06/01/12 第23回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第23回)議事録 日  時:平成18年1月12日(水)13:57〜15:35 場  所:厚生労働省 専用18・19・20会議室 出席委員:堀部会長、都村部会長代理、近藤委員、田村委員、林委員、宮島委員、      山崎委員 議  事     1.『平成16年度財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証』について               ○田村首席年金数理官  ただいまより、第23回社会保障審議会 年金数理部会を開催させていただきます。  審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第 のほか次のとおりでございます。  資料1は、資料1−1から1−4の4つに分けておりますが、「平成16年財政再計算 に基づく公的年金制度の財政検証(案)」でございます。資料2は、「平成16年財政再計 算に基づく公的年金制度の財政検証要旨(案)」でございます。  このほか参考資料として、被用者年金制度の一元化等に関する関係省庁連絡会議で取 りまとめられた「被用者年金一元化に関する論点整理」と与党年金制度改革協議会で取 りまとめられた「被用者年金一元化についての考え方と方向性」をお配りしております。  配布資料は以上でございます。  次に本日の委員の出欠状況について御報告いたします。  本日は、栗林委員、渡辺委員が御都合により御欠席とのことでございます。御出席い ただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておることを御 報告申し上げます。  それでは、以降の進行につきましては、堀部会長にお願いいたします。 ○堀部会長  お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。本日の議題は、議事次第にあ りますように、平成16年財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証についてでござい ます。 年金数理部会では、公的年金制度の一元化の推進に関する閣議決定におきまして、被用 者年金制度の安定性、公平性の確保に関し、財政再計算時における検証のほか、毎年度 の報告を求めるということが要請されております。  これを受けまして、昨年8月から9月にかけて、平成16年財政再計算結果等について 制度所管省から報告を受けました。昨年の10月以降、田村委員を座長とした技術作業委 員会で技術的な面についての検証を行い、私が座長をした起草委員会で検証の内容と報 告書の案文について検討を行ったわけです。両委員会の委員の皆様には大変な御協力を いただきました。その結果できました報告の(案)が、今御紹介いただきましたお手元 にある資料でございます。  それでは早速資料の詳細について説明を事務局にお願いしたいと思います。では、よ ろしくお願いします。 ○田村首席年金数理官  まず、本日の資料でございますけれども、先ほど申し上げましたように、財政再計算 に基づく財政検証の報告書の(案)のほかに、参考資料として2種類の資料をおつけし ております。これは,昨年の末に関係省庁連絡会議でまとめられたものが1つあります。 これは参考資料1と書いてあり、3つに分かれているものでございます。もう一つは、 与党年金制度協議会の資料でございます。これについては、本日、時間の関係もありま して御説明は省略をいたしたいと思います。  では、平成16年度財政再計算に基づく公的年金の財政検証の結果の報告案について御 説明いたします。これは、今、部会長からもお話ございましたけれども、昨年の8月30 日から9月14日まで5回にわたって行われました平成16年財政再計算に関するヒアリ ングの資料等を基に各制度の財政状況とその見通しについて分析、検証をしております。 ヒアリングの後、起草委員会及び技術作業委員会を開いていただきまして、検討してい ただいたのがこの資料でございます。  なお、この検証では、平成16年の再計算までの状況に基づいて検証をしております。 また、その計算自体につきまして、計算自体の中身までは検証していませんので、その 計算自体は適正に行われたという前提で行っておるということでございます。  それから、もう一つ、これは言わずもがなのことですが、前回御承認いただきました 平成15年度版の公的年金財政状況報告、昨年の11月にやりましたけれども、その際に 一部のマスコミの方が誤解されておりましたので申し上げておきます。この財政検証と いうのは年金数理部会が行っているものでございまして、これからの御説明は、厚生労 働省からの報告ではないということ。先ほど部会長からありましたように、部会の事務 局として御説明をするということでございます。  ちょっと前置きが長くなりました。さて、報告書の構成ですが、資料1、先ほど申し ましたように4分冊に分かれております。これが本体です。資料2がその要旨となって おります。本日は資料1に沿い内容の概略を説明をしていきます。  まず、資料1−1を1枚めくっていただきまして、次のページは委員の先生方の名簿 になっています。もう一枚めくっていただきまして目次というのがあると思います。こ れで 全体を概観していただきたいと思いますが、目次のところから3ページが今回の資料の 全体像でございます。第1章では、今回の検証の対象とした現在の公的年金の状況、財 政再計算の説明、今回の財政検証についての説明をしております。第2章では、平成16 年財政再計算結果そのものを概観しております。これが第1冊目の資料になります。そ れから、目次が続きますけれども、第3章は年金制度の安定性の検証を行っております。 目次をご覧いただいてもわかりますけれども、内容がかなりありまして、分析も多いた め、少しボリュームがあります。第4章は年金制度間の公平性に関するものです。3章 と4章が第2分冊になります。3冊目は、第5章からになります。目次でいきますと、 次のページの一番下になりますが、これは上で見た財政再計算の結果につきまして、横 並びで検証できるだけの信頼性があるかといったような観点から、これらの計算方法や 使用した基礎数、基礎率が妥当なものであったかということについて検証をしておりま す。それから、右の方で第6章ですが、ここはまとめということで、制度ごと、また制 度共通のいろいろな事項について指摘、要望をしております。あと、後で簡単に触れま すけれども、4冊目ですけれども、これは付録でございまして、この報告を見る上で参 考になるであろう資料、用語の解説を付けているということでございます。  では、資料に沿いまして各章の内容を御説明していきたいと思います。3枚ほどめく っていただきまして、2ページからになります。  2ページからが第1章ですが、ここでは、その後で出てきます現在の年金制度の様子 とその経緯について簡単に書いています。3ページの上では、財政再計算についてどん なものかということが書いてございます。3ページの下の方の3.ですけれども、ここ に今回の財政検証について記述をしております。今回の財政検証については、最初に書 いてありますように、平成13年の「公的年金制度の一元化の推進について」という閣議 決定を受けて行ったものです。この閣議決定では、3ページの一番下の行、「また」から ですが、被用者年金制度に関し、さらなる財政単位の拡大と費用負担の平準化を図るた めの方策を21世紀初頭の間に検討することとされた。これらのため、当年金数理部会に 対し、被用者年金制度の安定性、公平性の確保に関し、財政再計算時に検証を行うこと が要請されている。今回の財政検証は、これを受けて、「今回」というパラグラフがあり ますが、そこにあるようなものを対象にして行いました。なお、閣議決定の詳細につい ては、4冊目の参考資料に若干付けてありますので、後でご覧いただければと思います。  それが第1章の概要でございます。  その次からが本体になりますが、6ページでございます。第2章になりますが、第2 章では、先ほど言いましたように、今回の各制度の財政再計算結果そのものを概説して います。個々の項目につきまして、それぞれ順次書いてございますが、まず最初に、6 ページには被保険者数、標準報酬総額の見通しということで書いてございます。