06/02/21 第22回 独立行政法人評価委員会調査・研究部会議事録           独立行政法人評価委員会調査研究部会議事録                  (第22回)             日 時:平成18年2月21日(火)             場 所:厚生労働省専用第22会議室 1.開会 ○部会長  定刻になりましたので、ただいまから、独立行政法人評価委員会第22回調査研究部会 を開催させていただきたいと思います。  委員の皆様におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことに ありがとうございます。  今回は、鈴木委員、中村委員が御欠席でございます。  また、事務局より当部会の人事につきましてご報告がございますので、よろしくお願 い申し上げます。 ○政策評価官  おはようございます。政策評価官でございます。よろしくお願いいたします。  これまで、当調査研究部会の部会長代理としても御参画をいただいておりました岸玲 子委員におかれましては、御本人から、学務と申しましょうか、業務が非常に多忙にな ったのでというお話と、伺うところによれば、当部会で御審議いただきました先行3法 人の1期目の中期目標・中期計画という節目を迎えたということもございまして、これ を区切りに辞任をしたいというお申し出がございました。  私ども事務局といたしましては、引き続き産業医学分野について知見のある方で、筑 波大学人間総合科学研究科大学院教授でおられます田宮菜奈子先生に御就任をいただく ことを予定し、これまで進めてまいりました。御就任いただいた旨を、この部会の上に ございます全体会の評価委員会の黒川委員長にも御報告を申し上げましたところ、これ は委員会令に基づくことでございますが、委員長の方から田宮先生には岸先生の後任と して調査研究部会に所属してほしいという指名がございましたので、本日から御参画を いただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○田宮委員  ただいま御紹介にあずかりました筑波大学の田宮と申します。  こうした委員は初めて務めさせていただきますので、未熟な点も多いかと思いますが、 今までの経験を生かして少しでもお役に立てますよう努力してまいる所存でございます ので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○部会長  どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。 2.審議 ○部会長  それでは、事務局から、本日の議事につきまして簡単に御説明をお願いいたします。 ○政策評価官  それでは、議事について御説明をさせていただきます。 お手元の資料でございますが、まず、当部会第22回の議事次第の1枚紙がございます。 本日は、国立健康・栄養研究所の次期中期目標・中期計画案について御審議をいただき たいということでございますが、その前に、参考資料2として、「総務省の政策評価・ 独立行政法人評価委員会関係資料」を御用意させていただいております。  これは、この間、政府全体としての独立行政法人をめぐる動きといたしまして、本日 お取り上げいただきます国立健康・栄養研究所を初め、政府全体で幾つかの法人の見直 しがなされました。この間なされましたそれぞれについての政独委としての意見、ある いは16年度に行われました実績評価に対しての政独委としての意見が届きましたので、 本日お手元に参考資料として配付させていただきました。そういう意味では、きょうの 議事というわけではございませんが、用意をさせていただいたものでございます。  議題でございますが、先ほど申しましたように、第1期中期計画期間を終えて、この 4月から健康・栄養研究所につきましては次期計画期間に入るわけでございますので、 これまでこの部会で御審議をいただきました見直しの方向性というものを踏まえて、中 期目標案――これは厚生労働大臣が定めることを予定しておりますが、大臣の定める予 定をしております目標案について、当部会の御意見を伺うというのが1つであり、本来 ならば、部会の意見を伺って、大臣が目標を定めて、定めた目標に対して法人が計画案 を出してきて、正式にそれを大臣として受けとめたところで、こんなものが来たという ことで部会にお諮りするというのが、本来、時系列的な流れではございますが、作業、 あるいは議論としても、これまで同時並行的に私どもも法人も一体となって進めてきた ということがございますので、いずれ目標が決まり、正式に示した後、法人からいただ くであろう中期計画の案ということで、あわせて資料を用意させていただいております ので、両方を比較いただきながら御審議いただければと思っております。  また、1点報告でございますが、前回のこの部会において御審議をいただき、御了解 をいただきました健康・栄養研究所の方お1人と、産業安全研究所の方お2人の退職者 の業績勘案率につきましては、その後、政独委の方との手続も踏まえ、了解をいただき ましたので、部会長の御了承をいただいて、それぞれの法人に通知をさせていただいて いるところでございます。  冒頭、私の方からは以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○部会長  それでは、国立健康・栄養研究所の具体的な中期目標・中期計画の審議に移らせてい ただきます。  初めに、事務局より、議事の進め方について御説明をお願いいたします。 ○政策評価官  お手元の資料1−1が新中期目標・中期計画案対比表、資料1−2がそのうち目標案 だけを独立させたもの、資料1−3は計画案だけを独立させたものでございまして、資 料1−1は新目標と計画の対比表、資料1−4は現目標から新目標へ、現計画から新計 画へという、4つの点についてまとめさせていただいたものでございます。その後ろに、 参考資料1としまして、中期目標あるいは中期計画案を御議論いただく際に、私どもと して委員の皆様方に情報提供させていただく点を5点ほど整理させていただきました。  この御議論をいただくに当たっての留意点でございますが、一つは昨年の暮れ、12月 24日に、政府全体として、「行政改革の重要方針」の閣議決定をさせていただいており ます。それぞれ物は後ろに別添としてつけてございますので、適宜、御参照いただけれ ばと思いますが、ポイントは、全独立行政法人共通に、国、国家公務員が行います定員 の純減、あるいは人件費の削減というものに準じて、独立行政法人についても、今後5 年間で5%以上の人件費の削減を行うことを基本とするという方針が決まりました。こ れに基づいて、全独立行政法人の今後について、それぞれの特色もありましょうが、御 議論をいただき、中期目標・中期計画に盛り込んでいくというのが1つでございます。  2つ目は、これは既に昨年の夏の段階でも当部会において状況を御報告申し上げたと ころでございますが、これも政府全体の方針として、独立行政法人については、特に年 間運用経費1億円以上の大規模システムを持っているもの、大きなシステムを抱えてい るような法人を中心に、業務とシステムの最適化を図るということになっております。  最適化という言葉は意味するところがわかりにくうございますが、平成17年6月29 日に定められました業務・システム最適化実現方策でございますけれど、別添2の1. (2)をごらんいただくとわかりやいかと思いますが、「業務・システムについて監査 や調査をして、システム構成及び調達方式の抜本的な見直しを行うとともに、徹底した 業務改革を断行し、システムコストの削減、システム調達における透明性の確保、業務 運営の合理化を図る」ということを「業務・システムの最適化」という言葉で意味して ございます。これをそれぞれの法人が行うべしということでございます。  参考資料1に戻っていただきまして、3点目としましては、ここからが本日御議論い ただく健康・栄養研究所の個別の課題ということでございますが、当部会におけるこれ までの議論、あるいは総会における議論を踏まえまして、昨年の7月11日には勧告の方 向性について、見直し法人を対象としての共通事項が示された上で、4つ目の柱にござ います当健康・栄養研究所の事務及び事業の改廃に関して勧告及びそれに対する厚生労 働省としての考え方というものをこれまで示させていただいておりました。後ほど、そ れを踏まえた御報告をさせていただく予定でございますが、これに基づいて中期目標及 び中期計画を見直すという作業をしてきたところでございます。  また、この際、御報告という点で申し上げれば、この一連の御議論をいただいた中で、 昨年の11月28日に当部会の報告をもとに評価委員会――つまり総会で御議論いただい た際にも、部会がお示しいただいた見直しの方向を良としつつも、加えて、特に健康・ 栄養研究所は調査を通じて把握されたデータの集計・分析の一層の迅速化、あるいはこ れらの情報が他の研究者を初め社会的に広く活用が可能となるよう、その提供や人材育 成に省及び法人両方で取り組めという御注文が1点でございます。2点目として、業務 について、コスト面から業績評価ができるよう、次期中期目標・中期計画の中で引き続 き努力をすること。総会のレベルにおいても、2点、御注文をいただいたところでござ います。  部会、総会、そして政独委というところからいただきました議論に基づいて、今回、 中期目標案及び中期計画案を既に作成しておりますので、御議論いただければと思いま す。  なお、もちろんその中には、これまで個別に年度報告として実績を御報告いただいた ものは、お手元の青ファイルの中に入れさせていただいておりますが、こういうものも 踏まえた見直し案をまず冒頭で御報告させていただきたいと思います。  私どもとしては以上でございます。 ○部会長  それでは、具体的な中期目標・中期計画の審議に移らせていただきたいと思います。  まず、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」につ いて、御説明をお願いいたします。 ○厚生科学課研究企画官  厚生科学課でございます。私の方から、中期目標について説明をさせていただきます。  資料1−1をごらんいただけますでしょうか。