05/12/22 第3回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会 議事録 第3回 労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会 議事録 日時 :平成17年12月22日(木)10:00〜 場所 :厚生労働省17階専用21会議室 照会先:厚生労働省職業能力開発局キャリア形成支援室企画係・小倉 03−5253−1111(内線5937) ○部会長(清家) ただいまから、第3回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働 者部会を開催いたします。  本日は暮れも押し迫るお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございま す。今日は審議に先立ち、若年労働者部会の委員の交代がございましたので、事務局よ りご紹介していただきます。 ○事務局 労働側委員の交代がございましたのでご紹介します。奥島委員に替わりまし て久保委員、村上委員に替わりまして末永委員が選任されています。ご報告します。 ○部会長 一言ずつ、何かご挨拶をいただけますでしょうか。 ○久保委員 連合の久保と申します。前回、代理で出させていただいたのですが、今回 からは本委員ということで、どうぞ、よろしくお願いいたします。 ○末永委員 連合の末永と申します。どうぞ、よろしくお願いします。 ○部会長 なお、本日は、所用により職業能力開発局長が急遽ご欠席と伺っております。 草野審議官、杉浦総務課長はご出席いただいておりますので、よろしくお願いいたしま す。  早速議題に移らせていただきます。本日の議題は、第8次勤労青少年福祉対策基本方 針についてです。事務局よりご説明願います。 ○半田室長 前回、骨子(案)についてご議論をいただいたところですが、前回のご議 論を踏まえ、大きく4点ほどご指摘がございました。  例えばニート・フリーター対策をやることでは、その辺をもう少し明確に打ち出した らどうだろうかという谷口委員からのご指摘がございました。フリーターという言葉は いろいろなイメージを含むので使い方に気を付けたほうがいいのではないかということ で、岩松委員、小杉委員からご指摘がございました。職業意識啓発の点に関しても、上 から押しつけるような観がなくもないのでこの辺の言葉の使い方も考えたほうがいいの ではないかというご指摘が小杉委員、宮本委員からございました。キャリア形成に関し ては、情報提供・相談・訓練といった一連の流れを自らが主導的に行っていくことが大 事だろうということで、その視点を入れるべきではないか。これは小杉委員、宮本委員 からのご指摘でした。大きくこの4点を考慮し、その他、字句修正を若干しながら骨子 (案)を修正いたしました。そして、それに基づき、今日の方針そのものの案も用意し ております。  まず私から、骨子(案)についてその修正点を中心にしながらご説明し、後ほど方針 (案)についてご説明します。  資料No.2です。前回から日が経っているので全体の構成を見ながらまたお話をさせて いただきたいと思いますが、全体構成としては、「はじめに」の所でと、これから行こう としている方向性とについて粗あらのところを書いております。「はじめに」をご覧いた だければ、この方針で何を言おうとしているかがある程度わかるように書いたつもりで す。2頁の第1で勤労青少年を取り巻く全体的な環境の変化等について論じております。 4頁の第2、「勤労青少年の福祉の増進に関する基本的施策」として今後とるべきいろい ろな施策について述べています。  その中でも、1「勤労青少年福祉行政の方向性」の所でさらに全体的な方向性につい て論じております。4頁、2「職業生活の充実」。7頁、3「自由時間を活用した生活の 充実」。8頁、4「国際交流の促進」。5「勤労青少年福祉行政推進のための環境整備」 この辺からは間接的な施策になってきますがこういった環境整備。9頁、6「勤労青少 年指導体制の整備等」、7「勤労青少年福祉対策に関する広報啓発活動等の実施」。この ように構成しております。ですので、考え方は「はじめに」及び第2の1に示しました。 具体的な施策は、第2の2、3、4といった所で述べているということになります。  1頁、「はじめに」です。第1パラグラフ、第2パラグラフでは昭和45年の勤青法制 定の考え方、それ以来の取組について述べております。第3パラグラフ、「その後、同法 の施行以来30余年を経るが」。この中でいろいろな変化があったということで、下の2 行に「とりわけ、就労・自立の必要性を感じつつも無業にとどまざるを得ない青少年へ の対応は、近年生じた新たな課題である」とあり、こういった新しい問題が生じてきて いることを述べております。第4パラグラフでは、このため、勤労青少年福祉対策の推 進に当たっては、従来からの柱である余暇活動の推進に比べて勤労青少年個々人におけ るキャリア形成支援、職業意識啓発等に関する一層の充実、さらには社会的な基礎的能 力の獲得から就労にいたるまでの様々な支援、それを行うための環境整備、こういった ことに重点を置いていく必要があるでしょうと述べております。第5パラグラフでは、 この方針において、自信と意欲をもった職業生活の実現、健全な成育を目指すための基 本的な施策を示すこととするとし、大きな方向を示しております。「また」以下のパラグ ラフには、この施策の推進に当たっての留意点として、新しい方向へ進むからと言って 従来のものをバッサリ切るのではなく、これまでの行政資源を有効に活用していくとい うスタンスを明記しております。いちばん下の「なお」以下ではこの対象年齢について 少し論じております。2頁をご覧ください。  これまで勤労青少年福祉政策においては基本的に30歳未満ということで施策を進め てまいりましたが、その他の例えば「若者自立・挑戦プラン」などの様々な若者対策が いま展開されていますが、いずれも大体35歳未満ということでやってきているところで す。この方針においても35歳未満にしたいということを述べております。本方針の運営 期間は平成18年度からの5年間としております。  2頁の第1、青少年の職業生活の動向です。この辺は前回ご説明しておりますので省 略させていただきます。特段の変更はございません。2で、勤労青少年の現状として縷々 と書いております。  4頁はいちばん要となる基本的な施策の考え方について述べている所です。第2の勤 労青少年の福祉の増進に関する基本的施策です。ここで前回のご指摘を受けての修正が いくつか入ってきますので、ご説明します。  1の勤労青少年福祉行政の方向性です。勤労青少年は成長過程にあって将来を支える 人材として育てていかなければならないということで、その点は変わりないのですが、 第2パラグラフで「少子化も相まってフリーターあるいは無業者の増加が、社会経済全 体に与える影響は大きいと考えられ、勤労青少年福祉行政として中軸にすえていかなけ ればならない重要な問題である」と。フリーター、無業者対策もやるという言い方をし ておりましたのが少し弱いということで、言葉の遊びに近いかもしれませんが、重要な 課題として捉えますということで中軸にすえていくことをここで述べております。  