06/01/18 第8回「子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会」議事録                    第8回        子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会        日時:平成18年1月18日(水)15:00〜18:00        場所:中央合同庁舎第5号館5階共用第7会議室 1.開会 ○事務局/母子保健課長補佐  定刻となりましたので、ただ今から、第8回「子どもの心の診療医の養成に関する検 討会」を開催します。本日は委員12人がご出席で、ご欠席の委員は齋藤委員、伯井委 員、西田委員、森委員です。本日は18時までの3時間を予定しております。それでは 裄V座長よろしくお願いします。 ○裄V座長  それでは、議事を進めさせていただきます。母子保健課長補佐から話があったよう に、3時間ということですので、いつもより突っ込んだ議論もできるかと思います。  なお、委員の先生方のところにはコピーが置いてあると思いますけれども、平成17 年12月15日付で「座長メモ」を送らせていただきました。「座長メモ」には今後の 方針について非常に簡単にまとめたものが記されておりますので、本日とこれからの議 論もこれに沿って進めていきたいと思います。  それでは、事務局から簡単に資料の確認をお願いします。 ○事務局/母子保健課長補佐  それでは順番に確認させていただきます。まず、座席表がありまして、クリップ留め の資料の1枚目が「会議次第」、それから資料の一覧表が3頁目にありますので、こち らに沿って確認させていただきます。  資料1は検討会の開催要綱と委員名簿ということで5頁から、9頁の資料2が検討会 のスケジュールとなっております。  資料3が「「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会報告書(たたき台)」とな っており、これは11頁〜55頁までとなっております。この資料3は、前回の第7回 検討会での「「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会報告書骨子」に対して、委 員の先生方からいただいた様々なご意見を盛り込んだ形で事務局でたたき台として整理 をしたものです。こちらは11頁に目次がありまして、本文が13頁から始まっており ます。これに29頁から別紙資料ということで別紙1〜4まで4種類付けております。  この資料は後ほどご説明させていただきますが、33頁の別紙2をご覧いただければ と思います。これは「アンケート調査結果:「子どもの心の診療医」の養成に関する関 係者の取組について(未定稿)」で、検討会にご出席いただいております委員の皆さま が代表されている学会、医師会、協議会等それからナショナルセンター等の関係団体 が、この「子どもの心の診療医」の養成に関連して実施されている取り組みに関するア ンケート調査を昨年末に行い、ご回答いただいたものを一覧にまとめたものです。この アンケート調査については、改めてご協力に感謝申し上げます。  この他、今回は参考資料として何種類かの資料を用意させていただいております。別 綴じの参考資料1については、ただ今、申し上げたアンケート調査結果の中で自由記載 欄を設けましたが、これについて様々なコメントをお寄せいただきましたので、ここに 記載された内容について一覧として用意したものです。  参考資料2には各委員の皆さまのコメントをそのまま載せており、今回は全国医学部 長病院長会議会の吉村委員、日本小児神経学会の神山委員、日本児童青年精神医学会の 牛島委員、日本精神神経学会の山内委員からご提供いただいているご意見・資料を載せ ております。  また、今回は第6回検討会議事録と第7回検討会議事録を付けておりますが、この議 事録については厚生労働省ホームページで随時掲載しており、第6回の議事録は掲載済 みです。それから第7回議事録については1〜2週間後に掲載予定です。  最後に、資料とは別の扱いですが、委員の皆さまの机の上には「座長メモ」と「事務 局メモ」を用意させていただいております。配布資料は以上です。 ○裄V座長  どうもありがとうございました。資料の方はよろしいでしょうか。  検討会も今回を入れてあと2回になりますが、まず初めに、事務局の母子保健課長か ら本検討会の今後の進め方と今後の厚生労働省の対応についてお話をいただきたいと思 います。 ○母子保健課長  多少遅くなりましたけれども、本年もよろしくお願いします。早速ですけれども、た だ今、座長からもお話がありましたように、今後の進め方について簡単に説明したいと 思います。  最初に少し簡単に事務的な話をしておきますと、平成18年度の予算は国会の審議を 経ないと何とも申し上げられないのですけれども、この検討会については、来年度以降 も実施するということで、予算も確保できたのではないかと考えておりまして、今年度 に引き続き、来年度つまり4月からもご議論いただければと思っている次第です。そう したことも含め、来年度については、例えば実際に養成を行うためのカリキュラムその ものであるとか、あるいはモデル的な研修の実施などもお願いしなければならないかも しれません。これについては、また後ほどお話をさせていただきますけれども、まだ十 分議論が進んでいない部分についても引き続きご議論いただくことも必要になるのでは ないかと思います。  そうした来年度の話は少し置くとしましても、今年度は、3月8日を最終回とするな らば、あと2カ月余りあるわけですけれども、残されたこの間、どういう方向性でお願 いするかということをご説明したいと思います。  先ほど、ご案内しましたように、平成17年12月15日付の裄V座長の名前で出し ました「座長メモ」がお手元にあると思いますので、その2枚目をご覧ください。これ は、年末に裄V座長と厚生労働省の中で相談させていただき、来年度についてのおおよ その見通しを持った上で、今年度の報告書をどうするかということで話をさせていただ いた内容です。そういう意味で、裄V座長のお名前を借りて先生方にメモを送らせてい ただいたわけです。僭越ながら、座長に成り代わりまして、もう一度説明をさせていた だきます。  「検討会報告書の位置付け」でございますけれども、ただ今、申しましたように平成 18年度以降も行うという認識で進めますので、報告書を平成18年3月8日あるいは 3月中に出すと申しますのは、考えられることを全部盛り込んでしまわなくても大丈夫 です。逆に言いますと、合意いただいたものを中心に書くということでお願いできない かということです。  ですから、座長メモの1の(1)にありますように、平成17年度にきちんと議論が されたものを取りまとめていただけないかということです。それから(2)は、厚生労 働省に対する要望書という位置付けではなく、あくまで厚生労働省と検討会の委員が共 同で作業をしたものであると。これならば各学会の先生方も、あるいは厚生労働省も実 行できそうであるということで記載していただくということだろうと思います。  そういう位置付けに則って今年度中の報告書の体裁や構成について、年末から年始に かけてのお忙しい中で、たくさんの先生方からたくさんの意見をいただいたのですけれ ども、残念ながら、それをこの場でご議論いただく時間は十分なかったのではないかと 思いますし、今後もないと思いますので、2の(1)にありますように、議論の結果、 意見の一致をみたところを中心にまとめざるを得ないということになります。それでも なお、やはり書いておかなければ忘れてしまう、備忘録風、意見集風に残した方が良い というところについては、例えば末尾を「〜が期待される」、「〜との意見があっ た」、あるいは整理の仕方として意見集、参考意見集など、そういう色々な方法がある だろうと思います。  2の(3)以下も見ていただく通りです。事業や施策で仮に意見の一致をみたとして も、主語をはっきりと「誰が、いつまでに、どういう方法で」、例えば予算を取るのか 取らないのかということもあるかもしれません。その辺りをはっきりさせていただきた いということです。  それから2の(5)ですけれども、予算などの裏打ちがなかったり、非常に難しいと いうものについては、やはり厚生労働省の名前も入って全国に出て行くことになります ので、書けない部分が出てくるであろうと思います。そういった部分については、「厚 生労働省に一任する」と書いておりますが、座長とよく相談をさせていただいた上で、 どうしても書かなければいけないというところを除いて一任していただければと思いま す。  それから、事務局として今年度の報告書でぜひ書いていただきたいのは3の(1)〜 (4)です。これは異論のあるところとは思います。これまでの議論を見ていても、 (2)〜(4)が並行してきちんと議論されなければ意味がないのだという話もありま したが、勝手を申し上げれば、できるところから着手したいという思いも強いものです から、3の中でも特に(2)あるいは(3)の一部を中心にご議論いただいて、それで (1)や(4)についても意見のまとまった範囲で書いていただくという感じでお願い できればと思っています。最後の3行の来年度以降のお話は、冒頭に申し上げましたの で省略させていただきます。  いずれにしましても、本日を入れてもあと2回という中で、本日と3月8日について は、これまでは比較的自由にご議論いただいた部分があったのですが、できることなら ば、検討会での位置付けや今年度の一つの区切りということを念頭に置いてご議論いた だければと思います。  この他にも「事務局メモ」と左側に書いた資料を準備しました。これは後ほどご議論 いただくものと重複しますので説明は差し控えさせていただきます。  最後に、今、申し上げました内容に関連して、第9回検討会資料の18頁〜22頁に 黒枠で囲んだ部分があります。今年度中には決着していただきたい部分は、一目瞭然に なるように黒枠で囲んでおりますので、その部分については、ぜひご議論いただきたい ということで、進め方について座長ともご相談させていただいた上でご提案申し上げる 次第です。よろしくお願いします。 2.報告書(たたき台)について ○裄V座長  ありがとうございました。ただ今、母子保健課長から来年度も検討会を継続するとい う方針を伺いました。そして今回の検討会で最終的に取りまとめるべき報告書の内容、 議論の進め方についての確認が行われました。  母子保健課長からのご説明について何かご意見、ご質問はありませんでしょうか。よ ろしいでしょうか。  それでは、ただ今、ご説明のあった方針に従って、今回また次回の、残された2回の 検討会を進めていきたいと思います。  今回は、前回の検討会で提示された報告書の骨子に関する議論を踏まえて、検討会の 報告書を取りまとめることを目標に議論していくこととなるわけですが、「子どもの心 の診療医」の養成方法に関する、さらに詳細な検討を進めたいということでそれに沿っ た報告書のたたき台を事務局に作成していただいたわけです。  今回の資料3「「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会報告書(たたき台)」 ですが、これからは、そのたたき台を使って議論を進めたいと思います。  それでは、まず資料3の内容について事務局から説明していただきたいと思います。 ○事務局/母子保健課長補佐  資料3の説明をさせていただきます。これについて、前回の第7回検討会の骨子の後 にご意見をいただきまして、それをどのような形で反映させ、今回のたたき台の作成を 行ったかということで、委員の先生方のお手元には資料3とは別綴じで「事務局メモ」 があります。その「第8回検討会における報告書(たたき台)の構成について」という メモに沿ってご説明させていただければと思います。  まず、第一に目次(11頁)を追加しております。このたたき台の中では「はじめ に」のところに多数のご意見をいただきましたので、検討会の目的、それから開催経緯 であるとか議論の過程で合意されてきた事項について、今回その方向性を追加しており ます。  また、これまで呼称の件で色々とご議論いただいておりますが、三つの医師のグルー プを、なるべくわかりやすく表記するように試みて修正しております。その結果、逆三 角形のイメージ図の三つの医師グループの呼称のことですが、この検討会では便宜上、 「1 一般の小児科医・精神科医」、「2 子どもの心の診療を専門とする小児科医・ 精神科医」、「3 子どもの心の高度専門的な診療に携わる小児科医・精神科医」と、 なるべくわかりやすくなるような形で呼称の表記を改めております。  次に、以前は骨子案の中で「II.基本的な方向性について」という項目がありました が、こちらは重複しておりましたので、「I.はじめに(13頁)」に盛り込んでいま す。  それから「子どもの心の診療医」の現在の数、また診療の需要とのギャップに関して の定量的な記載は、色々なご意見をいただきましたが現時点では困難ですので、今回 は、お手元の資料の「I.はじめに」のところ、14頁の後段に注釈として、別紙2 (33頁)のアンケート調査結果、関係者の取り組みですとか、委員のご意見、関係学 会からの学会員の数等を勘案して推計を掲載しております。それが、小文字で 「(注1)」という形で記載しているものです。  それから、15頁からの「II.「子どもの心の診療医」の養成の現状」のところです が、こちらの中にはまず第一に大学の現状に関して牛島委員から大変貴重な資料を提供 いただきました。これは17頁に盛り込ませていただいておりまして、大学の現状につ いて牛島委員の調査研究内容を記載させていただいております。  それから、日本精神神経学会と日本小児科医会からは、基本的に精神科それから小児 科の一般医のための取り組みが中心となっているとのご意見を受けて、「1.一般の小 児科医・精神科医のための研修の現状(15頁)」にその取り組みを移動させていただ いております。  同様に、日本精神科病院協会の研修については、当初、「2.子どもの心の診療を専 門とする小児科医・精神科医のための研修・生涯教育の現状(16頁)」に記載してい たのですが、これについては基本研修コースを行っていて、且つ今後アドバンスコース を設ける予定であるということから、「1.一般の小児科医・精神科医のための研修の 現状」と併せて、「2.子どもの心の診療を専門とする小児科医・精神科医のための研 修・生涯教育の現状」の両方に入れさせていただいております。  具体的には16頁上段の「(3)生涯教育の現状」の1)の、正式名称「厚生労働省 補助金事業」で日本精神科病院協会において行われている研修に記載したのと同様に、 「2.