06/02/23 社会保障審議会医療部会第23回議事録 第23回 社会保障審議会 医療部会                  日時 平成18年2月23日(木)                  場所 経済産業省別館1028会議室 ○企画官 ただいまから、「第23回社会保障審議会医療部会」を開催いたし ます。皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席くださいまして誠にあ りがとうございます。  初めに、本日の委員の出欠状況を申し上げます。本日は大橋委員、佐々委 員、杉町委員、野呂委員、堀田委員、松井委員、山本委員からご欠席のご連 絡をいただいております。なお、佐々委員の代理として、全日本病院協会副 会長 西澤寛俊参考人、杉町委員の代理として、公立学校共済組合九州中央病 院塩塚康子参考人、松井委員の代理として、日本経済団体連合会国民生活本 部 遠藤寿行参考人にご出席をいただいております。ご出席いただいておりま す委員の皆様方は定足数を超えておりますので、会議は成立しております。  次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第のほ か、資料1で横書きの法律案についてです。なお、委員の皆様方には、その ほかに冊子(白表紙)で条文のセットのものをお配りしております。資料2 で療養病床の横書きのもの。資料3で特定機能病院。資料4で医療部会検討 会の予定について、参考資料ということで、古橋委員提出資料、そのほかに、 委員の皆様方の机上に、本日は特に説明はいたしませんが、関連して「健康 保険法の一部を改正する法律案の骨子」の2枚紙と、2月15日の「平成18 年度診療報酬改定の概要について」をお配りしております。  それでは、以降の進行について、部会長、よろしくお願いいたします。 ○部会長 本日は、朝早くからお集まりをいただいてありがとうございます。 議事に入ります前に、ただいまご紹介ありましたが、本日欠席の佐々委員、 杉町委員、松委員の代理としてご出席いただいております、全日本病院協会 副会長の西澤寛俊参考人、公立学校共済組合九州中央病院の塩塚康子参考人、 日本経済団体連合会国民生活本部の遠藤寿行参考人、お三方の出席について、 特にご異議ございませんでしょうか。 (異議なし) ○部会長 ありがとうございます。それでは議事に入ります。  本日は、先般、2月10日に閣議決定されました、医療法等の一部を改正す る法律案について、事務局から説明をいただいた後、前回に引き続き「療養 病床再編成に伴う医療法施行規則の見直し」について、議論をお願いしたい と思います。また、今回、新たに「特定機能病院の看護職員の配置基準」に ついても、事務局から資料を提出していただいておりますので、併せて議論 をお願いしたいと思います。その後、医療部会意見に基づく検討会の内容と 今後の予定について、事務局からご説明いただくことになっております。ど うぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず初めに、議題1、「医療法等の一部を改正する法律案」につ いて、資料1に基づいて事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○総務課長 それでは資料1をお開きください。去る2月10日に健康保険法 の改正案とともに閣議決定をいたしまして、当日の夕方、国会に医療法等の 改正法案を提出いたしました。委員の方々のお手元にあります、私ども白表 紙と呼んでいる法律案参考資料の1頁をめくって目次をご覧ください。ここ に提案理由説明、法律案要綱、3番目が法律案、そして新旧対照条文、参照 条文とあります。この5つをもって「5点セット」と呼んでおり、国会でご 審議いただく資料です。これを適宜見ていただき、今回の法案の内容につい てご説明を申し上げます。  資料1の1、2頁は前回の医療部会で私のほうからご説明を申し上げた資 料です。前回ご説明した内容から、基本的に提出した法案の内容は変わって いません。したがって、これは省略いたします。  3頁。今回の医療法改正案は大きく6本の柱からなっております。医療計 画制度の見直し、患者への情報提供、医療安全の確保、医療従事者の資質の 向上、医療法人制度改革、地域や診療科による医師不足問題への対応です。 以下、それぞれについてご説明を申し上げます。  4頁は、患者等への医療に関する情報提供の推進です。最初にあります青 い枠は、昨年12月1日に、政府、与党医療改革協議会で定めた大綱です。今 回の法案は、基本的にはこの大綱の内容を実現するという観点から法案化し たものです。情報提供の部分では、今回の法律案の柱になりますが、都道府 県による医療機関情報の集約と公表が盛り込まれております。すなわち、医 療機関に対して一定の範囲の情報について都道府県への報告を義務付け、そ の情報を都道府県は分かりやすい形にして、インターネット等を活用し、患 者、国民に情報提供をするという新しい制度です。  課題になるのは一定の情報の範囲をどうするかです。しかし、これは法律 では明確に決まっておりません。考え方としては、広告できる範囲の中から 有益なものを届出義務の対象にしたいと考えております。具体的には、今日 の議題の4「今後の検討会」の中でご説明いたしますが、医政局の中に常設 の小人数の検討会を設け、ここで法案成立後、速やかに対象の範囲を決めて いきたい。あるいは、適宜開催し追加していきたいと考えております。  医療安全支援センターによる相談・助言の実施。これも今回、センターに ついては医療法上制度化いたします。また、広告規制の見直しによる広告で きる事項の拡大。4つ目は、入退院時における治療計画等の文書による説明 の義務付けです。入院したときに文書で「入院診療計画」を出していただく 医療機関がいま多くなっておりますが、これを義務付けしたいということで す。また、退院時においても「退院後の療養計画」を文書で作成し交付をし ていただく。こちらは、その医療機関だけではできないというか、他の医療 機関の協力がないとできない面もありますので、義務ではなく努力義務とい う形で医療法上義務付けをしているところです。  また、インターネットによる情報提供。これはこの部会でも議論がありま したが、広告ではなく広報という位置づけですので、法律上の規制はかけま せんが、より質の高い内容にするためガイドラインを作ることを考えており ます。広告の関係は条文を見ていただいたほうがイメージが分かるかと思い ますので、白表紙の冊子、真ん中から後ろのほうに新旧対照条文の10頁をご 覧ください。今回、第2節に広告関係の規定を整備し、6条の5で、「医業も しくは歯科医業または病院もしくは診療所に関しては、文書その他いかなる 方法によるを問わず、何人も次に掲げる事項を除くほかこれを広告してはな らない」と。ネガティブリストかポジティブリストかという議論をこの部会 でも議論していただきましたが、条文を見ていただければ分かりますように、 基本的には従来どおりポジティブリスト方式を維持しております。  ただ、従来のような個別に広告する事項を厚生労働大臣が告示をしていく やり方では、スピーディーな対応ができない、情報が迅速に提供できないで はないか、というご指摘がありましたので、部会では、いわゆる包括規定方 式と呼んでおりましたが、個別に広告できる事項を、要するにポジティブリ スト事項を包括的に書くことによって、この包括的な事項の中に入るものは、 基本的にOKという改正をしております。例えば6号では、「入院設備の有無、 種別ごとの数、従業者の員数、その他当該病院・診療所における施設、設備 または従業者に関する事項」と。関する事項というのは、省令で客観的な事 実であるということを明確に、その趣旨を明らかに規定するつもりです。客 観的な事実であれば、ここの中に入っているものは、基本的にOKという包 括規定方式にしております。  ただし、例えば7号では、専門医や専門的な資格については厚生労働大臣 が個別に定める、という規制を引き続き残しておいたほうがいいのではない か。あるいは12号では、医療の提供の結果に関する事項、いわゆるアウト・ カム情報については、そのまま単純に出してしまうと患者に対するデメリッ トが生じるという議論がありましたので、これは患者が客観的に比較可能な 条件が整ったものから、段階的に広告可能にしていくということで、厚生労 働大臣が個別に定める仕組みにしているところです。  もとの資料に戻っていただき、5頁は医療計画の見直しの関係です。これ についての内容は、これまで何度もご説明をしたとおりで、内容に変更はあ りませんが、右側の「具体的内容」のところが、今回の医療法の改正事項で す。基本的には、医療法では、今回の医療計画の見直しの考え方、あるいは 枠組みといったものを法律の中で書いております。具体的には各都道府県が 作成するものですので、細かい内容までここで書いているわけではありませ ん。そして、最後の星印のところのように、住民、医療関係者と協議をした 上で、医療連携体制を構築していくために、病院・診療所の開設者・管理者 あるいは医療従事者に対して、こうした構築に関する協議などへの「協力の 努力義務規定」といったものを法律上設けております。  6頁は医師偏在の問題です。これも真ん中の□にありますように、基本的 には昨年8月にまとめた「医師確保総合対策」、診療報酬による対応、補助金 による対応など、いろいろな手立てを尽くして総合的に対応していくという のが施策の基本的な考え方です。今回医療法ではどういう対応をしたかとい いますと、左側の□にあります「都道府県」の欄で、いくつかありますが、 中心になるのはいちばん下の都道府県が開催する「医療対策協議会」を医療 法上の制度としたところです。これに対して、右側の(3)、病院・診療所の開 設者・管理者に対しては、協議会への協力、医療連携体制の構築のための協 力の努力義務を課しております。また、医療従事者に対しても、こうした協 力の努力義務を課したところです。  なお、この資料にはありませんが、前回この医療部会で、医師偏在対策の 1つの対応方策として、「へき地医療や救急医療等の診療経験を病院・診療所 の管理者の要件とする」という方策について、委員の方々からいろいろご意 見を賜ったところです。