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第17回内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
議事録


厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室




第17回内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会 議事次第

日時:平成17年3月22日(火) 13:00〜15:48
場所:中央合同庁舎5号館7階 厚生労働省専用第15会議室
議題:
1.開会
2.前回議事録の確認
3.中間報告書追補その2(案)について
3−1.1はじめに、2概要
3−2.3重点課題の検討成果と今後の取組
(1)試験スキーム
(2)採取・分析法
(3)低用量問題
(4)暴露疫学等調査
(4−1)生体暴露量等
(4−2)疫学研究
(5)リスクコミュニケーション
3−3.4まとめ及び行動計画、別冊
4.その他
5.閉会

出席委員〕
伊東座長
青山委員 井口委員 井上委員 岩本委員 押尾委員 菅野委員 紫芝委員
鈴木(勝)委員 鈴木(継)委員 高杉委員 津金委員 中澤委員 西原委員 藤原委員
眞柄委員 松尾委員 安田委員 和田委員

招聘者〕
内山 充先生 牧野 恒久先生

事務局〕
黒川官房審議官、成田化学物質安全対策室長、他

オブザーバー〕
経済産業省、環境省



○事務局
 それでは定刻を多少過ぎましたので、ただいまから第17回内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会を始めさせていただきます。
 まずは、事務局より事務的なご連絡等をさせていただきます。
 まず、本日欠席の御連絡をいただいている委員でございますけれども、阿部委員、酒井委員、武谷委員の3名の先生が御欠席ということでご連絡をいただいております。そのほか、2名ほど遅れておられる先生もおいでになるようでございます。
 前回と同様に作業班班長の内山先生、牧野先生にもご出席をお願いしているところでございます。
 それでは、開会に当たりまして、医薬担当審議官の黒川からごあいさつを申し上げます。

○医薬担当審議官
 官房審議官の黒川でございます。
 先生方におかれましては、日ごろより化学物質の安全対策に格別のご高配を賜りまして、誠にありがとうございます。
 また、本日は年度末のお忙しい中、お集まりいただきまして重ねて感謝申し上げます。 ご案内のとおり、前回12月1日でございますけれども、検討会では試験スキーム、採取・分析法、低用量問題、暴露疫学問題などについて各作業班から検討結果をご報告いただいたところでございます。
 本日は、それらの検討成果と今後の行動計画をご検討いただき、本検討会の中間報告書追補その2として取りまとめいただくことになっております。
 私ども厚生労働省といたしましては、取りまとめいただいたご報告書に沿って国民の健康的な生活を確保するための施策に着実につなげていきたいと考えておりますので、先生方には引き続きお力添えのほど、よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○事務局
 続きまして、配布資料の確認と本日の予定につきまして説明をさせていただきます。
 まず、資料の確認でございます。「第17回内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会配布資料」をごらんください。
 資料につきましては、各委員並びに関係の先生方には事前に郵送させていただいておりますが、一部改訂がございましたので、それらには資料には番号の最後に改1と付けております。
 では、配布資料を読み上げますので、ご確認をいただければと思います。
 資料1−1改1「配布資料」。
 資料1−2改1「議事次第」。
 資料1−3「委員等名簿」。
 資料1−4「座席表」。
 以上、一つづりになっております。
 資料2「第16回内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会議事録(案)」。
 資料3−1改1「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書追補その2(案)」でございます。
 これは、つづりが2つになっております。
 資料3−2改1「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書追補その2別冊(案)」でございます。
 参考資料といたしまして「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書追補」がございます。
 配布資料中、*の一つ付いているものについては、委員及び招聘者限りとなっておりまして、傍聴者の方々にはお配りをしておりません。
 配布資料にございます「国際化学物質安全計画 内分泌かく乱化学物質の科学的現状に関する全地球規模での評価(厚生労働省:日本語訳)」。
 こちらにつきましては、前回12月1日の検討会で表紙のみをご紹介させていただいたものでございますが、その後、製本されましたので、先生方には12月6日付でお送り申し上げたところでございます。また、並行いたしまして関係省庁、都道府県などにお送りしておりまして、また図書館への納本もしております。本日は、先生方の机には配っておりませんが、傍聴者の方々には、この青い冊子になりますが、一部ずつお配りをしております。まだ、多少余部がございますので、引き続き一般の方々のご希望に沿って配布をしたいと考えております。
 資料は以上でございます。不備がございましたら、お知らせをいただければと思います。
 よろしければ、本日の予定についてご説明をさせていただきたいと思います。
 それでは、資料1−2改1「第17回内分泌かく乱化学物質の健康影響評価に関する検討会議事次第」をごらんください。
 本日は、この後、議題2といたしまして「前回議事録の確認」をさせていただきます。
 次に議題3「中間報告書追補その2(案)について」といたしまして、中間報告書追補その2(案)についてご検討いただき、お取りまとめをいただきたいと思います。
 なお、資料が大部にわたっておりますので、議題3−1から議題3−3の3つのセッションに分けまして、それぞれについて進めさせていただきたいと考えております。
 そして最後、議題4「その他」となっております。
 では、引き続きまして、前回議事録の確認をさせていただきたいと思います。資料2をごらんください。
 前回第16回検討会の議事録(案)は、速記録を基に作成し、事前の委員の先生方には内容の確認をいただいております。特段の問題がなければ、この内容で確定の上、公開の手続に入らせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
 それでは、前回議事録につきましては、この内容で確定をさせていただきます。なお、確定したものにつきまして、厚生労働省ホームページ掲載など、正式な公開の手続に入らせていただきたいと思います。
 それでは、座長の伊東先生、よろしくお願いいたします。