子どもの心の診療を専門とする小児科医・精神科医のための研修・生涯教育の現 状」(16頁の後段)にも同じものを(1)として両方に載せております。  次に、17頁から始まる「III.「子どもの心の診療医」の養成のあり方」ですが、 これまで先生方からいただいた議論をもとにサポートチームで作成していただいた 「A 教育・研修の到達目標」の全文を別紙3(43頁)として添付しております。非 常に量が多いことから本文中には省略しております。  また、「到達目標」について神山委員からご意見をいただいておりますので、これを 取り入れた形で事務局サポートチームの先生方に修正していただきました。  それから、「B 養成のための方法(18頁下段)」は全般的に委員の先生方のご意 見、それから事務局サポートチームのご意見をもとに全体的に充実させております。  この養成のあり方については、前回の第7回ではさらにその内容を細かく項目立て、 養成方法を、「当面の対策」、「中長期的対策」、「養成研修の実施体制の整備」、 「その他の意見」といった形で分けて記載していたのですが、これについては、いずれ の三つの医師グループについても、項目間における記述の差異が必ずしも明確ではなか ったので、今回は一括して「B 養成のための方法」ということで取りまとめておりま す。なお、最大限どのような形式の研修が必要で、その実現のためには誰が何をするの かといったような流れが、なるべくわかりやすくなるように記載することを試みており ます。  また、18頁の医学部教育についての養成のあり方のところでは、吉村委員のご意見 をもとに記載しております。  今回、全体的な修正事項としては、事務局サポートチームの奥山先生、齋藤先生、そ れから宮本先生と市川先生にご相談しておりまして、特に奥山先生に養成研修のモデル イメージを作成していただいております。これを別紙4(55頁)ということで付けて おります。この資料綴りの一番最後の頁でカラーの資料のことですが、これが3グルー プの医師に関しての「子どもの心の診療医」の養成研修コースモデルのイメージという ことです。これに合わせた形で、本文中に各々の医師グループの研修モデルについての 記載を盛り込んだ形にしております。  ここまでが本文についてでして、ただ今、申し上げた変更及び修正を行った箇所をご 覧いただいて、ご指摘いただけるようにと思い、この「事務局メモ」の後ろに、カラー コピーのブルー、実際のトラッキングモードで前回からどのような点を変更しているか というところを、念のため付けております。これが本文についての部分です。  続きまして、簡単に資料編をご説明させていただきますが、資料としては4点付けて おります。まず、別紙1(29頁)の「「子どもの心の問題」の例(受診理由と診断 名)」。これは検討会の初期のころに議論が行われたものでして、もちろんすべての子 どもの心の問題を網羅しているわけではありませんが、例示としてどういった領域を扱 っているかということで添付しております。  それから別紙2(33頁)は、先ほどご案内のアンケート調査結果で、横置きになっ ております。まず第1欄につきましては、学会と各組織の会員について、その構成と、 逆三角形の3つのグループの医師が、それぞれどれくらいの数おられるか、ア・イ・ウ という形で回答した団体ごとに記載をしております。  それから少し飛びまして第3欄にはこれまでの研修関連の、特に子どもの心の問題に 関しての研修関連の取り組みでございまして、今回はなるべく講習会、セミナー、また 認定資格の取得者などの数が、定量的にわかるような形で記載をしております。平成1 5年度から平成17年度の対象者数、これについての受講者または認定者が実際にどれ くらいあったかということも、可能な限り記載をしていただいています。  また、同じ表の第4欄には、「今後の取り組み(アクションプラン)」についてとい うことで、アンケート調査をしました結果を掲載しております。こちらについては可能 な限り、「子ども・子育て応援プラン」の実施期間である平成18年から平成21年度 までを含めて、どのような取り組みを計画されているかということについて、定量的に 記載をしていただいております。  それから別紙3は43頁からの部分で、先ほどご案内の「子どもの心の診療のための 教育・研修到達目標」のイメージですが、こちらにつきましては、神山委員から全面的 にご意見をいただきまして、それを取り入れた形で、事務局サポートチームで修正をし ております。  次に二点目としまして、全体的にそれぞれの語尾を統一しておりますのと、三つ目の グループの「子どもの心の高度専門的な診療に携わる小児科医・精神科医」の一般教育 目標には、疾患の羅列のご意見もいただいたのですが、形式上適切ではないために取り 入れてはおりません。  それから三点目といたしまして、個別行動目標ですが、これにつきましては、行動目 標という表現に合わせまして、行動としての表現に全体的に修正をしております。  最後に別紙4は、先ほどご案内した最後の1枚で、55頁のカラーの資料です。こち らは先ほどの事務局サポートチームで、モデルコース案を整理していただいたもので、 各グループの医師が必要とする技能、すなわち到達目標に掲げられているようなものを 含めて、そういった技能を達成するためには、どのような研修を受けるべきかという形 態と内容について、イメージ的に整理をしていただいたものです。本日の議論に参照い ただければと存じます。以上です。 ○裄V座長  ありがとうございました。ただ今、事務局の方から、前回の検討会で示された骨子に ついて、前回の会議の場、その後にいただいたご意見などを全て含めた形で、今回議論 いただくたたき台を作ったこと、その内容の変更点についてご説明いただきました。  今回の検討会の目的は、養成のための方法と、それを具体的に検討することです。本 日はそういうことで17頁から始まる「III.「子どもの心の診療医」の養成のあり 方」を中心に検討していきたいと思います。  特にこれまで議論してきた三つの医師グループに必要とされる技能である各々の「A  教育・研修の到達目標」を達成するためには、具体的にどのような研修が必要か、そし て、その研修体制を構築するための道筋を具体的に検討していきたいと思います。特に 集中して議論を行いたい部分が、先ほどお話があったように、太く黒い線で囲んである ところです。  その中で到達目標については、別紙に記載されています。そこで最初に少し確認して おきますが、今回の報告書には別紙3の「教育・研修の到達目標」を、この検討会の大 きな成果として、本日示していただいた報告書のたたき台にあるような形で添付したい と考えております。この到達目標の内容に関しては、もう少し詰めないといけないとこ ろもありますが、これをきちんとまとめた上で、報告書に添付するということを確認い ただきたいと思います。その点はよろしいでしょうか。  その上で実際に前回で示されたものについて、多くの先生方から様々な意見があっ て、かなり大きく修正されております。本日初めて見ていただくわけですので、さらに ご意見があれば、事務局の方に伝えていただきたいと思います。また、必要があれば次 回の検討会までに、一度サポートチーム、またそれに関係する委員の先生にも加わって いただいて、議論する機会を設けてもいいと思っております。  本日、示されている到達目標が最終版ではありませんけれども、それを添付すること に関しては、確認をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは先に進みたいと思います。今回の報告者の成果として、最も具体的な記述が 実際に求められているのは、先ほど、事務局からもご説明があったように、養成の方法 ですので、この部分について検討していきたいと思います。  まず18頁から19頁にかけて、線で囲んであるところです。「B 養成のための方 法」の一番最初は「(1)卒前教育(医学部教育) 全ての大学において、医学部教育 の中で子どもの心の問題に関する教育の充実を図ることは不可欠である。そのために は、専門的指導を行うことのできる教員の確保と実習場所の確保が課題である。特に、 子どもの心の問題に関する実習を行えるよう、環境整備を図る必要がある。卒前教育に ついて求められる対応としては、以下のものがある」ということで、その後、マル1か らマル8まで具体的な対応が挙げられているわけですが、これについては、吉村委員か ら大変積極的なご提案をいただき、それをこのように事務局の方でまとめられたという ことになっています。この点、ここまでのところでは何かありますか。 ○山内委員  大変具体的によくまとまっていると思うのですが、少し気になるデリケートな問題が あります。18頁から19頁までのマル1からのところで、今まで使われてこなかった 「小児精神医学あるいは小児心身医学」とか「小児精神医学及び小児心身医学」という 言葉があります。恐らく、この中では皆が小児精神医学という中に、そういう心身医学 的なものも含めていたと理解しているのですが、ここだけにそれが出てくると他のとこ ろはどうなるのかという話になるので、差し支えなければ、小児精神医学だけでいった 方が、統一が取れるのかなと思いました。 ○牛島委員  言葉遣いですけれども、恐らく今までの歴史から見ると、日本児童青年精神医学会は 小児精神医学というのは受け入れないと思うのです。それで提案ですけれど、「児童・ 小児精神医学」という形の表現は、してもらえないかということです。 ○裄V座長  言葉遣いについてのご意見、小児精神医学、小児心身医学、それから児童精神医学。 そのようなことはありましたけれども、確かに山内委員が言われたように、小児心身医 学というのは、あまり今までこの議論では出てこなかったわけです。そういうものは全 部小児精神医学あるいは児童精神医学の中に含まれているという位置付けでいきたいと 思います。  それからあと「児童・小児」とするか、その辺のところについてはどうでしょうか。 ○神山委員  吉村先生にまとめていただいて、非常にわかりやすくて良いと思う一方で、今までこ この議論には心の問題ということで出てきたわけですが、これだと児童・小児にして も、イコールすべて精神医学的な問題となりかねない気がします。  今までの議論の中でも、軽度の発達障害という問題も出てきますし、いわゆる気にな る子どもたちという問題もあるわけで、「小児」があるなしにしても、これがすべて児 童精神医学ということだけで良いのかどうか。言葉として、私の主観なのかもしれませ んが、少しかみ合わないという気がしたのです。非常に主観的で申し訳ございません。 ○牛島委員  先生が仰るのは精神医学の前ですか。精神医学そのものですか。 ○神山委員  これでいくと読み方としては、小児科の中でも小児精神医学を、というような形にな るわけですよね。 ○牛島委員  そうすると精神医学の方ですね。 ○神山委員  そうですね。 ○牛島委員  心身医学も神経学も問題にしてほしいという意味ですね。 ○神山委員  「子どもの心」というと、もう少し広いものが入っている気がしたものですから。 ○裄V座長  具体的に18頁から19頁にかけて、マル1からマル8の中には「小児精神医学及び 小児心身医学」とか、「小児精神医学あるいは小児心身医学」とか、「小児精神疾患あ るいは小児心身症」といった言葉遣いがありますけれども、この辺のところを、もし包 括的・統一的に言うとしたらどう言ったらよいでしょうか。 ○神山委員  すぐに対案は思い浮かばないのですが、もう少し包括的な良い言葉があるのではない のかという気がします。 ○牛島委員  一つ参考までに、心身医学というのは国際精神医学会から見ると、国際精神医学会の 一分野なのです。ところが日本は、内科の先生がやったものだから、国際心身医学会と いうものが出されるのだけれども、あれは国際的に言えば精神医学会議の一部門なので す。その辺りも含めて考えていいのではないかという気がします。  ただ、精神医学の中には心身医学、あるいは神経学科的な問題があって、精神症状を 呈しているものまで、WHOにしろDSM診断にしろ、すべてカバーしているのです。 もう少しその辺をご理解いただくと良いのではないかと思います。 ○神山委員  多分、大昔の精神科の勉強しかしなかった私のイメージで申し訳ないのですが、今回 の議論は「子どもの心」というタイトルで話をしてきたのが、卒前教育のところですべ て精神医学となるのは、少し違うのかなという気がしたものですから、発言させていた だきました。 ○裄V座長  確かに今まで非常に包括的な意味で、「子どもの心の問題」とか「子どもの心の診 療」という言葉遣いをしてきました。児童精神医学か小児精神医学かというところを、 私の意識としても少し避けるような意味でそういう言葉遣いをしてきたので、むしろそ れに統一するのも一つの方法だと思います。 ○奥山委員  吉村先生からのご意見は、かなり具体的だと思います。小児科の教育カリキュラム に、精神科の教育カリキュラムにということが書かれていて、あまり漠然とするとかえ って良くないのではないでしょうか。せっかくここで、教員を置くなど、非常に具体的 に残したい部分ではないかと思います。「小児精神科医学及び小児心身医学」と書いて あるのは、恐らく吉村先生としては、小児科か精神科の中に、そのようなカリキュラム の名前があるのではないでしょうか。そこのところのいい言葉遣いに変えるべきであっ て、あまり漠然としてしまうと、せっかくの具体性がなくなってしまうのではないかと 危惧するのですが。 ○神山委員  このマル6の最後の「子どもの心の診療科」、これは非常にすっと落ちるのですが、 私の中で少しまだギャップがあると思ったものですから、発言させていただきました。 ○裄V座長  今の奥山委員の意見は、「子どもの心の問題」とか、あるいは「子どもの心の診療」 というのでは漠然としすぎる、やはり小児精神科とか児童精神科とか児童・小児精神医 学とか児童精神医学というようにしないと駄目だということですか。 ○奥山委員  ここで造語をして、それはこういう意味ですと言う方がいいのか、大学でどういう言 葉をお使いになっているかという問題だと思います。私たちは今までずっと診療の側か らみていたので、「子どもの心の診療」という形で考えてきたのですが、大学の中でな じむ言葉というのを、できれば大学におられる先生方に逆にお聞きした方がよいかと思 います。 ○山内委員  大学にいるのですけれども、実際には先ほどご指摘があったように、マル6の「子ど もの心の診療科」といったようなものでむしろ包括的に捉えて、それを講座とするか診 療科とするかは各病院・大学で違いますので、そこまではあまり踏み込まないで、この マル6を残しておけば、そこに乗って診療科で、独立にしろ半独立にしろ、講座を設置 することも求めているというふうに理解すればいい。