その後、医療部会でも賛否両論といいますか、「否」 といっても内容そのものを否定するというよりも、もう少し議論を重ねる必 要があるのではないか、慎重に議論すべきではないかという趣旨だったと思 いますが、賛否両論あったかと理解しております。また、与党の関係議員に もいろいろ意見を聞いてみましたが、やはり、賛否両論ありました。内閣法 制局ともいろいろ法制的な面でご相談をしておりましたが、いくつか法制的 な課題についての指摘もありました。そういう中で、法案の提出時期も迫っ ておりましたので、今回、法案には前回ご議論いただいた対策については盛 り込んではいません、見送ることとしたところです。  ただ、医師偏在問題は依然として深刻ですし、議論は重ねるべきではない かというご意見もありましたので、本日の4つ目の議題の中でも説明いたし ますが、開業医やかかりつけ医のあり方、へき地医療等への貢献の評価の在 り方といった観点から、前回お示した案を議論するというよりも、そういう ことも含めて、そうした在り方について更に検討を継続していきたいと考え ている次第です。  資料1に戻りまして、7頁は医療従事者の資質の向上です。これについて は右側の改正案にありますように、行政処分を受けた医師等、「等」というの は歯科医師、薬剤師、看護職員を対象にしておりますが、こういった方々に 対する再教育制度を創設するということです。また、行政処分も、従来なか った「戒告」という行政処分を新たに設けるとともに、業務停止処分は、現 在運用で「5年以内」となっておりますが、法律上「3年以内」と明確にす ることにより、処分を受けた医師の質の確保を図っていきたいと考えている ところです。  また、昨年末「ニセ医師事件」が新聞等に出ましたが、国民から「医師か どうか確認できるように」という要請もありましたので、個人情報保護にも 配慮しながら、医師等の氏名等の情報提供ができる根拠規定を今回の法案の 中に盛り込んだところです。また、看護師等についての名称独占規定の創設、 あるいは、看護師国家試験を合格していない方で保健師・助産師の試験は受 かるという方がいますが、こういった方々は看護業務はできるという整理に なっていますので、それでは質の確保ができないのではないかということで、 看護師国家試験の合格を要件にするという改正をしております。また、外国 人の看護師、救急救命士など、いわゆるコメディカルの13の資格・職種につ いて、医師、歯科医師と同様に臨床修練制度の対象にするということも盛り 込んでおります。  8頁は医療法人制度改革です。これは何回も説明しておりますので簡単に 申し上げます。特に非営利性という意味でいろいろ議論になっている持分の ある社団医療法人について、5つの観点から改革を行い、出資額限度法人と いう制度へ円滑に移行することによって、非営利性の徹底を図っていくとい うことが第1点です。そういった医療法人の中で、地域の中で、特に救急医 療等の医療を担っていただける社会医療法人という制度を新たに創設しまし た。この法人については、当然高い規律性を求めるわけですが、一方で、税 制上の優遇措置等の支援、あるいは公募債の発行を可能にするといったよう な財政的な支援も行うこととしています。  9頁は、6本柱とは違いますが部会でも議論いただきました、有床診療所 の見直しです。これについては右側にありますように、48時間の入院期間制 限規定の撤廃をするとともに、一方で、一層の医療安全の確保という観点か ら、他の医療機関等との連携確保など、患者の緊急時に対応する体制の確保 を管理者に義務付ける規定を設けたところです。併せて、人員配置標準等は 今回新たに定めませんので、一定の情報について開示をする義務を課してい るところです。併せて、医療計画の基準病床数制度の対象にもするという整 理にしております。  10頁は「その他」で、目的、規定等の見直しです。白表紙、先ほど説明し ました5点セットの新旧対照条文の5頁をご覧ください。下のほうは現行規 定で上の欄が改正案です。目次を見て分かりますように、これは戦後できた 古い法律ですので、やや規定の仕方がバラバラだったものを患者の視点に立 ってという趣旨も込めて、第2章に「医療に関する選択の支援」という章を 設けました。第3章には「医療の安全の確保」という新しい章を創設してお ります。第5章は医療計画、医師偏在対策といったものが内容になりますけ れと、「医療提供体制の確保」という章を新たに起こし、条文の整理等を行っ たところです。  また、新旧の6頁では、第1条はこの法律の目的規定で、「医療提供施設相 互間の機能の分担及び業務の連携」。医療機能の分化連携が非常に大事だとい うことをこの部会でも議論していただきましたが、そのことを書いておりま す。また、「医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に 提供する体制」。患者の視点に立つという趣旨で、医療を受ける者の利益の保 護ということも目的として明記いたしました。単に医療を提供するだけでは なく、良質かつ適切な医療を提供するのだという考え方を明記いたしました。  第1条の2は、医療の理念を規定した条で、真ん中の後段に「医療提供施 設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスと の有機的な連携を図りつつ」という概念を医療の理念の中に盛り込みました。 また、第1条の4は医師等の責務に関する規定で、4項で、先ほども言いま したが、これからは地域の中で医療と保健、福祉が連携をしていかなければ ならないという医療の提供理念に基づき、病院または診療所の管理者に対し て切れめのないサービス、保健・福祉等のサービスの連携を図るという配慮 規定を設けたところです。  また資料1の10頁に戻り、医療安全の確保です。これは医療安全支援セン ターの制度化等を内容とするものです。また、在宅医療の推進が非常に大事 になっておりますので、いくつか関係者の努力義務規定等を設けているとこ ろです。施行期日は、原則、平成19年4月1日としております。ただし、有 床診療所の見直しは、それよりちょっと早く、平成19年1月1日。また、薬 剤師等の再教育の義務化については、準備の都合がありますので、平成20年 4月1日としております。以上です。 ○部会長 ただいまの説明につきまして、何かご質問等ありましたらお願い いたします。 ○小島委員 いま総務課長から改正案の概要について説明をいただきました が、これは国会にすでに出ているということですので、それが成立してから といいますか、具体的にどう施行するかという話になると思います。  2点ほど要望を述べておきたいと思います。1点目は、先ほど説明いただ きました中で、9頁の有床診の問題です。48時間の入院規制の撤廃について は、私は、これまでに何度か「反対である」という意見を述べておりますが、 すでに法案として出ていますので、今後、最後の検討会等のあり方で議論さ れますけれども、その中で医療施設のあり方、有床診あるいは診療所、今回 診療報酬上のほうでは、在宅療養支援診療所と新たな制度がつくられるとい うことになりますので、そういうものも含めて、是非、機能のあり方につい て十分検討会の中で検討していただきたい。当然、配置基準等のあり方も含 めて検討いただきたいというのが1点です。  もう1つは、今回の法案の中でほとんど議論をしていなかったと思います が、7頁の医療従事者の質の向上の改正案の中で、外国人の医療従事者の臨 床修練制度の対象を拡大するという件です。これについては、いま外国人の 研修生という形で受け入れて様々な問題を起こしておりますので、あくまで も修練研修の趣旨を徹底するように、運用というところで徹底していただく ような措置を、今後検討していただければということであります。 ○部会長 ほかにございますか。 ○尾形委員 2点ほど確認いたします。資料5頁で国の基本方針を定めると いうことが書いてあります。新旧対照表でいうと23頁、新しく章と節が設け られて基本方針が出ています。医療計画の、ある意味で上位概念になるもの だと思いますし、非常に重要なものになると思いますので大変結構なことだ と思います。お聞きしたいのは、どういうプロセスで基本方針を定めていく のか。例えば、この審議会あるいは部会との関係について、ご説明いただけ ればと思います。  もう1点は、8頁の社会医療法人制度の創設です。この図で見ると、特定 医療法人と特別医療法人が、両方収斂して社会医療法人になるように見える のですが、実際には、特定医療法人の制度は存続するのではないかと思いま すので、この辺はどう考えたらいいのか。中長期的には社会医療法人に一本 化していくという考えなのか、この2点について確認したいと思います。 ○部会長 お答えをお願いします。 ○総務課長 医療計画についてはこの部会でもいろいろ議論をいただきまし たが、こちらの部会に上げるまでに、実は、医療計画に関する検討会という ところでかなり揉んでおりまして、成果品をこちらのほうに上げて報告をし、 ご承認いただいた形になっております。今後、ご質問の基本指針、大臣の示 すようなものについても、実は、この検討会の中でもかなりその骨子といい ますか、理念といいますか、そういったものが一応形つくられておりますの で、それをまとめまして検討会にご報告させていただくことになるかと思い ます。  法人関係については、確かにこの絵でご覧いただきますと、特定医療法人 がなくなってしまうような誤解を受けるかもしれません。もう少し詳しくご 説明しますと、特定医療法人の名称そのものは医療法では位置づけられてお らず、租税特別措置法という法律の中で位置づけられておりますので、医療 法の改正によって社会医療法人制度をつくったにしても特定医療法人制度は 残ります。ただ、残った特定医療法人の方々が医療法で定める、今度の社会 医療法人になるといいますか、2枚看板を掲げることは可能ですので、そう いう意味でこの図を作りました。誤解を招くかもしれませんが趣旨はそうい うことです。 ○部会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょう。 ○村上委員 6頁です。今回、管理者要件が載らなかったのは私としては非 常に不満です。