06/02/07 今後の歯科保険医療と歯科医師の資質向上等に関する検討会第2回議事録 今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上等に関する検討委員会(第2回)       日時:平成18年2月7日(火)14:00〜16:00                   場所:厚生労働省専用第16会議室(13階)                     ○田口課長補佐  それではただいまより今後の歯科保健医療のあり方と歯科医師の資質向上等に関する 検討会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところを 本検討会に御出席いただき、まことにありがとうございました。なお、本日は森尾委員 が御欠席との連絡をいただいております。また、南委員におかれまして は20分程度遅れるという御連絡をいただいております。  前回御欠席をされまして、今回が初めての御出席の委員の方がいらっしゃいますので、 事務局の方から御紹介をさせていただきます。新潟県福祉保健部健康対策課長の石上委 員でございます。それから学習院大学経済学部教授の遠藤委員でございます。なお、前 回欠席をさせていただきました岡島審議官が本日は出席されておりますので、御紹介を させていただきます。    ○岡島審議官  岡島と申します。よろしくお願いいたします。   ○田口課長補佐  また、本日は議事の進行上、本年度の厚生労働科学研究、新たな歯科医療需要等の予 測に関する総合的研究の分担研究者であられます岡山大学の渡邊教授と、東京歯科大学 の下野教授にオブザーバーとして御出席をいただいております。それでは齋藤座長より 今後の議事進行をお願いいたします。   ○齋藤座長  座長の齋藤でございます。本日この検討会第2回ということになりますが、前回はい ろいろ検討事項についてフリートーキングという形で各委員から必要な検討項目につい て御提示いただきました。それに基づきまして本日、私と事務局で検討する項目につい て案を用意してございますので、それについてまた御意見をちょうだいするつもりでご ざいます。  歯科医療を取り巻く社会情勢の変化に対応して、この需給問題もそうですし、歯科医 師の資質をどのように担保していくかということ、あるいは向上していくかということ にその目標があるかと思います。それでは事務局からもお話がありましたが、本日の検 討会の後半は、現在、厚生労働科学研究において、本検討会に関連した項目についての 研究班がございますので、そちらからの報告もちょうだいして、ヒアリングと申しまし ょうか、そういう時間を設定しております。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、本日、事務局より資料を用意してございますので、この確認をしてから本 題に入りたいと思います。どうぞお願いします。   ○田口課長補佐  それでは資料の確認をさせていただきます。まず、本日の議事次第を1枚用意させて いただきました。そのあとに座席表と本検討会のメンバー表をつけさせていただいてお ります。そのあとに資料の一覧として、1枚紙で本日お配りをしている資料のものをつ けさせていただいております。  資料といたしましては、まず資料1といたしまして、第1回検討会での各委員からの 主な発言ということで、A41枚で用意をさせていただいております。資料2といたし まして、今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上等に関する検討会、検討項目(案)、 これもA41枚で用意をさせていただいております。資料3といたしまして、ワーキン ググループについての案を、これもA41枚で用意させていただいております。  それから参考資料といたしましては、歯列咬合の状況ということで、平成11年の歯科 疾患実態調査の結果を抜粋したもの、そして参考資料2といたしまして、開口時におけ ます顎関節の雑音の自覚割合についての調査結果を1枚つけさせていただいておりま す。また少し厚くなりますが、口腔と全身の健康状態に関する文献調査報告書というこ とで参考資料の3として冊子をつけさせていただいております。それから参考資料4に つきましては、歯周病と生活習慣病の関係ということで、これも冊子を一つつけさせて いただいております。  また、参考資料5といたしまして、これは社団法人の兵庫県歯科医師会がやられた調 査結果でございますが、8020運動実績調査の概要というものをつけさせていただいてお ります。それから参考資料6といたしまして、新歯科医師臨床研修制度につきましての 説明紙をA4で4枚ほどつけさせていただいております。不足等ありましたら事務局の 方までお申し出いただければと思います。以上でございます。   ○齋藤座長  ありがとうございました。それでは議事に入りますが、先ほど申し上げましたように、 本日はオブザーバーの先生から厚生労働科学研究の進捗状況につきましてお話を伺う予 定としております。従いまして本検討会の項目について、前回、各委員からいろいろ御 提言をいただきましたそれぞれの項目を整理してございますが、そちらに関する検討と、 それから後半のヒアリングの時間ということで、大体ヒアリングに40〜50分を予定して おりますので、本検討会を大体1時間ぐらいで固めまして、それで本日のあとの勉強会 に移りたいと考えております。どうぞよろしく御協力をいただきたいと思います。  さて、前回の検討会ではいろいろ各委員から御意見をいただきまして、私と事務局と で本検討会の検討項目についてまとめてございます。事務局からこの検討(案)につき まして御説明をいただきます。    ○田口課長補佐  それでは事務局の方から御説明をさせていただきます。まず資料1、資料2、参考資 料1から参考資料5までをあわせて使いながら少し説明をさせていただきたいと思いま す。  まず資料1ですが、第1回検討会での各委員からの主な発言ということで、項目とし ていくつかあげさせていただいておりますが、それぞれについて少し補足説明させてい ただきます。まず資料1の発言のところの一番上のところで、前回は歯周病、それから う蝕に関連します調査結果等につきまして、少し資料をお出しさせていただきましたが、 その中で委員の先生方の中から口腔外科関連、あるいは矯正歯科の疾患等、いわゆるう 蝕、それから歯周疾患以外の口腔疾患に関する調査資料の検討も必要ではないかという ことを御指摘いただきました。それで国の方で実際に調査としてやっているものを少し 調べさせていただいた結果、参考資料1と参考資料2について、国の大きな調査として は実際にやられている調査がございます。  一つは参考資料1にありますように、歯列、それから咬合の状態ということで、これ は6年に一度歯科疾患の実態調査というとで、私ども歯科保健課の方でやらさせていた だいている調査でございますが、一番直近としましては平成17年の11月に調査をやっ たところでございますが、まだ集計が終わっておりませんので、実際にデータとしてあ るものとしてはこの平成11年の調査結果が一番新しいものでございます。  その中ではここに示していますように、叢生、それから空隙の状況でありますとか、 あるいはオーバージェット、あるいはオーバーバイトの実際の状況を12歳から20歳ま での対象者の方々について調査をやった結果がここに示されている。叢生といいますの は、いわゆる前歯部のところにがたつきがないかというのを調べた結果でございますし、 それから空隙というのはいわゆる前歯のところに少しすき間があるかどうかということ を調べた結果でございます。  実際としましては、上顎と下顎合わせて叢生がある割合としては全体の20%が叢生が あるということ、それから空隙としましては約3.5%の方々に空隙が見られたという結 果が出ているということでございます。  それからオーバージェット、オーバーバイトにつきましては、いわゆる上顎と下顎の 垂直関係、あるいは水平関係を見たデータでございます。オーバージェットにつきまし ては、いわゆる水平関係を見た状況でございまして、上顎が下顎に比べてどのぐらい出 ているかを見た結果でございますが、例えば6ミリ以上、上顎が下顎より出ている者の 総数としましては全体の8.3%あたりの数字として出てきております。  それから、いわゆる受け口といいますか、下顎の方が上顎よりも出ている、例えばマ イナス0.5ミリからマイナス4ミリというところには約3%ぐらいの対象者の方々が、 この調査からは実際には結果として出ております。  それからオーバーバイトですが、上顎と下顎の垂直関係を見た状況でございますが、 これも同じような形になっています。  それから参考資料2の方は、これも同じように保健福祉動向調査ということで、これ はアンケート調査で実際に対象者の方々に聞いたもののデータを集めたものでございま すが、実際に口を大きく開けた時に、顎関節のところにいわゆるゴリゴリとした音がす るかどうかを調べた結果として出ており、図の1の方は男性の割合を示したものでござ いますし、それから下の図2の方は女性の割合を示したものでございます。  経年的に昭和62年と平成5年、それから平成11年のデータを示しているものでござ います。全体的に見ていただけるように、それぞれの縦軸がかなり変わっておりますが、 やはり一般的に言われますように女性の方がいわゆる開口時の顎関節の雑音の割合とし ては多いという結果が出ているところでございます。  いろいろ調べさせていただきましたが、国全体として実際にう蝕、それから歯周病以 外の口腔疾患に対しての調査をやったものとしてはこの二つが主なものではないかなと いうことで、本日参考資料として提出させていただきました。  それから、資料1に戻らさせていただきます。その他、二番目の●からですが、口腔 と全身の健康状態との関連を念頭においた検討が今後の歯科保健医療のあり方では必要 ではないかという意見、あるいは歯科保健のさらなる充実によって医療費の適正化につ いても大きな貢献ができるのではないか、あるいは、その下のところの口腔疾患と全身 疾患、例えば歯周疾患と糖尿病などの関連についても議論する必要があるのではないか。 それから口腔と健康寿命のかかわりなど、新しい今後の歯科保健医療の方向性を従来と は違う観点から展開する必要があるのではないかというふうな御意見をいただいており ます。  それで御意見を踏まえまして、少し参考資料といたしまして、参考資料3の方には、 これは厚生労働省の方から少し補助をさせていただいて、財団法人8020推進財団の方で 口腔と全身の健康状態に関する、いわゆる文献調査というところをやっていただきまし た。そこに書いてございますように、歯周病と循環器疾患について、どのぐらいの世界 的に文献のものが出てきているのかどうかというものを、レビューとして報告をしてい ただいたものでございます。あわせて歯周病と低体重児の出産が世界的な文献としてど のぐらいあるのかどうなのか、あるいは口腔の検討と、いわゆるQOLの問題について どのぐらいの調査研究をやられているのかというものを文献調査の報告という形でまと めていただいたものでございます。  それから、参考資料4につきましては、前回の発言の中にもございましたように、歯 周病と糖尿病等について、いわゆる生活習慣病との関係がどうなのかということの御指 摘がございましたので、これも8020推進財団の方で調査をやっていただいた結果の報告 書をつけさせていただいております。  中を見ていただくとおわかりいただけるかと思いますが、先ほどと同じように歯周病 と例えば動脈硬化、あるいは心臓病との関連でありますとか、あるいは骨粗鬆症と歯周 歯科の関連性、あるいは喫煙の影響がどうなのか、あるいは歯周病と糖尿病の関係がど うなのかという、現在の研究のレベルで最も新しい治験をまとめていただいたものが、 この参考資料の4になるのではないかと考えております。  それから資料5ですが、これは蒲生委員の方から御提供いただいて参考資料の5とし てつけさせていただきましたが、医療費と歯の残存歯数の関係ということで、兵庫県の 歯科医師会が実際にやった調査結果をつけさせていただいております。