06/01/26 第36回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第36回 労働政策審議会 職業安定分科会 1 日 時 平成18年1月26日(木)15:30〜17:30 2 場 所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委 員(公益代表) 諏訪分科会長、大橋委員、小幡委員、椎名委員、清家委員 (労働者代表) 池田委員、市川委員、長谷川委員、堀委員、吉澤委員 (使用者代表) 石原委員、紀陸委員、成宮委員、山極委員、 石井委員代理(森氏)、尾崎委員代理(深澤氏) 事務局 鈴木職業安定局長、大槻審議官、生田総務課長、 内田雇用開発課長、坂口需給調整事業課長 4 議 題 (1)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する 法律施行令の一部を改正する政令案要綱について (2)中小企業における技能継承に係る支援策について (3)競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案要綱(職業安定法関係部分) について(諮問) (4)介護雇用管理改善等計画の改正について (5)雇用保険制度の見直しについて 5 議事内容 ○諏訪分科会長 定刻となりましたので開会いたします。最初に、職業安定分科会の下 に置かれている各部会に所属される臨時委員の交替がありましたのでご報告いたしま す。交替後の名簿は配布してあります。なお、分科会に置かれる部会に属する臨時委員 等については、労働政策審議会で第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名 することになっております。事前に指名しておりますので、お名前をご紹介します。初 めに雇用対策基本問題部会の労働者代表です。建設連合書記長の野村委員、JAM組織 局長の原委員、全駐留軍労働組合書記長の山川委員にお願いしています。  次に雇用保険部会の労働者代表です。JAM社会政策局部長の古川委員にお願いして います。どうぞよろしくお願いします。 (出欠状況報告) ○諏訪分科会長 本日の議題は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の 就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱について」「中小企 業における技能継承に係る支援策について」「競争の導入による公共サービスの改革に 関する法律案要綱(職業安定法関係部分)について」、「その他」2議題、合計5議題 です。  最初の議題は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整 備等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱について」です。労働者派遣法施 行令の改正については、事前に労働力需給制度部会でご議論をいただき結果がまとまっ たということですので、労働力需給制度部会の部会長である清家委員から、同部会にお ける審議結果についてのご報告、また事務局から諮問内容のご説明をお願いします。 ○清家委員 最初に部会における審議結果についてご報告いたします。労働者派遣法施 行令の改正については、関係者等からのヒアリングも含め、計3回の審議を行いました。 昨年の12月27日の労働力需給制度部会において、本日厚生労働大臣から諮問されて いる改正案について、事前に審議をいたしました。その結果、厚生労働省案は妥当であ る、という結論に至ったことをご報告いたします。  引き続き、諮問案の内容について事務局から説明していただきます。 ○需給調整事業課長 諮問案の内容についてご説明いたします。資料No.1−1が、本日、 大臣より諮問させていただく派遣法施行令の政令案要綱(案)です。資料No.1−2で概 要の説明をいたします。3頁、これは労働者派遣制度における法令で適用除外業務が定 められていて、その制度の概要です。現在労働者派遣法においては、法第4条ですが、 港湾運送業務、建設業務、警備業務については、法律で適用除外が明定されています。 また法律の中で業務の実施の適正を確保するためには、業務として行う労働者派遣によ って派遣労働者に従事させることが適当でない、と認められる業務として政令で定める 業務についても適用除外業務とするという法律になっています。この規定に基づいて、 労働者派遣法の施行令第2条に、医療関連業務については適用除外業務という条文が置 かれています。ここで言う医療関連業務は(4)の下にあるように、医師の業務、薬剤 師の調剤の業務、あるいは看護師の業務と列挙しています。医療関係業務というのは、 一般の医師、または歯科医師を中心に看護師も含めて医療サービスの提供のために1つ のチームを形成して、互いの能力や治療方針といったものを把握し合いながら、密接な 意思疎通のもとで遂行されるものです。現在労働者派遣制度においては、派遣先におい て労働者の特定を認めていませんので、派遣元が派遣労働者の人選をすることになると、 チーム医療という観点の担保ができない可能性が高いという趣旨から、現在、適用除外 と政令で定められています。なお、医療関連業務については、このような形で政令で適 用除外にしていますが、政令の中で現行、数次にわたって見直しが行われています。医 療関連業務の(1)(2)については、適用除外から外す。逆に申しますと、適用対象としても 構わないという法制になっています。(1)と(2)の改正した年月から見れば(1)と(2)の順が逆 になっています。(2)病院・診療所以外の社会福祉施設等については、労働者派遣を行う ことが可能、という政令の改正を平成15年3月に行っています。  先般の平成15年の法律改正に伴い、紹介予定派遣という制度が法律で定められまし た。これについては労働者の特定行為が可能になったということで、法律の施行に合わ せて平成16年3月から医療関連業務についても(1)(2)については適用対象とするという 法令になっています。  4頁は平成17年10月に政府の構造改革特別区域推進本部の決定の中に、構造改革 特区に関する有識者会議の意見に対する政府の対応方針として、医療関係業務の労働者 派遣について、医療関係職種について、(1)産前産後の休業、育児休業、介護休業の中の 労働者の代替要員については、医療関係の職種の派遣を認めてもいいのではないか。(2) へき地や離島等、医師の確保が困難な地域については、医師に限って派遣を認めてよい のではないか。このような意見がまとめられまして、政府の方でも、この事項について 労働政策審議会において審議を行い、平成17年度中に結論を得るという本部決定をし たものです。  なお、この対応方針についても、構造改革特区の議論がなされたわけです。一定の地 域の緩和というか、全国的な制度に伴うものということで、構造改革特区の議論ではあ りましたが、全国において実施するという方向での検討という決定がなされました。  これを受けまして、需給制度部会に10月末からご検討をお願いした内容が、資料No. 1−2の1頁目以降になります。その内容について、簡単にご説明します。  特区本部の決定等を参考として、部会においても現在労働者派遣が禁止されている医 療関係業務について、(1)(2)については適用対象除外というものから外し、適用対象とす るということでご意見がまとまりました。  (1)は、医師のみならず全般的な医療関連業務のケースですが、それに従事する産前産 後休業、育児休業、介護休業中の労働者の業務については、代替要員の確保に対するニ ーズもあり仕事と子育ての両立支援の観点からも選択肢の1つとして、労働者派遣事業 ができるようにする意義があるということで、これについて認めてはどうか。産前産後 休業、育児休業、介護休業については、法律上の休業に加えて、各企業単位で労使で話 し合いをされて、それぞれの法定の休業に先行、または後続する休業を取り決められて いる場合もありますので、今回のケースについても、そのような休業も含めることが適 当であるということです。  (2)は、へき地において行われる医業、お医者さんの業務については、派遣を認めても よいということです。これはへき地等、医師の偏在で医師不足が深刻な課題になってい ます。厚生労働省としても、医政局、担当を中心として、総合的な対策にも取り組んで います。当該地域においては、医師の確保の選択肢の1つとして派遣を認めようという ことです。へき地については2頁、※3で、現在、医療政策上も医師が不足して医療の 提供が困難となる恐れがある地域において、医師の配置基準の特例措置等が対策として とられています。その地域等の均衡ということで、同じような地域にするという趣旨で、 (1)から(4)、各離島振興法等に指定されている離島等の地域と、そういった地域をその区 域内に有する市町村をへき地の対象にしようということです。政令案の要綱にしたもの が資料No.1−1です。1頁目が大臣からの諮問文です。  別紙が労働者派遣法施行令の改正政令案要綱ということで、資料No.1−2で説明した 内容を要綱の形にまとめたものです。第1は適用対象業務ということで、2行目までは 政令で労働者派遣に適当でない業務として定められている医業などの医療関連業務の範 囲から、当該業務が産前産後休業、育児休業、介護休業中の労働者の業務に該当する場 合は除くということで、適用対象にしようというものです。  3行目、並びに派遣就業の場所をへき地とする医業、これは医業に限定ですが、医業 を行う場合についても除くということで、このケースについての労働者派遣を適用対象 とする。第1の2では、へき地については、次のいずれかの地域をその区域内に有する 市町村を言うということで、(1)から(4)の地域を限定的に列挙しています。  第2で施行期日については、今後パブリックコメント、閣議決定公布後の周知を勘案 して、平成18年4月1日から施行するということです。以上、内容についてのご説明 です。 ○諏訪分科会長 ただいまご説明が清家委員、ならびに坂口需給課長からありました件 についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。 ○市川委員 素朴な質問で恐縮ですが、医業のへき地等への派遣という場合、派遣で期 間限定ならお医者さんが確保できるという意味なのですか。なかなか居ついてもらえる お医者さんは少ないが、期間限定の派遣ならお医者さんは来やすいという意味なのか。  それから今回ここで適用対象としたときの派遣可能期間はあるのですか。他の派遣の 専門26の場合は、原則として期間がないとか、一般型だと3年とか。そういうことで いうと、医業の派遣可能期間があるのかないのか教えてください。 ○需給調整事業課長 1点目ですが、こういうへき地を始めとしての医師の確保が困難 な地域については、これも社会的な問題、国民的な課題ということで、医政局も、例え ばへき地拠点の医療機関の強化も含めての対策を、今般、総合的な対策を講ずることと しています。今ご指摘にもありましたように、へき地についてのお医者さんの確保は、 派遣の制度のみでという形ではなかなか解決も難しい。へき地を抱える市町村の方々か らも、そういったものを認めていただきたいというご要望も含めて、このような制度を 選択肢の1つとして加える。これのみならず、へき地の医師の確保の問題については対 策をしていかなければいけないと考えています。  2点目の派遣期間制限については、現在、26業務等に定められていませんので、派 遣期間制限がかかる内容になっています。参考までに、育児、介護休業等については、 当該業種にかかわらず、休業の期間の明定が法令、あるいは企業単位でなされますので、 それについては法令上も期間制限はかからないことになっています。 ○諏訪分科会長 市川委員、よろしいですか。 ○市川委員 期間制限がないということですね。 ○需給調整事業課長 (育児休業等の場合については)はい。 ○諏訪分科会長 他にご質問、ご意見はありますか。特にありませんか。それでは当分 科会としては、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等 に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱については、これを妥当と認め、その 旨、私から労働政策審議会長にご報告を申し上げたいと思います。そのような扱いでよ ろしいですか。 (了承) ○諏訪分科会長 ありがとうございました。それでは事務局から報告文(案)をお配り します。ただいまお手元に案が配布されたかと思います。お手元の案どおりでよろしい ですか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございました。それではそのように報告をいたします。  次の議題は「中小企業における技能継承に係る支援策について」です。本件について は、前回、12月14日の当分科会において、中小企業における技能継承をめぐる実態 について、また中小企業における人材確保に対する支援の必要性について、それぞれご 議論をいただいたところです。本日はこのことを踏まえて、具体的な人材確保支援策に ついて、ご議論をいただきたいと存じます。そこで事務局から資料を説明していただき ます。 ○雇用開発課長 資料No.2−2をご覧ください。12月の分科会でのご議論を踏まえて、 実態やニーズも追加的に把握しながら、支援策についてスキームという形でまとめまし たのでご説明いたします。  現状は、中小企業の場合、規模が小さいほど若手の従業員が企業内にいないという状 況があり、やはり受け手となる人材が不足している状況です。賃金等の労働条件、福利 厚生などの雇用管理改善に遅れが見られること。自社PRの不足や、専従者の不足によ り、採用の取組がうまくいかない、というのが中小企業で高い割合にあり、採用に向け た取組が不十分な状況にあること。一方、受け手人材については、多くのニート、フリ ーター、失業者が存在していること。こうした現状を踏まえ、ニーズとして、採用に関 する費用についての資金助成を求める、というものがあります。それとともに、人材の 獲得手段の充実というものを求める声も強いところです。具体的には、中途採用で言い ますと、情報提供サービスや公的職業紹介サービスの充実。新規学卒で言いますと、学 校とのネットワークづくり、中小企業のイメージアップ等々です。中小企業を知っても らうとか、イメージアップといった点については、前回のご議論の中でも、技能の受け 手となる若手が、その職場に就きたくなるような手立てを考えるべきではないか、とい うご指摘もいただいたところです。  一方、受け手人材については、学生の志望企業の選択基準として、最も高いのが、自 分のやりたい仕事ができることです。中小企業の職場を広く知ってもらう、イメージア ップを図るということと相挨っていけば、マッチングの促進も図れるのではないかと思 っています。以上が現状、ニーズです。この詳細については、資料No.2−1に、前回の 資料にプラスした形で用意しておりますので、参考までにご覧ください。  以上の現状やニーズを踏まえて、対策の方向については、マッチングの機能強化や、 中小企業の周知・イメージアップ、採用方法の改善、といったような柱を内容とした円 滑な雇入れの促進に向けた支援を中心にして、中小企業の職場を魅力あるものにするた めの雇用管理改善に向けた支援と、円滑な技能継承に不可欠な就職後の定着に向けた支 援といったものを組み合わせる形で総合的に講じて、人材確保を図りつつ、職業能力開 発施策と連携をとって、円滑な技能継承と若者の活躍の場の確保を実現していこうと考 えています。  個々の施策については、それぞれ2頁以降に個表という形で付けています。2頁目が、 トライアル雇用の推進に向けた支援の創設です。現在、35歳未満の就職がなかなか難 しいという人に対して、トライアル雇用支援制度が設けられています。これに加えて、 技能継承に向けて、実践的な訓練を計画的に行おうとする中小企業についても、こうし たトライアル雇用の支援を行ってはどうかというものです。対象として考えているのは、 事業の概要の下に記載してあるとおりです。こうしたトライアル雇用の促進により、中 小企業側からみると、雇入れ人材について、技能の受け手として適正があるかを見極め、 雇入れ人材側からみると、その中小企業が自分の働きたい所かどうか、という判断が行 いやすくなるということで、マッチングの促進や中小企業の周知、イメージアップに資 するものになるのではないかと考えています。  助成措置の内容については、現行のトライアル雇用と同水準を考えています。こうし た措置を一つ講じてはどうかと考えています。  3頁目がハローワークにおけるマッチング機能の強化です。これは直接的には公的職 業紹介機能の充実のニーズに対応したものです。現在、ハローワークで行っている若年 者向け窓口での職業相談や、若年者を対象とした合同就職面接会において、トライアル 雇用支援制度がもしできれば、トライアル雇用対象求人での合同就職面接会もできるか と思います。こうした場面において、技能継承を行おうとする中小企業の求人や仕事の 内容等について積極的に情報を提供していきます。中・高校生の就職の準備段階から職 場定着まで、一貫した形で就職支援を行うということで、全国のハローワークに配置し ています「若年者ジョブサポーター」を活用したマッチングの促進に取組んでいきたい と思います。こうした取組は、マッチングの促進のみならず、当然中小企業の周知など にも資するのではないかと思います。  3点目が4頁、委託募集の活用による効果的な採用システムの確立です。個々の中小 企業はなかなか採用に向けたノウハウや取組が不十分な実態にあるという中で、技能継 承に向けて訓練を計画的に行うような中小企業を、いわば束ねているような団体、事業 協同組合等を念頭に置いていますが、それが委託を受けて募集を行う場合のシステム作 りを行いたいと思っています。具体的には委託募集の特例措置等を設ける形になると思 います。これによりまして、中小企業の採用方法も当然改善されることが期待できると 思います。また、同じような事業を行う中小企業が一緒になって募集を行う形になりま すので、スケールメリットによるアピールの増大等にもつながっていくのではないかと 思います。  5頁目が、中小企業と学校とのネットワークづくりの推進です。現在、企業側の方が 学校に出向いて、職業に関する情報を話すキャリア探索プログラムと、逆に生徒が企業 の職場に出向いて就業体験を行う、ジュニアインターンシップというものがあります。 こうしたプログラムやインターンシップの講師や受入先企業として、積極的に、こうし た技能継承に係る中小企業を紹介したり、活用していくことを考えています。これによ って学校とのネットワークづくりが促進されることはもちろんですが、マッチングの強 化にもなろうかと思います。中小企業を知ってもらうための一助にもなっていくと思い ます。  6頁目が雇用管理改善に向けた支援です。地道な取組という部分が多いのですが、雇 用・能力開発機構などで、相談・援助やセミナー等を行っているところです。そうした 相談場面で、例えば若者の訓練に係る相談を行うといった取組もあると思います。それ から、セミナーのテーマに若手人材の確保や、技能継承関連のものを盛り込むこと。あ るいは好事例集を作るということも考えたいと思います。そういった援助の強化を図っ ていきたいと思っています。  7頁目が、就職後の定着に向けた支援です。労働者のニーズが高いにもかかわらず、 中小企業で取組が遅れているメンタルヘルスの部分は、実は従来の支援メニューには入 っていなかったものです。従来、キャリア・カウンセリングといった職業相談のみを支 援対象としていましたが、そうした部分に加えて、メンタルヘルスに係る相談といった ものも支援のメニューに加えて、こうした相談を委託して実施した場合の支援の拡充を 考えたいと思います。併せて、現在各都道府県の経済団体にお願いして、若者の職場定 着に向けた企業の方々への研修を行っていただいています。こうした研修に、技能継承 に係る中小企業の参加を積極的にお願いしていくことを考えたいと思います。  以上の対策を総合的に講じるということで、当面技能継承に係る中小企業の人材確保 の支援を進めていきたいと思います。こうした支援の方向についてご議論をいただきた いと思います。 ○諏訪分科会長 以上の件について、ご質問、ご意見等ありましたら何なりとご自由に ご表明ください。 ○長谷川委員 支援を何をしたいかということはわかったのですが、この分科会にかけ るのですから、法改正や規則改正を予定しているのであれば、それは何なのか教えてほ しいのです。 ○雇用開発課長 これは現在、全体の支援策ということですので、予算措置、その他の 実行上の措置の強化も含めて、総合的な形で出しています。  そのうち法改正として予定をしているものが、大きく分けて2つあります。1点目が 中小労確法の支援の前提となる改善計画です。これは都道府県の知事が認定する形にな っています。この認定を受けると、中小労確法関係の支援が受けられます。その改善計 画の1つの類型に、円滑な技能継承に向けて若年者等に対して実践的な訓練を行い、そ の良質な雇用の機会を確保していくため、技能継承を念頭に置いた新たな計画を位置づ けることを考えています。  こうしたことを行うことにより、そうした計画の認定を受けた中小企業者について、 現在の中小労確法上の訓練支援等が講じられることになります。  もう1つは、委託募集の特例措置です。