06/03/03 労働政策審議会職業安定分科会 雇用保険部会平成18年3月3日議事録 第23回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 1 日時  平成18年3月3日(金)14:00〜16:00 2 場所  合同庁舎第5号館(厚生労働省) 共用第7会議室(5階) 3 出席者    委員  公益代表  :諏訪委員、中馬委員、林委員        雇用主代表 :塩野委員、中島委員、原川委員、輪島委員        労働者代表 :長谷川委員、古川委員、三木委員    事務局 鈴木職業安定局長、高橋職業安定局次長、宮川雇用保険課長、田中雇用 保険課課長補佐、金田雇用保険課課長補佐 4 議題  雇用保険制度の見直しについて 5 議事 ○諏訪部会長 ただいまから、第23回「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」 を開催いたします。委員に交替がありましたのでご紹介いたします。雇用主代表の新谷 航二委員が辞任され、後任に塩野典子委員にご就任いただきました。労働者代表の渡辺 京子委員が辞任され、後任に古川裕子委員にご就任いただきました。事務局にも交替が ありましたのでご紹介いたします。職業安定局長に鈴木直和氏が、職業安定局次長に高 橋満氏が、職業安定局雇用保険課長に宮川晃氏がそれぞれご就任されました。  本日の出欠状況ですが、大沢委員、中窪委員、相川委員、栗田委員、豊島委員がご欠 席です。  本日の議題は、「雇用保険制度の見直しについて」です。本年1月26日の職業安定分 科会において、雇用保険制度の在り方全般について当部会で検討し、必要に応じ職業安 定分科会に検討状況について報告するとされております。これを受けて、本日は雇用保 険制度の見直しについてフリーディスカッションをしていただこうかと考えております。  今回の雇用保険制度の見直しの背景と現状、及び最近の雇用保険法の改正経緯などに ついて事務局から説明をしていただきます。 ○雇用保険課課長補佐 資料に基づき、今回の雇用保険制度の見直しの背景、現状、最 近の雇用保険法の改正経緯についてご説明いたします。本日は資料No.1から資料No. 6までありますが、資料No.2以外のものについてまずはご説明いたします。  現在の雇用保険制度についてご説明いたします。資料No.1「雇用保険制度の概要(平 成18年度予算)」に基づいてご説明いたします。雇用保険制度は大きく分けて、機能と しては失業等給付、三事業の2つに分けることができます。失業等給付は、失業者への 給付、あるいは雇用を継続する方への給付、いずれにしても労働者に対する給付で構成 されております。  失業等給付の財源としては、労使折半の保険料、これは総賃金の1,000分の16と1,000 分の8ずつということですが、労使折半の保険料、それから国庫負担で構成されており ます。国庫負担については、求職者給付、あるいは雇用継続給付の違いはありますが、 基本的には4分の1としております。この4分の1というのは、求職者給付は国庫負担 原則4分の1ということを明記しておりますので、これをもって原則4分の1と称して おります。教育訓練給付であるとか、就職促進給付については国庫負担はないというこ とになっております。雇用継続給付については、国庫負担は8分の1ということで、国 庫負担は各給付によってそれぞれ異なっております。失業等給付ですが、今回の予算案 の中には、2兆459億円という予算案になっております。ピーク時は2兆5,000億円を 超えておりましたので相当下がってきていると言えるかと思います。  積立金の状況ですが、ここでは予算案ということで2兆5,186億円となっております が、決算についてはまだ平成16年度までしか出ておりません。決算では、平成16年度 末で積立金は1兆6,000億円になっております。一時期、積立金が4,000億円という状 況に達したことを考えると、相当回復してきた状況かと思っております。  雇用保険三事業は、雇用安定事業、能力開発事業、雇用福祉事業の3つの事業で構成 されております。失業の防止、労働者の能力開発、求職者に対するさまざまな支援とい った雇用対策を実施しているものです。雇用保険三事業については、保険料は事業主負 担となっております。料率は1,000分の3.5です。国庫負担は入っていません。雇用保 険三事業についても予算額にすると、ピーク時は7,000億円を超えている状況でしたが、 景気の回復や三事業の改革等もあり、今回の予算案では4,167億円になっております。 雇用保険制度は現状そのような状況になっております。  今回の見直しの背景です。資料No.5「特別会計の改革に係る最近の動き」ですが、 今回の見直しの背景として最も大きな契機となったのが特別会計改革であると考えてお ります。特別会計改革に係る最近の動きということで、財政制度等審議会、自由民主党 行政改革推進本部の特別会計整理合理化計画骨子、それから政府の決定である行政改革 の重要方針についての抜粋を資料として載せております。  特別会計改革は今年度から始まったということではなく、政府部内においては、平成 15年度から財務省所管の審議会である財政制度等審議会からさまざまな提言を受けて いる状況です。平成15年度、平成16年度についても、労働保険特別会計として指摘を 受けております。  ここには掲載しておりませんが、内容としては労働保険特別会計の中でも、雇用保険 三事業について指摘を受けております。雇用保険三事業についても無駄な事業がないよ うに、目標管理をしっかりやれという趣旨の提言を、平成15年度、平成16年度に受け ております。それに加えて、平成17年度になり、別紙1で示しておりますような、雇用 保険三事業についてもまた厳しい指摘を受けている状況です。  労働保険特別会計は、労災保険と雇用保険で構成されている特別会計です。指摘され ておりますのは、雇用保険の部分が主だと考えております。雇用保険三事業については、 さらに厳しく指摘を受けています。雇用保険三事業のこれまでの取組みについては一定 の評価を受けていると考えております。真に雇用・就労に資するかどうかという観点か ら目標管理の手法を活用するなどの取組みも進められている、ということで一定の評価 を受けてはいるのですが、単なる事業の効果の評価にとどまることなく、事業のそもそ もの必要性まで遡って、それぞれの事業の廃止を含めた見直しによって事業全体のさら なる縮減・合理化を厳しく行っていくべきだという指摘を受けております。  さらに今年度になって、雇用保険制度全体についても指摘を受けております。なお書 き以下ですが、雇用保険制度の根幹である失業等給付は、労使の共同連帯による保険制 度であること。それから、諸外国における国庫負担率に鑑みればというところですが、 雇用保険制度全体についても、国庫負担の在り方も含めて見直しを検討すべき。制度全 体についても見直しを検討すべきという提言を受けております。  特別会計の改革の動きですが、改革の大きな流れの中で、4頁で、自由民主党からの 提言も受けている状況です。これら財政制度等審議会や与党の動きを踏まえ、昨年12 月24日に行政改革の重要方針、これは特別会計改革だけではなくて、公務員の総人件費 改革、あるいは政府系金融機関の整理も盛り込まれております。その中で特別会計改革 についても、内閣としての方向性を示しているものです。  行政改革の重要方針の抜粋ですが、労働保険特別会計については、原則として純粋な 保険給付事業に限り、本特別会計にて経理する。これは、原則が保険給付事業というこ とで、主と従と分けると、保険給付が主である、ということの原則を謳っているもので す。  それから、労災保険でやっております労働福祉事業、雇用保険で行っている雇用保険 三事業については廃止も含め徹底的な見直しを行うことを閣議決定しております。徹底 的に見直していくということです。  失業給付事業における国庫負担の在り方についても、廃止を含め検討する。