まず被 保険者数ですが、そこにありますように、各制度とも社会保障人口問題研究所の将来推 計人口の中位推計に準拠しているということですので、(図表2-1-1)にありますように、 各制度とも減少傾向を示しております。ただ、これは生の数字でございまして、各制度 で規模がかなり違いますので、2005年度の数字を100とした指数では見ますと、ちょっ と飛びますが、10ページの左上の(図表2-1-4)にあるように、各制度とも減少傾向を 示している。若干詳しく見ますと、厚生年金では2030年ごろから減少がきつくなってい ます。国共済、地共済では厚生年金より減少が急となっています。右下の凡例、ちょっ と見にくいのですけれども、ご覧いただければと思います。私学共済ですが、これは推 計の基となる人口が学齢対象人口とされているために他の制度と若干違う動きをしてい ます。例えば2100年ごろになりますと一番高くなるというようになります。  戻っていただきまして、7ページの2行目にございますけれども、今回の財政再計算 から国共済と地共済の財政単位の一元化が行われました。したがって、財政見通しなど は両方合わせたものが主として提示されております。そのため、以下の記述では、これ を合わせた書き方として、2行目にありますように、「国共済+地共済」と表記しており ます。これが今後たびたび出てきます。  少し飛びまして、次は受給者の動きです。11ページからですが、12、13ページをご覧 いただきたいと思います。受給者数の見通しは(図表2-2-1)のような動きをしていま す。ここでも制度横並びで年金種別ごとに並べております。ただ、これも規模が違いま すので、2005年度を100とした指数で見ると、右のページの(図表2-2-2)のようにな ります。まず、左上の年金種別合計でご覧いただきますと、私学共済の変化がかなり大 きいのが挙げられます。なお、2010年から2020年当たりで年金種別合計、その右の老 齢・退年相当、一番右端の通老・通退相当につきましては、被用者年金でぎざぎざが見 られます。これは報酬比例部分の支給開始年齢の引上げの影響を織り込んであるからと いうふうに思われます。次に年金種別ごとに見ますと、これはスケールを全部合わせて ありますので若干見にくいのですけれども、上の真ん中、老齢・退年相当では、厚生年 金はややM字型の動きをしております。また、国共済では途中で水平になる期間が見ら れます。絵が大分小さいのでわかりづらいかと思いますけれども、そういう傾向があり ます。その右側の通老・通退相当では、特に国共済、地共済、私学共済で動きが大きく なっています。急に増えるという傾向を示しています。これが受給者の動きです。次に 年金総額で見たものが15ページから書いてございまして、15ページが数字、16ページ がグラフになっています。17ページには(図表2-2-5)というのがございますけれども、 これら見ました年金種別の構成割合、全体を100として見た場合にどう動くかというの を制度別に並べて書いてございます。各図ともに一番下が老齢・退年相当です。その上 の濃い部分が通老・通退相当となっております。各制度若干それぞれ特徴が見られます が、ほぼあまり動きは変わらないということかと思っております。  18ページ以降は財政見通しについて見ております。財政見通しはいろいろな見方があ るのですけれども、ここでは年金の収支の各項目ごとに、例えば19ページでご覧いただ きますように、保険料収入とか国庫・公経済負担というような各項目ごとに制度横並び で観察をしております。19ページの(図表2-3-1)をご覧いただきますと、これは保険 料収入の動きになります。こういうふうに動いていくということで、保険料収入は被保 険者数の動きと1人当たりの標準報酬の動き、保険料率の動きという3つが重なって出 てくるわけで、それぞれの影響が全部入っていますが、数字はそこにあるとおりです。 表頭をご覧いただきますと、国共済+地共済の右側に積立度合1という字が書いており ます。また、私学共済の下には、幅0.354%と書いております。これは、あちこち行っ て申し訳ないのですけれども、左側の18ページの3の第2パラグラフ、「また、制度に よっては」というところがありますけれども、そこに書いてございますように、国共済 や地共済では、今回の財政再計算では、最終の積立度合、これは厚生年金では最終積立 度合を1というふうにして推計をされていますけれども、国共済や地共済では最終の積 立度合を1から4の4通りの場合について財政再計算を行っています。私学共済では、 同じパラグラフの下にありますけれども、積立度合の引上げ幅を2通りで財政再計算を 行っています。したがって、それぞれ区別できるように書いてございます。なお、以下 の分析では、原則として最終積立度合が1、引上げ幅は0.354%のものを使用しており ます。  少し飛びまして、23ページでございます。前のページご覧いただきますとわかります けれども、各項目ごとにずっと実数が並べてありますが、23ページは各項目について、 これまでと同様に2005年度を100とした指数であらわしたものです。その説明は左側の 22ページに載せてございますが、上の方にある保険料収入、国庫・公経済負担当はずっ と増える傾向にあります。これは経済が成長するという前提も入っていますので増える のですけれども、特に真ん中の国庫・公経済負担については、2009年度、最初の左端で びくっと上がっています。これはこの年から基礎年金拠出金に対する国庫・公経済負担 の割合が2分の1になるというふうにして計算されているためです。また、下の図には 基礎年金交付金、追加費用というのがございますけれども、これはともに過去期間に対 応するものですので、今後急激に減少していくと予想されております。  しばらく飛びまして29ページでございます。積立金の動きを見たものです。実額が上 の(図表2-3-13)で2005年度を100とした指数が(図表2-3-14)になりますが、(図表 2-3-14)をご覧いただきますと、最初、積立金はずっと積み上がっていきます。ただ、 有限均衡方式を今回採用し、かつ最終的には積立度合を1などに抑えるということにし ておりますので、2050年以降取崩しが始まりまして急激に減少していくという見込みに なっております。そこに線がいっぱいあり見にくいのですが、右側の凡例と照らし合わ せてご覧いただければ、どの制度がどういう動きをしているかということがおわかりい ただけると思います。  積立金などの結果は、ちょっと飛びますけれども、第1冊目の一番最後、36、37ペー ジには、制度ごとに財政見通しを載せてございますのでご覧いただければと思います。  次に保険料(国民年金)、保険料率の見通しですが、これは32ページ、戻っていただ くというか、進んでいただくというか、32ページにあります。(図表2-4-2)です。これ が今回の財政再計算結果による保険料率等の見通しでございます。左側に年度があり、 その横に厚生年金、右側に国民年金がありますが、厚生年金と国民年金は御承知のよう に、そこにあるような数字が法律で定められており、したがってそのとおり書いてあり ます。国共済+地共済がその次にありますが、これはなかなか複雑な表になっています が、2008年度までの括弧書き、そこまでは国共済と地共済で保険料率が違っております ので2つ書いてあります。2009年度から一緒になりまして、2020年度からは最終の積立 度合によってどこで止めるかが変わってくるということで4通り出てくるというものに なります。積立度合1から4に対応していることになります。それから、その右の私学 共済も同じで、引上げ幅により2通り再計算結果を出されております。それをグラフに したのが、右の33ページのような図表になります。  ここで、後の分析にも若干関係しますので、今回の財政再計算での給付水準、保険料 率等を決める流れを見ていきたいと思います。それを書いている前の31ページの(図表 2-4-1)で御説明したいと思いますが、今回の改正でマクロ経済スライドが導入されまし た。そのため各制度の財政がより関連を持つようになっております。これはマクロ経済 スライドの決定と適用の流れ、それによる保険料率の決定の様子を示しております。マ クロ経済スライドの決定は、まず基礎年金、国民年金から始まります。