改善計画の認定を受けた中小企業の上部団体 になる事業協同組合等が、厚生労働大臣が承認した場合、個別の計画認定を受けた中小 企業から委託を受けて募集を行えるようにするものです。この2点を法改正として予定 しています。 ○長谷川委員 委託募集ですが、現行法の36条でできるわけではないですか。それ以 外の改正があるわけですか。 ○雇用開発課長 現行法は、事業協同組合も、傘下の企業のために改善計画の認定を受 けることができることになっています。その団体自体が改善計画の認定を受けた場合、 その傘下の企業のために委託募集を特例としてできるというものです。  今回の場合は、個々に個別の技能継承を行うような中小企業が、改善計画の認定を受 けた場合、その上部団体である事業協同組合が大臣の承認を受けて委託募集の特例とい うことで行えるようにする。そういうことで少し方向が違うということです。 ○長谷川委員 現行法の36条を使い、委託募集をやっているような例というのは、今 まであるのですか。 ○雇用開発課長 あまりないです。 ○長谷川委員 今回の制度を使うと、活性化するということですか。 ○雇用開発課長 現行については、事業協同組合の方が認定計画を受けて、傘下の企業 は認定計画を受ける必要はないという枠組ですが、今回の場合、個々の中小企業が事業 継承でこういう人が欲しいということで計画を受ける形になります。ですから、そこで だいぶニーズが違うのではないかと思います。  実際に人の確保をしたいと言っている中小企業の場合、自社PRの不足ということで、 採用の取組がうまくいかないという中小企業が上位にあることもあり、やはり人材の獲 得手段の充実を求める声は非常に強いと思います。個々の計画の認定を受けた中小企業 がやる場合には、かなりニーズもあるのではないかと思います。 ○長谷川委員 これは募集だけですよね。 ○雇用開発課長 募集だけです。それは普通の委託募集の特例の場合と全く一緒です。 ○石井委員代理(森氏) いくつか質問と意見があります。1つ目は、5頁目のジュニ アインターンシップについてお尋ねします。ここでは中小企業と学校のネットワークづ くりを推進するため、ということで紹介されていますが、実はこれは平成15年に東京な どでも経済団体を通じて企業の募集が行われ、私どもも受けてもよいということで、6 0数社企業を紹介させていただいたのです。平成16年、平成17年と経って、実は1 件も反応がないという実態です。その60数社というのはほとんど中小企業で、是非高 校生に知ってもらいたいということで、志のある方々に手を挙げていただいたのです。  東京労働局に確認をしたら、これはどうなっているのでしょうか、今どれぐらい応募 があって、どれぐらいの生徒、あるいは学校なりが受け入れを実際にやっているのか問 い合わせをしたら、わかりませんというお返事だったのです。ですから、もし本省でそ ういった集計があるのかどうか、その辺の数字があったら教えていただきたいと思いま す。  なぜかというと、平成15年に募集をして、平成17年までずっとそのまま、自分が 申込みをしたジュニアインターンシップの受け入れが、まだいきているのかどうか全く わからない状態。あるいはその後、このまま未来永劫登録されて店ざらしになっている のかどうか。その辺に企業側の不安がありまして、うまくフォローしていかないと、ジ ュニアインターンシップ自体が絵に描いた餅になってしまうのではないか、ということ を懸念しているが故の質問です。 ○雇用開発課長 まずジュニアインターンシップの全体の実績はわかりますが、中小企 業はどうかとか、その内訳は現在集計しておりませんので、申し訳ありませんが把握で きていない状況です。  今、ジュニアインターンシップがどれぐらいあるかといいますと、平成16年度全体 で見ますと、実施したのが1,239校、参加していただいた生徒が9万4,700人 強、事業所が2万5,670強という状況です。  こうした形で中小企業の方々にジュニアインターンシップに積極的に参加していただ きたいと言っても、相手がある話なので、なかなか学校側が中小企業の職場を選んでく れないという実態は確かにあるのではないかと思っています。そうしたところで私ども も、中小企業の職場を知ってもらうための働きかけをもっと強くやっていきたいと思い ます。特に今回は改善計画の認定を受けていただいて、きちんと対応していただくこと が我々としても認識できる企業ですので、しっかりやっていただけるのではないかと思 います。そうしたことも含めて、働きかけは今までよりもかなり強くやっていきたいと 思います。  もう1つは、我々だけではなかなかうまくいかない部分もあるかもしれませんが、例 えば、委託募集を行うような事業協同組合が傘下の企業のために、他のソフト対策とし て働きかけをやっても良いのではないかと思っています。例えば、こうしたインターン シップの中小企業での実施に一役買うことはできないか、ということも考えたいですし、 たぶん東商さんでもおやりになっていると思いますが、学校に職場見学と授業の中で、 技能継承を行う中小企業に生徒が参加するように働きかけをやっていただければと思い ます。そうしたことで総合的に、絵に描いた餅にならないようにやっていければと思い ます。 ○石井委員代理(森氏) 厚労省さんのほうで具体的に働きかけをするということは、 どういうことなのですか。結局、中小企業は、ほとんど学校の先生にも知名度がないで すから、ジュニアインターンシップとして生徒を出そうという意欲がなかなか湧かない ということで、中小企業のほうは来てほしいが、1人や2人ですと手間ばかりかかって しまい嫌だというのが多分本音だと思います。その点でいくと、学校に対する働きかけ というのはできるのですか。 ○雇用開発課長 今のやり方は実態として、受け入れ先の企業として手を挙げていただ いた所を名簿にして学校に提示し、学校の方で選んでいただくことになっています。そ れ以上の働きかけというのは難しい部分があったのは事実だと思います。今回の場合、 改善計画の認定を受けて、どのように技能継承をきちんとやっていただくか、訓練をや っていただくかというのが把握できる形になりますから、もう少し踏み込んで、具体的 にここの企業はこういうことをやっているのだけれどもということで、名簿の提出のと きに学校にも説明したり、働きかけはできるのではないかと思います。 ○池田委員 2頁に、トライアル雇用の促進に向けた支援措置の創設の事業の概要があ りまして、(1)中小企業労働力確保法に基づく技能等の継承を円滑に図るための改善計画 について、都道府県知事の認定を受けた事業協同組合等の構成中小企業者と、あるいは 個別中小企業者となっていますが、2つお聞きします。事業協同組合等というのは、そ の他にどんな団体があるのか。  2つ目は、事業協同組合等と「等」を入れていますが、日本国内ではどのぐらいある のかわかれば教えていただきたいと思います。 ○雇用開発課長 1点目の事業協同組合等に何があるかということですが、協同組合連 合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、商工組合、商工組合連合会、 商店街振興組合及び商店街振興組合連合会が範囲になっています。それを「等」と呼ん でいます。  現在、そうした事業協同組合等が全国にいくつあるかの点については、いま資料が手 元にありませんので申し訳ありません。 ○成宮委員 それについてピッタリ合わないのですが、いま提示された以外に漁業組合 とか農業組合とか、若干別のタイプの組合があって、それが各都道府県の認可であった り、大臣の認可であったり、中身によって違うのですが、全部トータルしていま国内に あるのは4万7,000〜8,000の中小企業組合があります。 ○池田委員 ありがとうございました。 ○石井委員代理(森氏) 資料の中の助成金に関する部分で、これは新設なのかよくわ からないのですが、お尋ねしたいことが2つあります。1つはトライアル雇用について です。これはどちらかというと私どもの認識では失業者対策、つまり、ハローワーク等 に求職票を出している35歳未満や中高年の方を対象として雇ったら助成金をあげます よという、どちらかというと失業対策だったのではないかという認識を持っているので す。今回、中小企業の技能の受け手となる若者の確保でトライアル雇用を使うというこ とは、要は中小企業の技能継承の受け手となる若者イコール失業者なのかと。失業者を 対策として手当をしている施策だと思いましたので、中小企業は確かに若年者の採用が 難しいですが、やはり失業者に限らず、できれば新卒や学卒、転職してくる方とか、実 は多様なところから人を求めているわけです。今回は技能継承の受け手となる若者の確 保と大きく掲げている割に、失業者のみをここから拾ったときだけ助成をするとなると、 少しタイトルの書き方が大き過ぎる、あるいは中小企業からすると非常に過大な印象を 受けてしまうのではないか。もう少し適切な書き方があるのではないかという気がしま す。  もう1つは技能の継承のために適当と判断される35歳未満の若年者ということです が、技能継承の受け手となる人材として、という技能継承というのは定義があるのです か。中小企業にとって技能の継承は確かに大事ですが、実は技術の更新、進歩というか、 実は変えていくことも非常に重要な要素で、継承だけが重要なわけではないと思います。 そういう意味で、対象となる人を選ぶときに、技能の継承の受け手となるという定義を 誰がどう認定して、誰が選ぶのか。それは不明なところがあると思います。 ○雇用開発課長 1点目のトライアル雇用の就職困難の話ですが、これは私の説明が不 足していたかもしれません。現行のトライアル雇用制度というのは、若者の場合にはい わゆるニートとかフリーターを念頭に置いて、直ちに常用雇用での就職が困難な方とい うことで限定しています。ただ今回の場合、技能の継承が必要で雇い入れるということ ですので、見極めが中小企業者の方も、受け手の雇入れ側の方も必要という観点からト ライアル雇用をやるということですので、特に就職が困難であるという要件はつけない 形にする予定です。したがいまして、別に失業者でなくても、そうした中小企業に就き たいという方であれば、基本的に対象になっていくと考えています。 ○石井委員代理(森氏) 求職の申込みをしている人限定ではないのですか。 ○雇用開発課長 求職の申込みをしている人に限定しますが、現在の就職困難という場 合は、直ちに常用雇用による就職が困難だということですが、トライアル的に雇用した 場合、就業を経験したときには常用雇用に馴染むような人ということを条件にしていま す。具体的には求職者の過去の職歴や就業経験、現在の職業能力等に基づいて判断をし ています。  若年者で言いますと、例えば就業経験がないとか、あるいは短期間で離転職を繰り返 しているとか、過去の職歴を見たときに、全然違う職に就こうという場合であって、本 人も職に就くのに自信がないといったようなときに、トライアル雇用の対象にしていま す。