「このため」以下です。この辺も「フリーター」という言葉を使わないで済むならそ のようにということで、「安定した就労を求めつつも不安定な就労をくり返さざるをえな い青少年を対象に、自身の希望に即しての職業生活の充実に向けた支援が求められる」。 つまり、フリーターの何でもかんでもやるのではなく、心ならずもそのような状況にあ る青少年に対しては支援していきましょうというニュアンスを入れております。  「支援に当たっては」云々と続きますが、最後のパラグラフです。「青少年は、等しく 勤労への権利と義務を有し、有為な職業人として、自らその成長に努めなければならな い。このためには、自らの将来を自ら考え、決定していくということが必要となる。職 業生活に関わる情報提供、相談及び訓練という勤労青少年福祉行政としての一連の支援 を通じ、青少年が主体的に職業生活設計を行うとともに、青少年による自律的な選択を 行えるよう支援していくことが、勤労青少年福祉行政の目指すべき方向であり今後の課 題である」と締め括っております。この辺りは先ほどの4番目のご指摘、キャリア形成 に関する考え方をもう少し明確に書いた所です。以下、具体的な施策になります。  2の職業生活の充実。(1)職業意識形成のための支援。「啓発」という言葉を避け、 「職業意識形成」と直しております。具体的施策は変わりません。  (2)就業に向けた自信・意欲の獲得等のための支援です。(1)から(5)まであります。 この辺も変わっていませんが1点。(3)に「就業をめぐる悩みに対する専門的相談支援体 勢の整備」とあります。前回ご説明したときには(3)の的確な職業選択・職場定着支 援の中に入れてありましたが、施策の中身をいろいろ考えたときに、例えばこれはヤン グワークプラザ等のメンタル面の支援のようなことを念頭に置いておりますので、むし ろ(2)の就業に向けた自信・意欲の獲得等のための支援のほうに整理したほうがいい のではないかということで、こちらの節に変更しております。中身は変わりません。  (3)的確な職業選択・職場定着の支援です。(1)的確な職業選択のための支援のイ、 試行雇用などの活用を通じた就業機会の拡大です。ここで裸で「フリーター」と出して おりましたところを、「安定就労を望みつつも不安定な就労をくり返す青少年」と、フリ ーターの中でも正規雇用を志向しているような青少年に対する支援をやっていこうと少 し限定的に書いております。ワンストップによる就職支援メニューの提供においても同 じことです。「望まずに不安定就労をくり返すことなどを未然に防止するため」とし、裸 でフリーター全部ではないとしております。次の頁、(2)職場定着の支援です。アからエ までありますが、ここは変更はありません。  (4)職業生活に必要な職業能力開発の推進です。ここも基本的には変更がありませ んが、7頁の(6)を付け加えております。自発的な職業生活設計に基づく職業能力開発へ の支援として、前回の4番目のご指摘であるキャリア形成における考え方を書き込んで おります。「職業生活設計に関しては、青少年自らが行うことが求められる。情報の不足 などが隘路となって、こうした青少年の取組を妨げることがないよう、青少年の職業生 活の充実のための様々な措置に関する情報提供を行うとともに、相談、訓練と効果的に つなげつつ、青少年の自発的な職業生活設計に基づく職業能力開発を支援していくこと が必要である」このようにまとめてあります。  (5)労働条件等の整備充実に関する支援は、変更はありません。  3の自由時間を活用した生活の充実です。(1)は、社会参加活動の促進及び活用です。 (2)は、様々な世代同士による交流の促進等です。  8頁、4の国際交流の促進です。(1)で従来から取り組んでいるワーキングホリデー 制度、この辺の持つキャリア形成機能の有効活用を書いております。(2)で海外留学、 (3)で勤労青少年ホームにおける国際交流の促進といったことを述べております。  5の勤労青少年福祉行政推進のための環境整備です。(1)は、支援のための地域ネッ トワークの構築です。(2)は、勤労青少年ホームの機能充実です。この辺も変更はあり ません。  最後の頁、6の勤労青少年指導体制の整備等、7の勤労青少年福祉対策に関する広報 啓発活動等の実施、この辺も変更はありません。  以上、骨子(案)について、前回の変更点を中心にその概略をご説明しました。 ○部会長 ただいまのご説明についてご質問、ご意見等はありませんか。 ○半田室長 なければ素案のほうにそのまま、よろしいですか。 ○部会長 そうですね。では、またあとで戻ることもあり得るということで、一括して お願いいたします。 ○事務局(大谷) 引き続き、私から資料No.3に基づき基本方針(案)についてご説明 します。よろしくお願いいたします。  資料No.3は、先ほど半田から説明のあった骨子案に基づき、特に勤労青少年の職業生 活の様々な動向についてより詳しく書き、第2の「基本的施策」にその必要性について よりきめ細かに書き込むようにしております。それがいちばん大きなところです。最終 的に世に問うものとしては、基本方針ということでやっていきたいと思いますので、ど うか、よろしくお願いいたします。それでは資料No.3に基づき、説明をさせていただき ます。  基本的な構成は先ほど資料No.2で申し上げたものと同様です。1頁目に「はじめに」 があります。2頁目から、第1「勤労青少年の職業生活の動向」として4頁まで様々な 動向について書き込んでおります。5頁、第2「勤労青少年の福祉の増進に関する基本 的な施策」で第1の動向を踏まえ、こういった施策が必要であるという形で整理してお ります。1頁目から説明をさせていただきます。  「はじめに」に関しては、基本的に先ほどの骨子と同様です。少し細かく書いたもの は、第4パラグラフになりますが、「このため、勤労青少年福祉対策の推進に当たっては、 これまで対象としていた在職青少年や自ら求職活動を行っている青少年のみならず、現 在、無業ながらも、これから職業人としての自立を目指すべくその成育を支える必要の ある青少年をも、幅広く視野に入れるとともに、従来からの柱である余暇時間の有効活 用に比し、勤労青少年個々人における職業能力開発の推進、職業意識形成等に関する一 層の充実や、さらには社会的な基礎的能力の獲得から就労に至るまでの様々な支援のた めの環境整備等に重点を置くことが求められるところである」と書いております。  2頁目、第1「勤労青少年の職業生活の動向」、その下の1、勤労青少年を取り巻く環 境の変化です。第6パラグラフの「高校卒業者に占める大学等への」の部分にまた書き 込んでおります。「平成17年度が47.3%と今はほぼ2人に1人に当たる割合となってい るが、これは、ここ10年を見ると10ポイント近い伸びである。一方で、18歳人口の減 少も影響して、入学志願者数が減少傾向にあって、2007年には、いわゆる大学全入時代 が到来すると見通されている。このことによって大学等を取り巻く経営環境が一層厳し くなることが懸念される」と書きました。全入というものは、青少年が充実した教育を 受ける機会に必ずしもつながるとは言えない。