06/01/16 第1回臓器提供意思登録システムに関する作業班の議事録について 臓器提供意思登録システムに関する作業班(第1回)         日時:平成18年1月16日(月)10:00〜11:55         場所:合同庁舎5号館 専用第16会議室(13階)  矢野補佐 定刻になりましたので、ただいまより第1回臓器提供意思登録システムに 関する作業班を開催いたします。本日は初回の会合ですので、まず班員の方々の御紹介 をさせていただきます。  初めに、新潟県臓器移植コーディネーターの秋山政人コーディネーターでいらっしゃ います。上智大学法学研究科教授の小幡純子先生です。東京歯科大学市川総合病院角膜 センター長の篠崎尚史先生です。東海大学法科大学院教授の宇都木伸先生です。東京大 学情報学環助教授の山本隆一先生です。またオブザーバーとして、社団法人日本臓器移 植ネットワークの菊地コーディネーターです。それから、厚生労働省の西村情報化統括 責任者補佐官が出席をしております。  会議に先立ちまして、片岡臓器移植対策室長よりごあいさつをさせていただきます。  片岡室長 おはようございます。厚生労働省の臓器移植対策室長をしております片岡 でございます。本日はお忙しい中ありがとうございました。  この臓器提供意思登録システムに関する作業班でございますが、厚生労働省それから 日本臓器移植ネットワークでは、これまで約1億枚を超える臓器移植意思表示カードと いうものを作成して、いろいろなところの御協力をいただいて配布しているところでご ざいます。徐々にカードの所持率なども増えてきているところではありますが、世論調 査をしておりましても、カードの所持率は10.5%という状況になっており、カードのよ り効果的な普及方法が求められております。  また、カードを持っている方でも、家族がそのことを知らなかったためにカードが発 見されずに本人の意思が不明となるケースがございます。また心停止下での腎臓提供に ついては、本人が拒否の意思をしていなければ、遺族の承諾により提供することができ るとなっております。その場合に、臓器提供を希望しないという方の意思をより確実に 確認できるようなシステムが必要ではないかという声もございます。そのようなことか ら、昨今の情報機器の進展も踏まえて、今般、臓器提供意思登録システムを、パソコン 等あるいは携帯から登録できるようなシステムができないかということで、制度を新設 したいと思っております。  この作業班におきましては、システムの基本的な仕組み、それから事業化に際して注 意すべき事項あるいは留意すべき事項等について、専門的な観点から御議論いただけれ ばと思っております。本日を含めて3回程度開催し、本日はシステムの基本的な仕組み、 それから留意事項としてどのようなことがあるのか。また次回についてはそれぞれの論 点について御議論いただいて、3回目で全体のまとめをしていただければと、このよう に考えております。  当作業班の班長につきましては、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会の委員 長であります永井先生の御推薦がございまして、宇都木先生にお願いしたいと思ってお ります。これより先の進行につきましては宇都木班長にお願いしたいと思います。どう ぞよろしくお願いいたします。  宇都木班長 私、班長をするように命じられていますので、実態をよくわからないま まですが、専門の先生方がそろっていらっしゃいますのでどうぞよろしくお願いいたし ます。初めに資料の説明をしていただきます。  矢野補佐 ただいま田中先生が到着されましたので御紹介させていただきます。国士 舘大学大学院教授の田中秀治先生です。よろしくお願いします。  それでは配布資料の確認をさせていただきます。お手元に資料が4点ございます。資 料1が臓器提供意思登録システムに関する作業班開催要領でございます。資料2が臓器 提供意思登録システムの整備について。資料3が臓器提供意思登録システムのイメージ という資料です。資料4が諸外国の臓器提供意思登録システム。以上4点でございます。  宇都木班長 ありがとうございました。資料が欠けている方はいらっしゃいませんか。 ございましたらどうぞおっしゃってください。  では、今日は「臓器提供意思登録システム」という一応の名前がついていますが、そ の基本的な仕組みについて事務局から説明を受けた後、資料の項目に沿って御議論して いただきたいと思います。初めに事務局の方から内容的な説明をお願いします。  矢野補佐 それでは資料2と資料3に沿って御説明させていただきたいと思います。 まず資料2の「臓器提供意思登録システムの整備について」でございます。まずその趣 旨についてですが、今ほど室長からも申し上げましたとおり、臓器提供意思表示カード の所持者の一層の増加を図るということ。そして、臓器提供に関する意思表示の機会を 拡大しまして、より確実に臓器提供に関する意思を確認することができるようにシステ ムを整備するというのが今般の趣旨でございます。  システムの実施主体としては、現在臓器のあっせんを行っております日本臓器移植ネ ットワークで実施することを予定しております。  資料2の3点目「基本的な仕組み(案)」について御説明させていただきます。この部 分につきましては、細かい論点の御議論をいただく前提として、システムの大まかな流 れについてイメージを持っていただくために、パワーポイントの資料、資料3を準備し ておりますので、そちらに沿って御説明させていただきたいと思います。  まずシステムの最初のところですけれども、今この左手にありますのが、日本臓器移 植ネットワークの現在のホームページでございます。ホームページのトップページのと ころに「臓器提供意思登録」という欄を設けまして、そこにアクセスしていただくとい うことになります。アクセスをしていただきますと、新規登録の項目と、自分の登録し た内容の閲覧、変更、削除をするところにアクセスするということになります。  新規登録のところをまずクリックいたします。そうすると、初めに規約の同意画面と いうのを示しております。ここに実際に書かれているのは現在のネットワークのホーム ページのサイトポリシーですので、内容については別途検討する必要がありますが、シ ステムの大体の概要ですとか、個人情報の取り扱いについて、それからセキュリティー に関する事項、プライバシーに関する事項について最初の画面でお示ししまして、ここ に同意という形でクリックしていただきますと、入力画面に移ります。  ここの入力画面で入力していただく事項ですけれども、まずこの1、2、3というの は、現行の臓器移植意思表示カードに記載されている事項と同じでして、1番が「私は 脳死の判定に従い、脳死後、移植のために下記の選択した項目の臓器を提供します」、2 番目は「私は心臓が停止した死後、移植のために下記の選択した項目の臓器を提供しま す」、3番目は「私は臓器を提供しません」、この3つの項目で御自分の意思を入力して いただきます。  4番目ですけれども、本人に関する事項ということで今ここに掲げているのは、生年 月日、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、パスワード、リマインダーということ で記載をしております。ここに必要事項を入力していただきまして、例えば1番と2番 で入力していただき確認をすると確認画面というのが出てきまして、「私は脳死の判定に 従い脳死後移植のために下記の選択した項目の臓器を提供します」という意思と、選択 した臓器、ここでは一例として心臓と肺と小腸を選択しておりますが、その内容が示さ れます。それから「私は心臓が停止した死後、移植のために下記の選択した項目の臓器 を提供します」を選択すると、選択した臓器、ここでは一例として腎臓と膵臓というも のが示されます。  その下が本人に関することで、生年月日、氏名、振り仮名、電話番号、メールアドレ ス、パスワード、リマインダー、それから登録した日時を示しまして、これでまた確認 のクリックをしますと、入力完了の画面が出てきます。  ちょっと資料にはないのですが、この内容がプリントされた臓器提供意思表示カード が日本臓器移植ネットワークから御本人の登録した住所あてに郵送されることになりま す。現行の制度のもとでは、脳死のもとでの臓器提供というのは、御本人の書面による 意思表示というのが前提となっておりますので、ネットワークから郵送されたものに御 本人に署名していただくということで有効な意思表示になります。様式は問いませんの で、例えばここで表示されている画面を印刷して、そこに御本人が署名をするというこ とでも書面としては有効になります。  「私は臓器を提供しません」を選択した場合には、同様の手続で「臓器を提供しませ ん」という内容でして登録されまして、この内容がプリントされたカードがネットワー クから御本人の住所あてに送付されるということになります。  今度は、自分の登録した内容を閲覧したり、変更したり、削除するときのイメージで すけれども、まずログインページで、御自分のメールアドレスとパスワードを入れてい ただきます。ログインをしていただきますと、自分の登録した内容が表示されます。変 更の場合は、変更というところにクリックしていただいて、変更画面が出てきまして、 必要な事項を入力しますと確認画面が出てきまして、そこで更新というところをクリッ クしていただきますと、更新された内容のカードが表示される。これも、変更した内容 をプリントしたカードがネットワークから御本人の住所に再度送付されるというイメー ジです。  削除する場合ですけれども、同じ手続きでログインしていただいて削除をクリックす ると、削除の確認画面が出まして、「削除します」をクリックすると削除完了画面が出る というイメージです。  ここではパスワードのリマインダーについてのイメージを示しております。パスワー ドを忘れてしまった場合には、ログインのページから、あらかじめ「パスワードをお忘 れの方はこちら」という項目を設けておきまして、そこをクリックしていただき、Eメ ールアドレスを入れていただきまして送信する。送信しますと、あらかじめ設定された リマインダー、質問事項が出てきます。