06/01/27 第58回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第58回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2006年1月27日(金)13:00〜14:10 場所:三田共用会議所 大会議室 出席者:  労側委員:吉宮委員、岡本委員、片岡委員、篠原委員  使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員、山崎委員、渡邊委員  公益委員:横溝分科会長、今田委員、佐藤(博)委員、林委員、樋口委員    ○横溝分科会長  ただ今から、第58回労働政策審議会雇用均等分科会を開催します。本日は、遅参し ている方もおられますが、奥山委員と佐藤孝司委員より欠席の届けをいただいておりま す。  それでは、早速議事に入ります。本日の議題は、「雇用の分野における男女の均等な機 会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案要綱につい て」と「その他」です。  まず、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働 基準法の一部を改正する法律案要綱について」ですが、本日、厚生労働大臣から労働政 策審議会長あて諮問が行われました。これを受けて、当分科会において審議を行うこと にしたいと思います。まず、事務局から説明をお願いします。 ○石井雇用均等政策課長  それでは、ご説明します。資料は右綴じになっております。「『雇用の分野における男 女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案 要綱』について貴会の意見を求める」とされております。ここにもありますように、今 回は、2本の法律の改正から成っています。念のために申し上げますが、今回の法律案 要綱の内容については、昨年12月27日にまとめていただいた当分科会の建議内容を踏 まえたものです。以下、順次説明させていただきます。  第一「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部改 正関係」です。一「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保」、(一)「労働 者に対する性別を理由とする差別の禁止」です。ここは、「イ」から「ニ」にかけて四つ に分かれています。  まず、カタカナの「イ」ですが、現行の均等法についての説明を入れております。「募 集、採用、配置、昇進、教育訓練、福利厚生、定年及び解雇についての女性であること を理由とする差別的取扱いの禁止等を」、これは男性労働者を加えるということですが、 「性別を理由とする差別的取扱いの禁止等とするものとすること」です。  次の「ロ」と「ハ」はいずれも雇用ステージの関係です。まず、「ロ」ですが、「配置 に業務の配分及び権限の付与が含まれることを明記すること」。そして、「ハ」ですが、 「事業主は、労働者の降格、職種の変更、雇用形態の変更、退職の勧奨及び労働契約の 更新について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならないものとする こと」です。ここで、「労働契約の更新」は、建議においては「雇止め」という言葉を用 いていたところですが、法律的な言葉ということで、「労働契約の更新」としております が、意味・内容は同じものです。  そして、「ニ」です。ここは間接差別のところです。読み上げます。「事業主は、労働 者の性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされ、又は労働者の性別 を理由として差別的な取扱いをしてはならないとされる事項に関し、労働者の性別以外 の事由を要件とする措置を講ずる場合において、当該要件が当該要件を満たす男性及び 女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別につながるおそれが あるものとして厚生労働省令で定めるもの」、注釈が付いていますが、「(注1)に該当す るときは、当該労働者が従事する業務の遂行に必要であること、当該事業主の事業の運 営に必要であることその他の合理的な理由がある場合でなければ、当該措置を講じては ならないものとすること」としております。前の1ページに戻っていただき、カタカナ の「ニ」で始まる最初の2行の所で規定しておりますのは、募集、採用、配置、昇進、 教育訓練等々、先に説明した直接差別について規定している雇用ステージについてのも のであるということを意味しております。それから、その下にある「労働者の性別以外 の事由を要件とする措置を講ずる場合において」は、間接差別の第一の要件である「性 中立的な基準等」ということを意味しております。その次に続く「当該要件が」に始ま り「男性及び女性の比率その他の事情を勘案して」と間に入り、「厚生労働省令で定める もの」、ここで「厚生労働省令で規定したものに該当するときは」ということにしている わけです。そして、その次です。「当該労働者が従事する業務の遂行に必要であること」 等々と続き、「合理的な理由がなければいけない」という三つ目の要件、合理性にあたる ところです。そして(注1)として、当分科会で議論のあった建議にある厚生労働省令で定 めるものを(1)から(3)にかけて記載しています。  次に、(二)「妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止」です。ここは、「イ」と 「ロ」に分けております。まず、「イ」ですが、「女性労働者が妊娠し、出産し、又は労 働基準法の産前産後休業をしたことを理由とする解雇の禁止」、これは現在の均等法の中 で、既に禁止されているところです。これに「労働基準法の産前休業を請求したこと」 そして、「その他厚生労働省令で定める事由を理由とする解雇の禁止」を加えています。 まず、前半では解雇の禁止の対象とするものの追加について記載しております。それと 併せて、「その雇用する女性労働者に対するこれらの事由」、これは解雇について枠を拡 げたもの全部を受けておりますが、「これらを理由とする解雇以外の不利益な取扱いを禁 止するものとすること」としております。  次に、3ページの(注2)をご覧いただきたいと思いますが、厚生労働省令で定める事由 として二つに分けて記載しております。いずれも建議の中で書いていたものです。