05/12/22 薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会 平成17年12月22日議事録 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年12月22日   14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(9名)五十音順   奥 田 晴 宏、 神 田 敏 子、 北 澤 京 子、 宗 林 さおり、   徳 永 裕 司、 長 尾   拓、 米 谷 芳 枝、◎溝 口 昌 子、   望 月 正 隆 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(3名) 井 上   達、 小 澤   明、 ○塩 原 哲 夫 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    川 原   章(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   金 井 雅 利(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   森 口   裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構一般薬等審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点から非公開で開催された。 ○事務局 ただいまより、平成17年度第1回化粧品・医薬部外品部会を開催いたします。 委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中を御出席いただきまして誠にありがと うございます。それでは以降の議事進行は溝口部会長にお願いいたします。 ○溝口部会長 まず本日の委員の出席状況について事務局からお願いいたします。 ○事務局 本日は、現時点で委員12名のうち9名に御出席いただいております。定足数 に達しておりますことを御報告申し上げます。井上委員、小澤委員、塩原委員からは欠 席の御連絡を頂いております。 ○溝口部会長 続いて、本日の配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 本日の資料はまず議事次第、座席表、委員名簿。それから資料1は本日の審 議品目であるブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルに関するもの。当日配付資料として、 資料1-1は資料1の「資料概要書」の105ページの差換えです。資料2はコウジ酸を含 有する医薬部外品の取扱いについて。参考資料1として「化粧品基準」です。  資料1-1は、化粧品基準の改正希望のあった申請者の資料ですので厳重管理の取扱い とさせていただきます。資料2と参考資料1は、通知なり告示で既に公表しております ので、厳重管理と右上に書いてありますけれども、公表資料ということで厳重管理の取 扱いではありません。おわび申し上げます。 ○溝口部会長 それでは議題に入ります。本日の審議事項は、「化粧品基準の一部改正 について」の一つです。最初に、事務局より資料1について説明をお願いいたします。 ○機構 機構より御説明申し上げます。大変申し訳ありませんが、最初に資料概要の差 換えと訂正の御説明をさせていただきます。本日配付いたしました資料1-1は、資料概 要105ページの差換えです。これは、代謝経路のフロー図が読みにくくなっているのを 改めたものです。  もう1か所は、資料概要の110ページの下から2行目の肉眼的病理検査の項に、「全 動物で、肺に水腫、気腫及び赤色化が認められた」と記載されている箇所で、「全動物」 というのは誤りです。「死亡動物の全例」の誤りで、生存動物には肺水腫等の所見は観 察されておりません。  それでは「評価報告書」に基づき、機構における審査の概要を御説明いたします。評 価報告書の2ページです。化粧品に使用する防腐剤については、化粧品基準に収載され ている成分以外のものは使用できないという規定になっております。このため、本成分 を防腐剤として化粧品基準に追加収載するという要請です。  成分の概要ですが、成分名はブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、要請者はロンザ ジャパン株式会社、配合量はエアゾール剤を除く化粧品100g中の最大配合量として、 すべての化粧品に0.02gという内容で要請されております。ここでいうすべての化粧品 というのは、諮問書の2枚目を見ますと、化粧品基準では粘膜に使用されるか否か、ま た洗い流すものか流さないものか、ということで三つのカテゴリーに分けておりまして、 これのすべてに0.02g配合するということです。  