これは登録の画面の方で登録していただくので すが、例えば、あらかじめペットの名前はポチということで事前に登録していただきま す。そうすると、事前に登録した質問がここで出てきまして、事前に登録した回答を入 力します。それがきちんと事前に登録したものと合っている場合には、登録したメール アドレスのところにパスワードが送付されてきて、パスワードを忘れてもわかるという イメージです。  今度は登録者側から管理者側の話になります。管理者というのは、実際は臓器移植ネ ットワークの特定の職員を想定しておりますが、実際に登録者を検索する際の手続きと いうことです。まず、あらかじめ決められたIDとパスワードを入力しましてログイン する。登録者の検索の画面が出てきます。そこに、例えば氏名、住所、電話番号、生年 月日を入力して検索を開始します。お手元の資料の水色の枠のところに「完全一致」と あるのですが、これは完全一致とするかどうかは一つの御議論いただくことかと思いま すが、検索をして、一致した方々のデータが出てきます。そしてお名前をクリックする と、その方がどういった意思を登録されていたのかということがわかる画面が出てくる ということです。こういった登録の検索をどの段階でかけるのかといったことについて も、また追って御議論いただきたいと思っております。  次は管理者側の、随時パスワードなどを変更しましょうという手続きですので省略い たします。  最後になりますけれども、パソコンからだけではなくて携帯のモバイルサイトからも 登録できるような手続きにしましょうというイメージです。以上でパワーポイントの資 料、基本的な仕組みの流れについてのイメージの説明を終わります。  続きまして資料2の4番ですが、簡単に事業化に際して留意すべき事項について御説 明させていただきます。ここでは6点掲げておりますが、またこれも追加等幅広い御意 見をいただければと思っております。  1点目としましては、登録する情報の内容でございます。臓器提供意思に関する事項、 それから本人に関する事項、その他ということで、どういったものが登録する情報とし て考えられるかということで例示をしております。  2点目が登録内容の確認、変更、削除の手続きの方法です。ID番号としてのメール アドレス。パスワードの付与、入力。それからパスワードを忘れた場合の措置を設定し ておいてはどうかということ。それから、変更の場合には再度新たな登録内容のカード を送付してはどうかということでございます。  3点目は本人が登録した情報であることを確認する方法です。これは、登録された情 報を登録された住所に郵送することによって確認してもらうということが考えられるの ではないかと思います。  4番目は個人情報保護に関する措置です。これは重要な論点だと思います。利用目的、 方法の特定、明示、変更の際の通知。それから安全管理措置、登録情報にアクセスでき る者の範囲などについて御議論いただければと思います。  5点目ですけれども、臓器移植のコーディネート過程における活用方法でございます。 ここでは、コーディネート過程でどの段階で検索することが適当かといったことのルー ルについて御意見をいただければと思います。  最後に、その他といたしましては、登録者に説明するべき事項として、例えば誤入力 があった場合ですとか、登録事項に、お名前に変更が出たときにきちんと変更の登録を していただかないと情報が活用されないおそれもありますので、そういったことを事前 にお示ししておく必要があるのではないかといったことについて御意見をいただければ と思います。そのほか、蓄積される情報、転居者、死亡者等の取り扱いについてどうす るかということも論点になろうかと思います。  資料4の諸外国のシステムについて簡単に御説明させていただきたいと思います。こ ちらに7カ国掲載しておりますけれども、左手の3つ、イギリス、オーストラリア、カ リフォルニア州については、オンラインの登録システムを整備しております。右側の4 カ国については書面による登録のシステムを整備しているということです。  イギリスについては、真ん中にありますが、臓器提供の意思がある場合、提供します という意思をお持ちの方だけ登録するというシステムになっておりまして、UK transplantのホームページからオンライン登録ができるというシステムになっており ます。  オーストラリアにつきましては、臓器提供に関する意思の内容を登録するということ で、臓器提供をしますという方、しませんという方、両方登録することができるシステ ムになっております。これはオーストラリア政府のMedicareというところのホームペー ジからオンライン登録ができるということになっております。オンライン登録の場合は、 登録後に同意確認書を送付して、それに署名して送り返して正式に登録というシステム になっているということです。オーストラリアについては2005年の7月にスタートした ということで、比較的新しいシステムですので参考になるのではないかと思います。  それからアメリカのカリフォルニア州のシステムですけれども、州公認のOPOとい う団体でオンライン登録のシステムを設けております。カリフォルニア州の場合は比較 的簡易な手続きで、登録後にメールで意思確認が行われまして、電子署名が行われて、 そこで確認された時点で有効ということになるということです。  登録事項等につきましては資料に掲載しておりますが、また必要に応じて御説明させ ていただきたいと思います。以上で説明を終わります。  宇都木班長 全体の仕組みと、それぞれのところにおける問題点と、両方説明してい ただいたのですが、最初に全体の基本的な仕組み、資料2の3の部分について少し御議 論していただきたいと思います。いかがでしょうか、この点について御意見をいただけ ましたら幸いです。今日は、いろんな論点を出していただいて、必ずしもその論点につ いては結論を出さないでもいいかと思います。御意見がございましたら、それについて の主体的な意見を言ってくださっても結構ですが、論点を挙げていただいて、それをま とめて次回提出をしてその後で案を作るということでございますので、お気づきの点を 皆おっしゃっていただけたら幸いです。仕組みについていかがでしょうか。  小幡班員 この登録システムの活用の仕方になってしまうのかもしれませんが、要す るに自分でインターネットから接続できて、こういうカードを持っていない人であって も登録できる、印刷画面でこれを持っていればよいというのはよくわかりました。そう すると、このカードを手に入れなくても意思表示ができるというシステムだということ はよく理解したのですが、その後をお伺いしたいのですが、実際にその方が事故等でそ ういう状態になられたときに、現実にはこのカードをその人が手元に持っているか、あ るいは家族が探し出して、あるということで進むということだと思いますが、その後は どういう進み方になるのかなというのが一番興味あるのですが。そこは同じですか。  つまり、画面をプリントアウトしたものを持っているか、あるいは机の中にあるか、 それを持っていかなければいけないのか。あるいは、もっとほかの仕組みを考えている のかということですが。  矢野補佐 現行の臓器移植法のもとでは、まず脳死下で臓器提供するという場合には 御本人の書面による意思表示が制度として前提になっておりますので、例えば登録して それで終わりということにはなりませんで、ネットワークから送られてきたもの、また は登録した内容を印刷したものに対して署名をしていただくことによって、それが御本 人の意思表示であるというのが確認されます。最終的にそういったものがなくて、ネッ トに登録してあるだけということになりますと、それは御本人の恐らくそういう意思で あろうということにはなるのですが、書面による意思表示という要件を満たしませんの で、臓器提供は行われないということになります。  それから現行法でもう1点、心臓が停止したもとでの臓器提供につきましては、御本 人が事前に拒否するという意思表示をしていない場合、または本人の意思が不明な場合 については、御家族の同意で腎臓等の提供ができるということになっておりますので、 その場合につきましては、御本人が例えば提供したくないという意思をこのシステムに 登録していたことが分かった場合には、提供はストップされるということになります。 御本人の提供したくないという意思表示につきましては書面でなくてもいいということ になっておりますので、手続きとしてはそのようになるということです。  小幡班員 そうすると、現行法上書面による意思表示という、その書面が必要である からオンライン登録では足りないという理解ですね。  矢野補佐 はい。  小幡班員 諸外国はいろいろ工夫しているなと思うのですが、例えば日本も今電子認 証のシステムがありますよね。余り普及していませんが、例えばそれを使えば変えるこ とができるのではないかという考え方もあり得ると思います。あるいはオーストラリア などの場合だと、署名して送付するというやり方をとっている。そうするとネットワー ク側が持っているということになるのでしょうが、変更などがきちんと反映できている かとかいろいろ問題があるかと思いますが、このような様々な可能性もあるように思い ます。でも、今のお話ですと、そこまではやらないということですね。ちょっと再確認 ですが。  矢野補佐 そこは論点としていろいろ幅広く御意見をいただければと思っております。  宇都木班長 当初の予定は、少なくとも現行の制度は動かさないで、それをどうやっ てよりよくということだそうですが、御意見として現行の制度を少し動かすという意見 も出していただいて、大変有益だろうと思います。ありがとうございます。  山本班員 確認ですけれども、昨年の3月か4月にe文書法の厚生省令が出されたと 思いますが、意思表示カードは対象には入っていないですね。  矢野補佐 はい、入っていないです。  秋山班員 基本的な仕組みのところでいろいろな御意見をというお話ですので、登録 情報の利用について、現場の人間としての問題提起というか意見ですけれども、今の御 説明では、情報確認では非常に有効なシステムだと思っているのですが、これをどうい うふうに拾い上げて(確認)さしあげることができるかというところが、多分この問題 の最大の論点になるのではないかと思っています。  