まず、 (1)が、「労働基準法の産前産後休業以外の母性保護措置」、例えば時間外の制限とか夜業 の制限などです。「若しくはこの法律の」、すなわち均等法のことですので、均等法上規 定されている「母性健康管理措置を受けたこと又はこれらを受けようとしたこと」です。 そして(2)として、「妊娠又は出産に起因する能率低下又は労働不能が生じたこと」です。 右の方をご覧いただきたいと思います。妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの項目 の中で、妊娠、出産等の関係で、もう一つありました「ロ」をご覧いただきたいと思い ます。ここは、読み上げるだけにしますが、「妊娠中又は出産後1年を経過しない女性労 働者に対してなされた解雇は無効とするものとすること。ただし、事業主が当該解雇が イの事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでないものとするこ と」です。そして、(三)「指針」です。「厚生労働大臣は、労働者に対する性別を理由と する差別を禁止する規定及び妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いを禁止する規定に 定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針を定めるものとすること」 としております。  本日は、参考資料として、「建議」を付けておりますが、建議の中においては雇用ステ ージの追加等のところについても、指針を改正して禁止の対象となる事項を明らかにす ること、あるいは間接差別についても合理性・正当性の判断の参考となる考え方を指針 で明らかにするということ、あるいは妊娠、出産等不利益取扱いのところでも、判断に 当たっての考え方を指針で明らかにするということが書かれています。それをこの中で 反映させていくものと考えています。  次の(四)です。これはポジティブ・アクションに関するところですが、「事業主の講ず る措置に対する国の援助の対象の追加」です。読み上げますと、「雇用の分野における男 女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進するため、事業主が雇用の分野におけ る男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的とす る措置の実施状況を開示し、又は開示しようとする場合に国が援助を行うことができる ものとすること」としています。現行の均等法の中で、ポジティブ・アクションについ て国が援助するものとして四つの項目を掲げておりますが、そこにこうしたものを追加 していくということです。  そして、次の二「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置」 は、いわゆるセクシュアルハラスメントの関係です。まず、(一)「職場における性的な 言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置に関する規定の整備」です。現行の均等 法でも、事業主はセクシュアルハラスメントについての配慮義務が課されているのです が、その対象は女性労働者のみでした。この文章の1行目をご覧いただきたいのですが、 「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者」としてい ます。女性労働者に限定せず男性も含めて、という意味で「労働者」としています。「労 働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動 により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、相談及び苦情の処理のために 必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置」、現行の均等法では「必要な配慮をし なければならない」とされていたものを、「必要な措置を講じなければならないものとす ること」ということで、「男性も対象とする」、そして「配慮義務を措置義務にする」と いう内容をここで盛り込んでいます。  次の(二)は「指針」で、「指針を定めるものとすること」と記載しています。  次の三が「紛争の解決」です。これは四つの部分から成っています。まず、(一)「苦 情の自主的解決の対象の拡大」です。均等法の11条において、事業所内における苦情 の自主的な解決について努力義務規定が置かれているところです。今般、男性労働者に 対する差別の禁止を対象に加えるとか、あるいは雇用ステージを追加する、さらには女 性の妊娠・出産等についても、解雇その他不利益な取扱いについて事項を加えるといっ たことはありますので、その対象をこの中で入れていくということです。「事業主が自主 的な解決を図るように努めなければならないものとされる苦情に、一の(一)」これは、1 ページに記載されている(一)「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止」にかかる ところで、「イ」に男性を対象とすること、「ロ」に配置に業務の配分・権限の付与が含 まれること、「ハ」に労働者の降格、職種の変更等々が記載され、「ニ」に間接差別のこ とが記載されています。それから(二)の「妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁 止」について記載しているところにあたります。「並びに」ということで、「妊娠中及び 出産後の健康管理に関する事項」、これは母性健康管理措置です。ただ、この苦情の自主 的解決のところは、もともと現行も労働者の募集、採用に関するものは除かれています。 紛争当事者に、まだ労働契約・契約関係が成立していない方は含めないということで除 外されているわけですが、これは現在、今後もそのままということで除外しています。 もう一つ、セクシュアルハラスメントの関係は、今回、調停の対象とするということで 建議に盛り込まれていますが、この苦情の自主的な解決の中にはセクシュアルハラスメ ントは入れていません。その理由は、先に4ページでセクシュアルハラスメントについ て説明しましたが、現行の配慮義務の中において、既に事業主にはセクシュアルハラス メントについて相談・苦情の対応が求められているわけです。今回、措置義務というこ とになっているので、ここで努力義務について重ねて規定する必要はないということで 取り上げていません。  それから、(二)「紛争の解決の促進に関する特例の対象の拡大」です。