06/02/07 第59回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第59回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2006年2月7日(火)15:00〜16:00 場所:厚生労働省専用第21会議室(中央合同庁舎5号館17階 ) 出席者:   労側委員:吉宮委員、岡本委員、片岡委員、篠原委員   使側委員:川本委員、吉川委員、渡邊委員   公益委員:横溝分科会長、今田委員、奥山委員、林委員、 ○横溝分科会長  それでは、出席予定の方は全員おそろいになりましたので、ただ今から、第59回労 働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は、樋口委員、佐藤博樹委員、佐 藤孝司委員、前田委員、山崎委員が欠席されております。  それでは早速議事に入ります。本日の議題は、「雇用の分野における男女の均等な機会 及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案要綱について」 と、「平成18年度予算案及び今通常国会提出予定法案について」です。  まず、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働 基準法の一部を改正する法律案要綱について」、ご審議をお願いしたいと思います。本件 に関しては、前回の1月27日に当分科会において議論いただいておりますが、本日は 答申を行う予定で進めたいと思っておりますので、よろしくお願いします。それでは、 前回の議論に追加して、質問等があればお願いします。 ○吉宮委員  前回示された法律案要綱の第一、一の(一)「ニ」に当たる間接差別の禁止にかかわる 事項に関して、四点ほど質問と確認をさせていただきたいと思います。  まずは、「事業主は、労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない とされ、又は労働者の性別を理由として差別的な取扱いをしてはならないとされる事項 に関し」という文面についてです。第一点の質問は、この文面は、直接差別の禁止を明 らかにしていると理解して良いのかということです。  第二点は、「事項に関し」というのがありますが、これについては直接差別禁止の雇 用ステージである「イ」の「募集、採用、配置、昇進、教育訓練、福利厚生、定年及び 解雇」、「ロ」の「配置に業務の配分及び権限の付与」、「ハ」の「労働者の降格、職種の 変更、雇用形態の変更、退職の勧奨及び労働契約の更新」を指していると理解してよい のかどうか。  第二点目の質問は、「労働者の性別以外の事由を要件とする措置」についてです。第一 の質問は、建議でいう「外見上は性中立的な基準等」の部分に相当すると理解してよい のかどうか。  二つ目は、「要件」について、建議でいう「基準等」に当たると思うのですが、この 「基準等」は、2005年11月18日の当分科会で示された「取りまとめに向けた検討の ためのたたき台」に、「間接差別とは、外見上は性中立的な規定・基準・慣行等」と書い てあります。「要件」というのは、「規定、基準、慣行等」が入るのか入らないのかを明 確にしていただきたい。  第三点目は、「当該要件が当該要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案し て実質的に性別を理由とする差別につながるおそれがあるもの」という文言についてで す。      第一の質問は、建議でいう「他の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の 不利益を与える基準等として定めるもの」が、この文面のどこに相当するのかを明確に していただきたい。  第二の質問として、「その他の事情を勘案して」とは、どう理解すれば良いのか。  三つ目、「実質的に性別を理由とする差別につながるおそれがあるもの」という文言 は、建議にはありません。これが、何を指しているのかを明らかにしてほしいと思いま す。男女雇用機会均等政策研究会報告は、「間接差別法理とは、不必要、不合理な障壁を 取り除き、実質的に機会の均等を確保することに意義がある」と言っていて、パート労 働など雇用形態の違いによる取扱いも、間接差別に当たる例として挙げられています。 この文面によってこれらは今後、厚生労働省令で定めると言われている対象から除外さ れることにはならないのかどうか。この点についてお聞きしたいと思います。  四点目ですが、「当該労働者が従事する業務の遂行に必要であること、当該事業主の事 業の運営に必要であること」についてです。  第一番目の質問は、「事業主が業務の遂行に必要であること」、事業の運営に必要であ ることであれば、それだけで合理的理由があるということになるのか、ならないのか。  