障害福祉サービスの基盤整備について
〜障害福祉計画の「基本指針」〜



平成18年2月9日



目次
 1  障害福祉計画の「基本指針」について
 2  障害福祉計画の基本的理念
 3  障害福祉サービスの基盤整備
 (1)  基本的考え方
 (2)  見込量の算定のポイント
 4  障害福祉計画の作成に当たって留意すべき事項
 5  障害福祉計画の目標の達成に向けて
 (参考資料)
 ・ サービス利用者の将来見通し(12月5日障害者部会資料抜粋)
 ・ 地域生活移行に向けた取組事例
 ・ 精神障害者の退院促進に向けた取組事例
 ・ 就労支援の取組事例



1. 障害福祉計画の「基本指針」について

 「基本指針」は、下記の事項を内容とするものであるが、具体的には、障害福祉計画作成に当たって基本となる理念、サービス見込量の算定の考え方、計画的な基盤整備を進めるための取組みなど、定めるものとする
 ・ 障害福祉サービス及び相談支援の提供体制の確保に関する基本事項
 ・ 市町村障害福祉計画及び都道府県障害福祉計画の作成に関する事項
 ・ その他自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するために必要な事項
 市町村及び都道府県は、「基本指針」を踏まえ、平成23年度までの新サービス体系への移行を念頭に置きながら数値目標を設定し、平成18年度中に平成20年度までを第1期とする障害福祉計画を策定するものとする

障害福祉計画の「基本指針」についての図


2. 障害福祉計画の基本的理念

 市町村及び都道府県は、障害者の自立と社会参加を基本とする障害者基本法の理念を踏まえつつ、次に掲げる点に配慮して、障害福祉計画を作成することが必要である。

 1. 障害者の自己決定と自己選択の尊重

 ノーマライゼーションの理念の下、障害の種別、程度を問わず、障害者が自らその居住する場所を選択し、その必要とする障害福祉サービスその他の支援を受けつつ、障害者の自立と社会参加の実現を図っていくことを基本として、障害福祉サービスの提供基盤の整備を進めること

 2. 市町村を基本とする仕組みへの統一と三障害の制度の一元化

 障害福祉サービスに関し、市町村を基本とする仕組みに統一するとともに、従来、身体障害、知的障害、精神障害と障害種別ごとに分かれていた制度を一元化することにより、立ち後れている精神障害者などに対するサービスの充実を図り、都道府県の適切な支援等を通じて地域間で大きな格差のあるサービス水準の均てん化を図ること

 3. 地域生活移行や就労支援等の課題に対応したサービス基盤の整備

 障害者の自立支援の観点から、地域生活移行や就労支援といった新たな課題に対応したサービス提供基盤を整えるとともに、障害者の生活を地域全体で支えるシステムを実現するため、身近な地域におけるサービス拠点づくり、NPO等によるインフォーマルサービスの提供など、地域の社会資源を最大限に活用し、基盤整備を進めること


3. 障害福祉サービスの基盤整備

(1) 基本的考え方

 障害福祉サービスの基盤整備に当たっては、障害福祉計画の基本的理念を踏まえ、下記の点に配慮して、数値目標を設定し、計画的な整備を行うこととする

 1. 全国どこでも必要な訪問系サービスを保障
立ち後れている精神障害者などに対する訪問系サービスの充実を図り、全国どこでも必要な訪問系サービスを保障

 2. 希望する障害者に日中活動サービスを保障
小規模作業所利用者の法定サービスへの移行等を推進することにより、希望する障害者に適切な日中活動サービスを保障

 3. グループホーム等の充実を図り、施設入所・入院から地域生活への移行を推進
地域における居住の場としてのグループホーム・ケアホームの充実を図るとともに、自立訓練事業等の推進により、施設入所・入院から地域生活への移行を進める

 4. 福祉施設から一般就労への移行等を推進
就労移行支援事業等の推進により、福祉施設から一般就労への移行を進めるとともに、福祉施設における雇用の場を拡大


(2) 見込量の算定のポイント

ポイント1
 訪問系サービス、日中活動系サービス、居住系サービスのそれぞれについて、現在の利用者数を基礎としつつ、障害者のニーズ、近年の利用者の伸び、今後新たに利用が見込まれる精神障害者や小規模作業所利用者の移行などを見込んだ上で、必要なサービス量を具体的に見込むものとする。