現行の均等法 は第12条において、平成13年に成立している個別労働関係紛争の解決の促進に関する 法律との調整で、性差別にかかる部分については、特例規定を設けて個別労働関係紛争 の解決の促進に関する法律を適用しないで、均等法を適用するということになっていま す。今般の均等法で規定しようとする内容の変更に合わせて、個別労働関係紛争の解決 の促進に関する法律の適用をしないとする特例の対象を拡大する、すなわち均等法を適 用するものを増やすということをここで規定しようということです。これも文面通りで すが、順次説明しますと、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律の規定は適用せ ず、この法律(均等法)の定めるところによるものとされる紛争に、一の(一)労働者に対す る性別を理由とする差別の禁止にかかるところ、及び(二)妊娠、出産等を理由とする解 雇、不利益取扱いの禁止、それからセクシュアルハラスメントの二の(一)、並びにとい うことで母性健康管理措置ですが、これを加えるものとすることとしています。  それから、(三)です。この特例の対象となったもの、そのもの全体が都道府県労働局 長の紛争解決援助の対象になるということで、「都道府県労働局長が紛争の当事者に対し、 必要な助言、指導又は勧告をすることができるものとされる紛争に、(二)の紛争を加え るものとすること」としています。  次が、調停の関係です。(四)「調停制度の充実」です。まず、「イ」ですが、「都道府 県労働局長が紛争調整委員会に調停を行わせるものとされる紛争に、(二)の紛争を加え るものとすること」としています。具体的には、今回、性差別禁止で加えるもの、ある いは妊娠、出産等不利益取扱いが入りますが、それにセクシュアルハラスメントと母性 健康管理措置が入った姿、ただし、調停の対象拡大の中でも募集、採用のところについ て加えるという合意はできておりませんので、そこについては現行通り、「募集及び採用 についての紛争を除く」ということにしています。  6ページの「ロ」です。ここは、調停についての出頭要請の関係です。「紛争調整委員 会は、調停のために必要があると認めるときは、関係当事者の出頭を求め、その意見を 聴くことができるものとすること」としております。  次の「ハ」は、セクシュアルハラスメントについての出頭の関係です。特例と言いま すか、新たなスキームということで建議の中で記載されたものを書き下ろしております。 「紛争調整委員会は、二の(一)に関する事項についての労働者と事業主との間の紛争に 係る調停のために必要があると認め、かつ、関係当事者の双方の同意があるときは、関 係当事者のほか、当該事件に係る職場において性的な言動を行ったとされる者の出頭を 求め、その意見を聴くことができるものとすること」としています。  次の「ニ」は、時効の中断の関係です。読み上げますと、「紛争調整委員会は、調停に 係る紛争について、関係当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停 を打ち切ることができるものとし、調停が打ち切られた場合において、当該調停の申請 をした者がその旨の通知を受けた日から30日以内に調停の目的となった請求について 訴えを提起したときは、時効の中断に関しては、調停の申請の時に、訴えの提起があっ たものとみなすものとすること」としております。  次に「ホ」です。これは訴訟手続の中止に係るところです。読み上げますと、「イの紛 争について関係当事者間に訴訟が係属する場合において、次のいずれか」、ここだけ先に ご覧いただきますと、7ページに(イ)、 (ロ)と書いています。まず、一つは、訴訟をや っておりますが、関係当事者間で並行して調停を実施している場合ということで、(イ) 「当該紛争について、関係当事者間において調停が実施されていること」。(ロ) これは (イ)の場合のほか、関係当事者間に調停によって当該紛争の解決を図る旨の合意がある こと、すなわち、現在調停を実施しているか、あるいは今後調停でいこうという合意が あるという二つの場合のいずれかに該当する場合ということです。6ページに戻りまし て、その「事由があり、かつ、関係当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、 四月以内の期間を定めて訴訟手続きを中止する旨の決定をすることができるものとする こと」としております。これは、何度か申し上げましたが、いわゆるADR法の中で認 証を与えられた民間の紛争解決事業者が与えられる法的な効果と同じものをここに取り 込むということです。  次に、四「公表制度の対象の拡大」です。これも建議において、調停と並び「母性健 康管理措置とセクシュアルハラスメントについては公表の対象に加える」というものが あり、それを受けております。厚生労働大臣がその違反に対し事業主に勧告をした場合 において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することが できるものとされる規定に、一の(一)これは性差別の禁止の関係です。そして、(二)のイ、 妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止に係るところ、二の(一)、これはセクシ ュアルハラスメント、そして「並びに」で結んでいますが、母性健康管理措置について の規定を加えるものとすることとしています。  次の五 「過料の創設」です。「報告徴収の規定に違反し、報告をせず、又は虚偽の報 告をした者は、20万円以下の過料に処するものとすること」となっております。これは、 横並びなどを見て、20万円という金額にしています。  六 「その他」として、「その他所要の規定の整備を行うものとすること」としていま す。  次の第二は「労働基準法の一部改正関係」で、専ら坑内労働の関係です。  8ページの一は「女性の坑内労働に係る規制の緩和」です。今回、坑内労働について は、いわゆる作業員を除いています。女性技術者等が坑内労働に従事することができる ようにということで、建議に掲げたところです。ここで、作業員を除くということを想 定して、「使用者は、女性を坑内で主として人力で行われる業務その他の厚生労働省令で 定める業務に就かせてはならないものとすること。また、妊娠中の女性及び坑内で行わ れる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後一年を経過しない女性を坑内で行われ る業務に就かせてはならないものとすること」としています。  