06/02/22 第25回ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会議事録 第25回 厚生科学審議会科学技術部会 ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会 平成18年2月22日(水) 厚生労働省専用第22会議室(18階 国会側) ○事務局  それでは、定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹 細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会を開会いたします。委員の皆様方に は本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本日 の会議の出席状況でございますが、柴田委員、橋本委員が御都合により欠席されている と。また、町野委員が今ちょっとおくれていらっしゃるようでございますが、現在14 名の委員に御出席いただいていることを御報告申し上げます。  それでは、以降の進行を中畑委員長にお願いいたします。 ○中畑委員長  おはようございます。それでは、第25回の専門委員会を始めたいと思います。本日は ワーキンググループで取りまとめられました指針の素案についてまず御報告いただきま して、また事前に委員の先生方にはいろいろな意見を伺っておりますけれども、それぞ れの意見について御議論いただきます。本日で指針素案をまとめたいと思っております ので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、事務局から資料確認と資料について御説明お願いいたします。 ○事務局  それでは、資料について御説明いたします。まず座席表がございますが、委員名簿が ございまして、続きまして議事次第でございます。配布資料の一覧といたしまして、資 料1「ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキンググループ」における検討 経緯、資料2、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(素案)(概要)でございま す。続きまして資料3、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(素案)でございま す。資料4でございますが、御議論していただきたい主な意見等でございます。横表に なってございます。資料5でございます。「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」 の策定スケジュールについて(案)でございます。  続きまして参考1といたしまして、ヒト幹細胞等を用いる臨床研究に関する指針(案) (未定稿)でございます。参考2でございまして、これまでの委員会における議論の合 意状況という形になっております。資料は以上でございます。 ○中畑委員長  ありがとうございました。それでは、ワーキンググループの座長であられます坂座 長の方からワーキンググループにおける検討経緯と指針素案の概要について御報告いた だきたいと思います。よろしくお願いします。 ○坂委員  はい。それでは、これまでワーキンググループで行ってまいりました仕事の経過をざ っと御説明したいと思います。  資料3です。最終的に資料3に示しておりますような素案、ヒト幹細胞を用いる臨床 研究に関する指針という素案をつくったわけです。それで、基本的にはこの素案をつく るに当たっては我々が過去3年間かなり議論を深めて一応の姿にまとめた未定稿、つま り参考1がございます。これはヒト幹細胞等、「等」が入っておりますが、ヒト幹細胞 等を用いる臨床研究に関する指針(案)(未定稿)と書いてあります。これが以前我々 が一応の形につくり上げたものでございます。基本的にはこの未定稿を中心として作業 を進めております。  どういう作業をしたかといいますと、この未定稿につきまして、1つは各項目につい て読みやすいだろうというようなことも配慮があって、順番を多少入れかえたというこ とです。それから、非常に大事な点としては、他の臨床研究に関する指針がたくさんご ざいます。例えば臨床研究に関する倫理指針であるとか遺伝子治療臨床研究に関する指 針であるとか他の指針がたくさんございます。そういった他の指針で記載されているこ ととの整合性を図るということが1つございます。それから、文言整理といいますか、 これは本省の方々とも御協力いただきまして、法律用語ですとかこういった文言の方が 適当であろうという観点から文言の整理をさせていただいたと。基本的にはそういう作 業をしております。  それで、これまでの専門委員会で実は少し議論が深められていなかった点といったも のがございましたので、その点については新たにこのワーキンググループで少し議論を 深めて、この素案に盛り込んだということでございます。  どういう点が議論が進んでいなかったかといいますと、1つは薬事法との関連がどう なっているだろうかという点。それから、つい最近施行されましたいわゆる個人情報保 護法、その観点が十分議論されていなかったという点。ですから、その観点から少し見 直すということでございます。  それから、以前、私たちの言葉としては中央審査体制という言葉を使っておりました が、これが少しどういう体制かということがまだ十分な議論ができていなかったという ことでございます。ただし、これは他の指針との整合性という観点から中央審査体制と いう言葉を使っていないで、他の指針におきましては厚生労働大臣の意見等というよう な言葉を使っておりましたので、その言葉に改めて再度この中央審査体制について十分 議論を行ったということでございます。それから、もう1つはいわゆる試料等の品質管 理の問題といったことも十分議論ができていないということで、これも議論を深めたと いうことでございます。基本的にはそういうことをやっております。  それから、もう1つ追加としてやりましたのが、参考までとして、アメリカにおいて この臨床研究の現状がどうであろうかということで、アメリカの現状に詳しい先生をお 呼びしてヒアリングをさせていただいて、情報を教えていただいたということを1回や っています。  それでは、実際にどういうことをやったかということを時系列で書いているのが資料 1のところでございます。第1回、昨年の10月11日から始まっておりますが、基本的 には原則月2回ペースでやっており、最終的に本年の1月18日に最終的に議論をして、 このたたき台をつくり上げたということでございます。  きょう恐らく御議論いただくことになるかと思います資料3、すなわち素案ですが、 これのいわゆる概要といったものを資料2に添付してございます。これは恐らくあらか じめお配りしているかと思いますので、十分お読みいただいているかと思いますが、概 要といったものはそこに書いておりますので、今細かく申し上げると非常に時間がかか りますので、お読みいただいたと理解させていただきたいと思います。  以上、今まで作業の概要を御説明いたしました。 ○中畑委員長  どうもありがとうございました。概要を坂座長に御説明いただきましたが、指針、 素案の詳細については事務局より御説明いただきたいと思います。 ○事務局  それでは、指針の素案でございますが資料2をごらんいただくと同時に資料3もお使 いいただければと思います。  まず指針の素案でございますが、本日お集まりの先生方に事前に御意見をいただきま して、ワーキンググループの座長であります坂座長と相談いたしまして、各委員の御 意見は御趣旨を最大限この素案の方に入れてございます。なお、御趣旨を事務局といた しまして盛り込めなかった点につきましては、資料4という形で御議論していただきた い主な意見等という形で御提示しておりますので、また後ほど御議論いただきたいと思 っております。  それでは、資料2を見ていただけますでしょうか。資料2でございますが、概要でご ざいまして、目的につきましては未定稿を最大限使わせていただいております。また、 指針の範囲といたしましては、ここにございますように、ヒト幹細胞疾病の治療のため の研究を目的として人の体内に移植または投与する臨床研究を対象といたします。ただ し、ヒトES細胞及び胎児(死胎を含む)から採取されたヒト幹細胞を用いる研究等は この指針の対象としません。  また、指針の対象疾患等でございますが、重篤で生命を脅かす疾患、身体の機能を著 しく損なう疾患または一定程度身体の機能を損なうことによりQOLを著しく損なう疾 患というふうに考えております。さらに、2番目といたしまして、ヒト幹細胞臨床研究 による治療の方法の効果が、現在可能な他の方法と比較して優れていることが予測され るもの。さらに、被験者にとってヒト幹細胞臨床研究の治療により得られる利益が不利 益を上回ることが十分予測されるものというふうに考えております。  基本原則といたしまして、ここにあります(1)から(7)、(1)有効性及び安全 性の確保、(2)倫理性の確保、(3)被験者及び提供者のインフォームド・コンセン トの確保、(4)品質等の確保、(5)公衆衛生上の安全の配慮、(6)情報の公開、 (7)個人情報の保護というものを念頭に入れておりまして、研究体制等及びヒト幹細 胞の採取・調整・移植または投与についてという形で、研究体制とさらに各段階、採取 ・調整・移植または投与につきましてそれぞれ明記しているものでございます。  