二番目には、建議にある「職務との関連性があるなど合理性・正当性が認められる場 合」は、この文言には書いていないので、それはどこに行ったのかをお聞きしたい。ま た、「職務との関連性があるなど合理性・正当性の判断」では、職務との関連性があって も、さらにその基準が「一方の性に与える差別的効果の程度や他にとり得る手段等を吟 味すること」とありますが、この文言ではこれらについて全く理解できません。建議と 内容が異なると考えざるを得ません。そのことについて、正確な答弁をお願いしたいと 思います。以上です。 ○横溝分科会長  今、吉宮委員から四点、また、幾つかの項目に分けてご質問がありました、お答えく ださい。 ○石井雇用均等政策課長  それでは、順次お答えさせていただきます。いずれも間接差別について規定をしよう という第一の一(一)「ニ」にかかるところでした。  一点目ですが、「労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと され、又は労働者の性別を理由として差別的な取扱いをしてはならないとされる事項に 関し」、この意味についてのご質問でした。ここで指しているものが、現行均等法で規定 している性差別禁止についての雇用ステージのことを指しているのかというのが、最初 の問いであり、二点目が、それをさらに噛み砕いて「イ、ロ、ハ」を指しているのかと いう、その二つに分けてのお尋ねだったと思います。  おっしゃっていた通り、現行均等法では(一)の「イ」にもありますように、「募集、採 用、配置、昇進、教育訓練、福利厚生、定年及び解雇」、これらの雇用ステージについて 女性労働者に対する差別禁止の規定を設けているわけですが、今般、配置においては「業 務の配分及び権限の付与が含まれる」ことを明記するということ。そして、「ハ」として、 これらは現行で規定している雇用ステージに「降格、職種の変更、雇用形態の変更、退 職の勧奨及び労働契約の更新」を加えようということですから、これで全てを受けた形 になるというのは、その通りだと思います。それが、第一点目のお答えです。  それから、第二点目は、「性別以外の事由を要件とする」というところについてのお尋 ねでした。二つに分けて質問がありましたが、「外見上は性中立的な基準等」を、ここで 意味しているのかということについては、その通りです。また、そこで言っている「性 別以外の事由を要件」、この「要件」の中身について、これまで当分科会で積み重ねてき た考え方が、この通りかということで、それもおっしゃる通りだと思います。間接差別 の概念がどのようなものであるかについては、昨年、夏の段階で当分科会では認識の共 有を図ってきたところです。そこで、具体的に間接差別とは一般的に「外見上は性中立 的な規定・基準・慣行等が」という言い方をしており、それをこの言葉に置き換えてい るということです。そういう意味では、見解、認識の差はないものと考えています。そ れが二つ目です。  それから、三点目のお尋ねです。まず一つは、「他の性の構成員と比較して一方の性の 構成員に相当程度の不利益を与える」というものはどこに相当するのかということでし た。これは、最後の行にある「当該要件を満たす男性及び女性の比率」を指しておりま す。まさに、これを「勘案する」ということで、相当程度不利益があるかどうかという 判断になるわけです。  そして、「その他の事情を勘案して」は、前回もご質問がありましたが、例えば、代表 的なものとして、「判例の動向」があると思います。そして、「実質的に性別を理由とす る差別につながるおそれがあるもの」は、建議の中にはなかった文言であるというのも、 おっしゃる通りですが、結局、ここは厚生労働省令に委任するということで、厚生労働 省令に委任する以上は、その委任する範囲について明らかにするということが、法律的 に必要になってくる、あくまでも、法律にする際の約束事に従った結果、そういう文言 を入れているということです。  それから、四点目の質問は最後の合理性に関するところでした。まず一点目が、確か、 前回の片岡委員からのご質問と同じ趣旨ではないかと思っております。合理性について、 事業主が業務の遂行に必要あるいは事業の運営に必要と言いさえすれば、それで合理性 があるというものにはならないということであり、これは客観的に判断されるというこ とになると思います。そして、建議の中にあります、「職務との関連性」といった文言が、 今回は入っていないというのはおっしゃる通りですが、それがどこに行ったのかという ことについて、これは、類似した言葉で入っており「労働者が従事する業務の遂行に必 要であること」、ここで意味しております。ただ、瞬間的な職務の関連性のみならず、少 し長期的なタイムスパンでとらえた職務の関連性ということもありますので、「当該事業 主の事業の運営に必要であること」も入れています。どこに行ったかと言いますと、直 近で、一番関連性が強いのは前者の方かと思いますけれども、後段の二つ目に書いてい るところもその範囲に含まれていると考えております。  