現在、新潟を含めて各地で例えばドナーアクションプログラムということで、臓器提 供意思をいかに無理なく拾うことができるかというシステム作りに取り組んでいるわけ ですが、このシステムの取り組みについても、どの段階で患者の臓器提供意思表示を拾 わせていただくことができるのだろうというのがすごくネックになっているところです。 また臓器提供は、「私はしたいとか、したくない」という御意見がなければ始まらないと いうのもそもそもの話だと思いまして、議論の問題提起としてこの辺もしっかりと議論 していかないと、せっかくの有効な手段が無駄になるのかなと考えます。  宇都木班長 資料ですと、「登録情報の利用」というところの(2)の「一定の段階」とい うのは何かということですね。  秋山班員 補足的に言いますと、例えば米国ですと、臓器提供の有無にかかわらず死 亡者の情報をすべて米国のOPOに連絡しなさいという規則があって、そういうことが あれば自動的にデータベースの検索で、「この人はこういう意思のある人だ」というのが わかるのでしょうけれども、わが国ではそういうことは当然していないわけですので、 データベースをどのように確認するかが議論になるかなと思っております。  山本班員 私は医療情報の専門で臓器移植は専門ではないのですが、今のお話でちょ っと確認をしたいのですけれども、亡くなってから検索して間に合うものでしょうか。  秋山班員 現場的に言いますと、間に合うのは角膜の御提供だけでございますけれど も、言いたかったことは、医療現場から、こういう人がいるということが情報として上 がるシステムがそもそもあればこの情報は有効に使えるだろうと。その例として発言し ただけでありまして、細かなことは特に重んじていなかったのですけれども。  田中班員 救急の立場から考えさせていただきますと、こういうシステムがあって、 どの場面で医療者側の方に情報が来るのか。多分、今秋山さんが言われたのはその点だ と思いますが。  臓器提供の意思は周囲に漏らしていながらも、当日入院されたときにカードを御持参 されていない、家の中を探しても見つからないというケースが多々ありますので、そう いったケースは非常にアクセスしやすいと思いますが、広く臓器提供の意思を持ってい た方々が入院をしてきて、その人がこういう登録をしているか否かというのを病院側に どういうふうに情報提供するかということ、それがどのプロセスで来るかによって全く 意味のないものになってしまうようにも思います。その点をぜひ御検討に入れて、どの ように病院側に情報を提供していくかということも、この活用のところで検討していた だきたいと思います。  宇都木班長 その点について事務局の方から何かイメージしていることがありますか。  矢野補佐 現在のところは特にございません。  篠崎班員 今システムの話にいきなり入ってしまっていると思うので、一番大事なポ イント、このデータベースがそもそも何なのかというところをもう一回議論してからで ないといけないのかなという気がします。なぜかというと、使い方というのはその後に 来る話で、いろいろ問題があると思うのでそれを3回でやるのは厳しいと思いますが。  諸外国の比較も出ているのでちなみにそれで言うと、日本の法律は皆さん御承知のと おり世界でかなり稀有な、本人の署名がなければいけないという、本人の意思表示が書 面化されていなければいけないという難しい国だということがまず前提にあります。で すから海外を比較するときに一つ大事だと思ったのは、イエスの提供したいという意思 をやっている国と、プリズムコンセントと言いましていわゆる国民全員提供者だと、嫌 な人だけ登録しなさいという国がありますので、我が国でやる場合はその両方を満たす システムであるということが多分大事なポイントだと思います。  そのかわり、これが脳死下での臓器提供の必要十分条件というふうな形で法律が定ま っている以上、これを普及させるということでの1つのアクションであると。じゃあこ の広報活動云々ということが大事だと思いますが、本人の確認ができるかどうかという ところは、僕は情報の専門ではないので委員の先生方にお願いしたいと思いますが、一 番大事なのは、議論になっている、じゃあだれがアクセスするのかと。  ちなみに、欧米は全然違うのでアメリカの話をしますと、アメリカは各州法でアナト ミカル・アクトができて、その後にグッド・アナトミカル・アクト、法律がアメリカで できましたので、一応それに基づいて州で義務化して、全死亡あるいはポテンシャルの 状態で脳死のときに聞かなくてはいけないと。それを今民間に委託してトリアージセン ターなどでやっているわけですよね。だから、誰がどの段階でどう聞くのか。それに対 する医療側の義務。これは法律にもあるように国民の意思は尊重しなければいけないわ けですから、それを誰が施行するのかというところで非常に大きく違う問題だと思いま す。  ちなみに現場の先生方に、これは義務ですと言ってもなかなか難しいことなので、ネ ットワークさんとしてもこのデータを受ける側で多分処理が大変になると思いますので、 登録された方のデータ処理、これが1つ大事なポイントだと思います。これはお金の問 題だけで済むような気がするのですが、あとは個人情報云々だと思いますが、一番大事 なポイントというのは、いつ、だれが、どこでアクセスできるのか。アクセスできる方 の権限をどうやっていくのかというところが、時期の問題も含めて一番大事なポイント ではないかと思います。  特に附則の4条にありますように、眼球とか、心停止後の腎臓に関しては旧法で運用 できる面があって、一番大事なところは脳死下だと思いますから、その点について、タ イミングですか。入院時に検索をかけることが可能なのかどうかとか、そういうところ がすごく大事なポイントかなという気がしますけれども。  宇都木班長 このシステムができ上がったとして、誰がイニシアチブをとってこれを 使い始めるかというところがどうも問題のようです。このシステムの本来の目的は、趣 旨の(2)にあった、カードを持っている方でも家族がそのことを知らなかったためにカー ドが発見できなくなってしまう、そして結果として意思が生かされない。この部分の改 善というのが本来の趣旨と理解してよろしいでしょうかね。  矢野補佐 その点もございますし、それから心停止下での腎臓提供の場合もきちんと 拒否の意思があるかどうか確認できるという、現行制度のもとでは大きくその2点にな るかと思います。  小幡班員 先ほどのお話ですと、病院からいつの段階でネットワークの方に問い合わ せ可能なのかという問題はもちろんございますが、恐らくこの同意画面のところで、第 三者提供、どういう条件でというのは全部書いて同意をしてもらってという形で病院に は提供することになりますが、そこでそういう方だということがわかったときに、先ほ どの書面によるというのが生きているわけですから、現物のプリントして署名したもの を探さなければいけないですよね。それはあくまで必要であるということですね。  矢野補佐 その場合は、例えば御家族に、登録されていましたよということをコーデ ィネーターの方から伝えていただくといった形も考えられるかと思います。  田中班員 そうすると具体的には、例えば患者さんが脳死になって、意思があったと いうことを周囲が知っていたと。この物は持っていなくても登録してあることが確認で きたら、プリントアウトしたものを持ってくれば有効というふうに考えていいですか。  矢野補佐 そこに御本人の署名が入っていればそうなのですけれども。  田中班員 それが例えば電子署名とかそういうものを考えていった場合は。  宇都木班長 これは考えていなかったですね。  田中班員 あくまでも記名による署名のみということですね。ということは、それは まずあり得ないということですね。わかりました。  小幡班員 でも、法律に基づくところの、住基の例のカードを使った本物の電子認証 を使うとすれば、そこは書面による意思表示をどう解釈するかという範疇だと思います。 そうでない場合は確かに厳しいですよね。プリントアウトしたものに署名してもらった 現物が必要になる。ただ、電子認証の場合はシステムが法律上仕組めていますので、そ こはこの法律上も大丈夫ではないかなという感じがするのですが。山本班員 恐らく電 子認証では大丈夫ではないと思います。やはり厚生省令でe文書法が適合だということ を言っておかないと、そもそもそれが必要ですね。それで先ほど確認したのですけれど も、昨年度の最初の省令には対象に入っていないということですよね。したがって電子 的作成、電子的署名では認められない。  もう1点、私みたいな医療情報をやっている人間からしますと、これは確かに脳死下 の臓器が大きな問題であることは理解しているけれども、こういうシステムから考えま すと、このシステムだけで有効になってしまうのは、本来は心臓停止下の拒否の意思で すね。これは、これだけで生きてきてしまうということで、そういう意味ではシステム にとってはそこが一番重要になるんですね。脳死下の場合はあくまでもこういうカード を送る、ないしはプリントアウトして署名をいただくためのトリガーに過ぎなくて、あ とは検索の問題ですよね。ですから、検索の問題と、これだけで生きてきてしまう問題 を、2つポイントとして考える必要があるだろうと思います。  宇都木班長 直接的な影響を持つ拒否のことについては、そんなに問題はないのかも しれませんね。ですから検索のトリガーとして機能するのに、どういう形でトリガーに なり得るかというのが、先ほどの先生のお話ですと、ポテンシャルの段階でということ をおっしゃった。それがやはりかなり難しい判断だろうと思います。ただ、私たちの班 が、このカードの実際的な運用の仕方全体について責任を負うのかどうかというのは、 最終的にはむしろ臓器移植委員会の方で考えていただかなければいけないことかもしれ ませんが、意見としては上げておきたいと思います。  全体の仕組みの問題といたしましては大体よろしゅうございますでしょうか。また後 で個別の問題に入っていきまして、場合によっては全体的な仕組みの問題に戻っていた だいてもと思いますが。  