技能継承に係るトライアル雇用については、こうした職歴の部分で常用雇用になる ことが特に困難とみなせない人であっても、安定所の求職登録をしていただく条件はつ けるつもりです。そうした中で、中小企業に積極的に勤めたいという方であれば、トラ イアル雇用の対象として考えていきたい。 ○成宮委員 対象事業主の(1)と(2)で、(1)のこういう事業主であれば新卒でもいいという ことですか。 ○雇用開発課長 はい、そのとおりです。 ○総務課長 議論が混乱していて恐縮ですが、求職申込みというのは、失業者でなくて も求職申込みはできます。在職中の方でも、あるいは学生の方で在学中の方でも構いま せんので、とにかく一旦失業しないといけないということは、今回要件にはしていませ んので、それを前提に考えていただければと思います。 ○石井委員代理(森氏) ありがとうございました。もう1つは、最後の頁に「中小企 業職業相談委託助成金」を創設ということで、新しく助成金を作るというご提案があり ます。しかし、同じような助成金が中小企業雇用管理改善助成金ということで、平成1 6年までに非常に利用率が悪くて、平成17年度に廃止になったものがあると思います。 やっとこれは廃止になったということで、スクラップ・アンド・ビルドというか、それ がきちんと機能しているのだと思って評価をしたのですが、今回、また同じように中小 企業向けに相談することを外部に委託したら助成をする制度を創設しますということ で、非常に懲りないのではないかという気がしています。中身は一部自前で相談をする 人を雇ったり、というのが前回の制度だったと思います。今回は外部に委託した場合と いうことで一部は違うのですが、中小企業で内部であろうと、外部であろうと、専任の 人に単独で契約を結ぶことは非常に高くつきますので、この利用はほとんど難しいので はないかと思います。またメンタルヘルスということで、すでに産業医の共同専任の助 成金や安衛法の関係でも非常に力を入れるということで制度が拡充されています。すで に重複するのではないかと思っています。  もう1つはメンタルヘルスということで、例えばどこの企業でも地域でもそうですが、 地産保(地域産業保険)がありまして無料で全部受けられるはずなのです。ところが利 用率が悪くて、みんな知らないという実情もある中で、むしろそういうところの紹介と いうか普及に力を入れたほうが、中小企業のメンタルヘルスの相談ということでいけば ずっと効果があるのではないかと思いますがどうでしょうか。 ○雇用開発課長 資料No.2−1の最後の頁にメンタルヘルスの状況を付けています。労 働者の中で強い不安やストレスがあるという比率は、事業所規模にかかわらず高い状況 にあります。  その中でメンタルヘルス対策に実際に取り組んでいるかというと、事業所規模によっ てだいぶ差が出てきます。特に専門のスタッフがいる場合については、その企業間の格 差が顕著になるという状況です。確かに現行では雇用管理の助成金というものがありま す。内容はどういうものかといいますと、対象はキャリア・コンサルタントの配置と職 業相談室の設置に対する支援です。その設置や配置について、自社内で自前で行う場合 に支援をしていたという枠組です。ただ、ご指摘のとおりあまり出ていないということ で、その事情についてもいろいろ聞いてみたのですが、中小企業の場合、自社内で自前 で相談室を作ったり配置をしたりというのはなかなか難しい。月に1回なら月に1回ぐ らい相談日を設けて、どこかから人をお願いして来てもらうのが一般的だという話があ りましたので、そうしたことを踏まえて、メンタルヘルスの相談を新たにメニューとし て加えることと併せて、委託の形で行った場合に支援をしていくということで、ニーズ に合わせた重点化を図る観点で行ったところです。  既存で産業医の配置の助成金があるという話ですが、整理としては、この助成金の場 合は、キャリア・カウンセラーのほかにメンタルヘルス相談に対応する医師、心理カウ ンセラー等の専門家を外部委託する場合という形になっておりますので、医師以外の方 も心理カウンセラー等に委託した場合について支援ができるということで、幅広くなっ ているというのが1点です。50人未満の事業所に共同で産業医を配置した場合につい て、助成金が出るということがありますが、それ以外に単独で委託をする場合もあろう かと思いますので、そうしたものにも対応するということで、ニーズ等これまで根付か なかったという反省を踏まえて、今回こういう助成措置に重点化したとご理解いただけ ればと思います。 ○石井委員代理(森氏) 懸念を申し上げましたので、よろしくお願いします。 ○諏訪分科会長 先ほど出た技能継承の定義の説明はありましたか。それも補足的にお 願いします。 ○雇用開発課長 技能継承の定義ですが、基本的には、事業主が事業の必要性から継承 すべき技能を判断するということでいくべきだと思っています。具体的には、技能継承 に必要となる実践的訓練の内容を記載した改善計画を出していただいて、認定されれば トライアル雇用の対象としていこうと考えています。私どもがどの技能がいいといった 限定は、基本的にかけない形でいきたいと思っています。 ○大橋委員 資料についてのコメントですが、技能継承という言葉と同時に、この資料 の中で念頭に置かれているのが生産労働者のようなイメージを持つのです。実際に、す べての絵が生産労働者ですね。こういう絵を見て、しかも1人だけで作業をされていて、 メンタルヘルスのところでも出てくるのですが、ちょっとそぐわない感じがあるという こと。もう1つの資料を見てみますと、非製造業でもかなり深刻だということが出てい ますので、あまり製造業をイメージした資料は作らないほうがいいのではないかと思い ます。 ○紀陸委員 こういうテーマは、これから労働市場がどんどん変わってきて、特に中小 企業において必要な人材の確保は極めて大事な問題になることはわかるのですが、人材 の確保の面に関して、これまでいろいろな支援措置をやってきたのだと思うのです。そ れに、今度は技能の受け手となるというのをかぶせて、新しい策を打とうという発想だ と思うのです。それも確かにわかりますが、問題は助成の仕方、どういう形でお金を使 うかという点がいちばん大事だと、私どもは思っているわけです。これは基本的に全部 三事業から出るわけでしょう。だから、いままでやってきた人材確保の施策の中で、ど ういう支援の仕方、お金の出し方が効果があったのか、なかったのかを踏まえた上で、 今度は技能を受け取る人の場合にはどういうことをやれば確立が高くなる可能性がある か。いま言われたように、ここに焦点を絞るとかここに重点を置くという方向性はわか るのです。しかし、一切お金の話が出てこないではないですか。前からのこの分野にお けるお金の使い方は、どのくらいあって、その成果はいかにと、対比の関係を見た上で、 次のバージョンとして技能の問題が出たら、ここにこういうお金の使い方をしましょう ということで、出して欲しいと申し上げてきたつもりなのです。それがないと、これだ け見ても、もっともです。この資料の内容に反対する人は誰もいません。しかし、前か ら言っているように、三事業のお金の使い方については、これからますます我々として もPDCAをきちんとやらないと、簡単にイエス、ノーは出せないと思うのです。そこ の部分を数字でお示しいただいて、これからの問題ですから確たる見通しはこうだと言 いにくい面があるのはわかりますが、前の反省材料は全然出てこないではないですか。 今のお話では、お金も使われていないものもあるし、衣を変えてきたものもありますね。 今度は衣を変えるだけではなく、趣旨を絞って新しい施策をする場合には、施策効率が 上がることの説明がある程度欲しい部分なのです。意図は重々わかりますが、少なくと も人材の確保について、中小企業の面でいろいろなお金をこれまで使ってきたわけで、 我々としてはそういうデータを見せていただきたいのです。 ○小幡委員 私も、今のご意見とほぼ同意見なのですが、新しくスクラップ・アンド・ ビルドをするにしても助成金を創設するわけですから、費用対効果、特にメンタルヘル ス対策が、離職してしまうかどうかというところに一体どのくらい効くのかを含めて、 従来使われていないことをまたやっても仕様がないので、やり方については重々お考え いただきたいと思います。  製造業や水産業の話も出てきましたが、担い手で困っている状況はよくわかりますし、 中学生や高校生の方に広く紹介していくのも大事だということはわかるのですが、やは りお金の使い方で、農水省でも経産省でもやっているという、ダブりの可能性もありま すので、これをやってどのぐらい効果が上がるのか、縦割り的に考えがちですので、そ の点も頭に置いて、よく試算していただきたいと思います。 ○諏訪分科会長 それでは、併せて、雇用開発課長、お願いします。 ○雇用開発課長 大変厳しいご意見だと思います。前回の12月の分科会の議論でも、 雇入れ助成の可否についてずいぶんご議論をいただきました。単なる補助金や助成金と いった手法で、本当に効果があるのだろうかということで、そもそも中小企業は構造的 に人が集まらない、これは2007年問題のディメンションだけである話ではないと、 かなり厳しいご指摘をいただきました。そうした中で、相手がある話ということで、前 回の議論では技能継承の受け手となる若手とのマッチングが図れる形で、イメージアッ プ対策や職場の環境作りをすることも含めて、ちゃんとやるべきだというご意見をいた だきました。そうした議論を踏まえて、今回トライアル雇用については、特にマッチン グやイメージアップ、中小企業の周知にも資する形で、考えられるものを整えて提案し たということです。  こうしたことが効果があるかどうかについて、当然きちんと評価をしなければいけま せんし、評価の前に、制度設計の面でも効果がある形で考えていかなければいけないと 思っておりまして、その部分については、私どもも当然のことながら今後きちんとやっ ていきたいと思います。 ○総務課長 今まで、助成金については、使われるつもりで作ったものが使われていな いということが、実態としてあります。今回、助成金については相当整理をして、やめ たものはたくさんあるのですが、一方で新しく作るものにつきましては、できるだけ中 小企業の経営者の方の個々のご意見を伺うということで、雇用開発課でも大分いろいろ な経営者の方にお話を伺いました。それを踏まえて作りましたが、今は大きな枠組があ るだけですので、さらに詳細をこれから詰めるところです。設計をするにあたっても皆 様の意見を十分伺って、本当に中小企業の人材確保に役立つものにしていくように、努 力をしていきたいと思っております。 ○紀陸委員 今日は何を論ずるのですか。このスキームはこうだよということを伺って。 ○諏訪分科会長 ちょうどいい質問ですので、先へ進ませていただきます。こうした議 論を踏まえて、事務局が分科会報告(案)を資料No.2−3で用意しています。これを 皆さんにご検討いただくということです。雇用開発課長、ご説明をお願いします。 ○雇用開発課長 今日のご議論を踏まえて、報告として取りまとめられればと思い、用 意しました。読み上げさせていただきます。  労働政策審議会職業安定分科会報告書(案)。中小企業における技能の受け手となる 人材の確保に係る支援について。  1.問題の所在。平成19(2007)年以降、団塊の世代が短期間に職業生活から の引退過程に入ることにより、熟練した技能や高度な技術、知識を有する労働者が急激 に不足し、これまで企業内で蓄積されてきたすぐれた技術・技能等が急速に失われてい くことが懸念されるが、資源の乏しい我が国にあっては、優れた技術・技能等を有する 人材は国を支える最も重要な基盤となるものであり、このいわゆる2007年問題に的 確に対応し、次世代への円滑な技術、技能等の継承を実現することは、現下の最重要課 題の一つである。  このような中、技能継承に係る企業の状況を見ると、規模が小さくなるほど若手従業 員の確保が難しく、すぐれた技術・技能等が維持できないことが懸念されている。意識 面を見ても、2007年問題に危機意識を持つ要因のトップは、「意欲ある若手、中堅 層の確保が難しいこと」であり、特に300人未満の中小企業においてこのことが顕著 となっている。  一方、我が国の若者をめぐる状況をみると、平成16年において若年失業者は約15 0万人、フリーターは213万人、いわゆるニートは64万人となっており、その合計 は400万人に達している。我が国の中小企業には、世界に誇る優れた技術・技能等が 多く集積しているが、以上の状況を踏まえ、中小企業における優れた技術・技能等の受 け手となる人材の確保に係る支援を強力に推進していくことが、我が国の喫緊の課題で ある技能継承を実現していく上で極めて重要であるとともに、若者が将来、社会の中核 として活躍できるようにする観点からも必要不可欠な対策であると考える。  2.対策の方向。中小企業の状況をみると、大企業と比較し、賃金や福利厚生をはじ め、労働条件や雇用環境に格差がみられ、人材確保を円滑に進めていく状況は厳しい。 このような中、中小企業には、「採用に関する費用についての資金助成」を望む声は多 い。さらに、自社PRを十分には行えず、また採用専従者を開発できないなど、採用に 向けた取組を十分に行えないところも多く、団塊世代の退職に当たって「人材の獲得手 段の充実」を求めるニーズも高い状況にある。このため、中小企業の職場の魅力を高め つつ、中小企業のニーズに合った受け手人材の雇入れに向けた支援について、様々な角 度から取組を進めていくことが重要である。  一方、新卒者をはじめとする若手人材が志望企業を選択する際には「自分がやりたい 仕事ができること」を重視するといわれていることから、中小企業が若者にとって働き がいのある場でもあることを積極的に周知していくこと等の取組も重要である。以上の ような状況・ニーズを踏まえ、技能継承に計画的に取り組む中小企業の人材確保を円滑 かつ効果的に図っていくためには、以下の支援策について、法制的な措置を含め、検討 を進めることが適当である。  (1)円滑な雇入れの促進に向けた支援。  ○トライアル雇用の推進に向けた支援措置の創設。技能継承の受け手人材についてト ライアル雇用の手法を採用することは、中小企業にとっては雇入れ人材の技能継承の受 け手としての適性等を見極める観点から、また、雇入れ人材にとっては当該中小企業の 職場を十分に知り、技能の受け手となるか否かの判断を行う観点から、マッチングにつ いて大きな効果を発揮するものと考えられる。このため、技能継承の受け手人材に係る トライアル雇用を推進する技能継承中小企業に対する支援措置を創設する。  ○ハローワークにおけるマッチング機能の強化。ハローワークの職業相談、若者等を 対象とした合同就職面接会、トライアル雇用対象求人による合同就職面接会等において、 技能継承中小企業の求人や技能継承の取組、仕事の内容等について積極的に情報提供を 行う。さらに、中・高校生の就職活動準備から職場定着までの一貫したきめ細かな就職 支援を担う若年者ジョブサポーターを活用し、技能継承中小企業と若者等のマッチング の強化を図る。  ○委託募集の活用による効果的な採用システムの確立。中小企業単独では採用に向け たノウハウや取組が不十分な実態がある中で、円滑な人材の確保を図っていくためには、 ノウハウ等を有する事業協同組合等の団体が、これら個々の中小企業に代わり、採用に 向けた取組を積極的に推進していくことが適当であり、このために必要な措置を講ずる。 また、このことは、同種の事業を行う中小企業の共同の募集を促し、募集人員や職種等 の拡大による求職者へのアピール度の増大や知名度のアップの点からも、人材確保に効 果的である。  ○中小企業と学校とのネットワークづくり等の推進。生徒が職業に関する生きた情報 を得ることをねらいとした「キャリア探索プログラム」の講師や、在学中の就業体験に よる職業意識の啓発をねらいとした「ジュニアインターンシップ」の受入先企業として、 技能継承中小企業を活用するなど、中小企業と学校とのネットワークづくりや中小企業 を深く知る機会の提供に努める。  (2)雇用管理改善に向けた支援。独立行政法人雇用・能力開発機構における事業主 を対象とした雇用管理講習会の内容に、技能継承中小企業の雇用管理改善を盛り込むと ともに、若者の雇入れに係る企業の好事例の収集等を推進すること等により、技能継承 中小企業の雇用管理改善に係る相談・援助機能を強化する。  (3)就職後の定着に向けた支援。雇入れ人材の職場への定着は、円滑な技能継承に 不可欠である。このため、労働者のニーズが高いにもかかわらず中小企業の取組が遅れ ているメンタルヘルス対策に係る支援を強化するとともに、地域の商工・業界団体等と 連携して、若者の職場定着のための研修に技能継承中小企業の参加を促すなど、職場定 着に向けた取組を推進する。  3.対策の推進に当たっての留意点。中小企業における技能継承への支援については、 人材の確保の観点のみならず、職業能力開発の観点からも所要の措置を講ずる必要があ る。このため、今般とりまとめられた技能の受け手となる人材の確保に係る支援につい ても、労働政策審議会職業能力開発分科会において検討されてきた技能継承に係る職業 能力開発施策と相俟って、一体的・総合的に推進されることが重要である。また、技能 の受け手となる人材の円滑な雇入れの促進に向けた支援については、制度が適切に運営 され、初期の政策目的に沿った効果が上がるよう、制度設計や運用に当たって、十分な 配慮を行うとともに、技術・技能の継承が特に困難な小規模な企業においても活用が図 られるよう、積極的な周知や手続等に係る負担軽減に努めていく必要がある。もとより、 冒頭に記したとおり、次世代への円滑な技能継承の実現は現下の最重要課題の一つであ り、今後とも中小企業の実態、ニーズ等の十分な把握に努めつつ、人材の確保に向けた 効果的な支援策について、検討を続けていくことが適当である。以上です。 ○諏訪分科会長 こうした分科会報告(案)が出ております。これを巡ってご質問、ご 意見等がありましたら、ご自由にお出しください。 ○清家委員 この報告書の内容については、とてもいいことを言われていると思うので す。1点、書きぶり、あるいはどのように説明するかに関わるのかもしれませんが、こ の報告書、先ほど来からの議論を伺っていまして、基本的には中小企業において必要な 人材を確保し、なおかつ高度な技能を継承していく視点が強く出されているわけですが、 それがそういうプログラムに参加する若者にとって、一体どういうメリットがあるか、 単に現時点で仕事が得られるということだけではなく、長期にわたって彼らのキャリア の上で、どういういいことがあるかが、もう少しはっきり分かったほうがいいのではな いかという気がするのです。先ほど森さんが言われていたかと思いますが、確かに今、 すばらしい技能や継承すべき既存の技術があることは事実ですし、それを現時点で若者 が継承すると、当面彼らにとってとてもいいだろうということもわかるのですが、その 技術が未来永劫にわたってその人にとって有用かどうかは、また別の問題です。その際 に1つ心配されるのは、その技能が要らなくなったときに、若い人たちはその会社ある いは労働市場の中で、キャリアを変えて最後まで職業人生を全うできるのかどうかが、 大企業の場合は技能が変わっても職種転換や技能の再訓練があって可能なのですが、中 小企業の場合は若い人本人や学校の先生、親御さんなどはそういう点が心配になるかと 思います。特に若い人の場合には、これから職業人生長いですから、将来まで踏まえた 時に、こういうプログラムに若い人が参加することにどういうメリットがあるのか、逆 に言うとどういうリスクがあって、そのリスクに対しては、これに参加しましょうと呼 びかけている当事者としてはどのように応えていくのかが、どこかに書き込まれていた ほうがいいのではないか、というのが私の感想です。 ○雇用開発課長 ご指摘はそのとおりだと思います。前回の議論の時に、白木委員、清 家委員から若年者の受け手の観点も少し加えた形でというご意見もありまして、若干デ ータも加えた上で、そうしたことを少しにおわせたつもりだったのですが、まだ不十分 だった部分があるかもしれません。実際には、これはあくまでも人材確保ということで、 当面入口の話になっております。そのあと、入ってからどのように育成して、どのよう に企業が発展していくかの部分は、能力開発施策の話も当然重要になってきますし、産 業振興の話も重要になってくると思います。そうしたことについては、報告書の最後の ほうにも書いてあるのですが、今後とも清家委員が言われたような視点も含め、どうす べきかはいろいろな施策と連携をして考えていかなければいけないと思っています。今 後、そうしたことについては、さらに平成19年度予算も踏まえて議論してまとめてい ければと思っています。 ○長谷川委員 これは「中小企業における技能の受け手となる人材の確保に係る支援に ついて」なのです。書いてあることは何かというと、技能伝承、承継の話で、製造業の もの作りのところが、8割方その話で埋まっているのです。もう1つ全体に言っている のは、中小企業における雇用管理をどうするかの話がもう一方で行われていて、それが 一緒くたで議論されてしまうのです。もの作りの技能の伝承をどうするかということと、 中小企業で見た場合に、技能継承だけではなく、実はホワイトの所もあるわけですね。 そこが全部一緒くたで語られてくるので、どうしても混乱してしまうということです。  対策の方向なのですが、2頁の(1)から○がたくさん書いてある所で、使用者の人 たちが言っているのはよく分かるのですが、どこが、誰がやるかがよくわからないので す。