一番左上の基礎 年金(マクロ経済スライド適用前)とございますが、マクロ経済スライドが適用されな いとして基礎年金拠出金単価を算定して、その基礎年金拠出金単価を基にして、右側の 国民年金の収支を計算します。細かな計算はいろいろあるのですけれども、収入と支出 で大きな項目がありますが、その中で国民年金については保険料の単価は法律で決まっ ております。真ん中に収支残がありますけれども、その収支残は給付によってコントロ ールされることになります。それがマクロ経済スライドのスライド調整で行われるとい うことになります。調整方法としては、国民年金の四角の中にありますが、右端に(1)と いうのがありますが、最終年度の積立度合が1になるように、(2)でマクロ経済スライド を設定されるということになります。次にそれを基礎年金に戻しまして、その下の矢印 で行きますが、左側の下の方の基礎年金のところに行きます。そこで再度、基礎年金単 価を、マクロ経済スライドを適用した後、計算をされます。それで基礎年金というか、 拠出金の単価が決まる。その拠出金単価を持ってきまして、今度は被用者年金に行きま して、真ん中の右側の厚生年金のところへ行きます。そこで基礎年金拠出金単価を、マ クロ経済スライドを適用した後のものを持ってきまして決めるのですけれども、厚生年 金も保険料率が法定されていますのでコントロールされるのは給付になりまして、真ん 中の(4)にあるような年度末の最終積立度合が1になるように、(5)でマクロ経済スライド の率というか、適用状況を決めるという形になります。最後に共済はどうなるかといい ますと、基礎年金拠出金単価を左側の2つ目の下の四角から持ってくる。報酬比例部分 というか、そちらについては、厚生年金のマクロ経済スライドをそのまま適用しますの で、そちらから持ってきて、そこで収支残が計算されます。保険料率を適当に決めれば 収支残が計算されるのですけれども、それで最終年度の積立度合が私学共済ですと1で すし、国共済だと1から4となっていますので、それになるように保険料率の引上げ幅 は同じになっていますから、最後の止める年度を決めるということで計算されていると いうことです。共済年金については、国民年金、厚生年金の財政がそのままというか、 かなり影響しているということが今回の制度改正の結果になっています。これが後々の 分析にも影響してきています。  以上が第2章まででございまして、これが財政再計算結果でございます。  次に第2分冊へ行きまして、資料1−2でございますが、これが第3章になります。 38ページでございますが、ここでは安定性の確保に関する検証をやっております。今回 の検証で、公的年金の財政安定性を何で見るかということですが、38ページの下の方に ありますが、観点Aまたは観点Bということで観察することにいたしました。といいま すのは、先ほど申しましたように、厚生年金、国民年金は保険料率や保険料額が先に決 まっており、次に給付水準が決まってくるのに対して、共済年金では給付が厚生年金に 準拠して先に決まって、後からそれに必要な保険料を決めるという仕組みになっている ためです。したがって、厚生年金や国民年金では観点Aを適用しますし、共済年金では 観点Bを適用することになります。なお、前回の平成11年の財政再計算に関する検証で は当然ながら観点Bのみでございました。  次の39ページ2の(1)ですが、ここでは観点Aの視点から厚生年金、国民年金について の安定性を見るため給付水準について見ております。給付水準は(図表3-2-1)で、そ の数字は次のページの(図表3-2-2)にありますけれども、39ページの(図表3-2-1) をご覧いただきますとわかりますが、厚生年金が一番上になりますが、厚生年金で見ま すと、2004年度の59.3%、数字は次のページをご覧いただければいいのですが、から徐々 に低下していきます。他の制度も同様な動きをしています。なお、この低下の要因は、 先ほどから申していますマクロ経済スライドによるスライド調整のためでございます。 こういうふうな動きをしていくということになります。(図表3-2-1)では共済が厚生年 金の下に3本線がありますけれども、職域部分を含んだ場合の所得代替率で見ておりま す。40ページの下に文章がありますけれども、第2パラグラフ、「この水準は厚生年金 保険法……」というところですけれども、ここでは厚生年金に関して安定性の評価をし ております。今回の財政再計算結果によると、給付水準は標準的な年金取得代替率で見 まして50.2%ということで法律で定められた50%を超えております。したがって、平成 15年度の財政再計算の前提どおり今後推移していくという場合には、老後の基本的部分 を支えられなくなるおそれはないと考えられます。また、所得代替率は前のページにも ありますが、緩やかに低下していくと見込まれておりますので、急激な引下げとなって おりません。これらのことから、厚生年金の財政再計算結果に関しては、観点Aに照ら し安定性が確保されていると評価しております。それが40ページの下の方に書いてあり ます。  42ページには、これは、(図表3-2-3)、(図表3-2-4)ですが、ここは先ほどの所得代 替率のところから共済年金について職域分を除いた場合の所得代替率の動きを書いてご ざいます。  次に43ページをご覧いただきたいと思いますが、(2)はマクロ経済スライドについての 設定方法や数値を書いてございます。マクロ経済スライドのスライド調整率ですが、そ れはそこに書いてございますように、公的年金の被保険者数の減少率と平均余命の延び を勘案して設定した一定率をもとに設定されております。公的年金保険者数の減少の状 況は43ページの図表にあるようなものですが、その結果としてのマクロ経済スライドの 動きが45ページにあります。これがスライド調整率の生の数字です。これを適用して給 付水準がどれぐらい落ちるかを見たのが46ページのグラフで(図表3-2-9)というのが ありますけれども、2004年度の所得代替率を100とすると、最終的には約15%程度給付 が抑制されることと見込まれております。このマクロ経済スライドの効果は後にも出て きますけれども、年金財政の安定性に非常に大きな貢献をしていると今回わかりました。  次に47ページ。給付水準が終わりましたので、今度は保険料率がどうなるかというの を見ています。(3)保険料率の将来見通しになります。その下の(図表3-2-10)ですけれ ども、ここでは最終保険料率で比較しております。上げ幅はその下に「※」があります けれども、私学共済も含めて、ここでは0.354%で上がっていくというふうにしていま すので、最終保険料ですべて財政をコントロールというか、見ることができる形になり ますが、ご覧いただきますと、厚生年金は18.3%で法定されていますが、国共済+地共 済では積立度合1で18.8、積立度合2では19.0というふうに若干変わっています。私 学共済では18.5%ということになっております。この数字と引上げ幅が毎年0.354%と いうことを勘案しますと、共済年金についても、平成16年の財政再計算の前提で今後推 移をするというふうに考えれば、先ほどの安定性で見る観点Bに照らし年金制度の安定 性は確保されているというふうに評価をしております。それを書いているのが48ページ になります。  その後、基礎年金拠出金に対する保険料率を見ていますけれども、時間の関係で飛ば しまして、52ページからは財政指標で安定性を評価しております。52ページの3の(1)は 年金扶養比率について見ています。つまり成熟状況がどう動いていくかというのを評価 しているわけですが、右のページの(図表3-3-1)をご覧いただきたいと思います。各 制度ともに、2050年度ごろまではずっと減っていく傾向がおわかりいただけると思いま す。こういうふうに予測されています。特に私学共済、一番上の線ですが、まだ成熟途 中ですので、今後急激に低下していくと見込まれています。2050年度以降をご覧いただ きますと、各制度とも安定的に推移していると言えるかと思います。なお、私学共済で は、また2070年とか2075年あたりから若干上昇気味になっています。これは前の52 ページのなお書きに書いてございますけれども、将来推計人口の推計方法に影響されて いるのではないかと思います。  次に54ページ、55ページ、総合費用率です。総合費用率は、そこにもありますが、 完全な賦課方式で財政運営を行おうとしたときの賦課保険料率に相当するものです。