二の「その他」で、その他所要の規定の整備を行うものとしています。  そして最後に、第三「施行期日等」です。施行期日としては、「平成19年4月1日か ら施行するものとする」としています。また、二「経過措置等」としてこの法律の施行 に関し必要な経過措置等々を定めることとしています。法律案要綱の内容の説明は以上 です。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。ただ今の事務局の説明を踏まえて、ご質問、ご意見があれ ばお願いします。 ○片岡委員  質問と、教えていただきたいところがあります。1ページ目の第一の「イ」の所です。 これについて、建議の記の1では、募集から定年及び解雇ということであり、現行法の 第8条の2項にも退職のことが書いてあります。建議をつくった中では、この項目の部 分に「退職」という言葉があったのですが、今回、この中に入っていない理由を教えて いただければと思います。 ○鈴木均等業務指導室長  まず、現行法を見ていただきますと、第8条の部分は各項に分かれていて、第1項が いわゆる性差別の禁止の部分で、ここには「定年及び解雇」と書いてあります。従って、 性差別の部分について、募集・採用から解雇までを挙げますと、定年と解雇が性差別の 禁止の部分に入っており、性差別をなくしていくということで、この中には退職は入り ません。退職は8条で規定していますが、第2項で「退職理由の定め」ということで出 ており、こちらが退職の部分になります。従って第8条の第1項の性差別の禁止の部分 について、男性と一緒にくくっているということで、ついては退職は入ってこないとい うことになるわけです。  建議については、性差別禁止の部分を書いてあるのは、建議の記の一の前段の所です けれども、「女性に対する差別を禁止している規定については」と書いてありまして、特 にどこが対象と書いていないと思いますが、これを法律的に置き換えますと、第8条第 1項が対象になるということで、その部分からしますと先ほど言った意味になります。 ○横溝分科会長  よろしいですか。他にいかがでしょうか。篠原委員、どうぞ。 ○篠原委員  質問です。幾つか教えていただきたい点があります。今の1ページのイ、ロ、ハの「ハ」 の所に、「労働者の降格」、この間の議論で建議にも降格ということが入りました。どう いう場合が入るか、相談事例などを以前出していただいたと記憶しているのですが、も う一度、説明を伺いたいということが一つです。次に、4ページのセクシュアルハラス メントに関する法律案要綱の部分で、一点質問があります。この法案要綱を読みますと、 今まで配慮義務のときには、最後の行に「相談及び苦情の処理のため」云々というよう な、具体的な「相談」とか「苦情の処理」ということが現行法には入っておらず、「雇用 管理上の配慮をする」ということになっていますが、今回は措置義務になったことに関 わって、こうした文言が入ったというのは理解しているのですが、現行法の枠組みは、 指針でいわゆる事業主の方針等に「セクシュアルハラスメントを防止する」ということ がうたってあり、なおかつ、それでも起こった場合は、相談や苦情(を処理するという ように、)「防止」と「事後」となっている、現行の枠組みと比べると、「防止」の部分が 抜けているのではないかと。抜けてはいないと思いますが、そう読み取れました。つま り、それは入っているということで良いかという確認です。  それから、最後の8ページの坑内労働の所ですが、法案要綱としては「規制の緩和」 と書いてあり、法案要綱の中には「してはならない」という坑内労働をできない人が並 んでいます。建議との内容確認という意味での質問なのですが、いわゆる規制緩和とい う意味では、「女性技術者で坑内の管理監督業務に就く人」に対して、仕事ができるよう にしたという、そういう範囲と言いますか、働ける人のことですねという確認です。 ○横溝分科会長  それでは、その観点について、どうぞ。 ○鈴木均等業務指導室長  お答えします。降格については、男性と女性を比較して、男性もしくは女性を降格す る際に、特に差別的に取り扱うことが対象になります。例えば、私どもが相談を受けて いる例としては、リストラの中で、ある係長ポストを横並びでなくしてしまおうという ときに、なぜか女性のポストだけなくなって、男性だけが係長のままであるというのは 降格の例です。こういうものが対象になると思います。  それから、セクシュアルハラスメントについては、これは内容的には、以前の配慮義 務の場合と範囲は同じです。ただ今回は、措置義務となりますので「措置」と書くとき に、これは法制上の整理になりますが、その措置の例示を書かなくてはいけないという ことで、「相談及び苦情の処理のために必要な体制の整備」と書いて例示していますけれ ども、その後に「その他の」とありまして、当然、ご指摘いただいたような事前の措置 も対象に含まれるというものです。  それから、3番目の「坑内労働」ですが、結論から申しますと、建議と全く同じ内容 です。労働基準法というのは行為規制をする法律ですから、「何かを緩和する」という書 き方はできないので、結局のところ緩和した後どういうことが禁止になるかということ を書くしかないわけです。ですから、現在の女性が禁止されている坑内労働から建議で いただいた女性技術者というものを差し引くと理屈からして「作業員」が残る。その作 業員について坑内労働をしてはいけないというのが、この要綱の表現だということです。 ご理解していただきたいと思います。 ○横溝分科会長  それでよろしいですか。 ○吉宮委員  1ページの「イ」の2行目、「ロ」の前ですが、「差別的取扱いの禁止等」という文言 ですが、「等」は、現行法において理解しがたく、「等」には何があるのかということ。 要は、その「性別を理由とする差別的取扱いの禁止等」も同じです。そこをお聞きした い。それから、最後の「経過措置等」と書いてありますが、この経過措置にはどんなも のがあるのかということ。  さらに、1ページの、間接差別の一の(一)の「ニ」、石井雇用均等政策課長がお読み になりました。理解を深めるためにお読みになったと思うのですが、なかなか理解しが たいです。建議の方は非常にわかりやすくて、定義もきちんと書いてありますし、限定 列挙する場合の基準も書いてありました。これだと全部で7行くらいですが、全部が一 つの文章になっています。私の理解からすると、限定列挙は間接差別の定義からしてな じまないということを、恐らく再三言ってきたのですが、なじまない結果がこのような わかりにくい文章にしているのではないかと思わざるを得ません。  