そういったことをここで書いております。 「2007年は、人口減少に転じる年と見通され」これは2006年になるかもしれないとい うこともありますので、若干修正するかもしれません。「さらには団塊の世代の退職に伴 う技能継承の課題を抱える年ともなる中、そういった中で今後の我が国の社会・経済を 維持・発展させていくためには若い『人材』の育成という観点から国際化への対応も考 慮しつつ、男女ともに彼らの意欲や能力が最大限に活用されるような社会の実現が求め られている」。ここで結んでおります。  3頁、2の勤労青少年の現状です。(1)青少年人口、(2)青少年をめぐる雇用情勢 には大きな付け加えはありません。付け加えたのは、(3)就業構造の変化及び就業形態 の多様化です。4行目からですが、職業分類別についてのデータを入れております。「平 成17年9月におけるパートを含む常用有効求人数では、専門的・技術的職業が全体の 20.5%を占め、販売の17.4%、サービスの13.7%と続きます。その一方で青少年の常用 有効求職者で見ると、事務的職業が全体の33.4%を占める。その反面、サービスは6.2% と少ない。また、青少年が仕事に就けない理由として、希望する種類・内容の仕事がな いとの回答が非常に高い割合となっているというデータがあります。そういったことか ら青少年の希望と需要との間にミスマッチが生じている可能性が窺われる。とここで付 け加えております。  4頁目、(4)働くことに関する青少年の意識です。ここは、いろいろとまた書き込み をさせていただきました。いわゆるフリーターの方々については景気循環等に伴う一般 労働者の求人減少等のご本人以外のところもあります。一方でフリーターの方々の就業 意欲が正社員に比べて低いというデータもあり、そういったことからご本人。事業主等 ほかの部分、双方からの様々な指摘があると書いております。  求職活動を一度もしたことがない無業者にその理由を聞くと、「人づきあいなど社会生 活をうまくやっていく自信がないから」が最も多いとの結果があります。また、青少年 に数多く接したキャリア・コンサルタントからの聞き取りによると、青少年が職に就い ていない理由の回答としては、やはり自信がない、それから行動力不足、そういったこ とが多くを占めるなど、青少年本人の自信に関する問題が窺われるとまとめております。 また、学校生活を通じて教えてもらいたかったこととして、こういった無業の方々は職 業に必要な専門的知識・技能、社会的マナー、そういったものが多いと指摘されていま す。  ただ、フリーターの中でも、もともと正社員を希望されていた方は70%以上であるこ と、あるいは仕事をしていないことにあせりを感じている無業の方々は約75%に達する とする結果もあり、ご自身の現在の在り方について決して良しとしていない、見直しを していくことを望んでいる方が多数に上るのではないか、そのように思われます。それ を紹介しております。  一方、職業生活の設計に関して「今までは自分で考えてきた」と回答した青少年が24 歳以下では28.8%、25〜34歳では41.8%であるのに対し、「今後自分で考えていきたい」 と回答をした青少年が24歳以下では77.7%、25歳〜34歳では83.1%と非常に高くなっ ている。青少年の中で職業生活設計の意識の高まりが見られる。そのようにまとめてお ります。  (5)海外体験です。ワーキングホリデーの利用者数は、近年、2万人を超えるぐら いで非常に安定して推移しています。そうすると、ワーキングホリデーによる海外就業 体験を通じ外国語能力、国際感覚、幅広い視野など、様々な知識・技能を習得できたと 非常に自覚をされる青少年が多いのです。ただ、帰国後の就職条件として、特にそれが 有利な条件とはならなかったと答える青少年が有利な条件になったとの答えを上回るな ど、せっかく経験し、習得した知識・技能が必ずしも活かされていない状況が見られる。 とまとめております。  (6)勤労青少年ホームの利用状況です。前出に同様例は、ないと思いますが、今回 付け加えました。ホームを運営している自治体を対象に近年の利用状況について、アン ケートを行った結果です。「減少している」という回答は45%で最も多く、「増加してい る」という回答の約3倍となっています。その理由として人口の減少や施設の老朽化と いったものもありますが、その2つに続いて、利用者ニーズの対応不足という回答が多 く、40%近くとなっています。そのような紹介をさせていただきました。  以上が、第1の勤労青少年の職業生活の動向に当たる部分です。このような動向を踏 まえ、実際に勤労青少年の方々に対し、どのように支援をしていったらいいかといった ことをまとめておりますのが5頁からの勤労青少年の福祉の増進に関する基本的施策の 部分です。細かい施策については基本的に半田からご説明したものとほとんど同一です ので、特に第1の動向を踏まえてどのように整理をしていったかについて書き込んだ部 分に重点を置きながら説明をさせていただきます。  5頁、1の勤労青少年福祉行政の方向性です。ここは基本的に先ほどの資料No.2と同 一です。ただ、先ほどの動向を踏まえ、もう少し丁寧に書いてありますので、若干読み 上げをいたします。  勤労青少年は今まさに「成長過程」にあり、「今後の我が国を支える者」として、これ まで勤労青少年の福祉行政として実施してきた職場や地域における人間関係の形成など を目指しての余暇活動の充実をはじめとした支援措置や、あるいはその職場での安全確 保をはじめとした働き方への配慮、これも引き続き重要です。  一方、少子化も相まって、フリーターあるいは無業者の増加が、社会経済の全体に与 える影響は非常に大きいといったことから、こういった課題を今後中軸にすえていく必 要がある。このため、まず安定した就労を求めつつも不安定な就労をくり返さざるをえ ない青少年を対象に、自身の希望に即しての職業生活の充実に向けた支援が求められる。 無業者に関しては、自立・就労の必要性を感じながらも無業状態にある青少年の方々を 対象に、その職業的自立に向けた支援に努めていくことが必要である。また、早い段階 から、働くということなどについて意識し、考えていくことができるように支援してい くことも大切であります。  こういった支援に当たっては、第7次の基本方針に盛り込まれていた職業意識の啓発 や、「啓発」という言葉は第7次方針に使われた言葉ですので、ここでは引用しておりま すが、職業能力開発の推進等の職業生活の充実のための対策を一層推し進めること、社 会人として働くことへの自信につながる支援、先ほどのところで自信がないということ がありましたので自信につながる支援、あるいは社会人として必要な基礎的能力の付与 から自身が目指す職業に必要な技能訓練までの幅広くかつきめ細やかな継続的支援が重 要になってくるのではないか。  ワーキングホリデーなどについては、海外就業体験を通じたキャリア形成という視点 から、帰国後に不本意ながら不安定な就労とならないように支援を行うことが課題であ る。  勤労青少年ホームは、各地域の青少年のニーズを踏まえ、機能の充実及び運用を図る ことが必要であり、そのために福祉関係者への研修をはじめとした支援を充実していく ことも重要である。  