○伊東座長
 それでは、議事に従いまして審議に入りたいと思います。よろしく御協力のほどお願い申し上げます。

○事務局
 それでは、議題3に移りたいと思います。
 資料3−1改1「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書追補その2(案)」、これは2分冊になってございます。それから、資料3−2改1「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書追補その2別冊(案)」をごらんいただければと思います。
 まず、これらの資料について、これまでの改訂の経緯をご説明させていただきます。前回、12月1日の検討会の後、数名の委員の先生方からご意見をいただきましたので、各作業班の先生方と事務局で修正等の作業を行いました。
 本年1月19日でございますが、リスクコミュニケーション作業班の班会議が開催されました。そこで、後ほど出てまいりますリスクコミュニケーションの部分を含めまして、全体を通してのご議論をいただくとともに、別冊の方に出てまいりますけれども、内分泌かく乱化学物質ホームページにつきましても、ご議論をいただきました。そこでのご議論の結果を踏まえまして、加筆修正をいたしましたものを2月16日に各委員、作業班班長の先生方にお送りさせていただきまして、2月28日までにコメントのお願いしたところでございます。
 これについても数名の先生方からコメントをいただきましたので、これを各作業班の先生方と相談をいたしまして、修正を加えましたものが本日の資料となっております。
 それでは、資料の順番に沿ってご説明をさせていただきたいと思います。
 資料3−1改1、6ページからごらんください。まず、「はじめに」から14ページの「行動計画」までを一まとめとして、ご説明をさせていただきます。
 まず6ページ「1はじめに」でございます。
 こちらにつきましては、当検討会の当初から今回が3度目になるまとめが行われておりますが、これまでの経緯をまとめるとともに、今回の追補その2についての位置づけを説明したものでございます。
 本書につきましては、平成13年12月に中間報告書追補が公表されて以降、主として調査研究を中心に進められた取組から明らかになった重点課題についての検討成果を取りまとめるとともに、中間報告書追補において提示された行動計画につきまして、これまでの取組の成果を踏まえて、更新・見直しをしたものでございます。
 まとめにつきましては、中間報告書が平成10年11月にまとめられておりますが、人の健康を確保するために必要な課題につきまして、データが不十分なために必要な調査研究の実施が期待されている課題、先端的な科学研究の推進によって解決が期待される課題に大別して、問題解決のための当面の取組方針が取りまとめられたところでございます。
 これにつきましては、概要を付録に添付してございます。
 その次に平成13年12月に中間報告書追補その2がまとめられましたが、これは中間報告書が公表されて以降、明らかになった7つの重点課題、逆U字効果の解明(低用量問題)、HTPS(超高速自動分析装置)を用いた対象物質の選定、哺乳動物を用いたスクリーニング試験法の検討、内分泌かく乱作用の同定、確認のための詳細試験方法、試料の採取・分析方法の確立、暴露・疫学情報等の収集及び解析、リスクコミュニケーションの充実について、以下の5つの作業班で行われた成果を取りまとめるとともに、行動計画が提示されたものです。
 5つの作業班につきましては「(1)試験スキーム」「(2)採取・分析法」「(3)低用量問題」「(4)暴露疫学等調査」「(5)リスクコミュニケーション」ということで、取りまとめが行われました。
 また、今回の追補その2につきましては、第14回、第15回検討会におきまして、追補の行動計画に基づきまして、主として厚生労働科学研究費補助金により行われた研究の成果について報告されたことを受けまして、第15回検討会において、中間報告書取りまとめ時と同様に5つの作業班を設置いたしまして、この追補以降明らかになった知見を取りまとめるとともに、今後さらに調査研究を進めるべき具体的課題を明らかにしたものでございます。
 また、本書を取りまとめるに当たりましては、リスクコミュニケーションの観点からなるべく理解をしやすいものとなるような工夫をいたしてございます。
 7ページには、検討会の委員の先生、それから取りまとめに当たってご協力をいただきました先生方を掲載させていただいております。
 8ページには「検討経過」といたしまして、追補以降の検討会の日程の記載をしてございます。
 9ページからが「概要」でございます。こちらにつきましては少し詳し目の説明とさせていただきます。
 内分泌かく乱化学物質とは、内分泌系の機能に変化を与える外因性化学物質のうち生体に障害や有害な影響を起こすものを指すが、現時点では、合成ホルモン剤の薬理効果のような例を除けば、ヒトに対して内分泌かく乱作用が確認された事例はございません。この点につきましては、平成13年度の時点と大きく変わっておりません。
 今回は、追補において提示された行動計画について、これまでの取組の成果と今後さらに進めるべき具体的課題の概要をまとめまして、それがこの概要となっております。
 5つの作業班について、それぞれこれまでの取組の成果、今後の取組についてまとめていただいたものについて、以降、順次ご説明をさせていただきます。
 まず「(1)試験スキーム」でございます。
 1)としまして、内分泌かく乱化学物質の試験スキームでございますが、こちら「数万種」となっておりますが、訂正をお願いしたいと思います。「数十万種」としていただければと思います。
 この数十万種の化学物質の中から、ホルモン活性のあるものをスクリーニングし、次に行うべき確定試験に資するための優先順位付けを行うためのスクリーニング試験、確定試験を詳細試験と言っておりますが、この2段階より成っております。
 スクリーニング試験系については、in silico スクリーニング(電算機内予測)、細胞系、無細胞系を用いたin vitroスクリーニング試験、卵巣摘出動物又は幼若動物、あるいは去勢動物等を用いたin vivo 試験系によるホルモン様作用の観測から構成されております。
 これらのスクリーニング試験系によって、ホルモン様作用を有することが生物学的に説明可能な物質の順位付けが実施できます。
 また、こういった順位付けに暴露量等の知見も加味した上で、順位付けに従って詳細試験を実施し、ヒトに対して内分泌かく乱作用を有するかどうかを予測する。
 詳細試験としては、生体の成長過程や生体反応を包括的に検討する実験を開発・実施するということになっております。
 「今後の取組」ですが、試験系を構成する各試験についてガイドライン及び評価基準を整備する。
 精度及び網羅性の高いスクリーニング手法の開発を行うことによって、順位付け、リスト化を継続かつ高度化する。
 そのためのスクリーニング試験に関しては、対象となる受容体についてエストロゲン受容体に加え、アンドロゲン受容体、甲状腺受容体等を加え、強化スキームを検討する。
 また、マイクロアレイ技術を用いたパスウェー・スクリーニングを第4の項目として追加することを検討する。
 詳細試験に関しては、神経・内分泌・免疫ネットワークの発生・発達・成熟・老化を考慮した「げっ歯類一生涯試験法」を開発検討する。
 このような試験結果について、リスク評価を行い、ヒトに対する内分泌かく乱作用の可能性があると判断された物質については、暴露の実態も踏まえた上で、必要な法的措置又は行政的措置を講ずる、とされております。
 続きまして、10ページをごらんください。
 「(2)採取・分析法」についてです。
 まず、中間報告書追補の段階で暫定的に取りまとめられた食品中の内分泌かく乱化学物質分析ガイドラインにつきましては、その後、必要な情報収集をし、再検討した結果、特にこのガイドラインを改訂すべき根拠となる新たな知見は得られませんでした。
 また、今回は、生体試料中の低濃度の化学物質を分析するための一般試験法、生体試料中の3種類の化学物質(ビスフェノールA、フタル酸エステル類、ノニルフェノール)の分析ガイドラインを取りまとめました。
 また、実験動物の飼育飼料中に存在する化学物質を分析するための一般試験法、それから飼料に混入する可能性のある3種の化学物質、先ほどと同じでございますが、この分析法についてガイドラインを取りまとめました。
 また、実験動物について、飼育環境、実験環境からの暴露の状況を調べるために、飼料、床敷などの化学物質、先ほどの3種類と、植物エストロゲン、エストラジオールの含量を測定いたしました。
 この結果、これら化学物質が検出されたサンプルもあったことから、実験動物の実施に際しては、用いる飼料、床敷等のロット番号、入手可能な当該化学物質の分析データを明示するとともに、必要に応じて基礎暴露量を正確に把握するために、飼料等の化学物質濃度を測定して、記載するなどの配慮が必要とされております。
 「今後の取組」といたしましては、効率のよい分析法やより精度、感度に優れた分析法の構築に関して情報収集を行い、分析ガイドラインの充実を図っていくことが挙げられております。
 続きまして「(3)低用量問題」でございます。
 これまでの成果につきましては、1)内分泌かく乱作用については、成体については、これまでの研究成果から差し当たり障害性の焦点にはならないものと判断されました。
 2)一方で、胚細胞期・胎生期・新生児期・思春期といった形態形成期、機能が安定する前の時点における影響を糸口とした作用機構の解明が研究の焦点をなりつつあります。
 3)低用量問題については、同時に取り上げられた閾値問題、相乗・相加性、用量相関問題などを構成要素とし、相互に密接な関連を持っています。
 4)内分泌様活性を持つ化学物質の作用機構の解明、アリールカーボン受容体とエストロゲン受容体シグナルの相互作用関係の認識などから、作用機構が多様であることが判明しつつあり、この点が低用量問題や複合効果の解明にも影響を持つと考えられています。
 5)内分泌かく乱作用としては、生殖系、免疫系、神経系など、いわゆる高次生命系の影響が焦点となっておりまして、種々の試験結果が明らかになりつつあるが、いまだ未解明な点が多く、さらに作用機構を解明するための取組が求められる。
 また6)問題の解明の中で新たに膜受容体の発見などがありまして、新たな理解が進むとともに、現状ではまだ未知の要因が介在していることも念頭に置いて研究を進めることの意義も喚起されたところでございます。
 「今後の取組」として、1)低用量問題を解明していくために、調査研究を進める事項として、以下の点が挙げられております。
 まず、実験の再現性に関する問題を克服するための調査研究。
 高感受性期の暴露による作用につきまして、作用機構の解明や評価基準決定のための調査研究。
 高感受性期において低用量で作用が発現したとの試験結果に関して、情報収集を継続、系統的に行うこと。それから、先ほどもあった閾値問題、非線形の用量相関、相加反応などの問題を踏まえた試験結果の解釈のための調査研究。
 免疫系、甲状腺−中枢神経系・行動などの高次生命系に与える影響を検討するための調査研究。
 ゲノミクス手法を利用した知見の調査研究。
 2)といたしまして、試験の評価に関する包括的なガイドラインの策定が挙げられております。
 「(4)暴露疫学等調査」。
 まず、「(4−1)生体暴露量等」でございます。
 1)生体試料(血液、尿、毛髪等)中、ビスフェノールA、クロロベンゼン類等、ここに挙げております化学物質の測定を実施したところでございます。
 なお、それぞれご研究をいただいた先生方が異なっておりますし、測定に用いた生体試料等も異なっております。
 クロルデン以外は、いずれの生体試料中にも含まれており、環境中暴露の点から問題となり得るということです。
 また、2)生体暴露量を検討していく過程で、ビスフェノールAは代謝されて血中から速やかに消失すること。フタル酸エステル類は、体内でモノエステルまたはジエステル型に代謝することも明らかになりました。
 「今後の取組」といたしまして、1)引き続き、環境汚染化学物質に関する同一母体の複数部位からの生体試料を採取し、濃度分析のデータの蓄積を行うことによって、母体からの暴露の実態を解明すること。
 2)これらの物質が生体内に存在する量の範囲で、どのような作用が起こるのかあるいは起こらないのかといった点、代謝・解毒の全容も含めて明らかにすること。
 3)今後、生体試料中の分析を進めると同時に環境中の値、バックグラウンド値を経時的に計測することによって、生体暴露の影響を評価することが必要とされております。
 (4−2)といたしまして「疫学研究」でございます。
 まず、1)有機塩素系化合物などの化学物質と乳がん、子宮体がん、卵巣がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がんについての疫学研究からの報告が複数ありましたが、関連があることを支持するには依然として知見は不十分でした。
 2)甲状腺機能との関連についての信頼性の高い報告はなく、一般環境レベルでのPCB暴露による乳児の甲状腺機能低下については、依然として知見は不十分。
 3)器官形成に関わる問題のうち、尿道下裂については、コホート研究でDESによる有意なリスクの上昇が示されていました。また、停留精巣につきましては、介入研究が1件ございまして、DESによる有意なリスクの上昇が示されておりました。こういった形での限定的な知見はございますが、そのほかの化学物質につきましては、疫学研究がほとんど存在せず、関連があることを支持するには依然として知見が不十分でした。
 4)有機塩素系化合物による小児神経系発達への影響については、複数の地域でのコホート研究がございますが、ほかの要因による影響、暴露・神経発達双方の評価指標や評価時期などが多様で、関連があることを支持するには、依然として知見は不十分でした。
 5)精子数低下については、化学物質の高濃度暴露群での質の低下について報告がありますが、これは精巣毒性による影響である可能性があるということで、知見が不十分ということです。
 6)免疫機能については、成人期の暴露と胎児期乳幼児期での暴露で影響の違いが報告されていますが、結果が一致せず、これも知見が不十分。
 また、7)日本人を対象とした疫学研究の報告はほとんどないことが判明しました。
 「今後の取組」といたしましては、1)日本国民の代表となり得る対象者を設定し、いわゆる内分泌かく乱化学物質の暴露、疾病について、現状把握と継続的な監視を行うこと。
 2)主として、日本人を対象とした疫学の方法論に基づく相当規模の研究を進め、併せて生体試料の保存を継続的に行う。
 また、3)いわゆる内分泌かく乱化学物質のヒト健康影響に関する研究について、この文献のレビュー及び更新をして、成果を継続して周知することが必要とされております。
 「(5)リスクコミュニケーション」につきましては、1)として内分泌かく乱物質問題の特徴の整理をしております。これは、前回と同様にまとめております。
 提出された仮説が従来の化学物質の有害性発現の概念を超えるものであったこと。
 また、その検証が容易ではないこと。
 実際に仮説検証作業が始まってからも、研究者の間で意見が分かれるほど相反する結果が報告されていること。
 従来の科学的手法では予測できない結果、逆U字現象などが報告されていること。
 現在までに、合成ホルモン剤の薬理効果のような例を除けば、ヒトに対して影響が確認された事例は認められておらず、従来の化学物質による有害性の内容であるとか、対象化学物質が明らかになっている状況とは大きく異なること。
 2)こういったことを踏まえた上で、特に行政が国民に情報等を発信する際の方法や留意点をまとめたリスクコミュニケーションガイドラインの作成をしております。
 また、本書の概要の解説も後ほどご説明させていただきますが、そういったものをまとめております。
 「今後の取組」としましては、リスクコミュニケーションを継続的に実施し、その結果を改善に生かすこととされております。
 14ページをごらんください。
 「行動計画」でございます。これは、前回、ごらんいただいたものから多少、年度などについて調整をさせていただきましたので、全体をご説明させていただきます。
 まず、スクリーニング試験に関しましては、エストロゲン受容体に加えてアンドロゲン受容体、甲状腺受容体等を対象とし、またマイクロアレイ技術を用いたパスウェー・スクリーニングを加えた強化スキームを検討し、精度及び網羅性の高いスクリーニング手法を開発する。これを2007年度までとしております。
 また、各試験についてのガイドライン、評価基準の整備も2007年度までとしております。
 スクリーニング試験を実施し、ホルモン様作用を有することが生物学的に説明可能な物質を順位付けし、リスト化を継続かつ高度化する。これは2002年度から継続的にしております。
 また、低用量問題を解明するために以下の研究を進めるといたしまして、先ほど申し上げた再現性の問題、高感受性期における暴露による作用として、作用機構の解明や評価基準決定のための調査研究。
 低用量で作用が発現したとの結果について、情報収集、それから閾値問題や非線形の用量相関、相加反応などの問題を踏まえた試験結果の解釈のための調査研究。
 免疫系、甲状腺−中枢神経系・行動などの高次生命系に与える影響を検討するための調査研究。
 ゲノミクス手法を利用した知見の調査研究を2007年度までとしております。
 確定試験、詳細試験に関しましては、「げっ歯類一生涯試験法」の開発するということで、2003年度から開始されております。これを継続的に続けるということです。
 また、内分泌かく乱性の試験評価に関する包括的ガイドラインを策定する。これは2005年度から開始することとしております。
 また、先ほどのスクリーニングでリスト化された物質の詳細試験を行い、内分泌かく乱作用があるかどうかを予測するというのを2005年度から開始をする。
 また、詳細試験の結果及び暴露の実態を踏まえ、リスク評価を行い、監視の対象とする等の措置を講じるということも並行して2005年度からとなっております。
 また、効率のよい分析法やより精度、感度に優れた分析法の構築に関して、情報収集を行い、ガイドラインの充実を図ること。これも2005年度からとされております。
 いわゆる内分泌かく乱化学物質の暴露と疾病についての現状把握と継続的な監視については、2002年度から継続して実施をすることとしております。
 主として、日本人を対象とした疫学の方法論に基づく相当規模の研究を進め、併せて生体試料の保存を継続的に行う。これも2002年度から継続的に行うとされています。
 疫学調査を継続的に総括し、その成果を広く国民に周知する。これも実施をしておりますが、継続的に行うというものです。
 同一母体の複数部位からの生体試料について、いわゆる内分泌かく乱化学物質の濃度分析データを蓄積する。これも2002年度から継続的に行うこととしております。
 いわゆる内分泌かく乱化学物質が生体内に実際に存在する暴露量の範囲で、どのような作用が発現するかを解明するための研究を進める。2007年度までに実施するとしております。
 リスクコミュニケーションを継続的に実施し、その結果を改善に生かす。これは2002年度から継続的に実施することとしております。
 最初の一まとめについては、ここまでとしたいと思います。

○伊東座長
 ありがとうございました。膨大なデータを要領よくまとめていただきましたが、ただいまのご説明までのところでご意見ございましたらどうぞ。よろしいですか。
 紫芝委員、どうぞ。

○紫芝委員
 今お話しを伺っていて分かったことで、この前、読まさせていただいたときにはこれでいいんだというふうに思っておりましたけれども、11ページの一番終わりのところから12ページの頭までのところで、依然として知見は不十分であるという言葉がずっと出てまいります。その前に関連があることを支持するにはとか、内分泌かく乱物質の影響であることを支持するにはという文言が付いているところと付いていないところとあるわけです。
 そうしますと、そういう文言が付いているところは、内分泌かく乱物質の影響を支持するにはという前置きが付いているところは、何となく内分泌かく乱物質の影響をポジティブに確認するには不十分だけれども、これを否定するには十分なのかというようなニュアンスが入ってきてしまうのではないかということが心配なんです。
 本当のところは、影響があることを支持するにも影響があることを否定するにも、知見としては不十分なんだというニュートラルな状態ではないかと私は思うんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。

○津金委員
 書き方が非常に難しいので、いろいろ悩んではいたんですけれども、否定する、要するに関連がないということを言い切るというのは、逆にそっちの方が非常に大変なんです。やはり相当数、要するに関連の強さが小さい影響を検出するためには、本当にたくさんの研究とか大規模な研究がなければ否定まではなかなかいかなくて、逆にある程度関連があるということを言う方が、そういう研究は比較的出やすいというところがあります。やはり関連があるということを支持するというような知見は十分ではないということの方が書きやすいんです。

○紫芝委員
 分かりました。その辺を何か工夫していただけるとありがたいです。

○津金委員
 文章をちょっと統一しないといけないと思います。

○紫芝委員
 非常に津金先生がご苦労だろと思うんですけれども、もちろんこれは否定するにも不十分なわけですね。先生が最初おっしゃったように、ないというのはもっと大変なんですね。

○津金委員
 もっと大変なことです。

○紫芝委員
 だから、そこのところが分かるような言葉というのは、非常に難しいとは思うんですけれども、考えていただけると大変ありがたいと思います。
 今のそのままだと肯定するのは不十分なんだけれども、否定するにはどうなのかというところが津金先生がおっしゃるように、否定するのはすごく大変なんだというニュアンスが、ここには余り読み取れないように思いますので、それを何か上手に入れていただけるとみんな安心なんだと思うんです。
 ありがとうございました。

○伊東座長
 今のご説明でございますが、ポジティブのデータを出すというのは、イージーなんですが、ネガティブだということを言うためには、それに倍するどころではなくて、何十倍、何百倍の苦労が要るということなんです。だから、それいけどんどんのときは非常にいいんですけれども、それはそういうことが言えないということを言うためには、もう大変な努力が要ると。
 また、今世紀かかっても出ないかも分からないぐらいのことなのではないかなと思うんですが、津金先生、何かいい言葉があれば、是非そこのところは発言していただいて、事務局を助けていただきたいというふうに思います。