本成分については、専門協議における専門委員の意見を踏まえ、機構において評価を 行いました。評価報告書の2ページに戻りまして、本成分はカルバマート系化合物の防 かび剤として米国トロイ社によって開発されたものを、米国のロンザ社がその防かび力 に着目し、化粧品の防腐剤に応用したものです。  化粧品としての外国における使用状況については、米国では1990年に、米国化粧品工 業会に化粧品の防腐剤として登録され、販売が開始されております。ただし、その後実 施された吸入毒性試験の評価結果を踏まえ、エアゾール化される製品中には配合すべき ではないという取扱いになっております。  EUについては、2000年にポジティブリストに、化粧品の防腐剤として上限0.05%、 ただし口腔衛生及び口唇に使用される製品には使用すべきではない、また0.02%を超え る本成分を含む洗い流さない製品には「ヨウ素を含む」と表示しなければならないとい うことを条件として登録されております。  口腔衛生及び口唇に使用される製品への使用禁止の理由は、EUにおいては口腔衛生 及び口唇に使用される製品には口腔粘膜の刺激性等の試験が求められていることから、 米国ロンザ社があえて希望しなかったということで、安全性上の問題ではないとされて おります。また、「ヨウ素を含む」の表示については、欧州内陸部にはヨウ素欠乏状態 の人が多いというノルウェーの指摘によるということです。  物理的化学的性質等です。本成分の化学構造は、核磁気共鳴スペクトル法、赤外吸収 スペクトル法、質量分析法により確認されており、物理的化学的性質については、含量、 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□が設定されております。  次に、安全性に関する資料について御説明いたします。(1)の単回投与毒性について は、ラットを用いた試験が実施され、概略の致死量が雄で1,500ないし2,000mg/kg、雌 で500ないし1,000mg/kgと判断されております。  (2)の反復投与毒性、(3)の生殖発生毒性、(4)の局所刺激性試験、(5)の抗原性に ついては特段の問題はありません。(6)の光毒性及び(7)の光感作性については、紫外 部に吸収がないことから省略されております。(8)の遺伝毒性については、in vitroの 染色体異常試験において、一部染色体異常を増加する可能性が認められましたが、小核 試験において染色体異常誘発性が認められなかったことから、本成分の遺伝毒性につい ては問題ないと判断されております。  (9)の吸入毒性ですが、ラットを用いた急性吸入毒性試験の資料が提出されておりま す。本試験は、本成分の製造元である米国のトロイ社が、製造工場で従事している労働 者の安全衛生のために自主的に行ったものです。米国において行われた市販後の安全性 評価の資料として提出されたものです。米国ではこの試験結果から、エアゾール剤への 使用を禁止しております。  試験の結果は、用量設定を幾つか設けてその最低用量について、後ほど御説明いたし ますが、これが実使用における曝露量の約63,000倍程度と推定されますが、その最低用 量で死亡例は観察されませんでしたが、運動量の低下及び刺激性反応(眼瞼閉鎖、流涙及 び喘ぎ)が確認されています。  要請者は、本成分をエアゾール剤には使用しない条件を希望しておりますが、機構は 本成分が実際に化粧品に配合された場合、使用者が本成分を吸入する量について、安全 性上問題がないかと要請者に説明を求めました。要請者は、本成分をヒトが通常1日の うちに使用する可能性があるすべての化粧品に、本成分を最大配合量である0.02%配合 したものが使用された場合、それらの化粧品から揮発する本成分の量を0.000286mgと推 定しております。この量が、ラット吸入毒性試験の最低用量における暴露量の63,776 倍であることから、0.02%以下の濃度であれば安全性上の問題はないと回答しておりま す。  機構は、要請者の推定は本成分が1日に使用されるすべての化粧品に配合され、それ から揮発する本成分をすべて吸入したと仮定したものであって、苛酷な条件を想定した ということですので妥当なものと考えられること、それと本試験における最低用量の毒 性所見が運動量の低下及び刺激性反応にとどまっていることから、これを了承し本成分 を化粧品に配合した場合の吸入毒性については、特に問題はないと判断いたしました。  なお、本試験においては、吸入毒性の無毒性量が確認されておりません。そういうこ とから、我が国においても、米国と同様にエアゾール剤への使用は念のため制限するこ とが妥当と考えられます。  (10)のがん原性と、(11)のヒトパッチテストについては特に問題となる所見は観察さ れておりません。吸収・分布・代謝・排泄については、ラットによる経口単回投与、反 復経口投与における試験が実施されておりますが、これについても特段の問題は観察さ れておりません。