この資料1−1の左側が新中期目標の 案でございます。  まず、1ページの頭のところに前文というものがございます。前文は、健栄研の使命 と果たすべき役割が主に記載をされております。  その下の第1の中期目標の期間でございますが、この中期目標の期間は平成18年4月 1日から23年3月31日までの5年間でございます。  2ページでございます。第2の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向 上に関する目標でございます。大きく分けて、1.〜3.まで3つございます。  1.は、研究に関する目標でございます。  2ページ下の(1)重点調査研究に関する目標ですが、重点調査研究に関しましては、 これまでいろいろと御議論いただいてきました政独委の勧告の方向性と、それを踏まえ た厚労省側の見直し案でも触れられておりましたが、この研究所の長年の伝統を生かし て独自性を発揮するということとともに、3〜4ページにア、イ、ウとございますが、 このア〜ウの3つの研究分野に特化・重点化することとしております。  5ページでございます。(2)重点調査研究以外の調査研究に関する目標でございま す。アとして、科学技術基本計画に沿いましてオリジナリティの高い基礎的・応用的研 究、研究成果の社会への還元ということでございます。  イのところでミスタイプがございまして、「食育推進基本計画の推進に資する調査研 究を推進し」と書いておりますが、「推進」という言葉がたくさん出てまいりますので、 ここを「食育推進基本計画に資する調査研究を推進し」と御訂正をいただけますでしょ うか。  この食育基本計画に資する調査研究の推進ということと、専門家への情報提供を目標 として掲げております。  (3)研究水準及び研究成果等に関する目標ですが、アとして、施策の科学的根拠と なる質の高い研究とその成果の発信をするということ。イとして、積極的な知財の取得 ・開示。6ページですが、ウとして、専門家セミナー、一般向け講演会の開催。エとし て、研究所の一般公開。こういう目標を設定いたしております。  (4)研究実施体制等の整備に関する目標でございますが、アとして、独法の利点を 生かした研究資金等の運用及び人の配置による研究・業務の効率化。イとして、主に外 部機関との研究員の交流。7ページですが、ウとして、大学及び民間企業等との連携・ 協力。エとして、施設・設備の共同利用の促進等を目標として設定をさせていただいて おります。  2.法律に基づく業務、社会的・行政ニーズ、国際協力等に関する目標でございます。  (1)健康増進法に基づく業務に関しましては、アとして国民健康・栄養調査の迅速 かつ効率的な集計、イとして国民健康・栄養調査の集計の効率化、ウとして収去食品の 試験業務の的確な実施。こういったことを目標として設定をいたしております。  8ページ、(2)社会的・行政ニーズへの対応に関する目標でございます。ここでは、 関連機関のニーズの把握ということと国民のニーズの把握、この2つを設定させていた だいております。  (3)国際協力、産学連携等対外的な業務に関する目標でございます。アとしてアジ ア地域におけます貢献と学術的ネットワークの構築、9ページですが、イとして産学連 携の強化ということを設定いたしております。  (4)栄養情報担当者(NR)制度に関する目標でございます。これに関しましては、 NRの質的向上と制度等のあり方についての検討ということを目標に設定をいたしてお ります。  3.情報発信の推進に関する目標でございますが、(1)情報発信のための体制強化、 (2)ホームページを介した情報公開、(3)研究所報告やニュースレター等の刊行と 電子メディアでの配信、(4)法人の諸規程等もホームページを活用して積極的に公開 をしていくということでございます。  最初の部分の目標の説明は以上でございます。この後、研究所の方から、今の私の説 明に対応して、計画の方の説明をしてもらいたいと思います。 ○部会長  それでは、法人の方から計画について御説明をお願いいたします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  法人の方からは、研究企画評価主幹の私から説明をさせていただきます。  資料は今の1−1の2ページからでございます。  1.研究に関する目標を達成するための措置と書かせていただいております。  このような記述は現中期計画ではございませんでした。本省の方からお示ししていた だいた中期目標は、実際に仕事をする立場として大変ありがたいと思っております。、 現中期目標計画の構成は、最初に業務運営の効率化というところから入っておりまして、 そもそも何の仕事をするのかというところが余りなく「効率化」からスタートしており ます。今回は、目標のところで前文という形で、研究所がどういう立場でどういう研究 をすべしということを明示していただき、それを受けるような形で、研究業務の中身と して、我々はどういう考えで何を重点的に行うのかを、2ページ目の右側にお示しする ことができました。  今まで本評価委員会でも御議論いただいているような、社会あるいは行政ニーズに的 確にこたえ、また、そのための基礎的・応用的な研究を研究所としてしっかり行うとい ったことを書かせていただいております。  研究の内容でございますが、重点調査研究として3つに重点特化してという勧告をい ただきまして、その中身を3ページ以降に書かせていただいております。  1番目が、アとして、生活習慣病の予防のための運動と食事の併用効果に関する研究 ということで、a、b、cとして掲げさせていただいております。  ポイントとしては、運動と食事指導の併用を行った効果を実験的・疫学的な調査研究 で行う。そして、これらの情報、エビデンスの提供先としては、厚生労働省の重要施策 であり食事摂取基準や運動基準等であるということでございます。  また、分子レベルでのアプローチ、テーラーメード予防法ということも大事でござい ますので、そのための応用的また基礎的メカニズムにかかわる研究も行っていくという ことでございます。  その際、私どもの研究所が有するヒューマン・メタボリック・チャンバー等を活用し たエネルギー代謝あるいは基礎代謝等の測定も重視して行っていくことを書かせていた だいております。  4ページでございます。イとして、日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する 栄養疫学的研究でございます。  これも幅広くいろいろな研究が考えられるわけですが、最終的なアウトプットとして は、「食事摂取基準」に資する、各栄養素等のとるべき量を示し、エビデンスとなる解 析をする。また、「健康日本21」等の施策の評価につながるもの、国民健康・栄養調査 の機能強化、そしてデータの活用を一層進めるための研究を行うということです。  ウとして、「健康食品」を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関す る調査研究でございます。  a、bということで書かせていただいておりますが、「健康食品」の使用実態あるい は健康影響に対しての調査研究的なもの、ヒトへの影響を評価するための手法を検討す るための細胞・動物レベルでの検討、また、いわゆるリスクコミュニケーションという 範疇になろうかと思いますが、健康食品の安全性にかかわるさまざまな情報収集、情報 の発信を引き続き行い、充実・強化させていくということで書いてございます。  5ページでございます。(2)重点調査以外の研究といたしましては、アとして、研 究所の基本的な研究機能、また、萌芽的な研究、独創的な研究というものも一方で非常 に大事でございますので、それらを特に若手研究者中心に行っていく。また、イとして、 コホートを設定し、介入研究による栄養教育の成果を研究していくということを書いて います。  (3)でございますが、ここでは数値目標的な形で入れてございます。  アとしまして、論文発表、また口頭発表でございますが、それぞれ250報以上、750 回以上発表と、これは5カ年トータルの目標でございます。現中期計画ではそれぞれ 200、300ということで、現中期計画を少し上乗せをして、これまでの実績及び他の研究 型独法の実績等を勘案しながら、また、実質的に研究職員の人数は縮小されていく方向 性がありますので、その辺を考慮しながらこの数字を立てました。 また、イの知的財産権の活用につきましては、数値としては、中期目標期間内に20 件以上の特許出願を行うということと、また、共同研究を民間企業及び大学等と積極的 に行う、17年度に比べ毎年2件以上の増加を目標とするということを書かせていただい ております。  6ページ、ウの講演会の開催でございます。これは2つのチャンネルがあると考えて おりまして、専門家向けのセミナー、また幅広い人々を対象とした講演会ということで、 それぞれ年1回以上開催するということでございます。  また、エの開かれた研究所への対応については、年1回オープンハウスとして研究所 を一般の方に見ていただく、また、総合的な学習の時間による中学・高校生等の見学を 積極的に受け入れるということでございます。  これらの研究あるいは業務を進めていくための幾つかのポイントとして整理させてい ただいているのが(4)でございます。  アとして、研究職員、事務職員等を戦略的に配置をしていくですとか、イでは、外と の共同研究あるいは民間からの研究員の受け入れ等を書かせていただいております。  7ページ、ウでは、連携大学院あるいは民間各種研究機関から研究員を年間20名程度 受け入れる、また、我々の方から5名程度外の機関に派遣をするということでございま す。  エについては、研究スペースが非常に手狭になっておりますので、長期的な展望に基 づいて施設・設備の改修・更新・整備を計画的に実施する。また、共通として使えるも のについてはできるだけ効率的に各プログラムで使用していくということでございま す。また、引き続き、設備等利用規程に基づき、外の研究者、外部の方に施設等の利用 をしていただくということでございます。  次に、2.法律に基づく業務でございます。  (1)健康増進法に基づく業務でございます。  アとして、国民健康・栄養調査の集計業務でございます。