○津金委員
 検討します。

○伊東座長
 松尾委員、どうぞ。

○松尾委員
 一つばかり教えていただきたいと思うんですけれども、スキームとリスクコミュニケーション、両者のドッキングに関わる部分をどういうふうにお考えかというのをちょっと教えていただきいということです。
 まず化学物質の優先リストというのは公表されるんだと思うんですけれども、そうするとこういう事態が起こると思うんです。in silico でポジティブになりました。in vitroでポジティブになりました。その辺は、最近余り関心がないといいますか、余り一般の人は気にしないんですけれども、次にウテロトロフィックとかハーシュバーガー、この辺でポジティブになったものは、化学物質優先リストの上位にくると思うんです。
 これは、まさに次の確定試験、ディフィニティブにいく直前でありまして、これをリスクが高いというのか、危ないというのか、もうやめなさいというのか、予防原則でもうこれはだめですというのか、その辺をどういうふうにコミュニケーションをとるのか、その辺を教えていただきたいと。非常に中途半端な部分です。確たる証拠がなくて、しかし in vitroin vivo のいわゆるスクリーニングで真っ黒けであると。こういう物質をいかに説明するか、いかにコミュニケーションを取るか、その辺のお考えをちょっと教えていただきたいと、こういうことです。
 前々回ぐらいにちょっと質問したんですけれども、そのときはリスクコミュニケーション、これが余り取り上げられていなかったように思うんですけれども、今回はコミュニケーションが大きく取り上げられておりますので、その辺のドッキングをお伺いしたいと、こういうことでございます。

○伊東座長
 菅野先生、よろしくお願いします。

○菅野委員
 この検討会の報告書を作成する際の一番最初の版でも明記されていると思うのですが、今、差し当たってすぐに規制決定をしなければいけないような化学物質はないと。そこがスタートポイントであって、追補その2まで、変わっていない立場であります。ですから、スクリーニングの段階で、優先順位リストが出来た段階でも、確定試験で白黒つかないうちは、その範疇のまま、すなわちその段階では何とも言えないと。要するに、すぐに規制に回すような段階ではないという大前提のままであると解釈しております。
 ですから、当時も先生のおっしゃるような危惧はありまして、「たなざらし問題」という用語が使われたのですが、ホルモン活性のある化合物が候補として並んだときに、それが良いものか悪いものかどっちつかずのままになるのはよくないということがございました。それもあって、確定試験がきちんと行われるまでは、現段階ですぐに規制決定に回すようなものはないと明言した上で、スタートしているわけです。
 そこから先は確かにリスクコミュニケーションの問題でありまして、それはリスクコミュニケーションの方に書いてある内容のとおりだと思います。ここから先は内山先生の方にバトンタッチなのかもしれません。

○伊東座長
 内山先生、どうぞ。

○内山班長
 リスクコミュニケーションは研究成果の報告ではないから、この報告書からは外した方がいいというご意見が一度出たことがあるようなことを読んだことがありますが、私もそれは一理ではあるけれども、この中に入っているということに大いに意義があるとは考えております。
 今、いろいろお話しございましたけれども、まず基本的に先生方の研究報告というのはだれを対象に、だれに聞かせるためにやっているのかということは研究者を対象に。しかし、コミュニケーションというのは、学者に言うあるいは研究者に言うための内容ではないんです。それをどうもいまだに分かっていただいていないようで、実はリスクコミュニケーションの集まりのときに、リスクコミュニケーションの報告書の中に先ほど事務局が読み上げた概要を引用しようというふうなことになりまして、結局引用したのは、改1で少し良くはなってはいますが、今お話しになりました、要するに研究者が研究成果として研究者向けに報告する内容と全く同じであります。
 ですから、リスクコミュニケーションの担当者としては、これがリスクコミュニケーションとしてコミュニケーションを待っている人たちに言うべき概要かというと、それは全く違うんです。だから、そういった意味ではまだまだリスクコミュニケーションのできるコンテンツはでき上がっていないというふうに思われます。
 例えば、先ほどの疫学のお話しがいろいろ出ましたけれども、否定することもできないし肯定することもできないとおっしゃいますが、その話題が出てきた基というのは、やはりかなり古いものから、かなりしっかりした報告から、かなりいい加減な報告から、いろいろな事例の報告があるわけです。それを全部拾い上げないとやはり学者としては研究の報告を調べたということになりませんから、全部お拾いになるんでしょうけれども、それで一つひとつずっと拝見すると、ほとんど全部先ほどのお話しのように、もちろん肯定はできないけれども、否定もできない。否定はできないのは当たり前で、安全性をやっている人たちは全部それは知っています。
 したがって、否定はできないがということを言う場合には、それはポジティブになる可能性があるということが比較的はっきり分かっているものについてだけコミュニケーションとしてはするべきであって、全く分からないものについてコミュニケートすることはできません。例えば、いろいろな例がありますけれども、小児神経発達への影響とかあるいは有機リン化合物であるとか、そういうまさかこんなものがと思われるようなものが、ときどき出てくるんですが、それもやはりどこかにちらっと書いてあるからきっとお拾いになったんだと思いますけれども、それが表面に言葉として出て、否定するデータはないというのをどう考えますかというのを一般の方々に聞いてみますと、否定するデータはないということは、やはりもしかしたらあるかもしれないということを専門家が言っているということになるわけです。
 ですから、報告書は、特に一般の人たちに向けて書く報告書はそこら辺をよくお考えいただいて、書いていただきたいと。それは非常に難しいことは分かっておりますけれども、そこにはやはり責任を持ってご自分で判断したデータの評価、データの質の評価、これはまず第1段階です。古いデータの質の評価、それに基づいて取り上げる物質あるいは取り上げる課題の選択、全く同じように全部取り上げられると、これはもう取扱いに非常に困る。これだけのことが書いてあるけれども、この中でやはり日本人についてあるいは人間について、しっかりと疫学調査をしなければならないのはこれだというふうに言っていただきますとよろしいんですけれども、すべての研究でやはりプライオリティーの設定ということが大事です。
 分析も同じことです。分析対象も、これは先ほど数十万種と出ましたけれども、分析対象も暴露対象も数種類のものにだけにやられているんですが、これが問題だということが書いてあった上でやっていただけると、コミュニケーションが非常にやりやすいというか、正確なコミュニケーションができるのですが、これこれをやったということだけですと、なぜそれが行われたのかということに一般の人は疑問を持ちます。きっと悪いことをするんだろうというふうに思われます。したがって、報告書をお書きになるときには十分その辺をお気を付けいただきたいと思います。これはコミュニケーションをやっている人間からのお願いでございます。
 以上です。

○伊東座長
 松尾委員、どうぞ。

○松尾委員
 化学物質優先リストというのは、オープンになるわけですね。オープン・トゥー・ザ・パブリックですね。となると、皆さんその内容に関心を持つと思うんです。これは省内だけに限定されているんでしょうか。それともオープン・トゥー・ザ・パブリックと、そういう位置付けのものでしょうか。もし、そうだとすれば、お困りは厚労省だと思うんです。では、どう解釈したらいいのと。一体これは何なのと、こういう質問がどんどんくると思うんです。これは危ないと、リスクが高いと、こういうふうに思うんでしょうか。それとももう大丈夫なんでしょうか。今の菅野先生の発言だと、もう全然大丈夫ですと。真っ黒けでも、in vitroで黒くても、in vivo でも黒くても大丈夫ですと、こういうことを言うのか、その辺をお聞きしているわけです。

○事務局
 事務局の方からご説明をさせていただいてよろしいでしょうか。

○松尾委員
 どうぞ。よろしくお願いします。

○事務局
 今、公表の話しがございましたけれども、この優先リストというのは、あくまで事務局の方が作業上の現在の状態ということで手元に持っているものでございます。常にその時点のものということになっておりまして、後ほど詳しく説明が15ページ以降に出できておりますけれども、常に最新の情報を加えながら、化学物質の優先順位を見直していくというようなものでございまして、何らか確定的なリストみたいなものが確たるものができるという状況ではございません。詳細試験の検討を続けながら、こういったリストの成熟をさせていくというものでございますので、あくまでも内部の作業用というような位置付けになるものというふうに理解しております。

○松尾委員
 ありがとうございました。

○伊東座長
 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(継)委員
 別のテーマですけれども、いいですか。
 「行動計画」の下の方に、併せて生体試料の保存を継続的に行うという話がぴしゃっと出ております。これは、この前だったかその前だったか覚えていませんが、阿部委員と私と実は同じ意見を持っていて、集めればいいけれども、事前のインフォームドコンセントを一体どういう形で、どうとっておくんだと。それによっては、何のために集めたか、後になって分からなくなる。非常に難しい問題がここに入っているのではないかという議論をした覚えがあって、そこを考慮した上で、これを考えないといけないなと。これは別に厚労省だけに限った問題ではなくて、全学会が危惧しなければいけない話だとは思っているんです。

○化学物質安全対策室長
 どうもありがとうございました。
 疫学研究につきましては、疫学研究の指針というのを作らせていただきまして、それから今年4月から個人情報保護法が施行されるということもございまして、医学研究は除かれているんですけれども、疫学研究の倫理指針というのを改訂させていただいております。ということで、疫学研究の倫理指針にのっとりまして基本的にやっていただければ、昨年12月の終わりでございますけれども告示をさせていただいておりますので、新しいものにのっとっていただければ、個人情報保護法の観点からも大丈夫ではないかなと思っていますので、研究等に関しましては、ガイドラインにのっとっていただくということでお願いしたいと思っております。

○鈴木(継)委員
 疫学に限った話ではないということを十分注意しなければいけないと思うんです。

○化学物質安全対策室長
 疫学研究のほかに、臨床研究、ゲノム解析研究、遺伝子治療の4種類の倫理指針をつくっておりますけれども、それも改定をさせていただいておりますので、それに外れるものはないと思いますけれども、それに準拠した形でやっていただくということで、研究費用を使っていただくという場合にはそこを確認させていただくようにさせていただきたいと思っております。

○伊東座長
 内山先生は私の方を見ていろいろご発言になりましたけれども、私は内山先生のお考えに全く賛成でありまして、特に安心、安全ということが今、盛んにあちらこちらで言われております。ですけれども、安心ということはフィーリングの問題であって、安全というのはサンエンティフィックな問題である。ですから、サイエンティフィックな立場で、これは安心だということをやはりサイエンティストが言わない限り、一般の人は非常に困るのではないかなというふうに思いますので、そういう立場で内山先生ひとつよろしくご配慮のほどをお願い申し上げます。

○内山班長
 恐れ入ります。
 今の伊東座長のお話しで結構なんですけれども、根拠はやはり少なくとも学問的にきちっと妥当な、皆さんが納得するデータによって判断をする。判断をしてしまった後は、これは聞く人が知りたいことを知らせるということに徹するわけです。
 ここで研究報告というのは、人が知りたいことではなくて、やはり研究者がおやりになったことを報告するわけですから、おやりになったことをしっかりしたデータに基づいて報告されるという段階と、今度はコミュニケートというのは、聞く人が知りたいことをお話するということですから、だからそこには明らかにやはり差があります。したがって、すべてがコミュニケーションのためにということではもちろんありませんので、そこら辺をどうぞ誤解のないように。