内容としまして は、70歳以上の高齢者の方々の口腔内の歯の本数によって、その方々が実際に受けられ た医科の医療費がどういうふうに変化をしているかというところを見たところでござい ます。  調査結果としましては、70歳以上の方々で20本以上歯がある方とない方との医科の 医療費を比較した場合に、20本以上ある方はない方に比べて2割程度少なかったという 調査結果が出ている。蒲生委員から前回の発言にもありましたが、いわゆる歯科保健の さらなる充実によって医療費の適正化についてもある程度大きな貢献ができるのではな いかという、一つのデータとしてこのようなものを今回参考資料としてつけさせていた だいたところでございます。  あわせまして、また資料の1に戻らさせていただきますが、その他前回の主な発言と いたしましては、上から6番目ですが、患者の視点でいわゆるかかりやすさということ を考えていくことが非常に大切であろうということ、いわゆるコミュニケーション、あ るいはインフォームドコンセントが極めて重要であり、コミュニケーションの問題も時 代に即して考えることが必要ではないかという御意見をいただいております。  それからあわせて同じように患者の視点ということで言わせていただきますと、健康 寿命を延ばすためにも日頃から歯科医院でのチェック、あるいは生活習慣病的なアプロ ーチというものがあれば、それほど治療の必要もなくなるのではないかという御指摘を いただいております。  また、患者啓発のために地域の歯科医師会がもう少し患者啓発の講演会等をやってい くことも必要ではないか、あるいは広く国民に対して歯の健康、口腔保健というものが 非常に重要であるということを情報提供していくことが必要ではないかというふうな御 意見もいただいております。  また、歯科医師の資質向上等に関しましての御意見としましては、その下の四つが大 きいところではないかというふうに考えておりますが、臨床研修において魅力ある後期 プログラムをきちんと大学で用意することが必要ではないかということ、あるいは認定 医、それから専門医に何らかのインセンティブを与えられるような制度があればいいの ではないか、それから専門医、認定医の質の確保、あるいは評価について考えるべきで はないかというふうな御意見もいただいております。  また需給関係についても本検討会の中で十分に議論をしていただきたいというふうな 発言もいただいております。この資料1の主な発言を踏まえまして、事務局と齋藤座長 の方と少しお話をさせていただきまして、資料2になりますが、今後の歯科保健医療と 歯科医師の資質向上等に関する検討会の検討項目の案といたしまして、こういった方向 性で今後検討を重ねていったらどうかということで資料2を用意させていただいており ます。  まず総論的な部分といたしまして、今後の歯科保健医療提供の基本的な考え方という ことで、科学的な根拠に基づく歯科保健医療の提供、いわゆるこれは全身との関連等も 含むというふうに書かせていただいておりますが、前回の御意見の中で全身と口腔の関 係、あるいは歯科保健のさらなる充実による医療費の適正化、そういった御意見をいた だいておりますので、そういったところを踏まえましてここの総論的な部分にその辺の ところをきちんと書きこんでいく必要があるのではないかということで、この科学的な 根拠に基づく歯科保健医療の提供ということを項目としてあげさせていただいておりま す。  また先ほど発言させていただきましたが、資料1の方にありますように、患者の視点 ということも非常に大きなキーポイントになっておりましたので、総論的な部分に患者 の視点を重視した歯科医療の適切な提供というふうな項目で、今後の歯科医療のあり方 ということをきちんと明示していこうということで、項目としてあげさせていただいて おります。  それから生涯を通じた歯科保健施策の展開ということにつきましても、これも前回の 発言を受けまして、項目としてあげさせていただいております。一番大きな御発言とし ましては、やはり情報提供等が国民に対して今後は必要であるというふうな御意見もい ただいておりますので、そういった意味で生涯を通じた歯科保健施策をどういった形で 展開していくかというのはやはり今後必要になってくるだろうということで、総論の部 分にこの項目をあげさせていただいたところでございます。  それから各論といたしましては、大きく言いまして二つの項目に分けさせていただい ております。一つは新たな医療提供体制のあり方ということと、それから歯科医師の資 質の向上ということで、歯科医療従事者のさらなる資質の向上という観点から各論につ いて議論をしていったらどうかということであげさせていただいております。  新たな歯科医療提供体制のあり方につきましては、後ほど本日オブザーバーの先生方 から少しお話をさせていただきますが、研究でもやっていただいております欧米諸国に おけます歯科保健医療提供体制の現状を踏まえて、少し我が国の体制等についても考え ていく必要があるのではないかということ、それから今後の歯科医療において新たな需 要予測というものを踏まえた提供体制のあり方が必要になってくるということで、今後 の歯科医療における需要予測というものを項目としてあげさせていただいております。  それから三つ目としましては、患者の視点を尊重した良質で効率的な歯科医療提供体 制のための体制整備ということで、この中でいわゆる歯科医師の数というものについて も議論していただければいいのかなと考えているところでございます。  それから歯科医療従事者のさらなる資質向上につきましては、前回の発言の中でもい ただきましたが、歯科医師の臨床研修と連動しました生涯研修のあり方、あるいは歯科 医療におけます専門医のあり方について議論をいただければとに考えているところでご ざいます。  少し前に戻りますが、総論の部分につきましては、科学的な根拠に基づく歯科保健医 療の提供、それから患者の視点を重視した歯科医療の適切な提供といったものにつきま しては、現在医療法等の改正も含めまして、医政局の中が新たな、いわゆる医療提供体 制をどういうふうな形でやっていくかというところに同じような項目として、これはダ ブる部分も当然出てくるのだろうと思っております。特に歯科医療に限らず、全体的な 医療提供体制の中でこの歯科医療の部分も考えていければいいのかなと考えて、座長と 相談いたしまして、こういった項目にさせていただいたところでございます。事務局の 説明としては以上でございます。   ○齋藤座長  ありがとうございました。ただいま資料の1、2を中心にいたしまして、それに関連 している材料につきまして、参考資料として提示されたものを含めて説明をいただきま した。資料1は前回各委員から御発言いただきましたものをまとめてございますし、本 日この後御協議いただくものは資料の2です。資料2、検討項目というところがござい まして、ここに集約されておりますように、前回のいろいろ討論を踏まえまして、それ を大きく総論と各論の二つに分けてございます。総論としては基本的な考え方として今 後の進める方向でございますが、各論でそれぞれに対する項目を掲げて、この検討会で それぞれの項目について御協議をいただくということになるかと思います。  それでは、ただいま事務局から説明がありましたように、私は、事前にこの項目につ いてこんな形で進めてはいかがかということで協議をしておりますので、これらの資料 2に掲げてございます検討項目について御説明があったものに対する質問、あるいはこ れに対する何か御意見その他、追加もあるかもしれませんし、そういった問題について 各委員から発言をしていただきたいと思います。  それでは主にこの資料2に従いまして、これについて検討項目としてこういう形の総 論と各論、それからそれぞれの項目でこの後の本研究会で前回協議されたものが十分に 評価できるかどうかについて御発言をいただきます。どうぞ、委員からそれぞれについ ての御質問を含めて御発言をいただきたいと思います。  最初にこの考え方というところで、大きなネットをかぶせてございますので、上の方 からでも御発言をいただいたらいかがでしょうか。前回御発言いただいた、あるいは事 務局で用意された項目そのものがストレートに出ているわけではございませんで、それ ぞれをくくってございますので、資料1でいろいろ御発言いただいた項目が十分に網羅 されているかどうかというようなことも含めて御発言をいただきたいと思います。  総論の方では方向性その他の概念的なものがかなり中心でございますし、各論では数 的なもの、あるいは質的なものの具体的な項目について、このあと検討していただくこ とになります。副座長の宮武先生、何かお気づきの点だとかはございませんか。   ○宮武座長代理  このやり方でまとめていけば大体いいと思うのですが、総論のところでその提供の考 え方ということでくくられているのですが、提供するのは需要があってなされていくと いうことですから、これは各論の方で出てくることですが、どういった歯科医の需要が あるのかということを必要があるのではないかと思いました。   ○齋藤座長 総論で需要について触れて、それでそのあと展開する必要があるということですね。  赤川委員 宮武先生が言われた、その需要ということもあるんですが、前回の資料1 の主な発言というところを見ると、口腔と全身、あるいは口腔と健康寿命と四つほどポ イントがありまして、ですからその需要がどうして必要なのかとか、なぜこういう新し い歯科保健医療体制の提供が必要なのかという、目指すところというところもしっかり この中かに入れておかないといけないんじゃないかな。従来のようにもう既に歯を残す ということではないんですね。そういうところが何かここにあったらもっといいかなと 感じます。   ○齋藤座長  ただいま、赤川委員からは単に歯を残すというような、そういうビス的なところが目 標ではなく、健康あるいは健康寿命というようなところを踏まえて討議をする必要があ るということで、目指すところを明確にしながら、この総論の詰めを進めるべきである というご意見をいただきました。ありがとうございます。これは総論の方は比較的大き なネットですから、それがくみ取られていればよろしいかと思いますが。   ○中原委員  細かい点で恐縮なんですが、科学的根拠に基づくというのは、今言われておりますよ うにエビデンスに基づいてということであろうかと思うんですが、その次のところの患 者の視点を重視した歯科医療の適切な提供という、この適切な提供という、適切なとい う表現がこういうところで必要なのかなという、そうすると上の方にも歯科保健医療の 適切な提供という、言葉尻をとらえるわけではないんですが、そんな感じがいたしまし た。 ○齋藤座長  この適切なという言葉、これは一番使いやすい表現だとは思うんですが。   ○宮武座長代理  これは各論のところで患者の視点を尊重したというのが出てくるわけですが、良質的 なと効率的なということで提言されているので、そういう点から言うと上の部分も同じ ような言葉があるのではないかと思われます。 ○齋藤座長  中原委員、このあたりは非常に良質で効率的な医療というようなことで、この適切だ というような言葉でくくってはいかがかなというような、こんな意味でしょうか。   ○中原委員  はい。特にこだわってはおりませんので。 ○齋藤座長  他に発言はございませんでしょうか。このあと各論の方はいろんな御意見があるかと思 います。それで先ほど冒頭に申し上げましたように、この実質的な検討項目につきまし ては、前半の50分か60分であげたいと思いますので、総論の方をもし御発言お気づきの 問題があれば、また戻って御発言をいただいてもよろしいですが、各論の方に進ませて いただきましょうか。一応進めまして各論に入ります。  それでは各論の方では大きく、1)新たな歯科医療提供体制のあり方、それから2) として、歯科医療従事者のさらなる資質向上についてと、大きな柱が二つ設けてござい ます。委員からの御発言をいただきます。   ○宮武座長代理  一番最初のところに、欧米諸国における歯科保健医療提供体制の現状ということがあ って、これは後ほど渡辺先生から御報告していただくわけですが、ここで書かれるのは 欧米諸国もさることながら、我が国の現状を一応踏まえて、それからその後に展開して いくのではないかと思うので、私どもは先に、あるいは我が国の歯科医療におけるとい うことでみるとかなりいいのではないかと思います。   ○田上委員  今のことに関連しますと、欧米諸国と我が国も必要ですが、いわゆる途上国といわれ ているような東南アジアの国々でも平均的な歯科医療というのは日本の平均よりも高い というような意見も出てきておりますので、その辺のことも一緒協議して日本を比較し ていただければ訴えやすいかと思います。   ○齋藤座長  つまり欧米諸国だけにとどまらず、そういった近隣、この辺は宮武委員、どうでしょ うか。 ○宮武座長代理  一応あとから出てまいりますが、なかなか資料を整理するのが難しい 分野です。ですからなるべく今回も近隣諸国も入れるようにしていきたいと思います。 この辺はまた後ほど触れたいと思います。   ○齋藤座長  これは項目の中でそういう意見があったということで付記しておいていただく必要が あるかと思うんですが、田上委員がおっしゃるように、近隣諸国でも医療レベルそのも のはかなり高い、日本と比べると高いレベルを維持しているところがありますし、ただ 国民全体として見た場合にはそれがどの程度維持されているかということと、二つやっ ぱりあるかと思いますので、これは各国の医療体制にもよると思うんですが、これは欧 米諸国もそうですね。医療体制が国民的な背景の上での医療体制か、あるいは経済的な 負担に耐えられる人だけの医療ということになるかとか、いろいろ背景もございますね。 一つその辺も触れていかないと報告として十分でないということになりますか。関連、 あるいは他の発言でも結構です。   ○遠藤委員  今、座長がおっしゃいましたように,医療提供体制といいましても、保険との絡みと いうのもやはり必要だという話だというふうに受け止めましたので、全くその通りだと 思います。公的医療保険であっても、医科と歯科とで自己負担を変えていったり、カバ レッジを変えているというケースはありますので、そこらへんも体制と同時にまとめて いただくといいのではないかと思います。   ○齋藤座長  医療の提供体制、保険あるいは保険以内のものなど、やっぱり混在して一つにまとめ るというのは難しいところもあるかもしれませんので、この辺についても検討項目の中 で対応していただきたい。いかがでしょうか。ただいま提供体制が主に論じられており ますが。他の項目でも結構でございますが、需要の予測に関しては今日この後ヒアリン グで勉強することになりますが、かなり情報はあるかと思いますが。はい、 田上委員どうぞ。   ○田上委員  全体的なところで検討項目としてあげていただいています項目というのは、全て必要 であることは明白なところでありますが、こういったことがどのように実際に教育や行 政の場に反映されていくかということが少し血筋がわかりにくいような感じがしており まして、我々大学の方でやるべきこととすれば、これを早く教育の方に取り入れて卒前 教育の中、あるいは研修医の教育の中でこういった内容を教えていくということなんで すが、全身との関連についても、報告書にあるような内容がきちんとまだ教育の中で取 り入れられてないという部分もあるかと思いますので、そういったことも合わせて考え ていかないといけないかなと思います。   ○齋藤座長  この後の検討会のいろいろ検討事項がまとまった後、ただそれで終わるというのでは なくて、その後の展開、どのように反映させていくか、これは非常に重要なことで、そ れなしであれば検討会の意味はなくなってしまいますので、おっしゃるところ非常に重 要だと思います。  いろいろと例えば調査報告とか、そういったものができた後、それが棚の上に乗って いたのでは何にもならないというのと全く同じことでございますので、この検討会の何 か今後の何とかするとか何とかという、そういったところまで触れた方がよろしいでし ょうかね。そういう報告書はございますかね。私は余りよくわからないんですが、宮武 先生、そこらへんは何か。   ○宮武座長代理  方向づけをしておくということで、それを読まれた方でそれぞれの立場で利用してい くことではないかと思います。今後の歯科医療の需要ということで、新たな歯科保健医 療の分野がどうなるかということを、主として大学の先生方に聞いたわけですが、その ことによって現状並びに将来に向かってどのような分野が問題になるかということを、 自分自身がむしろ認識されたという面もあると思います。ですから延長線での報告が出 て、それが世に出ることによって、それぞれの場で活用されるということになるのでは ないかと思います。   ○齋藤座長  それぞれの場で活用されるような、そのあたりの推進というか、方向性を示しておく 必要があるということですね。   ○宮武座長代理  できるだけ早いうちにそういったことを、例えば、国家試験の出題基準の中に入れる ことを含め総合的に厚労省の方で考えていただきたいと思います。   ○齋藤座長  国家試験は4年に一度ガイドブックが見直しされておりまして、私は両方関係してい るのでわかるのですが、現在、今年の受験生はこの問題について学生時代にちゃんと教 育を受けた問題であるかどうかというところまでさかのぼってやりますから、これが必 要だということを言って、教育の場にいって、またそれが評価されるようになるのには かなりやっぱりタイムラグが出てきますね。トピックス的な、今年起こったことを試験 問題に出せるかというと、なかなか難しいところもあるような気がしますので、これは また別な問題としてそちらで対応していただく。かなり新しい問題を、流行病で入って きたとか、エイズの問題だとか、そういった問題はかなり早い時期から試験問題に入っ ていたと思いますがね。他に発言をどうぞ。   ○辻本委員  各論の三つ目の患者の視点を尊重したというところですが、私も「適切な」とか、 「良質で効率的な」ということが患者の視点のところだけに入っているので、そういう ものを具体的に示すのかなと疑問に思いながら拝見していたんですが、例えば良質で効 率的な歯科医療ということを、いわゆるエビデンスのような、標準治療のような形でこ こで示して、そしてそれの提供のための体制整備ということをまた続けて議論していく という、そういうことなんでしょうか。  提供の体制整備ということになると、やはり特に歯科の場合には混合診療というか、 自由診療という、いわゆる診療報酬の点数のところにまで言及しなければならないよう な問題も、患者の視点から見ると出てくると思うんですが、ここの検討の場がそうした ことまで言及するのかどうかということを、確認ということで御質問させていただきた いんですが。   ○齋藤座長  これは内容的に非常に重要なことを御発言いただいていると思いますが、良質で効率 的なというのは、常に良質でいい方向へという目標を掲げておりながら、標準治療を示 すと今おっしゃられたようなところが示されて、それで進むのかというのは、これは非 常に難しいところですね。どうぞ、課長さん。   ○歯科保健課長  診療のガイドラインといいましょうか、医科の方は診療ガイドラインということで整 備されてきつつありまして、その重要性が指摘されています。歯科の方は残念ながらそ ういう標準的な診療指針というのがまだまだ遅れているという状況でございますので、 一部厚生労働科学研究では少しやっていますが、まだまだ始まったばか りですから、今後の方向性ということを少しここで説明していただければ、それにそっ て歯科の分野においてもそういう標準的なものを示していければいいなというふうに事 務局は考えておりますので、まあ直接にはそういう表現をしておりませんが、一応良質 で効率的ということで、そっちの方向性を考えているということでございます。   ○齋藤座長  医科の方に治療のガイドラインその他が揃っているということで、歯科の方でもいく つもあるんですよね。歯周疾患のガイドライン、その他歯科医師会、歯科医学会レベル ではシナイ療法あるいはその他もあります。咬合の問題もあるかと思うので、それらを 少し標準的な治療としてのアレにたえられるのかどうかとか、今、辻本委員からの御発 言もありましたが、具体的に良質で効率的なというあたりをやはり目に見えるようにし ないといけないんでしょうかね。  これはこの項目、良質で効率的な歯科医療というあたりで、辻本委員からの標準的な 治療、あるいは歯科において保険治療と経済的なことを考えないといくらでもできるの かという、このあたりのところのすみ分けがやはり必要ですが、少なくとも現時点の医 療体制としては保険の治療で十分な社会生活ができるようなところは維持されていると いうふうに理解しておりますので、特別な何か要求がある場合はまた別でしょうが、で すからこのあたり、やはりこの検討項目の中でそういう背景についての問題、検討いた だくように何か付記しておいていただけますか。それが非常に重要だと思いますね。患 者の視点をということであれば、特にこのあたりが重要かと思うんですが。   ○辻本委員  当然に患者の上にも知らされる内容になるわけですね。そうすると意識の高い方達と いうのは,常にそうしたものにアクセスをして、目に触れることになるわけです。とな ればこれが標準医療ですというようなことで、理想的なものをもし掲げれば、それは日 本中の患者さんに情報としていけば、都会であろうが、地方であろうが、やはりそれは あって当然じゃないか。また患者さんがより理想を高くする、期待値を膨らますという ことが一方に見えてくる問題なんですね。  そして今のお話で、今の診療報酬の形がとりあえずこれでいいだろうということの中 でやっていこうとすると、患者さんの要求は高まっていくわ、全然インセンティブはな くて、現場の、まして大都会だけではないような、そういう方たちまでがモチベーショ ンが上がっていけるのかどうかということを非常に懸念を覚えます。  齋藤座長 今の御発言は、私は大学で教鞭をとる臨床家でもありますから、非常に心 が痛いところもあるんですが、医療の方はよりはっきりしているのは、延命方策として のいろんな方策をどんどん進める、歯科の場合も健康なところにいろんな治療をするの ではなくて、かなりひどくなった状態に対応しますので、標準的な医療というのは一体 どのぐらい、その後健康な生活に耐えられるのかというと、かなり許容範囲を超えても 歯をとりたくないという人もおりますから、そういったことや何か標準的な治療を提供 するということの背景、何年もつかとか、そういう話になってくるとなおさら難しい話 が出てきますので、これは臨床にいる立場ではできるだけ患者さんのために、患者さん の歯の健康のために、その方の健康寿命を高める、あるいは健康な社会生活を送るため にというところで、何を標準として提供していいかというのは非常に難しいので、臨床 の立場にいるだけに歯切れが悪くなってしまうなというところが、今この席での問題じ ゃありませんで、多分まとめをする時に苦しむだろうなという感じがちょっといたしま す。でもこれは患者の立場からそれは目に見えるように、わかるようにしてもらいたい というのは当然だと思いますので、ぜひそこで項目の中で協議していただきたいという ことを付記しておいていただきたいと思うんです。どうぞ蒲生委員。   ○蒲生委員  きょうのメンバーで開業歯科医師の立場は私1人ですので、あえて少し発言をさせて いただいて、かえってレベルの低い話になってしまうかもしれないんですが、思い起こ しますとこういう検討会は、名称は違えども、昭和60年代から何度か行われているわけ ですね。その都度報告書なり、一つの結論というのは出ているわけなんですが、もちろ ん時代背景はどんどん変わってきました。国民の方々に良質で安全な歯科医療を提供し なければいけない、患者さんの視点を大事にしなければいけない、これはもう当然のこ とで、我々開業臨床歯科医も一生懸命その辺はやっているわけですね。  今回、遠藤先生が中医協の方でも今回の診療報酬改定についても、それは大変重要な 基本的な項目として取り上げられ、その方針で次の診療報酬改定が行われる。もちろん それは当然大事なことで、それには全く我々も賛同します。その線でいかなきゃあいけ ない。 ただ医科の方と歯科の方は構造的に違うんですよね。