これは、 選択肢として廃止という言葉も踏まえて検討していくことになっております。これは、 国庫負担だけを検討するということではなくて、やはり制度全体を見直さなければいけ ないと考えております。以上のような特別会計改革の最近の動きを踏まえ、今回雇用保 険制度の見直しを行う必要があると考えております。  最近の雇用保険法の主な改正の経緯についてご説明いたします。資料No.4、雇用保 険法の改正の主なものだけ取り出しております。過去10年ぐらいを遡っておりますが、 平成6年改正の状況としては、バブル景気が崩れていましたが、雇用保険財政について はまだ安定期といいますか、積立金の残高も非常に多いという安定した状況でした。そ の中で高齢化であるとか少子化対策という観点から、平成6年の改正では雇用継続給付 ということで、高年齢雇用継続給付や育児休業給付の創設をしています。このほか、さ まざまな給付の改善を行っています。  平成10年の改正の背景としては、財政構造改革を推し進めるという政府の大きな流れ がありました。こういう流れと、新たな行政需要に対応する観点から、新しい給付とし て教育訓練給付や介護休業給付を創設しております。さらに、財政構造改革を推進する 観点から、その当時はいわゆる失業等給付の中でも基本手当に係る国庫負担はいまの8 割、つまり20%ということでしたが、さらにそれの7割に相当する額、つまり基本手当 にすると14%について国庫が負担するという改正をし、国庫負担率を暫定的に減らした という改正を行っております。  そのほか、高年齢求職者給付金の国庫負担も廃止という改正もしております。背景と して、財政構造改革を進める、というのが最も大きな要因だったといえます。  平成12年改正、それから前回の大きな改正である平成15年改正は、いずれも非常に 厳しい雇用失業情勢を背景に行った改正です。内容についても、非常に厳しい改正にな っております。  3頁は平成12年改正ですが、このときの最も大きな改正事項としては、基本手当の給 付日数について、いわゆる倒産・解雇による離職の場合とそれ以外の場合と、こういう 離職理由によって給付の体系を分けた、というのが最も大きなところであると思ってい ます。そのような給付の考え方を大きく変えたということと同時に、少子・高齢化に対 応するために、育児休業給付と介護休業給付について給付率を上げたということです。  平成12年は非常に財政状況が悪化していたということもあり、国庫負担に係る暫定措 置は廃止され、いまの25%に戻ったということです。それから、痛みを伴う改正として、 雇用保険料率についても1,000分の8から1,000分の12に引き上げたということです。 以上のような改正が平成12年改正です。  直近の非常に大きな改正として平成15年改正があります。平成15年改正も非常に厳 しい雇用失業情勢、それから雇用保険財政が逼迫しているという状況で痛みを伴う改正 が行われたということです。基本手当については、給付率や上限額を見直しました。た だ、再就職の困難な層については給付日数の改善を行っています。給付を切り下げると いう観点では、教育訓練給付や高年齢雇用継続給付については給付を見直しました。さ らに保険料率については、中期的に財政が安定するようにという観点から、1,000分の 14から1,000分の16に引き上げました。以上のような改正が平成15年改正の概要です。  最も直近の平成16年改正は、育児・介護休業法の改正に伴い、育児・介護休業給付の 見直しを併せて行ったものです。最近の状況、それから改正の経緯等については以上で す。 ○諏訪部会長 以上の点についてご質問なり、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○原川委員 資料No.1で、失業給付の積立金が2兆5,186億円となっていますが、こ れはまだ決算が出ていない額ということでよろしいのですか。 ○雇用保険課長 はい、予算上です。 ○原川委員 平成16年の決算では1兆6,000億円と伺いました。そうすると、約9,000 億円くらい増えているという理解でよろしいのですか。 ○雇用保険課長 平成18年度については、まだ予算案ですが、それらを踏まえると平成 16年度末の決算数値1兆6,000億円からさらにそれぐらい積み上がる、というふうに予 算上のものとしてセットされているということです。 ○輪島委員 資料No.5の特別会計全体の見直しの中で、雇用保険を中心に書いてあり ますが、労働福祉事業も見直しをするのだということになっておりますが、これは別途 やられていると考えてよろしいのですか。雇用保険部会の審議マターではないというこ とでよろしいのでしょうか。 ○雇用保険課長 この部分については労災保険関係ですので、労災保険関係のほうで担 当していただきます。雇用保険部会では、雇用保険関係のみ、即ちここでいえば雇用保 険三事業や国庫負担の在り方の部分とご理解ください。 ○長谷川委員 資料No.5の5頁の行政改革の重要方針の特別会計改革では3点指摘さ れています。この改革について、この部会で検討するということですか。 ○雇用保険課長 はい。まさにこのような形で特別会計改革として、廃止も含めた徹底 的な見直し、あるいは廃止を含めて検討、ということをこの雇用保険部会でご検討いた だきたいということです。 ○諏訪部会長 ほかにないようでしたら先に進ませていただきます。雇用保険基本問題 研究会により、雇用保険制度の在り方に係る議論の整理がなされております。これにつ いて、事務局からご紹介ください。 ○雇用保険課課長補佐 資料No.2「雇用保険制度の在り方に係る議論の整理」という のは、学識経験者にお集まりいただき、平成15年から合計13回ご議論いただいた、そ の研究会の成果です。これは名前のとおり議論の整理ということですので、1つの方向 性を出しているものではありません。雇用保険制度について各分野でこのような論点が あるというものを整理したものです。  内容をご紹介いたします。1頁で、議論において最初に前提となる考え方を(1)から(5) まで示しております。(1)は、雇用のセーフティネットとして、制度的に、中期的に安定 した運営が可能となるような保険制度の枠組みが必要である。そういう観点から検討を 行うことを基本にしております。その際には、雇用政策全体を見据えて検討するとか、 この保険制度は強制保険であるといった原点に立ち戻って考えなければいけないという ことが書かれています。  (2)の基本的なベースとなる考え方として、この雇用保険制度は勤労権の裏付けとなる 制度である、という基本を押さえるということです。それから、三事業も含めて失業を なくしていく方向性を明確にすることが適当だということです。  (3)として、失業の特殊性といいますか、事前予測が困難であるといった大きな特徴を 持っている、失業というものに対する対策であるということを書いています。リスク分 散を図り、必要な給付を保障する必要がある、あるいは逆選択を防ぐという観点から、 保険制度として制度の安定性を確保していく、ということが前提として書かれています。  (4)として、特別会計改革の流れがあるということを書いております。(5)として、デ ータをしっかり活用しないと駄目だと書かれています。このような基本的な視点があり ますが、議論そのものは非常に自由に行っていただいたということで、あくまでもそれ ぞれの論点の整理という性格のものになっています。  各分野についてご説明いたします。適用関係として、どこまで雇用保険制度の適用を 行うかということです。適用については、事業所をどこまで適用するかということにつ いては、ごく一部を除いて強制的に適用しています。労働者を1人でも雇っていれば、 原則としては適用になります。  労働者は全員かということですが、一定の基準を設けて、適用と適用しない分野とい うところに線を引いております。議論としては、この線を引くことそのものは駄目だと いうことではなくて、どこをもって線を引くか、というところが議論になっていました。 