それより前の部分はすべて「子ど もの心の診療に関する」とか、「子どもの心の診療科」とかいう言葉でくくっていけれ ば、その方がいいのかもしれません。 ○牛島委員  これは先ほど母子保健課長が仰った、予算の部分あたりと関係すると思うのですが、 講座と言ったら医学部の中の一つの単位です。それからマル4は大学病院の中の問題、 診療科の問題です。だから、これを出すか出さないかは、かなり大きい問題のような気 がします。と言うのは、日本児童青年精神医学会は50年来、独立した児童精神医学講 座を設置してほしいと言っている機関ですので、これが出てくることは、我々にとって 非常にありがたいことなのです。 ○星加委員  実は私の大学では講座を解体しようという手順を踏んでおりまして、診療科を中心に した命令系統に変えていこうと模索中です。そういった時代の流れは、他の大学でもあ るように聞いておりますので、必ずしも講座にこだわらなくても、とりあえず実際の診 療ユニットができればいいという気もします。その辺りは如何ですか。あるいは講座に こだわる必要があるのですか。 ○牛島委員  これは社会的インパクトの問題ですけれども、人を育てるという意味においては、講 座のあり、なしは随分違うと思います。ただ、実現性という面から見たら、今の大学の 講座の状態からいけば問題です。例えば精神科は二つにするとかいうような形で、講座 ということを考えられないことはないのですが。 ○裄V座長  今、牛島委員が仰ったように、非常に長い歴史と言うか、昔からの議論で要望のあっ たところだと私も承知しています。ともかくこの検討会の趣旨・議論の流れからいけ ば、皆さんのご了解・ご了承が得られれば、山内委員が言われた「子どもの心の診療」 といった言葉遣いでこの部分を表わすようにしていきたいと思います。 ○杉山委員  ここでマル6にある事柄とマル1の事柄というのは厳密には少し違うと思うのです。 マル6は臨床のユニットになるわけで、マル1に書いてある小児精神医学及び小児心身 医学ということは、研究とかリサーチ的なことが含まれてくるわけです。そのことを考 え、吉村委員の原案に書かれていることは、多分一番現実的な形なのかなと考えます と、私自身は牛島委員が言われたように、「小児・児童精神医学」、そして日本心身症 学会が中に入っているものだから、小児心身医学の講義と並列にしても構わないと思う のです。後ろのマル6には「「子ども心の診療科」(小児精神科等)」と書いてある。 その中に心身症・心身医学も含まれるというニュアンスがあると思います。児童青年精 神医学会のメンバーの1人として、児童と小児は18歳未満と15歳で年齢が違うもの ですから。 ○裄V座長  児童と小児は、そういう定義ではないと私は思っています。 ○杉山委員  並列させてほしいとは思うのですが、心身医学を削る必要はないのではないかと思い ます。 ○牛島委員  児童・小児精神医学及び小児ではなくて心身医学。心身医学の上には何も載せないと いうやり方ですか。 ○冨田委員  やはり心身医学に関しては、小児を入れておいてほしいと思います。前に児童・小児 を付けるのであれば、当然、児童・小児が精神医学と心身医学の両方にかかるという意 味です。 ○山内委員  先ほどご指摘がありましたように、大学は今、国公立も私学も相当構造改革をやって おりまして、講座のあり方も変わっていますし、診療科も色々な名前で患者のニーズに 合うような形に変えていく中で、あまり呼び方にこだわるのは好ましくないように思う のです。例えば私が自分の大学で、こういうものを要請されたときには、先ほど言った ように「子どもの心の診療に関する」というようになっていることで、十分対応できる ように思うのです。それを講座でやろうとするのか、診療科でいくのかというようなこ とは、各大学に任されていて、ここにある趣旨で講義はやる、実習はやる、常勤も置こ うといったような対応はできると思いますので、あまり色々な呼び方とか、ぎちぎちの 形にならない方がいいのではないかと再度発言します。 ○裄V座長  それぞれの大学でどのような対応をするか、その自由度をむしろ、なるべく広く保 つ。そのために呼び方も、比較的包括的な呼び方をする方が、私の個人的な意見として も、ふさわしいのではないかと思います。 ○吉村委員  私の意図するところは、教育・研究をするところと、実際に診療を行ってそこで実習 ができるところがある。教育・研究・診療を、大学でしっかりやる。ただ、まずは診療 部門だけ置くというところもあるでしょうし、あるいは非常勤の方をもってきて講義だ けをやろうと、色々な対応があると思うのです。教育と診療を行う部門を、ぜひ作って ほしい。 ○裄V座長  先生の意図、こういう方向でぜひ実現させていきたいというのは、内容的には非常に よく表されていると思います。これについては、今いただいた様々なご意見を踏まえ て、内容的にそう変わるわけではないのですが、呼び方に関してどうするかは、座長と 事務局とで検討させていただくということでよろしいでしょうか。  それでは先に進みたいと思いますが、その次の19頁中段が「(2)卒後研修」の 「1)新医師臨床研修」。これについては現段階ではなかなか明確な目標を示しにく い。「今後、医師臨床研修制度の見直しが行われる際、子どもの心の問題に関する内容 についての具体的な到達目標とその達成方法について検討する必要がある」ということ と、「当面、小児科・精神科の研修指導医が、子どもの心の問題についても、プライマ リ・ケアを中心とした研修として適切な指導を行えるよう、「新医師臨床研修制度にお ける指導ガイドライン」」、これは今、作成されつつあると思いますけれども、こうい ったものを「通じて環境整備を行う」というだけにとどめてあるということです。これ はよろしいでしょうか。  その次のステップとして、「2)小児科及び精神科の専門研修」。これは卒後臨床研 修の修了後の小児科の研修、あるいは精神科・精神神経科の研修と、その後にさらに続 く生涯教育というところに入るのですが、「小児科及び精神科の学会認定専門医資格の 取得を目指して研修中の医師が前述Aの子どもの心の診療に関する教育・研修到達目標 を達成するためには、研修中に子どもの心の診療について指導できる医師のもとで研修 を行うことのできる体制を確保する必要がある。そのためには」ということで、「指導 医の養成や指導体制の確保が不可欠であり」、「小児科及び精神科の専門研修(卒後臨 床研修修了後の研修)を担当する指導医は、子どもの心の問題について十分な研鑽を積 んでいなくてはならない」、「小児科及び精神科の卒後臨床研修修了後の研修を行う施 設は、子どもの心の診療に関する研修について十分に対応できる体制(例えば、地域の 病院との連携なども含め)を有していなければならない。そのような具体的な施設要件 を関係学会などが検討する必要がある」。これは、これから新たに小児科医や精神科医 を目指して現在後期研修・専門研修中の人たちについての対応・指導体制、それから指 導医の資質、施設としての条件、そのようなことが述べられている。  マル2は、その一方で、「既に小児科及び精神科の学会認定専門医として臨床に従事 している医師が一般小児科・精神科臨床における子どもの心の診療に関する技能を習 得・向上するためには、学会・医師会・協議会等の関係団体が実施する既存の研修を有 効に活用し、充実させる必要がある。具体的に求められる研修とは、次のような形式の ものが考えられる」。これは別紙4にモデルが示されているわけですが、そこに「年に 1〜2回学会に参加する機会毎に」というのと、それから「子どもの心の診療の強化研 修」、また研修の内容として、「特に、予防を含めた、軽度の問題への対応」、そうい ったことが挙げられている。  マル3には、日本小児科学会及び日本精神神経学会は、「委員会あるいは分科会を設 けて、子どもの心の問題に関する専門研修のあり方について検討を進め、早期に実行す る」そしてそれ以外の関係学会。この関係学会は、日本小児科学会・日本精神神経学会 のサブスペシャリティの各学会ということになろうかと思います。  そしてマル4の「関係学会、医師会等の関係団体は、各々の活動の到達目標に、上記 Aの教育・研修の到達目標のイメージを取り入れて、教育・研修活動を充実する」。研 修プログラムのことですとか、それから共通のカリキュラム、テキスト、そのようなこ とが記載されています。  今、お話ししたサブスペシャリティの学会の研修は、むしろ次の、「子どもの心の診 療を専門とする小児科医・精神科医の養成」に大きくかかわっているわけですが、それ とともに、一般小児科医・精神科医の資質の向上にも、また専門研修にもかかわってほ しいということで、両方にまたがっていると私は受け取っております。この部分に関し て如何でしょうか。  19頁の「2)小児科及び精神科の専門研修(卒後臨床研修修了後の研修)と生涯教 育」のところを、半分読み上げながらお話ししたわけですけれども、この部分について の意見はありますか。 ○奥山委員  そのイメージ図(55頁)なのですが、単にこれは、1番上は学会で繰り返して講義 するということと、2番目は小児科医会の研修をイメージしながら、そういう形の研修 がボトムアップとしては必要ということで、二つを入れさせていただいたのです。 ○裄V座長  今、議論の対象となっているのは、このイメージ図で言うと、「小児科・精神科の一 般医(※1)」のところですね。 ○奥山委員  これは実は1番左側の緑が、グラディエーションになっています。ですので、この順 番でだんだん濃くなっていくイメージで書いてみました。 ○裄V座長  この「1.」と「2.」の間、「2.」と「3.」の間、それぞれが非常にぼんやり しているということは、今までの議論でもあったと思います。 ○山内委員  日本精神神経学会は、きちんとした機関決定しているわけでありませんし、私案なの ですが、33頁の別紙2で、今後どう取り組んでいくかというときに考えたものです。 日本精神神経学会は言ってみれば、General Psychiatrist を作るということなので す。学会としてはその方向できちんとプライマリの対応ができるようにしているわけで す。  もう一つは当学会が中心になって、「今後の取り組み(アクションプラン)」という ところにたくさん名前が書いてあります関連学会それぞれに声を掛けて、それぞれの学 会でも子どもの問題について、きちんと診療ができるように、色々な研修項目の中に入 れてもらうといったような方向でいく。その次のところにあるように、私の案として は、「子どもの心の診療医養成推進委員会」というものを設けて、色々な関連学会と連 携を取ってやっていくという方向が、日本精神神経学会としては、できることかなと思 って書いたのです。 ○裄V座長  ありがとうございます。それに対応する立場で、日本小児科学会としても理事会とし て、そういう委員会を作るという検討をされている。何か説明があればどうぞ。 ○別所委員  日本小児科学会も、小児科学会として一般的な小児科医の教育ということを行ってい まして、それに分科会で、冨田委員、星加委員、神山委員のそれぞれ所属する学会が、 小児科学会とは別に、独自に少し専門の方に入った教育を色々やっていたのですが、今 まであまり統一的な形で行っていなかったということがあり、この検討会をきっかけ に、名称はまだ正式には決めていないのですが、共通で検討する会を作りました。実は 昨日、第1回目を、これに合わせてやったわけではないのですが、たまたま前日に行い まして、今後色々な面で連携しながら、今までそれぞれ独自にやっていた教育の機会や 何かを、役割分担したりとか、そういう形でやっていこうと立ち上がったところです。 これから少し継続的に、そういう方向を追求していきたいと思っています。 ○裄V座長  日本小児科医会も今までも実績がありますし、これからもぜひ取り組んでいただきた いと思う専門団体であるわけですが、何かございますか。あと精神科の専門団体として は、日本精神科病院協会です。 ○牛島委員  一つ確認ですが、よろしいですか。日本精神神経学会の認定医の資格を得るために は、子どもの精神医学をきちんと修めておかねばならないというのが基本的に一つの条 件であるということですね。精神科専門医になるための中にそういう項目があって、小 児についての項目もあります。だからある意味で今までもそういったことは言われた し、そういう義務付けのようなものもあります。精神保健指定医もきちんと児童心理の 症例が必要だということです。そうするとここに至って確認というのは、改めて組織づ くりとか、養成のための新たな努力とかいったことを付け加えるのではないということ なのでしょうか。 ○山内委員  おそらくサブスペシャリティのところでは、例えばてんかん学会も挙げてあります が、私の関係しているところとしては、てんかんでも子どものそういう問題が色々あり ます。今までてんかんはジェネラルに考えていたけれども、特にそういう子どもの問題 について、研修会をやるとか勉強会をやるということで強調するような問題が、各サブ スペシャリティの学会にあるのではないかというように思いますので、そういうところ も底上げしていくという意味です。   ○牛島委員  ここに書いてあるのを辿っていきますと、今までの日本精神神経学会が、精神保健医 指定のために子どもの診療、ないしは体験が必要だと銘うってあることを踏襲するだけ で、特に日本精神神経学会の方で新しいものが打ち出されたかと聞かれたとき、そこが 不明確になる可能性があるので確認したのです。 ○山内委員  目的などについては、従来のものです。それを実際に実効あるものにするにはどうし ていくか、そういう問題でしょうね。 ○牛島委員  どこかで新しいことを打ち出しておかないと、格好がつかない感じがしたものですか ら。 ○山内委員  そういう委員会ができれば、またその中で出てくるかと思います。 ○裄V座長  他に何かご意見はありますか。  実際、本検討会の今年の報告書としては、一般小児科医、一般精神科医のレベルアッ プと言いますか、「子どもの心の問題に関しての研修を受けた医師を100%にする」 というのが一番直接的な目標になっていますので、ある意味ではこの部分が最も重要だ ということで、5年後には新たに小児科医に加わる、あるいは精神科医となる若い人達 にあるレベルに達していてほしい。それからまた既存の小児科医・精神科医も、子ども を診る医師に関してはレベルアップしてほしい、ということだと思います。それについ てもう少し具体的な方法があれば、ご意見をいただけますか。 ○神山委員  この文章がこのまま出るということであれば、ビデオなどというのではなく、DVD とかCDとかいったメディアに変更して、DVDを皆に配るとか、そういう方法がいい かなと思いました。 ○母子保健課長  座長、よろしいでしょうか。