患者さんの大多数といっ てもいいと思うんですが、細かい数字の根拠はありませんが、開業歯科医の方で歯科医 療を受けておられるというのが実態だろうと思います。医科の方はやはり病院の方へた くさん行かれる。そういう構造的な違いがあります。その中で前回のたしか厚労省の検 討会の中でも、歯科医は既にある程度過剰なんだという結論的な、表現とまではいきま せんが、そういうことはある程度認識されているわけですよ。もう皆さん方ごらんにな ったらわかりますよ。まちの中へ行ったら現実に歯医者だらけですよ。  ある一方の切り口から考えれば、国民の方々がそれだけ選択肢が多いということだと いうことは、これはいいことかもしれません。しかしながら各歯科医院の歯科医師は一 生懸命自分たちが研修しながら、努力しながら、先ほど申し上げた良質で安全な医療を 国民の方々に提供するということで一生懸命頑張っているわけですよ。遠藤先生はプロ ですからよく御存知のように、前回出ました中医協のいわゆる医療経済実態調査の中で も、たしかに可処分所得は歯科はややふえております。しかしながらもう削るところは 削って、そういう何とか医院経営を安定させながら国民の方々に歯科医療を提供してい る。この実態をよくよくわかっていただきたい。  今日は大学の先生方もたくさんいらっしゃいますので、申し上げにくいですが、この ままどんどん増えていき、歯科医がさらに世の中に出てくると、たしかに機会は増え、 国民の方々の選択肢も増えます、しかしながらそれでもって良質な歯科医療がきちっと 担保できるのかというところは、ぜひ大いに議論をしていただきたいというふうに思い ます。   ○齋藤座長  この需給問題は今回かなり項目としても入ってきますので、ぜひ検討いただきたいと 思います。あとはこの検討の方、各論について積極的な御発言をいただきたいんですが。 今は1)の方が主に検討されております。2)についても関連のこの項目でよろしいか どうか。先ほど冒頭に申し上げましたように、後の後半を勉強会に使いたいということ になっておりますので、あと5分か10分十分な御討論をいただきたいと思います。   ○蒲生委員  しつこいようですが、今私が申し上げたような視点はこの各論の中の1)の二つ目の 中に含まれるんでしょうか。あるいは三番目に含まれるんでしょうか。あるいは別の項 目だてをしていただけるんでしょうか。   ○歯科保健課長  事務局としてはこの三番目のところに入るんじゃないかと思います。 診療ガイドライン的なこともございますし、歯科医療に従事する適正な歯科医師という 考え方の中にも入ってくるんじゃないかと思っていますが、そこはちょっと御議論をい ただければと思います。   ○蒲生委員  十分検討していただければと思います。 ○齋藤座長  体制整備ですか。蒲生委員、了解ですか。 ○蒲生委員  十分検討していただければ結構です。 ○石上委員  医療のところにだいぶ偏っているような感じはするんですが、歯科保健という部分で の提供体制というのは、やはりもう一つの重要な柱だと思うので、それをどの程度書く かというようなことを、総論のところでは生涯を通じた歯科保健施策の展開と、こうな っているわけですね。保健が入っているわけなんで、それに対応する各論のものがない という感じがします。まあ中に入っているんでしょうけれどね。   ○田上委員  そのあたりというのは、今、社会的にもいろいろ言われています、予防重視とか生活 習慣病対策という、医療全体の話と近い部分があると思うんです。二大疾患といわれる う蝕と歯周病も感染症であると同時に、やはり生活習慣病としてとらえることもできま す。非常にその要素も強いということで、二大疾患の予防という意味でそちらの方に保 健行政の方も重点的に考慮してもらうというふうなことで、そのあとの処置というのは、 たかが歯というふうにとらえられがちなんですが、小さなところでやっている外科処置 なんですね。すべてのむし歯治療の診療というのは。  その中で非常に大変なところ、まあ大変な割にはこの処置料が非常に低く評価されて いるというところに結果的に歯の治療が国民に満足得られないような結果になっている というところに行き着いてしまうんじゃないかと思うんですが、ただそのあたり、大き く見直していきながら予防の方を重視して優先していくという考え方が入ってくれば、 総論とサービスする各論の議論ができるかなと思います。   ○齋藤座長  この問題は、総論ではもちろん十分それについて、保健に関する、あるいは予防に関 する、いろいろと検討事項が入っていくと思うのですが、各論になくて耐えられるかど うか、それによってあとの項目を起こした方がいいかどうか、もし、この場でなくても、 この後、私と事務局とでお話をしてもよろしいんですが。   ○田口課長補佐  おそらく各論のところの1)の二番目の今後の歯科医療における需要予測というとこ ろがございますが、それはきょう御発表いただくことになっておりますが、おそらく従 来のいわゆる治療中心のものから、今後は先ほどからいろいろ御議論をいただいていて るような予防の部分というのが、かなり需要の中にも入ってくるのだろうと思いますの で、そうするとここの患者の視点を重視した、いわゆる歯科医療というだけではなくて、 むしろ先ほど田上先生の方からもお話があったように、ヘルスの部分も含めた形での提 供体制をどうのような形にしていくかをこの中に書き込んでいければいいのか。  その時には患者の視点という形を、地域住民とか、まあ国民の方々にという言い方に なるのかもしれませんが、その辺は分けて書くのか、一本の中で書くのかはちょっとま た後ほど座長と御相談をさせていただきますが。   ○齋藤座長  社会全体のこの医療体制の中で、予防と保健というのはかなりウエイトが大きくなっ てきますから、総論で述べて同じような論旨を各論で述べることにもなったとしても、 やはり柱としてあってもいいかなという感じは今石上委員からの御発言で思いましたが、 どうでしょうか。 ○宮武座長代理  各論の1)のところは、歯科保健医療となっているんですが、あとは歯科医療になっ ているので、ここは歯科保健医療ということで、つながっている部分がありますから、 歯科保健だけを取り出して議論するというのはやや無理があると思います。  二番目も三番目も保健を含めることにしてはいかがでしょうか。   ○石上委員  それでいいと思います。   ○齋藤座長  よろしいですか。他の事項について、どうぞ中原委員。   ○中原委員  2)の方で二点ございますが、また細かいことで恐縮なんですが、2)の歯科医療従 事者というのは、これは歯科医師だけのことを言っているのか、それともこの項目の中 ではその他の従事者についても検討しようということなのかという点が一点。   ○齋藤座長  これはこの本検討会には歯科医師の資質向上というふうに掲げていますけれど、どう でしょうか、厚生労働省の方では。   ○歯科保健課長  近年チーム医療の重要性というのが指摘されていますから、当然歯科医師だけで、例 えば歯科衛生士であるとか技工士さんであるとか、そういう関連する方々等を含んだ形 になっていくだろうと思います。   ○齋藤座長  そういう歯科医師だけでなくて、従事者というのは、言葉どおり歯科に関係している パラデンタルのチーム。   ○中原委員  もう一点なんですが、歯科医師臨床研修と連動した歯科生涯研修のあり方ということ なんですが、必修化が4月からスタートということで、それで臨床研修についての検討 が終了したということではないと思うんですね。やはりいろいろそれを出してからも検 討する事項が出てくるだろうと思っていますすが、その場合にこの会議で連動したとい うのと独立させて歯科医師臨床研修の何とかというような項目であげるということが、 この検討会では適当なのかどうかという、あるいは他のところの会議でこの臨床研修に ついては検討されるということなのかということですが。 ○齋藤座長  ただいま中原委員からの御指摘は、現在の進捗状況を見ますと全く連動の回復はない というふうに私は見てますので、これは歯科医師会と現在かなりレベルの高い生涯研修 をやっておりますから、このあたりとどういうふうに連動させるかというふうなところ、 卒後直後のいわゆる臨床研修が終わって、それで終わりじゃないだろうという中原委員 からの御指摘もございまして、その後がずっと生涯続いて、生涯研修、積極的に現行の 生涯研修システムを提供していくといいですね。会員だけでなくても。そうするとこれ は非常に社会性の高いものになるかと思います。   ○歯科保健課長  歯科医師臨床研修がこの4月から必修化されるわけでございますが、 1年間ということでございますので、当然引き続きその研修というか、いわゆる医科の 場合は後期研修だといわれていますが、歯科の場合もそれに続く研修のあり方という方 向性を少し示唆していただければいいんじゃないかということで、事務局としてはこう いうふうな書き方をしております。そのあとまた歯科医師会などの生涯研修につながっ ていくということは考えられますので。   ○齋藤座長  医師の方で行っている後期研修をも視点に入れてということだと思いますし、国立大 学ではもう後期研修はもうほとんど2年やっているんでしょう。医科歯科では今は2年 制ですね。 ○赤川委員  今はこの必修化になったら難しい、予算が来ていません。2年目は。  ○齋藤座長  では、当然、今まで2年で実施して、その実をあげておられた大学は国立系がほとん どそうだったと私は理解していますので、私立の関係する大学でも早く手を挙げてくれ ないかないかなというのはよく私はいろんな場で発言はしていたんですが、この辺の現 在法律で決まって実施されるようになった、この平成18年度からスタートですが、これ が1年は必修、実質的に2年やっていたところが1年に逆戻りしてしまという現状があ るということは大変レベル低下につながるということで、この辺の連動についても御協 議いただく必要があるかと思います。それが終わった後、歯科医師会で行っている生涯 研修とどのようにドッキングさせていくかということだと思いますが。まあこれは問題 がたくさんございますね。   ○田口課長補佐  先ほど中原委員からお話がありました臨床研修個別に関しては、おそらくまだ制度自 体が始まっていませんが、制度の中で5年間の中に見直しを行うという規定になってい ますので、臨床研修の個別のものについては、制度の見直しというものについてはまた 個別で御審議いただくという話になるだろうと思っております。   ○齋藤座長  御発言、検討項目についていろいろ御意見をいただいてまいりましたが、どうでしょ うか。そろそろあとのヒアリングの時間に入りますが、ただいまいろいろ意見がござい ましたものを踏まえまして、事務局と私の方で検討項目について改めてこれをさらに補 強いたしまして、まとめていきたいと思いますが、そういう方で進めてよろしいかどう か。つまりこの検討項目、ただいまお手元にございますが、いろいろ問題点がございま したので、それをこの項目の中に忘れないように付記するということでメモを少し残し ておいていただく項目もございますし、そういう形で私座長と事務局にこのまとめをお 任せいただければ大変よろしいかなと思うんですが、いかがでしょうか。  それではこの検討項目、これにつきましてそのようにさせていただきます。それでは この後の検討の進め方について事務局からどうぞお願いいたします。   ○田口課長補佐  それでは資料3の方を見ていただければありがたいんですが、資料3の方にワーキン ググループについてということで、案ということでお示しをさせていただいております。 今後、今回御議論いただきました検討項目を再度座長の方と事務局の方でとりまとめを させていただいて、それについて少し細かく議論を重ねていくというふうになりますが、 実際にはできればそこに書かさせていただいているように、この検討会の下にワーキン ググループをつくりまして、そのワーキンググループの中で細かいところについて議論 を行っていただいて、ワーキンググループの報告を再度この検討会の方に上げていただ いて、再度この議論をいただければというふうに考えております。  