工心肺用回路基準で、「等」の中に入っているのですけれども、複数の品目の承認 審査に関する基準が定められた通知でございます。ペースメーカに関する当該基準を作 成する際にも、国際的なペースメーカに関する基準を参考にさせていただいたのですけ れども、今回におきましてもペースメーカに関する国際的な要求事項として、現在使用 されておりますISO 14708-2という基準がございまして、この基準を参考に技術基準を 定めまして承認基準を作成させていただきました。先ほどの平成11年の基準も国際基準 が参考になっておりまして、今回の承認基準におきましてもISOを参考にさせていた だいたことから、当然のことではありますが、当該技術基準は上記の現在運用している 医薬発第1439号の内容を包含したような形になっております。以上が心臓ペースメーカ 等承認基準(案)となっております。  続きまして3ページを見ていただけますでしょうか。これは自己検査用グルコース測 定器承認基準(案)であります。当該品目につきましては先ほどのペースメーカと異なり まして、審査基準及び申請資料に添付すべき資料に関する通知等については具体的には 示させていただいておりません。ただ、基準といたしましては当該自己検査用グルコー ス測定器に関する国際的な要求事項でございますISO 15197という基準を参考に技術基 準を定めまして、その技術基準に基づいて承認基準を作成させていただきたいと考えて おります。  更に1ページめくっていただきますと、長期的使用胆管用カテーテル等承認基準(案) とございまして、これにおきましてはやはり承認審査基準及び申請資料の通知等は示さ せていただいておりません。ここにつきましては長期的と書いてあるのですけれども、 これを短期に用いるような製品につきましてはリスクが下がりまして、先ほどの管理医 療機器という分類になることから、既に日本工業規格JIS T 3243というものを作成いた しまして、短期につきましては認証基準として作成済みでございます。今般長期的とい うことでございますので、JIS T 3243を参考にいたしまして、適用範囲を長期的にさせ ていただいたJIS T 3269(案)を作成しております。現在作成中のこの基準を引用して技 術基準とすることによって、承認基準として当該品目に係る適切な要求事項を設定し、 承認基準として作成させていただきたいと考えております。  更にもう一枚めくっていただきまして5ページですが、長期使用尿管用チューブステ ントに関する承認基準(案)でございます。これも先ほどの胆管用と同様に短期的がクラ ス2でありまして、それについてはやはりJIS T 3247を作成済みであり、また当該3247 を引用することによって認証基準におきましても作成済みでございます。これを参考に 長期的使用の尿管用チューブステントを適用範囲といたしましたJIS T 3270(案)という ものを作成中でございまして、これを技術基準として引用することによって承認基準を 作成させていただきたいと考えております。  更に1ページめくっていただきますと、やはり先ほどと同様に当該承認基準の適用と なる医療機器の一般的名称とその定義を一覧にさせていただいております。ここで大変 申し訳ないのですけれども、ブラキセラピー装置用放射線源等の放射線源に関する5、 6、7におきましては、先ほど御説明いたしましたとおり今回の御報告の中から削除し、 次回以降に改めて御報告させていただきたいと考えております。  更に1ページめくっていただきますと、日付の方が同様に間違っておりますけれども、 承認基準の作成状況という形で御協力いただいて作成いたしました承認基準がこのよう になっております。誤解を招く表現で申し訳ありませんが、当該資料の表紙のところに 「その他6基準」と書いてありますが、3基準落ちてしまいましたので全部で四つの承 認基準となっております。以上、4承認基準につきまして御説明させていただきました。 部会長、よろしくお願いいたします。 ○土屋座長 ありがとうございました。それでは、クラス分類・基準等検討小委員会の 委員長を務めておられます小野委員長から何かございますでしょうか。 ○小野委員 小委員会におきまして資料2-1の承認基準(案)を検討しております。各委 員からの意見を反映した資料2-1について、小委員会として了承しております。 ○土屋座長 ありがとうございました。それでは事務局の説明に御質問等はございませ んでしょうか。鎌倉先生、どうぞ。 ○鎌倉委員 用語と誤植について気が付いたことがございますので指摘させていただき たいのですが、ペースメーカの承認基準の4ページです。一つは誤植だろうと思うので すけれども、「1.適用範囲」の4行目に「徐細動器」という字があるのですが、ぎょう にんべんではなく、こざとへんの「除」です。幾つかある除細動のそれが全部間違って います。  もう一つ、ここで植込み型除細動器にすべて「自動」が入っているのですが、一般的 には自動は用いないかと思うのです。英文では「automatic」という形になっているので すが、日本では余り「自動」という語句を付けないかと思うのです。  次にもう一つ要望なのですが、73ページに「基本モードコード案」というのがござい ます。I、II、III、IV、Vとあるのですが、IIIのO、T、Iという略語がありまして、 Tに関して「誘発」という訳語が用いられているのですが、これは一般的には「同期」 という用語を用いるのではないかと思うのです。73、74ページはすべて誘発という言葉 がたくさん使われているのですが、これはむしろ同期の方がいいのではないかという気 がするのです。74ページも同じように「モードコードの実例」ということでAAI、A ATというふうに用語がたくさんございますが、ここでちょっと気になるのが表D.102 のAOOないしはVOOを「心房非同期」ないしは「心室非同期」としているのですが、 これに関してはちょっと難しいかも分かりませんけれども、「心房固定」とか「固定ペ ーシング」という表現をよく使うので、ここも御検討いただいた方がいいかなという気 がいたしました。 ── 田野委員退席 ── ○土屋座長 貴重な御意見をありがとうございます。それでは事務局の方で対応につい てきちんと御報告していただきたいと思います。 ○事務局 先生の御指摘の箇所を確認させていただきまして、ISOを日本語にすると きにこういうような表記にしてしまったところがございますので、一般的に使われてい る単語、及び薬事法で正しい書き方にすべて統一するように見直させていただきます。 ○土屋座長 先生それでよろしいでしょうか。笠貫先生、御意見等はございませんでし ょうか。 ○笠貫委員 今鎌倉委員の御指摘があったように、用語については詳細にもう一度御検 討いただいた方がいいかと思います。これは学会の用語委員会もございますので、その 整合性も図っていただいた方がよろしいかと思います。よろしくお願いいたします。 ○土屋座長 それでは、両先生方の御意見を学会等も確認しながら進めていただきたい と思います。よろしくお願いいたします。そのほか御意見はございませんでしょうか。 ○長谷川部会長代理 ちょっと教えていただきたいのですけれども、二番目の自己検査 用グルコース測定器承認基準で、これは言葉だけの問題なのですけれども、何か私自身 の認識にバイアスがかかっているのか、「自己検査」という言葉に違和感を感じるので す。つまり、検査というのは何か第三者、多くの場合資格を持った方なのでしょうけれ ども、その第三者が検査するということではないかなという気がいたしておりまして、 いわゆる客観的な機器等で専門家あるいは非専門家が数値を測るのは「測定」ではない かなという気がします。  そのようなことで、「自己検査」という言葉が専門の領域の中で当たり前の言葉であ るならば全く問題はございませんけれども、こういったことは今後たくさん開発されて くるのだろうと思うのです。血圧計などは自分で測るときに検査ではないのではないか なという気がいたしておりますものですから、御専門の方々がもしその辺で御意見があ りましたらお聞かせいただきたいと思います。当たり前に使われていることであれば、 もう問題ないということでございます。 ○土屋座長 ではまず事務局の方から説明をお願いします。 ○事務局 事務局の方から背景について御説明させていただきます。今回承認基準の策 定という形で御紹介させていただいておりますが、この承認基準の策定に係る医療機器 の名称でございますけれども、昨年4月の改正薬事法に基づく中で、各医療機器につい て一般的名称というものを厚生労働大臣の告示で4,000ほど定めさせていただいており ます。告示で医療機器の名称とまたその一般的名称を有する医療機器の内容について定 めさせていただいておりまして、その告示においてこの自己検査用グルコース測定器と いうものが使われているので、今回はそれをそのまま引用する形で書かせていただいて いるという背景がございますことをまず御説明させていただければと思います。 ○医療機器審査管理室長 さらにちょっと補足させていただきますと、「自己」という 言葉を使っておりますけれども、飽くまで医師の指導の下に使うという位置付けの測定 器でございまして、糖尿病の患者さんが自宅でいろいろな時点において血糖値の値を管 理するために測定するのですけれども、その使用は全体としては医師の指導下に用いる というような位置付けのものでございます。同じ様な位置付けの「自己」という言葉を 使っている事例といたしましては、ちょうど同じ糖尿病の患者さんの事例でいきますと インスリンの自己注射というものがございまして、針を刺すのは患者さん自身なのです けれども、タイミングとか投与量などは飽くまで医師の指導下に行うということに関し て自己注射という言葉を使っています。同じような要領で自己検査という言葉として使 わせていただいているものでございます。 ○土屋座長 ということで、深く考えますと奇妙に思われることが出てくるかもしれま せんけれども、昨年来先生も御出席されている合同部会で、一般的名称等を含め既に告 示はされておりますけれども、その中身については今当局の方の説明から医師の指導下 で使用することについて自己検査用となっているということで、よろしいでしょうか。 ○長谷川部会長代理 結構です。 ○土屋座長 どうもありがとうございます。そのほかございませんでしょうか。それで は先生、お願いします。 ○牧野委員 ただいまいろいろな呼び方について御議論されていますので、分娩監視装 置という呼称につきまして一言申し上げます。分娩監視装置という漢字を眺めますと、 文字どおりピンポイントの分娩のときに用いる器具ということでございますけれども、 実際にこの装置は分娩でなくて妊娠の7か月、8か月の時点におきます胎児のwell beingの監視にも使います。あるいは同じように分娩前の母体の子宮収縮の状態をモニ ターするのにも全く同じように使われておりまして、言わばひっくるめて申しますと母 児監視装置というものが本来の正しい呼び方ではなかろうかと思うのです。たまたま母 児監視装置が分娩室に持ち込まれたときに分娩監視装置になるわけでありまして、これ は学会等の今までの関連もございますので、事務局の方でまた一つ呼び方について御検 討いただければと思っております。 ○土屋座長 ということで、検討の方をしていただけますでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 検討をいたしたいと思いますけれども、この場合分娩監視装 置の基準といたしまして、使用目的、効能効果につきましては資料1-1の3ページに「胎 児の心拍数、母体陣痛の検出に用いる」と書いているのですが、この言葉では十分にカ バーしていないということはございますでしょうか。 ○牧野委員 分娩の時以外にも使用されるということを含めて考えれば間違いないと思 います。 ○土屋座長 どうもありがとうございました。そのほかございませんでしょうか。今の お話は認証基準のところの御指摘でございました。この長期的使用というのはどのぐら いの長期なのでしょうか。 ○事務局 通常30日という形になっております。 ○土屋座長 そのほかございませんでしょうか。それでは特に御意見等ないようですの で、先ほど来先生方に御指摘いただきましたことについて再度検討して、各先生方に御 報告いたしたいと思います。  それでは次の議題に移ります。議題3でございますが、「レーザ手術装置の治験デー タの添付免除について」の改訂について事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは事務局より御説明させていただきます。レーザの手術装置治験デー タの添付免除についてということで、縦書きの薄い資料3-1と参考資料3-1を二つ使っ て御説明いたします。そもそもどういう経緯かと申しますと、参考資料3-1の方を見て いただきますと、平成3年に「レーザ手術装置の治験データの添付免除について」とい うことで、特定の疾病に使わない一般的に切開や止血、凝固及び蒸散を行うレーザ手術 装置のうち、炭酸ガスレーザ及びNd:YAGレーザにおきまして、原則レーザ装置は臨床試 験が必要となっているのですけれども、当該基準に適合するものについては一般的に臨 床試験を要求しないということになっております。そのような事務連絡が平成3年に出 ているのですけれども、これ以降に審査されてきたレーザ手術装置におきまして、事務 連絡以外の適用となるレーザ手術装置においても原則的に臨床試験を行うという立場を とっているところではございますが、やはり同等性とか、既に当該品目と類似している ような製品が流通しているとか、安全性、有効性が確認されているというものについて は、何個かにおきましては臨床試験を添付しないで承認されている製品が数点出てきて いるという形になっております。  それを受けまして、今般今まで炭酸ガスレーザ手術装置とNd:YAGレーザ手術装置にの み適用されていた当該取扱いの適用を一度見直したいということを受けまして、資料 3-1の1ページをめくっていただきますと、横書きに5個のレーザ手術装置があるかと 思います。右の二つが炭酸ガスレーザとNd:YAGレーザということで、今までの平成3年 当時の2個でございますが、今般承認前例から既に臨床試験を付けるまでもなく評価が できると判断させていただいている半導体レーザ、Nd:YAG倍周波数レーザ及びHo:YAG レーザのうち、ただこれを使えば何でもいいというわけではなくて、この適用の三つの レーザのうちこの中身の技術基準に満足しているもの、及び前二つにおきましても平成 3年と同等以上の適用範囲の中身をやはり見直しまして、この五つにおきましてレーザ 手術装置の申請の際には添付資料を免除させていただきたいと。免除通知として改正を させていただきまして、案の方を作成し、パブリックコメントの方を先ほどの承認基準、 認証基準と同じにさせていただき、また同様にクラス分類等検討小委員会におきまして も御報告させていただいた次第でございます。部会長、以上です。 ○土屋座長 どうもありがとうございました。それではただいまの事務局の説明に御質 問等はございませんでしょうか。この五つのレーザのうち、従来のものは右の二つなの でしょうか。 ○事務局 はい、そうです。 ○土屋座長 左側から3列の三つのものが今回改定案になったということで、この技術 基準に沿って行えば治験データを特に必要としないということですね。そのほか御質問 等はございませんでしょうか。それでは特にないようでございましたら次の議題に移り たいと思います。よろしいでしょうか。  それでは議題4に入ります。医療機器JIS規格の確認、制定、改正又は廃止につい て、事務局より説明をお願いします。 ── 審議官、医療機器審査管理室長退室 ──  ○事務局 事務局より御説明申し上げます。お手元の資料4-1、4-2を御用意いただけれ ばと思います。まず資料4-1につきましては、医療機器関係JIS一覧ということで全 392規格の一覧を示しております。こちらに関しまして、前回の部会以降、確認、制定、 改正又は廃止されたJISはございませんことを御報告させていただきます。  また、現在日本工業標準調査会の方で審議されています制定・改正予定の規格及び現 在厚生労働省のホームページ等を通じまして意見の受付を行っておりますJIS規格に つきまして、資料4-2に一覧を示させていただいております。こちらは制定が27件、改 正が12件となっておりまして、平成17年度分の制定・改正予定となっております。次 回の部会におきましては、この制定・改正について御報告させていただけるものと思っ ております。  また、本日資料は御用意しておりませんが、制定・改正以外に規格の統合などにより ます規格の改正や廃止等が不要であることの確認というものが予定されておりまして、 そちらも併せまして次回の部会に御報告させていただけるものと思っております。以上 でございます。 ○土屋座長 ありがとうございました。それでは事務局の報告について御質問等はござ いませんでしょうか。小野先生、どうぞ。 ○小野委員 資料4-2について、平成17年度制定・改正予定JISなのですが、これは 3月31日までにということでしょうか。 ○事務局 審議計画としては平成17年度という形で計画されておりますが、スケジュー ルの関係上、平成18年4月にずれ込んでしまうというような状況になっております。 ○土屋座長 よろしいでしょうか。そのほかございませんでしょうか。それでは本合同 検討会での議題は以上でございます。事務局から連絡事項はないでしょうか。 ○事務局 一点、資料のミスタイプの修正をお願いしたいと思います。横紙でございま すけれども、参考資料2-1、植込み型心臓ペースメーカ等承認基準というものでござい ます。一番最後のページで、既に作成済みの承認基準(平成18年2月6日現在)の承認基 準数が11基準とございますが、これは13基準の誤りでございますので、訂正をよろし くお願いしたいと思います。