これは当該年度の事業を厚 生労働省が指示し、研究所はその指示に基づき集計業務を7カ月を目途に終了させると いうことでございます。また、外部委託、高度集計・解析システムの活用により効率的 な集計を行う、経費の削減を図るということでございます。さらに、来年度想定される 事柄としては、都道府県等が健康・栄養調査を大規模に行うことが予定されているよう ですので、それに対して研究所がより積極的に貢献をするということでございます。  8ページ、イでございますが、食品の分析についてでございます。これは現中期計画 の当初につきましては、法律に基づいて研究所が独占的に行っていたものでございます が、これが他の機関にもオープンになって、我々はワンオブゼムとしてこの分析に当た っているわけです。そういう意味で、新たな食品成分の分析技術の規格化及び当該食品 成分の標準品の規格化といった、他の施設・機関での測定の精度管理につながるような ことに重点を置いて行っていくことを書いています。  (2)社会的・行政ニーズへの対応ということで、幅広くニーズをくみ上げ把握して いくために、年6回程度の意見交換会等を行っていくということや、ホームページやセ ミナー等の参加者、一般の方からもできるだけお受けするということでございます。  (3)国際協力ということで、アとして、これも現中期計画の途中から本評価委員会 等での御指摘事項を受けまして、アジアの各国とのつながりを強化してまいりました。 これは現行のものを引き続き行っていくという意味合いで書かせていただいております が、年2名程度の若手研究者に当研究所での研修機会へ提供し、また、定期的にアジア の研究者を交えたシンポジウムの開催を行うということでございます。  9ページ、イとして、民間との複合的な連携を強化するということでございます。  (4)栄養情報担当者(NR)でございますが、これもいろいろと御議論があったと ころと思いますが、まずは、フォローアップとして、NRとなった後の研修や情報提供 を通じてその質的向上を図る。また、最初にNRが活動し始めてから5年間を経過した 時点、平成21年度でございますが、業務内容、社会でのあり方についてのモニタリング 評価を行い、あり方を検討するというところでございます。また、事務的な事柄につい ては、より効果的・適切な運用ということで、外部委託が可能なものについてアウトソ ーシングを行うということでございます。  3.情報発信でございますが、数値目標としては、(2)ホームページのアクセス件 数を毎年50万件程度として、昨年、いろいろな健康食品の話題があり、大体このぐらい の実績がピークとしてありますので、これを維持するとしています。  (3)ニュースレターを年4回引き続き出し、また、そのほかの情報についてもでき るだけの開示をしていくということを書かせていただいてございます。  以上です。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、御説明のございました中期目標・中期計画につきまして、御質問等をいた だければと思いますが、いかがでしょうか。 ○清水委員  御説明をありがとうございました。まだざっとしか拝見していないので、よく読み切 れていないところはありますけれど、追加的に御説明をお願いしたいと思っています。  参考資料で配っていただいております総務省の評価委員会の方の勧告でございます が、この中で幾つか中期目標等において明確にするものとするということで、例えば国 民健康・栄養調査の集計業務の効率化というところでは、「次期中期目標等においてそ の具体的目標を定めるものとする」となっておりますし、収去食品の試験業務の見直し のところでも、「効率化を図る」といったことが書かれております。また、NRにつき ましても、「その具体的な目標を明確にする」ということが書かれているわけですが、 これらとこの新中期目標あるいは計画案との関係というのは、どのように反映されてい るのかということを追加で御説明いただけますでしょうか。 ○厚生科学課研究企画官  今、御指摘があったのは、資料1−1の7ページの下の箇所かと思いますが、国民健 康・栄養調査の実施で、目標として、「迅速かつ効率的に集計を行う」あるいは「外部 委託のより積極的な活用、高度集計・解析システムの活用等により効率化を図る」とい う書き方にさせていただいておりますが、それに対応する計画の中で具体的にそれをど のように実施をしていくのかということで、例えば7カ月を目途に終了させるとか、外 部委託、高度集計・解析システムを活用して効率的に集計を行って経費の削減を図ると いった形で、さらに具体性を持った書き方にはなっているかと思いますが。 ○部会長  そのほかの事項についてはいかがでしょうか。 ○厚生科学課研究企画官  それから、資料1−1の8ページの頭のところで収去食品のことが記載されてござい ますが、「収去した特別用途表示及び栄養表示がなされた食品の試験業務を的確に実施 をする」、また、「特定保健栄養食品の関与成分等、新たな食品成分の分析技術及びそ れらの分析に用いる食品成分の標準品等を規格化する」ということで、目標のところは 確かにちょっと抽象的な表現が残っておりますが、計画の方でお願いできますか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  計画のところでございますが、もちろん迅速に行うということは非常に大事なことと 思っています。状況を御説明しますと、今までは日本の中で測定すべきものを私どもが すべて受けて、いたという状況があり、その中で、2カ月以内の件数の割合をふやして いくということでやってまいりました。今は、測定は他の機関でもできるようになりま して、恐らく、比較的、検査技術として単純なものは外に流れていき、私どものところ に来るのは、例えば、新たに分析系の確立をして図らなければいけないようなものが多 く来るのではないかと思われます。   そういうことを考えたときに、分母のところが小さくなって、より高度の技術を必 要とするものが相対的に多く来るとなると、その分母と分子の関係を明示しにくくなり ます。期間の短縮はもちろん最優先の課題として努力していきますが、それ以上に、今 申しましたような新たな食品成分、条件付特保等がこれからまた出てきますので、測定 系を新たに確立し、標準品を新たにつくらなければいけないといった質的な部分にシフ トして業務を行うという意味で、こういう表現をさせていただいております。 ○厚生科学課研究企画官  それから、もう1点、9ページの上に栄養情報担当者(NR)制度に関する目標とい うものがございます。ここでは、「NRが社会的役割を果たすことができるよう、研修 や情報提供等を通じてその質的向上を図るとともに、実際の業務内容のモニタリング等 を行い、制度や研究所の関与のあり方について検討する」ということが目標になってお りまして、それに対応して、中期計画の方では、「研修や情報提供等を通じてその質的 向上を図る」とともに、「最初にNRが活用し始めてから5年を経過した時点で、NR の実際の業務内容、社会でのあり方についてモリタリングを行い、この結果に基づいて、 制度のあり方、研究所のかかわりについても検討を行い、中期目標機関終了までに結論 を得る」ということを書かせていただいております。 ○清水委員  ありがとうございました。私の印象としまして、非常に抽象的な書かれ方ではないか なと思うのですけれど、この総務省の方の勧告では「具体的な目標」と書かれているわ けですが、7カ月という期間は一つは示されていますが、ほかは非常に抽象的なものに なっていると感じます。  これは業務の性質上、中期目標なり中期計画に数値目標を入れることが難しいという ことなのかと思いますが、では、具体的にどのようなレベルでこの「具体的な目標」と いうものを設定されていかれる御予定なのでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所理事長  具体例をお話しした方が清水さんにおわかりになると思うのですが、例えば、最近、 イソフラボンが食品安全委員会で30ミリがサプリメントの上限ということになってお ります。それで、ことしはイソフラボンの入っている収去食品を100種類ぐらい検討す ることになっておりますが、それプラス、市販されているものも結構いっぱいあるわけ です。そういうものも一緒にはかることによって、本当にどこが安全なのかということ を出せるのではないか。 ですから、収去食品を測定する部分は業務でありますが、それプラスアルファーを買 い集めてきて一緒にはかるという部分が研究ということになります。 もう一つは、現在は問題になっていないけれども、将来問題になりそうなものという のは、結構いっぱいあるわけです。いい例がポリフェノールでありますが、カテキンと かいろいろなものが食品に添加されようとしてきています。それで、そのカテキンを含 めて、ポリフェノールは結構相互作用がありますので、一遍にはかった総量の健康影響 は今までどこにもないのです。それで、1年間努力してきまして、50種類のポリフェノ ールをECDディテクターという検出器のついた測定器ではかれるようなシステムを開 発して、それで具体的にはかっていこうと思っておりますが、そういう部分は研究が半 分以上のところを占めております。ですから、業務と研究は必ずしも分かれない、一般 の方が道路の舗装とかそういう形で業務をとられて、それを研究に当てはめるというの は、ちょっと難しい面があるのではないかと思っております。 ○清水委員  今のは収去食品の御説明をいただいたのだと思いますが、確かにそういう性質がある ことは理解できるのですけれど、とりあえず絞って、国民健康・栄養調査の集計業務の 効率化と、NR認定制度の見直しというところにつきましては、この勧告で「具体的な 目標を明確にする」と書いてありますので、これについて絞って御説明いただけますか。 ○国立健康・栄養研究所理事長  国民健康・栄養調査は昭和21年以来ずっと継続して行われておりますが、個人情報保 護法が施行されてから、国民健康・栄養調査に答える率は60%台に落ちてきています。 ですから、厚労省が集めて、それを単に集計して発表するというだけではなく、本当の 国民の実態はどうなのかというところまでやらないといけないと思っております。  