そういう意味でワーキンググループにつきましては、構成になりますが、1のところ に書かさせていただいておりますように、本検討会の委員及び専門分野の学識経験者、 少し考えまして10名程度で構成したワーキンググループをつくってはどうかというこ と、そしてワーキンググループにおけます検討項目としましては、先ほど御議論いただ いたものをまとめたものを総論、各論についてワーキンググループの中で検討を行わせ ていただきたいということ。  それから各論につきましては、大きな柱が二つございましたので、一つの新たな歯科 保健提供体制のあり方と歯科医療従事者のさらなる資質向上の二つのグループにそのワ ーキンググループを分けて、それぞれサブグループで検討を行って、ワーキンググルー プの報告書として上げていただこうと考えております。  また、ワーキンググループの日程としましては、2月の下旬を目途にワーキンググル ープを立ち上げまして、2月から5月を目途にワーキンググループで検討を行っていた だいた上で、各項目についてとりまとめをしていただきまして、次の本検討会の方に御 報告をいただければというふうに考えているところです。以上でございます。 ○齋藤座長   今後のこの本検討会の進め方ですが、事務局からただいま御説明がありましたように、 それぞれの項目についていろいろ検討を加えて、ある形をつくりまして、それをたたき 台に本検討会で1項目ずつ検討を進めたい。その作業をするグループをそれぞれ関係あ る委員あるいはさらにワーキンググループに他の必要な方を加えて、そこでたたき台を つくっていただいて、それについて本委員会で検討したい、こういうプロセスを今説明 いただきましたが、よろしいでしょうか。それではワーキンググループにつきましては、 私と宮武座長代理と協議させていただきまして決めたいと思いますが、それを含めて御 了解いただきたいと思います。  それではあと1時間弱になりますが、本日のヒアリング、先ほど冒頭に申し上げまし たように、現在この検討会で協議しております項目に関係しております厚生科学研究班 がございますので、そちらから説明をいただきたいと思います。これに関して事務局か らどうぞ。   ○田口課長補佐  それでは先ほどからお話をさせていただきました厚生労働科学研究の方での研究内容 が本検討会の検討項目と非常に密接な関係がございますので、本日はその研究の進捗状 況と合わせて少し研究の内容について御報告をいただければと思います。  なお、その厚生労働研究の主任研究者は本検討会の宮武座長代理が主任研究者になら れていますので、まず宮武先生の方から少し大まかなところをお話をしていただいた上 で、下野先生、それから渡辺先生の方から研究の御報告をいただければと思っておりま す。また質疑等に関しましては、先生方の御報告が終わった後で一括をして行いたいと いうふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。   ○齋藤座長  それでは宮武座長代理にこの後のヒアリングについての御説明をちょうだいします。   ○宮武座長代理  平成17年度の厚生労働科学研究で新たな歯科医療需要等の予測に関する総合的研究と いうのを受けまして、私が主任研究者になり、きょう御出席の渡辺、下野両教授と、そ れから新潟大学の大内教授、3人の分担研究者で構成をして進めました。  一つは新しい歯科医療技術の予測に関する調査ということで、これは岡山大学の渡辺 教授に分担をしていただいたわけですが、国内の歯科大学及び医科大学の口腔外科系の 教授、そして都道府県の歯科医師会長に対して今後どういった歯科医療技術が必要とさ れるか、またそれが実際に実現可能かどうかといったようなことについてアンケートを 行いました。  大学の教授が何人いるかというのは、実は流動的で非常に難しいんですが、大体700 人ぐらい歯科大学の教授としておられる。それから医学部の口腔外科は現在教授がおら れるところは45校ですので、その先生方、そして都道府県の歯科医師会長は47人とい うことなんですが、先ほど申し上げたように歯科大学の教授については分母が実ははっ きりしておりませんので、各歯科大学に送って、それで回収するというやり方で行いま した。約300人の方から答えが寄せられました。医学部の方は17人、36%ほどですが、 回答が寄せられました。  それから都道府県の歯科医師会長47人は、これは23ということで、約半数の歯科医 師会の会長から回答が寄せられました。ですから全体で340ばかりの回答数で40%強で はないかと思いますが、その結果について、渡辺教授の方から最初に御報告いただきま す。  もう一つは、諸外国の歯科医療需給に関する調査ということで、東京歯科大学の下野 教授は病理学の専門家なんですが、FDI(国際歯科医師連盟)の理事をやっておられ ます。そういったこともあり、外国の歯科医師会等との連絡が非常にスムーズにいくと いうことでお願いしまして、諸外国の歯科医療需給に関する調査を行いました。  先ほど来、発展途上国についても入れるべきではないかという御意見があったわけで すが、なかなか体制等からいって難しいので、いわゆる工業先進国を中心に、しかしア ジアの近隣の諸国についての調査は行いました。26カ国出したんですが、現在のところ は6カ国、もう少し増えているかと思いますが、それらの国々の歯科医師会から回答が 寄せられました。それでこれは新しい技術というよりも、現在どうなっているかという ことについて調査した結果を、御報告をしていただきたいと思います。  なお、大内教授は、この後出てまいりますが、国内の歯科医師の需給がどうなってい るかについて検討しております。まだ煮詰まってはおりませんので、今回は割愛をいた しました。実はこの3月末で研究班は終了ということで、単年度の研究でございます。 委員の先生方からの御意見あるいは御質疑、御要望がありましたら、できるだけそれを 取り入れてまとめたいと思っておりますが、何しろ期日が迫っておりますので、全部御 要望に応えられるかわかりませんが、どうか活発な御意見をいただけたら大変ありがた いと思います。  それではまず岡山大学の渡辺教授から、国内のアンケート調査について御報告をいた だきます。 ○渡辺参考人  それでは報告させていただきます。本研究の目的は歯科医療をとりまく社会情勢の変 化を踏まえ、歯科医師需給に関する要因、新たな歯科医療需要を踏まえた将来の歯科医 師需給バランスの検討ということでございましたが、私の分担は新たな歯科医療の需要、 今後の歯科保健医療の展開について有識者の意見をお聞きするということでございまし た。  対象としましては歯科大学歯学部の教授、医科大学医学部口腔外科の教授、都道府県 歯科医師会長でございます。質問調査表の郵送法で行いました。11月18日から12月12 日までの期間を調査期間としまして一次集計を行うことになりました。それでこれが対 象者でございます。  対象者としては821名、回収率が41.7%でございます。歯科大学歯学部教授が727名 で、回収率が40.7%、医学部口腔外科の教授が47名で、回収率が38.3%、都道府県歯 科医師会長が47名で、59.5%でございます。   これがそのアンケートのものでございまして、質問の1としまして、今後需要が増加 すると考えられる歯科医療の分野について、その分野を具体的にお書きください。その 理由は何ですか、どのように対応すればよいと考えられますか。  2.今後需要が減少すると考えられる歯科医療の分野について、その分野を具体的に お書きください。その理由は何ですか。どのように対応すればよいと考えられます。  3.現在不足していると考えられる歯科保健医療の分野について、a該当するものが ある、bない。2はaと回答された先生にお聞きします。その分野を具体的にお書きく ださい。その理由は何ですか。解決方法をお書きください。  4.今後10〜20年間に開発できる歯科医療予防技術について該当するものが、aある、 bない、aと回答された先生にお聞きします。それは何ですか。いつ頃までに開発され ると思われますか。全国で対象者はどれほどいますか。100人、1,000人、10,000人。  5.今後5〜20年間に歯科保健医療の中に組み込まれる必要があると考えられる領域 について該当するものがある、なし、aと回答された先生はその領域を具体的にお書き ください。いつ頃までに実現すると思われますか。10年後、20年後、30年以上。  6.口腔保健の向上が全身疾患への予防または進行防止に寄与している事例について、 a該当するものがある、ない、あると回答された先生に具体的な事例は何ですか。根拠 となる文献などがあれば御記入ください、ア、普及させるための具体案がありましたら お書きください。  7.歯科保健医療が全身の健康の保持増進に寄与し得る分野について該当するものが ある、ない、aと回答された先生で該当するものを具体的にお書きください。根拠とな る研究結果、それから一般に普及させるための具体案がありましたらお書きください。 その他と、こうなっております。  まず第1番目、今後需要と増加すると考えられる歯科医療の分野ですが、一番回答数 が多かったのは特殊歯科、高齢者歯科でございます。その次に予防歯科、インプラント、 審美、修復、再生、口腔外科、矯正、歯周、補綴と続いております。それでその理由と しましては、高齢社会になったこと、それから国民がQOLの向上を望んでいること、 これが特殊歯科、高齢者歯科の要求であるというふうにいわれております。その対策と しましては、大学教育、それから歯科衛生士教育、さらには専門家の養成が対策として 大切であるという回答がございました。  予防歯科が需要が増加すると考えられる理由ですが、国民のQOLの向上、それから 口腔衛生思想の向上、そういうものが予防歯科の需要を増加させると考えております。 その対策としては保険制度、大学での、あるいは歯科医師への教育、こういうものが対 策としてあげられております。  インプラントですが、これもやはり高齢者のQOLの確保のために必要である。そし て対策としては医療保険導入ということがあげられておりました。  今後需要が減少すると考えられる歯科医療について具体的な分野は何か。まず小児歯 科が31.2%、歯を保存する30.9%、補綴は26.8%となっております。その理由は少子 化、う蝕予防法の確立というものが理由にあげられております。対策としましては、小 児歯科の専門家をはかるということ、それから対策の必要なしというものがたくさん出 ておりました。それから高齢者歯科への展開も必要であろう、そういうような回答もご ざいました。 保存につきましては、う蝕予防の確立ができたので今後需要が減少する だろう。やはりここでも対策の必要なしという答えもありますが、さらなる予防に向か っていくべきであるという回答がございました。  3番目ですが、現在不足していると考えられる歯科保健医療の分野についてですが、 あると回答した方々が70.1%でございます。その内訳は先ほどと同じように高齢者、有 病者等におけるリハビリテーションが歯科保健医療分野に不足している。2番目が予防、 それから麻酔口腔外科、行政とか歯科医療体系、保健等がまだ十分行き渡ってないとい うことでございます。  それで高齢者、有病者、リハビリテーションが不足している理由としましては、高齢 者、要介護者の増加、それから時間対費用効果が低い。これはそれによって人材が集ま らないということです。それから人材不足、認識不足、教育不足というものがあげられ ておりました。対策としては教育と啓蒙が必要である、さらに公的支援が必要であろう ということがここでは叫ばれております。  予防が不足しているというものは、保険制度の不備である。それから歯科医師や患者 さんの認識不足がその理由である。そういうふうにいわれております。その対策として はこれを予防を医療保険へ導入することが対策になるというふうに回答しております。  さらに4番目、今後10〜20年間に開発できる歯科医療、予防技術の有無ですが、ある と答えた先生方が63.9%でございます。その内訳はあらゆる分野における予防、処置、 治療技術、ともかく何でも予防できるようになるという答えが25.7%、再生医療の技術、 インプラントが23.2%、検査、診査技術の開発が13.2%となっております。  