これを建議の内容に近い文章にすれば、2行目の「労働者の性別以外の事由」という のは「性中立的な基準」というように参照して、「当該要件が当該要件を満たす男性及び 女性の比率」というのは「相当程度の不利益」と、何をもって不利益かというのは指針 に委ねるとすると、比率というのはどういう意味かということも、恐らく指針に入って くるのではないかと思います。  それで、「その他の事情を勘案して」の中の、「その他の事情」とは何だろうかと。そ れで、「実質的に性別を理由とする差別につながるおそれがあるもの」を厚生労働省令で 定め、現在は、三つを考えているとなっています。将来どうなるかということは、建議 でいう裁判の判例等々を参考にするということでしょうか。  その後に、「当該措置を講じてはならない」となっていまして、当面この三つについて は、建議においては、「合理性職務との関連性について使用者が抗弁する」ということで、 抗弁する機会というのは、多分あるのだろうと思いますが、要綱には「講じてはならな い」と書いていますから、どんな抗弁をしようと、この三つは駄目ということでしょう か。当該労働者が従事する業務の遂行に必要であるとか事業の運営に必要であるとか、 その他の合理的な理由がなければという点で、差別を訴えた労働者とそれを受けた使用 者とのやりとりを、どうやって法律で読めばよいのかわかりにくいと思います。  従って、私どもは、限定列挙に反対しているわけですから、「男性より女性の比率等に より相当程度の不利益を与えるものについて差別を禁止する」と、きちんと書いた上で、 厚生労働省令というのであれば、まだ理解できるけれども、どうもこれはわかりにくい。 従って、できれば、私どもが言っているような意見を付したようなものに変えてもらう とスムーズにいくのではないかという意見です。  それから、前回のまとめのときにも言ったのですが、「仕事と生活の調和」や「ポジテ ィブ・アクション」の問題もあったのですが、特に最近の報道ですと、時間外労働の規 制緩和を拡げようという諏訪さんの研究会報告が出ていますし、労働法令で「仕事と生 活の調和」をやるべきだという、この間の議論の経過からすると、他の労働法令も期待 できないということを懸念しています。この段階でしつこく言いませんけれども、これ は何だか逆行しているのではないかと思いまして、それも付け加えておきます。 ○横溝分科会長  質問にお答えいただけますか。 ○鈴木均等業務指導室長  最初の質問ですが、一の(一)のイの「禁止等」の「等」は何かというおたずねでした が、これは、先ほど申し上げましたように、現行の均等法の中で5条から8条の1項ま でが性差別の禁止の部分でして、この中で、大体の条が「女性であるということで差別 的取扱いをしてはならない」と書いてあるのですが、一つだけ募集、採用については、 「女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない」というように語尾が変わっ ております。「差別的取扱いの禁止」だけを書いてしまうと、この5条の募集の項が読 めなくなってしまうので「等」を入れているというようにご理解いただきたいと思いま す。  それから、二点目のご質問が「経過措置」に関するもので、経過措置としては今回の 労働基準法の規制緩和の問題が入ります。そうすると、従前は違反であったものがこの 法律の施行以降は違反ではなくなるということになりまして、こういう場合は、法律の 施行時点より前に行った行為を施行後に罰するための経過措置、すなわち、施行前に行 った行為に対する罰則の適用については、従前の例によるというのを置くのが通常です。 この経過措置はそういったものを考えております。  それから、間接差別の所で、一つの文章ではわかりにくいとありますけれども、法制 的に見ますと、均等法は先ほどと同じように、行為規制法です。「事業主がこうしてはい けない」ということですので、基本的には事業主がしてはならない内容を正確に、かつ、 してはならないという文章の前に、一文でつなげるというのが法律のやり方でして、多 少見づらいということはありますけれども、これは二つに分けると法律の内容として、 少なくとも建議で合意いただいた部分の内容と異なって参りますので、これを二つに分 けるということは法制的に難しいと考えております。 ○佐藤(博)委員  私の聞き間違いかもしれないのですが、先ほど、吉宮委員がこの件について、「限定列 挙に合意していない」と言われたのだけれども、そういう文書なのかどうかということ です。限定列挙については、意見はあると言われたけれども合意はしたと思うのですが …。そうして文書ができているという理解で議論する必要があります。合意しなかった と言うのであれば、そういう意見なのかどうか確認したいのですが。 ○吉宮委員  合意していないとは言っていません。意見を聞いて欲しいということです。 ○佐藤(博)委員  意見を付けたということですね。はい、わかりました。 ○ 吉宮委員  もう一ついいですか?   ○横溝分科会長  はい、どうぞ。 ○吉宮委員  今の「その他の事情を勘案して」というのは、先ほどの私の理解で良いのでしょうか。 建議には「今後、これ以外の基準等に係る判例の動向等を見つつ、必要に応じて対象基 準等の見直しができるような法的仕組みとすることが適当である」と書かれてあります が、この文章を受けての、「その他の事情を勘案して」となっているのでしょうか。  それから、先ほど言いました「当該措置を講じてはならない」となっています。建議 では、職務との関連性があるさまざまな合理的事由を使用者が抗弁する機会というのは 議論してきていますが、それは「指針」でやるわけですか。「講じてはならない」という のだけれども、三つを「講じてはならない」というと理解の仕方が違う。 ○石井雇用均等政策課長  ご質問に対して、正確に答えられるかどうかわかりませんが、まず一点目の「その他 の事情を勘案して」で指している内容は何かということですが、これは今言われた内容 はほぼその通りだと思います。例えば、代表的なものとして判例の動向というのがあり 得ると思います。ここでは厚生労働省令で限定するということで、もちろんその際に男 性の比率・女性の比率、まさに一方の性に不利益があるということは当然考えますが、 それ以外のものも考慮した上で、厚生労働省令として絞られてくるということになり、 その代表的なものとして判例はあると思っています。  それから、二点目のご質問の趣旨が今一つ理解できていないかもしれませんが、ここ の「ニ」の所の主語をご覧いただきたいのですが、これは、「『事業主』がこういうこと について措置を講じてはならない」ということになっておりますけれども、その文章の 前段の所で、「合理的な理由がある場合でなければ、当該措置を講じてはならないものと すること」とあります。