そのためには、対象者のインセンティブを高めるとか、調査担当者の意識を高めると か、そこまで実際の担当者をエンカレッジするようなシステムまで考えてやらないと、 単純に与えられてきたものを足し込んでどうこうすればいいというのでは、なかなかう まくいきません。  しかも、黒川委員長からの御指摘もありましたように、単なる調査結果を集計するだ けではなく、それでもって全体のトレンドとか今後の傾向まで推計できるようなこと、 あるいは情報公開も含めて検討せよということでありますので、この部分につきまして は厚労省と密接な検討課題がまだまだあると思っております。  具体的には、7カ月で結果が出る、あるいは6カ月で出る、そこの1カ月がどうなの だという黒川先生の御指摘もありまして、食生活と健康の問題というのは5年、10年と いう長期間の影響がありますので、本当の意味でのこの調査の意義とか、国民に何が還 元できるのかというところに集中して考えていきたいと思っております。  それから、NRにつきましては、当初、厚労省がサプリメントの正しい知識を普及す るために、民間で専門家を養成するのが望ましいという方策が出されまして、100カ所 以上の機関が認定を始めたのでありますが、現在、主たるものが3つか4つに残ってき ております。一方では、御存じのように、アガリスクのように、相当怪しげな情報が世 の中に出回っておりまして、本当に正しい、どこまでヒトで証明されているのかという ところが非常に不鮮明になっております。  ですから、その意味では、薬事情報に関するMRに相当する程度の知識をNRに持っ ていただきたい。これは具体的には、NR協議会というものがありまして、そちらが主 体になってやっている事業を私どもがお手伝いして、学問的レベルを保証しているとい う形になっております。  現在、2回、試験をやりまして、ことし3回目になりますが、現在、1,000名弱程度 のNR合格者がおります。そして、今後5年で5,000人ぐらいになりますと、かなり社 会に普及していくのではないか。もう一方は、残るメジャーな2カ所と、できれば単位 の互換性等を図りながら1本化できないかということも考えております。 ○清水委員  最後ですけれど、今いろいろ御説明いただいたようなことで具体的な目標を持ってい らっしゃるということなのですが、この計画などを拝見する限りではなかなかそれが伝 わってこないですね。ですから、もう少し国民に対してわかりやすい形で具体的に示し ていただくことが必要なのではないかと個人的には思います。 ○岩渕委員  NRの話ですが、今、お話を伺っていますと、最初は100団体とか、そんなものすご い数のものがもし乱立していたとすると、行政は一体何をやっていたのだろうなと。得 意の行政指導は一体どこに行っていたのかと、これも非常に疑問を感ずるところである のですが、そのしりぬぐいをなさっている栄養研の御苦労も多としたいとは思います。 ただ、ちょっとだけ疑問があるのは、これまでさまざまな形で一応NRの源流も含め て運営がなされてきて、もう既に1,000人ですか、この後、5,000人にするという話で すが、通常のモニタリングとか再評価などをなさるのでしたら、介護保険の例を見ても、 通常、3年がいいところですね。そんなに5年も待って、それからおもむろにやろうと いうのは、理由がよくわからないのですが。  それは手間暇もかかるし、定着するまでと思っていらっしゃるのかもしれませんけれ ど、逆に一般的に考えれば、さまざまな不都合というものが出てきたものを、その時そ の時で解決していくというふうに思っていらっしゃるかもしれませんが、モニタリング をやるとすると、もっと固まる前にやった方が、軌道修正もかなりやりやすいのではな いか。つまり、5,000人も養成してしまった後に、しみついたものを後で、「これはち ょっとまずかったから、ここを変えよう」と思ったって、人間なかなか変わるものでも ありませんし、システム的にも僕はそうだと思うのです。  今までも、ここまでにかなり経験を積んでいらっしゃるということもこれありで、こ の期限というのを、例えば通常ですと常識的に言えば3年ぐらいが適当ではないかなと、 私なんかは素人考えでそう思うのですが、それが3年でなくて、5年である理由という のを説明していただけませんか。 ○国立健康・栄養研究所理事長  これは単純に5年の中期計画なので5年と書いてあるのだと思いますが、私としまし ては、当然、毎年、毎年、評価して軌道修正しながら、3年である程度の方向性が見え るのではないかと思っております。 ○岩渕委員  意味がよくわからないんですが。 ○国立健康・栄養研究所理事長  毎年どれだけ合格してくるかということもありますし、私としましては、現在、NR 協議会というところでNR制度をいろいろやっていただいておりますが、学問的な部分 で3,000人ぐらいの会員になった時点でNR学会みたいなものができれば、協議会と学 会とで一応のレベル水準が保たれていくのではないかと思います。  ですから、5年後に研究所がどうかかわるかという結論を出すということを考えてい ただければいいのではないかと思いますが、実際のNR制度が毎年どうしていくかとい うことは、当然、協議会とか私どもの研究所を通じて検討課題になると思います。 ○岩渕委員  それをシステム的にやらないのかというのが疑問点なので。本来、これはどこが……。 政策決定だから、厚生科学課あたりがもうちょっとかかわる話なのかなとは思うのです が、どうもそのあたりのところがよくわからないのですけれど。その場その場でちゃん と修正していくというのは、役所は常々どんな場合でも必ず言いわけに使ってきたと、 あえて言えばそういうことも言えないこともないぐらいに、そういう過去の経緯があり ますので、もう少しきちんとメリハリをつけるのでしたら、このあたりでつけた方が、 それこそ具体的な目標値の設定という意味でもよろしいのではないかという、私の意見 でございます。 ○国立健康・栄養研究所理事長  どうもありがとうございました。現実にNRの合格者を見ていますと、管理栄養士が 3分の1、薬剤師が3分の1、その他の方々が医師・歯科医師等も含めて3分の1とい う構成です。それで、まだ2年ですので、今後どのようになっていくかわからないので すが、サプリメントや普通の薬品などがスーパーでも売られるようになってきますと、 確かに専門家がそれぞれの店にいるのが非常に望ましいのではないかと思っておりまし て、社会的ニードとNRの活動分野がどこで一致してくるかというのは、もうしばらく 様子を見ないとわからないことだと思っております。  その意味では、先生のおっしゃるように、3年ぐらい見ればそこそこの様子はわかる と思いますし、中期計画の終了までには結論が出せるのではないかということでありま す。 ○酒井委員  よろしくお願いいたします。栄養研のますますの御発展を祈っております。  3つお聞きしたいと思います。  1点目は、清水委員が、これは中期計画ですから、中期計画を戦略的につくるという 意味合いでは、数値目標をもう少し具体的に上げたらどうかというのは、賛成です。と 同時に、中期計画ですので、最近のはやりの言葉ですと、ロードマップですよね。日程 を含めて5年間でこれだではなくて、5年間でここに到達するために描くロードマップ として、鳥瞰的に、今どんなふうに進められようとしているかということを示していた だけると、大変ありがたいなと思いました。  2点目は、この5年間の中で、具体的な設備投資というのはどんなことをお考えにな っているかということです。  3点目は、健康・栄養研の役割として、生活習慣病というのは大変大きい。これが重 点研究課題の1番目に上がっているわけですが、皆さんのところは厚生労働省であって、 産業ということを考えますと、例えば私たちの所属している学会等でも生活習慣病の話 は大変大きな問題となっていて、最近、この健康増進法の中で、企業の中で数値目標を つくって達成しようということで取り組んでいる大企業がたくさんあるのですが、なか なか進まないという訴えをよく私は聞きます。  そういう意味で、もちろん今栄養研は研究活動というものが主だということは理解で きますが、それの普及という意味で、そういうところでこれからもう一つ、再検討案件 が一緒になっていく新しいステップを踏んでおりますので、そういうところと実践面で 共同研究などを展開するということはお考えになっていないかどうかをお聞きしたいと 思います。 ○国立健康・栄養研究所理事長  私どもは研究員の数が常勤で35名でありますので、例えば、健康面では今度の産医研 とか、食品面では食品総合研究所とか、いろいろなところと共同研究を組むことを考え ております。  うちの法人としては、研究内容を特化しようと思っておりまして、キーワードが2つ あります。1つはヒトの栄養学、もう1つはソリューション・オリエンテッド・スタデ ィをできるだけやりたいと。つまり、メカニズム・オリエンテッド・スタディは経費と か人員とかがものすごくかかりますので、必ずしも効率がよくないのではないか。実学 の精神を生かして、結果重視の研究を展開したいと思っています。  そういう意味もありまして、組織変更がえを大幅にする予定でありますが、その中で、 栄養教育プログラムを1本立てまして、どのように実践していけるのかというところを 重点的に考えたいと思っております。 ○市川委員  今のことと関連する話でありますが、特にそういう重点調査研究以外の研究、そうい う関連の話に入っているかと思いますけれど、研究機関としてもオリジナリティを高め るようにという指摘があって、それに対して、ここにお書きになられた話というのは、 研究機能を発展させて若手研究者を育成しますということで、グローバルな意味ではそ のとおりだと思うのですが、要するに、オリジナリティな研究というのは、この研究所 で一体どういうものが考えられるかということです。人を対象とする調査研究が特化し ている、他の大学・研究機関の頂点に立っている、あるいはそれの指導的な立場にある と。そして、その中でオリジナリティのある研究――調査研究以外の研究ですね、それ がちょっと見えないなという感じがあります。  その中で、例えば具体的に幾つかの計画で、調査研究の中にもあります動物実験とヒ トとの間をつなぐための幾つかの工夫というものが、遺伝子を含めて、あるいはテーラ ーメードの予防といった、予防医学ですか、そういうこともお書きになられていらっし ゃる。