その各分野における予防処置等の内訳としましては、再石灰化、それからフッ化物の 応用、そういうものがあげられておりました。これの実現にどのぐらいかかるか、10年 以上後になるだろうということでございます。  また、再生医療技術、インプラントにつきましては、歯周組織の再生、歯槽骨の再生、 歯の再生というようなこともあげられております。また実際に使えるようになるには10 年以上後という回答が多くありました。  10〜20年、歯科保健医療の中に組み込まれる必要があると考えられる領域の有無です が、ここでもやはり63.9%の先生があると答えておりまして、そのうちの第1番が再生 医療、予防、口腔ケア、インプラント、検査、診査、診断と続いております。  6番目は保健医療の向上が全身疾患の予防または進行防止に寄与している事例の有無 でございます。寄与している、全身疾患の予防または進行防止に寄与していると答えた 先生が76.7%、まず、その第1が歯周病と全身疾患でございます。その次に誤嚥性肺炎 の予防、認知症、咬合、感染症と続いております。それで歯周病と全身疾患のうち内訳 としましては、糖尿病、アテロームス性動脈硬化症、脳卒中、高脂血症、冠状動脈疾患、 虚血性心疾患、認知症、リウマチ等があげられております。  それでこの項目の中では根拠となる文献等が問われております。この項目におきまし ては根拠となる文献が、インターナショナルの文献がずっとあげられております。そし てそれの対策としましては、医科との連携、マスコミによる啓蒙、大規模な疫学研究、 それから歯科医師会の活動ということによって、対策を立てていくべきであるというこ とでございます。  それから誤嚥性肺炎の予防ですが、これは対策としては歯科保健の充実、マスコミに よる啓蒙、医科との連携、大学教育等が対策になっております。しかしこの場合の文献 は日本が最も進んでおるようでごさいまして、国際的な文献は数がちょっと少なくなっ ております。  それから最後の方の項目、歯科保健医療が全身の健康の保持に寄与し得る分野の有無 でございまして、73.5%の先生があると答えております。その歯科医療が全身の健康の 保持増進に寄与し得る分野の具体例としては、歯周病が16.6%、口腔ケアが11.8%、咬 合、それからすべてが関係するんや、それからいや予防だというふうに分かれておりま す。  それで先ほどの歯周病につきましては先ほど御説明申し上げましたので、今までのア ンケートを私なりにまとめてみますと、医療を取り巻く社会情勢の変化としましては、 少子高齢化というものがあります。それに伴って高齢者要介護者の歯科医療の需要が増 すであろう。それから国民の生活の質の追求、8020運動、それから審美歯科等の美しさ、 快適さを求めている、こういうふうな社会情勢の変化が起っている。  それから歯科医療、歯科医学の進歩としましては、う蝕が減少したということと、そ れから歯科疾患と全身疾患のかかわりが注目されてきた。このようなことから今後の歯 科医療のあり方を推論するのに、今までの虫歯とか歯周病を治療して予防するという歯 科医療、いわゆるdisease oriented conceptから国民の健康を保持増進するための歯科 医療、health Oriented conceptへの脱皮が必要だろう。すなわち国民の健康保持をす るために歯科医師として何ができるかというようなことを考えていく必要があるだろう というのが私の個人的な意見でございます。以上で発表を終わらせていただきます。   ○齋藤座長  質疑はこの後まとめて行うということで、次は下野先生よろしくお願いします。   ○下野参考人  諸外国における歯科医療需要に関する調査ということで、質問事項はここに掲げた六 つでございます。左の方にはそれぞれの歯科医師会の会長あてに送った手紙でございま す。各国の歯科医師の数、男女比、年齢分布、それから人口10万人あたりの歯科医師の 数、歯科大学の数、歯科医師の地域分布、それから過去10年間歯科医療の変化、どうい う変化があったか、将来の歯科医療はどういうことが期待できるかという内容でござい ます。  参考といたしまして、日本の歯科のこういった情報、それから日本の歯科の保険の制 度、さまざまななことを参考資料として送ってございます。送りました国は16カ国26 カ所でございます。一国一歯科医師会というわけではございませんで、一つの国で三つ に分裂しているところもございますので、そういうところにも26カ所送りました。アメ リカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデン、オーストラリ ア、デンマーク、ノルウェー フィンランド、ベルギー、オランダ、オーストリア、ニ ュージーランド、韓国でございます。 手紙を12月の初旬に送りまして、1月の半ばまで待っていたんですが、6カ国からし か返事がありませんで、けさドイツから返事がありました。実は先月に改めてスウェー デンとドイツと、ここはどうしても情報がほしいという宮武先生のサジェスチョン、そ れからアメリカ、カナダの卒後研修について情報がほしいという日高課長のサジェスチ ョンがありまして、もう一度アンケートを再送付しておりますが、こちらの6カ国から はまだ返事がきておりません。   これが全部まとめたものです。最後にこの調査結果を私なりにまとめてみましたので、 ざっと見ていただいて、この色の変わっているところ、例えば歯科医師の数、アメリカ では17万人、一番右端に日本のデータを青で参考に示しております。大体男女比を見て いきますとドイツがちょっと飛び抜けておりますが、大体20%前後が女性の占める割合 になっております。年齢分布はこれはなかなかおもしろいデータで、例えばオランダは 20代が8%しかいない。50代が32%で、これは最近歯科大学を狭めているといいます か、卒業生を抑えているということがよくわかります。  これに対して韓国は20代が19%ですから、これは全体の占める割合、若い歯科医師 が多いということがわかります。オーストラリア、それからカナダ、日本は大体同じよ うな年齢分布になっておりますが、人口10万あたりの歯科医師の数、ドイツ、日本が断 トツで70人を超えております。これに対しまして他の国、アメリカ、スイスが約60で すが他のところはむしろ歯科医師が少ないという状態でございます。  歯科大学の数はアメリカが56、ドイツが31と多いのは、これは東西統一によること が影響しているのかなというふうに感じられました。それから地域分布はどこも同じで すね。都市に集中しているという傾向は変わりません。アメリカはニュージャージー、 ニューヨーク、ペンシルベニアに多くて、ケンタッキー、アラバマ、ミシシッピーに少 ないという結果が出ています。  これが10年間の変化ですが、この中でお読み取りいただきたいのは、オーストラリア では子どもの口腔ケアはもういいのではないか。これからはやっぱり成人の口腔ケアに 重点をあてていかなければいけないんじゃないか、それからオランダは受診者がふえて きたけれど歯医者はちっとも働かない、今までどおり勤務時間を延ばすことをしないの で、予防業務を歯科衛生士に委託をした、これに伴って歯科衛生士の修業年限が4年制 になったということを聞いております。こういった形でオランダは徐々にこのチーム医 療へ転換してきているということです。   アメリカは予防、重点業務が減少して、診断業務が増加している。ここに診断業務が 全歯科治療の39%、予防が27%、充てんその他が17%となっているということです。 ドイツでは予防業務が増加していて、その結果としてDMFの数値が1以下になった、 最近はインプラントの治療が増加しているというような特徴があります。ここで日本で は補綴充てんの治療が50%という傾向は過去10年間変わっていないという、日本が極 めて特異な状況にあるなということがわかります。  この中から今の結果をまとめたのがこれでございます。日本とドイツ以外に歯科医師 の需給のバランスはとれている。オーストリア、韓国、オランダはむしろ少ない。ドイ ツを除いて女性の占める割合は20%でほぼ同じである。それから若い歯科医師は韓国に 多く、高齢の歯科医師はオランダに多い。どの国も都市部に集中している。先ほども言 いましたが、オーストラリアではこれから口腔ケアに重点をあててやっていかなければ いけないだろう。アメリカでは診断業務が増加している。予防、充てんがむしろ減少し ている。そしてオランダは今申し上げたとおりです。  以上の結果から、このドイツの需給のアンバランスは東西統一の影響ではないかとい うふうに考えられます。日本、ドイツが70を超えているわけですが、その他の国という のは比較的まだ歯医者の数が少なくて、もっと国に数をふやしてほしいという要請をし ている、オーストラリアなんかではそういうことを報告に書いてきております。  先ほど渡辺先生の話もありましたが、各国では充てん・補綴から予防へ、アメリカは もう予防から診断へ歯科の業務が変わってきている。この中で特に将来にかかわってイ ンプラント治療が、これは多分アメリカが書いてきていませんが、こういう治療はふえ きているだろう。オーストラリアの成人、あるいは日本のように高齢者の口腔ケアに重 点をおくべきではないかということが考えられますし、それから歯科衛生士の位置づけ、 これはチーム医療ということと関連して、この位置づけをこれからどうしていったらい いかということも重要な問題である。  こういうふうに重点から予防へということ、それからチーム医療ということで、はた と思いたったのがWHOのバームス先生の15年前に出された予測、これが本当に当たる のかしら。そこには2025年には充てんのためのエンジンやタービンなどの切削器具はな くなっているし、歯石は薬物によって抑制されているし、歯学部は必要なくなっている し、今日のような歯科医師もなくなって、健康専門官オーラル・フィジシャン、あるい は個人開業医でなくてチーム医療になっていく、学校歯科サービスはなくて、学校保健 や青少年保健サービスになっていくと彼は予測しているわけですが、全部は当たらない にしろ、少しずつ彼の予測に向かっているのかなという印象を受けたわけです。  いずれにしましても、たった七つの国のアンケートで、しかも全て統一した書式でき ちっと書いてくれるわけではありません。もういい加減に書いてくるようなところもあ りましたので、その中から何とかこういうふうにまとめてみた次第です。以上です。   ○齋藤座長  宮武先生何か全体的にまとめはありますか。   ○宮武座長代理  いわゆる統計的な手法をもって整理してありますが、これは質的な研究というもので しょうか、出されたものを一応ウエイトをつけながらまとめていっておりますので、そ ういった点では数字に余りこだわらないで、傾向をつかんでいただけたらと考えており ます。   ○齋藤座長  それでは、ただいま、いろいろ御報告いただきましたが、各委員から質問その他御発 言をいただきます。まず質問の方が先になるかと思うんですが、どうぞ。   ○田上委員  私も回答させていただいたうちの1人に入っていると思うんですが、最初の渡辺先生 の調査というのは、おそらく世情に疎い回答者のグループを対象にした調査かという気 がいたします。大学教授といいましても、保険で何が算定できるかということを知らな い人も非常に多い、過半数の人が知らない状態で答えているという気もいたしますし、 専門の分野の患者さんしか見ていない大学教授も多います。そういった中でもやはり予 防とか高齢者とかというのが上位に来ているのは、つまりそういった考え方が、実際の 臨床家の間ではもっとその傾向が強く出るのではないかというような気がいたします。  その中で高齢者歯科というのがトップに出ているのですが、非常に漠然とした言葉で、 高齢者の歯科疾患って何なんだと考えますと、やっぱりう蝕と歯周病なんですね。それ で補綴処置が必要である。