また、ヒトの皮膚による0.05%のクリーム製剤についてin vitroで 経皮透過性試験が実施されております。その結果本成分の経皮透過率は約□%と推定さ れております。  安全係数の項ですが、本成分の経皮投与での吸収率を経皮透過率□%として、1日2 回塗布した場合、ラットの反復投与毒性試験等における無毒性量から、安全係数が8ペ ージの上段に示す方法で算出されております。それぞれ安全係数は、例えばラットの反 復投与毒性試験における無毒性量に対し約23,000倍、その他の試験における無毒性量に 対してもそれぞれ1,000倍を大きく超えており、本成分の安全性は高く、ヒトの皮膚塗 布における毒性惹起の可能性は少ないと考えられております。  以上の提出された資料から見て、機構は本成分の有する吸入毒性に関する配慮として 要請者の要請のとおり、エアゾール剤への使用について禁止することとし、本成分「ブ チルカルバミン酸ヨウ化プロピニル」を防腐剤として、「エアゾール剤を除く化粧品100 g中の最大配合量として、すべての化粧品に0.02g」でポジティブリストに収載して差 し支えないと判断し、化粧品・医薬部外品部会において審議されることが妥当であると 判断いたしました。本成分の使用をエアゾール剤に拡大する場合は、吸入毒性について 無毒性量を求め、エアゾール剤としての安全性の検討がなされるべきであると考えてお ります。  なお、EUにおきましては口腔粘膜の刺激性等の資料の提出がなかったことから、口 腔衛生及び口唇に使用される製品への使用が禁止されておりますが、眼刺激性試験の結 果から見て、本成分の粘膜刺激性はないと判断されることから、我が国においては歯み がき類及び口唇化粧品等への使用の制限は不要と判断いたしました。以上が審査の結果 です。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 資料1について詳しく説明していただきましたが、御質問、御意見をお 願いいたします。防腐剤として、本剤がポジティブリストに収載されるということです がいかがでしょうか。 ○徳永委員 質問いたします。私はこの部会は初めてなのですけれども、この資料は安 全性についてずっとやっておられますが、特にこの化合物の構造を見ますと、資料概要 の6ページにIPBCの構造式が載っています。この構造式を見ますと、ヨウ素の次に 三重結合の非常に不安定な結合があります。この化合物自体はEUやアメリカで使われ ていますが、製品として出てきた場合、安定的に0.02%の量が入っていないと防腐効果 は出てきません。結局防腐剤の有効性にきいてきますので、その場合の安定性のデータ が全然見えてきていないのですけれども、その辺はどうなっているのでしょうか。 ○事務局 化粧品の現在の規制の状況ですが、そもそも化粧品について有効性は厳密に 求めていません。現在、個別の商品の承認制度は基本的に行っておりませんので、有効 性なり安全性の確認は製造販売者の責任の下で開発が行われているということです。そ の中で化粧品基準はあくまで化粧品の中で使っていい成分、あるいは使ってはいけない 成分を安全性の観点から指定しているということですので、安定性については、基本的 には製造販売者の責任の下で確認された上で使用されるべきものと考えております。  こちらについて、安定性のデータをメーカーで持っているかどうかは一応確認いたし ましたが、原体については規格値□%以上ということで社内基準を持っているようです が、安定性について2年までは大丈夫というデータは持っているようです。また、今回 申請されております0.02%という濃度での製剤としての安定性については、通常の部外 品や医薬品等の安定性試験の加速試験の条件下で、半年では0.02%の濃度を維持してい るというデータは持っているようですので、実際上それほど問題はないのかと思ってお ります。 ○徳永委員 化合物の構造を見ますと、どうも安定性が問題ではないかと思います。特 に、なりゆきで3年間使われたときの安定性も質問させていただきました。事務局の説 明では、加速試験で6か月ぐらいやられて、それで0.02%が製品で担保されているのだ ったら、なりゆきで3年間ぐらい見えるという回答なので、この0.02%のものが3年間 は化粧品中に存在し、その効能を持っていると判断したいと思います。 ○溝口部会長 これは、資料としては出ていないけれども、そういうことはやってある ということでよろしいのですね。 ○事務局 はい、そうです。 ○神田委員 資料が読み取れていないのかと思うのですが、6ページの吸入毒性のとこ ろで、通常ヒトが1日のうちに使用する可能性があるすべての化粧品ということで想定 してやっていて、苛酷な条件を付けてやっているという表現があります。通常、1日に 使用する可能性があるすべての化粧品というのは、具体的にどういうものを挙げている のかという資料はどこかに入っているのでしょうか。入っていなければ教えてください。 ○機構 資料概要の122ページに、アイメイクアップ製品ということで、一番上の表の 中にアイメイクアップ、マスカラ、アイライナー、それと洗い流さない製品としてフェ イスクリームと書いてあります、それから洗い流す製品といったもの、これらに最大用 量が配合されたということです。このページからですけれども、その次のページの上の 段の一番下のカラムに、全製品からの総曝露量が2.9mgということです。その次のペー ジでは、塗ったものがどのぐらい揮発するかを計算しております。それが124ページの 上の表の一番下で0.000286mgということです。下の表では、ラット吸入毒性の曝露量が 一番下のカラムに書いてあります。これを比較すると、すべての化粧品に使用されたと して約63,000倍という安全係数を算出しております。 ○溝口部会長 ちょっと難しいですけれども、よろしいでしょうか。 ○神田委員 単純にすべての化粧品と言われたときに、122ページにアイメイクアップ から書いてあるわけですが、これだけかなという気がしたのです。これですべて含まれ ているのですよね。私は、化粧品でよく眼から涙が出るものですから、眼の刺激だとか 何だということがいろいろありましたので。ただ、どの下地クリームなのか、ファンデ ーションなのか、眼の関係なのかということはまだ私自身実験していないから分からな いのですが、すごく痛かったりするので大丈夫かと日ごろ思っていたので、そんな興味 でお聞きしました。これでほとんど入っていると受け止めていいわけですね。 ○機構 これだけですべての化粧品かという判断ですが、機構としてはこれで妥当と考 えております。刺激性についてはこれは眼刺激性試験を実施しておりますので、刺激性 はないと考えております。 ○溝口部会長 眼瞼粘膜の刺激性をやってあるから、眼の刺激に関しては大丈夫という ことですね。ということなのですが、化粧品の種類に関してはこれだけでいいかどうか はなかなか難しいかもしれません。 ○神田委員 苛酷な試験という言葉も使っていたので、要するにこれだけ使うだろうと いうよりも、もっと使う人がいるかもしれない、あるいは1日に1回ではなくて、2回、 3回やり直す人もいるわけです。そういうところまで含めて苛酷な試験という内容なの か、その辺はいろいろなケースがあると思うのです。朝やったらそれきりということで はありませんので、そこまで見据えたものなのかどうかをお聞きしたかったのです。 ○機構 申し訳ありません、苛酷と申し上げた理由は、使用したものから揮発したもの が全部吸引されるという意味で苛酷と申し上げました。 ○米谷委員 システムのことでお聞きします。先ほど8ページのところで口腔粘膜への 刺激というのは、その資料はないけれども眼刺激のドレース試験の結果があるから使え るだろうということでしたが、それでいいのかということです。実際に眼刺激だけでは なくて、口腔粘膜への刺激も、EUで使っていないということであれば、日本でもやっ た方がいいのではないかと考えました。 ○機構 口腔粘膜に限らず粘膜の刺激というのは、先ほど御説明しましたとおり眼の刺 激性試験で刺激がない、あるいは軽微ということであれば問題はないと判断しておりま す。EUでは、口腔内の刺激性試験、あるいは感作性試験を求めていますが、米国では 求めておりません。今、EUでは化粧品の安全性試験には、動物を使わない方向で検討 されております。逆に、口腔内の刺激性試験のようにヒトを使った試験については積極 的に取り組んでいくべきではないかという考えがあるのではないかと。これははっきり した根拠はありませんが、その辺の方針の違いかと考えております。 ○事務局 制度上のことを御説明させていただきます。現在、化粧品基準の収載要領と いうことで、安全性についてはこういう試験について出してくださいというものをお示 ししております。その中では、基本的に粘膜については眼刺激性が粘膜の適用可否を判 断する試験ということになるかと思います。現在、日本の制度の下では特に口腔粘膜の 適用を特出しして使用の可否を判断するということはこれまでは行ってきておりませ ん。本日、参考資料としてお配りしております化粧品基準でも、そもそも粘膜に適用の 規定、あるいは洗い流すかどうかで量の可否を判断している現状です。  ただ、ヨーロッパではそれとは別に口腔粘膜についての適用の可否として別途追加試 験を求めているということのようです。この製品については、たまたま追加資料を出さ なかったので適用が認められていないという話になっているかと思います。現在、国内 で求めている試験の中で、適用の可否を判断するということで、今回は眼刺激性の試験 結果から、特に口腔粘膜について日本では制限する必要がないのではないか、という安 全性の評価ということで、今回御審議いただいております。 ○溝口部会長 同じ粘膜なので構わないとは思いますが、EUでは動物をやらない方向 とおっしゃっていました。