06/02/09 第37回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第37回 労働政策審議会 職業安定分科会 1 日 時 平成18年2月9日(木)13:30〜14:30 2 場 所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委 員(公益代表) 諏訪分科会長、大沢委員、大橋委員、白木委員 (労働者代表) 池田委員、長谷川委員、吉澤委員 (使用者代表) 紀陸委員、成宮委員、山極委員 事務局 鈴木職業安定局長、高橋職業安定局次長、生田総務課長、 内田雇用開発課長、八田企画課長、古曳高齢者雇用対策課長 4 議 題 (1)職業能力開発促進法及び中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の    創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の改正について(諮問) (2)高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案につい    て(諮問) 5 議事内容 ○諏訪分科会長 定刻になりましたので、早速開会いたします。                 (出欠状況報告) ○諏訪分科会長 早速議事に入らせていただきます。本日の議題は、ご案内のとおり2 つありまして、1点目が「職業能力開発促進法及び中小企業における労働力の確保及び 良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法を改正する法律案要 綱について」、もう1点は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を 改正する省令案要綱について」です。そこで、この順に進めさせていただきます。最初 は、この職業能力開発促進法等という、この法律案要綱についてです。事務局からご説 明をお願いいたします。 ○雇用開発課長 雇用開発課です。資料No.1に法律案要綱が6頁あります。その後ろに 資料を2枚お付けしております。前回の分科会で取りまとめていただきました、中小企 業における技能の受け手・人材の確保支援のうち、法律改正として措置する部分につい て今回、法案要綱として諮問をさせていただきたいということです。具体的には中小労 確法の部分です。  法律案要綱6頁の2枚後に横の表で、「中小企業労働力確保法の一部改正について」 という資料をお付けしております。これで、まず改正の内容について、ご説明をいたし ます。改正事項は大きく分けて二つあります。一つ目は、(1)にあります第4条関連で、 改善計画の認定の部分です。改善計画はご案内のとおり、中小労確法の支援措置を受け るためのベースとなる計画です。傘下に中小企業を持つ事業協同組合等が改善計画を作 る場合と、個別の中小企業が作る場合と二つありまして、いずれも都道府県知事の認定 を受けることにより、効力が発生するというものです。  現行の改善計画は点線で囲んだ部分で、大きく分けて三つの類型となっています。こ れに加えまして、技能継承を円滑に進めるために必要な取組に係る計画として、(4)と(5) に書いてありますように、実践的な職業能力の開発及び向上を図ることが必要な青少年 に良好な雇用の機会の創出に資する改善計画を、今回新たな類型として加えるというも のです。それぞれ、事業協同組合等が作成するものと、個別の中小企業者が作成するも のということで追加をさせていただきたいというものです。  この第4条関係で、改善計画の類型が追加されることによります支援策についてです が、一つは前回ご議論いただきましたトライアル雇用で、人材確保支援対策としてのト ライアル雇用奨励金の対象にするという措置を考えております。それから、もう一点の 中小企業に対する支援策につきましては、職業能力開発分科会の方でもその必要性につ いて議論をしまして、技能の円滑な継承のための取組を実施した場合に、職業能力開発 についての必要な支援を行っていくべきだという方向性が出されたところです。今回の 改善計画関係の改正により、技能継承に向けて計画的に若者に実践的な職業能力訓練を 行う場合について、助成措置、具体的には中小企業雇用創出等能力開発助成金ですが、 こうした助成措置を講じられるようにするというものです。その他、後ほどご説明いた します委託募集の特例につきましても、こうした改善計画の認定を受けた場合について、 適用するといった、措置が講じられることになります。  二つ目が、第13条関連として、委託募集の特例です。