それから、恐縮ですが、最後の質問をもう一度お願いできますでしょうか。 ○吉宮委員  今の課長の答えで、業務の遂行に必要であることとか、事業の運営に必要であること が説明されれば合理的に当たるということではなく、職務との関連性がここに出てくる と。その上で、さらに労働者の方から、合理的判断、正当性かつ合理的な判断であって も、そのことについての差別的効果の程度とか、あるいは他にとり得る手段等で、労働 者の方から言い得る手段があるわけですが、そのことは全く入っていないので、どう認 めればよいのかをお聞きしたいのです。 ○石井雇用均等政策課長  失礼しました。そのことについては、建議の中にもありますように、仮に、法律が成 立した場合に定められる指針の中で、具体的に書き込むことになるものです。確かに、 男女雇用機会均等政策研究会報告の中で、具体的に7つの事例を取り上げ、考えられる 合理的なものについても書いており、その中にはおっしゃっているようなタイプのもの も含めていますが、これは、まず法律が国会に提出されて成立した後で、指針の中身と して今後、議論していくことになるものだと考えています。以上です。 ○横溝分科会長  それでは、他にありましたらお願いします。 ○吉宮委員  今の課長の話で、いくつかの文面については、聞かなければわからないというくらい、 とにかくわかりにくいです。中でも、2ページの「実質的に性別を理由とする差別につ ながるおそれがあるものとして厚生労働省で定めるもの」という文言が、かなり際立ち ます。つまり厚生労働省令で定める場合のものの考え方として「実質的に性別を理由と する差別につながるおそれがあるもの」とあります。今度改正される内容は、直接差別 は従来通り、さらに追加されて禁止されると。その上で、間接差別については、厚生労 働省令で定める今回の三つに限定したものが禁止されるということになりますと、その 「実質的に性別を理由とする差別につながるおそれがあるもの」というのは、主たる差 別の禁止は直接差別で、間接差別はそれに従属すると言うか、補完的なものになり得る 危険性を持つのではないかというのがぬぐえないですね。特に、先ほど申し上げたよう に、パートタイム労働者の雇用形態の違いによる差別というのは、男女雇用機会均等政 策研究会報告の例でも二つほど挙げられていますが、今後、厚生労働省令で定められる としても、その部分が、特に「直接差別につながるおそれがあるもの」ということで除 外されていく危険性があるのではないかという懸念をぬぐえないわけです。  何故、こうなっているかと考えますと、私どもは建議に意見を付けたのですが、結局、 厚生労働省令に対象基準等を委任する方法を取っています。このための「ものの考え方」 が必要で、この文言が入ってくるということですが、それが結局、間接差別についてわ かりにくくしていることにつながってくるのではないかと思います。  私どもの意見を取り入れていれば、こういうことは起きなかったのではないかと思う のですが、残念ながら取り入れられませんでした。従って、建議と法律案要綱の間接差 別について、かなり理解に苦しむ部分であるし、内容がどうもピンとこない、一致しな いということを言わざるを得ません。  従って、私どもは、引き続き、答申に当たっても、建議に付けた意見をそのまま付け ていただきたいと思います。 ○横溝分科会長  他に、いかがでしょうか。 ○川本委員  今、吉宮委員から発言がありましたけれども、建議に付けたご意見を、また付けたい ということですので、建議に付けたのは、参考資料ということで、前回の12月のとき の報告内容が載っていますが、2ページ目にある「間接差別基準は限定列挙ではなく例 示列挙にすべきとの意見が示された」というのを、今回も意見として書いてくれという ことですか。そうであれば、ちょうどお手元にありますけれども、私ども使用者側の方 から、「間接差別概念の導入については、懸念がある」いうことを意見に書いていただき たいと申し上げて書いていただいたときと同様に、今回、労働者側委員の方からその意 見を記すということであれば、私どもの意見も記していただきたいと思います。よろし くお願いします。 ○横溝分科会長  労働者側委員、使用者側委員双方とも建議に付記した文言を、今回も付記するという ご意見、ご希望ですね。それぞれ、そういうことでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○横溝分科会長  それでは、当分科会としては、諮問のあった「雇用の分野における男女の均等な機会 及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案要綱」について は、「おおむね妥当」と認めることとして、その旨の報告を、私から労働政策審議会長あ てに行うことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○横溝分科会長  それでは、皆さまに異議がないようですので、そのように取りまとめ、答申文をお手 元に配布したいと思います。