第27回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要 (平成18年2月7日(火)) 1.委員の出欠   米谷委員、松岡委員、神田委員が欠席。 2.概要   事務局より資料1について説明。 座長:今までのまとめから今後の日程まで説明していただいた。基本的に3つの事柄について、   今までの議論の紹介とこれを踏まえた提案がまとめられている。 1つ目の20食品群選定の考え方については、製造、流通の実態に変化のあったものに   ついて、実行可能性を考慮しながら、必要があれば見直す。その際、消費者、関係者の意   見を聞くという意味でパブリックコメント、意見聴取なども行う。   2つ目として、義務化がされていない品目についても、任意表示を推進する方向を出し   ている。    3つ目として、今後更に見直しを行う際に、どのような考え方に基づきどのように見直   していくか、課題を事務局に提示していただいた。    今後、共同会議では報告書をまとめ、広く一般にご意見をいただき、最終的な方向をま   とめることとしたい。具体的な個別の品目については、関係ある皆さんのご意見も踏まえ   て、検討することになるだろう。 以上、全体的に表示の基本に関わることであって、文字による表示というものをどのよう   に考えて、どのように実行するかということ。その他、HPや窓口への問合せ等の言及も   あったが、文字による表示を義務表示としてどこまですべきなのか。任意表示としてどの   ように進めていくのか。義務表示全体の中で、原料原産地表示をどれだけ重く見るかとい   うことでもある。共同会議の場では、個別品目の議論というよりは、横断的にかつ一定の基   準を示すということであり、そういうことを中心として議論いただきたい。   (1)<検討事項1>原料原産地表示の義務対象品目の見直しについての考え方(案)について            (資料1 2〜4枚目) 門間委員:「製造、流通の実態が大きく変化した」(資料1 4枚目)という部分について、変   化したというのは、どういう期間で誰が判断するのか。原料などに関しては、産地の変動が   大きい。国産原料の不作などで急に輸入が増えたりする。そのときの瞬間的に短期間で原料   調達先が変動することをもって表示制度を変えることは考えにくいが、その考え方をご説明   いただきたい。 事務局(表示・規格課 足立補佐):製造、流通の実態が変化したという例として第25回共同会   議のときに示したのは、一つは緑茶飲料について、製造が約3.5倍になっている。これは新   聞紙上などでもあったが、若い人を中心に緑茶飲料を飲む習慣が出てきたということで、製   造、流通の実態が変化してきている。また、その他の加工食品でもその中間加工原料の輸入   量が増加してきているものもある。基本的には、瞬間ということではなくて、ある一定の期   間で見たときに、製造、流通の実態が変化している、あるいは、原料の調達の変化が出てき   ているということ。さらに付け加えれば、そうした製造、流通の実態が、消費者の関心に結   びつくかどうかというのが、最終的には判断の基準の1つになるかと思う。20食品群を選   定した時点前後で大きく状況が変わってきているものについては、実行可能性の問題がなけ   れば原料原産地表示義務対象品目に加えていくといったことが考えられるのではないか。 門間委員:20食品群を検討したのは平成14年か平成15年ごろだと記憶しているが、今の事   務局の説明からすると、今の時点と比較する基準時は20食品群選定時になると思う。基準   を昔にさかのぼってよいことになれば、昭和20年から比べれば、全ての食品の製造、流通   の実態が変化している、ということになるだろう。    ただ、急に実態が変化したからといって見直すというのは、それが数年間だけのものなの   かどうか、判断が難しい。JAS規格などは5年ごとに見直しをしており、原料原産地表示   についても、どれ位の期間で見直すという基準を作った方がいいのでは。 座長:確かに、状況が大きく変化しても、その状況が定着していくか判断が難しい。門間委員の   意見は、大きく変化するものについて、客観的に見ることはできないかという意見でもある。   ただ実際、何か客観的基準を設定できるのか。   平成11年に比較して、緑茶飲料の製造が3.5倍というのは、比較する基準が古いのではな   いかというお話もあったが、20食品群選定の議論をした際に、どの程度新しい時点のデー   タが入手可能であったのか。それを考えても実態が変化していて、この状況が定着していく   のであれば、義務表示対象品目として考えていくことになるのではないか。 