と いうことは、各年度ごとの財政に必要な負担額を示していると言えると思いますが、右 側の図表をご覧いただきますと、厚生年金では、最初は一番高いのですけれども、基礎 年金の国庫負担割合の引上げ、報酬比例部分の支給開始年齢の引上げ、マクロ経済スラ イドによる給付水準調整などの効果によりまして、当初は減少しますけれども、その後、 少し増加し、また微減傾向を示しています。国共済と地共済、これは最初ほぼ重なるラ インで、2050年まで2つありまして、その後、真ん中から出ている青いラインでござい ますけれども、これは今申しました厚生年金の抑制効果はわずかに見られますけれども、 厚生年金への少し上を同じような動きで動いているということが言えるかと思います。 私学共済は今後成熟が進むとともに、総合費用率が急激に増加いたします。2060年ごろ にはかなり高くなるということになりますけれども、これを一見いたしますと、コスト が急に増え、不安定に見えますけれども、これは後でご覧いただきます積立金の効果で 安定化をされているということになります。  少し飛びまして、58ページには収支比率を載せてございます。これは、各年の収入と 支出の比を、国庫・公経済負担等を除いた自前の財源ベースで負担しなければいけない ベースで見たものですが、これは100%超えると赤字になっていくということを示して います。(図表3-3-7)によりますと、2050年度ころまでは各制度とも収支は黒字です。 したがって、先ほど第2章でご覧いただいたように、そこまでは積立金は積み上がると いう形になります。その後はおおむね100%を超えているということになります。この 時点では積立金を取り崩して財政を均衡させています。ここでも私学共済の動きが大き いというのがおわかりいただけると思います。なお、最終の2100年度をご覧いただきま すと、厚生年金と国民年金の数字は下の表にもありますけれども、106程度ですけれど も、国共済と地共済及び私学共済では120を超えるというようなものになっています。 つまり厚生年金では、支出の6%、共済では20%を超えるものを積立金の取り崩しで賄 うという計画になってございます。  60ページからは積立金に関しての分析を行っています。今回積立金の役割はかなり大 きくなりましたので、別項としています。まず積立比率について見ております。積立比 率は、今回の財政再計算でのメルクマールとされた積立度合と違いまして、財政指標で あります。年金財政を見るときに積立水準を評価するのに使用されております。60ペー ジの(1)の第1パラグラフ、「積立比率とは」というところで御説明をしております。その 動きが右側のページの(図表3-4-1)になります。積立比率は、現在、制度によってか なり違っています。厚生年金、国民年金はやや低めになっていますし共済年金は高くな っています。今後の動きですが、2030年度ころをピークにいたしまして徐々に減ってい きます。特に私学共済の減少が大きくなっていまして、最終的には1に近くなります。 国共済+地共済、これは青い線が1本ありまして、その上に3本細い線がありますけれ ども、それは積立度合を変えた場合の線です。積立度合を高くしますと低下が緩やかに なってきます。国民年金は、これは2005年度が一番下のピンク色のラインですけれども、 最初は低いのですが、途中で厚生年金を追い抜きまして、国共済、地共済とほぼ同じ動 きをします。最終的に2100年度には2.3という数字になりまして、他の制度より高くな っています。これは60ページの最後の方で説明を加えておりますけれども、国民年金の 支出のほとんどは基礎年金拠出金であり、その半分が国庫負担で賄われるため、積立比 率で見ると2倍を超えます。積立度合になりますと1になるというものですけれども、 こういうことになります。  次の62ページの(図表3-4-3)は、積立度合の将来見通しを見たものです。各制度と も2100年度で1になっております。ただ、制度ごとに見ますと、ここでも私学共済の動 きが大きくなっております。ただ、これは比率で見ていますので、実額で見た動きはど うかというので見たのが63ページ、右側の(図表3-4-4)です。こういう動きをします。 さすがに厚生年金は規模が大きいため絶対額で見ると、相対的にはあまりないのですけ れども、絶対額で見ると、かなり動きが大きいということがわかろうかと思います。  65ページに移りたいと思いますが、積立金の効果を見ています。積立金の効果は前回 の平成11年の再計算まではその運用利回りにより実際の保険料率を低く抑えるという 役割のみでしたけれども、今回の財政再計算では積立金の取崩しも見込まれるようにな りました。これらの効果を見たのが65ページからでございますけれども、66ページの (図表3-4-7)、(図表3-4-8)をご覧いただきたいと思います。上の方の(図表3-4-7) は、運用収入、今後運用収入が見込まれておりますけれども、そのときのその年の標準 報酬もしくは人数で割った保険料率、保険料額換算になっています。折れ線グラフとい うか、線になっているのが被用者年金で保険料率のグラフで、赤い棒グラフになってい るのが国民年金の保険料額換算をしたものですが、各制度ともかなり高い数字になって いまして、これだけ保険料率の低下に寄与しているということがわかります。最大のと ころを見ますと、厚生年金では約4.4%ぐらいになりますが、国共済、地共済では6%、 私学共済では9%ぐらいを超える料率相当となっています。また、国民年金では5,000 円弱運用収入分があります。このころの保険料額が1万6,900円になりますので、その 約3割ぐらいになります。下の(図表3-4-8)は積立金の取り崩し分を料率換算したも のですが、最初の方は除きますと、大体2050年ぐらいから始まります。これもご覧いた だきますと、保険料率換算でいきますと、2〜5%程度の効果を上げていることがわか ります。数字は右の(図表3-4-10)に書いてございます。  先ほど財政指標のところで総合費用率の見通しをご覧いただきました。これと実際の 設定された保険料率を比べてみたのが69ページ(図表3-4-11)、国民年金に関しては、 その次のページの(図表3-4-12)でございます。その図の赤い線、2005年、最後の2100 年で一番上まで行っている赤い線が総合費用率です。これは先ほどの財政指標のところ でご覧いただいたラインと同じになっています。いわゆる賦課保険料率になります。そ れから、青い線、途中で平行になっている線がありますが、これが再計算で設定されて いる実際の保険料の線です。その間に差がありますが、その差を運用収入と取り崩しで 賄っています。運用収入と取り崩しはその凡例にありますようなとおりでございますけ れども、そういうふうな動きをしているということになります。共済年金では赤と青の 線の間の差が大きくなっています。ということは、積立金による保険料率の軽減の効果 が大きいということがわかります。こういうことで、特に先ほど私学共済がかなり増え るという御説明いたしましたけれども、これの積立金の効果で保険料率を抑えていると いうことがわかろうかと思います。  72ページからは5として、今度は一時金で見たらどうなるかということで見た、各制 度の年金の財源と給付の内訳(平成15年度財政再計算)とあります。なにかといいます と、1枚めくっていただきまして、75ページから図がありますが、これは今後95年間、 今回の財政再計算での推計をされた期間ですが、その期間にわたる毎年度の年金給付の 内訳とそれを賄う毎年度の保険料収入、国庫・公経済負担及び積立金から得られる財源 をすべて平成16年度末時点の額に運用利回りで換算して積み上げたものです。いわゆる 年金現価というものです。なお、有限均衡で最後に積立度合1ということで、2100年度 末で若干積立金を残しますけれども、この2100年度末において保有するという積立金に ついてはこの図の中には入っておりません。この図以外のところになります。75、76、 77ページの図をご覧いただきまして、あまり各制度とも大きな違いは見られませんけれ ども、もう少し詳しめに見るためには74ページの(図表3-5-1)の下側に構成割合があ りますが、それをご覧いただきますと少し特徴が見られます。まず、上の財源は各制度 とも保険料率が約7割、国民年金は半分国庫・公経済負担になりますので低くなります が、被用者年金は約7割ぐらいが保険料になります。