また、その下の作成中承認基準のところに承認基準数が5 基準と書いてございますが、5ではなくて3の誤りでございます。大変失礼いたしまし た。 次回以降の医療機器・体外診断薬部会医療材料部会の合同部会の開催につきまし ては、6月1日前後を予定しております。この日程の調整につきましては、来月4月に 入りましてからまた先生方に御相談させていただきたいと考えております。以上です。 よろしければ以上で医療機器・体外診断薬部会医療材料部会合同部会を終了いたします。 これ以降、医療機器・体外診断薬部会単独の部会及び医療材料部会単独の部会の審議は 非公開となっております。傍聴の皆様方は退席をお願いしたいと思います。再開は3時 10分からということで、医療機器・体外診断薬部会に入らせていただきたいと思います。 休憩が10分入りますが、よろしくお願いいたします。以上です。      ――― これより医療機器・体外診断薬部会(非公開) ――― ○事務局 それでは予定の時間を過ぎましたので、次に医療機器・体外診断薬部会に入 らせていただきたいと存じます。医療材料部会の委員の先生方におかれましては、その まま御着席いただくか、あるいは席を外していただいても結構です。なお、席を外され る際には3時50分ごろをめどにお戻りいただきますようお願いしたいと思います。  本日は医療機器・体外診断薬部会委員数15名のうち10名に御出席を頂いており、薬 事・食品衛生審議会令9条3項に基づき、定足数に達しておりますことを御報告いたし ます。それでは土屋先生、以降の議事進行をお願いしたいと思います。 ○土屋部会長 それではまず資料の確認をお願いします。 ○事務局 資料につきましては資料5-1、5-2、5-3と資料6-1がございます。資料5-3 と資料6-1につきましては、本日配付させていただいております。まず資料5-1ですが、 ハートレーザの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否及び 再審査期間の指定についてという厚い資料でございます。資料5-2につきましては「ハ ートレーザ」の承認条件についてというものでございます。それから資料5-3は当日配 付で、医療機器ハートレーザについてのスライドの資料です。資料6-1は報告品目につ いてというものでございます。以上です。 ○土屋部会長 皆様、資料はございましたでしょうか。それでは審議品目議題1の新医 療機器の審議に入ります。なお、本審議品目に関しましては関与委員がいないことを御 報告いたします。本品目の審議に当たりましては、参考委員としまして財団法人天理よ ろづ相談所病院心臓血管外科部長の西村和修先生に御出席を頂いております。よろしく お願いします。それでは審議品目の概要について、事務局から御説明をお願いいたしま す。 ○事務局 それでは御説明いたします。本日御審議いただきます新医療機器につきまし ては1品目でございます。医療機器ハートレーザの生物由来製品又は特定生物由来製品 の指定の要否、輸入承認の可否及び再審査期間の指定について御審議をお願いいたしま す。  申請者は、株式会社イマトロンジャパンでございます。本品目は、重篤な虚血性心疾 患の患者の心臓の心筋に対して心外膜側から炭酸ガスレーザを照射いたしまして、心筋 に幾つかの貫通孔を設けることによりまして心筋の血行再建を促し、虚血性心疾患を治 療することを目的とするレーザ手術用機器とその付属品でございます。  詳細な審査の概要及び委員の皆様から事前に頂いたコメントの説明につきましては、 実際に審査を行いました独立行政法人医薬品医療機器総合機構から御説明させていただ きます。 ○機構 それでは総合機構より御説明いたします。本日御審議いただきます申請品目は、 株式会社イマトロンジャパンより輸入承認申請されたハートレーザでございます。  審査センター並びに総合機構での審査におきましては、荒井委員、上田委員、小野委 員、川田委員、北畠委員、許委員、永井委員、中谷委員、西村委員の計9名の専門委員 の先生方の御意見を頂きました。  本品は先ほど御紹介にありましたように、重篤な虚血性心疾患の心筋に対して心外膜 側から炭酸ガスレーザを照射しまして、心筋に貫通孔を設けることによりまして心筋の 血行再建を促し、虚血性心疾患を治療することを目的とするレーザ手術用機器として、 株式会社イマトロンジャパンより輸入承認申請されたものでございます。  本品の外観をお示しいたします。本体の総重量は950kg、奥行きは176cm、幅は94cm、 高さは203cmでございます。まず使用前の準備といたしまして、図1の左上部に示して おりますアームに滅菌済みカバーで覆いをいたしまして、アーム先端部にハンドピース を装着いたします。また、処置前には心電図測定用リードを患者に装着いたしまして、 図1の左中央部よりやや上部に存在しております心電図モニターにて誘導を確認いたし ます。実際の治療時のパラメータの設定でございますが、写真右中央付近にございます タッチパネルモニターで行います。治療に用いますレーザでございますが、左中央にお 示ししているアームの先端部から照射されることとなっております。  心筋へのレーザの照射でございますが、図2のように開胸して露出しました心筋に対 してハンドピースを装着いたしまして、フットスイッチを踏むことにより誘導された心 電図のR波と同期いたしまして、図3のように心筋に対してレーザが照射され、心筋に 穿孔が生じることとなっております。  次に起源又は発見の経緯についてですが、現在国内においては虚血性心疾患に対する 直接血行再建術としてPTCA等のPCI、またCABGが広く施行されておりまして、 これらの治療法は治療成績も良好で確立した治療法と言われております。しかし、病態 の進行等によりまして再狭窄が少なからず発生いたしまして、再度PCIやCABGが 行われることとなりますが、冠状動脈の大部分が傷害を受けてしまい再手術の手段をと れない患者や、再建不可能な部位での発生に対しては再PCIや再CABGも行えない ということになりまして、有効な手段がない症例も存在しているのが現状でございます。  このようにPCIやCABGの施行が不可能と判断された重篤な心筋に対しまして、さ まざまな研究が行われてまいりました。1982年には本申請品の基礎となります炭酸ガス レーザを用いてイヌの心筋に穿孔を設けたところ、心外膜表面の傷が直ちに止血され閉 鎖される一方で、心筋内の穿孔は開存した状態を2年以上保ち続けたとの研究発表がな されました。この考え方を応用いたしまして、TMLRという考え方が生まれたという ことでございます。  次に、本品の海外での使用状況でございますけれども、既に欧米では承認されており まして、スライドにお示ししている各国で使用されております。スライドの表は2005 年10月31日現在の諸外国における承認販売状況をお示ししたもので、世界29か国で 254台使用されておりまして、成功症例総数は17,000例と報告されております。  次に、外国での使用において発生した不具合についてでございますが、報告されてい る1件目の不具合は、意図しないタイミングでレーザが連続照射された事例でございま す。こちらの事例に関しましては、機械に搭載されておりますソフトウェアを変更する ことにより対応されており、本邦で承認される装置についてはこの対策が施されたもの であるということでございます。2件目は、熱傷による患者の死亡でございます。製造 元による調査によりますと、この原因といたしましては術前に必要なキャリブレーショ ンショットが行われておらず、レーザの出力に問題があった可能性があるということ、 若しくは本品の構成品であるレンズセルへのハンドピース装着状態が悪くて光学的照準 ミスが起こった、若しくはハンドピースを心臓の表面から数インチ離してレーザを照射 したことが原因だったというふうに判断されております。いずれの場合であっても、こ の2件目の不具合につきましては術医の誤用が原因と判断されており、このようなこと が起こらないようにするために添付文書に注意喚起をするということで対応されており ます。  次に、提出された資料のうち物理的化学的性質に関する評価についてでございますが、 本品の仕様としてレーザ出力、レーザエネルギー、レーザ出力パルス幅、心電図のR波 に対する遅延時間、レーザの動作モード、ガイド光の出力に対する実測値が提出されま して、申請者の定めております規格に適合していることが示されております。また、本 機器を用いたレーザの照射のタイミングでございますが、これに関しては心室が拡張終 期で電気的に非感受性の時期であることが必要であるため、心電図のR波に同期してレ ーザを照射する設計になっていることを確認するECG同期化試験が設定され、規格に 適合すると説明されております。  次に、規格及び試験方法といたしまして外観試験、電気的安全性試験、作動試験、性 能試験が実施されており、申請者が設定した規格に適合することが示されております。 