EUは眼の粘膜の方はやっているのですか。 ○事務局 それは別途やられていると思います。 ○溝口部会長 EUは眼はやってあるけれども、口腔粘膜はやっていないので…。 ○事務局 先ほども話がありましたように、従来は眼粘膜もやっていたかと思うのです けれども、近年動物を使った試験は避ける方向ということがヨーロッパでは打ち出され ておりますので、これは代替法でやられているかもしれませんけれども、眼刺激性、あ るいはそれに代わる試験で評価はされているものと思います。 ○米谷委員 日本のシステムは粘膜というのは特になくて、眼の刺激でするということ ですので、それについては結構だと思うのですが、これからはどの保存剤などもなるべ く世界的に同じ評価法になった方がいいのではないかと思いました。 ○溝口部会長 その評価法についてはいかがでしょうか。 ○事務局 追加で御説明させていただきます。ヨーロッパではそういう取扱いになって いますが、アメリカでは現在のところ特に口腔粘膜には制限をかけていません。各国、 あるいはその地域の規制の整合性の話ですけれども、医薬品はICHという場でこれま でここ数年整合性を取るような方向で進められております。化粧品についてもそういう 話合いを各規制当局間で始めているところです。現在はそういう違いがありますけれど も、今後整合性を取っていくような方向で変わっていくということで各規制当局は考え ているところです。 ○溝口部会長 まだ、医薬品のようにアメリカ、ヨーロッパ、日本の整合性が取れてい ないようです。 ○宗林委員 先ほど安定性や有効性は対象外というお話でした。教えていただける範囲 内で教えていただきたいのですが、真菌やかびに対しての効果が非常に高いということ で資料が付いているようです。例えば16ページに単独でやや効果があると書いてあるも のを17ページで見たときに、従来からの他の防腐剤と比べたときには、単品で入れたと きの効果というのは、いずれもかなり低いように見受けられます。  その数字との関係で、例えば単独でやや効果と書いてあるものが、数字的に見ますと 10の7乗が4乗になりますが、2回目の再接種後7乗から単独の場合はほとんど推移が ないようにも見受けられる数字になっています。この辺はどういう場合に、どのぐらい まで減るときに単独で効果がありという判断をされているのでしょうか。再接種後にほ かのものとの相乗効果がある場合というのは数字として現れていると思いますが、単独 の場合は今までの防腐剤に比べると効果は低いように見られます。専門家ではありませ んが、教えていただきたいと思います。 ○事務局 今回の資料は、あくまでこういうものということで参考で載せているもので す。これについての評価は行っていないということが現状かと思います。どういう基準 でやや効果があるとか、効果ありという判断をしているかというのは、あくまで要請者 がこの資料の中において言っていることで、あとは、製剤を開発するメーカーがこれを 見てどう判断するかという話になるかと思います。 ○溝口部会長 ただ、化粧品というのは買ったら置いておきますよね。 ○宗林委員 そうですね。 ○溝口部会長 防腐剤としての有効性を見なくてもいいというのは、ユーザーからいう と問題があるような気がいたします。 ○宗林委員 私もこの数字はAspergillus nigerぐらいしか効果がないのかと思うぐら いの数字に見えますが、専門の方にお聞きしたいと思います。 ○溝口部会長 一番最後のところですね。 ○審査管理課長 徳永先生から補足いただければと思いますが、これは防腐剤ですので、 最初の段階でたくさんの菌を植え付けて、通常であればすごく増えていくわけですけれ ども、現実問題としては、買ったときにもともと菌がこれほどあるということはあり得 ないわけです。そういう意味では殺菌効果まであるということではないと。 ○溝口部会長 防腐剤であって、殺菌剤ではないということですね。 ○審査管理課長 実際にはそこの境目は結構難しいのだと思います。実際問題として、 使っているうちに菌が落ちてきて、クリームの上に付いたりするのでしょうけれども、 その菌が増えたりする状況はないというところは示しているのではないかと思います。 ○宗林委員 ただクリームの場合は、毎日手を入れたり、顔に接触したりということで 菌の汚染があるのではないかと思うのです。それでも増えなければいいというレベルと いうことなのですか。 ○審査管理課長 化粧品のクリームはきれいな…。 ○溝口部会長 無菌でない手で触りますが。 ○望月委員 防腐剤であって殺菌剤ではないと部会長が言われましたが、これは殺菌作 用はないのですか。防腐剤というのは何なのですか、分からなくなってしまいました。 殺菌しない防腐剤。 ○審査管理課長 殺菌効果はあると思います。殺菌又は静菌作用です。増やさないよう にするといった効果はあるのだと思います。 ○望月委員 そのときの作用のメカニズムは分かっているものなのでしょうか。 ○審査管理課長 そこは有効性の部分の話で、余り厳密に見ないというところの話にな っているかと思います。 ○望月委員 本日新たに頂いた代謝の経路から見て、どの辺りが効いているのか。例え ば、最初に還元的に脱ハロゲン化しやすいヨウ素が効いているのかということも考えら れないこともないと思うのですが、そういうことは分からないのですね。 ○審査管理課長 ヨウ素が効いている可能性もないことはないと思います。ただ、この 化合物の形でかなり安定だということです。 ○徳永委員 私最初も言いましたけれども、化粧品の場合、有効性はほとんどないと言 われています。この場合は、ポジティブリストに載せると言っているわけですが、殺菌 効果というのは有効性なのです。有効性をいかに担保するかということで基準を作った 場合、特に0.02%の基準、あるいはパラベン類の1%の基準というように全部基準があ ります。基準を作った際には、有効性が本当にあるのかどうかをやはり見ないといけな いのではないかと思います。現在は審議しないことになっていますけれども、ある程度 それを見ないと問題があるのではないかと感じております。特にこの場合は防腐剤、あ るいは紫外線吸収剤もポジティブリストに載っていますので、そういうものはその濃度 が本当に効くのかどうかということ。有効性の面と安全性を見ていかないと問題がある のではないかと考えております。 ○事務局 御指摘は理解するところです。ただ、今御指摘いただいたような有効性につ いても考慮すべきということを化粧品基準に反映しようと思いますと、要は上限だけで はなくて下限も設けなければいけません。現在こちらに収載しているものも、すべてそ ういう再検討が必要になってくるかと思います。それは、今の化粧品基準の考え方とは かなり変わってくると思いますので、今後そういう必要性があるのかどうかも含めて検 討した上で、現在のままでいいのか、あるいは化粧品基準の在り方について変えるべき なのかは検討させていただければと思います。 ○審査管理課長 追加ですが、結局は安全性を確認したものの中から、それぞれの製品 を作る企業が責任を負う形で、例えば品質が劣化するようなものを作ってしまえば商品 化できなくなりますし、実際に販売できなくなってしまうということです。そこの部分 については各企業が、これも防腐剤の一つとして選んで組み合わせて、自由にこのリス トの中から選んで使えるという仕組みに今はしてしまっているという説明でございま す。 ○溝口部会長 現状と制度とは少し問題があるような御指摘があったかと思います。現 段階では、化粧品では有効性を突き詰めることができなくて、安全性の問題なので上限 が決まっているということでよろしいわけですね。それは、防腐剤も美白剤などほかの ものと同じに位置されているということでよろしいですか。防腐剤だけは違うような気 もしますが、今のところ全部同じに…。 ○事務局 美白剤と申しますか、いわゆる薬効を示すような医薬品成分というのは、原 則として化粧品では用いないということです。修正するのであれば、薬効を示さない濃 度の上限ということで、前回ユビデカレノンのときにも御議論いただいたと思いますが、 上限を定める考え方ということかと思います。化粧品基準ではそもそも医薬品成分のほ かに、防腐剤と紫外線吸収剤は原則として使ってはいけないということです。ただ、安 全性が確認された防腐剤、紫外線吸収剤については、化粧品基準に掲載している範囲内 で使ってもよいということでこちらに掲載しているものです。化粧品そのものが防腐剤 を入れなければいけないものでもなくて、場合によっては容量を少なくするなり、使い きりにするなりして防腐剤を使わない化粧品もあるかと思います。そういうことから、 こういうものを使うかどうかは製造販売者の責任の下でということで現在運用を行って おります。 ○溝口部会長 防腐剤を入れなくてはいけないということもないわけですね。 ○審査管理課長 仮にそれで品質が保てればの話です。 ○溝口部会長 品質が保てなければ製造責任で、メーカーが責任を負うということです ね。 ○審査管理課長 はい。 ○溝口部会長 したがって、これは化粧品だけに申請しているので、医薬部外品の許可 は全然別の話と考えてよろしいわけですね。 ○審査管理課長 はい、医薬部外品については別途個別の承認になりますので、そこで 判断することになります。 ○溝口部会長 化粧品の性格からこういうことになるのだと思いますが。 ○宗林委員 今のお話はよく理解した上でですが、防腐剤という言葉、紫外線吸収剤と いう言葉そのものがそれなりの意味を持っている言葉だと思います。これから先個別承 認はないわけですから、化粧品の場合は防腐剤と紫外線吸収剤とタール色素だけはここ で入れられるものを定めていくというやり方のわけですから、有効性がベースにあるも のだという理解を普通はするのではないかと思うのです。  要するにほかのものは原料基準はないわけで、これを特別に防腐剤という名前で入れ ていくわけです。