そうしましたら次の4の「事業化に際して留意すべき事項」という事柄について、御 説明の順にと思いますが、ここに6点ほど留意事項として上げているのですが、初めに、 この6点では足りない、もっと基本的に考えなければいけない項目があるというような ことにお気づきの方がいらっしゃいましたら指摘しておいていただきますと、後で漏れ なく検討することができると思いますが。いかがでしょうか。情報の内容、確認、変更、 それから確認する方法、情報保護、活用方法、その他。よろしゅうございますでしょう か。  私がちょっと気にしているのは、先ほどおっしゃいましたように、このシステムを本 当に国民の間に浸透させていくには、これをつくっただけでは駄目だと思うんですね。 その点が非常に重要だと思いますが、それが当研究班の本来の任務なのかどうかという ことについては問題があろうかと思いますが。またお気づきの点がありましたら項目を 増やしていただくことにいたしまして、この順で少し検討させていただきたいと思いま す。  まず登録する情報の内容ということですが、これはほかの国との対照ということもあ ろうかと思いますが、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、そし てパスワードが1つ入っています。これは現在の提供意思表示カードに記載されている ものと同じものですね。これはよろしゅうございますか。また後でお気づきの点があり ましたら。  次に、登録内容の確認をして、それと変更、削除の方法ということですが。  山本班員 削除というのは必要なのでしょうか。  宇都木班長 つまり上書きしていってしまう。  山本班員 その削除って一体何を意味するのかというのが問題で。  小幡班員 チェックを変えればいい話ですよね。  山本班員 拒否でもなく登録でもなく、削除という意思というのが。  小幡班員 そこに残っていること自体が嫌だと。  山本班員 自分の情報がそこに存在することを拒否するということですか。  秋山班員 よくあることですけれども、キャンペーンで、場の雰囲気で手続きしてし まってカードを持っているけれども、よくよく考えたらこういうのはお呼びでないと考 えて、わざわざ私の事務所に、特に眼球の提供については各都道府県で登録制をやって いるので「いいから抹消してくれ」という御意見が結構あるんですね。  山本班員 要するに遺族の意思に任せるという意思表示ですね、なるほど。  宇都木班長 拒否とは違うのでしょうね。  篠崎班員 細かい話で申しわけないのですが、メールアドレスは本人のIDにかかわ ると思いますが、本人確認ということで、僕もメールアドレスは8つぐらい持っていま すし、あるいは1つが急になくなってしまってそれで登録してあった場合とか、フォロ ーができるのかなというのが運用的なところでちょっと心配な。本当に本人が特定でき るのか。郵送するからいいといっても、逆にアクセスできなくなる可能性が一つと、も う一つは、住所などで本当に第三者が介入する可能性を否定することはすごく大事なこ とだと思いますが、その辺について専門家でないのでもしよかったら。  宇都木班長 それは(3)の問題と考えてよろしゅうございますか。  篠崎班員 (3)にもかかわってくる、(2)と(3)の重複したところだと思いますけれどもね。  山本班員 脳死における臓器提供の意思確認の場合は、その時点での登録住所に送付 されるということで、しかも送付されたものを持っていないと、ないしはプリントアウ トしないと無効であるという意味では、もうその時点だけ本人の確認ができれば基本的 には一応は成立するんですね、後で確認するときにちょっと問題になりますけれども。  ところが、先ほど問題として心臓死の場合があると申し上げたのは、心臓死の場合は、 御本人に郵便で送付して、それが仮に届かなくてもシステムに残ってしまうんですね。 例えば同じ住所で別の人がその郵便物を破棄してしまった場合でも残ってしまいますの で、そういう意味では、本人確認としてはかなり甘いといわざるを得ないと思います。  それからメールアドレスは、先生が御指摘のように個人で複数持っていて、幾つか消 失していって忘れてしまって、後でアクセスできないという問題は確かに生じ得ますけ れども、もっと深刻なのは、御家族で1つのメールアドレスを共有していることが思っ た以上に存在するんですね。奥さんと御主人が同じメールアドレスでメールをやってい るようなことがあります。そういう場合に、メールアドレスが本人を一意に識別する識 別子として妥当かどうかというのも、最初に臓器提供カードを送るためのトリガーとし てだったらまだいいと思いますけれども、それだけで意思表示になってしまうというこ とになりますと少し弱いという気はします。メールアドレスだけではね。何かもう少し 御本人を確実に1人に識別するファクターをつけ加えた方が安心だとは思いますね。  篠崎班員 書面がなければ有効でないというのと、残ってしまうデータで拒否は有効 になってしまうというところは、法律的にはどういうふうにお考えになっているのです か。  小幡班員 ちょっと今のは整理が必要だと思いますが、要するに臓器移植法に基づく 書面による意思表示の解釈の問題が1つあって、それ次第だと思いますね。このまま電 子認証も全くなくてやった場合には、そもそも成り済ましということができるし、大体 住所も本当の住所なのかという確認が、電子認証でないからシステム的にできないです よね。ですからそういう意味で、確かに、現物が必要でないという場合つきり心臓死以 降についてはこれだけでいけるかという不安はあるかなと思います。脳死の段階では、 結局今までどおり現物が必要だということにして成り済ましの問題はクリアしているわ けですね。  ですから、法律的にいうか、そこの書面による意思表示の解釈として今言ったような 問題があるのですが、逆に電子認証の場合にオーケーにするかというのは、省令のレベ ルで私は可能ではないかと思います。このままだと、住所を全く違う住所を記載して、 その住所に確認が送られてきても本人だという保証は全然ないという問題は残りますよ ね。そういう不安があるなと思います。  それから、メールアドレスについては、これは結局10年も20年も先の可能性がある のですね。変更したいと思っても、そのときに同じメールアドレスかというと、そうで ない可能性が強いですよね。パスワードにしても、ペットの何とかというのも、2〜3 年とか5年ぐらいを考えると大体大丈夫ですが、これはかなりの程度の年数があくと思 いますので、実質的にしっかり変更がこれでできるかなというのは若干不安があります。 というとシステムが難しくなってしまうのですけれども。いずれにしても、現物で見る という枠内であれば、今言ったいろいろな問題はとりあえずクリアできるかなと思いま す。  宇都木班長 その拒否という効果を持つときの自己の認証の認定方法、確認の方法に ついて何かもう少し御意見いただけますでしょうか。なかなか難しそうだと。  山本班員 現状で利用できる技術を使うということになりますと、小幡先生がおっし ゃったように法的個人認証サービスを使って御本人の意思を確認するというのが多分制 度的に一番簡単で利用できる方法だろうと思います。それ以外に、あまねく利用できる 技術でそういうのはまだないですね。逆に言うと、あの制度があるのは日本だけですか ら、それを利用するということはかなり有効だろうと思いますけれども、電子的なもの だけで確認する場合ですけれどもね。  小幡先生も言われていましたように、脳死の場合は紙をやりますから、そこまでやる 必要はないと思いますけれども、拒否の意思が御本人でなくて成り済まされて、本人は 提供してもいいと思うのに、ほかの人がその人は拒否であると主張しているという危険 性を除外するためには、そういった公的な認証制度を使うのが多分一番いいだろうと思 います。  宇都木班長 今いたずらでいろんなことがありますからね。ちょっと難しい問題のよ うですが、(2)(3)につきましては。  田中班員 年齢のところですが、「15歳以上が対象となります」ということが書いて あるのですが、そうすると15歳以下の方は記入してはいけないということなのか、そう いうことを考えていきますと臓器提供の適応となる年齢は当然上限もありますので、そ ういったものに対しての何かしらハザードをここに加えていくのかということを検討し ておいた方がいいと思います。  一番いいのは、全く記入せず、あるいは何かそういったものをせずに置いておいて、 登録者の意思に任せるというのが大事だと思うのですが、そうすると言い方はあれです けれども、全体のデータの何割かが全く臓器提供には関係しないけれども登録されてい るという形でこのシステムの中に残ると思います。その2点をどうするか検討しておい た方がいいのではないかと思いますが。  宇都木班長 今の点について何か御意見ございますか。  篠崎班員 多分これはコンビニにも置いてありますので、これを15歳以下の方が持っ ている状態と同じことなのかなと思いますが。例えば中学生、高校生が、うちの息子も 持って歩いていますけれども、意味がなくても一応自分で意思を示すということで、15 歳以上は有効だからということでやっているのですけれども、それを持って歩いている 15歳未満と、これを登録してしまった15歳未満とは、全く同じ考えでいいのでしょう か。法律的によくわからないですけれども。いかんせん脳死の場合、無効にはなると思 いますけれども、持っていてはいけないということにはならないという気がするんです。 ただ運用上いろいろと問題が起こる。もう一つは、附則4条にあるような、いわゆる脳 死下以外のものに関しては有効だと思いますので――有効というか、あってもなくても いいという家族のあれでということになりますので、一つ参考にはなるのかなという気 がしなくもないですけれども。その辺をどう考えるのかという法律的なところが僕はわ からないので、ぜひ専門家の方に教えていただきたいと思いますが。  田中班員 確かに数年前に15歳未満の段階で登録していただけれども、そのまま置き っぱなしにしておいたら15歳以上になるということも十分あり得ますし、逆に同じよう に60歳の方が登録しておいて、10年前に登録して70歳、80歳になるということもあり 得ると思いますが、それはやはり情報を取り扱う方がやっていればいいのかもしれない ですね。登録で無効になることを前提の上で、今先生が言われたように、カードでも有 効でないものも所持してもらうという。