もうあまり時間がないので、確認をさせていただきたい と思います。  55頁にあります別紙4のイメージ図、その中の「1.」だけは何が何でも固めてお きたいという気はしています。本日でなくとも、今年度中に固めておきたいと思ってい るのですが、それについて今、牛島委員や山内委員から「1.」や「2.」についてご 議論があったと理解します。  そういう意味で言いますと、少なくとも「1.」に関する限り、赤い横長のバーが2 本ありますが、二つ目のバーは要するにOn the Job Training のようなものが書いてあ ります。上にある短い方のバーは、外で講義を受けたりすることが書いてあります。 そして、前後が逆になっているかもしれませんが、病院外で行う研修の内容のようなも のが、四つの四角で書かれているという感じになっております。  そこで、On the Job Training と病院外の研修を見たときに、やはりこれは先ほどの 牛島委員のお話と絡むのですが、今、特別に何もしなくても、いわゆる見なしのような もので、つまりそれぞれの学会が、サブスペシャリティを取る前の段階の後期研修なり 何なり、学会の要請のガイドラインみたいなものに従って淡々とやっていれば、 「1.」は何か新しいものをここで付け加えなくても大丈夫なのでしょうか。 ○裄V座長  そうではないと私は思います。 ○母子保健課長  もしそうだとすればどうでしょうか。 ○裄V座長  各学会あるいは関係する団体としては、今までは必ずしも十分ではありませんでし た。これからもっと充実させなければいけない、あるいは団体の間の連携をしなければ いけないとか、そういうことが議論されています。 ○母子保健課長  そうだとすると、それは内容について、例えば、小児精神医学だとか心身医学だとか の内容を盛り込めばよいという意味なのか、構造的にOn the Job Training とか、病院 外の学会による研修以外に何か新しいものの構造を付け加えないと駄目なのでしょう か。例えばテストとか、構造的に付け加えなければいけないのか、内容を付け加えるだ けで足りるのかというのは結構重要な話で、私どもも予算を付けたり、来年、プログラ ムを考えたりする上で、非常に重要なので、そこだけは教えていただきたいという気が します。 ○裄V座長  母子保健課長から非常にきちんとした指摘がありました。 ○牛島委員  実は先ほどから言われているように、その辺があるし、今、ここで議論していても恐 らく1回や2回で新しく付け加えるのはとても難しい。しかし、せっかく出すならば、 ここで何か新しいものを出したという文面が1行でもあったらいい、と思って発言した のです。そういう意味では、私は見落としていたのですが、20頁マル3の「委員会あ るいは分科会を設けて」云々という記述は、確かに新しい記述ですね。 ○裄V座長  そうですね。 ○牛島委員  一応、一つのセールスポイントにはなるでしょうね。 ○裄V座長  その通りだと思います。 ○山内委員  ただいま母子保健課長からありました構造か内容かというのは、なかなか区別がつけ にくいと思います。実際に我々は小児の問題についても必要だと思っているので、皆が 項目としてあげているのですが、実際にはインテンシブな教育が行われていないとか、 ケースカンファレンスとか、そういうものがないという状況があるわけです。それは、 この図には書いてないのですが、実は卒前教育から引っ張ってきているわけで、ここで 議論があったように卒前教育のときにも、吉村委員のご指摘されているように、もう少 しきちんと教育をすべきだといったようなところから繋がっているのですね。これは構 造と言えば構造ですし、内容と言えば内容です。なかなかそこの区別はつかない。た だ、形式としては、日本精神神経学会は小児は大事だと言ってきたところですが、それ に見合うような実際の教育・研修が行われてなかった点があります。こういう指針のよ うなものが出れば我々も受けて立つし、大学もそういう方向でいくといったことなの で、施策的に新しいものを出すということになると、なかなか売りの言葉がないのです けれども、そういう意味では大切だと思います。 ○裄V座長  別所委員から説明があった日本小児科学会の委員会にしても、今までサブスペシャリ ティの学会がそれぞれ独自にやっていたものをある程度連携して、共通の例えばテキス トを作るとか、そういったことをした上で、これからの講演会あるいは研修会というも のを考えれば、構造的なものだという位置付けが十分できると思います。 ○奥山委員  今のこの段階からあと1カ月で構造的なものが出るというのは、確かにすごく難しい のだろうと思いますが、構造ということで考えると、研修指導医の研修をどうするかと いうところとか、研修指導医の資格とか研修病院の資格、研修をできる施設、研修施設 の資格といったところに、多少何か入れば、構造的なものになるのかと思います。ただ 1カ月で、日本小児科学会の先生に、すぐ研修資格・施設資格を作ってください、とい うのは難しいと思うのですが、今後の課題としては、挙げることができるのではないか と思います。 ○裄V座長  例えば施設に関しては19頁下段の2)のマル1の3つめの項目に、「研修を行う施 設」は、「十分に対応できる体制(例えば、地域の病院との連携なども含め)を有して いなければならない。そのような具体的な施設要件を関係学会などが検討する必要があ る」という書き方がしてあります。このことが実現されれば、構造的な改善と言うか、 新しい取り組みになるのではないかと思います。 ○星加委員  先ほど、別所委員が昨日において日本小児科学会の立場として、分科会の小児科関係 をまとめたという話が出ていました。実はあのときに気がついたのですが、結局、別々 に行っていると、非常に不経済と言うか、効率が上がりにくいような気がします。それ で例えば日本小児心身医学会でも、かなりよくできた研修システムを持っております し、一般の小児科医に対するパンフレットなども現在作成中です。そしてちょうど日本 小児神経学会から話が出ていた広汎性発達障害の分野は、お互いがカバーし合うような 格好になりますので、そこの部分で一緒に動き始めるだけでも、小児科に関してはかな り大きな変化が来そうに思います。これを構造的と言うかどうかは別ですけれども、と りあえず初期にできることは、その辺りが取りかかれるところかなと昨日考えていまし た。 ○裄V座長  色々ご意見いただきましたけれども、佐藤課長。 ○母子保健課長  これももう3月8日までしかないことを念頭に置いて再々確認するわけですが、そう するとお伺いしますところ、例えば私どもが外から聞かれたときに、冒頭に申し上げた と思いますけれど、「子ども・子育て応援プラン」で、「子どものこころの健康に関す る研修を受けている小児科医、精神科医(子どもの診療に関わる医師)の割合 100 %」を対外的にも約束しておりますので、役所としてどうするかと言われたときに、最 初の「1.一般の小児科医・精神科医の養成について」に関しては、何とかなりそうだ と答えていいのかという意味です。  ではどうしてうまくいくのかと問われたときに、先ほど奥山委員から多少ありました ように、On the Job Training をするにしても、その病院の資格基準、認定みたいなも のがあるかどうかは別にして、資格とか、それこそ構造的なものについて一応チェック をするので、そこをきちんとすればとりあえず枠組みはいいでしょう。後は内容になり ますと。内容に関しては、必ずしもやっていないところもあるでしょう。例えば、話が 横にそれるかもしれませんが、教科書みたいなものも、もしかしたらできるかもしれな いので、テキストみたいなものができあがれば、内容についてもこれで勉強してくださ いという後押しにもなる。そういうところができあがれば、今の学会それぞれに何らか の形で属して、そのレールに乗って勉強していただければ大丈夫ですよという言い方が できるのであれば、私どもは安心だという気がしています。そういう理解でよろしいで しょうか。  それとも、やはり共通部分とか、もう一度本音で言えば、小児科と精神科の学会の先 生方にもう一度集まっていただいて、本当にコアな部分の内容とか、テストなのか、先 ほど杉山委員が仰ったようにケースレポートなどが必要だという話なのか、実習は3日 ぐらい行かなければ駄目となるのか。 ○裄V座長  そういう細かいところになると、意見もそれぞれだと思いますけれども、私はここに 示されているようなもの、この検討会で議論している養成の方法というものは、実行さ れるような形で動いていけば、達成されると確信しています。 ○杉山委員  結局、例えば子どもが大事だということは、皆が言うわけです。それがきちんと大事 に扱われているかどうかは、非常にわかりやすい目安としては、一つは構造であるし、 一つは予算なわけです。  例えば日本精神神経学会、あるいは日本小児科学会が主催として行う教育講演の2割 は、子どもの問題に限定するもの等です。2割以上行うとか、そういうちょっとしたア クションプランを出すことができれば、それが一番良いと思います。予算をどのくらい 付けろというのは、多分無理な話だと思います。 ○牛島委員  日本精神神経学会の方は、実は99回だったかの学会を開いたとき、大阪大学の武田 教授が教育講演を30講演ほど行ったのですが、私のときは45講演まで行かなかった かもしれないですが、教育講演を増やしたのです。その中で子どもだけでなくて、精神 療法も家族療法も何もとすべてあるものだから、45講演ぐらいにしますと、必ず3つ か4つは子どもの教育講演が出てきます。シンポジウムを増やすと、シンポジウムは日 本精神神経学会の総会で毎年必ずありますから、そういう意味で、土壌ができつつある ような気がします。それから日本児童青年精神医学会も、去年から教育講演を15ぐら いに増やしています。何も学会員だけではなくて、他の先生たちが聞きに来られてもい いようなシステムをすぐ作れますので、準備みたいなものは今、できつつある。問題は 分科会・委員会をどう充実するかということと繋がってくるような気がします。 ○山内委員  お手元に綴じたもので、「社団法人 日本精神神経学会 資料」がありまして、これ はたまたま平成17年5月に行われた日本精神神経学会のものなのですが、「児童精神 医学」というタイトルで、児童の問題についてのシンポジウムが持たれたり、あるいは 「専門医を目指す人の特別講座」という専門医養成の中に、この場合は発達障害です が、やっておりまして、牛島委員からお話がありましたように、必ず学術大会のときに は児童の問題を色々な形で取り上げるということでやっております。こういうものを他 のサブスペシャリティのところにも要請し、児童に関する割合がもう少し多くなった方 がいいということであれば、もっと他の形で取り上げるとか、そのような答申、あるい は取りまとめがインパクトを持つと思っております。 ○裄V座長  小児科医にしても、精神科医にしても、そういった形での学会としての取り組みはな される。今までも、現在も取り組みをしていますが、こういったものが出されれば、書 かれていることに沿ったアクションというものが、これから各学会として、間違いなく 行われると思いますので、目的とする診療の向上ということは得られると思います。  色々ご議論いただきましたが、少し先に話を進めてみたいと思います。  次に21頁の上のところから、「2.子どもの心の診療を専門とする小児科医・精神 科医の養成について」、これも目標は別紙3にありますが、この中での「B 養成のた めの方法」、これはやはり(1)、(2)、(3)というように分かれております。ま ず(1)は「学会・医師会・協議会、国立成育医療センター、国立精神・神経センタ ー、大学等の関係団体が実施する既存の講習会等の研修プログラムを有効に活用し、さ らに充実・発展させる必要がある。具体的に求められる研修としては、次のようなモデ ルが考えられる。(別紙4参照)」と、そこにコースが書いてあるわけですが、これは 具体的なイメージというものを、もう少しわかりやすくと言うのも変ですが、「研修ノ ートコース」とか少し耳慣れない言葉が出てきていますので、奥山委員から説明をいた だいた方がよろしいでしょうか。 ○奥山委員  事務局サポートチームで話し合ったものを図にしたところですが、「研修ノートコー ス」というのは私が作った言葉なので適切かどうかわかりません。事務局サポートチー ムではクレジットという言葉が出てきていたのですが、クレジット制という言い方がい いのかもしれません。色々な学会がコミュニケーションを持った形で、研修をそれぞれ 提供して、それから人の行き来もする。例えば日本小児心身医学会でも日本児童青年精 神医学会の先生などを呼んできて、お話をしていただくとか、その逆もまたあるかと思 いますけれども、そういうことを含めて、学会の研修制度みたいなものを合同で充実さ せて、色々な学会に行かず一つの学会にいても、色々な形の研修が受けられると良いと 思います。その研修ノートの中に、基礎研修の欄があり、判子を押していって、基礎は 全部やったと認識できます。また、発達障害についてはアドバンス、そのさらに上まで 判子をもらって、やったとわかります。そうなると基礎ができている上で、発達障害の 専門性がさらに高いと自分でわかるような形で認識できます。そのような研修ができる 方法を作ったら如何かというのが、事務局サポートチームの一つの案として出ていたと いうことです。  次のマル2「短期研修を繰り返すコース」というのは、年に何回か、本当にそれだけ の研修を朝から晩まで受けてみたいというような方々で、かと言って、前に星加委員が 仰ったように、何カ月も一つの場所から出られない、自分の今の仕事から離れられない という先生方のために、3日間程度で1回の基礎講座研修のようなものをやった上で、 できれば自分の場に戻っていただいて、経験したものを事例研修という形で強化してい く。前に杉山委員が仰ったように、本当は実際に見て臨床に携わらないと駄目だという 話は出ていたのですが、なかなかそれは難しいので、事例を通してやっていくという案 を事務局サポートチームとしては考えました。  最後が、基礎研修があって、先ほど実際に臨床実習が必要だという話が出ましたけれ ども、1〜3カ月ぐらい、もしくは週1〜2回を1年間ぐらいの臨床実習をして、さら にそれを自分のところに戻って臨床を行います。例えば、私たちの国立成育医療センタ ーのようなところで実際に1カ月ぐらい研修したからといって戻った環境の中で全てで きるかというと、なかなかそうもいかないので、戻って実際にご自身が体験したことを 事例検討という形でさらに確実なものしていくことを考えて、この三つのコースを考え てみました。  特に上の二つはどちらかというと生涯教育系。