助成金を使って中小企業がやるのか。中小企業と中小企業団体とハローワークがあ って、そこの連携もよく見えません。いろいろ支援するとか学校とのマッチングの話と か書いてあるのですが、それは学校に対して継承中小企業をマッチングさせるとき、そ れは誰がやるのか。ハローワークがやるのか、それとも中小企業の人事担当が学校に行 ってやるのか。ここも具体的なところがよく見えなくて、私も少し混乱しているのです が、積極的に考えれば、中小企業のもの作りのところでの技能の承継、伝承をどのよう にやるのか、そのための人材を確保するための方法かなと、厚労省の起案者の思いで見 ればそうなのですが、私はよくわからないところがあります。必要性はわかるのですが。  もう1つお金の話といえば、これは単発で出てくるので、実際どういうお金があるの かと、それがどのように使われているのかがよくわからないし、これはお金を出すとこ ろの話で言っているわけで、受け手の中小から見ればあちらからもこちらからもという 感じだと思うのですが、そこがよく見えない。特に、今だとお金の問題はいろいろ言わ れているものだから、よく見えなくて、本当に効率的、効果的に使われているのか、も しかしたら利用数が少ないのではないかと、そこはお互いに疑心暗鬼なところがあるの かなと思います。 ○雇用開発課長 まず対象ですが、技能継承といった場合に、データの上からもはっき りしているのがものづくり的な製造業の分野になりますし、実際にやるとしたら、多分 ものづくりの所がかなりの部分を占めることになると思いますので、そういった意味で ものづくりが印象として前面に出る形になっているのかもしれません。ただ、中小労確 法の支援施策の場合は、特に業種の限定はなく、中小企業で横串を刺していますので、 必要な場合については当然のことながらものづくり分野以外の第三次産業も含めたとこ ろで、必要な技能継承、知識継承があれば、それは対象にできると考えています。  それぞれの支援策について、主語がよくわからないという話ですが、これは基本的に 私どもの安定行政の中で対応させていただく部分を書いています。 ○吉澤委員 前回欠席したものですから、発言することはいかがかと思うのですが、感 じている部分を率直に発言させていただきます。大前提となるものは、先ほど入口とい う論議もありましたが、次への発展のステップもあろうかと思いますが、そこを意識し て何を考えるべきかという観点からの発言をさせていただきます。  対象方向、問題の所在にも関わるのですが、全体的に見ると企業の雇用する側からも のを見つめていますが、一方では若者から見た場合の、働きがいというものは自分がや りたい仕事ができること、ここでいいのかとなれば、まだまだたくさん拾うものはある と思うのです。加えて働きがいそのものについては、生きがいとイコール・フィッティ ングですね。そのような分解をするならば、企業という枠を越えて、地域コミュニティ、 ワークバランスにも、誰が支援するかは別にして、見つめるべき視点としてはそこを重 要視するべきではないかと思うのです。その上に立って実態を分析した場合、さまざま な地域の生涯教育といった活用についても、あるならばそこにも踏み込んでいくべきだ ろうし、あるいはそういった所に対して拡充、支援をするならば、そこにも踏み込んで いくべきだと思います。ここで提供している働きがいということの入口は、少し狭いの ではないかと思うのです。冒頭に申しましたが、今回は人材確保に係る支援のスタート ですからこれ以上のことは言いませんが、今日実状を見て、次の年度はどうするのか、 いま言ったことを意識しながら考えてもいいのではないかと思うのです。若者の見つめ 方については、もっといろいろなものがあるのではないかと思います。その辺りの考え 方を是非お聞かせください。 ○雇用開発課長 今回のスケジュール的なことを申しますと、もともと職業能力開発分 科会の方で技能継承の議論をしている中で、人材確保の問題も重要だろうと、雇用安定 分科会でも議論をして欲しいということできたものを取りまとめようといろいろお願い をしています。こうした議論は、もちろん非常に大きな問題も含みますので、そんなに 簡単に結論が出るものではないことは当然だと思っています。今回一定のスケジュール の中で、法改正も念頭に置いておりますので、必要なことを議論して、できるところを 取りまとめるという形で考えています。報告書にありますように、これで議論が済んだ わけではなく、背景の議論も含めて今後さらに必要な対策についてはやっていこうと考 えておりますので、そうした中で必要なご指摘、ご意見をいただきながら、さらに対策 をまとめていきたいと思います。 ○諏訪分科会長 それでは、この問題は考えれば難しい問題を多々含んでいるわけです が、ただいまの雇用開発課長の説明にあった文脈の中で考えますと、我が職業安定分科 会としても、先ほどからの意見を少し入れて多少の修文をした上で、この報告書を労働 政策審議会、厚生労働大臣へと建議をしたらいかがかと考えます。その点はいかがでし ょうか。 ○大橋委員 技能というのは非常に重いものなので、一旦習得したらどうしてもそれに 拘らざるを得ないし、その技能如何によってその人の将来が変わってくることもありま す。そういう状況の中で、結局各組織はできるだけいい人が欲しい。これはどんな組織 でもそうですね。その中でいろいろな需要があって、その中に玉石混淆なのです。それ のどれを選ぶか。選んで結果が悪かった。それに対して責任を持つべきかどうかという 議論が、当然あるはずなのです。働く側からすれば、そういった問題意識でいろいろと ジョブサーチをすると思うのですが、ただ1つ、我々の分科会としてはそこまで責任は 持てない。この支援でやることは、いろいろ玉石混淆あるのですよと、中には大変面白 い仕事もありますよ、やりがいのあるものもありますよ、だからよく調べて選んでみた らどうでしょうか、というぐらいのスタンスで、もちろん技能形成に資する施策を問う ことは大事だと思うのですが、それをやって責任を取れるかと言われたら、責任は取れ ないわけなので、チョイスの幅を広げる。そのための施策として展開していくという立 場のほうが、私は分科会の委員としては気が安らかになる気がするのです。 ○成宮委員 これ自体は、いま委員がおっしゃった立場を超えた書き方をしているわけ ではないと思います。要するにいろいろ機会を提供するとか、中小企業にもこういうも のがあるということを生徒さんにも知ってもらう機会を学校側が提供できるように、支 援をします。そういう機会があって初めて、やはりこれは嫌だというのも含めて、検討 をしていく材料が与えられるということだと思うのです。それを言い出すと、ハローワ ークの仕事は、国がこの業界は将来性があるという所だけ斡旋するということではない わけで、そこまで突っ込んで、あなたの職業はこれですと、国や我々の審議会がもとよ りやるものではないし、これもその範囲の議論にとどまっていると思います。 ○職業安定局長 いま雇用開発課長から施策等考え方のご説明をいたしました。この施 策で中小企業の技能の受け手の人材確保が解決するとか、若い方の生きがいがこれで解 決するというものではなく、技能の担い手の人材の確保が難しい。技能の担い手の確保 を図ると同時に、若い方のこれからのキャリア形成にもつながるその一歩として、何ら かの手伝いをして、それが前に進んでいけばと考えておりまして、これですべてがうま くいくものではないし、これは能力開発施策と併せてもなかなか難しい問題ですので、 私どももできる限りの努力はしていきたいと思っております。ただ、ご議論があったよ うになかなか難しい問題なので、具体化にあたっては、さらに工夫をこらさなければな らないと考えております。 ○諏訪分科会長 多々難しい問題が含まれておりますし、しっかりと検証するようにと いう強いご発言もありました。また、若者の将来にわたるキャリアの問題などに対して も、しっかりと考慮に入れなければいけないというご指摘等も受けましたので、この報 告書の部分的な修正をした上で、これを採択し、労働政策審議会から厚生労働大臣へ建 議する形で処理をしたいと思います。それにあたっては、できましたら文言の修正等は 分科会長にご一任いただければと思うのですが、そのような処置でよろしいですか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございました。では、そのようにしたいと思います。労働 政策審議会の会長宛に、その旨ご報告いたします。  それでは、事務局から報告文(案)をお配りいたします。 (報告文(案)配布) ○諏訪分科会長 報告文(案)は、いまお手元に配布されたとおりです。このような文 案でよろしいでしょうか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございました。では、このように報告をいたしますが、こ の分科会の中では前回、今回とかなり厳しいご指摘がありましたので、事務局のほうに は十分にそれを受け止めて、今後、行政にあたっていただきたいと思います。よろしく お願いいたします。  次の議題に移ります。「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案要綱(職 業安定法関係部分)について」です。事務局からご説明をお願いします。 ○総務課長 資料No.3でご説明します。1枚目は諮問文で、いわゆる市場化テスト法の 職業安定法の関係部分についての諮問です。諮問の内容につきましては、次のホチキス で止めた2枚紙ですが、最後に1枚紙で「市場化テスト法の概要」というものが入って おりまして、それで市場化テスト法がこんな法律だということをご報告した上で、安定 法の特例部分についてご説明します。  最後の1枚紙ですが、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の概要で す。これは、国の行政機関が行う公共サービスについて、民間で行うことができるもの は民間に委ねるという観点から、いわゆる市場化テストを行うものです。  法律体系としては、1の骨子の下に(1)公共サービス改革基本方針とあります。内 閣総理大臣が、官民競争入札、市場化テストの実施方法、実施後の評価の方法を決める、 基本的な考え方を決めるということがあります。これを決めるにあたっては、(6)官 民競争入札等監視委員会というものがあります。これは、内閣府の中に民間の専門家の 方に入っていただいた委員会を作り、そこで入札の方法や評価についての考え方を整理 する機関です。こういったところの議を経て、閣議の決定を求めるということで、(1) の公共サービス改革基本方針自体は、第三者機関の議を経て閣議の決定を求めるという 整理になっております。  (2)官民競争入札の実施です。