共済年金の方がやや高めになって おります。それから、その次の積立金から得られる財源につきましては、国共済+地共 済が大きくなっています。また、下の方の給付をご覧いただきますと、過去期間に係る 分と将来期間に係る分を2つに分けておりますけれども、厚年と私学については、将来 期間に係る分の方が多いのですが、国共済+地共済については過去期間に係る分の方が 現価が大きくなっているということがわかります。  ここまでが財政再計算から大まかに眺めたものですが、今後、若干分析を行っていま す。それが78ページからです。78ページの6では、財政再計算で用いられた前提を変 更した場合の影響について見ております。ここでは財政再計算で用いた前提、すなわち 仮定を変更した場合に将来見通しがどう変わるかというのを見たものですが、財政再計 算の前提は後の第5章で見ますが、いろんなものが多々あります。ただ、ここでは財政 に対する影響の大きい項目について試算を各制度にお願いして、その結果に基づき分析、 検証しております。動かしたのは、78ページの下の方から書いてありますが、 ア被保険者数見通しの前提となる将来推計人口を変更した場合で、これが2通りやって おります。少子化改善と少子化進行ということになります。それから右側の79ページの イ経済的要素ということで、それを変えた場合が2通り、イの数行下に(1)、(2)とあり ますが、そういう場合について行ってもらっています。真ん中あたりにウ死亡率の改善 を見込まない場合をやっております。今回の財政再計算では、各制度ともに死亡率の改 善が将来推計人口と同じように改善していくというふうにして見込まれていますけれど も、もし、それがなかった場合にどれぐらいの財政見通しになるかというのを計算して もらっているものです。一番下のエ基礎年金拠出金単価のみを低位推計に基づくものに 変更した場合ということで、基礎年金拠出金単価がかなり影響があるので、それに関し てそこだけ変えた場合にどれぐらい変動するかを見たものです。こういうケースをやっ ておりますが、比較のため財政再計算結果は、最終積立度合が1のものを基準ケースと して使用しています。前提を変更した場合の最終的な影響は、給付水準の変化と最終保 険料率の変化にあらわれてきます。まず給付水準ですが、81ページの(図表3-6-1)を ご覧いただきたいと思います。変えた場合になぜ給付水準と最終保険料率の両方にあら われてくるかといいますと、厚生年金では保険料水準が固定をしていますので、18.3と いうのは変わらないと計算をしております。そうしますと、マクロ経済スライドで給付 水準が変わってくる。共済はそれを受けて、変わった給付水準の上で最終保険料がどう なるのかというのを計算していますので両方変わってくるということになります。81ペ ージの(図表3-6-1)をご覧いただきますと、そのような動きになっていまして、一番 左側の基準ケースですが、これは再計算結果で、先ほどからご覧いただきますように 85%で止まるという推計になっていますが、少子化が改善すると87%までで済むし、少 子化が進行すれば78%まで下げざるを得ないというような試算になります。なお、共済 については、厚生年金と同じマクロ経済スライドを使用しますのでこの数字は各制度と もに同じになります。共済も同じような給付水準の動きをいたします。この数字を図示 しますと、82ページのような図になります。死亡率の改善がなければ途中で止まります。 左側の分岐する前までは、図表の作成上、一番最後の線が残ってくるということだけな ので他意はございません。  次に保険料率ですけれども、それは83ページにあります。厚生年金は法定されていま すので変わらないのですが、共済ではこのようになります。ご覧いただきますと、国共 済+地共済では、2020年のラインで揃っていまして微妙に違っているということがおわ かりいただけると思います。私学共済は若干ばらけますけど、その右側にあるようなも のになります。国共済+地共済については、最終の保険料率は財政再計算の基準ケース とあまり変わりません。これは前提を変更すると、まず厚生年金で給付水準が調整され、 その給付水準での保険料率を算定しているため最終保険料率の変動が小さくなっており ます。83ページの下の方に書いてございますけれども、基礎年金拠出金のみを変更した 場合は、これはスライド調整は変わりませんので、変動が大きくなっております。私学 共済は国共済+地共済に比べると動きが大きくなっております。これを図示しますと、 次の84、85ページのようになります。左側の84ページではあまり違いがないし、右側 では若干差が大きくなっているということがご覧いただけるかと思います。これはスケ ールは同じになっていますので、これだけのスケールの違いがあるということになりま す。  なお、経済変更1、2ということがあります。経済変更の1でございますけれども、 これは厚生年金の財政再計算では経済悪化というふうにしていましたし、経済変更の2 というのは経済好転ケースとして説明をされておりました。ところが、前のページの(図 表3-6-3)の数字をご覧いただきますと、共済各制度では、変更の1というのが、基準 ケースよりも最終保険料が低くなりまして、変更2というのが高くなっています。これ は年金数理的に考えますと、ちょっと変なのですけれども、これは厚生年金と共済では 賃金上昇率に対する実質の運用利回りの影響が違うためです。これについては後でまた 観察をしております。  86ページ以降はその他の項目について見ております。ここではいくつかグラフがあり ますが、いずれも基準ケースを1として、前提を変えた場合に変わる要素についてプロ ットしています。87ページの(図表3-6-7)では、被保険者数の動きについて見ていま すが、これは当然将来推計人口に準拠していますのでほぼ同じような絵になっています。 91ページには保険料収入についての動きを示しています。若干バラツキが出ております が、おおむね同じような形をしています。93ページには受給者数について基準ケースと の違いを見ていますが、受給者数については、被保険者数に対する影響と同じ少子化の 動向のほかに死亡率の改善がなかった場合についても変わりますので、線が1本多くな っています。給付費の動きが96ページの(図表3-6-15)になります。変更する前提に よりまして動きはありますが、制度間ではあまり動きに違いはないと思います。  ちょっと飛びまして、102ページに積立比率の図表があります。各制度ともに最終的 には1に近づいていきますが、そのグラフの中で各制度ともに少子化進行というライン が一番上にあります。これは少子化進行で将来の被保険者数が減少して収入が減るとい う見込みになるために、それに対応するために事前の積み上げがされているためと思わ れます。  103ページ以降については、これらの安定性に関して、年金数理部会でさらに試算を 行った結果をいくつか示しています。  最初は、これまで見た前提を変えた場合の影響について別の見方をしたものですが、 先ほども御説明いたしましたように、前提を変えた場合には、財政の均衡をとるため、 最終の保険料率、給付水準が動きます。厚生年金は給付水準が動くだけでまだわかりや すいのですけれども、共済年金は保険料率と給付水準の両方が変動しますので影響がよ く見えない。そこで仮の計算として給付水準が変動しないもの。要は基準ケースで止め まして、すべて保険料率で調整したときの最終保険料率の変化を見るということにいた しました。一般的には保険料率の引上げのペースも影響するのですが、ここは各制度と もに同じにしてありますので影響はない。したがって、必要な保険料率の違いはすべて 最終保険料率の違いにあらわれてくるような試算をしております。それが105ページの (図表3-6-24)でございます。なお、数値はその左側のページになります。この図表は ちょっとややこしいのですけれども、各図の左端の基準ケースというところが財政再計 算の結果です。したがって、厚生年金では18.3%になっています。右端の変更後という のは、102ページまでで見た前提を変更した場合に再計算どおりやったらどうなるかと いうことで、給付水準で調整する結果、厚生年金では18.3%ということになります。共 済ではケースによって若干動いています。ここで前提が変わっても、給付水準を基準ケ ースで固定したとしますと、財政の均衡をとるためには保険料率が動きます。