と言いますのは、地域の病院は医師がいなくなって次々とつ ぶれかかっています。これは全国で起こっているわけです。そういう中で、 今回それを期待していたのですが、それは流れました。6頁の努力義務とい うところで、医療対策協議会の協議結果を踏まえて、都道府県が行う医療従 事者確保のための施策に協力する努力義務と書いてありますが、具体的には 法令の何頁に載っていて、どういうことでしょうか。努力義務というのがち ょっと分かりにくいので、もう少し説明を求めたいのです。 ○総務課長 新旧対照表の31頁、医療計画の関係の節の次に「医療従事者の 確保に関する施策等」を新たに起こし、第30条の12に、「都道府県は次に掲 げるものの管理者、その他の関係者との協議との場を設け」、すなわち医療対 策協議会を設けるという意味です。「これらの者の協力を得て救急医療等確保 事業に係る医療従事者の確保、その他都道府県において必要とされるような 確保に関する事項に関し必要な施策を定め、これを公表しなければならない」 と。まずは都道府県に対してそういう義務を課しています。それで1号から 8号まで、大学の関係者を含め、この協議の場に参画をしなければいけない ことを書いております。そして、その2項で、「前項各号に掲げる者、患者そ の他の関係者は、協議に参画するよう都道府県から求めがあった場合には協 力しなければならない」と。協議への参加の努力義務を課しております。ま た、次の第30条の13で、「その他の医療従事者は都道府県が定めた施策の実 施に協力するよう努めなければならない」、ということで協力義務を課してい るということです。 ○村上委員 素人なので法律のことはよく分からないのですが、努めなけれ ばならないというのは、やらなくてもいいわけですか。 ○総務課長 もちろん努力義務ですから、当然、努力していただくと。努力 ですから、仮に、どうしても協力したくないという人がいたときに、法律の 趣旨からいうと適切でないと思いますが、ただ、何か罰則がかかるというこ とにはならないということです。 ○古橋委員 資料4頁です。今回の医療法の改正案については、最も重要と 思われるものがここにあります「患者等への医療に関する情報提供の推進」 であります。改正案の第6条では、やはり従来たくさん議論がありましたが、 今度はポジティブリスト的に、これを広告してはならないという言い方で決 まっていくようです。内容的にはたくさんのことが盛り込まれておりますが、 今後、厚生労働大臣が定めるものというものを定めていく場合に、医療を受 ける人々の要望や意見を十分聞くということを、是非とも、項目を定める中 で行っていただきたいと思っております。もちろん医療側は、こういうこと が定まることによって、苦しんだり、痛みも伴いますが、そういうことに対 する良い内容をつくるべく努力も医療側は始めていく、そういうエネルギー を医療提供者は持っていると思いますので、是非とも、厚生労働大臣の定め る事項が決定していくプロセスで、国民、住民、医療の受療者の意見を十分 に調査するなり、聴き取るなり、そういう努力をお願いしたいと思います。  もう1つは、5頁の地域連携クリティカルパスです。今回診療報酬の改定 では、たった1疾患しか認められないことになりました。こうした動きを受 けて医療機関では、地域連携クリティカルパス作成に向けてエンジンをかけ てきたところですが、たった1疾患で、肩すかしを食ったというような思い でおります。このことに関しては、作成を推進する医療法と同時に、健康保 険法での評価が、より早くスピーディーに決定されますようにお願いをして おきたいと思います。 ○部会長 ありがとうございました。いろいろご意見をいただきましたが、 これは今後も引き続きお考えいただきたいと思います。  次に議題に進みます。前回からの継続案件であります議題2、「療養病床再 編成に伴う医療法施行規則の見直し」です。前回1月20日以降に法案提出と の関係で動きがあったということですので、その経過も含めて、資料2に基 づいて事務局のご説明をお願いします。 ○総務課長 本日も前回同様、老健局及び保険局の担当者を出席させており ます。前回と重複する部分もあろうかと思いますが、新たな資料も追加され ておりますので、再編成の趣旨等について、まず老健局から説明をいたしま す。 ○老健局山崎課長 資料2です。療養病床再編に関しての背景は、10頁以降 に参考資料がありますのでご覧ください。  11頁に療養病床の現状が書いてありますが、現在、療養病床は医療保険適 用と介護保険適用の2つがあります。全体で38万床で、医療保険適用は25 万、介護保険は13万です。11頁には入院患者の状況が書いてあります。前 回もご紹介申し上げましたが、これは中医協の資料ですが、上の図にありま すように、医療の療養病床と介護保険の療養病床は、大体入院患者の状況と ほとんど変わらない状況で、その中で、特に医師による直接的な医療提供頻 度という面では、ほとんど必要がないという方が半分近く占めている状況で す。いわゆる社会的入院と言われている問題です。  この療養病床に関して今回は再編を考えさせていただきたいと思っており、 その内容は12頁です。この再編に当たりいちばんキーになります考え方とい うのは、入院患者の医療の必要度に応じた再編です。図の左側に療養病床が あります。医療保険適用と介護保険適用とありますが、それぞれの状況を見 まして、医療の必要度の高い患者に関しては、引き続き医療保険適用という 形で対応していく。一方、医療の必要性の低い患者に関しては、むしろ介護 といいましょうか、病院という形ではなく、将来的には老人保健施設、ケア ハウス等の介護のサービスといったもので受け止めていく形の再編を進めて いきたいと考えています。  この場合に大変重要なのは、いかに円滑に進めていくかということになり ますが、1つは、ここにありますように、療養病床全体を廃止するわけでは ありません。医療保険の適用については、看護・介護体制を充実した上で引 き続き進めていくということです。全体では大体15万床ぐらいと見込まれて おります。  一方、医療の必要の低い方に関する対応としては、年限を切り、平成24年 3月、平成23年度末ですが、この時点を再編のゴールと考えています。ここ にありますように、介護療養型医療施設については、平成24年3月をもって 廃止するという形で進めたいと考えております。その場合に非常に大事なの は、先ほど申し上げましたように、いかに円滑に進めるかということです。  まず第1点から申し上げますと、経過措置を十分とっていきたいと思って います。真ん中の円の中に経過措置とありますが、経過的な部分として、医 師3名の体制を医師2名という形に、介護についても少し緩和し、経過的に こういう介護施設のほうに移行できるようなものを考えています。そして、 最終的には、平成24年度以降、老健施設、ケアハウス、在宅療養のほうにス ムーズに移行できるように進めていきたいと考えております。  13頁です。そうしますと当然、病床という面では転換という措置になるわ けです。これに関しても、いろいろな支援措置を考えていきたいと思ってお ります。大きく左側に書いてありますのは、医療療養もしくは介護療養に関 して、病床を転換する場合に必要がありましたら、これに関する転換の支援 策として、医療保険財源もしくは市町村の交付金という形で支援したいと思 っています。  一方、右側に、それを受けとめる制度ということで考えますと、先ほど申 し上げました、医師・看護職員等の配置が緩和された経過的類型というもの を考えさせていただきたい。更に真ん中は、いわゆるハード面ですが、病床 面でいちばん転換しやすいといいましょうか、対象になりやすいという意味 で老健施設があります。これに関しては1床当たりの床面積がありますが、 これに関しても経過的な施設基準を考えたいと思っています。最終的には介 護保険の受け皿といいましょうか、介護保険事業計画における見直しも検討 したいと思っています。  14頁は、今回の法律に当たり、私どものほうで「検討規定」という形で、 今後の検討についての規定を置いております。ここに書いてありますのは、 いま申し上げました受け皿としてどうしていくかということになりますが、 その中で老人保健施設、老人福祉施設についても基本的なあり方を含め、こ れに関してどう考えるかということも併せて検討を進めていくということで 検討規定を置きました。 ○企画官 次は資料2の1頁です。療養病床再編成の背景なりその内容を説 明いたしましたが、1頁以降、前回と共通する資料がありますので端折りな がら説明いたします。今回、「療養病床再編に伴う医療法施行規則の見直しに ついて」ということです。1頁は、療養病床の現状、介護と医療とあります という話です。2頁は、いまの資料と同じものを付けてあります。3頁は、 今回療養病床の話を申し上げておりますが、医療提供体制の見直しというこ とが、そもそも話としてありますということです。4頁は、こうした中で、 医療というのは環境の変化に対応するためには、こういった限られた医療資 源を効率的に活用するということが必要ですので、この療養病床の適正化を 進めてその人員配置の強化も必要だということ。そして、今回の医療提供体 制の改革においても、地域の医療機能の適切な分化・連携、トータルの治療 期間が短くなる仕組みづくりということが最大の柱となっている。そういっ た流れの中にあるということです。  (2)で、このことは医療制度改革大綱の中でも、連携体制をつくるとい う話、また、医療費の適性化、長期入院の是正など、それぞれ進めていくと いうことが盛り込まれるということです。  5頁の点線の中は医療制度改革大綱の中身で、こういったことを進めてい くということです。(3)で再編成の必要性ということで、ここは重複します ので、ここまでの経過ということです。6頁のいちばん上の○ですが、こう いったことを進めていこうということで、3行目にありますが、現在開催中 の通常国会に提出しております健康保険法等の一部を改正する法律案に、介 護療養型医療施設を平成23年度までに廃止することなどを内容とします介 護保険等の改正というのも含まれているということです。  (4)は療養病床再編成の概要で、これがいま老健局の総務課長がご説明 を申し上げた内容です。