ア、官民競争入札実施要項等と書いてありますが、 具体的な入札の実施方法の詳細については、各省の大臣が決めることになっています。  イでは、官民競争入札への具体的な参加について、ウでは落札者の決定について書い てあります。落札者の決定については、評価基準に従って最終的に落札者を決めるので すが、3行目のところにありますように、「原則として(6)アの機関が行う評価を踏 まえるものとする」ということで、第三者機関の評価を踏まえて落札をするという考え 方になっています。  (3)民間事業者が落札者となった場合の公共サービスの実施については、簡単に言 うと契約どおりやるということが書いてあります。その上で、ウのところに「監督」と あります。市場化テストの対象になった仕事について、民間の方が実施されるときには、 各省の大臣が指導・監督をするということが書いてあります。  エは、法令の特例です。市場化テストを実施するにあたって、できるだけ公的機関が 実施する場合と民間が実施する場合でルールが同じ形になるように、特例規定を作ると いうものがあります。今日ご議論いただくのは、この特例規定の部分です。  いちばん下に、2、留意事項ということで、(2)閣議決定希望時期と書いてありま すが、いま内閣府では2月7日閣議を目指して作業をしています。法案については、予 算関連法案で通常国会に提出される予定で、早ければ5月に通るということです。施行 日については、いまのところ7月1日施行を想定した作業をしているようです。その後 の段取りは、入札の実施については今年の秋後半ぐらいが想定され、実際に民間で落札 した事業主の方が事業を開始するのは、平成19年4月と、この法律上想定されていま す。  以上が法律の概要ですが、それを前提として要綱の説明をします。2枚紙で「競争の 導入による公共サービスの改革に関する法律案要綱」という縦書きのものです。  1、「次に掲げる公共職業安定所の業務を実施する民間業者であって、特定業務を実 施する施設において職業紹介事業を行うものは、職業安定法第30条第1項の許可を受 けた者でなければならないこととすること」とあります。次に掲げる業務というのは、 (1)はいわゆる人材銀行という、専門的な仕事、管理的な仕事について職業紹介を行 う機関ですが、人材銀行において行う職業紹介、職業指導及びこれらに付随する業務で す。  (2)は、キャリア交流プラザと呼ばれている機関で、事業の運営に関する事項につ いて企画、立案、調査及び分析の業務に就く職業に就職を希望する45歳以上60歳未 満の者、ホワイトカラー系の方を指しております。その他厚生労働省令で定める者、こ れは壮年技術者や長期失業者を指していますが、そういう方を専ら対象として職業の選 択及び労働市場の状況に関する理解を深めさせることにより、就職活動を行う意欲を増 進することを目的とする施設、キャリアカウンセリングやセミナー、中高年齢者の方の 経験交流を通じて働く気になっていただくための機関です。  こういう機関で職業紹介を行う場合については、職業安定法第31条第1項の許可を 得なければならないということで、これは当然のことを確認する規定です。有料職業紹 介事業の許可を得る必要があるということです。有料職業紹介事業の定義については、 職業安定法上の報酬を得てやれば有料職業紹介事業という定義になっており、どこから 報酬を得ても有料職業紹介事業という整理です。民間の機関が国から委託を受けて事業 をする場合も、同じように有料職業紹介事業になるという意味で、有料職業紹介事業の 許可を得ることが1です。  その上で、2として「1の民間事業者が、特定業務を実施する施設において職業紹介 事業を行う場合において当該職業紹介事業に関し国以外の者から手数料又は報酬を受け ないときは、当該職業紹介事業については、職業安定法第32条の11の規定は適用し ないこととすること」と書いてあります。32条の11という規定は、有料職業紹介事 業は建設、港湾の現場作業の職業紹介が禁止されていて、その禁止を解除するという意 味です。  元に戻ると、1の(1)(2)の事業の運営において、国からの委託に関わって行う 場合、国以外からは一切報酬を受けない場合は、公設民営の形での市場化テストの実施 ということで、建設、港湾の現場作業の職業紹介も可能とする。国の人材銀行、国のキ ャリア交流プラザと同じ考え方で整理するというものです。  2頁目は、これ以外の詳細なこと、具体的な事項や手続的なことについては厚生労働 省令で定めるということを書いたものです。併せて若干付言しますと、(1)の人材銀 行は、昨年の12月の規制改革・民間開放推進会議の年末の第二次答申の中で、市場化 テストの対象にすることが提言されており、それを最大限尊重するという閣議決定が行 われております。その中では、人材銀行12カ所のうちの3カ所について市場化テスト をする形になっています。(2)のキャリア交流プラザについても、同じように最大限 尊重する形で市場化テストの対象になっており、15カ所のうち8カ所を対象にするこ とになっています。この特例規定は、いま申し上げた市場化テストを実施する際の官民 の差をできるだけなくすという考え方で規定するものです。以上です。 ○諏訪分科会長 ありがとうございました。それでは、本件についてのご質問、ご意見 等がありましたらお願いします。 ○長谷川委員 私の理解がいいかどうかも答えてほしいのですが、人材銀行とキャリア 交流プラザについては、無料職業紹介を行うことができると、平たく言えばそういうこ とでいいのですか。 ○総務課長 市場化テストというのは、国がやっている人材銀行、キャリア交流プラザ の仕事を民間の方に試験的に委託してやっていただくという整理です。民間の方に委託 した段階で、報酬を民間の方が得られるということですので、職業安定法上は有料職業 紹介事業、民間の方が国から報酬を得て事業をされるときは有料職業紹介事業と整理さ れます。ですから、整理された上で建設なり港湾の現場作業的なことが仮に職業紹介の 対象に入るとすれば、そういうことはできないことになりますので、それをできるよう にするのがこの要項の中の2の部分です。 ○長谷川委員 私の認識が不十分なのか、私の解釈が間違っているのかわからないので すが、これ、ILO条約の88号条約がありますね。職業安定組織の構成に関する。こ れに抵触はしないのですか。 ○総務課長 ILO88号条約、職業安定組織の構成に関する条約がありまして、全国 ネットワークで無料で、セーフティネットとしての職業紹介に関する業務については、 国が公務員の方が従事する形で実施するということが定められています。そういう条約 に従って、今、ハローワークのセーフティネットが張られているわけです。その条約の 中で、条約の対象となる業務が、職業紹介等、求人の受理、求職の受理等の業務です。 そういった業務以外の委託については条約違反にはならないということになります。  この中で(2)のキャリア交流プラザについては、国から委託する委託内容自体は、 キャリア・カウンセリングだとかセミナーとか、経験交流といった職業紹介ではない仕 事の委託をするということですが、ただ、報酬の設定について、就職をされた方の数が 増えれば増えるほど報酬を上げるという仕組みになっています、その就職をされる方を 増やすために、事業主の方が職業紹介をしてもいいという形になっています。もちろん 有料職業紹介の許可を取っていただいている必要があります。その職業紹介をしてもい いという形で職業紹介をされるときに、建設なり港湾の現場作業についての禁止を解除 するというのが(2)です。ですから(2)については、委託業務自体が職業紹介等が 入っていませんので、ILO条約上の問題は起きないことになります。  (1)の人材銀行については私どもはこういう解釈をしているのですが、全国ネット の職業紹介というもの、ハローワークが一般的にやっているものは全部そうです。例え ばAというハローワークで求人を受けたら、Bというハローワークで求職者がそのAと いう求人を使って職業紹介を受けることができる。逆にAというハローワークで求職申 込みをすれば別のハローワークの求人網を使って職業紹介を受けられるということで、 とにかく網の目状の全国ネットワークの職業紹介が活用できるというのが通常のハロー ワークです。  ハローワークの関係機関について精査しましたが、人材銀行だけが例外的な存在でし て、人材銀行については、民間の職業紹介所と割りと似たような運営形態になっていま す。例えば東京の有楽町の交通会館に人材銀行があるのですが、東京の人材銀行で受け る求人については、東京の人材銀行で受けた求人のみを使って職業紹介をする。求職者 については、東京の人材銀行で受けた求職者のみについて、そのマッチングを図るやり 方です。  こういう分野の職業紹介については、単に機械で検索して職業紹介に係るアドバイス がきめ細かでなくてもいいというと語弊がありますが、本当に丁寧に時間をかけてやら なくてもマッチングができるようなものと全然違って、本当に求人の内容、求職者の具 体的な技能、能力などについて、紹介の担当者が十分知った上でないと効率的な、合理 的な職業紹介ができないという特徴があります。閉じた形での職業紹介です。ですから ILO88号条約で書かれている全国ネットワークの職業紹介とは違うもの、唯一のも のという理解です。ですからこれ以外のものについては、市場化テスト等の対象になる のは難しいのではないかというのが現在の私どもの考え方です。  ○長谷川委員 私はまだ課長ともちょっと見解を異にしているのですが、いま言われた のが1条、2条の話をしているのだと思うのです。私は88号条約の1条、2条、3条、 9条にも抵触するのではないかと思うのです。国際条約は批准していないからって、そ ういうことでいいのかということです。 ○総務課長 ILO条約は、私どもはこの条約を批准しているものですから、当然守ら なければいけない、これは憲法上の義務です。ですから条約の解釈については相当慎重 に行っているつもりですが、88号条約の2条で「職業安定組織は国の機関の指揮監督 の下にある職業安定機関の全国的体系で構成される」ということになっています。その 「全国的体系」という整理を必ずしもする必要がない唯一の機関であるということで整 理しているのが人材銀行です。これ以外の組織については、なかなか難しいのではない かという判断を私どもはしております。人材銀行については可能ではないかということ で考えています。 ○長谷川委員 本来は条約批准国は条約はまず守らなければならない。これは日本はそ ういう国際条約を守っていく。国際条約に抵触するような国内法というのは、私は作る べきではないと思っています。課長とは若干私は意見が違うと思うのですが、ぎりぎり のところでこの人材銀行は解釈しているのだと思うのですが、私は抵触していると思っ ています。