私の大学ではずいぶん古くに高齢者歯科という専門科が開設 されたんですが、今の問題はほとんどが補綴の義歯の治療が多いということで、高齢者 歯科に入ったけれども義歯を専門に治療できる人がいないという問題が起きてまいりま して、高齢者を診療しているようで実は余り治療の成績が上がってないということがあ りましたので、高齢者という言葉もやはり補綴治療とか、いわゆる一般の歯科治療とい う言葉に置き換えた方がいい部分がかなりあるような気がいたしましたが、まあリハビ リあるいは要介護者といった意味合いで、あるいは有病者の治療という意味では当然ふ えてくるのではないかと思いますので、ある程度はその部分もあるかと思いますが、ち ょっと高齢者歯科というのが意味があいまいな部分があるかなという気がしておりま す。   ○蒲生委員  関連して田上委員のところと同じところなんですが、特殊歯科という文言がありまし たよね。あれは僕が認識不足なのか、ちょっと意味がよくわからないんです が、特殊歯科というのはどういうことが含まれている歯科医療のことなんでしょうか。   ○渡辺参考人  歯科の場合は疾病に伴う方々の、いわゆる摂食リハビリテーションとか嚥下障害なん かで、介護歯科を含めて特殊歯科に分類しております。   ○石上委員 高齢者のところの、それは単に治療とかいうのではなくて、要するに口腔 機能をどう元に戻してやるかという視点で皆さんが高齢者の歯科ということを言ってい るのではないかなと、こう思うんですね。例えば寝たきりの人が口の中が悪い、それは 機能を向上させることを目的にやるんだというレベルで皆さんは、そういう非常に口腔 機能の悪い状態をあげるということで、多分皆さんがそこに○をつけたので、多分その 高齢者の補綴だとか治療だとかいう狭い分野ではなくて、口腔機能を上げることを今後 やらないとだめだろうというのであがってきたんじゃないかと私は思っています。  それから渡辺先生に質問なんですが、大学の先生と歯科医師会の人といろいろ群が違 いますよね。それはだいぶ差があるんですか。   ○渡辺参考人  いや、まだそこまで分析していません。   ○齋藤座長  その辺はやっぱり分析していただけばいいと思います。感覚的には現実問題としては、 田上先生がおっしゃられた高齢者歯科の外来をつくったけれども、そこに来る人は義歯 だとか、そういう患者さんがほとんどだったということは、それは一つの事実なんです が、ただ、有病者だとか寝たきりの人にどう対応するかというのは、これから進む方向 じゃないかという、石上委員のおっしゃる方向だとそのとおりだと思いますが、積極的 にこちらが手を伸ばしていかなければいけないのは、そういった介護の人たちだとか有 病者だとかという方面なんでしょうが、受け身でこちらで待っているとその人たちは介 護者が、誰かが連れてこなければ対応できないとか何とかとなっていくんでしょうか。 もう少し有機的に機能するようなシステムが必要かもしれません。 ○今井委員  先ほど田上さんがおっしゃったんですが、うちの大学の場合は逆にそのフルデンチャ ーを専門にしているところが高齢者歯科という名前に移行していったわけですね。逆に 先ほど石上委員がおっしゃったように、そういう全身管理とかというものに関しての考 え方というのは非常に薄かったわけです。  先ほどおっしゃったように、もう既にそういう方向に、口腔ケアの方に向いているわ けで、幸いにして私どもの大学にも隣接してある病院がありますので、そちらの方へ現 時点では週に1回、水曜日なんですが、いわゆる寝たきりの人とか、そういう人たちの ケアのために行って、まさに今おっしゃったような形での方向に高齢者歯科というのは 進んでいってるような気配がするということで、大学の方も何かそういう方向でいって るみたいです。だからいわゆるデンチャーをつくったり、そういったことは補綴そのも のにお任せする。いわゆるそういうケアのアレがかなりウエイトを占めてきているとい うのが、我々の大学の方としてはそうだということで、ちょっと報告まで。   ○齋藤座長  つまり今後の進む方向としてはそういうウエイトが大きくなってきているということ も含めての御発言ですか。   ○今井委員  はい、僕はそうなるのでは、と考えています。   ○田上委員  うちも当初は総義歯の教室がそのまま高齢者歯科になったんです。ところが有病者が 多いということで、麻酔科の先生が入って全身管理の方になる、そうして数年たったと ころで、じゃあその先生たちがやっぱり咬合は回復できないということになったんです。 それで人数が減って、それでさらに総義歯の先生がそこに少しもう一回か かわろうというふうに、ちょっと揺り戻しの状態になってきた。やっぱり基本的な治療 ができない限り、高齢者だろうが健常者だろうが、咬合の回復はやっぱり治療をまず基 本的な技術がないとできないということがはっきりしてきたんです。   ○齋藤座長  この問題は座長の私としても流れをずっと見てますと、麻酔科の先生がこちらへこう 出てきて、全身管理がしやすいんだと言って介入してくるんですけど、実際の技術がな いんですよね。ですからそこで管理はできても歯科治療が十分できない。まあいろんな 揺り返しがあるんだと思いますが、これはやっぱりシステムをくみ上げない といけないのかなという気がいたしております。   ○蒲生委員  もうアンケート結果の分析が入っていますので、言うのは遅いかもしれないんだけれ ども、先ほどのアンケートをいただいた対象を見ていると、ほとんどが大学の先生なん ですよね。歯科医師会にかかわっている、いわゆる地域医療を現場でやっているという のは47しかないわけですね。その中の回収率が60%弱で、むしろそれは47都道府県だけ じゃなしに、いわゆるもう一つ小さい単位の郡市区というような単位が全国で約800あ るわけですよ。本当はそういったところの意見を聞いてほしかった。  そうでなければこれはもう分母が全然大学に偏っちゃっている。だからこれからの10 年20年スパンの歯科医療がどう変わっていくべきかというところは、現場の人たちが、 先ほど僕は申し上げたでしょう、医療構造は医科は病院ですよ、だけど歯科はほとんど 国民の方は診療所で受けているんですよ。ここのところを僕は十分考えてアンケートを とってほしかったなと思います。   ○宮武座長代理  ぜひ日本歯科医師会でやっていただきたいと思います。要望というよりも、これは歯科 医師会としてそういう情報をとっておく必要があると私は思っております。これはトラ イアルな部分がありますし、それから私たちの考えたことは、やはり新しい歯科医師は 大学で養成されているわけですから、大学の先生たちが今何を思っているかということ を捉えないと変わっていかないと思います。  確かに地域でやっておられる先生方は、今現在の歯科医療は担当していますが、5年 後10年後どうなるかということについて、どこまでお考えをまとめておられるかという ことについては、やや危惧をもっております。大学は寝ても覚めても研究と教育に重点 を置いているわけですから、その人たちが意識を転換していただかないと日本の歯科医 療は変わらない、そういう認識が我々の中にあったものですから、あえて大学の先生方 に、今、田上委員が世間知らずに聞いたと言いますけれども、しかしその先生方もやっ ぱり考えておられるところは将来の方向を見据えてどういうことをやらなきゃあいけな いかということを含めてお出しになったというふうに受け取っています。ですからぜひ 歯科医師会でおやり下さるようお願い致します。   ○蒲生委員  座長、今の御発言は極めて遺憾です。現場で約6万の医療機関がやっている先生方は 一生懸命地域医療をやってますよ。それが目先の診療だけやっていて、あと5年先10年 先のことを考えてないという意味の御発言は私は極めて遺憾です。地元でやっている先 生方もそれは将来の歯科医療がどうあるべきかというのはみんな真剣に考えながらやっ てますよ。だって医療経営が極めて危ないんだもの。みんな非常に厳しい状況で医療経 営をやっているわけです。それをそういう形でとらえていただくのは少しお考えを改め ていただきたい。   ○齋藤座長  わかりました。私は座長としてどうも噛み合ってないところがありまして、今後の教 育を担当する人たちによる影響が大きいからというので、ですからそういうことですか ら、片方は意味がないとか、そういうことはおっしゃっていませんでしたから、取り違 えないようにしてください。   ○田上委員  蒲生先生のおっしゃることもそのとおりでぜひやっていただきたいと思いますし、さ らにやっぱり患者さんの視点に立った医療を提供しようということも入っているわけで すから、やっぱり患者さんの意見というものもちゃんと調査していただいて、参考にし ていただきたい。 ○齋藤座長  ここでは患者さんの意見の要求というところは何かくみ上げる必要があるという、そ ういう意味ですね。 ○田上委員  そう思います。いろんなところの調査で大体出ているので、予測はつくのですが、こ の検討会の中できちんとした形で出すということに意味があるのではないかと思います。   ○齋藤座長  資料がなければね。おっしゃるように私ども感覚的には理解しているけれども、何ら かのそういった吸い上げをするところが必要だなということです。それから先ほど石上 委員から大学とこのデータ、歯科医師会の会長さんの成績を比べてみてほしいというの がございましたので、そちらをぜひ分析をお願いいたします。   ○石上委員  私は将来伸びていく部分をちゃんと皆さんが答えているので、とてもいいんじゃない かなと思うのが一つ、今回の調査は初めてだったと思うんですよね。これだけ今後の将 来どうなる、文献はどうだというのですから、相当よかったと思うので、それはとても 評価したいと思います。  もう一つは今患者さんのという、それがないんですよね。さっき言おうと思ったんで すが、やる側ばっかりのこれは議論なんですよね。本当に患者さんは、例えば節目検診 をやると、40とか50の人はなぜ来ないのか、実際は数%しか来ないわけですよね。こ れを我々分析してないんじゃないかということを、非常に私は問題点としてあげたいと 思うんですよね。要するにそこがないから、結局すれ違っているわけですね。それがそ のままにされているわけです。  僕等は要するに歯科のQOLが低いんだとか何とかかんとか言ってるんだけど、じゃ あQOLを高めるために何かしたかというと、何もないわけですよね。そこのやっぱり 一つは問題点があるのではないかなと、こう思っているので、これは今後のワーキング グループだとかいろいろありますので、そこらあたりでやっていく必要があるんじゃな いかなと思うんです。   ○齋藤座長  この問題は患者さんからのその情報というか、意見を吸い上げるということがこれま での討論の中になかったということで、ぜひこれは具体的にワーキンググループの方で 検討項目として加えていただきたいと、このように思います。   ○辻本委員  私も今石上委員がおっしゃったように、本当にハッとするような、とてもいい内容だ ったなと思いながら興味をもって伺いました。ただ一点だけ、お願いをしたいというこ とで、全く本論とは違うんですが、ぐるりと回るとそこにポイントがいくのかなという キーワードが一つ。啓蒙という言葉をお使いになっておられます。  もう今はそういう時代じゃないんです。やっぱり眼差しが上から注がれている、治し てやるんだというような。40代がなぜ忙しい中で行けないのか、やっぱりその眼差しが 何やら感情的なものに意味が含まれているのではないかと思うんですね。やっぱり横並 びできちんと歯の健康を私たちは支えますよという、そういう気持ちの切りかえをきち っともっていただかないと、それがあの啓蒙と言われた時にオオッという気分になって、 ぜひ啓発というお言葉に置き換えていただけたらと思います。   ○渡辺参考人  私はエビデンスとして出てきたものを書かせていただきましたので、今 後気をつけますが、ありがとうございます。 ○石上委員  一つだけ、オランダでしたかね、要するに私はずっとこの間見ていると、結局歯医者 さんが何でもやるということになっていて、高齢者の問題もそうなんですが、歯医者は じゃあ何にも出てないんですね、例えば外に行くとか、そういう寝たきりの人のところ に出て行ってないですよね。だからPPMのことしかやってないわけですよ。 やっているのは誰かというと、歯科衛生士がみんなやっているわけですよ。例えば寝た きりのおばあちゃんがいるんだけど、お願いねと言われたら、開業医に勤めている歯科 衛生士が雇われて行って、指導してきて、俄然よくなるわけです。  