○伊東座長
 それでは一応ディスカッションも出ましたので、次に入りたいと思います。

○事務局
 続きまして「3 重点課題の検討成果と今後の取組」につきまして、ご説明をさせていただきます。この部分は非常に大部にわたっておりまして、15ページから始まりまして268 ページまでということになっております。この内容のほとんどの部分につきましては、今年度の過去2回の検討会で各先生方にご発表をいただいた内容のものでございますので、事務局の説明は概要の部分ということでとどめさせていただきたいと思います。
 それでは、15ページからご説明をさせていただきます。
 「3 重点課題の検討成果と今後の取組」。
 「(1)試験スキーム」。
 「1.はじめに」。
 「試験スキーム」でございますけれども、図がございまして、試験スキーム(拡張版)、このスキームにのっとって試験スキームを構成するということになっております。2つの部分に大きく分かれておりまして、ホルモン活性に焦点を置いたスクリーニング。それから詳細試験ということで、確定試験の実施をするということになっております。
 先ほどもご質問ございましたが、優先リストについては新しい情報やスクリーニング試験結果によって、逐次ソーティングをすることによって内部構造の成熟をさせるということ。それから必要に応じて、スクリーニング試験結果以外の情報を加味することも考慮をするということになっております。
 また、確定試験、詳細試験を行いまして、有害性評価、暴露評価を経てリスク評価を行いまして、この後、要リスク管理、リスク管理は当面不要、といったふるい分けを実施することとしております。
 16ページをごらんください。「2.研究の進捗状況及び得られている成果」についてです。まず「スクリーニング試験」。
 「(1)In silico スクリーニング試験」でございますが、こちらは3次元構造活性相関手法について検討をされております。エストロゲン受容体αに関する自動ドッキングモデルを採用して、改良などの実施をしております。
 今までに20万化学物質リストの中から約2,000 物質がリストアップをされております。また、さらに計算手法を改良するとともに、17β−エストラジオールに対する相対結合能などを推定するなどの試みをしております。
 そのほかERβについての検討も実施をしております。
 その後に書いておりますのは、この評価手法の選択に関する背景でございます。特に、EPAなどで使っておりますリガンド構造解析・回帰モデルの手法を避けまして、受容体−リガンド相互作用を計算するDocking モデル法を採用したということで、その根拠について説明をしてございます。
 続きまして、17ページをごらんください。
 「(2)In vitroスクリーニング試験」につきましては「1)細胞系」「2)無細胞系」の2つの系で実施をしております。
 「哺乳動物由来培養細胞を用いたレポーター遺伝子試験」でございますけれども、これについてはHela細胞やCHO細胞等の哺乳動物由来培養細胞を用いたレポーター遺伝子試験法を検討するとともに、その結果として、ERα、ERβ、アンドロゲン受容体、甲状腺ホルモン受容体βの各受容体について、それぞれ500 、100 、50及び50のアッセイ結果を得ております。
 それ以外の試験としては、ヒト卵巣顆粒膜細胞KGN細胞を用いたアロマターゼ活性の検討を55種類の物質について実施をしております。また、この系をさらに感度、簡便性に優れる測定系を立ち上げまして、100 種類のスクリーニングの実施をしております。
 また、アンドロゲン受容体に対する検討も実施をいたしました。
 「2)無細胞系」としては、表面プラズモン共鳴による相互作用の検討の実施をしております。これについては、これらのスクリーニング試験の補強データと評価に活用するということになっております。
 ガイドライン及び評価基準の整備に関しては、既に何らかの内分泌学的生体影響が報告をされている化学物質を当面の陽性対象として、それらの影響の機序あるいは影響の強度が十分な精度で測定可能であることを評価基準として実施をしております。
 続きまして「(3)In vivo スクリーニング試験」ですけれども、こちらにつきましては、エストロゲン作用を発揮する化合物に対する試験系として子宮肥大試験、アンドロゲン様物質の試験系としてハーシュバーガー試験を検討しております。この結果、子宮肥大試験については27、ハーシュバーガー試験については5の物質について試験を実施いたしました。また、OECDテストガイドライン407 、これは28日間反復投与試験の改良版ですが、これについても甲状腺系などを考慮したスクリーニングとしての有用性の検討を行っております。
 ガイドライン、評価基準の整備については先ほどと同様でございます。こういった作業で優先リストの成熟化が進められているところでございます。
 続きまして「確定試験(詳細試験)」でございますけれども、具体的には一生涯、発生、発達、成熟、老化のすべてにおいて内分泌かく乱作用により懸念される毒性指標、神経・行動、免疫毒性等、高次生命系及びその成熟に対する障害に焦点を当てたげっ歯類一生涯試験の開発に向けた研究をしております。
 具体的に神経・行動、免疫系、内分泌系について、評価指標の検討が進められております。
 また、併せてこれを支援する基礎研究が実施をされているところでございます。
 また、このほかに化学物質のホルモン受容体の結合に関する受容体コンホメーション変化を感知・センシングする抗体を用いたホルモンの格受容体結合性及びホルモン活性の同時測定評価法などの検討も実施をされています。
 また、マイクロアレイ等技術の基盤的な導入もしておるところでございます。
 そして「3.今後の展望」でございますけれども、まず「スクリーニング試験」に関しては、今までのところエストロゲン受容体を優先して取扱いつつ、アンドロゲン受容体と甲状腺受容体にも検討を進めてきたところでございます。
 このほかにも体内には内分泌関連受容体が多数あることから、この点につきましては、20ページにございますけれども、複数の受容体系を取りこぼしなく包括するための強化スキームを検討することとしております。具体的には、複数の受容体シグナル系に対する影響、系統間のクロストークの問題をより効率的に検討をするということで、マイクロアレイ技術を用いたパスウェー・スクリーニングを第4の項目として追加することも検討をしております。
 また、スクリーニング段階での偽陽性、偽陰性の扱いについては、偽陽性を容認し、むしろ偽陰性の回避を念頭にスキームを検討しております。この点については、委員の方からもコメントがありまして、偽陽性につきましても活性が既知の物質のデータが新たに取得されるたびに、必要があれば判別基準を見直すことで、精度の向上を図るということでなるべく偽陰性を少なくする試みも取り入れられているところでございます。
 「確定試験」につきましては、先ほど申し上げた「げっ歯類一生涯試験法」の開発を推進することとしております。
 特に、神経障害性につきましては、当面、高次行動異常を焦点として検討を進めることとしております。
 また、免疫系については、化学物質による自己免疫及び獲得免疫機能の修飾を当面の対象として解析をする。
 また、内分泌系に関しては、成熟後の機能異常の発生を中心とした検討をするということでございます。
 また、これらの検討と並行して限られた時間と資金で実施可能な試験系に集約するための研究も実施をすることとしております。
 試験系については、以上でございます。
 22ページから「(2)採取・分析法」でございます。
 「1.はじめに」といたしまして、今回3物質につきまして、ガイドラインの設定をしていただいた経緯について説明がございます。
 樹脂原料等として用いられるビスフェノールA、可塑剤等として用いられるフタル酸エステル類、界面活性剤の原料等として用いられるアルキルフェノール類については、暴露量も多いことから、ヒト暴露量の評価が必要ということでございます。
 この目的のために、ヒト生体試料の信頼性の高い高感度測定法の構築やサンプリング・保存方法の基礎的研究が要求されております。しかしながら、こういった化学物質の分析を測定するに当たって、測定環境中における汚染(コンタミネーション)が懸念され、分析値に影響を及ぼすことが危惧されることから、生体試料を視野に入れた分析精度の高い測定法を構築し、ガイドラインの策定を行っていただきました。
 また、低用量域における生体影響を評価するための動物実験の信頼性の確保のために、飼育・実験環境における化学物質暴露の影響を明らかにする必要があることから、植物エストロゲン等について飼料等の測定法を構築し、実試料への応用も試みました。
 続きまして、23ページ「2.食品中の内分泌かく乱化学物質分析ガイドラインについて」でございます。
 こちらは、中間報告書追補作成時に暫定的に取りまとめられたガイドライン案につきまして、必要な情報を収集し、改訂の必要性について検討いたしましたが、特に改訂すべき根拠となる新たな知見は得られませんでした。
 24ページからをごらんください。
 「3.生体試料中の内分泌かく乱化学物質分析ガイドライン」でございます。ここからがガイドライン案となっておりまして、まず「第1部」として「一般試験法」でございます。
 特に生体試料中に存在する化学物質濃度が一般に低濃度であること。そういったことで現在の分析レベルで信頼性の高い数値を得るために、装置などの設備に加えて一定水準以上の技術が必要であるということで、一般的な留意点がまとめられております。
 なお、ここに示した以外の方法であっても、信頼性の確保が確認できる方法があれば、その方法を採用してもよいこととされております。
 「1.試料の採取、運搬及び保存」ということで、実際に注意すべき点が説明をされております。
 「2.器具・装置及び試薬類」ということで、まず「2−1器具・装置」ということで、それぞれの器具・装置の留意点について具体的な説明が記載されてございます。
 2−2として「試薬類」。
 「2−2−1標準品」。
 「2−2−2試薬」ということで、各具体的な試薬等についての留意点が記載をされております。
 「3.分析法」。
 「3−1試料調整法(クリーンアップ、濃縮)」に関する留意点が示されております。
 「3−2測定(分析装置の保守管理、校正、洗浄)」ということで、ここも実際に留意点が示されております。
 続きまして26ページをごらんいただきますと「検出下限値」がございます。
 こちらにつきましては「4−1装置の検出下限値」といたしまして、実際の分析学的な見地における検出限界値、実測定の検出限界値についての説明があります。
 「5.精度管理及び精度保証」について。概略は28ページに図がございます。
 ここでは作業をし、記録を取るということで、それぞれの記録であるとか作業の点について項目を立てて説明がございます。
 27ページをごらんいただきまして「6.その他」でございますが、そのほかの点につきましては、食品衛生法、食品衛生検査施設における検査等の業務管理要綱を参照することとされております。
 28ページは、先ほど申し上げました概要となっております。
 続きまして、29ページをごらんください。
 こちらから「第2部」ということで、先ほど挙げました3種類の化学物質に関する生体試料中の分析法が順次記載をされております。
 まず「生体試料中のビスフェノールAの分析法」ということで、概要がございます。今回2つの試験方法を提示してございまして、LC/MS 法、GC/MS 法の2種類をガイドラインとしてございます。
 その下には、用いる「試薬」の規定「器具」の取扱いの規定、30ページにまいりまして「装置及び測定条件」の規定がございます。
 また「検量線」の規定が中ほどから書いてございます。
 31ページございますけれども「試験溶液の調製」に関する規定。
 「検出下限・定量下限」に関する記載ございます。
 そして31ページの下に「注釈」がございまして、ビスフェノールAに関する説明がございます。
 また32ページをごらんいただきますと、この注釈の続きとしまして、体内動態の概要がございます。そのほとんどが24時間以内に尿中に排泄をされるということ。
 また、種差があるといったことが記載をされております。
 32ページの注の下でございますけれども「最近の動向」といたしまして、US EPAにおける毒性評価の現状について紹介がございます。
 また、ポリカーボネート食器等に含まれる試験につきましては、HPLC法が汎用をされてきたところでございますが、生体試料についての最近の分析に関する報告例について、これ以下に挙げております参考文献で検討がされていることについて紹介がございます。
 参考文献の後、34ページでございますが、ビスフェノールAの試料調整法に関するフローチャートがございます。
 続きまして、35ページ目からは「生体試料中のフタル酸エステル類の分析法」ということになっております。
 こちらにつきましては、アセトニトリルにより抽出したものについて、ガスクロマトグラフ/質量分析計で定性、定量分析を行うということで、分析の対象となるエステル類でございますが、ここにございます5種類のエステル類を対象としております。
 なお、本法は血清に適用できるということで、先ほどと同様「試薬」「装置」「試験溶液の調製」そして36ページをごらんいただきますと「試験操作」「検出下限・定量下限」というところについて説明がございます。
 37ページからは「注釈」ということになっております。
 特に「注1」ということで、実際に測定をする際に、操作ブランクの低減化に関する非常にいろいろな工夫が必要ということで、具体的にどういう工夫を実施すべきかということについて記載がございます。
 そのほかの注がずっと続いておりまして、38ページでございますが「参考文献」といたしまして、生体試料中のフタル酸エステル類の分析に関する最近の報告例が提示をされてございます。
 39ページにつきましては、フタル酸エステル類の分析フローシートが掲載されてございます。
 続きまして40ページ、こちらは「生体試料中の4−ノニルフェノールの分析法」でございます。
 「試験法の概要」といたしましては、直接カラムスイッチング−液体クロマトグラフ/質量分析計に注入をして、定性・定量を行うということで、血清試料に適用できる方法でございます。
 先ほど同様「試薬」「器具」「装置」に関する記載が40ページにございます。
 41ページからは「試験溶液の調製」「試験操作」に関する記載ございます。
 また、参考となる測定法が41ページの下から2法ほどございます。
 また42ページには「注解」ということで、具体的な注意事項が記載をされております。 43ページにつきましては、血清中ノニルフェノール分析法フローシートが掲載をされてございます。
 続きまして、44ページをごらんください。
 こちらからは「4.実験動物飼育飼料中の内分泌かく乱化学物質分析ガイドライン」ということでございます。
 まず「第1部」として「一般試験法」でございます。実験動物飼育飼料中等にいわゆる内分泌かく乱化学物質が存在する可能性があることから、こういったものについての測定法をまとめていただきました。特に濃度が一般的に低濃度であることから、信頼性の高い数値を得るための留意点というものをまとめていただいております。
 また、信頼性のおけるほかの方法が利用可能な点については、先ほどと同様でございます。
 こちらにつきましては「1.試料の採取、運搬及び保存」ということで、まず規定がございます。
 そして、先ほどと同様「2.器具・装置及び試薬類」に関する規定がございます。こちらも「2−1器具・装置」「2−2試薬類」となっております。
 そして、45ページ中ほどから「3.分析法」でございます。試料の調製法と実際の測定に関する部分が記載してございます。
 46ページ「4.検出下限値」に関する規定。
 「5.精度管理及び精度保証」でございます。この図1については、48ページに記載がございます。
 また、作業と記録の留意点については、46ページの下の方から記載がございます。
 また「6.その他」といたしまして、47ページの中ほどでございますが、参照すべき文献といたしまして、食品衛生法、食品衛生検査施設における検査等の業務管理要綱、飼料分析基準研究会編著、分析法解析−2004−といった文献が挙げられております。
 49ページからは「第2部」ということで、先ほどと同様個別の物質に関する分析法でございます。
 まず49ページからが「動物飼料中のビスフェノールAの分析法」となっておりまして「試験法の概要」がございます。クリーンアップの後に、LC/MS で定性・定量をするということになっております。
 こちらのページにつきましては、その後「試薬」「器具」「装置及び測定条件」に関する規定がございます。
 50ページをあけていただきますと「検量線」「試験溶液の調製」「検出下限・定量下限」について記載がございます。
 また、先ほどと同様「注解」を記載してございます。
 51ページには「BPA分析法の動向」ということで記載がございます。
 53ページからは「動物飼料中のフタル酸エステル類の分析法」ということで、先ほどと同じ5物質について飼料に適用できるガイドラインが策定されております。
 「試薬」「装置」「試験溶液の調製」に関する記載がございまして、54ページには「試験操作」「検出下限・定量下限」の記載、そして55ページには「注解」の記載がございます。
 先ほどと同様、操作ブランクの低減に関する留意点などが記載をされてございます。