今事務局に配布していただきます。                  (答申文配布)   ○横溝分科会長  お手元に配付された答申案は、これでよろしいですか。双方の意見も付記しておりま すので。                     (異議なし)   ○横溝分科会長  それでは、そのようにさせていただきます。  ここで、白石審議官からごあいさつをいただきたいと思います。 ○白石審議官  「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準 法の一部を改正する法律案要綱」について、ただ今、「おおむね妥当」とする旨の答申を いただきました。心より感謝申し上げます。今後は早急に政府部内で調整して、改正法 案をまとめて、現在開かれている通常国会に提出させていただきたいと考えております。 委員の皆さま方には、これまでのご協力に改めて御礼を申し上げるとともに、今後とも 雇用均等行政をはじめとする厚生労働行政に対して一層のご理解・ご支援を賜りますよ う、よろしくお願い申し上げ、ごあいさつといたします。ありがとうございました。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。それでは、引き続き、次の議題に移りたいと思います。次 の議題は、「平成18年度予算案及び今通常国会提出予定法案について」です。事務局か ら説明、報告をお願いします。 ○香取総務課長  総務課長です。お手元に配布しております資料No.2及びNo.3に基づいて、残された 時間をいただいて説明申し上げます。最初に、平成18年度の雇用均等・児童家庭局予 算(案)ですが、昨日から予算委員会が始まっており、ただ今、審議をいただいているも のです。  予算案の細かい内容については、9月か10月の当分科会で概算要求の内容で説明して おります。今回は、おおむね概算要求の内容に沿った政府原案を作成できておりますの で、変更点と主だった関係部分を中心に、説明したいと思います。  まず1ページですけれども、今回の予算については、人口減少社会ということで、少 子化に対する対応ということがメインになっております。一つの柱は、「次世代育成支援 対策」ということであり、もう一つは、「公正で多様な働き方、共同参画、両立支援」と いうことになります。全体の予算ですが、2ページをご覧いただきたいと思います。平 成17年度は、私どもの局全体で1兆1,000億円余りの予算を計上しています。平成18 年度予算(案)は、8,739億円で、約20%の減になっています。これは後ほど話しますが、 年末の政府与党の合意で三位一体関係の改革で、自治体に税源移譲し補助金改革を行い ました。その影響で、予算額全体が減少しています。この三位一体改革の影響額を除い て、積算しますと、その「参考」の所になりますが、平成17年度予算を三位一体改革 で戻して計算しますと約7,700億円ですので、局全体の予算としては、実質的には約13% の伸びで、政府全体の予算がほぼゼロベースですので予算としてはそれなりのご配慮を いただいたというところです。  このうち、児童福祉関係の予算が8,600億円余、労働関係の予算が100億円です。こ れを、一般会計、特別会計で見ますと、一般会計が8,300億円で、児童関係の特別会計 が300億円、労働関係特別会計が100億円です。  3ページです。今申し上げた三位一体関係の改革ですが、これは、一昨年、昨年と政 府全体として地方自治体に補助金改革を行い、権限と税源と財源を移譲するということ で、政府全体として補助金の見直しをするという大きな議論がありました。2年目とい うことで、私どもの関係では、そこに四点書いていますが、それぞれについて国庫補助 金・負担金の見直しを行い、地方自治体に税源移譲を行ったところです。  一つは、経常費ということで、そこに次世代育成支援対策交付金の一部と書いてあり ますが、これは保育所の運営費、交付金として交付されているもののうち、公立の保育 園にかかる延長保育の部分を移譲したものです。公立分の運営費につきましては、昨年 17年度の改革で既に一般財源化し全移譲していますので、本体部分に合わせて延長部分 についても自治体に財源を渡すというものです。  二つ目は施設整備費ですが、児童福祉施設関係については、次世代育成支援対策施設 整備交付金ということで一括計上しています。このうち、公立の保育所および児童相談 所、婦人相談所にかかる施設整備費につきましては、自治体に移譲したものです。  三番目と四番目は、それぞれ児童扶養手当および児童手当につきまして、従来、児童 扶養手当では国の負担が4分の3、児童手当につきましては3分の2であったものを、 それぞれ3分の1にいたしまして、全体で約3,500億弱の予算を自治体にお渡しすると いうことで。