紫外線吸収剤という名前でその成分を入れていくわけです。そのもの 自体が化学名ではなくて、効果を伴った化学物質群というものの中にこれを入れていく ということです。ただ安全性だけではなくて、防腐剤としての効果があって初めて防腐 剤としてという意味だと思います。 ○審査管理課長 今後の問題としては、先ほどのクリームのところは簡単なデータだっ たので、あの辺をもう少し充実させていく。そういった意味合いのある成分については、 ということで対応を図っていきたいと思いますが、そんなところでよろしいでしょうか。 ○宗林委員 結構です。それと単純にこのデータを見ても私はよく分かりませんが、す ごく効果があるというデータではないようなのです。ここに、単独の効果についてが書 いてありますけれども、ほかのものとの組合せは当然あるわけですが、そのような感じ もしなかったのです。 ○審議官 私も素人なのですが、化粧品は例えば微量のアルコールが入っているもの、 あるいはW/Oあるいはその逆のような乳化されているものとかいろいろ剤形がありま す。商品価値としては、それが通常使われる間は、例えば変敗して脂肪酸が分離して変 なにおいがしたりしたらクレームになるわけです。それを防ぐために、主たる原因であ る微生物の繁殖を抑える程度に防腐剤として入れます。それが商品でなければ、リスク は全部製造業者が負うわけですから、通常想定するには、製品開発の段階で、例えばひ なたに置いて30何度になっても分離しないし、微生物による変敗も進まないだろうとい うことで、ラベルをはってお客様に買っていただく製品の状態になるわけです。  この場合のデータそのものを見ますと、これは温度条件などが書いていないわけです。 具体的に何が媒体になっているかも分かりません。しかしながら一方では、通常条件の よいところでは、大腸菌のようなものであれば、30分ないし1時間に1回ぐらいの割合 でどんどん倍々ペースで増えてまいりますので、1日で1,000倍ぐらいにはなってしま います。そういうところを見ると、入ったものをそのまま抑えているということは、ま るっきり効かないわけではないようにも思います。冷蔵庫に入れていてこういうデータ が出ているというのではまた別ですけれども。例えばこの部会にでも、大体このような 製造工程で作るのだと。クリームには加熱工程があって、芽胞菌以外は大体死んだよう な中で製品になっていて、ということで御紹介できることがあれば恐らく議論も深まっ てくるかもしれません。そのような機会も含めて検討するということではいかがでしょ うか。 ○宗林委員 はい、ありがとうございました。 ○徳永委員 前の承認審査のときには、原料メーカーと化粧品会社がタイアップして本 当の製品でずっとやってきていました。それがないために、原料メーカーが自分のとこ ろでこんなものが使われるのではないかということで、ある程度のものを混ぜ合わせて 製品を作り、安定性や有効性を見ていますので、そこのタイアップがありません。これ からもしオーケーになったら売り込みましょうというところなので、化粧品メーカーが 全然後ろに付いていないのです。ですから、このメーカーは作り方も含めてどういう製 品にしたらいいか分からないと思うのです。化粧品会社が付いていないために、データ 的には独り歩きしていて非常に見にくいものになっているのではないかと思います。 ○事務局 少し補足させていただきます。こちらのチャレンジテストは25℃の条件で行 っていますので、冷蔵庫の中で冷やしたりということはありません。製品開発の方です が、こちらは海外では既に製品化されて使われています。チャレンジテストも、どちら かといえば細菌より真菌の方に効果が強いということで、ほかの抗菌薬なり防腐剤と併 用の形で混合して製品化されている現状も資料に説明がありますので、実際にはそうい う形で使われるものかと思います。 ○溝口部会長 現在の化粧品基準では、ある程度の効果があって安全性が確認できれば ポジティブリストに載せられる格好になっているようです。徳永委員から御発言があり ましたように、原料メーカーと化粧品メーカーの連絡がうまくいっていないので、多少 問題が起こる可能性もあるかと思いますが、その辺が改善される見込みは今のところな くて、このままなのですか。 ○審査管理課長 これは欧米では使われているということで、ポジティブリストに載る と原料のメーカーは日本の化粧品メーカーにも、自分のところの防腐剤も配合できます ということで売り込んでくると思います。その段階で、日本の工業会などでも恐らくこ ういう香粧品の研究をやっている方々の中で、先ほどの審議官のお話ではございません けれども、もともとどういう成分をベースにしたものに対して、この防腐剤と殺菌剤み たいなものはどういう組合せがいいかという研究はされていくのではないかと思いま す。 ○溝口部会長 いろいろ議論がされましたが、ほかにないようでしたらこれをポジティ ブリストに載せるということで御了解いただけたということでよろしいですか。