要するに、私は何を言いたいかというと、歯医者だけがやる、それも待合診療のこと ではだめだという、そういう体制をやっぱりきちんとつくらないともうだめなんです。 在宅歯科衛生士がいっぱいいるわけですね。高齢者の方も例えばどんどんよくなるわけ ですよ。そういう体制、もっと極端に言えば訪問看護ステーションみたいなもので、歯 科衛生士だけではできないというのはわかっていますが、そういうようなどんどん出て 行くような一つの仕組みをつくらないと、いつまでたったって歯医者さんがやってくれ るだろう、これではだめなんですね。こんなことをやっていても多分もう絶対だめだと 思うんですよ。だからそこの仕組みをちょっと考えないとだめなんじゃないかなと思い ます。   ○齋藤座長  この辺はある現在のイメージをもっているところの、その先を考えていただく必要が あるんですね。この辺、今までの議論の中にはなかったところですから、今後の具体的 な項目でなくて、やっぱり総論のあたりになるのか、つまり柱が余りにも大き過ぎるん ですね。すぐにそこへ進めるかどうかということもありますし、私はちょっと意外だっ たのはオランダは衛生士さんはいるんですかね。ヨーロッパはだけどできたのはかなり 遅いですよ。北欧か何かは衛生士さんなんかはいませんでしたからね。 ○下野参考人  います。この件とは別に去年オランダの歯科衛生士というのが私のところに訪ねてき て、いろいろ話をしたら、もう4年制になっているという話をしていました。それが今 回このアンケートで何で4年制になったのかなと思ったら、予防処置はもう歯科医師か ら衛生士に委託をしている、ですから衛生士のレベルを少し上げて4年制にしてという ことなんです。日本と違ってカナダもアメリカも歯科衛生士が処置をしたら直接患者さ んからお金をもらえるんですね。オランダもやはりそういうシステムになっているとい うことです。 ○齋藤座長  本日の視点からちょっとはずれますが、政策的に学校歯科医や何かで小学校や何かに どんどん派遣している国は歯科医師が多いんですよ。それ以外のところは歯科医師を多 くすると、やっぱりお互いにやっていかれなくなる、北欧あたりは歯科医師が多いんで すが、学校歯科医でみんな学校に派遣してしまいますから、実質的には9時から5時ま でぴっちり働けばあとは生活できるというふうになっているんですね。  その辺のところは数字だけでなくて、何かそういった背景まで理解しないと、各国の 歯科医師数をただ単純にやっていくと難しいかな、歯科医師が少ない国、例えばオース トラリアもそうでしょうが、介助、衛生士さんや何かを積極的に使わざるを得ないよう な状態で、1人の歯科医師を教育するのにお金がいくらかかるか、歯科衛生士を1人つ くるのにお金がいくらかかるかと、経済効率を出していくとこれは歯科衛生士をつくっ た方が国民の健康により有効にお金が使えるとか何とかといろいろあるんですよね。で すからそういったところも、非常に背景をただ数字だけを見ていくと非常に危険なとこ ろがあるかなという気がします。   ○田上委員  先生、もし、おわかりなら教えて欲しいんですが、オランダとか、国によって歯学教 育、まあ衛生士教育、それから医療行政、同じ役所がやっているというとこ ろはあるんですか。僕等が非常に苦労するのは、医療行政と教育行政が別の役所になっ ているというところで、何かやろうといったら、こっちはやれと言ったけど予算がつか ない、こういう難しいところがあるんです。   ○齋藤座長  今の件を宮武先生から情報をお願いします。   ○宮武座長代理  実はこの研究班の費用をいただいて、岡山大学の友藤先生が4カ月間WHOに今派遣 をされております。WHOの情報は3月が期限なんですが、一部はもう入ってきていま す、今のお話を渡辺先生を通じて友藤先生に連絡しまして、WHOですと政府を介して ですが各国の状況が、わかりますので、少なくとも今あがっている国々についてはそれ をとるということはできるかと思います。 ○齋藤座長  いろいろ必要な問題点の御指摘をいただいておりますが、こういった点、ワーキング グループにぜひ下ろして情報としてこういう発言があったということで、全部伝えて、 それで取り込んでいただけたらありがたいなと思います。どれ一つはずしてしまうと報 告書が、あるいは検討会での項目として成り立たないなという気もいたしております。 それで本日は予定の4時に針が回ってしまったんですが、もう一つ報告がありますが、 この質疑応答はこのあたりで止めてよろしいですか。どうしてもこれだけ聞いておきた いということがありましたら、いただきますが。   ○赤川委員  不足する分野ということでリハビリテーションというのが一番多かったのですが、実 はセッショッケンのリハビリテーションをやればやるほど実は歯科ではほとんど点数が とれない。耳鼻科と競争する、あるいは言語聴覚士がやるということで、やはり歯科医 療供給体制という中で、そういうところをしっかり見ておかないと将来必要なのに、私 たちが責任をもたないといけないのに、実はやってもやってもうまくいかない、そうい うところもぜひ検討いただければと思います。27%、こういうところに大変興味を持ち ました。   ○齋藤座長  これからの方向としては非常にウエイトが大きくなるところですね。それでは、報告 がございますので、そちらに移ります。どうぞ事務局でお願いします。   ○田口課長補佐  それではお手元の参考資料6に新歯科医師臨床研修制度ということで資料をつけさせ ていただきましたが、本年度の4月から歯科医師の臨床研修制度の新たな必修化が始ま りますが、それに向けていま体制整備を含めていろいろな準備を進めているところでご ざいます。一つは昨年の12月に歯科医師臨床研修制度の中のマッチングが一応終了しま した。それから予算のことも含めて、いくつか委員の先生方に臨床研修制度の進捗状況 等についての報告を少しさせていただきたいと思います。本日は臨床研修専門官の神の 方から御説明をさせていただきます。   ○神専門官  歯科医師臨床研修担当の神と申します。簡単に御報告をさせていただきたいと思いま す。参考資料6をご覧いただきたいと思います。1枚目でございますが、新歯科医師臨 床研修制度の概要、概略をおつけをさせていただいております。先ほど来お話が出てお りますようにこの4月1日からいよいよ新しい新歯科医師臨床研修制度というのが開始 をされます。対象になりますのは平成18年4月1日以降に歯科医師免許申請を行い、免 許を取得した方、その中で診療に従事しようとする歯科医師の方は全て対象になるとい うことにあります。研修期間は1年以上、原則1年ということで考えております。  2枚目をごらんをいただきたいと思います。今年度まで実施をされておりますいわゆ る努力規定によります臨床研修制度と大きく違うところが、この臨床研修施設群、それ から研修プログラムのたて方、こういったところに非常に幅広といいますが、融通性が 出てきたというところだと思います。プログラムのIとIVにつきましては、これは単独 型ということなんですが、研修協力施設をうまく取り込んでいただきまして、地域医療、 地域保健、こういったところの勉強を研修歯科医にやっていただくというようなプログ ラムのたて方になろうかと思います。  それからプログラムのII、プログラムのIIIにつきましては、群というものを構成をい たしまして、いわゆる協力型、管理型、こういったところで協力をして一つのプログラ ムを達成するというプログラムになっております。従来ですと例えば主たる施設で8カ 月、従たる施設で4カ月というような枠組み、縛りがございましたが、新しい制度では それぞれ3カ月以上であればいいですということでございますので、かなりこういった プログラムに群の組み方にも幅が出てきまして、いろんな取り組みができるということ になっております。  特に、患者の中心のそういった歯科医療といったものを理解をして、総合的な歯科の 診療能力というものを身につけて、地域の実情に応じた、地域医療に貢献できるような、 そういった歯科医師を養成するためには、この単独型というのももちろんそうなんです が、現場で本当に頑張っておられる診療所の先生方、それから病院、こういったものが 一致団結をして、一体として取り組んでいただけるこういう群方式というのがいいので はないかということで、こちらはお願いをしているところでございます。  3ページ目につきましては、これはマッチングについての概略でございます。このマ ッチングにつきましては、歯科医師臨床研修マッチング協議会が実施をしていただいて おります。  4枚目ですが、こちらが先般、昨年でございますが、歯科としては初めての歯科のマ ッチングを12月15日に行いました。その結果の概要をお載せをさせていただいており ます。参加者数は3,648名、実際に順位登録をされた方は3,584名、その方々が結局マ ッチングを行いまして、マッチをした数といいますのが3,367名で、マッチ率が93.9% という結果でございます。  これを細かく見ますと、第1希望、第2希望、第3希望、ここまででマッチングがで きたという割合が全体の91.4%ということで、ほとんどの方が第3希望までにあげてい ただいたところとマッチングができたということでございます。現在はその臨床研修4 月1日からのスタートに向けまして、残念ながらマッチができなかった方々に対する空 席情報の提示、それからこちらの方は鋭意その準備というところで今行っているところ でございます。  それから最後に歯科臨床研修についての予算のお話を簡単にさせていただきますと、 18年度の予算の概要というところで、昨年出させていただいたところですが、歯科医師 の臨床研修の推進というところで、29億3,600万という予算の確保ができたところでご ざいます。その中で歯科医師の臨床研修費ということで、平成18年度の臨床研修を進め る上での指導歯科医の確保ですとか、研修プログラムの企画立案ですとか、研修歯科医 の受け入れるための環境整備,こういったところに使っていただく補助金ということで、 全体枠で29億2,000(?)万ほどを確保できたということでございます。報告を終わら せていただきます。   ○齋藤座長  ただいま新歯科医師臨床研修制度、マッチングまで進んでいるということで御説明を いただきました。特に何かお聞きすることはございますか。ありがとうございます。 1年以上ということで、国立系2年で実施しているところをできるだけレベル低下がな いようにお願いしたいことでございます。それではただいま報告事項をいただきまして 本日の作業をほとんど終わりましたが、何か事務局からどうぞ。   ○田口課長補佐  本日いただきました御意見を踏まえまして、再度座長と事務局の方で相談をいたしま して、本検討会の検討項目を整理させていただきまして、その上で先ほどお話をいただ いたワーキンググループを設置し、検討を進めてまいりたいというふうに考えておりま す。またワーキンググループのメンバー及びその進捗状況については、順次各委員の方 に情報提供をしていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。   ○齋藤座長  ただいま御説明のような形でワーキンググループを立ち上げまして、そちらからあげ ていただくということで、次回の検討会について御説明をお願いします。 ○田口課長補佐  先ほどワーキンググループの設置のところでお話をさせていただきましたが、ワーキ ンググループは2月の下旬を目途に立ち上げまして、5月を目標にとりまとめというこ とを考えております。ワーキンググループの進捗状況を踏まえまして、第3回目の検討 会を開催させていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたし ます。   ○齋藤座長  先ほどのワーキンググループの過程からいきますと、立ち上げて2月3月で、5月ぐ らいになるんですか。大体日程をまたその段階でよろしくお願いしたいと思います。次 回はワーキンググループの作業を踏まえて、5月頃に本委員会で、具体的な項目につい て本席で協議いただくということになります。本日はどうも長い時間ありがとうござい ました。 終了 【照会先】 医政局歯科保健課 担当:鳥山・大坪 内線2582、2584 - 1 -