また、付属品のTMRキットの滅菌バリデーションに関する資料といたしまして、残留 エチレンオキサイド濃度の限界値を示すための試験が設定され、規格に適合することが 示されております。総合機構といたしましては、以上の物理的化学的性質並びに規格及 び試験方法について、専門協議での議論を踏まえまして申請者の見解を妥当なものと判 断いたしております。  安定性に関しましては、本品の付属品でございますハンドピースがディスポ製品であ りますので、無菌包装完全性試験、微生物曝露試験、材料劣化試験の結果が提出されて おりまして、総合機構といたしましては特に問題はないと判断しております。  電気的安全性試験につきましては、JIS T 1002による各種試験が実施されておりまし て、すべて適合すると報告されております。こちらに関しましても、総合機構では問題 がないものと判断いたしております。  次に電磁両立性に関する資料でございますが、申請当初はこちらの資料は提出されて おりませんでしたけれども、こちらでの審査の過程でEMC規格のEN55011、 EN60601-1-2に準拠した試験が実施されまして、すべての項目で規格に適合することを 示す資料が提出されました。また、本品の重要な機能でございますR波同期についても EMCの影響はないと回答されておりまして、総合機構としては本品の電磁両立性につ いては特段の問題はないと判断しております。  次に生物学的安全性でございますけれども、本品の付属品で直接心筋に接触するハン ドピースにつきまして、本スライドにお示しする試験が実施されまして、試験成績書が 提出されております。審査センターでは専門協議での議論を踏まえまして、本品の生物 学的安全性に関する申請者の見解を妥当なものと判断いたしております。  本品の性能を評価する試験といたしまして、イヌの左前下行枝結紮による急性虚血モ デルを作製いたしまして、TMLRの急性及び慢性効果を心筋に対する損傷心筋の容積 比で評価した結果が提出されております。TMLR群では結紮後にTMLRが施行され まして、対照群では結紮のみが施行されました。その結果でございますけれども、急性 期ではTMLR群、対照群で差は認められませんでした。しかし、3か月後の結果では TMLR群の方が対照群よりもストレス時の全体的な機能について有意に高いという結 果、それから局所の収縮につきましては、TMLR群のみが正常であるという結果が得 られております。この結果から、TMLRの急性虚血後の遠隔期の全体的及び局所的心 機能の改善に寄与する可能性が示されております。  また、ブタを用いましたTMLRに対して、心電図のR波に同期してレーザを照射し た場合と、心電図のT波に同期してレーザを照射した場合に不整脈の発現率が比較され ました。その結果としまして、R波に同期させた場合には不整脈の発現が有意に低かっ たと報告されております。この結果から、レーザ照射はR波に同期させる必要があると いうことが示唆されております。  さらに、性能を裏付ける試験としましてレーザの出力試験、資料のロ項に添付されて おります試験を含んでいるECG同期試験が実施されまして、各規格に適合しているこ とが示されております。  以上の結果から、審査センターとしましては専門協議の議論を踏まえまして、性能に 関する資料につきましては特に問題がないものと判断しております。  次に、本邦で実施された臨床試験についてでございます。本邦で実施された臨床試験 では、CCS分類クラスIII又はIVの患者を対象とした試験が行われました。しかし、総 症例数71例中57例がTMLRとCABGを併用していた形で行われており、TMLR 単独の効果が評価できるプロトコールではなかったこと。二番目として、実際に使用さ れた例数と報告書に示された症例数が異なるなど、提出された資料の信頼性が不十分で あったことなどから、評価資料からは除外いたしました。  次に、米国で行われた第I相試験でございますけれども、こちらは予備試験の位置付 けで行われまして、スライドにお示ししているような結果が得られております。  次に、米国における第II相の臨床試験でございますけれども、こちらではCABG及 びPTCAの対象にならないCCS分類クラスIII及びクラスIVの虚血性心疾患患者を対 象とした試験が実施されました。結果としてスライドにお示しするような結果が得られ ました。まず有効性でございますけれども、TMLR施行前後の狭心症の有無によって 判定されまして、12か月後の結果では75%の患者においてCCS分類で2クラス以上の 改善が認められました。また、SPECTを用いた心筋灌流の評価では12か月後でございま すけれども、患者一人当たり36%軽減していたという結果が得られております。安全面 に関しましては、周術期においてTMLRに関連した死亡が7%認められました。術後 12か月までのフォローアップ期間におきましては死亡例が17例ございまして、試験全 体を通じた死亡例は15%でございました。全施行者の38%で何らかの合併症が発生いた しましたが、その程度・頻度に関してはCABGで一般的に発生するものと大差はない と結論付けられております。  次に、臨床試験第III相について御説明いたします。こちらに関しましても、CABG とPTCAの対象とならないCCS分類クラスIII及びIVの虚血性心疾患患者を対象とし て、薬物療法群に関しては治験医師の裁量により最も適した薬物による治療を行う群、 これが101例でございまして、TMLR群に関しましては必要に応じて薬物を併用する 形で治験が行われました。結果としてスライドにお示ししているような結果が得られて おり、QOLに関してはすべての指標につきましてTMLR群は薬物療法群に比べて統 計学的に有意であることが示されております。  また、SPECTによる心筋灌流の評価におきましては、12か月後TMLR群においては 19%改善、薬物療法群では17%悪化したという結果が得られております。そのほかにも スライドに示しているような結果が得られておりまして、以上の結果から、申請者は本 申請品を用いたTMLR施行において心筋虚血に伴う狭心症を改善し、心筋灌流を増加 させ、心機能と共に全体の運動機能の改善をもたらし、有効性が確認されたとしており ます。また、TMLR施行後の合併症の危険率でございますけれども、通常の心臓外科 手術後に予想される危険率以内であり、薬物療法群との比較においては1年生存率に有 意差は認められなかったが、不安定狭心症発生率においては著明な差を認めたと説明し ております。  審査の過程において、審査センターでは専門協議の結果を踏まえましてTMLRの有 効性に否定的な論文に関する申請者の見解を尋ねました。そうしましたところ、申請者 としてはTMLRの有効性について否定的な論文は研究デザインや結論付けに問題があ り、明確な臨床的有意差を見出せないままになっているものであるという指摘が多く、 米国FDAで承認された「ハートレーザ」の有効性を覆すものではないと思われると回 答しております。これに対しまして審査センターでは、本品を使用する際の米国等にお ける標準的な術式について、本品を使用する際に本邦にて想定される術式について、本 法の効果が最も高いと想定される走行部位、血管周囲の状況について回答するよう求め たところ、申請者は次のように回答しております。米国においては全身麻酔科で左肋間 開胸で行われておりまして、CABG併用の場合ではMIDCABで行われている、それから 正中切開下で人工心肺なしでも行われてるというふうに答えております。本邦におきま しては全身麻酔科でスライドに示しているような形で行われることが想定されるという ふうに回答しております。以上のようなことを踏まえまして、審査センターでは専門協 議の議論を踏まえてTMLRの有効性に関する申請者の見解を妥当なものと判断いたし ました。  次に選択基準でございますけれども、申請者はTMLR使用における米国胸部外科学 会臨床実技ガイドラインを引用して説明しております。まず、そのガイドラインでは「手 技・治療が有用・有効であることが証明されているか、見解が広く一致している」適応 はクラスIと分類されております。TMLRを単独で行う場合のクラスIは、そのガイ ドラインではスライドの一番下の項で示すような定義となっております。  一方、CABGに併用して行われるTMLRに関しましてはクラスIの適応が存在し ておりません。申請者はこちらのスライドに示すような形で回答しておりまして、適切 な患者の選択、適切な外科手技を遵守することによって、TMLRは他の治療では難治 性の狭心症により活動制限を受け、重篤な症例に非常に満足のいく症状の改善をもたら す治療法であると回答しております。  これに対しまして審査センターでは、米国でのTMLR適用患者の選択基準、米国で の臨床試験の結果を踏まえて、本品の使用目的、効能効果の記載を変更するよう求めま した。