 57ページございますが、分析法フローシートがございます。
 58ページでございますが「動物飼料中の4−ノニルフェノールの分析法」ということでございます。
 前処理を行った後、LC/MS(/MS )法で定性・定量を行うということで、こちらは床敷、給水にも適用できるものとされております。
 「試薬」「器具」「装置」「試験溶液の調製」「試験操作」「検出下限値及び定量下限値」そして60ページには「注解」がございます。
 61ページにはフローシートと参考文献が記載をされてございます。
 62ページからでございますが「動物飼料中の植物エストロゲンの分析法」。これは暫定的なものということになっております。
 「試験法の概要」ですが、80%メタノールを用いて抽出をして、高速液体クロマトグラフ/質量分析計で定性・定量するということで、こちらについても試験法に関する規定がございます。
 63ページに、分析法のフローシートがございます。
 続きまして、64ページ「動物飼料中の17β−エストラジオールの分析法」。これも暫定的なものということになっております。
 「試験法の概要」がございまして、同様に「試薬」「器具」「装置及び測定条件」「試験溶液の調製」「検量線」また、これは「注解」がございまして、特に魚粉が使用されることがあるため、こういった分析方法を構築したということが記載されてございます。
 分析法フローシートについては、66ページに記載がございます。
 続きまして、67ページでございます。
 「5.分析値の信頼性確保について」ということで、幾つか留意点がございます。特に測定対象化学物質の濃度が低いほど、測定機関間での分析値のばらつきが大きくなるということで、そういった点について特に生体試料、動物飼料中のこれら3種類の化学物質に存在量がppbレベルであることから、信頼性を確保する上で重要な問題であるというふうになっております。
 また、留意すべき点として、測定環境中からのコンタミネーションが容易に起こるということで、そういった点についての排除のいろいろな手続が必要ということでございます。
 まず「分析法の信頼性の確認」ということでございますが、複数の試験機関で同一試料を分析するということが重要ということになっております。
 今回につきましては、非常に分析学的には難易度を極める分析法を構築していただいたということで、広く参加試験機関を募ることができなかったことから実際にガイドラインを作成した機関の間で一部クロスチェックの実施をしたということです。今後は、参加可能な複数の試験期間を得て、クロスチェックを行う必要性が残されています。
 「精度管理保証のための措置について」でございますが、実際には実試料を分析する試験機関と参照試験機関で事前に同一サンプルについてガイドラインに沿った分析を行って、クロスチェックを実施しておくことが望ましいとされております。
 続きまして68ページございます。
 「6.動物の飼育・実験環境からの化学物質暴露について」ということで、これは実際に飼育環境中の飼料・床敷等の測定をしていただいた結果について記載がございます。
 まず、ビスフェノールAの、飼料中、床敷中の存在量についての説明がございます。
 同じくフタル酸エステルについてもございます。これはいずれも飼料中で存在をしたものについては、それぞれマウス、ラットの1日の飼料摂取量から換算をした暴露量の試算をしております。
 飼料・床敷中の4−ノニルフェノールについても記載がございます。特に床敷については、古新聞再生紙等を原料とするもので、高濃度で認められていることから、そういった点への配慮が必要ということになっております。
 また69ページには植物エストロゲン、17β−エストラジオールについての記載がございます。
 植物エストロゲンは、ほとんどの飼料から検出をされておりますが、植物エストロゲンフリーとして注文販売されているものからは検出されておりません。
 続きまして70ページございますが「飼育・実験環境からの化学物質暴露への対応について」ということで、先ほどの測定結果を踏まえた留意点について記載がございます。
 まずは、汚染のレベルを把握することが必要ということです。理想的にはコンタミナント・フリーの状態が望ましいことではありますが、現実的にそれを0にすることは不可能ですので、現実的な対応としては、用いる環境中の飼料、床敷等のロット番号、入手可能な分析データなどを明示するとともに、必要に応じてこういった化学物質濃度の測定が必要であると。
 また、先ほどもあったように、特に高濃度で汚染されているものは使用を避けることが望ましいとされております。
 続きまして、71ページ「7.今後、必要な調査研究等の取組」ということでございますが、特に生体影響を把握するためには、データを蓄積する必要があるが、こういった精度の高い測定が可能な測定機関は現状では限られているということです。
 また、さらに効率のよい方法やより精度、感度に優れた分析法が構築される可能性もあり、情報収集に努力をして、分析ガイドラインの充実を図る必要があるとされております。
 続きまして、72ページからは「(3)低用量問題」でございます。
 まず「1.背景的事項」の説明がございます。こちらにつきましては、特に世界保健機構/化学物質安全性計画による『内分泌かく乱化学物質に関する科学的最新知見の地球規模での評価(WHO/IPCS)』の出版以降、内分泌かく乱化学物質の全般的な認識が進展した点等について挙げられております。
 また、植物ホルモンに関しても、高用量では機構上はエピジェネティックな発がん促進効果を持つことも示唆する指摘もございますが、そういったものが植物ホルモンの二面性の作用機構なのか、また投与時期などによって変動するものなのか、そういった点については、今後、文献検索などが必要でございます。
 また、膜受容体の発見などがございました。こういったことから現状でまだ未知の要因の介在を念頭に置いた検討の必要性も出てきております。
 現状の認識としましては、特に高感受性期、胚細胞期、胎児期・新生児期・思春期等での影響を糸口にして、メカニズムも明らかにする中で解決を迫るという方法に進んでいるということです。
 また、対象としては高次生命系、すなわち内分泌系・免疫系・神経系などへの生体影響、またはその蓋然性に焦点を当てた研究が行われております。
 次に、「2.低用量問題に関連する新たな知見」ということで、中間報告書追補以降に新たに明らかになった点について述べられております。
 当初2001年の段階では、断定することには疑問があるというふうにまとめられておりましたが、その後いろいろな報告が出てきております。しかしながら、試験法の限界もございまして、特に確認をした例は調べられた限りでは認められておりません。
 また、特に共通をした低用量作用特有の指標のようなものがあったということでもなく、また共通に概念付け得る指標も見出されていない。特にそれぞれの化学物質が別個の作用機構によって作用する可能性があるというようなことが明らかになってきております。
 続きまして、74ページからが「低用量問題の概括」ということでございます。
 ここにつきましては、閾値の有無、相乗性・相加性の有無、高用量から低用量への外挿への妥当性、反応の線形−非線形用量相関問題などについて最新の文献などに関する記述がされてございます。
 75ページの下段からは「作用機構上の新たな知見」ということで、幾つから新たにこの研究を通して明らかになった点の説明がございます。
 76ページ目からは「高次生命系の諸系列における知見」ということで記載がございます。これが77ページまでございまして、78ページでございますが「情報関連の成果とその知見」ということで、幾つから文献調査の進捗状況であるとか、植物や生体内のアリールハイドロカーボン受容体のリガンドの検討などについて、紹介がされております。
 そして、79ページの中ほどでございますが「3.今後必要な調査研究等の課題の提言」に関する記載がございます。
 国際的にも注目される知見が得られている状況でございますが、依然として不明の点が多いということで、引き続き基盤研究が重要であるということになっております。
 具体的には「高感受性期−胎生期・新生児期・思春期の問題」ということで、79ページの下から記載がございます。
 80ページには「高感受性期と低用量問題」に関する記載。
 「生体影響の焦点−高次生命系」。
 「ゲノミクス手法による内分泌かく乱化学物質影響研究」に関する記載などがございます。
 81ページから82ページまでが低用量問題に関する記載となっております。
 続きまして、83ページからが「(4)暴露疫学調査」に関する記載となっております。 まず「(4−1)生体暴露量等」に関するものとして「はじめに」といたしまして、この取りまとめの中では生体暴露量の測定とともに、生体内受容体の存在の有無、作用発現、代謝・解毒などの検討を行っております。
 「1.測定法の確立」でございますが、先ほど「(2)採取・分析法」の項で述べたとおり、分析ガイドラインの確立がなされております。
 「2.生体暴露量」でございますが、以下に挙げるような化学物質について生体の存在量の解析の実施をいたしました。
 84ページ、特に、前回検討会でもご指摘がございましたとおり、こういった研究の実施に当たる倫理的な手続の状況についてきちんと確認をする必要があるということで、報告書のなお以下の部分について、説明をさせていただいております。それぞれ各研究機関の倫理委員会の審査・承認を受けるとともに、研究対象者に対して、人権及び個人情報の擁護、研究への参加による利益・不利益の説明を行い、インフォームドコンセントを得ております。
 また、剖検の研究がございましたが、こちらにつきましては、研究対象者に対する人権擁護上の配慮、それから研究により研究対象者が受ける利益・不利益等の説明を遺族に対して行い、インフォームドコンセントが得られ、ご遺族の同意の署名を剖検承諾書にいただいた症例のみを対象としております。
 また、ヒトゲノム・遺伝子解析研究につきましては、倫理指針を遵守して実施をしたということを記載してございます。
 85ページからが具体的な物質に関する測定結果となっております。
 それぞれビスフェノールAから始まりまして、分析結果が出でおります。それぞれ○ごとにひとまとまり研究として実施をした結果がございまして、後ろに1)、2)と出ておりますが、こちらにつきましては「引用文献等」ということで92ページに、実際にご研究をいただいた研究の中身あるいは必要な文献というものの紹介をさせていただいております。
 85ページから「ビスフェノールA」「クロロベンゼン類」「パラベン類」「フタル酸エステル類」「ベンゾ(a)ピレン」「PCB」「ダイオキシン類」「クロルデン」「有機スズ化合物」「4−ノニルフェノール」「ハロゲン化炭化水素系殺虫剤」「有機リン系殺虫剤」「有機塩素化合物(DDT、PCB、ダイオキシン類等)」「有機フッ素化合物(PFOS、PFOA、PFOSA)」「植物エストロゲン」「重金属」「揮発性有機化合物(トルエン、ベンゼン、キシレン、スチレン、パラジクロロベンゼンなど)」というものの測定結果が90ページまで、それぞれ記載をしてございます。
 91ページから「3.生体暴露量の考え方」について記載がございます。
 特に、ビスフェノールAなど体内から速やかに排泄をされるような化合物もございましたので、こういったものの半減期を勘案した測定値の評価、あるいはフタル酸エステル類は体内で代謝が速やかに行われてモノエチル、ジエチル体に代謝をされるといったことがございましたので、そういったバイオマーカーの利用ということも必要であるということでございます。
 また、採取時の汚染を防ぐための配慮、またバックグラウンド値の注意をするということが必要というふうにされております。
 また、ELISA法やRIA法などを使った場合に、絶対値が高値に測定されることがあるとされております。
 91ページ、「4.生体内での作用発現」についてでございます。
 (a)としてヒト体内における受容体の有無、(b)としてホルモン様作用発現の有無、そして、これは92ページになりますがヒト生体内での代謝・解毒のメカニズムなどについて検討がされております。
 92ページに「5.結語」がございます。
 引き続きデータの蓄積を行うことによって、暴露の実態の解明が必要であること。また、生体負荷量の範囲でどのような作用が発現するのか否か、代謝・解毒の全容も含めて明らかにすることが必要とされております。
 92ページからは、「6.引用文献等」が記載をされてございます。
 続きまして、95ページをごらんください。
 こちらから「(4−2)疫学研究」となっております。こちらにつきましては「1.はじめに」ということで、疫学研究の必要性について記載がございます。
 そして「2.各論」といたしまして「−内分泌かく乱化学物質と健康影響に関する疫学の研究の現状−」ということで、幾つか疾患を特定いたしまして、検討がされてございます。
 それぞれ米国立医学図書館の医学文献データベースPubMedを利用して、文献検索を行いまして、関連する文献を拾い出して、これに対する評価を実施した結果というのが出ております。
 まず「2−1.乳がん」というのが95ページから記載がございます。
 内容については、前回等のプレゼンテーションでご発表いただいておりますので、詳細は省かせていただきまして、128 ページからが「2−2.子宮体がん」の記載がございます。
 そして、132 ページからが「2―3.卵巣がん」に関する検討結果がございます。
 138 ページからが「2−4.前立腺がん」についてということでございます。
 そして「2−5.精巣がん」についてというところからが、とじが別になっております。
 161 ページからが「2−6.甲状腺がん」。
 167 ページからが「2−7.甲状腺機能への影響」。
 184 ページが「2−8.尿道下裂」。
 194 ページからが「2−9.停留精巣」。
 そして204 ページからが「2−10.小児神経発達への影響」となっております。
 222 ページからが「2−11.精子数」。
 240 ページからが「2−12.子宮内膜症」。
 245 ページからが「2−13.免疫機能(アレルギー)への影響」。
 そして、251 ページをごらんください。
 こちらが「3.まとめ」ということでございます。こちらにつきましては、前回の中間報告書追補をアップデートした形になっておりますので、それぞれ前回に記載いただいた内容を改訂するということで、特に変化がないものについては、そのままの記載がございます。そして、下線部を付けたものについて、2001年以降に新たな発見をした知見というものが出ております。
 [発がん影響]に関しましては、DESと卵巣がんとの関連については、複数のコホート研究の結果が一致しておらず、卵巣がんのリスクである可能性は低そうである。
 また、アトラジンと前立腺がんとの関連についても、2つのコホート研究の結果が一致していないと。
 [甲状腺への影響]についは、PCB高濃度暴露において甲状腺機能の低下をもたらす可能性がある。
 また、比較的低濃度のPCB暴露によって乳児の甲状腺機能の低下を示唆したデータがあるが、否定するものもあり一致した結論がない。
 HCBとの関連については、多くが断面研究であり、関連性について判断ができない。
 [器官形成への影響]については、子宮内DES暴露と尿道下裂との関連が示されているが、そのほかの報告がない。
 また、母親の血清中DDEと尿道下裂・停留精巣との関連は否定的であるが、ほかの関連データがなく、関連性について判断できない。
 また、PCB暴露と停留精巣との関連が見られなかったという最近のコホート研究の報告があるが、ほかにデータがなく、判断ができない。
 [小児神経発達への影響]については、有機塩素系化合物に関するコホートの追跡研究では、出生前暴露と児の神経発達等の間には、負の関連性が見られる報告が多いが、一致した見解が得られていない。
 アジアにおけるコホート研究は、台湾における油症研究の追跡研究しかなく、日本人のデータがない。
 [生殖機能への影響]については、精子数低下については、化学物質の高濃度暴露群で質の低下があったとする報告が増えているが、内分泌かく乱作用によるものかについての判断は困難。
 [免疫機能への影響]については、PCB暴露とアレルギー性疾患の罹患の関連については、複数の研究の結果が一致しておらず、関連性について判断できないといった点が新しく見られております。
 そして、253 ページから「4.必要な研究の提言」が記載をされております。この中では具体的な研究の提案といたしまして「1)化学物質暴露と疾病の現状把握とモニタリング」という点に関する研究の必要性が記載をされております。
 また、254 ページでございますが「2)症例対照研究やコホート研究などの疫学を方法論の基礎とした、人を対象とした研究の推進」について記載をされてございます。この中では、具体的に「各種生体試料を保存しているコホート研究における症例対照研究」。「妊婦や乳幼児を対象としたコホート研究及び先天異常に対する症例対照研究」。「男性生殖機能への影響に関する疫学研究」。「職域集団を対象とした疫学研究」といった点について、触れられております。
 一部、厚生労働研究費などでも実施しておりますが、さらに研究の推進が望まれるとされています。
 そして、256 ページですが「3)EDCの人への健康影響に関する研究の継続的な総括とその情報公開」とされております。
 ここまでで、一まとまりとさせていただきたいと思います。