最後の6行はいちばん核になる所ですが、先ほど資料No.2で説明した所と同一です。 まずご本人が自ら成長のために努力をし、それからそれに対して彼らの自発的な選択に ついて行政あるいは事業主の皆さんが一緒になって支援をしていこう、それが課題であ るという形でまとめております。そういった方向性を基にし、2の職業生活の充実に入 ってまいります。  2の(1)職業意識形成のための支援です。学校卒業後に自身の職業生活に関してど のようにしていけば良いのかわからないという悩みを持つ青少年や、いわゆるモラトリ アム型のフリーター等に見られるように、先の見通しを持たずに将来の決断を先送りす る青少年の問題などにかんがみ、社会との関わり方、職業人としての在り方などについ て、在学中から青少年が自ら考えていくことができるよう導くことが重要である。そう いった観点から学生の段階からの様々な職業意識形成に関する支援を書いております。  (2)就業に向けた自信・意欲の獲得等のための支援です。働くことへの自信が持て ない、意欲を十分に持てない青少年の問題などが指摘されています。したがって、そう いったことを獲得させてあげられるような支援が求められています。そういったことを 書き、合宿形式による集団生活による基本的能力の獲得をはじめとし、様々な支援措置 を書いております。  7頁目、(3)的確な職業選択・職場定着の支援です。学校卒業時に就職しても早期に 離職してしまう青少年の割合が依然高い状況にある。一方、学校卒業時に就職を果たす ことができず無業者になる大卒の方々の増加なども見られる。そういったことから青少 年に対する就職活動時における的確な職業選択の支援と職場定着支援、こういったもの を時には連携をさせつつ有効に実施していくことが必要である。そういったことから各 施策を並べております。職業選択と職場定着は、前回はすべて並立させておりましたが、 数が非常に多くなり、読みづらいこともありました。したがって今回は、(1)的確な職業 選択への支援、(2)職場定着の支援の2つに分けてまとめております。  (4)職業生活に必要な職業能力開発の推進です。我が国のサービス経済化、知識社 会化の進行により、様々な能力を持った人材を育成していくことが重要な課題となって いる。こうした中で現在、青少年においては、職業生活設計について自ら考える志向が 高まってきている。そうしたことから、自らの職業生活とその設計に即した職業能力開 発の支援が求められています。一方、今、厳しい雇用情勢とともに新規学卒者の一括採 用・就職システムに関する機能の趨勢的変化、そういったことからフリーターや無業者 の方々が増加しています。このことは十分な職業能力の蓄積が困難な青少年の増加を意 味し、こうした青少年の方々への職業能力開発に向けた支援が求められている。  このような問題提起から各施策をまとめております。その中でも特に9頁の(6)自発的 な職業生活設計に基づく職業能力開発への支援、先ほどの資料No.2の所でも説明させて いただいたご本人の自らの職業生活設計とそれに基づく能力開発を支援していくことの 重要さを最後にここで提起しております。  10頁目、(5)労働条件等の整備充実に関する支援です。これは、基本的に骨子案と 同じです。  3の自由時間を活用した生活の充実です。基本的な所は骨子案と同様ですが、書き込 みを若干しております。自由時間等を活用しながら地域社会の活動への参加を通じて勤 労青少年の生活の充実を図る。これは、彼らがその職場や社会の一員であるという自覚 を深める上で非常に有効です。  ただ、そういった集団活動にもともと消極的であったり、またなじめないという問題 が指摘されている中で、こういった社会活動への参加は、集団活動になじむことや他人 と交わりコミュニケーション能力を高めるなど、社会性の基礎的な涵養に資するという 点も認められる。さらに、こういった地域の社会貢献活動分野の活性化は、ひいては青 少年を職業的自立に導くための地域における教育機能そのものの向上も期待されるので はないか、このように書いております。  そういった活動の促進のためには、社会参加活動の指導員の育成、勤労青少年ホーム で様々な取組を行っていますので、そういったものの活用、現実にその地域社会貢献活 動分野に就業などを目指す方々への支援といったもの、こういったもので促進を図れる のではないか。  活用のためには、青少年の方々に幅広く参加を呼びかけていくことが必要です。この ために各行政機関、教育機関、勤労青少年ホーム、もちろん自治会、そういった所が連 携をよく図りながらこういった活動に関する情報をお互いに幅広く収集し、これを提供 していけるような環境整備を行うことが重要である。そのように書いております。  11頁です。また、ボランティア活動に関する情報提供や体験プログラムの実施などを 通して青少年の方々のボランティア活動への参加の意欲を喚起していく。そして、その 実際の活動に結び付けていくために経営者団体、社会福祉協議会、NPO・ボランティ ア支援団体の連携の下にネットワークを構築していくことが重要である。  4の国際交流の促進です。(1)ワーキングホリデー制度の持つキャリア形成機能の有 効活用の所で先ほどの現状を踏まえ、いろいろ書いております。  この中でワーキングホリデー制度の持つキャリア形成機能を有効に活用するために、 この制度を利用する方々に対する渡航の前後におけるキャリア・コンサルティングの実 施をはじめとした支援体制の充実が求められる。特に海外渡航前に帰国したら自分が一 体どうやってまた職業生活を送っていくか、そういった帰国後の再就職も視野に入れつ つ相談を行うことにより、帰国後に不安定な就労を余儀なくされることのないように支 援を行うことが重要であるとしております。  12頁の5、勤労青少年福祉行政推進のための環境整備です。ここについては、基本的 に骨子案と同様です。その中で現状を踏まえ、少し書き込みをしております。  (2)勤労青少年ホームの機能充実、(1)勤労青少年ホームに求められる機能です。利 用者数が減少しているホームの割合が高まる一方で、利用者ニーズに対応しきれていな いことがその理由の1つである。そういうホームが多い。そういったことから青少年を 取り巻く現状に即した機能の充実を図り、さらに地域需要に応じた活用を促進していく ことが必要である。このようにまとめております。  (2)勤労青少年ホームの機能充実のための対策です。ここも基本的に骨子案と同様です が、特に第2パラグラフ、職業的自立に向けた支援に関して勤労青少年ホームが地域の 中核として行政推進に当たることが望まれるところである。このように記載しておりま す。  13頁の6、勤労青少年指導体制の整備等です。ここも骨子案と同様ですが、指導者の 役割がきわめて大事であるということで、彼らに対する勤労青少年育成のための能力向 上に関わる支援を行っていくことが重要である。これは大変大事な問題かと思っていま すので、ここでまたきっちり書いております。  最後に7の勤労青少年福祉対策に関する広報啓発活動等の実施です。勤労青少年は、 有為な職業人としての成育に自ら努めることの必要を促すことが重要であります。