先ほど申し上げましたように、表向きの予算では減額がたっているという ことです。  次に、主立った中身についてですが、4ページ、5ページに、それぞれ示しています。 主立った内容につきましては夏に説明しましたので、重ねて申し上げませんが、特に両 立支援関係では三番目の新規予算ということで、「中小企業の事業主に対する両立支援の 取り組みの支援」で、育児休業が初めて出た中小企業の事業主に対しまして、5年間に 限り1人目が100万円、2人目が60万円それぞれ助成金を出すということを新規でと らせていただいたものです。  二つ目の「子育て女性の再就職・再就業の支援」は、若干、組み立てを直しましたが、 ほぼ私どもの要望したとおり新規計上することができました。これにつきましても、マ ザーズハローワークを新設し、連携して支援を行うという仕組みができたところです。  それから、私どもの直接の予算ではありませんが、七番目の「財政的支援の拡充」の 二つ目と三つ目ですが、それぞれ医療保険の改革の中で手当をしたものです。出産時に 医療保険から手当が出る「出産育児一時金」につきましては30万円から35万円の引き 上げとなります。  それから乳幼児にかかる医療費の一部負担は、従来、3歳までの乳幼児につきまして は2割負担でしたが、これを小学校就学前まで拡大するという措置が講じられています。  その上の児童手当ですが、これはそのときにもお話しましたように児童手当につきま しては夏段階から随分、議論がありまして、最終的に政府与党の合意に踏まえまして、 現在、小学校3年まで支給している児童手当につきましては、小学校6年まで、および 所得制限がありまして、支給率85%程度の所得制限をかけていましたが、これを90% まで引き上げるということで給付の改善を図ったところです。細かいものにつきまして は6ページ以降に示してありますので、参照いただければと思います。  それから資料3をお目通しいただければと思います。私ども雇用均等・児童家庭局で は、本日ご答申いただきました男女雇用機会均等法の改正案のほかに、2本の法律案の 提出を予定しています。1本は「三位一体改革の関係の国の補助金の整備合理化および 児童手当の改正につきまして、一括法として改正」をする内容です。  もう一つは、幼保一元化の関係で、いわゆる総合施設法案です。幼稚園・保育所にお ける就学前の子どもに対する教育保育を一体的に行うということで、「就学前の子どもに 関する教育・保育等の総合的な提供に対する法律案」です。こちらは、新法ということ になります。それぞれ国会に提出を予定しています。  内容について簡単に説明を申し上げます。1ページ目をめくっていただいて、最初に 「補助金等の整理合理化に関する法律案」です。申し上げましたように、三位一体関係 の改革と児童手当を1本増やすわけですが、私どもの改正の内容の他に、厚生労働省全 体としては年金の国庫負担、それから児童施設以外の施設整備費についての改革も行い ます。そういったものを全部含めて1本で、私どもの局の方で取りまとめてご審議を願 うということで提出しています。  内容は重複いたしますが、最初に児童手当の改正ということで、国庫負担の割合を国 3分の2、地方3分の1から、3分の1、3分の2に見直すということと、児童手当の支 給対象年齢の引き上げを行うというものです。なお所得制限につきましては政令事項で すので、法律成立後、政令で手当をする予定です。  児童扶養手当につきましては、国庫負担割合の現行である国4分の3、地方は4分の 1を、3分の1、3分の2に見直すというものです。  国民年金につきましては、国庫負担が3分の1ということになっていまして、前回の 年金法の改正で、22年までの間に財源措置を講じた上で2分の1まで引き上げるという 付帯決議が付けてあります。  去年・今年とそれぞれ税制改正の全過程の中で、一定の財源措置を行いまして、国庫 負担の引き上げを行うということで、18年度におきましては3分の1に加えまして、 1,000分の25、2.5%相当の国庫負担の上乗せをすると。18年度予算でいきますと約 2,200億円になりますが、これも国庫負担として新たに定率で計上するという内容にな っています。  大きな二番目は「負担金補助金の廃止」ということで、施設整備費の廃止です。先ほ ど、私どもの公立保育所の関係を申し上げましたが、金額的に言いますと、老人関係の 特別養護老人ホーム、老人保健施設にかかる施設整備費の額が大きいのですが、これに つきまして一般財源化をする。併せまして、介護につきましては保険になっていますの で、施設整備をしますとその分だけ運営費、保険料に影響があるということで、施設整 備の権限をお渡しするとともに、運営費についても一部自治体のご負担をお願いすると いうことで、施設給付費にかかる部分につきまして、国25、都道府県12.5という現行 の割合を5%相当、都道府県にお渡しをするという改正をいたします。  