そのような観点から資料3の素案の目次を見ていただきますと、第1章総則といたし まして、目的、用語の定義、適用範囲、対象疾患等、基本原則が述べられております。 これは先ほど概要で説明したものでございます。  また、第2章といたしまして、研究体制等という形の中に、研究体制の中には研究者 等の責務、研究者全員に対しての責務、研究者の責務、研究責任者の責務、研究機関の 長の責務、また研究機関を有する法人の代表者及び行政機関の長等の事業者及び組織の 代表者の責務、さらに研究機関の基準、倫理審査委員会という項目を設けております。 第2項目といたしましては、厚生労働大臣の意見等といたしまして、厚生労働大臣の意 見、重大な事態等に係る厚生労働大臣の意見、厚生労働大臣の調査という項目になって おります。  第3章といたしましては、各研究機関ごとに明記してございますが、ヒト幹細胞の採 取につきましては、第1といたしまして提供者の人権保護、そしてその中に提供者の選 定、インフォームド・コンセント、提供者に対する説明事項、代諾者による同意、提供 者が死亡している場合、手術等で摘出されたヒト幹細胞を利用する場合という形になっ ております。  第4章といたしましては、採取の次でございますが、ヒト幹細胞の調整という段階に なりますが、第1といたしまして調整段階における安全性確保対策等について述べてご ざいまして、1、品質管理システム、2、細菌、真菌及びウイルス等の汚染の危険性の 排除、3、その他という形になっております。  第5章といたしまして、ヒト幹細胞の移植または投与という形で、第1、被験者の人 権の項目といたしましては、被験者の選定、インフォームド・コンセント、被験者に対 する説明事項、代諾者による同意という形で、提供のところと同じような並びにしてお ります。第2といたしまして、使用段階における安全対策等ということで、ヒト幹細胞 に関する情報管理、被験者の資料等の保存、被験者等に関する情報の把握という形にな っております。  第6章雑則といたしまして、見直しと施行期日等が述べられております。  資料2の方に戻っていただけますでしょうか。先ほど坂座長から中央審査というお 言葉がございましたが、情報の流れ等につきましてポンチ絵に示しておりますので、ご らんいただきたいと思います。よろしいでしょうか。資料2を1枚めくっていただけま すでしょうか。  ポンチ絵になってございますが、まず研究の実施をするという左側の枠でございます が、研究の実施をする場合におきましては、研究責任者から研究機関の長に対しまして 実施計画書の提出がございまして、研究機関の長は倫理審査委員会の意見を聞いて、倫 理審査委員会からの意見を受ける。そして、これらを受けて厚生労働大臣から意見をし た後、研究機関の長が実施につきまして責任者に許可・不許可を出すという形の流れに なっております。  また、右側でございますが、死亡事故等の大きな問題、重大な事態等が起きました場 合には、研究者から報告があって、研究責任者において中止などの暫定的な措置をする とともに、B研究者等と書いてございますが、一緒に研究をする施設等にも速やかに報 告をすると。そして、研究責任者から報告が研究機関の長に上がりまして、またこの段 階においても必要な指示がある場合には必要な指示をしていただくと同時に、倫理審査 委員会に意見を上げ、倫理審査委員会の方から対処方針等を含めて御意見をいただき、 厚生労働省の方に報告、また厚生労働省からも意見を言うというような流れになってご ざいます。  ここに書いてございます項目、それぞれ章の場所の名前が書いてございますので、ま た詳しくはそちらを見ていただければと思います。  もう1枚めくっていただけますでしょうか。続きまして流れ図の2枚目でございます が、こちらに関しましては、年に1回の進行状況に関しましては研究機関の中におきま して責任者、研究機関の長、倫理審査委員会の方で御意見、必要な指示、報告等が行わ れる流れになっております。  そして、右側でございますが、最終的に研究が終了いたしました総括報告書の提出と いう段階におきまして、研究責任者から総括報告書が研究機関の長に上がり、倫理審査 委員会の方に写しが行くと同時に、厚生労働省の方にも写しが行くという形になってお ります。こういう形で厚生労働省といたしましても実施段階及び重大な事故があった場 合に意見を述べるという形になっているものでございます。  以上、簡単ではございましたが、素案についての説明でございます。 ○中畑委員長  どうもありがとうございました。ただいま事務局の方から御説明いただきましたよう に、この指針の素案は事前に委員の先生方にお送りして意見をいただいたわけですが、 それも最大限反映させる形で取りまとめておりますけれども、指針に反映されていない 事項もありますので、それを先ほどちょっとありましたように御議論していただきたい 主な意見等ということでまとめてありますので、その点について議論を主にしていただ きたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは、資料4をごらんいただきたいと思いますが、第1章第3、適用範囲でござ いますが、「例えば幹細胞を用いてゲノム解析をした後、その幹細胞を用いて臨床研究 を行う場合は、どの指針の適用となるのか」ということですが、「重なる部分について は両方の指針を遵守する」ということに当然なろうかと思いますので、そういったこと でよろしいでしょうか。  それでは、その次の第1章第3、同じく適用範囲でございますが、「胎児(死胎を含 む)から採取されたヒト幹細胞を用いる臨床研究は、別途指針が定められるまでは行わ ないものとしてはどうか?」という御意見でございますが、今までずっと御議論いただ いた中で「指針の対象から外すということは議論してきたが、研究を行ってはいけない というようなコンセンサスにはなっていない」わけでございまして、「本指針を速やか に執行して、その後速やかに胎児から採取されたヒト幹細胞を用いる臨床研究について 議論を再開する」ということで合意が得られておりますので、一応そういったことで対 応したいと考えておりますけれども、この点については御意見ございますでしょうか。 ○石井委員  よろしいでしょうか。  当初の意見は指針が定められるまでは行わないものとするという規定を置くというこ とを申し上げたんですが、7ページの適用範囲のところの規定は、ヒトES細胞及び胎 児から採取されたヒト幹細胞を用いる研究という形で、ヒトES細胞と並べて適用範囲 から外しているという趣旨は、それは行わないということを意図しているというふうに 私は解したいと思います。 ○中畑委員長  その点についてはいかがでしょうか。ヒトES細胞と同列の扱いになっているからと いうことでございますけれども。ちなみに、一応この点については第23回の専門委員会 でかなり突っ込んだ議論がいろいろあったわけでございますけれども、この点について は、速やかに死亡胎児についてだけはこの指針から切り離して、この指針が執行された 後、速やかにその可否についても議論を開始するということで合意が得られているとい うぐあいに考えておりますけれども、一応そういう解釈で皆さんその点については合意 いただけますでしょうか。はい、どうぞ。 ○鍋島委員  これはもう少しクリアにしていただきたいのは、今既にヒトのES細胞の研究が日本 でもやられていますね。そういう研究もすべて含めて取り扱うのかどうか、どういうこ となんでしょうか。もうちょっとクリアにしていただきたい。 ○中畑委員長  いわゆる一般的な研究ということでは当然ヒトのES細胞というのも行われているわ けですけれども、臨床研究という形では今回のこの指針の中には当然含まれないという ことで今まで議論が行われておりますので、もしヒトのES細胞についてもヒトのES 細胞の臨床研究ということが必要になってくれば、別途それについてはまた議論をする 会をつくる。この会でやるのか、あるいは全く別の会でやるのか、そういうことになろ うかと思います。今回の指針についてはそれについては全く含まれないという解釈で来 たと思います。よろしいでしょうか。はい、どうぞ。 ○位田委員  (1)で研究を行ってはいけないというコンセンサスは得られていないということです が、また逆に研究を行ってもいいというコンセンサスも実は得られていないと思います。 胎児からの幹細胞を用いる臨床研究については今ルールがない状態である。したがって、 私としてはできればルールができるまではやっていただかない方が望ましいとは思いま すが、その辺の結論はまだこの委員会では出ておりませんし、長い間議論はしましたけ れども、議論は一応持ち越しで、ここでやるのか別のところでやるのかわかりませんけ れども、議論は続けるということだろうと思うので、やっていいという形で奨励するわ けではない。 ○中畑委員長  そうですね。これは指針ですので、指針の及ぶ範囲というのはある程度限定する必要 がありますので、死亡胎児に関することはこの指針の範囲には含まれないということで、 指針としてはどうしてもそうなるのではないかと思いますが。はい、どうぞ、町野委員。 ○町野委員  (2)のところで、ヒトES細胞と胎児細胞とを並べて書いてあるから石井先生みたいな 見解が出てくるわけです。