新たにこの分野を目指そうとする人 は、できれば下の方をやってほしいという形で考えております。できれば1〜3カ月、 きっちり実習していただくのが一番いいと思うのですけれども、外来だけの研修という 場合は週1〜2回でも可能かなということを考えました。以上です。 ○裄V座長  それがここに書かれている(1)の大体の説明という感じになりますか。21頁から 22頁の上の部分。この辺についてはむしろ、いわゆるサブスペシャリティの学会が、 こういうところで役割を果たしていただきたいと。また、大学で既にこの診療部門を持 っているところとか、国立成育医療センター、国立精神・神経センター、それから全国 児童青年精神科医療施設協議会のほか、小児総合医療施設、いわゆる子ども病院で精神 科のあるところ、そういったところが数日から数カ月という範囲での研修を担当する と。  神山委員のような学会としての立場とすると、この点に関してはどうですか。 ○神山委員  私たちの学会で考えているのは、学会で得意な分野についての研修をすることしかで きないわけですが、その中でもこの研修ノートコースを他学会と共同をしてやるという 形が、今後、非常に効率よく、幅広い子どもの心関連のことを学ぶ上では重要かと思い ます。このマル3の「中期研修コース」を、今後、新たな入門者が受けるというのは非 常にアイデアとしては良いと思いますが、実際にできるかというと結構大変なのではと 思うのですが、如何でしょうか。 ○杉山委員  今、神山委員が言われたように、マル1とマル2、マル3というのは多分、実施主体 がかなり違ってくるわけで、マル1は学会でできると思うのですが、マル2、マル3は 施設が関連してきます。そうすると、マル2、マル3の方は施設としては、どのような 位置付けの施設ということになるのでしょうか。厚生労働省から判子がもらえるわけで はないですよね。 ○裄V座長  マル2、マル3にしても、それぞれのところに施設の名前は挙げてあります。そうい うところが役割を担ってもらえるかということです。 ○杉山委員  今後、こういう施設が自主的に社会的な役割を担ってほしいという、そういう要請を 出しているということなのですね。 ○牛島委員  少しわかりにくいと言うか、誤解を生む可能性があるのは(1)ですね。その2行目 ぐらいに「大学等の関係団体が実施する既存の講習会等の研修プログラムを有効に活用 し、さらに充実・発展させる必要がある」、そして「具体的に」として、マル1、マル 2、マル3になっているのだけれども、マル1、マル2、マル3というのは、実際に臨 床現場に行って一緒に見学するなり、患者に接するなり、そういうコースでしょう。講 習会というのはどちらかと言えば、講義を中心にした講習会になります。実際の臨床現 場に連れて行って何かさせるという講習会はあまりないと思います。  そうなりますと、この辺りの文章の書き方を考えてもらった方がいいのではないかと いう気がします。それから43頁の「別紙3 教育・研修到達目標(イメージ)」につ いては、到達目標の中の真ん中と、それから、いわゆる高度専門的と専門的の二つの分 け方に施設とか団体がそれぞれ貼り付けてありますが、これは必ずしもこんなにきれい に分かれるものではないですよね。その辺が少し要注意かなという感じがします。  それからもう一つは、今の目標として、裄V座長の研究班の中で私が担当している部 分では、最終的なところでは教育可能な施設を具体的に挙げていくような研究計画は立 てておりますので、何も国公立の大きな組織だけではなくても、私立できちんとしたこ とをやっている施設も挙がってくる可能性があると思います。その辺りも少し含みおき いただければありがたいという気はしております。ただ問題は、私立の場合は、ある先 生がいるときはものすごく繁盛して、トレーニングもよく進むのだけれど、中心になっ ていた先生が別のところに行ったら、途端に駄目になってしまうということが非常に多 いのです。  ここら辺りをどうするかを考えなければいけないと思いますけれども、私立の施設も 活用するような方向での検討をやはり考えておいてほしいと思います。 ○裄V座長  施設の活用という点では仰る通りだと思います。マル1とマル2、マル3との間に は、マル1の方はやはり講義が主体で、その中になるべくロールプレイとかビデオ等の 視聴覚の教材の使用といったようなことを含めるべきだと書いてあります。 ○牛島委員  恐らく、マル1、マル2ぐらいがそうなっていて、マル3は、例えば星加委員がこの 間、話されておられたように、医局員を齋藤委員のところに派遣するとかいうことです ね。それから一番多いのは、週1、2回、大学の子どもの診療を見に行っていますとい う人です。これは、実施する講習会等の研修プログラムに入らないと思います。 ○裄V座長  いや、先生が仰ったものをこのマル3として挙げているわけです。 ○牛島委員  講習会等の研修プログラムという形に持っていくのですか。誤解を生む可能性がある ので、(1)のところの文章の部分は、マル3まで含むような工夫をお願いしたいとい うわけです。 ○母子保健課長  最初の4行ですね。 ○裄V座長  (1)の、マル1、マル2、マル3の全体の説明が、やや誤解を生じると仰っている ことがわかりました。 ○山内委員  自分のところなのですが、今、埼玉医科大学が、平成18年から専門の診療科を設け ようと言っています。そのときに、マル2、マル3に相当するのですが、もしそういう はっきりした研修が受けられる場所があれば、そこに派遣したいと具体的に考えるわけ です。マル1についてはよくわかりますが、マル2、マル3は例えば牛島委員の研究班 で、こういうところはそこで受けるよと。今後、構成してもらって、ホームページなど で見られると。そこにお願いするとかそういうようなシステムがないと。総論はわかり ますが、動きがつかないような気がするのです。 ○牛島委員  可能かどうかはわかりませんけども、3年後には研究成果の一つとして出す予定には しています。 ○山内委員  それまでは、ここにある国立成育医療センター、国立精神・神経センターとか、こう いうところがやってくれるという意味合いですか。 ○奥山委員  系統立っては、まだやっていないですね。一番下に書かれている「レジデント研修」 はやっていますし、それから先ほどから出てきている週1回来ている先生、ひと月、ふ た月来る先生をばらばらに受け入れているだけで、系統立ててやっているわけではない です。また、例えば、週1回とか1カ月研修に来られる先生方の身分の扱いをどうする かとか、そういうことはあまりきちんと解決されている問題ではないのです。 ○山内委員  これは杉山委員が先ほど「社会的貢献ですか」と言ったのと繋がるわけですけど、実 際にそういうシステムを構築するようなことはないということですか。 ○奥山委員  ここへ書いたのは、どちらかと言うとシステムも作るという意味です。我々が今、中 途半端な形でばらばらにやっていますが、きちんとしたシステムとして構築し、それを 修了したことがわかるようなシステムとして作るということです。 ○山内委員  マル2、マル3についてはそういう対応ができるようなところを決めるなり何なりし て、システムを作ろうということなのですか。 ○奥山委員  ここにそこまで書き込めなかったのですが、例えば全国児童青年精神科医療施設協議 会などは全国色々なところにあるわけですから、その協議会が一緒になって一つのシス テムを作っていただくということも可能かもしれないとも思います。もう少しオーソラ イズされたシステムを構築することと、身分等に関しても、もう少しきちんと提言でき ていくようなものを作らなければいけないだろうと思うのですが、この3月までにはそ こまで全員の合意を取れないのではないかという不安があるのですが。 ○杉山委員  結局、どういう問題かと言いますと、ナショナルセンターであれば問題ないと思うの ですが、例えば、私が今、働いているような県の施設ですと、プログラムがあって、中 のスタッフにやる意図があっても、今、私たちの施設というのは病院事業庁という愛知 県の病院を束ねた組織の下部組織となっています。その中で今、何が起きているかと言 うと、子ども病院というのは、当たり前ですけれども収入が少ないのです。そうすると 欠員の小児科医のコストをがんセンターに持っていこうとか、レジデントの数を増やさ ないとか、そういう圧力が病院事業庁の方からかかってくるのです。もしこういう形を するとしたら、地方自治体も実現のために努力をするとか、一文を加えてほしいのです けれども。 ○裄V座長  仰る通りですね。 ○杉山委員  3カ月研修というのは、我々は実際にやっていまして、やってみての感想で何が一番 手が掛かるかと言うと事後検討です。後の質疑応答とか、事例のディスカッションに一 番手間が掛かります。それも結局は、全部持ち出しサービスとする形であるとしたら、 ただでさえ今いっぱいいっぱいの状態の「子どもの心の診療」の場面というのは、非常 にシビアな形になってくるものですから。 ○裄V座長  診療報酬というのは、大変な問題だという認識が共通しているわけですけれども、マ ル2、マル3のようなことをやる上でも、例えば自治体立の医療施設などではそういう 問題がある。その辺について、そのように書くからには、国としてどうするか。そうい うところまで書けるのでしょうか。 ○母子保健課長  杉山委員からお話がありましたけれども、ナショナルセンターとて状況は同じでし て、指導する医師が、悪い言い方をすれば余計な手を取られるということもありましょ うし、また、お迎えしたとして、その方をどういう身分として取り扱うのかなど、整備 すべき点もあろうかと思います。ですからどういう形で、地方自治体についてもどう書 くかというのは、また少し相談させていただきたいと思います。恐らくナショナルセン ターとか国立病院機構の処理の仕方、対応の仕方が、地方自治体にも参考になるのかな という気はしています。 ○裄V座長  そこまでは今回の報告書にはなかなか盛り込めませんが、そこが検討の課題である と。 ○母子保健課長  21頁(1)マル2の2項目目の中に「講師を派遣する方法や」といった文章が出て くるのですが、その辺りの講師を派遣したりあるいはお招きしたり、研修生を受け入れ たりというところに、少し工夫が必要だろうと思います。 ○杉山委員  しかし、3年待っていますと、多分、子ども病院というのは、もっとコストとかレジ デントの数が減る一方だと思います。前回、南委員が言われましたけれども、キャンペ ーンでもやらない限りは今の状況というのは、どうしようもないのではないでしょう か。  子どもが大事だとみんな言います。言いますけれども、医療費は減らせという圧力が 非常に強い。愛知県ですら現在そういう状況で、非常に厳しくなっています。 ○裄V座長  24頁の「委員の意見集」。そういうご意見は今まで繰り返し言われています。それ が根底にあることは皆、認識しているわけです。 ○牛島委員  もう一つ考えておかなくてはならないのは、指定病院として、恐らく神山委員のとこ ろと関係してくると思いますけれども、発達障害についてはたくさん集めていて経験に 富んでいるのだけども、他の問題についてはからきし駄目だというところだってあり得 ると思います。  だからこれはこのままでいいのだけれども、今後の課題で、そういうことも教育の上 では念頭に置いておかなければならないかと思います。例えば、この子どもというのは 大体いくつまでですか。 ○裄V座長   子どもですか。これは共通した認識として、今、ご提案したいのですけれど、18歳 未満としましょう。 ○牛島委員  そうすると高校生までですね。  私は女子大にいますが、驚いたのは対象にしているのが大人ではなくてまだ思春期な のです。思春期後期なのでしょう。恐らくこの中にはもちろん入らないのと思うのだけ ども。そうすると高校生まで入るのですか。 ○裄V座長  学校の区分で言えばそうなりますね。 ○牛島委員  そうすると思春期成年期の問題を持った、例えば学校に行かないとか、それから引き こもりとか。一方では、これは13頁の事項を少し訂正してもらいたいと思います。 「自殺」のところを「自傷・自殺」にしていただきたいのです。これは今、大変な問題 です。少し調べてみたら一般の大学生で、手首を切る女子のパーセントというのはそう 簡単なものではないのです。私は大変驚いてしまったのですが、そのほとんどは小学校 高学年から中学生に始まっています。おそらく問題が挙がってくるのは、中学生か高校 生までなのですが、これも含めるのですね。そうなりますと、普通の子どもは、おそら く国立成育医療センターなどでもそういう感じで扱っていると言えば扱っているかもし れないですが、大概どちらかと言えば二の次になっているのでしょう。そうするとこの 教育施設・トレーニング施設としてという問題も、やはり別枠で考えておかなければい けない気がします。  これは、もちろん今度の報告書に入れていただく必要はございません。 ○奥山委員  どこまで書くかというのは難しいところがあるかもしれませんが、先ほどの杉山委員 の話、それからレジデントの先生の教育は大体夜の20時ぐらいから始まるという形に ならざるを得ないというような状況は、ひとえにレジデントを取っていながら、研修そ のものは業務としてカウントされていないところにあります。ほとんど外来をやる、自 分たちで診療するというのが業務とみなされます。アメリカの場合ですと、研修を担当 している医者は週に何コマしか外来をやってはいけないというような制限が掛かるぐら いなのですが、日本だとそうはいかないので、結局は夜中にレジデントを教えるという パターンになっていってしまうというところが、非常に大きな問題です。やはりこれだ け養成が必要となっている以上、何らかの形で研修の指導を業務として組み込んでいか なければならないということは言ってもいいのではないでしょうか。おそらく杉山委員 も夜中に教えているのではないですか。 ○裄V座長  それも、今後の議論で非常に大事なことだと思います。  それではもう一度まとめてみますと、21頁「2.子どもの心の診療を専門とする小 児科医・精神科医の養成について」この「B」のところに関しては、牛島委員のご意見 をいただきましたけれども、(1)の最初の4行の表現部分を、マル1、マル2、マル 3を包括してきちんと含むような書き方に改めるということ。  それからマル2、マル3に関しては、施設名などが挙げられておりますが、それにつ いてもそれらの施設でこういった研修を受けられるということになるためには、それな りのシステムの構築が必要であると。体制の整備が必要だということですが、その点に 関しては、今回の報告書でどうするかは事務局で考えていただきたい。  他に何かございますか。 ○母子保健課長  あまりここまで言わなくてもいいのかもしれませんが、今、座長からもお話がありま したように、先ほど牛島先生から21頁の「B 養成のための方法」の(1)の最初の 4行の表現部分と、その後にありますマル1、マル2、マル3の表現部分のところでご 示唆がありましたが、少し踏み込んでお伺いしますと、もっと具体的に可能かと言った ときに、例えばマル1は必須で、できればマル3、それが駄目ならマル2、のような書 き方はあるのでしょうか。つまり、これが外に出ていくと、恐らく牛島委員が仰るよう にマル1、マル2、マル3は対等ではないというときに、私が拝見する限り、マル1は クレジット方式かどうかは別としても、座学中心でやはり最低必須、その上で可能なら ばマル3、駄目ならマル2のようなイメージなのか、マル1、マル2、マル3をプラス した上で完全に揃って完成なのか。外向きにそういうことが答えられるようにしたいと 思っているのです。 ○裄V座長  今の母子保健課長からの質問に関しては、奥山委員はどのように考えていましたか。 ○奥山委員  事務局サポートチームで話し合いをしていたときのイメージとしては、現在は、新し く研修を受ける人と、それから生涯教育のように、すでに医師となっている人でこれを 専門にしていきたいという方と両方おられる中で、ある程度メニューが多い方がいいと いうつもりで、メニューとして幾つか挙げたつもりでいました。 ○杉山委員  人によってというよりも地域だと思います。例えばマル2ができる地域は限られてき ますが、すごく体力のある人で日曜日に当直のバイトををやって、そのお金で愛知まで 来て1日外来を見て、バイトをやって帰るということをやっていた人がいましたが、そ れを皆に要求するのはちょっと無理なので、もう現状では地域限定だと思います。 ○母子保健課長  そうすると理想としては、マル1は問題ない。皆さんがおやりになっている前提で、 マル2、マル3となる。例えば、40代、50代になっている方が、またマル1から始 めるということはないでしょう。 ○杉山委員  そんなこともないと思います。  いつかの会議で申し上げましたが、日本小児精神神経学会の会員の平均年齢が40幾 つ。小児科医としてある程度余裕ができないと、心の問題までいきません。 ○奥山委員  逆にマル1の方がどちらかというと生涯教育に繋がるコースだと思います。皆さん学 会には出るので、その学会ごとに色々とクレジットを貯めていくというのはできるので はと思うのですが、マル2、マル3は相当時間を費やさなければなりません。特にマル 3は時間を費やさないとならないので、比較的若い先生というイメージをしていたので す。ただ、マル1は学会としてやれるのではないかと思いますが、マル2、マル3をシ ステムとしてやるというときに、本当はどこかに研修をオーガナイズする部署があれば 良いと思います。 例えば、鹿児島では今度こういうものをやりますとか、北海道でこ ういうものをやりますとかというような形で情報を集めて発信できます。 ○裄V座長  その辺のシステム作りも次のステップでの議論にしたらどうかと思います。 ○南委員  今、奥山委員が仰ったことと少し関連するのですが、そういった司令塔と言うか、シ ステム作りは、次の機会と言わずぜひやっていただきたいと思います。  と言うのは、先ほど杉山委員も仰ったことですが、子どもの心を扱っている施設が本 当に大変だということは、私も取材経験で見て驚くことが多かったのです。ここに書か れている全国児童青年精神科医療施設協議会は、西田委員がいらっしゃらないのでお尋 ねできないのですが、私の記憶では加盟施設の数が年々変わるのです。それはなぜかと 思ったら経営的に非常に基盤が薄いので、毎回、脱落してしまう施設があり、約22の 加盟施設が頻繁に加盟から外れたり、また入ったりしているので、関連施設の数が非常 に変動するのです。  そのような実情を考え、ナショナルセンターでさえ大変だという話ですので、これは やはり全国的に最低これぐらいの数をというような、何らかの保障をしておかないと、 書かれていても実際には何もないということになりかねないのではないかという心配が あるので、そこはぜひお願いしたいと思います。 ○裄V座長  最初に言われたオーガナイザー的なものに関しては、今、議論している部分の先、資 料22頁の(2)のところに、「こういった情報収集・発信のための拠点となる共同事 務局を設ける」という形で書いてありますので、これを書き、具体的にそれがどのよう に作られるかというところに話が進めばよろしいのではないかと思います。  奥山委員が先ほど言われたのも、この次の頁に書かれていることを踏まえてのことで すか。 ○奥山委員  実は共同事務局というのがどういう意味だったのか思い出せないのですが、恐らくも う少し弱い感じで考えたのだと思います。色々な団体があるので、共通に皆で話し合え るような事務局、というような感じだったのですが、もう少し強くオーガナイズするよ うな場所があった方がいいのではないかと思います。例えばナショナルセンターの中に そういうものを置くということができるのであれば、そこは研修などに対するオーガナ イズをする部署として考えるなど、確固としたものを置いた方がいいのではないかと思 います。 ○裄V座長  先ほど(1)のところについて色々話がされていましたが、その議論の中で出てきた ような事に関しても、(2)それから(3)といったところに一部記載されているよう に思います。これに関して、何か他にご意見ございますでしょうか。  今後の研修の課題として、研修を受ける医師の身分保障や給与に関する検討、研修を 担当する指導医の教育を行うための方策などまで触れてありますので、そう簡単なこと ではないとは思いますが、そういう方向に議論しなければいけないということは明確に 示されていると思います。 ○奥山委員  (3)のところにオーガナイザー的な機構を設けるというようなことを入れてもいい と思いますが、如何でしょうか。 ○裄V座長  そうすると(2)の頁中央に書いてある共同事務局、その辺りとの整理の仕方を考え なくてはいけないと思います。事務局の方からこの点に関して何かありますか。 ○事務局/母子保健課長補佐  奥山委員をはじめ、サポートチームとご議論させていただいたものを踏まえまして、 実際に実現するため(3)の内容などのようなものを、こういった課題についてのアイ デアと言うかプランのようなものを作れるような機能ということで、学会だけという意 味ではなく、現時点でこの組織は幾つかイメージされるものはあっても、まだ具体的に は調整をしてはいないのですが、この中に共同事務局なり、事務局的な機能を持ったも のを考え、(3)のところの課題についても、検討するとかそういったことを記入すれ ばよろしいでしょうか。 ○裄V座長  そうだと思いますが、事務局と言うのか、あるいは関係者の集まってくる協議会の場 所を、あるところに固定するとか、そういうイメージだと受け取りました。  今の22頁下までが黒く枠で囲ってあります。それについて、長時間にわたって議論 いただきました。次の「3.子どもの心の高度専門的な診療に携わる小児科医・精神科 医の養成について」は枠で囲っていないのですが、やはり見ていただいて、養成のため の方法というところには少しご意見をいただきたいと思います。  23頁の「B 養成のための方法」で「高度専門的な研修のためには、子どもの心の 診療を専門的に実施している医療機関における1〜3年間の長期研修が必要である」と 最初に記載してあり、マル1、マル2、マル3、マル4に具体的な施設名や関係団体の 役割が書かれている。その中に先ほど、杉山委員が言われたような地方公共団体も言葉 としては出てくるわけですが。 ○杉山委員  これに絡めて、今回、数を持ってくると約束をして、果たせなかった理由が一つあり まして、可能性としてはレジデントの枠はありますが、この何年間使われたことがない という場合が結構あるのです。  つまり、それは可能性をカウントするのか、それとも実際の状況をカウントするのか で変わってくるのです。要するに今、経済圧力の中で全体としてはそちらの方向を増や したくないのです。診療の状況自体も、子ども病院の中ですら縮小したり潰れたりして いる部分があるということもはっきりしてきましたし、非常に強い圧力の中にあるとい うことは、今回、改めて自分たちの施設を含めてしみじみと感じました。 ○裄V座長  そういうことを現場で実感しておられるのは、ただ今のお話でわかりましたけれど、 逆に言うとこのような報告書が公にされることは、そのような方向に対してそれを押し 戻したりする力にはならないでしょうか。 ○杉山委員  もし報告書が出ることが力になるとすると、マスコミでよほどきちんと取り上げてい ただくしかありません。マスコミが全く取り上げなかった場合には、例えば病院事業 長、チーフには全く影響がないと思います。 ○裄V座長  そうですか。 ○奥山委員  一つ文字の間違いがありました。23頁マル3の下から5行目の「公立精神病院に児 童・思春期部門を併設し」の間に「公立病院の小児科や小児病院に」が入ってしまった ということがあるのだろうと思いますが、「子どもの心の診療部門」にした方が良いだ ろうと思います。  それで杉山委員の話に戻りますが、例えばかつて県である程度医者を確保して、それ を医者の少ないところに派遣するという方法を取っていたことがあります。今でも取っ ているところがあると思いますが、そのような形で、県で非常勤医師としてのレジデン トを持って、色々な病院にお願いをするというような形を取ってくださいというような こともできるのではないでしょうか。このような方法があります、というような書きぶ りも可能でしょうか。それは国では全然できない問題でしょうか。 ○母子保健課長  この報告書で書くかどうかという話と、この報告書の延長線上で来年度書くかどうか ということで話を分けなくてはいけないのですが、「このような方法があります」と国 が示すのはあるのかもしれないと思います。ここは広い意味では雑談だと思っていただ きたい。と言うのは、例えば国立がんセンターに、リサーチレジデントというのがあり ます。これは当時、普通の国立病院であった時代にリサーチレジデントというのが置か れたのですが、身分は完全に研究費で、がん研究振興財団の職員が、国立がんセンター に派遣されるという形で総定員法に縛られずに研究者として2年働いて評価をされ、そ れで各地の大学にまた戻っていくというケースがありました。これは研究者の例です が、色々な方法を少し考えて、このような方法もありますよ、あのような方法もありま すよ、というのはあるのかもしれません。  また、そのような特別な方法を使わないと仮定しても、最後の最後は、杉山委員が仰 っているように経営に資するかどうかということを言われるでしょう。例えば、給料は 全部親元の病院から持ってきます、しかもそこで例えば3人でもレジデントが来れば収 入は上がるはずですから、その収入、診療報酬は、研修してくれる病院がどうぞ全部取 ってくださいという夢のような話でもあれば、それはそれでまたちょっと別な話になり ますが、本日や、あるいは3月までというのは難しいですが、どのようなパターンがあ るかというのは丁寧に分析してみて、今の定員の枠とか、身分の問題、予算の問題と か、あるいは小児科の医者を抱えること、子どもの心の診療を拡大すること、それ自体 が病院経営を圧迫するというような話とは切り離して、色々な方法があるのかは考えた いです。これは雑談に近いもので申しわけありませんが。 ○裄V座長  漠然とした書きぶりではあるのですが、それが今後の取り組みのきっかけにはなると いうことですね。  ここをもう少し改めて見てみると、マル1は現在でも数が少ないながらも研修を行う ことができる制度や機関が存在するということで、実際に行っている施設が挙げられて います。それからマル2の「全国児童青年精神科医療施設協議会や、子どもの心の診療 の専門科をもつ日本小児総合医療施設協議会」、いわゆる子ども病院の「加盟病院で は、現在は一部の病院でしかレジデント制度を有していないが、これら全ての加盟病院 でレジデント研修が行えるよう計画的に体制を整備するとともに、加盟病院間でレジデ ントの研修交流ができるように努める」。  杉山委員が先ほど言われたのは、「日本小児総合医療施設協議会の加盟病院で現在一 部の病院でと」しか書いていないのですけれど、それもあまりはっきりした数字が出し にくいという意味ですね。 ○杉山委員  現状で、と割り切ってしまえばすぐに出せます。 ○裄V座長  前の方にも空欄になっていたところがありましたから、入れていただく上で、出して いただかないといけないでしょう。  マル3として「地方公共団体は、子ども病院、精神保健福祉センター、児童相談 所」、これは主に都道府県の施設です。「発達障害者支援センター、情緒障害児短期治 療施設などの、医療、保健福祉、教育などの地域関係機関が連携協力して、地域の実情 と需要に対応できるよう、子どもの心の相談・診療体制の整備を行う。例えば各都道府 県において少なくとも1か所は子どもの心の診療を専門的に行える機関が必要であるこ とが指摘されている。例えば、公立精神科病院、公立病院の小児科」。ここは少し書き 方がおかしいところがあります。「地域の診療専門機関としての機能の他、子どもの心 の診療に関する地域における専門研修機関としての機能を付与することが考えられる。 特に、レジデント制度を充実させる必要がある。また、専任の指導医を確保する必要が ある」。これは「必要がある、必要がある」という書きぶりならば良いということです ね。  それからマル4「関係団体は、当面、都道府県と協力して、各都道府県における専門 医療機関や養成研修の現状を明らかにするための調査研究を実施し、全国的に情報発信 を行い、各地域における取組の相互連携を促す」。これは国として都道府県に、こうい った事を促すことができるということです。  このような事が記載されているわけですが、この部分に関して何かご意見はございま すでしょうか。ここについても、今、いただいた意見、幾つかに関してこれに付け加え るというところは何かありましたでしょうか。母子保健課長が雑談だと仰ったようなこ とも、書ける範囲で書いていただくということで。  大体この養成の方法といった部分に関して非常に時間をかけてご議論いただいたわけ ですが、次回の検討会に出される最終版を作る上で、いただいた様々な意見を含めると いうことでよろしければ、そうさせていただきたいと思います。 ○杉山委員  最初のところにぜひ付け加えてほしいことが2点あります。1点は、子どもは国を支 える未来の宝だということはどこかに言っておいてもらわないと、子どもがとても大事 だということをどうもわが国は忘れかけているのではないかと最近感じるので、そのこ とが一つです。