事業主に雇用されて、事業主から支給される賃金によって生活している方、という大き な適用要件といいますか、労働者に対する適用の範囲を大きく変えようという意見はあ まりありませんでしたが、どこで線を引くかについてはさまざまな議論がありました。  その議論の中でどこまで広げていくかという論点のほかに、いわゆるマルチジョブホ ルダー、つまり複数の職を持っている方、あるいは雇用ではなくて非雇用の方について はどうするかについても、長期的な課題であろうということで指摘されております。  4頁の(10)で、65歳以上の方についてはどうするか。現在のところ、65歳以上の方が新 しく雇用保険制度の適用を受けることはありませんが、この対象年齢についてどう考え ていくか、ということが論点になっております。それから、暫定任意適用であるとか、 公務員に対する適用についても議論がありました。以上が適用関係です。  失業等給付の関係ですけれども、失業等給付も各給付ごとに議論し、論点をまとめて おります。失業等給付の最も大きな給付である基本手当についてです。基本手当につい ては、この制度を根幹から大変革するというような議論はありませんでした。いまの制 度を検証していき、適切かどうかということで議論は展開されました。いまの制度を大 きく変えるという議論は特に今回はありませんでした。  いまの制度の現状について若干申し上げますと、日本の給付制度は離職理由で大きく 給付を異ならせているというのが非常に特徴的です。年齢階層であるとか被保険者であ るとか、各労働者の状況に応じて給付を異ならせているのは非常に特徴的ではないかと 思いますが、これは全然駄目だとか、そういう議論には全くなりませんでした。  ただ1つ強調すべきは、基本手当については2つの機能があることを押さえるべきだ ということです。失業中の生活の安定と産業に必要な労働力の維持確保が1つ。それか ら、単に生活の安定を図るということではなく、やはり早く就職をしていただく、失業 者に早期再就職を促進するという2つを兼ね備えるものでないと駄目だというところで は委員の意見は一致していました。基本手当については以上です。  あとは、かなり細かい給付が続いておりますが、延長給付、技能習得手当、寄宿手当、 傷病手当などについてはあまり議論の時間は割かれておりませんが、それぞれここに書 かれているような論点があります。  8頁は若干厳しい議論のあったところです。高年齢求職者給付金、特例一時金、日雇 労働求職者給付金というのは、規模的にはそれほど大きくない給付金ですが、議論はい ろいろあったところです。高年齢求職者給付金については、65歳以降の方に一時金を出 す制度ですけれども、今後65歳以上の方に対する対策の在り方も含めて検討すべきでは ないかという論点が指摘されております。  特例一時金は、季節労働者の対策ですが、非常に厳しい意見が出ておりました。これ は雇用保険部会の中でも以前に批判のあったところですが、やはり循環的に給付が行わ れている。これは、保険給付としては問題ではないかという指摘がなされていました。 給付が出ている地域そのものが非常に限られているということで、これは地域間の公平 性を欠いているのではないか。そもそも、季節労働者の対策については自治体の対策で はないのかということまで含めてさまざまな意見が出たということです。そういう意味 では、現在の制度についてかなり問題点が指摘されたのではないかと思っております。  就職促進給付についてもあまり意見はありませんでした。教育訓練給付については、 前回の改正でも給付率を改正しましたが、これについては効果を高める観点から、特に 給付のほうというよりも、むしろ教育訓練給付の対象となっている講座について見直し を図っていかなければならないのではないかという議論がなされました。  雇用継続給付についても若干議論がありました。高年齢雇用継続給付については、高 齢者雇用安定法の改正により、継続雇用を図る年齢が徐々に高まっていくという前提の 中で、いまのままの制度でいいのかという論点が提示されております。ただ、激変を避 ける観点からの検討が必要だろうという意見もありました。  育児・介護休業給付については保険制度でやっている観点から制度の本来の趣旨、つ まり雇用の継続を援助促進する観点から、これからも実施していかなければならないと いうことで、保険としてはそういう制度の枠内でやっていくことが重要だろうというこ とです。やはり、少子・高齢化対策として、このままでいいのかという論点を提示して おります。給付については以上のような状況です。  財政運営の在り方については、さまざまな意見が出ておりますので、若干矛盾したよ うな論点が並んでいる場合がありますが、これはそういう意見の相違があったというこ とです。  特に、国庫負担の在り方についてはさまざまな意見が出ました。論点の(2)は、国庫負 担を原則廃止する。それから、国庫負担を全く行わないわけではなく、雇用保険で、労 使が共同連帯で負担すべき範囲をまず決めて、それを超えたら国庫負担を行うべきでは ないか、ということが(2)で提示されております。  一方では、国庫負担を実施していくべきだという意見もありましたし、さらには諸外 国との比較についても意見が割れました。(3)は財政制度等審議会の指摘に近いものです が、諸外国の状況を踏まえると、我が国については労使の共同連帯による保険制度なの だから、国庫負担についてはもっと考えなければいけないのではないかということです。  それに対して(4)では、諸外国では失業保険が終わった後に、失業扶助制度があります。 これも加味して考えなければならないのではないか、という対立した意見もありました。  その中間的なものが(5)で、国庫負担については、通常時には薄くてもいいけれども、 非常時にはいまよりも高くする、という考え方もあるということでかなり異なる意見が 提示されています。それに関連して、積立金の水準をどうするかについても議論が行わ れました。以上のように、財政運営の在り方については、かなり異なった意見が出され ていたということです。  急激な雇用悪化への対処の在り方、というのは財政運営の在り方と裏腹の関係にあり ますのでかなり重なっております。これは、厳しくなったときにどうするかということ です。これも、厳しくなったときだけ国庫負担をすればどうかという意見もありました。 雇用保険制度でカバーすべき範囲には限度があるのではないかという論点がありました。 積立金の水準についても、もう少し機動的に発動できないか、ということも論じられま した。  雇用保険三事業についても、さまざまな議論がありました。いままで、雇用保険三事 業については一定の役割を果たしてきている、中心的な役割を果たしてきているという ことで、全廃しろという意見はありませんでした。どういう在り方にするかについては さまざまな意見が出されました。三事業でどこまで役割分担をするのか、対策としてど こまで三事業が担うのかについて議論がされました。  (3)にあるように、まず附帯事業であるという原点に立ち戻り、できる限り失業を発生 させないという対策に意を用いるべきだという議論がなされていました。ただその際に は、いまの雇用対策の重要な課題である若年者対策や少子化対策についても、可能な限 り対応すべきではないかという意見もありました。  それから、見直すべきところは見直せということで、(4)のような厳しい意見もいただ いております。(5)のように、別の税財源でやっていくことも考えたらどうか、という提 案もありました。  (6)と(7)のように全く異なる意見も出されていました。(6)は現行制度と全く同じです が、(7)については、三事業と失業等給付を分けず、いわゆる労使の折半の保険料で実施 する、ドイツではこのような制度でやっています。三事業と失業等給付を分けない、と いう考え方もあるのではないかということで指摘されております。  目標管理は徹底する、というところでは一致していたと思います。