職業安定法においては、委託 募集を行う場合、その事業主が許可を取るということが必要になっているわけですが、 中小労確法におきましては、現在、中小企業者が改善計画の認定を受けた事業協同組合 等に募集を委託するという場合に、その組合等の届出によりまして、そうした委託募集 ができるという特例が設けられております。  今回、これに加えまして、個々の中小企業者自体が改善計画の認定を受けているとい う場合について、大臣の承認を受けた事業協同組合等に募集を委託する際には、こうし た事業協同組合等の届出により、委託募集を行えるという特例を設けるというものです。 これによりまして、単独では募集活動がなかなか円滑に進みにくい中小企業の募集をス ムーズにしていきたいと考えているところです。  以上の法的整備の内容を法案要綱としたものが、先ほど申しました法律案要綱です。 形としては、能開分科会で議論をいただいておりました職業能力開発促進法と一括した 要綱として整備をさせていただいております。今回ご審議いただくのは、そのうちの第 2の中小労確法の部分です。一括法にする理由ですが、今回の中小労確法の改正という のが、2007年問題を踏まえた円滑な技能継承を図るという観点から、その受け手と なる人材の確保や能力開発に向けた支援を重視するというものです。これによって、若 者の活躍の場など、良好な雇用の機会の場の確保にも資するということで、技能継承や 若者対策という観点から共通の政策目的があるということで、一括して法案要綱とさせ ていただいたところです。以下、資料No.1の別紙5頁以降が中小労確法の法案要綱です ので、読み上げます。  「第2 中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管 理の改善の促進に関する法律の一部改正。一 改善計画の作成 事業協同組合等及び中 小企業者は、実践的な職業能力の開発及び向上が必要な青少年に良好な雇用の機会の創 出に資する雇用管理の改善に関する事業についての計画を作成し、これを都道府県知事 に提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができるものとすること。二  委託募集の特例(一)雇用管理の改善に関する事業についての計画(以下「改善計画」 という。)の認定を受けた中小企業者(以下「認定中小企業者」という。)が、当該認 定中小企業者が当該認定を受けた改善計画に従って行う労働者の確保に関する相談及び 援助を行うものとして、厚生労働大臣が承認した事業協同組合等(以下「承認組合等」 という。)をして当該認定中小企業者に係る認定計画の達成に必要な労働者の募集を行 わせようとする場合において、職業安定法第36条第1項及び第3項の規定は、適用し ないものとすること。(二)承認組合等は、当該募集に従事しようとするときは、募集 時期等の労働者の募集に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならないものとす ること。(三)委託募集の特例の適用に当たっては、事業協同組合等が改善計画の認定 を受けたものである場合には、当該事業協同組合等を承認組合等とみなすものとするこ と。三 その他 その他所要の規定の整備を行うものとすること。第3 施行期日 こ の法律は、平成18年10月1日から施行するものとすること」。以上です。 ○諏訪分科会長 どうもありがとうございました。ただいまの点につきまして、ご質問、 ご意見はありますでしょうか。 ○池田委員 5頁の第二の一の「改善計画の作成」の中に「事業協同組合等」がありま す。事業協同組合というのはわかりますが、「等」というのは具体的にどういうものを 指しているのか、教えていただきたいということが一つ。その「等」というのがアバウ トでいいですが、どのくらいの数があるのか、わかれば教えていただきたいと思います。 ○雇用開発課長 前回ご質問いただいた点と同様かと思いますが、事業協同組合のほか には事業協同小組合、協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合 会、商工組合、商工組合連合会、商店街振興組合等の団体が「等」の中に含まれるとこ ろです。 ○成宮委員 事業協同組合等として、いま挙げられたもの以外にも若干企業組合とか、 そういったものも含めますが、いわゆる中小企業関係の法律で出ている中小企業組合全 体の数がいま現在4万8千近くあるのです。いま読み上げられた対象から省かれている 形態の組合はありますが、その比率はそれほど大きくはありません。 ○池田委員 すごくあるのですね。 ○成宮委員 例えば商店街ひとつ取っても、大体商店街の組合を作っておられるケース、 あるいは事業協同組合であったり、商店街振興組合と、また別の組合であったりするこ とはありますが、結構津々浦々にいろいろな形の組合がございます。 ○池田委員 ありがとうございます。具体的にわかりました。 ○諏訪分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。特にご質問、ご意見等が ございませんようでしたら、当分科会といたしましては、「職業能力開発促進法及び中 小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促 進に関する法律の一部を改正する法律案要綱」につきまして、これを「妥当」と認め、 その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、そのような措置で よろしゅうございますか。                   (了承) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から報告文の案をお配りさ せていただきます。                  (報告文配付) ○諏訪分科会長 いまお手元にお配りしたような案ですが、これでよろしゅうございま すか。                   (了承) ○諏訪分科会長 それではそのように扱わせていただきます。どうもありがとうござい ました。  続きまして、もう1つの議題は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の 一部を改正する省令案要綱」についてです。これについて、初めに事務局からのご説明 をお願いいたします。 ○企画課長 高齢部企画課の八田でございます。資料No.2の4枚目に「高年齢者等の雇 用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について」という概要ペーパ ーがございますので、これに沿ってご説明申し上げます。  平成16年の国会で成立いたしました改正高年齢者雇用安定法ですが、企業に対して 年金支給開始年齢の引き上げに合わせて、60歳から順次継続雇用制度導入等をしてい くことを義務付ける内容の施行が平成18年4月1日ということになっておりまして、 それに伴う省令の改正という内容です。  まず1つ目として、再就職援助措置の対象となる高年齢者等の範囲です。法律の15 条で、事業主に対して再就職の援助措置、また5人以上の高年齢者等の離職を出す場合 には、事前に多数離職の届出、それから求職活動支援書の交付をお願いしておりまして、 その対象者が改正法において解雇された者ということになっているわけです。今回制度 化されます継続雇用制度によって対象となる基準を定める場合、定年延長の場合は基準 等はないわけですが、基準を定めた場合に基準に該当しなかったこと(基準非該当)で 退職した方について、再就職援助措置、多数離職の届出、求職活動支援書の交付の対象 としていくということです。また、括弧内にありますが、継続雇用制度の導入の義務化 年齢が公的年金に合わせて、順次上がっていき、それが平成25年4月1日で65歳と いう形になるわけですが、それまでの間については、再就職援助措置、多数離職の届出 に関しましては、従前同様、解雇された方、定年退職をした方、継続雇用制度の定めに よって退職した方を対象とするということです。   2つ目に、高年齢者雇用状況報告の様式の変更です。先ほどから申し上げております 継続雇用制度の導入に合わせ、事業主の方からいただく雇用状況報告の様式を変更いた しまして、括弧内にございますが、継続雇用制度の対象者、これは希望者全員か、ある いは労使でお決めいただく基準に該当する方という形になるのかという対象者の問題、 それからそうした対象者の基準の根拠として、労使協定で定められるのか、あるいは就 業規則なのかというようなことなどを新たに報告様式に盛り込むという内容です。  その他所要の整備は、厚生労働大臣の事業主への指導・助言・勧告等の権限を都道府 県労働局長、公共職業安定所長に委任をするなどの所要の整備を行うということです。 施行は、法律に合わせまして、平成18年4月1日です。よろしくお願いをいたします。 ○諏訪分科会長 どうもありがとうございました。本件につきましてのご質問、ご意見 等をお伺いします。 ○長谷川委員 4月から高齢法が改正されて、定年を引き上げるか、定年制を廃止する か、雇用継続制度を導入するか、いずれかを行うことになります。継続雇用制度の場合 には、原則、希望する者全員だけれども、労使協定があれば基準を作って選別しても良 い、労使協定がない場合は、中小企業5年、大企業3年は就業規則で定めても良いこと とされています。その場合、基準に該当しなかった者は、解雇の場合と同様に再就職支 援措置の対象となるのですね。 ○企画課長 はい。 ○長谷川委員 ところが、基準を作って継続雇用する場合、賃金水準が60歳の時と比 べて同じ水準のところもあれば、50%〜80%程度に下げるようなところもある。