ヒトES細胞についてはES指針で臨床研究を現在禁止して いるのですから、これはできないことははっきりしているわけです。それを安易に2つ 並べて書いたところにやはり問題があるので、これは切り離すべきだと思います。 ○中畑委員長  非常によろしい意見ではないかと思いますが、「及び」となるとちょっとあれですの で、ちょっと文章を区切るなりして、誤解はできるだけ与えないようにするということ で、その点については今の町野委員のような御意見でよろしいでしょうか。 ○石井委員  私は反対ですけれども。先ほどの趣旨から私はこう並べて書いておいていただきたい と思いますが、多数意見がそうであれば、仕方がないと思います。 ○中畑委員長  その点についてはいかがでしょうか。並べて書いた方がかえっていいと。 ○町野委員  いや、そういう趣旨ではないと思います。 ○岡野委員  よろしいですか。これは結局3年以上にわたる委員会の第1期目ですね、ES細胞が これに当たらないとしたのは。開始10分後ぐらいにコンセンサス得られていますので、 それと3年間かけた議論というのは同質に扱うというのはちょっとおかしいというのが ありまして、何らかの形で、両方とも対象外ではあるんですが、片方は明らかに指針に 抵触するので扱わない。それは多少区別できる文言に変えられれば、別にそれはよろし いんじゃないかと思います。 ○中畑委員長  一応大多数の意見が町野委員のような形で、カンマをつけるなり何らかの方法で切り 離すという、全く同列のような扱いにはしないということで、そういう意見が多数だと 思いますので、そういう形にしてよろしいでしょうか。 ○町野委員  カンマをつけるのではなくて別個にした方がいいと思います。 ○中畑委員長  別個にした方がいいと。はい、わかりました。それは分けて書くというような形で対 応したいと思います。それについてはまた恐らく書き直した文章を先生方にお送りして、 あるいは事務局あれですか。 ○事務局  そこは町野委員の御意見を踏まえまして整理させていただきたいと思っておりますの で、その整理させていただく段階では座長とも御相談させていただくということで。 ○中畑委員長  それでは、そういう形でやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいた します。  それでは、その次の第1章第5基本原則等、「インフォームド・コンセントを得る者 (説明者)の職業制限は?」ということでございますが、「原則として、刑法で業務上 守秘義務がかかっている職種である医師に限る。ただし、ヒト幹細胞の採取に当たって は、医療行為の程度に応じ、研究責任者が総合的に勘案し妥当と判断した場合にあって は、説明者は医師に限らない。なお、研究責任者が指示した者によって対応する」と。 ちょっとわかりにくいかと思うんですが、全くヒト幹細胞を採取される人がその人に何 ら危害が及ばないというような場合もあるのではないかという御指摘がございまして、 例えばもし尿中に幹細胞があるとすると、尿中にある幹細胞を扱ってどうこうするとい うような場合には必ずしも医師がすべて説明から行うという必要はないのではないかと いうような、そういった特に被験者に危害を及ぼさないような医療行為も一部あるので はないかという御意見があってこういう形になったのですが、この点について何か御意 見ございますでしょうか。 ○町野委員  この文章がちょっとよくわからないんですけれども、「医師である研究責任者または 研究責任者の指示を受けた研究者」というのは、「医師である」というのは全部にかか ってくるということですか、最後の「研究者」まで。 ○疾病対策課長  そうです。 ○中畑委員長  そうです。 ○町野委員  医師であることが必要だというのは、守秘義務がある者ではなければインフォームド ・コンセントの手続きをとるべきではない、インフォメーション与えるべきではない、 そういうお考えですか。どうしてそうなるのか御説明いただけないでしょうか。 ○中畑委員長  一応こういった臨床研究は全体は最終的には患者さんに幹細胞を投与するという医療 行為になりますので、全体を統括するのはやはり医師である必要があると思うんですけ れども、ただ採取に当たる行為というのもその全体の研究の責任者の監督下に置かれる ということになるのではないかと思うんですけれども。 ○町野委員  守秘義務とそれがどういう関係があるか。 ○中畑委員長  事務局、どうぞ。 ○疾病対策課長  よろしいでしょうか。説明が悪ければ、位田先生、よろしくお願いいたします。この 議論の過程におきましてはやはりインフォームド・コンセントをやる立場の方は守秘義 務を守っていただく。その上で適切なインフォームド・コンセントを行っていただこう ということであります。そのお立場と、そして座長が御説明のように、この採取・調整 ・移植または投与、こういった全体を見渡してきちんと御説明できるような立場の方が いいだろう。その2点からどのような立場の方がよろしいかと考えたわけであります。  守秘義務だけをとれば、他の職種においても身分法の中において守秘義務はかかって おります。ただし、やはりこういうようなヒト幹細胞の性格を考えますと、より慎重に 対応された方がいいのではないかということがワーキンググループの中でも議論がなさ れ、刑法上にその根拠があります医師・歯科医師、こういった方々が相当するんじゃな いか。したがって、このように基本的な考え方としては医師である。医師の中には歯科 医師も含んでまいりますが、その方々がインフォームド・コンセントをおこなっていた だく。しかしながら、採取の行為というのが侵襲性があるならば、やはりそれなりの資 格の方ということになるんでしょうが、座長がお話しのように、何も侵襲性の高くない 分野もございますので、そういったものは研究責任者が判断して、そしてその判断のも とにおいてしかるべき方がインフォームド・コンセントを提供者から受けるという仕掛 けはどうかということであります。 ○町野委員  医師でなければ医行為をしてはいけないという問題と、つまり侵襲性の高い医行為に ついては医師でなければやってはいけないという問題と、インフォームド・コンセント を得るときの守秘義務の問題とは全然別の問題ですから、それを2つに同じように議論 されるのはおかしいだろうと私は思います。  そして、インフォームド・コンセントの方は同時に承諾を得る手続きにとどまらずコ ンサルテーションも含んでおりますから、そちらの方はむしろお医者さんではなくてほ かの看護師さんだとかそういう方の方が適切なこともあるだろうと思います。機能が全 然違いますから、この2つをごちゃまぜに、医師でなければやってはいけないというの は議論として私は適当ではないんじゃないかと思います。 ○疾病対策課長  守秘義務だけではないということをお断りしただけであったんですけれども、全般に わたった内容の説明ということも踏まえてという2つの要素で医師・歯科医師でどうか というお話があったということで、何も守秘義務だけの整理はされていなかったという ふうに理解しております。 ○中畑委員長  具体的にはこの素案の9ページ、「被験者及び提供者のインフォームド・コンセント の確保」というところの文章で、守秘義務云々ということは文章中には全く入ってきて いないわけですよね。ここでいわゆる原則として「医師である研究責任者または研究責 任者の指示を受けた研究者でなければならない」と。原則はやはり医師がそういう責任 を持つべきではないかということでここではくくっていると思うんですけれども、ここ の文章の中にはもちろん守秘義務云々等は全く入っておりませんので。 ○町野委員  説明の中には守秘義務という、刑法上の義務で説明をしてます。これを読むと守秘義 務のことを重視したように私は理解しますけれども、では、この説明ではないというこ とですね。 ○疾病対策課長  その2つの要素が入っていると。 ○町野委員  2つの要素を1つのことに関連させるのはやはりおかしいわけで、それは別の問題だ ろうと思います。インフォームド・コンセントを与えるのは、守秘義務ということとは 無関係に、責任の統括者である医師が統括的な責任を負うものがあるから、その人がイ ンフォームド・コンセントを与えるのに責任を持つのだというのでしょうか。そして、 その履行としてほかの人を○○○が指示してやることができるというのが恐らく正しい 書き方だろうと思います。そして、一番最初お聞きしたように、この文章の「指示を受 けた研究者」、ここまで「医師である」というのがかかるということになりますと、そ ういう意味ではないわけですよね。 ○中畑委員長  9ページの文章は「医師である研究責任者または研究責任者の指示を受けた研究者」 というこの後段の部分ですね。 ○疾病対策課長  そこまでかかります。 ○中畑委員長   「研究責任者の指示を受けた研究者」というところにはかからない。 ○疾病対策課長  いや、一番最後の「研究者」のところまでかかりますので。 ○町野委員  一番最後までかかるんでしょう。最初から最後まで全部医者でなければいけない。 ○疾病対策課長  はい。 ○町野委員  それはちょっとおかしいんじゃないですか。 ○疾病対策課長  ここは「指示を受けた研究者」というところまでかかります。守秘義務の説明だけじ ゃなくて、そこはここの臨床研究の行為全般にわたってきちんと御説明できるような立 場の方が必要であろうという、この2つの要素。 ○中畑委員長  坂委員。 ○坂委員  ワーキンググループでの議論をちょっと申し上げますと、どちらかというと町野委員 の意見に近い議論を実はしておりました。当初もそうだったろうと思うんですが、やは りこれは1つの御意見としてインフォームド・コンセントを受ける側が刑法上の守秘義 務を持った方からきちんと受けた方が安心できるのではないかという御意見が1つあっ たんですね。それで、こういう形にしましたけれども、これは私は実際投与するとか医 療行為をするときにはもちろん医師である必要があるんですが、実際にインフォームド ・コンセントをとる場合にはやはりかなり研究のことを全体的にわたってよく理解をし ている人が必要なわけで、そういったうまく説明するのは、必ずしも医者がそれが得意 であるかどうかというのはまた別問題なので、あえて医者でなくていいのではないかと いう意見も実はちょっと申し上げたんですね。ただし、さっき言ったような患者さんが 安心されるとかそういった観点から医師の方がいいのではないかということで、こうい う形にまとめてあります。  ただ、ここに書いてある「原則として、医師である研究責任者または研究責任者の指 示を受けた研究者」という最後まで「医師」がかかるかどうかという点については私は まだ議論はあるかなという気はするんですが、そういう意見だったと思うんですね。 ○位田委員  1つには、これは制度設計の話なので、この臨床研究が進んでインフォームド・コン セントをするプロセスでだれがインフォームド・コンセントをすべきかという問題で す。、全体としては臨床研究ですから医療行為に極めて近いところなのでお医者さんと いうことと、それから患者さんを安心させるという意味もあって刑法上の守秘義務がか かっているということを重視する。守秘義務だけであれば必ずしも医師に限るという必 要はないかもしれませんが、臨床研究という性格でそういう制度をつくった方がいいだ ろうということです。  それから、「医師である研究者」というその「医師である」という言葉が「研究者」 にかかるということは、研究責任者が実は医師でない可能性がありますので、その場合 には研究チームの中のお医者さんである研究者がインフォームド・コンセントを担う。 そういうことを予想して、この「医師である」というのは両方にかかっているのです。 研究責任者が医師であれば、それで構わないんですが。 ○青木委員  「研究責任者」は「医者」にかかっていっているんじゃない? ○位田委員  いえ、あのですね。 ○事務局  14ページの一番上に書いてございます。細則になっています。 ○位田委員  13ページの3研究責任者の責務(1)の(2)で、「研究責任者は科学的及び医療上の経 験と知識を十分に有していること」というのが原則なんですが、その次の14ページの細 則で、「医療上の経験と知識を十分に有していない場合」というのが書かれていまして、 これは要するにいわゆるMDではなくてPhDが研究の責任者であって、その場合には 研究チームの中に必ず臨床経験が十分にある医師が参加していなければならない、そう いう制度設計なのです。基本的にこの臨床研究の指針というのは、全体が医療行為に関 したものであるというコンセプトでつくられていると思いますので、インフォームド・ コンセントもお医者さんと。そういう考え方でございます。 ○町野委員  よろしいですか。インフォームド・コンセントは医療行為に近いから医者がやらなけ ればならないという理屈はおかしいので、それは医行為は医師でなければやってはいけ ないという、そっちの問題と、それからの今の守秘義務があるかどうかという問題と、 それからインフォームド・コンセントを受ける方の被験者が安心するかどうかという問 題、3つの問題をめちゃくちゃに入れて議論しても問題解決にならない。、きょうこれ 以上議論してもかなり大変だと思いますけれども、この文章は文法的に見て位田さんの 言うようには到底読めないですよね。 ○位田委員  どこの? ○町野委員  9ページの3です。そのように読めないので、今の御趣旨でもう1回後で御議論いた だいて、私は余りにも全部お医者さんという考え方は余りよくないと実は思っておりま すけれども、それからその守秘義務の問題と医行為の問題と相手に安心感を与えるとい う3つの問題をみんなぶち込んで制度設計ということも私はちょっとおかしいだろうと 思います。 ○中畑委員長  先ほどお話ししたように、臨床研究。 ○疾病対策課長  よろしいですか、座長。そうしますと、方向性としてはこういう方向性で原則論では いいというように。 ○町野委員  いえ、私はそういう考えではないですけれども。私は区別してもらいたいのは、イン フォームド・コンセントをとるときの責任者の問題と、インフォームド・コンセントの 手続きを実際に実行する人とをまず分けなければいけないということが1つあります。 これが非常にわからないそれになっておりますから。そして、医師要件をどちらにかけ るかということをもう1つ議論しなければいけないだろうというふうに思います。そし て、いろいろ説明したりする実行の方はお医者さんである必要はないだろう。ただ、皆 さんおっしゃられるように、お医者さんが上の方で責任を持ってくれるということはも しかしたら必要かもしれない。しかし、私はそこまでも必要ないんじゃないかと実は思 いますけれどもね。  守秘義務の問題というのは、刑法でこれがあるから重大だという問題ではないわけで、 一般的に研究者というのは守秘義務を持っているというのは当然のことなんですから、 刑罰の威嚇があれば守られるという問題でもないですから、余り刑法を頼りにされても 困るという感じがいたします。 ○岡野委員  よろしいでしょうか。 ○岡野委員  私はどちらかというとワーキンググループでディスカッションしてきたこともありま して、位田委員の意見がよくわかるんですよね。幹細胞を使った臨床研究は非常に新規 性が高いということもありまして、そのリサーチプランすべてを理解した医師が説明す るというのが大原則であると。ただ、その医師が認める方であればそれができるという、 実行部隊に対するただし書きもその「原則として」というところに盛り込まれているの ではないかと考えまして、一応町野委員の言う精神もくんだ形になっているのではない かと。ただ、やはり新規性が非常に高いということもあって、インフォームド・コンセ ントをとる人間は医師であるのが非常に望ましいという原則の議論があったというのは 申し上げたいと思います。 ○中畑委員長  一応そういった形で原則としてということも含まれているわけですけれども、そうい う意味も含めたということで御理解いただけないでしょうか。 ○町野委員  私は原則としてという言葉が非常に嫌いなんです。もし原則ということであるならば、 じゃあ例外は何かということまできちんと書くべきでしょう。 ○疾病対策課長  よろしいでしょうか。このように告示では「原則として」と書かせていただいて、運 用上の問題になりますと、通知等でそのお話については整理をさせていただくというこ とでよろしいでしょうか。 ○中畑委員長  では、一応そういう形にさせていただきたいと思います。  それでは、次の第1章第5基本原則等、「個人情報保護に関する規定が余りに煩雑で はないか?」という御指摘がございますが、「この個人情報保護に関する規定について は、臨床研究指針を初めとした研究指針と特に異なる取り扱いをする必要は認められな い」ということで、従来既に出ております臨床研究指針でも一応個人情報保護は非常に 大事だということで、必ず取り上げてうたっているということでございますので、一応 本指針についても従来のこういった指針にならって、やはりこの点は非常に重要である ので取り上げるべきだということでございますが、この点について御意見ございますか。 はい、どうぞ。 ○石井委員  個人情報がどう取り扱われるかわかりにくいので、資料2のような図をつくっていた だきたいという趣旨のことを申し上げたのですが、そうすると、だれがどういう責任を 負うかわかるのではないかということが1点です。  もう1点は、10ページのところの個人情報保護の最初のところに、「被験者等に関す る個人情報については、連結可能匿名化」ということが挙がっているのですが、私は本 当にこれが適当なのかどうかということを疑問に思っていました。どちらかというと、 この研究は遺伝子治療に近い。そこでは匿名化はしていないので、そういう扱いの方が いいのではないか。提供者については匿名化は必要かもしれないけれども、受ける側に 被験者等について本当に匿名化が必要かということについて疑問を持ちました。けれど も図2で見ますと、幾つもの研究が同時に行われるということを想定しますと、個別の 範囲ではなく、研究責任者がまとまった研究をするときには匿名化ということが必要に なってくるのかもしれないとは思いました。この匿名化をどこでどう行うかをわかるよ うにしていただきたいということが1点と、もう1点、匿名化入れるのであれば、ヒト ゲノムの指針にあるような個人情報管理者をきちんと置く規定を明確にしていただいた 方がいいと思います。 ○中畑委員長  その点についていかがでしょうか。岡野委員。 ○岡野委員  大事な点かと思いますが、恐らくそれは素案の25ページの個人情報に関する安全管理 措置ということで、「個人情報の安全管理のために必要かつ適切な組織的、人的、物理 的及び技術的安全管理措置を講じなければならない」と。