資料2


古橋委員提出資料



医師の需給に関する検討会
座長 矢崎 義雄 様
平成18年3月27日
医師の需給に関する検討会
委員 古橋 美智子
(日本看護協会 副会長)

「医師の需給問題」に対する意見

 国民の健康は、医師をはじめとする医療提供者の連携と協働に基づく不断の努力によって守られていると言っても過言ではありません。しかし、診療科・地域における医師の不足、女性医師の就労継続の困難さ、プロフェッショナル・フリーダムによる開業の増加等、国民に安心・安全な医療を提供する上で大いに懸念される事態が生じています。このような医師の需給を取り巻く諸問題に対し、医療界全体で真摯に対応していくために、以下の事項を早急に進める必要があると考えます。

1. 医師確保総合対策の具体化に向けて、医師に集中し過ぎている業務をチームで担う観点から方策を講じること

 ○ 平成17年8月の「医師確保総合対策」では、診療科偏在への対応として、夜間小児救急電話相談、麻酔科医の業務の効率化、産科医と助産師の役割分担・連携等が、診療科と地域に共通する対応として、医師の業務の効率化、在宅・終末期医療における看護師の役割の明確化が明記されています。その具体化に向けて、医師に集中し過ぎている業務をチームで担う観点から、以下のような保健師・助産師・看護師の機能の充実について検討する必要があります。
例)
  小児科医不足への対応として、小児をはじめとした救急医療におけるトリアージ機能の発揮
麻酔科医不足への対応として、麻酔管理を担う看護師の活用
産科医不足への対応として、安全なお産のための開業助産師の活用や、バースセンターや院内助産等助産師が自立して助産ケアを行う体制及びオープンシステム等の整備
緊急時の対応ができる医療施設において、助産師が医師との役割分担・連携のもと、妊産褥婦やその家族の意向を尊重しつつ、妊娠から分娩、産後の母子に対して正常・以上の判断およびケア提供を自立して行う方法・体制を指す。
へき地における医師不足への対応として、住民の健康に携わる看護者の活用
「在宅がん末期患者の疼痛緩和のための麻薬製剤の与薬」や「終末期患者の死亡に際しての適切な対応」について、「新たな看護のあり方に関する検討会」報告書の内容の明確化を踏まえ、在宅医療の推進策としてのがん看護疼痛管理、在宅ターミナルを担う看護師の活用
「新たな看護のあり方に関する検討会」報告書(平成15年3月)では、看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進において、(1)在宅がん末期患者の適切な疼痛緩和ケアの推進、(2)在宅医療を推進するためのその他の関連諸制度の見直し、を提言した。特に(2)においては、(1)在宅で死を迎える患者への対応、(2)必要な医療機器・衛生材料の供給体制の確保、(3)在宅における注射の取扱い、が含まれる。

2. 医師の業務の効率化に向けて、医療提供者の役割のあり方を具体的に議論する検討会を厚生労働省に設けること

 ○ 医師の需給問題を速やかに改善するためには、医師でなくとも担える役割・機能の見直し及び業務の効率化を図り、医師に集中し過ぎている業務を、看護者を含む医療提供者が担う方策を検討することが必要です。しかし、厚生労働省においては、医療提供者の役割および役割分担のあり方について十分な議論が進められていません。医療制度改革の一翼を担う医療費適正化への効果も視野に入れ、検討の機会を設けることが必要です。
以上

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