ポイント2
 特に、地域生活や一般就労への移行を進める観点から、下記の数値目標を設定するとともに、この目標を達成するために必要なサービス見込量の設定を行う。

 平成23年度末までに、現在の入所施設の入所者の1割以上が地域生活に移行することをめざす
 ⇒   これにあわせて、平成23年度末時点の施設入所者数を7%以上削減することを基本としつつ、地域の実情に応じて目標を設定する

 平成24年度までに、精神科病院の入院患者のうち「受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者」(以下「退院可能精神障害者」という。平成14年患者調査で約7万人)の解消をめざす
 ⇒   これにあわせて、平成23年度における退院可能精神障害者数の減少目標値を設定するとともに、医療計画における基準病床数の見直しを進める

 平成23年度中に福祉施設から一般就労に移行する者を現在の4倍以上とすることをめざす
 ⇒   これにあわせて、福祉サイドにおける就労支援を強化する観点から、就労継続支援利用者のうち、3割は雇用型をめざす

ポイント3
 地域生活支援事業についても、地域の実情に応じ、数値目標を設定し、その事業量の確保のための措置を明記するものとする。


4. 障害福祉計画の作成に当たって留意すべき事項

 障害福祉計画の作成に当たっては以下の点に留意することが必要である

 1. 障害者の参加

 障害福祉計画の作成に当たっては、サービスを利用する障害者のニーズを適切に把握するほか、障害者の意見を反映させるために必要な措置を講ずること

 2. 地域社会の理解の促進

 グループホームの設置などサービスの基盤整備に当たっては、障害及び障害者に対する地域社会の理解が不可欠であり、障害福祉計画の作成に当たっては、障害者本人のみならず地域住民、企業など幅広く参加を求めるほか、啓発・広報活動を積極的に進めること

 3. 総合的な取組み

 障害者の地域生活への移行、就労支援などの推進に当たっては、福祉サイドのみならず、雇用、教育、医療といった分野を超えた総合的な取組みが不可欠であり、ハローワーク、養護学校等の行政機関、企業、医療機関といった関連する機関の参加を求め、数値目標の共有化、地域ネットワークの強化などを進めること


5. 障害福祉計画の目標の達成に向けて

 計画目標の達成に向けて、国、都道府県、市町村は、諸施策の着実な実施を図るとともに、地域全体で障害者を支える力を高める観点から、障害者関係団体、福祉サービス事業者、保健・医療関係者、企業等の地域ネットワーク(地域自立支援協議会等)の構築、強化を進める。
 特に就労支援については、福祉と雇用、教育との連携が重要であり、関係機関が一体となった総合的な取り組みを進める。

目標達成に向けたネットワークの構築
目標達成に向けたネットワークの構築の図

5. 障害福祉計画の目標の達成に向けて(その2)

 国においても、施設整備補助等を実施するに当たっては、今日、障害福祉サービスの提供基盤に大きな地域格差が存在することから、地域格差の縮小を図るとともに、各地域で基本指針に沿って基盤整備が進められるよう、運用していく。

 特に、施設入所・入院から地域生活への移行に向けた取り組みを支援するため、入所施設等が定員を削減しグループホームへの転換等に併せて建て替えを行う場合、精神科病院が病床を転換して退院促進支援のための施設を設置する場合などについて、重点的に施設整備への助成を行うなどの方策を講ずる。

 施設入所から地域生活への移行、障害者の就労支援を計画的に推進する観点から、障害福祉計画において目標値が設定される障害福祉サービスのうち、
 (1) 障害者支援施設の入所定員、
 (2) 利用期限に定めがない生活介護及び就労継続支援(非雇用型)
については、都道府県が設定した目標値を超えるような場合には、指定しないことができることとする。

障害者自立支援法(抄)