これに対して申請者は、そのことを踏まえまして具体的にスライドにお示しする ように、使用目的に関しましては本装置はTMLRを施行するための装置であると。ま た効能効果に関しましては、薬物療法では改善されないCCSクラス分類のクラスIII又 はIVと判定される安定狭心症であり、直接的血行再建術では改善されない冠状動脈粥状 硬化症を示す患者の狭心症状の改善及び心筋灌流の増加に変更するという回答を得てお ります。総合機構といたしましては、以上の回答を踏まえまして申請者の説明を妥当な ものと判断いたしました。  本品の審査を踏まえました総合評価でございますけれども、本品はこちらに示してお りますとおり、重篤な虚血性心疾患の心筋に対して心外膜側から炭酸ガスレーザを照射 しまして、心筋に貫通孔を設けることにより、心筋の血行再建を促し、虚血性心疾患を 治療することを目的とする医療機器でございます。本品が機械的に正常に、設計どおり 動作することにつきましては、規格及び試験方法として設定された各種試験、安定性試 験、電気的安全性試験、生物学的安全性試験等から示されていると考えております。ま た、臨床試験成績につきましては、米国で行われた臨床試験に関する資料から、本品の 使用目的として設定された患者に対する有効性と安全性が示されているものと判断して おります。  さらに、総合機構では本品の使用に関する施設の基準を設ける必要はないか申請者に 問い合わせをしましたところ、申請者は関係学会と調整の上、本品に関する十分な知識 と経験を有する医師及び必要な設備を持つ施設にて使用されることを想定していると回 答しておりまして、スライドにお示ししております2点の事項を添付文書に記載するこ と、また市販後の調査は全施設、全症例について実施すると回答しております。以上の 結果を踏まえまして、総合機構は先ほどお示ししましたように使用目的、効能効果の記 載を変更し、添付文書に上記の点を記載することによりまして、本申請品を承認したい と考えております。  以上の結果を踏まえまして、総合機構といたしましては当初の使用目的をこちらのス ライドでお示しする記載に変更するとともに、申請当初の効能効果である心筋虚血の改 善につきましてもスライドにお示しするとおりに変更し、こちらにお示ししている承認 条件を課すことによって承認して差し支えないと判断しております。以上でございます。 ── 説明中、審議官、医療機器審査管理室長入室 ── ○事務局 引き続きまして、1枚の資料5-2というもので本品目の「ハートレーザ」に 関する承認条件について、経緯も含めて追加の御説明をさせていただければと思います。  今、四角囲みで書いてございます承認条件1と2の二つございます。「1.本品につい ては、その使用に関する講習の受講等により、本品の有効性及び安全性を十分に理解し、 操作等に関する十分な知識・経験を有する医師によって用いられるよう、必要な措置を 講じること」、これは先ほどの機構からの説明にもあったとおりでございます。2とい たしまして、「再審査の際に添付すべき本品の使用成績に関する資料のための調査につ いては、再審査の調査期間に本品を使用した全例を対象として実施すること」という形 で、今回部会の方ではこの二つの承認条件を御審議いただければと思います。  下に説明させていただいてございますが、機構における審査の過程におきまして市販 後における本品の安全性確保のために、使用する医師の専門性の確保、これは1でござ いまして、機構の調査報告書でも承認条件として付すことが適当だというところでござ いますけれども、それに加えまして、市販後における再審査期間中の「全例調査」が必 要であると認識がございます。これは審査報告書の5ページから7ページと書いてござ いますが、7ページの上段のところにその旨申請者が言っているという回答を了承した という下りがございます。  このような状況をもちまして、厚生労働省事務局と機構との間で本品の承認条件につ いて検討させていただきまして、審査報告書には全例調査に関する記載がございますが、 その実効性を担保するために、過去の承認条件の事例も踏まえまして、薬事法に基づく 承認条件として全例調査の部分につきましても付すことでどうかという形で、今回部会 の方で御審議いただければと思います。なお、その旨申請者の方も了解済みでございま す。補足で以上でございます。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。参考委員の西村先生、本品目について 御意見をお願いいたします。 ○西村参考人 天理よろづ相談所心臓外科の西村と申します。私はこのハートレーザの 日本での治験を実施した医療機関におりました。1996〜1998年ころになりますけれど も、動物実験のデータが出て非常に有用であろうということで、その当時は非常に脚光 を浴びていた治療法であります。  ただ、いろいろな実験を重ねているうちに大体分かってきたことは、心筋に穴を開け るわけですけれども、それで直接心筋に血流が増えるという効果は余りなくて、それ以 外に主に二つの効果というのが分かってきました。一つは穴を開けることによって周辺 組織を刺激して何らかの血管新生因子が出て、それが血流を増やしているのであろうと いうことと、もう一点は穴を開けることによってその辺の神経を焼き尽くしてしまうと いうことで、その後胸痛という症状が取れる、その二つの効果が大体このTMLRの効 果ではないかということが分かってきております。その後、米国で承認された結果とい うのは大体うなずけるものでありまして、血流そのものはそれほど増えていない、ある いは死亡率も変わっていないにもかかわらず狭心症が軽減しているというのはそういう 結果であるからというふうに思われます。  したがいまして、現在でももちろん適用はあると思いますが、1997、1998年当時に比 べましては若干今その価値に関しては落ちているかなという感は否めません。機械とし ては特に問題ないと思いますし、米国でのきちんとしたクラスIのエビデンスは出てい るかと思いますので、承認としては差し支えないのではないかというふうに思っており ます。以上です。 ○土屋部会長 ありがとうございました。それでは、事務局の御説明などに関しまして 御質問等はございませんでしょうか。仁田先生、お願いします。 ○仁田委員 血管の新生の証拠といいますか、ミクロで切って確かに血管が新生してい るということは確認されているのでしょうか。 ○土屋部会長 西村先生、お願いいたします。 ○西村参考人 いろいろな論文があるかと思うのですけれども、決して証明されている わけではないと思います。特に急性期でのデータはほとんど当てにならないので、クロ ニックで厳重に比較したデータというのは、血管新生をすべてどの程度増えたかという のを表すのは難しいので、結局はアイソトープで出たデータというのは幾つかあって、 それは肯定的なものと否定的なものと両方あるということだと思います。 ○仁田委員 目的の中に血管新生ということをはっきりうたってあるわけですよね。で すけれども、血管新生の証拠がしっかりしていないのだとすればちょっと中身に偽りあ りというようなことにはなりませんか。特に患者さんに対して説明するときに、これこ れこういう理由でよくなるのだというところがはっきりしていないと、後でいろいろな ことの訴訟事件などのときにとんでもない方向に発展しはしないかということを心配し ます。 ○西村参考人 実験データではいろいろな肯定、否定両方のデータがたくさん出たのは 確かなのです。ただ、10ページを見ていただければ分かるかと思うのですが、一応米国 の第III相臨床試験で、最終的に結果として「SPECTによる左室心筋灌流の評価:12か月 後でTMLR群にて19%改善、薬物療法群で17%悪化」ということで、これはよくこの データを出したなというふうに感心するぐらいなのですが、一応こういう結果が出たの で、とりあえずエビデンスとしては血流が増えるということでよろしいのではないかと 思いますけれども。 ○土屋部会長 よろしいでしょうか。そのほかはございませんでしょうか。鎌倉委員、 お願いします。 ○鎌倉委員 適応についてですが、CABGを施行できない患者さんに用いるのでしょ うか。PCIにしてもCABGにしても施行できないような症例に限定するということ でしょうか。 ○機構 その件に関してですけれども、本申請では飽くまでもCABGと併用する形の TMLRの有効性、安全性については評価されておりませんので、本品とCABGを併 用する形での使用方法について承認を認めるものではございませんので、先ほどお示し した形での使用目的で承認しようとするものでございます。 ○鎌倉委員 左室駆出率が30%以上の症例が対象であると先ほどのスライドで示され ていましたが、そうなるとあえて開胸してこれを行うメリットというのはどのくらいあ るのでしょうか。