それをプ ロットしたのが真ん中の「影響を除外」というところですが、例えば一番上の図の一番 上の線、厚生年金の一番上の線、少子化進行をご覧いただきますと、少子化が進行する と一般的には必要な保険料は高くなります。しかし、給付水準を低下させて保険料率を 据え置いているわけですが、給付水準を固定いたしますと、必要な保険料は図のように 高くなるということになります。逆に死亡率の改善がないとした場合は、将来の受給者 数が減少しますので最終の保険料率は低下します。こうすることより前提の変更の影響 は、最終保険料率の変動のみで見ることができます。これをご覧いただきますと、真ん 中の国共済+地共済と上の厚生年金はあまり形は違わないということですけれども、下 の私学共済についてはやや大きく動くケースが見られます。  次に、107ページの(図表3-6-25)をご覧ください。平成16年財政再計算では、最終 の積立度合を、国共済、地共済では別のものも行っていますけれども、1として計算さ れております。この最終積立度合に対する最終保険料率の感度を見たものがこの図です。 マクロ経済スライドは財政再計算によるもの、これまで見た基準ケースで固定しており ますけれども、そうした前提で計算しますと、そのようなラインになりまして、積立度 合1に近いところのマーカーで書いてあるのが財政再計算結果の点ですけれども、厚生 年金と国共済+地共済、これは平行に動いていますのでほぼ同じような性格のものかと いう気がいたしますが、私学共済は最終積立度合に対する感度が高いというふうに言え るかと思います。  もう一つ見ているのが109ページの(図表3-6-26)です。これは、計算に使用する運 用利回りに対する最終保険料率の動きを見たものです。給付水準については、今までと 同じく止めていますが、3.2%のところが大きなマーカーが再計算結果になります。これ をご覧いただきますと、厚生年金に比べ共済年金の方が運用利回りに対する感度が高い というのがおわかりいただけると思います。これは、これまで見た積立金の大きさがそ の効果からも当然の話になるのですけれども、この感度の違いが109ページの最後に書 いてありまして、先ほどちょっと御説明しましたけれども、経済変更1と2のときの最 終保険料率の一見逆方向の動きにつながっているというふうに思われます。すなわちこ こでは、賃金上昇率を固定しておりますので、実質的な運用利回りと同じように変動す るということになります。ところが経済変更1と2では、経済変更1の方が実質的な運 用利回りが高くなるということで逆に動いていることがその原因になろうかと思います。 それが109ページの下の方に簡単に書いてございます。  ちょっと急いで申し訳ありませんけれども、その次の110ページでございます。110 ページは、今回の制度改正の各項目、今回の制度改正ではいろんな制度改正が行われま したけれども、年金財政に影響するものがいくつかあります。110ページにその項目が 書いてあり、「保険料水準の固定」、「スライド調整」、 「給付水準の下限設定」、「財政均衡期間を永久から有限にしたこと」、「国庫・公経済負 担の引上げ」があります。この7では、これらについて、それぞれの影響を見ています。 見方としては、右の111ページの真ん中あたりに書いてございますけれども、その項目 の順番に従いましてそれぞれ変えていきまして試算をしてございます。まず最初に、「国 庫・公経済負担」につきまして、3分の1から2分の1に引き上げる場合について試算 をする。その引き上げた後、「保険料水準固定方式の導入とスライド調整の影響」につい て導入をしていくという順番で計算をしていただきました。その結果が次の113ページ 以降になりますが、ここでお断りしておきますと、これはこの計算の順番によって数字 がかなり変動しますので、あくまでもこの変更の順番に沿って計算した場合の結果だと いうことになります。簡単に御説明しますと「国庫・公経済負担の引上げ」では、(図表 3-7-2)にあるような結果になりますが、それをまとめたのでその次の114ページの(図 表3-7-3)になります。これは前のページの試算No.1と試算No.2を比較することにより わかりますけれども、国庫・公経済負担の引上げにより、厚生年金では約3.1%、国共 済+地共済で2.6%、私学共済では3.3%分、最終保険料率が抑えられているということ になります。次に右側のページで、保険料水準とスライド調整の影響になりますが、(図 表3-7-4)でございますけれども、厚生年金では最終保険料率が18.3%に固定されたと いうために、保険料率が4.5%下げられました。その代わりにスライド調整により、給 付水準が最終的には2割弱低下することになっています。共済年金では、給付水準を厚 生年金と同じように抑制されたため最終保険料率は国共済+地共済では6.1%、私学共 済では4%ぐらい抑制されています。ただし、その下にありますように、今回、有限均 衡方式が導入されました。これにより財政的に少し余裕が出ましたので、それが(図表 3-7-5)にございますけれども、給付水準は約3%程度低下が緩和できました。その結果、 給付水準は、先ほどご覧いただきましたように、2004年度に比べまして約15%の低下に とどまっているということになります。また、共済年金では、さらに最終の保険料率も 下げることができています。116ページには(図表3-7-6)という小さな表がありますけ れども、これは、厚生年金での均衡期間の変更のみを見た場合でございます。0.5%程度 しか動いていないことになります。その下に制度改正の影響をまとめてございますけれ ども、今回の制度改正では、国庫・公経済負担の変更とスライド調整が財政の健全化に 効果を示していることがわかります。  119ページ以降にはもう一つの検証の対象でございます年金制度間の公平性について 行っています。年金制度においてはいろんな切り口からの公平性がありますけれども、 ここでは制度間の公平性について検証しております。観点は、そこの何行か下にあるよ うなことでやっております。  ただ、ここであります「同じ年金給付」というのが、なかなか実際にやろうとすると 難しいのですけれども、ここでは、その観点の次のパラグラフ、「具体的には」というと ころにありますように、基礎年金拠出金分、厚生年金の報酬比例相当分、共済年金の職 域部分に分けて分析しております。それぞれの部分の給付の設計はそれぞれごとに同じ なのですけれども、次の120ページには若干書いてございますように、制度でいくつか の点で異なっております。ただ、ここではこの違いは無視をして、それぞれの制度での 再計算結果をもとに割り振るというか分割をしております。そして、再計算での将来見 通しで使用されている保険料率、これ一本で計算されていますけれども、それをそれぞ れの部分に対応する、今見た基礎年金、厚年相当部分、共済の職域部分、それぞれの部 分に対応する保険料率相当分に振り分けまして、それを比較することで制度間の公平性 を見ようとしております。なお、先ほど給付設計はほぼ同じと申しましたけれども、古 い共済の給付、いわゆる昭和60年改正前の制度によるものですが、これは全く異なって おります。したがって、それについては、一定の粗い前提を置いて計算をしております が、その詳細については122ページに書いてございますので参考にしていただければと 思います。  さて、その保険料率の振り分けですが、123ページから書いてありますけれども、財 政再計算での各制度の保険料率は、今申しましたように、それぞれの制度全体の収支が 均衡するように一体のものとして設定されています。1階、2階、3階がそれぞれいく らというふうに個別に算定したものではありませんけれども、ここでは比較のため、123 ページの真ん中あたりに囲みがありますが、そのような考え方で再計算での各年の保険 料率をそれぞれの1階、2階、3階の保険料率の相当部分に機械的に振り分けています。 つまり、1階部分は基礎年金拠出金相当分としました。2階、3階部分は、再計算で設 定した保険料率から1階部分相当を差し引いた残りの保険料率を各年度のそれぞれの給 付費で按分しております。その結果の一部を示したのがその次の124ページ(図表4-2-2) です。ここでは、足元の2005年度と2050年度、2100年度の3ポイントを示しています。 それぞれの年度につきまして、上から厚生年金、国共済+地共済、私学共済の順になり ます。