基本的方向として(1)(2)、それを具体的に進めていく ための転換支援措置ということで4つのことを記載しております。そして、 最後の行から、改正法の附則で、検討規定、最後の頁にありましたものを点 線で囲ったのが7頁の上にあるということです。  そういった背景のもとで、医療法施行規則に定めます療養病床に係る人員 配置標準の見直し案です。(1)人員配置標準の引き上げでありますが、再編 成後の療養病床というのは、看護「4:1」、看護補助「4:1」とされてい ることを踏まえ、「療養病床は長期にわたり療養が必要な医療必要度の高い患 者を受け入れる病床」との位置づけを、医療法の体系上で明確化するため、 医療法施行規則を改正しまして、(1)看護配置「4:1以上」、看護補助は「4: 1以上」というのを本則としてはどうかと。なお、平成23年度末までは、現 行の「6:1」・「6:1」というのも経過措置として6年間認めることにし てはという案です。  なお、平成18年度の診療報酬改定におきまして、患者の状態像に応じた慢 性期入院医療の評価の留意点の1つとしまして、今回医療区分1、2、3と 分けることになりましたが、医療区分2、3に該当する患者を8割以上受け 入れている病棟というのは、看護職員の、今回実質配置「20:1」といいま すから、現行でいうと「4:1」、また看護補助も実質配置「20:1」、現行 でいうと「4:1」を満たしていなければ医療区分2、3に相当する点数は 算定できないということで、今回の診療報酬改定のほうでも、それは見られ ているところです。なお、参考のところに看護配置「4:1以上」、看護補助 配置「4:1以上」とする理由ということで、現行の診療報酬基準と当ては め状況というのが、8頁の上にあるように、現行でも特殊疾患は、かなりの 割合が「4:1」・「4:1」を上回って配置しているということですし、3 つ目の○にありますように「4:1」という数字は、昭和58年の特例許可老 人病院が創設される以前の水準と同じ水準になるということが言えるところ です。  8頁の(2)は、人員配置標準を緩和した経過措置類型の創設ということ であります。療養病床の再編におきまして、介護療養型医療施設は平成23年 度末に廃止ということで、その円滑な移行のための経過的な類型をつくるこ とが方針としてあるわけです。これを受けまして、平成18年度の介護報酬改 定において、現行の療養病床のほかに、将来的に老健施設や特定施設への転 換を念頭に置いた経過措置として、在宅復帰・在宅支援機能の充実を要件と して新たな介護報酬上の評価を創設するということの検討が、来月分科会が 開催されて検討予定とあります。また診療報酬改定におきましても、上記と 同様の人員配置を緩和する類型をつくることも来月審議予定という話です。  こういったことも含めて9頁でありますが、医療法の施行規則におきまし ても、これも平成23年度末までの経過措置ということで、附則でも期間を限 ったものとして、新たに医師・看護職員等の配置を現行より引き下げた類型。 具体的には、現行の介護老人保健施設における配置との均衡も考慮して、医 師の配置については、現行の最低3人から2人に緩和する。また、患者数に 応じた配置も「48:1」から「96:1」へと緩和。また看護職員の配置につ いても、現行の看護職員「6:1」、看護補助「6:1」、合わせれば「3: 1」で半分が看護職員になりますが、それを合わせて「3:1」、うち3分の 1以上は看護職員。老人保健施設の場合は、2/7以上は看護職員とする案 はどうかということです。  なお、その実施の期期でありますが、介護療養病床の廃止等を盛り込んだ 健康保険法等の一部改正法案の成立の公布後、医療法施行規則の改正を行い、 また、介護報酬・診療報酬の見直しの施行時期に合わせて一斉に実施する、 ということにしてはどうかと考えています。 ○総務課長 いま資料の説明で申し上げたとおりですが、医療法施行規則改 正の部分については、前回1月20日にこの部会において、省令で定める配置 標準について案を示し、意見を伺っている途上でありました。法案提出の関 係で、再編後の療養病床の配置標準については、老健施設等に転換していく 経過期間中の療養病床の配置標準についての数字も含めた形で、与党の了承 を得られているところです。医療部会におきます前回からの審議との関係で 申し上げますと、結果的に与党での議論が先になってしまったということに なってしまうわけでございまして、委員の皆様方には大変失礼なことになっ たかもしれませんが、是非、この案でご了承をいただきたいとお願いを申し 上げる次第です。 ○部会長 ただいまの説明に関する質問も含めまして、自由にご意見をお願 いいたします。 ○三上委員 いま総務課長から、与党で先にこのことが決まったということ に対して、ご了承いただきたいという話でしたが、この療養病床、介護療養 型が廃止になるという話が突然決まったことについては、医療側、あるいは、 この医療部会の委員としても少し疑問を感じております。もともとこれは老 健局のほうで、介護給付分科会のほうでこの審議をされて、廃止が決まった ということですし、また自民党の厚生労働部会の中でも、非常に反対意見が 多い中で、社会保障調査会長預かりというような形で、強引にこれが認めら れてしまったという経過は本当に残念だと思います。  また、その根拠となるようなものが、ベッド数は日本は多いとか、平均在 院日数の長いことが医療費の高騰につながっており、社会的入院がその原因 だということで、これを是正するためにということでこの廃止が決められた ということですが、日本のベッド数、病床数が多いことと、あるいは平均在 院日数が長いこと、社会的入院と言われる状態が日本に根づいていることが、 果たして、本当に医療費の高騰につながっているのかどうかという根拠が全 く示されておりません。  日本の医療費というのは先進国の中で最も低いわけでして、なおかつ、健 康達成度は高い、また1位とWHOで認定されているわけですから、在院日 数が長い、病床数が多いというようなことが本当に高騰につながるのかとい う根拠も示されずに、これを根拠として介護療養型を廃止するということを 強引に決められたということは、非常に問題だと思います。それも6年先に 廃止ということになります。2012年といいますと、昭和22年生まれの団塊 の世代が65歳に達するときで、この時期から高齢者、65歳以上の人口は急 激に増えることが予想されるわけです。  そうなりますと、要介護者、有病者の数が当然増えてくるということが予 想されるわけですから、必要病床数というもの、あるいは、介護施設といっ たものも、当然参酌標準等も考え直さなければなりませんし、その時期に合 わせて病床数、介護施設を増やさなければならないということを本来考える べきであると思うわけですが、その時期に合わせて減らすと。介護給付をや めるということであればまだ分かりますが、療養病床自体を15万床に減らす という話が出るというのは、全くおかしいのではないかと考えております。  事務局は将来推計、高齢者の将来推計とか、要介護者、有病者の将来推計 をどのように見ておられるのか。そして必要な病床数、介護施設数をどのよ うに見ておられるのか、このデータを出していただきたいと思います。 ○小山田委員 質問があります。13頁の左側に、現在療養病床が38万、こ れを6年後に15万床にすると。その右側に、これが移行した場合に5つ、老 人保健施設以下ありますが、これがその時点で、平成24年に23万という数 字が書いてあります。現在、この右側のほうに盛っている病床はいくらです か。それは分かりませんか。これを合計してですね。  現在老人保健施設、ケア・ハウス、有料老人ホーム、グループホーム、在 宅等々で、現有している病床はどのぐらいですか。 ○老健局山崎課長 12頁に老健施設とあります。ここで23万と書いてある のは、療養病床全体がいま38万あります。したがいまして、ベッド数をこれ で見てみますと、医療保険適用で15万ということは、逆に言いますと、残り のベッド数は23万だということです。その上で、老人保健施設は、現在28 万床あります。ケアハウスといっても、これは居住系のものですが、これに 関してもケアハウス数、有料老人ホーム等を加えると、大体15万ぐらいのも のがあります。あと在宅のほうは、これはまさに拠点でしてベッド等ではあ りませんが、在宅に関してもいろいろな受け皿があるといった状況です。 ○小山田委員 分かりました。療養施設から移って行くだけのキャパシティ があるのかどうか。それから、6年後まで、これらで十分に持っていくだけ の計画は明確にされるのでしょうか。 ○老健局山崎課長 これは三上委員のご指摘と同じですが、私どもとしては、 今回療養病床の再編ということでこういう数字を出しています。これから確 かに高齢者も増えますし、要介護者も増えてまいりますが、この方々につい て、そもそも適切な形でサービスを提供していくのが基本であります。この 療養病床の再編とは別として、現在参酌標準と呼んでおりますが、介護施設 については増やすべきところは増やしていくというように考えております。  したがいまして、トータルにおける介護施設、もしくは在宅についてどう いうサービスをつくっていくか、この点は十分意識しております。その上で、 今回ここに書いておりますのは、あくまでも療養病床で、まさにその部分に ついてどう病床転換等を図っていくかというある部分であって、そう考えた 場合に、38万ベッドがあるという中で、実際にこれをベッドという観点から 再編していく場合には、こういったことが考えられるのではないかというこ とです。例えば老健施設で考えますと、いますでに28万ありますので、当然 療養病床を転換されますと28万に更に上乗せになって、その分は増えていく という形になると思います。  現状でいきますと、それぞれの介護施設の整備というのは都道府県、もし くは市町村が決めていく形になっています。都道府県においては、介護保険 事業支援計画で、どれだけの施設等を用意するかを、それぞれのニーズに即 して適切なものを積み上げていく形になると思います。 ○土屋委員 13頁の資料を見ながら申し上げますが、介護療養型医療施設、 すなわち介護型の療養病床を廃止するという意味は、介護保険からの保険給 付をしないという意味であります。そもそも、介護療養型医療施設の病床は 療養病床です。