普及ということを前提に考えると、そういった こともある程度、データの中にはそういうものがあり得るということは理解して扱えば いいのかなと思いますが。  秋山班員 法的な御意見が今ありますが、普及啓発の立場から言いますと、例えば腎 臓では70以下が望ましいとかいろいろ条件がありますけれども、一般の方から質問を受 けるときに僕が必ず言うことは、提供したい気持ちをお示しいただくことが大切で、そ の後の判断については私たちがさせていただきますと。臓器移植が有効で、臓器提供し たいという気持ちになってもらう、あるいはしたくないという気持ちになってもらうた めのツールという考え方で、もし脳死下のことが発起した場合には年齢の問題等々をク リアされていれば遂行されるという考え方で私などはおりますけれども。  宇都木班長 意思表示としては12歳のときにやった意思表示が15歳以上になったと きに拘束力を持つかといったら、それは持たないのだろうと思いますから。意思表示を したときが大切になります。ですから11歳の人が持つということがあり得ても、それが どういう効果を持つかというのは、それこそ最初の説明のところできちんとしておかな いといけないだろうと思います。それから、また臓器移植法が改正になって15歳が12 歳になるかもしれませんから、そのようなこともあるかと思います。  篠崎班員 それから、登録者データの有効期限があるのかどうか、永久なのかという のはちょっと気になるところです。なぜかというと、目の方ではいろいろ苦労しまして、 昭和32年から登録制でやってきまして120万人今登録されています。ところが120万人 いますけれども、登録されているあっせん機関の各バンクですが、古いバンクさんにな りますと、1回登録されたらそれっきりになっていますので、昭和32年で80何歳の方 のデータがいまだに生きているわけですよね。ですから、ある程度有効期限を設けるの か、あるいは累積でずっと永久に未来永劫足していってしまうのかというところも、出 だしできっちり決めておくべきかなという気はいたしますけれども。  宇都木班長 その点について何か。  小幡班員 ですから、今のものと同じように考えられないかなと思います。これは署 名した日がいつかで、持っていればずっと有効だということですよね。そうであれば同 じでいいような気がしますが。  篠崎班員 そうしますとデータが永久にたまっていく一方ですよね。  宇都木班長 御本人が亡くなれば、そのカードを持っている人がいなくなるだろう、 しかし電子の場合はずっと残ると。  小幡班員 それは(6)の「その他」の「蓄積される情報の取り扱い」という話ですね。 持っているのは行政機関ではないのですね。  矢野補佐 ネットワークです。  小幡班員 ですから、本当はいろいろな住基の情報とかに接続できればそういう整理 もできるのですけれどもね。なかなかそれができないですね。  宇都木班長 接続は接続でいろいろな問題が生じましたね。ありがとうございました。 またお気づきがありましたら戻っていただいてもと思いますが、一応今2番3番が終わ ったとして、4番の問題にも多少触れられているかと思いますが、4番は個人情報保護 に関する措置という点です。  小幡班員 社団法人なので行政機関個人情報保護法の方ではなく、個人情報保護法で すよね。  矢野補佐 はい。  田中班員 今この中でウェブサイトの入力画面に触れてもよろしいのでしょうか。  宇都木班長 はい。何ページですか。  田中班員 1ページの入力画面。文言になるのですが、「新規登録」と「私の臓器提供 意思表示カード」というところがありますが、いわゆる言葉の使い方ですが、「私のカー ド」といってもちょっとわかりにくいのかなと。具体的には登録変更画面の選択ボタン だと思いますので、何らかの形で新規登録と登録したカードの変更という情報がここに 載っていた方がわかりやすいのかなと思いました。  それと2ページからですが、各画面の上に、例えば真ん中のところに「入力画面」と 書いてありまして、その下に「意思表示カード」と書いてあるのですが、この画面は意 思表示カードの入力画面のことですよね。そうすると、この画面を見ているときに入力 画面というふうにわかりやすくする方がいい。具体的には一番上の左角の「意思表示カ ード」というところに括弧書きでも入れて「入力画面」とか、あるいはその隣であれば 「入力確認画面」という形の記載がよろしいかなと思います。  それと入力画面のところですが、これは検討いただければと思いますが、1、2、3 のところのそれぞれの選択にずっと臓器の名前がチェックボックスであるのですが、も う少しこの辺の説明があってもいいのかなと思います。と言いますのは、ホームページ を見て、臓器提供についていろいろ説明を見てから入ってくればそれは問題ないと思い ますが、恐らくいきなりこの画面に入ってくる人もあると思うんです。そうなった場合 に、どういう意味を持っているのかということが少なくとも数行でもここに記載があっ た方が、それから選択できるようにした方が間違いは少ないように思います。私なども そうですけれども、大体こういうのがあると先に登録画面に入っていって、ぶつかって から戻るというのが普通のパターンのような気がしますが、専門家の方々はどういうふ うにお考えになられるか。  そういうところで少し画面の方を検討いただきたいということと、最後に大事なこと ですが、画面登録が終了するところで、ここに「登録証明書を印刷してお持ちください」 と1行書いてあるのですが、先ほどのことを考えますと、これはかなり重要なことだと 思いますので、入力完了画面のところで、例えば印刷ということについてもう少し詳し く、これを実際に持っていないと有効ということが発揮されないということを明示して、 あるいはチェックボックスの中に「これを印刷して私は持参します」ということで少し 強調した方が誤解を受けにくいのではないかと思います。その辺のところを少し直して いただければ、私はこのウェブサイトのフロー等については余り問題がないのではない かと思っております。以上です。  宇都木班長 画面についての注意事項をいろいろいただきました。ちょっと話が戻っ てしまいますが、これを印刷したものと、自分が前から持っていたものが食い違ったり した場合には、最新のものを有効とするということになりますね。そして、登録したも のを印刷すると印刷されてでてきますね。ここに臓器をもう一つ手書きで加えたなんて いうことは、どういうふうに考えたらよろしいでしょうかね。  矢野補佐 基本的にはそれが御本人によるものであれば、それが有効になるものと考 えております。  小幡班員 紙ベースのものでもできるわけだから、それについてはもうよいことにす るということですね。ですから、プリントアウトしたものは、これと同じものがプリン トアウトされてきたと解釈したら、どうつけ加えようと同じ扱い。そういうことですね。  1点よろしいですか。先ほど私は、メールアドレスは20年も30年も経つと変わるか もしれないので、変更は難しいのではと申しましたが、これはオンラインでやったとこ ろで、削除や変更をする場合はオンラインでなくても当然可能ですよね。電話をしてネ ットワークの方に直接言って、オンラインでやらなくても当然変更できる。  矢野補佐 そこは手続きの話になります。そういう手続も1つ考えられるということ です。  小幡班員 それを認めないと、やはりメールアドレスなどはなくなっているかもしれ ないし、プロバイダなどはどんどん変えますし、かなり年数が経ったことを考えると、 それを認めないとややきついのではないかという感じがするのです。オンラインでやっ たらオンラインだけというわけではないでしょうね。  矢野補佐 その方が良いという御議論になれば。  小幡班員 おそらくそんな気がいたします。皆さんがどう考えられるかということで すが。  山本班員 現行の制度のもとでは、手書きでも何でも、これに書いて後で署名したも のが絶対有効ですよね。だからそれさえ持っていれば、オンラインで変更しなくても、 とにかく最後のものが一番有効だろうということで運用するという手段が1つあります。 これを管理するネットワークの方からすると、多分それが一番管理コストが安いですよ ね。電話ないし書面で受けつけてシステムを変更するとなると、人手もかかりますし結 構管理コストが高くなってしまう。でもやはりコンピューター上に情報が残っているの は嫌だから消してくれという要望はあるでしょうけれどもね。  ただ、画面の変更のところで、例えばメールアドレスをお忘れになったとか何かで変 更できない方は新しいカードを手に入れて、それに新しい意思を記入して署名をしてく ださいと一言御注意申し上げておくと、それでとりあえず現状の法的には、有効な変更 にはなると思いますけれども。  篠崎班員 逆にそれを前提に考えると、このデータベースを使って、万が一のポテン シャル、私が脳死になったときに主治医が聞いてくれても、それが本当の最後かどうか ということにかかわってきてしまうので、先ほどの認証の問題以前に、法的にこれの持 つ意味ということをもう少し考えないと。あるいはこのかわりなんですということで、 単なる参考データというのか。どちらかにある程度方向性を明確にしておかないと、か なり中途半端になるのかなと。かつ、これは運用のレベルで、どこの時点でだれが聞く のかという非常に大きな問題になりますので、それが最後かどうかわからないとなると 結構問題になるのかなという気がしなくもないですけれどもね。  小幡班員 先ほどメールアドレスがなくなるのではないかと申しましたが、要するに その場合は、新たなメールアドレスで新たなパスワードで同じ方がログインして、つま り新しいものをやってしまえばいいのですが、そのときの管理ですが、ネットワークは 何で管理していくかですよね。メールアドレスでいくと難しいから名前情報で管理する として、そうすると新しいものに変わったということがわかるのですね。  菊地コーディネーター 臓器移植ネットワークですけれども、非常に細かいお話が出 ているのですけれども、このシステムの位置づけですけれども、単なるカードの普及の きっかけにするのか、もしくは臓器提供者が発生した場合このシステムを検索しなけれ ばあっせん手続きを前に進めてはいけませんよというシステムにするのかで、大きく変 わってくると思うんです。