第36条


 都道府県知事は、特定障害福祉サービス(「就労継続支援その他の厚生労働省令で定める障害福祉サービス」)につき第1項の申請があった場合において、当該都道府県又は当該申請に係るサービス事業所の所在地を含む区域(第89条第2項第1号の規定により都道府県が定める区域とする。)における当該申請に係る指定障害福祉サービスの量が、同条第1項の規定により当該都道府県が定める都道府県障害福祉計画において定める当該都道府県若しくは当該区域の当該指定障害福祉サービスの必要な量に既に達しているか、又は当該申請に係る事業者の指定によってこれを超えることになると認めるとき、その他の当該都道府県障害福祉計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、第29条第1項の指定をしないことができる。

第38条

 都道府県知事は、前項の申請があった場合において、当該都道府県における当該申請に係る指定障害者支援施設の入所定員の総数が、第89条第1項の規定により当該都道府県が定める都道府県障害福祉計画において定める当該都道府県の当該指定障害者支援施設の必要入所定員総数に既に達しているか、又は当該申請に係る施設の指定によってこれを超えることになると認めるとき、その他の当該都道府県障害福祉計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、第29条第1項の指定をしないことができる。



参考資料

1. サービス利用者の将来見通し(12月5日障害者部会資料抜粋)

2. 地域生活移行に向けた取組事例
[事例1] ・・・・・・・・・・・・・・・ 北海道
[事例2] ・・・・・・・・・・・・・・・ 宮城県
[事例3] ・・・・・・・・・・・・・・・ 長野県
[事例4] ・・・・・・・・・・・・・・・ 滋賀県

3. 精神障害者の退院促進に向けた取組事例
[事例5] ・・・・・・・・・・・・・・・ 大阪府

4. 就労支援の取組事例
[事例6] ・・・・・・・・・・・・・・・ 世田谷区
[事例7] ・・・・・・・・・・・・・・・ 神奈川県
[事例8] ・・・・・・・・・・・・・・・ 長野県
[事例9] ・・・・・・・・・・・・・・・ 大阪市
[事例10] ・・・・・・・・・・・・・・ 浜田市



サービス利用者の将来見通し

訪問系サービスの
利用者数
訪問系サービスの利用者数の図
日中活動系サービスの
利用者数
日中活動系サービスの利用者数の図
居住系サービスの
利用者数
居住系サービスの利用者数の図
一般就労への移行者数 一般就労への移行者数の図
福祉施設における
雇用の場
福祉施設における雇用の場の図
 計数については、端数処理を行っているため、積み上げと合計が一致しない場合がある


居住系サービス利用者の将来見通し

<推計の考え方>
 自立訓練事業等の実施に伴う施設入所からグループホーム・ケアホーム等への移行を推計。
 受け入れ条件が整えば退院可能な精神入院患者の退院促進に伴う利用者数を推計。

居住系サービス利用者の将来見通しの図
 計数については、端数処理を行っているため、積み上げと合計が一致しない場合がある


[事例1]
地域移行に向けた取り組み(北海道の例)

現状

施設入所者数 11,676人

 平成17年4月1日現在




実績

グループホームの整備(H16〜17)
施設から地域へ   280人移行
施設の定員減数  ▲ 101人

小規模サテライトの利用(H17)
地域移行への訓練   46人
 (うち機能転換による定員減予定 ▲28人)
1. 知的障害者グループホームの緊急整備
 ・ 地域生活支援や定員減を行うケースを優先指定
2. 入所施設の機能転換
障害者施設等の日単位利用(構造改革特区活用)
入所施設の小規模サテライト化(構造改革特区活用)
民家等を入所施設のサテライトとして利用
 →  地域での暮らしを経験し、地域移行へ(3年間の有期限)
 →  地域移行に合わせ、グループホーム等への機能転換(定員減)
地域生活に向けた体験型支援
アパート等において社会生活を体験(最長1ヶ月)


北海道
入所施設の小規模サテライト化(構造改革特区計画)

入所施設の小規模サテライト化(構造改革特区計画)の図


[事例2]
地域移行に向けた取り組み(宮城県の例)