いずれにしても、 どこまで三事業で役割分担をするのかというところが中心でした。以上のようなことで すが、あくまでもこれは論点の整理ということです。資料No.2については以上です。 ○諏訪部会長 ただいま説明のありました資料を参考にしていただきながら、今後、各 項目について皆様と議論を進めていきます。本日は、ただいまの説明を基に、皆様に忌 憚のないご意見を闘わせていただければと思います。  議論の進め方としては全体を2つに大きく割り、最初に適用や失業等給付、その財政 運営の在り方などについて議論していただき、その次に雇用保険三事業とその財政運営 について議論していただきます。まず、適用や失業等給付と、その財政運営の在り方に ついて議論をお願いいたします。 ○三木委員 この見直しに当たって、もう一度確認します。最初に見直しの閣議決定と いったものがある中で、三事業と国庫負担の在り方だけに限定せずに、いまの話による と、結局はすべて制度全体の在り方についても議論するという考え方で今後進めていき たいということでよろしいのですか。 ○雇用保険課長 先ほど申しましたように、財政審も閣議決定もありますが、特に財政 審のほうに明確に書かれています。雇用保険制度全体の在り方について見直しを進めて いく。その中のテーマとして、国庫負担の在り方なり、あるいは三事業の在り方なりそ の他の問題があります。  先ほどご説明は省かせていただきましたが、資料No.3に、平成15年改正のときの、 平成14年12月26日の当部会における報告書の抄ということで今後の課題が書いてあり ます。そのようなものも踏まえ、雇用保険制度全体についてご議論いただければと考え ております。 ○輪島委員 資料No.2の1頁の考え方の基本の(3)で、「失業は、老齢、傷病等生理的、 物理的現象とは異なり、発生率、時期、地域、年齢、業種、職種等の事前予測が困難」 ということで、まさにそういうことだと思います。そういうことなので、基本的に国庫 負担が付いてきているのではないかと思っております。この考え方からすれば、いま求 められているのは国庫負担の在り方についても検討しろと言われているわけです。国庫 負担の在り方ということになると、「事前予測困難」という基本的な考え方に立つと必 要だと思うので、どうしてそういう議論をしなくてはいけないのかということに疑問が あります。どのように整理したらいいかを教えてください。  資料No.2の後ろに付いている資料も併せていくと、いま経済情勢は非常に良くて、 本日の雇用失業情勢を見てもかなり改善しているわけです。喉元を過ぎると苦しかった ときのことを忘れてしまうわけです。財政運営の在り方、雇用保険三事業関係資料の三 事業のほうですが、最近の雇用対策についてということで、12頁から平成10年以降の さまざまな雇用対策が書いてあります。  後ほどの議論につながるのかもしれませんが、全体に国の雇用対策というのは、これ までどういう財源で行われてきたのかということ。ここに予算は書いてありますけれど も、もう少し詳細に分けていただくということ。次回でも結構ですけれども、具体的に どのようなものを、どういう財源で、どのようにやったのかを教えてください。 ○雇用保険課長 国庫負担の在り方で、事前予測の困難性から国庫負担というのがあり 得るのではないか、という考え方もあるでしょうが、その辺りは今後ご議論していただ こうということです。  まず、現状をどのように考えているかをまとめたのが資料No.2の12頁の3の財政運 営の在り方です。現行制度の3つ目の「・国庫負担は、失業の発生については国の経済 政策、産業政策等と無縁ではなく、国も一定の役割を担うべきという雇用保険独自の論 理により導入されている」という点は、まさに、いま我々がなぜ国庫負担をやっている のですかというときに説明するポイントをまとめたものです。ただ、これ自身がどうな のかというのが俎上に載っているとご理解いただきたいと思います。  「なお、給付費の定率を国庫が負担するのは、主要先進国の中で我が国だけである」 という点は、先ほど田中補佐から説明させていただきました12頁の(3)の論理、「諸外 国における国庫負担率の比較を踏まえ」というのはここの部分です。給付費について国 庫負担しているのは、先進国の中では日本とドイツだけです。さらに、このような一定 割合でやるというやり方は日本だけです。  一方、次の段落を分けたなお書きのところに、「英独仏等の諸外国においては、全額 税等失業保険以外の財源による失業扶助制度を設けている」ということが事実として書 かれております。これが、先ほどの(4)の議論につながる事実関係かと思っております。  いずれにしても、どういう意味で国庫負担するのか、あるいは今後どうしていくのか という辺りをご議論いただければと考えております。 ○輪島委員 そのことはそうだと思うのですけれども、トータルでいうと失業扶助制度 というのは諸外国でも国庫負担なので、雇用保険に国庫負担を入れているのか、その後、 生活保護と同じような意味合いの失業扶助制度に国庫負担が入っているということにな れば、ある意味では同じことなのではないかと思うのですが、それは考え方としてはど うですか。 ○雇用保険課長 本日お配りしました資料No.2の関係資料、「財政運営のあり方、雇 用保険三事業等関係資料」の3頁にグラフがあります。先ほど申し上げましたように、 保険料率、国庫負担率、失業率の国際比較という表です。国庫負担については、諸外国 との比較ということで書きましたように、原則の数字は日本の場合4分の1ですから 25%と表示しております。ドイツは15%と表示してありますが、これは実績の結果で、 15%負担するというやり方ではありません。15%負担したという意味です。  諸外国の失業扶助制度(未定稿)という形で、4頁、5頁に横長に書いてあります。 イギリス、ドイツ、フランスの失業扶助制度ということで、これは生活保護ではなく、 失業であることを要件としながら、もちろん資産要件なり所得要件を課してはおります が、給付を行いながら再就職に向かってのさまざまなサービスと組み合わせてやるとい う仕組みが、イギリス、ドイツ、フランスではこのような形でやっている、ということ を表したものです。  それらを基に6頁で1つの考え方として、「諸外国における雇用(失業)保険及び失 業扶助の給付額及び国庫負担について」という形でまとめたものです。日本の場合は、 失業扶助制度に相当するものはありませんので空欄になっておりますが、日本、イギリ ス、ドイツ、フランスが、それぞれどのぐらいの財政規模で事業をやっていて、国庫と して税金を使っているのはどれぐらいかをまとめたものです。  ここの下から2つ目の※にあるように、アメリカでは失業保険制度は、事業主都合に よる離職者に対してのみ対象としているという特別なものであるということ。オースト ラリアには失業保険制度は存在しないで、全額国庫負担による失業扶助制度をやってい る国であることを注記しております。資料としては以上です。 ○輪島委員 確認ですが、いまの6頁の図表を見れば、日本は給付額における国庫負担 の率が23%、フランスではその部分が13%ありますということです。両方の制度を合わ せてみれば、日本だけが唯一ある制度だと一概には言えないということですか。 ○雇用保険課長 これを、どう評価するかということです。 ○長谷川委員 今回の見直しは財政の視点というか、政府の財政面の安定という視点で 言われていて、国庫負担の話もそういうことだと思うのです。6頁を見ると、雇用保険 制度そのものは日本、イギリス、ドイツ、フランスでは制度が若干違うわけです。一概 にこれを比較して、例えば雇用保険だけ見れば、日本だけが23%で、ドイツが11%でほ かはないではないかということになります。  しかし、一方で失業扶助制度をここに出されている国で見ると、国庫負担があるわけ です。そもそも、雇用のセーフティネットとしての雇用保険制度というのは一体誰が運 営し、どういう責任を持つのか。