例えば心機能が悪くて心不全のコントロールが難しい、かつCABG やPCIができない症例にはいいかもしれないのですけれども、理由がそこそこあって、 それほど心不全もない人にこれを行うというのはちょっと疑問に感じるのですが。 ○土屋部会長 よろしくお願いします。 ○西村参考人 鎌倉先生がおっしゃるとおりだと思います。現実の臨床の現場で厳密に このとおりのEF30%以上で、死亡率が10%を超えるような治療を今日本で選択するこ とは非常に難しいと思います。それは審査のときにも随分いろいろと議論になったとこ ろで、実際日本でやった治験の7割か8割はCABG併用になっているわけです。それ はもうやはり外科側としてもバイパスできるという担保がないと、とてもこれだけでや っていられないということが本音であります。  したがいまして、この承認条件のところに非常にうまく書かれておりますけれども、 こんなことを言ってよろしいかどうか分かりませんが、「薬物療法では改善されない、 CCSクラス分類のクラスIII又はIVと判定される安定狭心症であり、直接的血行再建術 では改善されない冠状動脈粥状硬化症を示す患者の狭心症状の軽減及び心筋灌流の増 加」ということで、これをそのまま読みますと取りあえずはTMLRをやるということ で心手術に臨み、途中でバイパスを必要と感じたらしてもいいのかなと、拡大解釈がで きないでもないなというふうに思っているところであります。 ○仁田委員 症例によってCABGをやることによって、今まで少ないながらも血流が あったのが逆に閉じてしまうような現象が随分あるわけですけれども、そうするとCA BGをやることと実際にレーザで開けることが治療として同じ方向に結び付かないで、 逆の効果になることがあるのかなというふうに感じますが、いかがでしょうか。例えば バイパスをやることによって今までごくわずかながらも通っていたのが、逆にこちらか ら狭いところを通る必要がなくなるので。 ○西村参考人 それは恐らく側副血行がなくなるといったことだというふうに解釈しま すが、結局そういうことがあるので、この効果を見るためにCABGと併用では効果判 定ができないということになったわけです。ただ、現実にはバイパスなどを置くことに よってもちろん側副血行が減る場合もありますが、それとは関係ない領域で血流を単に 増やしたいという症例もあるわけです。ですから、厳密には区域というのは分かれませ んけれども、バイパスを置いて全然別のところにTMLRを置くことによって患者さん がよくなるという病態は当然あるというふうに思います。 ○土屋部会長 そのほか御意見等はございますか。澤先生、お願いします。 ○澤委員 単純にこの資料からだけなのですが、やはり先ほどお話しがございましたよ うに、日本で行った臨床試験は信頼性が不十分であるということで評価資料から除外さ れてしまって、したがって米国等でのデータを基に承認するのだということになるのだ と思うのですけれども、日本での臨床試験での結果というものは、いわゆる添付文書の 中に記載されるのでしょうか。といいますのは、これは非常にクリティカルな人に使う わけです。日本ではこういう結果であったということが知らされないで患者さんがこれ を受けた場合に、それだったら私は日本人のデータがないので受けるべきではなかった というふうに出てきますと、もしきちんとしたドキュメントがされませんで承認そのも ので昨今増えている医事紛争の中にこれが出てくると問題ではないかと。そういうこと をどういうふうに対応されるのでしょうか。 ○土屋部会長 それでは添付文書について総合機構の方から説明をお願いします。 ○機構 先ほどのプレゼンテーションの中でも少しお話をさせていただいたのですけれ ども、日本で行われた試験というのは確かに併用されたから採用しなかったというのが 一つのポイントでありますし、もう一つ症例数について若干そごがあったということで、 信頼性の点でも少し問題があるのではないかと我々は考えておりますので、信頼性につ いて少し疑義があるデータをそのまま添付文書に掲載するのもどうかなというふうに考 えております。確かに日本でやられたデータというのは非常にきれいな結果が出ており まして、日本人にこれを適用しても大丈夫だという一つの情報にはなるかと思うのです けれども、やはり審査の段階で評価に採用すべきではないとされた資料を添付文書に記 載するのを今懸念しているところでございます。 ○仁田委員 今の点で有効性に関しては疑義があるけれども、安全性に関してはデータ になるのではないでしょうか。有効性と安全性とは両面ですから、安全性がある程度担 保された形で有効性に関しては外国のものを誘導したという形になれば、少しは日本で やったことが有効に使われるのかと思うのですけれども。 ○土屋部会長 その点について総合機構はいかがですか。 ○機構 確かに安全性に関する情報というのは多ければ多いほどインフォームするには 必要なことだと思いますので、安全性に関する情報をどのように使用者に提供するかに ついては検討させていただきたいと思います。 ○仁田委員 私の記憶する限りこれは一応和文で学術論文になっていますよね。これは 何か参考資料のようなもので出せないのですか。 ○機構 申請の段階ではその論文について添付されているのですけれども、その情報を どのように一般の医師の方、患者の方に情報提供するかという方法性については検討さ せていただきたいと。先生方のお話のとおり、せっかくある情報をうまく使うというの は大事なことかと思いますので、検討させていただきたいと思います。 ○土屋部会長 そのほかに御質問等はございませんでしょうか。鎌倉委員、どうぞ。 ○鎌倉委員 方法論でちょっとお伺いしたいのですけれども、R波に同期させてレーザ を発射するというのは、例えばT波に同期させるとそこで心室細動が起こるためにR波 同期を用いているのでしょうか。 ○西村参考人 そのように聞いております。動物実験ですと、両方やるとR波の方がよ り不整脈が少なかったということです。ですからR波の方が拡張末期により近くなるわ けです。 ○仁田委員 いわゆるvulnerable zoneに入るかどうかということだと思うのですけれ ども。 ○鎌倉委員 同じことですね。 ○土屋部会長 そのほかにございませんでしょうか。仁田先生、どうぞ。 ○仁田委員 日本で使われる見込みはどうなのでしょうか。ケースは結構あるものでし ょうか。今まで我々が見た範囲内では、それを使うチョイスは患者さん側への説得も含 めてなかなか余り数多くはないように思うのですけれども。 ○西村参考人 1997年前後、日本でも治験をしていたころですけれども、大学病院は貸 出しで借りて、あとは一部の民間病院が購入していたという事実はあります。ただ、今 どうかと言われると、これは機械の値段と保険でどういう点数になるかということで決 まってくるのではないかと思います。そのくらいしかコメントできません。 ○仁田委員 恐らくCABGと全部併用されたということが、何となく実際にケースが あるのかなという気がしているものですから。そして死亡率が7%を超えているという ことだとすると比較的高いですよね。一般のCABGよりもはるかに高い死亡率になっ てしまうので。 ○西村参考人 ちなみに日本のデータでは死亡はほとんどないのですけれども。 ○仁田委員 それはCABGと一緒にやったからですので、除外したのはそういうこと だと思うのですけれども。 ○土屋部会長 そのほかにございませんでしょうか。1997年当時からかなり時間がたっ ており、そのほかの治療法も生まれてきている状況ではございますが、先程来日本で治 験されたものについて、安全性という面から参考資料のことについて総合機構で検討し ていただいて、御意見を頂きました先生方に確認していただきます。ほかに問題がない ようでしたらそういう条件付きで御了承ということでいかがでございますでしょうか。 それでは一応御了承いただいたものといたしまして、本部会としては先ほどの御意見に つきまして今後総合機構から先生方に対応するという条件付きで、3月27日に開催され ます薬事分科会について了承という旨を御報告させていただきます。それでは西村先生、 本日は参考委員として御多忙の中御出席いただきましてありがとうございました。では、 ハートレーザに関します審議はこれで終了させていただきます。 ── 西村参考人、審議官退席 ── ○土屋部会長 それでは審議品目は以上です。次に報告事項について事務局より御報告 をお願いいたします。 ○事務局 平成17年11月1日〜平成18年1月31日までに承認された品目のうち、本 部会への報告対象となっている品目について御報告させていただきます。医療機器が15 品目、体外診断薬が5品目ございます。詳細につきましては、実際に審査を行いました 独立行政法人医薬品医療機器総合機構から御説明させていただきます。 ○機構 それでは資料6-1を御覧ください。全部で7ページございます。まず1ページ でございますが、一番目はインテラ3.0T、申請者は株式会社フィリップスエレクトロ ニクスジャパンでございます。