事務局(足立):前回の20食品群選定をしたときは、基本的には、資料1 3枚目にあるように   「(1)原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般   に認識されている品目」については、加工の程度が比較的低い、言い換えれば生鮮食品に近い   加工食品であること、また、原産地によって原料の品質に違いが見られ、商品の差別化がされ   ていること、それから、原料の調達先が海外を含めて多様であること、これらを踏まえた上で、   基本的には1次加工という観点から選ばれていると思う。    第25回共同会議で示したのは過去5年間の変化ということで、平成14年からということ   ではなく、相対的に、前後の状況を示している。20食品群選定時を含めて状況が変化してい   ると考えられるのではないか。こういった状況により消費者の関心が高まる等の変化があれば、   見直しを検討するにあたるのではと考える。具体的に、平成14年に比べてどうというのは、   短期間の年次変動ということになるのではないか。 座長:考え方は基本的に変えず、従来の考え方の枠の中で、長い目で見て変化が大きいもので消費   者の関心が高いもの、実際に実行可能なものについて、パブリックコメントや関係団体の意見   聴取を踏まえつつ必要な見直しを行っていくことになると思う。 門間委員:原則として、どれくらいの期間で見直すのかはっきりさせておくべき。表示制度という   ものは安定したものでないと、消費者に対しても製造業者に対しても信頼度が落ちる。義務対   象品目を変えることを考えると同時に、変えないことも前提に考えないといけない。 渡邉委員:変化というものは構造的に大きく変化した、ということではないか。天候不順等一時的   なものについても大きく変化したと捉えられるのはよくない。「大きく構造的に変化した」とい   う文章とし、「おおよそ何年」と言う文言を加えるとなお良いのではないか。 座長:変化については、一時的な影響ではなく、言葉でいえば「構造的に大きく変化」したという   ことが必要であり、もう一つは、見直しということを考えると、安定的な制度として残るとい   う意味では、毎年毎年見直しをするというのは、かえって信頼性がないのではないかという意見。 板倉委員:義務化対象品目の見直しについての考え方については、(1)(1)、(2)の要件(資料1 4枚目)   を踏まえた上で、原料の調達先が、国産のみだったような場合から海外を含めて多様になった   ものが見直しの対象となるという理解で間違いないか。例えば牛乳は、原料がほぼ国産という   ことから対象となっていないが、海外からも輸入されてくるようになる、というような状況の   変化があるときに考えるべきことであり、単に実態が大きく変化しただけで見直しの対象とな   るのではないのではないか。 増田委員:結論として、この表示制度を立派に通用させつづけることが重要。加工食品の変化の激   しい現状の中で、この表示制度は古いと言われるのを恐れないといけない。5年に1度は見直   しをするという基本計画ではないが、一応の目安として、定期的な見直しをするというルール   を作る方が消費者にとって有効なのではないか。 座長:見直しに対し、いつ、どういうタイミングでということは今まで議論されていなかったので、   特に問題がなければ、見直す時期はある程度用意しておいて、その間でも必要であれば適宜話   題にするということを、事務局には考えていただきたい。 事務局(表示・規格課 水田課長):板倉委員からいただいた御質問だが、対象品目の要件につい   ては、20食品群を選定した際の選定要件であり、今回も同じ要件でやっていこうということ。   製造、流通の実態が変化したものというのは、そういうものがあれば、要件に当てはまるもの   が出てくるのではないかということで書いてあり、板倉委員の読み方のとおりである。  一方で見直しについては、御意見を踏まえ、次回以降の見直しのタイミングについて、可能で   あれば報告書に入れていくことを考えたいと思う。見直しの期間については、増田委員のお話   でもあったが、消費者、関係者がもうこの表示制度は古いと思われるようになっても困る。   JAS規格は最低5年に1回見直しているが、5年経つとかなり変わってくることもあるので、   どうかと思う。具体的な期間については、御意見を踏まえながら検討していきたい。 座長:よろしくお願いしたい。製造、流通、消費の状況がめまぐるしく変わってきているので、の   んびりしていても遅れをとってしまう。見直す期間については実際どれくらいがいいのか、ま   た、どこまで具体的に入れるのか報告書案を基に議論することとしたい。   (2)<検討事項2>任意表示の推進について(資料1 5〜9枚目) 増田委員:義務表示事項が整備されると、任意表示の役割も変化する。