恐らくそこの実際の運用的に いわゆる匿名化の方法はどうするかとか、そういったことは後で情報的に付与すればこ こで我々対応できているんじゃないかと思っていまして、実際の倫理委員会でも出てき ますと、どのように匿名化しますかと、そこはちゃんと研究代表者が説明できなければ ならないですよね。一応そういったことを25ページの(2)の文章にワーキンググルー プとしては盛り込んだつもりではあるんですけれども、これで足りないということでし たら運用的なところで説明を付与するという形でいかがでしょうか。 ○石井委員  細則で入れていただくという形でも結構ですので、この指針を見てわかるようにして いただきたいと思います。 ○岡野委員  1つ追加をさせていただきますと、こういった臨床研究については倫理審査委員会を 必ず持っている施設でなければできないという規則が1つありますね。そういった機関 というのは今個人情報保護法で完全に情報管理者を置かなければいけないというふうに 義務化されているんです。ですから、こういった施設というのはまず例外なく情報管理 者というのがいると。 ○石井委員  そうとばかりはいえないと思います。 ○岡野委員  いないというのがちょっと例外というかあり得ないと思うんですね。もちろん細則で うたっても構いませんが、通常は管理者がいるというのが。 ○中畑委員長  施設によってはそこまではちょっと言い切れないかもしれませんね。 ○岡野委員  施設によってはですか。 ○疾病対策課長  よろしいですか。先ほど石井委員がおっしゃられたように、何らかの形で匿名化が担 保できるように整理をさせていただきくということでよろしいでしょうか。 ○中畑委員長  それでは、一応そういう形で対応させていただきたいと思います。はい、どうぞ。 ○青木委員  ちょっと今の第5章4の品質等の確認のところの文章が、第5章基本原則1との整合 性もあるんですけれども、「ヒト幹細胞臨床研究に使用されるヒト幹細胞は、その品質、 有効性及び安全性が確認されているものに限る」。ここに生物由来原料基準に準じてと いうのを入れておいた方がよろしいんじゃないでしょうか。「その品質」というのは非 常にあいまいですね。9ページです。第5章の4です。ちゃんと入れておいた方が見る 方としてはわかりやすいです。この文章は非常に。「ヒト幹細胞は、その品質」で切っ てあって、「有効性及び安全性が確認されているもの」ですけれども、これはヒト幹細 胞の品質ですね。ですから、そこは生物由来原料基準に準じてというのを入れておいた 方がわかりやすいと思います。 ○中畑委員長  これ後でまた出てきますけれども、一応最初の方にもそれをうたった方がいいという ことですが。 ○青木委員  私はそう思いますので。というのは、基本原則の1番の有効性のところで、「ヒト幹 細胞臨床研究は」、その後に「有効性及び安全性が予測されるもの限る」と予測になっ ているんですね。こちらの方は確認ですから、これは非常に重要なことだと思うので、 このところは入れておいた方が、後で見るよりもここであった方がはっきりしていると 私は思います。 ○疾病対策課長  座長、よろしいですか。今のお話でありますが、確認させていただきたいんですが、 生物由来の原料基準ということと、それ以外にもヒトまたは動物由来成分を原料として 製造される医薬品等の品質及び安全性確保についてというのがまた別途ございます。そ して、さらに基本的な考え方でございますが、細胞組織利用医薬品等の取り扱い及び使 用に関する基本的考え方と、3つございまして、1つだけを盛り込むというよりは、こ こは基本原則でありますので、細かい話は書かないで、このようなことを書かせていた だいて、具体的には後ほど出てきます研究機関の基準のところで、それぞれ調整の段階 についてはこうこうこうだと。こういうようなことで具体的に整理をワーキンググルー プでしていただいているところでございます。 ○中畑委員長  という御説明でよろしいでしょうか。 ○青木委員  結構です。はい、わかりました。 ○中畑委員長  それでは、次に進みたいと思います。第2章第1研究の体制等、「ヒト幹細胞の特性 を考慮すれば、ヒト幹細胞を移植または投与することの有効性及び安全性に関し、長期 間の追跡調査を行うべきではないか?」ということにつきまして、「研究責任者の責務 として、ヒト幹細胞臨床研究終了後においても、治療による効果及び副作用について適 当な期間の追跡調査等、必要な措置を行うよう、努力義務規定を定める」ということで、 この点につきまして何か御意見ございますでしょうか。  一応そういう形で対応させていただくということでよろしいでしょうか。  それでは、その次でございますが、第2章第1研究の体制、「倫理審査委員会に女性 委員は複数必要ではないか?」という御意見でございますが、「他の研究指針(ES指 針を除く)と特に異なる取り扱いをする必要性は認められない。女性委員は1名以上必 要であるが、複数を義務づける必要はない」と。この指針だけ特別扱いして、そういう ことにしなくてもいいのではないかという対応ですが、その点について御意見ございま すか。 ○長沖委員  一応私が書いたので。これ、委員会で前に議論の結果、複数を入れてもいいというこ とになったと思うんです。最初はなかったところを複数にしたんですね。じゃあ外部委 員が複数であるのはなぜなんですか。なぜ外部委員が複数で、女性の場合は1人でよい というふうになっているのか。そのときの議論をもう1回思い出していただければいい と思うんですけれども、できれば単数入っていればよいというのは、それはそういう意 味ではお飾りになってしまうというか意味を持たないということになってしまうのでな いかという話を以前の議論のときにしたと思うんですね、ほかのとは確かにずれている と思いますが、これが複数もしそうなれば画期的なことだと私は思います。 ○疾病対策課長  よろしいですか。ワーキンググループの御検討いただいている、あるいはそれ以前の 御検討いただいている状況を見ますと、それ以前の議論の中で今委員がおっしゃられた ようなことがあるとするならば、それは死亡胎児の御議論が含まれた上での御議論だっ たので、したがって、そういう事案も委員の方々が念頭に置きながら御議論されていた。 ただし、死亡胎児については分離されたという時点において、この事案についてどう倫 理委員会の委員構成を考えていくかと、こういうことで御議論が進められていたという ふうに理解しております。 ○中畑委員長  長沖委員、いかがでしょうか。 ○長沖委員  そこまで限定的には話は進んでいなかったというのが1つ。それから、外部委員が複 数である必然性はどこにあるのかお答えいただきたいと思います。 ○中畑委員長  西川委員。 ○西川委員  画期的とおっしゃるけれども、外部委員と女性委員というのは基本的に質が違います ね。外部委員というのは制度設計上必須です。一方、女性委員というのは多分日本の特 殊状況であったり、それから女性であるから男性であるからということが委員の要件で は絶対ないですね。ただし、日本という国がいろいろな形で女性の参加を積極的にやろ うということがここに入っているわけで、例えば女性ばかりのところだったら男性が、 少なくとも異性が入ることになると思うんです。ですから、外部委員は絶対に制度とし て必須ですよね。ですから、女性の問題と外部委員の問題を同列に考えるというのは僕 はちょっと全くわからないです。 ○中畑委員長  今の御意見は委員長も同じ意見ですけれども。 ○長沖委員  いや、私は外部委員と女性委員とは全く同じだとは思っていないんですけれども、な ぜ複数かということに関して、なぜ複数でなければいけないんですかということをお伺 いしたかったんです。多分同じような意味になってくるだろうと思っているということ なんですけれども、たまたま胎児のことが問題になったから女性を複数入れたのだとい うことでしたら、あらゆることに関して日本国内においても女性も意見を言っていくべ きだと思いますが、そのときに女性が1人でいること、これは逆の場合も想定してくだ さってももちろんそうですが、ここに5人の委員がいて全員女性で、そこに1人男性だ というときも同じことだろうと思うんですけれども、1人しかいないときのその人の発 言がどのようにできるかということを考えると複数いた方がきちんと発言できるだろう というのが私の意見です。これが通るか通らないかというのは皆さんの御議論だと思い ますけれども。 ○中畑委員長  長沖委員の趣旨はよくわかるわけですけれども、この1人以上女性委員を加えるとい うのは、先ほど西川委員も言われたような日本の特殊事情というようなこともあって、 少なくとも1人以上入らなければ、やはり今までは男性だけで構成されているような委 員会が非常に多かったので、やはりそういうところは加えるべきだという特殊事情から 出てきたことで、1人以上ということであれば3人でも4人でも5人でも女性が入ると いうことになるので、特にそういう形の御理解でよろしいんじゃないかと思うんですけ れども。  ほかに何か御議論ございますか。それでは、一応ほかの指針とこの指針だけを特別区 別するという必然性も認めませんので、こういう形にさせていただきたいと思います。  それでは、次の第3章第1提供者の人権保護等、「代諾者からの同意は認めないとし てはどうか?」