従って、まさに事業主としては、合理性がなければ、そうした 性中立的な基準等で厚生労働省令で定めたものについては措置を講じてはならないとい う立て方になっており、これは、まさに建議で書かれている内容をそのままの構造とな っているものです。 ○横溝分科会長  吉宮委員、よろしいですか。 ○吉宮委員  よろしいと言うか…。 ○横溝分科会長  今の説明でご理解いただけましたか。 ○吉宮委員  これは理解しましたけれども。やはり、先ほど、佐藤委員が合意したではないかと言 われたのですが、私どもは意見を聞かれているわけですから。 ○佐藤(博)委員  それはいいです。私は合意しなかったと言われたのかなと思ったので、確認しただけ です。 ○横溝分科会長  間接差別に関しては、今、質問と意見の両方があったのですね。はい、どうぞ。 ○川本委員  吉宮委員の話を聞いていたところ、先ほど、合意はしたけれども意見はあったという ことで、その前の段階で、反対したのだから何か直してもらいたいということをおっし ゃったようなので、そういうことであれば、私も前回の時の復唱になりますが、私ども も間接差別の導入については懸念があるという意見は表明させていただいているという ことを改めて申し上げたいと思います。あくまでも、建議として取りまとめ、合意した という前提の中で、今回、この法律案要綱としてまとめられたものについて話があると いう様に受け止めているということを一言申し上げておきます。以上です。 ○横溝分科会長  他にいかがでしょうか。 ○岡本委員  やはり、吉宮委員が言われたように、この法律案要綱を見ますと、間接差別の定義が 本当にわかりにくくなったと思います。これまで、ここでは相当の議論をしてきました けれども、きちんとこの間接差別の定義はどういうものかということを、法律では構成 的にこういう条文でしか仕方ないとしても、どのようにかはわかりませんが、何らかの 形できちんと押さえていく事が、やはり必要ではないかと思います。  質問ですが、この4月から高年齢者雇用安定法が施行されます。多くの企業は再雇用 ということになると思いますが、この場合の高齢者の雇用の何らかの延長については、 この規定ではどう読んだらいいのでしょうか。「雇用形態の変更」に入るのか、または「定 年」というところに入るのか、そういう議論はしてきませんでしたが、今回、高齢者雇 用延長の法が施行されますので、当然その部分についても議論になると思います。 ○横溝分科会長  答えられますか。 ○鈴木均等業務指導室長  雇用の関係ですけれど、これは企業がどういう形で定年延長、雇用の延長をやるかに よって適用条項が変わってくると思います。  定年を延長していくという形でしたら、現行法上の定年についてのものになりますし、 いったん、全て契約を切った上で新たに再雇用という形になると採用の部分になると思 います。その間、職種の変更等が出てきたら、職種の変更あるいは配置の変更という形 の文言になってきます。どちらにしましても男女で差をつけたら、その該当する箇所で 均等法に違反するかどうかという判断が立てられると思います。 ○横溝分科会長  他にありますか。  はいどうぞ。 ○片岡委員  もう一度戻って、質問になりますが、間接差別のところで、2ページの3行目「事業 の運営に必要であるとか業務の遂行に必要である」のところで、先ほどの説明で、何か 例を示さなければということは理解しますが、そもそも「事業の運営に必要である」と いうことが「合理的な理由」とイコールではなく、それ自体の中身が精査されるべきも のだと思います。それは、どこで見えてくるのだろうかということが質問です。 ○石井雇用均等政策課長  恐らく今のご質問は、そういった事象について、実際に事業主が「事業の運営に必要 であるとか業務の遂行に必要である」と言いさえすれば、全部合理的な理由になるのか という、ご趣旨かと思います。  これは、当然その主張に合理性があるかどうか、事実なのかどうかということについ て、認定というのが出てくるわけです。  例えば妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いも同様でございます。 「これは妊娠したからではないのである」と言いさえすれば、それが認められるわけで はない、ということと全く同様で、「合理的な内容について指針で明らかにすることが適 当」と、建議の中にも明記しています。ですので、今後は具体的にかみ砕いたものを列 挙する作業が必要になるのではないかと思っています。 ○横溝分科会長  他にございませんでしょうか。  その他の議題があります。資料2ですね。 ○麻田職業家庭両立課長  事務局から報告事項がございます。  資料No.2をご覧いただきたいと存じます。次世代育成支援対策推進法に基づく「一 般事業主行動計画策定届」の届出状況につきまして、12月末現在の状況をとりまとめま したので、このような形で発表をさせていただきました。  301人以上の企業は計画の策定届出の義務づけをされております。現時点で、この義 務のある企業の97パーセントが既に届出をしているという結果になっております。  また努力義務となっております300人以下の企業につきましては、1,422社が届け出 済みです。  一枚めくっていただきまして、都道府県別の状況でございますが、301人以上の企業 につきましては、ご覧の24県につきましては100パーセント届出済み、それ以外の23 都道府県につきましては、90パーセント台ということで、ほぼ完全な形で履行がされて いる姿に近づいております。また届出をしている企業のうち認定申請の予定有としてい る企業が約2割となっております。  たいへん簡単ですが、以上です。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。これに対してご質問等ございますか。 ○佐藤(博)委員  2ページにある、認定を受けようとする企業は2割ですけれど、私は24パーセントく らいという気がしていましたので、報告していただいたのを見るとだんだん減ってきた のかな。つまり裾野が広がってくると、当初届出をした企業の方が認定を取ろうと思う ところが多くて、最近届出をする企業は、認定を取ろうとするところが減っているよう な印象を受けます。  時系列で認定を受けたいという比率が落ちてきている印象は間違いかどうか教えてい ただきたいということが一つです。  もう一つ、これは少し難しい質問だと思いますが、この提出率ですが、301人以上と なると、分母が変わってきます。