原産地表示のシールなどは、   消費者はとても注目する。このような中で、宣伝広告のためのPRと消費者への情報提供との   区別が難しい。例えば、畜産物では乳用牛から生まれた牛を「国産若牛」と表示することを任   意で推進しており、消費者の商品選択の助けとなる一方、事業者側にとってはPRとなってい   る。義務表示が進めば任意表示の位置づけはファジーになる。行政でどうチェックするか課題。   前回、例として紹介したりんごジュースの産地表示についても、消費者側の選択に資する情報   と業者側のPRという2重の意味を持っている。 上谷委員:質問だが、加工品表第4条において、原料原産地の対象外のものでも義務表示の方法で   「記載することができる」となっている(資料1 8枚目)が、任意表示についても義務表示   に準ずる方法でやる必要があるのか。 事務局(足立):御指摘の規定は、一括表示欄の原材料名の後ろに括弧で記載したり、一括表示欄   に「原料原産地名」を設けて表示するなど、義務表示と同様の方法で記載できることを定めた   もの。原材料の産地を任意表示することについては、基本的には義務表示と同じ方法で表示す   ることが望ましいと考えるが、商品パッケージに印字したり、シールをはり強調表示すること   も可能である。しかしながら、分かりやすい食品表示の議論の中で特色ある原材料の考え方を   整理した際にも示したとおり、イメージの良い産地のものを使用していても、極少量の場合や   明らかにメインではないものなど、製品に影響を与えないような原材料について、それのみを   強調表示することは勧められない。 増田委員:「強調表示」と「任意表示」という用語は意味が異なるのか。 事務局(足立):一括表示欄外に表示したものという意味で強調表示という言葉を使用したので、   今の説明では強調表示したものは任意表示ということになる。 座長:強調表示が間違っていた場合、JAS法や景表法の違反となるのか。 事務局(足立):JAS法に基づく加工品表では第6条で内容物を誤認させる表示を禁止しており、   強調表示であっても事実と異なれば、JAS法違反となる。また、景表法でも事実を誤認させ   る表示は規制対象であると認識している。 座長:文字の表示は入口であり、例えば、表示された電話番号に電話すれば、商品についての詳細   な説明を聞くことができるなどの情報提供の方法も考える必要があろう。任意表示の方法として、   資料1に示された以外の方法はあるか。 門間委員:最近では2次元バーコードによる情報提供も行われている。これを義務化することはで   きないが、将来の情報提供方法として広がるものと考えられるものがある。 座長:2次元バーコード等の活用についても、情報提供の手段となると考える。 増田委員:若い消費者はITを活用するが、一方でトレーサビリティーを知っているかというアン   ケートでは、70%以上の人が知っておらず、聞いたこともない人が56%もいる。多くの日   本人は水と食品の安全はタダで手に入るものと思っており、情報収集に積極的な人とそうでな   い人の差が大きくなっている。食育の取組を進める中で、食品表示についても広報に力を入れ   ることが重要であると思う。 座長:そのとおりである。食育を通じて消費者の姿勢を変えていくといった文言も報告書に盛り込   むことを考えてほしい。 小笠原委員:生産情報公表JASは見かけないが、制度が知られていないのか、消費者のニーズがないのか。 事務局(水田課長):生産情報公表JASについては、平成15年12月に牛肉、平成16年7月   に豚肉、平成17年7月に農産物についてそれぞれ規格が定められている。取組は始まったば   かりであり、登録認定機関の認定など準備を進めるともに、コストもかかるがチェックをしっ   かり行う良い制度であることを消費者等へPRしていきたい。 門間委員:生産情報公表JASについては、規格ができてからすぐに生産の履歴などの記録を開始   しても、その牛、豚等が売り場に出るまで1〜2年かかるので、まだ店頭には少ないのだろう。 座長:情報の開示について、事業者が積極的に行うものと消費者が要望して行うものがあり、これ   らが双方向で表示が的確に行われるようにしていきたい。また、広報活動についても並行して   続けてほしい。   (3)<検討事項3>今後、原料原産地表示の対象品目選定要件を見直す場合の検討事項・     課題等について(資料1 10、11枚目)   板倉委員:加工度とは何かが曖昧。20食品群を選定した際に、消費者としては、果実飲料は加工   度が低い食品であると思っていたが、義務表示対象品目にはならなかった。品目毎に加工度の   とらえ方がバラバラであり、わかりにくい。    また、複数の原産国を切り替えて使用する場合、ホームページでの任意表示は、JAS法で   は違反になるのか。   