まずそこの考え方からスタートしなければ、本人の確認方法 に関しても、後者であればかなりシビアな確認方法が必要となってきます。前者のカー ド普及のきっかけだけでとめるのであれば、山本班員がおっしゃったように、最終的な もの、本人の署名がなければ臓器提供が前に進まないのですから、今話し合われている ような本人確認は必要ないと思います。そのあたりから議論を順番に進めていかれる方 がいいような気がするのですが。  宇都木班長 菊地さんのおっしゃったことについて何か事務局の方でお考えがありま すか。このシステムの位置づけですが。  片岡室長 今菊地さんからお話があった件でございますけれども、基本的には普及啓 発の方法として、拒否の意思についてはある意味では法的な意味を持つということで、 その両方を考えております。拒否の意思について法的意味を持つということについてで すが、コーディネート過程においてこのシステムは通すということが必要ではないかと 今は思っています。その方向で御検討いただければと思っております。  宇都木班長 必要的な段階にしていくというのは、ここに登録していないとカードの 意味がないという、そういう意味ではないですね。  片岡室長 そういう意味ではございません。あっせんする場合に、その方が拒否の意 思をしていたかどうかを確認していただくということが必要ではないかということです。  矢野補佐 それから1点、小幡先生から御質問のありましたメールアドレスが変わっ たときにまた新たに登録すればということは、そういうやり方もあると思いまして、そ の場合にどうするのかということですが、実際に検索をかけた場合に、例えば氏名と生 年月日、住所ぐらいで検索をかければ大体出てくるのではないかと思っています。そこ で登録の日付によって判断する。あとは御家族とのお話の状況で判断するといった形の 手続きがあるかと思います。  小幡班員 わかりました。それですと最新の情報がとりあえず持てるということです ね。  西村CIO 私は厚生労働省の中で幾つかの仕掛けを見させていただいているので、 今のところで1つだけ異議というか、アドバイスを申し上げますと、住所、氏名、生年 月日の検索というものは必ずしも一致しないということはないので、そこら辺について は留意いただきたいと思います。具体的には、家族同居のところに妹と同じ名前の奥さ んが来ましたというのはかなり多いケースでありまして、私は自治体の仕事もしており ましたけれども、とある70万人ほどの自治体で4人ほどおりました。4世帯です。です から、御家族の場合に何かあったということは、奥様の意思表示と妹の意思表示を取り 違えるということも十分ありますので、そこの手続きについてはちょっと留意なさった 方がいいかなと思います。  発言のついでですので申し上げますと、今議論なさっているあたりというのは、金融 機関を初めとして、法律的にどうこうという話はさておき、手法としてはほぼ確立して いるのではないかと私は考えておりますので、先ほど定義がございましたようにシステ ムの位置づけを中心に考えていただいた方がよろしいのではないかと。位置づけを踏ま えるとこのようなやり方がありますというような議論の順番の方が、やり方が先にあっ て、そのやり方だと法律的にどうこうというよりは建設的かなと思っておりましたので、 ついでですが申し添えておきます。  最後に1個だけ質問を。済みません、3つ言ってしまって。先ほどの議論の中で、カ ードを印刷して持つという話がありましたけれども、どなたにお答えいただけるかわか らないのですが、印刷する方は登録年月日で、持って歩くカードの方は署名年月日にな っておりますと、どっちがどういう関係なのでしょうかというのは疑問です。要するに カードは登録したけれども、登録した日と、後でコンビニで持ってきて署名した日と、 これは全然日が変わってしまうので、どうなのだろうと疑問に思っておりました。これ はいろいろ考え方を決めた上で決まることかと思いますが、ちょっとお気づきにならな いといけないのでアドバイスだけさせていただければと思います。以上です。済みませ ん、長くなりました。  宇都木班長 先ほどの菊地さんの話に戻りますが、先ほどの説明でも、積極的な意思 という点についてはもうトリガーだと、拒否という点では必要的な事柄になるので問い 合わせは必ずしていただくと。だけど、それが効果を持つということとは別だと。そう いうことで一応の御理解はよろしゅうございますか。  菊地コーディネーター 効果を持つのは別というのは。  宇都木班長 つまり積極的な意思について、ここに登録されているということがダイ レクトに効果を持つわけではないと。  菊地コーディネーター 提供の意思に関しては。  宇都木班長 紙を探すという事柄になるためのトリガーに過ぎない。  菊地コーディネーター 提供しない意思に関しても、考え方としては同じですか。  宇都木班長 いえ、これはこれでもって効果を持たせるということです。  秋山班員 今の菊地さんの発言が、実は僕が冒頭申し上げたことの意味合いですが、 どういうことかといいますと、現場で実際どういう形で情報が上がってこようとも、ポ テンシャルドナーを取り扱うときに必ずこのデータを僕らが通過していかなければなら ないことが起きるわけですね。つまり、臓器提供しないということについては、コンピ ューターに入力してある情報も有効と考えているわけですね。ですから、特に心停止下 の臓器提供の場合には家族の同意で了解されているわけです。但し本人が書面等で拒否 していない限りということになるわけで、その「拒否していない限り」ということは、 ネットワークにベース化されている情報を僕らは一応確認しなければいけないことにな るわけです。ですので、このシステムが始まれば、どういう状況であれ僕らはネットワ ークのホストコンピューターにアクセスして、Aさんはどうだ、Bさんはどうだという ことを必ずやらなければならないことになるわけです。  また、事務局からの御説明の中で、目的としては臓器提供者の増加と確実性というこ とを先ほど御発言なさっているわけで、こういうことから言いますと、まとめとしては、 必ずベースコンピューターに僕らはアクセスして臨床をやらなければいけないというこ とになります。他方、今若者も含めた臓器提供意思を示す方法の簡単化ということも重 要だろうと考えていまして、では実際問題現場ではどうしていくのだろうというのが、 実は私の冒頭からの引き続きの発言なのです。  僕はこのシステムは非常にいいと思っているのですが、ただ現行法の確認等々を考え ますと、どこでどういうふうな介入が必要なのか。篠崎先生が冒頭におっしゃった意義 を最初に議論してからということにも引き継ぐのでしょうけれども、このこと自体は有 効ですが、その辺の運用をきちっとしていかないと現場は大変混乱するでしょうねと考 えるわけであります。  小幡班員 今の現場の運用を伺いたいのですが。心停止後の話ですね。まずどういう ふうに聞いているかというその実態をお伺いしたいのですが。  秋山班員 今は、例えば御家族の申し出、ないしは医療従事者からの問いかけによっ て、臓器提供の説明を聞きたいということになれば我々に連絡があるわけです。そして 出かけていって、脳死下の問題、心停止下の問題、例えばカードがあれば脳死下の問題、 ここの病院はできるできない、諸般の事情を説明して、脳死下の場合はカードを持って いるということですね。それによって説明内容を変えるわけですが、そこでカードがあ れば、拒絶の意思がなければそのとおりにやればいいわけでして、もちろん家族の選択 肢も心停止下の場合にはあるわけですけれども、カードがない場合には、こういうカー ドを持っておりましたか、特に拒絶の意思を示していたカードがありますかということ を、確認の中で私などはしております。そこで、ないということであればそのまま進み ます。ただし、こういうふうにデータベース化されたものができれば、もしかしてどこ かに拒絶の意思を示していたかもしれないということで必ず検索しないと、業務として は満たされないことになるだろうと考えます。  小幡班員 従来は口頭でカードがあるかないかということの確認をして、ないという ことであれば、それは拒否はないだろうということで進めると。  菊地コーディネーター カードの有無にプラスアルファをして、御本人が生前にどの ようなお考えがあったかというのは必ず確認するようにしています。  田中班員 その点ですが少し追加をいたしますと、今のは脳死を前提に話をされてい ますが、心停止下の提供となると、臓器移植ネットワークに連絡が行っても、あるいは 行かないこともあるわけですね。その場合も逃さずというか、本人が拒否をした意思を 逃さずもし取り入れるとすれば、提供の可能性のある病院の中に例えば情報管理者のよ うな人を置いて、亡くなって臓器提供したいという意思を出した段階でチェックしない 限りは、すべての情報がネットに入っていくわけではないと思いますので、その辺には 少し配慮が必要かなと思いますが。  宇都木班長 今、心停止下の臓器移植の場合も、ネットワークを通らないといけない んですよね。  菊地コーディネーター 臓器の御提供の説明をする際には、心肺が停止した死後、脳 死下にかかわりなく臓器移植ネットワークのコーディネーターが説明をして承諾をいた だくという手続きを踏んでいます。ただアメリカ的な発想をしますと、あっせん手続に 入る前に臓器提供に関する拒否の意思表示があるかないかの確認が必要というお話をさ れたと思いますが、今の日本の段階ではそういうシステムがありませんので、病院の先 生方に意思確認をしていただいて、臓器の提供の意思があるということであればネット ワークに連絡が入ってきます。また、御家族から臓器の提供をしたいというお話があれ ば、ネットワークにお話が入ってくるというシステムになっています。  秋山班員 私が言いたかったことは、僕の気持ちを伝えたので少しごちゃごちゃした かもしれませんが、大事なことは、手続きの中に、データベースに入った臓器提供を拒 否するという意思は明確に生かすという前提があるので、僕らは通常に臨床を進めてい る中で必ずデータベースでそういうことがあったかなかったかをチェックしないといけ ないだろうと。この確認作業が入ってくるだろうと。