2点目は、医療経済的に短期のそろばんでは子どもの医療は非常に赤字 になりますが、長期的なそろばんをはじいた場合には赤字にはならないと一言入れてお いていただけないかと思います。 ○裄V座長  これは今までの議論にもよく出てきましたし、神山委員からの提案の中にもそういう 文言がありますが、「はじめに」という部分に理念的な文章としてうまく入れられれば と思います。確かに、思いが伝わるといいですね。 ○牛島委員  一つよろしいですか。一番専門的な「3.」です。23頁で高度専門的な養成のため に1〜3年間かけてきちんとした研修を受けた人たちというのは結構ですが、それに準 ずるところを何か挙げられないでしょうか。と言うのは、日本児童青年精神医学会は認 定医制度を設けていますが、これから外れてしまう人はたくさんいるわけです。日本小 児精神神経学会はどうですか。 ○奥山委員  そういうもの自体がないので。 ○牛島委員  将来の展望としてそういう認定医制度を作る予定はないのですか。 ○奥山委員  まずは施設認定です。星加委員、そうですよね。 ○裄V座長  現時点ではまだ具体的な認定医あるいは専門医の制度をというところまでは行ってい ないということですね。 ○牛島委員  と言うのは、少しまずいと言うか、あまり現実的でないと思うのは、日本児童青年精 神学会認定医は現在113名いるわけですが、このうちの半分ぐらいは、これから外れ てしまう可能性があるのです。 ○奥山委員  レジデント教育を受けていない、という意味で外れるのですか。 ○牛島委員  そうです。 ○奥山委員  ただ、これまでにはレジデント教育というのは、はっきりなかったので、我々もレジ デント教育を受けていないのです。 ○牛島委員  場合によってはこれからも、3年間きちんとした専門の施設でしないにしても、かな り努力して学会で実力があると認めた人たちに対して、道を閉ざしてしまうのはどうか という気はするのです。ですから、ただし書きなどで、最後のところにそういう可能性 のあることも付け加えていただけないかということです。 ○裄V座長  1〜3年の長期研修、これが基本だけれども、それに準ずる内容を持った研修という ようなことも含まれるような、ということですね。そのような書きぶりが可能であれ ば、そうしていただければと思います。 ○牛島委員  明言される必要はございませんけれども、そのような道は開いておいた方が禍根を残 さないと思います。 ○神山委員  前回、南委員も仰ったし、今、杉山委員も仰っているのですが、今の子どもの心の診 療にかかわる医者の数の少なさというのは、とんでもない問題だと思います。  産科医と小児科医が少ないということは相当報道されていますし、つい先日も厚生労 働省から最終案の報告書が出た直後ですが、その前から出ているわけです。ところがこ のことに関しては、囲み記事で佐世保女児誘拐殺人事件の加害少女がアスペルガー症候 群だったというような記事は出ますが、実際には一般に大きな関心を持たれていないと 思うのです。  それで虚心坦懐にこれを拝見させていただきますと、やはりインパクトがないという のは私のすごく正直な印象です。  何がいけなかったのかと言うと、追加で出させていただいた中にもありましたが、診 察に時間がかかる、その辺のことを書いていなかったというのが一点。それと、検討会 の前に母子保健課長補佐から、私が書いた理念のことは今回あまり議論されてなかった ので今回の最終案から抜きました、と釘を刺されたのですが、杉山委員にも子どもが大 事だということは何度も繰り返していただきましたし、やはり、そこのところの理念と いうのはきちんと書いていただくことが極めて大事だと思います。  参考資料として出させていただいた中の27頁、それから28頁のところで繰り返し そのことに触れておりますけれども、この辺のことを杉山委員のお考えも入れていただ いた上で、ぜひもう少しインパクトのある書き方にできればとつくづく思いました。 ○裄V座長  これは「はじめに」の書き方に関して、もう少しそういった点に触れるということは できるのではないでしょうか。 ○事務局/母子保健課長補佐  それに関してですが、例えば今のご指摘は、私どもといたしましてもその通りだと思 っております。とはいえインパクトのある、根拠のある数字をというので、一つ考えら れますのが、今回、牛島委員からご提出いただいている参考資料の29頁に大学・付属 病院などでどのような体制で子どもの心の診断に臨まれているかというような例示がご ざいますが、その中でこの参考資料34頁の下段に小さく待ち日数があります。これも 私どもとしては数字が非常に欲しい領域だったので、これを拝見しまして、かねてから 杉山委員から3か月待ち、半年待ちというお話がありましたように、こういったものを 引用することでは如何でしょうかということが一点。それと、もし診療時間にこれだけ の時間がかかっているというような統計等がございましたらぜひご提供いただいて、そ れを盛り込んでみたいと思います。 ○裄V座長  神山委員が言われた中で、診療に非常に時間がかかることをもっとアピールするとい うことに関しては、診察の予約が3か月先だというようなデータが必要だとすれば牛島 委員からのデータも引用できると思います。けれども、それとともに子どもが大事だと いうこと。これも少子化、家族形態の変化、高度情報化、そのようなキーワード的なこ とを書く前に、21世紀の日本にとって子どもというのは一番大事であると。 ○奥山委員  事務局サポートチームとして加わってきて、どこに発信してどこにインパクトを求め るかで違うのだと思いました。私たちは最初公向けのインパクトと考えていたので、先 ほど神山委員が仰っていたようなことを全部入れ込んで書いていたわけです。  例えばコミュニケーションの問題があるから特殊な技術を必要とするとか、それで時 間がかかるのだ、こういうことがあるのだということを全て書き込んでいたのですが、 行政向けの発信になると数字がとても大切で、それが残っていくという形になるのだな と良くわかりました。  おそらく、これは一番先に行政向けに出しておられるという感じがします。ですから 数字がとても大切で、理念的なものはあまり要求されないのではないかと思います。 ○神山委員  だとすれば、それは日本の行政のあり方そのものの大きな問題点だと思います。やは り基本的に理念というものをきちんと出していくことが、行政の基本にあるべきだと私 は思うのです。数字はもちろん大事だと思いますが、日本をどういう国にしたいのかと いうことがないと、細々とした実際のところが動かないと思います。私は今の日本の行 政に欠けているのはそこだと思いますので、こういう機会があったので発言させていた だきました。 ○裄V座長  厚生労働省、役所の設定した検討会での報告書のスタイルと言いますか、そういうも のもあり、それに沿って事務局としては作っていかなくてはいけない、ということも十 分ご理解いただきたいと思います。 ○母子保健課長  仰るとおり、せっかくそこまで仰ってくださったので雑談の延長線上のようなことで 申しますと、どういう書きぶりがいいのかということにルールはありません。役所がこ れまでやってきたようなルールに必ずしも拘泥する必要はないし、そういう時期ではな いと私も思っています。  ただ我々の枠組みだけをただひたすら申しますと、そもそも「子ども・子育て応援プ ラン」に書かれ、「少子化社会対策大綱」の中でもそのようなものが出されていること 自体が、国は一番トップの段階でそれは出しているのだ、という感じにもなるのだろう 思います。つまり、子どもは重要だというのは、「少子化社会対策大綱」も、「子ど も・子育て応援プラン」も、それから「健やか親子21」も公衆衛生的な観点から述べ ています。上下の関係だけで言えば、「子ども・子育て応援プラン」の傘の下で書かれ ているから、非常に乱暴な言い方をすれば、「子ども・子育て応援プラン」を読んでく ださいという感じになる。子どもが重要とか、子育てが重要とか書かれているのですと いう整理になる。それを、あえてまたここに書くかというのは、「子ども・子育て応援 プラン」に書かれていることであるから、引用することは可能だろうと思いますが、そ ういう意味では、やや奥山委員が助け舟を出してくださったのだろうと思っています が、多少、実利的な話を中心に書いたかという気がしています。 ○山内委員  私も段々とその辺りがわかってきたのですが、この回の最初の頃、南委員が、家庭が 大事だとか、子どもを育てるという視点からの話が出ましたが、実際にこの委員会は、 子どもの心を診療する医者が足りないのだ、だからどうするかということに特化して話 をする。その以前にあるベースの問題については、皆、承知しているということだと思 います。そうなると、どのくらい足りないのかが、本当は出せると良いわけです。これ だけ診療時間がかかる、何日も待つ、ということからいくと、概数として我々がどれく らいいなければと思っているのに、実際把握した数はこれしかないというのが出れば、 本当に報告書に合った、基礎データになると思うのです。その辺りはどうでしょうか。 ○裄V座長  その辺りで、現在得られる数字的なデータは、これに盛れると思いますが、もう少し 緻密なと言いますか、広範な医療提供体制、特に医師とコメディカルも含めた人的資源 と、それから需要に関してのデータというのは、研究班の、今年そして来年と続く調査 で、むしろそこで出てくると位置付けていただければと思います。 ○牛島委員  今はその数字はありません。ただ一つ数字として出せるのは、特別支援教育で、全国 の国公立の小中学校に、児童精神科医を1人ずつ割り振るとすると、普通の国公立の小 中学校は約35,000ですか、それに盲・聾・養護学校といったものを入れると、 1,000くらいプラスになって、私立の小中学校というとまた増えるのです。それく らいの人数が必要かとなりますと、これは精神科の医者よりもはるかに多い。これは非 常に無理なのですから、出せる数字は、母子保健課長が引用した、今の待ち時間がどれ くらいかという、その辺りで出す以外に、数字としては出せないかと思います。 ○裄V座長  そういう状況だと思います。 ○事務局/母子保健課長補佐  それに関連して、もう一つご意見がいただければと思ったのが、14頁の下の方で す。骨子のときには本文の中に入れられればということで、本文の中にあったのです が、実際に現在、子どもの心の診療ということで、3つのグループの医師について、診 療ニーズとかいうことで、どれくらいの数の方がおられるのか。それで、裄V座長ご指 摘のように、研究班で、実際どのような診療のディマンドがあって、必要とされる数が このくらいと請求されるものに繋がればということが、調査研究の枠で行われておりま すが、もう一つ確認をと思ったのが、今回、別紙2のアンケート調査の中で、各学会所 属の先生方の中で、どのくらいが、それぞれ一つ目、二つ目、三つ目の医師のグループ と思いますか、という聞き方をしてご意見をいただきました。それをまとめましたの が、この14頁の下のところです。私どもの方で、確認をさせていただきたいと思った のが、「1」の子どもの心の診療に携わる、いわゆる一般の小児科医・精神科医が 15,000人、それから11,000人ということで承りました。精神科の数という のは、11,000でよろしいかということです。これは一般の精神科医でおられるの か、児童精神科医なのか。 ○裄V座長  一般の精神科医です。 ○事務局/母子保健課長補佐  その中で、お子さんを対象とされている方の数は。 ○牛島委員  日本児童青年精神医学会のメンバーで精神科医は現在1,200人くらいです。   ○山内委員  この部分の児童精神科医と書いてあるのが正しくはないので、一般精神科医が 11,000人。 ○牛島委員  1年前で1,232人。少し今は増えています。100人くらい増えているでしょう か。13,000人くらいでしょうか。 ○裄V座長  この11,000人というのは、日本精神神経学会の会員数です。小児科も 15,000人、もう少し多くて18,000人くらいいます。日本小児科学会の認定 する小児科専門医の数は13,000人くらいです。小児科医というのは、「子ども・ 子育て応援プラン」に書かれているように、100%こういったものについての研修を 受ければ、この数になります。ですから、ここに現在書いてあるのは、現状は必ずしも そうではないけれども、目標としてはこうなると思います。精神科の先生方に関して は、実際、日本精神神経学会会員の中で、子どもの診療をされる機会のある医師という のは、もう少し限られるでしょうか。 ○牛島委員  「1」と「2」は少し矛盾しているから、診療を専門とする小児科医・精神科医は多 くても2,000人。この中に、児童精神科医が入るのでしょう。 ○裄V座長  わかりました。書き方がこのままでは具合が悪いと。 ○牛島委員 高度な専門医と称する認定医というのは、何をもってそうするのかわかりませんが、 先ほどから言いますように、日本児童青年精神学会医の認定の資格を持っているのは、 現在113名です。 ○裄V座長  日本児童青年精神医学会として認定したのは。 ○牛島委員  指導的立場を取っている人たちで、取らない人も結構います。 ○裄V座長  小児科医にももちろんいるわけで、合わせて200人ぐらいかというように計算した のでしょうか。 ○奥山委員   ただ、学会員になるのは別に資格は要らないので、要するに、小児科と精神科は(精 神科はこれからかもしれませんが)、専門医制度を作っておられるので、この数は良い と思いますが、このサブスペシャリティのグループは、質は問わずと考えていただかな くてはならないと思います。自称という感じです。 ○牛島委員  正確には、児童精神医学に関心のある精神科の医者であるかと思います。 ○裄V座長  残された時間は非常に少ないのですが、24頁以降に、委員の意見集という位置付け で、「「子どもの心の診療医」の養成に係るその周辺課題について」ということで、今 までの検討会での議論で問題とされた項目が10項目にわたって挙げられています。こ れはいずれも極めて重要な課題ですが、今回の報告書としては、参考意見・周辺課題と してこういった問題が挙げられている。多少の内容の説明を付けて、載せるという位置 付けに、本日のたたき台としてはなっているというわけです。 ○奥山委員   一つ、一番上の文章は、「医師の養成自体に直接関係するものではない」と言うより も、養成の充実に関係しているとても重要な課題であるということで「養成と密接に関 係する課題として、意見があった」といったように入れていただいた方がいいです。 ○裄V座長  逆のニュアンスになりますけれども、そうですね。密接に関連する重要な課題。 ○神山委員  先ほどの母子保健課長の話です。