それを、介護保険から給付がされなくなったから、だから即 それを廃止してしまう、その病床が消えて無くなってしまうという話にはな らないと思うのです。これはもともと療養病床で、基準病床数の一部をなし ているわけです。13頁の図を見ますと、すべて病床を転換してこういうもの に移行するようなことを書いてありますが、介護のほうから給付されないな らば、そもそもの医療病床に戻るというものもあるはずです。もっと申し上 げますと、この病床をどうするかに関しては、経過からしますと、他の局あ るいは部会で検討されてきたものを、医政局としては追認しているわけです。 本来、医政局の医療部会で、療養病床を含めて、病床はどうあるべきかとい う「あるべき論」を議論すべきです。その結果として、その病床をどうする のか。基準病床数というのは、れっきとしてあるわけです。それを参酌標準 で云々という格好になっていますが、介護病床云々という話ではないわけで す。もっと本質的なところで、医療用の病床をどうするのかという議論は、 ここで全くされておりません。これは完全に医政局マターだと思うのです。 医政局が主体性を持って、その裁量性を持って、ここで決めたことを保険局 なり老健局で、診療報酬上もそうですが、どういう具合にこれを手当するの かを考えるべきであろうと思いますが、どうも、これは逆になっているので はないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○総務課長 逆になっているのではないかというご指摘、まさに、私ども事 務局に対して、審議の進め方が不適切ではないかというお叱りだと受け止め ております。確かに、十分な審議をしていないという意味では、そのとおり です。ただ、私どもが1月20日の部会で相談をした際にも説明したと思いま すが、私どもは医療法という法律を所管しております。医療法には療養病床 という規定があって、その定義は、主として長期にわたり療養を必要とする 患者を入院させるための病床、ということです。  今回は、先ほど山崎課長からもございましたように、療養病床が全部なく なるわけではございません。療養病床の中で、介護保険で給付を行う介護療 養病床を、社会的入院問題の解消という意味で、6年後に廃止をするという ことです。一方、医療必要度の高い方については、当然長期にわたって療養 が必要な患者ですから、医療療養病床、医療保険のほうで引き続ききちんと 受け入れを確保していくという提案です。したがって、医療法で言うところ の療養病床自体は、制度としては無くなってもいませんし、考え方も、基本 的には変わっていないと理解しています。  ただ、いわゆる療養病床で受け入れる患者の病態が、今回の介護療養病床 の廃止に伴いまして、単純には割り切れませんが、医療必要度の高い方だけ になっていく。逆に言うと、医療必要度の低い方は介護の施設、ケアハウス や老健施設に移っていくという前提になります。そうしますと、いま医療法 の施行規則で決めている療養病床についての人員配置標準について、従来の ような「6:1」・「6:1」という医療従事者の配置の薄い配置で適切なの だろうか。医療の必要度が高い人ばかりになるので、それを今回省令改正を して、「4:1」・「4:1」に引き上げてはどうか。あるいは、老健への転換 を考えたときに、円滑な転換という意味で経過型のものを一方でつくっては どうだろうか、というご相談をしているわけですので、その点は是非ご理解 を賜りたいと思います。 ○土屋委員 おっしゃることは理解できなくもないのですが、この医療法の 施行規則には、「療養病床は長期にわたり療養が必要な患者を受け入れる病 床」となっていたものの中に、「医療必要度の高い」という文言を入れたわけ です。すなわち医療法がらみのこれを改正しなければならないという重大事 なわけです。これを逆に、そういうことを他局で言ってきたから、それに合 わせてこういう格好にするということは問題ではないか、ということをいま 私は申し上げているのです。  最後に1つだけ、もう一度確認しておきたいのですが、介護療養型医療施 設にある病床がすべて、それを廃止する瞬間に消えてしまうというわけでは ありませんね。先ほどの図でもそうなのです。老健局でお作りになった資料 の13頁の左側に、医療療養病床(茶)、介護療養病床(赤)とありますが、 赤から茶のほうへ行くという矢印がありません。そうすると、介護療養病床 は、廃止した瞬間に病床として消えてしまう、すなわち基準病床の中からこ れが消えてしまうということを前提に考えていることなのですか。 ○老健局山崎課長 13頁の図は、全体の転換に関する支援措置で書いてあり ますので、逆に誤解を呼んでいるのかもしれません。むしろ12頁目をご覧に なっていただくと、当然、介護の療養病床の中にも、例えば医療の必要度の 高い方を中心に対応するという面で、医療療養といいましょうか、それにな るケースももちろんございます。まさしく、介護にせよ医療保険適用にせよ、 ここに関しましては、医療の必要度に応じて対応するということで、病床に 関しましても、当然、介護から医療に行く場合もありますし、逆に医療保険 適用のほうから介護施設のほうへ変わっていく場合もあり、その部分につい ては、それぞれの状況に応じてという形です。 ○土屋委員 転換なり何なりしていただくのは結構ですが、空いた病床は基 準病床数になおカウントして残るわけですね。消えてしまうわけではありま せんね。それを確認しているわけです。 ○企画官 空いた病床というのはあれですが、基準病床数は、その地域の年 齢なり性別なり、必要状況で決まります。また、ほかのサービス、療養病床 の基準病床の算定式は、その必要数から老健施設など他の施設で受け入れる 数を引くことになります。ただ、現状あるものが突然無くなるわけでないの はご指摘のとおりで、その後どういった地域の状況になっているかによって、 次回の計算のときに見直しが行われるという話ではございます。  先ほどの土屋委員の発言の中で、医療法施行規則に、医療必要度の高い患 者を受け入れると書くというように受け取られたようですが、省令上は数字 を変えるだけで、こういった文言を省令に入れるという話を提案しているわ けではございません。 ○土屋委員 いまは入っていませんが、「医療必要度の高い」という文言が入 った資料を提出していたのではないですか。 ○企画官 数字を変えるということで、そういう文言を入れることを提案し ているわけではございません。 ○渡辺委員 1点質問です。先ほど山崎課長からご説明があったのだけれど、 13頁で、転換する場合、老健、ケアハウス、有料グループホーム、在宅療養 と書いてあります。たしか年末の段階では、これに特養、老人福祉施設も入 っていたという記憶がありますが、これがどうなっているのか。先ほど山崎 課長が参酌標準の見直しということを言及なさったのだけれども、参酌標準 を見直すとなったら、いまは当然特養、老健療養型でやっているわけですが、 この療養型が無くなるわけです。ベッドは消えないかもしれないけれども、 とにかく、介護保険的には無くなる。そうすると、参酌標準の対象は特養と 老健になるはずですね。それも含めて、特養はどうなったのかご説明いただ きたいのです。 ○老健局山崎課長 この内容は、病床転換ということを念頭に置いて考えて おります。療養病床を見ますと、運営主体は医療法人です。したがって、特 養をつくる場合は社会福祉法人という形で別の法人になるわけで、ベッドを そのまま転換するわけにはいきません。今回のペーパーは、まさに医療法人 としてベッドそのものを転換する場合に、受け皿として何があるかというこ とで、いちばん可能性があるものとして老人保健施設やケアハウスを並べた わけです。しかし、地域によっては特養が足りないケースもございますので、 当然、特養を整備していくという形で、こういう受け皿をつくっていく地域 もあり得ると思います。  参酌標準というのは3年に一度決めているわけですが、現在の参酌標準と いうのは老健、特養、療養病床等々ありますが、その中で内訳を特に示して ございません。全体の数をそれぞれ、何床であるという形で示しており、最 終的にそれを各施設にブレークダウンするのは各都道府県という形になりま す。したがって、将来的には、療養病床がこういう格好で再編成されていき ます。その時点におきましては全体の枠としてどれだけのものをつくってい くのか、そして、その内訳はどうするのかと言うときには、老健施設や特養、 特定施設も当然カウントしてくるという形になるわけです。 ○渡辺委員 私が伺いたいのは、おっしゃるとおり、特養は今、一部自治体 立もありますが、大概は社会福祉法人です。結論を先に言うと、医療法人が 特養をつくれるような道を開くお考えがあるのか。6年先の話だからまだ決 まっていないのかもしれないけれども、そのお考えを聞いているのです。 ○老健局山崎課長 特養自体をどうするかも法律改正になります。逆に言い ますと、介護施設自体のあり方というのは当然議論があるとは思いますが、 私どもとして今考えておりますのは、現行の中でスムーズな転換が必要だと 思っています。そうなりますと、念頭にありますのは、老健施設や医療老人 ホーム等がいちばん転換しやすいだろうと考えている次第です。現状におい て、特養の問題をどうするかというところまでは、私どもとして一定の方向 を持っているわけではありません。現状においては、各法人が転換できるよ うなものをしっかり用意していくことがまず大事だと思っています。 ○小島委員 前回この問題を議論したときに私は欠席しましたので、この問 題について、改めて基本的な考え方を述べさせてもらいます。今回の療養病 床の再編について、この方向については基本的には賛成です。それは、これ までの説明にもありましたように、我々も、社会的入院の是正を行うべきだ という観点、あるいは急性期医療に医師や看護師等の人員配置を集中すると いう観点からも、いまの医療提供体制の全体的な見直しをする中で、今回出 されているような療養病床の転換、再編という方向については、基本的に賛 成です。今回、介護保険のほうで、最終的に平成23年度までに介護療養型病 床は打ち切るということで、出口がはっきりしました。出口をはっきりさせ た上で、その間にスムーズに転換できるような措置をどう図るかがこれから の課題ではないかと思っております。  