ただ、 一方で安定した就労に就けないなど、多くの青少年が自ら望むような職業生活の充実を 達成できないでいるなどの現状にもかんがみ、まず青少年自らがその職業生活設計を行 い、また、自立的な選択を行う、その選択の一連を支援するもの、そういったものが福 祉対策であるということで、それを一層推進していくように広報・啓発を行っていきた い。  また、いま若年者の雇用問題について国民運動なども行っておりますので、そういっ たものとの連携を図りながら行っていくことが大事であろう。そのようなことで結びと させていただいております。  資料No.3は以上です。いま申し上げた骨子案に付け加えさせていただいた部分につい てのデータを資料No.4をカラーで用意しております。最後にこちらを簡単にご説明しま す。  資料No.4の2頁、高等学校卒業者の進路です。大学等への進学率が47.3%に達し、こ の10年で10ポイントの伸びとなっています。  3頁の2番、16年度実績に基づく大学入学者数等に関する試算です。こちらが全志願 者数と入学者数です。これがイコールになるのが平成19年度という試算です。このとき からいわゆる大学全入時代の到来が予測されます。  4頁の3番、青少年における職業分類別求職割合です。有効求人と有効求職を比べる と、事務的職業は求職が多いのですが、求人が少ない、サービスは比較的求人が多いの ですが、求職が少ない。必ずしもマッチングをしていないというデータです。  5頁の4番、仕事につけない理由です。34歳以下では、「希望する種類・内容の仕事 がない」とする割合が非常に高くなっていて、「仕事の内容などでのミスマッチが課題と なっていることをうかがわせるものとなっている」と結んでおります。  6頁の5番、フリーターの就業意識です。フリーターの就業に対する意識は正社員よ りは低い。こういったデータをここでまた紹介しております。  7頁の6番、能力開発の主体に関する労働者の意識についてです。上のグラフがこれ まで能力開発の主体について自分でよく考えてきたかどうか、下のグラフが今後考える べきかどうかです。これは今後は、「自分でよく考える」または「どちらかといえば自分 で考える」とする割合が非常に高まっているというデータです。  8頁の7番、求職活動を一度もしたことがない理由です。「人づきあいなど社会生活を うまくやっていく自信がないから」が最も高く、33.6%となっています。  9頁の8番、学校生活を通じて教えてもらいたかったことです。これは、無業者の方々 に複数回答をしていただいております。「職業に必要な専門的知識・技能、資格・免許」 が最も高く、以下、「社会人としてのマナー」、「職業の選び方」の順となっています。  10頁の9番、フリーターにおける正社員希望についてです。正社員希望は72.2%に達 しており、もともとフリーターになりたかった人は少ないというデータです。  11頁の10番、仕事をしていないことについての意識です。仕事をしていないことに あせりを感じている無業者の方々が75.5%に達しており、決して良いとはしていない。 そういったデータです。  12頁の11番、ワーキングホリデーを経験して習得できたことです。外国語能力、国 際感覚・異文化適応能力、幅広い視野、コミュニケーション能力、判断力・決断力、積 極性など、非常に多くのことを習得できたと青少年の方々が自覚しています。  13頁の12番、ワーキングホリデー利用者の帰国後の就職条件です。「特に有利な条件 とはならなかった」が「有利な条件となった」を上回っています。かなり有利な条件と 少し有利な条件を足して37.1%ですが、「特に有利な条件とはならなかった」は、これ だけで43%になっています。  14頁の13番、勤労青少年ホームにおける近年の利用状況です。「減少している」が「増 加している」の3倍以上になっています。  15頁の14番、勤労青少年ホームで利用者が減少している要因です。いちばん多いの は「地域の勤労青少年人口が減少した」です。それに続きまして「施設の老朽化」、「利 用者ニーズの対応不足」が高い割合となっています。  以上、資料No.3の第8次基本方針(案)とそれに基づくデータの追加の説明でした。 ○部会長 ありがとうございました。前回までのご議論を踏まえて、特に前回原案につ いて皆様方からいろいろご意見をいただいた所を反映した基本方針案及び基本方針の骨 子について、事務局から説明をいただいたところです。おそらく方針及び骨子について 本格的に議論ができるのは、今回が最終回になるかと思いますので、是非皆様方からご 質問、ご意見等をいただきたいと思います。 ○谷口委員 資料No.3の方針案の5頁に、第2として基本的施策、方向性の記載があろ うかと思います。前回の意見を踏まえていただき、フリーター、無業者対策は中軸に据 えていく必要があるという表現を使っていただいたことは、一歩前進だと受けとめてい ます。  ただ、私の気持としては、中軸というのはまだちょっと中途半端かなという気がしま すので、委員の皆さんのご意見を踏まえて、さらにいい言葉があればご検討をいただけ ればと思います。  改めて1パラグラフ目からじっくり読んでみますと、1つ気になる点があります。1 パラグラフ目で、余暇活動の充実をはじめ一連の措置は引き続き重要である、という記 載になっていますが、ここは若干違うのではないかと思います。一方で、「はじめに」の 記載にまた戻るのですが、そちらと比べてみますと、4パラグラフ目で記載をしている のは、幅広く視野を広げるのだということの次に、従来からの柱の余暇活動の有効活用 に比べて、職業能力開発、意識形成の一層の充実、さらにはニート、フリーター対策に 重点を置くことが求められているという記載になっていますので、ここは政策の重点化 という意味では、方向性のほうの記載は「はじめに」の所の記載とややトーンが違うと 思います。  私の意見としては「はじめに」のほうの記載に倣った形に、方向性のほうは反映をし たほうがいいのではないかと思います。 ○部会長 いまの谷口委員のご意見に関連することで、どなたかご意見はございますか。 ○久保委員 いまお話のありましたホームの機能の充実及び運営を図ることが必要とい うことで、いろいろな所で書かれていますが、先ほど提示していただいたアンケートと いうか、現状に関する資料という所を一緒に見させていただきました。15頁の所に、先 ほどの利用者人口が減少したことや、施設の老朽化などが高いパーセンテージであると いうご紹介がありましたが、反対に「ホームという施設そのものの役割が終わった」も 3割以上あるわけで、この点も見逃せないのではないかと思っています。  ホームによっては取組にかなり温度差というか、活発にやっている所もそうでない所 も括って、アンケートの結果が出ているかと思いますので、地域の核になれるような所 については、お話のありました地域のサポートステーション的に運営されればいいと思 うのですが、そうでない所についてはさまざまなNPO等もありますので、その中の地 域の体制の一環ということでいいのではないかと思います。 ○部会長 いかがですか。谷口委員、久保委員のご発言に関連することで、何かござい ますか。 ○山野委員 いま久保委員がおっしゃった勤労青少年ホームというのは、勤労福祉会館 のような所とは、また違いますか。 ○半田室長 勤労福祉会館とは必ずしも一緒ではないのですが、複合施設でそのような 運営をされている所もあります。 ○山野委員 見ていますと、施設はとても古くなってきています。いまの若い人たちが 余暇を過ごす場所は、たぶんそこへ行かなくてもいっぱいあると思うのです。ですから、 本当に青少年ホーム自体の役割というのは、特に都心部においてはそんなに重要ではな いのかなという気がします。そういうところへ、そこを充実しなければいけないという ことで、何か手当をするということは、かえっていまおっしゃったように無駄なような 気もします。そういうことではなくて、もう少しそういう方々がいろいろな情報や何か をもらえるような小さなステーション的なもので、大きな施設ではなくていいと思うの です。私どもの周りの若い人たちを見ていて、あまり大きな所に出て行って何かするこ とは、いまの若い人たちは得意ではないのではないかという気がします。 ○部会長 この辺までをまとめて、何か事務局のほうからありますか。 ○半田室長 ホームの現状で申し上げますと、私どもも勤労青少年ホームの役割は終わ ったのではないかと、統計データを見ていた限りでは思っていました。利用者も大きく 減少してきていますし、また利用者の高齢化も進んでいる。つまりどういうことかとい うと、昔使っていた利用者が、そのまま30歳になっても40歳になっても使っていて、 若い人が使っていないという絵が見えたのです。そういう意味でも終わったのではない かと思っていたのですが、実際いくつかのホームを見ていますと、いわゆる絵に描いた ようなホームが、まだ元気にやっている所もあるのです。  例えば鹿児島などに行きますと、まさに20代の勤労青少年を集めて料理教室をやった りスポーツクラブをやって、元気に活発に活動している所もあるのです。それを見ます と、一概に勤労青少年ホームの役割が終わったということも言えないと。  他方、大都市圏では山野委員のご指摘のとおりで、ホームに行ってどうこうという若 い人は、極めて少なくなってきています。その中で私どもが考えているのは、例えば勤 労青少年ホームに関して言えば、従来型でやれる所はやったらいいでしょうと。  久保委員からご指摘がありましたように、キャリア支援の方向で活用できる所は使っ たらいいだろうと。そのどちらにもいけない所は、確かにおやめになったらいいだろう というのは、心の中ではあります。そういった中で、いちばん最初の部分で、必ずしも 無用のものとなってしまったとは断定できない現状もある中で、その辺も書いていこう としたので非常にバランスの悪い、いかにも役人的な文章になっていますが、その点の 現状やただいまのご意見も踏まえまして、「はじめに」の部分と基本的施策の所のトーン の違いは、確かに谷口委員のご指摘のとおりですので、その辺りを勘案しながら、少し 工夫して書かせていただきたいと思います。 ○部会長 谷口委員のご意見は、「はじめに」のほうのトーンに少し合わせるようにした らどうかということでしたが、ほかの委員の方々も、同じような修正でよろしいですか。 ○小杉委員 確かに前と後ろはちょっとトーンが違う感じがあって、後ろのほうがこれ までの余暇活動を中心の所に対する配慮をした文章になっています。一応いまの目玉と いうか方向性は、新たな方向性についてしっかり考えていくということだと思うので、 若干バランスは悪いかなと思います。  新たな方向性とこれまでの方向は、ある意味ではホームの運営そのものは市町村レベ ルですので、市町村の選択にかかっていると思います。その市町村の選択の部分をもう ちょっと書いてみると、基本的にはあなたたちの問題だと、基本的には市町村が選択し てどちらの方向に行くのかを考えてほしいという文章を、ちょっと入れてみたらいいと 思います。 ○半田室長 貴重なご示唆をありがとうございます。 ○部会長 それではこの点については、そのような形で処理をしていただきたいと思い ます。谷口委員、よろしいですか。 ○谷口委員 ありがとうございます。 ○部会長 ほかにご意見はございますか。 ○岩松委員 ワーキングホリデーの件に関してです。先ほどワーキングホリデー制度を 活用して戻って来たのですが、なかなか就職に結び付かなかったという表があったかと 思います。これを企業側から見ますと、ワーキングホリデーに行かれた方は、語学力が 身に付いただろうと、就職の際に語学力の点をいちばん見るのではないかという気がし ます。  12頁の表を見ますと、外国語能力で大いに習得できたが15.7%と、ずいぶん低いので す。これは1年間ということで、なかなか身に付かないという点はあるかと思います。 ですから、ワーキングホリデー制度と就職率が低いことを結び付けていいのかどうかと、 ふと思いました。確かに国際感覚や幅広い視野、コミュニケーション能力は、ワーキン グホリデーに行った方々でなくても、企業としてはこういった人材像と言いますか求め る能力に入るかと思いますので、ちょっと語学力のところが気になりました。これは私 の意見ということで聞いていただければ結構です。 ○半田室長 ワーキングホリデー利用者がフリーター化してしまうことには、企業の側 にはなかなかご理解いただけない面ももちろんありますが、いま岩松委員からご指摘が ありましたように、利用者自身の問題もあると思います。語学力があまり伸びていない というのは、ワーキングホリデーの過ごし方に問題があると思います。  例えばよく聞きますのは、オーストラリアに行っても日本人同士のフラットに入って、 そこの日本料理屋で働いている。それがいちばん楽ですから、そのようなことをやって いれば当然英語の能力が伸びるわけもありませんし、外国適応能力も伸びるわけではあ りません。そういったところは利用者自身の問題ですので。今後やっていこうとしてい るのは、事前のキャリア・コンサルティングなどを通じて、何のためにワーキングホリ デーでどこに行くのか、何をやるのか、もちろんそういったことをきっちり将来を見通 して設計することはできないですが、そういった視点をきちんと織り込んで考えていく ように支援していくことにより、ワーキングホリデーの有効活用が図れるようになるの ではないかと考えています。それを進めた上で、企業の側にもワーキングホリデーでち ゃんとやってきた人はそれなりに成長しているのですから、そこを認めてあげてくださ いというお願いと、それが見えるような評価の方法などを工夫していきたいと考えてい ます。 ○部会長 岩松委員、よろしいですか。 ○岩松委員 はい、結構です。 ○部会長 ほかにいかがですか。 ○宮本委員 用語の問題ですが、無業者という言葉が、フリーターと無業者というよう にずっと対で出てくるのです。失業者という言葉はほとんど出てきませんが、無業者の 中に失業者は入っているのでしょうか。  前回配付された資料の参考1の2.の所で、失業率になって、次にフリーターで、そ の次に無業で、無業はいわゆるニートという意味になっていると思います。これは失業・ フリーター・無業となっていますが、基本方針(案)の中では、失業というのがほとん ど出てきません。