これは非常に重要な問題で、科学の世界ではまだほとんどわかっていないところ だと思いますが、一番大事であると。  そういうところも調査研究の中の研究に入っているけれど、本当はオリジナリティの 高い研究というところのリードをしていくべき話ではないのかなと。ただ、やられるこ とに関しては同じではあろうかと思いますが、そこにみんなが期待しているというとこ ろもあるのではないか。一番最初の前文にありますように、やはりそこが中心的にこの 研究所が働いてほしいという部分の一翼を担っているような気がしますので、その辺、 お願いというか、何か御意見をいただければと思います。 ○国立健康・栄養研究所理事長  私も、少人数で比較的少額の研究費の中で、うちの研究所の存続意義として、何のた めに日本に存在するのかというところを考えてやりたいと思っております。一つには、 運動と栄養の相互作用に関して、厳密に言いますと、全くエビデンスがないのです。で すから、ヒトにおいて本当にこれがどれだけ効果があるのかと。それから、特に今まで の栄養摂取基準とか食事摂取基準は健康人を対象に考えてきておりましたが、これだけ 肥満者や病人が出てきますと、その人たちが本当にどうなのかと。この点については国 際医療センターが近くにありますので、一緒に組んでやっていきたいと考えております。  それから、もう一つの遺伝的な背景ですが、スニップがこれだけはっきりしてきてお りますけれど、本当にどの部分が役に立つのかというのは必ずしもまだわかっておりま せん。それで、動物実験の方はメカニズムをきちっと解明できるわけですし、ヒトでは どこまでそれの応用がきくのかと、ヒトでのエビデンスを積み重ねていきたいと思って おりまして、その意味で、コホート集団を設定してきちっとやりたいと思っております。 ○市川委員  そのとおりで結構だと思うのですけれど、特に期待したいことは、動物実験でやる人 というのは大学にも研究所にもたくさんいらっしゃると思うので、そういう成果と、た だコンフィートしてオリジナルがある研究というのは、数の問題としまして、やはりパ イは大学研究機関の方が大きいと。そうすると、そちらの持っていらっしゃる情報、ヒ トに関しての調査研究に基づく情報というのは非常にあるわけですから、その中から何 か先駆的な、あるいは先導的な、何かこういう方法があるというようなものを提示され たら、大学の研究機関でやっている内容というものはもう少しヒトに向けて、特にこう いう栄養や健康というのはやはりヒトに対しての問題であるわけですから、動物の栄養 研究ではもちろんないわけなので、遺伝子レベルの研究というのはそういうところは非 常に怖いところがあると思うのです。遺伝子へ行けば何かわかるような気がするけれど、 本来、違うようなことを……。申し上げることではないかもしれませんけれど、その辺 を十分リードする研究をしていただきたいと思います。 ○武見委員  今のことにも関連しますが、5ページの重点調査研究以外のというところで、食育推 進計画との関連で栄養教育のことが取り上げられてきています。このことは先ほど渡邊 理事長がおっしゃったソリューション・オリエンテッドで栄養教育みたいなものにも研 究として実践的なものをということにつながるのだと思いますが、ここの中期目標案も 計画案もですけれど、こうしたことを管理栄養士と保健従事者の教育とか情報提供を行 うとなっていますが、これは考え方としてちょっと狭いのではないかということが気に なります。  というのは、法律ができたということで、食育ということで今社会的に非常に動いて いると思います。そして、実際にいろいろな立場の方がこの食育にかかわっていて、あ れも食育、これも食育みたいな現状が実際に社会に出てきていると思います。けれども、 どんなものであっても、食べるということは、体に取り込まれるという視点では、そう いうことに対して、栄養学関係者はもちろんですけれど、栄養学的な視点から責任を持 つということがもっと求められると思います。  そういうことが解決していかないと、それこそ酒井委員がおっしゃったような、成人 期の生活習慣病の対策というのはなかなか進んでいかないのではないかと思います。で すから、どこに還元していくのかというあたりはかなり広くとらえていただいて、取り 組んでいただいてはいかがかなと思います。意見です。 ○国立健康・栄養研究所理事長  実は私も食育基本法の委員をやっておりまして、案がまだ固まってこないのでここに は具体的に書き込んでいないのですが、食育基本法そのものは、地産地消であるとか、 伝統食品の復活であるとか、非常に情念的な部分が多いのですね。それで、食育が本当 に成果を上げるかどうかというエビデンスの部分は、うちの研究所で担当して実証して いかないといけないのではないか。そこにも国民健康・栄養調査結果などが活用される のではないかと考えております。  もう1点は、世界的に小児肥満が問題になっておりまして、この部分につきましては、 ことし私どもの研究所がWHOのコラボレーティングセンターになれそうな気配があり ますし、世界的なネットワークを通じての共同研究あるいは情報交換をやっていきたい と思っております。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  酒井委員から施設整備に関する御質問がありましたので、お答えします。  資料1−3で計画の全体像が書かれているものの最後のページでございます。  これは現実的には、紙の上の計画だけでは済まなく、財務省の予算要求上の結果がこ れでございます。  施設ということになりますと、国を感染症研究所の間借り状態でありますので、我々 は何ともしがたいことがありますので、大変小規模ことがこの程度計画されているとい うことでございます。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、次の審議に移らせていただきたいと思います。次は、業務運営の改善及び 効率化に関する目標でございます。これについて御説明をお願いいたします。 ○厚生科学課研究企画官  それでは、また目標と計画の順で御説明をさせていただきたいと思います。資料1− 1の10ページをごらんください。  第3の業務運営の改善及び効率化に関する目標でございます。中期目標は1.〜6. までございます。  まず、10ページの1.の運営体制の改善に関する目標でございます。  (1)法人の意志決定と運用を機動的かつ効率的に行うことができるよう、役員組織 と研究部門及び事務部門の連携による執行体制を強化するということ。  (2)研究企画及び評価にかかわる機能及び体制の強化、(3)研究業務の内部進行 管理と評価、(4)広報体制の強化、(5)外部資金の積極的な獲得等、これらを目標 として設定をいたしております。  11ページ、2.の研究・業務組織の最適化に関する目標でございます。  (1)業務効率化の観点から、研究部組織体制の最適化を図る、(2)他機関との連 携・交流を強化し、組織の活性化を目指す。これは先ほどの研究のところでも出てまい りましたが、今回の非公務員化の一つのメリットかと考えております。  3.の職員の人事の適正化に関する目標でございます。  (1)職員の適切な配置、(2)研究職員の評価結果の昇給等への反映、(3)研究 職員の原則公募制・任期制による採用。また、12ページですが、(4)事務職員の適切 な評価。こういうことを目標として設定をいたしております。  4.事務等の効率化・合理化に関する目標でございます。  (1)事務書類の簡素化等と外部委託の推進ということ、(2)事務職員の業務意識 の高揚を図るということを目標として設定いたしております。  5.評価の充実に関する目標でございます。  (1)内部評価委員会における内部評価を実施する、(2)外部評価委員会による年 度計画の事前・事後評価を行う。また、13ページですが、(3)評価結果をホームペー ジで公開をするということ、(4)研究職員の自己評価等のことを目標として設定をい たしております。  6.の業務運営全体での効率化でございます。  運営費交付金の対前年比2%以上の削減に加えまして、今回は、現中期目標にはなか った総人件費の削減等、効率化のための具体的な目標値を設定いたしております。  目標については以上でございます。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  また10ページに戻っていただきたいと思います。運営、マネジメントのことですので、 記述的な部分が多くなってございます。  1.ですが、(1)役員組織と研究部門、事務部門との連絡調整を密にし、執行体制 を強化するということでございます。研究所運営に関する必要な情報を研究所職員で共 有化をより図っていくということでございます。  (2)研究部門間の連携を強めるということが第一でございますが、異なる研究分野 からの情報や研究手法を積極的に利用して、戦略的な事業の立案・実施を図るというこ とでございます。  (3)内部進行管理の方法といたしましては、所内の報告会での進捗状況の報告、ま た、評価ということに加えまして、イントラネットを活用して業務の進捗状況の管理等 をできるだけ効率的に行っていくということでございます。  (4)法律に基づいて積極的に情報公開を行うということでございます。  (5)外部資金の積極的な獲得、経費の節減、施設の有効利用でございます。  11ページ、2.の研究・業務組織の最適化に関する目標でございます。  (1)研究部組織体制の見直しということです。これは業務量や集中的に遂行すべき 時期等を勘案しながら、先ほど酒井委員からロードマップというお話がございましたが、 我々は重点調査として行う研究業務は、厚生労働行政のいろいろな重点化に対応して行 わなければいけない。例えば、現中期計画でも、食事摂取基準の策定ですとか健康食品 の問題が新たに起こる、また調査が切りかわる、そういうことに対応して柔軟に行って きたわけでございます。次期中期計画においてもそういう予期せぬことが恐らくあるの だろうと思われ、そういうことに柔軟に対応して、その都度、適切なアウトプットを出 していくということでございます。  