特に、いま療養病床に入院されている患者の受け皿をどうスムーズに確保 していくかが、これから具体的なプログラムを作るに当たって必要な措置で はないか。いま入院している患者が不安を覚えない対応について、十分な配 慮をお願いしたいと思います。  そういう観点で、今日提起されている人員配置の引き上げの件、これも既 に診療報酬のほうでは、慢性期入院病床の、医療の必要度に応じた医療区分 で診療報酬を3区分にすることになりました。医療の必要度のより高い患者 が中心的に入る療養病床については、人員配置の引き上げは当然必要だろう と思いますので、そういう方向での見直しも是非すべきだろうと思います。  最後に、手続の問題から言えば、まさに皆さんが指摘されるような問題は あるだろうと思っております。すでに国会に法案が出てしまった、いわば今 日はそれの報告だというような位置づけになってしまうかと思います。介護 保険法の見直しは昨年の国会で十分に議論して決めるべきであったと思いま すが、今回それが後手になったということについては、まさに厚労省の手続 上の問題があると思っております。そこを十分踏まえて、これからスムーズ な医療と介護の連携を十分図る中での転換というものを進めていくべきでは ないかと思います。 ○西澤参考人(佐々委員代理) いままでいろいろ議論があったように、こ のような大事な問題が然るべき議論なしに閣議決定されたということは、非 常に問題だと思います。今何人かの委員から同じ意見が出ましたが、医療部 会の議論の結論として、このような重要な問題に関しては然るべき議論の過 程を踏む、ということを是非明記していただきたいと思います。特に、療養 病床の問題だけではなく、このような大きな問題が今後然るべき所で議論さ れないで決定されていくことに関して、私たち提供側としては非常な不安を 覚えております。小泉内閣では、改革には民意を問うと言っているのです。 民意を問うというのは、このような部会等できちっと議論することだと思い ますので、そういうことでは反省していただきたいと思っております。  また、今回の議論の中で、切れ目のない医療の提供ということがあります。 慢性期医療を「4:1」・「4:1」にするのは非常にいいことだと思ってお ります。しかし、経過措置を抜きにしまして、その後の着地点を見ますと、 老健施設で、ここの看護は「10:1」です。患者の状態というのは、急によ くなるわけではありません。シームレスということを考えると、「4:1」の 看護から「10:1」ということで可能かどうかをもう一度議論していただき たい。また、介護施設が老健と特養の2施設でいいのかという議論も是非し ていただきたいと思います。  11頁で議論があって、介護療養をなくする根拠ということで、医師の直接 医療の提供とか、入院患者の状態像ですが、ここで「可能性が低く福祉施設 や」という所の「福祉施設」は、医療法人がアンケートに答えたときには特 養をイメージしております。ここのおおよそ30%の人は特養でいいというこ とですので、特養への転換ということは、是非制度を乗り越えてやっていた だきたい。特に、今回このような大きな法律改正をするのであれば、特養を 医療法人でつくることが可能とすることぐらいは、もっと簡単ではないかと 思いますので、その辺りも検討していただきたい。  11頁で、調査は介護保険と医療保険の療養病床の患者、入所者だけを対象 にしておりますが、是非、同じ調査を老健、特養でやっていただきたい。特 養の中に医療度の高い人はかなりいるはずです。そして、そのような方は、 特養ではなくて、今後医療保険の療養病床で見るということが望ましいと思 います。是非、介護保険三施設、それから医療・療養病床全部含めてのケー スミックスの調査をしていただいて、それを基にした対応を今後していただ きたいと思います。 ○塩塚参考人(杉町委員代理) 杉町から発言するようにとのメモを預かっ ていますので、読ませていただきます。「介護型と医療型の療養病床が合計 38万床あり、医学的な管理を必要としないお年寄りが5割近くも入院されて いることは確かに問題で、これを減らすことには国民も納得していただける と思います。ただ、15万床にしたいという案が出ておりますが、15万床が果 たして適当なのかどうか、そこの検討も必要であるように思います。」以上で す。 ○辻本委員 団塊の世代という言葉はあまり好きではないのですが、私もま さにその世代の一員です。この世代がまさに新しくこの形にはまっていくわ けですが、1つだけお願いをしたいのは、“2012年”にうろたえないため にも、今から国民に対して十分な説明をしていただきたいということ、そし て、この議論の内容を一人ひとりが自分の問題として考える意識啓発につな げていただきたい、ということをお願いしたいと思います。  と言いますのは、団塊世代の娘・息子、いわゆる家族になる立場の30代 前後の世代の人たちの医療観、もっと言えば、医療への期待値というのは非 常に高いのです。その世代が家族になり、そして団塊世代の親が年をとって から、いわゆる医療が受けられないのだということを果たして納得できるの かどうかが、私どもがいま電話相談などでお聞きしても、すごく大きな疑問 として感じています。  ただ、いわゆる団塊の世代の人たちというのは、批判精神も高いのですが、 納得すれば、行動変容にもつながる世代と思っておりますだけに、十分な説 明と啓発活動、そして、国自体が、一人ひとりの命をいったいどう考えてい るのかということを、いまよりももっと努力をして、ここに向けていく必要 を改めて感じております。よろしくお願いします。 ○遠藤参考人(松井委員代理) 厚生労働省が今回提案されている方向につ いて基本的には賛成というスタンスです。入院治療の必要性の高い人に適切 な病床を、今回再編成して差し上げようということ、あるいは、社会的入院 を解消して、その面で結果的にQOLが高まる人もいるのではないかと思わ れるという点から、今回の再編を、年次を確実に区切ってやっていくという ことについて賛成したいと考えます。  再編成の途上において経過措置を設けるということなのですが、その間の 検証措置等もしっかりやっていただきたいと思います。 ○古橋委員 現在の療養病床の中に医療保険適用の方々と介護保険適用の 方々が一緒に入っていらっしゃることに対しては、受療者にわかりにくい、 説明のしにくい部分があると私は思い続けておりました。そういう点では、 適用される保険制度が1つになるということは必要ではないかと思っており ます。  もう1つは、ともに療養病床にお入りの方々が同様のADLレベルで入っ ておられて、同じような方が老健にいらっしゃるのと、受けるサービスや生 活の度合、生活者としての意識などの状況が変わっている。どうしても、病 院にお入りになると、そこに診療という要素が働きまして、検査、注射、薬 というようなことが発生してまいります。それが悪いとは申しませんが、そ ういう中で寝たきりの状況になるというようなことは、多少老健、その他グ ループホーム等々から見れば多いように、看護者の立場からは思えておりま す。そういう点では、比較的ADL状況のいい方が、こうした生活者として 存在する領域に移行していく、ということは大変必要だと思っております。 ただ、電撃的に出ましたこうした案で現実的に衝撃を受けるのは、13万床を 運用している医療機関と、13万床に入っている国民だろうと思います。  議論も出てくると思いますが、この現実に当面する課題で、入っている方々 について、先ほど辻本委員もご発言でしたし、今日私からの意見にも書かせ ていただきましたが、こうした議論が動いているということ、病床転換議論 や方針やそのわけ辺りを正確、かつ迅速に国民に説明をしていく。そして、 そういうことの動きで、比較的軽くて社会的入院だと自覚できるような方々 に意識の転換をしていくということは大事と思います。  最大の重要性は受け皿の整備です。そういう点では意見も出ておりますが、 単純に医療法人の枠内でということではなくて、受け皿整備がもっと拡大し ていく。そういう中で、看護と介護をメインとした、俗に言う「ナーシング ホーム」というようなものも、新しいサービス体系として考えられていくこ とがあってもいいのではないか。そして、医療費を食うということではなく て、高齢者の要介護、要支援の人の生活を保障していくようなナーシングホ ーム、看護と介護が一体化したようなものの構想が、これを機会に動き出し てもいいのではないかと思っております。 ○三上委員 先ほど辻本委員が言われたように、将来的に医療が薄くなると いうことに対して、国民のコンセンサスを得るということは必要なことだと 思います。また、シームレスなサービスを提供するということで「4:1」 から「10:1」へ飛ぶのはいかがなものかということでした。いまナーシン グホームの話が出ましたが、いわゆる看護、介護の問題もありますが、いち ばん大きなものは医療施設である、24時間医師の当直が要るということです。 医療施設と介護施設の違いは、医師が当直をしているかいないかですから、 そこの違い、「10:1」とか「8:1」とかいうシームレスな看護体系あるい は介護体系と全く別の要素があることを十分理解していただきたい。この根 拠となりましたタイムスタディー自体には、医学的管理と言われるような当 直の部分は全く評価されていないということで、私もこの委員会に出ており ましたが、根拠としては乏しいと感じております。 ○佐伯委員 資料を見ていまして、事実として平成20年、あと2年のうちに 65歳以上の方が、日本の中で2,700万人ということです。その2,700万人の 方の中で、どのぐらいお元気な方がいらっしゃるのか分かりませんが、キャ パシティーとして私たちが持てるのが38万のベッドしかないということに なるので、明らかに、ほとんどの人は自分の家で過ごしてください、という ことになるわけです。  そこで、医療というのは何をしてくれるものなのか。医療に何を求めるこ とができて、どこからはそれを諦めねばならないか、そういう生き死にのわ きまえみたいなものが今とても求められているのかと思います。例えば高齢 者としても、どこまで生きることの医療サービスを受けるのかという辺りを いま考える時であるという意味も含めて、大いにアピールもしていただきた いし、議論の場も設けていただきたい。