無業の中に、失業の問題は重要ですし、量的にはそちらのほうが多い のだと思いますので、その辺をお願いします。 ○半田室長 一応統計的には、無業者と失業者は区別しています。実は失業者に対する 支援ということは、従来の勤労青少年福祉行政の中でも対象として入れていたところで す。ですから、従来の勤労青少年行政の対象は、現に働いている在職青少年と、失業し て休職中の青少年だったわけです。そこに新たに付け加わるのが、フリーターと無業者 です。  ご案内のように、失業者というのは、就労の意思があるわけですが、無業者はそれが なく、表立っては見えてきていませんので、新たに付け加える部分は無業者、フリータ ーであるということで、その辺をずいぶん強調して書いていますので、失業が抜けてい るように見えるかもしれません。失業就労支援に関しましては、具体的な施策の中でも ヤングワークプラザの機能強化も安定局で言っていただいていますので、当然失業者対 策は、念頭に入っています。 ○事務局 若干付け加えさせていただきます。  資料No.3「はじめに」の中の第4パラグラフで、「これまで対象としていた在職青少年 や自ら求職活動を行っている青少年」、失業者というのは統計的に言いますと労働力調査 で、例えば無業の64万人というのが失業者が外れていた数字でしたので、いままでの失 業者の方々は、当然この対策の大事な対象者になるのですが、いまのような形で表現を させていただきました。いま表立って求職活動はしていないが、こちらの呼びかけ、あ るいはご本人からの問いかけがあって、それで職業的自立に向けた活動を始めてくれれ ば、その無業者の方々は求職者ということで、勤労青少年福祉行政としてもお迎えでき るのではないかという整理をしながら、書かせていただきました。ですから、失業者の 方々は、当然のことながらこの行政の大事な主たる対象者です。 ○部会長 いまの宮本委員のご質問は用語の問題として、おそらくこの無業者という用 語を使った場合には、その中に失業者を含んでしまうのではないかということだと思い ますが、その辺はどうですか。 ○半田室長 含まないということです。 ○部会長 ではそれを、どこかにはっきりしたほうがいいということですか。 ○宮本委員 そうです。 ○半田室長 具体的な施策としまして、例えば7頁の(3)(1)のエ、職業安定機関によ るマッチング促進などがありまして、当然こういったところで若年失業者対策に入って くるわけです。宮本委員がおっしゃるように、いま全体を私も駆け足で見ましたが、失 業者が見えづらい点は、確かにあります。ですから、無業者に失業者は入れておりませ んので、その辺りをもう少し書くように、工夫してみます。 ○宮本委員 1頁目に最初に無業者が出てきますが、無業者の定義がないのです。無業 者とは何かなと思ってずっと見ていきますと、ほとんど定義がなく、4頁の第2パラグ ラフの1行目に、求職活動を1度もしたことのない無業者と出てくるのですが、読んで いる方は、ここでは無業者の中のうちの求職活動を1度もしていない部分についてのク エスチョンなのかという感じになりますので、ちょっとその辺を整理していただければ と思います。 ○部会長 一応統計上の定義は無業であり、求職活動をしていて就労可能なものという のがILOの定める失業者の条件でしょうから、ここでの無業というのは、後の2つの 条件のない人たちだということを、失業者と少し分けるような形で説明したいと思いま すが、宮本委員、よろしいですか。 ○岩松委員 根本的なことがわかっていないのですが、この案を見ますと、小学校、中 学校、高校の学校段階からの職業意識というか、職業観を高める教育も必要だというよ うに大分書いていただいて大変よろしいかと思います。学校教育に関してですが、実際 にこれがきちんとした形で出たときに、どういった連携が図れるのかという疑問があり ますので、その辺を教えていただけるとありがたいのですが。 ○半田室長 実を申しますと、もともと勤労青少年福祉行政では、前提として15歳から 中学校卒業以降を念頭に置いていたのは事実です。昨今のいろいろな諸対策を考えてい こうとすると、本当に初等教育時代からの職業意識形成がどうしても不可欠だというこ とで、先ほどの対象年齢の所で上限だけで下のことをあえて申し上げずにいたのは、そ ういったところまで広げていかざるを得ないということがあったからです。そこの部分 は当然ながら、私どもでできることに限りはありますが、中学校ぐらいでもハローワー クとの連携、職業人を派遣して講話をするといった連携をしております。そういった具 体的な施策もあります。  この方針そのものも関係省庁できちんと協議して最終的に固めますので、そういう意 味では初等、中等教育に責任を持っておられる文部科学省とも連携することになってい ます。具体的連携としては、いま申し上げたすでに動いているハローワークとの連携も ありますし、今後やっていこうとしているサポートステーション事業でも、そういった 関係行政との連携を、やっていくことにしています。 ○山野委員 ちょっと教えていただきたいのですが、いちばん最後の所に勤労青少年福 祉対策に関する広報啓発活動等の実施と書いてありますが、広報活動、啓発活動という のはどういう活動をイメージしていらっしゃるのかを教えていただけますか。 ○半田室長 ここはいつも私どもが行政施策を展開するときに、かなり厳しくご指摘を いただくところでして、正直申しまして広報、啓発活動そのものに対する政策経費はな かなか使わないところです。いつも言っている言葉ですが、あらゆる機会を通じて周知 を図っていくことぐらいしか申し上げられませんが、唯一ここで申し上げられるのは、 7月第3土曜日の勤労青少年の日は、実は法律の中に定めてありまして、条文の中にも あります。いまでも全国の都道府県に、そのときにはそれなりに活動をやっていただい ています。そのようなことを通じてやっていくことが1つあります。  ご案内のように、いま各方面にご協力をいただき安定局が中心になり国民会議が設置 されて、国民運動を展開、推進していますので、そういったものとの連携を図っていく ことで、周知していくことも可能かと考えています。 ○山野委員 なかなか難しいですね。 ○部会長 この部分だけのために予算を確保することは難しい、ということでしょうか。 ○半田室長 はい。 ○杉浦委員 前に比べて個人の意識の啓発を高く評価して書き込んでくださっているの で、とてもいいと思いました。先ほど谷口委員からお話がありました、勤労青少年ホー ムが終わったのではないかということですが、実は私は地方の浜松に住んでいるので、 そうなってくると先ほど室長がおっしゃられた、活発に活動されている所は、私もかな り見てまいりました。方向性から言えば、そのような方向性は必ずあるはずだと思いま すので、納得をしていた部分もありますが、大都市圏と地方圏は、かなり差が出てきて いると感じます。  中小企業の立場から言わせていただきますと、大企業のような体育館などの施設を持 っている所は、なかなか少ないのではないかと。その中でそういうところを吸収してい ただき運動の機会を与えていただけることに関しては、もちろん市の施設などのいろい ろな施設がありますので、方向性から言えば役割が終わった方向性には間違いないとは 思いますが、その中で大都市圏との格差が、かなり出てきているのではないかという気 がしました。  