そうなると、先ほど菊地さんが御 発言したように、前者と後者の話ですが、必ずネットワークのデータベースを経由した 業務構成を考えなければならないのかというところに引っかかってくるだろうという話 を単純にしたかっただけです。  篠崎班員 ただし、現実上ネットワークのデータベースが拒絶に関して最終かという のは、ノーですから。なぜかというと、翌日に自分で考え直して変えた紙があった場合、 ネットワークのデータベースは正確ではないので、探す行為が入るので、法的にもあく まで参考にしかならないと思うんですよ。ですから、やはり考え方としては先ほどあっ た前者後者で言うと、普及啓発のツールとして使うという前提で行くということをベー スに考えていかざるを得ないのかなというのが私個人の見解なので、できれば皆さんの 意見をいただければと思います。  宇都木班長 ノーという点についてもファイナルな決定ではないと。そういえばそう ですね。ですから、これは先ほど小幡先生の方から質問があった、現場で拒否というの を今どういうふうに取り扱っておられるかということですが。  秋山班員 普段、元気なころ患者はどういうことをおっしゃっていたか、また家族は どういう気持ちかという、簡単に言いますと、2点の中で拒否がないということを確認 していくということですね。それともう一つ大事なことは、手続きとしては、心停止下 の臓器提供は御家族のサインを求めるというところですので。  宇都木班長 家族のサインの中に、本人の拒否がなかったという意見も含めている、 ということでしょうかね。  秋山班員 ですからすべては面談の中で、確認事項の受け答えで決定していくわけで すので。  菊地コーディネーター 本人の拒否の意思がない限りは、御家族の忖度で心臓が停止 した死後の腎提供は行えることになっていますので、心臓が停止した死後の提供に関し ては、明確な本人の臓器提供拒否の意思表示がない限りは御家族に判断していただくこ とになります。脳死の提供に関しては生前の意思表示があり、本人が脳死体からの臓器 提供を希望しているということが必須になります。  宇都木班長 今までそういうふうに拒否の意思については書面とか登録ということが なくして判断してきたものについて、今度その部分で拒否の意思を登録という形である 程度明確にしてしまうがゆえに、現実の面談の中とのギャップをどういうふうに整えて いくかという問題が新しく生じているということですね。  秋山班員 先ほど途中になったのですが、僕が拒否の確認については、しなくてはい けないのかということを何度も言っているのはそういうことなんです。  小幡班員 一応カードはありますかということは今でも聞いていますよね。それを聞 くだけでなく、問い合わせなければいけない。  秋山班員 当然聞くわけですが、それ以外に拒絶の意思はデータベースの情報がファ イナルになるという御議論がそもそもあったものですから、その面接で確認したことと データベースにあることの両方を確認しないと、僕らは次に進めば、例えば実際に臓器 提供が行われてしまえば違法行為ですよね。  小幡班員 つまり家族が、本人は日ごろからそう思っていたようですよ、自分たちも 問題はないと思います、やってください、とおっしゃるだけではだめかということです ね。  秋山班員 それで今まで来ていたのですが、データベースにある拒絶の意思は有効化 されるという御議論だから、そこを確認しないとまずいかなと思ったわけです。  宇都木班員 わかりました。登録のシステムの中で拒否をするということの効果の問 題ですが、ちょっとこの点についてはルールを定めるという形で明確にしていかなけれ ばいけないと思いますが、恐らく一応の証拠になって、それをまた否定することがあり 得るということはやはり認めないといけないと思います。ちょっとその辺については、 ルール化の段階で丁寧に考えなければいけないことかと思います。ありがとうございま した。  どうも活用方法の5番の方に飛んでいってしまっているところがありますが、4番に 戻して、4番については、山本先生。  山本班員 最初のポツの「利用目的及び方法」は、これは要するに明示する内容によ って変わってきますから、過不足のないようにきちっと明示して変更利用していただく ということで、その内容を今議論することは多分できないと思いますので、それが必要 であるということです。  問題は、その範囲に応じてアクセスできるものの範囲が決まってきますから、1個目 と最後のやつはペアですね。安全管理は、この班で議論することではないと思いますけ れども、十分な安全管理措置が必要であろうということですよね。このイメージ図を見 ていると、管理者までパスワードですから、運用でカバーはできるでしょうけれども少 し甘い感じはしますけれども、これはここで議論することではないと思います。  宇都木班長 西村さんがおっしゃったように、何を目的にしてどういう効果を持たせ るかによってこの部分は変わってくるということですね。ありがとうございました。4 番についてはそういうことでよろしゅうございますか。5番について、先ほどから何回 もこの問題が出てくるわけですが、もう一回5番で検討しなければならないことはござ いますでしょうか。ルールはやがてつくらなければいけないわけですので、そのルール をつくる際の論点として。  田中班員 ルールと外れるかもしれませんが、ほかの家族との十分なコミュニケーシ ョンなしに、あるいは説明、同意なしに個人が登録するということも十分あり得ますね。 今までもこのカードでもあり得たのですが、できるだけそういったエラーといいますか、 本人は臓器提供の意思があり、しかも家族は全く知らないという状況で病院内に入院し てきて、臓器提供の意思があるというカードを持っていながらも同意を得られないケー スを多々私も経験しているのですが。  宇都木班長 家族の同意が得られない。  田中班員 はい。そういったものに関して何かこのシステムで、話し合いの機会をつ くるという方策を組み込むことは難しいでしょうか。例えば登録をした段階で、本人に 登録したということはあれしますが、家族の方に十分話し合いを持つ機会を得てもらう か、あるいは書面等での何かの方法ですね。具体的にはちょっとないのですが、そうい ったものを付加することは不可能でしょうか。  宇都木班長 何かその点について。なかなか難しそうですね。あらかじめ家族と話し 合っておいてほしいという注意事項を設けたりすることはもちろんできると思いますが、 それ以上のものは。  田中班員 例えばこのカードにしても、一番最後の1行は、家族がそのことの確認の ために署名をしてくださいと書かれているのですが、これと同じような、あるいはもう 少し具体的にわかるような説明をこのシステムの中で入れていった方が、そういうエラ ーは起こりにくいのかなと思います。現状のエラーをやはり少しでも改善できるように していった方がいいと思いますので、それも検討の中に入れていただければと思います。  宇都木班員 そのほか、(5)につきまして御意見ございますでしょうか。先ほどの秋山 さんのお話に戻りますが、今は、家族から申し出がある場合にはそれがきっかけになっ て全部動き出しますね。ない場合にも、現実には医療側から問いかけをしているわけで すか。  秋山班員 はい。俗にオプション提示と僕らは言葉として使っているのですけれども、 予後不良の御診断をなさったときに、治療方針とプラス臓器提供の説明を聞く気はある かということを3点セットで、すなわち消極的治療と、積極的治療と、臓器提供の話を 聞くかという、簡単に言いますとこの3点セットで問いかけていただけるとありがたい という普及啓発を救急側へはさせていただいております。そこで医療側のそういう問い かけについて家族が興味を示して説明を受けてみたいと言えば、僕らは出動していくと いうことです。  もう一つは、救急の施設で最近多くなってきましたけれども、入院時にカードの所持 について確認していて、仮に予後不良の診断をなさる時期に、「こういうカードを持って 入院されてきたけれどもこのような説明を受ける気があるか」というオプション提示の 理由にしていただくというか、そういうことでの確認方法。大きく分ければ2通りのこ とをやっているというのが現状だと思います。  この中で私どもの説明の中に、先ほどの小幡委員からの確認事項のように、臓器提供 拒否を示していなかったかとか、あるいは元気なころに世間話の中で臓器提供の意思を 示していたのかとか、そのような面接の中で臓器提供の意思を持っているということに なれば、その説明をきちっとして御家族のサインを得て心停止下の臓器提供は行われる というのが、簡単に言った現状だと思います。  もう1点ですが、今でもポテンシャルドナーの御報告をいただくときに、今御説明し たようないずれかで救急側はこういう患者さんがいるということを把握するわけです。 そして、新潟であれば私のところに、こんな患者さんがいるけれども来てくれとかいろ いろな話があると思いますが、そのときにお名前等がわかっていれば、この人はこのシ ステムに登録している人なのかどうか、そうしたら、そういう意思を示していた人なん だなということで、面談のときの話を膨らませるための、あるいは御本人の意思を示し てさしあげるためのツールとして有効になっていくシステムなのかなという、僕のイメ ージとしてはそういう気持ちできょう来たわけです。そういうことになりますとすごく いいことですし、普及啓発の観点からも簡単にウェブから自分の意思を示せるようにな って、ただし有効性については別問題の議論ですが、そういう感覚でとらえていたもの ですから先ほどの話になってきてしまったわけです。  宇都木班長 そうするとポテンシャルドナーといった場合も、ポテンシャルというの は医療上の状況ということもあるけれども、むしろ意思という意味でポテンシャルなと ころで動き出していると。  秋山班員 そうです。今はいろいろと院内にも臓器提供のことをよくわかっている俗 に院内コーディネーターという方をお願いしながら、医学的にもきちっとしたドナーの 情報が上がってくるようになっていますけれども、そもそも論としては、このような患 者さんがおいでになるという情報をいただくことが先決であります。そして、その御家 族に今度はこのガイドラインを示すということですが、御家族がコーディネーターの説 明を聞くということが主治医との間で交わされれば、私たちは公式に出かけていって御 家族と面談するということになっているわけです。  