最後になりますが、公立の障害施設、一時保護施設、生活保護の施設等につきまして も、施設整備費の一般財源化を行うということです。  これらは18年度予算に直接関わるものですので、予算関連法案ということで、18年 4月1日施行で国会にご審議をお願いしているものです。  二つ目は総合施設法案でして、幼稚園・保育園において教育と保育というものを一体 的に提供する、あるいはお預かりしている子ども以外の地域で子育てをしている家庭、 あるいは子どもの支援というものを一体的に行うということで、新しい枠組みを設ける ということです。  1のところに「認定こども園」という名前が書いてありますが、こういった新しい都 道府県知事が認定をする仕組みというのを作りまして、それについて新しくさまざまな 措置を講ずるというものです。概要ですが、現在あります幼稚園は文部科学省が所管し ていまして、教育施設という位置付けがあり、幼児期の教育を行う施設です。  他方、保育園は厚生労働省が所管していまして、福祉施設で、親が働いていたり病気 だったりして、家庭での保育が十分行えない、いわゆる保育に欠ける子どもにつきまし てお預かりをする施設です。  それぞれにつきまして、そこに(1)(2)とありますが、こういった付加的な機能をそれぞ れ具備するということを条件に、都道府県が「認定こども園」という認定を行います。 そういった「認定こども園」については、特例措置を講ずるというものです。  一つは、それぞれ教育の機能と保育の機能を持っているわけですが、そういったもの を併せて一体的に提供するように、幼稚園であれば保育の機能、保育園であれば幼児教 育の機能を併せて行うという機能を具備するものにつきましては認定をする。  もう一つは、それぞれの地域の子育て支援についての機能をそれぞれ持っていただき ます。こういった機能を持ったものについては「認定こども園」ということで、総合施 設としての認定を行うというものです。幼稚園も保育園も、人の配置の基準であります とか、施設整備費の基準がそれぞれ違っているところがあります。これについては、認 定の基準を所管省である文部科学省および厚生労働省でそれぞれ調整いたしまして、統 一的な指針を策定し、それを参酌して各都道府県が基準を作り認証するというように、 基本的には自治体が認定をするスキームを用意するのです。  二つ目は、名称独占の規定です。それぞれに合わせまして財政措置ということで、従 来では幼稚園には文部科学省が計上する幼稚園の補助金、保育園には私どもが経常する 厚生労働省の補助金ということで、それぞれ別々に施設整備費の補助金が出ていたわけ です。幼稚園は原則、学校法人で、保育園は一部、財団法人もありますが、原則は社会 福祉法人ということになっているものにつきましては、それぞれ、たすきがけで認定を 受けたものに補助金が出せるようなスキームを用意する。併せて認可定員の緩和である とか、幾つかの政令事項になりますが規制緩和を行うというものです。  利用手続きにつきまして、幼稚園は通常、園児募集の広告があります。直接、幼稚園 との入所契約をしているわけですが、保育園は、もともと措置施設であったということ で、市町村と契約をして、市町村が「この保育園に入ってください」とやっています。 総合施設「認定こども園」につきましては、幼稚園と同じように、直接、保育園との間 で契約が結べるという形で、利用者にとって選択の余地、選択の範囲が広くなるような 規制緩和を行うものです。これにつきましては、直接的な予算措置を伴いませんので、 予算非関連法案という取り扱いになります。均等法もそうですが、これにつきましては 国会との関係で言いますと若干、手続きが遅れますので、まだ国会に提出していません が、今国会に提出をしてご審議を願う予定です。なお施行日は18年12月1日を予定し ています。以上です。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の報告・説明について、質問がありまし たらお受けします。はいどうぞ。 ○吉宮委員  予算案の説明ということですが、この分科会で審議した出産手当金について、現行 60%を引き上げるということを求めてきたのですが、この分科会の所管ではないという こともあったし、医療保険ですから他の局に申し伝えるということで経過を報告いただ いたのですが、これはどうなっているのですか。出産一時金が変わったみたいですが、 出産手当金は全く審議されず検討されずで…。 ○香取総務課長  ここにつきまして、一つは政府としての少子化対策の一環として、子育て家庭あるい は子どもに対する支援ということで、当分科会でも、さまざまなご議論がありました。 特に出産部分については手当ができないか、あるいは社会保険料等々についての手当が できないかということで、そのご議論につきましては本件でありますと保険局になりま すが、私ども一応同じ省内ということもありまして、ご検討をいただきたいということ で私どもの方から申し入れをしました。  