○伊東座長
 ありがとうございました。
 いろいろな現在まで得られているデータについて御説明がありましたが、ご質問ございましたら、どうぞ。

○青山委員
 先ほど松尾委員のご質問にちょっと関連して、蒸し返すようで恐縮ですが、試験のスキームのところにつきまして、これまでも私自身はデータを公開していただきたいという立場でお願いをしておったところです。
 今後も20ページの冒頭の記載を見ますと、複数の受容体系を取りこぼしなく包括するための強化スキームを検討するというふうなことが記載されておりまして、これは相当に大規模で予算もかかるお仕事ですし、単にスクリーニングの結果としてだけでなくて、さまざまな化学物質の毒性のメカニズムを知る上で、非常に貴重なデータがたくさん得られる可能性があると思うんです。
 一部、こういうデータを松尾委員のご心配のように、in vitroのデータなりあるいは去勢した動物のデータだけを公開することによって、例えば、その時点で何らかの規制が必要ではないかという誤解を生むおそれがあるということは十分に理解できますが、一方でこれは研究者にとっても極めて貴重なデータベースになるわけですから、こういうものを非公開で厚生労働省のこちらの室だけの内部資料としてしまうというのは、余りにもったいない。
 もう一つは、やはり納税者に対して、それでは説明がつかないのではないかという気もするんですが、例えば、どうしても誤解があって難しいのであれば、研究者なり一定の資格を持った人にパスワードを与えて、各省庁あるいは世界的な規模で見たデータベースとして利用するというようなことをお考えいただくわけにはいきませんでしょうか。

○事務局
 事務局の方からお答えをさせていただきたいと思うんですが、実際に試験スキームということで、個別検討をしております個々の試験につきましては、厚生労働科学研究ということですので、当然結果は公開をされております。研究報告ということで出しておりますので、皆さん一般の方々も含めて、そういったものについては実際にごらんをいただくことができるということにはなっております。
 ですので、そういった貴重なデータが囲い込まれるというようなご懸念があったかと思いますが、個別のそういった試験結果については研究報告書での公開というものは、これまでもさせていただいておりますし、その部分は特に変わりがないものと考えております。

○伊東座長
 眞柄委員、どうぞ。

○眞柄委員
 今のことと関係するんですが、結論的に言うと「げっ歯類の一生涯試験法」で試験を行って評価をしなければ、その次のステップにいけないということはそのとおりだと私も思います。
 ただ、ペーパーの中で最初の方は開発検討すると。開発を推進すると。
 その次に2005年からは、げっ歯類の試験法を行って、優先順位の高い物質についてかく乱作用を有するかどうかを予測するという、そういう非常にニュアンスが異なっていて、少なくとも私は厚生労働省なりあるいは事務局にお伺いしたいんですが、「げっ歯類の一生涯試験法」の開発を推進するというふうに書いてあって、いつになったらこれが要するにガイドラインに載るテストメソッドになって、そしてプライオリティライズの高い物質について試験が行われるようになるかという、ある種のめどとか目標というのを提示しないと進まないのではないかと。
 私は生活環境の化学物質のリスク管理をやっております。先ほどの中澤先生のレポートにもありましたように、環境中にそれらしきものはいっぱいあることは分かっているんですが、これをどうするかというのは、げっ歯類の試験が終わらなければ何も動けないわけで、これについていつまで、いつごろまでにやっていただけるかというようなことをやはり明示していただきたいなというのが私の意見です。

○伊東座長
 井上委員、どうぞ。

○井上委員
 先ほど紫芝先生のご質問があって、それに対する議論があったわけですけれども、また内山先生からもリスクコミュニケーションのお話しがあったわけですけれども、私どもが困るのは、この検討会が研究の報告会として行われるときと、厚生労働省としてどういう方針で、どういう認識で現在いて、これからどういうふうに進めるのかということを議論をするときとごしゃごしゃになりがちなことです。
 因みに本日の私の立場は早い話が厚生労働省と一緒になって、ここの委員は、国民に対して厚生労働がこれまでやってきた研究をどう発信するのかというリスクコミュニケーションを先生方一丸となって協力してやっていただかなければならない会議だと思うんです。つまり発表会ではないわけです。
 それで、研究されたことをどういうふうに国民に発信するのかということを皆さんで知恵を絞って、厚生労働省担当事務局と力を合わせてどう発信して、どういう報告書を作るかということにあるんだろうと思うんです。
 そういうふうに考えたときに松尾委員のご質問は大変よく分かるんです。松尾委員のご質問はよく分かるんだけれども、例えば確定試験をどういうふうにつくるか、あるいは一生涯試験をどういうふうに考えるのかということについては、この検討会に課せられた1つの疑問なんです。
 もともと一生涯試験というのは、それを調べると本当に内分泌かく乱の問題が分かるかどうか。分からないんです。やってみようと言っているだけなんです。世界中の人たちがOECDでも何でもそれは是非やってみてほしいと期待もかけられていますけれども、さあできるかなというのは分からない。だから、実際の担当責任者としての菅野さんも非常に困っていると思うんです。そこのところは、例えばプロジェクトでダムを作るのと違うんです。ダムをつくれば、それは水は止まるかもしれないけれども、この問題は、この方法をやれば内分泌かく乱の問題が分かるかどうかが分からないというところを力を合わせて国民の皆さんに発信してもらわなくてはならないということなんだと思うんです。
 ですから、例えば津金先生がまとめられた疫学の研究報告を本日の会議では紫芝先生がおっしゃったように、安心できるのかできないのかをはっきりさせてなくてはいけない。実際に原因がないということ、この問題でないということを証明することは疫学としてはではないかもしれないけれども、この検討会としては差し当たって心配がないと発信しなければ責任は果たせないのではないかという紫芝先生の意見はもっともなんです。
 ですから、例えば低用量のところについて申しますと、私はこれを事務局をお手伝いするに当たって、アダルトに関する低用量の問題は差し当たり焦点にならないというリスクコミュニケーション用の言葉を使ったんです。それは、あくまでもリスクコミュニケーション用の言葉であって、学問的に研究報告として考えたときに、それは焦点にならないでは済まないわけです。影響がないのかあるのかといったら、生物なんですからあるに決まっているわけです。だけれども、それはリスクコミュニケーションとして考えたときに国民の皆さんには、そうした大きな危惧の焦点にはならないだろうと。そういう表現でもって発信するのがいいのではないかというふうに申し上げたわけです。
 ですから、その辺のところを本日の会議に焦点を合わせて、そしてどうすべきなのかということを先生方皆さんでもってお知恵を絞っていただくということが大事なのではないかと思うんです。
 以上です。

○眞柄委員
 井上先生がおっしゃること、もちろん承知をしております。ただ、その試験スキームの中で確定試験というのが、このフローの中では大変大きな重みを持っているわけでして、それに対してダムをつくる話とは違う話だということは、もちろん承知しております。ただし、何年ごろまでにとか、線がぱっと引っ張ってあるだけで、その答が出なければ、いつまで経っても先へ進まない、それをリスクコミュニケーションする立場になってみれば、あと何年ぐらい先に経ったら確定試験が行われて、疫学で得られない部分は確定試験で、このフローチャートにあるように、ある意味では科学的な試験がやられて、次に進むことができるかもしれないと。そういうニュアンスで私はこのペーパーを書いてあるわけですから、ここのところについては、もう少しある種の具体性を持っていただきたいということを申し上げたんです。

○井上委員
 全く仰せのとおりです。ちょっと整理してみただけです。

○菅野委員
 具体的には、小野先生の研究班が担当でありまして、清水の舞台なんですけれども、今後3年間でめどを付けようというお話はここでさせていただいておりますが、「一生涯」を行うということですので、どうしても一実験に1年ぐらいかかってしまうわけですから、今、手元にある情報を基に、向こう3年の間にめどを付けたいという野望を持ってやっておるという段階であります。
 その背景になっている情報は、まだ再現性の確認が取れていないので公表しておりませんけれども、こちらではご紹介したとおりに、かなり低濃度で、少なくとも2つのエンドポイントで所見が取れているということを重視しております。それがこの会における皆様にご提示した第一段階のエンドポイント、期限、タイムリミットであります。
 以上です。

○眞柄委員
 ごめんなさい。具体的な年数でなくてもいいと思うんです。このペーパーが最初のうちは開発、検討するとなっていて、それで開発するになっていて、開発を推進するになっているんです。ですから、リスクコミュニケーションを取る立場が言えば、開発を積極的に推進するというふうに、厚生労働省のペーパーですから、そう書いていただければ私はいいんであって、開発、検討すると書いてあったら、こっちの方に行かれて、開発すると言って、ある時期になったらここに行かれるということでは困るというぐらいのニュアンスで受け取っていただいても結構です。

○化学物質安全対策室長
 どうもありがとうございました。この確定試験のところは、先ほど井上先生からもお話がございましたけれども、OECDでも取り上げられておりまして、これはそれなりに国際的にかなり影響が大きいところでございますので、それなりのデータを持って、あるいは国際的にほかの国もいろいろ検討されておりますので、それを基にできるだけ推進と先生はおっしゃられましたけれども、そこはさせていただきたいとは思っております。