勤 務先も、必ずしも今までと同じ所でなくて、出向や派遣でも同じ所で継続雇用したのと 同一性があれば良いというような解釈が厚生労働省から出ています。その場合、労働条 件が合わないといって基準からもれてしまう人がいると思いますが、そういう人は再就 職支援措置の対象となるのですか。 ○企画課長 基準に該当しないような場合については、今回追加をするということで、 いまお話は基準を満たすけれども。個別の労働契約でという形になりますか。 ○長谷川委員 ええ、例えば、基準には該当するけれども、継続雇用の内容、労働条件、 働く場所などが自分の希望とは違うので、今の職場で継続雇用を希望しないという人が いますよね。そういう場合はこの措置の対象となるのですか。 ○企画課長 はい。第15条、16条の再就職援助措置、多数離職の届出に関しては、 平成25年3月31日までの間は、いまお話の事例になるのだと思います。求職活動支 援書に関しましては、一応基準を定めて、それに非該当の方について、今回追加をする という形になりますから、いまのような場合ですと、求職活動支援書の対象としては今 回盛り込むということにはならないと思っています。 ○長谷川委員 ならないのでしょう。 ○企画課長 はい。 ○長谷川委員 その場合は解雇でなく、退職だという解釈で、その再就職支援の対象に はならないということですか。 ○企画課長 求職活動支援書を労働者が、要するに3つ目の部分ですね、この部分につ いての対象にはならないということです。 ○長谷川委員 第17条ですね。 ○企画課長 第17条です。 ○長谷川委員 どう解釈するかだと思います。確かに基準に該当しない場合は解雇と同 様の扱いになる。しかし、基準には該当するが本人が選ばなかった場合は自らが退職し たということで、対象にならないということになるのだと思います。本当は、希望する 者全員という法の趣旨からすると、それらの者についても対象にしたほうが良いのでは ないかと私は思います。その部分をもう1回検討することにはならないのですか。 ○企画課長 一応基準を定めていただいて、それについて労使でお話をしていただき、 お話のとおり暫定期間は就業規則でという道もございますが、そこの基準を満たさない 場合について、求職活動支援書の対象にしていくと。ですから、基準を満たした場合、 それで個別の労働契約に至らない事例は様々にあるのだと思いますが、それはケース、 ケースでいろいろ必要があれば聞かせていただき、またそもそもそういった基準、ある いは個別の労働契約自体が法の趣旨を没却するようなものであれば、またいろいろお話 をさせていただくということかと思っています。 ○長谷川委員 おそらく、解雇ではなくて、本人の自発的なものだという解釈でそうす るのかなと思うのですが、この法律は独特な法律なものですから、それらもやはり同じ ように扱うべきではないかと私は思っています。以上です。 ○白木委員 いまおっしゃった事例は、第15条の中には含まれているという解釈でよ ろしいですか。 ○企画課長 第15、16条に関しましては、括弧書きにあります2025年3月31 日、ですから義務化年齢が65歳にいくまでの間は、いまの事例は第15、16条は対 象になります。 ○諏訪分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。特にご質問、ご意見等が ないようでしたら、当分科会といたしましては、「高年齢者等の雇用の安定等に関する 法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」につきましては、これを「妥当」と認め、 その旨、私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょ うか。                   (了承) ○諏訪分科会長 それでは、そのような取扱いをさせていただきます。事務局から報告 文の案をお配りいただきます。                  (報告文配付) ○諏訪分科会長 いまお手元に配付された案のとおりですが、そのようなことでよろし いでしょうか。                   (了承) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにご報告させていただき ます。以上が本日予定されている2議題ですが、これ以外に何かご意見、あるいはご質 問等ございますか。特にないようでしたら、以上をもちまして、本日の分科会は終了さ せていただきます。                 (署名委員氏名)  本日はお忙しいところご参加いただきまして、大変ありがとうございました。 (照会窓口)                         厚生労働省職業安定局総務課総務係 TEL:03-5253-1111(内線 5711)