という御意見がありましたが、代諾の制度については今までも何回も議 論しておりまして、今までの議論で認めることで理解されているというふうに考えてお ります。また、未成年者からの同意に関しては、臨床研究、ヒトゲノム、遺伝子解析研 究の両指針よりもより厳格な対応を本指針では求めているというぐあいに考えられると 思いますけれども、この点についていかがでしょうか。はい、どうぞ、長沖委員。 ○長沖委員  私自身も完全に認めると書いた記憶はないんですが、基本的な考え方として、提供者 が代諾を必要とするものでなければいけないというケースはかなり少ないだろうと思う んですね。もしこれが実際の臨床の段階になったときに提供者が代諾者であるという可 能性はあるかもしれませんが、まだ研究段階で提供者を代諾者にしなければならないと いうのはかなり特殊なケースしかあり得ないのではないかと思います。ということで、 提供者を代諾者とすることに関してはかなり限定的にした方がいいのではないかという ことを私は書きました。  例えばこういう場合は認めるという形で、かなり数を限定した形で書いてはどうでし ょうかということと、それからそういう場合、多くの場合は多分自分の細胞をとって自 分で使うケースなのではないかと思うので、例えばそういうケースを想定するなり、そ ういう形で細則の中で書いてはどうだろうかということでした。 ○中畑委員長  先生の言われる趣旨はよくわかります。代諾者から同意を得て採取なりを行う医療行 為というのはかなり限定されたものであるということは十分わかります。そのために31 ページに代諾者による同意ということで、以下のすべての要件を満たす場合に限るとい うことで、かなり限定しているわけですよね。だから、ここでかなり先生の言われたよ うな趣旨は限定されているのではないかというぐあいに考えますけれども、そういう御 理解ではだめでしょうか。 ○長沖委員  もう少し使える方を具体的に書くというくらいの限定の仕方の方がいいんじゃないか というのが私の意見です。 ○中畑委員長  その点について何か御意見ございますか。 ○坂委員  これも何回か前に申し上げたんですけれども、かなり専門委員会でも議論したと思う んですね。委員も私もかなり議論したことを覚えています。その結果としてこういう限 定的なことをきちんと要件を付して代諾を認めるということに一応総意としてなってい るわけですから、ここで同じ議論をするのはちょっと生産的ではないと。 ○中畑委員長  そういう形で委員長も考えておりますけれども、よろしいでしょうか。一応先生の御 意見も十分汲み取った形でこの31ページの文章はつくられているというふうに私は考 えておりますけれども。岡野委員。 ○岡野委員  私の記憶が正しければ、かなり議論しまして、ほかの指針に比べ長沖委員を含め何人 かの方々の意図を汲み取ってこれだけ厳しい形にしていますので、そこはその場での合 意が得られて進んできたと思っておりますので、そこは今になって変えるというのはち ょっと余りふさわしくないのではないかと思います。ですから、相当かなり厳しくなっ ている状況だというのは御理解いただきたいと思います。 ○中畑委員長  石井委員、どうぞ。 ○石井委員  31ページの提供者の場合と35ページの被験者の場合で、(1)の書き方が違うんですね。 被験者の方はやむを得ずなのに対して提供者の方は合理的でいいというと緩いのかと思 われてしまうので、適当ではないように思うのですが、この趣旨について。 ○事務局  事務方から御説明申し上げます。未定稿において、提供者も被験者も代諾者の同意に 関して、「やむを得ない場合」と「合理的理由が明らかな場合」の両方入っておりまし た。以前、専門委員会で御議論されて、「やむを得ない場合」ときっちり示した方がい いであろうということでした。「合理的理由が明らかになっている場合」は「やむを得 ない場合」と同じ内容であったので削除しました。ただし、やむを得ずヒト幹細胞を採 取しなければいけない場合とどういうときのことかはっきりとわからないという御質問 が委員よりありましたので、「合理的理由が明らかであること」(遺伝子治療臨床指針 と同じ書き方です)を採取の代諾に求めまして、被験者の方は「やむを得ない場合」と させていただいたということで、事務局で整理をいたしました。 ○石井委員  整理をして分けているということはどういう意味ですか。違うのですか。 ○疾病対策課長  ここはそういった今までの事務局の中での整理をさせていただいております。したが って、ここは今「やむを得ず」というところに疑義が生じるようなことがあるならば、 採取の事項で取り扱っているこの(1)を移植・投与の方にそのまま同じように記載させて いただくということで、もし御議論してよろしければそのように整理いたします。 ○中畑委員長  今この採取の方の(1)の「合理的理由が明らかであること」というその文章に実際に被 験者の方の代諾者の同意のところも同じ文章・同じ形にするのも1つの案として事務局 から提示されましたけれども。「やむを得ず」というのは非常にあいまいであるという ことも確かに考えられますので、両方を同じ文章にするというのも1つの案だと思いま すが、石井委員、それでよろしいでしょうか。 ○岡野委員  よろしいですか。「やむを得ず」というのは、あれもだめでこれもだめで、結局ラス トセレクションとしてという印象があるんですけれども、例えばオートクラフトという のはファーストチョイスとしての合理性が高いからやっているのであって、大分受ける 印象が違いまして、私としては合理性があるという方にできたら統一していただきたい なと思います。 ○中畑委員長  一応そういう形で統一させていただくということでよろしいでしょうか。その方が。 どうぞ、まだありますか。 ○石井委員  臨床研究指針では代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける手続きの中に必 要不可欠な理由が挙がるようになっていますが、研究計画のところではそのように書い てありますか。 ○中畑委員長  ちょっとページを。 ○石井委員  15ページのところはそうなっていないですね。ここでは「被験者等の本人の同意が困 難な場合に、当該臨床研究を行うことの必要性及び代諾者の選定方針」と書いてありま すが、臨床研究の指針の39ページのところでは、「当該臨床研究を実施するに当たり、 必要不可欠な理由」と書いてあります。「やむを得ず」という趣旨は不可欠ということ ですね。 ○中畑委員長  その点について事務局何か御意見ございますか。 ○位田委員  よろしいでしょうか。これ臨床研究で医師の行為を伴うことでもあるので、できるだ け制限的にというか、より慎重な形でという趣旨でつくられている指針だと思うので、 15ページの下の方の(13)のところ「当該臨床研究を行うことの必要不可欠なこと」と書け ば。 ○石井委員  「理由及び」。 ○位田委員  「及び」ももちろんですが、必要性というだけでは少し弱いということであれば、そ ういう趣旨を込めて「必要不可欠なこと」というふうにしてもそんなに問題ではないん じゃないでしょうか。 ○中畑委員長  西川委員。 ○西川委員  例えばこういうケースが考えられると思うんですけれども、ある治療に実際に用いら れる前に、それがフェーズ1からフェーズ3まであるとしたときに、例えば細胞治療で もまず安全性について確かめるということはありますよね。ですから、そういうこと自 体については直接治療につながらない場合もあるわけですよね。しかしながら、ある人 から見れば必要不可欠なんだけれども、しかしその患者さんから見てそれが必要不可欠 かどうかと。当然そうですよね。安全性というのはやはりほかの方のための一種のサフ リフィケーションみたいなところがあるわけですね。ですから、合理性という言葉は悪 い意味でいうと比較的広い範囲でとらえられるけれども、必要不可欠といったものが個 人の利益だけを指す、あるいは個人の治療そのものだけを指すという話になると、さま ざまな問題が起こるんじゃないかなと僕自身は想像しますが。 ○位田委員  よろしいでしょうか。別に反論するわけではないですが、ここは必ずしも被験者にと って必要不可欠であるというふうには書いていないので、当該臨床研究を行うことが必 要不可欠であるということですから、西川委員がおっしゃったことも含めてそういうこ とをすることが必要不可欠であれば、この臨床研究を行えるということじゃないかなと 思いますが。 ○西川委員  もちろんそういう理解であればいいんですけれども、ですから、この必要不可欠とい う文言自体の持っている意味ですね。それをインフォームド・コンセントをとる、先ほ どの議論と同じで、やはり患者さんがすべて理解をされて許諾されるというプロセスで すよね。もちろん指針を患者さんが読まれないということを前提にするなら別ですけれ ども、これを読まれて、自分自身に対してという部分も当然ありますから、ほかの方の 将来に対してもやはり必要不可欠であるということを理解していただければ全然問題な いですけれども。治験というのはそういうものですから。 ○中畑委員長  一応事務局の方でこの臨床研究指針との整合性という形で対応させていただくという ことでよろしいでしょうか。はい、どうぞ。 ○町野委員  必要不可欠の意味がいろいろなぐあいに使われているのが問題です。