2,700万人を何とかケアするために は、ナーシングホームも1つでしょうし、いろいろなことが必要でしょうけ れど、こんな圧倒的な数字の大きさには、もっとみんなが驚いて知恵を寄せ ないといけないと思います。 ○小方委員 簡潔に申し上げますと、私は賛成の意見です。11頁も2頁も同 じデータでしょうけれど、療養病床の現状がそこに表示されておりますが、 このまま放置するという状況ではないと考えますと、今回の提案のように、 再編も含めて、ある程度思い切った方向性というものに取り組んでいく必要 があるのかと感じます。療養病床を医療中心の場にするのか、あるいは生活 中心の場にするのかという意味で1回整理をして機能分化をし、結果的には それが社会的入院を少し減らしていく。あるいは、資源の適正配分というこ とを考えますと、そういった方向性も必要なのかと思います。私が保険者の 立場から申し上げますと、保険料の効率的な運用という観点からも、この方 向からチャレンジをしていく必要があるのかなと考えております。  この賛成というのを前提で、24年までに計画的にそういう方向性に取り組 んでいくわけですが、チェックも含めた途中経過の情報公開のようなことも、 是非併せて取組みの中に、計画として入れていただきたいと思います。 ○部会長 この療養病床の件につきましては、他の論点に比べまして医療部 会での議論は時間的にも短かかったと思います。それと、今日の説明のよう に、与党との関係で決まってしまったから何とか承認してくれというのは、 いかにも医療部会が軽んじられているはという思いを皆さんお持ちかもしれ ません。いろいろご意見がありましたように、一方で療養病床が医療保険と 介護保険に分かれていて分かりにくい面がありますし、さらに、社会的入院 を無くして介護の制度を整えていくことに関しましても、皆さんおそらく異 論はないと思います。  この部会としては、いろいろご意見を伺ったということで、今度新しく附 則に検討事項が置かれるということですし、法案成立後にはその検討状況や 実際の転換の進み具合などを、是非皆さんも関心を持って見ていただければ と思います。  局長がいらっしゃれば、本当は局長のお考えもいただきたいと思ったので すが、国会のほうへお出かけです。この件はここで打ち切りにいたしますが、 厚生労働省では、法案が成立次第、医療法施行規則の改正ということが行わ れるわけですが、本日この部会でいろいろと委員から出たご意見を十分に踏 まえて、あくまでも、医療費の抑制というよりは患者の視点という本来の考 え方で、是非、患者の医療に支障がないように、今後も全力を挙げて取り組 んでいただくようにお願いしたいと思います。  まだ2つ議題がありますので、それに移らせていただきます。議題3は「特 定機能病院の看護職員の配置基準」ですが、これについて資料3の説明をお 願いいたします。 ○企画官 資料3について説明いたします。1頁の上の四角の中ですが、昨 年12月8日のこの部会での意見の中で、「特定機能病院については、看護職 員の人員配置標準について、医療安全の推進を図る観点から、特定機能病院 に係る入院患者数に対する基準を引き上げる」ということで、数字はなしで 引き上げるということの方針を決めていただきました。これを受けまして「対 応方針(案)」の○の2行目で、「特定機能病院における手厚い看護職員配置 の必要性、現在すべての特定機能病院において『2:1』は満たしている状 況等を踏まえ」となっています。  次は2頁です。昨年10月に全特定機能病院から業務報告していただいたも のを見ますと、「2.0:1」を満たすのは全80施設です。次の「1.5:1」を 見ますと、62が満たしており、18が満たしていない。そして、この18の施 設が満たすようにしようとすると、常勤者が約200名必要であるということ です。最後の2行は、「1.4:1」という数字で見ますと、約半数が満たして、 半数が満たしていないということで、満たしていない39施設で「1.4:1」 にしようとすると、約1,100名を確保する必要があるということです。  1頁に戻ります。こういった状況を踏まえまして、本年4月1日から、現 在は「2.5:1」という基準ですが、これを「2:1」にしてはどうかと考え ています。  その上で、特定機能病院制度のあり方について、高度な医療を担うという ことで医療施設体系のあり方に関する検討会において検討していかなければ いけないということもあります。また、18年度の診療報酬改定におきまして、 急性期の入院医療については「1.4:1」相当の基準が新たに作られたという ことも踏まえつつ、本年4月1日から「2:1」に引き上げた上で、さらに 特定機能病院の配置のあり方を検討していくことにしてはどうかと、本日ご 提案させていただきたいと思います。 ○部会長 いまの説明に関するご質問と意見交換をお願いします。 ○小島委員 特定機能病院は、より充実した医療を提供するということです。 今回診療報酬改定でも、「1.4:1」という新たな人員配置に対する評価が出 来たということもあります。本来は1.4〜1.5ぐらいまで配置基準を引き上げ ることが必要だと思います。2頁の資料を見ましても、1.5の場合には18施 設が満たしていないというような現状もあるということですので、とりあえ ず「2:1」で提案されていることでやむを得ないと思います。 ○古橋委員 私もこの部会でかねてから、特定機能病院の現状、あるいは特 定機能病院が目指すもの等からいきまして、特定機能病院の看護職員配置と いうのは、現行ではとても駄目なのだということを発言し続けてまいりまし た。今日示されたように、「2:1」では、各病院では何の努力も始まりませ ん。もちろん、「1.4:1」が診療報酬のほうで新設されましたので、経営的 な努力の中でそういう動きは始まると思いますが、今日示された「1.5:1」 を満たさない18施設が、特定機能病院の看護配置が例えば「1.5:1」にな ったとすれば、ある意味で至上命令です。  確保の努力は、見直しの需給の中で困難があるということが見えてきては おりますが、もう1つ、定着への努力、あるいは看護業務の質や量の改善、 あるいは教育体制の見直し等々が動き出すのです。そうしたものにアクセル を踏んでもらうことの動機づけの芽まで、「2:1」では摘んでいくのです。 そういう点で、私は、是非とも「1.5:1以上」であることが必要と思ってお ります。保護主義的、護送船団的にこうした案が出たとするならば、看護界 としては、改善のチャンスが先へ流れたという気もしております。そういう 点では、是非、これから議論されるでありましょう特定機能病院というもの の機能についての中で、看護職員配置については早急に検討していただくこ とをお願いしたいと思います。 ○土屋委員 この看護職員の配置標準というのは、特定機能病院に関わる問 題だけではありませんで、すべての病院に関わる問題なのです。診療報酬上、 何段階かのものが手直しされました。そうしますと、特定機能病院だけでは なくて、その他の病院も何とか上を取ろうということで努力をすることにな ろうと思います。  ここで考えなければいけないのは、看護師の需給見通しを念頭に置いてト ータルとして検討しないと。部分的に特定機能病院だけを持ってきて、ここ だけ重点配置すればいいというような話ではないのであります。将来の見通 しをしますと、地域にあっては看護師は絶対的に不足しており、特定の所だ けにそれを集中させるのかという議論になります。もっと申しますと、先ほ ど申し上げたことにも少し関連するのですが、1頁の下のほう2、3行で、 「診療報酬改定において「『1.4:1』相当の基準が新設されたことも踏まえ つつ」と言っています。これはこの場で、医政局マターとして、この医療部 会でどうあるべきかを検討すべきと考えます。それに対して診療報酬をどう これに手当するかが考えられるべきであって、中医協でこういうことになっ たから、保険局が言ったから、だからそれを追認して、この場で、医政局が そんなものを踏まえて検討すると言うのでは、ちょっと情けないような気が するのですが、いかがですか。  結論から申しますが、そういう状況にありますので、今ここだけを触って、 「1.4:1」にするなどということは無謀なことです。とりあえず「2:1」 で行くことがいいのではないでしょうか。また改めて、特定機能病院をどう するのかという見直しの中でその看護配置についても検討する。そして、特 定機能病院のことだけではなく、その他の病院の状況も鑑みて検討すべきこ とであろうと思います。 ○三上委員 私も「2:1」でいいという意見ですけれども、いわゆる高度 な医療を実現するために、看護配置を多くすれば高度な医療は実現するのか ということも原則的に考えなければいけないと思います。私個人的には、現 在、特定機能病院は医師が「8:1」で、一般の「16:1」の倍の配置にな っておりますが、逆にこれを「6:1」にするほうが有効なのではないか。 看護師の数を増やせば高度な医療はできるのか、あるいは医師の数を増やせ ば高度な医療ができるのかということは、今後医療施設のあり方に関する検 討会で十分検討していただきたいと思います。 ○部会長 これもまた、いろいろご意見を頂戴しました。今回の引き上げで、 「2:1」で固定するのは困るというのが看護サイドのご意見かと思います。 特定機能病院制度のあり方は、これまでも報告がありましたように、総合的 に検討するということになっておりますので、その中で是非、看護定員の問 題も含めて議論していただければいいのではないかと思います。一般病院に ついて出ましたのは、診療報酬上「1.4:1」の評価ができてくる中で、その ことだけでも特定機能病院に対する1つの刺激になるかもしれませんし、今 後議論をお願いしたいと思います。そういう前提のもとで、本年4月からは 「2:1」で行くということでご了解いただければと思います。  最後の議題は、議題4「医療部会意見に基づく検討会の予定」ということ で、これにはただいまの特定機能病院のことも入るのですが、資料4につい てのご説明をお願いいたします。 ○企画官 資料4について説明いたします。昨年12月の医療部会の意見の中 で、今後検討会を設けて検討するとなっているものが何箇所かございます。 それについて、今後どのような進め方を考えているかについてご説明を申し 上げます。  