事務局(足立):商品に表示すると任意表示であっても義務表示と同じJAS法の品質表示基準で   判断することとなる。複数の原産国を切り替えて使用していて、産地間による品質差、価格差が   ない場合には、「又は」でつないで産地表示ができるが、明らかに産地間により品質差、価格   差がある場合は、消費者に誤認を与えるということから「又は」で産地表示をすることはでき   ないとの考え方をQ&Aで示している。インターネットで情報提供する場合は、JAS法が直   接適用されないが、「原材料の○○は、何処の産地のものを切り替えて使用しており、実際の   商品にはそのいずれかの産地のものが使用されている」等の丁寧な情報提供がなされることが   望ましい。   沖谷座長代理:「消費者が原料原産地の情報を必要とする品目は何か」という記述(資料1 11枚目)   があるが、考え方としては原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大   きく反映されるという大前提を変えるべきではない。20食品群は、この大前提に従って、最   低限のものを選定した結果だと思う。例えば、緑茶飲料や野菜飲料などは、原料の品質の差異   が加工食品としての品質に反映されると考えられ、品目としてプラスしていくものになると考   えられる。20食品群検討の際にはこのような議論に時間をかけなかった。一次加工にこだわる   ことはない。    大前提を変えるのであれば、全ての加工食品を対象とし、50%以上の原料を対象とする方法   もある。原料原産地表示の拡大は国会の附帯決議でも言及されており、基本的にそういう方向で   進めるのではないか。   座長:生鮮食品と加工食品の線引きは共同会議でもテーマであった。加工度については、それぞれ   個々の食品によることであるので、いたずらに加工度にこだわらずに検討することになるので    はないか。   渡邉委員:〈検討事項3〉(1)共同会議における意見の整理の中で、「・日本産の原料を海外で   加工して日本に輸入する事例もあるが、・・・」(資料1 10枚目)とあるが、表示のルール   としては答えの分かっているものかと思う。次の頁の「中間加工原料を使用した場合に、原料   原産地ではなく、中間加工原料を製造した国名を記載するなど表示方法を含めて検討を行う。」   は、原料の原産地を遡って追跡できない場合の案だと思うが、やはり産地を追跡して原料の原   産地を表示するのが原則であろう。   事務局(足立):日本産の原料を海外で加工して日本に輸入して最終製品に仕上げた場合、この原料   の産地は日本となる。これはご指摘のとおり、答えは決まっている。一方、20食品群を選定し   た際に原料原産地表示の義務対象品目とできなかった理由として、原料の原産地が複数国にわた   る場合と、製造者が中間加工原料を使用しており、更に遡って原料の原産地を把握できないとい   う理由があった。遡れるものは遡るべきだが、輸入条件として相手国にそれを求めるのは難しい。   今後、義務表示品目の対象を広げていく場合、原料原産地まで書くのか中間加工品の加工地でよ   いのかという点を、考慮すべき点としてあげた。先の、日本の原料を海外で加工するような例は、   (2)の案の3つ目の矢印(資料1 11枚目)にも関連するが、製造の行程が多段階に、グロー   バル化していく中で、今後、最終製品における中間加工原料の表示の考え方というような問題と   して整理しないといけないものになっていくと考えている。   座長:これから先、見直す際には、流通実態の変化の具体的事例も踏まえ、表示でできることを考え   ていきたい。   門間委員:附帯決議の内容を確認したい。   事務局(水田):国会の議論は義務表示の対象品目の拡大という観点であり、附帯決議には、「加工食   品の原料原産地表示の義務付け対象範囲の拡大を検討するなど、食品の表示基準の適切な見直し   を行うこと。」とある。   座長:我々の議論も大きくはその方向で進んでいる。次回は、事務局には報告書(案)を示していただき、   文言や考え方などについて、1、2回程度具体的な検討を進めていきたい。    では、最後に次回の日程について、事務局よりお願いする。  (事務局から次回の第28回は3月22日(水)午前を予定している旨説明。) 以上 【照会先】 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課   担当 松岡、有本    TEL:03-5253-1111(内線2921)     03-3595-2341(直通) 農林水産省消費・安全局表示・規格課   担当 足立、沼里、梅田、白須、高木   TEL:03-3502-8111(内線3309) 03-3501-3727(直通)