急激な、これだという方向転換という文章ではなかったものですから、私はこれで方 向性から言えば間違いないのではないかという感じがして、賛成という意見でいいと思 います。 ○部会長 確かに小杉委員や宮本委員がお書きになった本を見ましても、特に青少年の 問題は地域の問題とオーバーラップしているところがあろうかと思いますので、やはり いま杉浦委員が言われたように、地域によってあり方が違うという点を意識された書き 込みにしていただいていますが、それは大変大切な視点かと思いますので、よろしくお 願いします。 ○末永委員 従来の方針からフリーター、ニート対策をするようになったことと、対象 者を30歳から35歳に拡大したことについては、評価できると思いますが、誰がやるの かということです。ここで言うと勤労青少年ホームや勤労福祉推進者ということになる と思いますが。8頁の所で勤労青少年福祉推進者との連携があるのですが、法律を変え なくてもこれでできることは理解しますが、従来の体制に比べて何が変わったのかにつ いてが、あまりはっきりした書き方になっていないので、何らかの形で示すべきではな いかと思います。  勤青ホームの話ですが、11頁の所に外国人を対象とした講座が国際交流事業と書いて ありますが、これをできる所があるのかなという気がしますので、これについては、実 態を見てやっていただければと思います。  9頁の所で、先ほど杉浦委員も言われたように自発的な能力開発の支援と書いてある のですが、いまもやられている職業能力開発分科会での議論と合った形の表現にできた らと思います。  前回の平成12年に作成した参考資料の第7次の基本方針を見ると、例えば8頁には 「勤労体験プラザ」という言葉がたくさん出てくるのですが、これについては今度の計 画では完全に抜け落ちています。これはいま育成支援課のほうでやられているものでや るのかなと思われますが、いかがでしょうか。 ○半田室長 まず、七五三問題云々というご指摘がありましたが、そういった方に対す る施策として、第2の所でいろいろ書き込んでありますので、どの辺に重点を置いてい くかというのは、それぞれ実施主体のご判断にお任せすることになると思います。実施 主体にはいろいろありますが、特に中心になるのは地方自治体になりますので、その辺 りのお考えによって進めていただくことになるだろうと思います。  11頁のホームの国際交流ですが、これは現にやっている所はやっているという言い方 になってしまいますが、例えば京都には5つぐらいのホームが連携して、中でも伏見の ホームが熱心にやっておられますし、意外と日本海側のホームでも、そういった取組を 熱心にやっている所もあります。  3点目が、9頁の自立支援の所ですが、表現振りは職業能力開発基本計画と合わせな ければいけないということは、当然ながら最終的に固める際には能力開発計画等とのす り合わせをしながらやっていきますので、その表現振りには工夫をしていきたいと思い ます。  具体的な施策としては、在職者も、これから就こうという人に対しても、さまざまな 支援の枠組があります。ホームでも、実は在職者相談支援をやることになっていますし、 ヤングジョブスポット、ジョブカフェ、ヤングワークプラザ等では、これから職業に就 こうという人に対する相談支援もやっていますので、こういった所を総合的に活用して やっていきたいと思います。  7次方針で回答がありました勤労体験プラザですが、これはご案内のように「私のし ごと館」になっていますが、これも含めて私どもは青少年の職業意識の涵養、育成につ ながるものだと思っています。ことさらしごと館とは書いてありませんが、職業意識の 形成支援といった中に、当然そういったものの利用、活用は入ってくるものと考えてい ます。 ○部会長 宮本委員、小杉委員、何かありますか。よろしゅうございますか。 ○宮本委員 はい。 ○部会長 それでは、ひととおり皆様方からご意見をいただきましたので、今日のご意 見等も場合によっては個別に、このように直しましたという説明等もしていただきなが らまとめていただきますが、草野審議官、杉浦総務課長、何かございますか。 ○草野審議官 いろいろお話が出ていますように、大きな流れとしては勤青ホームも従 来の要するに中卒で入って金の卵と言われたときに生活支援をしていくという役割とは、 大幅に変わっているのは事実で、その切替えの過渡期にあると思います。若年のキャリ ア支援ということでいろいろな施策をやっているわけですが、その中での勤労青少年ホ ームのあり方や勤労青少年福祉推進者の役割、勤青法自体をこれから抜本的に切替えを していかなければいけないという問題意識は強く持っています。まだそこまでに至って いないわけですが、今度の計画ではその過渡期として、重点をこちらに置いていくとい う色彩を明確にして、かつ全体の中での役割をもう少し深めていく必要があるという感 じがします。市町村がやっているのが大きな特色ですから、そこを活かした活用をする。  青少年の場合はフリーター、ニートで、サラリーマン社会になってしまい、小杉委員 もおっしゃいましたが、自営業や家従などの人たちがいなくなっている中で、成績や成 果などでいって、少し社会の包容力、涵養力がなくなってきているわけです。逆に地域 でNPO活動などのいろいろな分野の活動がありますので、そういう新たなコミュニテ ィを作ってその中で競争セクターたる雇用というのは非常に厳しい状況で、いきなり入 っていくのはハードルが高いわけですので、中間領域を作っていく必要がある。その拠 点として、市町村における勤青ホームが機能していくと、非常に若年対策の中でユニー クで意味がある形になってくるのかなと思っていますので、その辺をもう少し深めて、 地域のコミュニティを作る、あるいは若年を同じ目線で誘導していく団体の育成の拠点 を市町村の中で作っていく役目が重要かなと思っています。まだそこまでちょっと描き 切れてはいないのですが、そのようなことを少し出していく途中だということです。そ の辺はいろいろご意見を賜って、是非有意義なものにしていきたいと思います。 ○部会長 それでは、最後に事務局からよろしくお願いします。 ○半田室長 本日いただきました貴重なご意見ご示唆を基にして、いま一度原案を切磋 しまして、次のステップとして都道府県、関係省庁などに意見照会をして、また次回の 部会にお図りするという手順になります。  ただ、先ほど来申し上げていますように、職業能力開発基本計画の見直し等とスケジ ュール等の調整も必要ですので、そちらの進み具合なども勘案しまして、年明けの2月 か3月ぐらいになろうかと思いますが、部会を開催させていただくことになります。そ れまでの間に先生方に個別にいろいろご相談させていただくことになりますので、どう ぞよろしくお願いします。 ○ 部会長 本日は、これにて終了させていただきます。議事録の署名ですが、本日の 署名委員は末永委員と杉浦委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いし ます。本日はどうもありがとうございました。 以上 1