1頁の1は「医療施設体系のあり方に関する検討会(仮称)」です。意見の 中では、(1)地域医療支援病院制度全般にわたる検討課題、(2)特定機能病院制 度のあり方の話で、いまの人員配置の話も含む形になります。そして(3)で、 医療法施行規則の「病院における外来患者数に基づく医師数の配置標準」規 定の必要性、この3つの論点についてこの検討会で検討するという意見にな っています。  ここに3つ挙がっておりますのは、いずれも病院に関わる論点だけになっ ていますが、医療部会意見の中でも、かかりつけ医に求められる役割や機能 のあり方を検討する必要があるだろうということでした。また、医療連携体 制の構築の中での救急医療や高次医療に必要な医師の確保策ということで、 先ほど議題1の中で総務課長からも申し上げたように、開業医やかかりつけ 医のあり方、へき地医療の貢献のあり方などの話の議論の場も含めて、先ほ どのご意見の中にもありました有床無床の話にもある病院や診療所、いずれ も医療施設ですので、こういった今後のあり方に関わる論点について、意見 書に掲げられた1、2、3に限らず広く議論をすることにしてはどうかと考 えております。  なお、スケジュールにつきましては、新年度の早い時期(5月目途)に第 1回を開催し、各論点について順次検討を進める。もし、政省令や運用通知 の改正によって対応可能な論点について方向性を、これで行こうと出し得る 場合は、個別項目のみで必要に応じて取りまとめを行い、順次具体化を図っ ていくことにしてはどうかと考えております。  2の「広告規制等検討会(仮称)」の検討課題について、12月の医療部会 の意見の中では、(1)として、都道府県が医療機関の情報を整理して公表する 制度の対象とする一定の情報の範囲をどうするか。(2)として、広告事項の見 直しあるいは広告に関するガイドラインの策定等、これは大臣あるいは省令 で定めるもの等も含む話です。(3)は、医療機関の名称における制限の緩和、 (4)が、院内掲示を義務づける事項の見直し、(5)は、広告規制の新しい制度施 行後に働かせる事後チェック機能を持たせようということが出てきており、 これらの実施を進めるということです。  2頁に移ります。これは今国会に提出した医療法等改正法案の実施のため のものですので、法律成立後に検討会を設置します。ただ、来年4月施行部 分の中身について政省令等を決める話もございますので、審議をどんどん進 めていくということで、少人数で常設のものとするということです。先ほど 議題1の中で、人選や進め方についての意見がありましたが、こういったこ とも留意して進めていきたいと思います。  3は「病院薬剤師の業務及び配置標準のあり方に関する検討会(仮称)」で す。病院薬剤師の配置について、これまでの経緯等を踏まえて検討会を設け、 具体的な検討を進めると12月の意見で書かれており、検討課題として、病棟 における服薬指導など患者に対する適切な薬物療法の提供、医薬品を中心と した医療安全確保の観点から、病院に勤務する薬剤師の業務のあり方、及び 配置標準のあり方について、これまでの経緯等を踏まえた具体的な検討を行 うということで、一応、今年中に立ち上げて、まず実態調査を行った上で検 討を進めていくという手順でどうかと考えているところです。 ○部会長 3つの検討会が立ち上がるということですが、ただいまの説明に つきまして意見交換をお願いします。 ○小島委員 先ほどこの検討会のあり方について要望してきましたが、特定 機能病院の看護配置の基準について、とりあえず今回はやむをえないという ことで、私は「2:1」でいいという意見ではありません。「1.4〜1.5:1」 を目指すべきと考えております。医療施設体系のあり方検討会で、そういう 看護配置、あるいはここに指摘されたような医師の配置についても是非検討 をお願いしたいと思います。それと有床診あるいは診療所のあり方も含めて、 十分検討をお願いしたいと思います。  療養病床の転換では、老健施設等への転換ということですが、そうなった 場合、老健施設自体がいまの体系でいいのかどうかも含めて、検討項目に入 っておりませんが、検討をお願いできればと思います。  それと、この検討会がふさわしいのかどうか分かりませんが、療養病床の 転換について6年間の経過措置があります。そのプロセスあるいは経過につ いて、チェックしていくような、検討会など、どこか議論する場はないのか、 これは質問です。 ○老健局山崎課長 法律でも検討規定があり、当然、そういったものについ ては検討を進めていくことになります。加えて、私どものほうも介護保険に ついては当然ウォッチするわけですし、関係の分科会等もございます。その 中でこのサービス内容について、円滑な転換を進め、問題が起きないような 形でやっていきたいと思いますし、必要に応じていろいろな議論もしていた だこうと考えている次第です。 ○佐伯委員 先ほど古橋委員からもお話がありましたが、いま医療を受ける 側にどういう意向があるのか、どういう評価をしているのかというようなこ とを、きちんといろいろなテーマで出せる、そういう検討会がもっとあって もいいのではないかと思います。いまここに挙がっているのは、医療提供側 の方が中心となって、そこに1人、2人入るかもしれないのですが、いろい ろなテーマで。例えば年代層によっても抱えている問題も違うと思いますの で、広く国民あるいは患者の立場の人が分かりやすい、納得できる、そして 安心して信頼できるというような医療をつくるために、抽象的かもしれませ んが、医療のあり方に関する検討会、そういう名称がいいかどうかわかりま せんが、本質論みたいなことを問うような検討会を継続して設けていただき たいと思います。 ○山本(信)委員 病院薬剤師の業務と配置標準のあり方の検討会を立ち上 げていただけるという報告がございました。今日のスケジュールでは本年中 に立ち上げるということですので、年内にも立ち上がるのだと思います。い ろいろ作業もあることは十分理解しておりますが、できましたら、なるべく 早いうちに立ち上げていただきたいということが1点です。  また、その検討会では病院薬剤師の業務等について検討がされると理解を しておりますが、その際に、できましたら、単純に数字がいいかどうかとい う問題とは別に、ここにございますように、服薬指導や医療安全への関わり など、薬剤師が実際に病院の中で行っている業務を把握する、あるいは将来 どんな方向に病院薬剤師の仕事が進んでいくのか、といったようなことも踏 まえた検討をされた上で、その結果、何人の薬剤師が要るという議論になる よう、なるべく早いうちに検討会を立ち上げて、調査等を行う方向で進めて いただくようにお願いします。 ○遠藤参考人(松井委員代理) 医療施設体系のあり方に関する検討会で、 特に有床診療所の問題も含めて検討されるというご説明があったと思うので すが、私どもとしては、有床診療所における入院の実態等を適切に調査して いただいた上で、有床診療所が果たす機能を類型化して、適切な連携分化が 図れるような検討を是非お願いしたいと思います。その上で適切な評価を行 うことも含めて、検討会を進めていただきたいと思います。 ○村上委員 これの最後、医療連携の構築の所に書いてありますが、地域医 療が医師不足で完全に崩壊しかかっております。これは各地方紙にかなり載 っているはずなのに、まだ都会の人たちは分かっていないのかもしれません が、地域住民は大変不安感を持っているわけです。このような社会問題化す る問題が、今回は管理者要件が流れてしまったのですが、これについては何 らかの対策を他にやっていただけるのか。ここでちゃんとやるような方策を とっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 ○辻本委員 これは蛇足になるかもしれませんが、1の医療施設体系のあり 方に関する検討会の中に看護の問題をきちっと位置づけて加えていただきた いと思います。先ほど来高度な医療ということが医師の数を増やすこと、と いうようなご意見も一方にあったと思いますが、私はむしろ、医療と看護と いうことがきちっと横並びになった、その体制の中で、患者がまさに医療の 主人公になっていくためには、層の厚い、患者に最も身近なナースがどう関 わるかということが非常に大きな問題だと考えております。  それと、診療体制がいろいろ変わる中で、この病院、この施設、看護に一 体何を期待できるのかということを、実は患者が分かっていないのです。そ ういったことも含めて、看護の問題をきちっと位置づけていただきたいとい うことをお願いしたいと思います。 ○部会長代理 新しい3つの検討会の位置づけですが、これは医療部会の中 の小委員会的なものと扱うのか、社会保障審議会の一部に入るのか、医政局 の諮問機関としての検討会という位置づけになるのか、あるいは3つの検討 が別々に行われたときに、それを総合的にまとめて話し合う、いろいろな立 場の人たちが集まって行うという会がどのように構成されるのか教えていた だきたいのです。 ○総務課長 私どもとしていま考えておりますのは、医政局の検討会で予定 しております。それから、医療部会は、厚生労働大臣の求めに応じて意見を 具申する機関ですので、今後この検討会の中でいろいろ議論をしていく中で、 このテーマは是非医療部会の先生方にも意見を聞くべきだ、というようなも のが出てくれば、またそういうことも考えたいと思いますが、基本的には検 討会で整理をしていきたいと考えております。 ○部会長 よろしいでしょうか。そろそろ時間も近づいてまいりましたので、 この件につきましては資料4のような手順で、3つの検討会で検討を進めて いただきたいと思います。  本日の議題は以上ですが、事務局から何かありますか。 ○企画官 特にございません。 ○部会長 次回の日程は特に決まっていないということですので、今後また 必要に応じてお集まりいただくことになろうかと思います。厚生労働省にお きましては、今後法案審議があるということですが、本部会での議論の成果 を具体化できるように、是非ともご努力いただきたいと思います。大変長時 間、熱心なご討論をありがとうございました。本日はこれで閉会にさせてい ただきます。 照会先 医政局総務課 山口、野崎 連絡先:03−5253−1111(内線2518)