○伊東座長
 どうぞ。

○内山班長
 先ほど井上先生からお話がありましたが、この前、実はリスクコミュニケーションの作業班をやりまして、その席上では、何が昔と比べたら分かったのか、どこまで分かったのかということを、とにかく私自身に分かるようにしてくださいとお願いしました。
 私は、多少は専門に近い領域ではありますけれども、専門家ではありませんので、しかしながら一般の情報を受ける、コミュニケーションを受ける人たちよりはある程度分かるつもりでおりますから、私に分からなかったら、一般の人にはちょっと分からないのではないかということで、それを分かるようにしてくださいということを実はお願いをしたんです。
 お願いをした後、実は今日のを拝見しまして、それ向きに書いてくださったのは井上先生だけです。これは井上先生を持ち上げるわけでも何でもなくて、低用量問題というのは、少なくとも文献の徹底的なサーベイをやることによって、これだけのことは分かるということです。先ほど申し上げましたように、ある結論をまずコミュニケートするということと同時に、それの根拠になるデータというのは、絶対に引けを取らないようなデータを手で持っているということが大事なことだと思います。
 この前、鈴木継美先生か誰かのご発言に、いろんなところでコミュニケーションをやっているではないか。幾つもの省庁でやっている。そういうものとの関係がどうなんだと。あるいはそういうものとの整合性をとるべきだというお話が出ておりましたが、全部見たわけではありませんが、ところどころを見ましても、今日拝見した井上先生の低用量問題のところにつきましては、これは読み物として極めて有用と思います。引用のお話が非常に多いですから、学術的な文献として通用するのかどうか、これは専門の方々の、総説として通用するのかどうかということは、専門の方々のご判断ですが、少なくともこれは厚生労働省の発信としては、非常に有用な読み物にはなっているというふうに思っております。
 そういったようなことを、実は一つひとつ申し上げて、ここのところが、知りたい、あそこのところが知りたいというのは、それぞれお書きになった先生方に失礼だから控えますけれども、しかし、これこれだと、あるいはこういうことがわかったと、あるいはこういうことが問題だというふうに書かれたら、それは一体どういう意味なのか、それは何を考えればよろしいのかということの、次の問題がほとんど触れられてないというのが、今のところはコミュニケーションの立場から言いますと非常に残念ということになります。
 それから、スキームの問題が盛んに出ておりますが、この対象になる化学物質は、資料3−1では数万種類が、今日は数十万になったように、要するに、どんどん増えるわけです。この増えている化学物質を相手にして、スクリーニングを一手にやって、厚生労働省が予算を使って全化学物質に対してスクリーニングをやって、優先リストを作って、それを基に大々的な研究を始めるのは、相当大それたと言いますか、非常に身のほどを知らないというか、とてもできるものではないと私は思っているんです。
 昔、新規の化学物質で発がん性が非常に問題になったときに、発がん性確定試験をするのは非常に時間がかかるから、変異原性でスクリーニングをしようといったことで、変異原性を2つか3つ指定して使ったことがありましたね。これは国がありとあらゆる物質を持ってきて変異原性を調べたわけではないんです。これは、化学物質の生産者にそれを頼んだわけです。数万種類が数十万になってしまうような状態、これはこれだけ増えたという意味ではありませんけれども、少なくとも化学物質を生産して、それをある程度の量、これは暴露と関係がありますから、ある程度の量、世の中に供給している企業に対しては、菅野先生がやっていらっしゃるスクリーニングの中で、一般の技術者ならできるという方法を作っていただいて、エンドポイントを選んでやってもらうという方法も考えたらいかがかと思っております。
 やってもらうためには、がんのような話ですとやってもらいやすいんでしょうけれども、あれだって発がん性があるかもしれないからやってくれと言ったわけではないんです。あれは、発がん性があるかないかをスクリーニングするためにやってくれていることだったんです。
 ですから、この内分泌かく乱化学物質の問題が、どのぐらいの問題であるかということ、あのころと比べますと、関与している省庁の数から言うと、新規化学物質の発がん性よりもっと関心は高いような気がするんですけれども、わけの分からないところが非常に多いから関心が高いのかもしれません。
 ですから、スクリーニングの段階でも一応それを、結果を公開というよりもむしろ方法論を公開して、共通のやり方でどんどんデータを増やすということをおやりになったらいかがでしょうか。そうでないと、リストができない、できない、幾つやったんだ、何をやったんだという批判がかなり、素人の耳から聞きますと、かなりそこのところに批判が集まっているような気がするけれども、それはなかなか実際にそこだけでやろうとすると非常に難しい問題ではないかと思っております。
 幾つか関係ないことを申し上げましたが、以上です。

○菅野委員
 スキームの件ですけれども、井上先生から話が出たり、事務局からも出ているのですが、これは全部、実を言いますとOECDレベルでもうやっておりますので、そこで全部プロトコルは基本的にオープンでありまして、そういう意味では全部うちが引き受けてとか、そういう次元ではもうありませんし、そういうことは余り考えていないというところで、そこだけはご了解いただきたいと思います。

○伊東座長
 津金先生、どうぞ。

○津金委員
 リスクコミュニケーションの前段階としては、まずリスクがきちっと評価されなければいけないんです。リスクを評価するためには、普通、化学物質のリスク評価、今、国際的には基本的に、実際、暴露量がどのぐらいあるのかということがあって、それから動物のデータではどうなのかという話があって、それから人のデータではどういう話があって、それからメカニズムとか、バイオマーカーを使ったいろんな知見があって、それで最終的に総合評価されて、人に対するリスクがあるかどうかということが、評価されるという手順を踏まれるべきなんですけれども、これは追補なので、ある意味で重点課題が書かれているので、やはりその流れからリスク評価してリスクコミュニケーションという流れにはなってなくて、そういう意味で追補という形を取っているんではないかと思いますけれども、いずれ報告書なり体裁を整えるときは、そういう流れで人のデータだけでリスクというものを評価できないですし、総合的に評価していかなければいけない。
 あくまでも疫学のデータというのは、検出可能な範囲というのは、やはり限られていますから、例えば、これは一つの目安で言えばリラティブリスク、要するに、暴露してない人に比べて暴露している人が病気になるリスクというのが、2倍とか5倍であれば、もう臨床の話で大体解決するんです。疫学の話というのは、1.2 倍から2倍ぐらいの間の話で、だけど暴露している人がたくさんいれば、公衆衛生的に大きな問題であるというような部分が評価されるわけです。
 さらに1.1倍とか1.2 倍というリスクというものは、このすごい大規模な疫学研究で評価するしか人においては評価できないということがありますので、人のデータだけでリスクコミュニケーションするのも危険ですから、やはり総合的にリスクコミュニケーションする前にはリスクをきちっとエバリエーションしてからとらえるべきではないかというふうに考えています。

○内山班長
 おっしゃるとおりだと思いますが、昔からリスクコミュニケーションというのは、もちろんマネジメントをやった結果をリスクコミュニケーションしているわけです。これまでやってきたマネジメントからコミュニケーションへの移り変わりというのは、暴露と動物実験なんです。決して人間のデータまで待ってやったということはありません。ですから、暴露と動物実験で私はいいと思うんです。ですから、暴露の状態をどう解釈すればいいかということが欲しいんです。
 暴露というのは、人間の生体試料の中の量とは限りません。今日、中澤先生からお話のあったいろんな問題がもちろん、考えるもととしてはあるんですけれども、考えるもとが分かっただけで、それをどう考えるべきかというところがよく分からないんです。
 だから、考えるもとは分かったけれども、それを暴露の問題点として、どういう問題点として取り上げるかということが、今のところ皆無です。非常に細かいところまでデータは出ているんですけれども、床敷きの問題であるとか、非常に厳密にやらないと分析ができないというお話はよく分かるんですけれども、それは一体何を意味するのかということが分からない。動物実験のいい例は、井上先生がお書きになったこの中にたくさん出ていますから、その動物実験なり何なりのデータと、そこで話題になっている物質と、それから先ほどお話になりましたバックグランドの中でそういう物質が一体どのぐらいあるのかという3つがそろいますと、私の手元でもある程度のマネジメントはできるんです。それが是非そろうようによろしくお願いしたいと思っております。

○伊東座長
 よろしゅうございますか。

○事務局
 それでは、ここで10分程度休憩を取らせていただきたいと思います。今、手元の時計で、3時3分過ぎでございますので、3時15分から再開をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

(休憩)

○事務局
 それでは、時間になりましたので再開をさせていただきます。追補その2でございますけれども、リスクコミュニケーション以降、それから別冊の最後までを一連のものとしてご説明をさせていただきます。
 まず、257 ページをごらんください。「(5)リスクコミュニケーション」でございます。「1.はじめに」といたしまして、化学物質に関わる問題の中でも、内分泌かく乱化学物質問題に関しては、科学的に未解明な点が多いことなどの特徴があることから、リスクコミュニケーションの実施を困難にしている可能性があるということで、今回そういった点を踏まえたガイドラインを作成しました。
 また、本書の概要についての解説を試みるということもしております。
 「2.内分泌かく乱化学物質問題とリスクコミュニケーション」ということで、問題の整理をしてございます。
 「2−1.リスクコミュニケーションの必要性について(目的)」ということでございますが、まず行政から発信される情報伝達としては、(1)根拠となる科学的情報を基にした説明責任が必要であること。
 それから、(2)適切な情報伝達によって政策への理解を深めるということ、また合意形成が達成されるということが重要であること。
 (3)として、仮にそういった合意形成に結び付かない場合であっても、化学物質のリスクに対する理解の深まりであるとか。あるいは行政への信頼性の向上などが達成できるという点から、必要とされております。
 また一方、内分泌かく乱化学物質問題については、多くの人々が関心を抱いていること、多様な調査研究結果、科学技術の進歩等を背景に、多くの認識の不一致が生じていることから、リスクコミュニケーションの実施が必要な分野と考えております。
 この問題の特徴としては、先ほどもまとめましたが、従来の化学物質の有害性発現の概念を超えるものであること。検証が容易ではないこと。また、研究者の間で意見が分かれるほど相反する結果が報告されていること。従来の科学的手法では予測できない結果が報告されていることなどが挙げられております。
 こういった点から、有害性の内容や対象となる化合物があらかじめ判明している、従来の化学物質管理とは大きく異なるという点も、非常に既存のガイドラインの適用を困難にしていると考えております。
 また「2−2.リスクコミュニケーションに係る関係者」ということで記載がございます。行政、特に厚生労働省と国民、企業、専門家・研究者、報道関係者などが挙げられております。
 また、特に専門家・研究者については、情報の作成者として、主たる役割を担っているという点が強調されております。
 259 ページからは「3.内分泌かく乱化学物質問題のリスクコミュニケーションガイドライン」ということです。これは、前回もご報告をした内容ですが、「1)情報(コンテンツ)の内容について」ということが挙げられております。この中では、年齢などの多様性に配慮しつつ、内分泌かく乱化学物質問題に関する基礎的情報、リスクまたはリスクの予想に関する情報、政策への理解や合意形成を目的とした情報、情報の受け手が必要としている情報についても、コンテンツとすべきとされております。
 260 ページ、「2)情報(コンテンツ)の作成」といたしまして記載がございます。
 「3)情報伝達手段とそこに含まれるべき情報の種類」として、(1)ウェブサイト、(2)窓口配布、ここではI簡単なリーフレット、それからII詳しく知りたい方向けのパンフレットの2種類を紹介してあります。
 また「4)継続対応」の必要性について記載がございます。
 「5)参考文献」が記載されております。
 「4.今後、必要な調査研究等の取組」ということで、実際に事例研究をし、追跡調査を実施してみるべきであるとされております。
 263 ページからが「5.中間報告書追補その2の概要の説明について」ということで、この本書の概要、リスクコミュニケーションと行動計画は除きますが、この部分の解説を試みました。
 まず「中間報告書追補その2の概要の解説」ということで、これまでの経緯についての記載がございます。
 また、中ほどになりますが、特にここの解説に当たってホルモンという用語について補足説明を加えました。この内分泌かく乱化学物質問題を語る際には、ホルモン用作用、ホルモン活性といった言葉が登場しますが、こういったホルモンという言葉が、ともすれば悪いイメージでとらえられているという点について、それを訂正するべき説明を加えております。
 続きまして、264 ページから、再掲するものも一部ございますけれども、各重点分野について「これまでに分かったこと」「今後の取組」ということで記載をしてございます。まず、264 ページには「(1)試験スキーム」がございます。ここでは「健康影響についての試験と評価の体系」といった言葉を補足してございます。
 「(2)採取・分析法」としては、これまでに分かったことということで、ビスフェノールA、フタル酸エステル類、アルキルフェノール類を取り上げた背景といった点。また、こういったものについて、ガイドラインをつくることが必要となった背景という点を説明しております。特に微量であること。あるいは信頼性が必要であるということについて、詳しく説明をしております。
 そして、265 ページの下から「今後の取組」が記載しております。
 266 ページでございますが「(3)低用量問題」についてでございます。「これまでに分かったこと」というところでございますが、1としてこれまでのもとより生体内に内在するホルモンはとございますが、こういったところで少し基礎となる情報の解説を付け加えてあります。
 「(4)暴露疫学等調査」「(4−1)生体暴露量等」ということで「これまでに分かったこと」、これから「今後の取組」について記載をしてあります。
 そして、267 ページからは「(4−2)疫学研究」、これも同様の形で記載をしてございます。これが268 ページまでとなっております。
 そして、269 ページが「4 まとめ及び行動計画」となっております。まとめでございますけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、現時点では特に確認された事例がないという現状には、変化がなかったことが確認をされております。懸念が完全に払拭されたわけではないけれども、障害を受けると想定される時期が、胎児期や思春期にほぼ絞られ、有害性の発現機序についての知見も蓄積されてきたということでございます。こういったことを踏まえて、行動計画の見直しをしておりますが、これは先ほど、「2 概要」でごらんいただいたものでございますので、説明は省略をさせていただきます。
 271 ページ〜274 ページにつきましては、それぞれ「作業班、参考資料・文献等」ということで、取りまとめに協力をいただいた先生方のお名前、参考資料・文献などについて記載がございます。
 そして、先ほども触れましたように、275 ページからは「付録」といたしましては、平成10年12月の検討会中間報告書の概要の記載がございます。
 続きまして、資料3−2改1、中間報告書追補その2の別冊をごらんください。目次をごらんいただきまして、まず構成についてごらんいただきたいと思います。
 5つの重点項目の中で、特に3つの部分について補足するべき資料について、別冊ということで付けております。
 まず「1 試験スキーム」ございますけれども、これは4ページからとなっておりますが、これについては各厚生労働科学研究の主任研究者の先生方にプレゼンテーションをしていただきました、各試験スキームに資する研究の概要について、図表を掲載しておりますものが11ページまでございます。
 それから、「4 暴露疫学等調査」に関する別冊でございます。総論として、疫学研究の方法ということで、疫学研究のベースとなる解説的な説明につきまして、この部分に入れております。「1.疾病頻度の指標」「2.暴露の指標」「3.関連性の指標」「4.研究デザイン」ということで、具体的な研究デザインの内容。それから「5.研究デザインにもとづく疫学研究の評価」「6.因果関係の評価」、最後「文献」がここに掲載されております。
 この内容については、中間報告書追補の際にも、ほぼ同様の内容について記載をしていただいたところでございます。
 続きまして「5 リスクコミュニケーション」に関する別冊ということで、34ページからがそれになっております。特にホームページの構築に関する検討を実施いたしましたので、この点について34ページ以降で説明をさせていただいております。
 私ども厚生労働省の方の「内分泌かく乱化学物質ホームページ」でございますけれども、平成11年度より開始をしまして、平成13年8月に幾つか改変をしております。今回「1 内分泌かく乱化学物質問題とは」「2 内分泌かく乱化学物質Q&A」等について、内容の更新等を行いましたので、その内容についてご説明をさせていただいたものでございます。
 34ページの下からがホームページのトップページとなっておりまして、この部分については掲載の順序を少し変更したものがございます。トップページが36ページまでにわたっております。
 それから、37ページからが「内分泌かく乱化学物質問題とは」ということで、39ページまでの記載となっております。
 40ページから「内分泌かく乱化学物質Q&A」でございます。こちらが47ページまででございます。なお、当日の変更になって大変恐縮なんですけれども、41ページの「Q.2 内分泌かく乱化学物質とはなんですか?」というところがございますけれども、本文と図の内容的な強弱も含めた点について多少齟齬があるということで、図は削除させていただきたいと思いますので、恐縮ですけれども、御確認をいただければと思います。
 それから、48ページ以降が、リスクコミュニケーションのガイドラインに係る内容ですけれども、情報伝達手段としての対話型の手法ということで、対話型の手法の例が例示されてございます。
 そして50ページ以降が「リスクコミュニケーションの技法」でございます。これは、過去の資料にも出しておりますけれども、具体的に聞き方であるとか、話し方、文章作成上の注意ということで、避けることが望ましい用語であるとか、そういった言葉を選ぶ際の望ましい用語の使い方、あるいは電話対応、情報の伝達のタイミング、受け手が求める情報といった点について補足的な資料を出させていただいております。
 そして、59ページ、「(8)問い合わせ内容の記録」ということで、別冊の方は以上になっております。
 以上でございます。