そうすると、一つの考え方は、例えば、この11月、 12月での301人以上の企業というのはないと思うので、去年の4月に301人の企業が 一万社あって、それを分母にした時にだんだん増えてくるのか、あるいはそれぞれの検 討数の把握範囲内なのか、ちょっと難しい質問なので、もしわかれば教えていただきた いと思います。 ○横溝分科会長  わかりますか。 ○麻田職業家庭両立課長  わかる範囲でお答えしたいと思います。  まず時系列で認定申請予定有り企業の割合が下がっているのかどうかというご質問で すが、昨年の6月時点で4社に1社が認定を目指しているというまとめになっており、 その時点に比べて若干低下傾向になっております。  裏を返せば裾野が広がってきているというような見方もできるかと思います。  それから301人以上企業の把握でございますけれども、これは労働局で各管内の企業 の状況を把握している中で行っております。やはり数が動きますので、その都度把握で きた最新の状況に基づきまして、率を算出していきます。ですから、必ずしも分母一定 というわけではなく若干の動きがあります。ただしそれほど大きな動きではありません。 ○横溝分科会長  よろしいですか。樋口委員どうぞ。 ○樋口委員  計画の届出についての実態把握というのは重要ですし、ぜひこの後も続けていただき たいですが、届出に伴う成果をどう評価するかということについては、どういうお考え を持っていらっしゃるのかというのが一点です。届出が行われることによって実態が改 善していないと困るというようなこともあるわけで、実態の方がどうなっているかとい うことです。  それともう一つは、この両立支援政策というのはこの分科会のマターであるのかどう か。ここで議論することでいいと考えてよろしいのか、それとも労働政策審議会の中の どこか別のところでやっているのか、あるいは労働政策審議会以外のところでやってい るのか、どういう役割分担になっているのでしょうか。 ○横溝分科会長  はいどうぞ。 ○麻田職業家庭両立課長  難しい質問をいただきました。成果の評価ということでございますが、これは各企業 の自主的な取り組みを促していこうという性格の法律でございます。ですから、まずは 計画を作成して届出をしていただく、そしてその計画の期間内に企業の中で効果が上が るように取り組みをしていただくと、こういうような枠組みになっております。その枠 組みに沿って、各企業で中身のある取り組みをしていただけるように、こちらからいろ いろ啓発なり働きかけをやっていくということでございます。  また認定という仕組みを設けており、成果の上がる取り組みを行って一定の基準を満 たした場合には、それを認証するような仕組みがございますので、その仕組みを機能さ せることによって成果を上げていくということを目指したいと考えております。  それから、両立支援政策が当審議会の役割の範囲かということで、ご質問をいただき ましたけれども、例えば育児・介護休業法の改正マターでありますとか、そういうよう な仕事と家庭の両立に関することについては、この分科会で従来からその役割として審 議を行ってきています。 ○樋口委員  「次世代育成支援対策推進法」自身は、ここの分科会のマターではないと考えている のですが、今のお話だと報告ということだったのですね。「報告をさせていただく」とい うことは、こちらは聞くだけで、逆にそれに対して審議するということにはならないと いう意味で、そうおっしゃったのかということを、確認しておきたいと思います。 ○麻田職業家庭両立課長  うまくお答えできるかどうかわかりませんが、次世代育成支援対策推進法につきまし ては、仕事と家庭の両立ということは、一つの手段といいますか、最終的な目的が次世 代の育成の支援ということになっております。その点で育児・介護休業法という労働者 の福祉の増進を目的とするものとは若干、目的のレベルが違っているということがあり ます。  ただ実際に企業に求められる内容といたしましては、仕事と家庭の両立を支援すると いう意味で内容的に重なるところがありまして、そういう意味で両立課においてこれを 担当して施行しているわけでございます。またこの分科会でもそういった観点からご報 告申し上げているところです。 ○樋口委員  そうしますと現実の問題として何が起こっているか等々についても、ここの分科会で 発議し、そして審議してもらうということもありうると考えてよろしいのですか。他の どこかがやっているのであれば、また…。 ○鈴木均等業務指導室長  すみません。所掌ではないのですが、お答えさせていただきます。「次世代育成支援対 策推進法」自体は、いわゆる育児・介護休業とか、雇用のものだけではなくいろいろな ものが入っていて、旧労働にかかるものと旧厚生にかかるものとあります。法律全体が この審議会の所掌というわけではないということになっています。  ただし、その次世代育成支援対策推進法の中でもいろいろパーツがありまして、それ ぞれのパーツごとに、例えば育児・介護休業の関係でありますとか、仕事と家庭の両立 支援みたいなものは、この審議会に関係する項目になっております。ですから関係する 部分についてとりあげるのはこの審議会になりますけれど、それが次世代育成支援対策 推進法の改正とか、そういうことにわたりますと全体の仕切りが、この審議会から超え る部分もあるというのがお答えになるかと思います。 ○佐藤(博)委員  よろしいですか。  法律のできた経緯はそうですけれど、伺いたいのは認定のところです。計画は労働局 に届け出て、たぶん認定も労働局へ届け出る。そして認定の基準はたぶん同一の課で作 られたのだろうけれど。  例えば、将来、認定基準を直していくということになった時に、ここで報告があった り議論をしたりするのか、または対象外なのか、今の認定基準も報告があったと思いま すが、例えば、認定基準をこうした方がいいというのは、行政がやる仕組みの法律なの か、あるいはここで議論するものなのかどうか、教えていただきたいです。 ○樋口委員  それと重なるところで、例えば今、届出の件数は出ていますが、届出の内容、特に両 立支援に関連するこの分科会に関連することで、具体的にどういうふうにやっていると ころは何パーセントくらいありますとか、そういうことについて議論するのはこの場な のでしょうか。それとも両立支援についてそういったことを議論していく他の審議会が あるのですか。 ○吉宮委員  ちょっといいですか。 ○横溝分科会長  はいどうぞ。 ○吉宮委員  別件のときにこの場で議論したことを記憶しているのですが、その時、私が「公表内 容はチェックするのかしないのか」と聞いたら、「届出義務がベースなので公表内容はチ ェックしません」ということでした。