保険局の方でも審議会があるので、中でさまざまご議論をしていただいて、最終的に は申し上げましたように、例えば出産一時金については、出産手当金そのものの6割と いうのを動かすのはなかなか難しいということで、向こうでもできるだけの範囲で配慮 をしましょうということで、今の医療保険の財政状況その他も踏まえて、それなりにで きる範囲内でやっていただいたのがこの出産一時金の引き上げと乳幼児の医療費の一部 負担の軽減ということです。今回はここまでやっていただいたということです。 ○吉宮委員  幼稚園と保育園の統合の話は、例えば、どこかの審議会の中で検討されたのですか。 ○香取総務課長  我々は、通称で「総合施設」と言ってきたわけですが、もともと幼稚園と保育園はそ れぞれ由来が違う施設であるわけですが、就学前の子どもの保育なり教育なりといった 機能を持っている。そういった家庭の養育を支援するという意味では、かなり機能的に 重なっている部分があるのではないかということで、共通化できるものは共通化する、 場合によっては一元的にするべきではないかという議論がかねてからありました。実は、 この議論は小泉内閣になってから、行政改革あるいは規制緩和の観点の中で、長らく議 論され、一昨年、幼稚園と保育園については、こういった一体的な機能を持ったものを 考えるということで、閣議決定が規制改革の関係でありました。  それを踏まえて17年度にモデル事業をするということで文部科学省と厚生労働省と 協力いたしまして、全国の幼稚園と保育園で、この総合施設のモデルのような施設を幾 つか類型別にパターンを用意してモデル事業をやりました。そのモデル事業の結果を踏 まえて具体的な要件を模索しました。18年度中に措置をするようにということが、閣議 決定の中でタイムクロックを切られてありましたので、そのモデル事業の結果を踏まえ て、今回こういった形で、両省共同で法案を新しく作るということで、国会にご審議を お願いするという運びになっています。 ○吉宮委員  この幼保を統合される場合に、保育に欠けるものと欠けないものの要件がなくなると いうのと、私の記憶に間違いなければ幼稚園の場合は3歳からですよね。保育園は0歳 から受け入れるというのもありますし、そうすると保育と幼稚園の機能を総合的に持つ というのはどのように理解すればいいですか。 ○香取総務課長  今、ご指摘のとおりで、「認定こども園」という形で認定を受けている施設に関しては、 基本的には保育に欠ける欠けないにかかわらず、園児というか乳児というか、子どもを 受け入れる。例えば、もともと幼稚園だったところが認定を受けた場合には、当然0歳 から受けるということになりますので、その部分は従来、幼稚園だった所でも「認定こ ども園」という形になりますと、保育に欠ける欠けないにかかわらず0歳から就学前ま でお預かりができるということになります。 ○横溝分科会長  他にありませんか。 ○片岡委員  質問ではなく感想になります。概算要求の説明を受けたときと同様の感想になります。 もちろん金額だけでみるということではなく、中身で積極的にやっていただきたいとい う立場で説明を伺ったのですが、次世代関連の取り組みと公正処遇の取り組みというの は額的にみると、大変大きな差があるという状況になっています。  それは少子化問題との兼ね合いで、その状況については理解をしています。常々、子 育ての問題と男女に限らず公正処遇を受けて働くということ―少子化と公正処遇という のは車の両輪の関係であると、その都度、意見を申し上げてきました。重ねて同じ観点 から、特に公正処遇の1から3の項目のどれをとっても大変重要なもので、均等法が今 後どういう展開になるかによっては、来年、予定されている施行までの間、さまざまな 今回の改正課題について行政にお願いいただく取り組みはもちろん、労働組合があると ころでは労働組合がきちんと取り組むという事柄も入ってくるだろうと思います。2も 3もそれぞれ公正処遇の課題としては非常に大きいわけですが、現状、なかなか均等待 遇の問題も含めて進んでいないという状況があります。この公正処遇に向けた部分につ いて積極的な行政からの周知など、さまざまな取り組みをお願いしたいと思いつつ、少 し説明を伺ったところです。  もう1点は、「仕事と生活のバランスのとれた働き方の実現」という項目が次世代育 成支援対策の中でありますが、先ほど新しく中小企業向けに育児休業者が出た場合の助 成の説明を伺いました。額で言えば90億円ということになっています。具体的に案を 持たず発言して申し訳ありませんが、子育て期の男性の働き方、その仕事のあり方や働 き方というものと、もう一方で、生活と仕事の調和という点は大変重要だと思います。 子育て期の男性の働き方の両立が可能となるような働き方を考える、あるいはそういう 方向にもっていくような、そこに焦点をあてたものもぜひ3の「仕事と生活のバランス のとれた働き方の実現」のところでは含んだ形で、さまざまに周知や情報提供などして いただきたいと思いました。