品目の概要を簡単に説明させていただきますと、静磁場 強度が3Tの全身用MRI装置でございまして、安全性において重要な静磁場強度、磁 場の時間変動、照射電波の生体内吸収及び騒音は、IEC60601-2-33(磁気共鳴画像診断装 置の安全)の第1次水準管理操作モードの範囲内にあり、システム上これを超える状態で は動作しない。MRS(磁気共鳴スペクトロスコピー)により組織の化学的な分析が可能 であるというものでございます。  次に二番目、三番目は株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパンより申請があ りましたPET/CT装置でございます。二番目の方で説明させていただきますが、二番目の 方はX線CT組合せ型ポジトロンCT装置GEMINI GXLでございます。これはPET部分 はポジトロンCT装置ALLEGRO、CT部分は既承認のブリリアンスCT Power シリーズと 同一性を有するものです。PET画像再構成時の減弱補正にはX線CTデータを活用す る。PETガントリとX線CTガントリは物理的に分離でき、X線CTとPETは単独 でも利用できるというものでございます。三番目の品目、GEMINI16 Powerと異なってい る点としましては、PETの感度、空間分解能、CTの同時収集可能なスライス数、ス ライス厚等が異なっているものでございます。三番目のGEMINI16 Powerというものは同 じような点がGEMINI GXLと異なっているものでございます。  では2ページ目を御覧ください。一番目、二番目のものは株式会社島津製作所から申 請がありましたPET装置でございまして、一番目が全身用ポジトロンCT装置 SET-3000BCTシリーズ、二番目のものが全身用ポジトロンCT装置SET-3000GCTシリー ズでございます。一番目のSET-3000BCTシリーズの方で説明いたしますと、PET部分 はSET-3000Bシリーズ、CT部分は既承認のSCT-7800Tと同一性を有するものでござい ます。検出器ブロック数や感度の違いにより3型式が存在します。PET画像再構成時 の減弱補正は密封線源を用いたトランスミッションスキャンによるものでございます。 PET及びX線CTはそれぞれ単独でも利用できるというものでございます。3000ーBCT シリーズ、3000ーGCTシリーズの違いにつきましては、PETの検出器がBCTシリー ズについてはBGOであること、感度、空間分解能、スライス数の最大値、X線CT画 像との重ね合わせの体軸方向位置精度等が3000GCTシリーズと異なっております。二番 目のSET-3000GCTシリーズの方では、PETの検出器がGSOであるといったような点 が異なっております。  次に、三番目のVISX エキシマレーザーシステムでございますが、これはビジック ス社から申請があったものでございます。これは193nm紫外線領域のレーザ光を発振す るエキシマレーザーで、蒸散により角膜組織の切除を行う装置です。本申請は、性能・ アルゴリズムの変更及びデータの取り込み機能が付加されたモデルの追加を行うための 一部変更申請でございます。  次に3ページですが、サーモフォーカス、これは株式会社ベリタスから申請があった ものでございます。額表面から放射される赤外線をセンサで検知することにより、体表 面温度を非接触的に計測する体温計です。精度は±0.2℃(36ー39℃)でございます。2ー 3秒で測定が完了し、体温が表示されるというものでございます。  次にCool-tip RFシステム、これはバリーラブ社からでございますが、ジェネレータ、 システムポンプ、シングルニードル及びその付属品から構成され、シングルニードルか らラジオ波帯の高周波電流を肝悪性腫瘍に流し、凝固を行う電気手術器システムでござ います。本申請は、効能又は効果を肝悪性腫瘍の凝固に変更する等、既承認のCool-tip RFシステムと同様の記載とするための一部変更承認申請でございまして、これは先発の ものと再審査期間を合わせるために、再審査を平成20年12月7日までと設定すること となっております。  三番目でございますが、放射性薬剤自動投与装置(UGー01)、株式会社ユニバーサル 技研から申請があったものです。これは陽電子放射断層診断法(PET)の画像診断剤(F DG)を自動投与する装置でして、既承認品(放射性薬剤投与器 M130;住友重機械工業) とは操作性、目的が一部異なり、既承認品がFDG合成装置で合成されたFDG溶液を 分注、数回投与できるものでございますが、本品は1患者分のみの投与であると。注射 剤1回分をそのままセットして患者に投与するというものでございます。  次はハートストリーム XL、ハートスタート XLでございます。これは株式会社フ ィリップスエレクトロニクスジャパンからの申請でございます。本機器は救急救命・心 肺蘇生法において使用する、除細動出力波形が二相性の体外式除細動器でございます。 本一変申請の目的は、手術中に心室細動、心室頻脈が発生した場合、心臓の両心耳を挟 むようにして使用する内部パドルを構成品として追加するというものでございます。  4ページを御覧ください。クライオスター、これはアールイーメディカル株式会社か ら申請があったものでございまして、眼科用の冷凍焼灼装置であり、手術時において外 眼部網膜より強膜・網膜の冷凍焼灼を行うものです。従来の装置が機械的に駆動するの に対し、本品では表示(状態、作動時間、ガス圧、プローブ冷凍等)、バルブ制御等を電 気的に行い、そのための回路を持つというものでございます。  次にアルト2 DR、アルト2 VR、これは日本エラ メディカル株式会社から申請の あった植込み型除細動器でございます。アルト2 DRにつきましては、心房及び心室の 両方又はいずれか一方をセンシングしつつ、心房及び心室の両方又はいずれか一方をペ ーシングするデュアルチャンバ徐脈ペーシング機能を有し、上室性頻拍と心室性頻拍を 識別して心室性頻拍に対して自動的に治療を行う植込み型除細動器でございます。アル ト2 VRは、心室をセンシング及びペーシングするシングルチャンバ徐脈ペーシング機 能を有し、上室性頻拍と心室性頻拍を識別して心室性頻拍に対して自動的に治療を行う 植込み型除細動器でございます。  小型ガンマカメラ eZ-SCOPE AN、これは安西メディカル株式会社より申請があったも のでございます。本品は、2次元平面断層機能を有する核医学診断用移動型ガンマカメ ラでございまして、既承認品「モバイル ガンマカメラ ディジラド2020tc イメージャ」 との主な差異は、[1]放射線検出器の小型化、[2]放射線検出器の材料の変更、[3]放射線検 出器を手で保持しても使用できるというものでございます。  最後ですけれども、5番目のBISモニター A-2000、これはアスペクト・メディカ ル・システム・インクから申請があったものでございます。患者の脳波を計測して周波 数解析することによって催眠レベルを定量的に評価する装置でして、手術室あるいは集 中治療室に設置して、患者の麻酔深度の評価に活用するものでございます。本一部変更 申請は、[1]電気メスに起因する雑音の影響を軽減する機能の追加、[2]筋電位に起因する アーチファクトの軽減を目的とした測定法の変更(2 誘導脳波測定)、[3]BIS値などの 算出処理の部分的な変更を行ったものでございます。医療機器は以上でございます。 ○機構 それでは体外診断薬について御報告申し上げます。まず最初はコバス TaqMan HBV「マニュアル」という製品でありまして、申請者はロシュ・ダイアグノスティックス 株式会社でございます。効能効果は、血清又は血漿中のB型肝炎ウイルス(HBV)DN Aの測定ということでございます。品目概要といたしましては、リアルタイムPCR法 を応用してHBV DNA量を定量するキットである。本キットの測定範囲は12〜1.1×108IU/ mL(69.84〜6.402×108コピー/mL)と既承認品の測定範囲(400〜4.0×107コピー/mL)よ り広いことが特徴であるということでございます。  二番目といたしましては、Eテスト「TOSOH」II(HCVAb)、有限会社東ソー・エイアイ エイでございます。効能効果といたしましては、血清又は血漿中のHCV抗体の検出と いうことであります。品目概要といたしましては、日本人におけるHCV遺伝子型の2 種類から、複数のエピトープを選択して組み合わせて作成されたHCVリコンビナント 抗原C50を用いた第二世代の試薬であります。C50を用いた既承認品は複数販売されて おり、特に新しい測定方法ではありませんが、本測定系は標識物質と基質の部分が既承 認品とは異なっているということでございます。  三番目はジェノスカラー・RifTB、これはニプロ株式会社でございます。喀痰又は抗酸 菌用培地で培養した培養菌株中の結核菌群の検出並びにrpoB遺伝子中の変異の検出 ということであります。