現状

施設入所者数 2,174人

 平成18年1月現在



目標

平成17年度から22年度までの間に

施設から地域へ(グループホーム)  360人分

日中活動の場  990人分
みやぎ知的障害者施設解体宣言
地域移行を推進
知的障害者グループホーム整備促進事業
 グループホームの立ち上げ時に備品購入費・建物改修費を補助
知的障害者地域生活移行型施設機能強化事業
 社会福祉法人より「知的障害者地域生活移行推進計画書」の提出を求め、これに基づき実施される自立訓練事業を補助
知的障害者グループホーム体験ステイ推進事業
 グループホームの空室等を活用し、自立した生活を一定期間体験する事業
重介護型グループホーム支援事業
 重度の利用者のため、法定基準を超える世話人等を配置


宮城県
「地域生活移行支援プロジェクト」実施プランによる地域生活移行の推進

「地域生活移行支援プロジェクト」実施プランによる地域生活移行の推進の図


[事例3]
地域移行に向けた取り組み(長野県の例)

現状

施設入所者数 3,182人

 平成15年3月末現在



目標

平成15年度から19年度までの間に

施設から地域へ480人の移行をめざす

(約15.1%)
平成17年12月現在270人が既に地域へ移行
(約8.5%)
サクセスモデルの実現

(H15〜)
西駒郷(注)の地域生活移行を推進
(障害者自律支援室と西駒郷自律支援部を設置)
    ↓
(1) 地域住民の意識改革
(2) 施設利用者、家族の意識改革
(3) より開かれた社会の実現

(注)西駒郷・・・ 県立の知的障害者大規模入所施設
(定員500人)
民間へ波及・地域移行を拡大
 
信州モデル創造枠事業
障害者総合支援センター事業
 圏域ごとの相談支援体制を構築
グループホームや日中活動の場の拡充
 グループホームの施設整備費を補助
 グループホームの運営費を嵩上げし、医療的ケア、ナイトケア等にも対応
 国補助対象外の施設にも整備費補助


長野県
3障害対応の相談支援センターの実現

3障害対応の相談支援センターの実現の図
運営上の工夫
 圏域ごとに、中核的センターを中心にサテライトを置くなどの地域の状況に合わせた配置を調整する。
 地域療育等支援事業等の相談事業を受託した法人は、相談支援のための職員を中核的センター等に派遣するなどセンター事業の運営に協力する。(最大6法人に分割して委託)
 圏域調整会議(センター運営協議会)でセンターの運営方針等を協議し、公平性・中立性を確保する。


[事例4]

地域移行に向けた取り組み(滋賀県の例)

地域移行に向けた取り組み(滋賀県の例)の図


滋賀県
体験型グループホーム事業による地域移行の推進

体験型グループホーム事業による地域移行の推進の図


[事例5]
精神障害者の退院促進に向けた取組事例(大阪府の例)

 地域生活支援センターの機能強化を図り、精神障害に係る社会的入院者の地域生活移行に向けた支援と、退院後の自立生活を支えるフォローアップを府内全域で実施

精神障害者の退院促進に向けた取組事例(大阪府の例)の図


[事例6]
就労支援の取り組み(世田谷区の就労支援NWの例)

 商工会議所・青年会議所・養護学校・区の4者で「障害者雇用促進協議会」を設立し、障害者雇用促進のための啓発活動(事業所見学、就労関係勉強会、各種イベントの開催)を実施し、高い就労率を実現。

障害者雇用促進協議会
世田谷区の図
青年会議所
商工会議所

【地域の資源】
商店街連合会
工業振興会
一般企業
福祉施設
障害者団体
ハローワーク
職業センター 等

保護的就労
社会福祉協議会
社会福祉事業団
サービス公社

養護学校
有機的な連携


世田谷区障害者就労支援ネットワーク

世田谷区障害者就労支援ネットワークの図


[事例7]
就労支援の取り組み(神奈川県の就労支援NWの例)

 障害者の雇用促進を図るため、NPO法人を設立し、就労を希望する障害者と委託訓練先の企業とのマッチングや、支援ネットワークを活用した就労支援により多くの就労を実現。