確かにこのベースが「子ども・子育て応援プラン」 だということは存じ上げておりますが、実は「子ども・子育て応援プラン」の元は確か その1年前、すなわち2004年6月に出た「子育て支援社会をつくることを国の優先 課題とする」少子化社会対策大綱でした。ですから基本は子育て支援から始まっている のです。それで、「子ども」というのが付いたときに、子どものことに重点が置かれて いるのかと読み直していましたが、決して子どもを大切にする国であるとか、子どもは 大事なのだという文言はないです。ですから「子ども・子育て応援プラン」というのが あるから、子どもを大事にするという理念の下で動いているということは、国としては 正確にはない。子育て、つまり、親へのサポートということが中心になっている施策だ と思いますので、初めでもいいですし、この意見集でも構いませんが、杉山委員とも相 談していただいて、ぜひ、その理念については触れていただけたらと思います。 ○裄V座長  検討しましょう。  ○南委員  専門的なことではないのですが、インパクトがないというご意見が色々と出ていま す。私も前回のときに、少しインパクトを持たせた方がいいのではないかということを 申し上げましたが、もう一回よく読んでみると、結局この報告書が、「子どもの診療に 関わる専門医療のあり方に関する検討会」ではなくて、「専門の医師の養成に関する検 討会」なので、こういう形になるのはやむを得ないのだと思います。  ただ、先ほどから出ている、極めて厳しい現状、医療全体が置かれた現状と、それか ら日本の社会全体に対する経済圧力という言葉がありましたが、その経済的な圧力とい うものが、ものすごく強くかかっている中であることを考えますと、この太枠の、先ほ ど来議論してきたところが非常に重要だと思うのです。その中で、例えば、自治体のこ とが書かれている辺りに、こういうことが必要である、こういう整備が求められる、と いうことがありますが、やはり、弱い感じがします。これは言葉遣いの問題になるので すが、子どもの心の問題を抱えておられる国民が非常に困っているという現実が明らか にあるので、ここは、自治体が例えば、こういうものを整備するとか、責務があると か、そういう書き方はできないのでしょうか。数を確保するためには、最低限、これだ けはというところを入れないと、すっきり読まれて、ご説ごもっとも、で終わってしま う可能性があるのでは、という気がします。   ○裄V座長  その辺は、まさに行政としての書きぶりの問題なのですが、どうでしょうか。 ○南委員  少しくどいようですが、私が今まで色々な現場の話を伺った率直な印象として、義務 付けにでもしない限り、本当に不採算なものは守れないのです。ですから、子どもが大 事だというような理念では、豊かな時代になりましたし、大事にされているのです。た だ、その大事にする仕方が問題ということもありますし、最低限のところは、やはり義 務付けないと難しいのではないかという印象を非常に強く持ちました。 ○裄V座長  義務付けるような方向に議論が進むかどうかですが。 ○母子保健課長  先ほどから雑談的なことばかりで申し訳ないのですが、仰る通りだと思います。採算 の問題から少し話をすると、本来は採算は取れるべきだろうと思っています。非常に意 地悪なことを言って大変恐縮ですが、私は保険局にいたときの経験から申しますと、採 算が取れない、取れないと皆、仰るのですが、実は数字で出せていないのです。例え ば、小児科単独で、どの部分がどう駄目だから、採算が取れていないのですかという質 問をしても、実は取れなくてとか、どうも取れないらしいと言う。それからやりまし た、計算しましたというところを見ても、いわゆる配布法というやり方をしていて、直 接にコストと収入とがリンクして、誰にでもわかるような形で、きっちり採算の部分が 出せないのです。  保険局も、例えばこの部分のこの点数が低いと、例えば看護料が低いとか、検査が何 時間もかかって、これだけのコストがかかる、こんな機械を買っているのに、ランニン グコストも出ないような点数表なのですということを、丁寧に数字を持っていけば、そ れは付けてくれるのでしょう。でも今、どの科も「困っています、困っています」とい う中で、小児科のこの部分にこう付けるのだということになると、やはり残念ながらデ ータが要るので、先ほどの人数が何人要りますかという話と似てくるのです。残念なが ら、今は困っているから、大事だからお願いします、ではなくで、この部分のこのコス トはこうだということをはっきり出して、どうですか、採算割れしているでしょうとい う話を持っていかないと難しい。そういう意味で言うと、子どもの心とは、小児科の中 のまたその一部、あるいは精神科の中のまた一部ということで、手間とかそういうもの に対する評価は非常に難しくなっている。そこについて今後、お願いをしたいのは、公 立病院の先生方に、採算とかコストの問題について非常に厳密に、ぎりぎりのデータを 出していただきたいという気がします。  二つ目の問題は、確かに責務を課している部分はあります。それこそ最近の例で言い ますと、触法精神病の問題もそうですし、精神保健福祉法をよく読むと、各都道府県 は、県立の精神病院を持つように努める、絶対ではないですが、持たなくてはいけない となっています。ありふれた言い方かもしれませんが、政策医療のようなものはあっ て、それはそれで位置付けられる部分はあるのだと思います。それから精神保健福祉法 に言う精神病院ほどではないですが、例えば、がんの拠点病院みたいなものを作りまし ょう、それは診療報酬とは別個に医療施設設備整備補助金みたいなものを使って応援し ましょうというようなことがあったのですが、何度も言いますが、どう考えても採算に 合わない。採算に合わないけれども、国家的、あるいは地方自治体の責務としてあるの だということになれば、そういうことも書き込めるかという気がしてきています。  本日この時点では、どちらなのか。つまり診療報酬の方で頑張れば、最後の最後はう まく行くのかと言われれば、わかりませんと言わざるを得ない。では診療報酬は無理だ から、当面は責務みたいなもので行きますかと言われても、ちょっとわかりませんとい う感じになります。それは、いい加減と思われるかもしれませんが、そういう議論まで 実は行かなかったと思っています。私どもも、内部の話をしますと、精神保健福祉課と か、保険局とかと十分話をしないと、母子保健課が小児科、精神科に勝手な約束をした というのでも、少し困ります。そういう意味では、本日この時点では、どうですかと言 われると難しい。もしかしたら、問題の先送りと言われてしまうかもしれませんが、4 月以降の議論の中で、多少出てくるのか、あるいは研究班のようなところで、本当にま じめに、虚心に収支分析でもやってもらうかです。 ○山内委員  細かいニュアンスでよくわかりませんが、文言の問題ですが、先ほどの23頁のマル 3のところです。1つ下のパラグラフで、「例えば」とあるところが、「指摘されてい る」では弱いので、「整備を行う」と。「そのために各都道府県において少なくとも1 カ所は子どもの心の診療を専門的に行える機関が必要である」、というくらいの表現に して、先ほどの構造と内容ではないですが、我々としては一生懸命考えた末、そういう 仕組みは必要であるとここでは考えた、というくらいは許されれば。なんとなくあいま いで、「例えば、各都道府県において少なくとも1か所は子どもの心の診療を専門的に 行える機関が必要であることが指摘されている」だけでは、我々の気持ちにはフィット しないので、そのくらいまでは許されるのでしょうか。   ○牛島委員  「例えば」も抜くのですね。 ○山内委員  「そのために」とする。 ○裄V座長  そういった書きぶりは、細かく見ていけば色々とあるかもしれません。 ○冨田委員  先ほどの母子保健課長の言われた診療報酬の点ですが、これは私も1回目に申し上げ たように、最も重要な問題であり、その大変な状況は、例えば私の所の実情を出せば、 直ぐに資料になります。  一般的に小児科の診療報酬は他科に比べて低いと言われていますが、それでも通常の 小児科でへ鼻水を診て六千円余りに対して、1時間の相談で七千円余りでは、その酷さ は大方の想像を超えたものです。特に親にも子どもと同じくらいの時間をかけなければ ならないので、私たちの所では仕方なく親のカルテも作ります。それでも基本が低いの で焼け石に水です。  現実には私の所では、保険診療と心理相談を分けて実費を頂くようにしていますが、 実費部分が四千円〜五千円ぐらいです。これに保険の3割負担が加わると、患者さんは 親子並行面接(親と子どもにそれぞれ同時に1時間ずつ行うと合計2時間になる)をす れば、結果的に1万円前後の出費になります。これは支払う側にとってはかなりの高額 になる一方で、私たち側からすれば、これでも医師の給与は公務員の医師の半額から 1/3にしなければ成り立ちません。私たちの所は過去20年間、これでやってきまし た。ある意味、乗りかかった船で、仕方なくやってきたというのが実情です。母体が社 団法人ですから、いつでも内訳を公表していますから、経済的内容は出すことが可能で す。  私たちは経済的に問題を大きく抱える一方で、公的機関に勤めてこの分野をされてい る医師は、月給という点では他の医師と同じでも、例えば先ほど杉山委員にお聴きする と、ほぼ毎日12時間働かれている。つまりいかなる場でも、この分野は医師の犠牲で 成り立っているということが最大の問題です。  今回、これらの問題は主な焦点にはなりませんでしたが、是非、次の機会にはこれも 取り上げていただき、そこからの議論も、この分野を充実させる、あるいは次の世代を 育てるために必要か、と思います。  それから、先ほど牛島委員は私立では熱心な医師が替わると続かないと言われました が、公的機関、私の経験では、大学でも、少なくとも小児科に関して言えば、熱心な医 師が孤軍奮闘していますから、その人が辞任すれば、その後はほぼ有名無実になりま す。だからこの問題は私立・公立、時には大学といえども同じなのです。  この発言は、日本小児心身医学会の代表というより、個人的に実施している者として の発言です。 ○奥山委員  最後のお願いなのですが、今は課題がたくさん出てきて、できれば来年度にはきちん とという話が幾つか出てきているので、その辺の位置付けをしたい。今回の報告書は、 全部をきちんとやったというのではなくて、今後また検討していく課題を持っているの だという辺りを明確に書き込んでいただいた方が、よろしいのではないかと思います。 ○裄V座長  私もそのように思います。 ○吉村委員  26頁の上の「7.就職先に関する課題」ということで、その内容を見ると、 「(1)教育を行う人材確保の必要性」と「(2)就職先を確保する必要性」が記載さ れています。(2)は就職先ですが、(1)も入れて「7.就職先ならびに教育に関す る課題」としていただけたらとよろしいかと思いますので、よろしくお願いします。 ○裄V座長  就職先というと(2)のことしか言っていないのではないかと思います。  さて、本日は18時までということで、1時間長く取っていただいて、色々多岐にわ たるご意見をいただきました。まだまだ話題は尽きないと思いますが、時間にもなりま したので、本日の会議はこれで締めくくりにしたいと思います。この他にも報告書のた たき台案、本日提示された、たたき台に対するご意見がある場合には、事務局にお伝え ください。それは1月中にということでお願いします。本日の議論につきましては、事 務局で意見を盛り込んでもらって、次回は報告書の最終案として、最終的に検討すると いうことにしたいと思います。取りまとめを行いたいと思います。  また、関係の皆さまが、既に各学会その他団体で実施されている研修に関する取り組 みについては、ぜひ、各学会あるいは関係団体の理事会などで、さらに検討していただ いて、様々な取り組みをより積極的に進めて行っていただきたい。そしてそのような情 報を組織間・団体間で共有することも、していかなければいけないと思います。  前回・今回の議論の中でも出てきましたが、学会などの関係者間の連携を密にして、 各々の団体が具体的にどのようなことができるのか、その分担とか、連携とか、また研 修を合同でやるとか、そういうことについて、これから検討していかなければいけない と思いますし、そういう仕組み、学会の中での委員会とか、あるいは関連する学会のト ップの人に集まってもらって会議を持ちたいとか、そういった試みを今、始めようとし ているところです。そういった議論を踏まえて、カリキュラムの充実とか、対象者の拡 大とか、活動の充実というところに繋げていけたら良いと思っています。  本日の検討会はこれで終わりにしたいと思いますが、事務局から何かございますか。 3.その他 ○事務局/母子保健課長補佐  先ほど座長が仰いましたように、次回は最終回です。修正の箇所があろうかと思いま すので、できれば具体的な文章でいただければということで、また個別に相談させてい ただくことがあろうかと存じますが、ぜひ1月中にこのたたき台について、ご意見をお 寄せいただければと思います。また併せて、内容面と用語の使い方にも一部、事務局と して非常に頭を悩ませた部分がございます。例えば、一つ目の医師のグループで、小児 科・精神科の一般専門教育を受けられて、その後専門医の資格を取られてですとか、そ の辺りの一般専門教育という表現で良いのかとか、その辺り、矛盾するようなところが あるので、一般社会に対して非常にわかりやすくお伝えできるような表記の仕方などに ついてもぜひご教示いただければと思います。  また、予定として現在考えておりますのは、この2月中には「報告書(案)」の段階 でパブリックコメントという形で総務省のホームページで一般の方にご覧いただき、コ メントをお寄せいただくというプロセスがありますので、そちらの方でも広くご意見を いただいた上で、どのような意見をいただいたかということを取りまとめて次回の検討 会で最終的にご覧いただければと思っているところです。  次回の第9回で最終回となります。開催は3月8日水曜日の16時から18時を予定 しておりますのでどうぞよろしくお願いします。 4.閉会 ○裄V座長  最終版の、ある意味では案ですけれども、「最終版(案)」というのは、3月8日の 検討会の前に、公表されてパブリックコメントの募集がされるということですね。それ から各委員にも、事前に配られるということですね。  それでは、これで第8回「子どもの心の診療医の養成に関する検討会」を終わりにさ せていただきたいと思います。大変長時間にわたってご議論いただきありがとうござい ました。 ―終了― 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 電 話:(代表)03−5253−1111 齋藤(内線:7933) 飯野(内線:7938)