以上です。 ○横溝分科会長  はい、どうぞ。 ○吉川委員  質問をさせていただきたいのですが、直接この局に関係あるかどうかわからないので すが、5の「小児科・産科医療の確保など母子保健医療の充実」ということで、不妊治 療とか小児科・産科医療体制整備事業の実施というところでここに予算を組んでいただ いて大変ありがたいと思います。産婦人科学会の方に聞きますと、年間6,000万人から 中絶をする人がいて、子どもがそれだけ失われているということを聞いています。今の 法律では、非常に簡単にそれが可能だということで、そのようなことをどこの部署で扱 っていらっしゃるのか。そこの回避によっても、少子化問題はもう少し違った展開にな っていけると考えます。直接的ではないと思いますが、そういうことは他の部署で扱っ ていらっしゃるのでしょうか。 ○香取総務課長  なかなか敏感な話なので申し上げるのは難しいのですが、部局で言いますと、いわゆ る人工妊娠中絶に関しましては、母体保護法という法律がありまして、私どもの健康局、 昔でいう公衆衛生を担当している部局が担当しています。中絶の件数に関して、うろ覚 えの記憶ですが、統計上届け出があるものは確か30万かそれぐらいの数字だと思いま す。  年間の出生が、日本では大体100万件で子どもの数が100万人ですので、割合でいき ますとそれくらいの数字ということになります。中絶の数が多いのか少ないのかという のは、一概には言えません。日本の出生率が1.29くらいで、フランスが1.8くらいある とかいう議論になりますが、中絶の数の割合というのは先進国ではそんなには変わらな い。日本が極端に多いということはないので、そういう意味で言うと、その数を入れ込 んだときに出生率がどうなるかという計算をすると、例えば、フランスの1.8も多分そ れを織り込んで計算するのでもっと上がるということになります。中絶というのはなか なか統計上きちんと把握できない部分もありますので難しいのですが、恐らく直接的に はそういう意味では、中絶の数が多いから出生率が低いということはないかと。私は直 接の所管ではないので、責任を持って答弁できませんが、恐らくそういうことだろうと 思います。  もともと母体保護法は、名前にありますように、母体の保護を目的とする法律ですの で、中絶のいい悪いということを問題にしている法律ではありません。全体として、日 本もそうですが、戦後の一時期はむしろ受胎調節等、人口が増え過ぎたら…ということ で、行政をやってきた時期もあります。その時代に作った法律だということもありまし て、何年か前に大改正をして、今の形でリプロダクティブ・ヘルスという考え方を織り 込んだ法律にしているわけです。ただ、いずれにしてもこの問題は、直接出生率や少子 化対策ということの切り口とは違う要素がありますので、それはそれなりの議論をする 必要があると思っています。 ○吉川委員  ありがとうございます。むしろ教育問題に行くという気がします。もし厚生労働省で そういったことも扱っているのなら、その角度も、もう一度検討してみる必要があるの ではないかと思いまして、意見として出させていただきました。ありがとうございます。 ○横溝分科会長  どうぞ。 ○吉宮委員  素晴らしいことなのですが、今年の1月13日に、函館の労働基準監督署がセクハラ について労災認定しないという結論について、もう一回見直しをして、その結果、労災 認定をしたというニュースがありました。厚生労働省は、通達を出したことに伴って、 結論が一度出たものをもう一回見直した結果、そうなっているということなのですか。 それとも、たまたま函館の場合はそうしただけであって、全症例を監督したり見直しし たりということではないのですか。セクハラ案件は少ないということかもしれないが、 函館の場合はどういうふうに理解したらいいのか。 ○石井雇用均等政策課長  他局の話で正確にお答えする用意がないのですが、いずれにしましてもセクハラの労 災認定については、考え方について必ずしも徹底が図られてなかった面があるというこ とで、考え方をあらためてきちんと示したということを一つの契機としまして、今回、 函館の労災の事案について、いったんは不支給としたものを支給の対象としたというよ うに承っています。確か、不服審査請求もあったように聞いていますので、手続きの中 でもう一回新たな目で見直した結果、そういったことに至ったと理解しています。 ○横溝分科会長  他にいかがでしょうか。ないようでしたら、まだ時間の余裕はありますが、本日の分 科会はこれで終了とさせていただきたいと思います。よろしいですか。本日の署名委員 は、片岡委員と川本委員のお二人にお願いします。よろしくお願いします。お忙しい中 ありがとうございます。これで終了とします。           照会先:雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課法規係(7836)