就労支援の取り組み(神奈川県の就労支援NWの例)の図


[事例8]
就労支援の取り組み(長野県の就労支援NWの例)

 障害者職業訓練コーディネーターを中心として、県内10カ所の福祉圏域ごとに設置された障害者総合支援センターやハローワークとの障害者の就職に至るまでの連携・協力のネットワークを構築。

就労支援の取り組み(長野県の就労支援NWの例)の図


[事例9]
就労支援の取り組み(大阪市の就労支援NWの例)

 障害者職業能力開発施設と障害者就業・生活支援センターを中心とするネットワーク(V−SIEN)と、労使団体、事業主等が中心となるNPO法人のネットワーク(NPO法人大阪障害者雇用支援ネットワーク)が相互に連携。

就労支援の取り組み(大阪市の就労支援NWの例)の図


[事例10]
就労支援の取り組み(浜田市の就労支援NWの例)

 一つの社会福祉法人が、一般就労に向けた就労支援を行う施設(授産施設等)及び生活支援を行う施設(グループホーム等)の双方を運営するとともに、障害者就業・生活支援センターを運営し、地域における就業面及び生活面の一体的な支援を実施。

就労支援の取り組み(浜田市の就労支援NWの例)の図



障害福祉サービスの見込量の算定について


 障害福祉サービスの見込量の設定に当たり、まず、下記の目標を設定する。

 (1) 入所施設の入所者の地域生活への移行
 地域生活への移行を進める観点から、現在、入所施設に入所している者のうち、今後、自立訓練事業等を利用し、グループホームやケアホーム、一般住宅等に移行することが見込まれる者の数を見込み、その上で、平成23年度末の段階において地域生活に移行する者の数値目標を設定する。目標の設定に当たっては、現在の入所施設の入所者数の1割以上とすることが望ましい。

 (2) 入院中の精神障害者の地域生活への移行
 平成24年度までの「受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者」(以下「退院可能精神障害者」という。)の解消を目指し、そのために必要な自立訓練事業等の必要量を見込み、平成23年度における退院可能精神障害者数の減少目標値(平成14年度における当該数の一定割合に減少)を設定する。これとともに、医療計画における基準病床数の見直しを進める。

 (3) 福祉施設利用者の一般就労への移行
 平成23年度段階において、福祉施設利用者のうち、就労移行支援事業等を通じて、同年度中に一般就労に移行する者の数値目標を設定する。目標の設定に当たっては、現在の一般就労への移行実績の4倍以上とすることが望ましい。


 それぞれの障害福祉サービスの見込量については、下記のとおり。

 (1) 訪問系サービス

居宅介護
重度訪問介護
行動援護
重度障害者等包括支援
 現在のホームヘルプサービス利用者数を基礎として、支援費制度以降の利用者数の伸び、退院可能精神障害者を含め新たにサービス利用が見込まれる者の数を勘案して見込んだ数に、障害者のニーズ等を踏まえて見込んだ一人当たり利用量を乗じた量とする。

 (2) 日中活動系サービス

(日中活動系サービス全体の見込量)
 下記の(1)及び(2)を合算した数とする。
 (1) 現在の法定施設(デイサービス及び地域生活支援センターを含む)のサービス利用者及び小規模作業所利用者の合計数を基礎として、近年の利用者数の伸び等を勘案して見込んだ数から、一般就労に移行する者の見込み数、地域活動支援センター及び法定外施設の利用者見込み数を控除した数
 (2) 退院可能精神障害者のうち、退院時のニーズ等を勘案して日中活動系サービスの利用が見込まれる者の数

(各個別サービスの見込量)