ありが とうございました。本日の審議事項は以上ですが、3のその他について事務局からお願 いいたします。 ○事務局 資料2、本部会の所掌事項ではないのでその他の事項ということで御報告さ せていただきます。コウジ酸を含有する医薬部外品の取扱いについてです。今から2年 前の平成15年3月7日に開催された医薬品等安全対策部会で、コウジ酸を含有する医薬 部外品の安全性について審議が行われました。安全性に若干疑念があるということで、 基本的な考え方と、当面講ずるべき安全確保措置などが平成15年当時に示されておりま す。これを受けて審査管理課では、この安全性が確認されるまではコウジ酸を含有する 医薬部外品の申請書を原則として一度申請者へ返送扱いといたしました。  また、コウジ酸と同様の効能を有する成分への切替え申請を行った場合に限り、迅速 に対応して審査をするということで、こちらの通知でその対応をお示ししたところです。 その後安全性試験などが実施され、その試験結果に基づいて、平成17年11月2日に開 催された医薬品等安全対策部会で、コウジ酸を含有する医薬部外品等について、適正に 使用される場合にあっては、安全性に特段の懸念はないということで結論が出ました。 その結論を受けて、こちらの通知でいったん審査を止めていたコウジ酸を含有する医薬 部外品の申請について審査を再開しておりますので、簡単に御報告させていただきます。 ○溝口部会長 ただいまの説明に関して御質問、御意見をお願いいたします。 ○徳永委員 通知にちょっと疎いのですが、平成15年3月12日の通知はどういう理由 で出されたのですか。 ○事務局 その経緯を申し上げますと、コウジ酸は発がん性があるのではないかという 懸念がまず示されたということで、食品添加物から削除された経緯があります。医薬部 外品なども同じ取扱いをするべきではないかという話があり、安全対策部会で検討が行 われました。医薬部外品は食品とは違って、あくまでその有効性と安全性のバランスの 下で使われるものですので、安全性の懸念のみをもって使用を中止にする必要はその時 点ではないのではないかと。ただ、その懸念があるので、追加の試験等を行って確認す べきであるというのが平成15年当時でございます。  平成15年3月の審査管理課から出しております通知については、その安全性の確認が 行われるまでは、現在申請中のものは承認を少し待って、対応を止めるという趣旨でご ざいます。こちらの通知の(1)の3行目のところで、「医薬品等安全対策部会における 安全性の確認がなされるまでの間は」、その審査を止めるという対応をこれまでしてい たところです。  資料2の2枚目は、平成17年11月2日付で安全対策課から出した通知です。その試 験の結果について検討した結果、下から3行目で、「適正に使用される場合にあっては 安全性に特段の懸念はないもの」ということで、これまでストップしていたものを再開 するという判断を下したということでございます。 ○望月委員 発がん性ということで疑われて、発がん性がないということが分かったと いうことですね。 ○徳永委員 その説明によると、新規に申請するものは止めてありますけれども、現在 承認を持っているものは使ってもいいということだったのですか。ほとんどのメーカー がこれはやめたのではないかと思うのですが。 ○溝口部会長 新しく作るのを止めて、実際には売られなかったようです。 ○徳永委員 実際には売られなくて、かなりのメーカーがやめてほとんど販売中止にし た状況で動いていたと思うのですが。 ○溝口部会長 ただ、販売中止はこちらではしていないと思います。それは自主的にさ れたのだと思います。 ○審査管理課長 平成15年3月に、当面講ずべき安全確保措置ということで出されまし たが、安全対策課からお願いできますか。 ○事務局 平成15年3月の通知に基づき、新たな輸入・製造は中止することということ で、その時点で流通している分は残っていましたけれども、その後は全然販売ルートに は乗っておりません。11月2日の安全対策部会において、製造中止を止めたという通知 に対して廃止を求めたということで、今承認を持っているところの再開というのが進め られるものと思われます。 ○溝口部会長 輸入も製造も再開と考えてよろしいわけですね。 ○事務局 はい。 ○溝口部会長 全体を通じて、御意見、御質問はございませんか。ないようでしたら、 本日は審議事項が一つですので部会は終わらせていただきます。年末のお忙しいところ をお集まりいただきましてありがとうございました。次回の日程などは、品目の審議状 態を見て事務局から調整のお願いがあるかと思います。改めて御連絡させていただきま す。これで、本日の化粧品・医薬部外品部会を終了いたします。どうもありがとうござ いました。     ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 紀平(内線2738)