各表の一番左側は(1)財政再計算で使用されている数値です。その右の(2)から(4)は、 それを1階、2階、3階それぞれに振り分けたものです。一番右端は1階と2階を足し たもので、新聞等でよく取り上げられていた数字です。2005年度は(2)、(3)ともに制度に よって違っています。これは現在の時点で適用されている保険料率の違いでございまし て、今時点での成熟の程度の違い、またこれまでそれぞれの制度が別々の財政運営をし てきたということによるものだと思われます。その次の2050年度になりますと、(3)は制 度による違いはほとんどなくなるということになります。(5)にある厚生年金と共済年金 の違いは、(2)、すなわち1階部分の違いによるものということがわかります。  このデータのもう少し年度の詳しいものは132ページ、133ページ、この第2分冊の 最後に書いてありますので、後でご覧いただきたいと思います。  126ページですけれども、ここからは2階部分の動きについて若干見ています。(表 4-2-3)でございますけれども、先ほどありましたように、私学共済はまだ成熟途中です ので、出発点の保険料が低いということでしばらくは低いですけれども、2030年度ころ からはほぼ同じような数字になります。なお、この図の数値は、財政再計算の結果をも とにしておりますので、先ほど言いました積立金の運用収入、取り崩しの効果を当然受 けます。その影響を受ける前の姿が、127ページの(図表4-2-5)のような2階部分の独 自給付費用率の見通しというような動きになります。これは先ほどご覧いただいた総合 費用率とほぼ同じような動きになりますが、これを抑えた結果、左側の(図表4-2-3) のような絵になります。その効果を見ているのが129ページのグラフです。  さて、先ほど(図表4-2-2)でご覧いただいたように、1階と2階の厚年相当という ところで必要となる保険料率が厚生年金と共済年金で違っているのは、1階部分の費用 が違っているという数字になっていましたけれども、130ページの(4)にはその理由を書 いてございます。後でお読みいただければと思います。  公平性に関しましては、最終的に131ページに結論を書いてございます。1階と2階 ともそれぞれ異なった考え方から保険料率が設定されておりますので、それはそれなり に理由があるかなと思いますけれども、ただ、両者を合わせた職域部分を除く保険料率 相当分で見ると、被用者年金間で差が見られます。この差を解消するためには、第1パ ラグラフの最後にありますように、平成13年の閣議決定で決められた方法が必要となる というのがここの結論でございます。  最後、第3分冊です。第5章、将来見通しの推計方法に関する検証をしています。こ こでは、以上見てきた財政再計算結果が果たして横並びで比較できるように算定されて いるかということを見ています。やや専門的になりますので簡潔に御説明いたします。 基礎数、基礎率、計算方法と3種類ありますけれども、基礎数は134ページの(図表5-2-1) にまとめておりますが、各制度ともおおむね同様なものを使用しております。違ってい る場合も後で見る計算方法との関連で違っておりますので合理性があるということにな ります。  ちょっと飛びますが、138ページ以降にはグラフを載せておりますけれども、これは 各制度が使用した基礎数のシミュレーションの出発点の状況を示しています。  ちょっと戻りまして135ページの上の表にありますけれども、今回の財政再計算で使 用された基礎率についてまとめております。その内容は、まず経済要素は144ページに あります。後に出てきますけれども、各制度とも共通のものをしています。ただ、厚生 年金、国民年金では2008年度までは少し修正が加えられているということになります。 その詳細が後の方の144ページに経済的要素の数字が載っています。145ページには被 保険者数、加入者数の見込みです。見込み方はそこに書いてあるとおりです。各制度と も制度ごとに工夫されているということになります。  149ページ以降にそれぞれの基礎率についてグラフをまじえながら比較をしておりま すけれども、使用した基礎率、数字ともに各制度そんなに大きな違いは見られませんで した。     それから、少し飛びまして161ページからの(図表5-2-16)では、細かいのですけれ ども、基礎率の設定方法につきまして一覧表にまとめておりますので、ご覧いただけれ ばと思います。  また飛びますけれども、169ページ、将来推計の計算方法について見ています。170 ページから4枚ほどフローチャートがありますけれども、各制度ともに同じようなシミ ュレーションによる計算をしております。詳細を見ると細かな違いはいくつか見られま す。その詳細が181ページから、これも細かいので飛ばしますが、この計算式の詳細に ついて一覧表にまとめてございます。なお、詳細をご覧いただきますと、計算式に出て くる基礎率で、前の方の161ページには基礎率の設定方法にないというものも一部見受 けられました。したがって、161ページ以外の基礎率もいろいろ使っておられることに なりますけれども、ただ、各制度ともに特徴を入れて入っていますので、これもおおむ ね計算方法も妥当と判断しました。  191ページ以降になりますが、第6章で一応まとめというような形で書いてございま す。最初は、各制度ごとに特徴を記述しておりまして、まず厚生年金ですけれども、財 政再計算結果を見る限りにおいては安定性は確保されておりました。しかし前提を変え た場合の検証によると、影響は少なくない場合があり、特に少子化や死亡率の変動等に 留意が必要だと思っております。また、推計の最終年度においても収支比率が100を超 えておりますので、想定以上の変動や長期の低成長に対する方策の検討の必要性につい てここで触れております。  国共済と地共済、右側ですけれども、今回から両者を合わせた将来見通しが示されて おります。これによりますと、推計の最終年度当たりの積立金の取り崩しがかなり大き くなっておりまして、財政の変動が気になるというのがあります。ただ、財政上のメル クマールとされました最終の積立度合を1から4の4通り行っていますけれども、これ は財政の安定性を見る上では効果的だと言えると思います。また、それぞれの単独の特 徴としては、将来の被保険者数の設定に違いが見られるということが若干気にかかる点 と、公務員を取り巻く環境がいろいろ変化することに今後とも留意が必要だということ を述べております。  193ページの私学共済については、前回の財政再計算に比べますと計算方法がかなり 改善されております。ただ、国共済、地共済もそうでしたけれども、積立金のレベルの 変動が大きいということには注意が必要だとしています。  194ページの国民年金ですが、特に基礎年金については、その財政は安定的に運営さ れると思われます。ただ、国民年金は被用者年金ではあまり影響のない納付率の動向や、 被用者年金の被保険者数の変動の影響を直に受けるというような不確定要素があると書 いてございます。  次に195ページの真ん中あたりの2.ですけれども、ここでは総合的な評価というこ とで、全体的にかかわることを述べています。年金財政の安定性、公平性につきまして は、これまでに見たものをまとめております。将来の被保険者数の見通しについては、 この影響が大きいために、ここでもそのもととなった将来推計人口の予測が実現するよ うに努力する必要があることを記述しております。  196ページの下の方の3.からは、今回の財政再計算の検証過程で提起されたもので すが、主として今後の財政再計算や将来見通しの作成の際に留意していただきたい事項 を5点ばかり記述しております。例えばですけれども、最初の前提を変更した場合の試 算の充実では、今回も5通りもしくは6通りの試算をお願いしましたけれども、さらに 197ページの上の方に例示しているようなものが必要だと思われます。また、197ページ の下の確率的将来見通しというのがありますけれども、ここでは確率的将来見通し、 Stochastic Projectionといいますけれども、その必要性を述べています。これはそこ に書いてございますが、アメリカの年金制度であるOASDIの報告書で行われており、 各基礎率について、それぞれの一定の確率分布をすると仮定して、数多くのシミュレー ションを行いまして、その結果として、当該制度の将来の財政状況のあり得る確率分布 を示すというものでございます。