生活介護  現在の法定施設の利用者のうち障害程度区分が区分3以上又は50歳以上の区分2以上(入所の場合は、区分4以上又は50歳以上の区分3以上)に該当すると思われる者の数を基礎として、現在の利用者のニーズ、近年の利用者数の伸び等を勘案して見込んだ数に、小規模作業所利用者等のうち新たに生活介護の対象者と見込まれる者の数を加えた数とする。
自立訓練
(機能訓練)
 現在の身体障害者更生施設の利用者数を基礎として、入所施設の入所者の地域生活への移行の目標、平均的なサービス利用期間等を勘案して見込んだ数とする。
自立訓練
(生活訓練)
 下記の(1)から(3)を合算した数に、平均的なサービス利用期間を勘案して見込んだ数とする。
(1) 入所施設入所者の地域生活への移行の目標を達成できるよう、現在の知的障害者等の入所施設入所者であって生活介護事業の対象と見込まれる者以外のもののうちから、利用者のニーズ等を勘案して見込んだ数
(2) 地域において親等と暮らす者であって自立生活を希望するもののうち、生活訓練事業の対象者と見込まれる者の数
(3) 退院可能精神障害者のうち、退院時のニーズ等を勘案して生活訓練事業の対象者と見込まれる者の数(※)。
就労移行支援  下記の(1)から(3)を合算した数に、平均的なサービス利用期間を勘案して見込んだ数とする。
(1) 福祉施設利用者の一般就労への移行の目標が達成できるよう、現在の福祉施設利用者で生活介護事業の対象と見込まれる者以外のもののうちから、利用者のニーズ等を勘案して見込んだ数
(2) 養護学校卒業者等新たに就労移行支援事業の対象者と見込まれる者の数を加えた数
(3) 退院可能精神障害者のうち、退院時のニーズ等を勘案して就労移行支援事業の対象者と見込まれる者の数(※)。
(※) あわせて、精神科病院が病床を転換すること等により、自立訓練(生活訓練)又は就労移行支援として、退院可能精神障害者に対して、居住サービスを提供する場合の数を見込むものとする。
就労継続支援
(雇用型)
 日中活動系サービス全体の見込量から、就労継続支援以外の介護給付・訓練等給付の対象者と見込まれる者の数を控除した数のうち、就労継続支援(雇用型)の対象として適切と見込まれる数とする。
 設定に当たっては、就労継続支援の対象者と見込まれる数の3割以上とすることが望ましい。
就労継続支援
(非雇用型)
 就労継続支援の対象者と見込まれる数から雇用型の見込み数を控除した数とする。設定に当たっては、区域ごとに平均工賃の目標水準を設定することが望ましい。
療養介護  現在の重症心身障害児施設(委託病床を含む)、進行性筋萎縮症者療養等給付事業の対象者を基礎として、近年の利用者数の伸び等を勘案し、見込んだ数とする。
児童デイサービス  現在の児童デイサービスの利用者数を基礎として、近年の利用者数の伸び等を勘案し、タイムケア事業との役割分担を踏まえた上で、見込んだ数とする。
短期入所  現在の短期入所の利用者数を基礎として、利用者数の伸び、新たにサービス利用が見込まれる精神障害者の数等を勘案し見込んだ数に、障害者のニーズ等を踏まえて見込んだ一人当たり利用量を乗じた量とする。

 (3) 居住系サービス

共同生活援助
(グループホーム)
共同生活介護
(ケアホーム)
 施設入所からグループホーム・ケアホームへの移行者について、入所施設の入所者の地域生活への移行の目標が達成されるように見込むとともに、現在の利用者数を基礎として近年の利用者数の増、退院可能精神障害者を含め新たにサービス利用が見込まれる者の数を勘案して見込んだ数を合算した数とする。
施設入所支援  現在の入所施設入所者数を基礎として、入所施設の入所者の地域生活への移行目標数を控除した上で、ケアホーム等での対応が困難な者の利用といった真に必要と判断される数を加えた数とする。なお、当該見込み数は、平成23年度末の段階において、現在の入所施設入所者数の7%以上を削減することを基本としつつ、地域の実情に応じて、設定することが望ましい。

 (4) その他

相談支援  障害福祉サービス(施設入所支援、自立訓練、グループホーム、ケアホーム及び重度障害者等包括支援を除く)の利用が見込まれる者のうち、自ら福祉サービスの利用に関する調整が困難な単身の障害者等計画的なプログラムに基づく支援が必要と認められる者の数を見込むものとする。

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