その後の議論を見ると、公表制度が議論されてい ますよね。一般事業主行動計画は企業の実績で、企業が合意した場合だと思うのですが。 ○佐藤(博)委員  自主的公表を促すという…。 ○吉宮委員  それはここで議論する、前に議論したことは関係のないといった懸念が、まさに今出 てきているのです。 ○横溝分科会長  厚生労働省の中の事務分掌を、具体的にそこまで厳密にきちんとできるのかどうかと いうことです。その場面ごとで、「これに関してはこの課で」というように、その時期に 応じて決めるのか、それとも根本的に、「この課の職務」と決まっている部分もあるだろ うし、だから、それを今ここでお答えいただけるものはいただけるということで。  では、どうぞ。 ○香取総務課長  今の話は、まずそもそも審議会と、行政におけるさまざまな政策形成との関係をどう 整理するかということになると思います。  厚生労働省を統合した後、社会保障審議会と労働政策審議会と確か厚生科学審議会だ ったと思いますが、審議会を大きく再編しているわけですが、審議会の位置付けについ ては、省庁再編の時にずいぶん議論がありまして、さまざまな法律を改正する時に、従 前ですと関係審議会の諮問・答申を経ると、それを前提に法案を出すというルールにな っていたのですが、むしろ審議会が行政の意思決定の「隠れみの」になっているところ があります。特に政策決定の責任は誰にあるのかというと、最終的には行政府にあるは ずなので、そこはきちんと「行政府が責任を持つようにしなさい」ということになって、 義務的に付議をするということは、原則的にない形の審議会になっております。  その中で、例えば労働条件の問題であったり、あるいは診療報酬であったり、そのよ うな形でその当事者間の合意を前提に法改正をしなければならないものについては、別 途それぞれの法律の中で精査した上で、付議をして出さなければならないという規定を それぞれの法律に残すということになっています。  そういうことで、全体の審議会で、例えば、社会保障政策の重要事項について審議を する、あるいは労働政策についての重要事項を審議するという形で、一般的な審議につ いての規定、所掌をおいて今の審議会はできていますので、その意味でいいますと、従 来では諮問されたことについてしか議論ができないわけですが、ある意味で、個々の審 議会はそれぞれの分掌の範囲内で、諮問されたこと以外を議論し、一般的に審議をする ということができます。例えば、均等なら均等の分科会において議論をするときに、分 掌する事項に関する施策とか関連する事項について、それぞれの審議会なり分科会の判 断で議論をするということそれ自体は、基本的には妨げられないということがあります。  ただし、その個々の施策を形成するときに、必ずどこかの審議会の意見をきかないと いけないかどうかということになると、個別法で定められている場合以外には義務がか かっているわけではありませんので、必ずこの審議会を通すという場合もありますし、 審議会を通さないで、ご報告なり何なりという形で、諮問・答申という形をとらないで 法律改正をする場合もございます。  その意味では、それぞれの審議会なり、あるいは従来の分科会ができる前の審議会の ときにどういう形で審議をしていたかということによって、それぞれの分科会ごとに違 っている、ということだと思います。  特に新しい行政分野とかいくつかの省庁にまたがるものですと、その意味でいうと、 例えば、親である審議会の中に新しく部会なり分科会を作って議論するやり方もできま すし、関連の分科会が合同でそういう議論をするというやり方もあります。最近、省庁 にまたがる分野が多いので、そういう形で議論するということです。厚生労働省の例で 言うと、介護保険を障害者に適用するかどうかを議論したときは、障害の分科会と介護 の分科会の合同の分科会を作って議論するというやりかたをしております。それは案件 によって対応できるのではないかと思います。 ○麻田職業家庭両立課長  自発的な公表の仕組みにつきまして、吉宮委員から言及がございましたので、関係す ることをご報告したいと思います。次世代育成支援対策推進法におきましては、行動計 画については策定をして届出をするということが決められているだけで、それを公表す るかどうかについては特段の定めはありません。けれども、例えば自社のホームページ で公表するといったように、企業で自発的に公表されているところもあります。  公表の仕組みはありませんが、他の会社がどういう取り組みをしているかを見て参考 にしたいという声が多く出てきています。自発的に公表されているものをまとめて提供 するということは、全体で取り組みを進めていく上でプラスになるということから、あ くまで自発的な取り組みということを前提といたしまして、公表サイトのようなものを 厚生労働省のホームページに作るということを、現在、企画しておりまして、企業に「公 表をされる場合はどうぞ」ということで、募集をしている状況です。来年度早々にも見 られる形にしたいと考えています。 ○横溝分科会長  樋口委員どうぞ。 ○樋口委員  総務課長の説明で十分理解できました。つまり、「それぞれの審議会で、何を議論する かというテーマ自身についても合意を得ることによって議論できる」というふうに判断 するわけですが、そのように考えてよろしいでしょうか。 ○香取総務課長  「諮問されたこと以外は議論できないということはない」という意味ではその通りで す。 ○樋口委員  そういうことであれば、この次世代育成支援対策推進法の中の両立支援、働き方につ いては非常に重要なテーマだと思います。これは内閣府の話でもありますし、国民の求 めていることだと考えますので、是非この分科会で議論のテーマとして取り上げてほし いと思います。いかがでしょうか。 ○横溝分科会長  ご意見として承って、ここで回答というのは無理だと思います。ご希望、ご意見とし て伺わせていただきます。他に何かご意見ございませんでしょうか。  それでは本日はここで終了させていただきます。本日の署名委員は岡本委員と山崎委 員にお願いいたします。よろしくお願いいたします。  事務局より次回の予定についてご連絡ありますか。 ○石井雇用均等政策課長  次回につきましては、日時・場所ともに、ただ今調整中でございます。決まり次第ご 連絡を差し上げたいと思います。 ○横溝分科会長  それでは本日の分科会はこれで終了いたします。  ありがとうございました。           照会先:雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課法規係(7836)