品目概要は、既承認品に増幅キットを組み込むことにより、喀 痰から直接結核菌群を判別し、rpoB遺伝子の変異が検出されるよう、改良が施され た製品であります。従来、検査前に必要とされていた培養を省略した操作も可能となる ため、早期の段階で主要な治療薬であるリファンピシンの感受性に関する情報が提供さ れ得るというものでございます。  一枚めくっていただきまして、次の品目はコバス TaqMan MTB、ロシュ・ダイアグノス ティックス株式会社でございます。効能効果は、体液、組織、気管支洗浄液又はそれら の培養液中の結核菌群DNAの検出ということであります。品目概要は、リアルタイム PCR法を応用して、結核菌群に特異的な16SリボゾームRNAの領域を増幅して得ら れたDNAアンプリコンを検出するものであります。同様のコード領域をターゲットと した既存品には、PCR法とハイブリダイゼーション法を組み合わせた「アンプリコア マイコバクテリウム ツベルクローシス」(用手法)及び「コバス アンプリコア マイコバ クテリウム ツベルクローシス」(全自動)があります。本キットは、これらの既存品と同 等の感度を有し、検査時間が既存品の用手法4時間及び全自動3.2時間に比べて2.5時 間と短くなっているところが特徴であります。  最後にダイヤカラー・イヌリン、東洋紡績株式会社でありまして、効能効果としまし ては、血清及び尿中のイヌリン測定(腎糸球体濾過値測定)ということであります。概要 といたしましては、糸球体機能検査の重要な検査法である糸球体濾過値(GFR)におい て、クレアチニンクリアランスで代用していた方法よりも、更に正確なイヌリンクリア ランスを求めるための診断薬ということでありまして、注射剤と組み合わせて用いるも のであるということであります。以上です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。時間は過ぎておりますが、もし御意見 等がございましたら。小野先生、お願いします。 ○小野委員 ちょっと質問なのですけれども、製造、輸入のところで、輸入と外国製造 はどう違うのでしょうか。 ○事務局 輸入は日本の申請者が輸入承認申請するもので、外国製造は日本に法人のな い外国の企業が申請するものでございます。 ○土屋部会長 そのほかございますか。それでは長い時間にわたりましてありがとうご ざいます。では事務局の方から連絡事項等はございますでしょうか。 ○事務局 先ほども御説明いたしましたが、次回の医療機器・体外診断薬部会につきま しては、次の合同部会は6月1日ごろを予定しておりますが、それに合わせて開催させ ていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○医療機器審査管理室長 以上で医療機器・体外診断薬部会の部につきましては終了さ せていただきます。本日はどうもありがとうございました。引き続きまして、医療材料 部会の先生方におかれましては御着席をよろしくお願いいたします。 ──― これより医療材料部会(非公開) ―── ○医療機器審査管理室長 それでは医療材料部会でございますけれども、本日は医療材 料部会の委員数18名のうち9名の御出席を賜っているのですが、実は過半数というのが 規程でございまして、厳密に言うと定足に達していないので部会としては成立しないの でございますけれども、不幸中の幸いといいますか、本日議決しなければいけない事項 がございませんので、もし先生方のお許しを頂けましたら懇談会のような形で報告事項 についての御説明、御意見を賜りまして、さらに御欠席の先生方にも本日の資料をお送 りして御意見を伺うということにさせていただきたいのでございますけれども、部会長、 いかがでございましょうか。 ○土屋部会長 御欠席の先生に御意見をお伺いして、そうしますと一応部会としては…。 ○医療機器審査管理室長 部会として成立しなければ先へ進めないということではござ いませんので、先生方には報告をしますけれども、報告が部会という場ではできなかっ たという形になります。 ○土屋部会長 分かりました。よろしいでしょうか。どうもすみません、ありがとうご ざいます。 ○医療機器審査管理室長 恐縮でございます。それでは、そのような形で用意いたしま した資料でそのまま進行させていただきます。 ○土屋部会長 それではまず資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 部会報告品目につきまして、資料7-1の一種類でございます。以上です。 ○土屋部会長 それでは事務局より報告をお願いいたします。 ○事務局 平成17年11月1日〜平成18年1月31日に承認された品目のうち、本部会 への報告対象となっている品目について御報告させていただきます。全部で4品目ござ います。詳細につきましては、実際に審査を行いました独立行政法人医薬品医療機器総 合機構の方から御説明させていただきます。 ○機構 それでは資料7-1を御覧ください。全部で2ページとなっております。まずジ ンマー関節面サーフェイス、これはジンマー株式会社から申請されたものでございます。 品目の概要は、超高分子ポリエチレン(UHMWPE)製の関節面サーフェイスであり、□□□ □□ガスプラズマ滅菌が施されています。本申請は、有効期間を「製造日より23か月」 から「製造日より42か月」とするための一部変更申請でございます。  二番目がNEXGEN XL CRサーフェイス スクリュータイプ、これもジンマー株式会社か ら申請のあったものでございます。本品は、超高分子ポリエチレン(UHMWPE)製の関節面 サーフェイスを□□□□□ガスプラズマ滅菌したものと、ガンマ線滅菌が施された□□ □□合金製のロッキングインサート及びロッキングスクリューから構成されるものでご ざいます。ロッキングインサート及びロッキングスクリューは、既承認品NexGen CRサ ーフェイスと同等でございます。一方、関節面サーフェイスに関しては、自社製の既承 認品NexGen CRサーフェイスと同等の形状であり、原材料、製造工程及び滅菌方法が自 社製の他の既承認品NexGen XL CRサーフェイスと同等であるため改良医療機器として申 請されたものでございます。  2ページを御覧ください。次はモノディオックス、これはアルフレッサ ファーマ株式 会社より申請があったものでございます。ポリジオキサノンを原材料とする合成高分子 吸収性縫合糸であり、針付きのものと針なしのものがあります。ポリジオキサノンから なる吸収性縫合糸の承認前例としましてはPDS縫合糸がございます。吸収性縫合糸は 原則治験が必要とされていたこと、原材料供給会社が既承認品と異なること等により改 良医療機器として申請されたものでございます。  最後ですが、エキ・ボーラス、タック化成株式会社でございます。表在性及び浅在性 悪性腫瘍の放射線(X線、電子線)治療に際し、ビルドアップ効果を利用して、病巣部に 至適線量を集積させ、病巣部以外の受線量を軽減させることに用いる医療機器でござい まして、新規の水性ゲル材料を成分とするものでございます。以上です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。御意見等はございませんでしょうか。 それでは私の方から、報告事項ではございますが、今のジンマーのところで、有効期間 というのは何の有効期間なのでしょうか。初歩的な質問で申し訳ないのですが、滅菌の 有効期間ですか。 ○機構 滅菌の有効期間です。 ○土屋部会長 それからポリジオキサノンというところなのですが、これは改良医療機 器として申請されたものであるという前に、この場合吸収性の材料では治験はされたの でしょうか。 ○機構 今回は治験はされておりません。一番最初のジョンソン・エンド・ジョンソン 社のPDSの縫合糸が承認されてから期間が長いこと、それから申請者の方からその同 等性を示すためにNMRスペクトル及びIRスペクトル、GPC法により測定した分子 量、低分子量の正成分、DSCにより測定した融点、紫外線可視吸収スペクトル測定に より測定した着色剤の含有量、それからICP発光分光法により測定したすず含有量の 比較を行いまして、同等性のあるものということで専門委員の先生方にも御相談した上 で承認した次第でございます。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。そのほか御質問等はございませんでし ょうか。それでは時間が10分過ぎておりますので、事務局から連絡事項をお願いします。 ○事務局 次回の材料部会につきましては、合同部会の開催に合わせまして6月1日前 後に開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○医療機器審査管理室長 以上ですべて終了とさせていただきます。本日は長時間にわ たりましてどうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 広瀬(内線2912)