○伊東座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対しまして、どなたかご質問、ご意見ございましたらどうぞ。
 よろしゅうございますか。それでは、大分論議も進みましたので、全体を通じてこれだけは言っておきたい。これだけは聞いてほしいという意見がございましたらどうぞ。
 よろしゅうございますか。どうぞ。

○藤原委員
 今のリスクコミュニケーションで、ちょっと気が付いたことを申し上げておきたいんですが、よろしゅうございますか。

○伊東座長
 どうぞ。

○藤原委員
 57ページです。メディアリテラシーの問題のところで、ここに男女差を考慮した検討が必要であろうとあるんです。そしてメディア理解の性差というのがあるというのが書いてあるんですが、例えば、内分泌かく乱化学物質の言語表現の受け取り方にも性差が存在することが確認されていると。これは何かオーソライズされたものがあるんでしょうか。
 つまり私は情報リテラシーという問題について、知識とか、その人の年齢とか、関心度とか、いろんなことが差をつくると思いますが、性差があるというのを初めて聞いたので、これは果たして本当かなというのを伺いたいんです。

○事務局
 こちらにつきましては、昨年の検討会等で厚生労働科学研究の中で、内分泌かく乱化学物質に関するリスクコミュニケーションに関する研究ということで、慶応大学の吉川先生にご検討をお願いしたところ、こういう結果が出てきたものが反映されているかと思います。この点が、本当に普遍的なものかということに関しては、吉川先生によく確認をさせていただきまして、中身の点については調整をさせていただければと思います。

○藤原委員
 一般論として、女性は人の言うことをよく聞いているという傾向がありますね。大学だと、女子学生の方が男子学生よりもちゃんと理解しているということを、よく先生方おっしゃいますけれども、そういうことを一般化しているのかなと思ったりしました。
 それと、女性はいろいろ井戸端会議とか多様な情報手段を持っていますから、そういうことで厚みがあるということも、一方では言えるかと思いまして、そういうことが理解を助けている面もあるのかもしれないんですが、こういうふうにはっきり言われてしまうと、読んだときにぎょっとなりますので、その点をご検討いただきたいと思います。
 もう一つ、ここを見ていまして、今の53ページ、言おうかどうしようかと思って考えていたんですが、ついでなので申し上げますと、例えば、51ページ、これはこのまま印刷されますか。もし改められるなら、後からちょっと細かい文言について意見を申し上げようかと思っているところがございますけれども、時間の無駄ですからそれは後から私が事務局へ申し上げますが、よろしゅうございますか。

○事務局
 はい。それでは、後ほど事務局の方にいただきまして、必要な修正をさせていただきたいと思います。

○藤原委員
 意見を言えという事前のご送付がありましたけれども、ちょうど私、外国に行っていまして、その時期を失しましたので、これを見ておやおやと思ったんですが、後ほど申し上げます。

○津金委員
 最初に紫芝先生からご提言された、言葉づかいの問題なんですけれども、後の方で疫学の総論のところでも出てきたように、国際的ないろんな言葉の問題と統一させる意味で、サフィシエント・エビデンス、リミテッド・エビデンス、インアデクエート、ラック・オブ・エビデンスという、4段階で表現しようというふうに考えています。
 サフィシエントというのは、関連があることを支持する十分な知見があるというふうに表現したいと思います。これは、例えば、DESと乳がんの関係に関しては、これに当てはまると思います。
 リミテッドに関しては、関連があることを支持するには、知見が不十分であると。今回、多くの言葉で使っていましたけれども、これは関連があることを支持するには、幾つか疫学研究が実際あって、ある研究ではポジティブに出ていたりとか、ただ一致してないという状況、これは多くのものに該当すると思います。
 インアデクエートに関しては、関連について言及するには知見は不十分であるというようなことで、余りいい研究ではない研究がちょこっとあったりとか、あるいは研究自体がない場合に使うということです。
 最後に、ラック・オブ・エビデンスというのは、要するに、関連がないことを支持する十分な知見があるということで、これはDDEとかPCBなどの有機塩素系化合物と乳がんとの関係は、かなりここに当てはまるということになると思います。
 それで、紫芝先生が甲状腺機能のところで、私が一番最初のまとめの11番のところで、ここだけ依然として知見が十分であるという表現の仕方をしていたんですけれども、これは、要するに、一般環境レベルでPCBと乳児の甲状腺機能に関しては研究が余りないんです。ですから、関連について言及するには知見は不十分であるというふうに表現すべきだったものが、ちょっと変な感じになって奇異に思われたのかもしれませんが、今後こういう形で統一して言葉を使っていきたいと考えております。

○伊東座長
 そのほか、何かございませんか。
 井上先生、どうぞ。

○井上委員
 言葉の問題に入ってまいりましたので、一言申し上げます。目次と全体の構成に関わることなんですが、かなりいろいろ多層構造になった原稿をまとめておられるので、やむを得ない面があるんだろうと思うんですけれども、いわゆる数字の2と、両括弧とか、片括弧とか、たくさんの記号があるんですけれども、それを各章統一できないかどうかご検討いただきたいと思います。
 特に、丁寧に見ればもちろん分かるんですけれども、その構成がそれぞれみんな違うところが多くて、例えば、一番よく構成を理解しないで見たときに戸惑うのは、フォントも変えてはあるんですけれども、疫学研究の中で1.2.で進んで行って、2−1.2−2.と行くんですけれども、これの中の結果のところでまた数字の1.2.が出てくるんです。そういうところだとか。
 片括弧が数字のポツの次に通るところと、そうでないところがあるので、ちょっと単純には行かないのかもしれませんけれども、できるだけ構成が統一できる方向でもって、全体がまとまったこの段階ですので、ご検討いただいたらと思います。
 自分のところだけ見たりしているもので、余り気が付かなかったんですけれども、かなり目立つように思いました。
 以上です。

○事務局
 事務局の方で修正をさせていただきたいと思います。

○伊東座長
 それでは、長い間ご議論いただきましたけれども、一応これで終わりたいと思います。私は、こういう内分泌かく乱化学物質の問題として一番重要なのは、やはり低用量問題ではないかと思います。低用量問題について、井上先生、非常に精力的にお仕事をされてまとめていただいたことに対して、感謝申し上げておりますけれども、これをなるべく早くもう少し結論を出すような格好で、結論と言うか、結論はなかなか出ないと思いますけれども、うまくまとめていただきたいと思っております。
 と言いますのは、やはりADIであるとか、TDIであるとか、そういってトキシコロジーの原点に関わるような問題がこの問題に含まれておると思うんです。ですから、この問題についてのおまとめを積極的に進めていただきたいと思います。
 よろしゅうございますか。それでは、事務局の方からお願いします。

○事務局
 それでは、事務局の方から、この追補その2の取扱いについて、先生方にご確認をさせていただきたいと思います。今後の取りまとめ作業でございますけれども、今日幾つかご指摘がございまして、修正の必要がございました。この点につきましては、座長と事務局の方で預からせていただきまして、必要に応じまして各取りまとめの先生方にご相談をして改訂させていただきたいと思います。そして、修正をしたものを郵政あるいはファックス、電子メール等の手段で、再度、各先生方にお送りをしてお諮りをいたしまして、最終化をし、速やかに公表をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○伊東座長
 よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○伊東座長
 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

○事務局
 ありがとうございました。それでは、議題4.その他ということで、事務局より何点か事務的なご連絡をさせていただきます。
 まず、本日の資料でございますけれども、非常に大部となっておりますので、封筒にご氏名を記載しておいていただければ、後ほど郵送をさせていただきたいと思いますので、お名前をお書きいただければと思います。
 それから、次回の開催でございますが、今のところ未定でございますので、また適宜、日程等についてはご連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

○伊東座長
 それでは、先ほど不手際でサイエンスとコミュニケーションの一般向けの話をミックスしたというご指摘がございましたけれども、確かにそのようなことを考えないでやっていたところもございます。
 私も随分長い間、この内分泌かく乱化学物質についての座長をさせていただきましたけれども、もうぼつぼつこの辺りで辞めさせていただこうということで事務局に申し上げまして、そうしたら、その申し出はアクセプタブルであるというふうにおっしゃってくださって、ほっとしておるところでございます。
 それで、後任の座長をだれだということで、何人かの先生方にやっていただきたいと申し上げまして櫻井先生にお引き受けいただけるということで、ほっとしておるところでございます。
 そういうことで、この取りまとめについては私が責任を持たせていただきますけれども、次回からは櫻井先生を中心に、また皆様方のご協力で国民の安心・安全についての発表をきっちりと厚生労働省ができるようにご配慮いただきたいと思っております。
 どうも、長い間でありがとうございました。(拍手)

○事務局
 伊東先生どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、化学物質安全対策室長、成田よりごあいさつを申し上げます。

○化学物質安全対策室長
 伊東先生、どうもありがとうございました。また、本日は長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。繰り返しになりますけれども、今日ご指摘いただきました内容につきましては、できるだけ誤解のないように修文させていただきたいと思っております。
 疫学の話でありますとか、試験スキームのところでありますとか、いろいろご指摘いただきましたけれども、かなり重要な問題でございますで、また座長の伊東先生にご相談させていただき、また個別の先生方にご相談させていただきたいと思っております。
 これから、今後でございますけれども、中間報告書追補その2を行動計画に沿いまして、調査研究の推進でありますとか、行政的な取組等を進めさせていただくことになります。また先生方を始めまして、関係者の方々のご協力をお願いすることになりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 それから、伊東先生には平成10年の最初から17回にわたりまして、本当にどうもありがとうございました。これからもまた引き続きご支援、ご鞭撻をお願いしたいと思います。
 それでは、本日は本当に長くなりましたけれども、また、追補その2がまとまりました段階でまたお送りさせていただきますけれども、引き続きよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

(了)

照会先
 厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室
 担当:野村、後藤
 TEL:03−5253−1111(2910、2424)



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