例えばこの研究 をするときに同意能力を欠く人の協力を得る必要があるという意味での必要不可欠とい う場合と、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんがいて、そのうちの何でBさんだけかとい う問題もあります。当該被験者という書き方になっていますから、そういうぐあいに読 めるわけですよね。臨床研究の倫理指針の方は結局対象者に及びますからそういう書き 方になっているのは私は理解できる。こちらの方も提供を受ける場合と提供する場合は やはり違うんじゃないかと思うんですけれども。同じように考えて構わないのかどうか 私はちょっとそこら辺わからないんですが、そこらも含めて御検討いただけたらと思い ます。 ○中畑委員長  この特に代諾者による同意というところで、被験者と提供者のところで違う部分があ るから、その辺は少し区別した方がいいのではないかということですが、文章的には両 方の代諾者による同意というところは少し(1)から(4)の内容は違っているのではないかと 私は解釈しているんですけれども。 ○町野委員  よろしいですか。こちらの素案の方の35ページのところというのは移植または投与を 行うわけですから、まさに臨床の方ですよね。ですから、むしろこちらの方に当該対象 者についてこれを行うことが必要不可欠というのが来るのが、恐らく臨床研究の方の倫 理指針に合わせるということだろうと思います。それに対して、提供者の側については 必ずしもそうは言えないので、違うのではないだろうかというのが私の意見です。 ○中畑委員長  という解釈ということですが、この被験者については臨床研究指針と全く同列の扱い になるのは当然としても、提供者における場合は臨床研究指針と必ずしも同じである必 要はないのではないかという町野委員の御意見でございますが。 ○町野委員  済みません、もう1点よろしいですか。ですから、そう見ますと、むしろ31ページの 方の当該提供者からというのは、当該というのは個人に特定されていますね。その人か らもらわなければいけない。35ページの方でむしろ適用される方についてはそれがない んですよね。ここも私はわからないところがあるので、むしろ逆になるのが普通かなと 思いますが私はちょっと判断がつかないところです。 ○中畑委員長  その点についてちょっといろいろな解釈ができると思いますが、提供者ということに ついては、提供者は実際の医療としての直接のメリットはないわけですね。ところが、 被験者の方はそういった臨床研究を行うことによって臨床的なメリットが予想される場 合に被験者になるわけですよね。ということで、その点から言えば、提供者の方をやは りより厳密にした方がいいということで、不特定ではなくて当該提供者とした方が論理 的に必要だと思いますけれども。はい、どうぞ。 ○町野委員  御趣旨はわかりますけれども、そういたしますと、35ページにあります適用の方です が、こちらは臨床研究の指針とは違ってくるという前提でよろしいのでしょうか。 ○中畑委員長  いや、これについては臨床研究の指針に合わせるという形で。 ○町野委員  ですから、そうするとこちらの方も当該と書かなければいけないということになるわ けですよね。 ○中畑委員長  その点について事務局何かありますか。臨床研究指針では被験者は当該ということが 入っているということで、一応こちらの35ページの方にも当該と入れた方がいいのでは ないかと。 ○疾病対策課長  そうですね。今そういう御議論で、提供者と被験者それぞれについての判断で対象者 が違うのではないかということであれば、そのように書き分けが出てくるかと思ってお りますけれども。ただ、違うんですが、先ほど委員がおっしゃられた提供者についてお 話しする説明の内容が果たして提供者だけのお話の範囲でいいのかどうか。ここのとこ ろの説明内容ということになりますので、したがって告知のレベルではこういった書き 方でありますが、合理的な理由というようなところの中でどういうようなところが判断 のレベルになるのかという整理にもしするとするならば、そういうことになってくるの かなと思っておりますけれども。 ○中畑委員長  いかがでしょうか。確かに36ページの被験者というところに当該被験者とわざわざう たう必要があるかということも僕はちょっと疑問を感じていることもあるんですけれど も。 ○町野委員  よろしいですか。これはかなりいろいろな問題があるようなんですが、要するに臨床 研究の指針というのが既に存在して施行されているわけですから、それにならうかどう かが1つの問題だろうと思うんですね。先ほどの西川委員などが言われていた考え方は、 とにかく必要不可欠というのはちょっときついので、もうちょっと合理的な理由で全部 統一したらどうかという意見もあるわけですね。そうすると、今の臨床研究の指針の方 に従わないと。あるいは臨床研究の方が適用になって、こっちは特則なんだという考え 方もあるんですけれども、そこらの整理もする必要があるように思いますが。 ○石井委員  よろしいでしょうか。今までの議論で臨床研究より緩くしようという議論はなかった と思います。 ○中畑委員長  ないですね。むしろ従来の臨床研究のあれよりももう少し厳しくというような形で今 まで議論が進んできていると思いますので、若干全くこの一字一句が同じような表現が 同じである必要は私自身はないと思います。 ○疾病対策課長  よろしいですか。したがって、15ページのところの研究責任者が実施計画書を出す内 容の御指摘のあった(13)については、必要性と単純に書くのではなくて、先ほど御指摘が ありましたけれども、臨床研究指針のところで言っている必要不可欠であること、及び 代諾者の選定方針ということで整理し、そしてそれを受けた形でそれぞれの代諾者の同 意という項目について合理的理由ということで書いても、前提がそういうことになって おりますので整理はつくのかなというふうに話の流れを受けとめさせていただいており ますけれども。 ○中畑委員長  いかがでしょうか。一応そういう形で整理をさせていただくということで御理解いた だけますでしょうか。  それでは、一応御意見のあったところについてはほぼ合意が得られたということにな りまして、どうもありがとうございました。そのほか全体的に何かお気づきの点があり ましたら、御発言をお願いしたいと思います。どうぞ。 ○長沖委員  主な意見に取り上げられなかったもので幾つかお伺いしたいんですけれども、前のバ ージョンとどこが変わっているのかよくわからなくて、ひょっとしたら取り入れられて いるのかもしれませんが、1つは厚生大臣の意見というところなんですけれども、これ はもともと私たちが考えていた中央審査会というのが厚生大臣の意見というふうに変わ ったということなので、ここの厚生大臣の意見のところで何がどのように審査されたか というのが公にならないといけないんですね。何らかの形で厚生大臣の意見のところに どのようなものが審査として上がり、その結果がどうなったかというものを公開しなけ ればいけないという文章が入らないといけないと思うんですが、それに関してはどうな のでしょうか。 ○中畑委員長  それは中央審査の、要するに厚生大臣の意見としてその部分を公表することについて 何らかこの指針の中にうたわれるということですか。 ○疾病対策課長  これはほかの指針の二重審査制を見てみますと、遺伝子治療指針がございますが、そ ういうことはあえて明記はしておりません。審議会にかけるならば、審議会のルールは 今では原則公開しているということになっていますので、そういったこともございます ので、そのように整理させていただいているということでございます。 ○中畑委員長  ということで御理解いただけますでしょうか。 ○長沖委員  はい。これをこのまま読むと、審議会にかからないケースもあるということになりま すよね。そういう場合は、意見を求められたけれども審議会にかからなかったものに関 しては、どこにも載らないという形になりますか。 ○疾病対策課長  そこはまさに必要性があれば、どこの範囲まで内容をお示しするかと。まさに実務的 なお話でありますので、どういうように取り扱っていくかということは検討していこう と思いますが、まさにそこの話は実務的な話だと思っております。 ○中畑委員長  ちょっと僕自身も指針の中に織り込むような内容ではないと思いますし、指針の中で は一応できるだけ情報を公開するということがうたわれているわけですよね。基本原則 の中にもうたわれているし、それから厚生大臣の意見を求めるというのは従来ほかの指 針の適用されたものについても今まで行われているということで、特にこの指針だけ特 別その情報を公開するというようなことをこの指針というものの中に織り込むというこ とについてはちょっと私は反対ですけれども、皆さんもそういう意見ではないかと思い ます。 ○長沖委員  基本指針の中に入っている情報の公開に対しては研究機関の長に対して。 ○疾病対策課長  よろしいですか。私ども全くやらないと言っているのではありませんので、これは実 務的なお話ですねと、こう話をさせていただいておりますので、そういったことで御理 解いただければ。こういう指針にあえて書くようなお話ではなくて、まさに実務上どの ように透明性を担保していくか、実務を図っていくかということになりますので、そう いう整理でいかがかということです。 ○中畑委員長  という理解ですが、よろしいでしょうか。 ○石井委員  よろしいでしょうか。私も同じ意見を個人の意見として申し上げているので、ここで 指針に盛らないということであれば、この委員会ではそれらの情報が公開されるように 運用されるように求めるということが記録として残るようにしていただきたいと思いま す。 ○中畑委員長  はい、わかりました。 ○石井委員  というのは、今の段階で何が行われているかわからないというのがこの委員会のとき に一番問題になっていたと思うので、今後はきちんとどこで何が行われているかがわか るようにしていただきたいということでございます。 ○中畑委員長  わかりました。一応そういう形で記録に残して、運用面でできるだけそういう情報が 公開されるような形で運用するという形で対応していくということになると思いますの で、よろしいでしょうか。はい、岡野委員。 ○岡野委員  これは各IRBで実際審査していく場合、どういうような申請が出てどのような状況 になっているか、非常に大事な情報だと思いますので、運用的に何らかの形でディスク ロージャーの方法は御検討いただきたいと思うんですけれども、あと、実務的なことに なりますけれども、37ページの最後の行ですが。この時点じゃないと議論できないと思 いましたので。 ○中畑委員長  これからの予定表がありますので。 ○岡野委員  資料5ですか。失礼しました。 ○中畑委員長  ほかに。はい、どうぞ、長沖委員。 ○長沖委員  さっきのことと関連してなんですけれども、今現在既に行われてしまっているヒト幹 細胞を使った臨床研究というものに関しても1回厚生労働大臣の意見を問わなければい けないということを明確にどこかで出しておかないといけないのではないでしょうかと いうことが1つ意見としてあるのですが。 ○中畑委員長  それは非常に難しい問題があろうかと思いますけれども、全くこういう指針ができて いないときに始まって、その中にはある程度患者さん自身も恩恵をこうむっているよう な臨床研究もあったかと思うんですけれども、それをすべて厚生大臣の意見を聞くとい うことになると、恐らく中央審査というのが機能しないのではないかと思いますので、 それについては一応こういう指針が出たということを各医療機関に周知徹底すると。で きるだけこの指針に沿うような形で幹細胞を用いた臨床研究は進めてほしいというよう なことで、厚労省の方から何らかの通知なり何なりを出していただくということで対応 するしかないと私は思うんですが、その点事務局何かございますか。 ○疾病対策課長  経過措置の取り扱いでありますが、8ページに細則がありますが、細則のところの「現 在実施中のヒト幹細胞臨床研究に対しては、可能な限りこの指針に沿って適正に実施し なければならない」ということについては周知を図っていきたいと。 ○中畑委員長  ということでよろしいでしょうか。ほかに何かございますか。はい、どうぞ。 ○岡野委員  12ページの(5)のところで、研究の承継のことが書いてあるんですけれども、このこと について何もあと書いていませんので、ただ非常に技術的なことなので、承継の手続き とかそういったものを細則に書いたらいかがかなと思っています。  それから、プロトコルの変更が必ず起きてくると思うんですけれども、それに関して も必要に応じてできるような形でその手続きをどうするかということを細則に書いてい ただかないと研究が進まないんじゃないかと。 ○中畑委員長  一応そういう形で細則に書くという。先ほどの1つは12ページの「他の研究者等から 研究を承継すること云々」というところは、これ全部ですか、一部ですか、細則という 形にした方がいいんじゃないかという。 ○岡野委員  そういうことではなくて、この承継するということがあり得るということを前提にし てここに書いてあると思いますので、実際に承継するときにどういうふうな手続き、例 えば施設の責任者はどう判断するかとか、その届出を厚生労働省に出すかとかというこ とですね。それをこの告示そのものに入れるのは難しいでしょうけれども、細則の中に 手続きを入れてはどうでしょうか。例えば試験責任者に関しては研究機関の承認が必要 であって、厚生労働省に届出が必要だと。研究協力者については責任者が承認して研究 機関の長に届け出るとか。そういった手続きが書いていないと、実際のプロトコルの変 更ができなくなってしまうということです。 ○疾病対策課長  わかりました。ここの承継の手続きについて具体的にどうするかということについて は通知等でお示ししたいと。 ○中畑委員長  ほかにございますでしょうか。はい、どうぞ。 ○位田委員  それは恐らく承継だけでなくて臨床研究計画の変更も含めてそういうことを考えなけ ればならない。変更についての規定はこの中にはないので、少し文言をつけ足せばでき るんじゃないかと。 ○中畑委員長  そうですね。一応そういう形で対応させていただくということにしたいと思います。 ほかに何かございますか。  ないようでしたら、本日は非常に長時間にわたり御審議いただきまして、ありがとう ございました。本日御審議いただいた内容については座長と事務局とで調整をして、各 先生方の御意見を織り込むような形でまとめていきたいと思いますし、また必要に応じ て委員の皆様方の御意見を伺いたいと考えております。そういう形で最終案をつくりた いと思います。これからの報告書のまとめ方については委員長に一任させていただきた いと思いますが、よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。  それでは、今後のスケジュールについて事務局よりお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料5をごらんいただけますでしょうか。資料5に今後のスケジュールが 書いてございます。本日、ただいま委員長から御発言がありましたように、意見が取り まとまったという形になりますので、論点整理ができたという形になりまして、御報告 という形で3月8日の科学技術部会の方に上げさせていただきたいと思っております。 そして、パブリックコメントを3月上旬から開始いたしまして、1カ月間、4月上旬ま でパブリックコメントを行いまして、またその結果を第31回の科学技術部会に報告いた しまして、7月1日付で公布、8月1日施行という予定にしているところでございます。 今後のスケジュールは以上でございます。 ○石井委員  ちょっと意見よろしいでしょうか。2つあるのですが、1点目はパブリックコメント でいろいろな意見が出たことについては、この委員会では何ら検討しないで、科学技術 部会で検討することになるのですか。 ○疾病対策課長  そういったことになろうかと思っています。 ○石井委員  もう1点は、きょうのまとめられたものを科学技術部会に報告する前に私たちにもお 示しいただきたいということでございます。 ○疾病対策課長  そういったことで御報告させていただきます。 ○中畑委員長  そういう形で委員の先生方にはお送りしたいと思いますので。 ○岡野委員  よろしいですか。これはかなり運用的なお話になりますけれども、実際に日々倫理委 員会とかやっていますと、毎回毎回出てくるんですよね。ただ、やはりこの指針が出る まではこの指針を出るということを前提に議論せざるを得ないということで、例えば本 学における倫理委員会もそのように扱っているわけでありますが、実際この指針にのっ とった形でのIRBの審査というものに関してはもう進めさせていただいてよろしいん ですか。厚生労働省に出すのは8月1日以降になる。そうしないと、本当に一日一日進 むんですよ。毎日毎日の要求設定ありますので、ちょっとそこら辺の現場的なことに関 してどのように解釈したらいいか、少しお考えいただきたいんですけれども。 ○疾病対策課長  やはり指針ができ上がってから、すなわち施行された後体制整備をしていただいて、 そして速やかに行っていただくということになろうかと思います。その過渡的な準備体 制というのは先生方の日常の御努力だと思っておりますが、いずれにしても指針が施行 された後の対応、それに合致した対応を求めていることになります。 ○中畑委員長  今までのこの本委員会の議論の内容というのも公開されておりますので、できるだけ そういった方向に沿ったような形で過渡期も臨床研究を進めていただきたいという形で 皆さん御理解いただいているのではないかと考えておりますので、よろしいでしょうか。 ○岡野委員  要するに研究機関の長が厚生労働省に提出する書類が最終的に指針に合致しているも のであれば、議論の仕方は現場に任せると。 ○疾病対策課長  施行された後やっていただくと。施行された後、倫理審査委員会とかそういったとこ ろにかけていただく。透明にやれば、実務的には問題ない。 ○中畑委員長  それでは、非常に長時間にわたりまして皆様方の御協力をいただきまして、一応最終 的に取りまとめというところにまで至りましたので、この場を借りて感謝申し上げたい と思います。どうもいろいろありがとうございました。 ○疾病対策課長  どうもありがとうございました。                         ○照会先                         厚生労働省健康局疾病対策課                         tel 03−5253−1111                         担当:野上(内線2353) - 32 -