いろいろ難しい点もありますけれども、今後実施のた めの検討をお願いしたいということを書いてございます。  それが第6章でございまして、資料4、最後の資料の冊子は付録でございます。本文 を読む上で必要となると思われるデータを参考資料としてまとめて付けてあります。  また、最後の方、280ページからは、本文に出てくる用語について簡単な説明をして おります。  それから、もう一つの別冊の資料2でございますけれども、これは資料1−1から資 料1−3までの本文のエッセンスをまとめた要約になっております。  御説明は以上でございます。 ○堀部会長  どうもありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました報告書の 案に対する御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思います。 ○宮島委員  詳細な説明を伺って、100%理解できたかどうかという点もあろうかと思いますけれど も、率直に申し上げますと、この検証はかなり踏み込んだ書き方になっているという印 象を私は持っております。読み方はいろいろあると思いますが、読むと相当示唆される ところ、あるいは多分これから少し問題になるところであり、何を考えなければいけな いかという論点が明らかになったのだろうと理解しております。  ただ、若干技術的な問題が1つありまして、これは首席年金数理官にお聞きするのか、 部会長にお聞きするのかわかりませんが、資料1−2で、81ページ、83ページあたりで、 前提を変更した場合の影響を見るときの保険料率なり給付水準の影響を見るというとこ ろがございます。これを見るときに、保険料率の方の影響は、例えば18.3%とかの料率 を使って、それと変更幅、何%変わるかということで見ている。ところが給付水準の方 は指数にして、基準ケースを100として、今度は変化率で見ているということになりま すね。私はどちらかというと、給付水準についても、支給開始の際の標準的な年金の所 得代替率で示してもらった方が、我々にとってはこれまでの議論を踏まえるとわかりや すかったのではないかという気がしております。これ自身を直せということでは必ずし もないのですが、注記的なことをしていただけないのかなという気がしております。  と申しますのは、私が実は一番関心を持ちましたのは、資料1−2の制度改正の効果 を見たところでございまして、永久均衡を有限均衡に変えたことによってどういう変化 があったかというところを見ますと、保険料率は料率でわかるけれども、給付水準は指 数になっているので、これまでの議論からいうと、やや実感として受けとめにくいとい うところがありましたものですから、数字をもし付記するなりということができるなら ば、御検討いただけないかということがお願いしたい点です。  あと、最後の資料1−3の6章のところで、これからの財政の評価についてのいろん な注文が来て、私はこれは大変大事なことだと思っています。これは年金数理部会の議 論ではなくて、局長にお聞きいただきたいのですが、ここに触れられている前提の変化 で、女性と高齢者の労働力の動きなどもこういう形で指摘してありますので、今後、年 金制度を考える上で、是非その点は考えた上で検討していただきたいというふうに思っ ています。  国共済と地共済の話は、私はプロでないのでよくわかりませんが、ただ、これを読ん で問題がよくわかったと。その点は大変ありがたく思っております。  以上でございます。 ○堀部会長  今の御指摘の2点目は、従来から宮島委員から御指摘あったところで、前提について よく検討をしてほしいということだと思います。これは今後年金局に対してお願いした いと思います。  それから、1点目ですけれども、我々起草委員会で基本的な考え方、表現、数値とか、 そういうものを精査したわけですが、その中では、今、御指摘のあった点については、 起草委員会では何ら議論しませんでした。そこで、首席年金数理官にその説明をお願い したいと思います。 ○田村首席年金数理官  確かに宮島先生おっしゃるとおり、給付水準の方がわかりやすいかもしれませんけれ ども、ここでこう書いたのは、給付水準にしますと、各制度によって違うんですね。そ うすると、同じ表を4つ書く必要が出てくるということになりますので、これらの各制 度共通になりますので、1つにしてあるということになります。 ○堀部会長  それはデータとしては出せるのですか。 ○田村首席年金数理官  データとしてはお渡しすることはできるのですけれども、かなりのボリュームになり ますので、ここでは載せないということです。これは厚生年金だと50.2とかになります けれども、共済だともっと低い、ご覧いただきましたような数字になりますので、同じ 事項について4ページも使うのはちょっとつらいのですが。 ○堀部会長  それは当然宮島委員がお願いしますと言ったら、渡せるという状態にあるわけですね。 ○田村首席年金数理官  はい。 ○宮島委員  取扱いはお任せしますけれども、これはこれで私は大変結構でございますので、何か 差し込むような形で情報提供をお願いできないでしょうか。前の方に既に代替率につい てはいくつかに分けたものが出ておりますから、全部を載せるというのは大変なのかと 思いますが、何かうまい手がありましたら。 ○堀部会長  報告書はこれで決定という形になるのですが、例えば、これを後で製本する際に本文 に入れるか、あるいは参考資料に入れるか。本文に入れるとおかしな形になりますか。 ○田村首席年金数理官  本文に入れると重たくなりますので、後の方に、先ほど説明省略しましたけど、付録 として参考資料がありますので、そこに表として載せるのはいかがでしょうか。 ○堀部会長  そうですか。そういう形でよろしいでしょうか。 ○宮島委員  はい。 ○堀部会長  一応報告書としては、このままにしておいて、参考資料に載せるという形にしたいと 思います。 ○田村首席年金数理官  参考資料も報告書の一部なんですけれども、資料1−4をご覧いただきますと、参考 資料とありまして、目次がずっと並んでいますが、そこの5の財政指標のところの後の 方に入れられると思います。 ○堀部会長  宮島委員、それでよろしいでしょうか。 ○宮島委員  いずれにしても、少しそういう形で公にしていただければ、手段は問いませんので。 ○堀部会長  はい。それでは、そういうふうに修正という形にさせていただきたいと思います。ほ かはいかがでしょうか。技術作業委員会とか、あるいは起草委員会で委員の皆様方相当 読み込んで、意見も相当反映されておりますので、あまり意見がないということでしょ うか。よろしいでしょうか。  それでは、ただいま宮島委員から指摘されたことについては修正することにしまして、 それを盛り込んだ形で最終的な報告にしたいと考えております。  それでは、ただいまの修正をした後のもので、年金数理部会の平成16年財政再計算に 基づく公的年金制度の財政検証とさせていただきたいと思いますが、それでよろしいで しょうか。 (「異議なし」と声あり) ○堀部会長  異議がないということで、財政検証の本報告とさせていただきたいと思います。  今回の財政検証の取りまとめについては、年金数理部会の議論としてはひと区切りが ついたというふうに考えております。最後に一言申し上げたいのですが、委員の皆様に はいろいろとご議論いただきましてありがとうございました。これまで年金数理部会で は専門的な立場から公的年金制度の安定性、公平性について評価してきたわけです。今 回の年金数理部会の報告書が、次回の財政再計算、あるいは財政見通しの作成の際に有 益な資料として活用されるものと考えております。また、現在、被用者年金制度の一元 化など、様々な年金改革の議論が活発になされております。その際にもこの資料が参考 にされることを期待しております。  そういったことで、年金数理部会が果たす役割は今後ますます大きくなっていくので はないかと思います。今後も年金数理の専門的な立場から年金財政を中立的な立場から 評価していくということが重要になってくるのではないかというふうに思っております。  そういうことで、本日の年金数理部会はこれで終りにしたいと思います。どうもあり がとうございました。 −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)