また、非公務員化の利点を生かしていくということで、後ほどこれについては各職員 の評価・処遇についての所でも触れさせていただきます。  また、「プログラム」というものを現在の研究部にかわって設けていこうということ を計画しておりますが、独立採算ではもちろんないわけですけれど、少なくともコスト 意識、またはアウトプットに関しては、プログラムごとに責任をきちんとリーダーがと って管理をするというようなことを予定してございます。  (2)民間、大学等の実際の人材の交流ということでございます。  3.職員の人事の適正化でございます。  (1)これも業務運営の効率化を勘案しながら、やはり重点的に行うべき事柄につい ては必要な人員を十分に担保しなければ、土台が薄くなってはいけないということで、 これも適宜行っていくという記述になっております。  (2)これがいろいろな意味で大きな点かと思います。研究職員の個人評価というの は従前から行っておりますけれど、その結果を昇給・昇任等の処遇及び給与面に反映さ せるということでございます。4月からの次期体制に向けて現在いろいろな調整を進め ておりますが、非公務員型ということになりますと、結果としての減給ということもあ り得る、降格ということもあり得るというような含みかと思います。  (3)流動化計画に従って、公募制、任期付の採用を行っていくということでござい ます。任期付の研究者につきましては、質の高い人材については実績評価に基づいて任 期を付さない形での採用も行う。また、外国人・女性研究者についての採用も可能な限 り行っていくということでございます。  12ページ、(4)事務職員についても自己評価による評価を行い、その結果を昇給・ 昇任に反映するということでございます。  4.事務等の効率化でございます。  (1)権限を明確にし、決裁プロセスを短縮化して、意志決定の迅速化を図る。また、 事務書類を簡素化する、電子化する。アウトソーシング可能なものについては外部委託 を進めるということでございます。  (2)事務職員についての自己能力の向上ということで、幾つかの点を書いておりま す。  5.評価についてでございますが、基本的には、現中期計画期間中に定着したものを 引き続き行っていくということでございます。  (1)内部評価委員会の開催、(2)外部専門家による評価委員会の開催・評価とい うことでございます。13ページ、(3)評価結果のホームページへの公表。(4)研究 職員に対しての評価ですが、引き続き理事長が全研究員と面談を行い評価を行う。また、 評価の結果は各職員にフィードバックするとともに、イントラネットを活用して、各研 究の研究業績を公開するということでございます。  6.業務運営全体での効率化でございます。  これら目標に従って、2%以上の削減、また、5年間で10%以上の削減、人件費相当 分が5年間で5%以上の削減ということでございます。あわせて、公務員の給与向上改 革を踏まえて、給与体系の見直しを行うということでございます。また、業務経費につ いても、5年間で5%以上削減をするということでございます。  以上です。 ○部会長  ありがとうございました。 ○厚生科学課研究企画官  私の説明のところで1カ所不正確なところがございましたので、訂正をさせていただ きたいと思います。申しわけございません。  13ページの6の業務運営全体での効率化でございますが、先ほど、「第1期の目標で あった全体を5年間で2%削減ということに加え」と申し上げましたが、第1期は確か に中期目標期間の5年間で2%削減ということだったのですけれど、今回は、今、研究 所の方からも御説明がありましたように、一般管理費を年2%ですから5年で10%削減 ということになりますし、人件費も年1%ですから5年で5%、業務経費も年1%です から5年で5%ということで、一層の削減を図るという形になっておりますので、ここ を訂正させていただきたいと思います。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等をいただきたいと思いますが、 いかがでございましょうか。  それでは、もしよろしければ先に進めさせていただきまして、後の総合的な議論の中 でも、もし何かございましたらご意見をいただきたいと思います。  それでは、次の財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項につ いて御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○厚生科学課研究企画官  それでは、資料1−1の14ページ、第4の財務内容の改善に関する目標でございます。  1.外部研究資金その他の自己収入の増加に関する目標でございます。  (1)運営費交付金以外の競争的研究資金を積極的に獲得をするということ、(2) 知財の有効活用等によって自己収入の増加を図るということ。これを目標として設定を いたしております。  2.経費の抑制に関する目標でございます。  (1)効率的な資金運用とコスト意識の向上ということ、(2)業務運営に係る経常 的経費の削減を図るということを目標に設定をいたしております。  次に、16ページでございますが、第5のその他の業務運営に関する重要事項でござい ます。  健栄研の場合、業務システムの最適化計画策定対象のシステムというのはございませ んが、業務システムのむだを省き効率的な運営を図るということは共通している話でご ざいますので、ここにも業務の電子処理システムは業務の最適化計画を作成するととも に、情報セキュリティの強化と利用者への情報提供との利便性の向上を図るということ で目標を設定させていただいております。 ○部会長  それでは、計画の方の御説明をお願いいたします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  14ページの(1)からでございます。運営費交付金以外の資金の確保ということでご ざいます。実際の数値につきましては、後ほど説明をする予算計画の中で5年間の数値 を掲げさせていただいております。  (2)知的財産の有効活用並びに出版等を行うということで、出版等による印税収入 も想定をしてございます。また、現中期期間中、途中から始めましたプールその他の施 設の住民への開放を引き続き行い、それによる自己収入の確保を行っていくということ でございます。  2.経費の抑制に関する目標でございます。  (1)コスト管理につきまして、プログラムごとに研究者であるプログラムリーダー もコストを議論する運営会議に参画し、そこで各プログラムごとの費用的なインプット を、これは常勤の研究職員の人件費も含んだコストでございますが、それらと研究成果 についての検討をしていくということでございます。  (2)研究業務を集約化する、アウトソーシングを行っていくということで、これは 人的資源を研究所内部でより有効に活用するということでございますし、具体的な事柄 としては、業務運営にかかわる経常的経費−−例えば、インターネット上の資料を活用 することによって、いろいろな紙の資料等の購入費用の削減を図るということでござい ます。  予算計画その他につきましては、資料1−3をお開きいただきたいと思います。12ペ ージから、別紙として予算計画がございます。  収入として、5カ年で運営費交付金収入41億円ですので、年間約8億円ということで す。それ以外の収入として、10億2,000万円ということで、年間約2億4,000万円の外 部的な資金の収入を見込んだ数字となってございます。 その中で、支出のところは以下に掲げるとおりでございますが、人件費相当分のほか、 業務経費につきましては、予算要求時点でのプログラム名、あるいはプロジェクト名と なってございますが、これらについては業務・研究の内容的には重点調査の3つの柱の 中にそれぞれのプログラムが有機的にかかわりながら、3本の重点調査のエリアをこれ らのプログラムのリーダーあるいはその構成員が有機的につながりながら行っていくと いうことでございます。また、受託経費ということで書かせていただいております。  これらの事柄についての算定ルールというものがございまして、13〜14ページでござ います。先ほど御説明をしたような人件費、業務経費、管理費というものの削減目標が ございますので、この資金に従って5カ年の目標を達成するような形での算定を行って いるということです。  15ページですが、これが収支計画でございます。特にごらんいただきたいのが収益の 部で、この収益の内容的なことにつきましては、次の16ページにございます。資金収入 として、業務活動による収入ということで、交付金以外に、手数料、受託収入、栄養情 報担当者事業経費、寄附研究事業費、雑収入ということで、これらの収入を見込んで事 業を行っていくということでございます。  以上です。 ○部会長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明につきまして御質問等をいただきたいと思いますが、い かがでしょうか。 ○厚生科学課研究企画官  その前に、私は、修正をされていたところを御説明するのが漏れてしまったようで、 大変申しわけないのですが、資料1−1の最後の16ページの第5の(1)セキュリティ の確保のところでございますが、1行目の「業務の電子処理システムは」ですが、今の 書き方ですと「業務の最適化計画を作成するとともに」とありますが、そうではなくて、 「業務の電子処理システムは、最適化を図るとともに」というのが正しい文章でござい ます。申しわけございませんでした。 ○部会長  それでは、御質問等をどうぞ。 ○清水委員  自己収入のところで、予算との関係についてお伺いしたいのですけれど、この中期計 画の方で新たに知財の有効活用並びに出版による自己収入の増加を図るということが打 ち出されています。これは予算でいきますと、恐らく雑収入の中なのかなと拝見したわ けですけれど、幾らほどを予定されているのかという点が1点です。  もう1点は、できるものについてはアウトソーシングするということでございますが、 支出は今プログラム別になっておりますので、積み上げの際には詳細な部分があるかと 思いますけれど、委託費の増ということをどのぐらい見込んでいらっしゃるのかという ことについてお伺いしたいと思います。 ○国立健康・栄養研究所事務部長  まず、収入の増ということでございますが、私どもの研究所では、手数料収入と受託 収入と栄養情報担当認定収入と寄附収入、その他の収入があるということでございます けれど、手数料収入につきましては年間70件ぐらいを維持したいなと考えております。  また、受託収入等につきましては、17年を基準に、5年後に5%増ぐらいにできれば いいのかなと考えているところでございます。  また、栄養情報担当者認定事業でございますが、18年度を基準に毎年10%ぐらいは増 としたいと考えているところでございます。 ○清水委員  済みません、質問の趣旨が、知財の有効活用並びに出版、これによる自己収入と書か れていますので、これについての見込み額が幾らかということを質問させていただきま した。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  まず、知財につきましては、そこで収入が得られるところまでいくというのはなかな か長い道のりがございます。現中期計画では、当初、年間1本ようやく出せて、昨年度 から7件、8件出せるようになってきて、それを今公開して、実施や収益につながるも のがそのうち一部出てくるだろうという状況の中で、恐らくそれらの特許を維持する支 出の方がしばらくはかかるのだろうと思われます。そういう意味で、特許そのものでの 収益ということは額としてはほとんど見込めない現状でございます。  また、図書等につきましては、これもまたその年々でいろいろなシリーズの本等を監 修したりするわけですが、現行、200万円ほどのそういう監修料等の収入がございます ので、それらを少しずつ伸ばしていくことを考えております。 いずれにしても、すぐに大きな額になるということではなく、現状のものを少しずつ 伸ばしていくということになろうかと思います。 ○部会長  ありがとうございました。よろしゅうございますか。 ○清水委員  そうしますと、「自己収入の増加を図る」と書いてあるのですけれど、具体的にはど うなのでしょう。幾ら見込まれているということなのですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  具体的な額としては、今申しましたように、少なくとも知的財産という意味では、数 値としては、もちろん実施特許で広く使われるようなものが、別の言い方をすれば、一 発当たればそこは大きな収入になるのかもしれませんが、なかなかそうはいかないのだ ろうとは予想しております。  図書等の収入というのもそれほど大幅な増は見込めないわけですが、受託の調査研究 ですとか、あるいは先ほど御説明をしたNRにつきましても、今、養成講座等がふえ、 また、受験者も順調にふえているところでございますので、それについては増加が見込 めるだろうと考えております。 ○清水委員  そうであれば、「自己収入の増加を図る」というのはちょっと言い過ぎなのかなとは 思うので、そこは御検討いただく方がよろしいんじゃないかなと思います。  あとは、アウトソーシングについてはいかがですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  アウトソーシングにつきましては、これも例えば国民健康・栄養調査のような毎年比 較的定型的に想定される業務については、引き続き入力等の単純作業はアウトソーシン グしていくということで考えております。ただし、これはアウトソーシングの委託の費 用そのものを何%ということにしますと、逆に言うと、今、競争入札でできるだけ安い ところで落としておりまして、できるだけ同じ仕事を安くアウトソーシングというふう にやっていますので、その金額的な割合というのは示しにくい状況にあります。  あと、調査研究におきましては、その年々で、5年間平板に同じ研究調査をやってい るわけではございません。年度計画としては、この年はこういう調査をする、この年は こういう分析をするということがございますので、その年々の研究計画に応じて、例え ばデータの入力であったり、血液検査のルーチンの測定であったり、あるいは役務的な ことであったりということについてアウトソーシングを図っていくということでござい ます。現時点では、非定型的な仕事ということになりますので、アウトソーシングの金 額的な割合については、まだ明確には検討をしておりません。示しにくいということで ございます。 ○清水委員  では、お話をまとめますと、定型業務については従来どおりもやっているということ で、新たに幾ら追加的にアウトソーシングをするということは見積もっていないという お話でございますね。調査業務については、非定型であるから、今ここでは見積もって いないということで、いずれにしても見積もっていないというお話なのだろうと思いま すが、こういう目標を掲げていらっしゃる以上は、実績を出していただくときに、目標 が示されないということですので、前年実績ときちっと比較するような形で出していた だくしかないのかなと思います。そこはよろしくお願いいたします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  今まで御指摘いただいている事柄、また、ロードマップ的なことも、年々によって行 政ニーズが変わる、状況が変わり得る中で、年々の御報告の中でより具体的に示せれば と思っております。 ○酒井委員  別紙1で、5年間の中期計画の予算を見せていただきますと、計算に間違いなければ、 人件費比率が収入総額の55%ぐらいになっていますが、私たち民間の研究所ですと、55 %というのは高いなという印象があるのですけれど、この辺は単に総額で5年間で何% 落とすという目標だけではなくて、研究所の適正運営として、人件費比率は大体どの辺 が適正だとお考えになっているでしょうか。  もう一つは、短期借入金を1億円と置いておりますが、この根拠はどんなところで1 億円になっているのか、教えていただけますか。 ○国立健康・栄養研究所事務部長  1億円の根拠は、通則法といいますか、その中に規定され、財務省から指示されてお りまして、中期計画の中に書かれております。 ○酒井委員  理由は3点ほど書かれているわけですけれど、例えば資金繰り上の話を何かシミュレ ーションをして、最悪の事態が起こったときにこれだけ必要だということで示している わけではないんですね。法律に基づいているからということになるのですね。 ○国立健康・栄養研究所事務部長  ええ、基本的にはそうですけれど、私どもの方の内部的なことから言いますと、まず、 財政規模が比較的小さいこと及び資本金がゼロという形になっております。それから、 施設の関係は国立感染症研究所から無償で借り受けているという形になっております。 そのようなことも含めて、そういうことになっているのだろうと思っておりますけれど。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  先ほどの人件費比率については、全体的な考え方は理事長の方から説明をしたいと思 いますが、その前に、状況だけ御説明しておきたいと思います。  我々は、行政のニーズに対してはかなり一生懸命こたえ、御評価もいただいていると 思うのですが、一方で、研究機関として総合科学技術会議の評価がございました。その 中で、原著論文の論文数というものの研究型独法34のランキングがございまして、職員 1人当たりの論文数は我々は2位で、交付金1億円当たりの論文数というのはダントツ 1位ということを考えますと、現状としてこういう人件費比率があるのですが、それに よって非効率的に運用され、アウトプットが出ていないという状況ではないということ は御理解いただきたいと思います。 ○国立健康・栄養研究所理事長  研究費比率、人件費がどれだけかというのはとても難しい問題だと思います。それで、 我が研究所は8億円の交付金で6億円近くが人件費ということでありまして、過去の経 緯を見ますと、競争的資金を3億円台ぐらい稼いで何とかやっているわけです。それで、 総枠的に見ますと大体半分ぐらいが人件費ということになるわけです。ですから、競争 的資金込みで考えると、今、主幹の言いましたように、業績がそこそこ上がっていると いうことが言えると思いますが、私どもは全体の組織の効率化ということをいつも考え ておりますけれど、そこは公務員制度の問題とか、いろいろな部分の制約も非常に多い ので、独立行政法人とはいいながら、民間研究所のようにはいかない事情があるという ことであります。 ○部会長  よろしゅうございますか。 ○酒井委員  はい。 ○部会長  ほかにはございますでしょうか。 ○岩渕委員  今の関連になると思いますが、順番は不同ですけれど、任期付採用ということは、民 間の研究所がどのような採用形態をしているか私たちはどうもよくわかっていないの で、そのあたりのところで言いますと、この任期付採用の場合は、入り口としてはすべ て全員任期付でやって、その結果を見た上で、任期のない採用というので、もう一回採 用し直すのかどうかというところがよくわからない。もう一回雇用契約を結び直すとい う形になると、最初からずっと雇用していたのに比べて、退職金などで不利にならない のかと、そういう心配が一つあるんです。私は知らないからお伺いしているのですが。  そういうことも含めて言えば、民間の例えば研究所とか大学との人材の流動性という のは非常にいいことではあるのですが、ただ、我が栄養研究所が非常に一生懸命やって いて厳しくて、雇用の場として、あるいは働く場として、もしかして余り魅力がなくな って敬遠されるようなことがあっては、それもまた逆に問題だなという感じを受けざる を得ないというふうに、素人考えでそう思うのですが、そのあたりのところは、要する に、人材獲得競争、あるいは働く場としての自信、それは皆さん経営者としての一つの 責任であろうと思うのですが、そのあたりのところの自信のほどといいますか、今後の 見通しも含めて、ちょっと一言。 ○国立健康・栄養研究所理事長  現在、任期付研究員の給与体系は、一般の公務員の給与体系より少し高目に設定して あります。ですから、3年なり5年なりの任期が終わった時点で一たん退職して、優秀 な人だけが残っていただくということになります。