したがってこれ以上、こういうものは拡大するとかいうことに対しては、今 後一切認めるべきではないとは思っています。  それとやはりハローワークが果たしている役割について、もう少しきっちりと認識し てほしいと思っています。ハローワークを使わないで就職された方はハローワークの重 要性はわからないと思うのですが、私の兄弟とか親戚とか、私の友人たちはハローワー クを活用しているわけです。地方に行けば行くほどそういう役割を果たしているわけな ので、そこは十分に認識してほしいと思います。  もう1つ、私、今日の審議がよくわからないのです。ここの分科会には「競争の導入 による公共サービスの改革に関する法律要綱」の市場化テストに対するハローワーク関 連業務だけなのですが、本来はそもそも論の所に、一括法案である「競争の導入による 公共サービスの改革に関する法律案について」も、本当は骨子の基本方針から、本来は 審議会の中で議論をしてほしいと思っているのです。しかし、この分科会ではこの項目 しか審議できないとすれば、全体の中でのこの法律の占める内容について議論できない というのは、私は問題があると思っています。 ○総務課長 いま長谷川委員がおっしゃったことは、本当にもっともなこともたくさん ございますが、まず、当分科会の審議事項との関わりについては、職業安定法の関係に ついての議論ということで、市場化テスト法の全体像の説明なりが不十分な点はあるの かもしれませんが、ご審議いただくとすれば、市場化テスト法を前提として職業安定法 の特例部分についてご議論をいただくと、形式的にはそういうことになるのだとは思っ ています。  ただ、前提部分の説明については、いま御報告いたしましたが、今後ともこういった 案件について十分背景事情も含めて、あるいは関連の規定も含めて十分説明をした形で 対応させていただくように工夫はしていきたいと思っています。今回ちょっと説明が不 十分な点があったかもしれませんが、そういった点についてはお詫びしたいと思います。  ○諏訪分科会長 ほかにご質問ご意見等ございますか。ほかに特にないようでしたら、 当分科会としましては、ただいまの議論等を踏まえまして、「競争の導入による公共サ ービスの改革に関する法律案要綱(職業安定法関係部分)」については、これを「おお むね妥当」と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、 よろしいでしょうか。 (了承) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それでは報告文の案をお配りさせていただき ます。 (報告文(案)配布) ○諏訪分科会長 ただいまお手元に配布させていただいたとおりでございますが、これ でよろしいでしょうか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それではそのように報告をさせていただきま す。時間が迫っていて大変恐縮でございますが、次に議題のその他の1点目としまして 「介護雇用管理改善等計画の改正について」です。事務局から手短にご説明いただけれ ばと思います。 ○需給調整事業課長 本件は介護雇用管理改善等計画の改正について、当分科会におけ る検討をご依頼するのが主題です。資料はNo.4です。資料の2頁以降は法律の条文、ス キーム、現行計画を付けておりますが、説明は割愛させていただきます。  1頁の1に、本日の主題を書いていますが、内容的には介護労働者の雇用管理改善の 法の規定に基づいて、厚生労働省大臣が中期的な数カ年計画を定めることとされていま す。これについては後ろに付いていますが、現行の計画があります、この計画は当分科 会においても昨年の1、3月に具体的には雇用対策基本問題部会においてもご議論をい ただいた上で、当時16年度末までの計画となっていたものの、計画の改定をお図りし、 ご審議いただいて改定をしたところです。  結果は現行の計画では、内容を一部修正の上、計画期間を平成17年度から21年度 までの5年間の計画としているのですが、なお書きとしまして、計画期間の所にも介護 労働者の資格要件等を含めた介護保険制度や障害者保健福祉制度の見直しが行われてい るということから、その結果等に十分留意しつつ、必要な見直しを行うという形で計画 の中にも記載しています。既にご承知のとおりですが、昨年、介護保険法の改正等が行 われ、この4月からの施行ということでいま担当局でも準備がなされている等の動きが ありますが、この計画の書きぶり等も踏まえまして、その結果の中身に十分留意しつつ、 必要な改正を行うことといたしたいと考えています。そのための検討を当分科会にご依 頼をするものです。  事務局としては、2に検討のスケジュールについてこのような形で行わさせていただ ければという案を示しています。内容的には本日の検討依頼をさせていただいたことを 受けまして、先ほど申し上げましたように、前回と同じく本件について雇用対策基本問 題部会において、2月から3月にかけて、具体的な検討、諮問案についてのあらかじめ の検討をいただいた上で、3月中に当分科会に対して、改めて諮問をさせていただくと いうことで進めさせていただければということです。事務局からの説明は以上です。よ ろしくお願いいたします。 ○諏訪分科会長 この件につきましてご質問ご意見等がございますか。これは本日の議 論も踏まえてというのが本来の趣旨でしたが、いずれにいたしましても具体的内容につ いては、諮問案も含めて当分科会の雇用対策基本問題部会において審議をしていただく ことになります。その結果が取りまとまり次第、当分科会でご報告をいただくというや り方になろうかと思うのですが、このように取り計らわせていただいてよろしいでしょ うか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございました。では、そのように進めさせていただきます。 議題のその他の2点目として、「雇用保険制度の見直しについて」です。事務局の説明 をお願いいたします。 ○総務課長 資料5を使いまして説明をさせていただきます。最近の動きと今後の対応 についてです。最近の動きとして、表紙に財政審議会の動きと自民党の行革本部の動き、 政府決定と3つ書いてあります。別紙1が財政審の11月21日の報告です。これにつ いては下のほうの線を引いている所ですが、雇用保険三事業については、「事業そのも のの必要性にまで遡り、それぞれの事業の廃止を含めた見直しにより、事業全体の更な る縮減・合理化を厳しく行っていくべきである」というご指摘をいただいていますが、 この財政審報告におきましては、更に国庫負担の問題についてもご指摘がありまして、 「雇用保険制度の根幹である失業等給付が労使の共同連帯による保険制度であること や、諸外国による国庫負担率に鑑みれば、雇用保険制度全体についても、国負担の在り 方も含め見直しを検討すべきである」ということで、国庫負担の在り方の見直しと絡め まして、雇用保険制度全体について見直しを検討すべきだという指摘があります。  次頁、別紙2です。これは財政審の建議です。同日付けです。その中で下のほう点が 3つ付いているその下の辺りですが、「特に雇用保険三事業については、真に雇用・就 業に資するかどうかという観点から、事業の性格を踏まえ、事業ごとの定量的な成果目 標を設定した上で、実績について厳格な事後評価を行い、事業の廃止を含め厳しく見直 しを行う必要がある」とされた上で、その下に「また」書きでは報告と同じような指摘 があります。  別紙3です。12月21日の自民党行革本部の特別会計整理合理化計画骨子(抄)で すが、この中でも(4)で労働保険特別会計として、労災保険とセットで書かれているので すが、「原則として純粋な保険給付事業に限り本特別会計にて整理するものとし」、「雇 用保険三事業については、廃止も含め徹底的な見直しを行うものとする。また、失業給 付事業における国庫負担の在り方については、廃止を含め検討するものとする」という 書き方になっています。  別紙4では、この自民党の行革本部の書きぶりと同じ書きぶりで、閣議決定がなされ ています。「行政改革の重要方針」ということですが、文章は基本的に同じです。こう いった動きもありましたので、私どもとしてはこれらの課題についてスピード感をもっ て検討を進めたいと考えています。  今後ですが、前回の雇用保険制度の改正に際して、平成14年12月に、当分科会に 雇用保険部会から報告をいただいています。その報告の中には「今後の課題」というこ とで、相当たくさんな検討課題、見直し課題が盛り込まれています。そういった課題に ついては、雇用保険部会で検討をしていただくことになっているのですが、そういった 課題も含めて、雇用保険制度の在り方全体についての見直し検討を雇用保険部会でお願 いしたいと考えています。  このうち雇用保険三事業については、雇用保険部会の審議に資するように、事業主団 体の方の参画を得て、個別事業の精査をした上で、個別事業の見直し、整理案、それか らその個別事業の見直しを踏まえた再編案を作成していく。それを参考にしていただい て雇用保険部会でもご議論をいただくという形をとるのがいいと思っておりまして、そ ういうやり方をしたいと思っています。以上です。 ○諏訪分科会長 いろいろご質問ご意見等あろうかと思いますので、お願いいたします。 ○市川委員 趣旨はわかりますが、今回閣議決定等出されているのは、特に失業給付、 いわゆる雇用保険の根幹に関わる非常に重要なことが指摘をされているわけでして、単 なる従来の失業給付率が高くなってどうしようかとかいうことではない、幅広く雇用対 策あるいは社会保障全体という事柄も議論が必要な課題ではないかと思います。雇用保 険の問題は雇用保険部会ということだけではなくて、幅広くこの分科会あるいはもっと 上の部隊といいましょうか、それを含めて、そもそも雇用保険の我が国における在り方 はどういうものがいいのだということも含めて、広い議論をお願いしたい。ただ単に特 別会計の在り方としてどうだとか、国庫負担がどうだというお金が行ったりきたりとい う議論に矮小化していただきたくないなということは、強く要望したいと思います。  ○諏訪分科会長 ほかにいかがでしょうか。それではただいまのご意見等も踏まえまし て、今後、当分科会の雇用保険部会において、雇用保険制度の在り方全体についてご検 討をいただき、必要に応じ当分科会に検討状況についてご報告をいただくことにしたい と思います。これ以外に何かございますか。よろしいですか。それでは時間が少し延び てしまいまして大変恐縮でしたが、山盛りの議題でしたので、是非ご寛容いただければ と思っております。以上をもちまして本日の分科会を終了させていただきます。 (署名委員氏名)  本日はお忙しいところご参加いただきまして、大変ありがとうございました。 (照会窓口) 厚生労働省職業安定局総務課総務係 TEL:03-5253-1111(内線 5711)