宇都木班長 この研究班は臓器移植委員会から委託されてシステムをこしらえるとい うことですが、臓器移植委員会の方でもこのシステムの出発点というのは、現状の今秋 山さんが説明なさったようなことを前提にしてということでしょうか。ポテンシャルと いう意味にもよるのですが。  片岡室長 基本的な整備についての3点ですが、カードの効果的な普及方法として、 パソコンから記載事項の書かれたカードを入手でき、それを印刷して署名すれば書面と して有効ということが1つ。2つ目として、カードを持っている方であっても家族がそ のことを知らなかったことから本人の意思が生かされないケースについて、この場合は 秋山さんがおっしゃったように、家族にポテンシャルドナーの方がいて説明を聞きたい といわれたときに、家族に説明する際の説明内容の1つとしてこのシステムに登録して いたかどうかということも利用できないかということ。3つ目としては、本人が拒否の 意思を示されたことがより確実に反映されるようにということを考えておりまして、こ れらについて臓器移植委員会で御説明して、このような趣旨のシステムをつくりましょ うということになっています。深い議論は特にございませんでしたが、意味としては今 秋山さんがおっしゃられたことも、効果の1つとして、議論はあったかと思います。  宇都木班長 そうすると、このシステムは純粋な意味でのトリガーではないですね。  菊地コーディネーター 例えば、あっせん手続きに入った場合は、本人の意思がどう しても必要な情報として、お伝えすることはできるかと思いますが、今のこの社会状況 の中でポテンシャルというか、御家族が臓器の提供を意思として表示するかしないか、 その前段階においてこの情報を外部に出すことが可能かどうかというところからの議論 が必要ではないかと思います。  宇都木班長 ちょっと今よくわからなかったのですが。  菊地コーディネーター 例えばコーディネーターが御家族に臓器の提供を説明さしあ げる際であれば、これはもうあっせん手続きに入りますので、拒否の表示をしているか 否かということは必要な情報となり、あっせん手続を行う者や病院に伝えることができ るのですけれども、御家族が何の意思表示もされていない、まだ臓器提供を行うか否か 何もわからない段階で、この個人情報を例えば病院の先生方、コーディネーターにネッ トワークが出せるかどうかというところから考えていただきたいということです。  宇都木班長 要するに、秋山さんの今おっしゃったもっと前の段階でこれを使うとい うことについての是非は論じておけということですね。  菊地コーディネーター はい。  田中班員 全国のいわゆる臓器提供の提供施設と言われている施設では、脳死状態に なった場合に、本人が何らかの意思表示を行っていたかについて把握するよう努めるこ ととされています。先ほどから秋山さんが言うことは、もう少し前に言われたような、 入院時の意思確認というところがやはり提供施設の中では大きな問題になっているわけ です。それまで全力で救命の治療を行っていたところで、ある一点を超えたところで脳 死になる。そこで脳死下の臓器提供の話を聞きたいか聞きたくないかということを切り 出すことを非常に負担に思っている救急医は多いと思います。それを前に倒していきま すと、入院時に本人の持っていた意思表示として聞くということが増えてきているとい うのは当然の方向であろうと思いますが、提供施設としてはやはり本人の医療情報の1 つとして、こういう意思を持っていたということが聞けるということは非常にありがた いですね。病院側の方であえて確認をせずとも、そういった意思表示の情報がわかるの はありがたい話だと思います。  宇都木班長 ただそういったことが許されるのかどうかというのが、菊地さんのおっ しゃったことですね。  田中班員 それはまた別の問題ですけれども。  小幡班員 いつの時点でネットワークが提供するかということについては、当然同意 の画面においてかなり細かく書くことになると思います。ですから、そこでどういう書 き方をするのが適当かというところに尽きますよね。今のような話があれば、そのよう な入院というのをどういうふうに技術的に定義するかですが、そこをきちんと書いてお けばこの場合は一応同意した本人が病院の問い合わせに応じて出すことを同意している というふうな仕組みの解釈ができると思います。  宇都木班長 確かに、その点についてはかなり丁寧な説明をしておかないといけない でしょうね。ありがとうございました。当然のごとく6番の「説明すべき事項」の方に 入っていったのですが、時間がだんだんなくなってまいりましたが、先ほど6番の「転 居、死亡者の取り扱い」というところも少し話にありましたが、この「その他」で何か お話をお聞きいただくべきことはございますでしょうか。  山本班員 永久にデジタルデータが蓄積されるという議論がありましたけれども、人 間の寿命は最大限決まっていますから、それくらいたてば消してしまえば永久に蓄積す ることはなくて、何も住基ネットワークと連動しなくてもシステムとしては成立すると 思います。  ただ、同じことばかり言って申しわけないのですけれども、データベースだけで意味 のあるような情報を扱う場合と、データベースだけでは成立しない情報を扱う場合では、 本人確認の程度が全然違ってきますので、その辺は今後2回の議論で……最初にお示し いただいた基本的な考え方の中には明らかにそれが入っています。ですから、それで行 くという話ですと、そのつもりで今後やらなければいけないと思いますし、もともとこ のホームページに、これは拒否の意思表示にはならないということをはっきり書いてお いてしまって、拒否の意思表示をするためにはプリントアウトしたものか何かを持って くださいと宣言してしまうのか、これは拒否の意思として認めるということになるのか では、本人確認の程度が全然違って、先ほど金融ではできているというお話もありまし たけれども、金融でもできていないですよね。本人の確認がいいかげんになっています し、今度のJPKIの法律改正で、金融機関が公的個人認証サービスの検証者になるこ とができるような案が出ているらしいですけれども、それさえ法律的にはまだ整備され ていない状況で、それをやっていくというのはそれなりの覚悟が要ると思うんです。  そうではなくて、単に普及を目指すのであれば、かなり現実的というとちょっと言い 方が悪いですけれども、容易な現実として見ることができますし、運用次第では事前に 検索をすることによって役に立つことはたくさんあると思います。ただ100%の信頼性 がないだけの話で、役に立つ役に立たないといいますと、90%でもものすごく役に立つ と思いますので、それを目指すのかということは、この場で結論は出ないかもわかりま せんけれども、事務局の方でしっかり御検討いただいて今後の議論の進め方の方針をつ くられたらいいと思います。  宇都木班長 どの程度の効果を持たせるかということで個人認証の程度も全然変わっ てくるということですね。  篠崎班員 時間もないようなので、本当に有効なのかどうかというのが一番大事だと 思うんです。ちなみに、出だしに出た法律でもアメリカの例を見てみますと、アナトミ カル・アクトをつくって、日本もアナトミカル・アクトの法律ができて、今度は州ごと のルーチン・リファーラル、すべてのポテンシャルもしくは死亡について、臓器なり組 織なり目なりのあっせん機関に言わなくてはいけないという法律までつくっているにも かかわらず、州によって9割を超えている州もありますけれども、平均で言うとそれこ そ50%を割っているような状況ですから、法律で縛ってもそこまでしか行っていないと いうのが現実だと思うんです。  参考にしてうまくやる。現場のコーディネーターさんたちがうまく動かない限り、あ るいは病院に協力を求めていかない限り、恐らく国民の意思というのは、ましてや家族 が亡くなったりする重大事件に際して、普段思っている意思が現場で生きるかどうかと いうのはやはり現場の運用だと思います。だから、そこの運用にプラスになるというこ とをやはり目標にすべきであり、これが必要十分条件で縛っていくということ自体不可 能だということはわかったので、ある段階であっても個人の意思が明確になっている、 それを前提に動けるということは非常に重要だと思います。  じゃあ誰が使えるのか。これは非常に難しい問題だと思いますので、とにかくあっせ ん業という厚生労働大臣の業を持っている方が中心になって、そこからちゃんと承認を 受けた方が動くということで許される範囲で行くのか、あるいはまた別の方法が必要な のかというのも議論しておく必要があるのかなという気がします。  宇都木班長 法律の効果といっても、いろんな種類のいろんなレベルの効果というこ ともあろうかと思いますので、その点を少し詰めていかないといけないということがよ くわかりました。ありがとうございました。  そろそろ時間が来ておりますが、特に留意すべき事項で加えるべき事柄とか、あるい は今までのディスカッションの中で言いそびれたようなことがございましたらつけ加え ていただきたいと思いますが。内容的には大変難しいことになりますが、登録サイトの 一番最初に出てくる、この登録がどういう意味を持っているのかということについての きちんとした説明をどうしてもしなければいけないということですので、その内容のた めにきょういろいろ御議論いただいたということでございました。  では、本日の会議は大体こんなところで終了させていただいてよろしゅうございます でしょうか。どうもありがとうございました。次回以降のことにつきまして事務局から。  矢野補佐 次回以降の日程はまた調整させていただいて文書で御連絡いたします。お 手元に日程調整表を配布しておりますので、御記入いただいて置いていただくか、ファ ックスでお送りいただくか、よろしくお願いします。  宇都木班長 後日ファックスをいただいてもよろしいわけですね。それでは、本日の 会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。  (終了)      照会先:健康局臓器移植対策室  担当: 矢野 ・岩間  内線:2366・2365 33