ただし、旧来の国家公務員で研究職 で来ている人たちにつきましては、任期の問題というのは如何ともしがたいので、今度 の人事院勧告に従っての昇給の変化とか能力実績主義を反映しながら運営していくとい うことになると思います。  それで、全体の長期展望でありますが、今、先生がおっしゃったように、研究成果を 上げれるというのが研究者にとっての一番の魅力でありますので、その場を十分に提供 したいと思います。それで、我が研究所で十分な実績を積んで、教育機関の教授などの 形で出ていくような形を目指したい。米国でいいますと、NIHのような形に持ってい けないかと考えております。 ○部会長  ありがとうございました。  全般的なことも含めまして、何か御質問等はございますでしょうか。 ○田宮委員  今までのを聞かせていただきまして、ちょっとコメントをさせていただければと思い ます。  先ほどおっしゃっていましたメカニズム・オリエンテッドからソリューション・オリ エンテッドということで、ヒトの栄養学ということの研究所というユニークさはよく理 解することができました。そういう点で考えますと、私も疫学調査をやっていたことが ありますので、ここの研究所のメリットとしては、疫学的な経験が長いということと、 栄養の調査をずっと心がけて担当していらっしゃるという点だと思うのです。  そうしますと、その方法というものは大変奥が深くて、より妥当性の高い、かつ、回 収率の高い方法を開発していき、実施していくということが、大きな課題であるのかな と思います。その点、一方では、アウトソーシングにかけられる部分がどの程度あるか という議論も、この財政の困難な中、必要だと思います。だからこそ、専門家の先生方 のご蓄積をもとに、ここの部分はアウトソーシングができても、ここは無理であって、 こういうところはもっと新しいより必要性に応じた栄養のアセスメントができる部分で あるとか、その辺も少し検討に入れながら対応していっていただければありがたいと思 って伺っておりました。  それから、アセスメントという言葉で考えますのは、これまでは疾病発生の方の予防 のお話が中心でしたが、今、高齢社会で介護予防についても栄養が急に注目されており ます。 ほかの研究所の分担もあるのかもしれませんが、介護予防における栄養マネジ メントという言葉が急速にこの介護保険改正でも出ておりますので、その辺も、先ほど のアセスメント方法の開発などとあわせて、ヒトの栄養学というこの研究所ではポイン トにしていただいて、先ほど萌芽的研究というお話も出ましたが、時代のニーズに合っ た研究という意味でも重要かと思いましたので、コメントさせていただきました。 ○部会長  ありがとうございました。何か御発言はございますでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所理事長  私どもの研究所は、できるだけネットワーク型であちらこちらの研究機関と共同研究 を進めたいと思っておりまして、介護予防に関しましては、長寿科学研究所と共同研究 で進めております。ただし、アウトソーシングは、日本語に訳すとどういう訳になるの でしょうか。何かイメージ的に丸投げみたいな雰囲気があるように思うのですが、アウ トソーシングするためには、その部分のノウハウとかすべてこちらが知っていないと、 確信を持ってアウトソーシングできないと思います。  ですから、コアの部分で調査内容などの開発とか、アセスメントの部分というのは、 実験系もそうですが、自分のところで本当に特定したり調査していることが外部の結果 を正しく評価できるという面がありますので、そこは慎重に考えていきたいと思ってお ります。技術的なレベルが落ちますと、外部に発注しても、それが本当にうまくいって いるかどうかというのは、ヒューザーの例を見ましてもいろいろあるわけですね。です から、そういうふうにはならないようにしたいと思っております。 ○部会長  そのほかに、御質問等はございますか。 ○政安委員  研究部分では、これから大変健康ニーズが高まっていく中で、国の施策が、介護予防、 生活習慣病予防ということで、研究の業務量が大変ふえていくと思います。そういう中 で特にお願いしたいと感じているのは、事務部のアウトソーシングをどういう形でやる のかということをもう少しお考えいただいて、研究の成果が上がるような形のアウトソ ーシングをしていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○国立健康・栄養研究所理事長  事務も刷新しようと思っていまして、事務部長以下、業務課のようなものをつくって、 研究員は研究に没頭できるような環境をつくってもらうということで現在やっておりま す。  それから、事務系の方も、せっかくうちの研究所に来ているわけですから、その間に 研究所の内容をよく理解していただいて、何らかの資格をとって本省に戻るとか、そう いうことをしていただいた方がいいのではないか。そういうことを話しております。 ○市川委員  いろいろな意味で非常に重要なところをされていて、かつ、内容的にも前からずっと、 あるいは今後もずっとその中心的には健康・栄養に関した仕事をされていくと、非常に 大事なポジションだと思います。  それで、ちょっとお聞きしたいのは、いわゆる研究あるいは技術者を含めての継続性 といいますか、年齢構成を含めて、5年間で何ができるかというこの目標とはちょっと 違いますけれど、大局的な意味で、そういう持続的にやっていらっしゃるお仕事をどう 継続させていくかということで、現在の年齢構成を含めて少しずつそういう最終的なと ころへ向けての何かの考え方というか、どんどん若い人が外へ出ていってしまうと、結 局、また難しい問題も起きる。フレッシュな力は入ってくるとは思いますけれど、継続 性の非常に大事な部分をかなりお持ちだと思いますので、その辺の御意見を。 ○国立健康・栄養研究所理事長  次の中期計画は、プログラムとプロジェクトという2段階構成ですべて動かしたいと 思っておりますが、プロジェクトリーダーにはあえて5年間責任を持ってできる人とい う形で配置しました。それで、5年ごとに切って、重要プログラム部門は後継者となり 得る人と、なり得る人がいなそうな部門は外部からの招聘を考えるとか、そのあたりは 今回の中期計画の中で戦略的に進めたいと思っております。 ○清水委員  先ほどの理事長さんの御説明の中で、業務課というものを設けて、事務はそちらに集 中させるというお話がありましたが、こちらについて若干御説明いただけますでしょう か。といいますのは、中期計画の方で、事務職部門という言葉が出てきたりとか、事務 職員の教育ということもうたわれていますので、今、どういう改革を進められていると いうことでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所理事長  今回、研究部門でのプログラムが6本走っておりますが、そのほかに重点化しようと 思っているところが、情報センターと国際産学連携センターでありまして、情報部門と いうのは評価の部門が入りますのでどうしても研究者が張りつかないといけないのであ りますが、それの構造的なサポートは事務系にお願いしたいと思いまして、NRもそう でありますけれど、事務的なことはすべて事務の業務課という部分に集約したいという ことです。  ただし、定員は最初から張りつけられないので、事務の中でお互いに分担しながら消 化していただくということになると思います。 ○清水委員  従来は、研究部門にも事務方がいたということですか。それを集中させたということ ですか。 ○国立健康・栄養研究所理事長  今までは、研究部門には事務方はおりません。ですから、うちは研究員が35名、事務 が12名ですので、その事務の中からさらに少し割いて、業務支援を積極的に行う部署を つくろうということであります。 ○部会長  ほかにはよろしいでしょうか。  ありがとうございました。それでは、今後の進め方につきまして、事務局より説明を お願いいたします。 ○政策評価官  熱心な御審議をありがとうございました。  冒頭、きょうの議事について申し上げましたように、今後、健康・栄養研究所の次期 中期計画期間に向けて、大臣としての中期目標を定め、その後、中期計画の正式な届け 出を待って、認可する前にまたお諮りをするという手続を予定しておりますが、本日の 御議論をいただきました中で、私の受けとめかもしれませんが、中期目標についてはい ろいろと御指摘をいただき、また、前向きな御意見をいただいた上で、お許しいただけ れば、きょうの案をもってして進めさせていただく。  中期計画につきましては、きょう具体的な幾つかの御質問も含めて意見がございまし たし、中期目標を待って改めて法人としてというところもあろうかと思いますので、き ょうの御議論も踏まえて、どこまで対応ができるのか、予算の制約等々ございますので 難しいところも多いかと思いますが、幾つかいただきました御意見に対する対応も含め て、次回の部会は統合法人の議論をお願いしようと思っておりますので、その中でまた 御報告させていただく、あるいはまた、きょうの御意見を踏まえたことを御紹介させて いただく機会を設けさせていただく。  、中期目標と中期計画について、それぞれ今申し上げたような段取りで次のステップ に進めさせていただくことをお許しいただければと事務局としては思っておりますが、 いかがでございましょうか。 ○部会長  ただいまの事務局の御説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、ありがとうございました。中期目標については基本的な部分については御 了解いただいたということと、中期計画につきましては、きょういただいた御意見を反 映する形で、今度改めてまた御説明させていただくということで御了解をいただいたと いうことでございますね。  それでは、今後の作業については、事務局の方でそういう方向でよろしくお願い申し 上げます。 3.閉会 ○部会長  本日は、以上とさせていただきます。長時間にわたりまして大変熱心な御審議をいた だきまして、ありがとうございました。                                    −了−  照会先:政策統括官付政策評価官室 企画係 電話 :03-5253-1111(内線7783)