国は、雇用対策に対してどういう責任を持つのかとい うことが、そもそもきちんと位置づけられないと、国庫負担率だけを他の国と比較して 見直せといわれても、非常に乱暴な議論のように感じるのです。これは、私だけの思い なのでしょうか。この部会の議論は難しいと感じています。 ○雇用保険課長 先ほど申しましたように、こういう事実関係を基にどのような判断を 下すのか、決してどこの国も日本と同じような仕組み、思想ではないかもしれません。 ただ、参考になるかもしれないという意味です。その事実関係を基に、どのような評価 なり、判断なり、考え方の整理をするのかを今後この部会でご議論いただければと考え ております。  いずれにしても、保険だけをとれば、確かに国庫負担はドイツを除いてやっていない。 おそらくその発想としては、保険という仕組みの中で事業主・労働者の共同連帯でやっ ていく。各国の失業保険制度の成り立ちというか沿革がいろいろな面で影響を受けてい るのではないか。最初から国が始めたというよりは、それぞれの国で労働組合が始めた り、使用者側からアプローチしたり、あるいは労使が一緒になってやったり、さまざま な経緯の中でいまの制度はおそらくできているのではなかろうかと承知しております。  そういう中で、労働者や使用者の連帯という形が強調されればされるほど、給付の面 で一律に国庫負担をやっていきましょうという発想にはなかなかなりにくいのかもしれ ません。逆に言えば、例えば制度が破綻しそうになったときに助けるといった意味での セーフティネットはあるのかもしれないけれども、という議論としてはあるのではなか ろうかと思います。ただし、定率でやっている国庫負担の在り方をどう判断し、どうい う在り方が望ましいのかということをご議論いただければと思っております。 ○中馬委員 資料No.2の1頁で、国庫負担をどうすべきかというお話のときに、私た ちがさまざまな企業のいろいろなことを観察していて、それは経済全体にとってもそう だと思いますけれども、事前の意味での不確定性がどんどん高まってきています。しか も、先ほどの経済政策や産業政策の、失業に対するコントローラビリティがどんどん下 がっています。  そうすると、これまでの10年よりも、今後の10年というのは、さらに想定外のこと がさまざまな形で起こってくるだろう。そうすると、ある種想定内の不確実性を前提に 成立している保険の部分を補完しなければいけないという必要性は、過去10年よりも今 後の10年のほうがより高いだろうということを、事実認識として皆さんが一致するとす ると、そのときに雇用保険制度がどのように改変されるべきだろうかという視点からデ ィスカッションすべきなのではないかと思うのです。  そうなると、想定外のことが起きますから、何らかの形で予算が足りなくなるような ことが起きます。そうすると、どうしてもそこに穴ができて、経済学の言葉で言うとソ フトバジェット、ハードバジェットという言い方をします。ソフトバジェットになって、 途中から他人に支援してもらわなければいけなくなる。でも、そうなるとどうしてもモ ラルハザードが起きたりすることがあります。  そのようにして、事前の意味での不確定性が非常に高まっているので、それに対して 国庫扶助の必要性は低下するのではなくて、むしろ増大するだろうという側面がありま す。それでは、むやみに国庫扶助をするとモラルハザードが起きるだろうから、そうす るとそこをもっと締めなければいけませんね、という話に全体的にはなるのではないか と思うのです。そこをどう考えておられるのでしょうか。 ○三木委員 長谷川委員が言われましたが、1つは国の雇用政策の問題、雇用対策の問 題もあると思いますし、経済政策の在り方の問題もあると思います。予測不可能という 意味でいくと、グローバリゼーションがこれだけ広がっていく中で、一国の内情だけで は予測できない。いま、中国にどんどん進出している中で、労働集約型産業はどんどん 移動しなければならないということから、大量の失業情勢が起こるのではないか。そう いう予測不可能な産業構造の変化も出てくるでしょう。  それと併せて、雇用のいまの現状というのは、正規に対して非正規の部分がいまは3 分の1だけれども、それがさらに増えつつあると予測されています。そういう意味でい くと、国の在り方というものも一定程度関与していかないと、単に労使だけで負担して いけという責任論だけではなくて、国も関与した中での相互扶助というか、在り方をき ちんと制度として保っていかないと、今後の対応ができなくなるのではないか。  以前のような高度成長は期待できないわけですから、そういう意味ではなおさらそこ に対する三者構成の在り方というか、扶助の在り方もきちんと組み込んで考えていく必 要があるのではないか。それなくして安定性は保てないのではないかという気がいたし ます。 ○諏訪部会長 中馬委員から非常に重要な問題提起があり、三木委員からも補足的にご 意見がありました。いわば想定外の事態にどう対応するか。これまでの想定外の対応に ついて雇用保険課長から説明していただけますか。 ○雇用保険課長 想定外のビルトインされた仕組みの内容としては、資料No.2の13頁 にいくつかの制度が現実にあります。現行制度欄に、1つは急激な雇用悪化に対応し、 給付面における対処として、全国延長給付制度があります。これは、全受給資格者につ いて、所定給付日数を90日超えて基本手当を支給するものです。これは、仮にいまの議 論しているときの時点でということですが、これをやると年間8,000億円程度かかる仕 組みになっております。しかし実際にこれを過去に発動した実績はありません。これは 一定の要件を満たさないとできない仕組みになっております。  財政面における対処の在り方としては、1つは、予算ですので予備費を積むことは当 然やっております。それから積立金制度があります。ご承知のように雇用保険の給付な りで余った部分、残余の部分についてはすべて積立金として必要なときに使う。一時期、 先ほど田中のほうから説明させていただきましたように、平成4、5年ごろでしょうか、 5兆円近いものが積み上がったのではないかと思います、その積立金を不況のときに取 り崩して、給付が保険料なり国庫負担を上回ったとしても、制度が運営できるようにし ているというものです。  もう1点、高率国庫負担制度があります。国庫負担率をある一定の条件で、4分の1 から3分の1に引き上げる。具体的に言いますと、保険料で給付が賄いきれなくなった とき、その上回ってしまった部分については、3分の1に引き上げられるという条項が あります。  そのほか、保険料率の弾力条項制度があります。ご承知のように現在、保険料率は 1,000分の16ですが、一定の要件の下に最大1,000分の2引き上げることが可能となっ ております。要件の中には言うならば、保険給付が出て積立金がどんどん減って、端的 に言えば積立金が1倍を切ってしまうような中で、保険料を上げなければ対応できない という判断を厚生労働大臣がした場合、労働政策審議会の議を経て、諮問をした上で行 うというものです。高率国庫負担については過去5回、昭和50年度、51年度、53年度、 57年度、58年度にあって、弾力条項による保険料率引上げは平成14年度にありました。 特別会計は、最終的には制度的に借入れは可能ですが、借入れの実績はありません。そ のほか平成15年改正で雇用安定資金を失業等給付費に、一時的に使用できる暫定措置は、 平成19年までの暫定措置として作られている。こういう状況になっております。 ○諏訪部会長 こういうことで、これまでもそれなりに緊急事態には対応できるように していて、その上限目一杯まで使ったことは、これまではなかった。ただし、積み立て たお金はご存じのとおり前回改正のとき、ほとんど底をつく寸前で、危うくデフォルト になるということで、前回皆様にご無理を申し上げた議論をしたわけです。何か、これ までの部分でほかにご質問なりご意見がありますか。  それでは適用関係、失業等給付とその財政運営というものとは別にもう1つ、雇用保 険三事業とその財政運営という問題がありますので、ここでそちらのほうの議論にも入 っていただこうかと思います。ご質問、ご意見ありますでしょうか。 ○雇用保険課長 補足させていただきます。資料No.2の関係資料、「財政運営のあり 方、雇用保険三事業等関係資料」の25頁は雇用保険三事業の概略で、26頁をお開きく ださい。雇用保険三事業とは、失業の予防、雇用機会の増大、労働者の能力開発等に資 する雇用対策という形で、現実の雇用対策の大宗を占めている政策です。主な事業内容 として、これは最近よく使われている、あるいは注目されている、あるいは過去によく 使われていたものということで抜き出したものです。まず雇用安定事業としては、事業 主に対する助成金として高齢者や障害者、就職困難者の方を雇用する事業主を支援する 「特定求職者雇用開発助成金」、あるいは失業予防に努めて、解雇せずに、休業手当を 払うとか、教育訓練、出向等で失業しないようにする事業主に賃金助成などを行う「雇 用調整助成金」、あるいは創業支援、あるいは雇用を増やす事業主を支援するための「自 立就業支援助成金」や「地域雇用開発促進助成金」。最近だと一定期間、最大3カ月間 のいわゆるトライアル雇用を行う事業主に対する「試行雇用奨励金」。それから、高齢 者の継続雇用に取り組む事業主を支援する「継続雇用定着促進助成金」。あるいは仕事 と子育ての両立という観点での「育児・介護雇用安定等助成金」などを行っております。 また、リストラされた労働者に対する再就職支援ということで、就職支援ナビゲーター あるいは再就職プランナーというような民間出身の方々を、ハローワークに配置してマ ン・ツー・マンでの指導、あ るいは計画作成の援助といったことを行っております。  2番目に能力開発事業というカテゴリーがあります。これは在職者や離職者に対する 訓練として、公共職業能力開発施設、雇用・能力開発機構が設置、運営するものや、都 道府県が設置・運営するものの設置・運営とか、専修学校等の民間教育機関を活用した 委託訓練などの、職業訓練の推進を行っております。また、事業主が教育訓練を行う場 合の支援として「キャリア形成促進助成金」などがありますし、職業能力評価制度の整 備ということで、技能検定、あるいは職業能力評価基準の整備などを行っております。  3番目のカテゴリーとして雇用福祉事業というのがあります。現在、情報提供事業は 雇用福祉事業という位置づけにしておりまして、例えばジョブカフェなどの若者に対す る情報提供はこの事業として位置づけられております。そのほかに、中小企業退職金共 済の掛金に対する助成などもあります。昔ここには福祉施設の設置整備が入っていまし たが、平成12年度限りでその整備は廃止し、今年度、平成17年度限りですべての福祉 施設について、売却か廃止かという形で整理することになっており、まもなく終わる予 定です。  これらのものについては、リストラ等雇用上の諸問題が企業行動に起因するところが 多く、また、これらの問題の解決が事業主の利益をもたらすという観点などを踏まえて、 事業主の保険料、現在は1,000分の3.5ですが、それを原資として行っております。  三事業の関係の収支状況はその下の欄に書いてありますが、収入については先ほど申 しましたように1,000分の3.5。支出については先ほどご説明したように、平成12年度 は予算が7,200億円、決算が6、000億円ということで収入を上回る形。これは雇用安定 資金という形で、それまで積み立てていたものを取り崩して行ってきたわけですが、そ ういう必要な雇用対策が減少していることと、後ほど申し上げます雇用保険三事業につ いて、目標管理サイクルなどを利用して改革し、削減してきたという効果も踏まえて、 平成18年度では対前年度比12.7%減の4,167億円の予算をセットしております。この 安定資金残高についても、3,102億円から、ボトムとして平成13年度が2,609億円まで 下がったわけですが、平成16年度決算で5,312億円、平成17年度、平成18年度、予算 上は増えていくだろうことが予定されております。この収入と支出の差についてはすべ て雇用安定資金ということで積み立てることになっております。  1枚めくって、「雇用保険三事業の目標管理サイクル」について簡単に説明させてい ただきたいと思います。いわゆるPDCAサイクルという形で、目標を設定して事業を 実施し、その効果を把握した上で評価をして、その評価結果を公表して事業の見直しに つなげていこうというものです。29頁の「雇用保険三事業の改善に係るこれまでの取組 み」をご覧いただきますと、施策のメリハリをつけるという意味で、単純な雇用維持支 援・雇い入れ助成から労働移動支援・ミスマッチ解消などに重点を置き、先ほど申し上 げましたような就職支援ナビゲーター、再就職プランナー、ジョブカフェの設置などを 行ったり、あるいは雇用調整助成金、これはある意味雇用維持支援の典型ですが、予算 額を圧縮する。そして三事業全体の予算についても、平成12年度予算7,208億円だった ものを、平成18年度は予定で4,167億円まで圧縮する。関係独立行政法人についても、 業務の見直しや運営効率化によって支出を大幅に圧縮して、独立行政法人ができた平成 15年度予算2,821億円だったものを、平成18年度予定では2,057億円、前年比10.5% 減という形で縮減した。あるいは助成金の整理合理化、説明責任の徹底ということに取 り組んでおります。 ○諏訪部会長 というのが粗々の説明です。さらにご質問あるいは関連したご意見があ ろうかと思いますので、ご自由にお出しください。 ○中馬委員 先ほどと同じことかなと思うのですが、PDCAサイクルの話で、現実の 企業でもそうですし、どういうのが最適な雇用政策なのか、どういうものを打ち出すべ きかということを、厚労省の方々がサーチすると言いますか、どんなものが望ましい政 策かをサーチすることがすごく、だんだん難しくなってくる。それはやはり企業行動も 複雑になってきますし、結果としての産業構造も複雑になってくる。その結果としての 労働市場の特性も複雑になってきますから、どういうように適切な雇用政策を取るべき かという、その解を見つけることが、非常に、サーチコストが高くなって、大変難しく なってきているということで、そうするとこの雇用三事業を潰すか潰さないかというこ と以前に、どういう政策が望ましいかというサーチのコストを可能な限り安くして、し かも的確な政策を見つける仕組みをまずつくるということが重要なのではないかと思う のです。そういう観点から見ると、一時、雇用調整支援金の話とかいろいろありました が、結局どういうところにお金が使われていて、それが例えば、どういう形で成果をあ げているなどという意味での、政策評価的なものも全く行われなかったし、決算の書類 もなかなか上がってきにくかったというようなことで、やはり、政策が実施されるプロ セスとその成果が見える解像度を上げない限り、先ほどのような望ましい政策のサーチ コストがなかなか下がらないということがあると思うのです。それは厚生労働省の方た ちが直面しているだけではなくて、企業の方でも、どこでも同じような問題が起こって いる。そうすると先ほどのPDCAサイクルを回すというときに、どういうようにして 「見える化」して、解像度を上げて、サーチコストを少なくして、国民にとってより望 ましい政策をサーチしていくか、あるいはその結果として実施していくかというような、 何かそういう、システムの問題を考えないと、なかなかこの三事業の資金を有効利用で きない。そういう時代なのではないかという気がするのです。したがって、そこをどう するかというようなことも、ちょっと考えたほうがいいのではないかと、思いつきで申 し訳ないのですが思います。 ○諏訪部会長 いまの点ですが、政策評価でここしばらくと言いますか、近年、一生懸 命工夫をしてやっているようなので、それも説明していただけますか。 ○雇用保険課長 先ほど申しましたPDCAサイクルによる取組みというのは、実は平 成16年度の事業から始めたものです。平成16年度の事業に初めて、当時は80事業を取 り出して、目標を設定して、それで実施した結果を平成17年度に取りまとめて、それを 平成18年度予算要求に反映させるということ。そういう意味でPDCAサイクルは1回、 初めて回した結果です。その成果としては、実は、評価対象事業は80事業でしたが、見 直し対象とすべきと判断されたのが33事業、全体の41.3%。これは後ほど資料を別途 用意させていただきます。そのほか、80事業のうち3事業についてはもうすでにその時 点で、平成16年度限りで廃止するということを決めておりました。この33事業の見直 しの結果、6事業を廃止し、27事業については内容の見直しを行う。そのほか、33事業 以外でも別途3事業を廃止するということで、合計としては、80事業のうち9事業を廃 止し、27事業の内容を見直すという形で1回目の、そういう意味での、目標設定に伴う 評価と、それを踏まえた見直しということをしました。  平成17年度については、この事業数を154まで拡充し、まもなく平成17年度が終わ りますが、今年については先ほど申しました徹底的な見直しを行わなければならない関 係上、かなり前倒し的に評価の作業を開始しております。平成18年度以降についてはす べての事業、いまの154で概ね予算的には9割以上をカバーしておりますが、すべての 事業について目標設定をしていく形のものを予定しております。もちろんこの目標管理 設定に伴う見直しは、あくまでも目標を設定して、それに伴って判断するという1つの 手法ですが、さらにそれに加えて先ほどの財政審の指摘、報告の中にもありましたよう に、事業のそもそもの必要性に遡っての見直しというのも、今年度はあわせてやるとい う予定です。 ○中馬委員 その中で1つ気になりますのは、その評価を回すときに、そこで発生する さまざまな情報というのがあるわけですね。その情報がどういう人たちにまで開示され ているか。それは非常に権威主義的な形で、上から下は見えるけれども、下から上が見 えないとか、あるいは、我々のような一般的な国民にとってもちゃんと見えるようにな っているかとか。例えばそういうようにコピリシエーを、サイクルを回すときにどうい う形でうまく、誰に対してまで見えるようになっているかということで、その政策の重 要性やその他がより客観的に評価される。したがって雇用三事業のどれが大切なのだろ うかとか。例えば全廃とかゼロイチではなくて、どういうものが重要であるかないかみ たいなことが、より多くの人たちに共有されて、それで支持されるというような形にな るのではないかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。 ○雇用保険課長 いま現実に行っているところを説明させていただきますと、目標管理 サイクルの所にも書いてありますが、ポイント、ポイントで事業主団体の方々に意見を うかがうという機会を設けるとともに、目標の設定、あるいはその結果、それに伴う見 直しということについての内容については、私ども厚生労働省のホームページ上でわか るように開示している。いまのところ、そういうことで世の中にも説明していくという ことをやっております。 ○林委員 このチェックのやり方、その方法論はいくつかあると思いますが、主にどの ような観点からのチェック方法を取っていらっしゃるのでしょうか。 ○雇用保険課長 1つはその目標を設定するということで、この場合も、我々はアウト プット目標とアウトカム目標と言っておりますが、単純に言えばアウトカム目標という のは、予算の、例えば何万人に対してやりますとか、量的なものをやりましたという意 味です。アウトプットはその成果として、例えば失業の改善にこれだけ役立ったとか、 あるいは、こういう改善のためにやります、こういうレベルのところまでやりますとい うような目標、それはいろいろな事業の内容や性格に応じて設定した形の目標で、それ を設定したものとして、それを達成したかどうかという判断と、もう1つはいわゆる予 算の執行率という観点から、予算が過大に計上されているのではないかという意味も含 めて、予算執行率の判断、その2つの判断を縦横に取って4つのディメンジョンに分け て、それぞれのディメンジョンごとに、例えば事業の執行率も、一応80%というところ で決めましたが、80%以上の事業執行率で、かつ、目標を達成したということであれば、 そこは原則、一応目標は達成しました。しかしそれが、目標は達成したが事業執行率の 面で、例えば80%に満たないということであれば、それは予算の見直しをするとか、目 標設定に到達できなかったし事業も執行できない、あるいは事業は執行できたというも のについては、廃止または見直しというような判断を下す。こういうような形で内容的 に判断、評価するということでやっております。  これも三事業の所の議論をするときにあわせて提出させていただきたいと思います。 ○輪島委員 財政運営のあり方の29頁のいちばん下「説明責任の徹底」という所に、事 業主団体として私どもの名前が公開されています。私どもが定期的に懇談会を開催しと いうことで、一応その三事業それぞれ1つひとつの事業について、評価書というのはこ んなに厚い、電話帳みたいなものになるのですが、そこでそれぞれ、何の助成金や事業 について、どういう執行状況でどういうようになっているのかということを、私どもは 基本的には説明を伺っており、そういう説明を受けているということは、事実関係とし てはあるということです。 ○長谷川委員 私もホームページに出ているのは見ているのですが、いま言われたよう に、上から見れば非常によく理解できるけれど、これを逆に下から見たときには、比較 的わからないというのは事実だと思うのです。私も、その政策目的なり、執行率がどの 程度なのかというのはわかります。例えば執行率が24%なんていうのは、施策としてこ れは駄目だなと誰でもが思う。80%とか96%というのもあって、これはうまくいってい るのだなと思う。ただそれはあくまでも目標に立てたものに対する執行率の話で、果た してその内容が本当にいまの状況の中で、合っているのかどうなのかというところと、 本当にその施策が必要なのかどうなのかというところの検証は、いまのやり方では若干 弱いのかなという気がします。いつでもこの雇用保険の三事業が検討の俎上によく載っ てくるのですが、やはりどこかに不透明なところと、下から見たときに、その施策がイ メージできないということがあるのではないか。  したがって今回、この雇用保険の三事業のところについて少し議論をするようですの で。おそらくそのときは事務局も政策評価を出してくると思うのですが、もう少し検討 するというか、国民というか人々もわかるような、イメージできるようなものが必要で はないかなと思います。失業給付はよくわかります。おそらくぴたっと、失業給付はみ んなわかるのですが、その他の給付は、なかなかわかりにくいところがあるのではない かという気はします。 ○中馬委員 私も十分に見たことはないのですが、例えばいま、執行率の所があって、 そこをクリックするともうちょっとブレークダウンして、どこがどういう状態だという ことがわかって、もう1つぐらいクリックすると、もうちょっと下までわかって、どこ に問題があるというような。例えばそういう状況ということですね。 ○長谷川委員 そういう施策が、人件費に使われているのか、事務費に使われているの か、それとも個々の労働者への給付で使われているのかということが、いまの報告だと わからないのです。先生がおっしゃったようにそういうのがわかると、みんながそれぞ れの施策について、納得性は得られる。 ○諏訪部会長 今日はまだ結論を出す機会ではなく今後検討していきますので、いまの ような、なかなか示唆深いご意見等を、是非お出しいただければと思います。いかがで しょうか。 ○輪島委員 資料6はご説明がないのですが、最終的に福祉事業として、平成17年度末 までにすべてのものが完了して、その後の福祉事業の支出状況というか、その後はどう いうように推移するのかということは、何かを見ればわかるようになっているのですか。 施設は売却をするので、その後福祉事業として、予算としてどのくらいのかたまりにな るのか。 ○雇用保険課長 雇用福祉事業は、先ほどの資料の財政運営のあり方の26頁の(3)、あ るいはその「三事業関係収支状況」の27頁の雇用福祉事業の支出の欄をご覧いただくと おわかりになりますように、平成12年度の予算1,256億円というのが漸次減ってきて、 平成18年度予定では873億円まで減っている。現状はこういう形で、縮減している。そ ういう意味で福祉施設の設置運営がなくなったこと等も含めて、福祉事業の内容の絞り 込みということも、あわせて行った結果ではなかろうかと思いますが、現実に平成18 年度は873億円という形で、ある意味縮減している状況です。  資料6の説明は省かせていただきましたが、勤労者福祉施設の譲渡状況という形で、 もう廃止と決定しているのは3施設ですので、これを取り壊して土地を自治体に返却す るということで、平成17年度末と決められていたものは達成できたということです。 ○輪島委員 そうすると、その余の、いわゆる箱物にかかるお金はなくなって、それ以 外にジョブカフェとか仕事情報ネット、ああいうものもいまは福祉事業に分けられてい るはずですが、その分のコストが、現行のままでいけば福祉事業としていくらかのもの が残る。それがボリュームとしては873億円程度ということですか。 ○雇用保険課長 そういうことです。 ○原川委員 雇用保険三事業の資料No.2の16頁(9)に弾力条項のことが載っていて、 13頁にも保険本体の弾力条項が載っています。本体のほうは、失業給付額の2年分とい うことで、2倍の数字に達したら弾力条項が適応されて。引き下がるほうです。そうい うことになっていると思うのですが、三事業の場合はどうなっているのですか。 ○雇用保険課長 「財政運営のあり方、雇用保険三事業等関係資料」の19頁をお開きく ださい。横長の表になっております。失業等給付に係る弾力条項と雇用保険三事業に係 る弾力条項、両方とも説明しております。先ほど申しましたのは失業給付のほうで、2 倍を超えれば保険料の引き下げ、1倍を下回ると保険料の引き上げ。この引き下げ、引 き上げという形のものを厚生労働大臣が行うことが可能となる。一方、雇用保険三事業 に係る弾力条項は、いわゆる保険料額の1.5倍を超えるような形で雇用安定資金が積み 上がった場合には、保険料率が1,000分の3.5から1,000分の3に0.5引き下がるとい うことです。雇用保険三事業にかかる弾力条項も過去3年間、1,000分の3.5のものが 3になったという実績がありました。 ○林委員 次回にお出しいただくことなのでここで適当かどうかわからないのですが、 PDCAサイクルのチェックの件で、先ほど、政策目標からのチェックということがあ りました。例えば、この労働とはちょっと離れているのですが、チューブをつけて患者 の延命措置をすれば明かに延命する、それで延命効果もある、お金をかければそれだけ の効果がある。ただし、その延命措置そのものが必要かどうかのチェックと言いますか、 それは考え方の問題だろうと思うのですが、そういうことについてはどういう。結局そ れは、こういう政策の、審議会とかそういうものの中でやっていくという。その辺のと ころを含めての目標の達成とか、そういう問題はどういうようにやっていますか。 ○雇用保険課長 私どもがやっている雇用三事業に係るPDCAサイクルの場合、1つ はやはり目標設定、適切な目標設定をしていくということが非常に重要ですが、そうい う中でその目標はそれぞれの事業ごとに、事業の性格や内容に応じてさまざまなものを 作らざるを得ないわけで、その性格によってはなかなか目標を、つまり目標を作り、そ れを検証するコストがあまりにも莫大にかかるのでは、それはあまり意味がないことで すので、ある程度それに近い数字を考えるとか、そういうような意味での目標の設定に 努力というか、かなり苦慮している所もあります。実は平成16年度の目標設定が初めて やったものですので、その成果というか結果も踏まえて、平成17年度の目標設定はより 数も増やし、内容的にもその成果とか結果を踏まえたものとしていま現実にやっている ところです。  そういう医療的な問題というよりは、あくまでもこの制度的な目標設定ということで、 例えば、これでこういうところの失業状態が防げましたという個別のものというよりは、 マスとしての目標というイメージの目標です。 ○中島委員 制度全体の見直しをしていただけるということ、ただ、日にちが限られて いるので、どこまでその制度全体の本格的な見直しができるのかは、これからいろいろ お話をしていく中で決まってくるのでしょうからなかなかわかりませんが、この見直し を再開するにあたって、是非確認をさせていただきたいと思うのは、この研究会の「議 論の整理」の中にも書いてあって、先ほどのご説明にもあった5頁の論点1の所です。 要するにそぎ落とすと、結局これは失業保険なわけですよね。失業保険というのは保険 ですから、不慮の事故で職を失ってしまった、そういう人たち。事故で職を失ってしま った人たちを、お互いに支え合おうということでできている制度なわけです。こんなこ とは言うまでもないですが、是非この原点の保険制度という観点で、その根本的な見直 しをしていただきたいということです。つまり、失業中の生活の安定はもちろん、もう 1つ、前回の平成14年度の見直しのときに議論になりましたが、失業者の早期再就職を 促進するということで、例えば給付額を引き下げたり、みんなで相談していろいろなこ とをやりました。これもひとえにこの目的の2つを達成するためです。かと言って、限 度がありますから給付をどんどん削るというわけにもいかないと思います。ということ で、原点は、事故で職を失った人を支える制度というベースにあるということです。  外国との比較の中でも、国がその助成をしているとか、事業主しか保険料を出してい ないアメリカの例とか、いろいろな例があると思いますが、よく、その失業という中身 を確認をして。これはセーフティネットで、どんな時代になっても職を失う人はいるわ けです。その理由はいろいろあって、私個人的には政府の失政、景気対策が十分でない とか、金融政策を間違えたことのあおりで失業する方もいるでしょうから、それなりの 国の助成金の必要性はあると思っています。これはいろいろなお考えがあると思います が、いずれにせよ、事故で、周りの理由で職を失ってしまった人を支えるということに 絞って、その制度の見直しを是非やっていただきたいと思います。 ○諏訪部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。  今日は久方ぶりに雇用保険部会を開いて、いま我々の前にどのような課題があるのか ということについて、皆様に共通の認識を持っていただき、そして皆様のほうから、今 後どのような方向に向けて議論を進めていくべきかということに関するご意見を、事務 局のほうにお出しいただいたわけです。今後は今日出たような意見も踏まえて、個別の 論点ごとに議論を進めていくことになるわけですが、次回は、雇用保険の適用や給付に 関する財政運営の在り方についてご議論をいただきたいと考えております。日程につい ては事務局で調整の上、各委員に連絡をお願いします。  ほかに特にありませんか。ないようでしたら以上をもって第23回の雇用保険部会は終 了とさせていただきます。本日の署名委員は、雇用主代表は輪島委員、労働者代表は三 木委員にお願いしたいと思います。お忙しい中ご参集いただき大変ありがとうございま した。今後ともよろしくお願いいたします。  照会先   厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係   TEL 03(5253)1111(内線5763)